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1998-09-25 第143回国会 衆議院 環境委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月二十五日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 北橋 健治君    理事 石原 伸晃君 理事 鈴木 恒夫君    理事 萩山 教嚴君 理事 福永 信彦君    理事 岩國 哲人君 理事 佐藤謙一郎君    理事 田端 正広君 理事 武山百合子君       愛知 和男君    岩下 栄一君       大野 松茂君    桜井 郁三君       戸井田 徹君    村上誠一郎君       山中 貞則君    山本 公一君       小林  守君    山本 孝史君       斉藤 鉄夫君    中村 鋭一君       藤木 洋子君    中川 智子君       武村 正義君  出席国務大臣         国 務 大 臣 真鍋 賢二君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       太田 義武君         環境庁企画調整         局長      岡田 康彦君         環境庁自然保護         局長      丸山 晴男君         環境庁大気保全         局長      廣瀬  省君         環境庁水質保全         局長      遠藤 保雄君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         通商産業省基礎         産業局長    河野 博文君         通商産業省生活         産業局長    近藤 隆彦君         運輸省港湾局長 川嶋 康宏君         運輸省航空局長 岩村  敬君  委員外出席者         環境庁企画調整          局地球環境部長 浜中 裕徳君         環境庁企画調整         局環境保健部長 澤  宏紀君         労働省労働基準         局安全衛生部長 下田 智久君         建設省河川局次         長       吉井 一弥君         環境委員会専門         員       鳥越 善弘君     ————————————— 委員の異動 九月二十五日  辞任         補欠選任   小林  守君     山本 孝史君   前田  正君     斉藤 鉄夫君   土井たか子君     中川 智子君 同日  辞任         補欠選任   山本 孝史君     小林  守君   斉藤 鉄夫君     前田  正君   中川 智子君     土井たか子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  環境保全基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 北橋健治

    北橋委員長 これより会議を開きます。  環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、来る十月二日金曜日、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 北橋健治

    北橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  4. 北橋健治

    北橋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野松茂君。
  5. 大野松茂

    大野(松)委員 おはようございます。自由民主党の大野松茂でございます。早速質問をさせていただきます。  去る九月二十一日に、大阪能勢町のごみ焼却施設豊能美化センターでの超高濃度ダイオキシン汚染厚生省調査で明らかになりまして、マスコミなどに大きく報道され、ダイオキシン対策について、焼却施設周辺住民はもとよりでございますが、国民の間に大きな不安を生じております。ごみ焼却施設湿式排煙処理設備からの過去に例のない事態と受けとめておりますが、対策について何点かお尋ねをいたします。  まず、異常な数値が判明したことから、周辺における土壌調査水質調査徹底健康調査を急ぐべきと思いますが、いかがですか。既に環境庁におかれましては、埼玉県の西部地域大阪能勢町においてダイオキシン類長期暴露影響調査に着手をされておられるはずでございますが、それらに関連してもお尋ねをするところでございます。  次に、調査の結果によっては緊急の対策が必要と思われますが、どのような対策考えておいでになりますか。  また、能勢町と類似開放型冷水塔を有するごみ焼却施設は三十六施設全国にあると言われておりますが、それに対する調査。そしてまた、冷水塔からの排水は初めての事件でございますが、同様に心配される施設はほかに所在しないのかどうか。調査状況対応につきまして、厚生省環境庁から明らかにしていただきたいと思います。お願いいたします。
  6. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  まず、今回汚染が判明いたしました能勢町の豊能環境美化センター周辺環境におけるダイオキシン類調査でございますけれども、これは先生御案内のとおり、既に施設の南側につきましては、詳細な土壌地下水調査実施されております。また、施設の北側につきましては、施設組合土壌等調査実施すべく、調査地点などについて検討中との報告を受けております。環境庁といたしましては、これらの調査に対しまして、必要に応じ技術的助言を行ってきているところでございます。  また、今回高濃度汚染が発見されたということに対しての今後の対策でございますけれども環境庁といたしましては三点ばかりいろいろ考えております。一つは、専門家意見を聞きながら、土壌汚染対策の推進に必要な指針の設定、これを含めて検討を進めておるというところでございます。二点目は、地元において既に着手されております汚染土壌除去などの対策につきまして、厚生省など関係省庁連携いたしまして、汚染拡散防止などの必要な技術的支援、これに努めてまいりたいと思っております。三点目でございますけれども除去、保管された汚染土壌ダイオキシン類を分解除去する技術について、今後技術的な支援、これを検討してまいりたいと思っております。  次に、第二点の先生お尋ね長期暴露につきましては環境保健部長の方から後ほど答弁いたしますけれども類似施設についての調査等をどうするか、点検等をどうするかという点につきましてお答え申し上げたいと思います。  環境庁といたしましては、厚生省調査結果を受けまして、大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の適切な施行という観点から、この豊能郡の焼却施設類似開放型の冷却塔を有する施設、これは厚生省調査によりますと三十六施設ございますけれども、これに対しまして立入検査実施を二十一日付で都道府県、政令市に対して緊急に指示したところでございます。  この立入検査に当たりましては、適切な運転管理が行われていたかどうか、あるいは冷却装置冷却水ミスト等、いわゆる霧等により周辺に飛散していないかなどについて確認を行い、その結果を早急に環境庁報告するよう求めております。  次に、以上のほか、湿式排ガス処理設備を有する点で類似性を有する他のごみ処理施設でございますけれどもさきに述べました三十六施設調査結果を踏まえつつ、厚生省連携しまして、まずは施設の構造あるいは運転状況などの実情の把握に努めてまいりたいと思います。その上で、所要の調査実施をその後検討してまいりたい、こう考えております。
  7. 廣瀬省

    廣瀬(省)政府委員 先生から御質問されました長期大気暴露影響調査ということでございますが、環境庁では、能勢町と所沢周辺対象としてダイオキシン類長期暴露健康影響調査を行いたいというふうに考えておりまして、その準備をしております。  この準備に当たっては、大阪府と能勢町、関係市町村連携をとりながらと考えております。調査方法についてでございますが、廃棄物焼却場周辺地区住民等の血液及び食事調査大気土壌等環境要因測定調査環境要因によるダイオキシン類暴露量と人への蓄積量との関係の分析、評価等実施する予定にしております。そして、これには医師を含む十七名の専門家検討会を設けておりまして、この人たち評価指示を受けながら仕事をしてまいりたいというふうに思っていまして、九月末に開始する予定でございます。  こういうことで、この調査結果を踏まえて、厚生省地元自治体連携をとりながら適切な対応をとってまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。
  8. 大野松茂

    大野(松)委員 それぞれ手早い対応が肝要と思っておりますが、こうした新しい事態でもございますし、今後の取り組みにつきまして、環境庁長官としてのお立場で大臣の御決意を承りたいと存じます。
  9. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 先生指摘大阪能勢町のダイオキシン汚染に関しましては、環境庁としても重大な関心を持っておるところであります。それがためにということで、ただいまも答弁申し上げましたように、指示をいたしましてその原因究明に努めておるところでありますが、類似施設の三十六カ所につきましても、早急にこの調査を行ってその対応を急がなければならないと思っておるわけであります。  いずれにいたしましても、適時適切にこの問題処理に当たっていく決意でございますので、今後ともよろしくお願いをいたす次第であります。
  10. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 厚生省に対するお尋ねがございましたので、私の方からお答えを申し上げます。  今回ダイオキシン類が高濃度に検出されました場所というのは、施設のごく直近の周辺でございますので、周辺土壌濃度というふうなものから考えまして、住民への影響が直接的にあるというふうにはなかなか考えにくいわけでございます。しかしながら、地元自治体が中心となりまして、周辺住民の血中ダイオキシン濃度等健康調査を緊急に行うというふうに聞いております。  血中ダイオキシン濃度測定方法につきましては、まだ従来標準化された方法がございませんでしたが、厚生科学研究におきまして標準的な方法につきまして統一をしつつあります。そういった統一された測定方法測定をいたしませんと比較検討ができないわけでございますが、私ども、そういった技術的な支援というようなことにつきましては十分行ってまいりたいと考えております。  また、類似施設お尋ねでございますが、先ほど環境庁からも答弁がございましたように、いわゆる豊能美化センターと同様に開放型の冷水塔を有します施設、三十六施設を今のところ私ども把握をいたしておりますが、既に関係都道府県に対しまして、湿式洗煙塔冷却部を循環する冷却水及び施設敷地内の土壌調査いたしまして、その調査結果を取りまとめの上報告するように指示したところでございます。  この調査の結果によりまして、何らかの措置を講ずるべきであると判断される場合には、密閉型の間接冷却装置への変更等設備の改善、あるいはフィルター等を設置いたしまして、冷却水中のダストの除去等対策につきまして、国としての技術的な支援等を行って、早急な対応を図ってまいりたいと考えております。  また、湿式洗煙装置を有します施設は、今申しました三十六施設を含めまして約二百施設あるというふうに見込まれております。これらにつきましても、湿式洗煙装置及び洗煙排水処理装置やその中の冷却水状況点検、あるいは、洗煙排水予定されていない経路を通って環境中に放出されていないかといった確認を行うこと等によりまして適正な排水処理徹底を図りますよう、都道府県を通じまして廃棄物焼却施設設置者に指導していただくように指示したところでございます。  今後、これら全体の調査結果を踏まえまして、新たに判明いたしました排出経路につきましては、何らかの新たな規制が必要かどうか、あるいはガイドラインに追加をする必要があるかどうかということは、これらの調査結果全体を踏まえまして適宜対処してまいりたいと考えております。
  11. 大野松茂

    大野(松)委員 それぞれ所管のお立場で万全を期していただきたいと思うわけでございます。特に、今回の事件そのものが今まで想定されなかった施設から発生いたしましただけに、周辺住民はもとよりでございますが、こうした施設を持っている周辺住民の不安も非常に大きいと思いますので、環境庁厚生省、特に連携をとり合いながら万全を期していただきたいと強くお願いする次第でございます。  次に、PRTRについて、その制度化を急ぐべきという立場の中で何点か質問をさせていただきます。  PRTRは、環境汚染のおそれのある有害な化学物質環境中への排出量と、廃棄物としての移動量に関するデータの目録という意味だそうでございまして、環境汚染物質排出移動登録、このようにも言われているところでございますが、今後の環境保全施策を推進する上で重要な手段である、私はこう認識をいたしております。  申し上げるまでもなく、私たちの周囲にはたくさんの化学物質が存在いたしておりまして、日常生活に欠くことのできないものになっております。しかし、この有用なはずの化学物質環境汚染を引き起こしまして、身近な動植物の生態系を破壊したり、さらには人間に対しましても重大な影響のおそれのあることは、三十五年ほど前に「沈黙の春」という書物で警告をされました。そのころ我が国では、メチル水銀によるところの環境汚染原因の水俣病などの深刻な公害事件発生をいたしました。ただいまのダイオキシン問題にもかかわることでございますが、さきには「奪われし未来」の書物におきましても、環境ホルモンという新しい問題も深刻な事態として提起されたところでもございます。  今化学物質に対する不安が大変募っております。不安を解消するための取り組みとしてこのPRTR制度があると承知をいたしておりますが、これは行政が、幅広い排出源について、有害な化学物質環境への排出量把握して、それを広く国民情報として公開するものでございます。これまでよくわからなかった有害な化学物質環境への排出状況を明らかにする手法としてPRTR制度が必要とされるわけでございますが、ただ、このPRTRによって排出量だけが示されるといたしますと、国民はそれが安全なものなのか、あるいは危険なものなのかわからないだけに不安になるという面も実は多分に危惧されるわけであります。  そこで、まずお聞きいたしたいことは、PRTR制度化によって、排出量情報だけではなく、それが安全なのか危険なのかわかるように化学物質有害性程度などについて情報公開をすべきと思いますが、この点についてのお考えをお示しいただきたいと思います。
  12. 澤宏紀

    澤説明員 化学物質につきましての情報公開についてでございます。  PRTR制度化に当たっては、PRTRによって把握できる排出量情報公表するとともに、化学物質有害性などの情報も提供しつつ、国民が安心できるよう説明していくことが重要であると認識しております。  パイロット事業におきましても、対象化学物質についての排出量情報に加え、物質性状毒性等に関する情報をあわせて公表してきたところでございます。  パイロット事業に対する国民意見、あるいは中央環境審議会においても、このような形での情報提供重要性指摘されておりまして、そのような御議論も踏まえながらPRTR制度化について検討してまいりたいと思っております。
  13. 大野松茂

    大野(松)委員 情報公開ということは、特にこのPRTR制度化する上でも最も大切な精神だと思いますので、まずしっかりとこの点を確認申し上げる次第でございます。  次に、環境庁は、OECDPRTR制度導入の勧告、平成八年でございましたが、それ以降我が国としての取り組みを本格化されております。昨年度は、一部の県でパイロット事業として施行されました。その成果制度に生かすという姿勢はまことに結構なことでございまして、評価するわけでございますが、このパイロット事業成果はどのようなものであったか、これから多分これを生かすことだろうと思いますが、お聞きをいたします。
  14. 澤宏紀

    澤説明員 環境庁では、我が国へのPRTR導入を目指しまして、平成九年六月から神奈川県の川崎市、湘南地域及び愛知県の西三河地域パイロット事業実施し、国民意見聴取ども行ってきたところでございます。その成果は、本年九月にPRTR技術検討会パイロット事業評価報告書としてまとめられたところでございます。  この事業を通じてPRTRに対する国民事業者理解が深まるとともに、PRTR実施に必要な技術的な事項検討も進んだことにより、今後のPRTR制度化に向けて重要な基盤となるものと認識しております。
  15. 大野松茂

    大野(松)委員 今化学物質の数は地球上で十万種以上、こう言われております。我が国におきましては、毎年三百種類ぐらい新しい化学物質が市場に投入されているとも言われております。化学物質は、毒性爆発性など、人体や環境に悪い影響を与える危険、有害性を持つものもございます。それをきちんと管理しなかったために健康や環境が破壊されてきたことも事実でございます。  ダイオキシン環境ホルモンへの不安が高まっておりますが、ごく微量でも深刻な影響が生じております。その危険性を回避していく上で、とりあえず全体の排出量を抑えること、化学物質の動きをうまく管理していくことも重要なことであると思っております。  今回のパイロット事業の経緯を踏まえまして、基本的な点について何点かお尋ねしたいと思いますが、PRTR制度を進めるに当たりまして、対象範囲あるいは報告の義務づけ、公表の仕方などが重要なポイントになるものと思っております。  まず、対象をどこまで広げるか。化学物質範囲パイロット事業では百七十八種類としておりますが、この範囲事業所規模範囲について。また、正直者が不利益をこうむらないような報告の義務づけの仕組み。事業者理解協力が得られる公表の仕方、これはそのまま住民理解にもつながることと思っておりますが、こうした三つの点につきまして、それぞれ大事な要件になると思っております。これらについて、どのようなお考えをお持ちか、お示しをいただきたいと思います。
  16. 澤宏紀

    澤説明員 まず、対象化学物質、また対象事業所についてでございますが、パイロット事業におきまして、有害性及び暴露程度等を勘案いたしまして、幅広く対象化学物質を選定し、百七十八物質対象としたところでございます。  また、パイロット事業におきましては、業種別一定従業員規模以上の事業所対象とした結果、約千八百の事業所対象となり、対象化学物質排出する事業所を広く捕捉することができたと考えております。  そのようなパイロット事業の実績も踏まえながら、制度化について検討してまいりたいと思っております。  次に、事業所からの報告を義務づけることについてでございますが、PRTRを統一的な方法実施し、信頼性の高いデータを得るためにも、また事業者間の公平性を確保するためにも、一定規模以上の事業所には報告を義務づけることが必要であると考えております。  こうした考え方に基づきまして、中央環境審議会において進められている審議を踏まえ、制度化について検討してまいりたいと思っております。  次に、公表方法について、事業者協力が得られるような方法ということについてでございますが、PRTRデータ公表方法は、PRTR実施の趣旨、目的に照らして重要な要素であると考えております。  中央環境審議会において進められているPRTR法制化に関する審議を踏まえて、最も適切なデータ公表方法を見きわめてまいりたいと思っております。
  17. 大野松茂

    大野(松)委員 例えば化学物質範囲一つをとりましても、幅広い化学物質対象にしてスタートするということも大事であると思いますし、それに並行してリスク評価を進めて、結果が明らかになれば順次対策を見直す柔軟な姿勢、これも大事な要件になろうと思います。ぜひ、これらにつきましても、あらかじめの御配慮をお願いしたいと思います。  PRTRにとって、大規模事業所あるいは工場等排出源把握するだけでは十分ではございません。中小企業家庭、あるいは自動車、農地におけるところの環境への排出につきましても、推計をきちっと行うことによって、有害な化学物質排出状況を包括的に把握できるようにすることが重要と考えております。これらの部門につきましては、いかがなんですか。
  18. 澤宏紀

    澤説明員 大規模事業所以外から環境排出される化学物質推計についてでありますけれども、有害な化学物質は、化学工業などの大規模工場のみならず、中小事業所家庭、交通、農地などからも環境中に排出されておりますので、それらを含めて、環境への排出源排出量を包括的に把握することが重要と認識しております。  このような観点から、パイロット事業におきましては、これらの多様な発生源からの排出量について、これまでの各種の調査結果、既存の統計資料等を用いて推計実施したところでございます。  パイロット事業に対する国民意見、あるいは中央環境審議会においても御指摘のような意見が出されており、そのような議論を踏まえながら、制度化について検討してまいりたいと思っております。
  19. 大野松茂

    大野(松)委員 こうしたパイロット事業取り組みというもの、非常に大事なことでございます。  また、通産省においても、このPRTRについて検討を重ねてこられまして、昨年から化学品審議会でこの問題を審議され、中間報告をまとめられたと仄聞いたしております。この取り組み、その内容につきまして、お示しをいただきたいと思います。
  20. 河野博文

    河野政府委員 お答え申し上げます。  私ども通産省化学品審議会におきましては、昨年の九月から計十三回にわたって、化学物質の管理問題についての審議をお願いしてまいりました。そして、御指摘のとおり、ことしの九月八日に、事業者化学物質管理の促進のための体制整備について、これから御紹介させていただきます三点を柱とする中間報告を取りまとめていただいたところでございます。  第一番目でございますが、今御指摘PRTR関連でございまして、情報開示の点も含めまして、有害性に関しまして、科学的な根拠に基づいて選定された特定化学物質排出あるいは移動量につきまして国に届け出を行うPRTR制度法制化を速やかに行うということでございます。  第二番目には、いわゆるMSDSということでございますけれども、これは特定化学物質を供給する際に、そうした物質有害性などの性状あるいは取り扱い上の注意事項などに関します、安全性データシートと呼んでおりますが、そのデータシートを利用するあるいは使用する事業者に提供することを義務化するということでございます。  そして第三番目には、これも御指摘がありました、化学物質有害性などに関します情報を収集あるいはデータベース化いたしまして、国民の皆様やあるいは事業者に提供するなど、これはPRTRあるいはMSDSを円滑に実施していくための基盤を整備することということでございます。  この中間報告を受けまして、私どもといたしましても関係省庁との意見調整を図りまして、できるだけ速やかに実現をしていきたいなというふうに考えているところでございます。
  21. 大野松茂

    大野(松)委員 環境庁でのパイロット事業としての取り組み、そしてまた通産省における化学品審議会での取り組み、それぞれの内容はすばらしいものでありますし、通産省は、このMSDSデータシートに対するところの新しい提起もされているわけでございますが、それぞれこれからの取り組みに大きく期待を申し上げる次第でございます。  先般、九月九日から東京都内で、環境庁が招致をして、OECD主催PRTRに関する国際会議が開催されました。この会議においてどのような成果が得られましたのか、また、その成果をこれからのPRTR制度に生かしていかれるのか、お尋ねをいたします。     〔委員長退席、佐藤(謙)委員長代理着席〕
  22. 澤宏紀

    澤説明員 PRTRに関するOECD国際会議成果についてでございますが、この国際会議は内外から約百五十名の参加者を得ました。既に各国で導入されたPRTR制度や各国の取り組み状況についての報告がなされるとともに、環境政策の手段としてのPRTRの役割の重要性や今後の方向性について活発な議論が行われました。  会議では、環境保全手段としてのPRTRの価値及び環境汚染物質の負荷量を把握できるPRTRの有用性などが確認され、今後の各国における取り組みの強化及び国際協力の進展を求めた宣言が採択されました。また、我が国取り組みとして先ほど御説明申し上げましたパイロット事業成果報告し、高い評価を受けました。  このような会議成果を踏まえまして、環境保全施策としてのPRTR導入により積極的に取り組んでいきたいと思っております。     〔佐藤(謙)委員長代理退席、委員長着席〕
  23. 大野松茂

    大野(松)委員 こうした国の取り組み、これらに先駆ける形でもございますが、既に先進的な地方公共団体、私の埼玉県もその一つでございますが、化学物質環境安全指針、これを策定いたしまして、運用して、成果を上げているところもございます。地方自治体との連携もこれら制度化に当たりましては十分図っていただきたい、こう思います。  それと、過去にもこういうことがございましたが、環境アセス法あるいは省エネ法などにつきまして、国民の目から見ますと、通産省環境庁があたかも対立をしているのではないか、このようにとられかねない声もたびたびございます。PRTRについて、もう既に一部のマスコミがこのような報じ方をしているところもあるわけでございますが、国民の声を十分取り入れて、そしてお互いの検討成果をじっくり話し合っていくことが制度化の上では大事なことだと私は思います。  アメリカやイギリス、オランダ、カナダなど、これらの国々では既に制度化をしておりますが、我が国はこれまで環境保全行政で果たしてきた世界の先導的役割、我が国は果たしてきたはずでございますが、この世界の先導的役割にふさわしい水準の高いPRTR制度にしていただきたいと心から念じているところでございます。  ただいままでそれぞれのお立場からの答弁をいただいたところでございますが、改めて大臣の御決意を承りたいと存じます。
  24. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 PRTR国民に不安を与えている有害な化学物質問題に取り組む上で極めて有効な環境保全上の手段であると認識をいたしております。  御指摘のように、我が国としては世界に誇ることのできる制度としたいと考えており、先般東京において開催したPRTRに関するOECD国際会議成果を踏まえて検討していきたいと考えておる次第であります。  そして、今先生の御指摘にありました通産省関係省庁との十分な協議でございますけれども、やはり私は、各省にまたがる審議会の答申のあり方にも問題があるように思えてならないわけであります。  化学品審議会において、通産省はその答申を踏まえての論議を進めておるところでありますし、また環境庁としても中央環境審議会の答申を待ってということで、そこに若干の時間的差異があるわけであります。その差異を両省間で話し合いをした上で立派な法制度にしていかなければならないということで、環境庁長官としましても、その話し合いの場を何度も何度も持つようにして、法制化の上において、日本が環境行政の上で指導的役割を果たせるようにしていきたいと思っておるところであります。
  25. 大野松茂

    大野(松)委員 ぜひそのようなお取り組みをお願いいたします。  私、今PRTRについてお尋ねをしてきたわけでございますが、PRTRといいましても何をPRするのか、実はこのように聞かれることもしばしばありまして、まことに難し過ぎる言葉でもございます。最近は環境ホルモンにつきましても、内分泌撹乱物質環境ホルモンというのだということで、これも難し過ぎるということもあるのですが、まさに新しい時代だけにこんな難しい言葉がしばしば出てくるのだろうと思います。  このPRTR環境汚染物質排出移動登録、これが直訳でありまして、やはり一番英語の言葉に当たっているのだろうと思いますが、まことにわかりにくいわけであります。大臣にお尋ねするのはいかがかと思いますが、こういう制度を本当に定着していくためには、もっとわかりやすい名称にしていくことも制度化の中では大事なことだろうと思います。  この点につきまして、これから制度検討される上でぜひ御配慮をいただきますように、質問をした立場で要望を申し上げる次第でございます。  それと、答弁をお願いするのは時間の都合でいかがかと思いますが、一言、特に大臣に御要望申し上げたいことがございます。  それは地球温暖化対策に関連してなんですが、この地球温暖化対策の中で、緑の育成、保全、これによりますところの二酸化炭素吸収対策の推進が大きな柱となっております。植林等を含めまして、これらの積極的な対応を求めているわけでございますが、近年、首都圏また都市部の緑、殊に屋敷林であるとか平地林などの固有の風景が猛烈な勢いで実はなくなっております。武蔵野原風景としての雑木林、実はことしは国木田独歩の「武蔵野」の出版百年の記念の年でございますが、このうたいとげられました武蔵野も、このままでいきますと、もう時間の問題で消えていこうとしております。保全のためには相続税あるいは固定資産税などについての特別の措置を緊急に講ずる必要があるのではないかと強く感じているところでございます。  私どもの埼玉県下におきましてはこれが大きな住民運動になりつつありまして、所沢を中心とした産廃の処理施設が貴重な緑を破壊して、奪われているということもあるわけでございますが、今、埼玉県内の市町村議会でこの保全策についての意見書、決議が実は相次いでおります。  緑の保全、かけがえのない自然を守り、そして次の時代に引き継ぐためにも、環境にかかわる環境庁長官という立場で格別の御理解と御尽力をいただいて、これらを次の時代にしっかりと伝えることができますように、格段の御尽力を重ねて強く要望させていただくところでございます。御答弁はいかがかと思いますが、強く御要望申し上げる次第でございます。
  26. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 先生指摘のように、我々の世代で環境破壊を子孫に残すわけにはいかないわけであります。  先般もアジア・太平洋環境会議が仙台で開催されました。仙台に参りましたら、きれいな森や、また森林が保全されておるわけでありまして、大変心強く思ったわけでありますけれども、その原因は何かと市長さん初め皆さんに伺いましたら、やはり先人と申しましょうか、先代の方々が立派な森林を保全していただいたおかげだと。伊達藩の当時は、武家屋敷の中に必ず樹木を植えることという義務化をしたようでございまして、その恩恵が今日でも生かされておるのじゃないかと思ったわけでありまして、我々もそのような点に思いをいたしながら森林保全に努めていかなければならないと思っておるところであります。  また、先生、武蔵野のすばらしい景観を残したいということであります。私も同感でございまして、残せる方法がどういうところにあるか、それを十分究明しながら処理に当たってまいりたいと思っておるところであります。  それから、先ほど、PRTRの名前がどうも呼びにくいではないかというようなことでございました。私も同感でございます。長官に就任してから、PRTRなんというのはどうもわかりにくいではないか、昔のPTAならわかるけれども、そのぐらいのわかりやすい言葉に、なじんでいただく言葉にしていくように努力しようではないかということを申し合わせたわけであります。  今後いい命名をして国民に親しまれる環境行政にしてまいりたいと思いますので、どうぞ今後とも御提言方よろしくお願いいたす次第であります。
  27. 大野松茂

    大野(松)委員 大変力強い御決意をお披瀝いただきましてありがとうございました。くれぐれもよろしくお願いいたします。  これで質問を終わります。
  28. 北橋健治

  29. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 それでは、これから藤前干潟とそれから吉野川第十堰の問題につきまして御質問をさせていただこうと思いますが、その前に、環境全体の問題として、真鍋長官に二、三御質問させていただきます。  私は、参議院時代に同じ党にいて、大変真鍋長官の温厚なお人柄、政策に対するいろいろな御指導をいただいたわけでありますけれども、今度の組閣に当たってマスコミの寸評の中に、長官は、温厚だけではなくて、思い込んだらいちずだ、碁もけんか碁、そういう評が出ておりました。勝負事は何事にも強い。実は今の環境庁長官にぴったりな資質をお持ちなんだなと私も大変期待をするところであります。まさに改革の先頭に立つ庁として環境庁があって、そのトップに座られた。  例えば、原子力発電を単なるクリーンエネルギーとはみなさないという主張等々、信念に基づいたそうした御発言に私も心から敬意を表するところであります。環境庁長官がここのところいろいろな場面でお話しされている中で、例えば、戦後の経済復興と高度経済成長の時代には生産者の立場から考えてきたが、日本の国として余裕が出てきた今は消費者の立場に立って考えないといけない、アジアの国々からはリーダーシップを求められているという発言ですとか、あるいは、高度経済成長期が終わり持続可能な開発のあり方について日本がリーダーシップをとる時期に来ている、干潟の保護の重要性は認識しており藤前干潟に関しても厳正な措置をとりたい等々、御主張を重ねておられます。  まず、改革、変革に対する非常に強い意思が感じられますけれども、その意思はどこから来ておられるのか、その辺からお聞きしたいと思います。
  30. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 佐藤先生にもいろいろと御指摘やまた御指導をいただいておるところでありますけれども、私自身のことになりますと、どういうところからその変革や改革の意思決定がなされておるかということについての事柄は十分わからないわけであります。  自分なりに考えてみますると、これは私的なことで大変恐縮でございますけれども、父親が早く戦死した関係で、やはり独立独歩の道を歩まなければならないような教育を受けた関係でこういうふうな性格になってきたのではないかと思っております。決していい性格とは思いませんけれども、しかしながらやはり事に処していく場合には右左をしっかり把握して判断をせなければならないわけでありまして、その決断が今日の私をしてそういう性格ならしめたのかな、こういう気持ちでございます。  いずれにいたしましても、多くの皆さん方の御指導をいただきながら、環境行政の間違いのなさをしっかり把握していかなければならないと思っておるわけでありまして、今日まで環境庁はある意味では調整省庁だというようなことでいろいろなことが指摘されたわけでありますけれども、やはり調整省庁の域を脱していかなければならないのではないだろうか、やはり事業官庁としての任務も多々あるわけでありますから、それらの問題について処していかなければ真の環境行政というのは生まれてこないのではないだろうか、こんな思いをいたしておるところであります。
  31. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 調整省庁を脱してと、そういうお話でありましたけれども、私は改革、変革の意思を長官から感じ取ってまいりましたのは、改革というのは違う立場を気遣う心からスタートするのだろうと思うのですね。  先ほど、生産者と消費者、そういう物の言い方もありましたが、例えば高度経済成長、企業の発展とそして一方でその企業の横に住んでいる住民のリスク、これはPRTRですとかEPCRAの発想につながっていくわけですけれども、時代の流れとともに違う立場を、多様な違う価値観をなるべく認め合う社会をつくっていくところから改革というのが進められる、まさに環境庁というのはそれを率先して行う役所なんだろうというふうに僕は考えております。  多様性がキーワードだ。ということになりますと、ここでちょっと我田引水ですけれども、常に代替案とか代償措置というものに目を開いて多様な発想の中から一つの結論を導き出していく、そういう手法を環境庁は常に求めていかなければいけないだろうと思うわけです。  私も、環境影響評価法案のときにいろいろな議論を闘わした。例えば、シアトルで橋梁を一つつくるときに実は十九の代替案があったという話を聞きますと、なるほど、そういう中で国民と一緒に物を決めていく、その手法そのものを環境庁が他省庁に発信をしていく、そういうことが必要なんだろう。  残念ながら今の中央官庁には無謬神話というのがあって、例えばこの間ダイオキシンの話を厚生省の方に伺いましたら、まさに大阪能勢町の問題でありましたけれども、これはもう能勢町だけの問題なんだ、よそはもう絶対そんな高濃度ダイオキシンが出るなんということはあり得ないというところから論じていかれる。そうじゃなくて、ひょっとしたらほかにも同じような危険があるのではないかというところからスタートしていれば、もっと県民、国民の信頼が後々に得られる、そういう態度がとれるのではないかなと思うのだけれども、無謬性に寄りかかってしまう。あるいは、吉野川第十堰の問題で徳島県の幹部にお目にかかりました。県民はまだそこまで成熟していないよ、統治責任を市民運動は持っていないじゃないかという言い方の中に、何とも行政の傲慢さを感じてならないわけであります。  そうした中で、環境アセスでは十分代替案の発想というのが盛り込めなかった悔しさがあるわけですけれども、こうした幾つもの立場を超えてそうした考え方をフェアに扱える社会をつくることがまさに環境のテーマなんだろうというふうに考えておりますけれども、その点について長官のお考えをお聞かせください。
  32. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 まさに環境行政は多岐にわたっておるわけでありまして、一つ一つの問題でもって方程式ができ上がるわけではないと思っておるわけであります。ですから、私も、先生から御指摘いただいたように、いろいろな問題が起こったときにその問題に対して即決できる態勢を常にとっておかなければならないと思っておるわけであります。  例えば能勢町の問題にいたしましても、やはりそういうダイオキシン等の汚染物質が出るという認識というものが少なかったのではないだろうかと思っておるわけでありまして、噴射水でもってどういう化学的反応が起こるのだろうかというふうなところにまで思いをいたして事の処理に当たっていかなければならない、こう思っておるところであります。  ですから、私自身といたしましては、能勢町の問題につきまして、ある意味では、同じような反応が出てほしくないということを神に祈るような気持ちで調査の結果も待っておりますというようなことを申し上げたわけでありますけれども、やはりそういうような気持ちでもっていろいろな面に対処していく必要があるのじゃないかと思っております。  先ほど来、吉野川の問題につきましても御指摘があったわけでありますけれども、やはり一問題というのでなくして、それが関連性を持った問題であって、その問題に対処するにはいろいろな方程式をつくって対応していかなきゃならないんじゃないかと思っておる次第であります。
  33. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 どうもありがとうございます。  次に、そうした長官の思いをベースに、藤前干潟のことについてお話しいただきたいと思うのですが、この問題がはらんでいる一つのテーマに、国際的な取り決めと地方自治という問題。国際的な取り決めというのは、つまり国際的な約束や責任、例えば、ラムサール条約ですとか渡り鳥に関する二国間条約とか生物多様性条約とかそういったものと、地域の安全や快適な暮らしという地方自治体が抱えている柱になる問題、その二つの問題をどう一つにしていくかという非常に難しい問題をはらんでいる。  そういう意味では、COP3の問題とこの藤前干潟というのは同質の問題を内包しているんじゃないか。地球温暖化の問題もやはり地方自治体や地域に暮らす人々にグローバルな視点に立ってどう問題意識を持っていただけるかという問題でしょうし、そうしてみると、中央が地方の苦しみを知ると同時に、やはりグローバルな問題意識をどう地域に持っていただけるかということが非常に大きなテーマなんだろう。だからこそ、地球温暖化のこの間の法律に、私どもが市町村の義務化にこだわったのも実はそこなんだろうと思うわけです。藤前干潟の問題は、まさにそうした環境庁姿勢が大きく問われる、そういうテーマなんだろうと思います。  残念ながら、去年諌早湾の干潟の埋立事業を食いとめることはとりあえずはできなかったわけで、それを国民から大変大きな批判を浴びて、改めて今環境庁の存在価値が問われているわけであります。アセス法案、温暖化の法案、そしてまたPRTRでも、通産省の方が先にこの臨時国会でというように先行した姿勢示していて、どうもここのところ及び腰環境庁と言われている環境庁にとって、まさに長官の登場とともに、この藤前干潟というのは非常に大きなリーダーシップが問われているというふうに思われます。  長官は、例えば名古屋市や愛知県と一緒に、法的には事前協議も可能だという認識を示しておられたり、かなり前向きな姿勢を随所でお示しになっておられるわけであります。先ほどの代替地、あるいは人工干潟を含めた代償措置について、いろいろな御意見もあろうと思いますけれども、藤前干潟に対する環境庁長官としての決意をお述べいただければと思います。
  34. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 藤前干潟の問題につきましては、私が長官に就任する以前から問題になっておったわけであります。ここ六、七年間の論議を踏まえて今日を迎えておるわけでありまして、その六、七年間の間に先人がどういうような意見を出したのだろうかといろいろひもといておるところであります。  しかしながら、この継続性からいって、その意思を大きく転換するわけにはいかないと私は思っておるところであります。白地に絵をかくならば、私としてはもっともっと大胆な絵もかけるのかと思うわけでありますけれども、今日までとってきた皆様方の労苦を思うとそうもいかない、そうすると、おのずから一つの認識というものが先人の皆さん方の意によってなされていくんじゃないかなと思っておるところであります。  そこで、私は藤前干潟について思うわけでありますけれども、グローバルな立場に立って物を考えるということになると、その干潟の重要性というものを世界的にどういうふうにとらえておるのだろうかというところまでさかのぼらなければならないと思うわけでありますけれども、なかなかそこまでさかのぼることが不可能であるわけであります。いずれにいたしましても、日本の藤前干潟というのが世界的に見た場合に必要欠くべからざるものであるというならば、そのような意思に従ってその問題の解決に当たっていかなければならないんじゃないかと思っておるわけであります。  ですから、私自身は、前長官が県と市と国との三者会議をもう少し開いて、そして意見の集約を図っていくべきだというような意見であったということでありますけれども、その必要性、重要性というものはよく理解しておるところでありまして、できることならそういう段階までいってもらいたいなと思っておるわけでありますけれども、今や、段階的に申しますと、市の方の決定権が先行しておるようでございます。それならば環境庁としては何ができるかというところに思いをいたしながら、運輸省から意見を求められるならばという現段階ならば、環境庁としての干潟の必要性をしっかりと認識して、厳正な意見陳述をしてまいりたい、こう思っておるわけであります。  いずれにいたしましても、この干潟の重要性についての認識を皆さんと一緒に持ちながら問題の解決に当たってまいりたいと思っておるところであります。
  35. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 もう少し厳しい主張をいただければと思ったわけですが、今名古屋市議会のそうした結論を出していく非常に重要な時期ということもおありでしょうから、それこそえいやというようなお話にはならなかったのかもしれませんが、大いに環境庁としての存在理由というものをこの藤前干潟の問題で示していただきたいと思います。  そこで、きょうは運輸省の方にお越しをいただいたわけであります。今出てきた運輸省でありますけれども、運輸省も大分変わりつつあるな、そんな感じがしてなりません。  これは、運輸省の第二港湾建設局が年三回出している冊子の中に、干潟保全ということがきっちりと出てきております。そして対談でも、第二港建の次長さんが、今までのいろいろな港湾に関する工事に対して、生態系への配慮が十分に行き届かなかったということが言えるのかもしれません、しかし、近年はもう一度港湾施設を見詰め直そうということで、生態系への配慮というのを主張されておられます。  何も環境という問題は環境庁だけの専売特許ではない、これは当然のことであります。今度藤前干潟で問題になっております公有水面埋め立ての問題についても、平成二年に公有水面埋立法が改正されて、第四条の免許基準に環境保全という文言が入ってきているわけであります。こうした干潟を含めた環境保全に関して、運輸省御自身が、それは環境庁の問題だと言っていたら今までの行政と変わらないわけですけれども環境保全に対して、やはり運輸省として前向きに取り組む、そうした姿勢をお持ちなのかどうか、お聞かせください。
  36. 川嶋康宏

    ○川嶋政府委員 先ほど二建の機関誌について御引用いただいてお褒めを賜りましたのですが、私どもの方でも、事業の中で干潟を造成するというふうな事業もあわせてやっておりまして、そういった取り組みには積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。  また、御質問の中にございました、埋立法の免許基準に関連いたしまして環境保全に配慮することということにつきましては、私ども、いわゆる水面の消滅でありますとか自然海岸線の変更でありますとか、あるいは潮流の変化、あるいは工事中の濁り等に関しまして、海域環境の保全でありますとか自然環境の保全、水産資源の保全等の環境保全に十分配慮されているかどうかについて埋立法にのっとりまして審査をさせていただいております。
  37. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 公有水面埋立法という法律がまさに私たちの前に横たわっているわけでありますけれども、実は、ある市民運動の方が二、三年前運輸省に行ったら、これは手続法だから、地方自治体の方がそれなりの書類が整ったらそれに判こを押すしかないんですよ、こう言われてがっかりしたという話がありました。  これは、環境保全という観点から、今お話があったように、運輸省自身がこの公有水面埋立法の新しい趣旨にのっとって踏み込んだ判断をしていく決意がなければいけないというふうに思うわけでありますけれども、こうした中で代替案の真摯な検討というものもやっていかなければいけないわけです。  私は、先日、藤前干潟周辺を見て回らせていただきました。まさに代替案の宝庫。もうどこを見ても、右を見ても左を見ても、それはいろいろな問題を抱えているでしょうけれども、いつでも焼却灰を受け入れる用意のある例えば南五区。これは名古屋市が出資してつくった産廃埋立処分場で、尾張地方の多くの自治体がもう既にそうした一般廃棄物、焼却灰を出しているわけであります。まるでゴーストタウンのように、ただそこにいるだけでも寂しくなるような貯木場、これは西三区の第七貯木場。あるいは、緑地化が完全に失敗して、その責任もあいまいなまま今ゴルフ場を慌ててつくろうとしている西五区。工事現場の人が、こんな異常な工事は初めてだよと。とにかく扁平な三角形、道路が真ん中を横断している中にゴルフ場をつくるというような、シングルプレーヤーでもなかなか回り切れないような難コースを今つくっていたり、あるいはポートアイランド。さらには、もう広大な干拓事業の失敗、木曽岬干拓。もうあちらこちらに幾らでもあるわけですね。  こうしたものを一般市民が見ると、ああこれは代替案だな、こういうところでいいじゃないかという思いについ駆られてしまうわけです。それは行政の中に複雑な問題がいろいろと内在しているんだろうと思いますが、今挙げたこうした土地の中で、これはもう最初から代替地案にはなり得ないと考えられているそういうものがおありであるとするならば、どういうところなのかを御指摘いただきたい。
  38. 川嶋康宏

    ○川嶋政府委員 今御指摘がありました地区について、それが代替案になり得るかどうかという御質問かと思いますけれども、当該埋め立て案件につきましては、去る八月二十一日に埋立免許権者の方に埋立申請がなされたものでございまして、まだ現時点では免許庁の方で審査されている段階で、私どもの方に認可申請は来ておりませんので、そこでの代替案等についての問題というのは控えさせていただきたいと思います。  それにつきましても、港湾計画等の中で御議論をいただくものではないかというふうに思っております。
  39. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 運輸省としては、出てきましたら、そうしたものも含めて、多様な立場、多様な発想の中から解決への糸口を見つけ出していただきたいというふうに思うわけです。  最後に、公有水面埋立法上の矛盾として今オンブズマン愛知が訴訟を提起している問題があります。これは、名古屋市がこの当該干潟を含む土地の所有権を最初から放棄する目的で五十六億九千二百三十九万二千二百四十四円、こうした莫大な資金をもって取得をして、その土地の権利を放棄したと。実は、この公有水面埋立法によって藤前干潟は申請されている以上、それは私有権の及ばない海ではないかという立場から訴訟が起こされているわけであります。  現実にこの土地は一度も陸地になったことはない、地図に一度も記載されたこともないというような主張がなされているわけでありますけれども、こうした土地に対して名古屋市は答弁書において所有権を主張している。これは、矛盾を放置したままで地方公共団体の違法行為を許すことになるんじゃないかというのがオンブズマン愛知の主張で、できれば法務省など第三者機関の厳正な審査をまつまではいかなる判断もするべきではないという主張を持つ方々がおられるわけでありますが、免許申請に対する判断にこの問題はどういう影響があるのでしょうか。
  40. 川嶋康宏

    ○川嶋政府委員 お尋ねのそういう訴訟があるということについては私どもも承知をしております。  先ほど申し上げましたように、八月二十一日の時点で免許申請がなされたという段階でございますので、まず免許庁の方でいろいろな検討をしていただく段階であろうというふうに思っております。改めて免許庁の方から認可申請が参りましたら、法の精神に基づきまして適切に判断をさせていただきたいというふうに思っております。
  41. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 私としては非常に残念な答弁でありますけれども、この訴訟に関する対応について運輸省としても真剣に御議論をしていただきたいと思っております。  時間がなくなってしまいましたので、次に吉野川第十堰の問題に移らせていただきます。  先ほど環境庁長官は伊達藩のお話を出されました。杜の都として仙台に四百年前の行政がまさに生きている、松島を訪れたときのそういう印象でありますけれども、吉野川第十堰、これは江戸時代中期に建造されて現在に至るまで修復されながら使用されているそうした第十堰を、建設省が撤去をして、河口から十二キロ地点に千五十億円で可動堰を新築する計画があるというふうな話であります。一方で環境庁の水質保全局では、日本自然保護協会に委託して、利根川と長良川と吉野川支流の今切川の河口堰の調査を行ったというふうに聞いているわけですけれども、この委託調査でどのような知見が得られて、吉野川第十堰との関連の中で吉野川の水質保全にこうして得られた知見をどのように役立てるおつもりなのか、お聞かせいただきたい。
  42. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  環境庁におきまして日本自然保護協会に委託した調査といいますのは、平成九年度に利根川河口堰の流域水環境に与えた調査というものでございます。それについては報告書の提出を受けております。  この報告書におきまして、利根川河口堰建設及び稼働後の影響を、地形、植生、鳥類相、水質の変化から検討している、おのおのの変化については、堰建設とのある程度の関連は想像できるものの、厳密な因果関係を明らかにすることはできなかったとされております。また、報告書におきましては、長良川など既存の河口堰の影響調査とも比較いたしまして、河口堰の流域水環境に与える影響に関する知見も整理しております。  それによりますと、第一は浮遊藻類の発生、底層水の貧酸素化、堰を挟んだ上下流に有機物の多い微細なシルト、粘土が堆積すること、さらにはシジミ、アサリなどの貝類の減少は河口堰全体に共通する影響であること、しかしながら植物群落、魚類、鳥類、海域への影響については一般化するにはさらなる調査が必要である、こうされております。  先生指摘の、このような結果を今後吉野川十堰等の問題にどう生かしていくのかということでございますけれども、吉野川河口堰につきましては、事業者である建設省が、環境影響評価法、いわゆるアセス法に基づく環境アセスメントを今後実施する予定と聞いております。したがいまして、環境庁といたしましては、このアセスメントの審査に当たりまして、今回の調査によって得られた知見を参考として対処していく所存でございます。
  43. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 こうした報告書を、建設省に出してそれで終わりということのようでありますけれども、一年ということではなくて、こうした貴重な調査というものはこれからもぜひとも続けていただきたいというふうに考えておりますし、その知見によって非常に大きな得るものがあったのだろうというふうに考えております。  ここで、きょうは建設省にお越しをいただいたわけでありますけれども、この吉野川第十堰問題に、来年施行の環境影響評価を先行適用することを決めた、これはどういう理由なのか。新河川法にやはり環境保全の視点が入っているわけでありますから、そういうことからなのかなというふうに思うわけでありますけれども、その辺についてお聞かせいただきたいと思います。
  44. 吉井一弥

    ○吉井説明員 吉野川第十堰の問題につきましては、ことし七月十三日に吉野川第十堰建設事業審議委員会より本事業実施することが妥当であるとの意見をいただいておりまして、その意見の中で、環境の保全と創造に万全を期すこと、そのために環境影響評価環境モニタリングを行うなどの配慮をすることというふうに要望されております。  建設省といたしましては、その意見を尊重いたしまして、環境影響評価につきましては制定されました新しい法律に基づいてやっていきたいというふうに考えております。
  45. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 今お話がありましたように、新河川法においては環境保全がその目的に加わったわけでありますが、また、事業計画を決めるときに、住民意見を反映させるために必要な措置をとるともあるわけであります。ところが、附則には、事業を決定するための河川整備基本方針と河川整備計画ができるまでは工事実施基本計画をそれとみなすというふうにあって、期限がついていないわけであります。我が党の竹村泰子参議院議員が質問主意書で新しい計画策定がいつになるかを尋ねたときには、まだ資料を集めている段階との回答が来ております。今はどんな段階にあるのか、明確にお答えをいただきたいということが一点。  治水、利水のみを目的として、環境保全の視点が抜け落ちた計画のまま次の事業段階に進むということが、新法の方針に真っ向から吉野川第十堰の問題では背くことになるのではないか。そこで、一刻も早く環境保全住民参加の精神を入れた河川整備基本方針、そして河川整備計画の策定を行うことを、要望をぜひともさせていただきたいと思います。それが環境アセスメントを先行適用する以上に河川環境の保全にとって重要であるというふうに考えますけれども、その点についていかがですか。
  46. 吉井一弥

    ○吉井説明員 先生指摘のように、昨年改正されました河川法におきましては、環境の保全を河川法の目的の一つと入れまして、その中で、新しい河川整備基本方針、河川整備計画等の手続等も決まったわけでございます。  先生指摘のとおり、改正されました河川法におきましては、従前の工事実施基本計画が経過的にみなされるというふうな規定もあるわけでございますが、私どもといたしましては、改正されました河川法の趣旨を踏まえまして、所要の手続を、住民の方々の御意見等を十分に聞きまして、できるだけ早急に河川整備計画を策定してまいりたいと思います。  ただ、現時点では、河川整備基本方針、河川整備計画に関しまして必要な資料の収集、解析等を急いでいるところでございまして、できるだけ早くしたいと思っております。  またさらに、今先生のお話にもございましたが、基本方針を策定いたしますには、河川審議会、それから整備計画の策定には学識経験者の方、住民、それから関係の地方公共団体の長の方の御意見等も聞きますので、そういうふうな手続を踏みながら早急にやっていきたいと思っております。
  47. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 できるだけという言葉でどうもいつもはぐらかされてしまうわけですけれども、とにかくこれは重要な問題でもありますし、それこそ時間を区切ってそうしたことを整えていただきたいというふうに思います。  最後に、まだ住民との議論の中で言われているのは、どうも建設省はいろいろな資料を、これからの議論の前提となる資料を公開してくれていないじゃないかということをあちこちで聞かされます。きょう幾つかの資料要求を内々にさせていただいておりますので、私自身が求めております。そうした資料をひとつすべて明らかにしていただきたい。  それを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  48. 北橋健治

    北橋委員長 これにて佐藤君の質問は終わりました。  次に、山本孝史君。
  49. 山本孝史

    山本(孝)委員 山本孝史でございます。  いつもは厚生委員会でいろいろ質問しておりまして、きょうは、例の能勢町のダイオキシン問題もあるということで、佐藤先生からぜひこの環境委員会で質問するようにというお話もございまして、お時間をちょうだいさせていただきました。  先ほど大臣もダイオキシンに対しての御認識をお示してございましたけれども、前厚生大臣が国会答弁の中で、サンマを焼いてもあるいは焼き鳥をつくってもダイオキシンは出るのですという名答弁をされまして、実は物を燃やせばダイオキシンは出るのですね。特異な化学反応ではありませんで、実はごみ焼却炉というのは一番大きなダイオキシン発生源に、今日本の中ではなっております。  そういう意味合いで、きょうは能勢町のごみ焼却炉問題ですので、厚生省の方に御質問することが多くなるのですけれどもダイオキシンの規制の問題は、WHOで今一ないし四ピコグラムという新しい数値が出されたこともあって、環境行政の中で大変大きな問題になってくると思いますので、きょうの私の質問ないし答弁をお聞きをいただいて、ぜひ環境庁としてのお取り組みをしていただきたいというふうに思います。  この能勢町のごみ焼却炉の基本的な問題は、私が思いますのは、平成二年の十二月に厚生省が策定をされたごみ処理施設にかかわるダイオキシン類発生防止等ガイドライン、いわゆる旧ガイドラインですね。旧ガイドラインで示された燃焼温度八百度以上、集じん機の入り口排ガス温度二百五十度から二百八十度以下というこの基準が守られていなかったということが基本的な原因であったというふうに思います。  大変高いダイオキシン濃度になったのは、濃縮されてしまうという、循環して水を使っていたというところでこういう状態ができておりますけれども、そのもとになっているごみを燃やすという時点のところで、大変管理がずさんであったというふうに思うわけですね。  データを改ざんしていたという話もありますけれども、改ざんと言って、首をかしげておられるのであれですが、ダイオキシン濃度を低くしょうと思って、六時間灯油のみを燃焼して立ち上げてみた、あるいはごみ袋を破って、中のごみを均一にして燃やしてみようとした。いろいろこうすればダイオキシンが減るのだろうということでやってみたのですが、実は水の中のダイオキシン濃度が高いものですから、出てくるものは結局一緒で、何ら下がることはなかった。いわば浅知恵じゃないですけれども、いろいろなことをやったわけですね。  いろいろデータを見せていただいて、実際にそのデータ報告される前の燃焼温度のチャートを見せていただいても、八百度以下でずっと焼き続けているというのが続いておりまして、ガイドラインが決して守られているわけではないという問題があるわけですね、これは同じデータをお持ちでしょうから。  そこで、まず厚生省さんにお伺いをしますけれども能勢町に見られるこうしたずさんなごみ焼却炉の運転状況というのは、能勢町に特異な現象なのか、あるいは全国的にあり得る現象であるというふうに思っておられるのかお伺いします。
  50. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 先生今御指摘ございましたように、平成二年にいわゆる旧ガイドラインというものをお示しをいたしまして、それに沿った形で運転をしていただくように都道府県を通じてお願いをしたわけでございますが、豊能郡の美化センターにつきましては、この旧ガイドラインが出されました後にも、そのガイドラインに沿った維持管理がなされておりませんで、今先生まさに御指摘ありましたように、摂氏八百度以上での安定的な燃焼はされていなかった、あるいは電気集じん機への排ガス流入温度が摂氏三百二十度から三百三十度と、いわゆる二百八十度よりも高かったことなどの点の問題があるというふうに認識をしております。  過去のデータを見てみますと、これは最高値だけを取り上げて云々するのはいかがかと思いますが、例えば、ダイオキシン濃度の最も高いときは四百三十ピコ、あるいは一酸化炭素濃度が一〇〇〇ppmを超えることがあったというふうなこともございますので、そういった不適切な燃焼管理であったというふうに考えております。  私どもといたしましては、旧ガイドラインを策定いたしました後に、これを守っていただくように都道府県を通じまして指導してきております。本件のような維持管理の事態が他の施設において普遍的に生じていたというふうには考えにくいわけではございますけれども、念のために、九月二十一日付で都道府県を通じまして、昨年八月にダイオキシン削減のために改正いたしました維持管理基準が守られているかどうか、あるいはそれを徹底するようにという指導を行ったところでございまして、こういった点検調査の結果を踏まえまして、適正な処理の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
  51. 山本孝史

    山本(孝)委員 普遍的な状況じゃない、私もそう願いたいのですが、であるならば、その調査の結果きっちりとした運営をされていたのかどうか、指導するだけじゃなくて、その結果をぜひ都道府県からとっていただきたいというふうに思います。  この問題の中で、そこの答弁は後でいただくとして、次の質問ですが、いわゆる廃棄物処理法の二十一条で、技術管理者を置かなければいけない、選任しなければいけないということになっています。当然、この能勢町の美化センターにも技術管理者がいたわけですが、一体これはどういう資質の人だったのかというところは、どういうふうに把握をしておられますか。
  52. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 廃棄物焼却施設の設置者は、みずから技術管理者として管理する施設を除きまして、焼却炉の維持管理に関します技術上の業務を担当させるために、今先生指摘のございました技術管理者を置かなければならないというふうになっているわけでございます。技術管理者は、自分が管理しております廃棄物焼却施設に関しまして、維持管理基準に係る違反が行われないように、当該廃棄物処理施設を維持管理する事務に従事する他の職員を監督しなければならないというふうになっているわけでございます。  技術管理者につきましては、原則といたしまして、大学の理学等の課程におきまして衛生工学に関します科目等を修めて卒業いたしました後に、二年以上廃棄物の処理に関します技術上の業務に従事した経験を有する者等でございまして、厚生大臣が認定をいたします講習を修了した者でなければならないというふうにされておりまして、一般論で申し上げれば、能力的には十分な者が配置されているというふうに考えております。  豊能美化センター技術管理者につきましては、定期点検事項に関すること、あるいは施設管理全般に関すること等の業務内容を有していたというふうに聞いておりますけれども、実際の業務の遂行実態につきましては、現時点では把握をいたしておりません。  今後、原因究明の過程等で必要が出てくれば、その業務実態についても調査することといたしております。
  53. 山本孝史

    山本(孝)委員 遂行実態を把握していないということなので、ここも把握をしていただきたいというふうに思います。大学で理学的な知識を持って、物を燃やせばダイオキシンが出るという知識を持っていながら、こういうずさんな運転管理を長年続けていくような技術管理者というものを厚生省が認定しているというのは大変問題だと思いますので、そこの対応考えていただきたい。  もう一つお尋ねします。  廃棄物処理法の第六条で定められている一般廃棄物処理計画というのがあります。市町村は必ずつくらなければいけないことになっていますが、能勢町はつくっていなかったというふうに私は聞いております。それは事実でしょうか。もしそれが事実であるならば、なぜそういう状況が続いていたのでしょう。
  54. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 廃棄物処理法第六条に基づきまして、今先生指摘のございましたように、市町村は、一般廃棄物処理計画といたしまして、一般廃棄物の処理に関します基本計画及び基本計画の実施のために必要な各年度の事業について定めます実施計画を策定することとされております。  大阪府に確認いたしましたところでは、能勢町につきましては、実施計画は毎年度策定されておりますけれども、基本計画につきましては、大阪府がたびたび指導を行われたそうでございますが、これまで策定していないと聞いております。  一般廃棄物処理計画の策定は市町村の固有事務でございまして、厚生省といたしましては、その策定について強制的な指導を行うという立場にはございませんけれども、法律に定められました市町村の責務を果たしていないということが明らかになったわけでございまして、大変残念な事態だというふうに感じております。今後、速やかに作成をしていただきますよう、府を通じまして求めてまいりたいと考えております。
  55. 山本孝史

    山本(孝)委員 一般廃棄物処理計画は、基本計画と毎年つくる実施計画と両方あって、実施計画はつくっていたけれども、その実施計画をつくるもとになる基本計画はつくっていない。もとになる基本計画なしに、何で実施計画がつくれるのか大変不思議な感じがするのですが、そういう実態であったということは私が今回聞いてみてわかったので、そこは対応していただけるのだというふうに思います。  そういう意味で、強制的につくらせられるものではないと言いますけれども、これは法律で定められているわけですから、きっちりと法律を守るように指導するという立場厚生省はあるわけで、そこの監督の義務を怠っていただいては困るというふうに思います。  ごみ焼却場には運転記録の作成が義務づけられていますね。能勢町の場合は、こういうチャートできちっと連続用紙としてつくっておられるわけですけれども、同じ廃棄物処理法の中で、当該維持管理に関し生活環境の保全上利害関係を有する者の求めに応じて閲覧させなければいけないという運転管理状況の記録の作成あるいは記録の閲覧ということが法律の中でうたわれております。これは能勢町と限らず、焼却場の運営に大変に疑問を持っている、あるいは心配をしておられる方たちが焼却場を管理する人たちに、きちっとした運転管理記録を見せてください、あるいは運転日報を見せてくださいという要求をした場合に、これは市町村は応じなければいけないと理解してよろしいですね。
  56. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 昨年六月の廃棄物処理法の改正によりまして、廃棄物焼却施設におきましては、厚生省令で定めます事項を記録をいたしまして、当該施設に備え置いておきまして、生活環境保全上利害関係を有する者の求めに応じて閲覧させなければならないというふうになっておりまして、これは本年六月十七日より施行されているところでございます。  廃棄物焼却施設におきます燃焼室中の燃焼ガス温度の連続測定につきましては、昨年十二月より施行いたしました廃棄物処理法施行規則の改正により義務づけたところでございまして、この連続測定結果につきましては、御指摘のように、利害関係を有する者の閲覧の対象となっております。したがいまして、燃焼ガス温度の連続測定の結果が温度チャートとして記録されている場合には、それが閲覧に供されるということになるわけでございます。  ただし、燃焼ガス温度の連続測定装置を新たに設置することが必要になりますので、既存施設につきましては、本年十二月より燃焼ガス温度の連続測定が義務づけられておりまして、本年十二月以降に測定された結果が閲覧の対象となるというものでございます。
  57. 山本孝史

    山本(孝)委員 いわゆる廃掃法の改正によって廃棄物の処理に関する考え方が大分変わってきているわけですね。こういうふうにきっちりとした情報住民公開するということが法律で義務づけられて、一種、情報公開とともに、住民と一緒になってごみ処理に当たりましょうという姿勢にかなり変わってきたというふうに思うわけです。  今までの御答弁の中で、もう一度確認なんですけれども、各市町村がごみ焼却場の運転状況を、きちっと運転するように指導をしているという一番最初の答弁でしたけれども、今のお話の中で、少なくとも技術管理者がきちっとやっていたのかどうか。あるいは、一般廃棄物の処理計画がないなんということはあり得ないと思いますけれども、念のために、きちっと全部の市町村がつくっているのかどうか。運転管理のチャートを見ながら、きちっとした運転管理がされているのかどうか。これを厚生省は各都道府県に指導をさせて、その結果として不適切なものがあるのかないのかぐらいの報告は少なくともきちっととっていただきたいというふうに思うわけですが、そういう指導並びに調査報告をしていただけますでしょうか。
  58. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 今回の事案を受けまして、いわゆる維持管理、運転等いろいろな点で日常的な維持管理上の問題があったということはわかったわけでございます。したがいまして、先ほども御答弁申し上げましたが、必要な事項につきましては適宜調査をしてまいりたいと思っておりまして、今回の事案の中で問題となりました事項についての状況把握につきましては、できるだけ可能な限り広い範囲把握をしてまいりたいと思っております。また、そこで問題が出れば、適宜それに対する対応策を講じてまいりたいと思っております。
  59. 山本孝史

    山本(孝)委員 もう一遍です。三十六施設のように、こういう開放型の冷却塔をつくっていたらどうだったとか、あるいは炉頂型の焼却炉を持っていたらどうだったかという個別の話ではなくて、私が申し上げているのは各自治体ですね。  この前、焼却炉については排出ガスの濃度調査あるいはダイオキシン排出量調査等をやられたわけですが、同様に、運転管理が正常に行われているのかどうか。それから、きちっとした技術管理者が機能しているのかどうか。あるいは、申し上げているような一般廃棄物の処理計画をきちっと市町村がつくっているのかどうか。当たり前の話ですけれども、そういったところも含めて、もう一度きちっとした運転管理状況把握、その調査というものをしていただきたいというお願いです。
  60. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 御指摘の点、私、先ほどの答弁が足らなかったらお許しをいただきたいと思います。  いわゆる技術的な事項とそれから管理的な事項の両方に問題があるというふうに私ども認識をいたしておりますので、この点につきましては、都道府県を通じまして市町村の実態というものを把握してまいりたいと思います。
  61. 山本孝史

    山本(孝)委員 おっしゃいましたように、技術的な問題と管理的な問題、両方ありますので、把握をして調査をしたいということですので、結果についての御報告をぜひお願いしたいというふうに思います。  今回、この九月二十二日に能勢町で、ダイオキシンを少なくし、能勢の美しい自然を守るための条例というのが全会一致で可決をされまして、即日施行ということになっております。所沢に次いで二番目の条例の制定だというふうに思いますけれども、この条例の中で廃棄物減量等計画を住民参加による委員会を設置してつくりなさいという文言があるのですね。  こうした住民参加によるごみ処理計画の策定というものが、先ほどから申し上げている一般廃棄物の処理計画、これは自治体がつくるだけじゃなくて、上からつくるだけじゃなくて、住民参加でもっていかにしてごみを減らしていくか、分別していくか、いかに燃焼して処理をしていくかという意味で、こういう住民参加型の廃棄物の減量計画をつくるというのは大変意義があることだと思うのですが、どういう御認識でしょうか。
  62. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 廃棄物の減量化を推進していくというためには、これは関係者の広い参画が非常に重要でございます。特に住民の方々の御協力というものが非常に重要でございます。廃棄物処理法第五条の二の規定に基づきまして、廃棄物減量等推進審議会を設置するに当たりましては、住民あるいは学識経験者等の参加を得ることによりまして、一般廃棄物の減量等に関する住民の方々の合意を形成していく場として非常に積極的に活用していくことを従来から求めているところでございます。  市町村がこの審議会におきます検討結果等を反映させまして一般廃棄物処理計画を策定していくことは、非常に有意義だというふうに考えております。私どもといたしましても、この廃棄物減量等推進審議会の活用につきましては、市町村の関係者の御努力を求めてまいりたいと考えております。
  63. 山本孝史

    山本(孝)委員 五条の二の審議会、まあ法律の書き方ですから、「置くことができる。」というふうに書いてありますので、ぜひこの活用もしていただきたいというふうに思います。  それから、もう一つ、この条例の中で、所沢もそうだったと思いますけれども事業者や町民の責務として、ダイオキシン発生させるような安易な焼却をしないということがうたわれております。一方、廃棄物処理法の第二条、国民の責務というのがありまして、この中では、廃棄物をなるべく自ら処分することというふうにうたわれているわけですね。国民の責務、廃掃法の第二条は、「国民は、廃棄物排出を抑制し、再生品の使用等により廃棄物の再生利用を図り、廃棄物を分別して排出し、その生じた廃棄物をなるべく自ら処分すること等により、」というふうに書いてありまして、自分で燃やして処分せいということなのかというふうに受け取られかねないというふうに思うわけです。  ここは、安易な焼却はしないんだ、ごみを集めて燃やして処理するという発想を転換していくという意味合いにおいて、安易な焼却をしないというふうにうたっているというのは大変に重要なポイントだと思うのですが、こういう理念なり思想、考え方をどういうふうに受けとめられますか。
  64. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 廃棄物処理法第二条の三の規定についてでございますが、国や地方公共団体の施策に協力することを国民の責務として規定したものでございまして、なるべくみずから処分するという意味は、例えば生ごみの堆肥化といったようなことも想定した施策の例として示したものでございます。したがいまして、今御指摘のように、不適切な焼却を奨励するという趣旨のものではございません。  厚生省といたしましては、簡易な焼却でありましても、高温での完全燃焼あるいは適切な排ガス処理が困難なものにつきましては、ダイオキシン類発生抑制は非常に困難でございますので、平成十年四月十日付で、市町村によります家庭用の簡易な焼却炉の導入支援事業を見直しまして、構造基準あるいは維持管理基準が適用されます焼却施設において適切に処理するように、市町村に対する指導を都道府県にお願いしたところでございます。
  65. 山本孝史

    山本(孝)委員 文字づらをとらえていろいろ議論しても仕方がないのですが、ここは、物を燃やして処理するという発想を変えていくかどうかということなので、ぜひ御検討いただきたいと思います。  それから、今周辺住民等の健康不安に対応するために血液調査をするということになっておりますが、これは検査をするのに一件三十万円ぐらいするのですね、一検体で。しかも非常に時間がかかる。こういう高額な検査費用、あるいは分析をする機関も数が限られておりますので、こういった状況を、今後ともダイオキシン問題が大変重要な問題になってきますと、体制の整備というのが重要だと思うのですが、その点はどのように考えているのですか。
  66. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 血液中のダイオキシン類測定に関してでございますが、これまでは、測定方法が標準化されていないということ、あるいは大変微量な量を検出するために高度な技術あるいは検査機器が必要とされております。また、検査に手間がかかるというふうなことで、我が国において測定実績を持つ検査機関が限られている現状にございます。  このために、私どもといたしましては、厚生科学研究におきまして、血液中のダイオキシン類測定方法等に関します調査研究を推進いたしておりまして、現在取りまとめの段階に至っております。地方自治体が廃棄物焼却施設周辺住民の方々の健康調査実施する場合には、その円滑な実施を図りますために、こういった調査研究事業を通じまして可能な限りの技術的な支援を行ってまいりたいと考えております。
  67. 山本孝史

    山本(孝)委員 談合の結果、非常に高い値段になっているとは言いませんけれども、三十万円というのは大変に高い金額だというふうに思います。三十人やっただけでも九百万というのは、一市町村にとっては負担できない金額になりますので、ぜひこの対応考えていただきたいと思います。  環境庁お尋ねをします。  今、ダイオキシン汚染された土を取り除いて、それをどういうふうに処理していくかという話になっているわけですが、どの程度範囲土壌除去すればいいかという基準は実はありません。そういう意味で、早急に土壌汚染の安全基準をつくるべきではないかと思いますけれども、この点をどうお考えになるかということが一点。  現在農地だけが対象になっております土壌汚染防止法を見直しをして、ダイオキシン汚染された土壌への法的な対応考えるべきではないかと思いますが、この点についてお考えをお伺いします。
  68. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  第一点目の、ダイオキシン汚染されました土壌に対する一つの基準の設定という問題でございますけれども、私ども、現在、専門家の御意見を伺いながら、対策の推進に必要なガイドライン的な指針の設定を含めまして検討を進めております。これにつきましては、平成十年度内を目途に報告書として取りまとめてまいりたいと考えております。  次に、法制度土壌汚染を法的に規制すべきではないかということでございますけれども、これは先生御案内のとおり、ダイオキシン類による土壌汚染リスク評価などについての知見というのが非常に少のうございます。したがいまして、土壌中のダイオキシンがどのような汚染程度で人の健康に影響を及ぼすかということとか、あと、これは社会的な問題なんですけれども土壌の浄化対策汚染原因者に命令すべき汚染程度はどのようなものとすべきかなど、多くの明らかにすべき課題を抱えているというのが実態でございます。  したがいまして、まず、環境庁におきましては、全国にどのような土壌汚染の実態があるかについて今年度から五カ年計画で調査を進めておりますし、また、先ほど申し上げました土壌中のダイオキシン類に関する検討会で、土壌に由来する健康影響評価手法とか汚染対策手法、さらには対策の推進に必要な指針の設定等について検討を進めておるということでございます。  以上のような調査検討を踏まえながら、土壌汚染防止の実効性のある方策をまずは追求していく、これが現実的ではないか、こう考えております。
  69. 山本孝史

    山本(孝)委員 一気に法律を改正する、あるいはつくるというのは、ガイドラインもない状況の中ですから難しいのでしょう。早急にガイドラインをつくっていただいて、今能勢町は、結局袋に詰めたまま建物の中でずっと保存をする、保管をするという状況が続きますので、この土壌の処理の方法も含めて早急に対応考えていただきたいというふうに思います。  労働省に来ていただいているのですが、ごみ焼却場で働く人たちの健康管理の問題ですね。一体労働省というのは、ダイオキシンの労働者に対する健康被害というものをいつごろに認識をし始めて、今後どういう対応をとっていこうとしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  70. 下田智久

    ○下田説明員 お答えを申し上げます。  労働省におきましては、平成九年度からダイオキシン類に関する調査研究を進めているところでございます。この調査結果によりますと、ごみ焼却施設で働いております労働者がダイオキシンに高濃度暴露されるおそれがあるということが指摘されました。このことから、当面の労働者のダイオキシン類暴露予防対策といたしまして、本年の七月二十一日に、ごみ焼却施設におきますダイオキシン類対策についてという通達を都道府県労働基準局あてに発したところでございます。  この通達におきましては、労働者が安心して働ける職場環境を形成するために、事業者が作業環境におきますダイオキシン類濃度測定を行いまして、その結果を評価し、施設の整備あるいは作業方法の改善、呼吸用保護具の着用等、必要な措置を行うように指導しているところでございます。  今後、この通達に基づきまして、関係事業者に対し指導の徹底を図るということを考えておりますし、また、ダイオキシン類に関しましてのさらなる調査研究を進めることといたしておりますので、その結果等を踏まえ、ダイオキシン類に関する施策の充実に努めたい、このように考えております。
  71. 山本孝史

    山本(孝)委員 ダイオキシンの問題は、古い問題であるにもかかわらず、なかなか行政の中での対応がうまくいってこなかったというふうに思うのですが、労働省は、一つ評価をしたいと思いますのは、一日摂取許容量は五ピコグラムだというふうに出されまして、環境庁の目標としておられる数字を採用しておられます。厚生省は十ピコグラムをずっと主張してこられたわけで、今回WHOは一ないし四ピコグラムという数字を出しまして、五以下というのがもう大体世界的な潮流に、あるいは日本の行政の中でもなってきているのかなと思います。  そういう意味で、これは来週厚生委員会でぜひやりたいと思っていますけれども、この一日摂取許容量の問題についてぜひ検討を政府としてもやっていただきたいというふうに思います。  時間になりますので終わりますけれども、確かにこの能勢焼却施設というのは、私は、できたときは大変に最新鋭の設備だったんじゃないかと思うのですね。外にダイオキシンを出さない、水も洗煙したものは外へ流さないで中で再循環して使うという意味で、非常にクローズドされていて大変によくできた施設だったんじゃないかと思いますが、残念ながらそこが逆に盲点になって、大変に高い濃度ダイオキシンが中で生産されてしまう、一種ダイオキシンの製造工場のような形にこのごみ焼却場がなっていたというのは構造的な問題だったのかもしれません。  しかし、そこのもとになっているごみ焼却場の運転状況というのは大変にずさんであったというのはきょう御指摘を申し上げたとおりで、これは普遍的ではないとおっしゃいましたけれども、私は全国的に恐らくあるんだろう。働いている人からすれば、九時−五時でサラリーマンとして働いている人たちですから、しかもプラントをつくった会社の子会社が運転する中で、地元人たちを採用してという形で、技術管理者は確かに有能な方かもしれませんけれども、一般に働いておられる方は、その辺でふだん働いておられた方たちが就職をしておられるという状況ですから、ダイオキシンという問題に対する認識も余りない方たちが働いておられる。そういう意味で、一番被害をこうむったのは、従業員並びにその周辺人たちであったというふうに思います。  運転状況調査、きょうお約束いただきましたけれども、ここの調査をぜひやっていただきたいということと、今後ともダイオキシン問題、今大阪府はこの問題で対応に大変苦慮しておりまして、申し上げましたように、血液検査だけで一件三十万円もしますので、あるいは土壌の処理をするだけでも大変大きなお金がかかります。豊島の問題もそうでしたけれども厚生省にもお願いしますが、環境庁としても、今回の一件にきっちりとした対応をぜひ国としてお願いをいたしたいというふうに思います。  大臣、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
  72. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 環境庁としても抜本の対策を講じていきたいと思います。
  73. 山本孝史

    山本(孝)委員 抜本の対策、なかなか大変でございます。お金の問題でございますし、ダイオキシン問題、ここをひとつ契機に、ごみ焼却場だけの問題に限らず、ダイオキシンという問題をもう一遍国民が見直して、そして、いかにして我々の生活をする中でダイオキシン発生させない暮らしのシステムをつくるかという観点からぜひ取り組みをしていただきたいということをお願い申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
  74. 北橋健治

    北橋委員長 これにて山本孝史君の質問は終わりました。  次に、田端正広君。
  75. 田端正広

    ○田端委員 私も、引き続いて能勢ダイオキシンの問題についてお尋ねしたいと思います。  今回、専門委員会の調査結果が二十一日に発表されて、一グラム当たり五万二千ナノグラムという非常に驚異的な数字が出てきたわけであります。こういう開放型冷水塔を持つごみ焼却施設というのが全国でも三十六施設あるとか、大阪だけでも十五施設ある、こう言われているわけでありますが、能勢だけの問題じゃなくて、構造的に問題があるんじゃないか、こうも考えられます。したがって、これらの施設に対しての調査、二十一日に指示されたということでございますけれども、早くひとつやっていただきたい。  大体この能勢の問題は、ことしの春に大きな事件になって、そして専門委員会が設けられて今回の調査結果になったわけですが、この間既に半年といいますか、時間がかかっておるわけでありまして、さきに問題になったとき自体でもこれは大変な高濃度汚染であったわけですから、行政としてもっと早く手を打つべきではないかな、地元住民からすれば、いらいらするようなそんな思いでいるわけであります。  今回の専門委員会という一つの権威ある調査結果ということで、それで初めてここから、例えば問題になっている住民健康調査、血液検査等を含めた検査に入るとか、あるいは土壌の分析とか、そういうふうな調査にもさらに本格的に入るとかということで、これはこれで今回はいいのですが、しかし、何でこの春の時点からそれができないのか、こういう思いをしているわけであります。私は、厚生省の方のいろいろな事情はあったんだと思いますが、こういう大きな問題になったときには、ぜひ行政は行動を早くしていただきたい、これが今日国民から求められている行政であろう、こう思うわけであります。  その点について厚生省からお尋ねしたいのでありますが、環境庁長官、この事件は、一つの自治体、能勢町とか組合とか大阪府とかという次元ではなくて、国としてこの問題に取り組まなきゃならない大きな事件だ、こう思うわけであります。したがって、例えば土壌の取りかえ作業とか施設そのものをいずれは壊してどこかへ持っていって処理しなきゃならないとか、いろいろなことがあると思いますが、この問題について、環境庁長官が御就任になってまず最初に取り組んで、先頭を切ってこれに対する姿勢示していただきたい。そして、国民ダイオキシンに対する不安感を取り除くような、そういうお立場でぜひ汗を流していただきたい、こんな思いでございます。  以上、厚生省環境庁長官の御所見を伺いたいと思います。
  76. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 豊能郡の美化センター周辺土壌汚染の問題についてでございますが、本年の四月に豊能環境施設組合が設置をいたしました委員会の報告におきまして、検出されましたダイオキシン類種類の分析から、排ガスの影響の可能性が考えられるというふうに指摘をされていたところでございます。しかしながら、その後、灰を野積みしていた等のさまざまな報道がなされたこともありまして、厚生省といたしましては、まず事実関係を明らかにすることが必要だというふうに考えたわけでございます。  そこで、組合あるいは施設建設業者等から事情を聴取いたしますとともに、文書での報告を求めまして、問題の原因究明を行いまして、本年六月一日にその結果を公表したところでございます。  しかしながら、これら関係者からの事情聴取等では、土壌汚染がなぜ施設周辺に高濃度で起こったのかという原因を明らかにすることができませんでしたために、生活環境審議廃棄物処理部会にダイオキシン対策技術専門委員会を設置いたしまして、科学的な究明を進めることといたしまして、六月二十五日に第一回の会合を開いたわけでございます。  今回の調査結果は、七月十五日に現地で採取いたしました試料につきましてダイオキシン類の分析を行いました。さらに、先生指摘ございましたように、非常に高濃度でございましたので、改めてクロスチェックを行いました上で、分析の専門家によります最終確認が九月十八日に完了したことを踏まえまして、九月二十一日の第二回ダイオキシン対策技術専門委員会におきます検討を経て得られたものでございます。  私どもといたしましては、やはり科学的な解明ということも非常に重要な要素でありまして、可能な限り早く進めたつもりではございます。科学的に不確かなことで行政を進めるということは逆に問題を生じますので。しかしながら、今後ともこの問題、非常に重要だということの御指摘もございます。可能な限り、諸般の施策あるいは検討につきましては迅速に遂行することを心がけたいと思っております。
  77. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 厚生省調査結果を見まして、我々もこれは重大な問題だと認識をいたしておるところであります。  それで、類似施設なんかの調査も早速に指示をして調査をいたしておるところでありますけれども、我が環境庁としても、この問題に対応していくためには適時適応策を講じていかなきゃならないと思っておるわけであります。  ただ、私が思うのに、環境行政の中で、厚生省との関連でございますけれども、二〇〇一年からは環境庁にこのような問題も移動してくるものと思っておるわけであります。そのような認識の上に立って、この問題を環境庁としてもしっかりと把握して事の処理に当たって、そして、さすが環境庁が省に昇格する意気込みがあるぞというところを私は示していきたい、こう思っておる次第であります。
  78. 田端正広

    ○田端委員 ぜひ言葉だけではなくて行動で示していただきたい、こう思うわけであります。  厚生省の方、この三十六施設の総点検をぜひきちっとやっていただいて、それをこの場に御報告いただきたい、こう思いますが、いつまでにどういう形で調査結果を発表するか、その辺のめどをお示し願いたい。  それからもう一点、きょうの新聞等にも出ておりますが、このダイオキシン汚染問題で、焼却施設の小型炉の売り上げが落ちたということでメーカー側がどうも談合をやっている、そんなことで、価格の高値安定のために例えば日立造船とか三菱重工業等のプラント大手が談合をやってきたことが、公取委の調査でその辺のことが明らかになったようであります。  この点について、厚生省は即刻、日本環境衛生工業会に対して事情聴取するように指示をされたということも伺っておりますけれども、この問題について正確な御報告を願いたい。こういうことを許している以上、このダイオキシンの問題というのはいつまでたっても解決しないんだろう、そういう意味で、メーカー側に対してもきちっとした態度を示していただきたい、こう思うわけであります。
  79. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 御指摘のございました、開放冷却塔を有しております市町村及び一部事務組合が設置いたします三十六施設につきましては調査実施することといたしまして、既に関係市町村に対しまして、循環する冷却水及び施設の敷地内の土壌調査をいたしまして、その調査結果を取りまとめの上、報告するよう指示したところでございます。  現在、年内を目途にこれらの報告を求めたいと考えておりまして、それらを取りまとめまして公表したいと考えておりますが、公表の時期はまだ、取りまとめの作業がどのぐらいかかるかということで、時期を申し上げる段階には至っておりません。  それから、メーカーの関係の問題につきましては、公取委で今現在いろいろ調査が進められているというところでございまして、詳細については私どもまだ十分承知をいたしておりません。ただ、メーカーの団体に対しましては、不透明なことがないようにということで担当の方から話をしたというふうに聞いております。
  80. 田端正広

    ○田端委員 以上で質問を終わりますが、ぜひメーカー側に対しても行政の方もしっかりとチェックしていただきたい。そして、国民の不安感を除くようにぜひ推進していただきたい、こう思います。  以上で終わります。
  81. 北橋健治

    北橋委員長 これにて田端君の質疑時間は終了いたしました。  次に、斉藤鉄夫君。
  82. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 平和・改革の斉藤鉄夫でございます。  私は、瀬戸内海の海砂利採取の問題について御質問をさせていただきたいと思います。  この問題につきましては、当委員会、また予算委員会でも何度か質疑が行われました。真鍋長官にぜひこれまでの経緯を知っていただきたいと思いまして、最初に、問題がどこらあたりにあるのかという前口上をちょっと申し上げさせていただきますので、ぜひお聞きいただきたいと思います。  我々の文明は今コンクリートで成り立っているとも言われております。そのコンクリートの中の八五%が砂でございます。通産省調査によりますと、おととし、一九九六年一年間で、コンクリートを打つのに使われた砂の量は一億六千三百六十六万立米。ちょっとぴんとこないわけですが、それを一つの升に直しますと、一辺五百五十メートルの立方体に入るだけの量、莫大な量でございます。あの後楽園球場の屋根いっぱいに砂を詰めても千杯を軽く超えると言われております。こういう量の砂が一年間にコンクリートとして使われているということでございます。  この砂、いろいろな分け方があるそうですが、大きく分けて、山砂、川砂、そして海砂、山、川、海、こうなるわけですけれども、海砂が約二〇%、三千七百万立米だそうでございます。海砂を使っているのは世界の中でも大変珍しくて、日本が海砂使用量の八割を占めている、ほとんど日本だけが海砂を使っている、こう言ってもいいかと思います。この三千七百万立米のうちの半分以上、六五%が、つまり一年間に二千四百万立米ですが、瀬戸内海の海砂を採取している、こういう状況でございます。昭和三十年代から経済の高度成長に伴ってコンクリートがどんどん使われる、その骨材に国立公園瀬戸内海の海砂がずっと使われてきたという現状がございます。  こういう中で、国立公園瀬戸内海の環境に海砂採取が大きな影響を与えているのではないかという声が上がってきました。一つは、漁業の方から、明らかに水産漁獲量が減ってきた、これは海砂採取が影響しているのではないかという声が上がっておりますし、また、ランドサットで瀬戸内海を見ますと、海砂採取による汚濁が明確に宇宙から見ても認識されている。  こういうことで、実は、例えば広島県におきましては、十年前から、もう海砂採取はやめようということで、しかし急にやめるわけにいきませんので、十年計画で、ことしの二月に海砂採取を全面禁止した、こういう状況になっているわけでございます。しかし、まだほかの都道府県は毎年今までと同じようにとっている、こういうことで、環境庁としてもこの問題に取り組むべきではないかということを当委員会、また予算委員会で取り上げてまいりました。  六月十五日の予算委員会で私質問したのですが、橋本総理から、海砂採取が環境影響があるということがはっきりわかれば、それは国としてきちんと対処します、こういうふうな答弁をいただいたところでございます。科学的にきちんとそういう評価が出れば、それは国としてもやりますよというのが総理の答弁でございました。  それに時を合わせてというわけじゃないのですが、環境庁でも、影響があるのではないかという声を受けて二年前から調査をされております。その中間報告がこの六月にちょうど出ました。「瀬戸内海における海砂利採取とその環境への影響」中間取りまとめという報告書でございます。大変うまくまとめてございまして、私も大変勉強になりました。全部読みました。大変勉強になりました。長く書いてあるのですが、ポイントは二つだったと思います。  一つは、海底地形が大きく変化している。これは明確にデータとして示されております。そのデータを使って広島大学の先生が、消えた海底砂丘ということで、コンピューターグラフィックスにされまして、これが以前の瀬戸内海の海底の様子、これが現在の様子。環境庁調査をもとにしてコンピューターグラフィックスをされたわけですけれども、昔豊かに広がっていた海底砂丘が全部なくなっているというのが非常にうまく表現されております。これがこの報告書のポイントの一つ。  もう一つのポイントは、生態系への影響。これが非常に大きな問題になるのですが、瀬戸内海の生態系への影響については、まだ調査不足である、今後も調査をしていきたいというところかと思います。その二つがポイントかと思います。  今現在までの状況がそういうことでございまして、ぜひ大臣として御認識いただきたいと思います。  そこで、質問をさせていただきます。  先ほどの、生態調査、総理大臣の答弁にも、影響があるということであれば、それは国として対処するということでした。その影響の最も重要な部分が、瀬戸内海の生態系にどれだけ影響があるかというところだと思うのですけれども、中間取りまとめでは、まだデータ不十分、最終取りまとめに向かって研究をしてまいりますということだったのですが、最終取りまとめに向かっての今後の予定、それから生態系調査ですが、その予算としてどれだけの予算がつけられているのか、その点をまずお伺いいたします。
  83. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  中間報告におきまして、先生指摘のように、生態系への影響について調査実施しているが、現時点では海砂利採取との因果関係は明らかになっていない、こういう一応の報告となっております。したがいまして、この影響につきまして、今後、環境庁といたしましては、三年間重点的に調査を進めることとしております。  具体的には、イカナゴ稚魚の発生、生育状況の海砂利採取海域、例えば備讃瀬戸と、非採取海域、播磨灘、大阪湾との比較調査、あるいは、海砂利採取の直前、直後及び一定期間経過後、例えば一カ月後、四カ月後、八カ月後、十二カ月後の底生生物の生息調査、これは個体数とか種類数等でございますが、それのモニタリング調査を行ってまいりたいと思っております。したがいまして、これは今後三年間実施することになっておりますので、最終報告はその調査を踏まえてということになります。  なお、調査費でございますけれども、年間約一千五百万でございます。
  84. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 それだけの調査が年間一千五百万でできるというのは大変安いなというような気がするのですけれども、普通、通産省や運輸省の環境影響評価ですと数億という金がぽんとつきますけれども、瀬戸内全体の環境にとって非常に重要な調査が、年間千五百万しか調査費がつかないというのもちょっと寂しいような気がいたします。大臣、ぜひこの点は御配慮いただきたいと思います。  それでは、この調査なんですけれどもデータがなかなか集まらない、調査が難しいという一つ原因として、今の生態系調査、これはできるわけですけれども、昔がどうだったかというデータがない。昔がどうだったかというデータは、いろいろな研究各機関もしくは自治体が持っている。ところが、その自治体も、聞くところによりますと、そういうデータを出し渋る傾向があるというふうなことも聞いております。私は、そこにもう少しお金をつけて、過去のデータもきちんと集める、各自治体からも全部出してもらう、その上で調査をすれば非常に精緻な調査ができるかと思いますけれども、この研究各機関また自治体への協力要請、協力体制、これはどうなっておりますでしょうか。
  85. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  海砂利採取に係ります関係自治体との情報の共有につきましては、環境庁が主催いたします関係府県との海砂利調査連絡会議の機会を通じまして、環境庁関係府県との情報交換に努めているところでございます。  また、現在、瀬戸内海環境保全審議会におきまして、瀬戸内海における新たな環境保全、創造施策について御審議いただいておるところでございますけれども、その中におきましても、一般的に瀬戸内海に関する研究成果とか環境情報の共有の重要性、これが指摘されております。したがいまして、こういう点も踏まえまして、環境庁といたしましてその具体化に努力していきたい、こう考えております。
  86. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 遠藤局長にぜひお伺いしたいのですが、渡辺前水質保全局長が、あるマスコミのインタビューに答えて、今回の中間取りまとめの報告を読んでこういうふうにおっしゃっています。  あれだけの地形の変化が、生態系影響を及ぼしていないとは考えにくいとして、イカナゴや底生生物への影響を重点的に調べ、海砂採取との因果関係を明確にする考え示した。  そして、次のようにおっしゃっています。これは瀬戸内海環境保全計画の一文ですが、現在の規制のバックグラウンドになっている海砂採取に当たり動植物の生育環境に十分留意せよとの瀬戸内環境保全計画の一文を、より具体的な表現に強める必要がある、こういうふうにおっしゃっています。  つまり、環境庁としては、確かに生態系への影響についてはまだはっきりしたデータはないけれども、あれだけの地形変化が影響を及ぼさないわけはない、その意味からも、規制強化という姿勢で頑張っていく、こういう局長姿勢表明ではなかったかと思うのですが、新局長、いかがでございましょうか。
  87. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 現在の瀬戸内海環境保全基本計画の中に、先生指摘のような形での記載があるのは事実でございます。  今後どう対応するかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、海砂利採取による地形の変化が生態系にどういうふうに影響を与えているかということについて、今後三年間きちんと調査をし、科学的知見を踏まえて対応していきたいと思っております。  それで、そのためにも、現在瀬戸内海環境保全審議会で環境保全、創造施策のあり方について議論していただいておりますけれども、その後、この答申が出ますと、瀬戸内海環境保全基本計画の見直しというものに着手してまいるということになると思います。そういう中でいろいろ考え方を反映させていきたい、こう思っております。
  88. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 そういうことなんですけれども、ぜひ、前局長に負けないそういう方向性で頑張っていっていただきたいと思います。  この海砂利採取の登録、許認可といいましょうか業者の登録は、これは実は通産省が行っております。きょう通産省にもおいでいただいていますので、ひとつこの許認可について質問したいと思うのです。  日本の場合は各県ばらばらにさせている、各県その対応がばらばらであるということなんですけれども、この報告書の中にイギリスの例が引かれております。  イギリスでは我が国と大きく異なっている、イギリスでは海砂利を国の重要な利用可能資源としてとらえ、政府の主導のもと、関係部門である水産、環境、通産各省庁間の利害調整を行い、特に申請した企業が公正な事業化の提案を行えば安定した事業活動ができるようになっている、許認可はすべて中央官庁での作業である、こういうことで、イギリスでは、貴重な資源また環境を守るために国が一元的に許認可また業者の登録ということを行っているわけです。  日本の場合は、一応それを行っているのは通産省ですが、現実には、また後でこの問題を取り上げますけれども都道府県ばらばらでございます。国の統一した対応が必要ではないかと思いますが、通産省のお考えはいかがでしょうか。
  89. 近藤隆彦

    ○近藤(隆)政府委員 お答え申し上げます。  登録の登録権者が都道府県知事の場合と通産局の場合があるということでございますけれども、圧倒的に今都道府県の方が多くて、二万件を超える事業者都道府県でございまして、通産局長の登録は六百件強という程度でございます。  これは、一番大きな理由は、砂利の採取というのが非常に地域の特性が強くて、地域における砂利の需要関係、あるいはどういつだ砂利、海あるいはおかそれから河川を含めてどういつだ砂利が可能かどうかといった点、それから当該地域の自然の問題とか、非常に地域の特性が強うございます。そういう観点から、主として都道府県が地域特性を十分考えた上登録をするということが必要であるというふうに考えております。  通産局の場合は、たまたまその事業区域が複数の県にまたがった場合ということでございますので、考え方が違って国と県と、そういう考えではなくて、たまたま事業区域が複数の県にまたがる場合には便宜上通産局ということでございますので、あくまでも基本的には、地域の特性を勘案した都道府県の運用を中心として考えるのがいいだろう、これが現在の砂利採取法の思想ということでございます。
  90. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 ですから、今、複数県にまたがる場合は通産省が、また単県の場合は各地方自治体がということでございましたけれども、それでは全体として、限られた資源をどうやって守っていくのか、また環境をどうやって守っていくのかという観点が欠けるから、ぜひその辺については、イギリスのように統一した基準で国がそれにかかわっていくということが必要ではないかという質問なんでございますが、またこれに関連して後で御質問をさせていただきます。  こういう中間取りまとめが出ました。それで、瀬戸内海環境保全審議会で答申を年内にまとめる、このように聞いているわけですけれども、その中で骨子案というものが公開をされております。骨子案ですから、それが最終案になるかどうかまだわかりませんが、その骨子案の中に、海砂利採取への対応というところで、「海砂利採取の環境への影響の究明を行うとともに、対策検討を行うことが必要」、こういうふうな文章が瀬戸内海環境保全審議会が行う答申の中に入るという案でございますが、この対策検討というところですけれども、具体的にはどのようなことを考えていらっしゃるのでしょうか。
  91. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  冒頭に先生言及されました、これまでの四年間の調査では、海砂利採取が海底地形に与えた影響等については確認できましたけれども生態系に与える影響についてはまだ十分解明できていないというのが実態でございます。したがいまして、こういう制約のもとで、まだ具体的な対策検討を行うまでには至っておりません。  いずれにしましても、今年度から、生態系に与える影響調査実施することにしておりまして、その状況を踏まえて、具体的にどのような対策が必要かについて検討してまいりたい、こう思っております。
  92. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 中身のある具体策を早急に立てていただきたいと思います。  また、この骨子案の中にこういう項目がございます。「一方、海砂利の代替品に関する研究開発を積極的に進め、海砂利への依存度合の低減を図ることが必要」という項目がございます。  海砂利は瀬戸内でほとんど生産されているということもございまして、西日本では海砂利に頼る傾向が強くて、いわゆる代替材の開発が非常におくれている。東日本は、もともと海砂利は遠くにありますから余り使えないということで、代替材の開発が早くから進んでいることもあるそうでございます。  土木学会ではコンクリート資源有効利用小委員会というのができて、この委員長に広島大学の田澤教授がなられましたけれども、この教授の発言にも、使用済みのコンクリートをもう一度骨材として使えるようなそういう研究開発をしていく、その目的は海砂の使用の低減であるとまで明確におっしゃっております。  そういう意味で代替材の開発というのが学協会ではこれから大きなテーマになっていくようなんですが、私は、環境庁がリーダーシップをとって、もう海砂を使わない、そういう方向性を出すことが代替材開発の一番大きなイニシアチブになる、力になると思いますし、この面についての環境庁決意を伺いたいと思います。
  93. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 海砂の代替材の開発につきましては、瀬戸内海環境保全審議会でもその重要性指摘されております。環境庁といたしましても、関係省庁連携いたしまして、代替材の研究開発を積極的に進めてまいりたいと思っております。特に真鍋大臣からはリサイクルの重要性というものを強く御指導いただいておりまして、先生指摘のコンクリート廃材あるいは高炉スラグあるいは下水汚泥、石炭灰などのリサイクルを含めまして、循環型社会の構築に環境庁としても積極的に取り組んでまいりたい、こう思っております。
  94. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 ぜひお願いしたいと思います。  次に大臣にお伺いしたいんですが、実は大臣も香川県の選挙区、御出身でございまして、香川県が一番悪いんですよ。まずこれまでの例からすると香川県が一番たくさん海砂をとっている。昭和四十三年からのデータしかないんですが、香川が一・五億立米、広島が一・四、岡山が一・三、愛媛が〇・九、こうなります。しかし、広島は十年計画で全面禁止をいたしました。愛媛県も禁止の方向で、とにかく県内で使うだけだというふうに定めをいたしました。岡山県も採取区域の面積について規制をしつつあるということでございますが、香川はほとんど何もされていない。  特に、これは新聞情報で本当かどうかわかりませんが、海砂採取の中間取りまとめが出たときに、香川県の担当者は、掘れば深くなるのは当たり前だ、中間報告が出たからといって右から左に対策をとるのは無理だ、いかにも中間取りまとめが迷惑だというふうな発言をしている、そういうことでございます。  瀬戸内を守ろうと思って広島県だけが、また岡山県だけが努力をしてもしようがない。やはり瀬戸内というのはその周辺全地域のものでございます。今最終報告調査が進んでいるところだし、生態系への影響環境への影響があるかもしれないという段階なわけですから、例えば香川県についても規制の方向で努力していくという姿が非常にこれから瀬戸内の環境を守るために大きなインパクトになると思うんですが、大臣、いかがでございましょうか。
  95. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 私も瀬戸内で育った人間としてつらつら考えるわけでありますけれども、香川県の沖合、いわゆる瀬戸内海の海砂、砂利というのが非常に良質であるということじゃないかと思います。  と申しますのは、瀬戸大橋を初めといたしまして、鳴門大橋、尾道大橋、三つの橋が現在できておりますし、またつくりつつあるわけでありますけれども、これらに使う砂利材というのはほとんど瀬戸内海のいい砂でもって事業が行われておるということをお聞きいたしておるわけであります。  また、瀬戸内海の航路のしゅんせつということで、北ルートであるとか南ルートであるとかいうところのしゅんせつをやっていかなければならないほど、砂で埋没するところが多いわけでありますから、一概に砂を乱用するというわけでは私はないんじゃないかとも思っておるわけであります。  ちなみに、関西国際空港の砂なんかも香川県の砂でもってぜひ埋め立ててほしいということで特別注文があったようでございます。それがためにということで、小豆島の土なんかが、これは陸の方でございますけれども、随分関西空港まで運ばれたわけであります。さかのぼった歴史を見てみれば、大阪築城のときの石なんかも香川県からいかだで持っていったわけでありますから、それほどいい材料が香川県からは産出されておるんじゃないかということにもなると思うわけであります。  そんなことで、今までは香川県の海砂なんかも許認可の数が多かったわけでありますけれども、やはりそういう良質の砂を出すからいつまでもとっていいということには私はならないと思うわけであります。瀬戸内海の生態系の問題等々も考慮しながら、これからの対応を急いでいかなければならないということであります。  香川県も決して現状維持でおるわけではございませんで、毎年二%ずつ削減していくということで、環境庁環境影響調査にも積極的に参加いたしておるところでありまして、これはもう瀬戸内全体について環境保全を図りながら海砂の採取の問題についても考えていかなければならないと思っておるわけであります。  斉藤鉄夫先生はもう十分瀬戸内海保全のことにつきまして勉強なさっておるわけでありまして、また今後につきましても、いろいろと御意見をいただき御指導をいただきたいものだと思っておる次第であります。
  96. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 他府県が環境を守るために削減の方向に向けて努力をしている、その努力を香川県もぜひ認めて協調していくということが必要ではないかと思いますので、御出身でもございますし、環境庁長官のリーダーシップをお願いしたいと思います。  それから、先ほど関空二期工事の話が出ました。きょう運輸省さんに来ていただいているので質問したいと思いますが、予算委員会で私運輸大臣に質問いたしました。運輸大臣は関空二期工事に海砂を極力使わないように努力する、こういう答弁がございました。瀬戸内の環境を壊して瀬戸内に空港をつくってもしようがない、そういう声が多かったわけですけれども、その海砂を減らす努力をどのようにされているか、御答弁をお願いします。
  97. 岩村敬

    ○岩村政府委員 お答えいたします。  関西空港で海砂が使われるわけですが、これは埋め立てに使うとか、それから護岸のコンクリートの骨材として使うわけではなくて、実は泉州沖の関西空港の海底は軟弱地盤がございます。この軟弱地盤の改良に良質な海砂を使う必要がございまして、一期工事におきましてはこの海砂を使ったわけでございますが、この大部分、九九%が瀬戸内海から調達されたわけでございます。  二期工事につきましては、一つは工法の工夫、使用する量を減らす工夫ができるかどうか。それから代替材、先ほどもちょっとお話がございましたが、代替材の活用等によってまず海砂の使用量をできるだけ減らせないかという、今この検討を鋭意進めておるところでございます。  また、海砂を使う場合においても、瀬戸内地区だけではなくて、西日本全域において海砂の供給の可能性があるかどうか、ある県について現在調整を行っておる、そういうことで工夫をいたしまして、瀬戸内の海砂の利用をできるだけ減らす努力を今鋭意検討しておるところでございます。
  98. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 ぜひその御努力をお願いしたいと思います。  ちょっと時間が来てしまいました。最後に大臣に、この今の議論を通じて、瀬戸内海環境保全についての決意をお伺いしょうと思いましたが、時間が来てしまいましたので、これで終わりますが、リーダーシップをぜひよろしくお願いいたします。  終わります。
  99. 北橋健治

    北橋委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  100. 北橋健治

    北橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。武山百合子さん。
  101. 武山百合子

    ○武山委員 自由党の武山百合子でございます。  きょうは一般質問ということですので、いろいろな分野から質問をしたいと思います。  先回、地球温暖化対策推進法案が上がったわけですけれども、レビューということで、総排出量に関するものということでお聞きしたいと思います。  我が国の温室効果ガスの総排出量は一九九五年で三徳三千二百万トンということになっておりますけれども、一人当たり二・六五トン、計算をしますとそういうデータなんですね。それで、この点について九六年以降のデータがどうなっているのか、ちょっと知りたいと思います。それをぜひお聞かせ願いたいと思います。
  102. 浜中裕徳

    ○浜中説明員 御説明申し上げます。  ただいまお尋ねの二酸化炭素の排出量でございますけれども、確定的な数字として私ども発表させていただいておりますのは、ただいまお触れになられました一九九五年度の三億三千二百万トンという数字でございますけれども、その後、九六年度につきまして私どもとして暫定的な計算結果を最近まとめておりまして、その結果によりますと、約三億三千六百万トンということでございまして、まだ暫定的な値ではございますが、九五年度に比べまして約四百万トンほど増加をしているという現状でございます。
  103. 武山百合子

    ○武山委員 局長さん、それは九六年度という意味ですね。そうしますと、九七年度はまだ出ていないのでしょうか。データの集計がこれでは非常に遅いですね。そうなりますと、政策の評価が後手後手になる。すぐ出ないというところにやはり問題があると思うのですね。  地球温暖化対策推進法案では五年後の見直し規定がありますけれども、ではそのときに出てくるデータは何年のデータになるのかなとやはりぱっと思うわけですよ。今スピードに一番欠けているわけですね。行政が順応できない、そこに一番の問題があるわけでして、法律施行以前のデータが出てきても無意味じゃないかと思います。  スピーディーなデータ環境庁としてはどう対応していくのか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
  104. 浜中裕徳

    ○浜中説明員 お答えを申し上げます。  一九九七年度のデータも出ていないのか、こういうことでございますが、例えば、二酸化炭素の排出量の大宗を占めておりますのがエネルギーの消費に伴うものでございまして、これにつきましては、毎年通産省がエネルギー需給実績の速報というものをまとめております。これは、例年九月ないし十月ごろにまとまるわけでございます。九七年度につきましては、年度が終了いたしまして、そういう意味ではそろそろことしの速報が出てくる。それに基づきまして、燃料種別に排出係数を乗じて算定をするというのが速報の仕方でございます。そういう意味で、まだ九七年ができていないという事情でございます。  いずれにいたしましても、せっかく法案をつくっていただくということになりますと、それに基づいて対策が的確に講じられたかどうかについては、やはり排出量の動向をきちっと把握することによって初めて結果が出てくるというふうに私どもも認識しております。そういう意味で、対策を講じていく上で極めて重要な情報であると認識しておりますので、この法案第十三条において総排出量の算定及び公表は政府の義務として規定されていることにもかんがみまして、できる限り速やかに排出量把握公表が行えるように作業の迅速化に努めてまいりたい、このように考えております。
  105. 武山百合子

    ○武山委員 何回も言うことですけれども、いつも同じ答弁なんですね。これはやはり変えないといけないと思うのですよ。十年一日のごとく同じ答弁、迅速かつスピーディーにというのは、どこに問題があってどうスピーディーにできないのかというのを、やはり今環境が本当に問題だということを、言葉だけじゃないのですよ、そこに行動と実行が伴わなければいけないのですね。いつも同じ言葉を吐かないということを環境庁はやはり肝に銘じないといけないと思うのですよ。いつも同じ答弁をしない、ぜひそう努力していただきたいと思います。  政府は毎年、温室効果ガスの総排出量を算定して、公表するとしているわけですけれども、その際、物質別なのか、部門別の排出量公表されるのかどうか、また国会への報告はどのようにされるのか、その辺明らかにしていただきたいと思います。
  106. 浜中裕徳

    ○浜中説明員 集計、整理の仕方、それから報告公表の仕方ということであろうかと思いますけれども、これにつきましては、この法案におきましても対象を六つの物質とさせていただいているところでございますので、それぞれの物質ごとの排出量は集計が必要でございます。  そのほかに、排出量で、例えば代表的なもので二酸化炭素に例をとらせていただきますと、部門別にどのぐらいに分けて計算をするかという問題がございます。これにつきましては、現在、例えば京都議定書におきましてはIPCCの一九九六年改正ガイドラインを用いるということになっておりまして、このガイドラインにおきましては、例えばエネルギー部門あるいは製造業、製造業につきましても、例えば化学産業であるとか金属製造業であるとか、このような細分化が求められております。それから運輸部門、その他の部門といった形で表示をすることが求められておりますので、私どももできるだけそれに準拠して数字を出してまいりたいというふうに考えております。  これらにつきましては、当然その把握、計算をいたしまして、公表をさせていただくわけでございますので、そうしたことを通じまして先生方にも御報告をさせていただきたい、このように考えております。
  107. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、明確にもう一回答えていただきたいのですけれども、国会への報告ということは今わかりましたけれども、いつから公表されますか。
  108. 浜中裕徳

    ○浜中説明員 もちろん法案が成立いたしますと、それの施行準備を進めていくわけでございますから、私どもといたしまして、それ以降最直近年度のデータにつきまして集計をし、公表をさせていただきたい、このように考えております。
  109. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、来年からということになりますね。それでよろしいですね。参議院の方が上がればという意味ですけれども
  110. 浜中裕徳

    ○浜中説明員 この法律は、公布の日から起算して六カ月を超えない期間内で政令で定める日から施行する、こうなっておりますので、大体来年の春くらいではないかというふうに想定をしておるわけでございますから、来年度からということになろうかと思います。
  111. 武山百合子

    ○武山委員 では、そのころを待っております。  次に、政策アセスメントという形でちょっとお聞きしたいと思います。  温暖化防止対策は、今までのいろいろな制度を整理して、総合的かつ効果的な対策実施するということでできたわけですけれども、まず、環境庁長官が、温暖化に関するそれぞれの分野の活動に対する政策の立案それから実施に当たって、温暖化防止の視点から、まず十分なのかどうか、問題はないのかどうか詳細に評価し、必要な場合には修正意見を出せるようにすることが必要ではないかと思っているのですけれども、その辺の見解はどうでしょうか。
  112. 浜中裕徳

    ○浜中説明員 お答えを申し上げます。  政策アセスについてのお尋ねでございますけれども、これは先般御審議を賜りました地球温暖化対策推進法案におきまして、御存じのとおり、第十四条におきまして、環境庁長官関係行政機関の長に対しまして、温室効果ガスの排出の抑制等に資する施策の実施に関し、必要な協力を求めることができるという規定を置かせていただいているところでございまして、私どもといたしましては、まずはこの法案に基づきまして、毎年行っております各省庁の施策の実施状況調査、あるいは中央環境審議会における議論、あるいは環境基本計画の点検結果などを活用いたしまして、的確な協力の要請となるように努めてまいりたい、このように考えているところでございます。  なお、御指摘の政策あるいは計画の立案段階におけるアセスメントにつきましては、その方法などにつきましてまだ検討すべき課題が多く残されているというふうに認識をしております。そこで、こうした新しいアプローチにつきまして、国際的な動向や我が国での現状を踏まえまして、具体的な検討を進める必要があると考えております。  そのため、環境庁におきましては、諸外国の状況について、現在、専門家の方々に御協力をいただきながら調査を行っているところでございます。
  113. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、必要な場合には修正意見を出せるわけですね。
  114. 浜中裕徳

    ○浜中説明員 お答えを申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、まだその方法についていろいろな検討課題があると認識しておりますので、我が国のこの問題に関する第一線の専門家に集まっていただきまして、企画調整局長の委嘱による戦略的環境アセスメント総合研究会というものを設置したばかりでございます。  そこで、諸外国における制度導入考え方や目的、あるいは制度の概要や諸外国における実施具体例などについての検討をしていくことになっておりますので、そうした中において、お尋ねのような点も含めまして検討を深めてまいりたい、このように考えております。
  115. 武山百合子

    ○武山委員 その場合、自分の国の基本的考え方はどうか。それから、これから実際に国内的な法整備をしていくわけですけれども、その中でいろいろな意見が出たらやはり修正を加えていくというグランドデザインがないと、まだ一歩も進んでいない、そこまでまだ一歩も行っていない、これから集約する前の意見を出してもらって集約する、そういう状態だということですよね。グランドデザイン、先の方向性、やはりこういうものが出たらこういうふうにする、こういう考えが出たらこういうふうにするというシミュレーションといづのは幾つもあっていいと思うのですよね。  今までどおりの、何しろ牛の歩調みたいに、一つやってみては後ろを振り返ってみて、また一歩進んでは後ろを振り返ってみてという牛歩ではなく、やはり前に向かって進んでいく、こういう意見が出たらこう修正するという柔軟なやはりシミュレーションというのは絶対にこれから必要なのですよね。  グローバルな視点でないと、日本はやはり世界の中の日本で生きていかなければいけないわけですから、そういうところを考えていただきたいと思いますけれども、もう一回御答弁願いたいと思います。
  116. 浜中裕徳

    ○浜中説明員 戦略的環境アセスメントにつきましては、ただいま申し上げましたようなことで、今後専門家の御協力を得ながら検討を進めていくということになるわけでございますので、ただいま先生から御指摘が種々ございました点も貴重な参考意見とさせていただきたいと思っております。  温暖化対策につきましては、先ほど申し上げましたとおり、法案において環境庁長官協力要請規定がございますので、これを的確に運用させていただきまして、的確に各省庁に対して協力要請ができるようにしてまいりたい、このように考えております。
  117. 武山百合子

    ○武山委員 環境庁はどういう考えなのかということを聞きたいのです。専門家とか委員会でとか、人の意見を常に聞くということは非常に大事なのですけれども、では、環境庁はそれに対してどういう方向で進んでいくのかという将来の方向は絶対必要だと思いますよ。  もう一つ、次に進みますけれども、温室効果ガスの排出は社会の多様な活動分野にかかわっているわけですけれども、そのすべてを法案に取り込むことはほとんど不可能だと思うのですよね。だからといって、それぞれの分野での個別の対応にゆだねていてはもう効果的な対策は行えないと思うのですね。温暖化防止という視点から政策アセスメントというものをどういうふうに考えているのか、その辺の見解を伺いたいと思います。
  118. 岡田康彦

    ○岡田政府委員 お答え申し上げます。  まず、政策アセスメントそのものについてお答えを申し上げたいと思います。  先ほどもう既に浜中地球環境部長の方から御答弁申し上げたとおりなのでございますが、実はこの話は環境影響評価法案の御審議のときまで議論がさかのぼります。あるいは、もっと前に中央環境審議会の答申「今後の環境影響評価制度の在り方について」というところまでさかのぼります。  実は、中央環境審議会の答申の中におきましては、現時点では、上位計画あるいは政策における環境配慮をするための具体的な手続のあり方を議論するにはなお検討を要する事項が多く、また、諸外国においてもその取り組みが始められつつあるような状況にある、したがって、政府としてはできるところから取り組む努力をしつつ、国際的動向や我が国の現状を踏まえて、今後具体的な検討を進めるべきである、こういう答申をちょうだいしました。  したがって、それを受けましてこれは議論をしなければいけないということで当然議論をしているわけでございますが、何分、戦略的環境アセスメントという言葉は、言葉としてはアセスメントという言葉を使っておりますが、個別の事業や計画の実施のアセスメントとは違いまして、いわばそういう個別の事業の計画や実施に枠組みを与えることになる上位計画、例えば○○五カ年計画みたいなものはそうなりましょうし、あるいはアメリカなどですと、特定の政策そのものを一つ一つチェックしていくというような形になります。したがいまして、当然、手法も通常の個別の事業ごとのアセスとはまた違う形になるわけでございます。  そうした性格なものですから、衆議院、参議院、それぞれの環境委員会、環境特別委員会でも、環境影響評価法案の御審議の際に附帯決議をちょうだいしまして、調査研究を推進しなさい、それから国際的動向や我が国の現状を踏まえて、制度化に向けて具体的な検討を進めなさい、こういう宿題をちょうだいしております。  それを受けまして、先ほど浜中部長の方から申し上げましたように、私どもで勉強会をつくり、立ち上げまして、現在、一つは、内外の関連制度実施状況について、学識経験者による研究会で検討をお願いしておりますし、またさらには、そういう局内の、学者さんを中心とした検討だけではなくて、諸外国の専門家を招いて国際的ワークショップを開催することによって、世界の取り組み状況等についても把握していこう。  要は、こういうことに私どもが取り組んでいるということは、まだまだ若干時間はかかるかとは思いますが、国会で附帯決議でいただいた宿題、あるいは中央環境審議会の答申でいただいた宿題に対して的確にこたえるべく努力をしているということだと御理解賜りたいと思います。
  119. 武山百合子

    ○武山委員 政策に本当にアセスメントが適用されるようになれば、本当に質の高い政策が実行できるということですね。ですから、そういう方向で日本の国が行けたらいいなと私は希望しております。  それでは、その次の視点に移ります。大阪能勢町の美化センターダイオキシン、この件について幾つか質問したいと思います。  午前中、ある委員からも出ておりましたけれども、この能勢町のセンターの周辺土壌、これは八千五百ピコグラムという高濃度ダイオキシンなんですね。なぜこのような高濃度となったか、その原因について環境庁は分析をどのようにしているか、その辺をちょっと聞きたいと思います。
  120. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 今回の能勢町の高濃度汚染でございますけれども厚生省調査によりますと、まず第一に、この焼却施設につきましては、開放型の冷却設備というものを設置しておりまして、まず廃棄物を焼却しますとそこではいじんが出ます、それに対して水でもってそのばいじんを吸着するというようなことになっております。それで、その水につきましては、循環利用いたしまして、そして冷却しながら再利用している。その際に、冷却塔に上がった冷却水が霧となって付近に飛び散っておった、これが第一でございます。  第二といたしまして、ばい煙を洗った水自身が一部オーバーフローしておって敷地内の土壌汚染した、こういうふうに認識しております。
  121. 武山百合子

    ○武山委員 環境庁は二十一日に、このセンターと同様の排煙浄化装置を持つごみ焼却場三十六施設、立地している地方自治体に対し緊急立入調査実施するよう指示したわけですけれども、問題は、今回の高濃度汚染は、開放冷却塔の焼却炉のために起こった問題だということですけれども、ほかの焼却炉では起こり得ないんでしょうか。
  122. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 これにつきまして、施設管理が万全であればという前提でございますけれども、これは抑制されるものと思います。しかし、これは神のみぞ知るという側面もございますので、私ども、二十一日に豊能ごみ焼却施設類似施設に対しまして、大気汚染防止法、これはばい煙発生施設というものに着目してでございます、また、水質汚濁防止法、これは一般廃棄物処理施設である焼却施設、これは特定施設になっておりますので、それらの施設運転状況について立入検査を行うということにしたわけでございます。そして、立入検査を行ってその上できちんと判断をしていきたい、こう思っております。  なお、施設の管理運営を監督している厚生省及びその管轄下の地方自治体においても、別途いろいろな調査が行われると承知しております。
  123. 武山百合子

    ○武山委員 我が党は調査団を派遣して、私もそこに参加したんですけれども、この能勢町の町長さんにお会いしましたら、当時はもうパニック状態だったんですね。どうしたらいいかわからないという状態で、やはり自治体の長たる者、その地域によって、人口の構成にもよりますし、本当にいろいろな問題で機能できていないような状態だったんですよね。どう対応したらいいかもわからないし、何を聞かれてもわからないというような状態で、パニック状態だったんですね。  ですから、地方自治体、全国に相当数あるわけですけれども、その地方自治体の中でも、人口の構成に応じて、また地域の状態に応じて大変差があるということを痛感して帰ってきたわけですけれども、今後、こういう三十六施設に対してだけではなく、他の焼却炉の検査も行うんですか。その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  124. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 三十六施設以外につきましても、湿式でもってばい煙を洗い、そして対応するという施設が、三十六施設を含めて厚生省調査ですと二百施設ぐらいあるということでございます。それに対しましては、まず一番重要なのは、今後、厚生省とも連携いたしまして、これら施設について運転状況等がどうなっているかをいろいろ調査したい、こう思っております。
  125. 武山百合子

    ○武山委員 ぜひ調査していただきたいと思います。  この能勢町に伺いましても、住民は本当にもうあらゆる角度から、住民立場から情報を得ております。住民との懇談会も持ったわけなんですけれども住民住民立場から、あらゆる世界的な情報も持っておりましたし、かなりいろいろと情報を持っている現状を実はかいま見て戻ってきたわけなんです。一方的に省庁省庁だけの考えでするのではなく、やはりこれからの地方自治体と国とのかかわりの中で、この問題を通してでも、納得のいく形でやはり情報を開示していかなきゃいけないんじゃないかということを痛感したんですね。  それはなぜかといいますと、先ほど午前中もお話に出ていたかどうか、自治体を信用していない部分があるんですね、住民が。すなわち、数値が改ざんされているんじゃないか、それからごみ焼却場のいろいろな運営管理に対して、行政側がきちっと返答ができない。技術管理者等対応できない状態だ。一つ二つ質問されてもわからない状態だ。やはり起こるべくして起こったのかなという印象も持って実は帰ってきたわけなんですね。  ですから、今後他の焼却炉も調査するということですが、これはもう本当に日本国民はだれでもが危機管理という立場で同じ危機感を持っていると思うんですね。ですから、ぜひ危機管理という点で、念には念を入れて調査していただきたいと思います。  そして、このセンターの周辺汚染した土壌についてですけれども、まず、今後どのように処理するのか。数カ月前に行きましたときは、四国のある地域でそれを処理するという受け入れ先が見つかったということでしたけれども、その後すぐ撤回して、もう受け入れできないというような返事が来たということも聞いております。ですから、現在、高温で化学的脱塩素化とかセメント固化等の技術がありますけれども、どんな技術を用いるのか。また、汚染された土壌は交換するのかどうか、その辺の見通しについてぜひお聞きしたいと思います。
  126. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 能勢町の汚染された土壌をどう処理するかという点でございますけれども地元におきましては、大阪府が中心となりまして、汚染土壌除去しまして、それを一時保管したり、汚染された土壌を新しい土壌で覆うなどの対策予定しているということでございます。このうち、高濃度汚染された部分につきましては、焼却炉の設置者である豊能環境施設組合が主体となりまして、土壌除去などの工事に着手したと了知しております。  それで、私ども環境庁といたしましては、地元取り組みに対しまして、厚生省とも連携しまして、汚染拡散防止などの技術的な支援、これに努めてまいりたいと思っております。
  127. 武山百合子

    ○武山委員 もうちょっと詳しく知りたいんですけれども、そうしますと、土壌はある部分は交換をするわけですか、それの受け入れ先も決まっているんですか。
  128. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 土壌を高濃度汚染された地域につきましては、これの表土を取り除きまして一時保管するというような方向で検討が進んでおる、それ以外の低濃度のところについては、いろいろ被覆するとかそういう方向で検討が進んでいる、こう理解しております。
  129. 武山百合子

    ○武山委員 もうちょっと詳しくお聞きしたいんですけれども、では、汚染されたものを保管して、土壌を改善してまたもとに戻すという技術的な手法をとるんですか。その辺ちょっとわかりやすく説明していただきたいと思います。
  130. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 その点につきまして、一番問題なのは、土壌に含まれるダイオキシン類の浄化の仕方、分解除去、これについて我が国でまだ事例がございません。ただ、実験室あるいはプラントベースでの技術というのはいろいろございます。したがいまして、いろいろ環境庁としてこういう面での技術的な支援というものは今後検討していかなきゃならぬのじゃないか、こう思っております。  もしそれで浄化できるならば、浄化された土はまたもとに戻すということはあり得ると思います。ただ、これは仮定の議論でございまして、今後の技術的な対応にかかっているというふうに御理解いただきたいと思います。
  131. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、一時的に保管だけを考えて、その間にいろいろ諸外国の例を見ながら対応検討していくというようなことですか。
  132. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 現在地元検討されている対応の方向というのは、一時保管というところが最大の限度でございまして、それ以降の件につきましては、今先生指摘のようなラインと理解しております。
  133. 武山百合子

    ○武山委員 本当に大量の土石ですよね、あそこに伺いましたけれども。山になっているわけですから、本当に大変だなというのが今出る言葉なのですけれども、そうなりますと、技術的にどうするか。今までに蓄積されたものがないということですけれども、オランダか何かでは土壌を全部入れかえたようなことがたしかあったと思うのですね。  オランダやドイツでは、土壌ダイオキシン汚染についてガイドラインを設けているわけですけれども、例えばドイツでは、一グラム当たり五ピコグラムを目標値として、五・四ピコグラムだったら農地では検査をするとか、それ以上だったら農地はもう利用制限するとか、百ピコグラム以上だったら子供の遊び場の浄化対策といったきめ細かいガイドラインを設けているのですけれども、日本にはこういうガイドラインがないわけですね。  今回、この問題がクローズアップされているわけですけれども、この対症療法で処理するのではなく、抜本的なダイオキシン対策をとるべきだと思いますけれども、その前にガイドライン、その辺はどのようにお考えでしょうか。
  134. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  ダイオキシン類によります土壌汚染につきましては、科学的に未解明な部分が非常に多いということでございます。それで、多くの先進国におきましては、ガイドラインもあるいは法的な規制基準も設けていない実情にあります。ただ、そういう中で、今先生指摘のありましたようなドイツ、オランダにおきましては、ガイドライン的な指針というものを定めておるところでございます。  それで、我が国でございますけれども、これは各国によって人間の行動パターン、例えば卑近な例でございますけれども、靴を履いたまま家に上がるかとかあるいは子供の体格の違いとかいろいろございますので、各国ごとに検討をしなければいかぬという問題があるのでございますけれども我が国におきましては、ダイオキシン類による土壌汚染につきまして、専門家の御意見を今聞きながら、対策の推進に必要な指針の設定を含めて検討を進めておるところでございます。十年度中にはこれについて一つ報告をいただきたいということで、鋭意検討を進めているところでございます。
  135. 武山百合子

    ○武山委員 環境庁は、ダイオキシン発生源対策として、昨年、大気汚染防止法の施行令を改正して大気中のダイオキシン濃度の規制基準を設けたわけですけれども、規制基準は大気のみで、水質、土壌については本年度から五カ年計画でモニタリングをしていくとしか書かれていないわけですね。ダイオキシンの総合的な対策を進めていかなければやはり解決にならないと思うのですね。それを進めていく上で水質も土壌についても早急に基準を定めるべきだと思いますけれども、その辺はどういう方向で今進んでおりますでしょうか。
  136. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 まず第一に、土壌についてでございますけれども土壌につきましては、先ほど申し上げましたように、ダイオキシン類汚染された土壌についてのリスク評価手法とかそれの対策手法を検討する一環でガイドライン的なものが追求できないかということの検討を行っております。  それに、今度排水基準について何かできないかという点でございますけれども、これにつきましては、平成二年より私どもダイオキシンについての水質調査をずっと実施してきております。先生も御指摘のとおり、本年度は、その延長線上で全国二百カ所の水質、底質、水生生物あるいは各種発生源についてのダイオキシン類調査実施することとしております。かつまた、今回の三十六施設についてもいろいろな緊急の調査をやっていきたいと思っております。  そういうふうな調査結果を踏まえて、現在学識経験者から成りますダイオキシン排出抑制技術検討会というものを開催いたしまして、いろいろ今後出る調査結果につきまして議論いただき、排水について必要な対策検討を行っていく、こういう段階でございます。
  137. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、いつごろ基準値を出そうというふうな方向でしょうか。ちょっとお答えを聞きたいと思います。
  138. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  まず、私ども、基準値という法的なものに基づくものについては、ダイオキシン類についての科学的知見というものがまだいろいろな意味で蓄積されておりませんので、ガイドライン的なものを追求するということでございます。それで、土壌関係については、検討会での報告を今年度中にいただけないかということでやっております。  ただ、水の方につきましては、公共用水域の水質中のダイオキシンにつきましては、今までの調査ですとほとんど出ない、未検出もしくはごく微量の検出となっておりまして、排出規制というのは非常に難しい実態にございます。  したがいまして、こういう実態でございますので、こういうような実情を踏まえてどういうふうなダイオキシン排出抑制対策を講じていくか、そういう検討のアプローチが妥当なのじゃないかということで今議論しておるところでございまして、この件についてはちょっと時間がかかろうと思います。
  139. 武山百合子

    ○武山委員 国民は不安であるというのが今の前提条件なのですね。ですから、やはり不安を解消するということが行政や立法府の責任だと思うのですよね。ですから、やはりここまでの状態はこういう状態であると公表できるような形に早急にしていただきたいと思います。
  140. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 現在、ダイオキシンにつきましては五カ年計画で調査実施しております。そして、国民の不安を解消する一つの手だてとして、調査結果について適時的確に御提供申し上げる。特に、水について、これはダイオキシンは一般に水に溶けにくいということで、調査しても値が非常に小そうございます。そういうふうな調査結果については適時的確に御提供申し上げて、国民の方々の判断に供してまいりたい、こう思っております。
  141. 武山百合子

    ○武山委員 どうもありがとうございました。
  142. 北橋健治

    北橋委員長 藤木洋子さん。
  143. 藤木洋子

    ○藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。よろしくお願いいたします。  私は、三月十二日の当環境委員会におきまして、東芝名古屋分工場地下水土壌汚染問題を取り上げて、環境庁は、現時点に立ちまして、有害化学物質を使用していた企業の汚染実態の総点検を一斉に行って、汚染原因者による浄化対策徹底する必要がある、このように環境庁対応をただしてきたところです。  六月三十日になりまして、環境庁都道府県、政令市に対し「事業場内の地下水汚染に関する対応について」という通達を、また通産省関係業界二団体に同様の通達をお出しになりました。環境庁把握している現時点までの電気事業場についての地下水汚染判明が出ておりますけれども、これでは二市十四道府県の二十一サイトというふうになっております。  例えば、松下電器の地下水土壌汚染は、大阪府の高槻市にある松下電子応用機器で環境基準の九千四百倍、また、北海道千歳市の北海道松下電器が五千二百倍、滋賀県草津市の松下電器エアコンが二千三百六十倍、その他、徳島、愛媛、香川、大分、福井、新潟、宮崎、奈良、岡山、鹿児島、三重。そして東芝の場合ですけれども、名古屋市の東芝名古屋分工場で一万六千五百倍、その他、大阪、埼玉、大分、静岡、川崎、兵庫などなど、大企業による地下水土壌汚染というのは全国的な広がりを示しております。  問題は、これほどの大企業の汚染の広がりが、今までどうして実態の把握やまた対策ができなかったのかという点なんですが、その点について大臣はどのように御認識になっていらっしゃるか、御見解を述べていただきたいと思います。
  144. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 まずもって、実態の調査には懸命な努力をいたしておるところであります。  地下水汚染対策につきましては、これまで、有害物質の地下浸透禁止、地下水水質の監視、浄化措置命令の導入等の制度を順次整備してきたところであります。昨年以来、企業みずから、事業場内の地下水汚染調査に乗り出すとともに、浄化対策に取り組んでおります。このような動きは、政府による制度の整備が促したものであると思っておるところであります。  いずれにしましても、今後とも、地下水汚染対策が一層進められますように、環境保全観点から対応を強化していきたいと考えております。
  145. 藤木洋子

    ○藤木委員 大臣の御認識を伺いましたけれども、余り十分だというふうにはお見受けいたしません。  といいますのは、国立環境研究所の有機塩素化合物の環境中放出量に関する試算というのがございまして、これを見ますと、国全体の残留量が年間一万七千トンということでございます。そのうちの六五%が大気、それから二九%が水ですね、四%が土壌に含まれているとしているわけです。  そこで、松下が使用しておりました七一年当時のトリクロロエチレンの国内生産量は、実に八千四百万リットルでございますから、使用量が仮に六千万リットルとしても、その五〇%の三千万リットルが一年間に放出されていたということになりますよね。そのうち、水に八百七十万リットル、土壌に百二十万リットルが含まれるということになります。この量が実に三十年間も放出し続けていた結果、それが全国至るところで深刻な地下水土壌汚染を引き起こしている状況になっているわけでして、こうした実態を十分に把握して対策を講じなければなるまいというふうに思うわけですね。  そこで、具体的にお伺いをしたいと思うのですけれども、東芝は、八三年の兵庫の東芝姫路工場太子分工場、また八七年には千葉県の君津市の東芝コンポーネンツで、そして昨年十一月には東芝名古屋分工場汚染事故と、実に垂れ流しの常習犯ともいうべき会社でございます。東芝は、これら汚染事故の教訓を全く生かしておりませんで、ずさんな企業管理をしてまいりました。  東芝に共通しておりますのは、まず、汚染を発見しましたら、一年半以上も市には報告をしない。そして、ないしょで浄化対策をする。有機溶剤をどれだけ使用し、どれだけ回収したかも明確にできない。汚染原因汚染範囲もいまだに明確になっていないということになっております。  私は、先ごろ、大阪の高槻市にございます松下電子応用機器を調査してまいりましたけれども、松下電子の場合も東芝の対応とほとんど同じですね。九五年の十月に土壌、九六年の十月には地下水汚染調査して、環境基準の九千四百倍という検出をしておりますにもかかわらず、ないしょで浄化対策検討していながら、高槻市に報告をしたのはそれから一年半たったことしの四月ということになっております。こうしたことが、この期間、周辺住民を危険にさらし、客観的で科学的な浄化対策などの汚染対策をおくらせてきた、そういう点で企業の責任は極めて重いと言わなければならないと思います。  そこで環境庁に伺いますが、六月三十日の通達による報告がなされる場合、今後こうした事態が起こらないように指導することになっているのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  146. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 まず企業からの報告の私どもの指導でございますけれども、昨年十一月の通達によりまして、都道府県に対しまして地下水の監視体制の強化を指示しました。また、先生指摘のように、ことしの六月三十日には電気、電子業界に対し自主調査実施と自治体への報告を要請したということがございます。さらに、都道府県、政令市に対しまして、事業者への助言、指導などの適切な対応を要請したところでございます。  これによりまして、今後自治体において適切な対応を行うということが期待されておりますので、事態は改善、事態は適時的確な報告等々があろうと考えております。     〔委員長退席、佐藤(謙)委員長代理着席〕
  147. 藤木洋子

    ○藤木委員 報告のおくれによって住民に危険、それから不安、そういうものを与えるべきではないと思います。だから、危険にさらされることがないように十分な指導を行っていただきたいと思います。  松下電子は二十八年間、五百二十四トンの有機溶剤を使用しておりましたけれども、回収量も全くでたらめでございまして、工場敷地外の汚染はわからないという無責任さでございました。汚染原因としまして、洗浄後の移動時に滴がコンクリート床に落ちて地下に浸透したのではないかとか、処理業者に渡す際こぼれたなどの原因考えられるという言いわけをしておられます。しかし、実際の原因は全くはっきりいたしません。  それだけではございませんで、使用量五百二十四トンのうち回収したのが八割、地下浸透したものが二割程度だということを言っておりますけれども、これも全くでたらめでございます。八九年の法規制によります受け皿を設置した以後の回収量を推定して、二十八年間全体にこれを当てはめたものにすぎません。つまり、逆算方式で出しているだけのことなのですね。事実に基づいたものではないという問題です。  ですから、これは、使用量五百二十四トンのうち法規制がかかる八九年以前の量が三百九十四トンでございますから、八九年以降は百三十トンとなっているわけで、地下浸透が禁止され、受け皿が設置される以前の垂れ流しの量というのは二割程度では済まないということは一目瞭然であります。地下浸透の量をできるだけ少なくしようとする企業の姿勢があらわれていると言わなければなりません。  環境庁に伺いますけれども、通達による調査と、それから対応を指導される際には、汚染原因汚染量などについても十分に実態を把握できるようにしていただきたいと思うのですが、そのようになりますでしょうか。
  148. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 地下水汚染調査対策を的確に行うために、平成六年十一月に局長通知、私ども局長通知でございますけれども、有機塩素系化合物等に係る土壌地下水汚染調査対策暫定指針というものを出しております。これによりまして、汚染原因と目される対象物質の使用量及び排出量等の実態を把握するようにしているところでございます。  御指摘の点についても、可能な限りこの通知に基づきまして把握してまいりたいと思っております。     〔佐藤(謙)委員長代理退席、委員長着席〕
  149. 藤木洋子

    ○藤木委員 汚染原因汚染量というような実態を十分把握しなければ企業の責任も問えないだろうというふうに思いますので、その辺はあいまいにすることなく、ぜひ指導をしていただきたいと思います。  また、松下電子は、ボーリング調査の結果、工場敷地内の汚染にとどまっているといたしまして、敷地外の汚染調査は行政の仕事だ、こう言っているのですね。行政はどうかといいますと、大阪府の要領に従いまして、周辺五百メートル付近の既設の井戸を調査しております。ところが、有害物質が検出されなかったので健康障害に心配はないとしているわけです。  企業は、汚染箇所が境界付近にありまして、南東に地下水が流れているということを承知していながら、敷地外の調査をしようとはしておりません。  行政も真横での広がりを推定しているわけですけれども、しかし、今やらなければならない緊急対策は浄化対策だと言って、財政難を理由にしながら、みずから境界付近のボーリング調査をしようとはしておりません。企業にも求めておりません。周囲五百メートル付近の十六本の既設井戸のうち、南東側の五百メートルの外の二本から検出されなかったというだけでは汚染の広がりを確認できたとは言えません。適正な浄化対策もできないというふうに私は思います。  そこで環境庁、これだけ高濃度汚染が境界付近で検出されているわけですから、通達による調査対応を指導される際には、汚染企業の責任と負担で汚染の広がりについてきっちり調査をして対策を図るべきだと思うのですけれども、その点はいかがでございましょうか。
  150. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 まず基本的な原則でございますけれども汚染対策、これについては汚染者負担の原則というのがございますので、浄化対策実施はこの原則をもって対応していただくということであろうと思います。  ただ、いろいろなケースがございますけれども周辺調査について、調査公平性の確保の問題とか、あるいは必要に応じまして、健康被害を生じているような地下水汚染、これについては行政庁として浄化命令を出さなきゃいかぬというようなケースがある場合には、これは周辺調査は行政庁がやっていかなきゃいかぬ、そういう側面もあるという点は御理解いただきたいと思います。
  151. 藤木洋子

    ○藤木委員 現行の法制度範囲では、汚染が敷地境界内かあるいは外まで広がっているかという点に関しては、もう指導上大きな違いが出てくるわけですから、企業の責任で調査をするというような指導をぜひしていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、六月三十日の通達は、あくまでも要請するという法的根拠のない行政指導にすぎません。  そして、こうした企業の姿勢や国の対応を見ておりますと、やはり地下水土壌汚染に対する制度上の問題があるのではないかと言わざるを得ないと思います。それは東芝や松下の事例で明らかでございますけれども水質汚濁防止法などの日本の制度には、汚染工場敷地内にとどまったり、あるいは周辺地域に水道があって人の健康被害発生のおそれがないと行政には立入検査実施する権利もございませんし、浄化のための改善命令を出す権利もございません。これらは、水濁法の第十四条の三や規則九条の三の第二項を見れば明らかです。  米国のスーパーファンド法では、汚染責任を負担する者として潜在的責任当事者に過失を問わない。つまり、過失の有無にかかわらず厳格責任を課しているところです。さらに、潜在的責任当事者には、連帯責任と遡及責任の考え方が定着しております。  そこで環境庁、今起こっております企業内の汚染対策は企業任せで、兵庫県の太子町の東芝分工場の例を見ればよくわかりますけれども、基準の百倍の汚染が判明してから十五年たちますけれども、改善は遅々として進展しておりません。企業の敷地内の汚染ではあっても汚染の遡及責任と汚染者の連帯責任を明確にして、早急な浄化計画の策定や基金制度導入など法整備をするべきではないかというふうに思うのですけれども、その必要があるのではないでしょうか。
  152. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 先生の御指摘の点でございますけれども、実態把握がまず第一でございます。これにつきましては、先ほど私御答弁申し上げましたように、平成六年に調査対策暫定指針を出しまして、それで実態把握に努め、かつ浄化対策の推進も図ってきている、こういうことでございます。  その後も現実的な対応といたしまして、新浄化技術の実証試験とかあるいは浄化汎用装置の開発調査なんかを進めてきておりまして、これらの成果を先ほどの指針に織り込んで充実させていく、そして現実的に実態把握と浄化をいろいろ指導して進めていく、こういうことが現実的なステップではないかと思っております。  かつまた、法制度の面で申し上げますと、平成元年に、先生指摘のとおり、まず有害物質の地下浸透禁止と、あと地下水の常時監視規定を導入いたしました。そしてまた平成九年には、浄化措置命令を導入してきておるわけでございます。  そういう法制度の整備の中で、いろいろ今後の汚染の抑制及び汚染されたものについての浄化改善というものにこの法制度の運用をきちんと図ることによって対応していくというのが今現実的な対応じゃないか、こう判断しております。
  153. 藤木洋子

    ○藤木委員 いろいろ法制上の改善だとかそういったことを通じてよくしていくんだというふうにお話してございますけれども、たとえ汚染事故が過去のものであったとしましても、その汚染が現在そして将来にわたって継続しているというものにつきましては、汚染者には遡及責任と拡大連帯責任を負わせる、そういう法制度の整備を行わなければ一体だれが責任をとるのか、被害だけを専ら受けるということが続くわけです。ですから、これからも発見される過去の化学物質による環境汚染に対処できないということでは困ると思うわけですね。  水濁法の第十二条の三、特定地下浸透水の浸透の制限というのでは、有害物質使用特定事業場から水を排出する者は、特定地下浸透水を浸透させてはならない、今おっしゃったとおりでございます、そういうふうにしていらっしゃいますけれども、有害物質を地下にしみ込ませても罰則はありませんよね。もちろん、立入検査だとか報告徴収だとか、あるいは改善命令と進んで、その改善命令に従わない場合は罰則がかかるというふうにはなっておりますけれども、有害物質を地下浸透させることそのものに罰則があるわけではございません。  そこで環境庁、有害物質を地下浸透させた場合、過失を問わない、つまり過失の有無にかかわらず厳格な責任に基づいて直接に罰則をかけるように強化すべきだと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  154. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 先生指摘のとおり、平成元年に水質汚濁防止法を改正いたしまして、有害物質を含む水の地下浸透を禁止したところでございます。ただ、これにつきましては、改善命令ないしは浄化命令が出され、それに違反した場合に罰則を適用する、こういう法的構成をとっております。  そうじゃなくて、要するに、汚染物質を地下浸透させたらすぐ罰則を適用できないか、いわゆる直罰の適用という問題でございますけれども、これにつきましては、有害物質の地下浸透が人の健康被害に直結するかどうかの立証が困難であるなどの、要するに直罰を適用する場合の構成要件の厳格性という点もございまして、なかなか法制度化を図る上においては困難な点が伴う。したがいまして、私どもといたしましては、現行の改善命令とか浄化措置命令に対する違反をもって罰則を適用するという制度が合理的でかつ現実的であろうという形で判断しているところでございます。  その措置をとにかく適正に運用して今後対応してまいりたい、こう思っております。
  155. 藤木洋子

    ○藤木委員 しかし、浸透させてはならないという立場でいらっしゃるのであれば、浸透させた者への直罰というのを明確に規定すべきだと私は思いますね。  水濁法の第十四条の二、事故時の措置で、特定事業場の設置者は、特定施設の破損その他の事故が発生し、有害物質または油を含む水が地下に浸透したことにより人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるときは、直ちに防止のための応急の措置を講ずるとともに、概要を都道府県知事に届けなければならないとしております。しかし、過去の汚染については事故時の措置が適用されません。  米国では、八〇年代半ばから、市民の知る権利とも絡みまして、土壌汚染などについての企業の情報開示の仕組みが強化されてまいりました。緊急対処計画及び地域住民の知る権利法、これは第三百十三条の中に規定されている有害化学物質排出目録の制度によるものであります。  環境庁は、過去の汚染についても都道府県知事に届けるように法制度を見直すべきだと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  156. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 法制度的に申し上げまして、浄化措置命令の発動が必要とされないような、差し迫った危険が現在発生していない場合、これは一般論としまして、過去の行為に遡及して報告とか届け出を義務化することは、今までの立法例から難しいと考えております。  ただ、平成八年六月の水質汚濁防止法の改正によりまして、過去の汚染であっても、現に人の健康に被害が生ずる、または生ずるおそれがある場合には浄化命令をかけることができることになっている、これはもう先生御案内のとおりでございます。その際に、事業者に対しまして報告を求めることとかあるいは立入検査ができる、ここの対応でカバーできる、こう考えております。
  157. 藤木洋子

    ○藤木委員 しかし、それでは犠牲者が出なければなかなか改善できないという側面も出てまいりまして、今、PRTR検討に入っていらっしゃるわけですけれども、しかし、それは今後のことでございまして、これからのことでございますから、過去の排出、移動そして汚染については適用にならないわけで、問題は、過去の有害化学物質による汚染も法規制ができるかどうかというのは非常に大事だと思いますね。たとえ汚染事故が過去のものであったとしても、その汚染が現在とそして将来にわたって継続しているというものについては届け出の義務を課すということは最低すべきだろうというふうに思います。  これまで、東芝や松下の大企業による地下水土壌汚染の実態を議論してまいりましたけれども、企業の敷地内の汚染であったとしても、環境への影響のおそれのある場合は企業への規制措置が図れるような法制度の整備がどうしても必要でございます。現行法制度では、民有地で企業がやっている限りこれを調べる権限はどこにもございません。また、報告を求める権利もありません。見つかったとしても、政府にその処分を要求する権利もございません。ですから、地下水土壌環境を守るというルールをきちんと確立していくことがいよいよ必要となっております。  それには、地下水の公共性を正しく位置づけることが極めて大事ではないかと思うわけです。土壌汚染防止法を早急に制定することだと私は思いますけれども、ドイツでは、地下水土壌は公共の福祉の一要素として保全しなければならないとしておりまして、回避措置だとか予防措置、そして浄化対策を義務づけた新連邦土壌保全法をことしの三月に公布しております。  最後になりますので大臣に伺いますけれども地下水の公共性、これをやはり正しく位置づけることが必要ではなかろうかと思うわけですが、そうした上に立って、地下水土壌環境の保全のためのルールを確立するために総合的な対策が必要であろうと考えるのですが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  158. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 土壌及び地下水については、環境基本法に基づき環境基準を定めること等により、その保全に努めてきているところであります。今後さらにその保全を図っていくためには、土壌地下水の役割にも留意した健全な水循環の確保が重要な政策課題であると考えております。  このことから、現在、中央環境審議会において、環境保全上健全な水循環の確保に向けた課題と取り組みについて審議をいただいており、その成果等を踏まえて総合的な対策に取り組んでいきたいと考えておるところであります。
  159. 藤木洋子

    ○藤木委員 水循環の確保ということは極めて大切だというふうにおっしゃっているわけですけれども、循環の確保と言う以上は、これはやはり公共性があるという立場を明確にされることがぜひ必要だと思うのですね。  私は阪神・淡路大震災を体験しておりますけれども、あのときに、地下水の非常にいい水が出ていたという井戸を使っていた地域がございましたけれども、あの震災で一挙に水が全くかれてしまいました。そして、全然違ったところから地下水が噴き上げてくるというようなことが起こったわけです。ですから、どんなに深くても、確かに深ければ深いほど水の流れは速くはありませんし、底に滞留するということは多いわけですけれども、しかし、どのようなことがあって流れが変わるということがあるかもしれないということは、これまでの歴史的な経過が示しているというふうに思うわけですね。  ですから、地下水はやはり国民の共通の財産であり、人類の共通の財産だという立場に立って、公共性をぜひお認めいただいて、その立場に立った対応をしてくださいますように、そのことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  160. 北橋健治

  161. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。  本日は、九月二十一日に、厚生省調査によりまして前代未聞の土壌汚染が発覚いたしました大阪能勢の問題を中心に、ダイオキシンのことで質問をさせていただきます。  私は兵庫県に暮らしておりますので、大阪能勢というのは近くなんですね。能勢農場という農場がありまして、あそこのお野菜をいただいていて、五月にはイチゴ摘みに行ったりとか、今の季節はクリなんですね。それで、いつも楽しみに能勢に行っていた人間でございますので、今回のこと、また、四月にやはり焼却炉の問題で大変な状況になりました能勢には、ことしの春すぐに視察に参りまして、能勢住民の方とかいろいろな方にお話を伺っていたという経緯がございまして、全く人ごとではないし、私が住んでおります宝塚もかなり前にダイオキシンの裁判を起こしておる町でございます。  そのあたりで、ダイオキシンの問題というのは、今すぐに私たちの体に直接的、目に見えた形の影響はないというふうに、ずっとこの間いろいろなところでも話されていますが、環境の問題、そして健康被害もかなりシビアな形で出てくるという不安を抱えておりまして、緊急の対策が必要だという視点に立ちまして質問させていただきます。  まず最初に、今回の高濃度汚染を受けて環境庁質問いたしますけれども土壌についての基準が全く今日本にはございません。今回のこの前代未聞の高濃度、幾ら高い濃度が出ましても、基準がなければ規制するということも一切できませんし、いつごろ、どのような形で設定するのか。土壌の基準設定についての環境庁取り組みと今後のことについてお聞かせください。
  162. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  ダイオキシン類による土壌汚染につきましては、科学的に未解明な部分が多い、したがいまして多くの先進国におきましては、ガイドラインやあるいは法規制基準を設けていないというのが現状でございます。ただ、ドイツ、オランダなどにおきましてはガイドライン的な指針が設けられていると認識しております。  我が国についてでございますけれども、このダイオキシン類による土壌汚染対応いたしまして、現在、専門家の御意見を承りながら、対策の推進に必要な指針の設定を含めまして検討を進めておるところでございます。私どもといたしましては、今年度中、十年度中に報告をいただいて対応考えてまいりたいと考えております。
  163. 中川智子

    中川(智)委員 それでは、今のことでもう少し質問させていただきますけれども、いわゆるガイドラインというのはどのような法的強制力がございますか。
  164. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 これは一つの、まさに行政庁として今後対策等を考えていく際の指針というものでございまして、特に法的根拠はございません。
  165. 中川智子

    中川(智)委員 じゃ、百万倍、二百万倍の、それよりも高い濃度が出て、本当に健康に直接被害がある——子供たちが公園で遊びます、そして砂遊びをする、そして農作物をつくる、牛が放牧されてそこで草を食べる、そしてそこの濃度がかなり高くても、法的規制がなければ一切それは絵にかいたもちだというふうに認識いたしますが、いかがでしょう。
  166. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 この我々のガイドラインというものにつきましては、科学的知見を有する先生方のいろいろな御意見、科学的判断を踏まえて今後詰めてまいりたいと思っております。そして、これを社会的に公表いたしまして、社会的な理解を得てそれに基づいていろいろ対策考えていくということを考えております。  なぜそういうことを考えるかといいますと、やはり科学的知見というものがまだ十分でない、そういう中でいろいろ今後対策をも一方では求められている、そういう両方、科学的知見の制約性と対策の緊要性、このバランスの上に立って社会的理解を得て対応していくものというふうに御理解を賜りたいと思います。
  167. 中川智子

    中川(智)委員 そのような形でのガイドラインの設定というものでは一切命や健康が守られない。先ほどの藤木さんの質問の中でもありましたように、被害者が出なければ、人が死んだり、そこでがんを発症する人たち、そこで子供たちが生まれなくなる、そういう事態になるまで放置するというふうな形でしか取り組まないのかということで、非常に不安を覚えます。  私は、これはガイドラインではなくて、基準値を設定して、しっかりとしたその後の方策、またそれに対する法規制を伴うものでないと意味がないと思いますが、もう一度環境庁の御答弁をお願いいたします。
  168. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 基準値という場合、これは環境基本法十六条に根拠を持っておりまして、それによりまして環境基準等が定められるわけでございますけれども、その際の一つ要件として、十分な科学的解明があるという要件がついております。  ただ、ダイオキシンの場合につきましては、今後私どもなるべく早くいろいろな指針を検討してまいりたいと思っておるのでございますけれども、そういう環境基本法十六条に言う科学的解明が十分であるかどうかというところまで追求しますとかなり時間がかかってしまうという制約がございます。そういう中で、次善の策として指針という方向が追求できないか、こういうことを考えておるということでございます。  ちなみに、オランダとかドイツにおきましても、特にオランダでございますが、一九八七年に一つのガイドライン値を定めておりまして、これもガイドライン、一つの指針であると理解しております。
  169. 中川智子

    中川(智)委員 では、ちょっと次に移ります。  今回の土壌のことなのですけれども、いわゆる汚染された土壌、今のところ焼却炉内だけですが、能勢の近くに高校がございまして、そこも使用禁止になっております。既にごみ処理施設内の対策については、厚生省も財政措置を講じて汚染物質除去汚染拡散防止策などを行おうとしています。施設外の汚染された土壌に関しては、撤去や回収などは自治体の責任、いわゆる原因者の責任というふうなことになっておりますけれども土壌汚染確認されています先ほど申しました能勢高校のそこの農場の土壌入れかえの費用は約三億円と言われています。それで、大阪府が五千万円を負担する、自治体が二億五千万円負担するということになっていますが、もっと広い範囲に出たときに、とてももう自治体、そして原因者の方の負担ではどうしようもないといったときの財政措置というのは、環境庁に対する質問になるかどうかはちょっと定かではないのですが、環境庁は、このような形でガイドラインを決めて、非常にそれが危険だ、入れかえをしなければしょうがないということになりましたときの財政措置のことなどはどのようにお考えでしょうか。
  170. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 こういう環境汚染問題につきましては、先生指摘のとおり、汚染原因者が費用を負担して行うというのが原則でございます。  したがいまして、環境庁といたしましては、地元取り組みに対しまして、厚生省などと連携いたしまして、汚染拡散防止などの技術的支援、さらには今後いろいろ浄化等が必要となってくる場合には、除去、保管された土壌に含まれるダイオキシン類の分解除去なんかにつきまして、いろいろな技術的な支援等検討してまいりたい、こう思っております。
  171. 中川智子

    中川(智)委員 こんな場合に、いわゆる強制力を伴わないガイドラインだったらば技術的支援というふうな形でしか行われない。でも、それはもうはっきりと人体に影響を及ぼす、そして農作物、さまざまな食品などにも影響を及ぼすということで環境庁が基準として定めれば、いわゆる行政側の補助ということで財政措置も伴うのではないかと私自身は思うのですけれども、いかがでしょうか。
  172. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 やはりこういう環境汚染の問題につきましては、原因者負担という大原則がございます。それで、私どもが今後定めるところの要するにガイドラインをもってその事業実施者が、あるいは私どもが示すガイドラインに従いまして、これ以上の汚染であればこういう対策をとる、これ以下のものだったらこういう対策をとる、そういう判断基準を私どもが示すというところが環境庁としては限界ではないか。  ただ、それに伴って、いろいろな対策をとる際の技術的な対応、それについてはいろいろ支援を行っていくということを積極的に考えていきたい、そこが限度だというふうに理解しております。
  173. 中川智子

    中川(智)委員 そうしたらば、今回、土壌汚染を受けてその基準値、ガイドラインを設定して、汚染された土壌などはどのような形で、先ほど午前中の質問山本議員が話されていましたけれども、今は袋に詰めて施設の中に置いている、それはもう汚染源そのものなわけですね。いつまでたってもそういうふうなことでは対応できない。そうしたら保管、そしてその処理、それに対しては環境庁は現在的にはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
  174. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 現在、能勢町の地元検討委員会を設けまして、今先生が御指摘になりましたように、一定基準以上の高濃度のものにつきましては除去して保管する。あと、それよりも低濃度のものについてはいろいろな別途の対策をとる等々の検討がなされているのは事実でございます。  除去、保管されたものについての対応ということでございますけれども、私どもといたしましては、現在、これを浄化する分解除去技術というものが、プラントベースではいろいろありますけれども、応用技術的なものはまだなかなか十分なものではない、したがいまして、そういうものについてのいろいろな技術的な支援ができないかどうか、それを今後検討していきたい、こう思っております。
  175. 中川智子

    中川(智)委員 能勢の場合は、今もう目の前に本当に避難勧告が出ないかというぐらい住民は不安なわけなんですね。そして、風評被害というのは春の時点で五億ぐらい、能勢は四割が農業ですし、能勢の野菜というのはおいしいというのでみんなよく買っていたのがぱたっと売れなくなった。そういうことで、今後検討というよりも、もう能勢に限って、今度三十六施設、また土壌調査がされるわけですけれども、緊急避難的な対策というのは緊急にやるべきだと思いますが、それに対しては、暫定的な措置で早くということは、環境庁は今の時点では考えていらっしゃいませんでしょうか。ちょっとイエスかノーかでお答えください。
  176. 遠藤保雄

    遠藤(保)政府委員 まず、除去、保管する際に緊急に出てまいりますのは、これを作業しなければいかぬ、こういう問題が出てきます。したがいまして、汚染拡散防止とか作業者の安全管理とかが非常に重要な問題になってまいります。そういうものにつきましては、私どもの有しておる知見を緊急に提供する等のような対応はとってまいりたいと思っております。
  177. 中川智子

    中川(智)委員 できるだけ早急な対策をお願いしたいと思います。  それに関連しまして、今回三十六施設、先ほどの田端議員の質問の中で、周辺土壌冷却水ダイオキシン調査を行うという御答弁でしたけれども、これは排水と汚泥、その調査は含まれていませんでしょうか。含まれていなければやるべきだと思いますが、いかがでしょう。
  178. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 まず冷却水について、それから、土壌といいましても非常に広範な土壌ではなくて、施設近辺といいますか、施設の敷地内等の土壌汚染ということの調査をすることを考えております。  なお、焼却灰なり集じん灰あるいは汚泥についてはどうかということでございますけれども、焼却灰あるいは集じん灰につきましては、既に、八百度以上で完全燃焼すること等燃焼管理をきちんとやりますと、その中のダイオキシン類はかなり削減をされます。そういった観点から、排水あるいは汚泥につきましても、廃棄物処理法その他の法律に基づきまして、生活環境保全上支障を生ずることなく処理することが義務づけられております。また、厚生省実施いたしました類似施設調査結果等からも、直ちにこれらにつきまして高濃度であるというふうになるとは考えておりません。  しかしながら、午前中も御答弁申し上げましたけれども類似施設等々の調査をこれから進めてまいります。そういった問題点があれば、逐次調査実施したいと考えております。
  179. 中川智子

    中川(智)委員 その場合、高濃度のものが出たときのいわゆる規制ということに対しては、厚生省はどのように考えておりますか。規制基準をしっかり、これについてもつくるべきだと思いますが。
  180. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 高濃度のものが出たらという前提でお話しするのはいかがかと思いますが、そういう高濃度のものが出る発生のメカニズムの解明こそが極めて重要であるというふうに考えております。もしも仮にそのようなものが出た場合にあっては、そういったものが生活環境保全上支障を来してはなりませんので、これらの結果につきまして、専門家先生の御意見もお聞きしながら、規制が必要なのかどうか、あるいはどういつだ維持管理、構造基準の見直しが必要なのかといった点について検討してまいりたいというふうに思います。
  181. 中川智子

    中川(智)委員 これも、じゃ厚生省に伺いますけれども能勢町というのは、古くから住まわれている方と、新興住宅街がありまして、北側の方は五百メートルほどの山間地を経ますと新しい住宅にたくさん人が住んでいます。  そして、やはり飲み水は大丈夫なのだろうかということ、また食品が大丈夫だろうかということが心配されております。そして周辺住民の方は、井戸水を飲んでいらっしゃる方がとても多い。ダイオキシンは水に溶けないというふうに言われていましたが、今回すすにくっついて冷却水で噴霧されたという状況になっておりまして、食品といわゆる飲料水についてもしっかりと調べてもらって、それに対して安全かどうかを公表していただきたいという声が大きいのですが、これについては厚生省、いかがでしょう。
  182. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 いわゆる高濃度ダイオキシン類が検出された場所は、たびたび御答弁申し上げておりますように、濃縮された冷却水あるいは灰が直接に飛散をしました、非常に施設に近隣の地域でございます。また、本施設は昨年の六月から稼働しておりませんので、周辺で栽培された野菜のダイオキシン類の検出濃度から見ましても、食品への影響があったとはなかなか考えにくいと考えております。  実際に、これまでに大阪府等が実施をいたしました本件周辺施設の玄米、野菜等のダイオキシン類の実態調査の結果では、玄米二検体中一検体から〇・〇〇一ピコグラム・パー・グラム、シシトウ七検体中一検体のみから〇・〇〇〇八ピコグラム・パー・グラムのダイオキシン類が検出されているわけでありますが、この値につきましては、他の地域におきます検出量と同等の低いレベルにありまして、食品衛生法上特に問題はないと考えております。  また、飲料水につきましては、大阪府等が実施をいたしました本件施設周辺の飲料水及び水源として利用しております河川水等のダイオキシン類の実態調査の結果がございますが、それによりますと、河川水、これは三検体でございますが、〇・〇二から〇・一ピコグラム・パー・リッター。井戸水あるいは湧水、これは十検体を調べておりますが、不検出ないし〇・三七ピコグラム・パー・リッター。水道水は、二検体でございますが不検出というふうになっておりまして、最も高い濃度が検出されました井戸水を毎日飲用したという場合でありましても、体重一キログラム当たり〇・〇一五ピコグラムという低い値でございまして、これも安全上問題はないというふうに考えております。
  183. 中川智子

    中川(智)委員 もう時間ですので終わりますが、最後に長官に、やはり大阪府の能勢町、これでもう大変皆さん不安におののいております。ぜひとも能勢に視察に行っていただきたいと思いますし、環境庁としましては、今回のこの事態を受けまして、長官、どのようにこのダイオキシン問題に今後取り組んでいらっしゃるのかの御決意をお伺いして、終わりたいと思います。
  184. 真鍋賢二

    真鍋国務大臣 まさに能勢町のダイオキシン汚染については、環境庁としても未知の問題にも取り組まなければならないわけでありますけれども、精いっぱい努力して、その対応過ちないようにしてまいらなければならないと思っております。  ただ、先ほど来かみ合わない議論があったかと思いますが、環境庁としましては、現在のところは技術的な援助と申しましょうか、そういう面についての対応はできますけれども、財政面の援助につきましては、地方自治体と自治省との連携をよくしていただきまして対応を図っていただきたいと思っておるところであります。また、それには厚生省等の御指導もいただかなければならないと思っておるわけでありまして、我が香川県の豊島の問題処理に当たっても、そのような対応をいたしておるところであります。いろいろ問題がありまして、歯がゆさを感じておる先生の先ほどの質問を伺っておりまして、そのような気持ちを持ったものであります。  いずれにいたしましても、精いっぱい頑張ってこの問題処理に当たってまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いをいたします。
  185. 中川智子

    中川(智)委員 どうもありがとうございました。公的資金をこういうことに使いたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
  186. 北橋健治

    北橋委員長 次回は、来る十月二日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十七分散会