○東(祥)
委員 先週の
委員会に続きまして、
北朝鮮弾道
ミサイル発射に関する
政府の当面の
対応と今後の方針について、三十分間、質問させていただきます。
弾道ミサイルが
発射されてもう一週間以上たつわけですが、
高村大臣、額賀
防衛庁長官、本当に
日本というのはおかしな国だなと改めて僕は思わざるを得ません。
それは、冷戦構造が崩壊した後、もう八年あるいは九年近くなるわけでございます。現在世界じゅうで何が起こっているかといえば、もう既に
情報として御案内のとおり、 コンゴにおいては多くの名もなき民衆たちが、部族紛争あるいは民族紛争の名のもとに、大量に人間が死んでいるわけですね。それに対して、
国際社会として何ら手を打つことができない。ある意味で、放置された
状況、殺されていくままになっている、そういう
状況が一方にある。さらにまた、旧ユーゴにおける情勢も全然改善もされていない。ブレジンスキーという人が「アウト・オブ・コントロール」という本を書かれておりますが、まさに世界全体がそのような
状況になりつつあるのではないのかという認識を一方において私は持ちます。
そういう問題が世界で起こっているときに、
日本というのはほとんど騒ぐことがない。にもかかわらず、
前回も質問させていただいているとおり、まさに
日本の全政治経済の中枢、すべてを射程に含む
ミサイルが
発射されたといったときに、皆さん物すごい声を上げて、ある意味で大変な騒ぎを醸し出した。しかし、騒ぎを醸し出していたとしても、一週間たった今日、何をどのようにするのかという方針さえ明快に見えていない、個々の
対応は別として。
先日、うちの娘に、パパ、何か
北朝鮮という国が
弾道ミサイルを
発射したそうね、
日本は本当に大丈夫なの、政治家というのは何をやっているのというふうに言われました。そのときに、私は自由党でありますけれども、自由党がどうのこうのというよりも、政治家として、
国民の生命と財産を預かる、そういう責務にある人間としてはっと答えに窮してしまいました。これが、
日本全国、子供から言われたときにだれも答えられない
状況なのだろうというふうに僕は思うわけでございます。
先週の
委員会においても、その認識は共有していると思うのですが、
日本の
安全保障上、ある意味で戦後最大の危機あるいは脅威を醸し出しているかもわからない、それに対して
一つ骨の通った方針さえ明快に出ていない、何なのだということなのですね。
そして、相手にする国というのは、我々からは、何を考え、何を発信しているか、そういうことが全くわからない国。ところが、相手にしている国は、総理
大臣、官房長官、
外務大臣、
防衛庁長官の一挙手一投足まですべてわかっている人です。そういうものを相手にして、今暗中模索のもとで何かやろうとしているわけですが、
政府みずからも全くその大方針というものが見えない。
この弾道弾がまさに
三陸沖に着弾したという
情報を把握した時点が三時の時点だった。総理は、その後何もなかったかのように
委員会での答弁などの公の業務を続けていた。事は、
ミサイルが
日本の領空を侵犯した
可能性があることをわかっていたとするならば、ある意味でこれ以上の
日本の
安全保障上の危機というものはないにもかかわらず、それに対して即応する
準備、そういうものも何もできない、またどうしていいかわからないというのが
日本のまさに今の現状なのではないのか。額賀
防衛庁長官がその日
議員会館に帰ってしまってどうこうしているだとか、そういうことを僕は言っているのではないのです。
まさに、
日本の中枢の方々が、
日本の
安全保障にかかわる危機的な
状況になったときにどうすればいいのかという、そういう
準備さえされていない。その結果として、
安全保障会議も開かれていないではありませんか。あるいはまた、それほどの危機的なものであるとするならば、与野党の党首を招いて、今こういう
状況だ、
情報がよくわからない、しかしどうしたらいいのかということをやればいいではありませんか。しかし、そういうことも何もされていない。しかし、大変だ大変だということで、もう一週間以上が
経過している。今後何をやっていくかということもよくわからない。一切何が何だかわからないままに推移していってしまって、
技術的な問題で多目的衛星がどうのこうのだとかと言ったとしても、これもどういうふうになっていくかわからない。また、
弾道ミサイル防衛がどうのこうのという議論だけは出てくるかもわかりませんけれども、どうなるかもわからない。これで本当に
日本の
安全保障というのは守れるのか、そういうふうに私は思わざるを得ないのです。これは、僕だけではなくて、多くの人々がみんなじくじたる
思いで見ているのだろう。
だから、それはまさに残念ながら、本当に両
大臣はいろいろとお忙しいと
思いますけれども、政権を維持させなければいけないということに最大の関心があるのかどうかわかりません。それはそれとして、まさに危機的な
状況であり、それをどういうふうにやっていったらいいのか、それが戦後五十数年間続いてきた
日本の
安全保障に対してのまさに結実ではないのか。世界はばかにしていると
思いますよ、世界は笑っていると
思いますね、
日本は何もできないと。
二日の段階で
アメリカは、御案内のとおり、訓練目的と称して、B2ステルス爆撃機三機、さらにまたB52爆撃機三機をグアム島に急派した。もちろん、訓練目的という名のもとに送ったわけですけれども、明らかにこれは
北朝鮮の弾道
ミサイル発射についての牽制ですよ。そういうふうに受け取っていい。
では、
日本の場合は一体何をやっているのか。あの
弾道ミサイルが
発射された後、
防衛庁長官として、防衛出動の前の段階におけるそういう
準備態勢を各部隊に指示しているのかどうなのか。それも多分やられていないと思うのですが。一体何を
日本の
安全保障上の危機だととらえるのか。その危機に対してどのように
日本は対処しようとするのか。その最高責任者が二人いらっしゃるわけですよ。
今るる申し上げましたけれども、感情も若干込め過ぎておりますけれども、この点について、お二人のまず御見解をお聞きしたいと
思います。