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岩國委員 どうもありがとうございました。
それをつなぐ
意味でもとおっしゃいましたけれ
ども、とかく今まで、ぬるま湯行政、あるいは護送船団、温室行政ということが言われてきました。私は、そうした
銀行業界全体に消費者を犠牲にした形でもってそういう助成を行うということは、結局ぬるま湯行政にさらにまたぬるま湯を注ぐだけのことではないかという意見を捨て切れません。
総裁が紹介されましたグリーンスパンの見方、これは
海外のそうした
金融業界の人たちの多くの意見でもありますけれ
ども、
日本は余りにも
銀行業界が、
銀行、証券、保険、日銀、大蔵、この五人組が、護送船団という名前のもとにいつまでもぬるま湯の中へ入り過ぎたんじゃないか。今まで
産業界は、家電にしても自動車にしても鉄鋼にしても、ぬるま湯から出ろ出ろと言われて、出るときは嫌だ嫌だと言っていましたけれ
ども、アメリカへ行って乾布摩擦で体を鍛えて、そして今ではよその国の方がむしろ恐れるような存在になってしまった。それでもまだ出ようとしないのがこの五人組であった。いよいよ、ふろの栓が抜かれて、肩まであった水がだんだん減ってきておへその辺まで下がって、どうしても出なきゃならなくなってやっと出てみたら、湯疲れし過ぎて途端に倒れて、日銀マークの入った赤十字車に運ばれてみたり、あるいはいきなり刑務所へ運ばれてみたり、こういうことがばたばたと起きているわけです。
結局、長い間ぬるま湯につかり過ぎたところは、人が出ていった後ですからばい菌がうようよしておって、汚職菌、背任菌、横領菌、ばい菌いっぱいの中につかり過ぎてしまった。それが私は、
日本の
金融業界、
銀行、証券、保険、そしてその行政をされた日銀、大蔵、みんながそういう競争力を失ってしまったのではないかというふうに見てまいりました。
つたない経験で恐縮ですけれ
ども、メリルリンチの
経営役員会では、
銀行というものは二十一世紀には存在しなくなる、証券という言葉も二十一世紀の辞書にはなくなる、両方ともみんな二十世紀までは存在しておった、二十一世紀の言葉では全部
金融サービス業という言葉になる。去年、おととしてはなくて、これは二十年前の役員会でもう既にそういうビジョンのもとで
経営戦略を立ててきているわけです。
ただし、総合
金融サービス業は三つのグループに分かれる。
一つのグループはメガハウス。ハウスというのは御承知のように大きな
銀行、組織でありますけれ
ども、強大な資本と人的資源と情報網と営業網を持って地球規模の
銀行業をやるところがメガハウス。二番目がスペシャリティーハウス。これは、リースとかプロジェクトファイナンスとかMアンドAとか、特殊な少数の人間で、少数の資本で、しかしメガハウス以上のサービスを展開する二番目のグループ。三番目がローカルハウス。地方
銀行、信用金庫、信用組合。これは、第一勧銀やメリルリンチが島根県の松江市に出てきてもとても対抗できないだけの、二代、三代前からのそういった
経営者のノウハウを持っておって、地元密着型で、そういうサービスがあるからこそメガハウスも競争できない。この三つのどれかにきちっと分解されていくんだと。これも二十年前のそういう
経営戦略であります。
こういうことが、
日本の場合には、アメリカの例、フランスの例、イギリスの例をしっかりと見てきたわけでありますから、そういうビジョンと理念を持って、そしてこの
銀行の再編をどうするのか、あるいは、いろいろな業法というものはどのように、いつ垣根をどういう順番で外していくのか、そのようなビジョンとか理念のないままに個々の
銀行の
救済ばかりをこうやって論じておるというところが、外国から見たら一番おかしいところじゃないでしょうか。
大変、釈迦に説法ではありますけれ
ども、一日も早く大蔵省、日銀あるいは
金融監督庁、そういうところで、将来のあるべき
日本の
金融サービス業はどうなのか、
国民経済の中でどういう役割を果たすのか、そのためにはどれぐらいの規模、どれぐらいの数が適正なのか、そういったものが出てこなかったら、それぞれの
経営努力にも限界がある、私はそのように思います。
総裁、大変お忙しいというふうに伺っておりますから、どうぞこの辺で御退席いただいて結構です。ありがとうございました。
次に、
長銀について
金融監督庁にお伺いいたします。
長銀のキャッシュフローについては的確に把握しておられるかどうか。これは、毎月五千億、六千億の償還がワリサイ、利付債について行われ、その上利払いが約五百億ぐらいずつ行われ、膨大な
資金が流出していきます。年内、十二月までのそういったキャッシュフローのプロジェクションというのはどういうふうになっておるのか。
さらに、その手当てを十分できるだけの利付債の発行はできるのか。これは何度も私はここで
指摘いたしましたけれ
ども、発行した途端に、百円で発行したものが八十九円に値下がりする、こんな発行の仕方が長続きするはずはありません。だれかが損失を負担しなければならぬ。だれかが損失を補てんしなければならぬ。こういう形の自転車操業をやっているのは、今
長銀だけではないでしょうか。
長銀以外にどこかの
銀行が同じようなことをやっておりますか。ちょうどハイウエーカードを金券ショップへ持ち込むようなやり方で、いきなり一割値下げでマーケットで取引される。これが一流
銀行の債券でしょうか。
キャッシュフローはどういうふうになっておるのか。年内のキャッシュフローを見ても、十分そういった
資金のやりくりというものはついておるという確信を持っておられるかどうか。長官の御意見をお伺いします。