○
斉藤(鉄)
委員 平和・改革の
斉藤鉄夫でございます。
私は、瀬戸内海の海砂利採取の問題について御
質問をさせていただきたいと思います。
この問題につきましては、当
委員会、また予算
委員会でも何度か質疑が行われました。
真鍋長官にぜひこれまでの経緯を知っていただきたいと思いまして、最初に、問題がどこらあたりにあるのかという前口上をちょっと申し上げさせていただきますので、ぜひお聞きいただきたいと思います。
我々の文明は今コンクリートで成り立っているとも言われております。そのコンクリートの中の八五%が砂でございます。
通産省の
調査によりますと、おととし、一九九六年一年間で、コンクリートを打つのに使われた砂の量は一億六千三百六十六万立米。ちょっとぴんとこないわけですが、それを
一つの升に直しますと、一辺五百五十メートルの立方体に入るだけの量、莫大な量でございます。あの後楽園球場の屋根いっぱいに砂を詰めても千杯を軽く超えると言われております。こういう量の砂が一年間にコンクリートとして使われているということでございます。
この砂、いろいろな分け方があるそうですが、大きく分けて、山砂、川砂、そして海砂、山、川、海、こうなるわけですけれ
ども、海砂が約二〇%、三千七百万立米だそうでございます。海砂を使っているのは世界の中でも大変珍しくて、日本が海砂使用量の八割を占めている、ほとんど日本だけが海砂を使っている、こう言ってもいいかと思います。この三千七百万立米のうちの半分以上、六五%が、つまり一年間に二千四百万立米ですが、瀬戸内海の海砂を採取している、こういう
状況でございます。昭和三十年代から経済の高度成長に伴ってコンクリートがどんどん使われる、その骨材に国立公園瀬戸内海の海砂がずっと使われてきたという現状がございます。
こういう中で、国立公園瀬戸内海の
環境に海砂採取が大きな
影響を与えているのではないかという声が上がってきました。
一つは、漁業の方から、明らかに水産漁獲量が減ってきた、これは海砂採取が
影響しているのではないかという声が上がっておりますし、また、ランドサットで瀬戸内海を見ますと、海砂採取による汚濁が明確に宇宙から見ても認識されている。
こういうことで、実は、例えば広島県におきましては、十年前から、もう海砂採取はやめようということで、しかし急にやめるわけにいきませんので、十年計画で、ことしの二月に海砂採取を全面禁止した、こういう
状況になっているわけでございます。しかし、まだほかの
都道府県は毎年今までと同じようにとっている、こういうことで、
環境庁としてもこの問題に取り組むべきではないかということを当
委員会、また予算
委員会で取り上げてまいりました。
六月十五日の予算
委員会で私
質問したのですが、橋本総理から、海砂採取が
環境に
影響があるということがはっきりわかれば、それは国としてきちんと対処します、こういうふうな答弁をいただいたところでございます。科学的にきちんとそういう
評価が出れば、それは国としてもやりますよというのが総理の答弁でございました。
それに時を合わせてというわけじゃないのですが、
環境庁でも、
影響があるのではないかという声を受けて二年前から
調査をされております。その
中間報告がこの六月にちょうど出ました。「瀬戸内海における海砂利採取とその
環境への
影響」中間取りまとめという
報告書でございます。大変うまくまとめてございまして、私も大変勉強になりました。全部読みました。大変勉強になりました。長く書いてあるのですが、ポイントは二つだったと思います。
一つは、海底地形が大きく変化している。これは明確に
データとして示されております。その
データを使って広島大学の
先生が、消えた海底砂丘ということで、コンピューターグラフィックスにされまして、これが以前の瀬戸内海の海底の様子、これが現在の様子。
環境庁の
調査をもとにしてコンピューターグラフィックスをされたわけですけれ
ども、昔豊かに広がっていた海底砂丘が全部なくなっているというのが非常にうまく表現されております。これがこの
報告書のポイントの
一つ。
もう
一つのポイントは、
生態系への
影響。これが非常に大きな問題になるのですが、瀬戸内海の
生態系への
影響については、まだ
調査不足である、今後も
調査をしていきたいというところかと思います。その二つがポイントかと思います。
今現在までの
状況がそういうことでございまして、ぜひ大臣として御認識いただきたいと思います。
そこで、
質問をさせていただきます。
先ほどの、生態
調査、総理大臣の答弁にも、
影響があるということであれば、それは国として対処するということでした。その
影響の最も重要な部分が、瀬戸内海の
生態系にどれだけ
影響があるかというところだと思うのですけれ
ども、中間取りまとめでは、まだ
データ不十分、最終取りまとめに向かって研究をしてまいりますということだったのですが、最終取りまとめに向かっての今後の
予定、それから
生態系の
調査ですが、その予算としてどれだけの予算がつけられているのか、その点をまずお伺いいたします。