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1998-09-08 第143回国会 衆議院 金融安定化に関する特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月八日(火曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 相沢 英之君    理事 石原 伸晃君 理事 藤井 孝男君    理事 村田 吉隆君 理事 保岡 興治君    理事 山本 有二君 理事 池田 元久君    理事 中野 寛成君 理事 坂口  力君    理事 谷口 隆義君       愛知 和男君    伊藤 達也君       伊吹 文明君    岩永 峯一君       江渡 聡徳君    大野 松茂君       大野 功統君    金田 英行君       河村 建夫君    熊谷 市雄君       倉成 正和君    佐田玄一郎君       滝   実君    津島 雄二君       中谷  元君    西川 公也君       蓮実  進君    宮本 一三君       目片  信君    望月 義夫君       山本 公一君    山本 幸三君      吉田六左エ門君    渡辺 喜美君       上田 清司君    枝野 幸男君       岡田 克也君    海江田万里君       北村 哲男君    佐々木秀典君       仙谷 由人君    古川 元久君       細川 律夫君    石井 啓一君       上田  勇君    大口 善徳君       並木 正芳君    西川 知雄君       鈴木 淑夫君    西川太一郎君       西田  猛君    佐々木憲昭君       佐々木陸海君    春名 直章君       濱田 健一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         内閣審議官   白須 光美君         金融監督庁長官 日野 正晴君         金融監督庁検査         部長      五味 廣文君         金融監督庁監督         部長      乾  文男君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主税局長 尾原 榮夫君         大蔵省金融企画         局長      伏屋 和彦君         大蔵省国際局長 黒田 東彦君         労働省労政局長 澤田陽太郎君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君  委員外出席者         議     員 池田 元久君         議     員 枝野 幸男君         議     員 古川 元久君         議     員 石井 啓一君         議     員 西川 知雄君         議     員 鈴木 淑夫君         議     員 谷口 隆義君         衆議院法制局第         二部長     窪田 勝弘君         最高裁判所事務         総局民事局長  石垣 君雄君         参  考  人         (金融危機管理         審査委員会委員         長)      佐々波楊子君         衆議院調査局金         融安定化に関す         る特別調査室長 藤井 保憲君     ————————————— 委員の異動 九月八日  辞任         補欠選任   愛知 和男君     目片  信君   大野 松茂君     熊谷 市雄君   大野 功統君     西川 公也君   砂田 圭佑君     望月 義夫君   北村 哲男君     佐々木秀典君   西川 知雄君     並木 正芳君   木島日出夫君     佐々木陸海君   濱田 健一君     秋葉 忠利君 同日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     岩永 峯一君   西川 公也君     大野 功統君   目片  信君     愛知 和男君   望月 義夫君     砂田 圭佑君   佐々木秀典君     細川 律夫君   並木 正芳君     西川 知雄君   佐々木陸海君     木島日出夫君   秋葉 忠利君     濱田 健一君 同日  辞任         補欠選任   岩永 峯一君     大野 松茂君   細川 律夫君     北村 哲男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  不動産に関連する権利等調整に関する臨時措  置法案内閣提出第一号)  金融機能安定化のための緊急措置に関する法  律及び預金保険法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二号)  債権管理回収業に関する特別措置法案保岡興  治君外三名提出衆法第一号)  金融機関等が有する根抵当権により担保される  債権譲渡円滑化のための臨時措置に関する  法律案保岡興治君外三名提出衆法第二号)  競売手続円滑化等を図るための関係法律の整  備に関する法律案保岡興治君外四名提出、衆  法第三号)  特定競売手続における現況調査及び評価等の特  例に関する臨時措置法案保岡興治君外四名提  出、衆法第四号)  金融機能再生のための緊急措置に関する法律  案(菅直人君外十二名提出衆法第五号)  金融再生委員会設置法案菅直人君外十二名提  出、衆法第六号)  預金保険法の一部を改正する法律案菅直人君  外十二名提出衆法第七号)  金融再生委員会設置法施行に伴う関係法律の  整備に関する法律案菅直人君外十二名提出、  衆法第八号)      ————◇—————
  2. 相沢英之

    相沢委員長 これより会議を開きます。  内閣提出不動産に関連する権利等調整に関する臨時措置法案及び金融機能安定化のための緊急措置に関する法律及び預金保険法の一部を改正する法律案並び保岡興治君外三名提出債権管理回収業に関する特別措置法案及び金融機関等が有する根抵当権により担保される債権譲渡円滑化のための臨時措置に関する法律案並び保岡興治君外四名提出競売手続円滑化等を図るための関係法律整備に関する法律案及び特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法案並びに菅直人君外十二名提出金融機能再生のための緊急措置に関する法律案金融再生委員会設置法案預金保険法の一部を改正する法律案及び金融再生委員会設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案の各案を一括して議題といたします。  本日は、特に菅直人君外十二名提出の各案について審査を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金田英行君。
  3. 金田英行

    金田(英)委員 当特別委員会も、野党の案もそろいまして、政府案といろいろなその長短を比較し合った議論が大分進んできたところでございます。まだ野党の方から信用保証協会等々で債権の引き継ぎを円滑に行うための法律案提出予定だというふうに聞いておりますけれども鈴木淑夫委員にお尋ねしますが、いつごろ提出予定でしょうか。
  4. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)議員 お尋ねの信用保証協会それから中小企業信用保険公庫等改正法案は一両日中に、早ければ本日午後、遅くも明日には院に提出する予定でございます。
  5. 金田英行

    金田(英)委員 ありがとうございます。  それで全部がそろって大体舞台は取りそろうわけでありますが、昨日の議論等々を踏まえて、ちょうど西川さんのきのうの御答弁にあったわけですが、野党案与党案を比較してみて、野党案がすぐれている点は五つあるぞというふうに述べられておりました。  御確認しますけれどもディスクロージャー野党案の方が随分と進んでいる、与党案よりもずっと進めているのだということが一点であります。それから、金融再生委員会で一元化が図られているし、三条機関等々であるから公正な判断ができるのだ、この点でも野党案がすぐれている。それから三つ目には、裁判所を関与させている、そういうことでもまたすぐれているのだというお話がありました。四つ目は、公的資金の注入が野党案ではないのだ、そういったことで金融安定化法等の廃止を野党案では盛っているのだということだろうと思うわけであります。また五つ目は、ブリッジバンクについては、政府の言っているものについては大手銀行には適用が極めて難しいのだ、そういったことで、広範に、破綻前または破綻後、相応に対応できる野党案の方がすぐれているのだというふうなお話であったと思います。  この五点について、西川委員の御答弁ですので、それでよろしいかどうか、たくさんあるわけでしょうけれども、今御確認いただきたいと思います。
  6. 西川知雄

    西川(知)議員 今の御確認ですけれども処理期間が短いというところもたしかつけ加えさせていただいたと思います。
  7. 金田英行

    金田(英)委員 処理期間についてもお話があったかもしれません。大体そのような五つの点、あるいは処理期間が短い、早期に処理が可能だというようなことだろうと思います。  私、地元に戻ると、いろいろな人の御意見をよく賜ります。そして、いろいろな市民のと申しますか住民の皆さん方の御意見を賜る中で、自民党は一体どうなっているのだ、野党案の方がすぐれて我々の気持ちにぴったり合っているぞというような野党案のお褒めの言葉をいただくわけであります。  そのことにつきまして、どういう点がすぐれているのだというようなことを尋ねるわけですが、九億三千万もの退蔵金をもらうような、そういったところに我々の税金をつぎ込むのは、自民党、どうしても納得いかぬとか、あるいはまたディスクロージャー等々をしっかりとしてもらわないと困るのだ、だから野党案はすこぶる国民皆さん方気持ちにマッチした案だというふうにあるわけですが、いや、そうではないのだよと、一つ一つそういったことについて、これは大分長い間、説得に時間がかかるわけであります。  確かに、国民皆さん方が那辺のことを考えて、どういったことを望んでおるのかということをこのような野党法案にまとめられたその器量についてはまさに敬服する次第でありますが、この五つの点につきまして、現実には、果たしてその法案よしあし評価というものについては、いかに国民気持ちをぴったり組み込んだかということよりも、現実問題として、それが現実妥当性があるのかどうか。そして、それが実際に効果を上げ得る内容であるのかということが問われなければならないのだろうというふうに思うわけであります。単に国民感情に迎合するような政策だけではないのか。いま一度この五点について検証してみたいというふうに思います。  その前に、私たちは、政治家である以上、いろいろな理想を持っております。それぞれの理想を必然的に持っているわけでありますが、現実のこうあらまほしかれというようなこともありますし、こうあるべきだというのも我々も持っているわけであります。しかし、このような理想現実ギャップ、我々はこのギャップにいつも悩みながら現実政治の決断をしていかなければなりません。時には、厳しい現実の前に、おのれの理想を大幅に断念せざるを得ないということも、政治でありますからあるわけであります。  現実社会をどうやって運営していくか。そして、それがより現実に合うような政策になっているのかどうかということがその政策よしあしを決める評価判断基準であろうというふうに思うわけでありますが、その点について、それでよろしいのかどうか、そうではないのだ、国民感情にさえ合っていればいいのだというのかどうか、そこら辺を御確認させていただきます。
  8. 池田元久

    池田(元)議員 当委員会ポピュリスト論争がございましたが、私は、金田委員も多分そうでございましょうが、この金融危機に当たり、どのようにこれを乗り切るかがこれからの日本の進路にとってまさに分かれ目になるのではないか。九二年以来の密室裁量行政から決別して、ルールに基づいた処理をして、危機乗り切りばかりではなく、それを日本経済再生につなげなければならない、そういう意気込み、姿勢のもとにやっていかなければならないと思います。  そういった意味で、まさに民主党、平和・改革、自由党の金融再生法案は、これまでの行政金融行政を転換して、グローバルスタンダードにのっとった形でこの危機を乗り切る、情報開示、責任の明確化、そして公正な処理、これをまさに眼目にしていることを御理解いただきたいと思います。
  9. 金田英行

    金田(英)委員 御賛同いただけたのだろうというふうに御理解させていただきます。  五つの点のまず第一番目でございますディスクロージャーについてであります。  野党の案では、金融機関債権分類ごとに、その基準あるいは債権別引き当て基準等々について一半年ごとにその額について、状況引き当て率等々について報告することが義務づけられているわけであります。しかし、アメリカのSEC、証券取引委員会でもこのような厳しい基準というのは設けていないわけであります。  こういったことについて、確かにディスクロージャーをして、それから二〇〇一年四月から始まる金融のペイオフに備えて、この銀行は大丈夫だろうか、この銀行は大丈夫だろうかというような、国民判断基準を示さなければならない、そういった資料を提供しなければならないということはあるわけですけれども、かえってこのことがさらなる貸し渋りやあるいは回収に動くというような動きを増すのではないかというふうに疑問に思うわけであります。  その点について、確かにそんな形になるんだろうというふうに思うわけでありますが、どんな御関心を持っているか。
  10. 古川元久

    古川議員 金田委員お答えをいたします。  ただいまの問題につきましては、委員からアメリカ基準よりも厳しいのではないかというお話がございましたが、今、日本金融機関が置かれている立場は、健全である金融機関までもがすべて、日本金融業界全体が、銀行全体が悪いのではないか、そういう不信感をマーケットから持たれておるわけでございまして、そうした中で、これから二十一世紀、もうすぐ目の前に近づいております金融ビッグバンの中で、本当に世界の中で競争できるような日本金融機関というものもやはり存在していかなければいけないのではないか、私はそう考えております。  そのためには、まさにこの状況の中で、総不信というような形で不信感を持たれておる、そこは何も、アメリカ基準よりも厳しい基準を出しても、健全であればこれは全く問題がないわけでございます。そうした意味では、むしろ市場の信頼を獲得するという意味でも、私たち日本は進んで、アメリカ基準、それと比較するのではなく、むしろ日本がこれからの時代のビッグバンの中で、世界の中で金融機関が激しい競争をしていかなければならない、その中では、厳しい中での情報開示でも十分に生き延びていけるような、そういう経営体質経営状況に持っていくべき、そのように私はこれからの金融行政というものもルールは定めていかなければいけないのではないかと思います。  また、二点目の、そうしたことをすると貸し渋りなどが起こるのではないかというお話がございますが、今のようなあらゆる金融機関が健全なところも含めて怪しいと思われて、市場でも、まあ委員も御指摘になられるかもしれませんが、いわゆる投機的な思惑によって銀行株が売られているというような状況になりますと、本来貸し出しをふやせるようなところまでふやせないような状況が出ている。むしろこうした、問題を不透明にしたままによって、金融業界全体が、金融機関全体が貸し渋りを行っているような、そういう体制はやはり一日も早く改めなければいけない。金融ビッグバンの中で生き残れるところ、そしてやはり整理、淘汰されていかなければならないところ、そうしたものを早く明確にしていって、新しい形に、金融ビッグバン後における新しい日本金融秩序というものを一刻も早く打ち立てることが、長期的に見ても、貸し渋りといったような現象をなくしていくものだろうと思います。  また、もちろん過渡的なところについての貸し渋り対策につきましては、これはまた別の手当てをするべき問題でありまして、情報開示をしたら貸し渋りが進むからと、そういうことで情報開示を怠るというようなことがあってはこれは本末転倒ではなかろうか、そのように考えております。
  11. 金田英行

    金田(英)委員 理想理想でわかるのですが、果たしてそれが現実的なことなんだろうか。  私、地元におりまして、ある信金理事長からこのようなことを言われました。野党案のこのようなディスクロージャーでは大変なことになると。実は、不景気もこれあり、第二分類債権ばかりふえて、中小企業というのはほとんど、商店なんかはみんな赤字であります。そういった赤字のような状況の中では第二分類に整理せざるを得ないというような形の中で、ほとんどが赤字体質の中で第二分類だけがふえていく。そのようなことを報告しなければならないというようなことになると大変な金融不信というのが出てくるのだということで、このような厳密なと申しますか、ここまでも開示する必要があるのかいな、何とかやめてくれというのが実際の金融機関の本音だろうというふうに思います。  確かに理想理想としてあるわけでありますが、古川さんがおっしゃったことは理屈ではわかるのですが、果たして今の金融機関がそのような対応であるであろうか。そういうことをした結果、今の現状では、貸し渋りが本当に急激に起こったり、あるいは資金回収に走ったり、あるいは資金が収集できなくなるというような危険が裏腹にあるわけでありますから、その点、現状の認識がどうなっているのか。そして、実際に半期ごとにこの種の報告をさせるのはいつからなのか。そこら辺、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  12. 古川元久

    古川議員 お答えいたします。  実は私のところにも地元信金理事長さん、会長の信金の方がいらっしゃいました。どうも誤解をされておられるようでございます。ひょっとすると金田委員誤解をしておられるかもしれませんが、私どもは、第二分類になっている、そこの企業名前まで公表しろと言っておるわけでございません。  信金理事長さんが私に言ってきたのは、そういう企業名前を出したら、そういったところが融資先から、つまりあそこは危ないところだと言われてしまう、そういう不信を持っている。どうもそういう誤った情報がどこからか流れておるような気配が私はいたしております。  私たちが言っておりますのは、要は、第二分類債権総額各行ごとにどれだけあるか、そしてまたそれぞれの銀行がその分類債権に対してどれだけの引き当てをしているか、その部分について公表しろということを求めておるわけでありまして、決して個別の、分類されたところの企業名前を出せとか、そういうことを申しておるわけでない。  そこのところを、私のところにいらっしゃいました信金理事長さんにもお話ししましたら、安心してお帰りになられましたので、委員のような御心配はないのではないかというふうに思っております。
  13. 金田英行

    金田(英)委員 私は決して、個別の債権そのものを、債務者だれそれの債権が第二分類だぞとか、それは第三分類だぞ、そのようなことを公表しろと言っていることでないことは理解しているつもりであります。しかし、このような厳密なディスクロージャー、第二分類債権は全体債権の何割あるのだ、引き当て率は一割五分しかないよとか一割しかないよとか、いろいろなことが公表されることによって、やはり自分もその信金に、あるいは金融機関債務を負っているとしたら、私はどの分類に当たるのだろうか、そういったことがいろいろ出てきて、その金融機関信用にも多大な影響が出てくるわけでありまして、何としても健全な金融機関として表示するということは、銀行理事者としては当然考えることだというふうに思うわけであります。  そういったことで、こういうふうな厳密なと申しますか、過剰なディスクロージャーというのは、決して現下の経済状態において百害あって一利なしというふうに考えるところであります。  それから、先ほどの質問ですが、漏れがあったのですが、いつから実際にこのようなディスクロージャーを実施する予定なのか。  実は、きのうの我が党の江渡委員質問の中で、野党さんの回答の中で、今のままの基準での公表は考えていない、金融再生委員会が第二分類債権をより細分化して統一した基準をつくるから心配しないでほしい、そういう答弁がありました。どんな心配なのか、何で心配しなくてもよいのか、そこら辺を明確に答えてほしいと思いますし、それに、十分な周知期間を置くから、ずっと先のことだから銀行さんは御心配しなくても結構ですというような御回答もあったと思うのですが、これはどういうことを指しているのか。  要するに、ディスクロージャーした、したと言っているのがこの程度のことであれば、何らのディスクロージャーでないのではないかというふうに思うのですが。
  14. 石井啓一

    石井(啓)議員 若干誤解があろうかと存じますので、正確にお答えを申し上げたいと思いますけれども、私どもが昨日答弁をいたしましたのは、現行の資産分類、第一から第四分類区分資産を査定して、それを報告して公表するというものではございません。特に今の第二分類については、いわば玉石混交の状態でございますので、まともな企業もここに入っていると何か悪い企業のようにとられる。そういうことではないのではないか。もっとこの第二分類についてはより細分して、例えば少なくとも三つないし四つにもつと区分をして、またその意味合いも明らかにしていく。そういうことによって、何か、第二分類がこれだけあるからこの銀行は危ないのではないかというような、そういう誤解を招くようなことのないようにしましょう、そういうことでございます。  周知徹底に時間をかけて、ずっと遠い将来にやるということではございません。統一基準をつくった上で、それを銀行にもあるいは世間にもよく知らしめた上でやりましょう、こういうことでございます。
  15. 金田英行

    金田(英)委員 果たしてそんなことでいいのかなという気がするわけでありますが、第二分類をもう少し細部に分けて、二の一、二の二、二の三というような通し番号で言うのかもしれませんが、そのような分類にすれば、ますますもって厳密なディスクロージャーということになってしまいますし、銀行の、金融機関理事者にとっては過酷な、不必要な開示になるのではないかというふうに思うわけであります。それは考え方の差でしょうけれども、非現実的でないのかなということであります。ディスクロージャーディスクロージャー、おれたちの案の方がディスクロージャーだ、ディスクロージャーが進んでいるということについては、はたと疑問に思う次第であります。  何か言いたいことはありますか。どうぞ。
  16. 古川元久

    古川議員 先ほど金田委員は、ディスクロージャーについて、我々の案がアメリカよりも厳しいのではないかというお話がございましたね。  アメリカの方では、第二分類をもう少し細分化しているのですね。そういった意味では、私たちが言っているのは、アメリカよりもまだ今の日本の方は、つまり第二分類が余りにあいまいになっていて、むしろアメリカ基準に合わせようと。先ほどアメリカより厳しいのはいかがかという御指摘がございましたが、その意味では、そこの部分については委員の御指摘も踏まえたような形で、第二分類アメリカ並みに三分の幾らに分けていったらいいのではないかというふうに申しておるわけです。  また、このディスクロージャーの問題については大変に、こういうものをしたら健全な金融機関まで不安に巻き込まれるのではないか、そういう御心配をされておられるようでございますが、ディスクロージャーをして不安になるようなところが果たして健全な金融機関と言えるのか。  つまり、ディスクロージャーにたえるような金融機関でなければそれは健全とは言えないというのが、金融ビッグバン後における金融業界の姿勢でありまして、今までのように、護送船団型、一行もつぶさない、そのような行政が行われてきたのとはこれからは変わるわけでありますから、そしてまた、選択をする、どこの金融機関と取引をするか、そういうことを決める立場に立っても、その情報がやはり明らかになっていなければいけない。そういう情報がなくて、今のような状況ですと、本当に自分の取引している金融機関が不安なのかどうかということもわからないわけでございます。  そしてまた、今のような状況でございますと、金融機関の側が、仮に自分のところが貸し出しを縮小する必要がないようなところでございましても、今はこういう状況でございますから、どこのうちも大変でということで貸し出しを回収しようというようなそういう動きがあっても、おたくのところはちゃんと大丈夫だからいいじゃないかとか、そういう反論もできない。つまり、情報開示されていないわけでありますね。ですから、そういった意味からすれば、やはり適正な開示というものは必要である。  そしてまた、第二分類、第三分類、第四分類、それが公表されたからといっても、適正な引き当てがちゃんとされているのであれば、それは市場において、仮に第二分類が多いからといって、その金融機関自体が経営不健全な金融機関だというふうにはみなされないというふうに考えますので、委員が御心配の点は杞憂にすぎないというふうに思います。
  17. 金田英行

    金田(英)委員 せっかくのお答えですが、実際に金融機関に早期是正措置を発令したときに、どのような現象が起きたか。自己資本比率はこの程度でなければならないよというような、単なるそういった早期是正措置をやりなさいよというようなことだけでごらんのとおりの貸し渋りに遭ったわけであります。  そういったことから考えて、各分類ごと債権額、そしてその引き当て率がどうなっているかということを、それも半年ごとに公表しなさいよというようなことには、現在の金融機関において決して百害あって一利なしたと信じてやまないところであります。そういうことであります。  それから二点目の……(発言する者あり)いや、私の現状の認識ですから。  それと、金融再生委員会というものをやっているから我が党の案の方が公明正大であり、そしてまた裁量の余地がないとかそういったことで、裁量行政にまつわるいろいろな不透明感、忌まわしさを払拭するために三条委員会を設けたのだ、こっちの方が公正なんだと。しかし、それは、内閣からの強い独立性を有する、例えば公安委員会だとか公正取引委員会だとかというような、独立性を有する機関であります。そして、このような金融再生委員会というような特別な三条機関を設けて、それで全部やるから公正だ、裁量の余地がないからいろいろな疑惑を払拭できるのだというような意見については、そのとおりの考えでよろしいのですか。
  18. 古川元久

    古川議員 今委員指摘のとおりでございますし、また、それに加えまして、私どもがなぜこういう金融再生委員会という形で一元化して権限と責任をここに集中させようとしたか。  私たちが提案しておる、そして私たち現状認識しております金融状況は、まさにこれは危機管理をしなければならない非常事態だ、それくらいに深刻な状況と受けとめている。その中で今、委員もこの委員会に出られておられればわかりますように、大蔵大臣やあるいは金融監督庁あるいは佐々波委員会、そうしたところの答弁が、いや、これはあちらの責任だ、これはあちらだという形で右往左往していて、一体だれに、どこに責任があって、どこで何が決められているのかわからない。そうしたまさに危機管理体制であるべき、つまり権限と責任が一カ所に集まって、その人が責任を持ってやらなければいけない状況であるにもかかわらず、今の政府の体制というのは、まさにそうした危機管理体制とは到底言えない、責任がみんなでたらい回しにされてしまっている。そうした状況を防ぐという面でも、この金融再生委員会に一元化することは、私は大きな意味があるというふうに考えております。
  19. 金田英行

    金田(英)委員 きのうの石原委員の御指摘にもあったわけですけれども、この責任問題、すぐれて政治的な判断なんだ、この金融行政についてはすぐれて政治的な決断でなければならないんだと。内閣がその決定について責任を持てるような体制にしなければならないんだと。このような国務大臣を置いたからといって、その決定が内閣の意思どおりいかないことがあり得るというような状況の中でのこういう金融再生委員会については極めて問題があるし、その結果について責任が持てないのではないかというふうに思うわけであります。  また、もう一つついでにお尋ねしますが、国際的に財政あるいは金融の問題が一括してG7等々で話し合われているときに、金融について全く権限のないそういった閣僚がG7に出るということは、やはり各国との並びの中からどうしてもぐあいが悪いのだというふうに思うわけでありますが、その点についての御見解をお尋ねしたいと思います。
  20. 池田元久

    池田(元)議員 きのう議論したのは石原議員ではなくて保岡議員だと思います。  まず、責任論でおっしゃいますが、たびたび申し上げておりますように、金融再生委員会委員長は国務大臣、四人の委員は内閣総理大臣が両院の同意を得て任命する、こういう形になっております。そして、議事は、可否同数の場合は委員長が決する。国家公安委員会と同じような形になっておるわけでありまして、自治大臣、国家公安委員長から、おっしゃるように不都合があったというようなことを私は長いこと聞いたことはございません。  先ほども指摘されましたように、現状はばらばらです。大蔵大臣は預金保険機構の監督と金融企画局を所掌し、そして金融監督庁は総理大臣が主任大臣、預金保険機構の中には佐々波委員会がある。そして、一言申し上げれば、政府ブリッジバンク法案は、それにさらにいろいろな仕組みといいますか機構をつけ加えて、複雑でさっぱりわからない、そういう議論があったとも聞いております。我々の案は、まさにこの危機に当たり、金融再生委員会に一元化する、一元的な金融行政を行おうというものであります。  同時に、金融ビッグバンの時代に当たりまして、事前指導型の行政ではなくて、ルールを中心とした事後監視型の行政に転換しなければならない。さきに政府提出し、成立を見た中央省庁改革基本法にもその旨が書いてありまして、まさに、一元的な金融行政と同時に、公正さ、中立さも兼ね備えた、そういった組織として金融再生委員会を提起をしているわけであります。御理解をいただけるものと思います。  それから、財政と金融の分離について随分議論してまいりました。大蔵省がいろいろ、自分たちの権限を手放したくないために、検査までは出してもいい、次は、監督までは出してもいい、企画立案だけはどうしても出せないから残すんだということで、今のような形になってしまいました。  そのときの議論で最後にいつも出てくるのはG7の出席問題。これも問題はないと思います。G7といいますのは、先進七カ国大蔵大臣・中央銀行総裁会議であります。このG7には、財政や国際金融を担当する大蔵大臣と金融政策を担当する日銀総裁が出席することになりますから、何ら不都合はないと考えております。  中央銀行総裁である日銀総裁は金融政策を代表し、また大蔵大臣は、我々の案でも、通貨や外国為替、財政はもちろんのこと、外国政府や国際機関に対する政策金融といった業務をまだ担当しているわけであります。したがって、大蔵大臣は、G7の場で国際的な通貨の協調介入などの合意にも当然対応できることになるわけであります。G7で話し合われる主要な議題について、何ら不都合を生じるとは考えておりません。  以上です。
  21. 金田英行

    金田(英)委員 やはり、これだけの金融恐慌を目の当たりにしているというような状況の中で、金融再生を何とかしなければならないということが目下の急務であります。こういったことについて内閣が責任を持って、自分の責任で、そしてやるべきことをすぐにやらなければならないという状況の中で、第三条機関、内閣から独立したような、そういった形の決定がなされるような組織機構では極めて問題があるというふうに考えるところであります。  それから、野党案のすぐれている点だと言われているところですが、裁判所の関与についてお尋ねします。  野党案では、破綻金融機関金融整理管財人の選任だとか、あるいは一時公的管理につきまして、裁判所の認可や決定にかかわらしめているわけでありますけれども、その時間も、二日または二十四時間以内というふうにされているわけであります。  金融再生委員会三条機関として公正中立な機関と位置づけながら、なぜに実質的な審査を期待できない短期間のうちに裁判所の権威をかりようとしなければならないのか。それだけ三条機関が権威がないのかどうか。そこら辺については、なぜ裁判所を関与せしめるのかについて、御見解があればお伺いしたい。
  22. 西川知雄

    西川(知)議員 お答えします。  まず、裁判所の関与と申しますの佳客観性、公正性、これを担保するということにあります。  今、行政機関が特に、例えば公的資金の導入の審査基準等、そういうことについて、また情報公開についても、非常に国民にわかりやすい形でされるならこれはまた格別でございますし、また、行政機関に対しての信頼というものが国民に植えつけられているということであればまた別でございますけれども、そうでない現状において客観性、公正性ということを確保するためには、この間から申し上げておりますように、やはりチェック・アンド・バランスということが必要であるということで、裁判所を重要な点においてかませているというのがまず基本的な概念でございます。  そこで、時間等の関係について言及されましたので、それについても若干御説明をいたしたいと思います。  これは、この間からも答弁いたしておりますように、やはり現在の倒産法制、例えば会社更生法とか破産法においても、非常に、経営の内容にかかわるようなこと、そして財務の内容にかかわるようなこと、これについても裁判所判断をする、また、許可という言葉をそちらの方では使っておりますが、そういうことをすることができるようになっております。  ところで、スピードの方ですけれども、まず、一般の倒産法制については、若干の時間がかかるということは事実でございます。しかしながら、それは、申し立てを債権者とか株主とか、また本人もできますけれども、そういうところからして、一番最初から裁判所がその疎明資料等を判断しなければならない、こういうことになっております。  しかしながら、今回の場合は、まず金融再生委員会という三条機関がその条件、破綻であれば破綻の認定ということについて詳細に調査をした上で、そしてそれを裁判所に持ち込むわけでございます。また、裁判所の関与ということについては、これは補完的な意味を持つ認可という形になっております。したがいまして、例えば、特別部をさらに強化するとか人員をふやすとか、またそういうことをやることによって、このスピードというのは確実に迅速にできるということは確信をしております。  そして、これは誤解があるとなんでございますけれども裁判所がこういうことに対して機能的に、そういう専門的な知識がないのじゃないかということについては、それは決してそういうことではなくて、非常に専門的な訓練を受けた裁判官も多数いらっしゃることをつけ加えておきたいと思います。  そして、何よりも、三条機関に、三条委員会に加えて裁判所が必要であるということは、当初から申しましたようなチェック・アンド・バランスということが必要ではないかということから裁判所の関与を言っているわけでございます。
  23. 金田英行

    金田(英)委員 西川委員が何か矛盾していることを言っているのですが、これは単なる認可にすぎませんですよ、軽いのですよ、ですから二日間でできるのですよ、そういう能力もあるのですよというようなことを言ったかと思うと、一方、これはチェック・アンド・バランスで裁判所判断していただく、そういったチェック・アンド・バランス機能を裁判所に担っていただくんだ、極めて重いのですよというような御判断。実際にどっちが正しいのですか。
  24. 西川知雄

    西川(知)議員 これは両方とも正しゅうございます。  と申し上げますのは、とにかく検査をするのは例えば行政機関でございます。したがいまして、その情報に一番近いのはその行政機関でございますが、しかし、それはいろいろな裁量の余地が働く。そういうときに対して、果たしてそれが本当に正しいのかどうかということをチェックする、そういう意味裁判所の認可というのは極めて重要であるというふうに思います。
  25. 金田英行

    金田(英)委員 もし裁判所が、短い期間であること、そしていろいろな金融再生委員会の決定について若干おもしろくないことが書類上あったといった場合に、却下ということは考えられませんか。
  26. 西川知雄

    西川(知)議員 まず、却下と棄却というのは違いまして、却下というのは形式的要件が違うということでございます。したがいまして、おもしろくないというのはよくわかりませんが、もしその認定要件に入っていなければこれは棄却ということになります。
  27. 金田英行

    金田(英)委員 却下というのかな、裁判所に認定されない、認められないというようなことになった場合には、その責任というのは金融再生委員会としてとれるのですか。まさに金融の重大な事案であります。
  28. 西川知雄

    西川(知)議員 これは、法律に構成要件を定めております。したがいまして、認可のないものは、当然のことながらその構成要件に該当しないということで、責任問題云々じゃなくて、その事実がないということでございます。
  29. 金田英行

    金田(英)委員 裁判所の関与については、これもまたいろいろと、金融再生委員会の明確な位置づけの割には頼りなさげな裁判所の関与であるというふうに思って、なかなか納得できないところであります。  それから四つ目の点でありますが、公的資金の注入はないよというふうに言っているわけであります。野党案、それでよろしいのですか。
  30. 枝野幸男

    枝野議員 いわゆる従来の意味で俗に言われている公的資金の注入がないという意味でありまして、当然のことながら、私どもも、預金者保護のために、債務超過分、そしてそれが預金保険機構の現在のあるいは将来にわたっての資力で賄い切れない部分について、これは預金者保護ということを従来から、政府もそして国会もそれに同意するような形で国民にお約束をしていますので、その部分について公的資金を使うということでは否定はしておりません。  ただ、従来言われているようないわゆる資本注入策というような形で税金のむだ遣い、公的資金のむだ遣いはしないという意味であります。
  31. 金田英行

    金田(英)委員 公的管理銀行、これは、預金保険機構を通じまして、株式の取得の費用あるいは資金の貸し付けを受けることができる、業務によって生じた損失の補償等の費用を受けることができる、これはとりもなおさず公的資金の注入ではないのですか。
  32. 枝野幸男

    枝野議員 ですから、今申しましたとおり、預金者保護のために、債務超過になっている部分については、預金保険機構の資力だけで全部賄えるんだったら結構ですが、それができない場合の金融機関を清算するに当たっては、そのプロセスの中では公的資金は使えますということであります。
  33. 金田英行

    金田(英)委員 今用意されている預金保険機構の三十兆円の中で、十七兆円の世界と十三兆円の世界があるわけでありますが、十三兆円の世界での資本注入、資本金の注入というようなことについては、それはやらないということですか。
  34. 枝野幸男

    枝野議員 要するに、金融機関を存続させるための資本注入という形での公的資金の導入はしないということであります。
  35. 金田英行

    金田(英)委員 いろいろと、本当に失礼なんですけれども、のうてんきだなというふうに思うわけであります。(発言する者あり)  今どの点でのうてんきかをお話ししますと、野党の考え方の骨子の中に、預金については全額保護しましょう、保護されるからそれは問題ないんだ、そして善良なる健全な債務者については、健全なる債権であるから、それはどこかの銀行が、あるいは受け皿銀行、ほかのところが引き受けていただけるでしょう、三分類や四分類については、不良債権そのものだから債権回収銀行に回ってしかるべきだ、だから政府は何も資金的な手当てを、あるいは資本注入等々の手当てをする必要はないんだというふうなお考えだとすれば、今の金融破綻についての対応が、つぶれる銀行はつぶすに任せというような、まさにそういう姿勢そのものだというふうに思うわけですが。     〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕
  36. 枝野幸男

    枝野議員 若干誤解をされているのか、意識的にそういったことをおっしゃっているのかわかりませんが、健全な債務者に対する関係については、私どもは、淘汰されるべき金融機関を救うというような形で維持するという形ではありませんし、単純にほっといてほかの銀行が引き取ってくれるなんというふうなのうてんきなことは全く考えておりません。  そこについては、信用保証協会等の手当てをつけなければ、そう簡単には他の金融機関が引き取ってくれることはないでありましょう。あるいはまた政府金融を、これは、中長期的にはいろいろとこの政府金融のあり方については考えなければならないと思っておりますが、こういった金融危機状況でありますから、そういうところも生かさなければならないでありましょう。  また、健全で、つまりいろいろな形でバックアップしなければならないそういった融資先と、それからいわゆる本来の意味での第四分類、第三分類、あるいはバブル紳士などと言われていて、こういったところについては支援をする必要がないと思われるようなところ、その仕分けを、従来そういったしがらみの中に入ってきていた金融機関だけに任せて、そこに金をほうり込むような形ではむだ遣いをされてしまう。むしろ、自力でやれるところは自力でやって、金融機関でそれを振り分けていきながらやっていっていただければいいわけでありますが、そこからこぼれるところ、あるいは破綻した金融機関についての健全な借り手については、直接、そういった形で、破綻をするような経営をしてきた金融機関などを通じずに支援をすることの方がより支援の実は上がるものというふうに考えています。
  37. 金田英行

    金田(英)委員 公的資金の注入なしで今の銀行の自己資本を充実していく、それは一にかかってこれからの景気回復にかかっているんだというような御答弁、きのうの御答弁でもありましたが、今の現状で、そのような手段では金融機関を救済することができないわけであります。  また、債務超過になった金融機関については救済するつもりはありませんが、資本注入等々によって自己資本比率を高めさせ、そして安定した銀行経営ができるようにする、それも、何も公的資金を頭取にくれてやるのでなくて、その銀行のシステムを守るために必要な資金として優先株あるいは債券、劣後債等々を購入する、いつの日かそれが、銀行が立ち直った場合に国庫に回収ができるというような仕組みであります。そのようなことは許されてしかるべきだと思うのですが、この点についてどうなんですか。
  38. 枝野幸男

    枝野議員 若干いろんな議論を、意識的なのかどうか、誤解をしながら引用されておるようでございますが、昨日来私ども、特に鈴木議員を中心に、景気回復というのがいろんなもののかぎにある、そこが根本のところになければならない、それは申し上げております。  それは、根本的な部分のところでそういったことをしなければいろんなものは解決をしないということを申し上げているのであって、景気回復さえすればすべてが丸くおさまるから景気回復だけやっていればいいと考えているならば、そもそも我々、こんな四法案自体も提出をいたしておりません。そごは、根本的な原因がどこにあるのかということについての我々の意見の陳述と、そして今緊急措置として何をしなければならないかということは、分けてしっかりと認識をしていただければというふうに思っております。  そこで、今の資本注入の話でありますが、本来、現在もある程度一定の自己資本比率を持っている金融機関が、その自己資本比率をこれからのビッグバンの時代では高めていかなければならないだろう。これについては早期是正措置をしっかりやらせる。つまり、銀行の自己責任で、到底今の金融機関全体、リストラが十分であるとは思いません。それは、不良債権処理の問題だけにかかわらず、むしろそれ以外の部分のところのリストラが十分ではない、こういったことを早期是正措置でそれぞれの金融機関の責任として当然進めていただくことによって、体力のある金融機関はより体力を強めて国際競争のできる世界に行っていただく、それを我々は早期是正措置という形で推進をしていく。  一方、そうした体力を持っていない、まさにこれが事実であるかどうかは我々検証のしょうがありませんが、大蔵大臣がおっしゃっているとおり、公的資金を投入しなければ破綻をしてしまうというような金融機関について、どうしてそこに対して今のような形で税金を投入してそこを救わなければならないのか。そこを救わなければほかのところの混乱を回避しようがないというのであれば別ですが、我々の法案を通していただければ、混乱等を抑えながら清算をさせていただくことは十分可能なスキームを提示しているのでありまして、全然問題ないというふうに思っています。
  39. 金田英行

    金田(英)委員 それでは、銀行破綻というのはどういうものであるかということを、昨年十一月破綻いたしました北海道の拓殖銀行の例に倣って具体的にお話しさせていただきたいと思います。  この拓殖銀行というのは北海道の金融機関の中で、幾つもあるわけですが、北海道拓殖銀行がシェアは五、そして北海道銀行が三、北洋銀行が二、そして札幌銀行が一と、まさに北海道の最大の、最たる、過半を占めた、半数にわたるような金融シェアを持っている大銀行だったわけであります。その企業貸付先は北海道内で九千社に及びました。そして、個人に対する融資は十五万人に及んだわけであります。  それが破綻したものですから、北海道じゅう大変な混乱が生じたわけであります。これらの企業は、すぐにも返済を迫られるのでないかというふうな形でおどおどしたわけであります。そういった大変な混乱だった。もう住民あるいは各道内企業が、第二分類という専門用語が一般の市場というか、ちまたの中で言われるというような状況でありました。そして、北洋銀行が受け皿銀行となりました。  しかし、北洋銀行はやたらに小さい、拓銀に比べて相当小さい銀行でありまして、まさに、例えで言うとおかしいんですが、十両が横綱曙を背負っているような感じでありました。そういった不安定な状況の中で大変な混乱が生じたわけであります。  例えば、兵庫銀行がみどり銀行になって、そしてみどり銀行も成り立たなくて阪神銀行に統合され、救済されるというような形で、北洋銀行も果たして、拓銀の債権を円滑に引き継いだならば本当に大変で、受け皿がつぶれてしまうというような状態にあったわけでございます。しかし、何としても実際に第二分類債権を引き継いでいただかないと、円滑な引き継ぎがないと、北海道経済、大変なことになるということでありました。  そういった形で、何とか道を挙げて、あるいは地域を挙げて円滑な債権の移転を図っていただくように、そしてつぶれなくてもいい会社がつぶれてしまうというようなことがないように、連鎖倒産が相当、党でもいろんな委員会をつくりましていろんな対策を講じたわけでありますが、このような大きな銀行が一つつぶれるということは、地域にとって大変な混乱を来すわけであります。  当時、拓銀の債務超過は五千億ぐらいだろうというふうに言われれておりましたけれども、それをやってみたら、日銀特融がどんどん出ていって二兆、さらに十七兆円の世界の中で預金の払い戻しをしなきゃならない、だから、またさらに一兆円の準備が要る。そしてまた、当時、資本注入が必要だというような形で、資本注入についても受け皿銀行についてはやっていただけるものだというような状況の中で、一生懸命この北海道経済の混乱のないような手当てをしてきたわけでありますが、野党皆さん方の案ですと資本注入がないわけですね。
  40. 枝野幸男

    枝野議員 よく法案を読んでいただければ、それから先ほど私も注意して発言をしたつもりでおりますが、破綻した金融機関について、健全な金融機関が受け取る、営業譲渡等を受ける場合について、これは私ども法案でも、破綻した後の処理の問題としてはスキームを残しております。当然、我々の法案をつくるときには、既に拓銀、北洋について動いていることは存じておりますし、本当に破綻したところを健全な金融機関が救うといった場合には、その破綻した部分について当然債務超過部分を、預金を保護しなきやなりませんので、そういったところについては資本注入するというのは、我々のスキームの中でも入っております。  先ほど来、北海道経済に対する拓銀破綻の影響について御指摘ですが、どなたが北海道拓殖銀行のこういった管理されない破綻ということをもたらしたのかということについて、御自覚がないままにお話しになっているのはすごいなというふうにお聞きをしておりましたが、まさに私どもは、こういった北海道における拓殖銀行破綻の場合のような混乱を想定している、こういったことを自民党政府がやってしまったことについて、同じ轍を踏んではいけないということで今回の法案提出させていただいております。  まあ北海道、既に起こってしまったことでありますので、きちんと、今さら二年タイムスリップして施行できるわけではありませんので、確認をしておりませんが、基本的には、こういった一定地域におけるシェアが大変大きな金融機関破綻をする場合に、管理されない破綻がなされるとこういった事情になる。したがって、私どもは、地域経済に大変大きな影響を与えるような金融機関は、管理されない破綻をさせることはなく、公的管理銀行、つまり国有民営銀行にすることによって、先ほど委員が御指摘になったような、地域経済に与える深刻な問題を生じさせないようなことをやらせていただくスキームを用意しているということであります。
  41. 金田英行

    金田(英)委員 資本注入は、例えば受け皿銀行についてはやるんだと言いましたけれども、七%の自己資本比率が、この受け皿銀行になったがために、債権を受けつけたがために、引き取ったがために、自己資本比率が三%に落ちるというような状況の中で、それではぐあいが悪い、あるいは自己資本比率が余りにも狭小で大変だということで資本注入はできるんですか。
  42. 池田元久

    池田(元)議員 三会派の金融再生法案の質疑でございまして、基本的な部分について御理解をいただかないと話が進みませんので、ぜひ審議に協力をしていただきたいと思います。  破綻した銀行から営業譲渡等を受けるいわば受け皿銀行への資本注入につきましては、一月の我々の民主党の対案、それに平和・改革と自由党も賛成していただきましたが、そのときも資本注入は、これは認めるということになっておりまして、当然のことながら、今度の三会派案にも破綻後の受け皿金融機関に対する資本注入は認めるということになっておりますので、ぜひその点はよく知っていただきたいと思います。
  43. 金田英行

    金田(英)委員 そうすると、先国会で通過させた法律を廃止するということは、どういう兼ね合いになるのですか。
  44. 池田元久

    池田(元)議員 今、そうなっていないという御質問ですから、全くの誤解であるということをまともにお答えしたわけでございます。後ろの方からの話もございますが、これは、営業譲渡等によって自己資本比率が低下しますから、資本不足になりますから、そこに資本を注入するということは、これは明らかでございます。(発言する者あり)
  45. 山本有二

    山本(有)委員長代理 お静かに願います。
  46. 金田英行

    金田(英)委員 先般聞いたのと大分話が違っている。それならそれでいいのですが。  先に進みます。  あと、拓銀で我々が学ぶべきことというのはまだこれからたくさんあるわけでありますが、野党皆さん方は、善良かつ健全な債務者はメーンバンクがすぐに見つかるという前提があるように思うわけでありますが、拓銀の第二分類債権について、北海道じゅうのいろいろな企業が大変な目に遭ったわけであります。  私もある企業から、複数の企業からメーンバンクを見つけてくれというような依頼を大分承りました。しかし、メーンバンクというのは、優良企業だあるいは資産がある企業だからといって、簡単に見つかるものではありません。その企業も、一生懸命いろいろな銀行を紹介してあげたわけでありますが、長年のつき合いだとか、銀行との取引というのは単なる契約があるとかないとかという……
  47. 山本有二

    山本(有)委員長代理 申し合わせの時間が終了しておりますので、御協力をお願いします。
  48. 金田英行

    金田(英)委員 質問が大分残っておりますけれども、また後の機会に回させていただきます。
  49. 山本有二

    山本(有)委員長代理 これにて金田君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  50. 山本有二

    山本(有)委員長代理 この際、お諮りいたします。  最高裁判所石垣民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 山本有二

    山本(有)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  52. 山本有二

    山本(有)委員長代理 次に、山本幸三君。
  53. 山本幸三

    山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三です。  昨日、少し議論させてもらいましたので、その続きをやりたいと思いますが、それと同時に、きょう、いろいろ答弁の中でおもしろいこともありましたので、その点も確認するようにしたいと思います。  私は、今回の金融危機、これの最大の問題は不良債権が大量に滞っているところにあるのだ、恐らくこの認識は共通できると思います。問題は、その大量に滞っている不良債権処理というのをどうするか。  野党案では、不良債権処理というのは、破綻銀行については整理回収機構ですか、日本版RTC、これがやる、それでしっかりやりましょうということは確かに書いてあるし、いろいろ細かいことはあるにしても、そういう基本的な考えはよくわかります。しかし、それ以外、つまり破綻していない正常な銀行が抱えている不良債権については、それぞれ勝手にやりなさい、それが資本主義だ。要するに、本当の不良債権が滞っているところ、それが日本経済の足かせになっているところは、これは何もしない、ほっておく、そういうことが野党案の全体のスキームだと理解しております。私は、これは野党案の致命的な欠点である、こんなことでは日本の最大の問題である不良債権問題の解決は道遠し、そういうふうに思います。  その意味で、少し議論を深めるためにまず幾つか聞きますので、簡潔によろしくお願いしたいと思います。  そこで、昨日の答弁の中で、私は、こういう不良債権問題を解決する、後で御説明しますけれども、結論から言えば、何らかの形の債務免除ということを考えていかないとうまくいかないのだと思っているのですが、日本版RTCでも、債権放棄あるいは債務免除、どっちでもいいですが、これはやることはあり得る、はっきりそうお答えになりました。  この日本版RTCがやる債務免除というのは、例えば、百億円貸していて担保は二十億円しかない、どんなに回収努力をしてもその二十億円しか回収できない、そのときはもう百億債務免除するから、二十億円でいいから返してください、そういうことで話を進めて、その担保処分をやり、回収する、そういうやり方の債務免除だというふうに理解してもよろしゅうございますか。
  54. 古川元久

    古川議員 最初に、ちょっと委員お話をさせていただきたいと思うのです。  私も、委員の巧みな会話に昨日引きずられたような感じで、ちょっと私ども、しっかり委員がおっしゃっている意味を理解せずに答弁をさせていただいたことがあるのですが、この不良債権処理の問題、今、私ども野党三会派で提出させていただいております金融法案、ここはもともとからいいますと私たちが提案している法案のところとはちょっとずれる、むしろ、政府・与党の方から提案をしておられます不動産権利関係調整委員会の創設などを含むいわゆる金融法案のうちの五法案ブリッジバンク法案を除いた五法案についてのところで私どもに対しての問いかけがなされているのじゃないかなというふうに感じておるわけであります。     〔山本(有)委員長代理退席、石原委員長     代理着席〕  今私たちが出しております四法案は、これは私が委員に申し上げるまでもなく、まさに政府側が出しておられますいわゆるブリッジバンク法案金融機関破綻処理のプロセスをどうするかというものについての対案でございまして、あとの五法案については、これは私たちまだ、野党の中でも当然協議をしておりますけれども、いろいろな形で態度は表明をさせていただいておりますが、その形の中でまさにもう少しこれは議論を深めていかなければいけない話じゃないかというふうに思っているのです。  私たち、今お話ございました債権放棄、この不良債権処理の問題については、これはまさに土地の流動化をどう進めるかという問題とかかわってきて、もちろん債権放棄もその土地の流動化を進めるという中で一つ考え得る施策だとは思いますけれども、そうしたことだけではなくて、もっと土地問題全体として土地の流動化をどう進めるか、そうしたかなり深い議論をしていかなければいけない問題じゃないかな。  私たち民主党の中で、これは三会派で、そうしたところについてまだそこまで話がいっておりませんので、これは民主党という立場で申し上げさせていただきますと、私たち民主党の中では、菅代表を含めて、こうした土地問題についてのプロジェクトチームをつくって早急にそうした問題についてはまとめなければいけないのじゃないかというふうに考えております。  もちろん、委員がおっしゃいますように、この問題についてここで細かくいろいろやりとりをすることも大変にいい話だとは思いますけれども、ただ、三会派の方でまだそこの細かいところまで詰めておらないということでございますから、そこのところがここで議論をして時間を使っていいものなのかどうか。  先ほどの話で、債権放棄あるのかないのかという話もございましたが、一般論で言えば、日本版RTC、整理回収銀行の中で債権放棄をする場合もそれは出てくるでありましょう。そして、その中で、基本的には現行の法人税法にのっとった処理の仕方がされるのが私たちは原則だと思っておりますが、そこについては、いろいろいいお知恵もあれば、またそのときに協議をしていくということも、これは私は、本筋のところからちょっと外れた、むしろ横筋の話じゃないのかなという気がいたしております。
  55. 山本幸三

    山本(幸)委員 大変前進して、私は大変うれしく思っておりますが、ただし、そういう問題についてはまだ十分考えていないと。怠慢ですよ。我々は十分に考えてある。そして、これは本筋の問題じゃないとおっしゃいました。これは全く誤解だと私は思います。そういうふうに考えているんだったら、私は、野党は不良債権問題を本当に解決する気はないと理解せざるを得ない。これこそが本筋の話なんです。そして、この処理をいろいろ議論されることはいいんですが、密室で決めるのは嫌だと言っているのは野党の方でしょう。私は、この場でしっかりと共通の認識を持つように議論をしたいんだ。そうすべきだと思いますね。  そこで、進めますが、じゃ、日本版RTCでは債務免除はあり得べしということはお認めになりました。というのは、野党の三党合意メモ、これはどこまでかっちりしたものかわかりませんが、そこでちょっと気になるところがあるんですね。これはこれからの議論のものですから余り確定していないということで理解して申し上げますが、野党さんのこういうメモを見ても、破綻後を日本版RTCでやるということについては非常に熱心で、これはよくわかります。しかし、それだけで、サービサーにしろ競売の方にしろ、そこのところだけやればいいんだという感じがちょっと強過ぎるような気がしてならないんですね。  そこで、私は、共通の理解を得るために問題提起をしたいと思います。これは政府与党案を図解したものですけれども、不良債権問題といった場合には両面がある。一方は債権を持っている方、銀行側の問題がある。他方、債務を持っている実体経済側の問題もある。そうですね。そして、この問題を解決するためには両面からアプローチしないとできない。ところが、野党案は、少なくとも私の今の理解では、破綻した場合の回収のことばかり大変熱心にやっておられて、これは敬意を表しますけれども、しかし、そこだけだ。ほかのところもあるということをぜひ考えてもらいたいし、恐らく考えておられるんだろうと期待いたします。  そのときに、実態の状況はどうなんだ。実際に、不動産業者、建設業者、私は中堅、中小企業を念頭に置いていますがね、大手ゼネコンとかは嫌いと言うから。それはそれでいい、それはどうせ会社更生法でも何でも逃げる道はあるんだから。だけれども、そういう道のない中堅、中小企業状態。百億借りて百億の土地を持っていた、これは資産が二十に下がってしまった。商売それ自体は何とかやっていけて今は利益が出ているけれども、それは借金の返済に全部回さなければならぬ。これもだんだん困ってきた。そしてその体力は弱まりつつある。そういう人たちをどういうふうにして救ったらいいと思っていますか。
  56. 古川元久

    古川議員 先ほどの私の発言が、本筋じゃなくてちょっと横筋じゃないかと申し上げたのは、今私たちが提案をさせていただいている四法案の審議をするに当たっては、限られた審議時間の中ですから、できればその問題のところで深くお互いの理解を深められるような形で審議を進めていっていただけたらありがたいな、そういう意味で申したわけでございまして、決して、不良債権処理、今山本委員が御指摘になられたところを我々が軽視しておるわけではないことをまず御理解をいただきたいと思います。  その上で、今のお話でございますが、私どもこの五法案について、不動産権利関係調整委員会については、これは本来は裁判所でやらせるべきものであって、もし必要であれば裁判所の方の何らかの仕組みを少し、人員を強化するとかそういう形でも対応できるのではないか、そういう形で反対をするつもりではございますが、あとの四法案については、今修正協議が進む中で、もうできておるようでございますので、またそれは提出させていただきたい。  ですから、今御指摘のような問題は、それが提出された中で、また両者の、政府与党案、そして我々の案、そこで十分に審議をすればいいのではないかというふうに思います。
  57. 山本幸三

    山本(幸)委員 私は、きのう聞いたときは、健全な、正常な銀行のものは銀行が勝手にやるのが資本主義の建前でしょう、そこでやるんだと言っておられたから、そういうことだけでは解決できない、その問題意識を持っているから言っているんですね。  そして、今、じゃ、それは例えば不動産関連権利等調整委員会ですか、その問題については裁判所処理するような話だと。裁判所の民事調停というのがありますね。民事調停でこんな案件なんか、私の知る限り一件もありませんよ。どうして今まで民事調停で進まないんですか。
  58. 枝野幸男

    枝野議員 現実問題として一件もないかどうかということは私は認識をしておりませんが、基本的には、調停であれ、政府法案で出てきております臨時不動産関係権利調整委員会の調停にいたしましても、当事者間の合意がなければこういったものというのは成立をいたしません。そういった意味では、もし裁判所の調停機能の中で調停による合意がなかなかできていないとすれば、その原因はなかなか当事者間の合意ができないことにあろうと思います。  このことは、政府提出調整委員会法案であっても、当事者間の合意がなければ調停というのは成立いたしませんので、機能は全く一緒である、こう考えています。
  59. 山本幸三

    山本(幸)委員 そう、当事者間で合意ができないから民事調停というのはできないんですね。だから、民事調停というのは使えないんですよ。それは、銀行が望まないから。  じゃ、なぜ銀行は望まないんだ。銀行は、そういう処理をする、債務免除をやるというときに、嫌だと言うための言いわけを幾つかやりますね。どう言いわけすると思いますか。
  60. 枝野幸男

    枝野議員 もう昨日来の議論の中で山本先生が何をおっしゃりたいのかは十分認識をしているつもりでおりますが、債権等を放棄する等の場合のときに課税の問題についての確認がとれないからというふうに思っておりますが、基本的にはそれは税の方の問題として今から古川議員の方からお答えをさせていただきます。
  61. 古川元久

    古川議員 この前も、先ほども繰り返しましたけれども、ここでこういう形で議論を深めるのはいかがか、もっとそれは、本来は私たちの修正案も出たところでやられた方がいいんじゃないのかなという気はいたしますが、一般論として申し上げれば、当然、これは有税で積み立てるということになればその分負担になりますので、しかも、引き当てした場合、きのうも山本委員も御指摘のように、将来的に、引き当てをしておいて、ある意味回収できるときになれば回収しようというような意図があれば、そのままその債権を持っているという意味で、委員も御指摘のように、不良債権問題が最終的に解決しないことになるのではないかという御指摘は、その一面はあるのではないかというふうに思います。
  62. 山本幸三

    山本(幸)委員 今お答えになったのは、引き当てをするときのものがどうかという話で、私の聞いたことに答えておられない。  銀行は、最初にお答えになったように、そんな調停をやろうといったって、課税関係が無税にしてくれるのかどうかわからないようなものは乗りませんよ、まずそう言うんだ。それが一番大きいでしょう。  ところが、日本の制度では、銀行にとっては損の出るような部分引き当ては認められているんだね、これは有税である場合もあるし。ところが、日本では、間接償却、無税を認めちゃった。共国債権買取機構に移しさえすれば無税償却を認めちゃった。あるいは、債権償却特別勘定でやるときも無税償却を認められる。そうなると、無税でも間接償却で引き当てて積める、有税の場合も当然ありますが。そうであれば、銀行経営にとっては十分対応しちゃったということになるんです。  それで、最後に一〇〇%回収するという権利だけは持っている。これを簡単に放棄したら、課税当局は厳密にやってきますね。現場の税務署の職員は熱心ですよ。ああでもない、こうでもない、書類出せ。私もそれを監督していたことがあるからよくわかりますよ。それが当然の職務でしょう。それが税務当局が信頼を得ていることなんでしょうが、しかし、この不良債権問題のように緊急に処理しなきゃいけないような問題には、その税務職員の熱心さがボトルネックになるんです。そして、それを理由に、銀行はそういう個別の調停なりに応じようとしません。  では、それでいいのか。借りている方のことを考えてください。借りている方は、これは万一、今、簿価で百なら百で残っているんだけれども、実際に不動産を売却させられて実現しちゃったら、償却負担しなきゃいけない、同時に借金は依然として残る、個人保証までついている。そういう企業は救われると思いますか。会社更生を逃れられない中堅、中小企業は救われると思いますか。
  63. 枝野幸男

    枝野議員 山本先生の御指摘山本先生の御指摘として御理解をさせていただきますが、誤解なのか、それからもう一つは認識の違いと両方あるんだと思っておりますが、一つは、もう既に法人税基本通達等が改められておりまして、債権放棄等をした場合の損金算入等、課税の問題については柔軟な対応がなされるようになっております。  先日、私が質問者として柳沢国務大臣等に質問させていただいた中でも、現在の法人税基本通達等の解釈のもとでも、基本的には、経済的な合理性以上のことまで御答弁をされていて、そこのところはいかがなものかなと思っておりますが、債権放棄等をすることが債権者側にとって有利である、経済的な合理性があるというものについては当然損金算入をされていく、課税の問題は発生しない、これは既に現行の制度のもとでもなされていることでございます。  問題は、それを超えて何か税の優遇をしようとかということでもし山本議員の御指摘があるのだとすれば、それは、税というものは、裏返せば、そういった優遇を受けられない人の税負担でそういったところを優遇するということでございます。むしろ公平という観点の方が大事になってきています。特に政府提出委員会法につきましては、国民の見えないところで、しかも課税当局という相対的には信頼の高い機関の権限を奪ってしまって、そして密室の中で談合的に税が優遇をされるという結論だけが出てきて、それを事後的に争いようがない仕組みをつくってしまう、こういったことは税の公平の観点という意味から看過し得ない問題である。むしろ現行の法人税基本通達の運用をしっかりとやれれば、少なくとも問題になっている部分については処理ができると考えます。
  64. 山本幸三

    山本(幸)委員 また大分進展したのでうれしく思っていますが、法人税基本通達、我々要請して直してもらったんですよ。債務免除というのがはっきりとうたわれないと現実に困るんです。そして、早くスピードを上げてやらなきゃいけないから、早くできるものは基本通達でやってほしい、しかし、この基本通達の精神を認められるのなら、両者がお互いに合意して再建計画を立てて、合理的なものであれば課税免除しましょうという話ですよね。債務免除したときに課税しないという精神ですね。その精神は十分認められた。私は進歩だと思います。  では、その基本通達の世界で何が間髪になるか。さっき申し上げたように、税務署の職員がああでもない、こうでもないと言うという状況は変わらないんです。書類をたくさん用意しなきゃいけない。本当に認定されるかわからない。この部分だけでは、やはり銀行はああでもない、こうでもないと言って乗ってこないんです。そこは銀行に、こうやれば最初から課税しませんということを示して、銀行にそういう言いわけをやらないようにしなきゃ銀行は乗ってきませんよ、銀行にそのインセンティブはないんだから。  だけれども、そうやらない方がいいというなら別ですよ。私は、今の日本の経済の状況というのは、中堅、中小企業の人たちが抱えている、これは確かにかつてバブルに踊ったという面があるかもしれない。しかし、同時に、銀行側だってそれをあおったんでしょう。金貸すからどんどんこの土地買いなさい、それに乗って投資して不動産事業を始めようかと思っていたらバブルの崩壊で不良債権になって、今度は銀行から追われる身になった。  銀行はどうです。手のひら返したように、これまではそういうことをあおり立てておいて、そして、事情が変わったら、借りたものは返すというのが筋でしょう、それは契約でしょう、そう言っているんですね。シェークスピアの「ベニスの商人」のシャイロックみたいなことをみんな言っている、契約だから全部取っちゃえと。しかし、それでこの問題を解決できるかというと、私はそう思わないんです。  それで、調整委員会は何か密室でやっているなんて言っていたけれども、あなた方のつくる委員会は密室じゃなくて全部オープンで、政府がつくるものは密室で当てにならない、そういう言いがかりばかり言っていたってしょうがないでしょう。その委員会の運営のやり方について問題があるならそれは検討してもいいでしょう。だけれども、その基本通達の世界で、そこが認める精神を了解するのであれば、しかしそれでもなおかつ銀行が言いわけをする材料に使うようなことを直してやろうという、そのことによってスムーズに進む、そしてそのことによって日本経済の最大のがんが除去できる、そういうふうに思いませんか。     〔石原委員長代理退席、委員長着席〕
  65. 谷口隆義

    谷口議員 お答えいたします。  山本委員、私の大変尊敬しておるエコノミストでいらっしゃって、大変高道な、大変すばらしい理論を日ごろおっしゃっておられるわけでございます。  今おっしゃっていることを聞いておりましたら、若干、錯覚と申しますか、考え方がちょっと違うのではないかなという点が何点かあったのですが、それをちょっとお話をさせていただきますと、間接償却、無税処理というようなお話がございました。債権償却特別勘定のお話をされて、それと共国債権買取機構の無税償却のことをおっしゃいましたが、これは全く違うのですね。  というのは、債権償却特別勘定というのは社内処理でございまして、これは税制上認められている無税処理なんですね。共国債権買取機構の場合は、これは売却で、要するに今までの含み損が実現するということでございますので、これは社内の償却の問題ではございませんね。そういうような処理のさっきおっしゃったことについては、誤解があるのではないかということをまず冒頭にお話をさせていただきたいというように思うところでございます。  また、償却のことについておっしゃいました。今、現行法で、先ほど野党枝野議員がおっしゃったと思いますが、税務蔵員のこと等もおっしゃいましたが、子会社等が大変経営実態が悪化した場合にその親会社が債権放棄をするということについて、法人税基本通達において、これを——本来、債権放棄しますと、御存じのとおり全部損金処理にならないのですね。それはどういうことかと申し上げますと、贈与と申しますか、寄附金認定をされますから、その部分だけは課税されるというのが一般的でございますが、それは、その場合に限って課税をしないという法人税の基本通達があるわけでございます。  しかし、従来からこれは大変判断の分かれているところがございまして、その扱い、金利の減免については、今まではこの分について寄附金認定をしないということであったわけでございますが、元本の債権放棄については、そのことを具体的に書いておらなかったわけでございます。ですから、本来は法人税の基本通達は運用指針でございますから、その細部にわたるところまで書いてあればいいわけでございますが、そのあたりが書いてなかったがために、税務職員が調査に行った折にいろいろ問題があった等々聞いておるところでございます。  ところが、その基本通達については先ごろ明確に、貸付元本の債権放棄についても寄附金認定しない、損金処理できるというように変わったということを聞いておるわけでございまして、そういうことから勘案いたしますと、現行の法人税法の処理で十分できるものというように考えておるところでございます。
  66. 山本幸三

    山本(幸)委員 ばかにしないでほしい。間接償却と債権買取機構、そんな、形式的に違うというのはわかっているんだ。  だけれども、共国債権買取機構に移して何をやっているんですか。今度新しくやるときは買い切りにするけれども、結局最後は、二次ロスが出たら買い取って銀行がロスを見ることになっているんでしょう。実質的には帳簿上の操作をやっただけの話ですよ。そういうことが簡単にできるんだから——もういい。要らない。そんなことは知っているんだから。  ちょっと観点を変えますが、景気回復、景気回復という話で出てくるんですが、じゃ、景気回復はどうしてできるのか。  アメリカでもイギリスでもスウェーデンでも、この不良債権問題がありました。解決方法を幾らか、いろいろなことをやった、そのモデルを勉強して出たんでしょう。こうしたアメリカとかスウェーデン等の経験の景気回復というのは、やはり不動産が動き出したから大いに景気回復することになったんじゃないですか。
  67. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)議員 アメリカとスウェーデンの経験をお引きになってお尋ねでございます。  この二つの経験というのは、しばしば政府与党案ブリッジバンク法の考え方の基礎にこの経験があったんだということをおっしゃいますので、まず一言申し上げた後で、景気との関係をずばり申し上げたいのでありますが、スウェーデンのケースというのは、日本に比べると大変あれは特殊なケースで、御存じのように、大銀行の数が非常に少ない。三番目と四番目が破綻したわけですね。しかも、あの時点で預金保険法がない、預金保険の制度がなかった。これはもう国家はちゃんと株を持っていたんですね、最初から。だから、ああいう方式だ。  その後、結局はスウェーデンの場合だって、あの処理をしただけで回復したんじゃないですよ。あの後、ちょうどサッチャーの時代のイギリスが底入れして上がってくる。そして、大陸は少しぐずぐずしていたけれども、イギリスと連動してヨーロッパ全体の景気が上がってきたことによって最終的に解決している。  アメリカの場合に、コンチネンタル・イリノイの例をよく引いて、ツービッグ・ツーフェールだと。御承知かと思いますが、コンチネンタル・イリノイというのは、預金の中のほんの一〇%だけが預金保険でカバーされている。あとは全部金融機関からの借り入れですね。大口預金で、あれが破綻すると、預金保険がほとんどかかりませんから、大変な連鎖反応を金融機関の方に起こすおそれがあったのですね。コンチネンタル・イリノイからの借り手側に問題があったんじゃないんですよ。あれは金融市場の中に問題を起こしそうだったから、例外中の例外として飛び込んだわけですね。  しかし、コンチネンタル・イリノイ、ツービッグ・ツーフェール・ポリシーで救ったからといって、アメリカの景気があの八四年後半に回復しましたか。全然回復していない。あの後ずっと停滞ですよ、八〇年代は。そして、御承知のように、九一年、二年あたりからようやく回復してくる。そこで初めて、八〇年代四苦八苦してつくったさまざまの不良債権対策がようやく動き出すわけですね。  この動き出すとき、九一年には御承知のように連邦準備預金法が改正になっておりまして、ツービッグ・ツーフェール・ポリシーは明確に否定されまして、システミックリスクがあるときにだけ公的資金経営救済するという厳しい条項ができた。しかし、折しもそのとき景気が回復してきたから、これですべてはうまく回っていったんですね。  もちろん、私ども野党三会派も、この不良債権問題が景気の足を引っ張っているということを否定するものではありません。  それから、不良債権問題といったときに、山本委員、非常に正しい指摘をきのうからしておられると思うのですが、景気の足を引っ張っておる不良債権問題という場合には、生きている金融機関が抱えている不良債権問題の方が大きいのかもしれないのですね。破綻した金融機関の不良債権問題というのは、いろいろな問題を引き起こしますから注目を浴びますが、実は景気との関係では、確かに生きている銀行の抱えている不良債権をどうやって早く早期処理させるか、こっちの方があるいは大きな問題かもしれない。その御指摘はそのとおりだと思います。  しかし、それを申し上げた上で、なおかつ、景気と不良債権問題、これは鶏と卵みたいな関係ではありますが、しかし、どっちが根本的かといえば景気だということを昨日来申し上げております。景気が悪化すれば企業業績が悪化する、そして地価が下がる、担保割れも起きる、取引先の企業が倒産するということで不良債権がどんどん膨らんでくる。他方、景気が回復すれば、その逆転現象でありますから、だから、どちらかといえば、鶏と卵的ではあるが、根本的な原因は景気だと。諸外国の例、スウェーデンだってアメリカだって、景気の回復によって初めてさまざまの不良債権対策がうまく機能し始めたんだということを改めて申し上げたいと思います。
  68. 山本幸三

    山本(幸)委員 お褒めいただいたのはありがたいのですが、具体的なお答えはなかったように思います。  私の理解では、スウェーデンは、この金融支援措置を始めて一年間の間に九〇%の担保の不動産を代物弁済で市場に出したんだ、回収して。それは債務免除と組み合わされて代物弁済させたんだ。アメリカは、もともと不動産開発というのは、プロジェクトファイナンス、ノンリコースローンですから、当然代物弁済しちゃえば全部終わっちゃう。このシステムが動いたから、代物弁済すれば、つまり担保の土地さえ出せば借金は消えてしまうということがあるから企業はおもりがなくなった、そして新しい開発をやろうという気になる。  同時に、その担保の不動産市場に出てきて、アメリカのシードマンも言っていますね、最初はどう値をつけていいかわからなかったけれども、あるとき決心して、もうどんな値段でもいい、本当はこれは批判されるかもしれないけれどもという安い値段をつけて出した。そうしたら、最初は恐る恐るそれに食いついた投資家がいて、その人がもうけた。このもうけているのを見て、これはいいやというので一斉に需要が高まって、そして不動産価格が底打ちして上がっていって、それとほかの金融緩和政策、そういうのが相まって景気回復に至ったんだ、私はそういうふうに理解していますよ。  これは、そういう不良債権処理をやらないで、市場に出さないで、ほかの景気対策を打っていって不良債権問題が解決するとは私は思わない。それは、バブルを二、三年でもとに戻すという極端な議論をすれば別ですけれども、借りている人はその資産の価格がもとに戻らない限り返せないんだから。  私は鈴木先生を大変尊敬していますが、実体経済をもう少し理解してほしいと思う。中小企業のおじちゃんたちはどうしているか。私は何人からか話を聞いた。それは変なのも少しいますから、それは徹底的に追及すればいいのですが、大半の中堅、中小企業の事業者というのは、みんな返せるものなら返したいと思っていますよ。しかし、それができないんだ。しかし、銀行はどんどんどんどん追い詰めてくる。債務免除はとんでもない、再建計画の話し合いにも乗ろうとしない。そのときにはいろいろな言いわけをする。税制上のあれがはっきりしないからだ、処理がはっきりしないからだ、そんな言いわけをいろいろ言う。そして、現実中小企業の社長さん方は、銀行の支店の前に行って自殺している人もいますよ。何人も話を聞いた。そういうふうに追い込まれている。  この人たちを救うのは、これは、景気対策を打って将来バブルに戻るような状況が起これば返せるようになるでしょうけれども、何年かかるかわからない。勝負はこの一、二年なんです。その間にそういう支援策を何らかの意味で考えなかったら、今のままでいいんです、裁判所でやればいいんです、法人税基本通達でやればいいんですという世界で、銀行が乗ってこないという状況をずっと放置していたら、彼らはつぶれていくしかありませんよ。そういう状況を、シャイロックの気持ちで、当然だということでいいんですか。
  69. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)議員 中小企業が非常にお困りである、特にバブルの時期に不動産担保で大きな借り入れをした中小企業がお困りであるということは、もちろん十分にみんな知っていることだと思います。  しかし、山本委員も御承知の上で触れなかったんだと思いますが、その中小企業がお困りになっている最大の理由は二つあって、一つは、この足かけ八年間にわたる日本経済の停滞、政策不況、その結果として業績が悪化をしている、収益が上がらない、それどころか赤字だ、したがって返済もできない。もう一つは、バブルの崩壊に伴って地価が下がった。バブルの崩壊だけならいいが、この八年間、足かけ八年間の停滞の中で、日本の人々の日本経済の将来に対する見方が非常に悲観的になった。だから、収益還元価格で考えても、均衡地価といいますかね、収益還元価格で考えた均衡地価というものがずるずるずるずるこのところ下がっている。これはもうバブル崩壊の域を出て、均衡価格が下がり始めてしまった。これも、政策不況のせいでみんなが日本経済の将来に自信を失ったからですよ。この二つこそが、今、中小企業経営者が困っている根本的な問題で、原因であります。  だから、山本委員がおっしゃるように、いろいろと、税法上あるいは不動産処理上その他、もう少し早く簡便に処理する方法を考えられないか。それはもちろん結構ですよ、そういうことを考えるのは。与野党で大いに議論いたしましょう。しかし、それさえやればこの中小企業の困っている問題が解決するんだというふうにお考えだったら、それは間違い。それは大いに議論しましょう。だけれども、それでは解決しません、それだけじゃ。少しはよくなるでしょう。やらないよりやってもらった方がみんな喜びます、その瞬間は。その瞬間は喜びますが、もっと中期的に考えたら、日本経済が立ち直らなかったら、絶対にそのお困りの中小企業経営者は立ち上がることができませんよ、企業業績が回復し地価の均衡価格が上がり始めなきゃ。  景気という言葉とバブルという言葉を山本委員はすりかえられるが、これはちょっといかがかと思われます。私どもは、バブルを再発させろなんて言っているんじゃない。日本経済を立て直して中長期的な見通しを好転させて地価の均衡価格を上げよと言っているんです。バブルと、景気回復、地価の均衡価格上昇をごっちゃにしないでいただきたいと思います。
  70. 山本幸三

    山本(幸)委員 ここは見解の相違だからこれ以上はやりませんが、そういう均衡価格を早く見つけなきゃいかぬ、そのためには土地が市場に出てこないとそんなことできない、わからないんだから。じゃ、土地を早く出さない限り日本経済再生の最初の一端は開かれない、そう思っているのです。もちろん、景気対策が必要だということは十分わかって、我々だって考えてやりますよ。しかし、その土地が出てくるということをやらない限りそういう地価の均衡価格は出てこないし、じゃ、それが出てきて、今度、実現損を償却もしなきゃいかぬ、借金も返さなきゃいかぬという企業家をほうっていたら、彼らは死んで、そして均衡価格は出てくる、景気はよくなります、しかし失業者は大量にあふれて、そして中小企業はつぶれてしまう、そういう状況がいいとは思わない。  そこで、この点は大いに議論しましょうということですから、まだやりたいけれども、協議会の中でも大いに議論させてもらいたいなというように思います。  ちょっと次に移りますが、この野党案のポイント、最も大きなポイントですが、それは、整理の過程に入ったときに、善良なる借り手はスムーズに移行できます、そういうことが最大のポイントですね。じゃ、それができるのかというのが我々の大きな疑問ですね。それをやるのは中小企業信用保険公庫、個々の信用保証の枠を拡大する、条件を緩めるということでできますというのが野党案のポイントの一つになっていますが、先ほど古川委員は、先ほどの質問で、我々は第二分類債権というのは総枠で出すので、個別のものまで名前を出すとは思っていない、だから大丈夫なんだという趣旨の御答弁をなさいました。それはやはり、第二分類債権に自分が入っているということがわかったらそういう借り手は困るだろうな、そういう認識のもとで発言されたと思うのですけれども、いかがですか。
  71. 古川元久

    古川議員 ちょっと委員がおっしゃっている趣旨がよくわからないのですけれども、私どもは、銀行に対して情報開示を義務づけるのは、それは、各分類債権がどれくらい、総額幾らあるのか、そしてそれについて引き当てがどれくらいされているのか、その部分について開示していただきたいということであって、第二分類にどこの企業が入っているだとか、そういうことまで開示する必要はないということを申し上げたつもりでございます。
  72. 山本幸三

    山本(幸)委員 なぜ、どこの企業が第二分類に入っているということを開示する必要はないというふうにお考えになるのですか。開示するとやはり問題が起こると思っているんでしょう。
  73. 古川元久

    古川議員 情報開示は、これは、銀行経営の健全性がどういうふうに担保されているか。つまり、銀行は、普通は大手なんかですと当然株式市場なんかにも株式を公開しているわけでございますから、そうした一般投資家あるいは企業、その銀行と取引をする人にとって必要な情報開示されればいいわけでございまして、分類先にどこがあるかということまでは、それはその銀行の健全性を担保するために、例えば、その銀行の株を買う人が、第二分類のところにどこの企業が入っているから、だからこの銀行の株を買おうとか買わないとか、そういうことを判断する材料にならないと思います。そういった意味でいえば、今私が申し上げたようなところまで開示をすれば、それでその銀行経営の健全性については判断ができるというふうに考えております。
  74. 山本幸三

    山本(幸)委員 例えば、古川議員企業経営していて、自分の企業が第二分類分類されているということがわかったら困ると思いませんか。
  75. 古川元久

    古川議員 私も委員と同じように役人をやっておって、企業経営をしたことがありませんから、その立場というのは、あくまでこれはその立場になってみないとなかなかわからない話だと思いますが、一般的に、銀行との取引の間では、どこに分類されているかというよりも、ちゃんと自分のところに必要な資金の調達というものができれば、どこに分類されているかということ自体がその企業にとってわからなきゃいけない問題なのかどうかというものについては、いささか疑問を感じるところであります。
  76. 山本幸三

    山本(幸)委員 それも実体経済をよく御存じないなというように思うのです。  自分の企業が第四分類、第三分類分類されているということを知られてしまったらアウトですよ。第二分類はグレーゾーンだ。だけれども、今の状況ではかえって困ることになる。それも現実企業に聞いてみればわかりますよ。常識でしょう。  それでは、信用保険公庫が融資枠を拡大しますと言いました。わかりましたと。ある銀行破綻しました。そして、野党案で言うようなプロセスに入った。第一分類の人は逃げるだろうという、相当これも甘いと思うけれども、しかし問題は、対応は第二分類だと思っている。借りている人はどうしなきゃいけないんですか。ある銀行に行って、自分の知り合いの銀行に行って、私はあの破綻した銀行の中で第二分類分類されていました、そこを、保証協会の保証書を持っているからぜひ移しかえてください、そう言って回らなきゃいけないんですよ。そうなんですよ。そんなことでうまく受ける銀行はあると思いますか。
  77. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)議員 お答えいたします。  私ども法案を前提にいたしまして、破綻した後法的な処理に入っていったときに、その破綻した銀行の取引先は、第一であろうと第二であろうと、これはできることならメーンバンクをシフトさせようかなと思ってそういう動きをしますでしょうね。そして、そのときに、貸してくれと。  銀行の貸し渋りの原因は、きのうも申し上げましたが、お金が足りないからじゃないんです。優良銀行は、自己資本比率が低過ぎるから貸せないんじゃなくて、ROEを高めるんだ、ビッグバン対策、それからまたさらに、不良債権償却の負担もまだあるぞということで、優良な効率のいい貸し出し以外は抑えようとしているからですね。つまり、回収の危険性がちょっとでもあると渋るわけですよ。  それで、第一分類も第二分類もみんなシフトしょうとした。そのときに相手の銀行が、いや、おたくの業績調べてみたが、これじゃお貸しできないとか担保が不十分だとか言ったときに、その企業も、じゃ、信用保証協会の保証をもらってくるからそれで貸してくれるかと交渉するわけですよ。そうしたら、回収の危険性がなくなりますから貸してくれるでしょうと言っているわけなんですね。だから、別に、私は第二分類ですと言って回ったりなんかする必要も全然ないんです。ごくごく自然に、シフトする動きの中で、借りにくかったら信用保証協会の保証を使いなさいというわけです。  この法案、まだ提出していなくて申しわけないですが、もう少し詳しく御説明していいですか。  私ども提出いたします法案は、信用保証協会法と、それから中小企業保険法と、それから中小企業保険公庫法、この三つ法案の改正案の束ね法案として出します。そして、中身は貸し渋り対策の部分と、それから破綻金融機関の取引先がよそへ移るのを助けるための保証と、二つの部分に分かれております。  それで、問題は貸し渋り対策じゃなくて、貸し渋り対策はほとんど政府与党案と似ております。ただ、こっちの方がちょっと額が大きいですけれども。問題は破綻です。  破綻のケースについてどういうことを考えているかというと、今あれは、中小企業じゃないとあの保証を受けられない。したがって、資本金が一億円以下になっているわけですね。私どもは、破綻金融機関の取引先で、移れなくなる企業の中に中堅企業がいるというふうに思います。この中堅企業まで救おうと思いますので、法律改正しまして、一億円超五億円以下の資本金の中堅もこれで救っていこうというふうに思っております。これに伴って、上限は、今は、無担の場合は三千五百万円ですが、有担の普通保険ですと二億円ですね。この上限を三億円まで上げようというふうに思っております。  そして、再保険は、普通保険の場合は七〇%、無担のものは八〇%で公庫に再保険でつながれるわけですが、私どもはこれを一〇〇%でつながせようと思います。そうすると、収入が入りますから、もう積極的に信用保証協会はこの仕事に取りかかるだろうというふうに思うのです。そのときに、モラルハザードが信用保証協会の段階で発生して審査がルーズになってはいけないという御懸念もあろうかと思いますが、私どもは、金融再生委員会がつくった選択の基準によってきちっと審査をさせたいというふうに考えているわけであります。  これを可能にするために、私どもは、これを特別勘定として公庫に別整理させますが、その資金源としては五億円を超える額を政府から出資いたしまして、そうしますと、きのうもちょっと言いましたが、仮に五億円として、保険の信用保証協会段階での事故率、これを仮に・・(山本(幸)委員「五億円ですか、五兆円ですか」と呼ぶ)ごめんなさい、五兆円です。大変失礼しました。事故率は実際は二%ぐらいなんですけれども、仮に一〇%と考えたって、五兆円強化すればその十倍で、何と五十兆円の信用保証能力を持ちます。ですから、資金的には五兆円の出資で十分だというふうに考えております。  そういう次第でございますから、山本委員御懸念のようなことは起こらないというふうに思います。
  78. 山本幸三

    山本(幸)委員 これまた実体経済をよく知らないと思うのですね。  借り手の人が新しい銀行に行って金貸してくださいと言ったときに、何も聞かないで貸すと思いますか。あなた、何で私のところに借りに来たのですかという話が必ず出るのです。そうすると、第二分類だったという話になるのです。きょうは一分類と二分類をごっちゃにしたけれども、きのうははっきりと一分類はいいのだ、第二分類と言っていたじゃないですか。  それでまた問題があるのは、五兆円という税金を投入してこれをやろうと。大変な公的資金の負担ですよ。しかも、公的にモラルハザードをさせようという、自由党さんらしくない、信じられない提案だと私は思います。大変問題がある。しかも、実際にはとてもじゃないけれどもうまく機能するように思えない。抵当権の権利関係とか金額とか、とても問題が多いと思います。  これは大いにまた議論させてもらいたいと思いますが、ちょっとカバーしなければいけないのがもう一つ、二つあるので。  今までちょっとさわられていなかった問題が一つあるのでお願いしたいと思いますが、野党案では特定合併制度というのをなくすというようになっています。この特定合併制度というのは、我々は、やはりそういう合併を望む企業もあるし、それで破綻処理のコストを抑えながらリストラをやって生かしていくというのも一つの、多様な手段としては持つべきじゃないかな。特に関西の方では、もう現実にそういうことができるということを前提に動いている銀行もあるわけですね。この点はどういうふうにお考えなんでしょうか。もうそんな関西のところなんか知ったことじゃない、そういうふうに考えているのですか。
  79. 古川元久

    古川議員 特定合併とは、二〇〇〇年度末までの時限的措置として、要は、複数の経営が悪化した、破綻した金融機関同士が新設合併する場合に、金融監督庁長官のあっせんがあれば特定合併に対して資金援助が可能になっている、その仕組みのことを言っておられるというふうに理解しておりますが、我々は、そもそもこの特定合併スキームを盛り込んだ昨年の預金保険法改正案には反対しております。  その理由といたしましては、破綻金融機関同士の合併に資金援助を行い延命させることは、先ほども山本委員、モラルハザードを起こすことはけしからぬというふうに言われていますが、まさにこれこそ著しいモラルハザードを招くことになりますし、また、現在の不十分な金融機関引き当て姿勢とそれを容認しております金融検査などを前提にいたしますと、あの、一度兵庫銀行をみどり銀行で受け皿銀行をつくって受けたのにもかかわらず、これを、形は救済合併という形でございますが、実質的には特定合併と似たような形でまた新たに合併をさせるというような形で、早晩、第二の経営危機を招くような形のそういう資金援助を行うようなことは、やはりこれは結果として公的資金の投入を非常に大きくさせていく、そういう危険性が極めて高い。そのような観点から、私たちはそうした特定合併という制度については廃止をすべきであるというふうに考えております。  ただ、現実問題として、今委員が申されましたように、現実に十月一日合併を目指して走っておるところがあることも承知はしております。そこにつきましては、この私たち法案、審議をしていただいて速やかに、一日も早く通していただければ、それはいろいろな対応もあろうかと思いますが、現実問題、いろいろ考えてみますと、施行までの時間等の若干の時間は当然かかってこようかというふうに感じます。その間に現行法のもとでもし政府がやられるということであれば、それは政府の責任においてやられること。私たちはそれはふさわしいとは思いませんし、本来、こうした私たち法案が通れば、その趣旨に基づいて政府も行動されるべきことを期待したいというふうには思っておりますが、それでもあえてやられるということであれば、それは政府の責任において進められることではないのかなというふうに考えております。
  80. 山本幸三

    山本(幸)委員 まだまだやりたいのですが、時間が来ましたのでやめますが、いろいろ問題はもう大分浮き彫りになってきたと思います。ぜひ、与野党で協議を進めてよい成案を得たいと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。
  81. 相沢英之

    相沢委員長 これにて山本君の質疑は終了いたしました。  午後一時十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後一時十四分開議
  82. 相沢英之

    相沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡田克也君。
  83. 岡田克也

    ○岡田委員 民主党の岡田克也です。  きょうは、野党三会派の法案について質問をさせていただきたいと思います。質問をする以上、同じ党とはいえ、聞くべきことはきちんと聞く、そういう姿勢で聞かせていただきたいと思いますので、よろしく御答弁をいただきますようお願いします。  まず、この委員会でもたびたび議論になりました金融再生委員会の性格論について、少しやりとりをしながら整理をしておきたい、こういうふうに思っております。  基本的に、この金融再生委員会は国家行政組織法三条の機関というふうに位置づけられているわけでありますが、なぜわざわざ三条機関ということにしたのか、その基本的考え方についてまず確認をしておきたいと思います。
  84. 池田元久

    池田(元)議員 岡田委員お答えをいたします。  国家行政組織法第三条の委員会、いうところの独立行政委員会として金融再生委員会を設置すべしというのは、我々の提案の中心の一つでございます。  この三条委員会といいますのは、いわゆる国家行政組織の中で、政治的中立性、それから相反する利益の調整等、そういった事務に適するものとして考えられておりますが、この再生委員会は、まさにそれに適合するものとして三条機関としたわけでございます。
  85. 岡田克也

    ○岡田委員 確かに、この金融再生委員会のいろいろな機能の中で、所管事項及び権限ということになるわけですけれども、この中で、例えば検査に係ることあるいは監督に係ること、そういうものは中立性ということが非常に要求されることではないかというふうに思うわけですが、四条の第一項第一号の「金融制度の調査、企画及び立案をすること。」ということも、つまり、今大蔵省にある金融の企画立案機能というものもこの再生委員会に持ってきているわけでございます。  こういう金融制度の調査、企画、立案をすることということは、ある意味では行政そのものでありまして、そういう意味で、三条機関、独立性を持った三条機関の行う所掌としてはなじまないのではないか、こういう議論が当然出てくるわけでございますが、それに対してどのように御説明されますか。
  86. 池田元久

    池田(元)議員 岡田委員の御疑問にお答えします。  この金融再生委員会の事務は、これは一般の行政機関の事務と異なりまして、まさにこれからルールにのっとった金融行政を行わなければならない。この企画立案は、主としてそういったルール、規則の制定が中心になると思われますので、まさに再生委員会は、そういった意味でそれにふさわしい機関ではないかと考えるところです。
  87. 岡田克也

    ○岡田委員 そういう面の金融制度の調査、企画、立案ということもあるのだと思いますが、例えば、これからビッグバンを控えて、我が国の金融業、一つの産業としてこれをどういう方向に持っていくのか、こういう議論も当然あると思うわけですが、そういったものについては、この四条第一項第一号の金融制度の調査、企画、立案の中に入っているのでしょうか入っていないのでしょうか。
  88. 池田元久

    池田(元)議員 私は、現在のこの金融の情勢、そしてその背景にある金融市場の変貌を考えてみますと、やはりこれからは、民間企業である金融機関市場規律のもとでその営業といいますか活動を行う、それが中心であるべきである。ですから、きのうも申し上げた、行政改革基本法の中にも、行政の関与は最小限にすべきである、そういう精神が、そういう考え方がますますこれから必要になってくるのではないかと思います。  もちろん、大変な金融危機でありますので、それについての破綻処理のスキーム、ルールを決めることは当然でございますが、平時になれば、まさに事後監視型の行政に転換をする、その場合には、まさに中立性、公正性が求められる行政委員会が最も適合をしていると考えております。
  89. 岡田克也

    ○岡田委員 基本的な議論として、行政の関与を最小限にするというのはおっしゃるとおりでありますが、これは別に金融に限らず他の産業、例えば、現在通産省が所掌している産業も運輸省が所掌している産業も同じではないかというふうに思うのですね。基本的に、ルールをつくって、そのルールに基づいて行われるかどうかのチェックを中心にした産業政策というものに移行していく、こういうことだと思います。  そういう意味では金融も全く同じでありまして、しかもそれは、ルールといっても、そのルールをつくるところについては、やはり産業政策的な観点、我が国の金融産業というものを国際的に競争力のあるものにしていくという観点は当然加味されていなければいけないわけでありまして、そういう意味では、一般の産業に対して通産省がやっている、運輸業については運輸省がやっている、建設業については建設省がやっている、それぞれ産業を所管する省庁が行っているのと同じように、ここはやはり独立行政委員会ではなくて、金融行政を行うそういう省庁がきちっとやっていくということも私は議論としては十分成り立つと思うのですが、いかがでしょうか。
  90. 池田元久

    池田(元)議員 岡田委員は通産省にいらっしゃったこともありますので、産業政策という言葉が十九世紀以来ございますが、もうそういった古い意味の産業政策と決別をしなければならないのは御存じのとおりであります。我々も、官から民へと、できるだけ官の関与を少なくしていかなければならないわけでありますから、マーケット重視の経済運営、金融行政をしなければならないと思います。  しかしながら、現在の日本金融機関状況を見ますと、きのうも議論がありましたオーバーキャパシティーとかオーバーバンキングとか、これは当然考慮していかなければならないと考えておりまして、この金融再生委員会の中で特別公的管理に入った後、合併とかそういうことも視野に入れておりますので、そういった面は当然この委員会が取り仕切るものと考えております。  アメリカにFCC、連邦通信委員会というのがあるのですが、これは放送その他に対してルールをはっきり定めてやっている反面、新しいメディアの時代にどうすべきかということも当然この機関は考えておりますので、そういうのも参考になるのではないかと考えております。
  91. 岡田克也

    ○岡田委員 今の池田さんのお答えは、一つの筋の通った答えだと思います。  ただ、観点を変えて御質問いたしますと、三条機関というのは非常に独立性が強いということであります。政治的な中立あるいは独立性を求められるという、そういう三条機関としての性格と、それからこの法律の中で、第六条で「委員長は、国務大臣をもって充てる。」こうしていることとの整合性といいますか、そこはどのように説明されるのでしょうか。
  92. 池田元久

    池田(元)議員 金融再生委員会は、金融担当の国務大臣であります委員長と、衆参両院の同意を得た経済、金融法律に識見を有する四人の委員でつくられることは、岡田委員御存じのとおりです。この委員長は、会務を総理し、委員会を代表いたします。また、委員長は、再生委員会を招集することにしております。さらに、再生委員会の議事は、可否同数のときは、委員長の決するところによるとしております。まさにこの再生委員会は、国務大臣である委員長の主導のもとに運営されることになっております。  内閣との関係を申しますと、金融再生委員会委員長は、内閣の一員である国務大臣、そして委員は、内閣総理大臣が両院の同意を得て任命する。ですから再生委員会は、委員長を通して、内閣の一員として憲法六十六条のとおり国会に対して責任を負う、十分責任が全うできるものと考えております。  また、同様の組織として国家公安委員会があり、これも十分機能していることは、委員御存じのとおりです。
  93. 岡田克也

    ○岡田委員 純粋に中立性、独立性を求めていくということであれば、私は、大臣を委員長にする必要はないという議論は当然出てくると思うのですが、そこについての御検討はされなかったのでしょうか。
  94. 池田元久

    池田(元)議員 これが、いわゆる平時といいますか、ビッグバン時代に入りまして事後チェック型の行政のみやるということになれば、別に国務大臣である委員長を置く必要は必ずしもないと思います。しかし、この金融危機に当たり、再生委員会が主として担うとはいっても、内閣としてこの最終責任を負うという形をとる必要があるということで、国務大臣である委員長を置くということにしたわけであります。  今、お話の進め方として、三条委員会の中立性、公正さをおっしゃった後、責任ということをおっしゃいましたが、この金融再生委員会は、一元的な金融行政の組織であり、責任体制を明確にするとともに、金融行政ということから、公正さ、中立性を確保できる、いわば両方の長所を兼ね備えたものであると私は考えております。
  95. 岡田克也

    ○岡田委員 今の御説明もよくわかるのですが、両方の長所を兼ね備えたということは、いわば非常に中途半端な位置づけだということも意味しているのではないかな、そういう議論もあり得ると思うのですね。  ですから、独立性の強い三条機関とするということを重視するのであれば、私は、大臣を置くべきではないし、あるいは内閣が責任を持ってやっていくということであれば、それは、もちろん大蔵省とは切り離した組織にしなければいけないわけですけれども三条機関とせずに、政府の中の一つの大臣をいただく組織として、金融監督庁でもあるいは金融庁でもいいのですけれども、そういうものを置くというのが私はすっきりしているのではないかなという気もするのですが、いかがでしょうか。
  96. 池田元久

    池田(元)議員 一つのことで割り切るとそういうふうにおっしゃられるかもしれませんが、この問題、例えば現実問題を見ればわかると思うのですよ。  金融監督庁と金融企画局を例えば金融庁担当の大臣のもとに置くとした場合には、これまでの大蔵行政は隠ぺい、先送りでここまで来ているわけですね。それで、一人の大臣がそれを統括するというのは、ある意味では危険であると私は思います。そこに合議制の二人ないし四人の委員を置くことは、やはり大変重要であると私は思います。  例えば、特別公的管理の判断をするというのは、これは大変重要ですね。(発言する者あり)特別公的管理に入る場合は、大変重要な判断です。これはまさに再生委員会の議事になじむのではないかと思います。今、一人では暴走するのではないかということもございまして、まさにそういうものを食いとめるために、国務大臣を委員長とする三条委員会再生委員会を設けたわけであります。
  97. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、この設けられる金融再生委員会を一つの省のような形にして大臣を置くのであれば、同じような心配があれば、その中に金融監督庁という組織が置かれるわけですね。その金融監督庁のところに、おっしゃったような合議制の検査監督をするというところについて、客観性を確保するようなそういう仕組みをビルトインすればそれでもいいのではないかなという気がいたしますが、いかがでしょうか。
  98. 池田元久

    池田(元)議員 野党民主党の岡田委員お答えをいたします。  全くそれは一方的な、一つの面だけの議論でございまして、現状は、検査監督は金融監督庁、企画立案は金融企画局に分かれており、検査監督だけに置くのは非常に一方的、ワンサイドだと思います。  というのは、先ほど申し上げたように、ビッグバン時代では金融行政の中心はルール、規則の制定でございまして、まさに企画立案も大変重要です。それをあわせ持った組織として、その上にといいますか、統括するものとして金融再生委員会を置くのが最もふさわしいと私は確信しております。
  99. 岡田克也

    ○岡田委員 私がいろいろ聞くと、何か特別の意図があるんじゃないか、こういうふうに勘ぐられるかもしれませんので言っておきますが、私は、きょうは委員個人として、みずからの若干疑問を持つところを聞いているわけでありまして、特定の意図があって、私が聞いているから実は民主党もそういう考え方じゃないかとか、そういうことはもちろんございません。  その上で、次の話に行きたいと思いますが、それじゃ、今の議論の大前提として、財政と金融の分離という話が当然あるわけですが、ここについて基本的に提案者の皆さんはどういうふうにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
  100. 池田元久

    池田(元)議員 財政と金融の分離というのは、別に神学論争ではございません。戦後の歴史で二つの大きな経済失政、今度も入るかもしれませんが、二つあったとされております。  一つは、ちょっと委員長もその場にいらっしゃったかもしれませんが、田中内閣のときの過剰流動性。日銀がなかなか財政当局の圧力に抗し切れずに過剰流動性を生んでしまった。それで、狂乱インフレという形で国民は大変な目に遭った。それから、八七年からのバブルの発生は、既に宮澤大蔵大臣は反省の弁を述べていらっしゃいますが、財政が金融にしわ寄せをして、そしてあのように長い期間、超低金利を続けてしまった。これがバブルの発生の大きな原因であるということは多くの識者が指摘するとおりでありまして、財政と金融は明らかに利益が相反しますので、これを截然と分離することが必要であるというのが我々の考え方でございます。
  101. 岡田克也

    ○岡田委員 財政、金融の分離という場合に、今池田さんが御答弁になったように、完全に財政と金融を分離するという考え方と……(池田(元)議員「完全じゃない」と呼ぶ)ええ、基本的にですね。それからもう一つは、金融の検査監督だけを分ける、こういう考え方、二つ論理的にはあり得るわけで、現在は検査監督を別組織にするということで金融監督庁ができているわけであります。  しかし私は、ここ数カ月の金融監督庁のやってきたことを見ると、こういう中途半端な形での分離ではもう無理だということが残念ながら立証されてしまったのではないか、こういうふうに思うわけであります。本来、金融監督庁というのは、客観的な検査をきちんとやって、そしてその結果を予断を交えずにちゃんと出す、こういう役割を求められている。だからこそ従来の大蔵省から分離したわけであります。  ところが現実には、この委員会での今までの審議でもわかるように、例えば、長銀検査がいつ出るかわかりません、こういう答弁が出たり、あるいは総理官邸に金融監督庁の長官まで行って、そして合併相手と言われる住友信託銀行の頭取とお話をしているとか、まさしく金融監督庁をつくったことの趣旨を逸脱しているというか、いろいろ事件があって検査監督機能を別にした、そのことの趣旨を全くわきまえない、そういう最近の金融監督庁の特に長官を中心とする動きでありますから、結局、形式的に検査監督機能だけ分離してもこれは問題の解決にはならないんだということを、残念ながらここ数カ月間で立証してしまった、私はそういうふうに思うわけでございます。  そういう意味で、やはり基本的に金融と財政は分離をする、つまり企画機能も含めて大蔵省から分離をするということにならざるを得ない、こういうふうに思うわけですが、皆さんの御意見はいかがでしょうか。
  102. 池田元久

    池田(元)議員 財政と金融の分離の必要性を先ほど申し上げました。  私は、国の組織の中で最後まで財政と金融を分離するという考え方はとらないのは当然です。マクロ経済政策としてそれを総合調整する。しかし、財政の役割は財政の役割、金融の役割は金融の役割、それをはっきり国民市場に示して、その上でマクロ経済政策を立てるのは当然のことであります。  そして、与党の中のいろいろな経過がございました。きのうも、九六年九月の合意では、いろいろ自民党からも異論がありますが、自民党自身も公取型の三条機関を基本にして具体化を図ると言っていたわけであります。また、その年末には、財政と金融の分准については明確にするという合意もなされているわけでありまして、それが一部反映して中央省庁改革基本法になったわけです。  この法律によりますと、早ければ二〇〇一年一月を目標に金融監督庁を改組して金融庁にするということになっておりまして、我々の提案はまさにそれを先取りする。しかも、現状からいいまして、実態問題からいっても、先ほども言いましたが、今のばらばらな金融行政のあり方ではなくて、まさに一元的に再生委員会を置いて、同時に合議制の委員会として公正な判断をする。まさに両方の面を生かして、この危機にある我が国の金融について明確な判断をしていくということを考えているわけです。
  103. 岡田克也

    ○岡田委員 そこで、先ほどたしか池田さんの午前中の答弁の中で、通貨に関することは、これは大蔵省に残しておくんだ、こういう御答弁があったと思うんですが、国際金融に関すること全般について大蔵省に置いておく、残しておくという御趣旨なんでしょうか。それとも、国際金融に関することの大部分金融庁あるいはこの再生委員会に持っていくというお考えなんでしょうか。いずれでしょうか。
  104. 古川元久

    古川議員 金融再生委員会につきましては、現下の危機的な金融状況、これを二〇〇一年三月までという期間を区切って短期集中的にこの間に処理する、そういうものでございますので、その形でそのことに集中することにしておりますが、この金融再生委員会をつくることによって、ここに金融行政に関する権限を一元化することによりまして、将来の金融庁への移行も視野に入れており、先ほどから池田議員答弁をさせていただいておりますように、財政と金融の完全分離というものも先取りしていこうというものでございます。  ですから、御指摘のとおり、国際金融に関する部分も、この部分を将来的には、ここだけを大蔵省に残してもいかがかというふうには考えておりますので、今の岡田委員の御指摘は貴重な御意見として、今後の検討課題として、それは金融庁になったときには、そのときには移すというような方向で考えていきたいというふうに考えております。
  105. 岡田克也

    ○岡田委員 そうすると、今の段階でははっきり答えは出さないで、金融庁が二〇〇一年でしたかにスタートするときにもう一度考える、こういう趣旨ですね。  それから、もう一つ確認なんですが、検査組織の地方組織ですね。今は財務局の中にあると思うんですが、これはどういうふうにするおつもりなんですか。どこか法律に書いてあるのかもしれませんが。
  106. 古川元久

    古川議員 これは、大蔵省設置法の方を一部を改正いたしまして、従来の、要は、金融監督庁の指示のもとでやっていた、あるいは大蔵省の指示のもとにやっていた部分は、これは再生委員会の指示、委任、委託を受けてやるような形になるという感じになると思います。  ただ、この部分につきましても、検査体制の将来的な増員とかそういうものから考えれば、地方組織というものも、やはりこれは将来的には独自のものをつくっていく方向にしていかなきゃいけないのじゃないか。  与党の議員からも御指摘ありましたように、こうした再生委員会、急につくるといってもできないのじゃないか。監督庁をつくるのに時間がかかったというお話がございました。ただ、私たちのをよく見ていただければわかりますように、金融再生委員会というもの自体はそれほど大きな組織を目途としているわけではなくて、今の大蔵省の金融企画局あるいは金融監督庁、そうしたものをこの金融再生委員会のもとにまとめる。そういった意味ではそれほど組織的に大きな変換を伴うことじゃなく、一つにまとめるといった意味では、今のところ、急にやらないという形では、やはり財務局を使うという形になるというふうに考えております。
  107. 岡田克也

    ○岡田委員 ここは、できれば私は財務局から外すべきではないか。人事がそういう形で大蔵省財務局という中で行われるということになりますと、やはりいろいろな意味で独立した検査というものに障害が出てくるのじゃないか。これは現行法でも同じ問題があるわけですが、そういう指摘をしておきたいと思います。  それじゃ、次に参りたいと思いますが、金融機能再生のための緊急措置に関する法律案の方なんですが、ここで裁判所というもののかみ方の問題があります。  これは与党の議員からもいろいろ今まで質問があったところでありますが、例えば八条で「業務及び財産の管理を命ずる処分」というのがあります。そして第九条の「裁判所の認可」があって、  裁判所は、前条第一項の認可の申請があった場  合において、当該申請が同項に規定する要件に  該当すると認めるときは、当該申請のあった日  又はその翌日において、当該申請に係る管理を  命ずる処分の認可をしなければならない。この九条で言う「同項に規定する要件」というのは、八条の一項の一号、二号だけを指すのか、あるいは八条の一項の柱書きの部分も含む概念なのか、いずれでしょうか。
  108. 古川元久

    古川議員 基本的には、裁判所の認可につきましては、今おっしゃいました柱書きの部分も含めて、委員会が決定をしました事項について、これは基本的には裁判所の方がそれほど、実質的なことを決定するというよりも、むしろそこは客観的条件がそろっているか、ある意味で条件を満たしているかというものを、集められてきた資料に基づいて、まさに、金融再生委員会が考えるような形ではなく、裁判所に求められるような、いわゆる証拠認定的な話になるかと思いますが、そのような形で、そうした資料がそろっているか、そのようなものを判断した上で最終的に認可をするということになると思います。
  109. 岡田克也

    ○岡田委員 そこで、この八条の柱書きの中で、債務超過というケースが書かれていますね、「金融機関がその財産をもって債務を完済することができない場合その他」云々かんぬんと。そうすると、債務超過であるということを裁判所が認定をする、本当にできるのだろうか。これはかなり精査をしていかないと債務超過かどうかなんということは簡単には出てこないと思うのですが、これが本当に可能なのかどうか、これが一点。  もう一点は、一号、二号の二号の部分で、  その業務の全部の廃止又は解散が行われる場合  には、当該金融機関が業務を行っている地域又  は分野における資金の円滑な需給及び利用者の  利便に大きな支障が生ずるおそれがあること。大きな支障が生ずるかどうかというのは、これは私は、規範に照らした判断ではなくて行政判断じゃないかと思うのですね。ここの部分を、認可とはいえ裁判所に係らしむるということが適切なのかどうか。この二点についてお聞きをしたいと思います。  一番主張しておられる西川さんがおられないのが非常に残念なんですが。
  110. 石井啓一

    石井(啓)議員 一番主張しております西川さんにかわりましてお答えをいたします。  まず、この法律の構成からいいますと、第八条にいたしましても、あるいは第二十八条にいたしましても、金融再生委員会が、金融整理管財人による管理あるいは特別公的管理に該当するかどうかをまず第一義的に判断をする、こういうことでございますので、今おっしゃいました第一番目の、債務超過状態になっているかどうか、これもまず金融再生委員会が把握をする、こういうことで考えております。  その上で、この第八条なり第二十八条に当たる要件に該当するのかどうか、これを裁判所に申請を行うということでございますから、金融再生委員会は、裁判所が迅速な判断を要するような十分な説明資料、判断資料または口頭での説明を行う、こういう状況を想定しているわけでございます。
  111. 岡田克也

    ○岡田委員 二号の方は今お答えいただきましたか。——ああ、そうですが。  私は、やはり裁判所をかませるということであれば、もう少し時間が必要なんじゃないかなと。それから、二号の方はやはり行政判断なんじゃないかなという気がいたしますので、無理にここで裁判所をかませる必要はないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、あえてここで裁判所の認可を必要とした理由は何かございますか。
  112. 石井啓一

    石井(啓)議員 今回、この処理に当たります主体は金融再生委員会でございますから、現在の行政機関から比べますと公平性というのは格段に向上するものとは思ってはおりますけれども、やはり行政機関でございますので、行政機関がある意味で恣意的にいろいろな裁量行為等を行わないようなチェック・アンド・バランスという観点から裁判所の認可を求めた、こういうことでございます。
  113. 岡田克也

    ○岡田委員 それは別に裁判所をかませないとできない話ではないように私は思うのですが、ここはなお検討課題だというふうに申し上げておきたいと思います。  それから、金融整理管財人のもとでいろいろ、最長二年間やっていくわけですが、ここで言われている最終的な処理というのは、合併とか営業譲渡ということをまず念頭に置いて組み立てられておられるのか、原則清算ということを考えておられるのか、いずれなんでしょうか。
  114. 石井啓一

    石井(啓)議員 清算という言葉に若干いろいろな意味が、意味がといいますか誤解が含まれるような要素があると思いますけれども、ここで私どもが言っておりますのは、単に会社を単純に清算をして全部なくしてしまうということではなく、原則営業譲渡あるいは資産の売却等を行うということを考えておりまして、残った法人を清算する、こういうことでございますので、先生おっしゃるとおりでございます。
  115. 岡田克也

    ○岡田委員 そこで、二十六条の「管理の終了」というのがそこに当たるわけでありますが、原則一年以内、場合によっては一年に限りこの期間を延長する、こういうことになっているわけです。ここが政府・与党のお出しの法案と長さの点において違いがあるわけですが、基本的に原則一年、例外二年ということでそういう合併相手あるいは営業譲渡先というものが見つかるのかどうか、あるいは、これを長くしたときにどういう弊害があるのかということについて御答弁いただきたいと思います。
  116. 石井啓一

    石井(啓)議員 その点は非常に重要な点でございまして、実は、私ども北海道拓殖銀行に調査に行きましてお話を聞きました折に、拓銀の場合は、北海道分の引き受けは北洋銀行でございましたが、昨年十一月に破綻した時点では、本州分については引き受け手が決まっておりませんでした。それで、破綻した後、預金の流出がやはり拓銀もあったと。ただ、北海道分については、北洋銀行が、引き受け手があるということで二週間程度でおさまった。本州分については、最終的に引き受け手が決まるまでの間はやはり預金の流出が続いた、こういう話を聞いてまいりました。  この経験から考えますと、私どもは、預金者保護をしているとはいいましても、やはり早急に引き受け手となる金融機関を探すということが非常に重要であると考えておりまして、いたずらにこれを引き延ばすということになりますと、預金の流出のみならず資産の劣化も招いてしまうということでございますから、私どもは原則一年、ないし長くても二年の間で行われなければ、これより先に延ばすということになりますと、資産の劣化も続き、預金の流出も続き、結局大変なくず債権ばかり残るようなそういう銀行になりかねない、こういうふうに思っております。
  117. 岡田克也

    ○岡田委員 今の御答弁を整理しますと、だれでも早く合併の相手とか営業譲渡先を見つけたい、一刻も早くそうしたいというのはこれは当然のことでありますから、ポイントはむしろ今の御答弁の後半にあったのであって、最長二年を超えてしまうと結局非常に劣化したものしか残らずに、かえって公的負担がふえてしまう、だから原則一年、例外二年ということで切った、そこが政府と考え方の違うところだ、こういう答弁と理解してよろしいですね。  それでは最後に、時間が参りましたのでもう一問だけ。  公的管理のところに関係するわけですが、第五十三条に「金融機関の申出」という規定がございます。金融機関は、  その業務又は財産の状況に照らし預金等の払戻  しを停止するおそれがあるときは、その旨及び  その理由を、文書をもって、金融再生委員会に  申し出なければならない。こういうふうになっておりますが、このことと、それから二十八条の「特別公的管理の開始の決定」というものはどういうふうにリンクしているんでしょうか。
  118. 古川元久

    古川議員 今委員の御指摘の「金融機関の申出」は、御承知のようにこれは雑則のところに入っておりまして、これはそもそも、金融再生委員会が、いわゆる特別な公的な管理に入るか、あるいは金融整理管財人をつけるか、その判断をする前のところのアクションを起こすときの両方にこれはかかっているんですね。  別に、この申し出があったら必ずこれは特別公的管理に入るというわけではなくて、そういう申し出があれば、これは事実上、つまりあしたの資金繰りもつかないというような状況金融機関が立ち入って、そこで、今そういう状況ですということを再生委員会に申し出てくるということになりますから、そこでは、これは前の方で言っておりますように、その場合にはこの再生委員会でいわゆる破綻した金融機関というふうに認定をして、それによって、ある場合には金融整理管財人、そしてある場合には特別公的管理、そういった従来のスキームの中でこれを判断していくということになると思います。
  119. 岡田克也

    ○岡田委員 ですから、客観的な条件が二十八条の適用のためには必要ですが、そういうものを満たしておれば、みずからが払い戻しの停止のおそれがあると認めてそういう申し出をしてくるわけですから、原則的には、金融再生委員会は二十八条でそれを受けとめて、そして一定の要件がそろえば手続に入っていく、その導入のための規定になるということですね。  これは、おそれですから、実際に債務超過であるとか実際に停止であるということは必要ありませんので、銀行自身がみずからおそれがあると思ってこの申し出をすれば、おそれがあると自分が言っているわけですから、二十八条でそれを受けとめて、その手続に要件がそろえば入っていく、こういうふうに理解していいですね。
  120. 枝野幸男

    枝野議員 まさに今御指摘のとおりでありまして、そういったことから公的管理等に入っていくというケースが、むしろ場合によっては、特に初期の段階は、金融再生委員会が立ち上がっても、そのしっかりとしたルールに基づいての検査というのが終わるまでの間というのは、もしかするとそういったケースの方が多いのかもしれないというふうに思っています。
  121. 岡田克也

    ○岡田委員 これで終わります。
  122. 相沢英之

    相沢委員長 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  123. 相沢英之

    相沢委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として金融危機管理審査委員会委員佐々波楊子君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 相沢英之

    相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  125. 相沢英之

    相沢委員長 次に、並木正芳君。
  126. 並木正芳

    並木委員 改革クラブの並木正芳でございます。平和・改革を代表して質問させていただきます。  初めに蔵相に御質問いたしますけれども、週末のお忙しい時間をアメリカまで行っていらっしゃったわけでございまして、御苦労さまでございました。  その日米蔵相会談についてでございますけれども、その中でルービン米財務長官は、世界的な経済危機に関する日本の責任というものを声高に述べ、日本の緊急性への意識欠如と、そして迅速な景気回復への要求、それと積極的な公的資金の投入と十三兆円枠の拡大、こういうことを要求したということであります。  国際協調等意見を述べ合うことはもちろん結構なんですけれども、ともすれば干渉になるわけです。蔵相はそんなことはなかったというお話もされているようですけれども、夕食会等もあったようです。また、事務方同士の協議もあったようですけれども、その辺の真相はどういうことかということをまずお聞きしたいわけであります。  それと、こういう緊急性発言を紹介したのが宮澤蔵相御自身であったということでありますけれども、一部報道では、この発言を国会での野党が理解していく上でのてこにしよう、そういう期待もあるというふうに報道された面もあります。こういう姿勢でアメリカの圧力を国会でのてこにするということでは、日本の独自の、まさにドル、ユーロ、それに並ぶ円の国際通貨化、こういうような経済政策にもそうした方向性が望むべくもないというふうな気持ちもするわけですけれども、まさに対米追従姿勢のあらわれととられかねないんじゃないかと思いますけれども、この二点についてお聞きしたいと思います。
  127. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいまの御質問は、私が対米追従をしたとおっしゃるんですか。
  128. 並木正芳

    並木委員 何か質問があれですけれども、対米追従的なところでとられかねないと、現にそういう報道もされているわけですけれども、それについて蔵相はどのようにお考えかということです。
  129. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 アメリカの財務長官が何か言ったって、日本の国会がそれに左右されることは私はないと思います。また、私にもそういう気持ちは全然ありません。
  130. 並木正芳

    並木委員 そうすると、その議論というのがどう行われたかという真相については、蔵相は、近いようなルービン長官からの御意見に対してどのような議論で応じたのでしょうか。
  131. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 アメリカのルービン長官が訴えたいことは、御承知のように、アジアにおける経済情勢がアメリカの経済に影響を及ぼし始めているような時期でございますけれども、そのときにまたロシアにああいうことが起こりまして、ウォールストリートの株価もちょっと乱調子になっておりますところへ、それがいろいろな形でラテンアメリカの国々に影響をいたしたようであります。ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、ベネズエラ、これはやはりアメリカへ向かってかなり急速な資金の引き揚げが行われているようでございます。  銀行にしてもヘッジファンドにいたしても、そのようなことで、かなり急激にそれが起こっておりますことで、ちょうど先週、それらの国の蔵相会議がワシントンで開かれて、いわばこれ、御承知のようにアメリカの裏庭のようなことでございますので、かなりルービン長官に苦境を訴え、また、日本の話も出たようでございます。  それがこのたびの会談のちょうど背景になっていまして、ルービン長官としては、世界のそういう状況を一手に引き受けるようなそういう心理的な気持ちになっておりまして、世界第一の経済であるアメリカ、第二の経済である日本も、これはひとつこの苦境を打開するのに日本の力もぜひ出してくれと、こういう心境であったように思われます。  それで、確かに緊急性の欠如云々は、私も記者会見で申しましたし、ルービン長官も言われたようですが、これがまあいわば会議の主たる課題であった。それは御承知のように、アメリカはそういう危機を非常に感じているのに、日本に行ってみると、日本は極めて静かであって余り動揺した傾向がない。これは国民性とかいろいろございますから説明は幾らでもできますけれども、彼が訴えたいことは、要するにそういうことであった。これが会談のいわば主たるトーンでございましたから、私は当然、それを率直に記者会見で申しましたし、ルービン長官もそれを言われたのでございまして、そこに別段他意はございません。
  132. 並木正芳

    並木委員 ところで、この会談におけるアメリカのいら立ちというのが逆に作用したのか、あるいは公的な介入があったのか、あるいは利下げのアナウンスとかいろいろありますけれども、今、日本はトリプル高になっております。ところが、日本のファンダメンタルズというのは必ずしもよくない、これは経済企画庁長官もおっしゃっているわけですけれども。このトリプル高のときに、大きなこの金融システム安定化策はもちろんですけれども、むしろ経済対策をさらに一層強く打ち出していくべきではないか。  私ども、住宅ローン減税とかそのような住宅関連税制の改革、こういうものも訴えているわけですけれども、そういうものがないと、このトリプル高も一時的なものになってしまうのじゃないかと思うのですが、その点については、大臣、いかがお考えでしょうか。
  133. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 今市場のことを言われましたのですが、私はいつでも、売る人があれば買う人もあるというふうに思っていまして、その時々の水準についてあえてコメントをしないことにいたしております。また、実際見ておりますとそのとおりなものですから。したがいまして、今の状況がどれだけ続くか続かないかということも実際わかってもいないことですし、言ってみても余り大した意味はない。  ただ、おっしゃいますように、住宅減税というのは確かに非常に大事な税制でございます。今我が国でもかなり大幅な住宅ローンの税額控除をしております。これは我が国の租税措置全体の税収減の三分の一に及ぶそうでございますので、非常に大きな減税をいたしておりまして、この点は賛成でございます。
  134. 並木正芳

    並木委員 一層強くその辺の検討をお願いしておきます。蔵相、ありがとうございました。  それでは、野党提出法案について、もういろいろ御論議ありましたので、一点お聞きしますけれども、昨日の若松委員質問でも、野党案のすぐれたところというのは情報開示だというようなお話もあったわけですけれども、その辺について、三会派案というのは、より厳しい新たな基準情報開示について自己査定結果を公表させる、こういうことにされています。  相次ぐ金融機関、大蔵省の不祥事などで市場の信頼性が欠如している、こういう実情からして、私も現行のSEC基準では不十分と考えるわけです。自己査定させ公表させる理由ですけれども、その辺について伺いたいということと、さらに、具体的に本法案における情報開示への取り組みについて、罰則も強化されているようですけれども、その辺についてもどのような理由かということで、恐縮ですけれども、時間の都合もありますのでまとめてお答えいただければと思います。
  135. 石井啓一

    石井(啓)議員 それでは、お答えいたします。  今、金融監督庁は、現在の不良債権の公表基準、SEC基準で十分だという認識のようでございますが、私ども委員の認識と同じように、残念ですが、今の、現行の基準では市場の信頼を十分得ていない。例えば、いわゆる追い貸し等によって金利返済が滞らないように、こういうふうに装うことも可能である。また実際、長銀の例を見ますと、今回債権放棄いたします日本リースや日本ランディックがリスク管理債権の中に入っていなかった、こういった事例を見てみましても、残念ながら信頼性に乏しい。  自己査定の結果を開示すると、他の先進国に比べて非常に厳しい基準になるのではないか、そういう指摘もございますが、私どもは、やはり信頼を回復するには、世界で最も厳しい基準を設けてでも信頼を回復するための努力を行うべきだ、こういうふうに考えているところでございます。  ただ、現行の資産査定では各行がばらばらの査定の基準でやっておりますし、また特にこの委員会でも審議になっておりますように、第二分類債権については大変幅の広い中身が含まれておりますので、私どもは、自己査定の結果を公表する前提といたしまして、資産区分についてより細分化、明確化をする、こういうことを考えております。  具体的には、不良債権分類のための統一基準を作成するということで、金融再生委員会がより厳密な統一基準をつくりまして、今申し上げましたように、特に第二分類債権については細分化し、分類をし直す、あるいは債務者区分の定義や担保保証の評価基準も厳密に行う、こういうことを考えております。その上で、個別金融機関ごとにこの統一基準に従って資産査定を行い、金融再生委員会に報告を義務づけております。  さらには、その報告のうち、その区分に係る資産額あるいは償却の引き当て額などについては公表することとしております。  また、金融再生委員会あるいは日銀については、資産査定の結果について虚偽の報告がないか等について検査を行う、こういうことで考えているところでございます。  それから罰則強化でございますけれども、従来、金融機関から金融監督庁への虚偽報告については懲役一年以下あるいは罰金三百万円ということでございましたけれども、今回、この資産査定について、これがベースになりまして金融機関の財務の透明性を判断する、ひいては破綻の認定の重要な基準になる、さらにはこれをディスクロージャーする、こういう重要事項でございますので、その正確性、客観性を担保するという観点からも罰則を強化した、こういうことでございます。
  136. 並木正芳

    並木委員 よくわかりました。  ところで、そのような中で情報開示をしていくことの必要性が今語られたわけですけれども、さらには金融再生委員会、こういうものにしても大きな役割を持つわけです、三党案についてですね。そういうようなことに関連して、金融危機管理審査委員会についてお聞きしたいわけです。  初めに、金融監督庁の日野長官の長銀あるいは長銀関連ノンバンクについての発言ですけれども、これについては、銀行の不良債権隠しの実態とかバブルへの認識というのが非常に欠如しているような発言も見られておりまして、金融システム再生のキーマンとしての自覚をこれは強く求めておきたいわけです。  金融危機管理審査委員会につきましては、去る三月九日ですか、我が党の石田勝之議員質問にもあったわけですけれども、大変形骸化したとも言える機能に対して強い懸念を持っているわけであります。  審査委員会がつくったと言われている審査基準でありますけれども、これはどのような議論を経て基準が決まったのでしょうか。さぞかし、公的資金投入に関する基礎、基本のところ、これは税を使っていくということですから、その肝心のところは議論されたと思うわけですけれども、この議事の概要と議事録について公開するような予算委員会での御答弁もあったようですけれども、それについては今いかがなっているのでしょうか。実際は、いろいろ類推すると、審査委員会がこの基準をつくったのでなく、大蔵省がつくったのじゃないかというふうに思える面もあるわけであります。  去る一日の本委員会では、佐々波委員長は、三月の長銀など二十一行に対する公的資金の投入に関して、融資実態など個別行の内容について詳細は把握していないと述べられ、かつ資産内容の洗い直しは大蔵省、日銀にお願いしたとも発言されておりますけれども審査基準も大蔵省がっくり、実態調査も大蔵省や日銀が行ったというなら、この委員会の役割というのは一体どこにあるのでしょうか。それについて委員長からお聞きしたいと思います。
  137. 佐々波楊子

    ○佐々波参考人 御質問がかなり多岐にわたりましたので、それぞれについてできる限りお答えいたしたいというふうに思います。  審査基準の策定に当たりましては、金融システムの信頼を一刻も早く回復させると同時に、金融機能を強化すべきであるという共通認識を持ちまして、二月二十日の審議委員任命の閣議決定直後から事務局を介して委員間で実質的な意見の交換を始めました。二月二十三日、二十六日、金融危機管理審査委員会を開催の上議論いたしまして、二十六日の委員会にて全員一致で決定いたしました。同日これを公表いたしております。これは、公表したことをつけ加えさせていただいたわけです。  審査基準の内容につきましては、金融機能安定化のための緊急措置に関する法律の趣旨を具体化したものでございます。その際、まず一に、審査基準によりまして、経営状況が著しく悪化した金融機関に関する基準を具体的に示し、資本注入の対象外とするとともに、二の「「経営の健全性の確保のための計画」に織り込むべき事項」といたしまして、個々の金融機関に不良債権処理経営の合理化努力についての取り組みを求めました。銀行の社会性、公共性を踏まえた適切な経営理念、それを実現するための方策の具体的な内容の表明を求めることにいたしまして、それを盛り込むことにいたしました。それが一点でございます。  次は、金融危機管理審査委員会の議事録等につきましては、金融安定化法では、優先株式などの引き受けにつきましての議決を行ったときには、速やかに議事の概要を公表し、議事録を審査委員会が適当と認めております相当期間経過の後に公表する旨を定めております。二十五条でございます。  審査委員会の第一回、第二回会議につきましては、審議の結果である審査基準及び経営の健全性の確保のための計画に盛り込むべき事項を公表いたしております。そのほか、第二回の会議終了後に私自身が記者会見をいたしまして、会議状況については既にお伝えしてあるはずでございます。  審査委員会において検討いたしました結果、法で作成が義務づけられていないものの、優先株式等の引き受けにかかわる議決を行ったときと同様、議事録を作成いたしまして、審査委員会が適当と定めている相当期間経過後に公表することにいたしております。  相当期間につきましては、現時点では定められておりませんけれども信用秩序の維持、委員の方々の自由な発言の確保というものを考える必要がございますので、一定の制約はあるものの、極力前向きに対応したいというふうに存じております。
  138. 並木正芳

    並木委員 時間がありませんので一言だけもう一度質問させていただきますけれども、公開を一日も早くしてほしい。記者会見でいろいろ公開したというようなこともおっしゃっていますけれども、議事録の公表等を行っていただきたい。  それで、基準なんですけれども公的資金を一般の金融機関に投入する、その基準が、経営状況が著しく悪化していないこと、それは、最近三年連続して赤字決算または無配でないことというふうにしています。  またもう一方で、早期是正措置の発動区分として第三区分、つまり自己資本比率〇%未満の場合には投入しない、こんな基準なんですけれども、これは実際に全国百四十六の銀行とか四百十の信用金庫、このようなものはほとんどないと思います。三月でも一行あるだけだということなんです。つまり、こういうことで、ほとんどないようなところで基準が設定されているなら、まさに審査なんか、中立公正な審査委員が厳正に審査をするなどと言っているわけですけれども審査などなきに等しいというふうに感じるわけであります。  長銀のことを見ても、橋本前総理が「審査委員会審査基準に基づいて提出されました申請、経営の健全性確保計画などを厳正に検討して適切な判断を下してくれるもの、そう考えています。」こういうふうに答えられているのですけれども、まさに何をか言わんやかと思います。  こういうような実態について、佐々波委員長、最後ですけれども、今後の委員会のあり方あるいは御自身の立場について、どのようにお考えでしょうか。簡潔に一言でお答えいただければと思います。
  139. 佐々波楊子

    ○佐々波参考人 御要望のとおり簡潔に述べさせていただきます。  審査基準一には、第三区分銀行には資本注入できない旨定められておりますけれども、先ほど御指摘にありました早期是正措置の区分にかかわる基準につきましては、大蔵省、現在は金融監督庁の指導が確実に行われていれば問題はないというふうに承知しております。  資本注入にかかわる審査については、基準一だけではなくて、基準二から五までクリアする必要がございますし、経営の健全性確保のための計画の審査も行っておりますので、したがって、中立公正な審査などないのではないかという御批判は当たらないのではないかというふうに存じております。  以上です。
  140. 並木正芳

    並木委員 時間でございますので、ありがとうございました。
  141. 相沢英之

    相沢委員長 これにて並木君の質疑は終了いたしました。  次に、西川太一郎君。
  142. 西川太一郎

    西川(太)委員 自由党の西川太一郎でございます。  短い時間でございますが、大蔵大臣を中心にお尋ねをさせていただきたいと思います。  きょう雑誌を読んでおりましたら、宮澤大蔵大臣は、高橋是清ではなくて、私の選挙区の生まれ育ちであります勝海舟だと。批評は人の自由、他人の自由、行蔵は我にあり、福沢諭吉先生が「痩我慢の説」で批判をしたことにこたえたこれは海舟の名言でありますが、その後が振るっているのです。野党の若い議員が次から次に質問すると、宮澤先生は、何勝手なことを言っているのだという顔をして聞いている、こう書いてありまして、これは見た人が勝手にそう書いたので、そうお思いにはなっていないと思います。そこで、私がお尋ねすることを勝手なことと思わずに、ぜひ御答弁をお願いしたいと思うわけであります。  そこで、実は、政府提出ブリッジバンク法案では、内閣総理大臣が業務、財産の管理を命ずることができる。もっと正確に申し上げれば、内閣総理大臣は、平成十三年三月三十一日までを限り、  金融機関がその業務若しくは財産の状況に照ら  し預金等の払戻しを停止するおそれがあると認  める場合又は金融機関が預金等の払戻しを停止  した場合であって、次に掲げる要件のいずれか  に該当すると認めるときは、当該金融機関に対  し、金融管理人による業務及び財産の管理を命  ずる処分をすることができる。それで一と二でその状況を書いているわけでありますけれども、実はこれで思い起こしますのは、九六年の十一月に破綻をいたしました阪和銀行の例を思い起こすわけでございます。  そこで、まず、あのときも、たしか途中でそれは引っ込められましたけれども、八十五億円の余分な退蔵慰労金が積み増しされたことによって阪和の労働組合が折れたというような報道も実際あったわけでございます。旧聞に属することで恐縮ですが、これが一つの例として、異議申し立てでありますとか行政訴訟というものをこの法律ではお認めになるのでございましょうか。
  143. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま阪和銀行のことをちょっとお触れになられましたのですが、私の聞いておりますところでは、阪和銀行では業務停止命令後に労使間において退職金の支給をめぐる紛争が生じまして、これが裁判所の民事調停によって解決をすることになりまして、調停の成立内容に沿って労使間で退蔵金支給についての協約が締結されたのであります。  そこで大蔵省は、預金保険から当該退蔵金の割り増し支給を含む資金援助について、これが阪和銀行処理円滑化信用秩序維持に必要と考えまして、預金保険上の必要性の認定をいたしました。このことは、実は、労使間の労働条件に大蔵省として立ち入ることは適当でありませんし、また裁判所の民事調停による解決が行われましたので、その解決を尊重したということと承知しております。  それで、しかし御質問の本題は、今おっしゃいました条文が、確かに金融機能安定化のための緊急措置法の第二条の二にございます。それは、総理大臣が「当該金融機関に対し、金融管理人による業務及び財産の管理を命ずる処分をすることができる。」ということでございます、条件はございますけれども。その場合、それに対して異議を申し立てる、あるいは行政訴訟を認めるのかという御質問でございましたが、行政不服審査法に基づく不服申し立てができる、また、行政事件訴訟法に基づく抗告訴訟を提起することもできると考えております。
  144. 西川太一郎

    西川(太)委員 そこで、また阪和の例を引きます。  ただいま大臣から経過をつまびらかにしていただいたとおりでございますが、当時のMOFは、今は金監庁でしょうか、そうじゃないですかね。当時の大蔵省は、預金保険で蔵員の退蔵金を積み増しして事をおさめたという報道も頻繁にありましたけれども、こういうことはなぜそうなったかというと、ここにもあるとおり、預金を払い戻す、ペイオフにはしないで払い戻す、それが関係破綻銀行の労働組合等の反対に遭ったときには、俗な言葉で言えば、ノウハウから貸付先から、そんなものは全部自分の方がよく知っているんだよ、我々が協力しなければ処理は進まないでしょう、こういうことが広がって、総理大臣の下した決定に対して、ただいまのお話のように、行政訴訟が頻々と起こるという可能性は心配ないでしょうか。これは仮定の話ですからなかなかあれでございますけれども
  145. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  現在は金融監督庁長官に委任されておりますが、この阪和銀行のケースの場合には、結局受け皿銀行が見つかりませんで、わざわざ百億円の出資があって、新しい銀行が設立されて、そこで、もう貸し出しはやらない。ただ、阪和銀行から譲り受けた営業の中で預金の払い戻しだけをメーンの仕事とする新しい銀行が平成九年の四月に設立されまして、そこに預金保険法上の金銭贈与が行われるということになったわけでございます。  これは、委員御承知のとおり、金銭贈与を行う場合には、当時は大蔵大臣が適格性の認定をいたしまして、そしてその認定を受けた上で申し込みという段取りになっているわけでございまして、今度は私ども金融監督庁がこの適格性の認定を預金保険法の六十一条で行うことになりますが、恐らくそのときには、先ほどお話がありました例えば八十五億円、これは全体では八百四十九億円の損失補てんに係る金銭贈与になっておりますが、八十五億円について認定するかどうかという御下問だろうかというふうに思うわけです。  しかる場合に、考えてみますと、恐らくこの八十五億円を認定するかどうかということにつきましては、やはり先ほど大蔵大臣からも御答弁がございましたように、裁判所の関与といいますかがございましたために、その当時は大蔵省がそれを尊重された。  私どもの方になった場合には、今度は金融監督庁としては、その認定をする際には、そういった他の公的な関与があった場合あるいは労働委員会の何か裁定があったような場合、それはやはり最大限尊重していかなければならないのかなと思いますが、しかし一方では、確かに仰せのように、従業員が無理難題といいますか、もう全部、では退職金をよこさなかったら新しい銀行になっても預金の払い戻しなんかには従事してやらないよと言われることになると、やはりそれも大変困った問題だなと思います。  その辺のところは結局、その適格性の認定をするに当たりまして、裁判所とかあるいは労働委員会でありますとか、そういった第三者の公的な機関がお考えいただいたことを十分に参酌してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  146. 西川太一郎

    西川(太)委員 今長官の答弁を伺っていますと、何か裁量的な行政の手法が結局払拭できていない。つまり、今度のこの法案で私は実質的に総理大臣が破綻認定など行えないんじゃないか。なぜかといえば、わずか十五カ月前に倒産をした銀行ですら十五カ月かかって、退職金の上積みをして、そして預金保険を大きく食い込んで八十五億円を追加して、その結果、労働問題的な観点から事は解決しましたけれども、そういうことが頻々と行われるようになったときに、先ほど異議申し立てや行政訴訟はこれを認めるという御答弁でありましたから、こういうものが次から次に出されたときにどういうふうにクリーンな物差しで、そして国民も、銀行ばかりに退職金を出したり再就職の道を考える、そういうんじゃ困るねという気持ちでいると思うのですね。この間、銀行以外の企業で倒産をした人たちはだれが救ってくれたのか、そういうことを考えますと、ここのところが明確でないと私は思うのですが、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  147. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  若干舌足らずの点があったかもしれませんが、補足して申し上げますと、私どもの方で仮にその適格性の認定をいたしましても、申し込みをしたその金融機関に対して金銭贈与をするかどうかということは、今度改めまして預金保険機構の運営委員会というものが、ことしは一月の十四日に開かれておりますが、ここで決定されるということになりまして、そこでさらにクリアな判断が、そこでさらにふるいにかけられるものというふうに承知している次第でございます。
  148. 西川太一郎

    西川(太)委員 私は、内閣総理大臣が破綻に対して決定、認定などできないんじゃないかということを、それができるんだということをわからせていただける答弁を期待したのでありますけれども、ただいまの御答弁では私は満足しません。またいずれかの機会に、このことについてお尋ねしたいと思います。  次に、私の手元に、長銀のノンバンクであります日本リースの大口貸付先上位三十社、九八年三月末の時点でございますから、ここに出ております数字は最高貸出額であることをあらかじめお断りしておきます。現在もこれだけあるとは思っていませんが。  これによりますと、例えばテレビ何社かが取り上げて、有限会社葛西不動産というのが中央区銀座の二丁目にあるわけですけれども、ここに百八十一億八千三百万、最高で貸し出しているのですね。それから、住所も不明だし事業の内容、商売の内容も不明というところが六カ所ぐらいあって、こういうところにも百五十億貸したり、また九十億貸したりしているのですね。  これは、質問というより調査依頼を全監庁にしたいと思うのですけれども、さきに日野監督庁長官は、長銀の問題は長銀本体の財産にかかわるから、監督権の外にはあるけれども関連のものについてもこれを精査したいというような御趣旨の、文言は正確でないかもしれませんが、そういうことをおっしゃったと思うのですが、債権放棄を長銀がするその先が、どう考えても長銀本体の粉飾決算をさせるための不良債権の受け皿になっている、孫会社が。そういう状況的証拠と事実の数字も出ておりますから。  それから、一部報道されている熊本県の事例などは、額としては二十数億のオーダーですが、これなどは実際に証言しているわけですから、当事者が。そして、いまだにその土地が手つかずで売られもしていないという、こういうずさんな管理をしているところに公的資金を導入できないということに結論的にはなるのじゃないかと私は思います。  そこで、ぜひ調査をして、いずれかの機会に開示をしていただきたいということを要請したいと思いますが、いかがでございますか。
  149. 五味廣文

    ○五味政府委員 ただいま行っております検査で、関連会社、特に関連ノンバンクに関する実態の把握をしておりますが、この実態把握の中で、その関連ノンバンクからの貸し付けというものの内容も、これは十分に、できる限りでございますけれども調べておるという状況でございます。  ただ、個別の検査の結果の内容ということになりますと、これを世の中に公にするということは御勘弁をいただきたいというふうに存じます。
  150. 西川太一郎

    西川(太)委員 なぜまずいのですか。
  151. 五味廣文

    ○五味政府委員 個別の取引先の内容ということを、検査という罰則つきの受忍義務のございます、また私ども守秘義務を課されております公務員がいたしたものでございますので、こうしたものを世の中に発表するということは、この守秘義務上問題がございますし、また個別のそういった金融機関の取引先に不測の損害をもたらすおそれもございますので、差し控えさせていただいているということでございます。
  152. 西川太一郎

    西川(太)委員 結局、我々が強い不満を覚えるのは、この不況の中で苦しい思いをしている国民の感覚からすれば、何でわかりもしない、幾ら損失があって幾ら必要としているのか、それすら国民に何にも開示しないで、それで守秘義務がある、公務員だからどうだ、そういう姿勢に対しては、もう時間がないですけれども、私は強く抗議をして質問を終わりたいと思います。  たったの五千億だとか七千億じゃない、兆のオーダーになるぞ、こういう話もあるくらいの世界ですから、しっかり監督して私に報告をしていただきたいと思います。これはぜひ要請して、質問を終わります。
  153. 相沢英之

    相沢委員長 これにて西川君の質疑は終了いたしました。  次に、佐々木憲昭君。
  154. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 長銀に対する資本注入、公的資金の投入に関連をしてお聞きをしたいと思います。  これは既に、金融安定化法に基づいて行われるというふうに説明をされておりまして、十三兆円の枠内で行うのだということでありますが、果たして長銀のような銀行に投入できるのかどうか、根本的な疑問を覚えております。この金融安定化法はさきの国会で審議をされたものでありますが、我々はこれに反対でありました。野党三党も反対でございました。  そこで、大蔵大臣にお聞きをいたしますけれども、前提としてお聞きしたいわけですけれども法律、提案された法案ですね、これをどのように解釈するかという点につきましては、この法案を審議した国会での政府答弁、これが基本になると思いますけれども、これはそのとおりですね。
  155. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 一般論といたしまして、殊に政府提案の場合、政府が提案者でございますから、提案者の考え方、解釈というものはしばしば国会の質疑応答においてあらわれますので、それは非常に多くの場合、一つの解釈の根拠になると思います。
  156. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 法律の解釈の根拠になるということでございます。  そこで、金融安定化法を国会で審議をしていた当時のことでありますが、一月二十三日の大蔵委員会で、山日銀行局長はこのように述べております。破綻するような、あるいは破綻が見込まれるような銀行に注入することは個別銀行の救済そのものなので、そういうことはしない、このように答弁をされております。  そこで、まず初めに確認をしたいのは、注入してもすぐに破綻するような経営内容の悪い銀行、こういう銀行には資本注入はできない、このように考えてよろしいですね。
  157. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 お答えいたします。  この法律の第二十三条第二項第二号ロに「金融機関等破綻する蓋然性が高いと認められる場合でないこと。」というぐあいに法律上書いてありまして、また、それが審査基準の中に盛り込まれております。その意味では、破綻する蓋然性が高い場合にはその時点で、審査する時点で高い場合には認められないということでございます。
  158. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 それでは、それはそのように書いてありますが、具体的にもう少し突っ込んでお聞きをしたいと思います。二つの問題についてお聞きします。  まず一つは、ある銀行が、そのまま放置をすれば破綻が見込まれる、放置をすれば破綻してしまう、しかしながら資本注入をしたならば破綻を防ぐことができる、このような銀行には注入はできるでしょうか。大蔵大臣にお伺いします。
  159. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 お答えいたします。  今のお話の場合は、まず、そもそも資本注入の趣旨、目的でございますが、これは、金融全体のシステムの安定ということでございまして、その注入の結果とか注入の前とか、そういう問題じゃございませんので、そもそもの状況が、経営状況破綻する蓋然性が高いと認められるかどうかということだけでこれは判断するということだと思います。
  160. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 何かよくわからぬ答弁でありますが、注入したら破綻を防ぐことができる、しかし注入しなければ破綻してしまう、こういう銀行について注入ができるのかと聞いているのです。
  161. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 お答えいたします。  注入すると否とにかかわらず、この時点で「破綻する蓋然性が高いと認められる場合でないこと。」というぐあいに法律上も書いてございます。
  162. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 大蔵大臣にお聞きしますけれども公的資金を入れなければ破綻してしまうような銀行、そういう銀行に注入できる、こういうふうに考えてよろしいですね。長銀はまさにそれに当たる、当委員会でもそのように答弁されたように思いますが、いかがでしょうか。
  163. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは何度も申し上げておることでございますけれども、長銀はリストラ計画を具して住友信託銀行との合併を進めて、ネゴシエーションを進めておるわけでございますけれども、それによりますと、極端なリストラをやった後に、過少資本になりますので、そういう状況の中で公的資金の導入を申請したい、こう考えていると承知をしております。それによりまして、その後の段階で合併というものが行われて、長銀は事実上、長銀としての実体を失う、そういうケースであるというふうに考えております。
  164. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 そうしますと、公的資金を入れて合併をしなければ長銀は破綻する、破綻したら大変なことになりますよ、こういうふうにおっしゃいましたね。ですから、長銀というのは公的資金を入れなければ破綻をしてしまう、そういう大変な状況にある、こういう銀行なわけですね。
  165. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そこは私はなるべく気をつけて申し上げておるつもりでございますけれども、そういう形を経て長銀というものがいわば新しい銀行になると申しますか、長銀そのものは実際はそこで新銀行に包摂されてしまうということでございますけれども、長銀の経営者としては、そういたしませんと破綻という状況を招きやすい、そういう場合には非常な社会的なコストになりますからむしろ合併の道を選ぶ、そういうリストラクチャリングの判断であろうというふうに政府は見ております。
  166. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 そういう今のやり方が、政府答弁と全く違っております。  二月四日の大蔵委員会で山日銀行局長は、破綻を防ぐために申請をするというような場合はこれに該当しないと述べております。破綻を防ぐための圧入はやってはならない、このように国会で答弁をしております。  そうしますと、今やろうとしていることは、注入しなければ破綻をする、つまり、破綻を防ぐために注入をするということですよね。そうすると、あの二月四日の大蔵委員会での政府側の答弁とは全く違うことをやろうとしているのじゃありませんか。
  167. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 将来、申請を予想されております長銀側の考え方としては、不良債権を整理いたしました後、過少資本になりますので、そこで国から公金、公の金の投入を得て、そして資本を充実し、その上で新しく住友信託銀行との合併をしたい、そういう計画というふうに政府は見ておるわけでございます。
  168. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 ですから、破綻を防ぐための公的資金の投入でしょう。公的資金を投入しなければ破綻して大変なことになります、日本世界恐慌にならないように国民の皆さんにも御理解をいただいて公的資金を投入するのです、こう言っているのです。だから、投入しなければ破綻するわけですよ。そういう銀行に投入してはならない、破綻を防ぐための申請をするような場合にはこれは該当しない、こう言っているわけですから、従来の政府答弁と全然違うことをやろうとしているのじゃありませんか。これはどう説明するのですか。
  169. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 長銀自身は、公的な資金の導入を得て資本を充実する、そして体制を整えて合併をしよう、恐らく吸収合併ということになると思いますけれども。長銀はその間、破綻ということについて一切言っておりません。自分たちが資本を充実することによって、合併をして社会的なコストを防ぐ、少なくする、こういうことを言っているように想像いたします。
  170. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 全く説明になっていないと思います。  それでは、二つ目の問題について聞きます。  今おっしゃった吸収合併されるような銀行、この点について山日銀行局長は、二月六日、衆議院の大蔵委員会でこのように答弁されております。  吸収合併される方の銀行のことをおっしゃって  いるわけでございますね。そういうことであれ  ば、十三兆円の運用としては、破綻が見込まれ  るようなものは相手にはするべきではないとい  う考え方で御提案申し上げているわけでござい  ます。  営業譲渡の場合もあるでしょうし、つまり、そ  ういった個別金融機関が例えば債務超過状態に  もうなりかけておって、それで破綻がすぐにで  も見込まれるような場合には、それは単なる銀  行救済になってしまう、こういうことでござい  ます。  つまり、今大臣がおっしゃったように、長銀は公的資金を入れなければ大変な事態になる、そこで資金を入れて吸収合併してもらう、長銀の本体はいわば身を捨ててなくなるのだ、まさに今おっしゃった吸収合併ですよね。その吸収合併のような場合には十三兆円の運用としてはすべきではないと、山日銀行局長ははっきりおっしゃっているじゃないですか。資本注入はできないじゃありませんか。どうなんですか。
  171. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 今速記録からお読みいただいたのだと思いますが、それを承っておりましても、吸収合併云々という質問に対して、山口君は、それは破綻のケースでございますねと言って問題を一つ切りまして、それでお答えをしているように思います。  吸収合併であるかどうかということは、それはいろいろな判断がございますでしょう。ある意味で、法律用語ではございませんでしょうから、合併比率等々で、これはそうである、これはそうでない、こういうことを申すのが常識だろうと思いますが、そういう形であっても、それ即破綻だというふうには断定できませんので、そこで山口君がそういうお答えを申し上げているのだと思います。
  172. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 これは答弁になっていないですよ。  大体、公的資金を入れて合併しなければ破綻をするような銀行なんでしょう。当事者が言っているかどうかというのは、先ほど、いないかどうかわからないとおっしゃいましたけれども。宮澤大蔵大臣がそうおっしゃっているわけですよ、そうしなければ破綻すると。本当に、そういう銀行には投入できないというのが従来の政府答弁じゃありませんか。全然違うことをやっているじゃないですか。  野党に聞きたいと思います。  突然でございますが、野党三会派は、このようないいかげんな答弁が今ありましたけれども公的資金を入れて合併させなければ破綻するような深刻な状況にある銀行には、本来、公的資金国民の税金は投入できないと思いますけれども、その点はどのようにお考えでしょうか。
  173. 枝野幸男

    枝野議員 私どもは、提出しております法案の中にも入っておりますとおり、そもそも、いわゆる資本注入策というスキームそのものをやめるべきであるというふうに考えております。  したがって、そういった見地からもやるべきでないと思っておりますし、また、現在存在しております法律の解釈からも、また政治責任等の見地から考えましても、これは我々はやるべきではないというふうに考えております。
  174. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 その点では、我々と全く一致した考え方でございます。  長銀への公的資金投入というのは、政府の従来の法律についての解釈、これまでの答弁に照らしても全く説明がつきません。また、道理が全くないということも明らかになったというふうに思います。  以上で終わります。
  175. 相沢英之

    相沢委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。  次に、濱田健一君。
  176. 濱田健一

    濱田(健)委員 三党にお尋ねをしたいと思います。  まず、不良債権処理にかかわる基本的な部分でございますが、三党の考えでいらっしゃる不良債権処理の原則というものを改めてお尋ねしたいと思います。
  177. 古川元久

    古川議員 法案の方に、私ども破綻処理の原則として六つの原則を挙げさせていただいております。  第一には、破綻した金融機関の不良債権等の財務内容その他の経営状況開示すること、いわゆるディスクロージャーでございます。また、経営の健全性の確保が困難な金融機関を存続させないものとするということ。そして第三には、破綻した金融機関の株主及び経営者等の責任を明確なものとすること。そして第四には、預金者を保護するものとすること。そして第五には、金融機関金融仲介機能を維持するものとすること。これはシステミックリスクなどを避けるということでございます。また最後に、これは非常に大事なことでございますが、金融機関破綻処理に係る費用が最小となるようにすること。  とにかく、そういった意味でいろいろな原則、この六つの原則をベースに私ども法案を考えております。
  178. 濱田健一

    濱田(健)委員 法案に載っておりますとおりにお答えいただいたわけですが、この原則、政府案の原則というのも当然法案の中に盛り込まれていると思うのですが、それと比べての特徴というか力点というか、その辺がおありでしたら述べていただければ幸いなんですが。
  179. 枝野幸男

    枝野議員 私ども政府案の原則についてお答えをする立場ではございませんので、私どもの特徴ということでお答えさせていただきますと、一つは、やはり経営の健全性の確保が困難な金融機関を存続させないという趣旨をきちんと貫こう、原則として貫こうということ。それから、政府のやろうとしてきたスキーム、やろうとしているスキームでは株主や経営者等の責任が明確にならないではないか、そこのところをはっきりさせましょう。それから、費用最小化原則のところを徹底させなければならない、こういったところが特に政府と違った部分での原則であるというふうに思っております。
  180. 濱田健一

    濱田(健)委員 枝野委員の今の御回答の中で、いわゆる債務超過に陥っている銀行等については存続させないというのが特徴だというふうに言われました。  私の前の佐々木委員からも長銀の問題が厳しく追及をされていたところでございますが、長銀への公的資金の投入の是非というのが、当然この委員会でも、世論としても大きく論議されているところでございますけれども、その御見解を改めてお聞きしたい。どんな理由でもやはりだめなのかということをお聞きしたいと思います。
  181. 枝野幸男

    枝野議員 現在、政府が考えておりますようないわゆる資本注入という形での公的資金ということを行いますと、例えば、本来納税者よりもずっと優先して責任を負わなければならない株主がむしろリスクを負うどころか利益を受けてしまう、あるいは経営者に対する責任の追及ということが甘くなってしまう、情報開示ども徹底をされないのではないか。  そして、実は、従来繰り返されてきているように、明確な破綻処理ということをしないで、わけのわからない合併等のスキームでやってきた結果として、かえって公的資金、コストが大きぐかかっているなどということもあり、最小化原則に反するというようなことなどもございますので、日本長期信用銀行に対して、現在の資本注入という形での公的資金投入はするべきではないというふうに思っております。  ただ、あえて申し上げれば、公的資金ということの広い意味がございます。特定の金融機関がいわゆる破綻という段階に入って清算整理をしなければならないといった場合のときには、当然、債務超過の金融機関であれば、預金者に対する預金の保護のために、これは各党一致をいたしまして、公的資金を使わざるを得ないということはやむを得ない措置だということで共通認識を持っているわけでありまして、そうした段階の、そうした時点のお金の使い方、これは当然我々もやむを得ないものと思っているものであります。  長銀をそのスキームに入れるべきかどうかということは、いろいろな議論がありますし、細かい数字、データを持っていない今の段階では何とも申し上げられませんが、私どもの例えば公的管理に入る、あるいは金融整理管財人を置くという段階で、回しの資金として、運転の資金として一時的に公的資金を使う、そういった整理清算を管理された形で行うための必要最小限の部分のところで公的な資金が使われるという意味であるならば、それは我々のスキームの中に当然入っていることでございます。
  182. 濱田健一

    濱田(健)委員 もう一点ですが、一般論として、銀行破綻前の対応はどんな場合でももうやるべきではないとお考えでしょうか。それに対するぬぐい去れない国民の不安というものが一般的に世論として流れているようでございます。この点についてどのように解消するのか、一般論としてでございますが。
  183. 枝野幸男

    枝野議員 破綻前の処理ということであるならば、むしろ健全な体力のある段階のうちに、手おくれにならないうちに早期是正措置を実施することによって体力を回復させる、こういったことをしっかりと徹底させていくことこそが一番重要であると思っております。  逆に、破綻への道を歩み始めてしまった、死に至る病に陥ってしまった金融機関について、そこを救済するというようなやり方は税金のむだ遣いに結果的になりますし、モラルハザードの問題を生じさせる等々の問題がございますので、やるべきではないというふうに思っております。  ただ、もちろん、今国民の皆さんの中に、大きな金融機関などが突然つぶれてしまった場合というのは、これはちょっと考えてみると、大変心配だというその不安は私どもも当然のことであるというふうに思っております。現に、従来、政府・与党がやってきた金融に対する政策の中で、北海道拓殖銀行破綻などの場合に大変深刻な事態を現在の自民党政権は起こしてしまった。こういったようなことを起こしてはならないと私どもは思っております。  そうした意味で、私たちは、金融整理管財人、そして特別公的管理というスキームを用意いたしまして、管理された破綻破綻といっても、普通にほうっておいて、突然銀行のシャッターが閉まる、銀行が借りた金を返せなくなるというような事態を起こすのではなくて、整理清算をしていかなければならないけれども、そこのところで混乱が起こらないように公的に管理をしていきますよというスキームを用意しているのでありまして、このスキームを利用していただければ、国民の皆さんが一部にお持ちになっている不安というものは杞憂に終わるというふうに理解をいたしております。
  184. 濱田健一

    濱田(健)委員 ということは、早期是正措置を講じる、そのことによって自己再建等に持っていく、通常の合併等で生き残るんだったら生き残っていくという努力をする、しかし、それでもだめだったときには、これはもう破綻として清算の方に向かっていくことが、よりこれからの金融界の新しい発展のためにはいいということをおっしゃっておられるというふうに理解してよろしいでしょうか。
  185. 枝野幸男

    枝野議員 言葉に気をつけませんと。私もちょっと注意しながら申し上げますが、金融機関破綻をした方がいいというわけではございませんが、やむなくそういった状況になってしまった場合については、それもやむを得ない、むしろそのことを変に糊塗しようとすることの方が全体にとって不幸であるというふうに考えています。
  186. 濱田健一

    濱田(健)委員 破綻処理後の受け皿でございますが、私たちは、第一義的にはまずは民間銀行が受け皿となるべしというふうに主張をしているところでございますが、三党の案もそのことが当然原則でいらっしゃいますよね。
  187. 古川元久

    古川議員 もちろんそういうふうに考えておりますが、民間銀行だけじゃなくて、これから金融ビッグバンの中では、場合によっては、民間企業でこういうことをやるところに営業譲渡してもいいというふうに考えております。
  188. 濱田健一

    濱田(健)委員 もう一点は、きょうも論議になりましたけれども、第二分類債権の細かな分類の必要性が論議されております。このことを含めて、第二分類債権の期間を区切っての強制引き当て率、これらの適用も図る必要があるのではないかというふうに私たちは思っておりますし、BIS基準に合致する情報開示、自己査定の基準、これらをもっと明確にすべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  189. 古川元久

    古川議員 御指摘のような指摘を与党の自民党の中の議員でもされておられるような方がいらっしゃいますが、私どもはそこまで強制をさせる必要はないのではないかと。むしろ基準としてのガイドライン的な、一般的に、過去、ここ数年来、バブル崩壊後の数年来の不良債権率などを、各分類ごとの不良債権化、そういったものを基準にしてガイドラインを設けて、各銀行現実にどれくらいの引き当てをしているのか、そういうことを発表されれば、後はそれはマーケットが判断をする話でありまして、そしてまた銀行の方も、そうしたガイドラインと自分たちのところが乖離をしておれば、ちゃんとそこのところの説明ができないのであれば、それは当然自分たち引き当てをすることになっていくと思いますし、そのような形で、そこは各銀行の自主性に任せれば、それで私は委員がおっしゃっているような目的は達成できるのではないかというふうに考えております。  また、BIS基準に合致する情報開示というのが、ちょっとどういうことを意味しておられるのか。今でもBIS基準に当然合致するようなことの情報開示はしているわけでございまして、もしSEC基準とかそういうお話であれば、私ども先ほども、きのうきょうの審議でも申し上げておりますように、当然かなりそれよりも厳しい、むしろ世界に誇るべき、日本金融機関はこれだけ厳しい基準を通って市場に対して正確な情報を提供しているのだ、そういったものを開示させるような、そうした仕組みにしていきたいというふうに考えております。
  190. 濱田健一

    濱田(健)委員 私が申し上げたいのも、今、古川委員の方が答弁されたような中身をしっかりと確立するべきということでございまして、そのように認識をしているところでございます。  最後に、いわゆる清算処分する破綻銀行と公的管理に移す破綻銀行区分はどうするのか。法案を読めばわかるわけですけれども、的確な基準というものがもっとあるのかどうか。逆に言うと、地方銀行は清算区分大手銀行は公的管理というような形であれは分けてあるのかどうか。もちろん、入りまじってしまうところもあるのかもしれませんが、読み取り方によってはそういうふうな読み取り方ができるような気がするものですから、その辺はいかがでしょうか。
  191. 古川元久

    古川議員 その点は委員がかなり深読みをしておられるのではないのかなという気がいたしますが、そこの、どちらで、どのような形で金融整理管財人を置くのか、あるいは特別公的管理に入るのか、それは金融再生委員会がこの条文に基づいて、その状況を見て判断するものでございまして、地方銀行がどうなるとかあるいは大手銀行がどうなる、そういったものを一般的に一義的に申し上げられるものではないというふうに思っております。
  192. 濱田健一

    濱田(健)委員 各委員の論議を聞きながら、公的にいわゆる佐々波委員会判断した十三兆円の使い方をこのままほっておくのか、もっと金融法案の中身を変えていくのかという論議もする必要があるし、野党三党が提出されているように、もうこれはばさっと切ってしまって新しいスキームをつくるということも大事だというふうに私たちも考えております。とにかく緊急を要するというこの課題について、もっともっと論議を深める必要があるというふうに認識して、時間が来ましたので、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  193. 相沢英之

    相沢委員長 これにて濱田君の質疑は終了いたしました。  次回は、明九日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時六分散会