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枝野議員 お答えをさせていただきます。
午前中の
質疑以来、このいわゆる破綻前処理というような話について議論が出ておりますが、一点は、先ほど来申し上げておりますとおり、ある程度の体力のある
金融機関については、破綻前処理ということであるならば、従来の早期是正措置、これがむしろあいまいになってきております。情報公開をしっかりと進めながら、みずからの
責任で経営の健全性を高めていくという
努力をしていくこと、これは資本主義社会における企業の当然の原則であります。従来までこうした処理が進んでこなかったのは、隠ぺい、先送り、護送船団による
行政が銀行業界を覆っていたことが原因でありまして、これは、私どもの
金融再生委員会を軸にいたしました透明性、
迅速性、そして厳しい検査というような中で早期是正措置をしっかり進めていただく。このことによって、健全な
金融機関は体力を高め、自己資本比率なども高まっていくというふうに考えております。
一方、残念ながら、現在既に
金融機関として体力を失っていってしまっている、このまま放置をすれば破綻をしてしまう、某銀行については
大蔵大臣がお認めになっているような状況になっている銀行もあるようでございます。私どもも、さまざまな
関係者その他から徴した情報によりますと、今の
経済、
金融の状況は相当深刻に受けとめなければならないだろう。そうしたところに従来やってきたような公的資金を導入するというやり方で一時的にカンフル剤を打ったとしても、残念ながら、事態の先送りにはなるかもしれませんが、解決にはなりません。むしろ傷を深くする。
さらに、健全ではない
金融機関相互の合併等というスキーム自体、これもまたここ数年来繰り返されてきていますが、これまたうまくいってきてはおりません。残念ながら、
金融という信用を軸にした
世界の中では、一度落ちてしまった信用をびほう策で回復をさせるということは不可能なのだという
認識を持つべきだというふうに思っております。
そうした中では、こういった
金融機関につきましても、原則として、
市場の原則に任せまして、経営に失敗した
金融機関は
市場から退場していただくという原則というものをまずは貫くという考え方を持つべきだろうと思っております。
ただ、確かに、
金融機関が突然に破綻をする、つまり支払い停止になるというふうな状況になりますと大きな混乱を生じることは、これは歴史が物語っていることであります。あるいはまた、破綻のさせ方によっては、現に今北海道で拓銀の破綻によって大変深刻な状況を迎えているように、
地域経済、そしてひいては、大きな銀行では日本
経済、国際
経済に関する大きな
影響を与えることになってまいります。
したがいまして、マーケットから退場していただくにいたしましても、そのときには、混乱を生じさせない、
影響を最小限にとどめる、そのための管理、管理された清算の手続、管理された破綻の手続というものが必要であるというふうに考えまして、私どもは、
一つには
金融整理管財人という手法、そして、その
影響が大きい、深刻なことが予想される場合には特別公的管理というスキームを用意いたしました。
そして、この特別公的管理に入る条件は、支払い停止等が現に生じてしまった場合に限っているものではありません。現に支払い停止などが生じてしまった場合には、もはや引き返すことができませんので、特別公的管理に入るということはむしろ想定されないだろうというふうに考えております。
むしろ、支払い停止の直前といいますか、このまま放置をしたら支払い停止に間違いなくなってしまう、そうした状況に立ち至ってしまった
金融機関が、
影響が深刻で他に手段がないという場合には、その段階で特別公的管理の宣言をして、そして国の信用によって、混乱なく管理された清算の手続に入っていっていただく。これによって
影響を小さくすることができるし、しかも、
金融再生委員会は、当然、そういった検査、あるいは当該
金融機関からの申し出に基づく調査というものは、これは
行政機関ですので密行的に行うことができますので、マーケットに
影響を与えないまま。
そして、裁判所の認可という手続を加えましたが、これも申請の翌日までに
決定を下していただくという形で短期間にいたしました。これは、申請から
決定までの間にまさに大混乱、システミックリスクを生じさせないためにこうした手続を用意いたしました。
したがいまして、私どものスキーム全体で、破綻の前の状況、そして破綻に至る状況という中で、混乱を生じさせることなく現在の
金融の
危機を回避できるというふうに確信を持っている次第であります。