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山本(有)
委員 公判中でありますから云々はいたしたくありませんが、しかし、背任罪で捕らわれているということは間違いありません。一事が万事という
言葉をかりれば、この方がほかの場面で同様の背任的行為を行ってなかったかなと私
どもは
疑いたくなるわけでございます。
そこで、イ・アイ・イというグループに
長銀は貸付残高、ピーク時で三千八百億円貸しております。そして、系列のノンバンクからの分を含めますと、ピーク時で六千億円でございます。私
どもはこの額に唖然といたしました。そして、この額もやはり
不良債権になっているのかな、きちんと回収してもらいたいな、そうしないと本当に一生懸命働いている
人たちはどう思うのかな、我々はこう思うわけでございます。
特に私が問題にしたいのは、一九八五年から同グループに融資を始めております。そのやり方でございますが、海外リゾート開発計画というプロジェクトファイナンスという
案件で貸し付けを行っております。そのときの担保はリゾート開発の完成物件ということで、実質的にはほとんど無担保で貸しているという事実でございます。我々、
銀行にお金を借りに行きますと、担保を必ず要求されます。何でこのときにきちんとした担保をとっていなかったのか、不思議でなりません。それが私はどうしても言いたい。
それからもう
一つ、この高橋治則さんという人が何で
長銀から多額のお金を借りられたのかということをずっと研究している、そういう報道の方からお伺いいたしますと、杉浦さんという先ほどの元頭取、この方が大変世話になっている
長銀の初代副頭取がいる。それは浜口巌根さんという人であって、その浜口巌根さんのおいになるのが高橋治則だ、こういう事実が明らかになってまいりました。
親戚だから貸すというようなことがもしあるとするならば、我々の
金融システムというのはここでもう既に
破綻しているのではないかなと私は思えてなりません。私
ども庶民がもし金を借りに行ったときには、奥さんを保証人にしてくれ、それ以外にもっと立派な連帯保証人はないかといって、家を建てるときだって、住宅ローンだって言われるのですよ。そのときに、担保がない、そして縁だけで貸してくれる、しかもピーク時に六千億円。私は、これを調べただけで腹が立って腹が立ってしょうがないのです。
ですから、私もそういうことを考えたときに、今まで
金融検査どうなっているんだ、それから日銀の考査どうなっているんだというようなことが、しっかりやってもらわなければ、この
長銀に対して、果たしてモラルハザードという面で、我々は
公的資金を本当に突っ込んでいいのかなということを考えるわけでございます。そのことを
長官にくれぐれも御要請を、お願いをしておく次第でございます。
そしてまた、そこに座っていらっしゃいます
預金保険機構松田昇
理事長、さらに
金融監督庁日野
長官、二人とも検察官の出身でございます。何ゆえ我々与党が検事さんを、東京地検特捜におったり、あるいは高等検察庁におったりした方をそこに据えておるのかという
意味合いは、まさにもう一回
金融業界のモラルをもとに戻す、
日本全体の大きなその使命をお二方は担っているというように
思います。邪悪、不正は徹底的にやるということを、昔の勤め先の法務省、検察庁と一緒になって頑張ってやっていただきたいということを要請しておきます。
次に、私は、そんなことを考えながら
小渕総理大臣に申し上げたい向きがございます。
小渕総理大臣、アメリカで昔、
公的資金を投入するときに、アメリカでもビッグバンがありました、アメリカでも大変な時期がありました、そのときに、社会的影響があれば、大きければとにかく救わなければならぬという考え方があったわけでございます。それをツービッグ・ツーフェールと言うそうでございますが、失業者が多くある、あるいは大企業がつぶれる、だから助けるというようなことであったわけでございますが、だんだんだんだんアメリカではそういう考え方が廃れてきた、こういうわけでございます。
なぜ廃れたかというと、
セーフティーネットがもう既にほかにもある。雇用保険だとかあるいは職業紹介だとか、別な部分でできてきた。さらに、経営者
責任が不明確になってしまう。そしてさらに、いわば混乱の最中、火事場泥棒ではありませんが、借り得をするという変なやからも出てまいります。そしてさらには、大きな会社が倒れるときには、やはりそれに目をつけて集まる、いわばみつに群がるアリのような犯罪者集団が発生してきて、やがては全部の
金融システムを壊してしまう。いわば大きいから、影響がでかいからといって
公的資金を投入してはならぬという考え方になったそうです。
そしてまた、今現在では、一九八四年のコンチネンタル・イリノイ
銀行の倒産以来、モラルハザード、すなわち倫理が欠如した倒産には金を出さないというルールをつくったそうです。しかも、もしお金を出すときには、
公的資金を投入するときにはぴしっとアメリカの大統領が
責任を持って判断する、こういうことになっているようでございます。
私は、そのとおりだと
思います。
金融システムというのは、単に株価が下がる、円安になる、それがひどい、だから
システムが回らないというだけでなくて、
国民全体が勤労意欲を失う。すなわち、モラルが低いところが助けられて、モラルが高い、一生懸命やるところは助けてくれないというようなことになったときの精神的
金融システムの
破綻の方がもっと怖いんだということだろうと
思います。
その
意味におきまして、
総理、八月二十日夜、住友信託の高橋温社長を公邸にお招きになっておられますが、事実上の
合併支援だと報道されておられます。そんなことを考えましたときに、どうかひとつ、このモラルハザードの上に立って御決断いただきたいと思うわけでございますが、
総理のこのときの真意、そして今回の
政治判断ということをお伺い申し上げたいと
思います。