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1998-09-09 第143回国会 衆議院 外務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月九日(水曜日)     午後二時二分開議 出席委員   委員長 中馬 弘毅君    理事 福田 康夫君 理事 牧野 隆守君    理事 茂木 敏充君 理事 森山 眞弓君    理事 藤田 幸久君 理事 東  順治君    理事 東  祥三君       大村 秀章君    瓦   力君       阪上 善秀君    櫻内 義雄君       菅  義偉君    野呂田芳成君       深谷 隆司君    細田 博之君       八代 英太君    吉川 貴盛君       上原 康助君    島   聡君       丸谷 佳織君    山中 燁子君       松本 善明君    伊藤  茂君  出席国務大臣         外 務 大 臣 高村 正彦君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 額賀福志郎君  出席政府委員         防衛庁長官官房         長       藤島 正之君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 大越 康弘君         防衛施設庁長官 萩  次郎君         防衛施設庁総務         部長      新貝 正勝君         防衛施設庁施設         部長      守屋 武昌君         科学技術庁研究         開発局長    池田  要君         環境庁水質保全         局長      遠藤 保雄君         法務省入国管理         局長      竹中 繁雄君         外務省総合外交         政策局長    加藤 良三君         外務省総合外交         政策局軍備管理         ・科学審議官  阿部 信泰君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 竹内 行夫君         外務省条約局長 東郷 和彦君         大蔵省国際局長 黒田 東彦君  委員外出席者         外務委員会専門         員       宮本 吉範君     ――――――――――――― 委員の異動 九月九日  辞任         補欠選任   河野 太郎君     菅  義偉君 同日  辞任         補欠選任   菅  義偉君     大村 秀章君 同日  辞任         補欠選任   大村 秀章君     河野 太郎君     ――――――――――――― 九月四日  米軍基地の撤去に関する請願児玉健次紹介  )(第二号)  日米物品役務相互提供協定改定反対に関する  請願春名直章紹介)(第一八号)  同(古堅実吉紹介)(第一九号)  同(志位和夫紹介)(第九〇号)  同(金子満広紹介)(第一四八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田康夫君。
  3. 福田康夫

    福田委員 前当委員会におきまして、北朝鮮ミサイル発射、この直後だったものですから、かなり突っ込んだ議論が交わされました。私も大変感心して聞いていたのですけれども、なお若干、私自身納得をしたい、こう思うところがありまして、前回に引き続き、しつこいようでありますけれども、北朝鮮ミサイル発射事件、このことをしばらくテーマにさせていただきたいと思っております。  まず私の方から、また繰り返しで恐縮でありますけれども、今回、北朝鮮ミサイル発射、これは先月三十一日の十二時七分起こったわけでありますけれども、これに至る前、相当長い期間にわたりまして、北朝鮮が何かちょっとおかしいというような、そういうような兆候というのは随分あったわけでございます。  実は、九月五日の読売新聞、これにかなり詳しく、どういうふうな経過発射が起こり、そしてその後どういうふうな対応をしたかという、そういう一ページ使った記事がございました。それを種にしてこれから質問させていただきますけれども、発射前の兆候というのは、例えば、八月の初旬に、もう既に防衛庁情報本部では、また航空自衛隊もそうなのでありますけれども、多少の異状を感じて、そしてそういうふうな報告をしておったというようなことであります。そして、八月十日ごろには、在日米軍嘉手納基地ミサイル観測機三沢基地に派遣しておる、これはミサイル発射に備えるものであるということで、これは新聞報道であります。  それから、八月十三、十四日、この辺になりますと、公安関係からもテポドンの発射の具体的な情報が来ているということ。また、在日米軍から防衛庁に対しまして同様の情報偵察衛星の写真とともにもたらされておる。また同時に、米国関係者から外務省にも連絡が来ておる。これには、数日中に発射準備の動きあり、中東の要人が北朝鮮を訪問する予定がある、こんなふうなことまで言ってきているということであります。  また、そのころ防衛庁も、そういうふうな情報をもとにして、日本海を中心にして警戒態勢を強化した。イージス艦初めいろいろな艦船、そして警戒機などを数機派遣するということをして警戒に当たり始めた。二十日ごろには、これは防衛庁外務省公安それぞれから総理官邸に対して、ミサイル発射台に載せられた、こういう情報が来ております。  それから二十一日、これは米朝協議ニューヨークでありまして、実験中止北朝鮮代表に要請している。二十八日になりますと、これはもう発射の三日前でありますけれども、米軍から、ミサイルにいよいよ燃料が注入され、七十二時間以内に発射される。二十九日になりまして、これは日朝外務省課長級協議北京でございまして、発射準備をやめてほしいということ、これを北東アジア課長から北朝鮮代表に強く要請した。こういうふうなことでございます。  そういうふうな経緯の中でこの発射が行われたわけでありまして、こういうふうな経緯について、果たして、我々、何らかの情報について外務省なり防衛庁なりに説明をしていただいているかどうかということであります。かなりいろいろな情報があるわけでありますので、そういうふうなことについて、私が勉強不足かどうか知りませんけれども、何も聞いていなかったということであります。  もし説明がなかったというのであれば、この事態重要性を小さく見ていたということなのか。もしくは、こういう情報について、やるかやらないかわからないでありますので、国民の間に無用な混乱を起こすというふうなこと、それも恐れたかもしれぬけれども、それによって、せっかく行っている日朝交渉に悪い影響を生ずるかもしれぬ、こういうふうなことを考えてそういう情報を知らせなかったということなのか。その辺、どういうことであったのか、お教えをいただきたいと思います。
  4. 高村正彦

    高村国務大臣 この情報を積極的に政府の外に出さなかったということは、おっしゃるとおりでございます。  なぜ出さなかった、一番大きい理由は、やはり情報提供者との関係、これを出すことによってその情報提供者情報提供者一つだけかどうかはともかくとして、情報提供者自体が公表していないという段階においてこちらがそういうことを言えるのかどうか。そのことによって将来情報が途切れてしまう、そういうことは過去に現実にあったことでもありますし、いろいろな考慮はあったかもしれないけれども、一番大きい問題は情報提供者との関係だ、こういうふうに私は思っております。
  5. 福田康夫

    福田委員 アジア局長、何か補足がありますか。
  6. 阿南惟茂

    阿南政府委員 今の点につきましては、外務大臣御答弁のとおりでございます。私どもも同じ認識でございます。
  7. 福田康夫

    福田委員 それでは、そういう経過を踏まえて、我々も知らないままに、外務省防衛庁事態の推移は承知しながらその日を迎えた、こういうことになるわけですね。  それで、例えば、外務省は果たしてどういうふうなことをされたのか。九月二日の前回外務委員会では、先ほど申しました発射寸前の八月二十九日に、北京での日朝課長級協議、これで初めて中止を要請したということになっておりますけれども、この防衛庁警戒状況とか、それから八月二十一日のニューヨーク米朝協議とか、こういうふうなことを考えてみても中止の要請が随分遅かったな、こういう印象を持つのでありますけれども、その辺はどうでしょうか。  そしてまた、もう一つ日朝交渉というのは、今おっしゃったように大変難しい問題でございまして、日朝間でなかなか交渉、話がスムーズにいかない、こういうことはあるかもしれぬけれども、もしそれが難しいのであれば、米国とか中国とかそういう国々の関係者相談をする、またお願いするということもあったのじゃないか、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
  8. 高村正彦

    高村国務大臣 米国に対しては、米朝協議の折にそういうことを言ってほしいと、当然我が方の意向を伝えております。  さらに、事実関係でありますから、詳しくアジア局長の方から答弁させたいと思います。
  9. 阿南惟茂

    阿南政府委員 八月初旬、よりはっきりとした情報が集まってまいりましたのは八月中旬からと思いますが、御案内のように八月二十一日からニューヨーク米朝協議が行われておりまして、その中でアメリカ北朝鮮にそういう懸念を表明しておりますし、先ほど先生がおっしゃいました八月二十九日の日朝間の非公式、これは課長レベルでございますが、いろいろな問題をこのルートで話しておりましたので、非公式という内々の話し合いでございましたが、諸情報に基づいて、この協議でも日本から北朝鮮側に、発射実験、そういうことをするのはやめるべきだということを強く申し入れた経緯がございます。
  10. 福田康夫

    福田委員 二十九日になって直接要請されたということでありますけれども、先ほど申しましたように、その交渉が若干遅いというふうな印象を私は受けておるのですね。ということは、外務省の方は、まさか北朝鮮ミサイル日本の上を通過するというふうなことは夢にも考えていなかったのじゃないかな。やるかやらないか、これはどちらかですけれども、そういう中でもやらない方が強いのじゃないか、こういうことを考えていらっしゃったのかどうかということなんです。  実は、五月十三日この委員会がございまして、それはインドの核実験の直後だったわけであります。そのときに私は、北朝鮮はちょっと異常な状態にある、したがってほかの方法で突出した何か行動することがあるのではないか、北朝鮮問題を総合的に見て今後どういうふうにしていけばいいのか、緊急を要する問題であるというふうな意見を申し上げたことがあるのです。私のような、ずぶの素人とは申しませんけれども、皆様方から比べれば素人の立場でもそういう予兆というものを感じていたわけでありまして、玄人の皆さん方にとっては、そういうふうな可能性というものは十分考えていらしたというふうに思うのでありますけれども、その辺、どうだったのかなという思いが実はいたしておるわけであります。  それから、発射後の国内における対応、これもいろいろとあるのでありますけれども、その中で一番の問題点は、やはり我々も含めて国民に対する公表が遅かったということ。事前も連絡はなかった、しかし事後も発表が遅かったというのは、これはちょっと、責任ある当局としては、国民もしくは国会国会議員を、無視とは言わぬけれども、軽視した行動ではなかったのかな、こんなふうな思いがいたしまして、その辺について大臣はどのようにお考えになっておりますか。  そして、実は当日の二十一時三十分に、防衛庁が、これも随分遅いわけですけれども、三陸沖に着弾したということを前提に二十二時に記者会見をする、こういうことだったようであります。防衛庁からそういうふうに申し入れがあった。しかし、外務省はそれに対して、発表文言が気に食わぬということで、その文言の練り直しをさせた。それがために発表が最終的には二十三時十五分になった。こういうふうに新聞には書いてあるのですけれども、その事実関係、どういうふうなことでそういうふうになったのか。その二点、ひとつお願いします。
  11. 高村正彦

    高村国務大臣 国会先生方に対する連絡がおくれたということと、それから国民全体に対するいわゆる発表が遅かったのではないか、私は率直に言って、その両方について反省すべき点がある、こういうふうに思っております。  一つとして、特定のしかるべき方にお知らせするということについては、原課といいますか、外務省でいえば北東アジア課の人が現実の問題に対応しながら連絡もする。そうすると、電話をかけたときたまたまいないと、二度、三度とかけられないとかそういうような問題があるので、これからその体制を改めます。外務省の中で体制を改めて、総政局の総務課とか、あるいは大臣官房総務課の人が、原課にはその事態そのもの対応してもらいながら、その連絡役を手伝うというか、連絡役については主役となってやってもらう、そういうような体制に改めて、今後手抜かりがないようにしていきたい、こういうふうに思っております。  それから、防衛庁から十時に記者会見云々ということで文言の調整で時間があったことは、外務省側からちょっと文言をこうしようということでそのために若干の時間を要したということは事実であります。私は、その点についても反省すべきところがあった、こういうふうに思っております。
  12. 福田康夫

    福田委員 比較しては申しわけないかもしれぬのですけれども、米朝協議が五日にニューヨークで終わりました。そのときに米国の担当の大使でありますカートマン氏が、暫定合意した米朝協議内容について、一定の前進があった、協議内容を主要な議員らに説明する、こういうふうに言っているのですね。これはどこの新聞だったかな。ほかの新聞でも、議会相談をする、こういうふうに言っているのです。  これは法律か何かが違うのかもしれません。アメリカの場合にはそういうことを議員相談する、議会相談するというふうなことになっている。これは法律か何かあるのでしょうか、アメリカについては、そういうふうにしなければいかぬという。
  13. 阿南惟茂

    阿南政府委員 米国政府対外交渉をするときにどういう問題でどういう手続交渉するかということは私ども詳細には存じておりませんが、今回の場合には、北朝鮮との特定の問題について、やはり特定上院議員の方、下院議員の方で反対意見を持っておられるというような方がおられることに対して、交渉の途中でそういう方々に集中的に説明をして、御了解を得ながら交渉に当たったというふうに聞いております。
  14. 福田康夫

    福田委員 特別な制約がないのであれば重要なことについては、特に今回のことはそう簡単なことではなかったと思いますので、カートマン氏のそういう議会国会をないがしろにしないというその姿勢は、ひとつこれから気をつけていただきたい、こう思っております。  実は、きょうは九月九日で、ミサイルが飛んで、二発目が飛ぶかもしれぬ、そういう予想のあった日なんであります。そういう日でありますので、ちょっと念のために質問をさせていただきますけれども、もしこの二発目が発射されるということになった場合に、これはもう大変な問題になるのですね。一発目とは比較にならない問題である、これはもう、公海上に着弾してもしなくても大変なことだというふうに思います。  そこで、日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインでは、日本に対して弾道ミサイルによる攻撃が行われる、こういう場合についてはどのように対応するということになっておりますか。それともう一つ、万一在日米軍基地ミサイル攻撃が行われた、こういう場合については、日米安保条約上、日本には在日米軍基地を防衛する義務があるのかないのか、こういうことについて、大臣、御答弁願います。
  15. 高村正彦

    高村国務大臣 日米安保条約五条、該当部分だけ読んでみますけれども、「各締約国は、日本国施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」こういうふうにあるわけでありまして、もし、米軍施設・区域を含め、我が国の施政のもとにある領域において武力攻撃が行われれば、これは日米安保条約第五条が想定する事態であって、日米は共同で対処し、これを早期に排除することとなる、こういうことであります。  でありますから、米軍施設の安全を守る義務があるというよりも、日本国攻撃されたということで、日本はそれに対して対処する、こういうことになるわけであります。  それから、日米防衛協力のための指針では、「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」という項目がありますが、その中に弾道ミサイル攻撃に対する記述がありまして、「自衛隊及び米軍は、弾道ミサイル攻撃対応するために密接に協力し調整する。米軍は、日本に対し必要な情報を提供するとともに、必要に応じ、打撃力を有する部隊の使用を考慮する。」こういうことが明記されているわけであります。
  16. 福田康夫

    福田委員 よくわかりました。  そこで、話を進めさせていただきますが、北朝鮮が今回ミサイル発射したのでありますけれども、北朝鮮は、ほかの国にそういう軍事技術を供与してそして代価を得る、こういうふうなことをしておるように聞いております。例えば、パキスタンとかイランミサイル技術を提供しているというような情報があるわけであります。この北朝鮮に対してミサイル云々ということを当然ながら要求しなければいけない、これは当然でありますけれども、しかし、北朝鮮のような特殊な国に対してあれこれ言って聞いてくれるということでは済まないような現状ではないかと思います。そうしますと、北朝鮮関係のある、そういう軍事技術を供与しているとかいうような国に対して、例えばパキスタン、こういう国に対して我々はもっと働きかけをしていかなければいけないんではないか、こう思います。  パキスタンはことしの四月にガウリ発射しました、この技術はノドンというふうに言われているのでありますけれども。パキスタンに対しては、パキスタンのその後の核実験に抗議してODAを停止している、こういうことで、今現在、友好的な話ができるというふうなことになっていないんじゃないかな、こう思いますけれども、これもなるべく早く関係改善して、もちろん核の拡散もこれは困りますけれども、パキスタンから一定の約束を取りつけながら、その話し合いができるような基本をつくっていただきたい、こう思います。  また、イランでありますけれども、これは北朝鮮とは長い間の関係がありまして、先般、七月の二十二日ですか、シャハブ3という中距離弾道ミサイル発射実験をしておりまして、このもとはノドンであるというふうに言われておるわけであります。このイランに対しましても我々はいろいろな働きかけをしていかなければいけない、その中で、ミサイルについて、北朝鮮との関係を考えてくれということも言っていかなければいかぬだろう、こう思います。  このことについては、四月末に、高村政務次官時代イランを訪問されまして、そしてそういうお話をされたのじゃないかな、こう思うのでありますけれども、またその後、丹波審議官イランに行かれたというふうに聞いております。そういうときにその種の話をされていらっしゃるのかどうか。それをされていらっしゃいますか。じゃ、そのときの状況をちょっとお話しください。
  17. 高村正彦

    高村国務大臣 私は政務次官として、ことしの四月、イランに行ったわけでありますが、それは、本当に久しぶりの政治対話ということでありましたが、イランハタミ政権、まあ穏健な対外政策をとっているということで、今までも日本イランとそれほど悪かったわけではありませんが、関係改善しようとした、さらに関係をよくしようと。こういう中で、やはりイランが、国際社会が持っている懸念を払拭してもらわなければいけない、その中で、大量破壊兵器、特にミサイル、この問題について、こういう開発をやめるということで国際社会懸念を払拭してほしい、こういうことははっきり申したわけであります。  それから、丹波審議官イランに行ったときは、これは北朝鮮ミサイル発射実験の後でありましたから、まさに北朝鮮との関係も念頭に置いて、ミサイル開発をやめてほしいということをきっちり申し入れているわけであります。
  18. 福田康夫

    福田委員 イランとの関係は、今大臣は、悪くはなかった、こう申されたけれども、私は、よくはなかった、こういうふうに言いかえさせていただきたいと思います。イランとは、私は、日本はもっと親密なる関係を持つべきだということをかねがね考えておりますので。  実はけさ、イラン国会議員数名と会いましたけれども、その席でも、向こうからそういう要望も言っております。まあ米国関係もございますけれども、それは、米国には、イランとの関係を独自に持つということについてよく説明をするという必要があるかもしれぬですけれども、それと並行して、イランとの関係をもっともっと強化するべきだというように思っております。そのことがこういう安全保障といったような問題をよりしっかりさせることができる、そういう助けになるだろうというふうに思いますので、大臣の方もひとつ、ぜひよろしく関係強化に御尽力願いたいと思います。  それから、ロシア軍事技術供与国なわけでありますけれども、このロシアには、うまいぐあいに、今月十三日に大臣はモスクワに行かれる、こういうように聞いております。ぜひこういう軍事技術の不拡散ということについて話をしていただきたい。今向こう政治情勢も混乱し、一体どうなるかわかりませんけれども、プリマコフ外相とかエリツィン大統領などにお会いになると思います。ぜひその辺しっかりと要望をしていただきたいと思っております。  時間がございませんので、最後に、米朝合意合意をされた、暫定合意だということでありますけれども。この合意の中身は、これはわかっておりますか。入手されておりますか。何か、新聞などによりますと、近日明らかにされるというふうな話でありますけれども、そういう中に、今回の日本に対するミサイル発射、こういう問題が含まれていたのかどうか。  それから、今月2プラス2というものをニューヨークでやるということも聞いておりますけれども、これは一体何の話をされに行くのかということですね。それをお答えください。
  19. 高村正彦

    高村国務大臣 ミサイル協議を再開するということは入っているというふうに聞いております、米朝合意でありますが。  それから、2プラス2では、いろいろいたしますが、この北朝鮮ミサイルの問題も当然話題にいたします。
  20. 福田康夫

    福田委員 よくわかりました。  ひとつ、どうぞ日本の安全のために十分なる交渉をお願いしたいと思います。  以上で終わります。
  21. 中馬弘毅

    中馬委員長 続いて、上原康助君。
  22. 上原康助

    上原委員 国際情勢一般ですので、まず、日中問題からお尋ねをさせていただきたいと存じます。  高村外務大臣、せんだって中国も既に御訪問を、訪中をなさって、いろいろ、日中関係についても政治会談、あるいは経済問題含めて、江沢民主席訪日の前準備をやってこられたわけですが、残念ながら、中国揚子江水域の水害が余りにも大きな被害で、深刻な事態を迎えたということで、今月六日からの江沢民主席訪日は延期になってしまいました。  この日中首脳会談は、二十一世紀に向けた新たな日中関係をさらに健全で強固なものにしていく会談になると期待をされておりましたし、御承知のように、昨年は日中国交正常化二十五周年、ことしは日中平和友好条約二十周年の記念すべき節目に当たっております。その意味でも、小渕内閣としても小渕首相としても、非常にこの江沢民主席訪日に期待をかけておるといいますか、あるいは重要視しておられると思うのですが、その願いが一時期延期されたということになります。  そこで、江沢民主席訪日の見通しと時期はどういうふうに外務省はお考えになっているか、まずお聞かせを願いたいと存じます。
  23. 高村正彦

    高村国務大臣 江沢民主席が急遽洪水のために来られない、こういうお話のとき に、唐家セン外相から直接私に電話がありまして、そして、この洪水がおさまり次第できるだけ早く来たい、こういうことを言っておられたわけであります。  そういう中で、そろそろ日中で具体的な日程を決めていかなければいけないということで、そういう調整に入った、ちょうど入ったぐらいのところであるというふうに御理解いただきたいと思います。
  24. 上原康助

    上原委員 そうしますと、十月あるいは十一月というのは、その他の外交日程等もいろいろあると思うのですが、どうなんですか、遅くても年内中には実現の可能性はあると見てよろしゅうございますか。
  25. 高村正彦

    高村国務大臣 年内の可能性はあると私は思いますが、その前の遅くともというのは必ずしもわからないので、できれば年内にしたい、あるいはそれより少し先になるかもしれない、双方の日程をすり合わせなければいけないということだと思っています。
  26. 上原康助

    上原委員 それともう一つは、この訪日問題とも関連するかもしれませんが、ことしの中国の水害というのは、大変残念なことに死者が三千人以上、あるいはもっと多いのじゃないかという推定もなされておるようですが、大変大きな水害、災害のようであります。  このことについては、当然といいますか、もちろん日本政府としてもそれなりの外交ルートを通していろいろの御支援あるいはその他のことをやってこられたと思うのですが、これまでに今度の水害に対して日本政府としてどのような支援をしてこられたのか。内容的にお示しできれば明らかにしていただきたいと存じます。
  27. 高村正彦

    高村国務大臣 この問題については、緊急援助を数回しておりますが、事実関係でありますので、アジア局長から答弁させたいと思います。
  28. 阿南惟茂

    阿南政府委員 今回の未曾有の中国の災害に対しまして、今大臣御答弁ございましたが、緊急援助として、物資それからお金、両方合わせてとりあえず二億五千万円の支援を出したところでございますが、まだまだ、この被害の規模のとてつもない大きさにかんがみまして、さらに、どういう支援が中国にとって受けて都合がいいかということも先方と相談しながら、今さらなる追加について検討中でございます。
  29. 上原康助

    上原委員 緊急援助として既に二億五千万円相当の援助をなさったということですが、これは当然といえば当然といいますか、日中関係からして、我が国としてやらなければならない中国への姿勢だと思うのですね。もちろん、相手国中国のお立場もあるでしょうから、日本側の意向だけではいかないと思うのですが、相当、医薬品その他、食糧等々はよく存じませんが、人道上の支援をやっていかなければいかない面はあると思うのですね。  その意味で、一層の御検討をお願い、要望しておきたいということと、できるだけ迅速に対処していかれることを強く要望しておきたいと思います。  それともう一点、恐らく江沢民主席訪日のときに話題になる、あるいは中国側として日本側に提起をされるであろう課題として、従来から話題というか議題になってきている、ガイドラインの問題もそうでしょうが、これとも関連をする三つのノー政策について、せんだってクリントン米大統領が訪中したときにも、米中間で相当話題というか議題に、政治会談のときに問題になったようです。  きょうはこの点について余り深い議論はいたしませんが、要するに、一つは、台湾の独立を支持しない、二つ目は、二つの中国一つ中国一つの台湾政策を支持しない、三点目、台湾の国際機関加盟を支持しないという、いわゆる三つのノー政策ということについて、これは、お答えは日中共同声明とか平和友好条約の内容を尊重するというように言うかもしれませんが、日本側としては、この三つのノー政策についてどのような姿勢で対処していかれようとするのか。  もちろん、外交ですから、それぞれの国益というか国の立場というものを優先に、二国間でも多国間でも考えなければいかないという基本は私は理解をする立場ですが、どうもこのことについて、これまで若干予算委員会などでの議論も私も聞いたりしてまいりましたが、いまいち日本側の立場というものが不明瞭な、あいまいな感じがします。  そういうことで、高村外務大臣の見解といいますか、お考えを聞かせておいていただきたいと存じます。
  30. 高村正彦

    高村国務大臣 先生が一番先に述べられたとおり、日中共同声明、日中平和友好条約に基づいて対処する、こういう答弁を繰り返しているわけでありますが。  三つのノーと言われていることの一つ一つについて、これでいいのですか、違いますか、こう言われる場合と、積極的にこの三つを取り上げて三つのノーですよと言うのとは、ちょっと意味合いが違うわけでありまして、日本政府として、その三つのノーを、これだけ取り上げてこのノーですよと言うということは考えておりません。
  31. 上原康助

    上原委員 アメリカも、文章化する、あるいは共同宣言をするということにはなかなか同調というか同意しかねたという報道でしたが、そうだったと思うのですが、少なくとも、今私が指摘をしたことについては日中間で合意をしているわけですよね、首脳間で。ここが大事な点だと思うのですよ。文章化する、あるいは、それを何らかの取り決めとしてやるということまで至らないにしても、その精神であるとか日中間の外交基本としてそれを基底にしてやるということは日本側としても、どうなんですか、そこまでも、共同声明の宣言とかそういうことで今明確に言えないということですか。
  32. 阿南惟茂

    阿南政府委員 若干技術的なこともございますので、お許しを得てお答えを申し上げます。  先生おっしゃいましたように、三つのノー政策の一つ一つは、大臣の御答弁のように、日本政府の立場、これまでの発言と異なる、相反するものではございません。  ただ、この三つのノー政策という言い方自体は、米中間で使われておりますが、日本政府としてこういう用語を使っているわけではございません。また、中国側も、日本に対して三つのノー政策を日本は受け入れるのかどうかというような形で問題を提起しているわけではないのでございます。  あえて申し上げますと、先ほど先生おっしゃいました、第一項は、台湾の独立を支持しない、第二項目は、二つの中国、または一中一台を支持しない。台湾独立を支持しないということと一中一台を支持しないということは、恐らく同じ内容のことを言っているのだろうと思うのでございますね。そうしますと、一項と二項というのは重複しているとかそういう技術的な問題もございますので、私どもとしては、非常に複雑な経緯、諸般の事情を考慮してできております日本の対中国、台湾政策を、三つのノー政策、これを受け入れるかどうかというような形で議論するのが適当かどうか、そういうことを先ほど大臣が申し上げた、そういうふうに私も理解しております。
  33. 上原康助

    上原委員 この点はこれからもいろいろ議論されていくことかと思います。  また、冒頭申し上げましたように、恐らく江沢民主席訪日なさる場合に、中国側はこの点について日本側の見解を求めるであろうと予測されます。そういう面でも我々ももっと研さんをしてまいりたいと思うのですが、政府としても日中間の長い歴史とか、あるいは今日の北東アジア、アジアの置かれている状況等を勘案して、ぜひ相互に十分な理解が得られる、そういう方向で対処していただきたい、このことを強く求めておきたいと存じます。  次に、北朝鮮の弾道ミサイル発射の問題について若干お尋ねをさせていただきます。  これは先ほども御質問がありましたし、いろいろ今まで本委員会でも他の委員会でもやりとりされておりますので、経過とかそういうことはさておいて、弾道ミサイルであった、あるいは、北朝鮮発表では、五日でしたか、人工衛星の打ち上げだったというようなことなども、情報が錯綜しているのですね、相変わらず。その後新たな展開はあったのですか。はっきりした朝鮮民主主義人民共和国からの公式なというか、まあ公式には外交ルートはないわけですから公式というのはないかもしれませんが、北朝鮮は一体このことについては公式見解は何なのか、日本側に新たな情報開示があったのかどうか、ありましたら教えてください。
  34. 高村正彦

    高村国務大臣 先生おっしゃるように外交ルートはないわけでありますが、北朝鮮は公に、これは人工衛星である、こういうふうに言っていると承知しております。
  35. 上原康助

    上原委員 そうしますと、日本側はそれ以上の確認とかあるいは情報は取得していないということですか。  といいますのは、各国の受けとめ方もまちまちですよね。私が非常に不思議に思うのは、アメリカ側は、ミサイル論あるいは人工衛星論、どちらも肯定も否定もしていませんよね。韓国側も非常に冷静に対処している。日本が、頭越しにやられた、日本を飛び越していったということについては、大変刺激的ですから、これは政治にしても世論にしても、ショックなインパクトを受けるのはわかるわけですが。  そこらの事実関係というものを確かめる方法はこれ以上ないということなんでしょうか。
  36. 高村正彦

    高村国務大臣 人工衛星であると主張しているのは北朝鮮だけであって、そして、その人工衛星であることを確認した国は一つもないということは客観的事実でありますが、さらに防衛庁の方で、人工衛星である確率は非常に低い、こう言っておられますので、防衛庁長官からお答えいただければと思います。
  37. 上原康助

    上原委員 今別に、外務大臣がおっしゃるから聞くわけじゃないのだが、防衛庁は、きょうは安保委員会じゃないので、いずれ機会があれば少し系統立って防衛論争もしてみたいのですが、かつて、旧ソ連が極東アジアにSS20を大量配備したということで、大変だ大変だと言って、急速に防衛力の整備強化をしてきた経緯があるわけです。八〇年代ですよ。だから、E2Cだ、次はAWACSだ、情報収集が必要だと。一向にそれは機能が強化というか、機能を果たしていないというふうにしか見られない。  人工衛星でないという防衛庁の根拠は何ですか。  また、一説によると、きょうはこの論議をしようと思わなかったので準備はしていませんが、防衛庁情報機器の作動が一時故障して捕捉できなかったという情報もないではないですね、マスコミ等を見ますと。そういう点を含めて、一体全体防衛庁は何しておったのだ、このことで。
  38. 額賀福志郎

    ○額賀国務大臣 上原先生はもう御存じの上でお話しなさっているわけでありますけれども、防衛庁といたしましては、米軍情報と、それから我々が持っているさまざまな情報機器を駆使しまして、それは艦艇、飛行機等を利用しまして、独自の情報収集に当たってきたことは当然であります。  その上で、やはり最終的には弾道ミサイルではないかという判断をし、一つ日本海に落ち、二つ目は三陸沖、三つ目の弾頭もその三陸沖の同じ延長線上におっこちたという分析をしているわけであります。  それは、軌道の問題、それからミサイルの速度、そういうことから弾道ミサイル可能性が強いのではないか。あるいは、北朝鮮がおっしゃるように、二十七メガヘルツでいろいろな放送をしていると言うけれども、これもどこもキャッチはしていないということ等々から、人工衛星とは言うけれども、人工衛星だという確認をどこの国もしていないということから、弾道ミサイル防衛庁の分析の方が可能性が高いのではないかということを申し上げているわけでございます。  もう一つは、先ほどAWACS等の話がありましたけれども、AWACSはまだ実用試験中でございまして、実際に飛んで情報収集に当たっている状況ではないということでございます。  それから、実際に我々がどの程度を動員してやったのかと申しますと、一番最高の状況で、海上自衛隊のイージス鑑一隻、護衛艦二隻、電子戦データ収集機EP3一機、航空自衛隊の早期警戒機E2C二機、電子測定機YS11EB一機という体制警戒態勢をしいた。これは最高の規模でありまして、あとは補給とかあるいは天候のぐあいとかで、これが四六時中動員をされていたわけではありません。  それから、故障が起こったではないかということでありますけれども、これは全体の流れの中では大きな支障を来したものとは思っておりません。
  39. 上原康助

    上原委員 逆に言えば、それだけの最高の規模をもってしても情報収集ができかねた、あるいは政府発表も時間がかかった、また、二転三転とまでは申し上げませんが、危機管理体制がうまくいっていないという感をぬぐえません。  私は今度のこのことを見て、かつて村山さんが総理をしておられたとき、危機管理体制がなっていないと盛んに自民党筋からいちゃもんをつけられて厳しい糾弾を受けたのだが、今度ももしそういう連立政権でこういう事態だったらどうだったのだろうかということを逆に私は考えたのですが。一事が万事そういう状態なのかなと、野中官房長官じゃないが、何かむなしささえ感じますね。  さりとて、じゃ、それに対応していく場合にどういう対応措置を講ずるかということがこれからの課題だと思うのですね。AWACSがまだ実用配備されていないということは私もわかるのです が、私は、AWACSを配備したって、あれは購入コストと引き合わないと思うのですよね。ただ物だけを購入して配置、配備をすれば情報収集能力が高まるということでもないと思うのです。  これは、日本のこれまでの防衛力の整備状況とか構造的な欠陥があると思うのですよね。正直申し上げて、鉄の塊のような戦車なんかたくさんつくっていろいろやってみたって、専守防衛とかいっても、いろいろな面からしても僕はむだが多いと思う。  だから、防衛庁長官、そういった根本的な改革をやらないから今のような不祥事もいろいろ起きている。そのことだけは申し上げておきたい。いずれ機会があれば本当に議論をしてみましょう、この点については。  そこで、これとの関連で今盛んに議論されてきていることが、いわゆる多目的衛星の整備とか、あるいはその他、防衛庁というか、政府として情報衛星導入策を固めるとか報道されておるわけですが、実際の現段階における、政府というか、外務省あるいは防衛庁の見解はどうなんですか。
  40. 高村正彦

    高村国務大臣 外務省では、従来より、我が国政府として画像衛星に関する将来的政策の検討を進めるために調査を実施してきているわけであります。  外務省としては、今般の北朝鮮によるミサイル発射を踏まえて、今後も本件調査を継続し、また今後いかなる方策をとることが可能か検討していきたい、こういうふうに考えております。
  41. 上原康助

    上原委員 防衛庁は何かお考えがありますか。
  42. 額賀福志郎

    ○額賀国務大臣 防衛庁は、これまでもランドサットとか民間衛星が取得している映像を得まして、それを独自に解析いたしまして、一つ情報源として活用させていただいているということはあります。しかし、これはいわゆる解析度というのは非常に粗っぽいものでありまして、なかなか我々にとっていい情報を提供しているというところまでいっているかどうかは判断がいろいろあると思います。  したがって、今の時代は何といったって、昔は水を制する者は天下を制すると言ったけれども、情報を制しなければやはりさまざまの対応ができない。日本みたいに一定の限度の中でみずからの国を守るという場合は、さまざまの情報を得ることは大事なことであるということから、大きな関心を持っております。  したがって、先生のおっしゃるような、いろいろな、多目的な衛星だとか議論がされておりますけれども、そういうことも注目をいたしております。
  43. 上原康助

    上原委員 防衛庁長官としては、今の段階ではそういう慎重な御発言があるいは得策かもしれませんね。それは、その点申し上げておきます。  それと、画像衛星とか情報衛星とかいろいろ、画像も情報も大体、もちろん綿密に言うといろいろ違うと思うのですが、性能、性格は。きょうは、私は私なりの個人的な見解は持っておりますが、まだ党内論議、あるいはいろいろあるようですから、これも深入りはいたしません。  問題は、一九六九年の国会決議との関係なのですよね、いずれの場合にも。宇宙の利用は平和目的に限るという一応の限定がある。また、この平和的使用というのは、つまり非軍事に限るという使用態様限定説と、平和的目的に限るとする使用目的限定説とに学者の言い方、解説というか見解も分かれているようです。  いずれにしても、多目的衛星の取得にしても、あるいは情報衛星にしても、軍事の面もカバーするということになると、この国会決議との整合性というものは当然議論になってくる。もちろん、国会決議については国会で議論の上で各党が精査をしていくでありましょうが、このことについては、それぞれ外務省あるいは防衛庁、また科技庁もおいでになっていると思うので、どういうふうにお考えになるのか、今取りざたされている情報衛星、多目的衛星の取得というか準備というか、配置をやろうという場合に、国会決議との関係政府はどう見ておられるのか、御見解があれば聞かせておいてください。
  44. 高村正彦

    高村国務大臣 多目的であれば国会決議に反しないという考え方もあり得ると思いますが、いずれにしても、最終的な有権解釈は国会でやっていただかなければならないわけでありますから、私たちが政府としてこう考えるというきっちりした線は非常に出しにくい、こういうふうに思っています。
  45. 額賀福志郎

    ○額賀国務大臣 今、高村外務大臣がおっしゃったように、国会決議との関連につきましては、その整理を経た上で我々も対応をさせていただきたいというふうに思います。
  46. 上原康助

    上原委員 科学技術庁は、特に宇宙の平和利用の問題等々の関係でどのような御見解を持っていますか、今、必ずしも国会決議のことじゃなくして。
  47. 池田要

    ○池田政府委員 お尋ねでございます。  私ども科学技術庁では、これまで宇宙開発事業団におきまして、地球観測でございますとか資源探査を初めとしますさまざまな目的、機能を持った人工衛星の開発も行ってきております。用途に応じましてさまざま、センサー、例えばカメラでございますとかレーダー、こういったものも開発をさせていただいております。また、こういう利用につきましても、民間での利用も広がってきていると承知してございます。  地球を観測する衛星ということになりますと、災害対策でございますとか地球環境の保全、資源探査あるいは都市計画の管理といったような、国民の生活ですとか行政に幅広く関係するわけでございますし、こうした活用ということでの重要性はますます増大してくると考えてございます。  そうした意味で、こうした今回のようないわゆる多目的衛星でございますけれども、これはいかなる内容のものになるのか、どういったセンサーを積むのか、あるいはそのデータがどういうふうに使われるのかといったことにつきましては、これまで宇宙の開発利用を進めてまいりました私ども科学技術庁といたしましても、関心を持って検討していくべき課題だと考えております。  いずれにしましても、先ほど御指摘ございましたように、今後のこういう調査検討に当たりましては、これまでの国会での御議論を踏まえまして、この決議との関係につきましては十分な配慮をしていく必要があると考えてございます。
  48. 上原康助

    上原委員 これもこれから相当議論がなされるでありましょうし、また、各党ともそれぞれ検討もしておるようですから、そういう推移も見ながらやっていかざるを得ないのかなと思うのですが。要するに、本来的にこういう情報化時代に必要な防衛機能をいかに整備するかということが、今もっと国民的というか、国会でも議論をしていい気は私もする一人です。  そういう意味で、ただミサイルが飛んできたからとか、さあ大変だということで、余り法律や条約やこれまでの政策を拡大、拡張の方向を模索するのでなくして、基本は、外交力をもっと高めるということと、北朝鮮を孤立化させないあるいは国際的に封じ込めないということもあわせ考えてこの問題には対処していくべきだと私は思うのですよね。  さっき申し上げましたように、アメリカは非常にクールに考えている。今でも米朝高官協議というものは進展をしているわけでしょう。むしろ暫定合意を見て、日本のそういった人道援助まで含めてストップをすることに対しては懸念を表明している。そういうことも政府としてはぜひお考えになっていただきたい。  この件について特に両大臣からコメントがあればお聞きをして、この問題はひとまず終えたいと思います。
  49. 高村正彦

    高村国務大臣 日本としても、中長期的に米朝間の枠組み合意というのは大切だと思っていますし、KEDOの枠組みを壊すというつもりは、これはないわけであります。封じ込めたりあるいは孤立化政策を日本がとっているのじゃなくて、北朝鮮がみずから孤立化するような政策をとっているのが非常に残念だ、こういうふうに私は思っているわけであります。  アメリカが、日本の人道援助を当面見合わせるといったことについて懸念を表明したという事実は、私は知りません。
  50. 額賀福志郎

    ○額賀国務大臣 これは上原先生も御存じのとおり、北朝鮮は、何の事前通告もなく、危険水域の設定もなく、我々の推測した情報に基づいた分析では、我が領土を横断して太平洋上にある物体がおっこったということであります。これは、私どもにとりましては、ミサイルについての大きな脅威として受け取らざるを得ない。  そういう中で、まず、断じて北朝鮮に対しまして抗議をする必要がある、憤りを感じないわけにはいかない、これは御理解をいただけるものと思います。  その上に立って、私は、そういう恐怖の政治のカードを突きつけられたから、そのカードを使った政治が得をするというか、有利になるような取引をしてはいけない、これもまた政治の前提ではないかというふうに思っております。  そういう意味からするならば、私は、むしろここは毅然とした態度をとっていくことが大事であるというふうに思っております。
  51. 上原康助

    上原委員 別に抗議をして悪いとか、当然、抗議は我が党を含めて私個人もやるべきだと思いますよ。それは非常に、今度のやり方については、国際条約というか、いろいろな信義の面からもよくない、憤りを禁じ得ないことは国民感情としてよくわかる。それを、ではそのまま対決環境をつくるということが政治としては得策でない面もあるということを申し上げているわけで、アメリカは公式には懸念は表明していないが、それらしきメッセージは出てきている、そのことを申し上げたわけですから。  それと、KEDOの枠組みは変えないと外務大臣はおっしゃったのですが、当面凍結する、いろいろあるのですが、KEDOへの援助姿勢というものは日本は変えない、そのことについては十分今後も、いずれというか時期が来れば協力するというふうに理解してよろしいですね。
  52. 高村正彦

    高村国務大臣 KEDOの枠組みというのは北朝鮮の核開発をやめさせるための枠組みでありますから、これは日本安全保障に直接かかわる問題でありまして、私はこのKEDOの枠組み自体は大切にしていきたい、こう思っています。  ただ、軽水炉の費用負担に関する合意を見合わせたのは、日米合意のもとに見合わせた、こういう事実があることは御理解いただきたいと思います。
  53. 上原康助

    上原委員 ちょっと意見もありますが、これだけに時間をとるわけにいきませんから、きょうは聞いておきましょう。  次に、沖縄の基地問題についてお尋ねをいたします。  これは外務省防衛庁関係するわけですが、率直に申し上げて、外務大臣防衛庁長官、沖縄の基地問題をあなた方はどうしようと思っていらっしゃるのか。SACOの最終報告が九六年十二月二日に決定して以降、ほとんど動いていませんよね。全くと言っていい。確かに県道一〇四号線越えの砲撃演習訓練については、本土の五施設への持ち回り訓練でやっているわけですが、そのほかは一切動いていない。普天間基地の海上移設も、今の状況ですと恐らく不可能でしょう。私は残念ながらそう思わざるを得ない。  もう言葉のやりとりじゃないと思うのですよ。人の道に反するとかなんとか言うが、私に言わせれば、政治の道に反しているのは政府なんだよ。本当にどういうふうに整理縮小を進めていかれようとするのか。この現在の事態というものを両大臣はどう見ておられるか。改めて本音の見解を聞きたい。
  54. 高村正彦

    高村国務大臣 現在の進捗状況について簡単に述べさせていただきたいと思いますが、土地の返還では安波訓練場の返還について、本年四月の日米合同委員会合意されていましたし、他の案件についても地元の理解を得るべく、鋭意努力しているところであります。  訓練面では、委員も御指摘になった県道一〇四号線越え実弾砲兵射撃訓練について、既に本土の演習場で実施してきております。騒音軽減措置としては、嘉手納飛行場において新たな遮音壁の建設工事を実施中であるほか、KC130の移駐について、関係自治体よりこれを受け入れるとの意向の表明をいただいているわけであります。関係自治体というのは山口県岩国市でありまして、私の前の選挙区でありましたから、私もそれなりに骨を折ったつもりであります。  その他、事件・事故通報手続米軍施設・区域の立ち入り手続の整備など、さまざまな分野における地位協定の運用の改善を実施してきております。  SACO最終報告の内容の着実な実施が、沖縄県民の方々の御負担を一歩一歩軽減する最も確実な道であり、今後とも、沖縄県を初め関係自治体の格段の御協力をいただいて、その着実な実施に向けて全力を尽くしてまいります。
  55. 額賀福志郎

    ○額賀国務大臣 今、高村外務大臣がおっしゃったように、一歩一歩、SACOの合意事項については話し合いが進められ、そして進んでいるところもあるというふうに思っております。  私は、防衛庁長官になって一カ月とちょっとたっているわけでありますが、やはり全体的な流れの中で、なかなかお互いに、例えば普天間基地の問題についても、官邸におったころは、これはうまくいくのではないかという期待感を持ってずっと見守ってきました。ところが、この普天間基地の返還というひなは、なかなか殻を破って出てくることができない。これはそつ啄の機といいまして、ひながかえるときは、殻の上から親鳥がつつく、それと同時にひなが下から、外に出たいよといってつつく。このあうんの呼吸が合ったときに、ひな鳥は外に元気に飛び出してくるわけであります。  そういう絶好のタイミングというのがまだあるはずなのでありますけれども、これはやはり我々携わる者がそういうタイミングを大事にして、そして現実的な対応をして殻を破っていくようにする必要があるのではないか。むしろ政府対応は、あの当時と変わってはいないということを申し上げさせていただきたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、私も沖縄担当の大臣として、率直にこの問題に対応して、前進のきっかけをつかむことができればよいというふうに思っております。
  56. 上原康助

    上原委員 お二人とも、それは政府として何もやってこなかった、やっていないというわけには言えないでしょうから、そういう御答弁になると思うのだが、高村大臣がおっしゃることは枝葉的な、当たり前のことで、これでSACOの合意が進展しているという認識自体が問題だということだけ申し上げておきたいと思うのですね。これはひなだけではない、大化け物なんだよ、普天間返還問題は、防衛庁長官。  私は政府の努力は多とするけれども、政府の認識のようではこれは進まない。また沖縄県側も、もう少し対話と、どうすれば問題解決につなげていけるかという積極的な面があっていいと私は個人的には思っている。皆さんにしても、もう少しやりようがあるはずなんだよ。沖縄県がけしからぬと言うだけでは問題解決しないですよ。沖縄県は、県民の意思とか地域住民の声を大事にして行政や政治を進めている。その基本をもっと外務省防衛庁も官邸もわかっていただかなければ困りますよ。協力しようにも協力できないところが今多過ぎる。  そこで、具体的な問題に入ってみたいと思います。  高村大臣、いろいろ騒音問題とか改善をしてきたとおっしゃるのだが、米軍基地内で起きている事件、事故のあり方とか、あるいは環境問題等についての連絡体制はおろか、さらに、情報開示はこれまでも一切なされていないのですよ。  最近の八月十七日、琉球新報が取り上げた、嘉手納に六〇年代から七〇年代にかけてPCBが相当量投棄されておった。私は、そこは通り道だったので、旧一号線といって、ここはよくわかります。今は相当草木が生えておるのでそういう面影はないのですが、かつては大変な状況だった。いろいろな産業廃棄物、米軍基地から出るものを投棄したりやっておったところなので。  これについては、私も、日米地位協定室にも防衛施設庁にも、事実関係を早く確かめて実態を明らかにしなさいということを申し上げてきました。皆さんは、その都度、合同委員会の環境部会ですかでやっているとか、いろいろ言ってきた。だが、一向にらちが明きませんね。もうきょうは九月の九日、一カ月有半たっている。  現在は、皆さん、外務省なり防衛施設庁、防衛庁なり、どういう米側からの回答を受けているのですか、この事実関係について。これが一つ。また、事実がわかっておるとすると、今後この除去なり、あるいは県民の不安とか、沖縄県側が軍や皆さんに申し入れていることについて、どう解決策を講じようとしているのか。この二点、明確にしていただきたい。
  57. 高村正彦

    高村国務大臣 一九六〇年代から七〇年代にかけて、嘉手納飛行場内の一定の地点にPCBが投棄されていたという報道につきましては、報道を受けて直ちに、日米合同委員会のもとに設置されている環境分科委員会の枠組み、それから、外務省から、在京米国大使館を通じて、米側に早急な調査状況の報告、問題とされている現場の土壌調査の実施等を重ねて申し入れているわけであります。  本日、きょう九日でありますが、午前においても、下地沖縄開発政務次官を団長とする政府代表団が嘉手納飛行場を訪問して、早急に米側の調査状況について報告するよう改めて申し入れを行うとともに、問題とされている現場の土壌調査を実施するように申し入れたところであります。  環境関連で具体的な問題が生じた場合においては、政府としては、日米合同委員会の枠組み、環境分科委員会等を活用して対処してきたところでありますが、過去に沖縄県の施設・区域においてPCB汚染が実際に問題になった際にも、現場における周辺自治体による環境調査が行われてきているわけであります。  環境庁においては、昭和五十一年から平成九年まで、毎年嘉手納飛行場の排水溝や嘉手納マリーナ等、問題とされている場所の近辺の地点を含めて沖縄県に委託して水質調査を行っておりますが、これまで基準値を超えるPCBの有害物質は検出されていないと承知しております。また、本年度の水質調査は本日実施されており、下地政務次官一行もこの調査現場を視察しております。  日米地位協定には、米軍が使用している施設・区域における作業に当たっては、公共の安全に妥当な考慮を払うべきこと、我が国の法令を尊重すべきことを確認する規定があり、在日米軍は、環境については、我が国の国内法令上の基準を踏まえ、環境管理基準を作成して、これに従い、必要な環境管理行動をとっていると承知しております。  政府としては、米側に対し、機会あるごとに、環境保全を含め、我が国の公共の安全や国民生活に十分な配慮が払われるよう、今後ともしかるべく対処をしていきたい、こういうふうに考えております。
  58. 上原康助

    上原委員 外務大臣経過報告はこの間もやっていましたね、ほかの委員の方の御質問に。きょうに至っても、まだ下地政務次官が嘉手納空軍基地を訪問して、新たに申し入れた。  なぜアメリカが回答しないの、皆さんの申し入れに対して。これまでもやってきたわけでしょう、合同委員会にも、環境分科会にも。  この間、外務省日米地位協定室長は、田中審議官が訪米しているので、そのときにも、国務省と国防総省のしかるべきハイレベルの方に、このPCB問題については、早急に事実関係等を明らかにして善後措置を講ずるように申し入れると私に報告したんだよ。その結果はどうなったの。  こういう場で、ただ大臣局長が答弁してお茶を濁すだけではいかないんだよ、こういう問題は。なぜ迅速にできないの。そこが日本外交の主体が問われている、日本政府の主体性が。なぜ一カ月も二カ月もかかるのですか、こういうことが。はっきりさせなさい。
  59. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 確かに、委員御指摘のとおり、ワシントンにおきまして、北米局の審議官から国防省のカウンターパートに督促をしたことがございます。  さらには、先週、国防省の高官が東京に参りましたときにも、我が方から重ねて日本側の事情、我々の気持ちを伝え、迅速な措置を要請、要求をしたところでございます。  いろいろな経緯がございますが、先ほど大臣から御報告がございましたとおり、現地に下地政務次官がいわば乗り込みまして、じきじきの申し入れを本日行っているところでございます。  私が得ております報告によりますと、この下地政務次官の申し入れに対しまして、アメリカ側は、十六日以降の日米双方の都合のよい日時に改めて嘉手納飛行場を訪問してもらい、米側担当者よりできるだけの説明をさせるとともに、問題とされている地点の現場視察を行ってもらうようにするという旨を述べたということを承知いたしております。
  60. 上原康助

    上原委員 下地さんが、政務次官がやるということは、沖縄開発政務次官としてそれは当然でしょう。私は彼なりのお考えがあるからやっていると思う。それはいいと思いますよ。  だから、私は、開発庁長官のときにも、基地問題というのは沖縄開発庁はその担当じゃないということで、防衛施設庁長官と北米局長と沖縄開発庁の総務局長の三省の協議会をつくらせたのだ。基地問題について連係プレーをやれと。  しかし、きょう申し入れて、十六日にも改めてまた双方の代表が基地を視察する。そうしますと、今まで我々が外務省施設庁に言ってきたこと、皆さんが委員会でほかの委員に事実関係を早目に明らかにして対処すると言ってきたことは功を奏さなかった。下地さんが動いてようやくやったということじゃないの。外務省防衛庁の言い分については耳をかさなかったということになっているのでしょう、結果としては。そういうことが納得いかないということなんですよ。  それともう一つ、もう時間も来ましたので、政府はあれですか、在日米軍本部発行のいわゆる国防総省の「日本環境管理基準」というものはお持ちなんですか。
  61. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 御質問の環境管理基準というのは入手いたしております。
  62. 上原康助

    上原委員 それは、翻訳をして、きちっと日米間で話し合ったり、協議をしたことはありますか。外務省防衛庁、環境庁、それぞれ答えてください。
  63. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 この環境管理基準と申しますのは、もう御承知のとおり、米国外における基地につきまして、環境管理基準を設定いたして、そこで環境管理行動をとるということになっております。  我が国に関係します在日米軍が用います環境管理基準につきましては、一九九五年に作成されたものと承知いたしておりまして、米側は日米合同委員会のもとの環境分科委員会を通じまして、日本側に対して提供と申しますか、それを見せまして、これを我が国の基準との関係で問題がないかチェックを行うという作業を求めてきておりまして、日本側の基準とのチェックを行ってきているところでございます。
  64. 上原康助

    上原委員 外務大臣、今一九九五年と言っている。九五年のもあります。九二年のもある。私もいろいろ環境問題についてある程度勉強して、国会図書館とかあるいはインターネット等で資料収集している。  一九九七年の一月にこういう新たな環境基準が出ていますよ。これには、これは単なる在日米軍だけじゃない、日本政府とも協議をしてやらにゃいかぬということが書いてあるのだ、こういうのが。しかも何と書いてあると思う。「毎日が緑の日、地球の日」「私達の手で世界をかえよう」なん という、もう政党が環境政策のスローガンにしてもいいぐらい立派なことが書いてある。本当なんです、本当。  地位協定では確かにいろいろ制約もあって日本法律をそのままストレートに適用できないということなのだが、この中には、地位協定にはそう書いてあるのだが、いろいろと日米間で協議をしてやらなければいかないということが書いてある。私は、これをきょう手に入れたものだから、四苦八苦して翻訳もさせてみた。なぜ、こういう立派なものがあって、米側もできるだけ環境問題を熱心にやろうというのに、私に言わせれば、日本政府の努力が足りない面があると思うのですよ、アメリカもけしからぬところ、多いけれども。  ここで、もう時間ですから、両大臣に約束してもらいたい。一九九七年一月に、しかもこれは「デパートメント・オブ・ディフェンス」ですよ。僕も発音が悪いから。「ジャパン・エンバイロンメンタル・ガバニング・スタンダーズ」とこれは書いてある。「国防総省日本環境管理基準」、これを直ちに、もし翻訳してなければ翻訳をしてもらって、この基準に従って、沖縄だけじゃなくして在日米軍全体のあれをやっていただきたいということを要求したいと思うのですね。  しかも、地下貯蔵タンクについては、大臣、「一九九九年一月一日、現存する危険物質用のタンクと導管は、新規定を満たすべく改善もしくは取替を行わなければならない。」「ニ〇〇四年十月一日、現存する石油、オイル及び潤滑油、ならびに導管は、必要がなけれげ密閉するか、もしくは新規定を満たすべく改善または取替を行わなければならない。」こういうことに基づいて今米軍施設内のいろいろなことをやっているはずなんだよ。  ですから、これを取り寄せていただいて、日米間で、環境部会でもいいし、合同委員会でもいいし、検討してもらいたい。そのことはお約束できますね。両大臣から答えてください。
  65. 高村正彦

    高村国務大臣 立派な環境管理基準をつくってもらっているわけですから、それをきっちり実行してもらうように、そしてこれは一九六〇年代、七〇年代に原因は起こったことであっても、現時点で住民の人たちが不安を感じるような状況であるとすれば、きっちり調査してもらうように、また、きょう下地政務次官が申し入れたところでありますが、さらにアフターケアをきっちりやってまいりたい、こういうふうに思っています。
  66. 額賀福志郎

    ○額賀国務大臣 昨日、横田基地に参りまして、在日米軍のホール司令官とお会いをいたしました。さまざまの議論をいたしました中で、この沖縄のPCB問題、環境問題についても話し合いを いたしました。  私としては、国会でも問題になっており、在日米軍の方で積極的にこれに対応していただいて、実態を把握し、地域住民の不安を解消するべく協力をお願いしたいというふうに申し上げました。これに対し、ホール司令官は、アメリカもそれからアメリカ軍も環境問題には敏感であるし、全力投球で応援をしたい、協力をしたいということでありましたから、我々も今先生のおっしゃったような方向で対応していきたいというふうに思います。
  67. 上原康助

    上原委員 終わります。
  68. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、東順治君。
  69. 東順治

    ○東(順)委員 私の方も、これまでの質疑と若干重なるかもしれませんけれども、北朝鮮ミサイル問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。  初めに、ミサイル発射の二日前の八月二十九日、この日開催されました中国での日朝課長級の非公式会談について伺いたいと思いますけれども、この内容につきまして、これまで述べられている以上にもう少し詳細にぜひお伺いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  70. 阿南惟茂

    阿南政府委員 八月二十九日、北京において開催されました日朝間課長級非公式協議、これはミサイルの問題を話し合うために開いたものではございません。まさに非公式協議と。実は余り表に出さないで、内々、北朝鮮との間で日朝間の懸案事項を議論したものでございまして、ただ、もうこの時点では北朝鮮ミサイル発射準備状況についての情報がございましたので、それでこの機会をとらえて、我が方から、北朝鮮ミサイル発射を行うようなことのないように強く申し入れを行ったということで、全体の協議の中でその部分はそう長い部分ではございませんでした。  先方は、そういうことでございますので、ミサイル発射に関して責任を負っている担当者でもございません。そういうことで、我が方の申し入れを聞くという基本的な姿勢で個人的な意見を少し述べた、こういうことでございますので、何か非常にやりとりがたくさんあって余り御説明してないということではなくて、全体のそういう非公式協議の中でこの部分については今申し上げたようなやりとりがあったということでございます。
  71. 東順治

    ○東(順)委員 そのミサイル発射問題以外の部分を実はお伺いしたいわけでございます。
  72. 阿南惟茂

    阿南政府委員 先ほど日朝間のもろもろの懸案ということを申し上げまして、これは先方の都合もあるかとは思いますが、御案内のように、粒致問題とか、それから今中断されております北朝鮮在住の日本人配偶者の故郷訪問の問題とか、先生も御存じの日朝間に今存在している問題についてこのレベルで非公式に話をした、こういうことでございます。
  73. 東順治

    ○東(順)委員 私がこの問題に関心を持ちましたのは、実はこの発射後に朝鮮アジア太平洋平和委員会なるものの談話が出ましたね。これはもう御承知のとおり、びっくりするようなこのミサイル発射に対する談話で、一つ一つ読んでいるともう本当にあきれ返るばかりの内容なのですが、この中に、こういうくだりがあるのですね。北朝鮮側が我が国に対して、今回のミサイル問題について、自分たちがまず裏で関係改善問題を提起しておきながら、それが困難になったというのは、彼らの二面性とこうかつ性をそのまま露呈するものである、こういうところがあったわけです。これは何だろうと。  それが困難になったということは、まず、日朝間関係改善で、日本側がいろいろなことを、関係改善のために問題を提起しておきながら、ミサイルを撃ち込まれたということで、一転、それが困難になったというふうに日本がまた声高に騒いでいる、これは日本の二面性とこうかつ性をそのまま露呈するものである、こういうことだろうと思うのですけれども。今局長がおっしゃったように、日朝間の懸案事項、粒致問題とか、あるいは日本人妻里帰りの問題とか、北朝鮮被爆者の日本での治療受け入れというようなことも多分あったのではないかと僕は推測するのですが、ここまで問題を提起して、実はかなりいい線で、日朝間の国交というものがさらによくなるのではないか、こういうふうにこの時点では推測されておったのではないのですか。
  74. 阿南惟茂

    阿南政府委員 北朝鮮側の発言、発表、そういうものの意図を、私ども、なかなか正確に、真意がわからないという前提で申し上げますと、冒頭で先生がおっしゃいました、自分たちが関係改善を提起しながら云々というのは、私どもの理解では、恐らく、昨年八月に北朝鮮との間で審議官クラスの協議を行いまして、そこで正常化交渉を早くやろうという合意をしたわけでございますが、それがなかなか実現しないということに対する先方のいら立ちを表明したのだと私どもは思っておりまして、先生今おっしゃったような御解釈、いずれにしてもなかなか向こうの真意がわからないわけなので、そういうことかもしれませんが、私どもは、むしろそういう流れの向こうの発言だというふうに理解しておるのでございます。
  75. 東順治

    ○東(順)委員 わかりました。日朝非公式課長級協議の場を指しているのではないということですね、この発言は。そう推測しているということですね。  いずれにしても私が申し上げたいことは、これまで日朝間のさまざまな協議の場が持たれて、そしてそこで関係改善のためにいろいろな問題提起をして、なかなか難しい国ですから、それを相手 にしてやっているわけですから大変難しかったのだと思うのですが、いずれにしても、積み上げている感じがある。それが一転して、最終的答えがミサイルという形で我が国に返ってくる。では、今まで協議のために汗をかいたということが、一瞬にして、こんなミサイルみたいな答えでもって返されるというのは、外交はないとはいいながら、二国間の協議としては、私はもう甚だ残念でならないという気がいたします。  北朝鮮という国に対しての、外交交渉なり両国間の協議なりに対して、これまでとってきた我が国のスタンス、姿勢というものがやはりちょっと甘いのではないか、今回の問題を機に、やり方ということをもう少しきちんと変えていかなければいけない部分というのはたくさんあるのではないか、こういう気がしてならぬのです。この辺、大臣、どういうふうにお考えでございますか。
  76. 高村正彦

    高村国務大臣 中長期的にいえば、北朝鮮との関係正常化というのは、第二次大戦後の不正常な関係を正す、そして、それがまた朝鮮半島の平和と安定に資すればいいな、そういった気持ちを持ちながら、米韓とも協議しながらいろいろな話し合いを持ってきたわけでありますが、今までもそれはそれは大変な交渉であって、先生以上に担当者は厳しいという感じを持っていたかもしれない。甘い対処ができるような感じではない話し合いを今までずっと続けてきたわけであります。  現実問題として、ミサイル発射、こういうこともありました。ただ、私たちは、そのことに対しては、こういう、国際社会が当然認めないようなことをやったことが割に合うという感じにはしてはいけないという当面の対処と同時に、やはり長い目では、関係正常化そして朝鮮半島の平和と安定に資するのだ、こういう気持ちを持って、もちろん甘くていいというわけではないのですが、甘くないように、そして粘り強くこれからもやる。当面厳しい対応をするのは当然ですし、そのことによって北朝鮮側から何らかの変化も期待していますけれども、私たちは、それと同時に、一方では粘り強い対話をしていかなければいけない、こういうふうに思っております。
  77. 東順治

    ○東(順)委員 粘り強い対話という、いわば太陽の政策といいますか、それから毅然たる外交姿勢という、北風の対応といいますか、やはりこの辺の絶妙のバランスでこういう難しい国はきちっと当たっていかなければいけない、私もそう思います。ぜひ今回も、一生懸命外交努力をしていて、いきなりミサイルが飛んでくるみたいな、こういうことはこれから断じてないように、そういう問題意識をしっかり持っていただいて外交に当たっていただきたい、このように思う次第でございます。  それから、先ほどもちょっと触れておられましたけれども、国会決議の問題でございます。  昭和四十四年五月の宇宙の平和利用を定めた国会決議、このもとに偵察衛星を我が国は保有しておらないわけでございますけれども、ここのところ、多目的衛星ということが大変議論になったり、声が大きく広がってきたりしている。これにつきまして、まず御見解はいかがでしょう。多目的衛星を持つべきであるという、この広がってきている議論、これに対して大臣にお伺いします。
  78. 高村正彦

    高村国務大臣 日本国日本国として独自の情報を持てるようにするということは、これは非常に大切なことであるというふうに基本的には思っています。そういう中で今、その情報、この情報という一つの方向に限らないで、多目的の情報を持つということはいいのではないか、こういうふうにも考えております。  国会決議の点に触れられましたのでちょっと申し上げれば、先ほども言ったことですが、多目的であれば国会決議に反しないのではないかなというのも一つの考え方としてあり得るとは思っております。  ただ、最終的な有権解釈は国会でされることだ、政府がそうであると断定するようなことは避けたい、こういうふうに思っています。
  79. 東順治

    ○東(順)委員 そこで、日本が独自でこういう偵察衛星を持つということに対して、当然のことながら、アメリカは、これは反対という姿勢を持っておられるのだろうと思います。独占的な情報というものを武器にしてきた対日戦略に影響が出てくるので、日米安保条約が最良の保険であるというようなアメリカの見解がありますよね。したがって、多目的とはいいながら、平和目的と軍事衛星的な目的と、両方持っているという意味の多目的でございますから、これはやはり半面、偵察衛星、軍事衛星的な側面があるわけでございますので、そういうことに絡んで、アメリカが、偵察衛星を打ち上げることに対しては反対する。日米安保体制が最良の保険である、こういう見解を述べている。これに対して大臣はいかが考えますか。    〔委員長退席、森山委員長代理着席〕
  80. 高村正彦

    高村国務大臣 私自身が、日本偵察衛星というか情報衛星というか多目的衛星というか、そういったものを持つことを反対だとアメリカのしかるべき人から言われたことはないわけなんです。ただ、アメリカ側が日米安保条約が最良の保険だと思っていることは事実だと思いますし、私も、日米安保条約は最も重要な保険の一つである、こういうふうに考えているわけで、それは、日米安保条約が非常にいい保険であるということと多目的衛星を持つことは矛盾しない、私はこう思っております。アメリカの中ではいろいろな考えを持つ人がいると思いますが、私自身がアメリカ側からきっちり正式に何らかの話を聞いたことはまだありません。
  81. 東順治

    ○東(順)委員 矛盾しないという見解ですね。  私は、この国会決議のことで、もちろんこれは私が所属する政党の見解でも何でもないのです、私の個人的な見解でございますけれども、国会決議というのは、やはり時の流れに応じまして、その時々の国民世論というもの、そういうものの一つの集約した形ですから、そこは柔軟性を持って解釈を変えるなり、国会決議そのものをもう一回見直すなり、こういったことは当然のことなんだろうと思っているのです。  そのことから考えましたならば、先ほどは、国会が決めるべきものとか、こういう意味合いで御答弁なさいました。大臣外務大臣である前に一人の国会議員でございます。国会決議を見直すべしという私の議論に対して、一人の国会議員としていかがですか。賛成ですか、反対ですか。
  82. 高村正彦

    高村国務大臣 一つの見識だと思っております。
  83. 東順治

    ○東(順)委員 一人の国会議員としての見解はここでは述べられない、こういうことなんですね。  それから、問題は、仮にこの多目的衛星なるものが実現をして、日本のいわば偵察機能というものが高まる、こうなったとして、私は、これも私の個人的な見解です、決して党の見解ではないのですが、日本の防衛ということを考えたときに、防衛庁長官、我が国は専守防衛の国ですから、専守防衛ということを考えたときに、もし我が国に一朝事があったときに、きちんと守れるという、これの整備をしておかなければならないのだろうと思います。もとより政治には、国民の生命と財産を守るという絶対的な責任と義務があるわけですから、その観点からも、むしろこの辺をあいまいにしておいてはいけないのだろうというふうに僕は思うのです。  一つは、こういう偵察衛星、多目的衛星と申しますか、偵察衛星なるものは、動物に例えれば多分ウサギの長い耳、どこよりも早く状況というのをきちっとキャッチをする。情報をキャッチして、何らかの不穏な動きが起こる、日本本土に対して何か起こるというようなことに状況が進展したときに、日本は今度はハリネズミといいますか、ハリネズミのようにばっと防御しなければいけない。だから、いわばウサギの耳、ハリネズミ論みたいなものが専守防衛の国としては非常に大事なんだろう、私はこう思うのですよ。  そこで、ウサギの耳、ハリネズミの機能は持っていても、これがきっちり使えないということになったならば、例えば我が家の戸締まり状態を考えたときに、立派なかぎという機能はある、しかし、このかぎをかっちりかけて夜眠るということをしないと、いつ不法な侵入者が入ってくるかわ からない、こういう状況になる。このかぎをかけるということが、いわば危機管理のときの、危機管理下の法制という問題になろうかと私は思います。  確かに、この問題を言い始めますと、周辺アジア諸国なんかが大変に緊張するでしょうし、我が国の戦前戦後からのさまざまな歴史的経過もあって、なかなか繊細な問題です。したがって、今まで水面下でずっと研究はなさってこられたのでしょうけれども、もうそろそろ、政治の責任として国民の生命と財産を守るという意味合いから、こういう研究というものが表の議論のテーブルにのって語られていかなければいけない時期に来ているのではないだろうか。何もそれは、これを問題にすることによって一気に日本が軍国化するとか、そういうこととは別次元の問題で、独立国家として、必要なものは必要なものとしてやはりきちっと整備しなければいけない。  したがって、有事の法制あるいは危機管理下の法制ということ、これはそろそろ議論をして、やはりウサギの耳と、せっかく自衛隊というハリネズミの機能を持っていながら、何か事があったときに対応できるような法的担保というものをきちんと表で議論を開始していかなければいけない時期に来ているのではなかろうか、それが政治の責任だろう。しかも、これに対していたずらな誤解を与えないように、周辺諸国やさまざまな国々に徹底的な理解を求める外交努力を同時に行っていく。私は、極めて私の個人的見解です、党の見解ではありません、そう思いますが、大臣、いかがですか。
  84. 額賀福志郎

    ○額賀国務大臣 まず、ウサギの耳についてでありますけれども、戦後数十年は、日米同盟関係を基軸にしてそういういざというときの情報を得てきた、しかも、なおかつみずからもそういう情報を得る努力をしてきて今日に至っているというのが姿であろうと思っております。  では、こういう情報化社会の中で、アメリカやソ連のように、日本が静止衛星とか偵察衛星とか、その連係をする通信衛星とか、さまざまなものを体系化して整備をしていくということは、対外的な問題とかあるいは費用対効果だとか総合的な安全保障を考えたときにどうなのか、あるいは、今の我が国のレベルで果たしてそれができるのかできないのか、いろいろ議論する余地があろうかというふうに思っております。その中で、やはりこれからの我が国の安全を守っていくためには、基軸は日米同盟関係の信頼関係を強固にして情報を得、しかも、なおかつ我々も機動的に対応できるような体制をとっておくことではないかという感じがいたしております。  それから、いざ何かがあったときどうするのか、法的な整備をしたらどうだという先生の御指摘については、これから東先生の政治力で大いなる議論が広がっていくことを私は注目していきたいというふうに思っております。  冷戦後、どういうふうに我が国を守っていくのかということからいろいろと考えた結果、今我々、国会に法案を出させていただいておりますけれども、新ガイドライン法案が出ているわけであります。  つまり、大きな戦争というのはそんなにないのではないか、これはまた推測ですから断定はできませんけれども、それよりもさまざまな地域紛争的なものが起こる、そういうことにまず対処できる、対応できる仕組みをつくった方が我が国の安全と平和を守っていくことに重要ではないかということであの法案を出させていただいたわけでございますから、政府といたしましてはまずこのガイドラインの法案を、国会で今審議が行われておりませんので、これもまた東先生のお力で審議ができるようにしていただいて、その体制をつくっていただければありがたいというふうに思っておりますし、また、一朝有事のときはどうなのかということについて、全く我々が無防備で何もしていないわけではないのでありまして、それは、日米同盟関係もあるし、それからいざというときは防衛出動があれば、それはさまざまの法体系の中で適用除外項目もあるわけでありますから、全く対応ができないということではないところもあるということであります。
  85. 東順治

    ○東(順)委員 急に球を二つぐらい返されましたけれども、私は質疑している方で、聞かれる方じゃございません。  それで、急にガイドラインみたいなことまで御答弁いただきましたけれども、ここは私は聞いていないわけです。私は、今回ミサイルが飛んできたから急にこんな考え方になったわけではなくて、ここのところずっと以前からもうそろそろではないのかなと思いながら来ていたやさきに、こういう問題が惹起した。  きょう、こうやって私たちが議論しているさなかにも、九日に打ち上げるかわからないというような予測もあったりして、これはわからないのですね。今の段階では、液体燃料を注入するのに八時間ぐらいかかるみたいなことがあるので、ある程度のことはわかっているのでしょうが、いつ何どきまたこんなことが起こるかわからないというような状況にいつも日本列島というのはさらされているということなので、ここは感情的にどうだこうだということではなくて冷静に、一つの国家として、やはり政治というものが責任をきちっと果たしていくさまざまな装置というものをきちんとそろえなければいけないのじゃなかろうか。それと我が国の集団的自衛権とか個別自衛権とか憲法問題というようなところとは、確かに絡みますけれども、やはりひとつ次元の違う、独立国家としてのその政治に携わる私たちの責任ではなかろうか、このように考えているわけでございます。  周辺有事、ガイドラインについては、これまた別の考え方も私はございまして、それはまた議論をさせていただきたいと思います。 それともう一点ですが、ニューヨークの米朝会議の結果で、いわゆる四者協議、これが早晩再開されるものであると思います。  今回の北朝鮮によるミサイル発射というのは、我が国だけではなくて、やはり北東アジア地域全体の脅威として共有していくべき問題だろう、こう思うのです。ところが現実は、アメリカあるいは韓国、日本中国、さまざまに、今回のミサイル問題ということに対して、とらえ方に激しい温度差があるような気がします。  したがって、今月下旬、日米韓三カ国の外相会談開催、ここでこのミサイル問題が語り合われるのだろうと思いますけれども、こういう大変な温度差を持った国々が、果たして一つ合意というか、我が国が考えているような、今回の問題に対して毅然たる態度で対応していかなければいけないというようなところに議論がきちっと整合されていくのだろうかということが、一つは非常に心配がございます。  それと同時に、四者協議、四者協議で今までやってきたものを、やはり北東アジア全体の平和と安定にかかわる問題ですから、ここは大臣、どうでしょうか、我が国がリーダーシップをとるということで、この四者に我が国とロシアというものを加えた六者協議というところに土俵の枠をもっと広げられないものだろうかというふうに思うのです。この外交努力というものを、リーダーシップをとる形で、外務大臣、その方向で御努力いただけないものなのだろうか。その第一ラウンドとして、この日米韓三カ国の外相会談というものを、その姿勢で臨んで、その方向に引っ張っていけないものだろうか、こう考えます。  これは何も日本一国の脅威ではない、北東アジア全体の脅威だということで、私はこのように思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  86. 高村正彦

    高村国務大臣 北東アジア全体の脅威であるということは全く私も同じ考えであります。  それで、日米韓外相会談については、私から発案してそれをやることになりまして、まさに北朝鮮ミサイル問題を討議するわけであります。温度差があるといえばあるわけでありますが、いずれも同じ方向にとらえていることは間違いないわけでありますから、そういう中で毅然とした態度をとるということと、やはり中長期的に見た戦略的視点も大切でありますから、そこを日米韓で、我々の言うことを聞いてもらうべき点は聞いてもらいながら意見を調整してまいりたい、こういうふうに思っております。  それから、四者会合から六者会合にしたらどうだという話でありますが、四者会合というのは、朝鮮半島の問題の直接の当事者である北朝鮮と韓国、そして休戦協定の当事者であるところの米国中国も入って四者会合が行われる、それを日本としても支持する、こういうことでやってきたわけであります。  六者会合がほかの国からも支持されて、それが朝鮮半島の平和、安定、あるいは北朝鮮ミサイル開発防止になるのであれば、私もそれは大変いいと思うわけでありますが、六者にするというようなことについては既に北朝鮮が明確に反対の意思表示をしているわけで、そういう中で、四者会合すら余りスムーズに開かれていない中で、さらに六者にしようとかそういうことの中で話し合いが行われないということはマイナスの面もあるので、少し考えさせていただきたい、こう思います。
  87. 東順治

    ○東(順)委員 それではまず今月下旬の国連総会の際の日米韓の三カ国の外相会談、これはぜひ、見事に高村外務大臣がリーダーシップをとったという印象、イメージを我が国の国民にしっかり与えることができますように、全力を挙げてひとつこれは取り組んでいただきたいと思います。これがそのまま、今回のミサイル問題の極めて重要な、国際社会に対する日本のメッセージの場になろうかと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  以上で終わります。
  88. 森山眞弓

    ○森山委員長代理 次に、東祥三君。
  89. 東祥三

    ○東(祥)委員 先週の委員会に続きまして、北朝鮮弾道ミサイル発射に関する政府の当面の対応と今後の方針について、三十分間、質問させていただきます。  弾道ミサイル発射されてもう一週間以上たつわけですが、高村大臣、額賀防衛庁長官、本当に日本というのはおかしな国だなと改めて僕は思わざるを得ません。  それは、冷戦構造が崩壊した後、もう八年あるいは九年近くなるわけでございます。現在世界じゅうで何が起こっているかといえば、もう既に情報として御案内のとおり、 コンゴにおいては多くの名もなき民衆たちが、部族紛争あるいは民族紛争の名のもとに、大量に人間が死んでいるわけですね。それに対して、国際社会として何ら手を打つことができない。ある意味で、放置された状況、殺されていくままになっている、そういう状況が一方にある。さらにまた、旧ユーゴにおける情勢も全然改善もされていない。ブレジンスキーという人が「アウト・オブ・コントロール」という本を書かれておりますが、まさに世界全体がそのような状況になりつつあるのではないのかという認識を一方において私は持ちます。  そういう問題が世界で起こっているときに、日本というのはほとんど騒ぐことがない。にもかかわらず、前回も質問させていただいているとおり、まさに日本の全政治経済の中枢、すべてを射程に含むミサイル発射されたといったときに、皆さん物すごい声を上げて、ある意味で大変な騒ぎを醸し出した。しかし、騒ぎを醸し出していたとしても、一週間たった今日、何をどのようにするのかという方針さえ明快に見えていない、個々の対応は別として。  先日、うちの娘に、パパ、何か北朝鮮という国が弾道ミサイル発射したそうね、日本は本当に大丈夫なの、政治家というのは何をやっているのというふうに言われました。そのときに、私は自由党でありますけれども、自由党がどうのこうのというよりも、政治家として、国民の生命と財産を預かる、そういう責務にある人間としてはっと答えに窮してしまいました。これが、日本全国、子供から言われたときにだれも答えられない状況なのだろうというふうに僕は思うわけでございます。  先週の委員会においても、その認識は共有していると思うのですが、日本安全保障上、ある意味で戦後最大の危機あるいは脅威を醸し出しているかもわからない、それに対して一つ骨の通った方針さえ明快に出ていない、何なのだということなのですね。  そして、相手にする国というのは、我々からは、何を考え、何を発信しているか、そういうことが全くわからない国。ところが、相手にしている国は、総理大臣、官房長官、外務大臣防衛庁長官の一挙手一投足まですべてわかっている人です。そういうものを相手にして、今暗中模索のもとで何かやろうとしているわけですが、政府みずからも全くその大方針というものが見えない。  この弾道弾がまさに三陸沖に着弾したという情報を把握した時点が三時の時点だった。総理は、その後何もなかったかのように委員会での答弁などの公の業務を続けていた。事は、ミサイル日本の領空を侵犯した可能性があることをわかっていたとするならば、ある意味でこれ以上の日本安全保障上の危機というものはないにもかかわらず、それに対して即応する準備、そういうものも何もできない、またどうしていいかわからないというのが日本のまさに今の現状なのではないのか。額賀防衛庁長官がその日議員会館に帰ってしまってどうこうしているだとか、そういうことを僕は言っているのではないのです。  まさに、日本の中枢の方々が、日本安全保障にかかわる危機的な状況になったときにどうすればいいのかという、そういう準備さえされていない。その結果として、安全保障会議も開かれていないではありませんか。あるいはまた、それほどの危機的なものであるとするならば、与野党の党首を招いて、今こういう状況だ、情報がよくわからない、しかしどうしたらいいのかということをやればいいではありませんか。しかし、そういうことも何もされていない。しかし、大変だ大変だということで、もう一週間以上が経過している。今後何をやっていくかということもよくわからない。一切何が何だかわからないままに推移していってしまって、技術的な問題で多目的衛星がどうのこうのだとかと言ったとしても、これもどういうふうになっていくかわからない。また、弾道ミサイル防衛がどうのこうのという議論だけは出てくるかもわかりませんけれども、どうなるかもわからない。これで本当に日本安全保障というのは守れるのか、そういうふうに私は思わざるを得ないのです。これは、僕だけではなくて、多くの人々がみんなじくじたる思いで見ているのだろう。  だから、それはまさに残念ながら、本当に両大臣はいろいろとお忙しいと思いますけれども、政権を維持させなければいけないということに最大の関心があるのかどうかわかりません。それはそれとして、まさに危機的な状況であり、それをどういうふうにやっていったらいいのか、それが戦後五十数年間続いてきた日本安全保障に対してのまさに結実ではないのか。世界はばかにしていると思いますよ、世界は笑っていると思いますね、日本は何もできないと。  二日の段階でアメリカは、御案内のとおり、訓練目的と称して、B2ステルス爆撃機三機、さらにまたB52爆撃機三機をグアム島に急派した。もちろん、訓練目的という名のもとに送ったわけですけれども、明らかにこれは北朝鮮の弾道ミサイル発射についての牽制ですよ。そういうふうに受け取っていい。  では、日本の場合は一体何をやっているのか。あの弾道ミサイル発射された後、防衛庁長官として、防衛出動の前の段階におけるそういう準備態勢を各部隊に指示しているのかどうなのか。それも多分やられていないと思うのですが。一体何を日本安全保障上の危機だととらえるのか。その危機に対してどのように日本は対処しようとするのか。その最高責任者が二人いらっしゃるわけですよ。  今るる申し上げましたけれども、感情も若干込め過ぎておりますけれども、この点について、お二人のまず御見解をお聞きしたいと思います。
  90. 高村正彦

    高村国務大臣 余りに大きな質問なので、質問の意味が必ずしも的確に受け取れているかどうかわかりませんが、我が国とすれば、我が国として大きな形でどう対応するかということはそれなりに、先生から見ればとても十分ではないと言われるかもしれませんが、考えているつもりです。  それは、一つには、当面、この国際社会から見てとても許容できないことをやった北朝鮮にこれが割に合ったと思うようなことはさせないということで、毅然たる態度をとる、しかし中長期的には、やはり北朝鮮が核開発をすることをとめるKEDOという、そのことを壊すわけにはいかない、そういうことで、当面の戦術的とらえ方と中長期的の戦略的とらえ方、これを調和させる外交を展開したい、こう思っております。  それとともに、先ほど東議員の質問の中にありましたが、安全保障条約が最良の保険だという、今いわゆる抑止力となれるものは日米安全保障条約しかないと言ったら語弊がありますが、それが一番大きな部分を占めるわけで、その日米安全保障条約の信頼性を高めなければいけないということで、さらにきょうも事務次官のところにアメリカの臨時代理大使に来てもらってそういう話をしておりますが、それをあらゆるレベルで今やっているところであります。  さらに、こういう状況の中で、ずっと時間がかかることではありますが、BMDだとか、あるいは多目的の情報をとるための衛星だとか、こういう話を国民全体が理解する雰囲気が出てきた、こういうこともあるわけで、そういった観点から、日本の平和と安全を守るための大きな意味の外交その他の措置を展開していきたい、こういうふうに思っているわけであります。
  91. 額賀福志郎

    ○額賀国務大臣 お答えをいたします。  三十一日、早期督戒情報を得て、官邸や関係省庁にそれを翻訳をして流したときは、恐らくミサイル弾は日本海及び太平洋に着弾をしておったわけであります。  私は、漁民や一般商船とかあるいは警戒中の我が艦隊の皆さん方に被害があったかどうかということをまず確かめました。これは被害はなかったということでございました。その次に私が思ったのは、やはり先ほど話をしましたように、事前通告もなく我が国の領土を飛び越えていったということは許しがたいことである、しかし、今自分は一番日本の国の中で冷静さを失ってはならないというふうに思いました。そのために、では北の首脳部の意図は何だったのか、そしてその後の動きはあるのかないのか、北の軍事的な動きに変化があるのかないのか、これは見きわめる必要がある。そういう中で太平洋にもおっこちていったという話が出てきたわけでございます。  その中で、私は一番感じておりますことは、日本の今の政治の実態は、憲法の枠内で専守防衛、軍事大国にはならない、非核三原則を守る、そういう流れの中で日本国民の安全と平和を保つというのが私の今の仕事でありますから、そのためには、やはり日米の軍事同盟を、信頼関係をきっちりとしていくことによって情報を得、そしてまた抑止力を強化していくことである。その上に立って、我々もみずからの考え方、みずからの人生観を、戦後五十年間の中で考えてきたということよりも、自主的に我々が何をなすべきか、何ができるのか、そして何をなさないでおくことが賢明であるかということをしっかりと考えていくようなことができれば、我々の平和と安全というものは守っていくことができるのではないかという感じがいたしております。
  92. 東祥三

    ○東(祥)委員 それぞれの両大臣は、外交、安全保障の最高責任者としての職責を十分果たされているのだろうというふうに僕は推察します。しかし、個々いろいろ思っていたとしても、それが形にならない限り、どんな厳重な抗議をする、あるいはまた厳しい姿勢でもって臨むと言ったとしても、それは全然わからないわけですね。  まして、先ほど額賀防衛庁長官おっしゃったとおり、相手は恐怖政治を強いてきているのですから、その恐怖政治を強いてきている者に対して、 一生懸命やります、日米安保がまさに基軸です、もし日本がどかんとやられたときに私たちは何にもできなくても、米軍がちゃんと反撃してくれるでしょうと。  本当にされるかどうかというのはわからないということを僕はアメリカは考えていると思いますよ。本当にこのような日本の国を自分たちの力でもって守ろうとするのか。専守防衛の名のもとに、この五十年間何にもそういう事態に遭遇したことがある意味ではないわけですから、本当にそれで動けるのかどうなのかということまで見ているはずですよ。  日本はやはりだめだ、どんなことを言っていたとしてもというふうに解釈しているかもわからないし、それは言葉で言っていること、多くの方々が口を開けば日米安保が基軸だとみんな言っていますよ。しかし、それが本当に機能できるのかどうなのか。さらにまた、日本アメリカに対してそれだけの信頼を醸成しているのかどうなのか。そういうことだってすごく疑問なことがたくさんあると思いますよ。  防衛協力、ガイドラインのときにこれはまた徹底的に議論させていただきたいというふうに思いますけれども、お題目だけ幾ら唱えていたって、かつてぺリー国防長官が、まさにこれは試されたことがないと。そういう国のためにアメリカ国民である兵隊の命を、アメリカ大統領が日本国を救うために自分たちの国民の命を捨て去るはずないじゃないですか。それを絶対に見ているということなのではないですか。それは、もう既に湾岸戦争のときにいろいろなところから情報として入ってきているではありませんか。  日本は、国際の平和と安全のために一生懸命努力すると言っているにもかかわらず、何もできない。お金だけですよ。あのとき、お金だけでも貢献したのだからいいのではないかと。一人頭でいけば一万円、大変なものですよ。そして、ある人がある関係国の人に、我々は一人頭一万円のお金を払ったのだからいいではないか、何々さん。では、 私があなたに百ドル、一万円与えますよ、かわりにやってくれますかと。二の句が継げない。そういう国になってしまっているわけでしょう。  そこからまさに何を日本というのは、国際社会における日本、総理も口を開けばそういうことを言う、外務大臣もおっしゃる、しかし、本当にそれをやるためにどういうものを積み立ててきているのか、どういう方針をちゃんとつくってきているのか。それがまさに、今度は日本安全保障上の危機的な脅威を与える問題に対しても、結局同じ反応をしているように見えます。  それは、防衛庁長官並びに外務大臣は一生懸命その職務の中で頑張られていると思いますけれども、そういうものは全然伝わってこない、総理大臣にしても全然伝わってこないという印象だけを申し上げておきます。  そこで、弾道ミサイル発射の二発目の可能性があるのではないのか。タス通信いわく、きょう、九日に二発目を発射するのではないのか、こういうふうに言われている。  まず、政府はこの情報に対してどのような御見解をお持ちですか。
  93. 額賀福志郎

    ○額賀国務大臣 これは、第一発目の弾道ミサイルが発着した後も第二発目の発射があるのではないかということが言われてきたわけでありますけれども、我々は引き続いて警戒態勢をとっておりますけれども、今のところそういう情報をきちっと確かめているわけではありません。しかし、今でも警戒態勢をしいておるということであります。
  94. 東祥三

    ○東(祥)委員 確認ですけれども、日本ミサイルによって攻撃されたら、ほかに手段がないと認められる限り、ミサイル発射基地等を含めて反撃することは自衛の範囲に含まれ可能であるとする五六年の政府統一見解があります。  額賀防衛庁長官は四日の閣議後の記者会見で、この見解の考えは生きているし、そういう選択肢はあり得ると述べておられますけれども、現実にこういう事態になったときに、自衛の範囲内で、 個別的自衛権ですから、基地をたたきますよ、そういうメッセージをちゃんと明確に談話なり、あるいはまた、直接北朝鮮との国交がないわけですからチャネルもない。また、彼らにとってみれば聞きたくないのでしょうけれども、公式には聞きたくない、しかし非公式にはいろいろなところで全部情報を集めている。それをちゃんとメッセージとして僕は伝えるべきだと思うのですが、いかがですか。
  95. 額賀福志郎

    ○額賀国務大臣 それは、この前の閣議後の会見におきまして、私は、私の国の国民皆さん方の安全を守るためにとる手段がこれ以外にないということであれば、その攻撃の基地をたたくことはあり得る、それは法律的には許されていることである、これは昭和三十年代の初めに国会でも御報告をしたとおりであるということを申し上げたわけでございます。  私は、北朝鮮ミサイル開発というのは、今度、ミサイル弾道弾であれ、あるいは人工衛星であれ、相当技術が進歩しているということは紛れもない事実でございますから、これは日本だけではなくてやはり朝鮮半島周辺の国、あるいはアメリカも含めて、ともに共有できる認識になっていくような環境をつくることが大事ではないかというふうに思います。
  96. 東祥三

    ○東(祥)委員 明日も安全保障委員会で質問させていただきますので、安全保障にかかわる方は明日に、防衛庁長官の方に譲るといたしまして、米朝協議について高村大臣、お聞きしたいんですが、どうも、報道によりますと米朝協議合意する方向に進んでいるように見えるんですけれども、政府の見解としてはいかがですか。
  97. 高村正彦

    高村国務大臣 合意する方向に進んでいると認識しております。
  98. 東祥三

    ○東(祥)委員 その上で質問させていただきますが、米朝の枠組み合意、一九九四年、この最大の問題というのは何だったかというと、核疑惑だったと思うんです。核開発をしないかわりに、一つは軽水炉、それから重油、さらにまた、その他の人道支援、こういうものを枠組みの中に入れていいのかどうかわかりませんけれども、それをやっていこうということでいわゆるKEDOというものが動き出したわけですけれども、現時点において北朝鮮の核疑惑はどれだけ解明されていると思われるのか、高村外務大臣の所見をお伺いしたいんです。
  99. 高村正彦

    高村国務大臣 現時点において一〇〇%解明されているとは思いません。そして、そういう中にあって、さらに、その解明について今度の米朝協議の中でどうするんだという話が出ているというふうに承知しております。
  100. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうしますと、今回は弾道ミサイル、これは大陸間弾道弾というより中距離弾道弾。テポドン2が開発されれば大陸間弾道弾になる、そういう可能性を秘めているわけですが、この核開発の問題と今度はミサイル開発、これをコントロールすることができない限り、幾ら米朝の枠組みの中でやっていたとしても、それは、当初一九九四年の精神、また我々が考えていたこととは大きく外れていくことになってしまうのではないのか。  そして、どうも、韓国から伝わってくる情報あるいはまた米国から伝わってくる情報を総合いたしますと、今回の弾道ミサイル発射に関して日米韓において温度差が極めてあると思わざるを得ない。当たり前だと思うんですが、韓国にとってみれば、このテポドン1と言われるものが射程距離が伸びたとしても、三十八度線で常に緊張関係にあるわけです、そういう意味からいたしますと、別に足の長い弾道弾が開発されたとしても状況に変わりはない。アメリカはまだ、テポドン2が開発されない限り、しょせんのど元に突き刺さっているという状況ではない。そうすると、日米韓の中で日本だけがまさに安全保障上の脅威として明確に打ち出している。この日本の意がちゃんとアメリカ側に伝わっているのか、さらにまた、米朝間の議論の中に日本のこの意が受け入れられているのかどうなのか、この点についてはどうですか。
  101. 高村正彦

    高村国務大臣 日本の方の意向は事あるごとに伝えているわけであります。そういう中で、日本の意向というものが全然無視されているとは思っておりません。
  102. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうだとすれば、この米朝間合意内容というのは、今申し上げました最大のポイントである核疑惑あるいはまたミサイル開発に対して、ちゃんとコントロールできる、そういう担保がない限りそれは結ばれないことになるんじゃないですか。合意されないことになるんじゃないですか。
  103. 高村正彦

    高村国務大臣 これは米朝間話し合いでありますから、一〇〇%の担保がない限りできないとかそういう話ではなくて、安全の確率をどうやって高めるという話なんだろうと思うんです。ですから、米国の側と言ってもいいし米韓日の側と言ってもいいわけですが、一〇〇%こちらの思いどおりにならなければオール・オア・ナッシングというわけにはこういう話し合いというのはいかないと思っています。ただ、そういう中で、核疑惑をなくす方向のこと、あるいはミサイルについての話し合いが再開されるとか、そういったようなことは入っている。  それを、先生のように、一〇〇%の担保がなければ、担保という言葉を使うとなかなか難しい話、どの程度のことを言っておられるのかよくわかりませんが、そういう意味で、核開発をされないような、そしてミサイル合意も、ミサイル開発等が中止される、その確率を少しでも高めていく、そういう努力はその合意の中に入っている、こういうふうに思っています。
  104. 東祥三

    ○東(祥)委員 今アメリカ、ホワイトハウスはわかりませんけれども、上院におきましては、御案内のとおり、KEDOの問題に対しての修正案三千五百というのが可決されている。そこには「(九四年の米朝枠組合意によって定められた軽水炉を除いて)」、重油の問題ですね。「北朝鮮は積極的に核能力の獲得あるいは開発を進めておらず、核不拡散条約における義務を十分に果たしていること。」これが明確に担保されない限りやらないと言っているのですよ、米議会は。ホワイトハウスが何と言おうと。ビートを出すかわかりませんけれども。  僕が言っているのはそういうことです。日本にとって、ここで上院が日本のかわりにある意味では言ってくれていると思いますけれども。そういうものを明確にしない限り、私たちとしては、北朝鮮に対しての政策、今は見合わせているわけですけれども、それを何らかの機会に動かそうとしているわけですから。そうすると、その動かすか動かさないかの一つの起点になるものがこれなんじゃないのか。  そして、これは修正案三千五百一、ここには中距離弾道弾のことについて言及して、今上院においてはこのことが議論されているというふうに理解しております。  私が申し上げているのは、担保ということで一〇〇%云々というのは、米朝でやっていることですからなかなかできないことで、高村大臣の言われるとおりだと思います。しかし、日本は直接北朝鮮交渉できないわけですから、アメリカに委託しているわけですから。アメリカ日本の最大の同盟国ですから、また日本の立場というものを一番理解してくれるだろうという信頼している同盟国ですから。そこに、日本の意がちゃんと伝わる形でもって合意がなされない限り、日本は今度は日本独自としての物の見方というのがあるんではないですか、こういうことを僕は申し上げているんです。いかがですか。    〔森山委員長代理退席、委員長着席〕
  105. 高村正彦

    高村国務大臣 当然に日本独自の見方があるからいろいろアメリカ側にも注文をつけているわけであります。
  106. 東祥三

    ○東(祥)委員 それを明確にすることできますか。僕が申し上げました核疑惑、核の開発可能性がちゃんと解明されていて核疑惑がちゃんと払拭されている、さらにまた今回明確になりました弾道ミサイル、この開発に関してもちゃんとした歯どめがある、そういうものがある限りという意味ですか、どうですか。
  107. 高村正彦

    高村国務大臣 委員がおっしゃるそこまで、ちゃんとというのがどのぐらいのことかわかりませんし、開発がもうないということであればKEDOの枠組み、開発を完全に断念しますという約束がない限りKEDOの枠組みを崩すということは、私は直ちにそういう考えではありません。
  108. 東祥三

    ○東(祥)委員 じゃ、どこまで言っているんですか。いつも抽象論になるんですね。それは手のうちだから、東さん、ここでは聞かすことできない、ちゃんとその条件を、しかるべき、明確になったときにはそれは言える、そういうものは頭の中にあるということであるならばいいですけれども、どうですか。
  109. 高村正彦

    高村国務大臣 米朝で事実上、日本の言うことも聞いた上で、既に交渉担当者間では合意ができているんだろう、こういうふうに思っています。そしてそれを、これから議会関係とかなんとかいうことでまだ発表できないでいるわけであります。それで、近く、そう遠くない時期に発表されるのではないかと思っています。そういう話し合いの中で実は米朝の話はこうなりましたよと私が言うわけにいかないということは、それは御理解いただきたいと思います。
  110. 東祥三

    ○東(祥)委員 どうもありがとうございました。また十八日に一般質疑ができるということになっていますから、よろしくお願いします。時間をオーバーして申しわけありません。
  111. 中馬弘毅

    中馬委員長 続いて、松本善明君。
  112. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣にきょうは核兵器の廃絶の問題を伺おうと思います。  インド、それからさらにパキスタン核実験の強行に直面をいたしまして、核兵器の廃絶に向けた具体的な行動がいかに緊急課題か、本委員会でも議論をされたところであります。その上、今も議論がありましたが、私はあえて国名を挙げませんけれども、潜在的な核保有国もある、こういうふうに言われております。核兵器の廃絶というのは、そういう状況の中で、我が国の安全のためにも人類の生存のためにも緊急課題になっていると私どもは思っておりますが、外務大臣、そのような認識を持っておられるかどうか、まず伺いたいと思います。
  113. 高村正彦

    高村国務大臣 核のない世界を必死に目指したい、こういうふうに思っております。
  114. 松本善明

    ○松本(善)委員 きょうから第五十三回国連通常総会が開かれる。この総会では、当然核兵器の廃絶問題が一つの焦点になろうかと思います。また、唯一の被爆国であります日本の態度も注目されることになろうかと思います。  そこでお聞きをするのですが、今国会の本会議で、小渕総理大臣は所信表明で、核兵器のない世界を目指し、世界に向けてイニシアチブを発揮をしてまいりたいという趣旨のことを言われました。我が党の不破委員長代表質問で、それならば、国連の場で期限を切った核兵器廃絶のための交渉を求める非同盟諸国の提案した決議案に対して日本は棄権をしているけれども、そのような態度を再検討すべきではないかということをただしました。  昨年の第五十二回国連通常総会での決議は、賛成百九、反対三十九、棄権が十八。アジアでは、表決に参加をした二十二カ国のうち二十カ国が賛成、この決議に背を向けたのは日本と金大中政権以前の韓国二カ国だけであります。唯一の被爆国である日本がこういう世界の流れに逆らう態度をとり続けている。アジア外交を重視するという立場からも、これは再検討するのは当然だと思います。ところが、小渕首相の答弁は、期限つき核兵器廃絶や核兵器使用禁止の主張は、核兵器国を含む多くの国が受け入れておらず、核兵器国と非核兵器国の対立を助長し、核軍縮の進展を妨げるおそれがある、こういう答弁でありました。  私は、外務大臣に伺いたいのは、期限を切った核兵器廃絶のための交渉のテーブルに着くように核兵器国に求めることが、どうして核兵器国と非核兵器国の対立を助長し、核軍縮の進展を妨げるということになるのか、同じテーブルに着いて討議をするということがどうしてそういうことになるんだ。総理大臣の答弁が小渕内閣の公式の態度であるとするならば、はっきり国民にわかるように外務大臣説明してもらいたい、こう思います。
  115. 高村正彦

    高村国務大臣 どうしてというその理由をせんさくするということではなくて、事実として核兵器国と非核兵器国の対立を助長してきたわけであります。まさにそういう期限を切ったことを入れるか入れないかということで、例えばカットオフ条約交渉自体に入れないということが数年間続いてきたわけであります。  そういう状況の中で、私たちは、現実的に核のない世界に少しでも早く近づく道はいたずらに対立を助長するその決議に賛成することではない、反対することでもないということで棄権をしてきた、こういうことでございます。
  116. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、外務大臣の言われたところでいきますと、数年そういう状態が続いてきている。すると、その状態が続く限りは日本はもう何もしない、これを打開するための努力は何もしないと。今、インド、パキスタン実験で核保有国の核独占体制というのが崩壊し始めたという、これはもう明白な事実ですよ。私どもだけでなくて本委員会でもたくさんの委員がそのことを指摘いたしました。今の外務大臣の態度をそのまま続けていったら、何にも動かないということになりますよ。  私があえて理由をお聞きしたのは、そういう事実があることは知っています。だけれども、それでは進まないではないかと。同じテーブルに着いて、そのことがなぜいけないのか。核保有国が言うなら言ったらいいじゃないか、同じテーブルに着いて討議をすることがなぜいけないと。あなた自身の考えとして、なぜいけないのです。
  117. 高村正彦

    高村国務大臣 私がいけないと言っているわけじゃなくて、現実問題として、それでは核兵器国が話に乗ってこない。そういう中で、期限を決めないということであれば乗ってくるということであれば、全体が話し合えるそういう状況の中で一歩一歩進めていった方が結果としては核のない世界に早く近づき得る、私はそう思っているわけであります。
  118. 松本善明

    ○松本(善)委員 そういう見解は、私、広島とか長崎とか、そういう被爆地からの要求に水を差すし、そこの人たちの怒りを買うだけだというふうに思います。  ことしも、御存じのように、広島、長崎で平和宣言が発せられました。お読みになっていると思いますけれども、広島宣言は、核保有国の核抑止論を非難した上で、核保有国の指導者が国際社会に対する責任を果たすよう求める、すべての国家が、自国の安全を核戦力に依存する愚かさから一日も早く脱却するよう、私たちは、核兵器否定の精神を胸に行動していく決意を表明する。これが広島宣言です。長崎平和宣言は、核抑止政策を保持しようとする核保有五カ国の姿勢に強い怒りを覚えずにはいられないと述べて、私たちは、今こそ核兵器全面禁止条約の早期締結を強く求めます、二十一世紀中に核兵器のない時代とするために、二十世紀中に核兵器廃絶への道筋をつけること、これが、私たちの願いですというふうに述べております。  外務大臣、この広島、長崎宣言は明白に二十世紀中に道筋をつけろと。これは国連総会の決議、日本が棄権をした決議と同じ精神ですよ。あなたの言うことでいきますと、この広島、長崎宣言も、核兵器国と非核兵器国の対立を助長し、核軍縮の進展を妨げるということになる。そういう考えですか。
  119. 高村正彦

    高村国務大臣 広島の方がそういう宣言をする、長崎の方がそういう宣言をする、それは私は理解ができるところであります。日本というこの国が、世界の中でかなり大きな比重を占める国がそのようなことを言うことは、事実の問題として、カットオフ条約等、今まで対立があってなかなかできなかった、そういうこともあるわけでありますから、私たちは、理想を求めていろいろな人が宣言する、それは評価しますし、それは理解しますが、私たちは、現実的な道で一番早くたどり着けるものは何かということで日本政府としてはやっていく、こういうことでありますし、先ほど、日本政府は何もやってこなかったじゃないか、それでは何もやらないということになるじゃないか、こうおっしゃいましたが、そういうことでは決してないので、例えばカットオフ条約について討議する場をつくるために日本政府はイニシアチブをとってきましたし、そして、それがやっとできて、そういう方向になりつつある、そういうこともあるわけであります。
  120. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣の言われることでいきますと、アメリカを初めとする核保有国がこの期限を切った核兵器廃絶交渉に賛成しない以上は、これはそういう態度を日本はとらないということになりますよ。中国は、核保有国の中でもちょっと違った態度をとっておりますけれども。  アメリカがこの期限を切った核兵器の廃絶交渉に賛成だということを言わない限りは、日本はこれを、期限を切った核兵器廃絶交渉のテーブルにあらゆる国が着け、そして、インド、パキスタンも含め、それから潜在的な核保有国も含め、核兵器を全部なくす、これは日本の安全にとっては、先ほどの質問でもあります、決定的に重要ですよ。あなたは、アメリカが賛成しない限りはそれを言わない、こういう立場ですか。
  121. 高村正彦

    高村国務大臣 将来の話は、国際社会全体の流れの中で、日本としても、そのとき一番現実的であるという対応をとっていくわけで、アメリカがしないから未来永劫しないかどうか、そういうことは今の時点で私が言うべきことでもないわけでありますが、ただ、逆に言えば、今日本が、期限のついた決議案、賛成すればアメリカやその他の国が入ってきて話し合いができるなんて、とてもそういう状況じゃないわけでありまして、事実の問題としてどっちが早くたどり着けるかということについて、日本政府とすれば、核のない世界にたどり着ける方法は今日本政府がとっている現実的方法が一番いい、こういうことを考えているということであります。
  122. 松本善明

    ○松本(善)委員 今、将来は別ということは、将来は態度変わり得る、こういうことですか。
  123. 高村正彦

    高村国務大臣 私が将来のことを言う立場にないということを言ったのです。
  124. 松本善明

    ○松本(善)委員 では、改めて聞きますが、すぐ決議に賛成をするということは私必要だと思うけれども、では、その決議に賛成できるようにアメリカ働きかける、核保有国に働きかける、そして期限を切った核廃絶交渉に、いずれにしたって廃絶の交渉をしなければならぬですよ。  これをそのままほっておいていいはずはないわけなので、期限を切った核兵器の廃絶と国連総会でも決まっているのだから、それに賛成するように働きかけるということをなぜしないのですか。それは、する考えは日本政府はないのですか。
  125. 高村正彦

    高村国務大臣 日本政府がやる以上は、現実に動いてそれが効果があることをやるので、ただ日米関係を悪くするだけの効果があることを、そういうことを言えば、私も被爆国の国の一人ですから、私自身いい気持ちにはなるかもしれませんが、そういうために日米関係を悪くするということではなくて、ある程度アメリカが喜ばないことであってもある程度効果のあること、例えば核軍縮等については、日本政府はさまざまな場で語りかけ、そしてそれなりの効果を上げてきているというふうに思っております。
  126. 松本善明

    ○松本(善)委員 高村外務大臣は、就任をされて、従米であってはならぬ、こういうことを言われたということですが、私は、今のあれはやはりどうしても従米としか考えられないですよ。アメリカに堂々と物を言う、そういう外交姿勢をとらなければ、これは実現しないですよ。  それで、第十二回の非同盟諸国首脳会議が四日採択した最終文書も、すべての核兵器を廃絶する具体的時間枠に沿って核兵器を完全に廃絶する段階的プログラムについて、今世紀末までに合意に達する目的で、一九九九年中にも国際会議開催を要求すると述べています。  非同盟諸国会議は、一九六一年の発足時二十五カ国です。今、四倍半の百十三カ国、国連加盟国の三分の二になっております。この期限を切った核兵器の廃絶のための交渉を求める声は広がっています。アジアの諸国がこれにたくさん入っています。日本政府は、この国連加盟国の三分の二になる非同盟諸国会議の最終文書を無視していいと考えているのですか。それが小渕内閣の外交姿勢ですか。
  127. 高村正彦

    高村国務大臣 そういうものを無視するとか無視しないとかいうことではなくて、私が先ほどから申し上げているように、核のない世界を目指すためにどういうことをやったら一番現実的に早く到達し得るかと私たちが考えた道を歩んでいる、こういうことでございます。
  128. 松本善明

    ○松本(善)委員 それはやはり、アメリカ反対している限りはやらないということになりますよ。  それで、そういう答弁を続けておりますと、日本は核兵器の廃絶についてどういう立場にあるのかという根本問題にぶつかります。本当に核兵器の廃絶を求めるのかどうかということなのです。  昨年の十月十四日、第五十二回国連総会第一委員会日本の林大使が一般討論を行いました。その演説の締めのところで林大使は次のように述べています。冒頭は核軍縮の問題を言っているのですけれども、冒頭に伝えようとしたメッセージに戻ることで結びとしたい。日本は漸進的、段階的べースで、外務大臣が言われたとおりです、具体的に軍縮過程を進めることを大変重視をしている。軍縮に向けた行動を促進できる唯一のやり方は、問題を取り巻く現実事態を考慮した中道的立場です。原文ではミドルグラウンドとなっておりますが、これを追求することだ。これが日本の確固とした信念だと。この林大使は、核軍縮を求める日本政府の立場は中道的立場だと。核兵器の廃絶ではなくて、核保有国と非核保有国の間をとるというのですか。これが国連の場で表明され ている。  私は、こういう根本的態度ではだめだと思うのですよ。外務大臣、これでいいのですか。中道的立場、核兵器の廃絶とそれから核保有国の間の中道的立場をとる、これが日本政府の態度ですか。
  129. 高村正彦

    高村国務大臣 当時のジュネーブの軍縮会議では、期限つき核廃絶を主張する非同盟国とそれに反対する核兵器国との対立によって、さっき委員もお認めになったように、カットオフ条約交渉が長期にわたって開始できずにいた、こういう状況があったのです。林大使は、こうした対立により実際の核軍縮に向けての話し合いが進まないことを取り上げて、そういう交渉に入れないなどという、時間をむだにすることなく、一歩一歩の具体的な措置を通じ軍縮を着実に進めることが重要である、そういう趣旨の発言をしたわけであります。そして、日本政府もいろいろイニシアチブをとった結果、カットオフ条約の交渉が曲がりなりにも始まるような状態になったということは、私はそれなりの成果が上がっているな、こういうふうに思っております。
  130. 松本善明

    ○松本(善)委員 それは私、認めたというよりも、あなたが言われたのをそのまま言ったわけですが。  それでは本当に一歩も進まないですよ、それは動かないことを前提にした話ですから。私は、やはり一歩を動かすように働きかける、それが日本の立場でなければならぬと思います。  第五十三回国連軍縮総会が開かれるわけですけれども、ここでやはり日本政府の態度は注目をされると思います。一歩でも進むことができるのか。この核兵器の廃絶交渉を期限を切ってやれというのを国際的な世論に私はして、そして、核保有国がそういう方向ヘ行くという方向に日本が動かなければならぬ、そういう方向に一歩でも進めるようにこの国連総会でやる決意があるかどうか伺って、質問を終わりたいと思います。
  131. 高村正彦

    高村国務大臣 現実的に一歩でも進むように最大限の努力をしているわけでありますが、具体的なアプローチの方法は委員日本政府はちょっと違う、こういうことでございます。
  132. 松本善明

    ○松本(善)委員 これで終わりますが、それではやはり核兵器の廃絶は進まない。根本的な転換を要求して、終わります。
  133. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、伊藤茂君。
  134. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 大臣、お疲れのことと思いますが、最後に短い時間、質問をさせていただきます。  まず第一に伺いたいのは、北朝鮮ミサイル発射問題に関連をいたしまして、政府の方で国連で取り上げてもらう、国連安保理事会ということで提起をいたしまして、小和田大使も努力をされているようでありますが、どうなっておりますでしょうか。
  135. 高村正彦

    高村国務大臣 ニューヨーク時間の四日午後でありますが、小和田国連大使より安保理議長に対して、今回の北朝鮮の行為が我が国の安全保障及び北東アジアの平和と安定に直接的な影響を与えること等を指摘する内容の書簡を手交いたしました。これを受けて、ニューヨーク時間八日午後、日本の時間でいうと九日の朝でありますが、安保理非公式協議が開催され、この場において我が国としての考えを説明したということであります。  我が国としては、本件について、今後さらに安保理においてしかるべき形で議論が行われるよう、引き続き各理事国と緊密に協議していく考えであります。
  136. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 私どもの国は、国連の中でも大事なやはりポジションの役割を果たさなくちゃならぬし、またそういう努力もしている国だというふうに思います。また、まじめな外務大臣もそういうつもりで日ごろ努力をされているというふうに思いますが、やはりこういう大きな問題ですから、やはり国民要望というのは、筋の通った努力を鮮明にやって、したたかな表の努力もして、しかもやはり先々の見通しもあるというふうな努力が求められている、大の同僚議員の御質問にもございましたけれども、米朝交渉大臣も見通しをお話になりました。これはオープン、窓をあけて直接やっているわけですね。もちろん、その目標は核開発をやめさせることであり、またミサイルの輸出をやめさせることでありということは言うまでもございません。韓国の方も太陽政策を転換するという意味ではないと思います。中国の方も慎重に進めていると伺うわけでありまして、何かやはり気分的にだけは、エモーショナルに気持ちだけは非常に高まっているんだけれどもどうなるんだろうか、それが通るんだろうかというふうな目で見る人が私は多いんじゃないだろうかというふうに思うわけでございまして、今の御説明はございましたが、どういうめどでどうするということが求められていることではないだろうかと思いますが、いかがでしょう。
  137. 高村正彦

    高村国務大臣 今、各理事国といろいろ協議をしているところでありまして、どういう形になるのか、正式に安保理で取り上げていただいた上で、これは実際コンセンサスでありますから、全員が一致でなければいけないということでありますので、慎重に、そして真剣に前向きに検討しております。
  138. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 大臣、せっかくですが、その一番目の慎重にということの方だけはちょっと余計じゃないか。真剣に前向きに目に見えるように、また成果が上がるように精いっぱいの努力をおやりいただくということだと思います。  それで、私は思うんですが、やはりマスコミのせいもありまして、どうしてもエモーショナルになりやすい一つ状況がございますね。しかし、外交はやはり冷徹な一つ現実ですから、それをどうしていくのかということが求められているということだと思います。  例えば、このミサイルの問題にしても、やはりミサイル関連技術の輸出規制を国際的にやるとか、それから米朝でやっているようなものをもっとやはりグローバルな意味でやるとか、国際的な枠組みをつくる中でどうされるのかということしか私はないんだろうと思いますね。ですから、やはり感情に訴えるというだけではなくて、そういう具体的な提案か何かを精いっぱい回していくというのが今求められているということではないだろうか。やはり気持ちだけが空回りするんでは世界じゅうから尊敬されませんから、やはりそういう国際的な枠組みをどうやるのかという意味での提唱なり御努力をなるべく鮮明にやるということが必要なんじゃないでしょうか。
  139. 高村正彦

    高村国務大臣 おっしゃる限りそのとおりだと思いますが、米朝協議の枠組みが一つありますし、その他国際的な枠組み、ミサイル関係の物資やあるいは技術、そういったものが輸出できないようにしよう、こういう枠組みについても、できるだけそれが実効的になるように努力していきたい、こういうふうに思っています。
  140. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 国連だけではなくて、いろんな面でそういうことが今問われている、また、成果を上げる懸命の努力をしないと厳しく問われるというふうな懸念を私も持つわけでありまして、国民的な説得性それから鮮明さというのは非常に大事だと思います。  例えば、衛星の問題が先ほど来議論されておりますが、多目的、国会決議との関係云々という議論がされているわけであります。多目的とか平和利用とか言うと非常に抽象的でありまして、要するに今問題になっているのは、北朝鮮がどこかで核開発をする、ミサイル基地をつくるあるいはその燃料を入れたあれがどうとか、それがわかるようにしたいということですよ。多目的と言ってさまざまの、自然環境から何かまで、あるいは細かいところまでみんな、今の日本技術にしたらもう何メートル、何センチの動きまでわかるわけですから、いいものをつくれば。というふうな時代ですから、多目的なんという抽象的なことを言うけれども、要するにそれがねらいというふうにこれは世界じゅうそう見ますよ。やる方もそうだろうと思うんですよ。  そういうことが一体どうなのかとなりますと、国会決議ということが、当然ですが一つその物差しになります、これは当然ですね、今の経過からして。ただやはり、こういうことですから、今の時代に政府はどうしたいんだということがあって、それから国会の立場でもって議会としてのコンセンサスをどう図れるのかということをもって、そして国民的な合意ができるかできないかというふうな姿勢でやられるべきことなんで、いろいろやりながら何か、多目的であります、いや、あの国会決議がございますという抽象論な回り方ではない議論が、私の党の方は積極賛成論ではもちろんございませんからなんですが、これは連立時代だったら党首が集まってけんけんがくがく大議論をしながら、国民の目に見えるようにやるというふうなものだろうというふうに私は思いますね。  ですから、本音のところのそういう議論をやって、是か非かという議論をやるというものじゃないだろうか。多目的とか六九年の国会決議とかいうことだけではないことを政府も言う、議会も議論するというんじゃないだろうかという気がしますが、いかがですか。
  141. 高村正彦

    高村国務大臣 国会決議との関係で聞かれれば、前に答えたように答えざるを得ない、こういうことでありまして、私たちはかなり積極的にこういうミサイル発射準備をしているというようなこともわかるようなものが欲しい、こう思っているわけであります。  それで、それは多目的と言っているのは別に隠すために言っているのではなくて、本当に多目的のものにしたい、こういうことを考えているということも事実であります。だから、私たちなりにまだきっちりとまとまった形で打ち出しておりませんけれども、政府・与党のまだ漠とした形であるけれども、その方向性は国民の皆さんにきっちりわかっていただいているのではないかな。わかっていただいているというのとそれがいいと理解していただいているというのは、また同じかどうかはちょっとわかりませんけれども、私たちは何も、隠すためにどう言っているとかそういうことではなくて、それから、国会決議との関係は、聞かれれば先ほどお答えしたように答えざるを得ない、こういうことでございます。
  142. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 いずれにいたしましても、こういうときですから、国民の皆さんもいろいろな意味での懸念をしております。それから、外国から見ますと、日本はどうするのかというふうに問われているというのは事実でございます。  そういうことですから、やはり、騒然たる論争と言うと言い方は悪いけれども、責任ある活発な議論をやる。そして外務省も、誠実なお人柄の大臣ですから、精いっぱいの努力が内外の目に見えるように動いてもらうということじゃないだろうかというふうに思います。  先ほど衛星の問題あるいはTMDとか、関連した議論もございました。大臣防衛庁長官がいらっしゃいませんから、私は最後に申し上げておきたいのですが、やはり今の国民感情からしたらあの防衛庁のスキャンダルの問題、みんな怒っていると思います。やはりもうあれが、厚生省もありました、大蔵省もありました、もう終わったのか、公務員倫理法もみんな努力をしているという中で、また問題が起きている。ああいうことをちゃんと示しをつけないでおいて、これこそトップクラスでもってきちんとけじめをつけるというようなものがあって、信頼があって初めて議論の是非になることなので、やはりそういうことを抜きにしてあの議論が行われる、恐らく安保委員会でもいろいろな議論があると思いますけれども、ということだけ申し上げておきたい。  短い時間ですから意を尽くす質問ができませんが、これで終わらせていただきます。
  143. 中馬弘毅

    中馬委員長 以上で、本日の質疑は終わります。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十三分散会