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千葉参考人 参考人の
千葉でございます。
私のスタンスは、
日本環境衛生工業会と申しまして、プラントメーカーの集まりを代表する者であります。ただし、私は技術
委員長をやっておりますので、技術的視点でお話ししたいと思いますが、私の見解、私見を若干述べさせていただきたいと思います。
本案件に係る中でも、今問題になっております
ダイオキシンを
中心にして、我々はどのように取り組んできたかということにつきましては、お手元に配付させていただいておりますものでちょっと御説明いたします。
時系列的に、二ページのところをおあけいただきますと、「
ダイオキシン問題の背景」ということで、これはよくある表でございますが、もう一九七〇年代に
ごみの
焼却炉から
ダイオキシンが検出されているということは、「ケモスファー」等々の文献で業界の方でも知っておりましたし、当然
厚生省及び
環境庁の方でも知っておられたと思います。ただし、どの程度の
毒性かどうかについては、ベトナム戦争でのあの悲劇から始まっての追跡がなされているというのは御案内のとおりでございますが、
ごみから出てくる
ダイオキシンについてどのように取り組むかということは、EC、EUの動き等々のウォッチをしているという段階だったと思います。
日本においては、御案内のように、八三年に
ダイオキシンが
ごみ炉から、フライアッシュのところから検出されたというようなことで、それを踏まえまして、八四年に
厚生省の方で
ダイオキシンの専門家
会議が設置され、その後ずっと今日に至っていると思います。
三ページでございますが、
ダイオキシンのガイドラインは一九九〇年、第一回のガイドラインができまして、その後、昨年、第二回目の新ガイドラインができたということでございます。
プラントメーカーの立場で、それぞれの時点で、単にウォッチするだけじゃなしに、ラポテスト、ベンチテスト、パイロットプラントを建てての実証を含めまして、社会的責任のもとにやってきたという経緯がございます。それぞれの時点で精いっぱいの社会的還元をする、社会資本整備への参画という意味では、実績もあり、それなりの責務を負っていることは重々知っておりまして、今日
ダイオキシン問題がここまでになるというのは、やはり次世代にどの程度
影響を与えるかということが非常に重要視されているという認識もしております。
そういう意味におきまして、時間の
関係で現状につきましては割愛させていただきますが、ペーパーで、一枚物で「次世代型
ごみ焼却炉」、こういうのを挟んでおりますが、これに基づいて御説明いたします。
これは、我々六年ほど前に、
日本環境衛生工業会じゃなしに、
厚生省の財団法人となっています廃棄物研究財団というのがありまして、そこでワーキングを開始し研究してきたという経緯がございます。実際、
委員会活動をしましたのは平成八年からことし、十年、三カ年計画ということで
委員会活動をし、研究してきたということでございます。
これは具体的にどういうことかと申しますと、開発の目標を、表がちょっと見にくくて申しわけございませんが、右の上にございますように、今の
ごみ処理
施設の一番の問題点というのは、やはり排ガス量が多い。余りにも大きい排ガス処理装置をつけざるを得ないというところにあると思います。それをいかにして低減させるかということ。そのためにはガス化燃焼等々の技術を組み込む必要があるのではないか。それは即
ダイオキシン低減につながるということでありまして、空気過剰率を、今は一・八とか九とかあるのですが、それを一・三相当にするということであります。
それから二番目に、埋立地がほとんどなくなってきている、逼迫しているということに絡みまして、安定した
焼却灰まで持ち込むという意味におきまして溶融処理をしようということになりまして、安定、無害化のスラギングをする、いわゆるスラグをつくる。そして、それを循環型社会にふさわしい骨材として、あるいはそれを加工してれんがの
材料、セメントの原料にする等々のリサイクル社会にふさわしい原料づくりをする、あるいは副資材づくりをするというような灰の安定化の問題。
それから三番目にエネルギー。新しいエネルギーをどんどんつくっていくという視点で、次世代型
焼却炉は、ボイラーの高温高圧化あるいはコンパインドシステムの構築ということで、発電効率を高めよう、サーマルリサイクルをアグレッシブにやろう、この三つの視点でガス化燃焼溶融炉を次世代型
ごみ焼却炉と位置づけ、鋭意約二十数社が今現にそれぞれパートナーを見つけて開発している例もありますし、単独で開発している例もありますが、ぼつぼつ実績のある炉が動き出しつつあるということでございます。
これは、何をか言わんや、
ダイオキシン対応を主としたものでございまして、そこにありますように、この一枚物の左側の上の方の表にDXNと書いてあるのは
ダイオキシンの略でございますが、
ダイオキシン類が、ナノ
グラム・TEQ・パー・ノルマル立米というように単位が書いてありますが、排ガス出口、ということは炉出口で〇・二以下にしよう、煙突出口では〇・〇一を目標にしよう、できることならば〇・〇五ぐらいを保証したいなということを目標にして今鋭意各社検討しておりまして、私が知っている範囲でも数社、あるいはもうことしじゅう、また今年度、来年の三月までであれば十社ぐらいが実証が終わるということでございます。右側のNOx、窒素酸化物の除去に関しても、煙突出口では一〇以下に持っていこう、今とは大幅に前進した形になるということでございます。
しかし、この前提となるものは、ここにも書いてありますように、今ある
ごみ質というのは、容器包装リサイクル法は今ちょうどどんどん変わっていって、分別収集が盛んになってきておる段階で、容器包装リサイクル法施行後の分別
ごみを
対象にしていること。右の真ん中ぐらいに書いてあります。それから排ガス条件。そこにありますように、さっきも触れましたような空気過剰率を一・三相当にする。それから、
有害物質の排出は先ほど言いましたようなことになりますし、
あと、灰処理そのものは有効利用できるような形にする。
飛灰についても山元還元できるような形にする。一番大事なことは、イニシアルコスト、ランニングコストを十分コストダウンしまして、コストリダクションを図りまして、現行以下にしょうということを前提にしております。
そんなことで、この新しい炉を早く普及型にして、これだけではございませんが、
一つの試みを現に一社数十億の
お金を出してやっているわけです。
それと、第二点目に、
ダイオキシンだけの問題じゃございませんが、ノット・イン・マイ・バックヤードという言葉がございまして、迷惑
施設という位置づけは決して
ダイオキシンだけじゃなしに、HCIガス等々
ごみから出てくるいろいろな問題、音の問題等々がございまして、今後どういうふうにしていったらいいかという私見をちょっと述べますと、
規制緩和をどんどん進めていこう、昨年来政府でも決定されておられますし、中央集権から
地方分権への移行という意味においても、そういう背景があると思います。
そういう意味において、
環境調和型の町づくり、村づくりをどんどん進めていく必要があるのじゃないか。しかも、高齢者社会への
対応という視点で、これは私の見解ですが、やはり
環境施設と医療福祉
施設とのドッキングを意識的にやって、町のど真ん中でどんどん
ごみ焼却施設、いわゆる
環境施設、エネルギープラントをつくる。水源地、山の方に追いやってかえって
混乱したりあるいは収集費がたくさんかかるという方式じゃなしに、
環境施設と福利厚生
施設、いわゆる老人ホームを含めましたものを意識的に新社会資本整備としてやっていくのがこれからの行き方じゃないか。
それからもう一点。
環境産業をどんどん育成しないと、この不況下に
一つの目玉にすべきだという意味において、静脈産業だけで云々するのじゃなしに、静脈産業にも移行するようなプレ
プロセスとしての、静脈産業プレ
プロセス、インバースマニュファクチャリングという意味での位置づけをやはりしっかりとしてシステムづくりをする。例えば、
焼却灰のスラグをれんがの原料にするとか、そういうことをお願いしたい。
最後に、PFIを、やはりファイナンスを含めまして、リスクテーキングを含めまして、その責任分界点を含めまして、民活をアグレッシブに進めていく必要があるのじゃないかと思います。
以上でございます。(
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