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1998-08-31 第143回国会 衆議院 金融安定化に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年八月三十一日(月曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 相沢 英之君    理事 石原 伸晃君 理事 藤井 孝男君    理事 村田 吉隆君 理事 保岡 興治君    理事 山本 有二君 理事 池田 元久君    理事 中野 寛成君 理事 坂口  力君    理事 谷口 隆義君       愛知 和男君    伊藤 達也君       伊吹 文明君    飯島 忠義君       小野寺五典君    大野 功統君       金田 英行君    熊谷 市雄君       倉成 正和君    小林 多門君       佐田玄一郎君    砂田 圭佑君       滝   実君    津島 雄二君       中谷  元君    蓮実  進君       松本  純君    宮本 一三君       山口 泰明君    山本 幸三君      吉田六左エ門君    上田 清司君       枝野 幸男君    岡田 克也君       海江田万里君    北村 哲男君       仙谷 由人君    古川 元久君       石井 啓一君    上田  勇君       大口 善徳君    中野  清君       西川 知雄君    鈴木 淑夫君       西川太一郎君    西田  猛君       木島日出夫君    佐々木憲昭君       春名 直章君    濱田 健一君       中田  宏君  委員外出席者         参  考  人         (株式会社日本         長期信用銀行取         締役頭取)   大野木克信君         参  考  人         (株式会社日本         リース代表取締         役社長)    岡本 弘昭君         参  考  人         (日本ランディ         ック株式会社代         表取締役社長) 木村榮二郎君         表取締役社長)         参  考  人         (エヌイーディ         ー株式会社前代         表取締役社長) 中島 省吾君         衆議院調査局金         融安定化に関す         る特別調査室長 藤井 保憲君     ————————————— 委員の異動 八月三十一日  辞任         補欠選任   江渡 聡徳君     山口 泰明君   大野 松茂君     飯島 忠義君   蓮実  進君     熊谷 市雄君   山本 公一君     小野寺五典君   渡辺 喜美君     小林 多門君   西川 知雄君     中野  清君   佐々木陸海君     木島日出夫君   笹木 竜三君     中田  宏君 同日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君     大野 松茂君   小野寺五典君     山本 公一君   熊谷 市雄君     蓮実  進君   小林 多門君     渡辺 喜美君   山口 泰明君     松本  純君   中野  清君     西川 知雄君   木島日出夫君     佐々木陸海君   中田  宏君     笹木 竜三君 同日  辞任         補欠選任   松本  純君     江渡 聡徳君     ————————————— 本日の会議に付した案件  不動産関連する権利等調整に関する臨時措  置法案内閣提出第一号)  金融機能安定化のための緊急措置に関する法  律及び預金保険法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二号)  債権管理回収業に関する特別措置法案保岡興  治君外三名提出衆法第一号)  金融機関等が有する根抵当権により担保される  債権譲渡円滑化のための臨時措置に関する  法律案保岡興治君外三名提出衆法第二号)  競売手続円滑化等を図るための関係法律の整  備に関する法律案保岡興治君外四名提出、衆  法第三号)  特定競売手続における現況調査及び評価等の特  例に関する臨時措置法案保岡興治君外四名提  出、衆法第四号)      ————◇—————
  2. 相沢英之

    相沢委員長 これより会議を開きます。  内閣提出不動産関連する権利等調整に関する臨時措置法案及び金融機能安定化のための緊急措置に関する法律及び預金保険法の一部を改正する法律案並び保岡興治君外三名提出債権管理回収業に関する特別措置法案及び金融機関等が有する根抵当権により担保される債権譲渡円滑化のための臨時措置に関する法律案並び保岡興治君外四名提出競売手続円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律案及び特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法案の各案を一括して議題といたします。  本日は、各案審査に関し、金融安定化問題等について、参考人に対して質疑を行います。  本日御出席をいただいております参考人は、株式会社日本長期信用銀行取締役頭取大野木克信君、株式会社日本リース代表取締役社長岡本弘昭君、日本ランディック株式会社代表取締役社長木村栄二郎君及びエヌイーディー株式会社代表取締役社長中島省吾君、以上四名の方々であります。  各参考人におかれましては、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本日は、金融安定化問題等について、御意見をお述べいただきたいと存じます。  議事の進め方といたしましては、初めに委員会を代表いたしまして委員長から総括的にお尋ねし、次いで委員質疑お答えをいただきたいと存じます。  なお、委員質疑時間は限られておりますので、お答えはできるだけ簡潔明瞭にお願いいたします。  それでは、まず、委員長から各参考人に対してお尋ねをいたします。  当特別委員会は、金融安定化関連する諸法案審査するために設置され、現在、我が国金融システムに対する内外の信認を早急に取り戻すべく精力的に審査を進めているところであります。  ところで、当委員会での審査が開始される直前の二十一日、日本長期信用銀行は、住友信託銀行との合併に向けて、抜本的な不良債権処理リストラを含む経営合理化策を発表されました。また、その経営合理化策の中で、主要関連ノンバンクに対する支援策を明らかにしています。さらに、これを受けて、住友信託銀行から合併に向けて前向きに交渉を続けていくとの考え方が表明され、政府からも本合併構想支援していくとの方針が示されています。  そこで、まず、大野木参考人お尋ねいたします。  日本長期信用銀行は、本年三月に一千七百六十六億円の公的資金による資本注入を受けていますが、それにもかかわらず、六月に入り経営不安説市場に流れ、株価が急落するなどの事態が発生しました。そうした経緯を経て今回の抜本的な経営合理化策に至ったわけですが、このような事態を迎えた原因について、当事者としてどのように認識していますか。  また、こうした結果を招いた経営責任についてどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。  どうぞ、大野木参考人
  3. 大野木克信

    大野木参考人 日本長期信用銀行大野木克信でございます。ただいまの委員長の御質問お答えする前に、一言申し上げたいと存じます。  本日は、相沢委員長初め各委員先生方には貴重なお時間を割いていただくこととなり、おわびとともに、御礼申し上げます。また、今般世間を大変お騒がせし、皆様方には大変な御迷惑をおかけしましたことを、この場をおかりしまして深くおわび申し上げます。  ただいまの委員長の御質問お答え申し上げます。  私は、九五年四月頭取就任以来、次の二点を基本課題として考えておりました。一つは、不稼働資産のできるだけ早期解決処理、第二は、制度に頼る長期信用銀行役割は終わったとの認識もと、いかにそうしたものから脱皮していくかということでございました。この方針もと、例えばグループ会社収益自転体制の構築とか、スイスの銀行との提携を軸とするビッグバンヘの対応可能性を探ってまいりましたわけでございます。  しかしながら、市場の我々に要求するスピードは我々の想定するものをはるかに上回りまして、株価もこの六月に二百円台から一気に五十円に下落しました。こうしたマーケット激変を適切な対応で応じられなかったことは、深く反省いたしているところでございます。  このような難局に当たりまして、これを切り抜けるためにはもはや独力での展開は難しい、こういう判断のもとに、かねてより各業務各層で親密な関係にございました住友信託銀行高橘社長に当行の置かれました状況を御説明し、同社に主導権を持っていただくことを前提に合併検討の申し入れを六月の末に行ったわけでございます。高橘社長が、私どもの申し込みに短期間に合意していただいたことは、深く感謝するところでございます。  その際に最も大きな課題は、不良不稼働資産の抜本的な処理でございまして、特に今回発表いたしましたグループ三社につきましては、先ほど申しました六月の市場激変からは、時間をかけた不稼働資産処理というのは許されず、抜本的な処理がすぐにでも要求される、こういう状況に至ったわけでございます。  こうした視点から、私どもとしては、先ほどお話がございましたように、関連ノンバンク中心とする不稼働資産の抜本的な処理、第二に、私も含め役員の総退陣、旧経営陣への退職金返還要請も含む経営責任明確化、三番目に、海外業務からの全面撤退本店売却役職員の処遇切り下げ等徹底した合理化、この三点を骨子としたリストラ策を発表させていただいた次第でございます。  今後、合併を実現するためには、こうした結果過少となった自己資本を回復することが必要不可欠であり、国民皆様には大変申しわけないことではございますが、公的資金をお順いしたいと考えている次第でございます。  私どもがこの時期万一のことになりますと、国内におきましては、お取引を願っている中堅中小企業四千社を含む八千社を初め、その下請、関連考えますと、社会経済の全般に多大な御迷惑をおかけすることになりますし、また、海外におきましてもその影響は非常に大きいものが予想され、実務に日常携わっている感覚からは、ちょっとその影響の大きさは想像もつかないぐらいというのが実感でございます。  もとより、かかる状況に立ち至ったことにつきましては、長銀経営を預かりてきた者として深く反省をいたしているところでございます。  今般、公的資金をお順いしょうとしておりますのは、このような状況を何とか避けたいという念からでございまして、決して長銀が生き延びるためのものではないということをぜひ御理解賜りたいと存じます。  今回、私ども経営責任明確化を含む徹底したリストラ策を発表いたしましたのも、そのような趣旨からでございます。  この難局を乗り切り、これ以上金融市場を混乱させることがないよう、何とか合併を実現させていただき、新しい銀行の中で世の中の役に立てるよう、懸命に努力することをお約束申し上げます。  本日は、この場をおかりして、少しでも皆様方の御理解を賜りたく、どうぞよろしくお願い申し上げる次第でございます。ありがとうございました。  以上であります。
  4. 相沢英之

    相沢委員長 次に、岡本参考人木村参考人及び中島参考人お尋ねします。  今回の日本長期信用銀行経営合理化策により、各参考人会社に対して、相当額債権放棄による支援がなされるということですが、このような支援を受けることになった経営責任について、どのように考えていますか。  また、日本長期信用銀行以外の債権者への支援要請も含め、今後、具体的にどのような考え方会社再建していく方針なのか、それぞれお尋ねいたします。  日本リース代表取締役社長岡本参考人
  5. 岡本弘昭

    岡本参考人 日本リース岡本弘昭でございます。  本日は、諸先生方には貴重な時間をお割きいただきまして、深くおわびするところでございます。  また、当社は、現在、経営問題に関しまして世間を大変お騒がせしておりますが、あわせまして、取引金融機関百六十行に御負担をおかけするような中身でいろいろ御迷惑をおかけしていること、さらに、私ども中小零細企業を含めまして七万社のお取引先がございますけれども、そういうお取引先、さらには一般の世間方々、いろいろな形で御迷惑をおかけしていることを、心からこの場をかりておわび申し上げたいというぐあいに思うわけでございます。  ただいま委員長の御指摘のとおり、現在、当社は、不稼働資産を抜本的に処理したいと考えておりまして、それで経営安定化を図っていきたいというぐあいに考えているわけでございます。そのため、日本長期信用銀行殿に対して債権全額放棄をしていただくことをお願いしているほか、取引金融機関皆様方に債務の一部免除等、御支援お願いしているところでございます。事態がこのような事態になったことにつきまして、私としては、深く反省しているところでございます。  当社といたしましては、この事態対応いたしまして、今後、貸出業務海外業務から撤退すること、リース業務への徹底した業務の集中をやっていきたいということに向かいまして、徹底した合理化を今後展開していきたいというぐあいに思っておるわけでございます。  具体的には、役員の総数を削減すること、さらに、従業員数の二〇%削減を含めまして、経費の節減を徹底的にやっていきたい、このように思っておりますが、こういうのを骨子といたしました五カ年計画をつくりまして、一日でも早くリース専業会社として立ち直って、皆様のためにお役に立ちたい、このように思っておるわけでございます。ぜひとも皆様方の御理解、御支援をいただきたいというぐあいに思っておるわけでございます。  このように多くの皆様に御迷惑をおかけしているわけでございますが、この経営責任は極めて重たいものというぐあいに受けとめている次第でございます。取引金融機関の御支援が得られることがわかり、経営改善計画がスタートするめどがつき次第、私は辞任する考えでおります。  また、私ども会社平成元年以降退職いたしました代表取締役にお支払いした退職金につきましては、御返還要請をやっていきたい、このように思っております。既に、一部要請を開始しております。また、私が日本長期信用銀行代表取締役としていただいた退職金につきましても、当然のことながら、社会的責任一環といたしまして、銀行要請に応じて返還していくつもりでございます。  どうぞ、私ども再建につきましての御支援、御理解を賜りまして、御審議を賜りますようお願い申し上げて、私の回答とさせていただきます。ありがとうございました。
  6. 相沢英之

  7. 木村榮二郎

    木村参考人 日本ランディック社長木村でございます。  本日は、相沢委員長初め各委員先生方に、貴重なお時間を割いていただきまして御審議をいただくことにつきまして、おわびを申し上げ、また御礼を申し上げる次第でございます。  私ども会社資産内容及び財務体質が不健全でございますということが、今般の長銀の信用不安を引き起こします一因となりましたことについて、社長として、大変重く受けとめ、深くおわびを申し上げる次第でございます。  当社は、昭和二十八年、長銀設立直後に、直系の不動産会社として誕生したわけでありますが、その後、適正化措置の御指導をいただく中で、昭和五十一年、長銀グループの九五%の出資で、現在の日本ランディックとして誕生したものでございます。  その間、住宅事業賃貸事業を両軸といたしました不動産事業を積極的に展開してまいったわけでございます。これまでに約一万二千戸の住宅を供給いたしております。また、賃貸事業につきましては、ビル賃貸が主でございますが、現在、約八十棟、十一万五千坪の賃貸面積を持っております。  また、これまで当社は、銀行系不動産会社ということの役割認識いたしまして、いろいろと、社会開発事業であるとか遊休地活用コンサル等、積極的に取り組んでまいりまして、かなりの実績を上げておるわけでございまして、銀行系不動産会社としてはそれなりの評価をいただいておったわけでありますけれども、本日、ここに御審議をいただくような状況になりまして、まことに申しわけなく思っておる次第でございます。  つきましては、今般の長銀お願いをいたしております千百億の支援を可及的速やかに御了承いただくべく、各行に資金面金利面でいろいろと御支援お願いいたしておるわけでございまして、当社自身も、大幅な人員の削減ビル事業中心とした大きな不動産から中堅ビル賃貸業者というふうに転換を図りたいということで、一層のスリム化を図ってまいりたいと存じておるわけであります。  そうすることによりまして、今後は、不動産会社としての社会的責任を果たしつつ、本業でありますビル賃貸業に注力することによりまして、できる限り早期皆様方の御期待に沿える会社として再建されるよう、努力をしてまいる所存でございます。  また、社長の私といたしましては、今般、内外皆様方に大変御心配をおかけしましたし、また関係各位に御負担もおかけすることでもございまして、責任を強く感じまして、この御支援が固まり次第、早期辞任をいたしたいというふうに考えております。  最後となりましたが、本日は、各先生方に御理解を賜りますよう誠心誠意御回答申し上げたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
  8. 相沢英之

  9. 中島省吾

    中島参考人 エヌイーディー中島でございます。  当社財務体質が不健全な状況にありますことが、ひいては長銀の信用問題を引き起こすことになり、結果として社会的な問題となりましたことは、つい先日まで社長として身を置いておりました立場として、その責任の重さを痛感いたしております。  当社は、一九七二年十一月に日本長期信用銀行中心として設立された我が国初民間ベンチャーキャピタルでございます。今日まで海外を含め約八百社に投資し、うち約二百社の株式公開を実現させております。  一方、八〇年代に入り、投資業務に加え融資業務を拡大し、さらなる業務の拡大を図ってまいりましたことが、バブル崩壊とともに当社経営の大きな足かせとなりました。私が社長辞任した本年六月までの五年間は、バブル崩壊後に迎えた最初の会社再建の時期でございました。その間、最大限努力を行ってまいりましたが、現在に至るまで十分な結果を出すことができず、再び今回のような御支援お願いすることになりましたことについては、深くおわび申し上げますとともに、この間の責任は極めて重いものと認識しております。  今般、長銀もとより他の債権者方々の御協力を織り込んだ経営改善計画を策定し、抜本的な経営改善に取り組む所存でございます。  具体的には、役職員削減と給与の見直し本社移転と拠点の見直しによりさらに経費削減すること、不良債権処理回収を断固として進めることにより、収益財務構造改善に全力を尽くす所存でございます。これにより、今後はベンチャーキャピタルとして社会的責任を果たし、研究開発型企業を初めとするベンチャービジネスの育成、支援を積極的に行うことにより、皆様方の御期待にこたえられる企業となりますよう、最大限努力してまいる所存でございます。  最後になりましたが、相沢委員長を初めとする各委員先生方に貴重な時間を割いて御審議いただくこととなり、おわび御礼を申し上げますとともに、この機会に先生方の御理解を賜りますようお願い申し上げまして、私のお答えとさせていただきます。
  10. 相沢英之

    相沢委員長 どうもありがとうございました。  以上をもちまして、委員長からのお尋ねを終わります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村田吉隆君。
  11. 村田吉隆

    村田(吉)委員 自由民主党の村田吉隆でございます。  本日は、大野木岡本木村中島参考人には、大変お忙しいところを当委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。特に、お聞きしますと、中に地方出張の予定をキャンセルされて御出席を賜った参考人もございまして、心から御礼を申し上げたいというふうに思います。  さて、ただいまは各参考人から委員長質問に対しましてのお答えがございまして、私も伺っておりました。本日の委員会質疑でございますけれども一当面の長銀に関するものでございますけれども政府としても、長銀住友信託銀行との合併構想が、我が国金融システムの安定と国民経済の円滑な運営に資するものとして最大限支援をするということを総理みずから発表をしたわけであります。しかしながら、残念でございますけれども、与野党間にこの長銀に対する公的支援について、少なからず意見食い違いがございまして、我々は、本日の参考人に対する質疑を通じまして、この意見食い違いを少しでも解き、そしてまた、国民に対しての理解を進めていきたいというふうに考えております。  本日の皆さん方の御意見の表明あるいはお答えというのは、我々国会議員が聞いているだけではなくて、国民あるいは世界じゅうのマーケット関係者が耳をそばだてて聞いているということをよくお考えになって、緊張感を持ってお答えをいただきたいというふうに思います。  大野木参考人にお伺いをいたしたいというふうに思います。  国民にどうしてもわかりにくいというのは、今我々がどうしても守らなければいけない金融システムというのが一体どういうものか、これが何かということだろうというふうに思います。  我々が、政府支援長銀の救済に向かうのではありません。長銀合併をもってスクラップされていくのです。そして日本銀行から、残念でありますけれども日本長期信用銀行という名前が消えるのでありまして、我々はそういう意味で、長銀皆さん方が、リストラ策あるいはせんだって発表した内容を通じまして、経営責任もとられていくということを理解しております。  ただ、バブル時代を通じまして多くの日本銀行が見境もなく不動産融資に狂奔しまして、そして見通しを誤って経営に失敗した。その上、バブルの後遺症の解決にいち早く手をつける時期も逸しまして、安閑として今日の事態を招いている。それにもかかわらず、銀行マンは高給をはみ、責任をとるべき人間が今日責任をとった姿を見たことがない。バブル時期における銀行家のモラルの失墜、そして今日の事態を招いた責任感の欠如。あなた方が、場合によっては公的資金を投入してまでも守らなければならないという金融システム一環を担っているという責任感認識がないとするならば、我々が、今政府支援をしようとしておる公的支援、これが国民理解されるはずがないというふうに私は思うのであります。  大野木参考人には、銀行家として自分たちの今置かれている社会的責任というものをどう考えておられるのか、率直な御感想、御意見を御開示願いたいというふうに思います。
  12. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  ただいま村田先生からのお話一つ一つが私の心の中に鋭く突き刺さると申しますか、本当に私が昨今感じて申しわけないと思っていることをおっしゃっていただいたと申しますか、まさに御指摘いただいたということで、深く反省いたしておるところでございます。  顧みますと、長期信用銀行は戦後の復興という目的で特別な任務を持って生まれた銀行でございまして、それだけやはり社会的使命というものを重視しなくてはいけなかったという存在であったと思います。  一方、振り返りますと、高度成長という時代が過ぎてから金融自由化というものを迎えまして、やはり長銀というのはその時点から、何か脱皮して生きていく道を模索しなくてはいけないという宿命にそこから立ったんじゃないか、そのように思います。  そこで、八五年からのバブルというものが来たわけでございまして、やはりここで資金配分というものを、自由化及び高度成長が終わってからの長信銀の脱皮の方向というものに、今から振り返りますと申しわけないのですが、やや妥当性を欠くような配分に傾斜していって不良資産をふやしていったということは、これは深く反省し、また事実としてお認めしなくてはいけないことじゃないか、そのように思っております。  それで、私が就任して以来、その前も含めてでございますが、バブル崩壊後はその処理ということに全精力を注ぎまして、この三月期までに二兆円ぐらいの不良不稼働資産処理長銀としてはしておりました。にもかかわらずというようなことでございましたけれども、やはりそのスピード感といったものが、我々の計画というものと昨今のマーケットの要求するスピード、このギャップ、やはりホールセール銀行としての長銀として特にそこが鋭く突かれるということにやや洞察を欠いていたということが、この六月の株価の下落を招いたことだろうと思って、深く反省しております。  これからのビッグバン、金融自由化考えますと、やはり長信銀というような一つの枠の中では新しい国際競争には立ち向かっていけないではないかという感覚は常に持っておりまして、スイス銀行との提携も片一方にありましたけれども、やはり業際を越えた形で日本の金融のシステムに寄与し、国民皆様のお役に立ちたい、そういう気持ちはあったわけでございまして、それが今回このような形で進めているということでございます。  そのプロセスの前に、やはり不稼働資産処理のおくれということが重なりまして、このような公的資金の導入という形をかぶせてお順いしなくちゃいけなかったということについては、まことに申しわけなく存じております。そのために、私どもとしましては、考えられるできるだけの経営責任を、合理化を含めたリストラ策とあわせて提出させていただいたということでございます。何とぞ御理解を賜れれば幸いでございます。  以上でございます。
  13. 村田吉隆

    村田(吉)委員 いろんなビッグバンの動きとかあるいはマーケットの変化になかなかついていけなかった、その前に、何よりもバブルの後遺症からの脱却というものにおくれをとったということだろうと科は理解いたします。ですから、今回の機会をとらえて、我が国の金融システムが立派に新しいビッグバン後の世界を担うものに発展していってもらいたいということを、心から期待いたしたいというふうに思います。  ところで、私ども委員会を通じまして大変困っておるといいますか支障を来しておるのは、資料がない、資料の入手が大変困難である、こういうことだろうというふうに思います。野党の先生方からも膨大な資料を要求されまして、それで、役所の方から入手にこれ努めましたのですけれども、とにかく役所がいろんな意味で検査やあるいは公権力を通じた調査でもって収集した資料というのは、守秘義務にひっかかりましてなかなか開示できないという問題がございます。  きょうは、せっかくでございますから、リース三社もおいででございますし、これはもとより監督庁の権限の及ばないところでございますが、それも含めて、できるだけの資料を国民の前に示していただきたい。それで、今の起こっている状況というものを、どんなぐあいになっているかということをできるだけ我々が理解するような資料を提出いただきたいというふうに考えていますが、大野木参考人、いかがでしょうか。
  14. 大野木克信

    大野木参考人 公的資金の申請に当たりましては、やはり当行の経営内容について御理解をいただくために情報開示を行うことは当然であり、できるだけその姿勢で臨みたいと存じております。特に、今度の問題の中心となっております不稼働資産の問題がございますので一私ども、先日、この理事会の御要請にこたえまして自己査定額を提出させていただいた、こういうところでございます。  金融機関というものはやはり信用で成り立っている業務であり、マーケットに与える影響も非常にほかの業種に比べて大きいということで、いろいろ、守秘義務とかそういった制約がございますが、その中でも精いっぱいやらせていただきたいと思います。  先ほど先生からお話のございました、きょうのポイントである関連三社、このデータにつきましても、開示につきましては三社の判断に今任せているところでございます。  以上でございます。
  15. 村田吉隆

    村田(吉)委員 できるだけ資料はお示しをいただきたいというふうに思うんですが、具体的に何か提出できる資料はありませんか。
  16. 大野木克信

    大野木参考人 今、三社の判断に任せているというところがございますので、いずれこの三社の方からお話があろうかと思います。
  17. 村田吉隆

    村田(吉)委員 合併を控えているわけですけれども、九八年三月期の自己査定結果というものは長銀の方から当委員会にも提出をしていただきました。これは率直に評価をいたしたいというふうに思っております。昨日テレビを見ておりましたら、菅民主党代表も、個別の資料を求めるものではないけれども、とにかく全体がわかる、長銀が出したようなそういう資料を出していただきたいという発言がございました。どうかひとつ御協力をよろしくお願いをいたしたいと思います。  それから、一番の、マーケット、そしてもちろん私ども、そして国民が疑問に思っておりますのは、長銀が既に債務超過になっているのではないかということであります。  発表されたあの自己査定結果を見ても、第二分類にきょうお越しの三社に対する債権がどういう形で入っているのか入っていないのか、それらを含めまして、また、三月期の締めの後も株価の下落が続きまして含み損が出ている。株式の評価は低価法から原価法に変えられたわけでありますけれども、一番の問題は、長銀が既に破綻をしているのではないかという各界からの疑問があるということでありまして、そこをどうか大野木参考人から、今の財務の状態、経営の実態について御説明を賜りたいというふうに思います。
  18. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  結論をまずはっきり申し上げたいと思いますが、現時点の長銀は債務超過ではございません。九八年三月末時点の当行の自己の連結資本は約一兆円ございまして、単体でも七千八百億円でございます。それに対しまして、今回の処理額は七千五百億円ということでございますから、十分自己資本の範囲内にあるということでございます。  先ほど、株の含み損のお話がございました。私どもは、長期保有の有価証券につきましては、毎日毎日の株価の変動で収益が振れ動くというのは、銀行経営にとっては非常に不安定性を増すということで、会計学上の一つの適法な選択肢として原価法を採用させていただいておりますもので、評価損とか評価益というものは、会計の適正な処理としては関係がないというのが大原則でございます。  ただ、仮定の話として、仮にこの最近の時点で株の含み損というものと資本を比較した場合でございますけれども、先週でございますか、この委員会でたしか三千五百億の損になっているという数字がございました。一応私どももその時点でチェックいたしましたのですが、やはりそのくらいの金額にはなっておることは事実でございます。  しかしながら、現時点では、三月期の資本勘定は七千八百、連結で一兆円ございます。そして、この七千五百億円を処理した後、予想される九末の連結の資本勘定は五千五百億円と計算されておりますので、先ほど申しましたような冒頭のお答えになったわけでございます。  それから、不稼働資産の引き当てにつきましても、私どもの自己査定、それから日本銀行さんからいただいたその後の検査の結果、これを見ましても、債務超過ではないということは申し上げられると思いますし、監督庁の検査もまだ途中でございまして、これは私から申し上げる立場ではございませんが、途中までの感触ではそうかなという、債務超過ではないという感触を申し上げてもいいのじゃないか、そのように思っております。  以上でございます。
  19. 村田吉隆

    村田(吉)委員 関連ノンバンクに対する今回の整理の仕方については同僚議員から質問があるというふうに思いますが、最後に、株主、普通株主の責任についてどう追及していくつもりなのか。六月にも、大赤字だと思いますのに配当を継続しているということを考えたときに、私は、どうしてもそういう事態にはなかったのではないかというふうに思います。  特に、合併時におきまして一般の株主の責任をどう求めるつもりなのか、最後にお伺いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  20. 大野木克信

    大野木参考人 今回のリストラ計画でございますが、株主に対しましては、大変申しわけないわけでございますけれども、やはり相応の負担お願いしたいと思っておりますが、そのやり方としましては、やはり合併比率というものを検討する際に、その合併比率ということで御負担お願いする、申しわけございませんが、そこまではやらせていただきたいと存じております。  また、これもあれでございますが、前回の私どもの増資は千円で中間発行をいたしました。八九年でございますけれども。それは割り当て発行でございましたので、その間の株価でも随分御迷惑をおかけしているということで、深く私どもも反省し、おわびしているところでございます。  以上でございます。
  21. 村田吉隆

    村田(吉)委員 ありがとうございました。
  22. 相沢英之

    相沢委員長 次に、滝実君。
  23. 滝実

    ○滝委員 自由民主党の滝実でございます。  私の持ち時間は約十五分というふうに限定されておりますので、ひとつ参考人皆さん方には、恐縮でございますけれども、御答弁は三十秒ないし一分間ぐらいの間でお願いを申し上げたいと思うのでございますが、まことに恐れ入ります。  そこで、幾つかお尋ねをいたします。  あらかじめ通告をさせていただいている前に、一つだけ大事なことを、村田先生、時間がなくて質問されていませんので、お尋ねをさせていただきたいと思うのです。  今回の一連の問題については、国民の目は大変厳しい見方をいたしておることは御案内のとおりでございます。なぜ厳しいかというと、公的資金を導入するという、普通でないことを今回やっているわけでございますから、したがって、各企業においても、関連企業においても、そういう普通でないことが行われているということを前提にして物事を考えていただかないと国民理解が得られない、こういうことだろうと思うのです。  そこで、一番国民が疑問に思っているのが、今度のリストラ案の中でこの関連三社に対する債権放棄というのを打ち出しておられます。これについても、何で債権放棄するのだ、債権は持っていたらいいじゃないかという素朴な疑問が国民にはおありになるわけでございます。  債権放棄は、仮に形式上債権放棄をせざるを得ないということであれば、回収努力はそれではどうするのか。全く回収できないから債権放棄するのかどうか、あるいは、仮に九九%だめでも一%の見込みがあれば回収できる仕掛けは何かとっているのか、とらざるを得ないじゃないか、こういう疑問があるわけでございます。それについて大野木参考人に、一分間ぐらいの間でお答えをいただきたいと思います。
  24. 大野木克信

    大野木参考人 お答えいたします。  債権放棄でございますけれども、確かに日本リースのケースにつきましては、やはりこの会社内容中堅中小企業七万社との取引取引銀行百六十行とか、こういうサイズを考えますと、かつまた、リース業界そのものは非常に立派な業績を上げているということでございますと、どうしても会社を生かすという形、それと各行さんに負担お願いするという形で処理せざるを得なかった、そういう意味でベストの選択としてこのような方法をとらせていただいたということでございます。  以上でございます。
  25. 滝実

    ○滝委員 本日は参考人質疑でございますからここで議論をするつもりはありませんけれども、とにかく国民が納得するような説明をしていただかないことにはこれはうまくいかない、そういう感じがいたします。  次に、通告をさせていただいている事項について、順次申し上げたいと思います。  先ほど申しましたように、通常でないことをやっているわけでございますから、例えば国民の目から見て何を考えているかというと、次の問題は配当の問題でございます。  確かに、商法に規定された条件に合致するような配当の仕方をこの六月の総会でおやりになったかもしれませんけれども国民からはやはり、千七百億円もの公的資金の注入を受けて、そんな配当する余裕があるの、配当するぐらいならば当然それは不良債権の償却に回すべきじゃないの、こういう気持ちは、これは率直にあるというふうに思うわけでございます。  しかも、三月期決算が、四百六十億円ばかりの配当に回す余裕金が出たということも承知いたしておりますし、また、既に七十億円ばかりの中間配当もしているわけでございますから、そして、この株主総会で、もう一遍最終的な、七十億ばかりになると思いますけれども、それを配当したんだという説明はつくと思うのでございますけれども、私は、それでは国民が納得しない。  三月期においてもあるいは六月の株主総会直前においても、例えば長銀における金融債の売りさばき状況を見ますと、前年に比べて格段に金融債の発行額が落ちている。そういう危機的な状況は、三月の決算期においても六月においてもそれは頭取さんのところでわかっているはずでございますけれども、これについてどういうふうに頭取さんは説明をされるのか、大野木参考人お尋ねをいたしたいと思います。
  26. 大野木克信

    大野木参考人 お答えいたします。  まず、配当につきましては、適法な範囲内で、剰余金の範囲内で実施したという法的な整合性はあるということは先生の御指摘のとおりである。  なぜ、しかしそれをあえてああいう状況で強行をしたのかということでございますけれども、私ども経営としましては、やはり配当の安定性ということが、先生の御指摘のような状況にある中で従来よりもさらにそれが必要なのではないかというふうに考えまして、あえて配当をさせていただいたということでございまして、この赤字決算と配当をやるということにつきましては、三月の公的資金の申請の時点におきましても、危機管理委員会にはそういった形で御説明は申し上げております。  以上でございます。
  27. 滝実

    ○滝委員 確かにそういうような御判断があったと思いますけれども一それでは国民はなかなか納得できない、こういうことだけを申し上げておきたいと思います。  次に、役員賞与についてお尋ねをいたします。  役員賞与は、これは配当と違いまして、既に前期の株主総会において、今期の役員賞与は幾らにするということはお決めになっていますから、恐らくその線に沿って役員賞与はお出しになっているのだろうと思うのでございますけれども、まず、問題は、そもそも役員賞与を出しているのかどうか、今期。それから、それについては、株主総会が決めたことに従って当然のごとく賞与を支払っているのか。その辺のところをお尋ねいたしたいと思います。
  28. 大野木克信

    大野木参考人 役員賞与につきましては、当然のことながらゼロでございます。  実は、私どもは、九三年の六月でございますが、その時点で二一%カット、九四年六月期に二五%カット、そして私が就任以来、九五年でございますが、それ以来役員賞与はずっとゼロで通しております。  そんなことで御理解いただければと思います。
  29. 滝実

    ○滝委員 次に、役員賞与じゃなくて、報酬はカットされたというふうに聞いておりますけれども、具体的に、例えば頭取さんの場合はどうか、常務さんの場合にはどうか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。——それでは、資料が確認できるまで、次の質問に入りたいと思います。後からまたお答えをいたしていただきたいと思うのですけれども。  次に、退職功労金についてお尋ねをいたします。  今度の六月の株主総会では、取締役会としては退職功労金について、従来の支払い基準を引き下げて議案としてはお出しになった、ところが総会ではその議案を撤回した、こういうふうに報道されているわけでございますけれども、この撤回した事情、どういうふうな事情でもって撤回されているのか、その辺の御説明をお順いしたいと思います。
  30. 大野木克信

    大野木参考人 役員退職金についてでございます。  先ほど申しましたように、この六月に私ども株価激変いたしまして、そこで、経営考え方といったことにつきましては大きな変化をしなくてはいけないということを考えたわけでございます。  しかしながら、その前の時点から、先生御指摘のように、私ども経営そのものは公的資金の導入まで三月にお願いするということになっていたわけでございまして、役員賞与の案を上程する段階で、役員賞与を計算するスケールを大幅にカットいたしまして従来の半分ぐらいのレベルまで下げて、こういうことでいたしましたわけでございますが、六月に入りましての市況の大きな変化を見まして、これはやはり取り下げるべきであるということで、役員賞与につきましては上程取り下げということにいたしましたわけでございます。よろしくお願いいたします。
  31. 滝実

    ○滝委員 次に、過去の旧経営陣の退職功労金についてお尋ねをいたしたいと思います。  特に、具体的に名前を申し上げて恐縮でございますけれども、マスコミに報道されている、例えば杉浦相談役の退職功労金については、どうも額がはっきりいたしません。九億七千万円であるとか、あるいは何と二十五億円であるとか、いろいろ風聞も交えて言われているわけでございますけれども、この際きちんと大野木参考人の口から言っていただきたいのは、全体の額、例えば長銀でお支払いになった退職功労金は幾らなのか、関連企業でお払いになったのはどうなのか、そういうようなことをあわせてそれぞれお示しをいただきたいと思います。
  32. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  杉浦元会長に対する退職慰労金の件でございます。当行から支払いました退職金の金額は九億三千百万円でございます。それから、当時兼職先の会社役員として受け取られました退職慰労金は四千万円強でございます。合わせて九億七千万というのが正確な数字でございます。  以上でございます。
  33. 滝実

    ○滝委員 この退職金については、既にリストラ案におきましても、過去にさかのぼって返還請求をされる、こういうことになっているようでございますけれども、過去にさかのぼる旧経営陣というのは、一般の取締役も入るのか、ただ単に頭取経験者あるいは代表取締役の経験者だけに限定しているのか、それから実際の請求金額はきちんと出ているのかどうか、その辺についてもお答えをいただきたいと思います。
  34. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  その前に、先ほど先生の御質問の報酬の件につきまして、大変おくれまして申しわけございませんでした。  報酬につきましては、九二年の十月に五%カットいたしまして、九六年の四月に、これは層に応じてでございますが、一〇ないし二〇%、これは役職の上の方ほどカット率が高いというふうに御理解いただければと思います。それから、九八年の四月にさらに一五から三〇%のカットということをいたしております。  それから、ただいまの御質問お答え申し上げます。  退蔵金返還要請でございますけれども平成元年からの代表取締役ということで計画を立てさせていただいております。  やはり、普通のいわゆる平取というものと代表取締役、私ども実は常務以上は全部代表取締役ということでやっておりますので、あそこで申しました代表取締役以外というのは全部いわゆる平取という層でございます。この間には、やはり在職年限の長さとか、あるいは当時持っておりました権限、平取というのは、ほとんどは部長のようなあれでございまして、そういう意味ではそこにはっきりした差をつけてもよろしいのじゃないかということで御容赦いただきたいというふうに考えた次第でございます。  それから、ただいま私からは退職金の返戻ということを要請していることでございまして、趣旨を御理解いただいているという状況にございます。  以上でございます。
  35. 滝実

    ○滝委員 次に、経営支援長銀はされてきたわけでございますけれども日本リース日本ランディックエヌイーディー、こういうところに対して経営支援をするに当たって、例えば利益金の処分あるいは取締役等役員の処遇の問題、そういった点についてどういうような条件を要求しているのか、その辺のところもなるべく詳しくお話をいただきたいと思います。
  36. 大野木克信

    大野木参考人 この点につきましては三社の方から御説明があるいはあるかと思いますけれども、私どもとしては長銀リストラ案、これをまずつくりまして、これなどを参考にして各社でできるだけ厳しい処置をとるように、そのように依頼しているといいますか、お話ししているという状況でございます。
  37. 滝実

    ○滝委員 時間がありませんので、次の最終的な質問をさせていただきたいと思うのでございます。  公的資金を今回この春に注入をいたし、そしてこのリストラ案ではさらに再度注入を要請されるというようなうわさが流れているわけでございますけれども、やはりその前提として、今までの経営責任、特にバブル期以降の経営責任について内部的に明らかにしていく必要がある。そうでなければ国民はなかなか納得できない問題があろうかと思うのでございます。  その際に、内部的な調査だけで十分かというような疑問もあるのでございますけれども、とりあえず内部的にその経営責任を明らかにする。そういうためには、バブル期の事業に関与していない人たちでもって調査委員会をおつくりになって、その辺のところの経営責任を明らかにする、そういう必要があるのだろうと思うのでございます。  特に、今お述べになりました相談役さんの退職功労金が何と九億三千百万円もある。それは、いろいろ規定上当然のごとく支出されたと思うのでございますけれども、そういうことも含めて、やはり国民はもう一遍経営責任について内部的にでも明らかにしていただく必要があるだろうと思うのでございますけれども、これについてどうお考えなのか、お答えをいただきたいと存じます。
  38. 大野木克信

    大野木参考人 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘のようなことは当然やらなくてはいけないと思っております。  それから、杉浦元会長でございますけれども、確かに今から考えますと大きな金額だったわけでございますけれども、当時の一般的な計算基準というものは私どもが飛び離れて大きくなったものじゃないということと、それから、おやめになる十一年ぐらいの間は会長でいらっしゃいまして、特にバブルのときは会長という職場でございまして、個別のいわゆるバブルに関しました案件でございますけれども、そういったものには全然タッチしていなかったという事実がございますので、あえて一言申し上げさせていただければと思います。
  39. 滝実

    ○滝委員 内部調査についてもう一遍はっきりとお答えいただきたいと思います、内部調査全般についての。
  40. 大野木克信

    大野木参考人 内部調査につきましては、これから実行する予定でございます。  以上でございます。
  41. 滝実

    ○滝委員 ありがとうございました。  時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
  42. 相沢英之

    相沢委員長 次に、倉成正和君。
  43. 倉成正和

    ○倉成委員 自由民主党の倉成正和です。村田委員、滝委員に続いて質問いたします。  この場をおかりして、今回の記録的な豪雨の犠牲者の方の御冥福を祈るとともに、被災者の方にお見舞い申し上げます。  日本経済も、まさに世界同時株安の中、既に危険水域に達しているのではないかという感がいたします。こういう状況の中で、結論としては、私は、長銀については、その影響の大きさから破綻を回避すべきであると考えます。宮沢大蔵大臣の発言や市場の反応から見て、この公的資金の投入なければ、長銀は破綻せざるを得ないと考えます。  しかしながら、公的資金の投入については、国民理解を得るに、今経営責任の問題がありましたけれども、それ以外に、最低でも二つの条件が必要だと思います。その一つは、思い切った経営改善策、すなわち大胆なリストラの実行であり、二つ目は、経営実態の徹底した情報開示です。  この二点が不十分であれば、本年七月度の全国企業倒産数、前年同月比二八%増、千六百七十三件、七月では戦後最悪の数字でありますけれども、こういう異常な倒産件数を記録するという大変な不況の中、国民があえいでいるわけですから、その中で国民理解を得るということは到底できない。そういう観点で、本日の出席参考人の方に御質問をいたしたいと思います。  まず、長銀大野木頭取にお尋ねいたします。  サンデー毎日の九月六日号だと思いますが、長銀の職員の給与、手当というのは、その中の記事によりますと平均九百六十三万円、大手十九行の中でも第四位という高水準です。八月二十一日に出ました今回の経営改善策におきましては、賞与について管理職三分の二カット、非管理職二分の一カットという数字になっております。  しかし、これではいかにも不十分ではないでしょうか。公的資金を投入することについて、不況にあえいでいる国民理解が得られるでしょうか。少なくとも、賞与は全額カット、給与についても数十%のカットをするというところまで踏み込むべきであると考えますが、いかがでしょうか。
  44. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  確かに先生の御指摘はそのとおりだと思いまして、私どもも、行員に申しわけないのですが、相当の犠牲をぎりぎり強いている計画を出したというふうに考えておりますが、やはり、さらに管理職につきましては、あの計画から見てもう一歩踏み込んだカットを今しなくてはいけないと思っております。  先ほど申しました数字、ございましたけれども、今の目標の数字は、行員一人当たり平均七百三十万ぐらいのレベルまで下げるということを考えております。  以上でございます。
  45. 倉成正和

    ○倉成委員 今、七百三十万という数字がありましたけれども、いわゆる国民の普通のレベルの給与水準からするといかにも、それだけカットをされてもまだまだ、ざっと二倍以上の水準じゃないかと思います。公的資金を投入する、さらに、破綻が懸念されているという状況もとで、こういう高水準を維持するというのはなかなか理解が得られない、そういうふうに考えます。ぜひ、この点についても踏み込んだリストラ策改善策をお願いしたいと思います。  次に、長銀関連ノンバンクの三社の代表者にお尋ねいたします。  そもそも、関連ノンバンク長銀との関係というのはどういうものだったのでしょうか。つまり、長銀が融資できないような企業関連ノンバンクを使って融資を行ったのではないかという話がありますが、実態はどうでしょうか。まずは、大野木頭取からお願いします。
  46. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  長銀の場合には、歴史的にホールセールバンクとして業務が割と単純なものであったわけでございますが、やはりその発展につれ多角化をある程度、関連親密を通じて行っていくということが必要であったということは御理解いただけると思います。そうした意味で、この関連三社、リースとかベンチャーキャピタルとかこういったものを設立、ないし既存の会社に親密化を図っていったということでございます。  ただ、特にバブル崩壊のときまでは、それぞれの会社経営判断、個別案件の判断、これは一切その会社の判断に任せておりましたわけでございまして、御指摘のように、長銀ができないものを例えば回したとか、そういうようなことは一切ございません。  以上でございます。
  47. 倉成正和

    ○倉成委員 今、時間の関係から、きょうノンバンク三社お越しですけれども、エヌィーディーの元代表取締役の方に今の件についてお答えいただきたいと思います。
  48. 中島省吾

    中島参考人 お答え申し上げます。  エヌイーディーは、一九七二年に長銀中心となってつくられた日本初のベンチャーキャピタルでございます。七二年以降、ベンチャーキャピタル業務を営業する過程で総合金融会社を目指したこと、これが第一点。それから、ベンチャーキャピタル業務というのが、御承知のとおり非常に、どちらかというと安定性について若干問題があると申しましょうか、当たれば大きいのでございますが、一方では失敗するケースもかなりある。こういったことから、経営の安定性に若干問題がある。安定性を求めるために金利収入の営業を強化した、こういうことでございまして、もう一方は、資金調達が非常に容易であったというようないろいろな要素がありまして、だんだん貸金業のウエートが高まっていったわけでございますが、その過程において、長銀から案件の押しつけとかいうことは一切ございませんでした。当社の独自の判断ですべて営業したということでございます。  以上でございます。
  49. 倉成正和

    ○倉成委員 この問題に立ち入っているとそれだけで時間が終わってしまいますので、次の質問にさせていただきたいと思いますけれども長銀及び関連ノンバンクにおいて実質上のペーパーカンパニーを設立して、不良債権の飛ばしを行っていたのではないかという話があります。これについて実態を明らかにしていただきたいと思います。  長銀及び関連ノンバンク三社の代表者の方にお願いしたいのですが、公的資金の投入を申請している中で、不良債権処理についてこれまでに疑問が提示されている以上、すべての関連する会社経営データ、融資関係について公表すべきであると考えますが、いかがでしょうか。まず、長銀大野木頭取 お願いします。
  50. 大野木克信

    大野木参考人 先生の御指摘の会社でございますけれども、これはすべて私どもの担保物件を債務者から切り離して、いわば担保の汚染化を防ぎ、クリーンなものにするということから、それを事業化するステップに向かわせて、それで事業を立ち上げて、そしてその担保の価値を上げて債権回収を図っていく、こういう目的のものばかりでございます。  以上でございます。
  51. 倉成正和

    ○倉成委員 その辺の解釈になりますと、飛ばしなのか、それは違法な行為なのかどうかというのがまずございますけれども、それが仮に違法でないとしても、少なくとも、長銀のバランスシートからそういう不良債権を外してしまってきれいにしている、しかし実際には、その関連会社あるいは孫会社の方に不良債権が移っていく形、そういったことが実態としてあったのではないか、そういう疑念があるわけですから、そういう異聞が提示されている以上、その辺のところの関係を、どういうことがあったのか、全面的に、きょうこの場でのお答えでなくて、文書でぜひ回答をいただきたいと思います。  次に、ちょっと個別のことで、個別の会社が余りにもたくさんあるので、全部の会社についてお尋ねしていると、会社の名前を言っているだけで実は時間が来てしまうような感じさえいたしますが、その中で、長銀大野木頭取にお尋ねいたしますが、有楽町総合開発、新橋総合開発、日比谷総合開発という三社があります。  この会社は、住所を見ますと同じところにあって、それから、それぞれ設立が間もない会社であります。その決算書がここに、手元にありますけれども、それぞれ三社とも設立されて間もなく、もう既に債務超過に陥っている会社なわけですけれども、この辺の会社が、長銀あるいは関連ノンバンクとの関連はどうだったのか、設立の経緯はどうだったのか、そして、この三社については長銀グループ不良債権受け皿会社ではないかという話があるわけですが、経営データとともに融資関係などの実態を明らかにしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  52. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の三社は、まさに先ほど私が申しました物件の活性化を目的とした会社でございまして、不良債権から担保を切り離して、それのさらなる汚染を防ぎ、そして権利関係調整し、そして、例えば更地をきちっと自分のものにして、そこから例えばビルを建てるなりマンションを建てるなり、そういうことをして収益を上げていく、そういう特殊な目的の会社としてバブル崩壊の後に設立したものでございます。  三社があるということは、それぞれの担保物件の引き取った先がそれぞれ違うということでいたしましたわけでございますけれども、現実には相当数のエキスパートをそこに派遣しまして物件の活性化を図っておりますし、かなりのものが既に四%近い収益を生む物件になっております。そういういわば活性化のプロセスの過程での先生がごらんになったバランスシートというふうに御理解賜れればと思います。  以上でございます。
  53. 倉成正和

    ○倉成委員 この中身についてもいろいろ触れていくと非常に時間がかかってしまいますけれども、少なくとも、違法な行為が仮になかったとしても、いろいろな意味で本体の実力以上の債権を、不動産を抱え込んで、そしてそれを、今おっしゃったようなテクニック的なものはあるかもしれませんけれども、そういったことを使いながらどんどん拡大していった。それが今日の経営不振に陥った原因であると思いますので、その辺のところの経過も含めて、これはぜひ情報の開示をしていただきたいというふうに考えます。  次に、最後質問になるかと思いますけれども日本リース日本ランディック及びエヌイーディーの代表者の方にお尋ねしたいと思いますが、今回の長銀債権放棄の経緯から見て、例えばこれらの会社が既に破綻しているのではないかというふうな話がありますけれども、その辺の実態はいかがなのでしょうか。それぞれ、日本リースの代表の方からお答えいただければと思います。
  54. 岡本弘昭

    岡本参考人 お答え申し上げます。  私ども、有価証券報告書を創業以来つくっておりまして、公認会計士の判定も受けているわけでございますが、ずっと利益を上げている会社でございます。  以上でございます。
  55. 木村榮二郎

    木村参考人 お答えいたします。  グループの抜本的な改善につきましては、私どもは、実は昨年、一昨年と銀行支援によりまして不良債権をかなり処理をいたしておりまして、相当なところまでこの三月に改善されておりました。  あと一歩というところでございましたのですが、実は、六月から長銀の信用不安が起こりまして、非常に資金面で問題が生じたわけなのでございます。全体的に自転がきちっとできる体制が整っておったわけでありますけれども、各銀行さんから返済の御要請が大変強く出てまいりまして、とてもそれをお返しするだけの資金の調達力が今なかなかないということで、大変虜地に陥ったわけでありまして、ここでもう一度踏み込んだ前倒しの再建計画をつくらなければ各銀行さんに御了解いただけないというようなことになりまして、長銀最後支援を依頼を申した次第でございます。  以上でございます。
  56. 中島省吾

    中島参考人 お答え申し上げます。  九八年三月末の決算につきましては、監査法人から適正との意見をちょうだいしておりますけれども、引当金の積み立てが若干不足していることは事実でございまして、ただ、長銀からの継続的な支援というものを前提として適正意見をちょうだいしております。したがって、債務超過ということはございません。
  57. 倉成正和

    ○倉成委員 これもなかなか水かけ論になってしまうかと思いますけれども、少なくとも今回の長銀経営改善策の中で貸付金の放棄が、この三社に対して総額五千二百億円という金額があるわけですので、そういったものを受ける以上、何かお話を聞いていると、そんなに債権放棄を受ける必要もないのじゃないかという感じさえいたしますけれども、その辺のところを、実際のところをもう少し内容を明らかにしていただくのがぜひ必要ではないかと思っております。  時間が参りましたので、これで私の質問を終わりたいと思います。
  58. 相沢英之

    相沢委員長 次に、上田清司君。
  59. 上田清司

    上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。きょうは、参考人皆様には御足労いただきまして、ありがとうございます。  早速ですが、予算委員会あるいは金融安定化特別委員会質疑の中で、今まで金融監督庁長官あるいは大蔵大臣、そしてまた日銀総裁、口をそろえて、長銀は債務超過ではない。しかるに、内容を明らかにしてくださいと私どもが申し上げますと、長官を中心に、答弁は差し控えさせていただきたい、こういうことで委員会が終始しているわけでございます。  一方では、宮沢大蔵大臣は、このまま放置しておくと大変なことになる、また日銀総裁も、国際関係の中でのデリバティブ取引等を中心に大変なことになる、こういうお話をされておりますので、なかなか実態解明というのが進まない嫌いがございます。きょう、こういう機会でございますので、ぜひ実態解明についての御協力をお願いしたいというふうに思います。  私たちも、預金者を守る、金融システムを守らなければならない、こんな思いは同時であります。きちんと事実を明らかにしていただきまして、そうすれば対策もあるし、何よりも国民市場に対しての皆様方責任がある、私はそんなふうに思っております。  少なくとも、過日の宮沢大蔵大臣みたいに、住専での公的資金の六千八百五十億は、実は農林系統の預金者を守るためであって、言っていることとやっていることが違いましたというような、そういうことに後でならないようにしていただきたい、こんな思いを持っておりますので、確認いたしますが、正確に事実を述べていただけますか。
  60. 大野木克信

    大野木参考人 お答えいたします。  こういう機会でございますので、誠心誠意お答えしたいと思います。
  61. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  それでは、早速ですが、長銀のホームページを取り出しましたら、当時、三月期に「決算上必要な損失処理は峠を越えたものと考えています。」というホームページの部分での解説がございました。  しかし、決算上必要な損失処理が峠を越えたというのは、どういう意味なのでしょうか。今回の七千五百億の不良債権処理という計画発表と比較すれば、とても、峠を越えたというようなホームページを出すこと自体が過ちだったのじゃないかなというふうに私は思っておりますが、いかがでしょうか。
  62. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  この三月期でございますけれども、私ども関連会社につきましては、今回処理しました三社のうち二社につきましては、一応収益の自転体制ができ、時間をかければ自力でそれぞれの会社不良債権処理できるというようなところまで持っていったということでございます。  私ども不良債権につきましても、一応投資銀行業務への展開等の収益を見込みながら、やや時間をかけて処理していくということで、例えばSECベースの公表債権での引き当て率が、ちょっと記憶でございますけれども、五十数%だったと思います。これは必ずしも高い方ではございません。しかし、時間をかければ処理していけるというレベルではあったと、他行比考えて、言えたと思います。  そういう意味で、この三月にやりましたようなドラスチックな六千億以上の償却というのばなしになだらかにできるという見込みで、しかもその体制もスイスの銀行の協調等でできつつあった、そういうことでそういうことを申し上げたのでございますけれども、先ほど申しましたように、日本市場環境というものは、そういうテンポの不稼働の処理、あるいは長信銀の新しい形への脱皮というものの時間を許さないという形で六月に直撃され、今こういうような事態になったということでございます。  その辺の見通しの甘さにつきましては、私どものやはり甘いところということで、これはマーケットというよりは、やはりそういうような形の処理計画を組んだ見通し、それから、やはりホールセールの銀行として、どうしても市場の資金調達のウエートが高いというところでねらわれやすい体質であったということの反省は、十分いたしておるところでございます。  以上でございます。
  63. 上田清司

    上田(清)委員 今の説明では、なかなか私にはわかりづらい部分がございました。  少なくとも、このホームページでは、三月期において二千八十六億の償却をやった、このことがかなり峠を越したものであったというふうな御判断をされておられた。そして、今回七千五百億の債権処理をされるということであれば、この金額の三倍ですから、とても峠を越したというような代物ではなかったというふうに、私はこのホームページに関しては思います。やはりそういうラグというのでしょうか、ギャップが、市場が不信感を持つものだというようなことを私はあえて申し上げたい、こんなふうに思います。  それでは、ことしの三月に資本注入一千七百六十六億を受けられたときのことについて伺いますが、これはもちろん、政府というよりは国民に対して配当を約束されるものというふうに私は思っております。このときに配当は幾ら約束される予定であったのでしょうか。
  64. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  そのときの配当は一%でございます。  以上でございます。
  65. 上田清司

    上田(清)委員 そうですね。十三億約束をされておられたわけでございますが、この約束は既にもうほごになっているのですね。
  66. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  大変申しわけないことではございますけれども、今回のこの激変を受けました抜本的なリストラ策ということの結果として、お許しをいただけますれば、その辺、今期につきましては無配ということで計画させていただいておる次第でございます。まことに申しわけないと存じております。
  67. 上田清司

    上田(清)委員 わかりました。  この三月期に、我々がどうしても腑に落ちないのは、こういう状況であるにもかかわらず、一般株主に対して百四十三億五千七百万の配当をなさっておられます。もちろん、いろいろな法的な観点から見ればそのことも許されることかもしれませんが、委員皆様方には「長銀タコ足配当について」ということで、私、解説をさせていただいておりますけれども、当期の業務純益がマイナスになっていて、任意積立金を取り崩してまでなぜ配当しなければならないのかというのが私の率直な疑問であります。もし任意積立金を取り崩してまで配当を払うのであれば、その配当の分だけ資本注入の申請を減らしてほしい、あるいは不良債権処理のために使ってほしい、これが実は多分国民考えではなかろうかというふうに思っておりますが、この点についてはどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  68. 大野木克信

    大野木参考人 三月末の配当でございますが、確かに、法的あるいは会計学的にはそれなりの配当原資があったということでございます。そして、ああいう環境の中でなぜそれを強行したかということでございますが、三月の決算の時点につきましては、確かに、見通しにつきまして先生の御指摘のとおりのことがあったかもしれませんが、一応先行きにつきましてある程度の見通しを立てておりましたので、やはり安定配当ということが長期的には長銀経営上優先されるべきではなかろうかというような観点に立って配当をさせていただいたということでございます。  以上でございます。
  69. 上田清司

    上田(清)委員 今でもその考え方は正しいとお思いでしょうか。
  70. 大野木克信

    大野木参考人 六月の初めから六月の終わりにかけまして、私ども株価は、大変お恥ずかしい次第でございますけれども、二百円から五十円まで落ちて総会を迎えたということでございます。あの時点で、退職慰労金の上程は、もちろんこれは私どもの限られた元役員の話でございますから、少しでも社外流出を吸い上げるべく、上程を取りやめたわけでございますけれども、あの時点でもし配当をやめたといたしますと、恐らくもっとドラスチックなことが起きまして、やはり金融界にあの時点で相当な混乱を起こしたということに、これは全く仮定の話でございまして、見解の相違ということは、いろいろな見方があるということは当然のことだと思いますけれども、私としては、あの時点の混乱というのは非常なものがございましたので、そういう判断で混乱を避けさせていただいたということは御理解賜れればと思います。
  71. 上田清司

    上田(清)委員 見解の相違かもしれませんが、今日出されておられますようなドラスチックな、ある意味では、全部とは言いませんが、八〇%ぐらい評価できるリストラ案、そうしたものを当時セットで出されておられれば、配当がなくてもむしろ市場は好感で迎えていただけるというふうに私は思っております。このことを改めてお伝えし、国民の関心は、まさしく税金から公的資金が投入されていて資本注入されるその銀行が、一般株主には配当されるということが理解しがたいことだということを改めてお伝えしたいと思います。  それでは、無配でということを九月期の中間決算においては言っておられるわけですが、公的資金を申請されるということも発表されておりますが、ずばりお聞きしますが、金額はどのぐらい予定されているのか。  それから、無配だということになりますと、配当がない、国民に対して何ら利益のない形になってくるわけでございますが、そのことで預金保険機構の審査委員会が通るものか。何ら金利、まあ金利とは申し上げませんが、配当も払わないで、かつ、お金だけは注入させていただきたいということが通るものかどうか。このことについての御見解をお伺いしたいと思います。
  72. 大野木克信

    大野木参考人 今度の公的資金の申請の金額につきましては、まだ検討中でございます。  いろいろな要素がございまして、やはりこれは合併銀行の資本金になるわけでございますので、そこがどういう業況になるのか、あるいはどういう収益状況になるのか、あるいはそこのBIS比率が合わせて一体幾らになるのか、こういったこともあわせて検討をしなくちゃいけませんものですから、私どもとしましては、御負担がなるべくかからない形の中でぎりぎりのところというようなことでございます。  新しく申請いたします公的資金はそういうことで新銀行に引き継がれていくわけでございまして、この銀行収益力というのは、仮に単純に長銀と住友信託さんの業務純益を合わせただけでも、単純に合わせても三千億。その間に、私ども、当然新銀行合理化努力、あるいは業務のシナジーの効果とかいろいろなものが考えられますので、もっと期待したいと思っていますが、そういうようなことを前提にしておる状況でございます。  以上でございます。
  73. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、九月中間決算で七千五百億の不良債権処理をすると発表されたわけでございますが、我々の立場からすれば、三月においては少なくとも不良債権ではなかったものが、なぜ五カ月たつと不良債権になるのか。  また、不良債権だというふうに思われれば、当然引き当てをつけておかなきゃいけない。こういう矛盾する形が出てきているのですけれども、この部分についての考え方はどのように整理されているのか、お伺いしたいと思います。
  74. 大野木克信

    大野木参考人 お答えを申し上げます。  先ほどもちょっと触れましたのですけれども、この三月の時点におきましては、きょう集まりました三社のうちの二社、日本リースとランディックにつきましては、既に過去並びに三月期に一部の支援を行っておりまして、一応収益的には自転できる体制まで持っていっているということで、支援対象からも外したわけでございます。そして、一応自立したキャッシュフローで、今後かなりの時間はかかりますが、自力でやっていくというプランを立てたわけでございます。  ところが、先ほど申しましたような私どもの六月の変化、これで、やはり長銀自身の株価がああなりますと、この三社につきましても、やはり抜本的な再建策をその時点で打たないと各銀行の信頼が引きとめられない、こういう資金繰り上の問題も生じまして、この時点で急遽抜本策に、時間をかけてやっていくというところから一気に抜本的なものに変えていく、それをしないと企業維持ができないというような状況になったということで今回の計画になった、そういう状況でございます。  以上でございます。
  75. 上田清司

    上田(清)委員 お手元に資料で御記付させていただいておりますが、長銀中心とするノンバンクヘの資金の流れ、それからまたさまざまな子会社関連会社への流れをお渡ししておりますが、今のお話で、少しじっくり不良債権処理しようと思ったが、市場の動きの速さなどを含めて、一気に債権処理することが必要だということで、七千五百億の不良債権処理に至ることを考えたということをお伺いしましたが、それでは、少なくとも日本リースあるいは日本ランディックエヌイーディー、この三社に関しての引き当てはどのようになさっておられたのでしょうか。
  76. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  個別の会社の引き当てというものにつきましては、ちょっと御容赦いただきたいと思うのでございますけれども状況は今までの御説明でお察しいただけたかと思いますが。  以上でございます。
  77. 上田清司

    上田(清)委員 実は委員会においてもそのことを何度か聞いておるわけですけれども、金融監督庁長官はそれを発表できないというようなことを言っておられますが、それが解明できないと、実は本当の意味での長銀の問題に関して解明できないことになりますので、このことについては、少しお時間、終わるまでにまだ同僚議員がおられますので、この場で決断していただいて、ぜひ明らかにしていただきたいというふうに思います。  それから、長銀関連会社ですが、お手元に関連企業一覧ということで、こちらでは八十五社出ておりますが、まだほかにも、何か九十七社という説もございますが、これは間違いないのでしょうか。それとも、これプラスアルファというのはあるのでしょうか。——いいですよ、後でも。結構でございます。  それでは、先ほどもちょっとお話が出てまいりました、与党の議員の皆さんからも、軽々しく債権を放棄していいものかどうかという議論が出ておりますが、日本リースに関して、有価証券報告書によれば譲渡担保が七百億ありますが、昨年も二百十一億回収しております。これをそっくり債権放棄をされるというのは、少なくとも担保がつき、なおかつ昨年も実績として二百十一億回収できている、では引き続き回収したらいいじゃないかというのが私の議論でありますが、なぜそういう議論にならないのでしょうか。  もし、極めて簡単に回収できるとは言いませんが、回収できるものをあえて債権放棄されるようなことになれば、これは株主に対する背任行為にもなりますよ。この辺は御検討されたのでしょうか。
  78. 大野木克信

    大野木参考人 お答えいたします。  まず日本リースに対する担保でございますが、債権譲渡予約ということでございます。したがって、担保的にはやや弱い担保であるということでございます。  それから、日本リースでございますけれども、やはり日本リース自体、先ほども申しましたように、七万社に近い中小企業取引、百数十社に及ぶ銀行取引がございます。そして、このリストラによりリース会社としてきちんとやっていけるという会社でございます。やはりここは、私どもとしましては、この会社を倒すということは、それ自身非常に社会的な影響もございますし、またそれは、やはり長銀の信頼というものに基づいて各行さんが取引をしているわけでございますから、すなわち長銀の信頼感、マーケットにおける信頼、そして全体の混乱、こういう引き金になるということでございます。  したがいまして、私どもは、他行にいろいろなことを、債権放棄も依頼するというようなプロセスでここを立て直すわけでございますので、やはり私どもがそこまでいたしまして、そして全体の再建計画を実現するということが、当行のためにも、そして金融機構全体のためにも、あるいは中堅中小企業のためにも必要であろう、このような判断をいたした次第でございます。  以上でございます。
  79. 上田清司

    上田(清)委員 それはややむちゃくちゃな議論ではないかなというふうに私は思います。  少なくとも昨年二百十一億回収できるような担保がついている。そうであれば、それは確実に回収することが、まさしく業務として必要な最小限度のルールではなかろうかというふうに私は思います。もしそういう債権放棄をする中で、その部分が償却に回って、公的資金をどんどん申請すれば、もう回収なんか面倒くさいからどんどん債権放棄したらいいじゃないかという議論になってしまいますよ。  改めてそのことについてはお伺いします。二百十一億という昨年回収できた部分、この譲渡担保つきの七百億について、本当に検討されたのか、何で放棄されるのか、確認したいのです。
  80. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、日本リース再建というこの大きな目標のために、やはり債権の放棄というものが必要不可欠ということで判断した次第でございまして、これがやはり、日本リースが万一のケースになった場合の大きな混乱、それとを比較いたしますと、やむを得ない措置だったというふうに考えております。  以上でございます。
  81. 上田清司

    上田(清)委員 もう一度申し上げますが、少なくとも私が感じる、今回の公的資金の流れに関して言えば、さまざまなリストラをされて経費の縮減をされる、七千五百億円の不良債権処理をされる、しかしそれで足りないから自己資本で補てんをする、結局自己資本が不足してくるから公的資金を申請して、これをうまく了解いただければ、合意いただければいただくという仕組みになりますから、金の流れこそ、最終は自己資本の不足に対する公的資金の申請ということですけれども、スタートにおいては不良債権処理じゃないですか。  不良債権処理公的資金はいただけないんですよ。途中で、流れているうちにお金の種類が変わります、こういう言い方もできるかもしれませんが、しかし、原点ほどこだったんですかということを改めて問えば、単純に不良債権を簡単に放棄する、しかも、譲渡担保つきのやつを放棄するということは、非常に納得いきがたい。  例えば、世上にも悪玉の代表で出ております桃源社、エヌイーディーから二百億入っておりますが、これなどもこの債権放棄の中に入っているんですか。確認させてください。
  82. 中島省吾

    中島参考人 お答え申し上げます。  桃源社に対する現在の融資残高は約百八十億ぐらいでございます。担保がございますので、今その回収を強化して図っておりますけれども、残りました額については償却せざるを得ないものと判断しております。
  83. 上田清司

    上田(清)委員 それじゃなかなか納得できないですよね。  申し上げますが、最終的な金の流れは違っても、大もとはどこだということをやはり国民にきちっと我々は明らかにして、そのことの中で、やはりたえられる、いろいろな意味での長銀再建、あるいは新しい銀行になる場合にはその新しい銀行に対してのまさに国民的な支援というのは、そういう臭いものについて、情報開示も含めてきちっと明らかにできるかどうかにかかっているということを私は申し上げたい、こんなふうに思うわけであります。  最終的に我々がやらなきゃいけないのは、とにかくわからない、情報開示をしていただかないことには適切な判断ができないというところにすべてがありますので、そのことを強く申し上げたい。  最後になりますが、日本リース日本ランディックエヌイーディー経営状況について、三月時点での判断というものを、大野木参考人にお伺いしたいと思います。
  84. 大野木克信

    大野木参考人 三月時点の概要につきましては、先ほど三社から御報告いたしたと思います。一応、日本リースとランディックは、収益上、自力で自転できる体制ができた、エヌイーディーは引き続きやはり支援が必要だ、そういうような認識でございます。  以上でございます。
  85. 上田清司

    上田(清)委員 私が聞いたのはそういう意味ではなくて、不良債権の引き当て率、トータルに対する引き当て率はどのように把握されていたのかということでございます。
  86. 大野木克信

    大野木参考人 ちょっと詳細を、今手元にございません、記憶してございません。申しわけございませんが。  以上です。
  87. 上田清司

    上田(清)委員 幾つか宿題が残りましたので、午後の時点で同僚議員に答弁していただく、もしくは資料で配付していただけたら大変ありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  きょうはありがとうございました。御苦労さまでした。
  88. 相沢英之

    相沢委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十八分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  89. 相沢英之

    相沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。海江田万里君。
  90. 海江田万里

    ○海江田委員 民主党の海江田でございます。時間が十五分と限られておりますので、どうかお答えは手短にお願いをしたいと思います。  私は、日本リース岡本社長中心お尋ねをすることになると思います。  日本リースでは有価証券報告書をお出しになっておりまして、これを見させていただきましたけれども、営業貸付金一ここが全体で、九八年三月末で六千四百十七億円ございます。この報告書には貸し出しが多い順に、十社でございますけれども、名前が書かれております。  私は、昨日、このうちの幾つかを実際にこの目で見てまいりまして、一つは、銀座二丁目のビルでございますが、これは今本社が入っているところでございます。もともとは地上げをした土地でございますが。それから、この貸し出し上位十社のうちの第五位の都地所というところ、それから第七位のエー・エル・エー、第八位の葛西不動産、それぞれ二百五十五億円、二百六億円、百八十一億円貸し付けをしておりますから、この三社で合計六百四十四億円でございます。  このそれぞれの会社、実は、実際の窓口は今私がお話をしました銀座二丁目のビルでございますけれども、登記簿をとってみましたら、登記簿の上の本店の所在地というのは日本橋蛎殻町一の三十二の七というところでございます。私、行ってみましたら、これは大変、みすばらしいと言ってはなんでございますけれども、はっきり申し上げまして幽霊ビルのようなところでございますね。  社長は、一度、この都地所ですとかそれからエー・エル・エーですとか葛西不動産、これらの本店の登記簿上の所在地にお出かけになったことがありますか。
  91. 岡本弘昭

    岡本参考人 蛎殻町は行ったことはございませ  んが、あとはございます。
  92. 海江田万里

    ○海江田委員 これらの会社の入っているビルに行ったことがあるということでございますか。(岡本参考人「はい」と呼ぶ)はい、わかりました。  実際には、社員も、まあ役員がすべてこれは日本リース関係者でございます、一々名前は申し上げませんけれども。そして、ほとんどペーパーカンパニーになっておるわけですが、このようなペーパーカンパニーにどうしてそんなに多額の、二百五十五億円ですとか二百六億円ですとか百八十一億円ですとか、そんな多額の資金を貸し付けをしたんでしょうか。それから、今、回収はどういうふうになっておりますか。
  93. 岡本弘昭

    岡本参考人 お答え申し上げます。  私どもバブル崩壊しました後に、債権を保全するために、なおかつ保全した債権といいますか物件の流動性を高めるために、私どもといたしましては代物弁済を受けたわけでございます。その代物弁済を受けまして、いろいろな格好での事業をやっていくということを目的といたしまして、その事業の収益回収する、あるいはその事業をやることによって物件を売却いたしまして回収していくという形で債権の保全をやっていくという格好の方針で臨んでまいりました。  今先生が御指摘になりました各物件とも、九一年一月以降、私ども債権を保全するために実施してきたわけでございますが、いずれも管理を明確にするために別会社としております。  以上でございます。
  94. 海江田万里

    ○海江田委員 私がお尋ねをしましたのは、何のためにか、どうしてこんなに貸し付けをしたのかということと、現在のこれらの会社からの回収、これはどうなっておりますかということをお尋ねしました。
  95. 岡本弘昭

    岡本参考人 稼働している物件につきましては、逐次、金利はもちろんのことといたしまして、元本の回収努力をしております。  以上でございます。
  96. 海江田万里

    ○海江田委員 努力はしておるということで、その努力が実を結んでいるということはおっしゃらなかったわけでございますが。  それから、担保物件の債権の保全という用語をお使いになりましたけれども、私どもは、それは債権の保全ではなしに、むしろ不良債権の飛ばしてはないだろうか、こういうような認識を持っておるわけでございますが、ただ、これは認識の違いでございますので、私どもはそういう認識を持っているということをお伝えをしておきます。  実は、この日本リースの決算書を見てみましたら、固定化営業債権、これが九八年の三月決算で三千四百十六億円あるわけでございます。本来でしたら、これは流動資産の健全な債権勘定に置いておくわけですが、何かの事情で会社が倒産をしたりしますと、これがまさに固定化するわけでございますね。そういう意味では、この固定化した債権が三千四百十六億円あるということは、この三千四百十六億円が焦げついているという認識を持っておるんですが、それでよろしゅうございますか。
  97. 岡本弘昭

    岡本参考人 お答え申し上げます。  固定化営業債権というのは、御指摘のとおり、法的整理を受けている会社もしくは不稼働でございまして延滞している会社を集計して三千五百というのが有価証券報告書に出ているわけでございます。  以上でございます。
  98. 海江田万里

    ○海江田委員 ここにあとプラスしまして長期貸付金が七百四十三億円ございまして、そして貸倒引当金が千四百七十一億円でございますから、この長期貸付金も入れますと引き当て率は三六%、長期貸付金を除きますと引き当て率は四三%ということでございますが、ただ、今社長からもお話がありましたけれども、そういう意味では、この貸出先の企業自体は既に倒産をしてしまっているわけですから、ここの回収というのはそんなに、四十何%とか三十何%とかの引き当て率で済む話じゃありませんね、これは。もっと高めなきゃいけませんね。
  99. 岡本弘昭

    岡本参考人 お答え申し上げます。  固定化営業債権の中で、全部が完全に法的整理に入っているというわけではございません。一部当然、生存というのは語弊がございますけれども、回転している会社もあるわけでございますが、延滞しているということで入れているわけでございます。  御指摘の件でございますけれども、私どもとしては、その担保物件をできるだけ売却しながら回転、回収していきたいと思っておりますけれども。それで、現在約千五百億円ばかり引き当てておりますけれども、それで十分かということになると、なお一層引き当てる努力をしたいというぐあいに思っておる次第でございます。  以上でございます。
  100. 海江田万里

    ○海江田委員 このリース業の担保というのは、普通の担保と違いまして、それこそ担保価値というのは、実際に会社が倒産をしちやいますとほとんどなくなっちゃうわけですよね。機械なんか据えつけをして貸し出しをして、リースに出しておる。ところが、機械というのはまさにその会社にあって初めて稼働していくわけでございますから、それがつぶれる。それからソフトなんかも一緒に入れていくと、全部それがパアになっちゃうわけですから、実はこれは土地が担保になっておるような一般の金融機関の貸し付けと違って、リース会社の貸し付けというのは、とりわけ固定化されてしまった債権というのは、非常に私は、これは回収が、担保の価値というのはほとんどないというふうに見ておるんですが、実はそこのところをきちっと計算をしますと債務超過になっちゃうんですよ。  この引き当ての金額は、まあこれは法律の定めもありますから、法律の定めのところでぎりぎり法律で違法にならないところの引き当てをして、あとは実はもう担保のない空の債権なわけですけれども、そういう形で営業固定債権にしている、私はそういう見方をしております。もし違っていたら手短にお答えください。
  101. 岡本弘昭

    岡本参考人 お答え申し上げます。  固定化営業債権の中には一部リースもございますけれども、大半は営業貸付金の絡みでございます。したがいまして、土地を含めました不動産の担保というのがかなり入っているというぐあいに考えております。  以上でございます。
  102. 海江田万里

    ○海江田委員 じゃ、ちょっと角度を変えてお尋ねをしますけれども日本リースは現在どのくらいの不良債権をお持ちですか。あるいは、先ほど来のお言葉ですと、不稼働資産というふうに言った方がいいかもしれませんが、いかがでしょうか。
  103. 岡本弘昭

    岡本参考人 私ども、先ほど先生から御指摘ございました三千五百というのを三月末の不稼動資産あるいは問題債権というぐあいに認識しております。  以上でございます。
  104. 海江田万里

    ○海江田委員 君の手元に日本リースがっくりました経営改善計画というのがございます。これはマル秘がついておりますが、これは長銀に出すときの紙でございますが、これは御社がつくったものに間違いありませんか。  ちょっと委員長、お見せしてよろしゅうございますか。
  105. 相沢英之

    相沢委員長 はい、どうぞ。
  106. 岡本弘昭

    岡本参考人 私どもの作成だと思います。
  107. 海江田万里

    ○海江田委員 これによりますと、日本リース経営改善計画、「不良債権六千億円の処理」と書いていますよ。不良債権がここでは六千億円あるということを言っているんじゃないですか。今おっしゃったのは三千五百億円だという、大分違いますね。いかがですか。
  108. 岡本弘昭

    岡本参考人 お答え申し上げます。  私ども、今御指摘の経営改善計画というのを策定したわけでございます。この策定に、けさほども御説明申し上げましたけれども、抜本的な合理化を含めて六千億の損を処理したいという格好で策定しているわけでございます。  その中身でございますけれども、五千五百億につきましては貸し付け関係処理、それから五百億につきましては海外関連処理ということでございますが、この処理というのは、実は撤退をしたいということで考えた計数でございます。したがいまして、いろいろな意味での撤退費用、清算費用が入っているわけでございます。  したがって、今先生から御指摘の、非常に数字にあれがあるじゃないかということでございますが、私どもとしては、清算するに当たってこの費用を、損でございますけれども処理したいというぐあいに考えてつくったわけでございます。  以上でございます。
  109. 海江田万里

    ○海江田委員 それはおかしな話で、百億や二百億違うのならそうでしょうけれども、ここは二千億違うのですよ、三千五百億と六千億というのは。これはどこかにうそがあると言っちゃ失礼ですけれども、これは正直に、やはりこの決算が私はそういう意味ではかなり粉飾物であるということを言わざるを得ないと思います。  これから、私どもは種々資料を要求しておりますので、ここでは時間がないと思いますが、ぜひ資料でもってはっきりとお示しをいただきたいと思います。  それからもう一つ、これも経営改善計画からですけれども、借入金の圧縮ということで、日本リースは一兆九千百二十六億円の借入金がありますけれども、これを五年間で一兆円弱返済するということになっている。その手法として、金融機関の御協力で債権放棄四千百億円、うち長銀が二千五百億円、その他で千六百億円ということになっていますけれども長銀の方は、先ほど来お話があるように、これは放棄しますよということを言っていますけれども、その他の金融機関、とりわけ農協系で、系統で四千億円あるわけですね。個別の、県の信連なんかですと百億円以下というところもありますけれども、百億円以下のところは、これは別に放棄してくれないでいいですよ、百億円を超えるところは一部放棄でしてください、こういうような方針で臨むおつもりですか。
  110. 岡本弘昭

    岡本参考人 お答え申し上げます。  私どもとしましては、大変大きな、撤退を含めた経営改善策でございまして、全金融機関に御支援お願いしているところでございます。  今先生から御指摘の債権放棄でございますけれども、私どもとしましては、債権残高、借入残高  一兆九千前後でございますけれども、それの八〇%を占めるところの残高の各行に債権放棄お願いして、それ以外につきましては金利の引き下げをお願いした経営支援お願いになっております。  以上でございます。
  111. 海江田万里

    ○海江田委員 最後に、大野木頭取にお尋ねをしますが、バブルのとき、不動産に偏った貸し出しをした、それが今の経営の悪化を招いているという意味での発言はありましたけれどもバブル不動産の価格なんかが上がりましたのが九〇年の夏が一番ピークで、そこからずっと下がってきて、もう八年たっているわけですね。この八年の間に、やはりそういう意味では、不良債権処理というものがどうもおくれていたのじゃないだろうかというふうに思うわけですが、その原因というのはどこにあるか。護送船団で一緒にやれば何とかなるんだと思っていたのじゃないだろうかとか、あるいは、また土地が上がるとお考えになっていたとか、いろいろあると思うのですが、手短に、いかがですか、この処理がおくれた理由は。
  112. 大野木克信

    大野木参考人 お答えいたします。  一つは、やはり処理自身が、物件のマーケットと申すものがなかなかできない、あるいはあったとしても、それがどんどんどんどん地価が下がっていくということで、事実上売れなかったということがございますね。結局、引き当てという形でしか処理し切れなかったということがございます。  それから、グループ会社については、やはり処理すると金融全体あるいは私どもの資金の調達基盤に響くということで、今回のような事態まで踏み切れなかったということがございました。  以上の二点でございます。
  113. 海江田万里

    ○海江田委員 最後に、やはり不良債権の額が日本リース、大変違っておりますので、私どもが昨日、委員部を通してお示しをしました資料が出ますとそのあたりがはっきりしますので、それをぜひ出していただきたいと思います。お約束ください。
  114. 岡本弘昭

    岡本参考人 わかりました。  以上でございます。
  115. 海江田万里

    ○海江田委員 お出しいただけますね。(岡本参考人「はい」と呼ぶ)  どうもありがとうございました。
  116. 相沢英之

    相沢委員長 次に、仙谷由人君。
  117. 仙谷由人

    仙谷委員 主として、日本ランディック及びエヌイーディー関係質問をいたしますが、その前に、先ほど上田清司議員の方から参考人皆さん方のところへも、こういう図面とそれから長銀企業関係一覧というのが交付されたと思いますが、これをごらんになって長銀大野木頭取、長銀関連企業一覧、約八十二社あるわけですが、ほぼ間違いございませんか。そのことを確認してください。
  118. 大野木克信

    大野木参考人 私どもは、自分の直接関係しているところはこれでチェックいたしております。大体こんなところだと思います。  それから、関係会社のその下のところでございますね。これはやはり、私ども取引しているところぐらいまでの範囲でしか押さえておりません。  以上です。
  119. 仙谷由人

    仙谷委員 それでは、その関係しているところを聞きますが、桃源社というところにはエヌイーディーから二百五億の融資が流れておるという図面があるわけでございますが、ここに書いてございますね。長銀からも桃源社に百五億ほど貸し金があったと思うのですが、そのことは御存じでしょうか。
  120. 大野木克信

    大野木参考人 桃源社に関しましては、一件たしかあったと記憶しております。
  121. 仙谷由人

    仙谷委員 この図面の方ですが、融資の関係ですね、子会社、孫会社、どんどんこう行っておりますが、これはほぼ、大ざっぱに言うと、このとおり間違いないですか。長銀あるいは日本リース、ランディック、エヌイーディー。いかがですか。
  122. 大野木克信

    大野木参考人 長銀からダイレクトの、この左の一行目のコラムでございますが、この辺につきましてはこれで、ほぼこんなものだろうと思っております。  ちょっとお待ちくださいませ。この黒く消えているのは、これは何ですか。(仙谷委員「それは日本ビルプロジェクト」と呼ぶ)これは私ども関係会社じゃございません。(仙谷委員「いや、関係会社じゃなくても、融資として七百五十四億日本ビルプロジェクトに行っている」と呼ぶ)一般の会社としての融資はございます。
  123. 仙谷由人

    仙谷委員 そこでちょっと、きょうおいでになっている三社との関係を聞くのですが、約四千八百億従来支援をしてきたということを今度の長銀改善策のところで書いてございますね、三社に対して。そうですね。約四千八百億ですね、この本年三月期末までに。この支援というのはどういうことですか。やはり今度やろうとしている五千二百億の債権放棄と同じように、放棄をしたということですか、もう既に四千八百億。
  124. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  債権放棄とそれから共国債権買取機構に持ち込んだものというのがございます。これも放棄の一形態としてでございますが、そういうのもございます。
  125. 仙谷由人

    仙谷委員 そうすると、日本リースに千五百九十一、ランディックに千九百七十三、エヌイーディーに千二百五十三億、いずれも債権を放棄するか他の格好で償却をした、こういうふうに承っていいのでしょうか。これは後で確認いたしますが、先ほどイ・アイ・イに百五億あることをお認めになったわけですが、これは十年の三月期末で分類されているのか、されていないのか、引き当てをどのぐらい積んでいるのか、お答えください。
  126. 大野木克信

    大野木参考人 大変申しわけございません。今の御質問をもう一度おっしゃっていただけますか。イ・アイ・イとおっしゃいましたでしょうか。(仙谷委員「はい」と呼ぶ)先ほど私は、イ・アイ・イについて……(仙谷委員「では桃源社」と呼ぶ)桃源社につきましては、たしか融資取引があると記憶していると申しましたが、ちょっと金領は覚えておりません。申しわけございません。
  127. 仙谷由人

    仙谷委員 じゃ、イ・アイ・イは改めて聞きましょう。イ・アイ・イは千六百億ぐらいまだ債権残っているんじゃないですか。これは長銀として引き当てているのかどうなのか、どういう分類にしているのか、お答えください。
  128. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  今のイ・アイ・イにつきましては、引き当てはいたしております。ただ、個別の会社のことでございますので、ちょっと金額とか詳細につきましては御容赦いただきたいと思いますが、相当の引き当てをいたしております。
  129. 仙谷由人

    仙谷委員 個別の会社でも、もう倒産して今刑事事件になっている会社のことをそんなにかばう必要ないんですよ。  それで、第三分類、四千四百億程度のものを引き当てておるわけでありますが、第三分類として計上されておるわけでありますが、これの引き当てが何%なのかということと連動しますので、そこはお答えいただきたいと思うのです。  それからもう一点、長銀さんにお伺いしておきたいのは、今度の支援で、ランディックに対する支援が一千百億というふうに書いてありますよね。ところが、ランディックの資料を見ますと、長銀に対する債務は八百二十九億だと書いてあるんですよ。約二百数十億が、ランディックの方は長銀に借りていない金まで何かプレゼントでいただくのかどうなのかというふうなことになると思うんですよ。この支援の中身というのは何ですか。つまり、債権放棄のほかに何があるんですか。
  130. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  三末の残高は、確かに先生の御指摘のような金額でございました。ただ、四月から六月、特に六月のあの状況で、ランディック自体非常に資金繰りが苦しくなりまして、結局私どもからの融資に頼らざるを得なくなったということで、現在残が千百億になったということでございます。
  131. 仙谷由人

    仙谷委員 いいですか。ランディックさんにいただいた経営改善計画にも長銀分の借入金残高八百二十九億と書いてあるから僕は言っているんじゃないですか。それが、今から経営改善計画を立てるのに、三百億もサバ読んだ話が、それからふえたんだなんて、きのうのサラ金がまたふえたみたいな話と同じじゃないですか。それを放棄するなんていう話がどこにありますか。放棄した後資本注入することが予定されておる話でしょう、今回のは。だから私、聞いているんですよ、これ。  それでは、時間がございませんので、エヌイーディー、先ほど何かベンチャービジネスがどうのこうのと、なかなかいいことをおっしゃったんだけれども、いいですか、桃源社とか、質問書にも出してありますけれども、中外鉱業に貸し付けた不動産融資なんというのは、どういうベンチャーと関係あるんですか、教えてください。
  132. 中島省吾

    中島参考人 お答え申し上げます。  桃源社とか中外鉱業はベンチャーとは私どもも思っておりません。先ほど午前中の御質問のときにもお答え申し上げたんですけれどもエヌイーディーとしては、ベンチャーキャピタル業務だけでは収益の安定性に若干欠けるという認識がございまして、安定収益の道として不動産担保金融を拡大した、この過程においてこれらの債務者に対して貸し金がふえた、こういう事情でございます。  以上でございます。
  133. 仙谷由人

    仙谷委員 それじゃ、ランディックとエヌイーディーの両社長さんにお伺いしますが、ランディックは、不動産会社群の整理とか不動産関連貸付業務処理、圧縮というのが再建計画一つの大きなテーマだ、こう言っていらっしゃいます。それからエヌイーディーの方は、不稼働債権処理、資産管理会社の清算。何をするということを考えておるのですか。つまり、そういう子会社か孫会社かあるいはペーパーカンパニーかわかりませんけれども、そういうところに貸し付けた格好になっている債権を放棄したり、あるいは債務免除したり、そういうことをするということなのでしょうか。それが一点。  それから、そのお答えになる前に、皆さん方長銀の従業員をやめられるときにもらった退職金、取締役をやめて、そしてこれら関連会社社長あるいはそれに類する代表者として天下ったときの退職金及び退職慰労金、この額を答えてから今の私の質問に答えてください。どうぞ。
  134. 木村榮二郎

    木村参考人 お答えいたします。  私、行員を退職いたしましたのは、たしか十年近く前でございまして、退職金の額は定かには覚えていないので……(仙谷委員「約で結構です」と呼ぶ)ラウンドでは、ほぼ……(仙谷委員「五千万を超すんじゃないですか」と呼ぶ)いやそんな、とてもそんな金額ではございませんで、私の住宅の返済金で手取りはほとんど残らなかった記憶がございまして、そういう意味で、恐らく二千万台ではなかったかと思っております。  それから、役員を退任いたしたときでありますが、これは新聞紙上等でかなり先生方のお目にとまっておると思いますけれども、平均一億二千万というような記述がございますが、私はとてもそういうところまでは行っておりませんで、まあ通常の、科の認識といたしましては、上場会社役員の退職功労金としては妥当な領ではなかったかと私は思っておるわけでございます。はっきり申し上げると、七千万台でございます。  以上でございます。  それから、関係不動産会社の整理についてでございますが、これは実は我が社は不動産会社でございまして、特にビル賃貸業中心としておるわけでございまして、ビル事業というのは、先生よく御存じのとおり、最初は非常に利回りが低いわけでございまして、やはりランディックの本体と別働隊みたいなものをどうしてもつくって、そこでやりまして、そのビルの利回りを、いいテナントをとるとか家賃を上げるとか稼動率を上げるとか、そういう形で資産の価値を上げていくというのが通常の手法でございまして、そういう形でやりました会社が今我が社は四社ございます。これは実質的にちゃんとビルの運営会社でございます。  そういう形でスタートしたものが、その後思ったように家賃がもちろん上がりませんし、むしろ家賃が下がってしまったりしておりまして、そこに若干の、若干と申しますか、かなりの損がたまってしまったわけでありますので、現在の時価で引き取る、それで引き取った後清算する、そういう形で再建計画を組み立てておるわけでございます。  以上でございます。
  135. 中島省吾

    中島参考人 お答え申し上げます。  従業員の退職金は、全くと言っていいぐらい覚えておりませんけれども、恐らく二千万以下であったのではないかと思います。役員の退職慰労金は約一億でございます。  それから、エヌイーディー関係会社の整理につきましては、私どもから関係会社に対する貸付金の放棄という形で行いまして、関係会社をすべて清算する、こういう予定になっております。  以上でございます。
  136. 仙谷由人

    仙谷委員 終わりますが、私の方から質問事項を、特に整理、清算に係る質問事項を細かく出してございますので、後にこれを文書あるいは資料でお出しいただけますか。
  137. 木村榮二郎

    木村参考人 種力そういう方向で取り計らいたいと存じます。
  138. 中島省吾

    中島参考人 権力御協力申し上げたいと思います。
  139. 仙谷由人

    仙谷委員 終わります。
  140. 相沢英之

    相沢委員長 次に、上田勇君。
  141. 上田勇

    上田(勇)委員 平和・改革の上田勇でございます。  早速ですけれども始めさせていただきますが、もう既に長銀の方には三月に公的資金国民の血税が投入されているわけでありますし、近々さらに公的資金の申請をするというふうに先ほど伺ったわけであります。やはりこれは、国民の税金を使う以上、国民は、その資金がなぜ必要なのか、どのように使われるのか、どのような効果があるのか、こういったことを正確に知る権利があるのは当然だというふうに私は思うわけでありまして、どうもこの委員会のこれまでの審議を見ていますと、政府の方は、何かこのままほうっておくと大変なことになるぞということは繰り返しおっしゃるのですけれども、具体的なことを伺うと答弁ができないというようなことばかりでありまして、これでは私は、実態が明らかにならない、何となく隠そうとするような感じがあるだけに、国民はむしろ逆に不安になって、本当に我が国の金融システムは大丈夫なんだろうかということの不安を募らすのじゃないかというふうに思うわけでありまして、その意味で、ぜひきょうは率直なお話を当事者の皆さんからお伺いしたいというふうに思うわけであります。  これまでの質問の中で、今回長銀債権放棄しましたノンバンク三社、借入金を不動産融資に使って、それがバブル崩壊以降返済不能になったというふうに理解しておりますけれどもバブル崩壊したのは九〇年代になって、もう相当期間経過しております。ところが、この点、まず初めに長銀大野木頭取にお伺いしたいのですが、相当期間経過しているにもかかわらず、本年三月の自己査定結果では、第四分類はゼロでありますし、第三分類にしたって四千四百億円しか計上されていない。果たしてこの債権放棄するとした七千五百億円はどの分類に入っていたのか。  また、こうした債権は地価の下落で不良債権化したはずでありますので、三月の時点でもう既に回収が見込めなかったというふうに判断するのが当然かと思うのですけれども、どうもそういうことを考えると、故意にその辺をわからなくしていた、隠ぺいしていたと言われても仕方がないような気がいたしますけれども、その辺についてお考えを、まず根拠を伺いたいというふうに思います。
  142. 大野木克信

    大野木参考人 お答えいたします。  今度の七千五百億円の処理は、三月時点の分類資産の中に入っているものを対象といたしております。主としては二分類を対象としております。二分類の債権と申しますのは、生きている債権も随分入っているわけでございます。  今回、七千五百億のうちのグループ三社につきましては、先ほど来申し上げておりますように、ゴーイングコンサーンと申しますか、一応収益自転体制ということで必要な処理は終えたという認識でございましたわけでございますけれども、やはり今度の六月以降の情勢に応じまして、思い切った処理をしていこうということで変化したということでございます。  以上でございます。
  143. 上田勇

    上田(勇)委員 ちょっと今ので確認をしたいのですが、ということは、今回債権放棄します七千五百億円というのは、三月の段階では、多少のリスクはあるけれども十分回収は可能であるというふうにお考えになっていたと考えてよろしいのでしょうか。
  144. 大野木克信

    大野木参考人 ほとんどそういう考え方でございました債権でございます。
  145. 上田勇

    上田(勇)委員 それは三月の時点で、半年前ですね。それでほとんどが回収可能であるというふうに見込んでいたのが今回債権放棄するということは、これはもう、当然それは公的資金の導入を前提とした債権放棄でありますので、ほとんど回収できないという御判断をされたのだというふうに思うのですけれども、この間にどういうような理由というのでしょうか、根拠の変化があったのでしょうか。その辺を御説明いただきたいと思います。
  146. 大野木克信

    大野木参考人 ただいまほとんどと申しましたのは、グループ三社のことを申し上げたわけでございますけれども、このグループ三社のうち、日本リースとランディックでございますが、これにつきましては、一応三月末時点では収益力で自転が可能だというように見ておりましたものですから、そういう意味では引き当ての対象ということではなかったわけでございますけれども、この六月以降の情勢で、会社自身がやはり抜本的な再建をしなくてはいけない、そういう状況になりましたわけでございます。  そうした結果、やはりそれぞれの事情に応じて、我々が新しく債権放棄して、それぞれの会社のそれぞれの再建策に応じていって進めている、こういうことでございます。そうした結果、今回の不良債権処理につながったということでございます。
  147. 上田勇

    上田(勇)委員 どうも何か今の説明、よくわからないのですけれども、三月の時点では、不良債権は抱えているというものの経営自体は健全だと思った、ところが、その後何らかの理由で経営が悪化したということなのか、何かちょっとよくその辺がわからないのですけれども、どうも、合併を前提に公的資金が見えてきたので、この際償却してしまおうかというような判断をされたのではないかというふうに疑いたくなるのですが、その辺いかがですか。
  148. 大野木克信

    大野木参考人 私の説明が不十分で申しわけございませんでした。  私が申し上げようとしましたことは、この三月とそれから六月で、この間申し上げましたように、当行の株価等で象徴されるような大きな変化が起こりました。そうした激変を受けまして、このグループ三社、やはり三月に予定しておりましたようなある程度長い期間をとった不稼働の処理、そういうようなことでは市場の信頼が失われるということが必至の状況になって、この六月の時点ではかなり思い切った抜本的な再建をせざるを得なくなった、ここの間に大きな変化がそれぞれの各社並びに長銀において起こった、そういうことから今回の処理になったということでございます。
  149. 上田勇

    上田(勇)委員 もちろん、いろいろな条件は常に変化するというのはよくわかりますけれども、何か今の御説明を伺っていますと、三月の、年度末の決算のときには、これは無理やり粉飾をしてという言葉が適当かどうかわかりませんが、かなりの厚化粧をさせて何とかクリアさせた。ところが、それが市場にかなり、長銀さんはどうも財務の内容が、報告している内容が怪しいぞと言われて株価影響が出てきたので、今回それを仕方なく公表したというようなふうに聞こえたのですけれども、この辺は多分御見解を求めてもまたあれかと思いますので。  このことで、実は今、新聞紙上もそうですし、いろいろな専門の方々が、実は長銀はもう既に債務超過になっているのではないかということが言われておりますし、また、この委員会でもそのことについて多くの委員から再三質問がございました。  今の御説明だと、今回債権放棄しなければならないというほど回収の見込みがない不良債権が、実は自己査定では第二分類に入っていたということでありますので、三月の決算あるいはその自己査定の結果というのは信用できないというのか、その後、今頭取がお認めになったように状況が大きく変わっているので、今の長銀の財務内容経営内容を判断する材料とは、到底それを使うわけにはいかないということがもう明らかなんだというふうに思います。  それでも、ことしの三月のバランスシートを見ますと、先ほどの質問にも出ましたが、資本の部、これは準備金等も入れて七千八百七十二億円というのがバランスシートに載っております。今回の不良債権の償却額七千五百億円、先日、金融主骨庁の方からの御説明では、いろいろ不動産の売却だとか他の勘定からの繰り入れとかも入れるのですが、資本の勘定からの減額というのは六千三百億円だと。  ところが、先ほど私、ちょっと大野木頭取の方の御説明で、九月末の自己資本というのは、償却した後五千五百億円というふうに伺ったんですけれども、ちょっとこれ数字が合わないような気がするんですけれども、その辺ちょっと御説明いただけますか。
  150. 大野木克信

    大野木参考人 お答えいたします。  若干整理して申しますと、三末の自己資本は単体で七千八百ございました。これに対して連結の自己資本は一兆円でございます。それで、BIS比率とかそういったものは連結でやっておるわけでございます。こうしたものに今期の収益見込みとかあるいは本店売却とかそういったものを加えますと、それがそれぞれ、単体で七千八百が一兆、それから連結が一兆二千億というようなことになります。  こうしたことを財源として七千五百億円の処理をするということで、そういう意味では、九八年三月末はもちろんのこと、今回の不良債権を行った後でも債務超過ではないと、そして、この七千五百億の処理を行った後でも五千五百億連結で資本勘定が残るということを申し上げたということでございます。  それから、委員長、ちょっと発言よろしゅうございますか。
  151. 相沢英之

    相沢委員長 はい。
  152. 大野木克信

    大野木参考人 実は、この債務超過かどうかという午前中の上田先生の御質問に対しまして、金融監督庁の検査結果でも、まだ終わっていないけれども、途中の感じでは債務超過じゃないと私は思うと申し上げましたけれども、これはちょっと、申しわけございません、勇み足の発言でございまして、監督庁検査についてはまだその最中で、結果については何ら報告、通知を受けておりません。非常に誤解を招く発言で、まことに申しわけございませんでした。訂正させていただきたいと存じます。  以上でございます。
  153. 上田勇

    上田(勇)委員 金融監督庁の検査で債務超過になっているかなっていないとかというのは、その検査の報告が我々には公表されておりませんので類推するしかないのですが、どうも、今の御発言で言えば、関係者の方にはほぼもう公表できるぐらいの精度で大体固まっているものが示されているというふうに聞こえたのですけれども、何か報道では、合併の協議を進められている住友信託さんの方にも大方の内容はお知らせになっているということでありますし、この検査報告について住友信託さんも、合併の協議を進めるに当たって、これは新聞のインタビューに住友信託の専務がお答えになっているのですが、「金融監督庁は一日も早く検査結果を示してほしい」ということでありますので、やはりこれはこの辺を明らかにさせていく必要があると思います。  我々は、先般の委員会の中で、この検査報告、早く委員会にも報告してほしい、公表してほしいということを政府の方にお願いしたのですが、それについては余り前向きなことはございませんでした。住友信託さんの方もこれについては明らかにしていいというようなニュアンスでありますし、もちろん個別の、一つ一つ取引関係ということになりますとプライバシーの問題もあると思うのですけれども長銀さんの方は、この報告が公になるということについて、私は公にすべきだと思うのですけれども、その公になるということについて、どのようにお考えでしょうか、
  154. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  まず初めに、先生がおっしゃいました、金融監督庁の検査が途中でもう内々に出ているのではないかということは決してございません。先ほど私が上田先生の御質問に対しての答えを訂正させていただきましたとおり、まだその結果については何ら報告、通知を受け入れておりません。  それから、ただいまの先生の御質問でございますけれども、私ども、できるだけそういったディスクローズははっきりしたいとは思っておりますけれども、金融監督庁の検査結果をそのままやるべきかどうかということは、まだこれからの検討事項として考えていきたいと思います。  いずれにしましても、そういったものをベースとした自己査定等については、できるだけ積極的な開示をしていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  155. 上田勇

    上田(勇)委員 そのものを公表するかどうかは考えさせてほしいということでありましたので、もちろん、いわゆる詳細な部分というのは、それぞれ個々の企業の事情あるいはそれぞれの企業秘密といったこともあるので、そこまでは無理だというのはよくわかりますけれども、ということは、今のお話で言えば、それが金融監督庁の検査の内容と、内容的には同じものを報告書という形で報告するのか、それとも銀行の自己査定として公表するのか、いずれにしても、その辺はディスクローズしていただけるというふうに今お聞きしたのですけれども、今の私の言い方でいいのか。また、そういうことであれば、それはいつごろの時期をお考えになっているのか、お考えをお伺いしたいと思います。
  156. 大野木克信

    大野木参考人 自己査定につきましては、できるだけ積極的な開示を行いたいということで申し上げたわけでございます。  以上でございます。
  157. 上田勇

    上田(勇)委員 ちょっと次の話に移らせていただきますが、今長銀と住友信託との合併協議を進めておられるというふうに承知しておりますけれども、伺っているところでは、住友信託は正常債権だけを引き受けるという方針であると。また、他の報道によりますと、その合併の前提として、公的資金による資本注入が行われるということが前提になっているというふうに聞いておりますけれども、これは今長銀さんと住友信託さんで協議をされていると思うのですが、そのあたりはどういうような内容になっているのでしょうか。
  158. 大野木克信

    大野木参考人 お答えいたします。  正常債権という言われ方をなさっておりますけれども、これは必ずしも第一分類とかいうことではなくて、私どもができるだけ不良債権処理をした上で私ども債権を引き継いでいくということでございます。今回の処置はその大宗をなすものと私ども理解しております。  以上でございます。
  159. 上田勇

    上田(勇)委員 いや、先ほどのお話では、今回償却されます七千五百億というのは三月の自己査定では第二分類に分類していたものだというふうに伺いましたけれども、ところが、第三分類にも分類している、いわゆるもっと悪い債権、これも償却しなければいけないわけですね。それが四千四百億でしたか、ある。  ノンバンクについても、三社についてはこれで報告されている内容が本当だというふうにしても、どうも、いろいろな情報を見ますと、まだ合計では関連ノンバンクというのは七社ある。その融資残高も四千億円近くあるんじゃないかというふうに言われております。  そうすると、八千億を超えるような、まあこの融資残高が全部不良債権化しているというわけではないのかもしれませんが、まだかなりの額の、今回償却を予定しているものよりも悪いと想定されるものが、あるいは同等と想定されるものがあるんじゃないかというように思うのですね。しかも、株式の含み損、先ほど御説明ありましたように、これはもう償却財源としては使えない。どうも、こういうことを考えますと、本当に健全なのかな、自己資本が残るのかなというのが、先ほども質問したのですが、正直言って疑問に思います。  先ほど、株式の含み損というのは原価法を採用しているからバランスシート上には出てこないというふうにおっしゃいましたが、今申し上げましたように、一つは、もう益が出ないんだから償却財源には使えないということと、やはりこれは時価ではもう含み損が出ているわけですから、これはいずれ合併ということを考えたときには、それも正しく評価しなければならないだろうということを考えますと、今後一兆円以上の、少なくとも数字が出ているだけでもそういう償却が必要になると思うのですけれども、それでも債務超過になりませんか。
  160. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  今の七千五百億が全部二分類ということじゃなくて、今度のグループ会社処理、この部分の大宗がそうだということを申し上げたわけでございます。四分類の四千四百についても、必要な引き当てはその中に含まれているというふうに御理解いただければと思います。  以上でございます。  失礼。今のは、申しわけありません、四分類ではなくて三分類です。
  161. 上田勇

    上田(勇)委員 どうも、いろいろと政府の方、また長銀さんの方からお示しになる資料というのが、今いろいろなお話があるように、非常にわかりにくいことですし、三月から現時点の間にはもう状況が一変してしまっているんだというのは、先ほど頭取がお認めになったとおりなので、国として、公的資金国民の税金を使うという場合には、今時点で正しい評価ができる資料を公表していただかなければ、お示しいただかなければいけないのでありますので、その点、先ほど前向きな御発言もありましたので、ぜひ、できるだけ詳しく正確なものをできるだけ早い時期に出していただかなければいけない、このことを申し上げたいというふうに思います。  それで、ちょっと時間の関係で、最後に御質問させていただきたいのですが、バブル崩壊以降、長期にわたってこうした不良債権の問題を引きずっていて、どうもその辺のことが不透明なまま今回経営が非常に困難になってきたというときに、これまで、もう何年にもわたって財務関係の会計報告がされているときに、じゃ、本当に会計監査あるいは銀行の中の監査というのはどういうふうに行われたのだろうかというのが、非常に疑問に思うわけであります。  このうち、監査役の方々についてお尋ねしたいのですが、監査役というのは、商法とか商法特例法によって、会社経営についてそれをチェックしていく非常に重要な役割を与えられておりますし、非常に強い権限も与えられているわけであります。とりわけ、長銀さんの場合には、監査役が四名おられるわけでありますが、社外監査役が二名、社内が二名だと。この社外の方というのは、大蔵省の御出身の人であります。もう一人は日銀の御出身の人。いずれも最高幹部に近い方でございます。業務にも精通している方だというふうに思いますが、じゃ、果たしてこんな方を社外監査役、特にこの社外監査役というのは、いろいろな今までのしがらみだとか会社の取締役との人事や人間関係を超えて、正しくチェックして、それを株主それから世の中に対して示していかなければいけないという重大な義務を、役割を負っているのにもかかわらず全く機能してこなかったということは、私は重大な問題であるというふうに考えるわけであります。  そこで、実は商法の中には、取締役会は監査役に重大なことについては報告しなければいけないという義務も課されておりますし、したがって、監査役は同時に損害賠償等の責任も負わされているわけであります。そこで、これは何で機能しなかったのか。取締役会からちゃんとした情報を、社外監査役、大蔵、日銀出身の方も含めてちゃんと伝えなかったのか、あるいはこの監査役の四名の方がちゃんと仕事をされてこなかったのか、いずれかだというふうにしか言えないのですけれども、その辺について、頭取、いかがお考えですか。
  162. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  まず、私どもの監査役の方々、それぞれ確かに御指摘のような御出身ではございますが、そういうことではなくて、例えば大蔵出身の方は、もう相当大蔵省を長く離れている方でもございますし、やはり監査役としての能力、人格、識見、そういったものがベースとなってきちんとした監査をやっていただいているということだけはぜひ御認識いただきたいと思います。  以上でございます。
  163. 上田勇

    上田(勇)委員 努力はしているということでありますけれども、結果的にほとんど機能していなかったというのが実態なんじゃないかと思います。これは果たして長銀さんだけに限ることなのか、それとも今の我が国の株式会社の制度そのもの、金融業界の問題なのかわかりませんけれども、少なくとも、今、人格、識見ともにすぐれた方だというふうにおっしゃっていた。今私も申し上げましたように、大蔵、日銀でキャリアを積んでこられた方でありますし、ちゃんと仕事をしてもらわなきゃ困るわけであります。仕事をしていなくても天下りだから受け入れていた、そういったことがあっては絶対にならないと思いますし、また、そういう人を受け入れたことによって監督庁とのなれ合いがあってはいけないというふうに思います。  そういう意味で、外部監査のこともちょっとお伺いしたいと思ったのですが、時間なので交代いたしますけれども、こうした監査役の方々にも、今まで経営についてどういうような見方をされていたのか、そういうお話もぜひ伺いたいというふうに思うわけでありますし、また機会を見つけてそういうことを求めたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  以上で終わります。
  164. 相沢英之

    相沢委員長 次に、中野清君。
  165. 中野清

    中野(清)委員 平和・改革の中野清でございます。  大野木参考人を初め皆さん御苦労さまでございます。十五分でございますから簡単に御答弁願いたいと思いますけれども、私は、資金注入を求める銀行の立場について、特に経営責任を、自己責任について伺いたいのですけれども、その前に、今上田委員質問したことに関連しまして、二点ばかり確認をさせてもらいます。  その一点は、先ほど来七千五百億の話が出ておりますけれども、これは、いわゆるこの三月決算で発表されたリスク管理債権の一兆三千七百八十五億の中に含まれているかどうか、当然含まれていると思いますが、それを確認していただきたい。  それからもう一点は、今私は頭取から、この七千五百億については第二分類からだというお話を伺いまして、私、今まで当然これは第三分類の四千四百四十四億と第二分類の三千億だと思っておりましたが、そういう点について、実は金融監督庁そのものが、こういう試算を出しても、その中で今の分類についてなんか全然言わないわけですよ。ですから、この点については、できる範囲で結構です、時間短く簡単に確認してもらいたい。  それからもう一点は、この資金を申請するのについては、住信との合併のときにやるのか、それから資金需要ですね、資金繰りも当然あると思いますから、そのリミットがいつまでか、この問題についてまず一点、このことを簡単にお願いしたい。  それからもう一点は、実は一部の新聞に、この三月の公的資金導入のときに、審査時に非常に甘かったんじゃないのか、いわゆる飛ばしがあったんじゃないかという記事がございました。そのことについてどうこう言うより、私は、今回長銀さんとの関係でございますから、長銀さんは指摘されたかどうか、それだけ言っていただきたい。  まず二点だけお願いします。     〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕
  166. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。(中野(清)委員「簡単でいいですから」と呼ぶ)はい。  先ほど二分類からと申しましたのは、関係会社の点について申し上げたわけでございまして、日本リースとそれからランディックは二分類ということでございます。ですから、七千五百億は二分類と三分類両方からということでございます。  それから、SECのベースの公表でございますが、これは、日本リースとランディックは、もう既に先ほど来申し上げておりますように、収益自転が可能な先ということで考えておりましたので、これはSECベースには入っておりません、三月発表の時点では。それでよろしゅうございますか。  あとは、三月の公的資金の申請そのものにつきましては、私ども、先ほど来申しておりますように、飛ばしとかそういうことは一切ないということで御理解賜れればと思います。
  167. 中野清

    中野(清)委員 それでは、その点は安心しましたが、まだまだこれからちょっとお伺いしますけれども、実は、公的資金の導入ということを先ほど申し上げましたけれども、いろいろ議論の中に、私は、政府や大蔵とか監督庁の姿勢の中に、長銀に限ったことじゃないけれども、検査公表は適当でないということで余り言ってないわけですよ。先ほど頭取は、自己査定については積極的にやりたいとおっしゃいましたけれども、もしそういう立場で金融監督庁が本来だったらばこれは適当でないというのでしなかった場合、それからまた、少なくともそのときに皆さんに対して指摘事項もあるだろう、そういういろいろな情報について、公的資金お願いする立場でもって、私は、国民に対して長銀としてそういう誠意を持ってどの程度まで言えるか、この際できるだけ私は発表してもらいたいと思うのですけれども、その点について明らかにしてください。
  168. 大野木克信

    大野木参考人 公的資金を本当に申請いたします場合には、やはり危機管理審査委員会の方からそれにきちんと、何と申しますか、それを承認する、それにふさわしい、そして必要な、そして公開される、そういうベースの開示が必ず要求されるはずでございますので、私どもは、そこに一つ焦点を当てて考えていきたいと思っております。  以上です。
  169. 中野清

    中野(清)委員 この問題については、今、自主査定の報告と含めまして、長銀として徹底的に努力をしてもらいたいということだけをお願いしながら、私の本来の質問をさせていただきます。  実は、経営責任の話が銀行の方で出ていました。私は、実は中小企業経営者でして、四十年間、銀行からお金を借りたとき、会社社長としてと一緒に、個人の保証をしないでやったことは一回もありません。ですから、それだけに命がけで経営をやってきたと思います。今回の、銀行を含めた公的資金の導入に対するいわゆる金融機関の姿勢というものについては、はっきり言って不満であります。  その立場で実はお伺いいたしたいと思うのでございますけれども一つは、退職金の問題について、先ほど来大野木さんの方からは、例えば杉浦さんに対して支援策としてお願いしたいというふうなことが新聞に出ておりますけれども、私は、やはりこの際は、やはり一緒に経営責任をやってきた一人として退職金を返していただくのが当然だと思いますが、その点がまず第一点としてお伺いをしたい。  それから、本来は退職金を返せばいいというものじゃないんですよ。そうかといって、当然膨大な金融の話でございますから、それを全部なんということは言えっこありませんけれども、少なくとも、いわゆる私財の提供ということについてどうお考えになっていらっしゃるか、その点についてお伺いしたい。  御承知のように、例えば中坊さんがあの日本住金の庭山さんに対してお願いして、庭山さんも一億幾らかのお金をやっている。その根拠は、代表当時の三年間の給料とそれから退職金だという話を伺っております。そうしますと、やはりこれからの問題として、破綻金融機関が起きたときに、そのときについては経営責任というのは退職金を返せばいいんだという話じゃなくて、少なくとも私財提供の話があるだろう、それが一点。  それからもう一点は、少なくとも山一のときは、当時の宇佐美日銀総裁の強力な意見でもって、ただ一つあのときは山一の首脳に対しては個人保証を要求したそうであります。それ以外に一回もないわけですよ。しかし、御承知のとおり、長銀さんもそうだと思うけれども、金融機関はあらゆる企業に対しては全部個人保証というのを要求しているというのがほとんどであります。特に中小企業なんかは、個人保証がない金融なんというのは考えられないというのが事実でありますけれども、その点について、やはり少なくとも公的資金を導入するという立場における銀行のトップの責任というもの、その辺についてどうお考えか。それについて、私は、少なくとも個人保証を出す、そのぐらいの腹をもってやらなければ国民は納得しないと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  170. 大野木克信

    大野木参考人 今回の、公的資金申請ということまでお願いする、そういう立場になりましたことはまことに申しわけないと思います。そして、その過程で、私ども経営責任を含めたリストラ案を出したわけでございます。  私どもの先輩の代表取締役につきましては、やはり経営判断という意味では、その場その場ではきちんとしたルールに基づいたベストの判断をしたわけでございますが、結果としてこういう事態になったということで、ある意味では社会的、道義的な責任という範囲でお願いしているわけでございまして、その意味では、私は、退職金の返済を要請するというところで御勘弁いただければというつもりで書いたわけでございます。  私個人のことを御指摘かと思いますが、やはり私も、そういう意味では道義的な責任、社会的な責任というのは十分痛切に感じておりますけれども、もちろん退職金などはもらいませんし、給与ももう全額ゼロにいたしております。その後どうするかということにつきましては、今具体的なアイデアもございません。ただ、全体の重みというものは、先輩も私どもも本当に十分に感じているということだけお酌み取りいただければと思う次第でございます。  以上でございます。
  171. 中野清

    中野(清)委員 頭取の御苦労というか御苦心はよくわかりますけれども、私がきょう申し上げたのは、一つのこれからのルールづくりとしてのこの問題があるはずなんです。ですから、そういう意味では、少なくとも、破綻した場合の責任、それから公的資金を導入した場合の責任等については、やはりこういう公の場において一つの方向づけをしていかなければ、国民がとても理解されない。そのときには、申しわけないけれども、今頭取がおっしゃったように、退職金でカバーするだけでいいというわけにはいかないだろう。御自身が今ほとんど給料をもらわないで頑張っていらっしゃる、その姿の延長の中に、やはり私は、少なくともこの問題があるだろうということはまず申し上げたい、そういうことだと思います。  それからまた、国の資金を導入するときの姿勢として、経営者というものが持っている姿勢、これは、少なくともほかの一般の企業が倒産したからといって、一銭も国からなんか来るわけないんですよ。ですから、それだけに、やはり当事者の責任というものをもっと持ってもらわなければ困るというのは事実でございまして、ぜひこれをお願いしたい。  そして、時間もございませんからもう一つだけお伺いいたしますと、それからもう一つ、さっきちょっとやじがありましたから言いますけれども、今地獄まで持っていきたいという話がございましたけれども、今新聞でごらんのとおり、中には、本当に自分が自殺して、自分の保険金で借金を払う方もいらっしゃるんだ。そういうような中での話だということだけはぜひ理解をしてもらいたい。そうしませんと、決して私たちは皆さんに無理を言うのではなくて、決断するときは命がけの決断をしてもらわなければ困るんだということを申し上げたいと思います。  そういう意味で、実は、杉浦さんの問題についてちょっと伺いますけれども長銀さんでは何か杉浦さん、三十四年間取締役をやったと。確かに、私も今、学校を出てから家業を継ぎましたから四十年間役員をやっていますけれども、普通はそんなことはないんですよ。しかも、公の、日本の大きな企業が、三十四年間もやっているということについては、私は何か釈然としないものがありますけれども、問題は、退職金の計算のときに、何か期間によって高くなるというような話を聞いたのですけれども、それはどうなったか。何かそれをことしの五月だかには一生懸命下げたという話も聞いたのですけれども、その点についてまず明らかにしてもらいたい。  それ興結局は、いわゆる長銀さんも含めた、どちらかというと公の立場にある機関だということの中での私がなかったかという意味でもってお伺いするわけでございますから、簡単にお答え願いたい。
  172. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  ちょっと退職金についてそれほど詳しいあれはあれなんでございますけれども考え方としましては、在職中のポストの月額報酬、それに一定の掛け目を掛けたものの積算というぐあいに理解しております。ですから、結論としては、長くおられると、そして地位が高くなるとトータルとしては高くなるということだと思います。  ただ、全体のスケール等につきましては、その当時としては、今にして思えばあれでございますが、そんなに異常なものではなかったと御理解いただければと思います。
  173. 中野清

    中野(清)委員 それでは、最後にちょっとお伺いしたいと思いますけれども、今度、住友信託さんと合併を企画されていらっしゃる。一部では、この程度の合併ではだめだ、少なくとも、世界的なメガコンペティションの中で、損保も生保も、それから証券も銀行も信託も全部一緒にならなければだめだという意見があるときに、住信と一緒になって本当に大丈夫なんだろうかということについて、お考えを言っていただければありがたいと思います。  ぜひその中で、少なくとも公的資金の注入についての努力については、先ほど来我が党の上田議員も言っておりましたけれども、まだまだ金融庁を初めとして国民に対しての情報開示といったものを少しもやっていない。そのことについては、長銀さんとして、当事者として真剣になって国民理解をいただけるような努力をしてもらいたい。それについても、決意だけで結構ですから御答弁願えれば、終わりたいと思います。
  174. 大野木克信

    大野木参考人 新銀行のその後の経営方針等につきましては、これは高橋社長が御自身でお考えになるということで、私は、御承知のように、これで身を引く気でございますので、余りコメントはございません。ただ、この二つだけでも相当強力なものになり得るだろうということは確信を持って言えると思います。  それから、開示につきましては、先ほど来ございますように、できるだけ公的資金の申請の審査をされる委員会の御指導等をいただきながらやっていきたい、このように思っております。  以上でございます。
  175. 中野清

    中野(清)委員 終わります。
  176. 山本有二

    山本(有)委員長代理 次に、西川太一郎君。
  177. 西川太一郎

    西川(太)委員 自由党の西川太一郎でございます。  本格的な難しいことは、後ほどの西田猛議員が専門家の立場でお尋ねをいたします。  まず伺いたいのは、先ほど来お話を拝聴しておりますと、たびたび、表現は、日本リースさんとランディックさん、エヌイーディーさん同じでしたが、長銀の頭取は違うけれども、言わんとするところは、社会的責任を痛感しているとか、新たな再建会社においては社会的責任を遂行する、こういうことをおっしゃるけれども、私は、実は見かけによらず経営学者なんです。社会的責任ということをどういうふうに承知してお使いになっているのか、まずそれを、代表して頭取にお尋ねをします。
  178. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  経営の御専門の方に対しまして、大変難しい質問でございますけれども、私ども銀行という立場からは、やはり基本は営利追求というところがあるわけでございますけれども、しかし、それとあわせまして、そこの業種の持っている公共性といったものがやはりベースにあって、そして営利企業として、民間企業としてやっていく、そういうことではないかと思っております。  以上でございます。
  179. 西川太一郎

    西川(太)委員 きょう、残念ながらテレビの中継はないのですけれども、もしテレビの中継があって、非常にあなた方に対する関心が高い今日、国民がこれを見ていて、失礼ながら、社会的責任をおっしゃる資格がありますか。私はそこのところから言いたい。  それは、いろいろ御苦労もあったろうと思いますからさておくとしても、社会的責任というのは、銀行本来の業務を追求して、そしていろいろな方面の利益にこたえていく、そういうことが、今頭取からそういう趣旨のお話があったと承りましたが、それが実行できなかったときの責任は、ただ自分が辞職するというだけでいいんですか。  そして、あまつさえ国民公的資金を今導入するかどうかという議論をしているところでしょう。だから、社会的責任なんという言葉はそう軽々に使ってもらっちゃ困る。特に私が腹立たしいのは、その社会的責任という言葉を隠れみのにして、自分たちのやったことを何となく免罪符にしょうとしている姿勢が見えたから、あえて冒頭、通告もしていないけれども、こういうことを伺ったわけであります。  ところで、八月二十四日付のフィナンシャル・タイムズは「長銀救済」という社説を掲げておりまして、「公的資金は二つの厳しい基準に基づいてのみ、投入されるべきである。一つは、救済される金融機関に支払能力がなければならない。そして二つは、その銀行は受け入れられるような構造改革案を提出していなければならない。」こういうふうに書いています。サマーズさんも、四つに分けたけれども、同じようなことをいつかおっしゃっていた。  そこで、この国会は、きょうだけ突然見えてもわからないでしょうけれども、二日間にわたって十四時間、もっと情報を開示するべきだという議論をたくさんしてきたんですね。  ところで、我が党は御行に、事実関係を教えていただきたいということで、きょうもそこにおいでですけれども、ある方をお呼びして勉強会をやりました。そのときに、たくさんの質問が出て、それに対して回答をと言ったら、お断りすると言ってきた。国会審議に資するために、該当者である長銀さんにいろいろなことをお尋ねして断られた。いいですか。断ってきたんですよ。そして、その後が振るっている。どうしてもとおっしゃるなら、当局を通じて御要請くださいという。どういうことですか、これは。そういう姿勢で、しかもこれは、ちゃんとトップと諮った上だという御返事をいただいているんです。このことについて、どう思いますか。
  180. 大野木克信

    大野木参考人 ただいまのこと、二つあると思うのです。  やはり、ディスクローズというものにつきましては、先ほど来申し上げているように、できるだけ積極的にやらなくてはいけないと思っておりますけれども、やはり、そこに金融機関としての限界があるということも一つあろうかと思います。その点が一つでございます。  それから二番目に、当局を通じてというのは、ちょっと、大変誤解のある発言だったと思いまして、これはおわび申し上げなくてはいけないと思います。一つは、やはりディスクロージャーというのは我々の自主判断でやるべきものであるということが一つでございます。仮に当局という言葉を使ったとしましたら、それはちょっと私、解せませんが、ある意味では、必要な情報は、それは当局の監督下にあるわけですから、そちらに渡しているということを言ったのかなとも思います。  いずれにしても、その辺につきましては御容赦いただきたいと思います。
  181. 西川太一郎

    西川(太)委員 あなたの後ろに補佐役でついてきている人がそういうことを言ったことは間違いないんです。  それで、今からでも遅くないから、これからの審議にも資するために、再検討して出せるものは出してください。いかがですか。
  182. 大野木克信

    大野木参考人 お答えいたします。  先ほどお答えしたベースに従いまして、自主的に、私どもの業種に許される範囲のものにつきましては考えていきたいと思います。  以上です。
  183. 西川太一郎

    西川(太)委員 事ほどさように、情報開示がおくれている。これは、審査をする上では、野党側としては非常に重大な問題だと言わざるを得ません。  そこで、次に伺いたいのは、支払い能力があるかどうかということの一つの例として、金融債の償還の問題が当然議論されなきゃいけない。  御行はそのことを得意わざとして、冒頭、もうそういう制度に守られる分身だけではやっていけないとおっしゃったのはその部分だと思いますが、平成十年の八月には五千四百四十二億円、九月には六千七百三十九億円、十月には六千二百五十六億円、十一月には五千六百七十五等々、来年の三月にかけて大変な額の金融債の償還をしなきゃならない。ところが、最近の発行額の実績を見ると、大体その償還額が六千億前後なのに二千億ぐらいしか発行していないですね。売れないということもあるんでしょう、いろいろあると思いますが、私がお尋ねしたいのは、その差は何で埋めているのですか。
  184. 大野木克信

    大野木参考人 お答えいたします。  確かに、金融債の償還と発行のバランスというのは御指摘のとおりでございます。  ただ、私どもといたしましては、先ほど申しましたように、いろいろな意味で長信銀の枠から脱皮したいというようなことでやっておりますし、もう一つは、海外の撤退ということを決めましたわけでございまして、海外資産を中心とする資産の圧縮、それから、国内につきましてはできるだけ融資に応じていきたいと思っておりますが、それでも足りない部分は証券化とかそういったものでやっていくということでそのギャップを埋めていきたいと思います。  以上でございます。
  185. 西川太一郎

    西川(太)委員 じゃ、今までどうしたんですか。これからは証券化したりいろいろするということ。しかしそれだって、例えば今度の資本注入される金の流用だといって疑われてくるし、今までどうしていたのかということが一つ。  それから、はっきり言って私どもが得ている情報では、よその銀行もそうですが、御行は貸出金を回収したり抑制したりしている動きが非常に強い、こう聞いておりますけれども、それによってこの差額を埋めるという行為はありましたか。
  186. 大野木克信

    大野木参考人 この上期中はやはり、特に六月以降急激なこういうマーケットの変化がございましたものですから、やはりやむを得ず貸し出しをある程度抑制したということは、これはやむを得ぬ事実でございます。ただ、そういうことはもちろんやりたくてしたわけじゃないということでございます。  先ほど御指摘のこれから先でございますけれども、これは海外資産が約一兆ぐらいはありますものですから、これをやるということで一つ軸にして考えていく。それから、あとは預金とかそういった形の資金でそのギャップを埋めていく。そういうことで、なるべく国内につきましては頑張っていきたい、こういう感じでおります。  以上です。
  187. 西川太一郎

    西川(太)委員 もう時間がわずかしかないので、少しこっちからも言いたいことを言いますが、結局、発行の金融債が不足して、そして償還額が三倍以上になっている、二・五倍ぐらいになっている。こういう事態の中で果たしていわゆる健全な経営が確保できるのか。私は、そこのところはまさに、先ほどおっしゃった社会的責任にもなるんじゃないか。  例えばきょうさくら銀行が、いわゆる増資を行うことによって、そしてグループ内でこれを公的資金に頼るんじゃなくて努力をする、そういうことがなぜできなかったのか。例えば日債銀があの危機のときに、クラウン・リースを徹底的に子会社ではないと否認して、そして協調融資を取引銀行全体でやって何とか危機を抜けた。日本リースに対して何でそういうことができないんですかとか、いろいろ聞きたいことはあります。  さあ、そこで、私は飛ばしの問題について最後に伺うものでありますが、けさの新聞、これは全国的に配信をしている通信社のニュースだと思いますが、これによりますと、金融監督庁が、先ほど来倉成議員初め大勢の方が、中野議員に至るまでお触れになりました。私も一言申し上げざるを得ないのは、いわゆる平成七、八年におつくりになったぺパーカンパニー、そういうところに物すごい有価証券の集積があるのです、調べてみると。それは二千五百億ぐらいあるかもしれません。ただ、我々には情報開示されていないから、継ぎはぎの資料で計算していくともっとあるかもしれないけれども、八十二社の中には明らかに不良債権の受け皿として設立をされたに違いないという会社があるのですよ。配当率が一%未満なんという会社があるわけですから、そういうところの株は売れるわけもない。  ところで、銀行は一般に融資するときに、我々中小企業に対して、担保がない場合には、長いつき合いであるときには、株を持ってこい、こういう話になる。そういうものが七万社の取引先で御行には山のようにあるんだと私は想像しています。それで、それが不良債権化するわけですよ、上場の見込みはないから。そしてそういうものには値段がついていないから、子会社に売るときには適当な値段をつけて、買い取る金まで貸してやるという方法で損を飛ばして御行本体は身ぎれいに見せたという、いわゆる粉飾決算の疑惑も出てくるのです。これ、金融監督庁にこれからもいろいろただしていくけれども、そういうことが出た場合には、これは大変な問題ですよね。  それから、もう一つ伺いたいのは、そういうところにどんどんどんどん株をおっつけて不良債権をなくするようにしても、いわゆるBIS規制の達成には役に立つのですよ、これ。ところが、さっき言ったとおり、銀行本体の貸し出したとかそれから先ほどもどなたか指摘されておりましたけれども、新しいビジネスに、ベンチャー企業に融資をするなどという、そういうことの資金にはなり得ないのです。そうすると、今回我々が、もし注入ということになった場合に、それは何のために使われるのか。もう自己資本比率についてはそういう操作をしているじゃないか、こういうことも言えるのですが、これを最後に私の質問といたしますが、頭取、どうでしょうか。
  188. 大野木克信

    大野木参考人 お答えいたします。  私ども長銀関係しているグループ会社は、これは先ほど来申しているように、基本的には担保不動産をその担保の汚染から守り、権利関係調整し、活性化し、生かしていく、こういう目的のための会社でございます。  また、株につきましては、またその担保物件もそうでございますけれども、もしあるとすれば、必ずそれは時価あるいは適正な価格でやって、それを収益目的でその会社が買いたいという形で移っているというふうに私は聞いております。  以上でございます。
  189. 西川太一郎

    西川(太)委員 一つ聞き漏らしたので、お許しをいただいて、委員長、もう一つだけお尋ねをさせていただきますが、政治献金の問題なんですけれども平成七年、時間がないので簡単に言いますが、四千二百九十一万円、平成八年千八百四十八万円、平成九年は自己開示していただかなきやまだわからないのですけれども、こういう、ざっと二年だけでも六千万円ぐらいの献金を国民協会にしている。言うまでもない、これは自由民主党に入っている。  ところが、これは何で私が問題にするかというと、名前はちょっと言いませんが、全国の中堅金融企業の連合体の一年間の政治献金より多いんですよ。一銀行が、経営が大変な時期にこういう政治献金をされた理由は何ですか。それから一わかれば平成九年は幾らされているか、教えてください。
  190. 大野木克信

    大野木参考人 基本的には、政治献金に関する法律に基づいて、その範囲内でやっているということでございます。  そして、今年度でございますけれども、今年度につきましては、こういう環境の激変、そして、こうした形で公的資金お願いする、こういうことになりましたものですから、本年度につきましては献金は御遠慮するということで考えております。  以上でございます。
  191. 西川太一郎

    西川(太)委員 何のためにしたのかお答えいただいていないし、しかし私の同僚が専門的質問をいたしますから、私はこれで質問を終わりますが、ただ、今のたった二十分間のやりとりを振り返ってみても、都合の悪いことは一切開示しない、都合のいいことは法律に依存して逃げる、こういう姿勢で、国民公的資金をぜひ注入してほしいという、そういう切実な理由、なるほどそうか、それじゃやらなきやまずいなということは何にもわからない、そのことを申し上げて、質問を終わります。
  192. 山本有二

    山本(有)委員長代理 次に、西田猛君。
  193. 西田猛

    ○西田(猛)委員 きょうは、参考人におかれましては、御出席御苦労さまでございます。  世界の信用秩序と日本の経済再生にかけての重要な問題でございますので、どうか正直にお話しをしていただければと思います。  同僚の西川議員に引き続きまして、自由党の西田でございますけれども、まず、住友信託銀行の高橋温社長が、都度都度、日本長期信用銀行の正常先債権のみ承継するということをいろいろな場で言明しておられますけれども、その正常先債権というのは今幾らあるか、おっしゃっていただけますか。
  194. 大野木克信

    大野木参考人 高橋社長が正常先債権とおっしゃいましたのは、いわゆる自己査定の分類としての正常先あるいは要注意先という、そういう分類での正常債権ということではないと私は理解しております。  いずれにしましても、今度の処理でそういった、三、四分類は別だと思いますけれども、一、二分類につきまして、私どもとしてはできるだけの引き当て処理等をいたしまして、そして健全なものは健全なまま、いろいろこれから向こうと詰めて、そして合併に持っていこう、こういうことでございます。  以上でございます。
  195. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今の頭取のお話ですと、その高橋社長が言われる正常先債権というものは金融監督庁の検査の結果による、こういう認識でしょうか。
  196. 大野木克信

    大野木参考人 お答えいたします。  金融監督庁の検査、それからこれから行われますいわゆるデューデリジェンスといいますか、そういったチェックも踏まえて、そしてお互いにその内容について議論して、それでいこう、こういうことだと思います。
  197. 西田猛

    ○西田(猛)委員 本年三月時点での自己査定の時点では、その正常先債権はどのくらいあるというふうに認識しておられましたか。
  198. 大野木克信

    大野木参考人 申しわけありません、おくれまして。  つい最近、この理事会に御提出したとおりでございますが、一分類は十五兆九千百十四億円でございます。
  199. 西田猛

    ○西田(猛)委員 いわゆる、きょうも出席しておられますけれども、この三社に対する御行からの債権、これが五千二百五十億円ほどあると言われておりますけれども、これはそのような金額でよろしいでしょうか。
  200. 大野木克信

    大野木参考人 今回の、グループ三社でございますけれども、一応、この三社につきましては当然のことながら分類しております。そして、それを今度の七千五百の中の一環として処理をしていくということでございます。  三社につきましては、二と三に両方に分類されているというふうに御理解いただければ結構でございます。
  201. 西田猛

    ○西田(猛)委員 三の部分はいわゆる不良債権、こうなるでしょうけれども、二のうち不良債権として認識しておられるものはどの程度おありですか。     〔山本(有)委員長代理退席、委員長着席〕
  202. 大野木克信

    大野木参考人 二分類というのは非常に幅が広うございまして、私どもは、たしか実務指針、会計士の方々がつくられた実務指針に基づいて、倒産実績でございますか、そういったものをベースにやっている、一般引き当てからやっている、こういうことでございます。
  203. 西田猛

    ○西田(猛)委員 聞いたことに正直にお答えいただいていないと思うのですけれども。  八月二十七日の本委員会での宮沢大蔵大臣の答弁では、五千二百五十億円、三会社に対するものが、長銀不良債権として処理すると言っているのだから不良債権だろうというふうに明確に答弁しておられるわけです。他方、同じ質問に対して八月二十八日の日野金融監督庁長官は、今検査中なので答えられない、こういうふうに答えたわけですね。  ここで大蔵大臣が言ったように、今頭取は、この三会社に対する債権は、ほぼすべて不良債権であるということは認められるわけですね。
  204. 大野木克信

    大野木参考人 不良債権というものの定義でございます。二分類が不良債権かどうか、これは非常に難しいことでございまして、二分類イコール不良債権ということではやはりないのではないかというふうに考えております。
  205. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ですから聞いているんですよ。二分類の中でもいろいろな債権があって、その内容を御存じなのは銀行しかないわけですね。ですから、御行はどういうふうに考えておられますかということをこの参考人の場で聞いておるわけでございます。  それはどういうことに関係してくるかといえば、きょうの朝からのお答えの中で、その三社に対する、特にランディックに対する支援、要するに債権放棄はなぜかと言われれば、そのほかの各取引銀行からランディックが返済を迫られていて、それに一つ一つ応じていたのではランディックがもたなくなる、だから長銀債権放棄をするんだということを言っておられるわけですね。ではなぜ、不良債権かどうかもわからないような債権も抱えている中で、ほかの銀行が持っているランディックの債権に対しては全額返済してしまうようなことになるのですか。ほかの会社にも説得をして協力を呼びかけないんですか。
  206. 大野木克信

    大野木参考人 二分類というのは先ほど申しましたように非常に幅が広いわけでございまして、それ自身不良債権ということは言えないということでございます。ですから、今度の二社につきましても、少なくとも三月時点ではそれなりの収益自転能力があったわけでございますから、それは二分類といえども不良債権ということではない。  ただ、六月の時点での激変会社自身のやはり抜本再建が必要になったがゆえに今回の処置をやらさせていただくということにした、そういうことでございます。  以上でございます。
  207. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ですから、やはりまだお答えいただいていないのでありまして、ここのところをはっきりしておかなければいけないんだと思うんです。  三月時点では関連会社三社のうちの二社に対する債権はそんなにいわゆる不良債権化していなかった。第二分類の中でも非常に幅が広いからその認識を持っていた。ところが、六月の激変があって今はどうなっているかわからないということですね。今のような御口調では、これはもう相当の部分において放棄するんだからいわゆる不良債権という認識を持ってもらっても構わないというふうなお答えだと思うのですね。  しかし、そこのところを、きょうは参考人質疑でありますので、ぎりぎりとお詰めするわけにもいきませんけれども、これはまた違う場でもうひとつ皆様方の発言、証言を、ある種の法的な縛りをかけたような場でお聞かせを順うということが必要になってくるのではないかなというふうに私どもは思うわけであります。  そこで、長銀内外金融市場において今資金の調達をすることが極めて困難な状況にあるというふうな御認識でしょうか、それともそうではありませんでしょうか。
  208. 大野木克信

    大野木参考人 先ほど御質問がございましたように、確かに金融債につきましては発行額が落ちておりますけれども、それに対しましてアセットサイドの手当て、それから預金等による資金収集、証券化、こういったものを総合すれば資金繰りについては問題ないというふうに考えております。  以上でございます。
  209. 西田猛

    ○西田(猛)委員 いわゆる金融機能安定化のための緊急措置に関する法律によれば、いろいろなケースがありますけれども、今回の、恐らく、三月ではなく、次に長銀が資金注入を申請されるであろうケースといえば、経営状況が著しく悪化している金融機関等でない金融機関であって、そして当該金融機関等内外金融市場において資金の調達をすることが極めて困難な状況に至ることによる危機を回避するため、あるいは当該金融機関が破綻することを回避するためということなんですね。  今頭取が言われたように資金を調達することが全く問題がないのであれば、公的資金の注入を申請する理由はないんじゃないですか。
  210. 大野木克信

    大野木参考人 ただいま申し上げましたような形で今資金調達をしているわけでございますけれども、やはり自己資本が今度の三月の時点で七千五百億毀損するわけでございます。そうした後の状況というものにつきましては、やはりそれから安定資金の申請に至るまでの状況というものを踏まえて御申請申し上げるということになろうかと思っております。  以上でございます。
  211. 西田猛

    ○西田(猛)委員 また全くお答えをいただいていないのと同様なんでありますけれども、そうすれば、聞き方を、お尋ねの仕方を変えるとすれば、きょうの新聞にも載っておりましたが、ある都銀のように、自分で第三者割り当て増資をするなり、みずから民間機関から増資を仰ぐなり、そういう方法はあり得るんじゃないですか。
  212. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  現時点では一般的な公募的な増資というのはやはり難しいのではないかというふうに判断しております。  以上でございます。
  213. 西田猛

    ○西田(猛)委員 一般的な公募は難しいということは、当該金融機関が内外金融市場において資金調達をすることができないというのとほぼ同義じゃないですか。  では、先ほどおっしゃったのは、資金繰りのためのそういう資金だけをとることはできるけれども、資本をとることができないといったら、それこそが金融市場における資金の調達にほかならないんじゃないでしょうか。いかがですか。
  214. 大野木克信

    大野木参考人 お答えいたします。  そのようなことが、やはりベースは、金融市場における信頼度の回復ということがベースになるんだと思うのでございます。そういったために、やはりかなり資本を、今回七千五百億使うわけでございますので、そこをやはりある程度リカバーするということで市場の信頼を取り返していくというプロセスがあって、そしてそれで合併に持っていく、こういうシナリオで考えさせていただけないだろうかというのが今回のあれでございます。
  215. 西田猛

    ○西田(猛)委員 もちろんバブル経済というものがあって、その後、日本の経済の状況を見てみれば、何もこれは日本長期信用銀行だけを私たちはここで問題にしているわけではありません。日本経済全体が陥った一つの病巣でありますし、状態ですから、我々はその全体のことを考えて言っているのですね。  だけれども、この時期に御行をどのように、日本経済の全体の中で、あるいは世界の信用秩序の中で考えていくのかというのは非常に重大なことであります。ましてや、一説には五千億円から一兆円の公的な資金を注入するという話も出てきておるのであります。その資金の注入の仕方について、ある程度の明確なルールが今できている以上、それにのっとったものであるのかどうかということを国民の皆さんの前に明らかにされなければならないのだと思います。  そこで、私は今金融安定化法についてお聞きしたのですけれども、資金をとることはできると。できるとおっしゃったのであれば、これは申請する理由がないわけですね。ですから、金融安定化法に基づくいわゆる十三兆円の資本増強のための公的資金を申請するということの正当性について、非常に疑問があると断ぜざるを得ないということであります。このことは、先ほど申し上げましたように、もっと違う場でいろいろと話をしていかなければならないことだと思います。  ひとつ論点を変えまして、八月の二十日に住友信託銀行の高橋社長が総理官邸に呼ばれて、総理大臣、官房長官、それから大蔵大臣のいらっしゃるところで、御行との合併を促進するようにという要請をされたということが報道されております。これは事実のようでありますけれども、そのことについて高橋社長から何か頭取はお聞きになりませんでしたか。
  216. 大野木克信

    大野木参考人 私は伺っておりません。  以上でございます。
  217. 西田猛

    ○西田(猛)委員 もしも今後公的資金を注入されたら、あるいは本年三月に既に投入済みの公的資金について、いわゆる将来的にすべて返還できるとこの場でお約束できるでしょうか。
  218. 大野木克信

    大野木参考人 お答えいたします。  今度の公的資金の注入につきましては、その額とか、そういったことにつきましても、やはり合併銀行というものを視野に置いた形で考えていかなくてはいけないと思います。そして、その合併銀行の、何と申しますか、収益性とか、そういったものをベースに、やはり公的資金の申請ということになろうかと思います。  以上でございます。
  219. 西田猛

    ○西田(猛)委員 これまた、金融安定化措置法に基づく破綻前の公的資金の注入について非常に疑義を持たざるを得ない御発言なんですよね。  要するに、公的資金を注入する場合は、合併銀行の受け皿になるか、あるいは著しく経営が不安でないという銀行についてということなんですよ。今の御発言ですと、合併されることを前提として申請されるわけですね。そういうスキームは、この場では正式には考えていないわけです。ですから、この金融安定化措置法に基づく申請については、やはり非常に疑義を持たざるを得ない今の御発言であったというふうに思います。  それから、今後公的資金を返せるかどうかは今は約束できないということなんですね。これを国民の皆さんがどういうふうにお受けとめになられるか。要するに、合併後の経営体である、要するに存続銀行としては住友信託銀行ですけれども、その銀行がどうしてくれるか、そういうことである、こんな無責任な話があるんでしょうかね。  ここは参考人質疑の場ですから、私は頭取の良心に訴えるしかないと思うのですけれども、一兆円近くの公的な税金を要請されながら、それが今後どのような運命をたどるか、それは後は人任せですと。これで、しかし、今存続している、ましてや長期信用銀行と言われた銀行経営者としての責任ある御発言だという御認識ですか。
  220. 大野木克信

    大野木参考人 お答えいたします。  もちろん、今回の公的資金の申請の額とかタイミングとか、そういったものは、これからいろいろ私どもの九月末の決算とか、それから新銀行のあり方とか、そういったものをベースにしてやっていくわけでございますけれども、もちろん合併に至るまでの長銀経営、そして合併後の新銀行経営、そういったものにつきましては、長銀ももちろん責任を持って対応をしていくということは当然のことだと思います。  以上です。
  221. 西田猛

    ○西田(猛)委員 合併後のことについて長銀責任を持って行っていくということの意味はちょっとはかりかねますので、よくわからないのですけれども、それについてのお答えもいただくとともに、一説には、宮沢大蔵大臣などがるる説明しておられるのは、なぜ長期信用銀行をある程度の形である程度まで残してそれを住信に合併させるのかといえば、今途端にばたっと長銀のような銀行が倒れるといろいろな影響が出る、その一つとしてデリバティブズの残高のことを言っておられる方がたくさんいるのです。しかし、我々の調査によれば、長銀のデリバティブズの想定残高は五十兆円ぐらいしかないだろうと言われておりますし、それから、国際的なデリバティブズは新規のものはもうほとんどやっていない、国内的にも収縮ぎみだということで、ほとんど影響はないと私は考えております。  ここら辺について、具体的な数字で反論がございましたら、してください。
  222. 大野木克信

    大野木参考人 一番初めに、合併銀行についての長銀でございますが、私が申し上げたかったのは、やはり長銀のいわばスピリットと申しますか、長銀のバリューといったものをできるだけ、今回の公的資金の導入とかを含めましてキープしながら、それを合併銀行に植えつけていきたい、こういう考え方を申し上げたということでございます。  それから、デリバティブでございますけれども、これは現在残高が、たしか私の記憶では四十兆だと思います。(西田(猛)委員「さらに収縮しているではないですか」と呼ぶ)はい。  これは、今度のリストラ計画へ出しましたように、そういった業務につきまして抑えているということでございますが、ただ、デリバティブ自身は、私どもがいわばディーリングでやっている部分というのはほとんどございませんで、お客様の財務上のヘッジ、それに対する依頼を我々が受けて、それを逆につないでいって、こういう形の対顧ベースのデリバティブが大部分であります。  そんなことも考えますと、やはり内外ともにデリバティブの影響というのは、これは単に、四十という数字、それ自身が大きいと思いますけれども、そのサイズのデリバティブを行っている銀行が急になくなるということは、これは今までなかったことでして、私は、これがいろいろな意味で、マーケットというものは風説とか疑心暗鬼とかで動くものでございますから、非常に怖いのじゃないか、こんなぐあいに思っておりますけれども、私の実感としてはそういうことでございます。  以上です。
  223. 西田猛

    ○西田(猛)委員 具体的な反論になっておりませんが、時間が来ましたので、終わります。
  224. 相沢英之

    相沢委員長 次に、木島日出夫君。
  225. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  先ほど来、参考人からの御発言を聞いておりましたが、私は、いずれも経営者の責任という問題に対して自覚が本当に足りないということを痛切に感じます。特に長銀は、金融債発行権限を認められた長期信用銀行であります。その社会的責任が大きい。預金者保護、金融債購入者保護、産業界、中小企業を初めとする健全な借り手保護、また決済業務など、非常に責任は大きい。また国際業務を行っているわけでありますから、なおさらその責任は大きいと思うわけであります。意見は求めません。  早速、具体的に質問しますが、八月二十一日の住友信託銀行との長銀合併に向けた経営改善計画、その核心の一つは、何といっても日本リース日本ランディック、そしてエヌイーディー主要関連ノンバンク三社に対して、合計五千二百億円の債権長銀が放棄する、そしてこの三社を生かす、それによって生ずる長銀本体の自己資本の穴を埋めるために公的資本をもらおう、こういうものでありますが、こんな法外な話が通用するはずがないと私は思います。何で公金投入までして、税金までもらい受けて関連ノンバンク三社を救済しなければならないのか。  先ほど長銀大野木頭取から日本リースのことについては御発言がありました。私は理由にならぬと思うのです。取引先が多いからというだけで公金投入を受けて救済する理由は全然ない。そんなことを言ったら、すべての日本中小企業取引先が多い、大きいところは助けなければいかぬということになるわけでありますから、理由にならぬと思うのですが、日本ランディックについて、そしてエヌイーディーについて、何で公金投入を受けてまで救済しなければいかぬのか。その理由を、大野木さん、言ってください。
  226. 大野木克信

    大野木参考人 一つ申し上げたいのは、日本リースと、それからランディックでございます。この二社につきましては、何回も申し上げておりますけれども、この六月激変以来、非常に資金繰りとか経営危機でどうしても抜本策が必要になっているわけでございますけれども、これを今、例えばランディックを、この今の現時点でいわば会社を放棄した場合、この場合はやはりその関連している子会社が連鎖してだめになるというようなことで、そのトータルのロスというものは、多分私どもがそのまま単純に法的整理するよりも、私ども自身の受ける額は大きくなる。多分エヌイーディーについても同じようなことが言えるのではないかと思います。  そうした全体のいわば処理方向といたしましては、やはりその二社につきましては独立て企業維持が可能になる、そこから先は、この二社が独立て頑張ってバリューを上げていくということの方が全体としてよろしいのではないかというような判断をしたということでございます。  単純に今倒してプロラタしますと、もっと打撃が大きくなるという事実はございます。  以上です。
  227. 木島日出夫

    ○木島委員 長銀公的資金を受けずに、母体行責任を果たして関連ノンバンクを守ろうというならわかるのですよ。何で関連ノンバンクを守るために公的資金の注入を受けるのを是とするのかということなんですよ、私が聞いているのは。今の答弁じゃ全然答えになっていないと思うのです。  これまでに明らかになっておりますが、長銀は、日本リースに千五百九十一億円、日本ランディックに千九百七十三億円、エヌイーディーに千二百五十三億円、合計、何と四千八百十七億円もの巨額の経営支援を、まあ債権放棄という形でしょう、やっているのですね。本体のみずからの経営が、言葉は悪いですが、破綻寸前だというのに、関連ノンバンクだからといって、合わせ一兆円を超える債権放棄、資金援助をする、そんな企業がどこにあるでしょうか。  三社に対する債権回収をなぜきちんと行わないのか、そして放棄なんという道をとろうとするのか、本当の理由を知りたいのですよ。
  228. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  非常に話を簡略化したことで申し上げますと、この六月以降の状況でございますが、この三社は、それ自身、何か抜本的な処置をしないと最悪の事態を迎える、こういう状況になっているということがまず一つ前提にございます。  そして、それをそのまま法的整理に、特に後の二社を持ち込む場合と、それから今回の措置をした場合と、この二つを比べますと、当行に対する打撃も後者の方がより有利であるということも判断できますし、そしてまた、その後者のやり方で、会社が独立てできるようにしていった方が、これからの会社の価値が上がり、そして、結果として、全体の負担と申しますか、そういったものもはるかに、今すぐやるよりはよくなる、そういう可能性が十分にある、こういうことを判断した結果ということでございます。
  229. 木島日出夫

    ○木島委員 今いろいろお話ありましたが、客観的な根拠も全くないわけですね、数字的な根拠もないし。  私、具体的に幾つかお話ししたい、お聞きしたいと思うのです。  最初に、日本リース岡本参考人からお聞きしたいのですが、参考人は有楽町リゾート開発株式会社という会社、御存じですか。日本リースとはどういう関係か。また、有楽町総合開発という会社、御存じですか。日本リースとはどういう間柄の会社なのか、お答えいただきたいと思います。
  230. 岡本弘昭

    岡本参考人 けさほども申し上げましたけれども、和どもバブル崩壊後、債権保全をやっていくために幾つかの別会社をつくって、債権保全、それから債権の流動性確保、場合によっては売却という形での処理をやってまいりました。その中の一つが有楽町リゾート開発でございます。  もう一つ、ちょっと失念しました……(木島委員「有楽町総合開発」と呼ぶ)有楽町総合開発でございますけれども、私ども、先ほど申し上げました売却の一環として、物件を売却した会社でございます。  以上でございます。
  231. 木島日出夫

    ○木島委員 引き続いて岡本参考人にお聞きしますが、日本リースは沖縄県の恩納村というところに大きなリゾートマンションといいますか、それをかつて建築されて、保有され、営業をやっていたということがございますね。
  232. 岡本弘昭

    岡本参考人 お答え申し上げます。  私ども、物件を持っておりました。  以上でございます。
  233. 木島日出夫

    ○木島委員 それじゃ、具体的に言いましょう。  ここに本日付の登記簿謄本を持ってきております。沖縄県国頭部恩納村字山田三四二五番地一二ほかの土地の上に、ホテル、鉄骨鉄筋コンクリートづくりであります。十二階建て、地下一階であります。所有者の欄を見ますと、昭和六十三年六月三十日に所有権保存登記を株式会社日本リースがやっております。そこで聞きますが、ところが、この物件は平成八年二月二十八日に、有楽町リゾート開発株式会社日本リースから所有権移転がされております。御存じですか。
  234. 岡本弘昭

    岡本参考人 承知しております。
  235. 木島日出夫

    ○木島委員 長銀大野木さんに聞きますが、この物件を長銀さんが何と平成十年八月二十七日、四日前、百度額百九十億円で根抵当権設定仮登記をしておるのです。登記簿あります。御存じだったでしょうか。
  236. 大野木克信

    大野木参考人 ちょっと申しわけありません。私のところまでその報告、来ておりませんものですから、失礼します。
  237. 木島日出夫

    ○木島委員 実は、これは沖縄ではちょっと問題になっておりまして、日本リースさん、有楽町リゾート開発株式会社さん、どういう会社であるか、どんな状況になっているか、それはマスコミを通じて知れ渡っております。  しかし、これだけの物件、四日前に長銀が極度額百九十億円の根抵当権の仮登記をつけるような物件ですよ。それが全く無担保であったのですよ。何のことか。今、日本リースに対して長銀は多額の、二千五百億ですか、債権を放棄する、そして国から公的資金の投入を受ける、そんなことが大問題になっているときに一日本リースさんがかつて持っていた、そして関連があるのでしょう、先ほども御答弁なされました有楽町リゾート開発さんが持っていたこの大きなホテルが全く無担保で、沖縄の目の前にあるというので、沖縄では大問題になったのですよ。慌てて四日前に長銀さんがこれに抵当権をつけている、仮登記をつけている。何たることだと思うのですよ。  仮登記をつけたのは、長銀さんは有楽町リゾート開発に少なくとも百九十億円の債権があるからなのでしょう。しかし、突如として、二年間もほったらかしにしておいて、この国会に呼び出される直前になって仮登記するというのは本当に不自然きわまりない。どうですか。どう思いますか。よかったら、示しますよ。
  238. 相沢英之

    相沢委員長 どうぞ、見てください。
  239. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申します。  個別の案件につきましてつまびらかにしないで申しわけございませんが、この物件につきましては、従来は登記留保にしていたのを今回登記したというふうに聞いております。  以上でございます。
  240. 木島日出夫

    ○木島委員 登記留保というのはだれに対する債権ですか。日本リースですか。有楽町リゾートですか。
  241. 大野木克信

    大野木参考人 今おっしゃいましたリゾート開発に対する債権を登記留保していたというふうに今聞いております。
  242. 木島日出夫

    ○木島委員 じゃ、日本リースは、少なくとも建てたときから有楽町に対して所有権移転登記をするまでの間、かなりの期間あるのですね、ほったらかしにしておったと。担保もとらずにほったらかしにしておった、そういうことになりますよ。こんなずさんな経営銀行業、務まるのですか。
  243. 大野木克信

    大野木参考人 済みません。よく調べてお答えしたいと思いますけれども、これは何か日本リースの物件であったのを、活性化するためですか、有楽町リゾートに移して、そのときからうちとの取引が始まったということじゃないかと思います。  いずれにしましても、よく認べて御報告申し上げた方がよろしいかと思いますが、お許しいただければ、そのようにしていただきたいと思います。
  244. 木島日出夫

    ○木島委員 だから、私が言うのは、日本リースに対しては大変な貸付金が長銀はあるのでしょう。回収できないからどんどんと何千億という単位で放棄しているのでしょう、今。また、放棄しようとしているのでしょう。そんな状況長銀日本リースという間柄のときに、沖縄の恩納村にこういう巨大なホテルがあった、日本リースで登記されていた、全く無担保のままずっと放置されていたと。そういう状況であったことは認めますね。  全く管理がずさん。今背任じゃないかという声もありましたが、私、そう思いますよ。もし日本リースと有楽町リゾートが全く別会社関係ない会社だったら、背任になると思いますよ、私。ところが、日本リースと有楽町リゾートというのはもう密接不可分の関係だから、一体のようなものだから、長銀さんが仮登記をとったのでしょう。どうですか、答えてください。
  245. 大野木克信

    大野木参考人 申しわけありません。ここでちょっと事実をしっかりつかまない御回答をしますとまずいと思いますので、もしお許しいただければ詳細を御報告させていただきたいと思います。
  246. 木島日出夫

    ○木島委員 それでは、詳細にこのてんまつを報告していただきたいと思うのです。こんなのが放置されて、かりそめにも長銀責任で担保もとらずに放置されていて、今回日本リースに対する債権を放棄する、だから国の公的資金をちょうだいしたいなんて、そんな理屈は絶対に通らないということを指摘しておいて、ぜひてんまつを当委員会に報告するよう求めます。
  247. 相沢英之

    相沢委員長 後刻、理事会において協議いたします。
  248. 木島日出夫

    ○木島委員 それでは二つ目の物件について、恐縮ですが質問をいたします。  同じく日本リース所有の土地と建物の登記簿謄本、私ここへ持ってきております。写真もつけてきております。東京都港区浜松町一丁目七番四一の十階建てのビルとその敷地であります。担保、どこにも入っておりません。驚くべきことであります。この写真のビルです、半分が日本リースのものですよ。あと半分は全く別会社のものでありますが、所有権者の欄を見ると、所有者は、この建物は地上十階地下二階でありますが、株式会社日本リースであります。もう一つは別会社ですから触れません。  日本リースに対して数千億円の債権があって、これを放棄するなんということをやろうとしている長銀さんがこういうのを放置していいんでしょうか。日本リースさん、わかりますか。
  249. 岡本弘昭

    岡本参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘の物件は、私どもの物件でございます。
  250. 木島日出夫

    ○木島委員 それはわかっているんだよ。だから、無担保なのはなぜかという質問
  251. 岡本弘昭

    岡本参考人 私ども長銀に対する借入金の担保としては、リース債権譲渡でやっております。  以上でございます。
  252. 木島日出夫

    ○木島委員 こんな無担保の大変な不動産をお持ちになっておる。長銀さんは大変な債権者だ。担保をとろうとしないのはなぜですか。  本当に通らないよ、この話。どうぞ答弁してください。なぜこういう物件が担保もとらずに放置されているのですか。それで放棄とは何事かというのですよ。問題あるな。放棄して税金もらうというのでしょう。大問題ですよ。
  253. 大野木克信

    大野木参考人 個別の状況につきましてはちょっとつまびらかにいたしませんので、申しわけないのですが、やはりこれもまたよろしければ、私どもがこれに対してどういう関係にあるかというのは、調べて御報告した方が間違いないかと思います。
  254. 相沢英之

    相沢委員長 調べて報告してください。取り扱いは理事会において相談いたします。
  255. 木島日出夫

    ○木島委員 じゃ、ついでにもう一つだけ問題点、指摘しておきます。  先ほど名前がちょっと出てきましたでしょうか、日本リースの固定された債権の債務者に名前が出てきた日本ビルプロジェクト株式会社関係ですが、ここにあるのが日本ビルプロジェクト株式会社所有の土地建物の登記簿謄本であります。港区芝二丁目三〇一の三の土地七百六十九・八六平米と、そこに立つ十五階建てのビルであります。土地は日本リースが一番抵当をとっているんです。建物は長銀が担当とっているんですよ。しかし、謄本を見ても、競売が申し立てされている様子は全然ないんですわ。こういう権利をきちっと行使しないで、債権放棄だ、公的資金を受けるんだと。私は、本当にこれはモラルハザードきわまれりじゃないか、こんなもの許されるものじゃないと。  この問題については、大野木参考人また岡本参考人、どうしてそんな状況が今生まれているのですか、答えてください。
  256. 大野木克信

    大野木参考人 ちょっとこの点につきましては、申しわけございません、日本リース岡本社長からお答えさせていただきます。
  257. 岡本弘昭

    岡本参考人 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたとおり、私どもとしましては、いろいろな格好で物件の処分というのを逐次やってきております。今先生御指摘の物件につきましても、私どもとしましては、今後検討しております五カ年の経営改善計画の中でやっていくつもりでございます。  以上でございます。
  258. 木島日出夫

    ○木島委員 私は、こういう、長銀関連ノンバンク各社に対して、とるべき担保もとらない、担保回収努力もしない、それを放置して、そしてそのままの状態で住友信託銀行合併交渉に入る。そして、もうこれはとれないんだ、だから債権放棄なんだ、それで自己資本に穴があく、その分は公的資金なんだ、ひとつよろしく、こんな話は常識的に通用する話じゃないでしょう。どうですか。  こういう状況のまま、長銀住友信託銀行さんと合併交渉に入ってきたんですか。ちょっとお聞きしたいんですよ。債権状況、それの不良債権の度合い、そして担保の状況、担保権実行がうまくいくかどうか、回収率どのくらいか、厳密に徹底して調べ上げて、そこで初めて長銀の実際の財産がどのくらいあるかが計算できる。それをもって合併交渉をやるのは当たり前でしょう。どうなんですか。それをやらずに六月の交渉をやった、八月二十一日発表した、信じられないのですよ。どうですか。  もう時間が来たから、意見聞いて終わります。
  259. 大野木克信

    大野木参考人 お答え申し上げます。  やはり私ども日本リース全体の取引が百何十行に及ぶ、こういう中で、現下の状況における日本リースというものをやはり抜本的に再建するということがどうしても必要で、そのための処置を今回のような形で考えさせていただいたわけでございます。  個々のケースについては御指摘のケースもあろうと思いますが、全体のスキームとしては、やはり債権放棄を願う他行さんも結構多いわけでございまして、私どもがああいう形で率先してやるということじゃないと、なかなか全体のスキームが固まらないという会社の申し出がございまして、一応それをベースに今計画を立てているということでございまして、この辺につきまして御理解賜れればと思います。  以上でございます。
  260. 木島日出夫

    ○木島委員 時間が来たから終わりますが、私は、長銀経営が今非常に厳しい状態にある、関連ノンバンク三社の経営が行き詰まってきているという最大の理由は、いずれもバブル時代にこれらの企業が本業から外れて、長銀から巨額の融資を受けて、長銀と一体となって投機的な土地開発業者などに無謀な融資を続ける、またみずからも融資してこれが焦げつく、これが不良債権として固定化されて今日の皆さんの苦しみのもとをつくっていると。そういう状況を放置して、とるべき担保もとらない、そして債権放棄して公的資金の投入を受けるなんということは通らないということを私は申し上げまして、先ほど来報告していただけるということですから、それをお待ちして、またこの問題について引き続き追及したいということを申し述べまして、質問を終わらせていただきます。
  261. 相沢英之

    相沢委員長 次に、浜田健一君。
  262. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 四名の参考人皆さん方には、長時間本当に御苦労さまでございます。朝からいわゆる長銀への公的資金投入についていろいろな経過、かれこれが質問されておられますけれども、やはりどこに真実があるのか、どういうディスクローズが行われなければならないのかということ等が言われているのでございまして、ぜひ率直な御意見といいますか、お話を聞かせていただきたいというふうに思います。  大野木参考人お尋ねいたしますが、マネーセンターバンクの役員として、トップとして、みずからの経営について非常に御苦労されているということは当然のことでございます。三月のいわゆる一千七百六十六億という公的資金の投入、これで国民は、十九行投入したわけでございますが、自己資本比率をしっかりと確立をされて、これで日本の大きな銀行はまた元気を取り戻すのだろうというふうに思っていたら、半年たたないうちにこういう状況が出てきたということにクエスチョンマークがついて、その中身がどうなのかということがこの委員会でもほとんどわからないということの疑問符をずっと引っ張ったままなんですよね。  それで、今度のような公的資金、改めて合併のスキームが決まった後に申請をされるような事態を引き起こされる、こういう事態になるということをいつごろから認識をしておられたのか、その点をまずお聞きしたいと思います。
  263. 大野木克信

    大野木参考人 端的にお答えいたしますと、やはり六月の中旬から後半にかけてでございます。  六月の株価が二百円から五十円の方に下がってまいりました。そのときに、やはり単独でのこの三月、四月、五月と描いていた路線を切りかえるというのが一つと、それからもう一つは、やはり株価が二百円のときと六十円のときと市場の信頼度が私どもも大きく揺らいできたわけで、その私どものそういった評価の変化といったものが、グループ一二社、これはもっと大きな形で受けまして、ここの再生も必至になった、そういったようなもろもろの環境の激変というのがポイントであったと思います。  もちろん、そういったものを受けた遠因につきましては、いろいろまたあるわけでございますけれども、直近に感じた時期というのはその時期でございました。
  264. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 その激変に至った原因はいろいろあると。いろいろあるその原因を言っていただきたいと思います。
  265. 大野木克信

    大野木参考人 基本的には、冒頭に申しました二つの課題 一つは不稼働資産のなるべく前倒しの処置、もう一つはビッグバンに対応する長信銀からの脱皮、この二つでございます。  第一の課題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、一応SEC比率、SECベースの不稼働資産に対して五十数%の引き当て率まで一生懸命やったわけでございますけれども、これは最悪ではないですけれども、相対的に低いポジションにあるということが一つ。  それから、長信銀からの脱皮ということにつきましては、やはり一つの投資銀行的な展開というのが一つのかぎであったわけですけれども、これについて、スイス銀行との提携がようやく緒についたところで、それが実るためには、やはり一年ないし一年半ぐらいの時間がどうしても欲しかった。  それから、そういったことをベースにして、やはり資金調達そのものが、基本的には投資家相手のホールセール的な調達構造でございますものですから、そういう意味では、その三つの点でマーケットの要求というものあるいはアタックを受けやすい、そういうものになっていたということで、それが六月にあらわれたのじゃないかということでございます。  以上でございます。
  266. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 いろいろあるということの一端を述べていただきましたけれども、三月の公的資金の投入を申請されるときに、いわゆる金融危機管理審査委員会、ここの審査基準、当然、申請で出されるわけでございますから、それをクリアする正確な中身をつくってお出しになるということが基本ですよね、お金を貸してくれというのだから。そのときの内容、いろいろな論議の中でいうと、果たしてその内容が、実態が審査をクリアする中身だったのかというような論議も出ているのでございますけれども、いかがでしょうか。
  267. 大野木克信

    大野木参考人 簡単に申し上げますが、審査基準につきまして、審査基準一から二、三、四、五とあったと思います。その一つ一つにつきまして、審査委員会に私ども求められる説明をいたしまして、一つ一つクリアにしていたということでございます。  以上でございます。
  268. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 それと同じような形で、公的資金の投入を受ける金融機関は、今までの論議にありましたとおりに、みずからの経営実態を徹底的にディスクローズしなければならない。これは、日本版ビッグバンがスタートして、いわゆるそれを利用する国民皆さん方にみずからの判断を正確に、各金融機関の中身というのを知ってもらうという基本的な部分を含めて、非常にこれは基本であるというふうに私は思うわけでございますが、そのディスクローズが徹底して行われるということがなければ国民の納得は得られない。当然今回のスキームも了解を得られないというふうに思っているわけでございまして、正確な情報は金融機関だけが持っている、そして公的資金を申請をして、それを審査する行政も政府もほとんど正確な情報を持っていないということになったときに、それを、公的資金を投入するということを決定した政府、行政機関、ここは国民に対して責任のとりょうがないと私は思うのですね。  そういう意味で、このことに関する認識、そしてこれから新しいスキームの中で、いろいろ論議はやっていますけれども合併の方向性がしっかり決まって仮に公的資金を投入されるというときに、委員皆さん方が、自民党の皆さん方を含めて銀行の実態、内容をディスクローズしろという強い要請に対して、どういうふうな方向性、態度をとられようとしておられるのでしょうか。
  269. 大野木克信

    大野木参考人 先生御指摘の御趣旨、まことによく理解できます。  公的資金申請に当たりましては、やはり公的資金審査委員会の要求する内容の公示、その御審査、これにつきましては十分なものを用意していきたいと思いますし、そうしたプロセスを通じて、私どももできるだけディスクローズには心がけていきたい、そういうふうに感じております。  以上でございます。
  270. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 時間がありませんので、あと二点。  長銀の抱えていらっしゃる第二分類の債権にかかわる貸し倒れ引き当て率、これは融資先の経営実態に即したものなのかどうかという疑問点が私はあるのです。先ほど、こういう状況になった原因の中で少し触れられたかのように聞こえましたけれども、その辺はいかがお感じですか。
  271. 大野木克信

    大野木参考人 私ども、第二分類の引き当てにつきましては、会計士協会の実務指針というのがございます。これに従いまして、行内的には何段階かのチェックをし、最終的には公認会計士のチェックを受け、そして実施しているということでございます。  以上でございます。
  272. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 最後に、簿外債務の存在もちまたで言われているようでございますけれども、そのことについてはいかがでしょうか。
  273. 大野木克信

    大野木参考人 簿外債務ということはございません。すべて実質のある会社が、例えば不動産につきましては、その活性化を専門として行うためにつくった会社でございます。  以上でございます。
  274. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 終わります。
  275. 相沢英之

    相沢委員長 次に、中田宏君。
  276. 中田宏

    中田委員 無所属の会の中田宏でございます。  朝から四時間、参考人の皆さんには既にお時間をいただいているわけで、相当お疲れだとは思いますが、これは事国民の税金を使うという大問題でありますので、最後までしっかりと御答弁をいただきたい、こう思います。  まず、今、長銀問題と称されてここに来ていることには、恐らく頭取を初めとしてじくじたる思いがあると思いますけれども、しかし私は、この問題について、恐らく頭取を初めとして長銀の全行員が、本音を言えば何でうちの銀行だけが、こういう思いが恐らくあるというふうに思います。実際問題、私が長銀の友人とこの件について話しても、何で長銀だけがこういう扱いになるのかということについては、非常にその感情というものを表現をしていました。  しかし、一方でみずからの銀行経営の失敗についてはお認めだろうし、そのことについての反省もおありだと思う。そういう意味においては、私もある意味では、長銀の皆さんがなぜ長銀だけがという思いに別の観点から同じでありまして、少なくともこれは、日本の金融業界全体が抱えている体質、そのことが今問われているわけでありますから、ぜひ、そういう意味において、これは、これからの時代日本の金融を本当の意味で再生をさせていくために、私の質疑だけでなく、すべて本当の意味でのディスクローズをしていくという姿勢を持っていただきたいということをまず申し上げておきたいと思います。  では、時間がありませんので、私の場合、簡単にお聞きをしていきますが、最新の決算、三月期の決算でありますけれども、これについて、有価証券報告書を見てみますと、住専関係債権二千三百六十七億円、これを放棄していますよね。放棄していますね。今、うなずいていただいていますが。そして、この二千三百六十七億円の放棄を国税庁は無税償却として認めなかったはずであります。そして、長銀は今、国税庁に対して訴訟を起こしていますね。これは間違いありませんか。
  277. 大野木克信

    大野木参考人 先生御指摘のとおりでございます。
  278. 中田宏

    中田委員 今回、合計で七千五百億円の不良債権処理する計画である。それ相応の放棄をまた山ほど出すわけですけれども、これ国税庁は認めるのですかね。  逆に言うならば、このスキームで長銀が、あるいは政府が強引に進めていくということは、無税償却を基本的に認めることを大蔵省当局と約束ができているということでなければこの計画は立てられないはずだと思いますが、いかがですか。
  279. 大野木克信

    大野木参考人 この三社との債権の放棄でございますが、これは、基本的には、現行の考え方でいきますと、法人税通達をベースにして国税の御当局とこれから御相談していくということになろうかと思います。  そして、私ども考え方としては、通常、きちんとした会社の更生計画というものをベースにして、法人税通達、九−四−二とかいろいろございますけれども、そういったものをベースにお話し合いをしていく、こういうことでございます。  以上でございます。
  280. 中田宏

    中田委員 これは、先ほどから各議員の方々から出ていますように、そもそも債権回収をきちっとできるところから取ろうとしていないわけですよ。むしろ、安易に債権放棄というものを繰り返そうとしているのがはっきりとわかるわけでありまして、あるいは一方で、無税償却認められなければ、また国税庁を訴えるのかといえば、そんな話には多分ならない。これは、しっかりと大蔵サイドとそういった話が、約束ができているに違いないわけであります。  私は、そういうことが前提となって、不透明な中において公的資金が導入されていくということ自体が、これは日本の金融のまたまた信頼度の失墜につながっていくということを指摘をしたいと思うわけであります。  三月の十日に金融危機管理委員会長銀に対して一千三百億円の優先株、そして十二日には四百六十六億円の永久劣後債の引き受けを承認した。それ以降の長銀株価というのは、三月の九日が三百四十三円、十日が三百三十九円、十一日三百二十五円、十二日三百二十一円。どんどんどんどん下がっていくわけですね。やがて、四月の二日には二百円を割り込んでいる。今、五十円。  こんなぐあいになっていくのは、まさに明確なしっかりとした基準がないままに税金がつぎ込まれても、そしてきちっとしたディスクローズがないままに税金がつぎ込まれても、また、債権回収をしっかりとしていく努力がないままに税金をつぎ込んでも、全く金融におけるマーケットからの信頼はあり得ないということをしっかりと株価は証明しているわけでありまして、私は、このことをぜひ皆さんにもう一度考え直していただいて、国民の税金を使ってこれを処理をするということを大見えを切る以上は、徹底的にディスクローズをして、そして債権回収をまずしっかりと、先ほど来指摘あったように、自分たちでちゃんと精査をしてからそのことを言ってもらいたい、このことを指摘をして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。
  281. 相沢英之

    相沢委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  次回は、明九月一日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十五分散会