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高村国務大臣 まず、その問題に直接的にお答えする前に、私の外務
大臣としての仕事は、
国際社会の声を
日本国民に伝えること、そしてもう
一つは、
日本国民の声を
国際社会に伝えることだと思っています。その二つのことを私なりにきっちり努力して、成功しているか成功していないかは別として、これからもしっかりさせていただきたい、こう思っているわけであります。
この問題について、東
議員と、ここで質問され、答弁するのは長くなるわけでありますから、もう東
議員の
考え方というのは、私は、一〇〇%とは言わなくても、九〇%以上わかっているつもりでありますし、私がこれから答弁しても、そんなことはもう聞いたというような答弁になるのではないかということを恐れるわけであります。
それでも、御質問でありますから私なりに答えさせていただきますと、まず、振り上げたこぶしをおろす、こう言われましたが、振り上げたこぶしというと、もうその振り上げたのが間違いであった、今それをおろすのを迷っている、私
たちはそうではないのです。あれはあれで、戦術的に我々の怒りを伝えるということをやったわけでありまして、そして、そのことについて、
北朝鮮を除いては、あれが間違いだったね、凍結したのが間違いだったねということを言っている国は
一つもないのです。これは事実の問題として申し上げているわけであります。ただ、そのことを長く続けておいて、KEDOの枠組み自体に支障を来すようなことがあったら困りますねと。
そして、本当にKEDOの枠組み自体を壊すことになりかねないのか、まだ少し大丈夫なのかということについては、それぞれの国でいろいろな判断があるでしょう。ただ、そういったことで心配し始めて、
日本は
日本で独自に凍結解除をいつかということは決められるわけですが、ほかの国は決められないわけですから、あなた
たち一体いつまで続けるのということは、これは
アメリカや
韓国や、あるいはEUの
人たちが心配するのは当然なんです。
先ほ
どもちょっと申し上げたように、EUは最初はちょっとしり込みぎみだったのを、これはグローバルな問題だからぜひこの枠組みに参加してくださいよと。
日本がというより、
日本もお願いして入ってきてもらったわけです。その最初から引っ張り込んだ人が、私の国、ちょっと撃たれたからこれは凍結しますよ、そこまでは理解した、これは当然のことだろうと理解したけれ
ども、これをいつまでも続けて、
自分たちがせっかく入ったものを壊されては困るよという感じはEUにもあるのです。ただ、それは
国際社会の声としてありますよということは、私は
日本国民に正確に伝えさせていただかなければいけない。これは、単に圧力という
言葉でぽんとあれして我々独自で決めればいい話だ、こういうことではないのだろう。これが
一つあります。
私は、
日本国民の声はきっちり、それは
北朝鮮に伝えるだけでなくて、
アメリカ、
韓国、EUにも伝えてきているつもりでございます。それは、東
議員から質問されて答えるより、もう少し強い調子で
アメリカにも、
韓国にも伝えてきているつもりであります。
そういう中で、
北朝鮮というのが非常にわかりにくい国だというのは、東
議員と私は同じように思っているわけでありますが、そういう中で、
北朝鮮は謝るべきだ、再発防止を約束すべきだと私も強く思っています。強く思っていますが、そういうわからない国の、そのことについての意思だけに、KEDOの存続ができるかどうかということをかかわらしめるということは、私はそれを絶対条件にするということは非常に難しいことだと思っています。
ですから、そういうことも
一つの要素、当然重要な要素にはなるのでしょう。むしろ、そういうことがあれば積極的に解除はしやすくなりますねという要素になるのでしょうが、それがなければ絶対に解除できませんよということでは
国際社会全体の理解は得られないのではないか。特に、KEDOの枠組み自体が怪しくなってくるというような
状況がだんだんだんだん、少しずつそういう
状況が時間の経過とともにふえてくるわけでありますから、それがいつかということも総合判断の中に入ってくるのだろう、こういうふうに
思います。
ですから、例えば、私
たちが、これは
北朝鮮自体がそういうことを繰り返さなければ一番いいのですが、
一つの条件としては、日米
安全保障条約の信頼性が再確認されるというようなことも大きな要素の
一つになり得るし、あるいは日米韓
一緒になってこういうことに対応するという体制がきっちりできるということも
一つの要素にはなり得るし、多くのことを総合的に判断して、この解除の時期といいますか、そういうことを決めなければならないので、このことが絶対的条件ですよと言ってみずからの
外交の手足を縛ることは適当でない、私はそういうふうに
考えているのです。