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1998-09-10 第143回国会 衆議院 金融安定化に関する特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月十日(木曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 相沢 英之君    理事 石原 伸晃君 理事 藤井 孝男君    理事 村田 吉隆君 理事 保岡 興治君    理事 山本 有二君 理事 池田 元久君    理事 中野 寛成君 理事 坂口  力君    理事 谷口 隆義君       愛知 和男君    伊藤 達也君       伊吹 文明君    飯島 忠義君       岩永 峯一君    江渡 聡徳君       大石 秀政君    大島 理森君       奥山 茂彦君    金田 英行君       河村 建夫君    倉成 正和君       佐田玄一郎君    田中 和徳君       滝   実君    津島 雄二君       中谷  元君    蓮実  進君       宮本 一三君    目片  信君       山本 公一君    山本 幸三君       吉川 貴盛君   吉田六左エ門君       岩國 哲人君    上田 清司君       枝野 幸男君    岡田 克也君       海江田万里君    北村 哲男君       中川 正春君    古川 元久君       石井 啓一君    上田  勇君       大口 善徳君    中野  清君       西川 知雄君    鈴木 淑夫君       西川太一郎君    西田  猛君       木島日出夫君    佐々木憲昭君       春名 直章君    濱田 健一君       笹木 竜三君  出席国務大臣         法 務 大 臣 中村正三郎君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         通商産業大臣  与謝野 馨君  出席政府委員         内閣審議官   白須 光美君         公正取引委員会         委員長     根來 泰周君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局取引部長  上杉 秋則君         金融監督庁長官 日野 正晴君         金融監督庁検査         部長      五味 廣文君         金融監督庁監督         部長      乾  文男君         法務省刑事局長 松尾 邦弘君         大蔵省金融企画         局長      伏屋 和彦君         通商産業大臣官         房審議官    岡本  巖君         中小企業庁長官 鴇田 勝彦君         中小企業庁次長 殿岡 茂樹君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君  委員外出席者         参  考  人         (預金保険機構         理事長)    松田  昇君         参  考  人         (日本銀行総裁)速水  優君         衆議院調査局金         融安定化に関す          る特別調査室長 藤井 保憲君     ————————————— 委員の異動 九月十日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     飯島 忠義君   大野 功統君     岩永 峯一君   砂田 圭佑君     吉川 貴盛君   滝   実君     奥山 茂彦君   渡辺 喜美君     目片  信君   岡田 克也君     中川 正春君   北村 哲男君     岩國 哲人君   西川 知雄君     中野  清君 同日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君     大野 松茂君   岩永 峯一君     大野 功統君   奥山 茂彦君     滝   実君   目片  信君     大石 秀政君   吉川 貴盛君     田中 和徳君   岩國 哲人君     北村 哲男君   中川 正春君     岡田 克也君   中野  清君     西川 知雄君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     渡辺 喜美君   田中 和徳君     砂田 圭佑君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  不動産に関連する権利等調整に関する臨時措  置法案内閣提出第一号)  金融機能安定化のための緊急措置に関する法  律及び預金保険法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二号)  債権管理回収業に関する特別措置法案保岡興  治君外三名提出衆法第一号)  金融機関等が有する根抵当権により担保される  債権譲渡円滑化のための臨時措置に関する  法律案保岡興治君外三名提出衆法第二号)  競売手続円滑化等を図るための関係法律の整  備に関する法律案保岡興治君外四名提出、衆  法第三号)  特定競売手続における現況調査及び評価等の特  例に関する臨時措置法案保岡興治君外四名提  出、衆法第四号)  金融機能再生のための緊急措置に関する法律  案(菅直人君外十二名提出衆法第五号)  金融再生委員会設置法案菅直人君外十二名提  出、衆法第六号)  預金保険法の一部を改正する法律案菅直人君  外十二名提出衆法第七号)  金融再生委員会設置法施行に伴う関係法律の  整備に関する法律案菅直人君外十二名提出、  衆法第八号)      ————◇—————
  2. 相沢英之

    相沢委員長 これより会議を開きます。  内閣提出不動産に関連する権利等調整に関する臨時措置法案及び金融機能安定化のための緊急措置に関する法律及び預金保険法の一部を改正する法律案並び保岡興治君外三名提出債権管理回収業に関する特別措置法案及び金融機関等が有する根抵当権により担保される債権譲渡円滑化のための臨時措置に関する法律案並び保岡興治君外四名提出競売手続円滑化等を図るための関係法律整備に関する法律案及び特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法案並びに菅直人君外十二名提出金融機能再生のための緊急措置に関する法律案金融再生委員会設置法案預金保険法の一部を改正する法律案及び金融再生委員会設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案の各案を一括して議題といたします。  本日は、各案審査に関し、金融安定化問題等について集中審議を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河村建夫君。
  3. 河村建夫

    河村(建)委員 おはようございます。自由民主党の河村建夫でございます。  宮澤大蔵大臣、また与謝野通産大臣、どうも御苦労さまでございます。ありがとうございます。また政府委員の皆さん、連日御苦労さまでございます。  さて、本日の委員会の主題、これは長銀日本長期信用銀行、この問題について集中審議ということであります。与野党金融再生法案が出そろいまして、先日来から闊達な議論が行われているわけでございますが、きょうこの長銀問題を集中審議するということになったということは、やはりこの長銀問題が、日本金融システムを守っていく上で、金融システム安定化のためには避けて通れない重要な課題である、喫緊の課題である、これは与野党の暗黙の理解というものがこの上にあってきようになった、こういうふうに私は理解をしておるわけでございます。  これまでの議論におきまして、我が国金融システムをどういうふうに守るのか、あるいはシステミックリスクをどのように防いでいくのかといった大局的な見地からの議論は、若干不足しておったのではないか、さらにまた私は、それを詰めていく必要があるのではないか、このように考えておりますから、きょうのこの集中審議というのはそういう意味で私は意義があるものである、こういうふうに思っておるわけでございまして、限られた時間でございますが、当面する長銀問題、この問題への対応の重要性というものを、大局的な見地に立って若干の質問を行わせていただきたい、このように思います。  現在、世論調査世論が求めております小渕内閣への最大課題は、やはり景気対策であります。日本景気回復日本経済の早期立ち直り、このためにはどうしても我が国金融システムを早く安定化させなければいけない、こういうことになると思うのであります。多額の不良債権という日本経済の血管に取りついたコレステロールを取り除いて、金融機関という経済心臓部再生させる、動きを活発にさせていく、そのことによって日本経済全体に円滑な資金の流れが生じてこなきゃいかぬ。  そのためにどうしても、今国会与党が、我々が提案させていただいております金融再生関連法案、この早期成立というものが必要不可欠になってきておるわけであります。ブリッジバンク制度というセーフティーネットを持ちながら不良債権実質的処理を総合的に行う、この諸施策を早急に行わなきゃならぬわけでございまして、それとあわせて、その前にあるこの長銀問題の早期解決をどうしても図っていく、これが今最大課題になってきておるわけであります。  これまでの議論といいますか、特に野党の諸兄の議論を拝聴いたしておりますと、この長銀問題を解決して、そして金融システム回復させようという政府与党取り組みというものが、個別銀行救済である、もっとわかりやすく言えば、長銀を救う必要はないのだ、長銀はつぶせ、このような大合唱のように聞こえておるわけでありますが、後のことは後のことでどうかなるというわけにはいかないと私は思っておるわけでありまして、本当にこれでいいのかという疑念を、私は若干抱いております。  住友信託銀行合併前提として、七千五百億円に上る不良債権処理を行わせることに加えて、いわゆる大きなリストラといいますか、役職員給与そして賞与の見直し、もちろんこれは役員の総退陣ということも含んでおるわけでありますが、あるいは人員の削減、海外業務からの全面撤退本店ビルの売却、こういった徹底的なリストラを行った上で公的資金を注入するという政府与党取り組みというもの、これは長銀という個別銀行救済策ではなくて、我が国金融システムを守っていく、あるいは我が国金融安定化のために実施するのだ、私はこのように考えておるわけであります。  大蔵大臣、特にこの長銀問題の本質的なポイント、ややもすると、ただ長銀を救うためにやっているのだというような誤解がまだあるように思うわけでございまして、この点について改めて国民の皆様の誤解を解消すべく、そのポイントについてわかりやすくひとつ解説をいただきたい、このように思うわけであります。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 我が国の経験したことのない不況からの脱出のために、政府はかねて相当大きな累積的な努力をいたしておるわけでございますけれども、いまだに不況から脱出ができない。ただいまの段階では、来年度における減税あるいは来年度予算の編成に関しまして、既に政府としての方針を明らかにしているところでございますが、同時に、しかしながら、市場経済であります我が国にとって、金融秩序が正常に稼働していないということは、何といっても非常に大きな痛手でありまして、この正常化景気回復のかぎになるというところまでは、これは恐らく与野党一致してお考えいただいているところであると思います。  そのような見地から、私どもとしても、また議員立法も含めましてこの事態に対処する仕組みについて御提案をいたしましたし、また各党におかれても、同じ問題について御提案をいただいているところであります。したがいまして、金融秩序回復のキーになりますこれらの仕組みをこの国会において御承認をいただいて、そしてそれに従って支度をしていきたいと考えておるところでございまして、これは、予算あるいは税制よりも、短期的にはもっともっと大きな影響市場経済に与える問題であるというふうに考えております。  その中におきまして、長銀の問題が本委員会におきましてもしばしば御議論の対象になったわけでございます。見ておりますと、ことしの三月、いわゆる資本導入の行われましたころには、長銀の問題というのは実はほとんど世上で言われたことはございませんでした。ただ、その後、いろいろ月刊誌等々が口火になりまして、いろいろなうわさ、いわゆる危機説が広がりまして、金融が逼塞をする、そして株価が下落をするということから、いわば突如としてと申しますか、かなり短い期間に長銀の問題というのがこれだけ切迫したことになりました。  これはある意味で、金融でございますので、信用が失われますと急速に事態が展開をするという一つの例であったと思いますが、そういう中で、長銀としては、恐らくいろいろ万策を考えました上で、住友信託銀行との合併によって、自行の危機金融システムの内外への撹乱に発展しないようにということで、住友信託銀行との間に合併条件あるいはリストラ等の案がただいまネゴシェートされておる、その中で公的資金導入をある段階では要請したいと言っておられると思います。  それで、昨日も御質問にございましたが、どうせこの船は沈んでしまうんだろう、何でそれを救うのかというお尋ねがあって、私は、恐らくそうでございましょうが、しかしそれに乗っておる国民、お客さん、これはどうしてもほかの船でやはり救わなければならない、そうでないと大きな影響がございますというようなことを申し上げました。それは比喩的な意味でございますけれども長銀がそういう運命をたどるということは、私どもは、国内金融秩序ばかりでなく国際的な金融秩序に非常に大きな影響があると実は考えておりますが、先般来この委員会での御議論は、実は大したことはないんだ、それはむしろ過大に伝えられておるという御議論もございます。  それはいずれにしても起こってみないことでございますからきちっとは申し上げられませんが、日銀総裁はやはり非常に事態を重大視しておられて、しばしばこの席で、国内におけるあるいは外国に対する金融秩序撹乱破綻ということを大変に心記して参考人として説明をしておられまして、一番、こういうことについての御専門の方の意見でございますので、私は、やはりこれは大変なことになるのではないか。申し上げますように、その船は沈むわけでございますから、その船を助けようということでないことはしばしば申し上げたとおりでございます。
  5. 河村建夫

    河村(建)委員 今、宮澤大蔵大臣からの説明で比喩を使ってお話しになりましたとおりでありまして、私は、そういう説明であれば国民は必ず理解されるというふうに思うわけであります。単なる一般企業倒産、これもあってはならないことでありますが、特に金融機関、特に大手金融機関破綻というものは、これはなかなか計測しかねる問題でありましょうけれども、はかり知れない大きな影響があるということは我々も予想がつくわけであります。そして、その結果ほうり出されるもの、それは救っていく、これはやはり政府として当然の責務でなければいけない、このように思うわけでありまして、政治責務として私はそれをやっていくべき、大臣のお話、まさにそのとおりだというふうに理解をさせていただきました。  そして、この長銀の問題というのは金融システム影響する、これは当然のことでありますが、これだけじゃないわけでありまして、昨日も宮本委員が触れておられましたが、長銀の規模というもの、これは非常に大きいものがあるわけでありまして、拓銀のほぼ三倍に匹敵もすると言われておるわけであります。  平成十年三月末の長銀の貸出金の残高が約十五兆七千七百億円、貸出先数を見ると、大企業が千四百五社、中堅企業が千三百五十六社、中小企業は三千九百七十八社に上っておるわけでありまして、長銀に万が一にも不測のことがあれば、これらの企業にすべて影響をする、企業資金繰りを初めとして非常に大きな問題が起こる、経営悪化連鎖倒産、こうした大きな影響が心配をされる、必ずそういうことが起きるであろうことは想像にかたくないわけであります。  ジャーナリズムあたりは、不測のことがあれば恐らく千五百社の企業倒産をするのではないかと、センセーショナルに書いているところもございます。これはそのとおりとは言い切れない点もあろうかと思いますけれども、このぐらい大きな影響があるんだと考えて私は間違いないというふうな気がするわけであります。  きょう通産大臣にわざわざお越しをいただきましたが、連鎖倒産あるいは中小企業経営に与える影響の大きさというものを考えますと、当然、これから長銀不測事態が生じないようにしなきゃいかぬということで、政府もこれに対応していかなきゃいかぬ。当然のことだと思いますが、大臣としての御見解はいかがでありましょうか。
  6. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 大変大きな金融機関破綻をするということの悪影響は、またそれによって生ずる社会的不安というのは、与野党を問わず大変心配され、最善の方法はどういうことかということを御議論されておられるのだと私は実は思っております。  そこで、通産省は産業を所管する、そういう立場から申し上げますと、不良債権問題以前に、日本企業というのは全体としてこの不況の中であえいでいるわけでございます。そういう中で仮に大きな金融機関破綻をするということになりますと、もう直ちにわかりますことは、今先生は実際に取引先企業の数をおっしゃっておられましたが、数千社、そしてまた数千社の中で雇用の場を持っておられる方というのは何十万人という方が恐らくそこで働いておられると思うわけですが、仮にそういう金融機関破綻をいたしますと、その中小企業を含めた企業自体も苦境に陥りますし、またそこで働いておられる方々もそれによって困難に直面をするということで、中小企業を初めとした企業経営自体に直接的な影響が出るということは、北海道拓殖銀行の例で見られますように明らかなわけでございます。  拓銀の場合には、残念ながら、通常ですと倒産しなくてもいい中小企業倒産ということになったケースも私は聞いておりますから、こういう大きな金融機関破綻企業経営というものを、真剣にこの委員会で御議論いただいているものと私は確信をしております。  そのほかの影響としては、破綻した銀行そのものばかりでなく、そういう大きな銀行破綻することによって与える他の金融機関に対する実質的な影響あるいは心理的な影響というものもはかり知れないわけでございまして、むしろ金融機関はますます萎縮をして、貸し渋り等がさらに深いものになってまいると私は思いますし、それぞれの金融機関が将来に対して不透明感を持って経営に当たると思いますので、企業側としては大変不自由なことに、また非常に厳しい経営環境に遭遇すると思うわけでございます。  それから、仮にそういう大きな金融機関破綻いたしますと、株式市場にも影響が出るということは当然予想されるわけでして、そうなりますと、やはり金融機関やその他一般企業が保有しております株式評価益というものは落ちるわけでございますから、それだけ経営機動性というものが失われていくというふうに私どもは考えております。  また、日本金融機関、これは海外でも資金を調達しておりますから、仮に大きな銀行一つ破綻をしますと、海外市場では日本金融機関全体に対しましてある種のプレミアムをかけてくるということは、過去にもそういう事例があったわけでございますので、そういう意味では、日本全体の財布としては富が流出をするということになるわけです。  また、日本企業海外市場社債というものを発行しておりますが、社債発行条件というのは、その企業の格のみならず日本全体の経済の状況を背景にして金利水準が決まってくるわけでございますから、仮に日本企業海外社債という形で資金を調達した場合には金利コストが高くなって、その分また日本の会社の富が海外に流出するということで、私どもとしては本当に祈るような気持ちで、大きな銀行破綻しないということを祈っているわけでございます。  もちろん、この委員会でも深い議論をされたと思いますが、資本投入に当たってはもろもろの原則はあるのだろうと思います。それは、先ほど先生がおっしゃっていたリストラの問題しかり、株主の責任の問題しかり、経営陣責任の問題しかり、そういう問題をクリアしていただいて、ぜひ大きな金融機関破綻しないような方向で物事を進めていただく、それが中小企業を初めとした企業経営を守り、またそこで働いている方々雇用の場を守る、そういう点では、ぜひ与野党を通じて大きな社会問題としてお考えをいただければと私は思っております。
  7. 河村建夫

    河村(建)委員 今、与謝野大臣から、大きい銀行破綻影響、国益にも大きくつながる問題だという御指摘があったわけでありまして、私も全く同感でありますし、またさらに加えて、日本全体における心理的影響といいますか、あるいは企業に及ぼす影響、それははかり知れないものがあろうというふうに感じておるわけであります。  また、大臣もちょっとお触れになりましたが、雇用の問題についてであります。  長銀自身でも約三千五百人の行員数がおるわけでありますが、先ほどの連鎖倒産の発生あるいは融資先企業経営悪化、そうしたものでそれらの企業従業員にも大変大きな影響があることは想像にかたくありません。いわゆる大量の失業あるいは給与所得の低下、こういう問題も起きます。マスコミ、特に週刊誌あたりばこういうものを非常にセンセーショナルに取り上げている面もありまして、仮に大手銀行、いわゆる都市銀クラスといいますか、そういう大きい銀行が破産した場合には失業者が九百万人に及ぶのではないかという統計を出している、そういう数字も出ておるぐらいであります。  昨日、連合会長がゼンセン同盟の定期大会でごあいさつをされている記事がございました。長銀への公的資金注入問題については、「雇用問題の解決には金融システム安定化条件となる。我々の雇用影響がないように、国民が納得できる形で公的資金についても検討すべきだ」、こういうふうに述べておられるわけでありますが、このこともこの問題の大きさを象徴しておると私は思うわけであります。  このような雇用に与える影響という面からも、政府は当然この問題に適切に対処しなければならないわけでありますが、特に雇用の問題ということでありますからきょうは労働大臣の御出席をお願いしたのでありますが、所管の委員会質疑時間が重なっておるということで政府委員がお見えでございます。大臣の方には政治家見地からこの問題に対することをお聞きを申し上げておりますので、そのことも含めて、ひとつ大臣の回答をいただきたいと思います。
  8. 征矢紀臣

    征矢政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、大きな金融機関破綻した場合、その本体の従業員はもちろんでございますが、連鎖倒産によります中小企業等を含めた雇用に与える影響の大きさ、これは非常に大きなものがあることは事実でございます。私どもの今までのさまざまな経験からして、そういう事実はあろうかと思います。  そうした観点から見た場合に、私ども雇用問題を扱っております、雇用対策を担当する立場でございますから、そういう立場から申し上げられることは、やはり破綻に至る前に可能な限り適切な措置がとられることによりまして、雇用面への影響ができるだけ少なくなる、そういう対策がとられることは大変重要であるというふうに考えております。
  9. 河村建夫

    河村(建)委員 そこで、時間も迫ってまいりましたが、いま一度確認をしなきゃならぬのでありますが、私はそういう今までの大臣からの御答弁を聞きながら、この長銀問題解決というのはあらゆる面で非常に大きな問題だ。にもかかわりませず、野党案では、長銀問題解決前提となる金融安定化緊急措置法の廃止が盛り込まれておるわけであります。  私は、今の我が国金融の不安定な状況というものをかんがみますと一この長銀問題に例を見るような、いわゆる金融危機につながりかねない問題を未然に防止するということは、これは国策として、また国益の観点からも非常に重要なことだというふうに思うわけであります。この金融安定化緊急措置法重要性、必要性は高まっている、私はこのような認識に立っておるわけでありますが、大蔵大臣のお考えはいかがでありましょうか。
  10. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点を含めまして、与野党の間でどういう解決策がベストであるかという御討議が行われているように承っておりますので、全体の御討議の内容を承らずにこの点だけについて意見を申し上げることは慎みたいと思っておりますが、私どもの本来の考えでございますと、ここにこれだけの国の費用が準備されておって、これは十七兆の方も十三兆の方もそうでございますけれども、こういうことがあるということがやはり一つのまず安定要素でございまして、いざとなればこれが発動できるということが安定を確保する上で大切なキーになっているというふうに思っております。  ただ、この委員会でも、従来、非常に大きな金でございますがゆえに、ディスクロージャー等を含めまして、その支出の意味国民に対して明快でなければならない、また、事がそのように立ち至ったことについての責任の追及に対しても怠りがあってはならないという御指摘がありまして、それはまことにごもっともなことだというふうに私は承っております。
  11. 河村建夫

    河村(建)委員 宮澤大蔵大臣、非常に慎重な言い回しをされましたけれども、その中にも私は、この金融システムの安定を守っていくということ、まず、そのとげになる長銀問題、これは何としても解決をしなければいけないという御決意をうかがい知ったわけであります。  これまでの議論を含めて、破産金融機関を対象としてのいろいろな議論、各党の違いというもの、これは輪郭が出てきておるというふうに私は思うのであります。ブリッジバンクの活用の問題あるいは金融再生委員会の設置の問題等々、ある意味では技術的なといいますか、この差を詰めていくことができる問題だというふうに感じるわけでありますが、今、当面、我々の課題は、そうした個別問題で各党の違いを浮き出させてそこでちょうちょうはっしということじゃなくて、もうこの時期になりますと大局的な見地から、特に金融システムの安定という大きな一つの目標に向かって、我々は国民の負託を受けている国会としてやはり明確な、そして素早い合意形成を図っていかなければいけない、こういう時期だというふうに私は思うわけであります。  長銀問題の処理あるいは金融再生法案、これから最終的な議論に入るわけでありますが、一面、各党間でこの問題について真摯な取りまとめを行っておられるように聞いておるわけでありますが、この問題は与野党が一体となって、やはり金融システムの安定を最優先にしたこの国会審議の中で、我々国会全体がマーケットあるいは世界から注視をされている、そのことを考えながら、これは時間が急ぐわけでありますから、スピードということが問われておるわけでありますから、このスピードとの戦いに勝ち抜いていかなければいけない、もうこういう時期に来ているというふうに私は思うわけであります。  住専の問題のときもそうであったわけであります。確かにいろいろな反対意見もあったし、野党の座り込み反対ということもありました。しかし、政府は決断を持ってこれをやった。これが今実際に住管機帯で行われて、中坊コールになって、これはやってもらわなければ困るんだ、頑張ってくれ、こういう声になっておることを考えますと、私は、十分国民理解というものを得られる形をとる、もちろん当然そういうことでありますが、それをやりながら、政治決断によって今回のこの長銀問題を一日も早く決着をつけて、そして総合的ないわゆる金融システムを守る仕組み、早急にこれに対応していくことが喫緊の我々に課せられた重要な課題である、このように理解をし、また、大蔵大臣のひとつ積極果敢な取り組みを心からお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  12. 相沢英之

    相沢委員長 これにて河村君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  13. 相沢英之

    相沢委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として預金保険機構理事長松田昇君及び日本銀行総裁速水優君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 相沢英之

    相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  15. 相沢英之

    相沢委員長 次に、上田清司君。
  16. 上田清司

    上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。御苦労さまです。  法務大臣がおいでになっておりますので、順番ではありませんが、お時間があるかと思いますので、早速幾つかお尋ねをしたいと思います。  まず、一般論でございますが、仮にA社がB社に一千億の貸し付けをしておる、そしてまた二百億の追加融資をしたといたします。ところが、このA社が、間もない時期にこの一千二百億を債権放棄したとします。そうすると、追加の二百億は債権放棄をする間際となりますので、これは考えようによっては特別背任罪に当たるのではなかろうか。一般論として、まず法務大臣として、こういう場合に、とりわけ融資するときに、返済能力がB社になかった場合に限り、あるいはそこはまた調べようもあるかもしれませんが、いずれにしましても、追加融資をしてすぐさま債権放棄をするような場合には、これは特別背任罪に当たるのか当たらないのかを、まず一般論としてお伺いしたいと思います。
  17. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 お答えいたします。  委員の御質問されたい趣旨はよくわかるのでございますが、法務省は起訴をする立場でありまして、証拠と法律に基づいて起訴をして、最終的にそれが犯罪であるかどうかという判断をするのは裁判所でございます。ですから、今非常に複雑な前提を置かれたものですから、その前提に基づいて、細かいその状況がわからないままにこれが起訴に当たるとかなんとかいうのは、なかなかお答えできることではないということを御理解いただきたいと思うのです。  ただ、一般論とおっしゃいましたので、一般論として、これは御存じのことだと思いますが、取締役等が自己もしくは第三者を利し、または会社を害せんことを図り、会社に財産上の損害を与えてということになれば、商法四百八十六条の特別背任に当たるという一般論は申し上げられますが、こういうケースについて一つ一つお答えすることは、能力もないし適当でないと思いますので、よろしくお願いします。
  18. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございました。  法務大臣、お忙しい貴重な時間だと思いますので、どうぞ御退室されても結構でございます。ありがとうございました。  それじゃ、具体論に関しては政府委員の方にちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。  既に資料を配付させていただいておりますが、その資料の部分で、日本ランディックという、これは長銀関連会社でございます。これは三月末の長銀の借入金が八百六十九億と出ておりますが、まず金融監督庁にお伺いしますけれども、けさ調べていただきたいという旨を申し上げましたので時間的に苦しかったかと思いますが、現在の長銀日本ランディックに対する残高は幾らになっておりますか。
  19. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  ただいま資料としてお配りされたものは、これは九五年三月期の決算のものでございまして、御指摘のように八百六十九億円でございます。本年三月期は、資料として提出されていると思いますが、八百二十九億円でございます。それから、九八年、ことしの七月現在では千六十三億円ということになっております。
  20. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  ことしの三月期には八百二十九億で、ことしの七月には千六十三億。これは、実は先日、同僚議員の仙谷議員が八月三十一日に若干の質疑をしたのですが、大野参考人の方から、六月の状況でランディック自体が非常に資金繰りが苦しくて、「結局私どもからの融資に頼らざるを得なくなつたということで、」ということで、暗に、この八百二十九億に約二百三十億ぐらいをつけ足して追加融資をしたということを言っておられますが、まさに、この六月の苦しい時期から、そして八月の二十一日にリストラ計画をなさっておられますから、極めて期間の短い時期に追加融資をされて、それが実は債権放棄になっているという形をとつておりますので、具体論からいくと、まさにこういうのは特別背任罪に当たるのではなかろうか、私はこんなふうに考えるのですが、長官、いかがでございますか。
  21. 日野正晴

    ○日野政府委員 個別の問題でございますので、この内容を精査いたしませんとお答えはなかなか難しいかと思いますが、一般論として申し上げますと、仮に今、債務者に対して増加の融資をするということそれ自体は、直ちには特別背任罪にはならないのではないかと思います。
  22. 上田清司

    上田(清)委員 その部分は当たり前のことであります。追加すること自体で背任罪になるといったら融資の追加はできませんから、それはもう自明の理をわざわざ言われることはないと思います。  長官、では、八月二十一日に長銀リストラ計画を出されたわけでございますが、このリストラ計画の検討はいつの時期から、そして役員会で最終的に決定したのはいつでございますか。概略でも結構でございます。
  23. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  住友信託銀行との合併の検討を開始いたしましたのは六月二十六日、これは発表されております。八月二十一日に公表されたリストラ策は七月下旬ごろから検討を開始いたしまして、八月二十一日の取締役会で正式に決定されたものというふうに聞いております。
  24. 上田清司

    上田(清)委員 だからこそ私は、特別背任罪の可能性が高いということを申し上げているわけであります。  今言われましたように、追加融資をされたのが六月。そして合併構想の話が出たのが六月二十六日。そして七月の下旬からこのリストラ計画、債権放棄も含むリストラ計画が検討されてきた。これは完全にわかったことじゃないですか。わかっていることをそのままにして追加融資をして、そして債権放棄するという形になれば、これは完全な特別背任罪なんじゃないですか。
  25. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  このリストラ策は、長銀日本ランディックに対する債権の放棄だけを検討していたわけではございませんで、たくさんいろいろな策が盛り込まれておりまして、その中の一つとして、今取り上げられておりますこの債権の放棄が八月二十一日になって決定されたというふうに承知しております。したがいまして、貸し出しを増加するそのあたりに既にもう放棄を決定していたというふうにはちょっと考えがたいところでございます。
  26. 上田清司

    上田(清)委員 どうしてそういうことがわかるんですか。聞いたんですか、長銀にそういうことを。
  27. 日野正晴

    ○日野政府委員 先ほども申し上げましたように、もろもろの策がいろいろたくさんございます。これはリストラ策の一環として検討されていたわけでございまして、八月二十一日に正式に決定されたということでございますので、やはり長銀の意思決定はこの八月二十一日になされたというふうに理解すべきものではないかというふうに思います。
  28. 上田清司

    上田(清)委員 不良債権の個々の部分についての放棄の審査そのもの、そういうものは二十一日にすべて一括的にできるわけじゃありません。当然、長い時間をかけて、それぞれ個別に精査されたわけであります。  今長官が言っておられます一つ一つ、議事録に残ります。いずれ大なり小なり法的な措置がされますから、そのときに、長官の議事録は歴史に刻み込まれますから、一つ一つ長官の発言、答弁も議事録に残り、多くの銀行方々が、金融庁の検査が信用できるのかできないのかということも含めて、それぞれこれから銀行同士の合併等がいわば金融再編成の中で行われるというふうに私は思っておりますので、議事録がどんどんどんどん精査されておりますから、そのことを意識して、合併構想に水を差すことがないように私はお願いしたいというふうに申し上げたいと思います。  それでは、次に移らせていただきます。  監督庁の長官にお伺いしますが、今回の十九行の検査は何を目的とされているのか。これは、答弁の中で通常の検査などと言っておられますけれども、通常の検査といえば、これは定期的に行う通常の検査の意味で言っておられるのですか。それだったらそれで、いっこの前があって、現在はどうだというようなことを、これは長官は知らなくても結構でございますが、まず、通常の検査なのか特別な検査なのか、長官、お願いいたします。
  29. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  この主要十九行に対する検査につきましては、七月二日の金融再生トータルプランにおきまして、緊急的対応として金融監督庁は日銀と連携しつつ、主要十九行に対し集中的な検査を実施するということが盛り込まれました。これを受けまして、本年三月期の自己査定結果の報告を踏まえて、自己査定の正確性、引き当て、償却の実施状況について実態把握をするために、七月半ばから検査を開始したところでございます。
  30. 上田清司

    上田(清)委員 それは金融再生トータルプランを受けてという意味でございますね。
  31. 日野正晴

    ○日野政府委員 今お答えいたしましたように、私どもといたしましては、金融監督庁が六月二十二日に発足いたしました。検査というのは、金融監督庁の大変大事な業務でございます。これは、従前、大蔵省金融検査部が行っておりましたことを単に引き継いだというだけでなしに、これから金融監督庁が検査を通じて金融行政をしっかりやっていくということを眼目にまず据えたわけでございます。それがちょうどこの七月二日の金融再生トータルプランの中にも盛り込まれたということで、両者相まちまして今回のこの検査ということになったわけでございます。
  32. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、スケジュールをお聞きしたいと思いますが、現在、七月十三日に日本長期信用銀行が十五人の体制で始まり、七月二十四日から、第一勧銀、富士、日本興業銀行日本債券信用銀行、安田信託銀行、東洋信託銀行、中央信託銀行住友信託銀行、始まっているわけでございますが、これは終わったところと終了予定の日程というのはわかっているのでしょうか。
  33. 五味廣文

    ○五味政府委員 ただいま挙げられました七月の十三日あるいは二十四日に立入検査を開始いたしました銀行のうち、現在、立入検査が終了して、内部でその検査結果の取りまとめ並びに精査を行っている銀行がございます。  申し上げます。まず、八月二十七日に日本興業銀行と中央信託銀行、この二つの立ち入りが終了しております。それから、東洋信託銀行が八月二十八日に立ち入りが終了しております。それから、住友信託銀行が八月三十一日に立ち入り終了でございます。それから、九月二日に立ち入りを終了した銀行を申し上げます。第一勧業銀行、富士銀行、安田信託銀行、こういうことになっております。  以上でございます。
  34. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  そうしますと、立ち入りが終わっていないのは日本長期信用銀行日本債券信用銀行、この二行だというふうに理解してもよろしいですね。この二行については、終わる予定はいつですか。
  35. 五味廣文

    ○五味政府委員 立ち入りの終了の予定が今の時点で何日ということを申し上げられる状況にちょっとございません。いずれも、予定という意味ではぼつぼつ終わっていてほしいなと思っておったのですけれども、ちょっと事務量がかさんでおりまして、どちらももうしばらくかかるのかなという感じでございます。  日本債券信用銀行につきましては、そうはいいましても、三月期の自己査定の状況をチェックするということでやっておりますので、長期信用銀行のような、その後の状況もできるだけ把握するというような話とはちょっと違っておりますから、そう遠からず立ち入りが終えられるのではないかというふうに考えておりますが、ちょっと日付までは今のところ申し上げられない状況でございます。
  36. 上田清司

    上田(清)委員 岩國議員も申し上げられましたけれども、大体、検査をするとき、予定終了日をある程度想像しながら行くのが筋だと思いますが、ずっと一貫してそういう御答弁をされておりませんので、こういうのも非常に不信を買うものだというふうにぜひ理解していただきたいと思います。  それで、長銀に関しては、やはり超過債務なのではないか、実質的に破綻しているのではないかという議論が、けさも朝日新聞の論説委員の方が頭取代行の方のインタビューの後で述べておられるのですが、何か確かな数字を持っておられるようなニュアンスで書いております。  改めて申し上げますが、先ほど渡しましたメモでございますね、これはきのう若松議員が使われたものであります。もう一度確認していただきたいのですが、今長銀本来の自己資本が六千五百七十二億、それに公的資金の優先株が一千三百億入って、そして不良債権の償却七千五百とすれば、この公的資金分をもし除けば、長銀本来の自己資本は二百七十二億しかない。公的資金を入れても一千五百七十二億。これは単独、連結でない部分でありますけれども、とにかく一千五百七十二億円しかない、償却後の自己資本が。  ところが、私どもが関連九社の中身を、先ほどの資料を見ていただきたいのですが、調べてまいりますと、一兆一千億からの長銀の貸し付けが残っております。そうしますと、どう見ても実質的にこの長銀というものは債務超過じゃないかということを我々としては強く申し上げたいのです。  長官、改めてこの件についてお伺いしますが、そうした関連九社の、関連会社は百社ぐらいあるんですよ、しかし、きちっと表に出てきた数字の上位の十四社のうち、我々が九社を綿密に調べただけでも一兆一千億あるという現実について、感想も含めて、これがいいかげんな我々の精査なのか、それとも大方のところについては理解できるというのでしょうか。同じような判断を持っておられる、このような判断の中で、しかしその上でどういう判断を長官としてされるのか。  我々は、この関連の上位の十四社、なかんずく調べ抜いた九社だけでも一兆一千億になるというその部分を考えれば、明らかに債務超過の状態だということを言わざるを得ないということを再度申し上げますけれども、いかがですか。
  37. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  たびたびお尋ねがございまして、いつも何か同じような御答弁で大変恐縮でございますが、私どもが今長銀が債務超過であるかというふうに聞かれた場合に、その根拠となるのは何かということでございますが、まず第一に、これは当委員会にも提出されております長銀の自己査定、それから、それに対する日銀が行いました五月から七月までの考査の実施ということでございます。もちろん私どもは、今現に長銀に対してその自己査定を中心に検査を鋭意やっております。その検査の結果を、今私も首を長くして待っているという状態でございます。  委員は、今、一兆一千億の債権があるではないか、こういうふうにお尋ねでございます。これは、バランスシート上はいずれも借方に属しているわけでありまして、資産でございます。ただ、この資産が要するにどのくらい目減りといいますか、劣化しているといいますか、あるいは償却すべきであるか、あるいは引き当てるべきかということを今検査しているわけでございまして、これが全部が私もこのまま借方に残るとはもちろん考えておりません。ただ、どのくらいここから減っていくのかということを今私どもが鋭意検査している最中だということを、ひとつ御理解いただきたいと思います。
  38. 上田清司

    上田(清)委員 なかなか正直に言っていただけないような感じでありますが、宮澤大蔵大臣、恐縮ですけれども、この資料を見て、関連のノンバンクを中心とする上位十四社のうち、我々は九社しか調べることができませんでしたけれども、この部分についてこれだけの借入金がある。しかも日本リースあるいは日本ランディック、エヌイーディー、これに関してはほぼ全額債権放棄するというような状況になっていることをかんがみれば、他社に関しても同様なことを我々は考えざるを得ない。  そういう判断のもとにこの資料を提出しているわけでございますが、大蔵大臣として率直にこの長銀の状況について、大変御心配をされておる、しかし債務超過じゃない、このような御答弁が一般社会で本当に通るのだろうか、私どもは常にそう思っております。改めて大蔵大臣の率直な御答弁をお聞きしたいと思います。
  39. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この資料は、いつ現在でございますか。
  40. 上田清司

    上田(清)委員 三月末ですね。
  41. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今年ですか。
  42. 上田清司

    上田(清)委員 それぞれちょっと違いますけれども、ここに、一番左側に決算期を入れてあります。大きく数字は変わっておりません、ことしの三月と。
  43. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そうでございますか。  この資料を別に云々するつもりはございませんけれども、私は直接銀行の内容を存じませんので、監督庁長官のおっしゃるとおりであろうというふうにかねて考えております。
  44. 上田清司

    上田(清)委員 なかなかこれは進みません。  それじゃ、きょう、佐々波委員長の欠席の理由は何ですか。私のときだけいつも欠席されますが。
  45. 相沢英之

    相沢委員長 だれ。
  46. 上田清司

    上田(清)委員 預金保険の理事長に聞いてください。
  47. 相沢英之

    相沢委員長 預金保険機構理事長、どうぞ。
  48. 松田昇

    ○松田参考人 私がそのお答えをするのが適当かどうかわかりませんけれども、私が知っている限りでは、よんどころない事情があって御欠席になる、このように聞いております。
  49. 上田清司

    上田(清)委員 私が聞いたところでは、十四時から、午後二時から教授会があるので欠席だということですが、午前中教授会がないので、何で出られないんだろうというのが私の率直な感想であります。  そうであれば、この審査委員会というのは、構造上かなり問題があるというふうに思わざるを得ません。非常勤で三人の有識者が構成されている。なおかつ委員長委員長代理も占めておられる。まさにお三方の非常勤の有識者によって、この委員会のまさに骨格部分が成っているということであるわけでございますが、しかし、こうした一兆八千億という国民の税金から成る資金を投入した審査の状況について質疑をする場合に、このお三方どなたも出られない。そういう方で本当に国民の大事なお金の配分を決定したり、審査を徹底することができるのだろうかという率直な思いが私はあります。  宮澤大蔵大臣は、このときに現職の大蔵大臣でありませんでしたが、しかし、今、現職の大蔵大臣として、構造上の欠点があるのじゃないかというふうに私は思うのですが、これについての御感想はありませんか。
  50. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 どのように議事を進めておられるのかよく存じませんので、正確に申し上げられませんが、大事につきましては国会の御承認をいただいておる人事と思いますので、間違いない方がお務めいただいていると思っております。
  51. 上田清司

    上田(清)委員 大蔵大臣も御承知のように、佐々波委員長が最初に九月一日に御登壇いただきまして、仙谷議員の質疑の中で、個別行の内容については私自身は承知していませんという非常に衝撃的な答弁をされた経緯がございます。いかにもこの審査委員会の権威を損なう発言だったというふうに私は思っておりますが、翌日にまた岡田議員の質疑の中で、個別銀行ではなくて個別企業を見ていないということで、答弁の訂正をなされました。このことも、簡単に答弁の訂正をなされるということも不見識の至りだというふうに私は思っておりますが、このような委員会の性格も、何回かの議論の中で出てまいりました。  昨日も、佐々木憲昭議員と大蔵大臣とのやりとりの中で、大蔵大臣は、個々の書類は下が見ていきます、下の調べがきちんとしておれば私はそれでよろしいと思いますというようなことを言っておられました。この前後を読み上げるには少し時間がかかると思いますので申し上げませんが、部下を信頼して、下の方できちっと調べていけばそれでよろしいのだというニュアンスでございました。  しかし、私どもは、実は大蔵委員会で、この審議会の性格あるいは審議委員の選任のあり方も含めて、御多忙な方は難しいのではなかろうかというようなことも、私も申し上げたこともございます。超多忙な方を審議委員にしても、実際的に審査をする時間がないのではなかろうかというようなことを申し上げておりましたが、そういうことはありませんということも言っておられましたし、それから、佐々木議員が取り上げられましたように、当時の山口公生銀行局長も、下から上がってくるものを、はいそうですよということではしません、一つ一つ審査をするということをきちっと答弁をされております。  このことで私は議事録を精査しましたら、やはり昨日の大蔵大臣の答弁は山口前銀行局長の答弁と明らかに違う、こう思わざるを得ません。大臣、先ほど私が申し上げました大臣の答弁の、審査について、少なくとも銀行のバランスシートぐらいは見るとか、その程度の審査はあるべきだというふうに思いますが、日銀総裁からの御報告、大蔵大臣からの御報告だけで、それでよしというような考え方でよろしいのでしょうか。
  52. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私は、どういうふうに現実に審査をなさっておられるかはもとより存じませんけれども、非常な重層的な仕組みのもとに専門家が資料を調べ、専門家としての所見を出し、それを上に報告をして、委員方々がその上で御判断をなさる仕組みであろう、大抵の組織はそうなっておりますので。  したがって、一々書類を、もとに返って一つ一つ委員が一人一人ごらんになるというようなことがなければ、その審査は実はずさんであるとか余り信用できないとかいうことになりますと、大きな組織はとても持てません。そのために、重層的な組織で、専門家が資料を調べ、自分としての結論を上の上部組織に申し上げて、それで上部組織が判断する、私は、その仕組みそのものに間違いがあるとは思っておりません。
  53. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、最終的に銀行のバランスシートあるいはそれに関連する何らかの各行の状態についての書類ぐらいは見るべきだというふうにお思いでしょうか。それも見なくてもいいというような考え方でしょうか。
  54. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 現実の審査の仕組みを私存じ上げませんので、具体的には申しかねますけれどもポイントとなる点は委員はやはりごらんになっておられるであろうというふうに思います。
  55. 上田清司

    上田(清)委員 松田理事長にお伺いしますが、ポイントになる点は見られたのでしょうか。
  56. 松田昇

    ○松田参考人 当審査委員会の要点と申しますか、それは言うまでもなく、法と審査基準に沿う申請であるかどうか、それが中心になるわけでございまして、その中に一つ、事実関係の正確性をどう担保するか、吟味をするかということがございます。  前々から申し上げましたように、まず事前準備として、委員長から検査や考査の権限をお持ちの日銀総裁大蔵大臣に、事実関係について誤りがないかどうかお確かめをいただきたいという要請を出しまして、それを受けて、大蔵省、日銀において専門家を動員して、各申請行からラインシートを相当量取り込んで、それで精査をして、その結果を、審査会の席上でメンバーの一人である責任者としての大蔵大臣及び日銀総裁から事実関係についての御意見をいただいて、それをもとに健全性計画の中にある不良資産の引き当て方針とか、その他財源の問題とか、そういうものを検討いたしまして、それで決定を見た、こういう事実関係にございます。
  57. 上田清司

    上田(清)委員 理事長、それでは各行の金利差、優先株の額、あるいは永久劣後債の額、永久劣後ローンの額、あるいはまた配当のパーセンテージ等は、だれがどのようにして決めたのですか。
  58. 松田昇

    ○松田参考人 委員指摘発行条件といいますか、どういう状態で出すか、それから申請額を幾らに認めるか、これも重要なポイントでございました。  それについては、審査会としましては、あらかじめ事前準備としまして、発行条件については、その処分ができるだけ容易になるようにという観点から、外部の複数の専門機関に委託をいたしまして、御意見を早急に出してもらうように鋭意お願いをいたしました。そのことによって客観性を担保しながら、市場実勢に即した内容となるようにということでいたしまして、申請行の申請のパーセンテージと私どもの認定と食い違ったところもございました。  それから申請額につきましては、我々の目的が公的資金を使うことでございますので、目的が自己資本を充実させるということでございますので、自己資本の充実に直接直結をしない部分、例えばティア2に属するローン等の過剰な申請については減額をきちんといたしました。長銀についても、二百三十四億であったと思いますけれども、減額をいたしました。  それから発行条件も、きちんとパーセンテージ、利回り、配当率全部決めまして、それで各行ごとに差をつけまして、そして審査会で全員一致で決定を見て、閣議の決定の御了解をいただいた、こういうことでございます。
  59. 上田清司

    上田(清)委員 チェックポイントについての事前通告をしましたので整理されてありますが、昨日の佐々木憲昭議員とのやりとりの中では、松田理事長は必ずしもそういうことを言っておられません。  それぞれ各行について、それぞれのラインシートをお取り寄せになって精査していただいた後の結論と申しますか、御意見をいただいているわけでございますから、その中で適正な精査が行われたものと今でも認識していますと、あたかも精査をほかのところでされているというふうな表現をされておりますので、ここで押し問答してももう時間がありませんので、議事録も精査していただいて、今お申し述べになったこととやはり違います。それから、大蔵大臣が昨日述べられたことと山口公生前銀行局長が言っておられることと、やはりこれも違います。  ぜひ平成十年二月三日の大蔵委員会の議事録を精査していただいて、これは、大蔵大臣の言っていることと、当時その審査基準のあり方について国会の審議が行われた大蔵委員会での担当実務者であります銀行局長との答弁が違っているということであれば、今後審議を継続的にすることが不可能になってしまいます。これはもう委員会のルールだと思います。継続的に審議をするには前提が常に一定でなければならないと思いますので、その都度大蔵大臣銀行局長の言っていることとが違うとかということになれば、議論ができません。そういう意味で、精査していただいて御回答いただきたいというふうに思います。  委員長理事会でお取り扱いをお願いいたします。
  60. 相沢英之

    相沢委員長 理事会で相談いたします。
  61. 上田清司

    上田(清)委員 それでは最後ですが、理事長、恐縮ですけれども、今も資本増強にかかわることについて重点を置いたというふうに言われましたが、一方では、この審査の中身が発表された、まさに金額あるいは配当率、金利が発表されたとき、民間の委員であります今井委員がインタビューに答えて、これで理論上は二十五兆円の貸し出し余力がふえたという発言をされております。  率直に言って、この議論も踏まえて、理事長として、当時は資本増強のお話もございました、しかしそれ以上に貸し渋り対策ということが声高に言われておりましたので、率直なところ、大蔵大臣は貸し渋りの対策にならなかったと言っておられますが、理事長としての御見解も承りたいと思います。
  62. 松田昇

    ○松田参考人 委員お尋ねの点でございますけれども、このたびの私どもの審査委員会がやりましたことは、第一に、法に書いてございますとおり、自己資本を充実させることによって一刻も早く我が国全体の金融システムの安定を図る、信認の回復を図るという緊急措置、それが第一でございました。  同時に、今井先生がどのような見解で言われたか、事前の打ち合わせがございませんのでわかりませんが、自己資本の分子がふえますので、理論値としてその倍数だけ貸し出し余力がふえることになるだろうという予測を述べられたのではないかと思います。私も、抽象的、一般的な理論としては、そういうことはあり得るなと思っております。  貸し渋り対策も非常に重要でございますので、それについて審査会でもやりましたけれども、ここのところ我々が把握している状況では、貸出残高の対前年比などが伸びておりません。際立った貸し渋り解消という状況が出ていないので、それはそれで事実として認識しておる、こういうことでございます。
  63. 上田清司

    上田(清)委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  64. 相沢英之

    相沢委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。  次に、岩國哲人君。
  65. 岩國哲人

    岩國委員 岩國でございます。民主党を代表して、大蔵大臣そして金融監督庁長官、また、お忙しい中を日銀総裁に御出席いただいておりますので、質問させていただきたいと思います。  昨夜来、またけさの各新聞でも報道されておりますように、超低金利政策というのが継続され、さらに拡大されるという方向にあります。この超低金利政策というのは、お金を動かす効果よりも、お金が受け取る賃金をゼロに近づけることによって逆にお金の勤労意欲を低下させる、金を眠らせる効果の方が強く出ているのではないか。銀行による利子の払い渋り、それが消費者、とりわけ年金生活者の買い渋りにつながり、という結果をもたらすことによって個人消費の停滞を長期化させる、そのような結果になることを私はむしろ懸念しております。  土地は上がるもの、金利は入るものという経済神話が崩れてしまって、消費者の財布のひもをより一層かたくさせることになり、このような金利政策には私は反対であるということをまず最初に申し上げまして、質問に入らせていただきます。  バブル崩壊後、低金利政策がとられた結果としまして、預金者の得べかりし利益がどれだけ失われてきたか、いろいろな計算があります。その一つの計算としては五十兆というのもありますけれども、私は、六年間に三十兆円が預金者から銀行の勘定へ所得移転が行われてきた。結果的には、こうした金融破綻とか金融危機という前に、銀行業界に対しては三十兆円の公的助成金がキャッシュベースで既にもう支払われておる。それに加えて、今、やれ十三兆、十七兆、合わせて三十兆という話をここで審議しつつあるわけですけれども、そうした三十兆円の所得移転が銀行業界に行われ、その結果として何が起きたか。銀行の貸出金利は下げどまり、銀行の業務利益は次々と新記録を更新し高どまり、そして預金利子は払い渋り、このような手厚い保護を受けた業界が過去五十年間あったでしょうか。しかも、一般庶民の得べかりし収入を犠牲にしてまでこのようなことが行われてきております。  この点について、日銀総裁のまず最初の御所見を伺いたいと思います。     〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕
  66. 速水優

    ○速水参考人 今度の金利の引き下げによりましてどれだけ預金金利が下がるかは、私、余り大きな影響はないと思っております。  私どもとしても、金利収入に多くを依存しておられる家計がどれだけ厳しい生活にあるか、十分承知しております。しかし、最近の経済情勢を見ますと、雇用、所得環境が一段と悪化しておりまして、このことは、景気の悪化が総体としての家計部門にもマイナスの影響を及ぼしていることを示しております。この面からも、現在は日本経済をできるだけ早く回復軌道に乗せることが重要であるというふうに思っております。  今回の措置が、政府の諸施策の効果などと相まって、我が国経済の自律的な回復につながることを期待しております。また、そのことが国民経済に必ずよい影響をもたらすであろう、特に企業が活性化し日本経済が活性化することによって雇用がふえていくということを期待いたしております。
  67. 岩國哲人

    岩國委員 日銀の正式な発表によりますと、家計消費のコンフィデンスを悪化させたくない、こういうことが理由として挙げられております。むしろ悪化させるのじゃありませんか、このコンフィデンスを。ここまで景気が深刻なのか、これは大変だ、これ以上買い物をしてはならないと。現実に、もう新聞報道の直後に、預金利子が幾ら引き下げになるかという報道がテレビで解説されております。確実に利子は入るものは少なくなる、そういった不安心理を助長するという意味で、私は明らかに心理的にマイナスだと思います。  昨年の春、橋本総理が、何度も予算委員会の場で野党の各質問者に対して、皆さんが景気は悪くなる、景気は悪くなると心配なことをおっしゃるから景気は悪くなるのだ、そういう不安心理をあおるような表現は遠慮していただきたい、このようなことをおっしゃったことを私は覚えております。今、むしろ政府・自民党の方が一生懸命先頭に立って、列島総不況だとかあるいは世界恐慌の引き金になるとか、おどろおどろしい表現を積極的にお使いになっているのは野党ではなくて与党の皆さんです、政府の皆さんです。それの先頭を切っていくのが、今の低金利政策をさらに進めるということではないかと思います。  今、大蔵大臣が、あるいは小渕総理が先頭に立って、減税を実現し少しでも一般家計の消費をふやそうという努力をしておられるときに、日銀の決定は利子収入を減らすということで、これは全く矛盾しているのではありませんか。その辺の整合性について、大蔵大臣、御意見がありましたらおっしゃっていただきたいと思います。
  68. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私がそんたくいたしますのに、日銀総裁のお考えは、利子収入そのものはあるいは多少減るかもしれない、しかし、日本経済全体がこういう不況の状態ではなかなか打開は難しいので、やはり日本全体が、それこそ設備投資もあるいは家庭の消費ももう少しポジティブなことにならない限り、国民全体がその結果として苦しむ、そういう観点から今度の策をおとりになったのではないかと私は想像しておりまして、私はそのお考えに賛成でございます。
  69. 岩國哲人

    岩國委員 それでは、小渕内閣としては、減税効果を犠牲にしてでも雇用対策を重視するという方向を出すということでございますか。  雇用対策、もちろんこれも大切ではありますけれども、減税を実現することによって個人消費を刺激しようということの方がむしろ優先されているというふうに我々は理解しているわけでありますけれども、こうした日銀の低金利政策、預金利子が下がる、したがって家計の収入はそれだけ減る、そのような減税効果を相殺するような金利政策が打ち出されるということは、むしろ、内閣も日銀も一体となって、消費の刺激よりも雇用対策の方を重視されたということでございましょうか。もう一度確認させていただきたいと思います。
  70. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今承りますと、岩國委員の御説は経済をやはり静態的にとらえていらっしゃるように思いますので、日銀総裁のこのたびの施策によって動態的に経済が動き始めれば、そういたしますれば全部の人がそれによって利益を受けることになる、恐らくそういう考えでいらっしゃると思い、私はそれに賛成であります。
  71. 岩國哲人

    岩國委員 長銀の問題について質問させていただきたいと思います。  長銀に対して外国の株主が訴訟しているということが報道されております。サード・アベニュー・バリュー・ファンドが、今回の長銀債権放棄に対して株主として訴訟を起こしたということでありますけれども、今回、長銀に対して訴訟を起こしているのはこの一社だけでありますか、それともほかにもありますか。また、日本銀行を相手として訴訟を起こしたというのは何年ぶりですか、何カ月ぶりですか。
  72. 日野正晴

    ○日野政府委員 長銀の株主でありますサード・アべニュー・バリュー・ファンドが、ニューヨークにおきまして長銀、住友信託を相手取って株主代表訴訟を提起したという御質問でございますが、これは先日来報道等もございましたので、こういった訴訟が提起されたことは承知しております。  これはあくまでも銀行と株主との問題でございますので、金融監督庁としてこれに対してコメントする立場にはございませんが、事態の推移につきましては、これをしっかりと注目していきたいと考えております。(岩國委員「ほかの銀行については」と呼ぶ)  その余の御質問につきましては、今資料がございませんので、お答えはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  73. 岩國哲人

    岩國委員 銀行に対して日銀、大蔵省によって今まで配当あるいは財務内容等についていろいろな指導が行われてきたと理解しておりますけれども、配当性向についてどのような指導が行われておったか、それはいつ廃止され、そして長銀の場合には、廃止されて以後、配当性向は四〇%を上回っておったのか、どれぐらい上回っておったのか、それについてまた何らかの指導がされたのかどうか、まとめて御答弁をお願いします。
  74. 乾文男

    ○乾政府委員 お答えいたします。  まず、銀行が行います配当についての指導ということでございますけれども銀行が行います配当につきましては、社外流出をできる限り抑制いたしまして、内部留保を高めることによりまして経営の健全性を確保するとの観点から、従来配当性向を一律四〇%以内とする指導を行っていたところでございます。ただ、平成四年八月の対策におきまして、決算対策のための安易な益出しを抑制するとの観点から、今申しました平成四年八月以降、適用が一時停止されているところでございます。  さらに、近年、我が国企業におきまして株主重視の考え方が定着してきております中で、本来、株主等の出資者に対しましてどのような配当を行うかという配当政策につきましては、まずは企業経営者が決定しまして、最終的には意思決定機関でございます株主総会において決定されるというものでありますことから、金融機関につきましても、特に問題のない限り、原則として当局が関与する立場にないと考えられますこと、また、明確なルールに基づく透明な行政という観点から昨年、平成九年七月にこの通達も廃止したところでございます。  他方、金融機関の健全性の観点からは、たびたび御指摘いただいております早期是正措置が本年四月からスタートしたわけでございますけれども、その枠組みのもとでは、自己資本比率が一定の区分、第二区分、国際行でございますと〇から四%未満ということになりますと、外部流出を抑制する措置を講じているところでございます。  それで、長銀について申し上げますと、長銀の配当につきましては、平成七年度以降、配当率は一二%で推移しているわけでございますけれども平成七年、八年、九年と、いわゆる年配当六円、五十円に対しまして六円ということで推移してきております。  したがいまして、配当性向でございますけれども、例えば直近の平成九年度で申しますと、これは赤字決算となっておりますことから配当性向が計算できないわけでございますが、その一年前の平成八年度の決算で申しますと、配当性向は約七三%ということになっているところでございます。
  75. 岩國哲人

    岩國委員 非常に高い配当性向でもって利益の銀行外移転を長銀の場合は行っております。そうした過剰な配当を株主に支払った、そのために経営悪化一つの要因になった。そのようなところに国民の税金を投入するということは、結局税金で損失補てんをするような結果になりはしませんか。それまでの配当性向についての指導というものの、形式的な指導はあったとしても、その理念というものが十分浸透していなかった。経営者として、それが外れた途端に四〇%を上回るような配当を払い始めた。これが長銀の実態ではありませんか。  そうした長銀のこれからの存在意義等について我々は議論してまいりましたけれども日銀総裁に御出席いただいておりますので、これを、今までのイギリスで、フランスで、アメリカで行われてきた銀行業界の改革の中で、これからどういうビジョンを持って、こうした過渡的な使命を果たし終わったような銀行、あるいは長銀についておっしゃっていただいても結構でありますけれども、住友信託と合併しましても、住友信託もまたこれ普通の銀行ではない。信託銀行という一つの垣根の中に守られてきたところ。こちらは長期信用銀行法という垣根によって守られたところ。このような日本の場合には、ビッグバンといって海外との垣根は大きく取り外されつつありますけれども国内のマーケットでは、国内の業界では、総裁御承知のように小さな垣根がたくさんあり過ぎて、本当のビッグバンというのは、外なる垣根ではなくて内なる垣根を撤廃することの方がビッグバンではありませんか。  そういう観点から、イギリスに長年駐在されました総裁は、英国だけじゃなくてフランスも見てこられたと思います。クリアリングバンクとそれからコマーシャルバンクの違い。あるいはフランスにおいて、バンク・ダフェールとバンク・ド・デポとの違い。これも八四年、八五年にすべての銀行の垣根は撤廃されている。フランスの場合には、三つの銀行グループが八四年に全部一つにされてしまった。アメリカにおいては、御承知のようなインベストメントバンクとそしてコマーシャルバンク。イギリスでは、クリアリングバンクとマーチャントバンク。こういった垣根が法律的にあるいは実質的に次々と撤廃されてきました。  日本における内なるビッグバンは、総裁としてどういう構図、ビジョンのもとにあるべきだというふうにお考えになっていますか。特に、この長銀と住友信託というお互いに特殊な存在、特殊な今までの経歴を持った銀行合併した場合には、この英米仏の中のどういう銀行業に発展させるべきだという御意見をお持ちでしょうか。
  76. 速水優

    ○速水参考人 長期信用銀行制度が日本の長期金融円滑化日本経済発展の過程において非常に大きな貢献をしてきたことは、委員も十分御認識、御承知のことだと思います。  ただ、金融の自由化が進展してまいります中で、銀行の運用面では、普通銀行の長期貸し出しの増加、あるいは長期信用銀行による短期貸し出しの取り組みといったようなことで、長期信用銀行制度の特色が薄れておりますことは私も十分認めております。  これからの自由化、ビッグバンの中でこういうものがどういう機能を果たしていくか。特に、これまで長期信用銀行は、長期の貸し出しをやると同時に、調達面では金融債の発行ということが認められておったわけで、この金融債が、国債等に次ぐ非常に信頼の高い債券として投資家の立場からも、あるいは企業家の立場からも担保に使うといったようなことが広く行われて、ここまで長銀の場合でも二十数兆という資産負債を持っておるわけで、同時に、海外にも随分店を出して活躍をしてきたことは御承知のとおりでございます。  これからどういうふうになっていくかということですが、ビッグバンになって、やはり私は、一つは、これまでの日本の間接金融方式というものが直接金融方式にもっとシフトしていく必要があろうかというふうに思っております。そういう意味で、銀行や証券等が内外を含めて自由化されて、一緒になって仕事をしたりあるいは協力関係を持ったりして、日本に証券市場が、東京国際金融市場というようなものが育っていく、特に円を中心にしたそういうものが育っていくことを非常に私としては期待を持って、これから育成をしていかなきゃならないというふうに考えております。  長期信用銀行と信託銀行合併というのは、一見どういうメリットがあるのかというお感じをお持ちかもしれませんけれども、それぞれこれまでの体験、経験の中で優秀な人材も育っておりますし、怪談も持った人たちが一緒になれば必ずいい仕事がクリエートされていくんじゃないかというふうに考えております。そういう金融の再編ということを今この時期に行っていかなければ、また日本金融機関というのは外についていけないという事態になっているように思います。  ちょっと脱線かもしれませんけれども、先週末に、サンフランシスコ、UCバークレイでグリーンスパンがなさった講演の中で、こういうことを言っております。御承知のように、アメリカの金融不況あるいは経済不況をああやってここまで栄えさせてきたリーダーとして私どもも非常に尊敬しておるわけですが、最後のところでこういうことを言っておられるのです。  ニューエコノミーというものができるのかという、「イズ・ゼア・ア・ニューエコノミー」という題ですけれども、最後にソ連と日本のことを言って、日本では貯蓄率も投資率も我々よりはるかに高い状態が続いてきたが、一人当たりの潜在成長力は我々に比べて低下しつつあるように見られる。同国経済の正常ではないパフォーマンスの原因に、少なくとも部分的にはよたよたした金融システムが寄与しているという点では、これを主張することができるであろうと。ホブルド・フィナンシャル・システムといったような言葉を使って、日本金融システムを早く強くしてくれそれでないと日本が困るだけでなくて自分の足元が困るんだということを言っておられるんですね。そういう意味からも、今この機会を使って金融の再編、それから自由化、ビッグバンの機会を使っての金融市場の育成ということをぜひやっていただきたいと思っておるわけでございます。  特に長銀の場合、せっぱ詰まっておりますし、先生の御体験からも、今のグローバルなマネーマーケットというものがいかに大きくかつスピーディーに動くかということは十分御承知だろうと思いますが、対応がおくれますと、一銀行の生死だけでなくて、特にまた日本経済への不信認、また、ほかの国への大きな波乱の原因になる可能性があるということを私ども心配しております。どうぞ、一日も早くこの問題を解決の方向へ持っていっていただきたいということを願っております。  それをつなぐ意味でも、この時期にああいう金融の緩和をやって、市場資金を十分出して、銀行に動いてもらいたいというふうに思った次第です。
  77. 岩國哲人

    岩國委員 どうもありがとうございました。  それをつなぐ意味でもとおっしゃいましたけれども、とかく今まで、ぬるま湯行政、あるいは護送船団、温室行政ということが言われてきました。私は、そうした銀行業界全体に消費者を犠牲にした形でもってそういう助成を行うということは、結局ぬるま湯行政にさらにまたぬるま湯を注ぐだけのことではないかという意見を捨て切れません。  総裁が紹介されましたグリーンスパンの見方、これは海外のそうした金融業界の人たちの多くの意見でもありますけれども日本は余りにも銀行業界が、銀行、証券、保険、日銀、大蔵、この五人組が、護送船団という名前のもとにいつまでもぬるま湯の中へ入り過ぎたんじゃないか。今まで産業界は、家電にしても自動車にしても鉄鋼にしても、ぬるま湯から出ろ出ろと言われて、出るときは嫌だ嫌だと言っていましたけれども、アメリカへ行って乾布摩擦で体を鍛えて、そして今ではよその国の方がむしろ恐れるような存在になってしまった。それでもまだ出ようとしないのがこの五人組であった。いよいよ、ふろの栓が抜かれて、肩まであった水がだんだん減ってきておへその辺まで下がって、どうしても出なきゃならなくなってやっと出てみたら、湯疲れし過ぎて途端に倒れて、日銀マークの入った赤十字車に運ばれてみたり、あるいはいきなり刑務所へ運ばれてみたり、こういうことがばたばたと起きているわけです。  結局、長い間ぬるま湯につかり過ぎたところは、人が出ていった後ですからばい菌がうようよしておって、汚職菌、背任菌、横領菌、ばい菌いっぱいの中につかり過ぎてしまった。それが私は、日本金融業界、銀行、証券、保険、そしてその行政をされた日銀、大蔵、みんながそういう競争力を失ってしまったのではないかというふうに見てまいりました。  つたない経験で恐縮ですけれども、メリルリンチの経営役員会では、銀行というものは二十一世紀には存在しなくなる、証券という言葉も二十一世紀の辞書にはなくなる、両方ともみんな二十世紀までは存在しておった、二十一世紀の言葉では全部金融サービス業という言葉になる。去年、おととしてはなくて、これは二十年前の役員会でもう既にそういうビジョンのもとで経営戦略を立ててきているわけです。  ただし、総合金融サービス業は三つのグループに分かれる。一つのグループはメガハウス。ハウスというのは御承知のように大きな銀行、組織でありますけれども、強大な資本と人的資源と情報網と営業網を持って地球規模の銀行業をやるところがメガハウス。二番目がスペシャリティーハウス。これは、リースとかプロジェクトファイナンスとかMアンドAとか、特殊な少数の人間で、少数の資本で、しかしメガハウス以上のサービスを展開する二番目のグループ。三番目がローカルハウス。地方銀行、信用金庫、信用組合。これは、第一勧銀やメリルリンチが島根県の松江市に出てきてもとても対抗できないだけの、二代、三代前からのそういった経営者のノウハウを持っておって、地元密着型で、そういうサービスがあるからこそメガハウスも競争できない。この三つのどれかにきちっと分解されていくんだと。これも二十年前のそういう経営戦略であります。  こういうことが、日本の場合には、アメリカの例、フランスの例、イギリスの例をしっかりと見てきたわけでありますから、そういうビジョンと理念を持って、そしてこの銀行の再編をどうするのか、あるいは、いろいろな業法というものはどのように、いつ垣根をどういう順番で外していくのか、そのようなビジョンとか理念のないままに個々の銀行救済ばかりをこうやって論じておるというところが、外国から見たら一番おかしいところじゃないでしょうか。  大変、釈迦に説法ではありますけれども、一日も早く大蔵省、日銀あるいは金融監督庁、そういうところで、将来のあるべき日本金融サービス業はどうなのか、国民経済の中でどういう役割を果たすのか、そのためにはどれぐらいの規模、どれぐらいの数が適正なのか、そういったものが出てこなかったら、それぞれの経営努力にも限界がある、私はそのように思います。  総裁、大変お忙しいというふうに伺っておりますから、どうぞこの辺で御退席いただいて結構です。ありがとうございました。  次に、長銀について金融監督庁にお伺いいたします。  長銀のキャッシュフローについては的確に把握しておられるかどうか。これは、毎月五千億、六千億の償還がワリサイ、利付債について行われ、その上利払いが約五百億ぐらいずつ行われ、膨大な資金が流出していきます。年内、十二月までのそういったキャッシュフローのプロジェクションというのはどういうふうになっておるのか。  さらに、その手当てを十分できるだけの利付債の発行はできるのか。これは何度も私はここで指摘いたしましたけれども、発行した途端に、百円で発行したものが八十九円に値下がりする、こんな発行の仕方が長続きするはずはありません。だれかが損失を負担しなければならぬ。だれかが損失を補てんしなければならぬ。こういう形の自転車操業をやっているのは、今長銀だけではないでしょうか。長銀以外にどこかの銀行が同じようなことをやっておりますか。ちょうどハイウエーカードを金券ショップへ持ち込むようなやり方で、いきなり一割値下げでマーケットで取引される。これが一流銀行の債券でしょうか。  キャッシュフローはどういうふうになっておるのか。年内のキャッシュフローを見ても、十分そういった資金のやりくりというものはついておるという確信を持っておられるかどうか。長官の御意見をお伺いします。
  78. 乾文男

    ○乾政府委員 昨日もお答えいたしましたけれども日本長期信用銀行におきまして、おっしゃいましたキャッシュフローにつきましては、今後のいろいろな資金需要、それから償還額、また入ってくる方では、いろいろな貸し出しの償還でございますとか、そうしたものを勘案しながら、月々の調達サイド、金融債がメーンでございますけれども、大口定期預金、CDあるいはコールの取り入れというものを組み立てているところでございまして、私ども金融監督庁といたしましても、適時のタイミングでそれをヒアリングしているところでございます。
  79. 岩國哲人

    岩國委員 答弁、しっかりしていただきたいと思いますけれども、ほかの銀行で同じような例が起きている銀行はどこですか。二番目に、発行していきなり一割値下げで、ディスカウントで取引されるような金融商品がどこにあるのでしょうか。まるでハイウエーカードやテレホンカード並みの扱いにしかなっていないじゃありませんか。毎月二千億の利付金融債を発行されたとすれば、二百億円の損失が起きている。この二百億円の損失はどこのだれが負担していることになっているのですか。  以上、お願いします。
  80. 乾文男

    ○乾政府委員 他の銀行についての言及は差し控えたいと思いますけれども、長期信用銀行につきまして、御議論のありますような、きのうも申し上げました、いわゆる機関投資家向けの募集債につきまして、発行してから間もなく、いわばそうした価格の低下というものが起きていることは事実でございますけれども、それはまさに、そうしたものをお引き受けになる機関投資家と長期信用銀行の間のいろいろな話し合い、ないしはそのリスクということで処理されているものと考えております。
  81. 岩國哲人

    岩國委員 私は、その程度で監督庁が検査をしておられるとしたら大変不十分だと思います。やはりそういうのは、損失補てん、損失負担はどういう機関投資家がやっているのか。この不況の世の中でそれだけの負担を毎月毎月するという善意の篤志家がどこにいらっしゃるのですか。ひょっとしたら、こういう債権放棄をしたようなところがそういう損失負担を引き受けているとすれば、ぐるぐる回って、結局無理な発行価格の損失補てんを国民の税金でやっているということじゃないですか。  この機会に委員長理事会で、ぜひお取り計らいいただきたいと思いますけれども、監督庁のデューデリジェンス、検査マニュアルというものを委員会提出していただけませんか。一体何を調べておられるのか。  例えば、デューデリジェンスというのは、これは私がもとおりましたメリルリンチの場合ですけれども、新入社員でも全部、これだけ多くの項目をきちっとやらなければデューデリジェンスをやったことにならないのです、主要工場への立入検査も含めて、あるいは幹部の一人一人の面接、面談も含めまして。  監督庁の検査マニュアルというものはどの程度のものなのか。あるいは既に委員会提出しておられますか。まだであれば、ぜひ理事会でお取り計らいいただいて、その検査内容について我々が目に浮かぶような形で、ああ、ここまで検査していらっしゃるのだということがわかれば、我々の質問の仕方もこれから違ってくると思いますので、ぜひその点は理事会でお取り計らいいただきたいと思います。まず、出していただけますね、長官。
  82. 五味廣文

    ○五味政府委員 検査に際しまして使っております当方の基本的な通達あるいはチェックリスト、こういったものは既に公表扱いになっておりますけれども、御要望でございますので、改めてお出しをするようにいたします。御要望に沿えるような内容かどうか、一度ぜひチェックをしていただけたらと思います。     〔山本(有)委員長代理退席、委員長着席〕
  83. 岩國哲人

    岩國委員 次に、銀行株式含み損についてお伺いいたします。  この株式含み損と株価水準の関連について、いろいろな報道がなされております。監督庁でも当然そういうことに対して関心を持ってこられたと思いますけれども、長期信用銀行の含み損は、株価水準が幾らになればゼロになりますか。住友信託の含み損は、幾らになればゼロになりますか。長銀、住信が合併した形を想定して、トータルでゼロになるのは幾らですか。三つの株価水準を答えていただきたいと思います。
  84. 乾文男

    ○乾政府委員 現状の含み損益につきましては、日々株価が変動しておりますことから、当局といたしまして把握することは困難でございますけれども平成十年三月末におきます有価証券及び株式のネット含み損益は、長期信用銀行につきましては、有価証券の含み損が二千四百七十一億円、うち株式の含み損が千七百十四億円でございます。住友信託銀行につきましては、有価証券の含み益が九百三十七億円、うち株式の含み益が六百八十六億円となっております。  なお、このときの日経平均は一万六千五百二十七円ということでございまして、これらの数字は、それぞれの有価証券報告書でディスクロージャーされているところでございます。  あと二つの御質問の、両行が合併した場合の含み損益、それから日経平均が幾らになった場合に含み損益はゼロになるということにつきましては、それぞれの両行が保有しております株式の種類、簿価等によりますので、これはちょっとお答えができないということを御了解いただきたいと思います。
  85. 岩國哲人

    岩國委員 長銀とそれから住友信託それぞれのブレークイーブン、分岐点がわかればある程度の概算というのはできるのじゃありませんか、一々株数をチェックするということなしに。それぞれの単体同士の含み損益、そしてそれが幾らになればということになりますけれども。  メリルリンチの試算ですと、長銀の場合には一万八千四百七十円にならなければ損益分岐点にならない。住友信託の場合には一万五千六百九十二円のダウでやっと含み損が解消する。合わせて、両行合併した場合には、これは私の試算ですけれども、一万七千百円にならなければ両行は合併して含み損益ゼロの状態にはならない。  これについて、御意見がありましたら簡潔にお願いいたします。
  86. 乾文男

    ○乾政府委員 今先生が御指摘になりましたそういうところないしはいろいろなシンクタンクからそういう試算がなされていることは承知しておりますけれども、これにつきまして、監督庁としては把握ができませんのでコメントができないことを御了解いただきたいと思います。
  87. 岩國哲人

    岩國委員 監督庁としては、住友信託、長銀にこれだけ国民の関心が集まり、また株価水準についても関心が集まっているさなかですから、そうした含み損益についても、これぐらいの数字は把握しております、こうですと。別にそれで不安心理が倍になるということではないわけですから、どこまでちゃんとつかんでおられるかということを私は知りたかったわけであります。  そうした環境の中で、もう時間がなくなろうとしておりますけれども大蔵大臣にお伺いしたいと思いますけれども日本銀行はこうした株式という財産を持ち過ぎていると。これは持ち合いということに対する批判でもありました。また、銀行経営として株式を持ち過ぎるという日本一つの特徴、体質というものについても批判があり、現に、このように株式市場不況になりますと、ダウを見ながら一喜一憂しなければならない銀行になってしまっている。この際思い切って、その体質改善のためにも、銀行の持っている全部で四十五兆円、これを国債を発行してでも買い上げし、凍結するというお考えはありませんか。一部の専門家はそのような提案をしておりますけれども。  それだけのものを凍結すれば、結局、個々の銀行の優先株というような市場性のないものに税金を投入するのではなくて、NTT、日立、東芝、優秀な市場性のある株式がそこにたくさんあるわけですから、今まで、共同証券あるいは証券保有組合、先進国の中でたった一つそのような経験を持っているのは日本であります。そういう先進国としての過去の苦い経験、そして成功の結果を踏まえて、思い切った体質改善のために、株式買い上げ機関というものにそれを凍結する、そのような構想について、もし御意見がありましたら聞かせていただきたいと思います。
  88. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまそういうことをいたす用意はございませんが、そして不用意なこともまた申し上げられませんが、かねて御指摘になっているような問題はあることはよく承知しております。
  89. 岩國哲人

    岩國委員 時間が終わりましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  90. 相沢英之

    相沢委員長 これにて岩國君の質疑は終了いたしました。  この際、休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ————◇—————     午後一時十五分開議
  91. 相沢英之

    相沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中野清君。
  92. 中野清

    中野(清)委員 改革クラブの中野清であります。平和・改革を代表いたしまして、長銀の問題、そして貸し渋りの問題について中心に質問したいと思います。  まず、長銀の問題についてお伺いをしたいと思います。  今日まで、国会を初めとして公的資金注入についての各方面の論議の中で、特にディスクロージャー、経営責任、株主責任については、言葉のみが飛び交っていまして、具体的な姿が国民の目の前にあらわれていませんでした。これでは、公的資金の注入について国民の七五%以上が反対している、そういうこともうなずけるわけでありまして、この点でまずお伺いをしたいと思います。  長銀の問題について、配当の問題とかいろいろございますけれども、まずディスクロージャーについてお伺いいたしますと、私は、第一に、佐々波委員会の審査内容のディスクロージャーをもっと早く進めるべきと思っております。例えば、三月の長銀に対する千七百六十六億円の公的資金の注入についてどのような論議があったか、何か相当な期間と言っておりますようでございますが、会議録の公開、これがどうもすべての論議の前提じゃないだろうかということで、この点を明らかにしていただきたい。  第二に、金融監督庁の検査、これも大分時間がかかっているようでございますが、終わった後、審査委員会提出するときはもちろん、国会国民の前に、全部とは言わなくてもできる限りの情報開示をすべきだろう。  それから第三に、申請する金融機関もみずから襟を正して、私は、この間もお順いいたしましたけれども長銀がもっとディスクロージャーすべきだろう。  この三点は、例えば長銀からの五千億円を上回る申請を受けつけるというならば、その前提条件として最低限のディスクロージャーと考えていますが、松田理事長金融監督庁長官に御見解を伺いたい。  さらに、株主責任についてお伺いいたしますが、長銀は、株主責任について、来春の合併の際、合併比率の調整によって株主の負担を求めたいと言っておりますが、株価により考慮すればよいとの見解だと伺っております。それも一つの方法かもしれませんが、本来は、株主責任を明確にするためには減資を行うことが基本だと思います。  金融機関の減資の場合には手法的に難しい面があるとは思いますけれども、きょうの日経では、東大の江頭教授が、減資の手続簡略化は可能だという論文を出しております。この点について、長銀のケースではもっとはっきりと減資をさせるべきだろう、国民の前で株主に責任をとってもらう、そういう原則を確立すべきと思いますが、お考えをいただきたい。  さらに、経営責任についてもいろいろ申し上げたいことがございますけれども、現在までの長銀の対応では国民の心の中に、額に汗を流している中小企業と比べまして何と不公平かという気持ちがたくさんあるわけであります。その銀行国民の税金を使う公的資金の注入をするには、少なくとも現経営陣の総退陣、これは当たり前でございますが、退職金もすべて返還、代表取締役の給料も返す、個人財産についてもできるだけ処分して返すというような厳しい姿勢が求められているのは当然だと私は思うのです。  国民の声を踏まえてみますれば、法的にはいろいろと問題があるかもしれませんけれども、少なくとも公的資金導入の際には、経営者の必死の決意というものが証明されなければならない。そういう意味で、関連した経営陣の私的財産を提供することも求めなければならないと思いますが、いかがでしょうか。  この三点について御答弁を願いたいと思います。
  93. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  御質問が多岐にわたりますが、私が御答弁申し上げなければならないと思いますのは四点であったというふうに理解しております。  まず、第一点でございます。これは、金融監督庁の検査が終わった際に、検査結果を可能な限り開示すべきではないかというお尋ねであったかと存じます。  これは長銀ばかりではございませんが、個別金融機関の検査結果の公表につきましては、取引先等に不測の損害を与えたり、あるいは個別私企業経営内容を当事者の意に反して開示することになるといった問題があるばかりでなくて、場合によりましては信用秩序維持に不測影響を及ぼすおそれがあると考えられますので、金融監督庁からその検査結果を公表するということは適当でないと考えております。  ただ、長銀の場合は、通常の検査の対象となっているだけではなしに、今回、住友信託銀行との合併前提とした抜本的な不良債権処理を行いまして一時的に過少資本となることから、公的資本の注入を申請する予定と聞いております。したがいまして、この申請に対して審査をなさる金融危機管理審査委員会における審査に際しましては、これは預金保険法上あるいは金融機能安定化緊急措置法に基づきまして、私どもに対しまして資料の請求が恐らくなされるのであろうというふうに存じます。  そういった場合には、どのような資料が提出を求められるかわかりませんが、審査委員会における審査に際して、可能な限り適正な審査が行われるように、私どもといたしましては情報を提供することによって寄与してまいりたいと考えているところでございます。  それから第二点のお尋ねは、長銀の財務内容をさらに積極的に開示するように努めるべきではないかというお尋ねであったかと存じます。  これは、既に金融監督庁から今年七月に、法令に基づき報告を求めました本年三月期の自己査定結果に基づきまして、当委員会提出させていただいたところでございますし、それから長銀からも、自己査定における二分類債権の業種別の状況といった資料の提出が行われております。今後とも、国民の皆様方の理解が得られるような情報開示が行われるように努めてまいりたいと考えております。  それから第三点は、たしか減資を含めた株主責任の明確化を図るべきではないかというお尋ねであったかと思いますが、減資は、もう御案内のとおり、例えば債権者集会とかいろいろ商法上の手続が簡略化されるといいますか、通常の銀行法上の合併と違いまして、その手続が大変複雑多岐にわたることになっておりまして、預金者がすべて債権者ということになりますので、現実問題として減資の手続をとることが果たしてできるかどうかということは、私どもとしては、実際問題としてできるものかどうかということを若干、疑念と言いませんが、事実上大変難しいのではなかろうかと推察はしているところでございます。  ただ、法律上きちっとした手続を踏めば減資の手続が行えないわけではございませんし、また通常、減資は増資と同時にやるといったようなことも行われているようでございますので、これは今後、合併の交渉に応じて、住信、住友信託とそれから長銀との間でお決めになることではないかと思いますが、現在のところは合併比率で調整するというふうに聞いております。  それから第四点は、たしか私財の提供も含めた意味での責任追及を行うべきではないかというお尋ねだったと思いますが、経営責任の明確化につきましては、このたびの経営改善策におきまして、取締役全員の退任、役員報酬の大幅な削減、退職金支給の停止、旧経営陣からの退職金返還要請を行うこととされていると承知しております。長銀におきましては、この際、公的資金の投入を申請するということを予定しているわけでございますので、今後この経営改善策を着実に実行するとともに、経営責任の明確化について真剣に取り組むことを期待したいと考えているところでございます。  以上でございます。
  94. 松田昇

    ○松田参考人 お答えをいたします。  一点目は、三月に長銀に対してどういう審査を行ったかということでございますが、これは先生、あらましについてお話をさせていただきたいと思います。  まず、事務局による事前ヒアリングなどの事前準備を十分にいたしました上で、限られた時間でございましたけれども、審査会では三回にわたって審査を行いまして、それぞれ各行申請の事実関係の資料を精査された大蔵大臣及び日銀総裁から御意見をいただき、さらに審査委員会でそれを審査いたしまして、さらに疑問点について頭取から直接ヒアリングを行うなど、厳正に審査をしたところでございます。したがいまして、申請額の一部をカットいたしまして、劣後ローンについては減額をいたしました。  また、発行条件については、客観性を保つために外部の複数の専門機関の意見をも参考にして、市場実勢にできるだけ沿うような形での取り決めをさせていただき、その後閣議決定の承認を得て発行に踏み切ったということでございます。  なお、ディスクロージャーの関係でございますけれども、とりあえず審査をいたしました健全性確保計画そのものは閣議決定を得た後公開をいたしておりますし、引き受けをいたしました当日、議事の概要でも、結果でございますけれども、それを公表いたしますとともに、記者会見を行っております。  先生指摘の議事録については、法令に規定がございまして、審査委員会が適当と認めて定めた相当期間が経過した後に公表するということになっておりまして、その相当期間をどうするか、今前向きに検討させていただいているところでございます。  なお、議事録は議事録として、それにかわるような適当なディスクロージャーの形態がないか、それもあわせて前向きに検討させていただいております。今後の問題としてなお努力したいと思います。
  95. 中野清

    中野(清)委員 それぞれ御答弁いただきましたけれども、必ずしも満足しておりません。しかも、そういう中で、私は特にお願いしたいのは、この国会の場においてこういうような問題についてのルール化をすべきだろう、そういう点について、特に政府国民にわかりやすいようにお願いをしたいと思います。  次に、貸し渋り対策についてお伺いをしたいと思います。  大臣、私は川越でいわゆる商人として三十九年やってまいりました。川越市の商店街連合会の正副会長十九年。つまり貸し渋りを受けている商人とか中小企業立場で生きてきました。ですから、そういう立場でいろいろ申し上げますと、今日いろいろ貸し渋り対策があります。しかし、借り手の立場になった議論がないというのが残念であります。  特に、政府中小企業対策で貸し渋りの問題は公的金融が中心でございますけれども、これは限界があります。ですから、例えば中小企業金融の中で民間の金融というのは九一・八%でございますか、何らの対応がされていないという現状でありまして、私は、そういう姿勢がなくならない限り、これからは民間の金融機関の姿勢というものがまず問題であろうと思いましてお伺いいたします。  まず、通産大臣に、そういう意味政府が貸し渋り対策を一生懸命やってきた、そのことは認めます。しかし、それにもかかわらず中小企業等に対する貸し渋りというのは依然として残っている、改善の状況を示していない、むしろそういう点で事態は悪化する傾向だろうということを私は危惧しておりまして、特に中小企業庁の実態調査で、貸し渋りについて言いますと、本年の三月には三二・五%、五月が三〇・八、八月が三二・七と言われております。また、日本商工会議所が本年の五月に緊急調査しましたらば、貸し渋り状況はほとんど改善されておらず、大都市圏ではむしろ悪化していると言われておりますけれども、悪化しているこの状況について、通産大臣としてどのように見解を持っていらっしゃるか、まずお伺いします。
  96. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 すべての金融機関が貸し渋りをしているわけではなくて、むしろ地銀と言われるものあるいは第二地銀と言われるもの、信用金庫等は必死になって地元の企業の応援をしているということでございますが、都市銀行を中心に貸し出し量は減っているということは、随所の統計から見られるわけでございます。  したがいまして、政府としては、中小企業金融が円滑にいくように、一つの方法は、政府の持っております金融機関、商工中金、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫等が資金量を持つということで、この資金量の確保は既にしております。  しかしながら、実際は、中小企業がお金を借りたいというときには、担保がないあるいは保証人を連れてこいというようなことになりまして、実際になかなか一般金融機関からの借り入れが行えないということで、今般、八月二十八日に政府としての貸し渋り対策の大綱を決めました。これによりまして、各県にございます保証協会の基盤強化もいたしましたし、これによって各県がトータルとして行える保証枠は約二十兆円増大するものと私どもは考えております。
  97. 中野清

    中野(清)委員 これについては後ほど細かくお伺いいたしますが、宮澤大蔵大臣に私はお伺いしたいと思います。  大臣が九月二日のこの委員会で、西川太一郎委員に対して、金融機関は自己防衛に寧日なきありさまで、将来有望なお客さんを一緒に育てようという気概が全く感じられない、まことに残念でありますと述べられて、銀行の貸し渋りの姿勢に不快感を示されております。  私は、この貸し渋りの現状について、大臣がこの国会の場において、貸し渋りは解消していないと、金融機関に対していわゆる不満の意を表明されたということは非常に大事なことと思いましたので、その点について、政治家としての、また大蔵大臣としての御認識というものを御答弁願いたい。  それからもう一点は、三月の金融安定化措置法によります一兆八千百五十六億円の資本注入の貸し渋りの対策についてはどうお考えか、お答え匿いたいと思います。  その後で結構ですから、松田理事長さん、先ほど伺いましたけれども長銀についてお伺いしますけれども、一千七百六十六億の導入の時点で、長銀においては貸し渋りについてどのような対策をとられたと認識しているかをお伺いしたい。  大臣の方、ぜひよろしくお願いします。
  98. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 以前から、いわゆる銀行不良債権の問題が議論をされますと、これは国会におかれましてもマスメディアの間においてもそういう嫌いがございますが、給料生活者、サラリーマンは銀行から金を借りるということはほとんどございません。まあ住宅ローンぐらいなものでございまして、預けている預金は必ず保証されます。したがって、銀行というのは何となくうさん臭いのでつぶれるのもまあいいやというような気持ちが非常に強いことを私は心配しておりまして、銀行がつぶれますと一番困るのは、殊に地方で何十年も取引をしておられた方が路頭に迷うということなので、そのことが私は非常に大事なことだと思いますが、なかなかそっちの面からの議論というのが従来起こりませんで、残念に思っておりました。  北海道で不幸なことがございまして、北海道の方はお感じになっているのですが、日本全国とは申しがたい。ブリッジバンクなんかも、大事なお客さんは大事にしなければという思想が、まあ一生懸命ああいうところでやろうとしておりますが、おっしゃいますように、その面から取り上げられることが非常に少ないのは、私は残念だと思います。  そして、あの三月の資金投入のときに、これは金融秩序維持のためではございましたが、あれだけ資本率が上がれば貸し出し余力はふえるはずでございますので、貸し渋りが改善されるのではないかという期待がしばしば表明されましたが、実際には貸し渋りは少しも改善しておりません。それは、事情はあったと思うのでございますね。それから後、東南アジアの不良債権が生まれたとか、三月でございますから今まで見えなかった不良債権が出るとか、いろいろあったと思いますし、あれがなければなおひどくなったかもしれないというぐらいのことしか言えませんで、実際の数字は少しも改善していない。  これは、事情はともあれ、私は、金融機関としての社会的な任務を十分に果たしていないのではないかという思いがいたします。いい土地を担保にとって金を貸すのなら、それは質屋が時計をとって金を貸すのと同じで、もっと銀行というものは、この企業は将来よくなるんだ、少し苦労しても育てなければという、そういう気概がなければ社会的な責任は果たせないんじゃないかと私は思います。
  99. 松田昇

    ○松田参考人 お答えいたします。  三月の資本注入の時点で、長銀からは、ホールセールバンクであることを念頭に置いたものと思われますが、適切な信用リスク管理体制のもとで、貸出業務や資産証券化・流動化業務等を通じて産業界の資金調達ニーズに的確迅速にこたえることにより、健全な中堅、中小企業等へのいわゆる貸し渋りが生じないよう最大限努力する、これを基本姿勢といたしております。  その後の報告でございますけれども、五月の初めに、各営業店窓口において貸し渋り批判を受けることがないよう適切な対応を行うよう行内通達を発出いたしたこととか、流動化推進室などを拡充しているとか、体制整備に着手しているという報告を受けているところでございます。
  100. 中野清

    中野(清)委員 今大臣おっしゃるとおり、私は、銀行が今支持されていないのは、自分の保身のためになって、いわゆる国民とか預金者とか、それからまた借り手についての配慮がないというのはおっしゃるとおりでございますから、そこから実は今私の質問が始まっているわけでございますから、よろしくお願いしたいと思います。  その中で、今中小企業向けの貸し付けというのは三百四十八兆円あるそうであります。それで、民間金融機関が、十二月には三百三十一兆円だったのが三月で三百二十兆円、十一兆も減っておりますね。保証協会は大体一兆円ぐらいふえているということでございますが、また、現実に、都市銀行も五兆円、地銀で二兆円、それから長信銀で二兆円、信託銀行で二兆円、信金が一兆円の減となっている。  この民間銀行の貸し出し減に対する政府の姿勢というものが、いろいろ御努力なさっているのはわかっておりますけれども、その点で、さらに民間金融の強化というものについては、当然求められると思います。ですから、資金供給サイドについて、これはもうきょうは主眼でございませんから、簡単に御答弁願いたい。  それから、それと一緒に、貸し渋り対策に投下された政府資金や保証の実績や消化状況についても御説明願いたいと思うのです。  きょう、私はこの「総合的スキーム作り・貸し渋り対策案」というのを出させていただきました。これは後ほど申し上げますけれども、実は、今まで貸し手の態度といいましょうか、今、私も供給サイドのお話をいたしましたけれども、そういう議論国会でいっぱいあるんです。ところが、借り手の立場議論というのはございませんから、きょう、そのことを私は伺いたいと思いますので、ぜひ、そういう意味で私は一点だけ、今まで貸し渋り対策というと個々のこういう問題だけがずっと出てきて、率直な話、全体的な貸し渋り対策というのはない。特に借り手についてはないということについては、御見解を伺いたい。その点、簡単にお願いいたします。
  101. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 日本市場経済の国でございますから、政府機関の貸し出しをもって民間の貸し出しにかえるなんということは、到底量的に違う話でございますし、お店をやっていらっしゃる方はなかなかお上の機関には行きにくい。銀行との関係はもう何十年とか親二代とかいうんでございますから、そこはなかなかかわりにはなりませんが、先般総理大臣が指示をされまして、通産大臣が中心に画期的な対策を立てられまして、一番大事なところは保証機能というものを政府がどうやってうまく果たすかということかと思っておりまして、私も、通産大臣のお考えのことには財政からの支援は決して惜しまない、そういうつもりでおります。
  102. 中野清

    中野(清)委員 そういう意味で、実はもう一つ伺いたいのですけれども、今まで貸し渋りに対しての総合的なスキームというものが私もわかりにくい。これから政府がやる場合には、貸し渋り対策というのはこういうのとこういうのとこういうのがありますと。資金の需要サイドではこう、それから今度は借り手の立場はこうだということについてのそういうスキームというものを、やはり私は政府がつくるべきと思うのですけれども、その点について、お考えはいかがですか。
  103. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 政府関係の機関はたくさんございますこと、御承知のとおりですし、地方に信用保証協会がございまして、中小企業信用保険公庫がそれをまたバックアップする。その保証機能というのをうまく使うのがやはり一番いいのじゃないかと思っております。  政府のいわゆるマル経資金まで、かなり今まで皆さん御存じになっていただいておるんだと思っておりましたが、なお不足でございますれば、よく皆さんにPRをして使っていただかなければならないと思います。
  104. 中野清

    中野(清)委員 今大臣おっしゃいましたけれども、この貸し渋りの問題について言いますと、今、資金とかいろいろな問題以前に、民間金融機関のマインドといいましょうか、姿勢の問題も私はあるような気がするんです。過日も大臣が、この壇上だと思いましたけれども金融機関の良心を期待するというような意味の御答弁があったと思うのですけれども、私は、金融機関とすればそういう良心というか倫理の問題じゃなしに、システムの問題だろうと思う。経済の仕事ですから、こうした方がいいのだ、こうした方が得になるのだと言うならばやるはずなんですよ。そういう配慮がないということだけは私、申し上げておきます。  その中で、三点だけ実はお伺いしたいと思いますけれども、今大臣から総理のお話ございましたけれども、民間金融機関に対して総理から、貸し渋り大綱、これを出されて、それを徹底したいと。今までの民間金融機関の場合ですと、政府の対応というものの悪用がいっぱいあるわけですよ。政府資金をもらったから、じゃ自分の資金を引き揚げてしまうなんていうことがいっぱいありますから、そういう点について、厳重にこれを注意をし、監視をする必要があると思うのですけれども、そういう点についてどうお考えか、お伺いしたい。  それから、そういう意味では、これは金融監督庁にお伺いしたいのですけれども、あらゆる機会をとらえて、今日の貸し渋りをなくそうという、今大臣もおっしゃったこの決意、御不満というものを、実際にはどうやってやらせるかということは、はっきり言って見えません。ですから、その点についてどうお考えか、お伺いをさせていただきたいと思います。  私は、この中で、中小企業庁と金融監督庁と、大臣、見ていただきたいと思うのですけれども、三つを書きました。その中に、中小企業庁における貸し渋り一一〇番というのがあるのですね、通産大臣。これはそれなりに評価しております。しかし、それは八・一%の公的金融機関中心なんですよ。ですから、例えば九一・九%を占める民間に対するものはないのです。ですから、その点について、私は、少なくとも金融監督庁に貸し渋り一一〇番というのをつくるべきだということをここで申し上げたいと思うのです。これはやはり当然常駐の人員も配置をして、そして個々の中小企業の苦情とか悩みというのを本当に受けて、ぜひこれをやってもらいたい。ですから、その点についてはお願いをしたいと思うのです。  あえて申し上げますと、よく銀行関係者から、いわゆる財務状態が悪くて貸したくても貸せないのだという話を伺います。大臣、そういうことはあります。それを私は言っているのじゃない。それは貸し渋りと言わないんですよ。  ところが、貸し渋りといった場合には、これまでの貸し手と借り手の関係の中で、今間違いなく銀行の方が有利なんです。この国会においては銀行さんというのは余り強くありませんけれども、実際の現場においては向こうが有利に決まっているのですよ。そういう中で、今までの取引条件とか取引ルールとか、そういうものがある日突然変えられてくる。だめだったらいいですよと言われたときに、だれがそれを判断するか。これはいないのです。ですから、少なくともそのときに、申しわけないけれどもこの話を金融監督庁に言ってもいいですかと言えるだけの立場を借り手につくってやらなければ、これは絶対だめなんです。  それを今までの貸し渋り対策では、資金供給の面ばかりでもって借り手の立場をちっとも考えていなかった。そういう議論がなかった。それは、少なくとも私のような小あきんどの議員が少なかったこともあると思います。しかし、実際には、そういう現場で私なんかが感じているそのことを、どうかそういう意味で、実は私が書かせていただいたのは、中小企業庁にすれば大体やっているのですよ。ところが、金融監督庁とか公取について言いますと、後ほど公取にもお願いしますけれども、そういう話については現実にやっていないのだということをどうぞ御理解の上で、ぜひ金融監督庁にも御答弁腰いたい。大臣、もしお感じがありましたらば、御答弁願いたい。
  105. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 全国にはたくさんの中小企業がございまして、せっかく政府がこういう中小企業に対する保証枠を拡大いたしましても、それを知らない方がたくさんおられるということで、自治省と通産省、中小企業庁では、各県の商工部にこれを広くPRしていただくということをお願いいたしました。また、政府の広報の予算を三億円いただきまして、日刊紙、雑誌、テレビ等で、こういう仕組みができるということをPRする予定でございます。  また、本日、全国の各県の保証協会の会長の皆様方に東京にお集まりいただきまして、今度の政府の大綱について詳しく説明した後、それでもやはり一番大事なのは窓口での保証協会の職員の対応であって、本当に親切、親身になって、中小企業立場に立って保証行為を行うということが大事なんであって、ただ枠だけふやして、保証渋りということにならないように、各県の保証協会の会長にお願いをしたところでございます。  先ほど宮澤大蔵大臣からお話し申し上げましたように、今は何となく銀行立場というのは情けない話になっております。これが早期に、昔のような健全な姿にいっ戻るかということもございますけれども、そのつなぎの間は、やはり政府ができる限りのことを中小企業等に行うというのが、政治責任であり、また国会責任であると私どもは思っております。
  106. 乾文男

    ○乾政府委員 議員が御指摘になっておられます貸し渋りについてでございますけれども金融監督庁といたしましても、金融機関が融資態度を必要以上に萎縮させまして、健全な取引先に対しまして必要な資金供給が円滑に行われない事態を生じないように、努力をしてまいりたいと思っております。  それで、御指摘のありました相談等の窓口でございますけれども金融監督庁といたしましては、金融機関と利用者との間の苦情相談につきましては、基本的には、これは自己責任原則のもとで金融機関が適切に対応していくことが適当であると考えておりますけれども、しかしながら、個々の中小企業からの苦情、悲鳴に真摯に耳を傾けるべきとの先生の御指摘につきましては、監督庁といたしましても問題意識を有しているところでございまして、どのような方策が可能か、今後検討してまいりたいと考えております。
  107. 中野清

    中野(清)委員 今の御答弁で、ぜひつくってもらいたい、はっきりお願いをしたいと思います。これは日本じゅうの中小企業がみんな待っていることでありますから、ぜひお願いをしたいと思うのです。  ぜひその点で、この機関が単なる駆け込み寺じゃなくて、むしろ皆さん方も含めて、金融の実態をつかめる機関にしなければいけないのだと思うのです。ですから、そういう意味では、いろいろと私も提言がございますけれども、その点についてはそういうふうなお願いをさせてもらいたい。  私はもう一点だけ伺いたいのですけれども、できれば、その結果について公表をしてもらいたい。なるべく言ってもらいたい。  それからまた、もう一点は、もしそういうことについていろいろなことがあったらば、ぜひ監督庁が注意をして、もしそれでも聞かなかったら、こういう公的資金とかいろいろな問題があったときには、これはだめですと言うぐらいの政府の強い指導力がなければこれはできないということだけは、少なくとも貸し渋りについて、今まで言った議論じゃなしに、借り手の立場というのがなくならないということでお願いしたいと思います。
  108. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  具体的にどういった方策が最もこの貸し渋り対策金融監督庁として寄与できるかということを現在真剣に考えておりまして、これはきょうはちょっとこの委員会では、今まだ準備中でございますので申し上げられませんが、恐らく今週じゅうといいますか、できるだけ一両日中に、それがどういう形で、例えばインターネットを通じて何かできるかどうかといったようなことを今検討させておりますので、もうしばらくお待ちいただければありがたいと思います。
  109. 中野清

    中野(清)委員 ぜひ、そういう意味で期待しておりますし、決してただ単に政府を攻撃するのじゃなしに、政府が本当にやってもらわなければしょうがないということを私はお願いをしたいと思います。  時間がございませんから、公取の委員長にお伺いをしたいと思うのです。  私は実は、独禁法の十九条の優越的地位の乱用ということ、今までこれはどうも精神的訓示じゃないかと思っていたのですよ。でも、実際は違うんですね、これは。何といってもこれが独禁法の精神であり、貸し渋りについて言えば、一つの大きな原点のはずだ、今、公取の出番だということを私はこの際申し上げたいと思うのです。  その中で第一点として、じゃ公取は、貸し渋りの実態の把握に努める、そういう意識があるかどうか。  それから、その実態を踏まえた上で、いわゆる類型的な行為といいましょうか、それを明らかにすべきだろう。しかもそれは、二十か三十しかないと思うのです。それを、例えばこういう事例、こういう事例、こういう事例は独禁法違反でございますというのを、少なくとも新聞紙上とか、例えば商工会議所、商工会とかいろいろなところを通して言えば、借り手とか中小企業はわかるわけですよ。だったらば、今度はそういう点について公取にもお願いするとかという話はありますけれども、今何が独禁法違反だとわかっていない。それをどういうふうにやるか、その点についてのお考えをいただきたい。その点をまずお伺いしたいと思います。
  110. 根來泰周

    根來政府委員 ただいまお尋ねの第一点でございますけれども、これは国会でも政府部内でもいろいろ御示唆がございまして、本年に入ってから実態調査をいたしております。主体は中小企業団体あるいは中小企業者でございますけれども、その結果は、若干独占禁止法違反のにおいといいますか、においはかがれるわけでありますけれども、疑いには至っていない、そういうことでございますので、さらに対象を広げまして、さらに深く掘り下げまして実態把握に努めたい、こういうふうに考えております。  それから、行為の類型化でございますけれども、これも教室の問題として言うのはたやすいのでございますけれども一つは、やはり具体的な事案に即して申し上げた方がよかろうという考え方でございますので、その実態調査を終え次第、御意見に沿うような形で対処したい、こういうふうに考えております。
  111. 中野清

    中野(清)委員 根來委員長にぜひこれは期待をしております。ぜひ、独禁法というものが、公取というものがそういう意味では貸し渋りに対する有力な味方であるということを、国民の前にこれからもPRをしてもらいたいと思うのです。  そういう意味で、実は私も根來さんに商工委員会で何回かお順いいたしまして、いわゆる独禁法の相談ネットワークというのを全国の三千三百の商工会議所、商工会とつくっていただくことを、委員長の方も頑張っていただいて、八月から一生懸命やっていらっしゃる、そのことは私は高く評価しております。それだったらば、このネットワークというものを活用して、今委員長は具体的な事例が欲しい、具体的な問題ならと、そのとおりだと思いますから、それをどういうふうにネットワークを使っての活用ができるか、その点が一点。  それからもう一点は、現実に独禁法というすばらしい法律がある以上は、具体的に金融機関でそういうような事例があった場合には、私は、やはり何らかの厳重な公取としての措置をする必要がある、そのことが大事だと思うのですけれども、いかがでしょうか。  私は、先ほど実は通産大臣大蔵大臣、それから監督庁に申し上げましたけれども、借り手の立場で言えば、本当の話が、借りに行って断られたときに、これは向こうが判断するのだからしようがない、そのときに、少なくとも金融監督庁に行って申し上げていいですかということがまず第一点だ。  もう一点は、独禁法の違反があるのじゃないですかということが言えるということは、これは少なくとも交渉力として、今までが十対一だったのが八対二ぐらいになるだろうという意味で私は非常に大事だと申し上げておりますので、どうかそういう意味で御理解願いながら、公取委員長、御答弁願いたい。
  112. 根來泰周

    根來政府委員 これは、衆議院の商工委員会でも委員を初めいろいろな方々からいろいろな御要請があり、また御示唆がございましたので、ことしの八月から、独占禁止法相談ネットワークというものをお願いいたしまして、商工会議所なり商工会をネットにしまして情報をちょうだいする、あるいは我々の立場理解していただく、こういう相互協力といいますか、そういうネットワークをつくっているわけでございます。残念なことには、発足がおくれたものですから、まだこれを十分に活用はいたしておりませんけれども、御趣旨に沿って、このネットワークを活用して実態調査をいたしたいと思うわけであります。  それから、こういう事案に対しまして、こういう事案というのは独占禁止法違反の事案に対しましては、厳正に対処することは申すまでもないことでございます。
  113. 中野清

    中野(清)委員 では、時間がありませんから、最後に一点だけ通産大臣にお伺いしたいと思うのです。  いろいろございますけれども、先ほど大臣は保証協会の話をされました。それを含めていろいろ御注文はありますけれども、それも大事だけれども、まず第一に、民間金融機関の問題について、ぜひ、先ほどの御答弁では保証協会とか自分の立場のことばかりが御答弁にあったけれども、それは御理解願いたいということが一点。  それからもう一点は、組合金融というものも大事なんです。商工中金によるところの組合金融、ことしも百六十一億円出資がありました。大事なところだと思うのです。これからも、そういう意味でこの組合金融を通しての貸し渋り対策、これをやる必要があるだろう。  特に今、いわゆる組合というものが革新しなければならない、刷新しなければならないという大きな曲がり角にありますから、それだけにこの問題については非常に大事と思いますので、まだほかにも中小企業の問題についていろいろ通産大臣にお願いしたいことがありますけれども、その一点だけお順いをしたいと思います。
  114. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 商工中金は組合が出資してつくったということは先生の御指摘のとおりでございまして、こういうものを強化しろということも、先生のお考えに私は全面的に賛成でございます。  ただ、商工中金に関しましては、閣議決定がございまして、自立性を高めるとかあるいは政府の出資に対する物の考え方というものも決まっておりますけれども、そういう閣議決定の範囲を逸脱しない範囲で、今後とも商工中金の基盤を出資という形で強くしていくということは、全体として私は大切なことだという先生の御趣旨は全面的に賛成でございます。
  115. 中野清

    中野(清)委員 終わります。
  116. 相沢英之

    相沢委員長 これにて中野君の質疑は終了いたしました。  次に、西川太一郎君。
  117. 西川太一郎

    西川(太)委員 引き続いて、自由党の西川でございますが、質問をさせていただきたいと思います。  長銀の検査結果が出てこないといいますか、まだ終わっていないという御答弁がしばしばあって、本当は八月の下旬に終わっているのじゃないかという考え方、観測もあります。なぜ公表しないのか、あるいはできないのか。つまり、そこらのところを私どもとしてははっきりさせてほしい。  特に、飛ばしの疑いのある子会社、孫会社、こういうところに対する銀行法の規定があるから立入検査もできないとか、また政府委員の五味さんは、個別の検査の結果の内容ということになりますと、これを世の中に公にするということは御勘弁いただきたいというふうに存じますと。それはなぜかというと、取引先不測の損害をもたらすおそれもある、こういうことをおっしゃっているわけです。  しからば、長銀が現在自己資本が連結で五千五百億円残っている、こういうふうにけさの報道に、長銀の頭取代行が会見をしてそういうことをおっしゃっている。決算上、長銀は債務超過じゃないのかという疑念が絶えない、こういう記者の質問に対して、「決算書上、事実ではない。三月末の自己資本は単独で七千八百億円、連結で一兆円ある。九月末時点の予測でも、自己資本に業務純益や不動産売却益を加えると、七千五百億円の不良債権処理しても、単体で千六百億円、連結で五千五百億円の自己資本が残る」、こういうふうに言っているのですが 都合のいところだけ連結と言っているのですよ。  連結すれば、子会社やそうした会社の不良債権もしょい込むことになるのじゃないですか。そこのところを言わないでおいて、こういうことを平気で公器である新聞に、今話題の銀行のトップが、こういう国民をたばかるようなことを言うこと自体、しょせん金融監督庁から出てくるそういうデータが不足しているから、情報を開示していないから、それをいいことに、この場をしのいでおけばそんなものは表に出ることはない、こういうことでやるから私はこうなるのだと思うのですね。  国民の貴重な金をつぎ込むということに対する認識が欠けていると思いますけれども、これは通告していないので、けさ新聞を見て思いついた質問でございますので、恐縮でございますが、私は、政府委員というか、これは所管外ですから、では、まず金融監督庁の長官に伺います。
  118. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  お尋ねの新聞報道は、私も、今お話のあったような報道がなされ、記者会見が行われて、頭取代行が今お話しされたようなことを記者に対して述べたということがけさの新聞に載っていたことは承知しております。  これは、長銀のことし三月末での決算を前提としたお話であろうかというふうに存じます。果たして三月末の決算あるいは自己査定が正しいかどうかということを私どもは今検査させていただいているわけでございます。  それから、連結ベースを何か都合のいいところだけというようなお話でございましたが、連結は、御案内のとおり、現在の法律では五〇%以上の子会社ということでコンソリデールされているわけでございますが、恐らくそれも、ことしの三月末の自己査定あるいは公認会計士、監査法人の監査を経た上でそういった結論に達したものというふうに考えているわけです。それが果たしてそうかどうかということを今私どもは検査させていただいているわけでございまして、決して、ここで述べられたことを私どもとしてはうのみにしているとか、これをまともに信じているとかいったことではないことを、ひとつ御理解いただきたいと思います。
  119. 西川太一郎

    西川(太)委員 長官、うのみにしていないとか信じていないならば、その証拠を出してください。あなたたちは一向にそういうことを開示しないで、五里霧中の中で、国民の税金をここに投入しなければシステミックリスクが起こるとか、日本発の世界大恐慌が起こるとか、そういう話ばかりじゃないですか。そんな乱暴な議論ないですよ。きちっと根拠になる数字を示して、そして国民も納得して、一人幾らこういう日本金融制度を守るために出そうじゃないか、そういう議論じゃないのですか。その基本が私は非常に不満です。そこのところをちょっと御見解を。
  120. 日野正晴

    ○日野政府委員 たびたびお答えしていることでございますが、現在、私自身が検査の結果を鶴首して待っているという状態でございまして、内容を知りたいのは、先生御自身もそうだと思いますが、あるいはここにおられる先生方皆様もそうだと思いますが、私自身も同じような気持ちで今検査が終了するのを待っているところでございます。
  121. 西川太一郎

    西川(太)委員 だれが検査して、監督庁長官たる者がそれを急げとか督促できないのですか。または、そのために、焦眉の急であるこの重要な問題について大蔵大臣と御協議なさったり、いろいろ所管の、私その辺はちょっとつまびらかでありませんが、そういう方々と相談をして、スタッフをふやすとか、もっと早く出せ、そういうふうに、すぐできないとおっしゃるけれども、すぐできない理由があるなら、それも長官に教えていただきたい。私、全く素人ですから、その辺を教えてください。
  122. 五味廣文

    ○五味政府委員 今回の十九行検査は、限られた人員の中で人数をやりくりして行っておりますが、徐々に立ち入りが終了している銀行がございますのは先ほど御紹介申し上げましたが、長期信用銀行につきましては、御承知のように、合併またその後の公的資金の注入というものの申請をする予定があるということでございますので、当初の目的でございます三月期の資産の査定に加えまして、その後の状況というものをできるだけ実態把握してくれ、こういう新しい事務負担が生じております。  実際、検査と申しますのは、人数が多ければ早く終わるものでございます。でございますので、来年度の予算要求でも百名以上の検査官の増員をお願いしているわけでございますけれども、一行の検査につきまして段取りを踏んでやっております過程で、ある段階まで達しますと、その後は人数をふやしましても一人当たりの時間短縮効果というのは余り出ないものでございます。  と申しますのは、ラインシートをチェックいたします過程では人手の要る場面というのがございますけれども、その場面では、追加投入も長銀の場合いたしましたし、ある程度の短縮はできたのでございますが、現在は、その後の状況のフォローアップあるいは公認会計士との議論、こういったところに達してきておりますので、なかなか、人をふやすと短縮できるという状況にないということを御理解いただきたいと思います。  ただ、こういう状況でございますから、できるだけ急いでほしい、ただきちんと見てきてほしい、こういうふうに指示を出しているところです。
  123. 西川太一郎

    西川(太)委員 私は、テクニカルなことはよくわかりません。しかし、国民の代表の一人として、素朴な理屈で言えば、実態がわかっていないのにそこに公的資金をつぎ込まなければいけないとか、実態がわかっていないのに住友信託銀行合併を強要してみたり、こういうことが通るのですか。そんなのはわかっているに違いないんだ、意地悪く言えば。わかっているけれども公表できないというのが実態じゃないかというふうに思っております。  そこで、そういうところで、何度も同じことを聞いて恐縮でございますけれども、では、何で合併問題のところに、首相の公邸に金融監督庁長官が臨まれたんですか。
  124. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  これもたびたび御答弁申し上げているところでございますが、金融機関合併は、銀行法あるいは長期信用銀行法によりまして、内閣総理大臣の認可を要することとされております。また、この内閣総理大臣の権限は、設置法あるいは銀行法上、金融監督庁長官に法定委任されております。  金融監督庁といたしましては、来年の合併が実現するまでの間、いろいろなクリアしなければならない手続、要件というものがございますので、随時合併の当事者からお話をお伺いしているところでございますが、私の直属の上司であります総理大臣がそういった権限をお持ちでございますし、これは総理大臣にも御報告しなければならないということで、総理大臣のところに私も同席させていただいたということでございます。
  125. 西川太一郎

    西川(太)委員 要すれば、実態がわかっていないところを合併に持ち込むというのは、理由があるから合併を望むわけだし、そのために、実は長銀と住信では長い間、インフォーマルな形にあったにせよ、協議を続けてきたという事実があるわけですよね。だから、先ほどの政府委員の御答弁で、ラインシートのチェックは終わった、こうおっしゃいましたね。そうしたら、あと集計すればいいんじゃないですか。
  126. 五味廣文

    ○五味政府委員 ラインシートそのものの初期的なチェックは終わっておると聞いておりますが、その後の状況の変化を追跡いたしますためには、さらなるラインシートのチェックが必要でございます。それは、大口の貸し付けなどに対します三月期の決算の後の資産の劣化状況というものを見るためには、その債務者に対する貸し付けの明細というのはチェックする必要があるわけでございますから、これを見ないで検査をしてきたということにはなりません。  そこで、私今申しましたように、大口と申しましたけれども、あらゆる債務者をチェックする必要があるわけではございません。できる限りのところでこれはチェックをしていくわけでございますから、人数をこの段階でふやしたところで、そう期間の短縮ができるわけではない。もっとも、多少のところはあるかもしれませんけれども、残る五行の検査も必要でございますし、基本的には、現在は債権分類、債務者分類というところを見ている、こういう段階になっておりますし、なお、検査がある程度方向性が出てきているものについては、並行して内部でバックオフィスの方の精査を行う、こういう段階になっている、こういうことでございます。
  127. 西川太一郎

    西川(太)委員 だったら、さっき私の質問にそういうふうに率直に答えればいい。それは、ラインシートのチェックは終わったとおっしゃったじゃないですか。今、初歩的なとか初期的なとか、何かわけのわからないことを言って、そういう答弁じゃ困るんですよ。こっちは限られた時間の中でいろいろなことを聞こうとしているんだから、そういうことは本当に迷惑な話であります。  そこで、大蔵大臣にお尋ねをするわけでございますが、住友信託銀行は、高橋社長が記者会見等で、健全債権しか引き受けない、こういうふうに言っています。これを、御感想で結構でございますが、どういうふうにお受けとめになっておられますでしょうか。
  128. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、二つの私企業の間の合併契約の内容でございますので、そういうことを住友信託側が言い、そういうことを長期信用側が承諾した、そういう二行の間の契約と思いますので、それについて立ち入って政府が何か申すべきものではないだろう、私は直接主管大臣でございませんけれども、そういうふうに思っております。
  129. 西川太一郎

    西川(太)委員 大蔵大臣は、合併交渉のときに総理のところに同席しておられて、こういう話は御承知だと思って私伺ったのですけれども、つまり、私が宮澤大蔵大臣にお尋ねをしたがったのは、住信としては当然だろう、要するに健全債権だけを引き継ぎたい、こういうふうな御感想をお持ちになったんじゃないかなと思ってお尋ねしたわけであります。  実は、住友信託銀行の幹部に聞きたいところでありますけれども、なかなかそれはかないませんから、いわゆる引き受けが可能な健全債権の定義というものは、大蔵大臣や金監庁長官はどういうふうにお思いでございましょうか。
  130. 日野正晴

    ○日野政府委員 八月二十一日に発表されております高橋社長のステートメント、「報道各位」と題するステートメントがございます。ここには、「正常先債権のみの承継」、こう書いてございます。  これは、これから合併交渉を両行が行うに当たっての大前提として住友信託銀行が公表しているところでございまして、恐らくこれは、両行の間でこれから、つまり、長期信用銀行のバランスシート上、貸出先債権と書いてあるところの一つ一つ債権について、デューデリジェンスによってチェックしていく際に、これは正常先債権であると例えば長期信用銀行が申したとしても、住友信託銀行が、いや、これはうちの方では正常先債権とは認識していないということになれば、それは恐らく、合併の際に引き継がれるべき長期信用銀行の財産の中には入ってこないのではないかなと思います。ただそこは、両行の合併交渉で、あくまでもネゴシエーションでございますので、そこは両行の間の話し合いでそれぞれ決まっていくのだろうと。  ただ、何がその基準になるかといいますと、やはりそれは、合併は、申し上げるまでもなく、長期信用銀行の株主が自分のところの会社の財産を住友信託銀行に売却するわけでございますので、自分の方はできるだけ高く売ろうとするのは当然でございます。また、買う方はできるだけそれを安く買いたいと思うのは、これは契約でございますから、当然そうなるだろうと思います。  つまり、そういった意味でできるだけ正常先債権のみの承継にしたい、そういうことで恐らく、高橋社長の報道各位に対するステートメントの中に盛り込まれていることを、私はそういうふうに解釈しているところでございます。
  131. 西川太一郎

    西川(太)委員 結局、収益性のある資産、または第二分類にあっても、それを時価で買えば利益は出るわけでありますから、そういうものを意図しているんじゃないかと想像いたすわけでございます。  我々は長銀への公的資金投入には明確に反対をしているわけでありますけれども、仮にこれをやろうとする際、大蔵大臣、どういう手段によるのでしょうか。すなわち、引き当て処理のための公的資金の贈与なのか、それとも不良債権償却のための資本注入なのか。この二つの選択肢では狭いでしょうか。私、思いつくのはそんなところなんですけれども、いかがでございましょうか。
  132. 日野正晴

    ○日野政府委員 あるいは、御質問の趣旨を私よく理解していないので間違った御答弁になるかもしれませんが、合併といいますのは、解散する会社、本件でいいますと長銀でございますが、この会社の権利義務がすべて存続会社または新設会社、これはどういう形になりますか、これはこれから決定されることだと思いますが、包括的に移転されるものではございますけれども合併前に解散会社についてどのような資産整理等を行うかにつきましては、やはりこれは両行の協議によって、個々の事情に応じて最善と考えられる方策がとられるものというふうに考えているところでございます。
  133. 西川太一郎

    西川(太)委員 では、具体的に伺いますけれども、実は北拓銀と北洋銀行の営業権の譲渡の交渉の過程の中で、結局第二分類はだめよという話になっているわけですね。そうでしょう。それは事実ですよ。北洋が断っているんだ、第二分類はだめだと。そうすると、結局預金保険機構で面倒を見るよりないんじゃないですか。ただし、そのためには破綻しなければいけない、銀行は。そうでしょう。そうすると、長銀に対してこれからやろうとしているのは、引き当て処理のための公的支援なのか、不良債権処理のための公的支援なのかと聞いているんですよ。
  134. 日野正晴

    ○日野政府委員 ただいま北拓の例をお出しになりましたが、北拓はもう破綻しておりますので、これは合併ではなしに営業譲渡として行われているわけでございまして、御案内のとおり、預金保険法上の資金援助等が恐らく将来行われることになるのではないかと思いますし、それから、場合によりましては、その受け皿となっております北洋銀行に対しまして、十三兆円の世界からの公的資金の投入もやはり考えられるところではないかと思います。  ただ、今御質問の引当金の問題でございますが、これは引き当てるために公的資金を注入するというのではなしに、まず引き当てます。引き当てますとそれだけPL上損失が結局出てまいりますので、それを資本勘定で落とす。落としますと過少資本になります。過少資本になりますために、御案内のとおりで御説明するまでもないと思いますが、過少資本ではとても会社をしょっていくことはできませんので、そのために公的資金を注入する、こういう段取りになっておるというふうに考えております。
  135. 西川太一郎

    西川(太)委員 いや、結局住信は、健全債権しか引き受けないというのは、いわゆるPアンドAを望んでいるのであって、要するに俗な言葉で言えば、ばらばらにしていいところだけをとろう、そういうことなんですよ。  それともう一つは、金監庁がやっているでしょう。そしてさっきの話で、初歩的か初期的かでラインシートも検査し終わった、こう言う。ところが、住信の側は、外国の監査法人、そういうものに別途依頼しているんですね。それはなぜだと思いますか。これは私の想像ですけれども、いわゆるグローバルスタンダードに日本の検査はなっていない。つまり、はっきり言えば、金監庁の一生懸命やっておられる、大蔵省とか日銀とか、考査だとか検査だとかいろいろやっているけれども、それが時間的にもすごいかかるし、実質的にも信用できない、そういうことを雄弁に物語っているんじゃありませんか。どうですか。
  136. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  三月期の決算、これはどこのゴーイングコンサーンの会社でもそうだと思いますが、これはあくまでも期間損益ということを前提にして決算をするわけでございまして、中世の時代に、一航海ごとにすべての財産を売り払って、そしてそれを出資者に分配するというような形での決算をやっているわけではございません。これはゴーイングコンサーンでございますから。したがいまして、私どもの行う検査も、あくまでもその企業がゴーイングであるということを前提とした検査をやっております。  ただ、問題は、先ほど、外国の監査法人が仮に長銀の検査をする、デューデリをかけるということになりますと、これはやはり決算における会計監査人、公認会計士あるいは監査法人の監査、つまりゴーイングコンサーンとはちょっと違った視点になるのではないかと思います。  ただ、それじゃそれは清算を前提とする検査かと言われますと、それとはまたちょっと違っているのかなと。そこはやはりデューデリジェンスで、その監査に当たる、外国か日本かよくわかりませんが、そういった依頼される監査人が、合併ということを前提とした監査ということを心がけて恐らく職業的、専門家的な立場から資産の内容を検討されるのでありまして、それぞれの目的とかそれから方法が全く違いますので、私どものやっている検査が間違っているとそれのみをもって言われることは、ちょっと心外ということになると思います。
  137. 西川太一郎

    西川(太)委員 大蔵大臣、一度も御発言がないのでちょっとお願いしたいのですが、例えば今国際会計基準、IAS基準は連結ベースでやるのが常識ですし、それから時価評価で計算するのも、これは今いわゆるグローバルスタンダードというものになっているわけですね。日本だけはそうでない。こういうことの方が、金融恐慌云々というよりも先に国際的なものに合わせていくことの方が大事じゃないでしょうか。私はそう思いますけれども、いかがでしょうか。
  138. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 基本的には私もそう思います。やがて連結決算ベースで決算をして、それをチェックするようなことになっていかなければならないと思っております。
  139. 西川太一郎

    西川(太)委員 そこで、金融監督庁の調査というものがまだ時間がかかる、そして外国の監査法人に住信が依頼するのはそれなりの考えがあってやるんだろう、そういう趣旨の答弁があった、こう思うのですけれども、問題は、長銀に対して破綻認定ができないというところがやはり政府にとって一番重要なポイントなんだと思うのです。我々は、破綻を認定させてもいいんじゃないか、こういう意見もあるわけですけれども、そんなことしたら大変だ、こういうふうにたびたびおっしゃっているというふうに私は理解しておりますけれども、もし破綻認定さえできれば、いわゆる金融パニックを避けるためにも、現行法でいろいろな手段があるんだと私は思いますけれども、これは少し乱暴な議論でしょうか。大蔵大臣にお尋ねをしてみたいのですが。
  140. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 破綻というのは、債務超過の場合もありますし、あるいは、預金が事実上払われない、あるいは払う能力がない、両方ございますけれども、前者をおりしゃったんだと思いますが、ただ、債務超過であるかないかということはそれこそ検査によって決まるわけでございますから、そういうベースがなしに認定をするということは私は難しいのだと思います。  それから、いわゆる預金保険上の破綻でございましたら、それは今御審議願っておりますようなブリッジバンクの方式に移行できるのではないかと思います。
  141. 西川太一郎

    西川(太)委員 だから、ブリッジバンクに移行しなくても、現在の法律でやれることはいろいろあるんですよね。だから、そこを認めるか認めないかということがとても大事だと思うのです。  時間がありませんから、意見を言わせていただきますけれども、大体、破綻処理なんという言葉は言語学的に言ったってもう矛盾に満ちているんですよね。だって、破綻前なら健全銀行ですよ。処理を必要とするなら破綻銀行なんですよ。私のような弱い頭でもそのぐらいのことわかるのに、賢い方はこういうことがわからないわけないんで、これは意図的にやっているなと私はにらんだので、要するに、経営状況に不都合があると考えたらアメリカじゃどうしているかというと、コンサベーターという財産保全人が乗り込んで、そして安楽死できるように倒産処理に移行していくんですよね。こういうことも考えられるんじゃないかということは、私の意見として申し上げておきたいと思います。  それから、あと六分ぐらいしかないので申し上げたいと思いますが、昨日外電で、先ほど岩國先生からもお尋ねがありましたけれども、またその前の方々からもお話があったと思いますが、アメリカの株主が長銀を提訴した。アメリカの場合には、債権銀行が放棄すると、その放棄してもらったところの被放棄会社が、その相当分を株主に対して、株主の分だけ負担しなきゃならぬということがあるんですね。そういう国で提訴されたら、もう完全に長銀合併後の住信も負けるんじゃないですか。そうしたらどうするんですか。それは銀行のことだから関係ない、そういうことじゃないと思いますね。これこそまた検査結果に影響が出てきたり、いろいろするのじゃないでしょうか。  つまり、何が言いたいかというと、政府側はデリバティブがどうだとか、いつもそういう話をしますよね。しかし、実際に国内で、日本リースだとかランディックだとかエヌイーディーだとか、百に及ぶ関係会社の債権を、全部とは言わないけれども日本リースについては大変多くの額を放棄する。その結果、こういう国際的な事件に発展している責任は、監督庁としてどう感じますか。
  142. 日野正晴

    ○日野政府委員 長銀の株主のサード・アベニュー・バリュー・ファンドがニューヨークで長銀、住友信託を相手取って株主代表訴訟を提起したということは報道等で承知しております。これはあくまでも銀行と株主の問題でございまして、金融監督庁として、これに対してコメントする立場にはないということをひとつ御理解いただきたいと思いますが、事態の推移につきましては注視してまいりたいと思っております。
  143. 西川太一郎

    西川(太)委員 何かというと、金融監督庁としてはとか、政府としては関与する立場にないと。関与する立場にない者が何で国民の金をつぎ込めということをここで議論するのか、全く不思議でしょうがない。     〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕  最後に、実はこの間参考人大野木頭取にお尋ねをしたときに、私もちょっとうかつでございましたけれども政治献金の問題についてお尋ねしたんですね。  平成七年四千二百九十一万円、平成八年千八百四十八万円、平成九年は自己開示していただかなければわからないのですけれども、ざっと二年間だけでも六千万ぐらいの、こういうことを国民協会にしている。これが自民党に入っている。実際にはいろいろな形で、例の平成二年の選挙のときのあれの棒引きかもしれないけれども、これを聞きました。そうしたら、頭取が何と答えているかというと、結局それは指摘を認めて、平成十年は、今年度でございますけれども、今年度につきましては、こういう環境の激変、そして、こうした形で公的資金もお順いする、こういうことになりましたものですから、本年度につきましては献金は御遠慮するという考えでありますと。  私もそれにだまされてしまって、そうかいなと思って、よく調べて、またいろいろしたら、平成九年も、実は七、八だけじゃなくて九年も、何と八年と同額、全く同額の千八百四十八万円を自民党に献金していることがわかったのです。つまり、合わせて八千万も献金している。  これは、資本注入が十年の三月だったわけですよね。資本注入をやるかやらざるかということは、今の金監庁のあのペースでやる分には、もう平成九年ぐらいから実際には調査していたんじゃないかと思いますね。それは事実だと思いますけれども、そういうときに一方で政治献金を、受けるという方も受ける方だけれども、出すという方は、私は全く危機意識というものがないということを思います。  それから、大体、きょうのこの長銀の頭取代行の会見でも、さっき指摘したような都合のいいところだけは連結にしておいて、そうでないところはしない。さらに、ふざけたことを言っているんだ、この人。長銀にはのれん代が相応にありなんて。私も経営学を勉強しましたけれども、のれんなんというのは、ゴーイングコンサーンがあるからのれん代というのはできるので、もう精神しか残っていない、ガイストしか残さない、そういうものにのれん代なんかあるわけないじゃないですか。こういう認識で国民をたばかってはいけない、そう思います。  政治資金の件も含めて、元総裁であられる大蔵大臣に御感想を伺いたいと思います。
  144. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 政治資金のことは、ちょっと、私存じませんので、にわかにお答えができません。お許しをお願いします。  それから、きょう、のれん代と確かに言っておられるのを私も読みましたけれども想像いたしますと、合併のときの条件、そこはまだ長銀がゴーイングコンサーンでございますから、営業をしておるわけでありまして、そういう意味でののれん代というのはゼロではないであろう。幾らに評価するかという問題はございます。それはございます。しかし、死に体ではございませんから、ゴーイングコンサーンとしてののれん代を評価してほしいというのは、それは、私は会計学上当然かなと思います。
  145. 西川太一郎

    西川(太)委員 私は、もう死後何カ月もたっていると思いますけれども、そこは法医学の権威じゃありませんからあれですが、やはり国民は、最後に申し上げれば、もっともっと徹底した情報開示、それが前提でこういう議論が成り立つのだということを思っていると思います。これをはっきり申し上げて、時間でございますので、質疑を終わります。  どうもありがとうございました。
  146. 山本有二

    山本(有)委員長代理 これにて西川君の質疑は終了いたしました。  次に、木島日出夫君。
  147. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  私は、最初に、昨日新聞各級が報道いたしました、長銀住友信託銀行が、アメリカの中堅投資信託会社サード・アベニュー・バリュー・ファンドから損害賠償の裁判を起こされた、大変重要な出来事だと思いますので、お聞きをいたします。  大蔵大臣あるいは金融監督庁長官、どちらでも結構でありますが、早速、このことについて、被告とされた長銀ないしは住友信託銀行から確認をいたしましたか。また、訴状等の取り寄せをいたしましたか。
  148. 乾文男

    ○乾政府委員 米国におきましてそのような訴訟が提起されたということは、長期信用銀行から報告を受けております。
  149. 木島日出夫

    ○木島委員 韓告の内容を具体的に御説明願います。
  150. 乾文男

    ○乾政府委員 訴訟が提起されていることは今申し上げたとおりでありますけれども、その内容につきましては、これは銀行と株主との訴訟の問題でございますので、当庁から申し上げることは差し控えたいと思います。
  151. 木島日出夫

    ○木島委員 とんでもないと思うのですね。これは合併の成否に直結する重大問題だ。いっ裁判を起こされたのですか。幾らの損害賠償額を提起されたのですか。それぐらいは言うべきだと思うのです。
  152. 乾文男

    ○乾政府委員 訴訟提起日は九八年の九月一日、ニューヨーク州連邦地方裁判所というふうに承知しておりますが、金額、内容等につきましては答弁を控えさせていただきたいと思います。
  153. 木島日出夫

    ○木島委員 これは本当に重大なんですよね。宮澤大蔵大臣は、今度のこの合併のスキームができなければ長銀は立ち行かなくなる、日本金融システムに重大な影響が出るとまでおっしゃられた。無関心ではいられない。一体、幾らぐらいの損害賠償を、なぜ起こされたのか、これをつかんで、やはりここで報告すべきだと思うのですが、大蔵大臣の方はつかんでおりますか。
  154. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私の方で存じません。
  155. 木島日出夫

    ○木島委員 長銀がかりそめにも公的資金をもらい受けようという考えで今でもいるのなら、やはり堂々と、このぐらい裁判を起こされた、こういう理由で起こされた、株主から起こされたと開示できなくて、何で公的資金を請求できるでしょうか。言うべきだと思うのですよ。何で長銀をかばうのですか。裁判を起こされたなんというのは天下の周知の事実じゃないですか。秘密事項じゃな  いじゃないですか。
  156. 乾文男

    ○乾政府委員 先ほど申し上げましたように、これは訴訟でございまして、双方がそれぞれ、法廷に出るまで恐らく秘密にしておきたいという事柄がいろいろあろうかと思いまして、それを当庁から明らかにすることは、これは差し控えるべきと考えております。
  157. 木島日出夫

    ○木島委員 報道によりますと、日本長期信用銀行が系列ノンバンク三社にまだ返済能力があるのに三社に対する債権を放棄すると発表したため、長銀の株主として損害をこうむったというのが請求の理由となっていることが報じられております。  そうだとすれば、これは外国にいる株主だけの問題じゃない、国内長銀のすべての株主にも同じ問題があるわけですね。日本国内にいる株主からこういう動きはつかんでおりませんか、監督庁。
  158. 乾文男

    ○乾政府委員 国内株主からそういう訴訟が提起されたということは、現在まで聞いておりません。
  159. 木島日出夫

    ○木島委員 株主でないのに、この裁判では、合併を受ける、救済合併をする住友信託銀行まで被告にされたという状況であります。  住友信託銀行の方からは事情聴取していますか。九月一日のようですから、かなり時間がありますが、どうですか。
  160. 乾文男

    ○乾政府委員 住友信託銀行からは内容の聴取をいたしておりません。
  161. 木島日出夫

    ○木島委員 こんな非常に重大なことを関係銀行から聴取していないというのは、私は怠慢だと思うのです、金融監督庁として怠慢だと。  やはり報道によると、債権放棄は日本政府の圧力で長銀合併することになった住友信託の意向を受けて行われた、そういうことで、連帯責任、共犯だというので住友信託銀行が被告席に立たされた。そうだとすれば、共犯は住友信託銀行だけじゃなくて、これをやらせようとしている宮澤大蔵大臣、小渕総理大臣、みんな共犯になっても仕方がないような裁判ではないんでしょうかね。  住友信託なり長銀は、こういう裁判を起こされて、今どういう認識でいるのか、それもつかんでいないのですか。
  162. 乾文男

    ○乾政府委員 これは、先ほどからお答えしておりますように、訴訟の話でございますので、当庁としてコメントする立場にないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、事態の推移については注視してまいりたいと考えております。
  163. 木島日出夫

    ○木島委員 こんなに秘密主義、口ではディスクロージャー、ディスクロージャーと言っていますが、大事なことについては全く目をふさごうとする、こういう監督庁の態度は本当に許されないと私は思います。  しかし、押し問答になって時間がなくなりますから、質問を変えます。  きょう、同時刻に、参議院の金融特別委員会では、長銀頭取を初め四社の代表を呼んで参考人質問が行われております。先ほど長銀大野木頭取から、長銀には関連会社、親密会社が二十九あるとはっきりとお答えが参議院金融特でありました。  そこで、お聞きいたします。金融監督庁はこの事実は既に把握されておりますか。
  164. 乾文男

    ○乾政府委員 これも従来からお答えしておりますけれども、個別取引に関する言及は差し控えたいというふうに考えておりますので、御理解願いたいと思います。
  165. 木島日出夫

    ○木島委員 そんな態度で、長銀への公的資金投入是か非か、国会じゃ審議できないと私は思うのです。  答弁させてください。
  166. 乾文男

    ○乾政府委員 今、手元に持っておりませんけれども長銀に関連会社があるということは承知しておりますけれども、参議院の方でお答えになった二十九という数字につきましては、ちょっと今にわかに承知しておりません。
  167. 木島日出夫

    ○木島委員 もう大野木頭取が国会ではっきり発言している、こんなことはもう金融検査ですぐわかるはずのことですよ。名前を言えとまで参議院では要求されまして、参議院では、大野木頭取はディスクロージャーもやぶさかでない趣旨の話をしているのですから、全然隠す理由はないですよ。  では、こういう聞き方をしましょう。関連会社というのはどういうものですか、親密会社というのはどういうものですか。その概念を聞きます。
  168. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 私どもの方は証券取引法を所管する立場で、関連会社といいますのは、会社が他の会社の議決権の百分の二十以上、百分の五十以下を実質的に所有し、かつ、当該会社が人事、資金、技術、取引等の関係を通じて当該他の会社の財務及び営業の方針に対して重要な影響を与えることができる場合における会社をいう、これが関連会社でございます。  今先生が言われました親密会社というのは、ちょっと法律の定義がございませんので、また、現に当該銀行がどういう意味でそれを使われているかはちょっと私ども存じません。
  169. 木島日出夫

    ○木島委員 これも、長銀では当然のごとく親密会社という概念を使っているわけですから、こういうものがどういうものであるかをつかんでいないというのは、私は金融監督庁としては怠慢と思います。私は事前に長銀からレクチャーを受けておりますが、長銀としては、関連会社、親密会社には当然日本リースも入っています、日本ランディックも入っています、エヌイーディーも入っていますと答弁をされております。  そこで、次の質問に移ります。  実は私、前回、長銀大野木頭取を初めとする参考人質問のときに、ある物件についての問題を指摘いたしまして、質問をいたしました。さらにいろいろ調査活動を進めた結果、今日までのところ、十の物件についての事実が浮き彫りになってきました。それをまとめまして文書にしております。当委員会委員長の許可をいただきまして配付をいたしました。ごらんをいただきたいと思います。長銀の関連会社、親密会社所有の物件と、それらの物件に対して長銀が担保権をつけているかつけていないかについての、登記簿謄本等を精査して行った調査の中間での取りまとめであります。  ここに指摘しているのは本当に氷山の一角、私どもには何の強制捜査権もありません。長銀の帳簿を見る権限も、私は株主でありませんから、ありません。本当に外形的にうかがうことができる、法務局等を通じてうかがうことができることを調べただけであります。そんな本当に簡単な調査でも、これだけの問題が出てくるわけであります。  長銀の関連会社、親密会社が所有権を持って、しかも、長銀はもちろんのこと、どの債権者からも抵当権、担保権の設定のない、いわゆるさらな物件、これが五つ出てきました。  一つは、株式会社日本リースが江東区福住に持っている六階建てのビル。一つは、これも関連会社、親密会社の一つでありますが株式会社長友、問題になっております債権放棄の対象である日本ランディックが共有しております、港区新橋の九階建てのビル。関連会社の一つ、ファーストクレジットが中央区日本橋に持っていると階建て、地下二階のビル。それから、これも関連会社、親密会社の一つ、有楽町総合開発が中央区新富に持っている十階建てのビル。それからもう一つ日本リースが浜松町に持っている十階建て、地下二階のビル。  これはいずれもすさまじい大きな建物でありますし、その土地もあるわけでありますが、全部無担保であります。とても長銀は関連三社に対して五千二百億円の債権放棄をするような状況ではないと思うのですけれども金融監督庁、こういう事実は把握しておりましたか。
  170. 乾文男

    ○乾政府委員 繰り返しで恐縮でございますけれども、個別の案件につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、一般論として申し上げますと、個別の融資等にかかわります審査、管理の適切性などに関する責任につきましては、何よりも長銀経営者みずからが厳しく判断し、さらに株主等が総会等において追及されるべきものと考えております。
  171. 木島日出夫

    ○木島委員 先日の私の質問に対して長銀大野木頭取から、後刻調査の上、回答いたしますというこの委員会での御発言があり、それに従って先日、長銀から金融安定化に関する当委員会に対して回答がありました。浜松町の案件について回答がありました。こういう回答であります。  当社資産の中で極めて限られた資産である不動産を多数の債権者の中の一部の債権者のみに提供することは、全体の債権者に対して公平を欠くことから、これを行っていない、これは日本リースの立場からでしょう。自分が所有している物件について、それは極めて資産として限られているから、しかし債権者はたくさんある、一部の債権者のみに提供すると不公平になるから、それはやってないと。要するに、無担保で財産を持っているという意味なんです。  そして、さらに一点だけ。現時点で、当社、日本リースのことでしょう。当社が不動産を担保として提供している先は日本開発銀行のみ、こう聞いている。日本リースから長銀はこう聞いておると。要するに、これを裏づけているわけです。  日本リースとしてはたくさんの土地建物を持っている、しかし、それは無担保だ。長銀がメーンバンクである、長銀から二千五百億円を超える借金がある。しかし、長銀さんにも担保を入れていない。こんなことを放置していくことは許されるんですか、長銀として。ほかの銀行との公平などという問題じゃないですよ、今長銀は倒れるかどうかの寸前でしょう。押さえればいいじゃないですか。担保権をとればいいじゃないですか。親密会社、関連会社なら、いつでも、おい、抵当権設定契約に判を押せ、印鑑証明持ってこいと、あしたにでも抵当権設定登記できるじゃないですか。何でやらないのですか、やらせないのですか。やらせなかったら、金融監督庁の価値はないじゃないですか。
  172. 日野正晴

    ○日野政府委員 先ほど、高橋社長のステートメントということの中で三項目があったと思いますが、その第一項目は、正常先債権しか引き取らない、それから第二項目が、関連会社、親密会社は整理する、こういうことが合併の話し合いの前提条件だということが住友信託から提示されているわけでございます。  そこで、その合併の相手方となっております長期信用銀行は、合併を実現するためには、住友信託から提示されております。その条件を履行いたしませんと合併が成立いたしませんから、今真剣になって、住友信託との合併に向けた手続の中でそういったことを進めているのであろうかと思います。  それからもう一つ、ある物件を担保なしで所有していることが何か問題であるかのような御指摘がございましたけれども、それは決してそんなことはないと思います。むしろ、それは単なる所有権があるという表示をしているだけだと思いますし、それから、日本リースをどのようにしてこれから、つまり、つぶさずに、プロラタ処理といったようなことでなしに、再建計画の中で、こういった方策がそれぞれの債権者にとっても最もふさわしいということで恐らくお考えになったんだろうと思います。  これは、日本リースをこれからどうやって再建していくかというその再建計画の中で考えるべきことでありますので、それは当然のことながら、その関係者がそれぞれいい知恵を出して日本リースをこれからどうするかということを考えた結果、長銀としては、もうこういった方法しかないということになったというふうに私は理解しているところでございます。
  173. 木島日出夫

    ○木島委員 何を見ておるんですか。逆立ちしているんじゃないんですか。何で日本リースを助けて、長銀が実際上もう消えてなくなるんでしょう、これで。長銀立場に立ったらどうなんですか。大蔵大臣、どうですか。長銀の株主から見たらどうですか。  二千五百億円貸出金がある。しかし、債務者である日本リースは、もう経営が大変だから債権放棄してくれと。放棄してあげましょうと。そういうことを今やろうとしているんでしょう。自分の自己資本に穴があくというんでしょう。自己資本に穴があく、そんな状況にある長銀が、何で担保が目の前にあるのに担保をとらないんですか、債権回収しないんですか。おかしいじゃないですか。それで公的資金なんて本当におかしいんじゃないんですか。
  174. 日野正晴

    ○日野政府委員 同じ答弁で恐縮でございますが、「関連会社、関連親密先の同行による責任を持った整理」ということがこの合併前提になっているわけでございまして、合併をやめようと思えばそれはやめればいいわけですが、とにかく合併しようとする以上は、相手方との契約ということですから、これをやはり履行しませんと合併が達せられないということでやっているというふうに理解しております。
  175. 木島日出夫

    ○木島委員 こんなことをやっているから、アメリカの株主から裁判を起こされるんですよ。株主から見たら当たり前じゃないですか。長銀が今、合併したらなくなる、合併比率九対一で十分の一になっちゃうかもしらぬ。もう株券は二束三文、紙切れになる寸前でしょう、今。それで、最大の貸出先が日本リースだ。日本リースはもう全国各地にこういう無担保の物件をたくさん持っている。何で抵当権をとって債権回収に努力しないんだ。努力しないだけじゃない、放棄する。これはもう明らかに商法四百八十六条の特別背任じゃないですか。  法務省を呼んでいます。どうですか。債権者たる金融機関が、自分がもう身がもたないほど非常に厳しい状況にある、貸出先がある、しかし担保が目の前にある、それもとらずに逆に債権放棄しようとする。特別背任じゃないんでしょうか。
  176. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 一定の状況を想定されて犯罪の成否をお尋ねでございますが、具体的事件における犯罪の成否は、捜査機関が収集した証拠に基づいて判断されるべき事項でありますので、法務当局として、あくまで申し上げるべき性質のものではないと考えております。  ただ、一般論として抽象的に申し上げるということでお聞きいただきたいと思いますが、先生御案内のとおり、特別背任罪の構成要件は大きく分けて四つございます。一つは、取締役等という、その立場の問題です。二番目は、「自己若ハ第三者ヲ利シ又ハ会社ヲ害センコトヲ図リ」、これは二番目の要件でございます。三番目は、その任務に背くことでございます。四番目は、会社に財産上の損害を加えたこと。この四つが要件とされています。  債権とこれを担保する抵当権の設定の懈怠の問題でございますが、今申し上げた要件の中で、具体的証拠で認定される事実関係のもとで、主として二番目ないし四番目の要件が満たされれば特別背任罪が成立する場合があるということになろうかと思います。
  177. 木島日出夫

    ○木島委員 時間がありませんから、この問題、たくさんの判例が集積されておりまして、古くは大正十五年、背任罪が認められた事件で、銀行の金銭貸し付け並びに取り立て事務を担当する者が、貸付元利金の取り立てを放漫に付する結果、銀行に財産上の損失を加えたる場合においては、その貸付元本はもちろん、複利の方法により算出したる利息もまた背任行為に基づく損害であると。最近では、有名な、千葉銀行にかかわる背任事件なんかも集積されているわけであります。もう明らかにこれは背任ですよ。  もう一つ、皆さんにお配りした資料二のところでありますが、長銀の関連会社、親密会社が所有権を持っておる、そして長銀が担保権を取得している物件が五つ見つかりました。  先日私が指摘したのが一です。有楽町リゾート開発株式会社が一昨年所有権をとりました。そこに、長銀が慌てて平成十年八月二十七日に極度額百九十億円の根抵当権設定仮登記だけを辛うじてつけた。  二つ目。日本ビルプロヂェクト株式会社の所有する芝の物件。建物は十五階建てのビル。四百億円の根抵当権長銀はとっておる。  三つ目は、関連、親密会社であるエー・エル・エーが港区芝に持っている十一階建てのビル。これも長銀が、平成五年ですが、百五十一億二千万円の根抵当権の設定仮登記を持っておる。  そして四番目が、株式会社銀座二丁目ビル。中央区銀座の二丁目にある十四階建て地下三階建てのビルですが、これも長銀がことし八月十四日、慌てふためいたように五百億円の極度額の根抵当権設定の仮登記をしておる。  五つ目は、株式会社箱崎シティ開発。これは中央区日本橋蛎殻町の六階建てのビル。これも平成十年八月二十日、直前であります、六階建てのビルに極度額四百六十五億円の根抵当権設定仮登記をしておる。  金融監督庁、これらの事実、つかんでおりますか。
  178. 乾文男

    ○乾政府委員 たびたびのお答えで恐縮でございますけれども、個別の取引についての答弁というのは、これは差し控えさせていただきたいと思っております。
  179. 山本有二

    山本(有)委員長代理 質疑時間が終了しております。御協力くださいますよう、お願いします。
  180. 木島日出夫

    ○木島委員 はい、終わります。  この極度額は、債権額とはイコールではありません。担保にとる枠であります。しかも、これはほとんど仮登記であります。本登記ではないのですが、この極度額を全部集計しただけでも千数百億になるんですよ。これが本当に担保権が回収できれば、もう債権放棄の必要がなくなる。ましてや、さっき言ったように、日本リースその他長銀の関連、親密会社には無担保の土地建物が一等地に眠っているわけであります。これを放置して関連三会社の五千二百億円を放棄する、それで自己資本に穴があいだがら公的資金の投入などというのは、断じてこれは認められないということを事実でもって明らかにして、質問を終わります。
  181. 山本有二

    山本(有)委員長代理 これにて木島君の質疑は終了いたしました。  次に、濱田健一君。
  182. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 改めて政府にお尋ねしたいのですが、政府は、この委員会の審議を通じても、現行の金融安定化緊急措置法の枠組みで長銀への公的資金、税金の投入が可能であるという姿勢を一切変えていらっしゃらないと思いますが、今もそうだというふうに認識してよろしいでしょうか。
  183. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 長銀からその申請がございましたら危機管理審査委員会においてそれを審査される、その場合の基本法はこの法律であると存じます。
  184. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 審議を通じて、長銀破綻しているのではないかという声も、一つ一つの数字等出しながら明らかになりつつあると私は思っているわけでございます。  政府が投入できるというふうに判断をしておられるのであれば、八月の二十日に住友信託を呼ばれたように、長銀も改めて総理か大蔵大臣が呼んで、早く危機管理勘定十三兆円の借り入れの申請を三月のようにしなさいよと言われた方がいいのではないか。ますます体力が弱ってしまっていくのではないか。長銀を救おうということであればそういう手だてが必要ではないかというふうに思うのですが、いわゆる金融監督庁が審査の結果を今月中に出すやに聞いておるところでございますけれども、それらを待っておられるのではないかというふうにも考えるのですが、いかがでしょうか。
  185. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど申し上げましたのは、重ねて申し上げますが、もし申請が出されましたら危機管理審査委員会はこの法律に基づいて審査をせられるであろう、こう申しましたので、正確に再度申し上げておきます。  それで、ただいまの後段のお尋ねでございますが、長銀住友信託銀行との合併の契約の基本の考え方、これはもう御存じのとおりでございますが、それについての交渉が進んでおるものと存じますが、その中には、住友信託銀行の方で、いわゆるデューデリジェンスによって自分の方の責任で精査をするということもございましたりいたしまして、長銀としては、今この段階で申請をするその時期ではまだないと判断をしておられるものと想像をいたします。
  186. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 金融監督庁長官にお尋ねします。  先ほどの質疑の中で、ほぼ長銀についての下調べは済んだという答弁があったわけですが、長銀に関する検査は今月中に終了するというふうに理解してよろしいですか。
  187. 五味廣文

    ○五味政府委員 先ほど申しましたのは、三月期の決算の審査をいたします過程での、さまざまなラインシートのチェックから始まる審査というものの一番人手のかかる時期というのが山を越しているということでございますが、その後、今度は、その後に起こっておりますさまざまな事柄のできる限りの実態把握を行うという必要がございまして、そのための審査が続いておるという状況でございまして、いまだ立ち入り中でございます。  できるだけ早くこれを終了させたい、しかし内容的にはきちっと見てきてほしい、こういうことでございまして、いつ終了するということがなかなかはっきりと申し上げられる状況にないということでございます。
  188. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 今の答弁であれば、長銀と住信の合併というものも、この委員会の審議を通して、超過債務に陥っていたら十三兆の公的資金の枠が使えないということがはっきりと表明をされているわけでございますので、この金融監督庁の調査の終結、そしてその結果が大きくこの長銀と住信の合併劇に影響するものと理解してよろしいでしょうか。
  189. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  この十三兆円の勘定から公的資金を注入していただきたいという長銀の申請が金融危機管理審査委員会になされました場合には、その審査委員会でその申請を容認するかどうかということを厳密に審査されるものと思います。その際には恐らく、恐らくといいますかもうほとんど必然的だろうと思いますが、この預金保険法上の、預金保険機構が国や地方公共団体などに対して資料を提出してもらうという権限がございますので、恐らくその規定に基づきまして、私どもに対しまして、検査の結果を出してもらいたい、こういうことを言ってこられるだろうというふうに拝察いたしております。  その暁には、私どもといたしましては、金融危機審査委員会が御審議をなさるその審査にできるだけ寄与できるように、検査結果というものをそこに御提出をしたいというふうに考えているところでございます。
  190. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 大蔵大臣、今の長官の御回答といいますか、金融監督庁の調査結果も預金保険機構が請求をされるだろうというふうに今、まあ仮定の話ですけれども、言われました。そういうことからいうと、この長銀と住信の合併に向けて不良債権を償却するための財源とは言い切れないかもしれませんが、そういう方向を向いた公的資金の申請は、金融監督庁の検査結果が出なければやったらいけないと私は思うのですが、いかがで しょうか。
  191. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは基本的には金融危機管理審査委員会の御決定をなさるべき事項でありまして、私がかれこれ申す立場にないと思います。  ただ、せんだって来の質疑応答を伺っていますと、金融監督庁が今度十九行の検査を始められましたのは、何も長銀問題を目的としてやられたのではなく、今後ずっと毎年行われるでありましょうようなルーチンな検査の最初の、監督庁発足以来最初の検査であるというふうに伺っております。もちろん、その結果が危機管理委員会の御審査に利用されることがあれば、それはもとよりそういうことでございますけれども、また危機管理委員会としましては、そういう利用すべき調査の結果があれば利用なさるであろう、こういうのが御答弁の趣旨と私は拝聴をいたしておりますが、どうあれ、どうあってはならぬと、私から申す筋合いではないと思います。
  192. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 今までのこの委員会の審議をずっと聞いておりましても、情報開示という言葉がもう何百回と出てまいりました。行政の方も、そのことに前向きにやるということの回答は、言葉の上ではあるわけでございますけれども国民の皆様方が今不信を感じているこの公的資金の投入のプロセスの中では、私はやはりきちっとした情報の開示を全面的にやるべし、これは情報公開法を含めて訴えておかなくてはならないというふうに思います。  監督庁長官にお尋ねいたします。  債務超過に陥っているということが現実的に検査の結果で出た場合には、金融危機管理勘定十三兆円は使えないことになりますね。
  193. 日野正晴

    ○日野政府委員 金融危機管理勘定が使える要件として、いろいろなクリアしなければならない要件が列挙されておりますが、その中の一つとして、恐らく、債務超過ということになりますと、それは使えないということになるだろうと思います。
  194. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 大蔵大臣、そのときに、今の合併をされようとして苦心をされている条件が満たせなくなると私は思うのですが、長銀の残りの人生はどうなるんでしょうか。
  195. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、契約をしていらっしゃいます二つの企業の間でどういうふうにされるかというふうにお決めになることだと思います。
  196. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 我が党は、破綻前の処理という、きょうも質疑でございましたけれども、トータルして、国際的に、それで国内的にも、その銀行破綻して大きな影響を及ぼす部分については、めちゃくちゃに、破綻だけでオーケーという思いを持ってはおりません。  そういう意味では、国民の皆さん方の感情も、例えば情報の全面開示は当たり前のことです。すべての債務の洗い出し、経営責任の徹底、例えばこの中には、旧、現経営陣の総退陣、私財の提供、資産等の公開、当然、リストラ、刑事、民事上の責任の明確化、減資の株主責任の明確化など、また、金融危機管理審査委員会の一層の厳格的な審査基準、明確、透明化などを図る必要を感じております。  そういう意味では、金融安定化緊急措置法、この改正が必要なのではないか。もう少し進むと、もう一回これを取っ払って、もっと厳しい立法化というのも必要ではないのかなというふうに思うのですが、大蔵大臣、その辺はお考えはないでしょうか。     〔山本(有)委員長代理退席、委員長着席〕
  197. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 結局、本委員会で連日御審議いただいておりますように、いわゆる早期是正措置というものがとられましたときに、問題のないところはそれでよろしいわけですが、非常に問題があって是正命令を出す、あるいはもっと悪いとか、いろいろケースがございますと思います。そのときに、後どうするんだ、それはどこも破綻をしておれば別でございます、そうでない場合にはどうするんだということは、実はいろいろに検討しなきゃならない問題が、その部分は私はやはりあるんだと思っておりますから、そういうお尋ねがありますことは論理的に当然だなと考えます。ブリッジバンクの場合には破綻前提でございますから、そうでない、早期是正措置の結果、非常に成績が悪い、それをどうするんだという問題はあるというふうに私も、おっしゃるように思います。  それで、今のお尋ねの意味は、私なりに思いますと、公的資金導入するということがやむを得ないとしても、それの前提、あるいはそれに伴うディスクロージャーであるとか責任に関する厳しい措置であるとかいろいろなものが十分に法律で定められるべきではないのか、そういう趣旨のお尋ねだろうと私は思いまして、今まで行政的にそれはいろいろに御説明いたしておりますけれども、そういうこともきちっと法律に書いておくべきではないかというお立場は、私は、当委員会の御審議を拝聴しておりまして、それは確かに一つの御主張だというふうに思っております。
  198. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 主張だけを受けとめるということなんでしょうか。
  199. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この問題は、いろいろなこととあわせまして各党で御討論中でございますので、私が余り、いずれとも出過ぎたことを申し上げない方がいいというような意味で、ただいまのようなことを申し上げました。
  200. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 我が党が破綻処理も重視しておりますのは、やはり金融不安を抑えつつ日本金融機関の再編成を促すということを、これはどこの政党もそうだと思うのですが、視野に入れているからでございます。現在の金融不安は、日本版ビッグバン、四月からスタートいたしましたが、これと重なって拍車がかかった側面もあると私は思います。  宮澤大臣が、ビッグバンではオーバーバンキングは競争で解消されると御発言をされました。そうであるなら、それにふさわしいシステムを、今始まっております与野党協議等の中でも、これはちょっと法案に対しての協議会ですからふさわしくないかもしれませんけれども、あらゆる機会で、あらゆる場でつくるという政府の蔵垣的な姿勢が必要ではないのかと考えるのですが、いかがでしょうか。
  201. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほども申しましたような理由で、余り差し出がましいことを申してはならないという気がいたしますが、一般論といたしまして、今委員の言われましたような問題は確かに残っている、いっかその問題を処理しなければならないのであろうということは私も考えます。
  202. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 いつかというのは、今のこういう緊急的な状況が落ちついて、じっくりと、オーバーバンキング、国内金融界の整理というものを目指さなければならない、そういう意味でございますか。
  203. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまいろいろ法案の取り扱いについて御検討中でございますので、それとの関連においてちょっと申し上げることは難しゅうございますが、そういう問題意識は私は持っておる、こういうふうに御理解ください。
  204. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 長銀への公的資金導入、そして、それが吸収合併への道を模索するための資金の活用というふうに国民の皆さん方は信じ切っているところがございます。危機勘定十三兆円の、これはずっと主張してきたわけですが、あれをつくったときの精神というものを絶対に忘れてはならないと私は思っておりまして、今出されている政府案、野党案、どのように論議をしていくべきか、非常にある面では重大な問題を含んでいるというふうに考えております。  社民党も、みずからの政党が基本的につくり上げた思いというものをこれからもこの委員会の中でも主張させていただきたいというふうに思います。  以上で終わります。
  205. 相沢英之

    相沢委員長 これにて濱田君の質疑は終了いたしました。  次に、笹木竜三君。
  206. 笹木竜三

    ○笹木委員 無所属の会の笹木竜三です。質問を始めます。  これまでも何回か検査体制についてお伺いをしたわけですけれども、きょうも主にそのことについてお伺いしたいと思います。  最初に、この前私が質問をした折にですけれども、アメリカでの検査体制と日本の検査体制の違いとかそういったお話をしまして、向こうの場合には、問題があった機関には一年間常駐ということもあった、二、三カ月常駐して勝手にファイルを見回ったりしている、そういうような検査体制でやっていると。それに対して日本は余りにもお粗末だ、検査日もわかっていて資料も事前に移している、聞き取りで一件当たり二分とか三分でやっているとか、そんな話をしました。  この充実ということに向けて、二、三カ月間常駐してしっかりと不良債権の全体像とか債務の状況を把握する、これをしっかりやらないと、場当たり、後追いの対応が一向に変わっていかないんじゃないか、そう思うわけですけれども、前回ここでそういった話をした折に、金融監督庁の方から、常駐を許す根拠、法制的に若干制約があって難しい、そういった答弁がありました。具体的にどういう制約があるかをお伺いしたいと思います。
  207. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  確かに、常駐してはいけないという法律はございません。  ただ、実際問題といたしまして、常駐してはいけないという法律がないからそれじゃ常駐すべきだということになるかといいますと、やはり実際問題といたしましては、公務員がそういった金融機関にいつもいるということは、金融機関の営業の妨げにならないかどうかとか、それから、特定の金融機関との間で、何かやはり、金融監督庁の検査官との間に何か癒着があるのではないかというような、外見上、実際はそういうことがなくてもそういうふうに見えるのではないかとか、それから、少ない人員なものですから、今でもとにかく人が少ないのに、各金融機関に張りつけるだけの果たして人的な余裕があるかどうかと、これは実際問題なんですけれども、そういったさまざまな理由からなかなか常駐というのは難しいかなというふうに考えます。  しかし、検査はより一層充実しなければならないということは十分に認識しておりますので、この金融検査の充実強化にはこれからも努めてまいりたいと考えております。
  208. 笹木竜三

    ○笹木委員 お話を伺っていますと、前回は、法令上の制約があるから無理だろうというお話だったわけですけれども法律的な制約はないということですね、確認をしたいわけですけれども
  209. 日野正晴

    ○日野政府委員 常駐という意味では法律にはございませんけれども、検査官が金融機関に立入検査をする場合には、銀行法の二十五条に基づきまして、目的が書いてある、必要性といいますか、これは業務の健全かつ適切な運営を確保する必要があるときに限って内閣総理大臣に検査官による立入検査の権限が付与されているということになりますので、これは決して常駐を禁止してはおりませんけれども、常駐を想定はしていないということを申し上げているわけでございます。
  210. 笹木竜三

    ○笹木委員 何か余りよくわからないんですけれども、業務の妨げになるとか、さっきいろいろお話しになったようなこと、確かに、監督庁と日銀、さらに大蔵とのやりとり、いろいろあって、これを一元化していくとかいろいろな対応が今後必要になるかもしれませんけれども、常駐をやるべきじゃないという理由とはとてもさっきのお答えからは理解することができないわけですけれども大臣に確認をしたいわけです。  検査体制の不備が何回もこの委員会でも言われ、先ほど他の委員もそういった質問をされていました。非常に問題がある、今回の場合はそうだと思うのですけれども、問題があるような場合には常駐も含めてしっかり検査体制を変えていくんだ、必要があると思うわけですけれども、御意見を伺いたいと思います。
  211. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 従来、護送船団のような行政をやっておりましたときは、後の検査というのはそれほど必要でなかったという考えもあるかもしれませんが、もうこれからは、基本的には競争で自由であるということになりますと、今度は消費者のための検査というものが非常に大事なことになってまいります。それは、もう今までと質的に違った重要性を帯びることになると思いますから、この陣営を強化するということは、いかなる意味でも必要でございますし、また、そのための定員、予算の要求を金融監督庁から受けております。  私はこれは大事にしなきゃならないと考えておりますが、ただ、この常駐というようなことが、仮に、どういうことでございますか、きっと一番監督庁がお考えになるのは、我が国の今までの社会の習俗の中で余りそういうことがございませんから、それとの関連でどういうことになるのだろうかということをお考えかなと思っていまして、私は、その点素人でございますので自分の意見を申し上げることができませんが、監督庁の陣容を増強することについては大変大事なことと思っております。
  212. 笹木竜三

    ○笹木委員 先ほど、他の委員もこのことを話されていたわけですけれども金融監督庁の検査が終わった後で、長銀債権とか資産の内容について別に住友信託は検査をする、調査をすると言っています。これは、例えば弁護士とか会計士とか監査法人、世界のビッグシックスと言われる監査法人ですか、アーサーアンダーセン、そういうところも動員してやると聞いております。要は、やはり監督庁の検査が非常にお粗末だと見られているんじゃないでしょうか。今とろうとしているいろいろな対策というのは、今までなかったような対策をとろうとしているわけですから、ぜひ常駐も含めてしっかりやっていただきたい、そう思います。  それと、今、長銀への検査、これはどういうようなメンバーで何人でやっておられるのか、これも確認をしたいと思います。
  213. 五味廣文

    ○五味政府委員 長銀には七月十三日から入りましたけれども、最初十二名で入りまして、その後三名の検査官を追加いたしております。  メンバーは、金融監督庁本庁の金融証券検査官とそれから財務局の金融証券検査官、これの混成チームという形でございます。
  214. 笹木竜三

    ○笹木委員 第一勧業銀行への検査が、あるいは富士銀行に対する検査も十七名入っていると聞いています。これだけ今問題になっている長銀に対する検査が十五名で、しかも民間の方は一名もいないと聞いております。  いろいろ外資系の方にお話を聞いても、銀行員のOBであるとか、そういった方を投入してやる検査がやはり効果的だったと言うわけですけれども、そういった民間の方も含めた検査、これをぜひやる必要があると思うわけですけれども、監督庁がなかなかしっかりやらないので、さっき言ったように、住友信託は別にやると言っています。  長銀不良債権の実態が、例えば割引金融債、無記名の金融債を使ってかなり粉飾されているんじゃないか、そういった可能性が高いんじゃないか、そんなこともよく言われています。こういったことも含めて、この住友信託による調査の結果、かなり金融監督庁とは違ったものになる可能性が高いと今言われているわけですけれども、その検査の結果、今政府が進めようとしているような合併、これが不可能になる可能性も十分あると思います。  そういった可能性について大蔵大臣はどういうふうに考えておられるのか、御意見を伺いたいと思います。
  215. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  私どもが行っております検査といいますのは、あくまでもゴーイングコンサーンを前提とした検査でございます。三月期の決算、それから自己査定をチェックしているということでございます。  一方、今御指摘のありました、アンダーセンですか、会計事務所が行うデューデリジェンスによる検査といいますのは違った結果になるのではないかという御指摘がございましたが、私どもは決してそれを否定するものではございません。  と申しますのは、やはり合併のための検査ということになりますと、私どもが行っているゴーイングコンサーンの検査とは違った視点からといいますか、どちらかといいますと、例えば商品を売り買いするような感じで、つまり買う方の立場に立って、時価を中心とした評価ということになろうかと思います。  要するに、同じものでも、私どもが見る視点といいますか評価と、それから住友信託と契約によって検査を行う、アンダーセンが行う検査とはやはり視点が違いますので、当然その結果が違ってくることもあり得べし、むしろあるいはかなり違う可能性はあるかと思います。  ただ、違ったからといって、それはあくまでも住友信託銀行合併前提としてこれをやるよと言っておりますので、違ったからといって、決して合併が御破算になるといったようなものではないと思います。
  216. 笹木竜三

    ○笹木委員 もう時間が来たので大臣に御確認したいのですけれども、住友信託の方から、いや進めようとしているような形では御免こうむりたいと言う可能性が十分あると思うのですけれども、その点についてはいかがですか。
  217. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 全く仮定のことでございますのでお返事のしょうがございませんが、恐らくその場合には、両当事者によって合併契約を再検討するということになるのであろうかと想像いたします。
  218. 笹木竜三

    ○笹木委員 もう時間が来ましたので、質問を終わります。
  219. 相沢英之

    相沢委員長 これにて笹木君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十一分散会