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1998-10-14 第143回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十月十四日(水曜日)     午後三時三十分開議 出席委員   委員長 五島 正規君    理事 仲村 正治君 理事 望月 義夫君    理事 原口 一博君 理事 松本 惟子君    理事 長内 順一君 理事 佐々木洋平君       安倍 晋三君    稲垣 実男君       大野 松茂君    栗原 裕康君       佐藤 静雄君    新藤 義孝君       園田 修光君    宮腰 光寛君       吉川 貴盛君    上原 康助君       金田 誠一君    赤松 正雄君       白保 台一君    鰐淵 俊之君       古堅 実吉君    前島 秀行君  出席国務大臣         外 務 大 臣 高村 正彦君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 太田 誠一君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      井上 吉夫君  出席政府委員         内閣審議官   安達 俊雄君         防衛施設庁長官 萩  次郎君         防衛施設庁施設         部長      守屋 武昌君         沖縄開発庁総務         局長      玉城 一夫君         沖縄開発庁振興         局長      襲田 正徳君         法務省刑事局長 松尾 邦弘君         外務省北米局長 竹内 行夫君         外務省欧亜局長 西村 六善君         外務省条約局長 東郷 和彦君         運輸省港湾局長 川嶋 康宏君         運輸省航空局長 岩村  敬君         郵政省通信政策         局長      金澤  薫君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君  委員外出席者         北方対策本部審         議官      川口  雄君         農林水産大臣官         房審議官    西藤 久三君         衆議院調査局第         一特別調査室長 高橋 徳光君     ————————————— 委員の異動 九月七日  辞任         補欠選任   森  英介君     宮腰 光寛君     ————————————— 九月二十一日  北方領土問題の解決促進に関する請願堀込征  雄君紹介)(第一八五号)  同(小坂憲次紹介)(第二六七号)  同(北沢清功紹介)(第三五五号) 同月三十日  北方領土問題の解決促進に関する請願村井仁  君紹介)(第六四二号) 十月一日  北方領土問題の解決促進に関する請願小川元  君紹介)(第七六四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖縄及び北方問題に関する件      ————◇—————
  2. 五島正規

    五島委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仲村正治君。
  3. 仲村正治

    仲村委員 私は、非常に緊急な問題でございますので、まず冒頭、沖縄における米海兵隊員による飲酒運転女子高校生ひき逃げ事件についてお尋ねをしたいと思います。  去る十月七日、沖縄県の北中城村で、米海兵隊員飲酒運転によってバイクに乗った女子高校生ひき逃げする事件発生をいたしております。基地あるがゆえに繰り返し繰り返し頻発する米軍による事件、事故、そしてそのために犠牲になる県民。ただただこの基地あるがゆえの悲劇にため息と憤りを抑え切れない気持ちであります。  あの平成七年九月の、米兵によるいたいけな少女に犬畜生のような暴行事件で、県民の怒りが爆発して、日米政府基地整理縮小地位協定見直し米軍綱紀粛正等々を県民ぐるみ要求したのでありますが、そのために日米政府はようやく、沖縄県民がいかに米軍基地の過密な存在犠牲になっているかに気づき、真剣に基地整理縮小に取り組んできたのであります。そして、地位協定については運用上の好意的配慮を払うということにとどまったのであります。  今回も、事件発生と同時に沖縄県警米兵逮捕状をとって被疑者身柄引き渡し米軍要求したのでありますが、ずっと拒否されたわけであります。しかし、県警身柄不拘束のまま書類送検を決めたために、那覇地検はきのう十三日に、回米兵道交法違反等の罪で起訴したのであります。私は、県警那覇地検のとった措置を積極的に評価したい気持ちであります。  しかし、事件発生から一週間、被疑者も認めているにもかかわらず、時間が経過したことは納得できるものではありません。その経過について御説明をいただきたいと思っております。
  4. 高村正彦

    高村国務大臣 大変痛ましい事件で、遺憾に思っているところでありますが、今回の事件発生当日の七日、フォーリー日米国大使が参りまして、申しわけないというようなことを言っておられました。私から、かかる不幸な事件につき遺憾の意を表明いたしますとともに、在日米軍綱紀粛正事件再発防止及び日本側当局による捜査への協力を申し入れました。そして、場合によったら身柄引き渡し要求することが今後の進展を見てあり得るということも申し添えたわけであります。これに対してフォーリー大使からは、現地警察当局による捜査へ全面的に協力を約束する、こういうお話があったわけであります。  今回の事件については、米側から全面的な協力が得られて、捜査に支障は生じなかったわけであります。それから、証拠が確保されていたこと等から、捜査当局において被疑者起訴前の拘禁移転を求める必要が捜査当局としては必ずしもなかったということだと思います。  そういうことで政府としても拘禁移転要請することを行わなかったわけでありますが、今委員が御指摘になったように、十三日午後、本件につき起訴が行われて、被疑者身柄は直ちに日本側当局のもとに移転された、こういうことでございます。
  5. 仲村正治

    仲村委員 平成七年のあの忌まわしい野獣まがい事件のときに、駐留軍の犯罪の訴訟手続日米地位協定見直しを強く求めたわけでありますけれども、そのときもお茶を濁すような形で、運用面での見直しということで、いわゆる好意的配慮を払う、こういうことでけりがついたわけであります。この好意的な配慮というのは、凶悪犯の場合には逮捕できるということだと思いますけれども、今回のようないわゆる飲酒運転、そしてひき逃げという凶悪な事件ですので、この運用面での好意的配慮に十分該当する問題だと思うのでありますけれども、米国が拒み続けたということはどう見ても納得できません。  したがって、この際、明確に地位協定見直しを行うべきである、こういうふうに思いますけれども、その点について再度御答弁をいただきたいと思います。
  6. 高村正彦

    高村国務大臣 軍隊が他国に駐留している場合、その駐留軍接受国、この場合でいうと日本米軍でありますが、そういう関係というのはどこの国でもある問題であって、それぞれの国が、駐留する軍隊の側から見ても、あるいは接受国側から見ても、非常に悩ましい交渉があるわけであります。現時点での地位協定あるいはその後のいろいろな運用見直し等国際的レベルから見て比較しますと、日本の場合が特に不利になっているということはないということでありますが、一方で、今度の件、沖縄県民感情、あるいは沖縄県民だけじゃなくて日本国民全体の感情、そういったことも考えながらいろいろ勉強していきたい、検討していきたい、そういうふうに思っております。
  7. 仲村正治

    仲村委員 私が申し上げたいのは、私たちの願いとしては、やはり訴訟手続の件についての地位協定見直しを行うべきであるという考え方なのですが、せめて、さきに運用面での見直しをした点に該当するような形での措置をとるべきであるというふうに思うわけであります。  実はきのう、中村法務大臣が閣議後の記者会見で、身柄を拘束すべきであった、こういうふうに記者に言われているわけですね。ですから、当然、法務大臣がおっしゃったように、被疑者身柄我が国警察に引き渡すべきであった、こういうふうに思いますけれども、その点について、外務大臣、どのように考えますか。
  8. 高村正彦

    高村国務大臣 法務大臣がそのようにおっしゃったということは私確認しておりませんが、日本国民、特に沖縄県民感情とすればそういうこともあるんだろうということもありますが、現実の問題として、捜査の任に当たっている警察の側あるいは検察の側、警察庁といいますか法務省、そういったところから外務省身柄引き渡し要求をしろという要請はありませんでした。
  9. 仲村正治

    仲村委員 いずれにしても、司法の最高責任者である法務大臣がそのようなことを言われて、それができないというようなことではいかがなものかと思いますので、先ほどは勉強したいというお話もございましたので、地元で被害を受ける人たち気持ちもよく酌み取っていただいて、そういった事件処理段階我が国の主権がきちっと施行できるようにぜひやっていただきたい、こういうふうに思います。  最近、沖縄大田県知事は盛んに、基地内の環境汚染問題、これをきちっとやらなくてはならぬということを強調しておられます。  大田知事は、基地整理縮小の対米折衝のために過去七回も訪米しておられるわけであります。ことし七回目の訪米をしたわけでありますが、実は、基地整理縮小のために行かれたわけですけれども、どういうわけか要人に会えなかった。それで、あちこちの研究会とかいろいろな集まりの中で講演をして帰ってこられているわけでありますが、帰ってこられての帰朝報告の中でこのことを強調しておられるわけです。米軍基地の環境汚染問題をどうにかしないといかぬ、盛んにこれを言っておられるわけであります。  その中で、ことしの六月十一日に、在沖米海兵隊基地司令官ジェフリー・ヒギンボッサム少将離任あいさつ大田知事を訪ねた際に、基地の汚染問題で同司令官と大激論になったということが報道されているわけですね。それは、大田知事が同司令官基地環境浄化を求めたところ、同司令官は、我々は日本より厳しい米国環境基準を守っているのだ、それ以上のことは日本政府に言うべきであって私に言うのは当たらない、こういうようなやりとりがあって大激論になった、こういうことの報道がなされているわけであります。  どうも大田知事は、この夏訪米して、基地整理縮小の直訴に行ったわけでありますけれども、その成果がなくて、何となく環境問題にすりかえてきたような感じがしてなりません。  そこで、八月十七日の地元新聞報道されておりますが、一九六〇年代後半から一九七〇年代にかけて、嘉手納基地内でPCBを含んだオイルなどの有害物質基地内につくられたため池投棄されたり、また燃料として民間業者に流したということを、当時の基地従業員廃油取扱業者証言があったというふうに報道されているわけであります。その報道を受けて、外務省、環境庁、防衛施設庁、そして沖縄開発庁などが合同調査に行ったわけですね。これは九月九日と九月二十八日の二回行っております。その調査の結果をぜひ報告していただきたいと思います。
  10. 竹内行夫

    竹内政府委員 御指摘調査沖縄開発庁下地政務次官を団長としたものでございますが、政府関係者が九月九日嘉手納飛行場を訪問いたしまして、その際には、早急に米側調査状況について報告するよう申し入れられたわけでございます。  さらに、九月二十八日に再度訪問した際には、米側より大体次のような点の説明があったということでございます。  第一に、報道されているような一九六〇年代から七〇年代にかけてこの飛行場内で行われたというPCB投棄については、米軍において過去三十年にわたる書類及び写真を入念に調査するとともに、関係者に対しインタビュー等を行ったけれども、報道されているようなPCB投棄は確認できなかった。第二点が、在日米軍は、米国防省の方針に従い作成している環境管理基準に基づき厳しい環境管理行動を行っており、嘉手納飛行場独自の環境対策としても種々の対策をしている。第三番目に、報道されているような嘉手納飛行場におけるPCB汚染地点があるかどうかを調査するため米国防省が派遣を予定している専門家チームというのは十月中にも派遣される予定であるという説明がございました。
  11. 仲村正治

    仲村委員 これは、私も八月十七日の地元新聞に出ているのを見まして、これは大変な問題だなというふうに見ておるときに、この調査に行ったということのニュースも見て、その調査結果がどういうふうに出たのか非常に関心を持っておるわけであります。  まず、そのため池存在というのが確認できたのかどうか、あるいは、そのため池投棄したということであれば、その周辺一帯汚染状況調査をする必要があるのではないかと思いますが、そのことについてどのような措置をとっているのか、この点お答えをいただきたいと思います。ため池存在が確認できたかどうか。
  12. 竹内行夫

    竹内政府委員 ただいま申し上げましたとおり、下地政務次官の一行に対します米側説明というのは、いろいろ調査をしました、関係者にもインタビューを行いました、しかし、ため池存在というのは確認できなかったということでございました。
  13. 仲村正治

    仲村委員 これは、公の新聞にこのようなことが、当時の従業員証言、そして廃油取扱業者証言があったと書いてあるわけです。したがいまして、やはり証言をした人をこれはどうしても確定をしなければならない。同時に、その地域汚染状態がないかどうか、その点も含めて、公の新聞に書いてあるわけですから、新聞の取材というのもそんなにでたらめのことは書いていない、ある程度事実があってのことだと思うので、それはやはりマスコミ協力を得て、その証言をした人を確認する作業をぜひやっていただきたいと私は思いますが、どうですか。
  14. 竹内行夫

    竹内政府委員 外務省といたしましては、米側に対していろいろ事実関係調査等を要望したわけでございます。それにこたえまして米側から専門家チームを派遣するということで、現地におきまして調査を行うということでございますので、その調査の結果に大きな期待を寄せているところでございます。  その際、調査のやり方といたしまして、いろいろな専門家が恐らくインタビューを含めていろいろなことを調査するだろうと思いますが、まずその調査期待をいたしたいと考えております。
  15. 仲村正治

    仲村委員 いや、アメリカだけに一方的にさせてはいけない、ぜひ我が国も一緒になって合同調査をすべきである、こういう点をもう一回注文しておきます。要望しておきます。そして、証言があったということについて、マスコミ協力を得て、どういう人がその証言をしたのかをぜひ追及をしていただきたい、この点を強く要望しておきたいと思います。  次に、那覇軍港移設の問題については、これは沖縄が復帰した今から二十六年前に那覇空港米軍飛行場だったのです。そこで、復帰のときの目玉の返還項目として、基地として那覇空港那覇軍港だと。これはもう非常に私たちは大きな期待を持ってその発表を聞いておったわけでありますが、那覇空港運輸省管理になって、ちゃんと今民空港になっているわけですけれども、那覇軍港移設条件つき返還ということになりまして、返還が決まっているけれどももう二十五年近くそのままの状態が続いているということ。  これについて、一時は三事案という考え方で、まず那覇軍港、読谷のパラシュート訓練場、そして金武の実弾射撃演習場、これは最優先して解決をしようということで、三事案、三事案というふうに取り上げられてきたわけでありますが、今回、この那覇軍港を含めてSACO最終決定でもこの問題は答えが出てきたわけであります。  その那覇軍港答えは何かといいますと、浦添地先移設をして那覇軍港返還する、こういうことになっていたわけでありますが、浦添市がこれは反対だというようなことでなかなか前に進まなかった。たまたま浦添市の商工会議所が、この那覇軍港浦添地先移設して、そして、それを含めて浦添市の西海岸開発を図るべきだという要請書市議会に出しまして、市議会はそれを採択したのです。浦添地先に移すということについて賛成の立場をとったわけです。そこで、去った九月議会沖縄県議会那覇軍港浦添移設の決議をしたわけです。ですから、今まで膠着状態が続いてもうにつちもさっちもいかないような状態でありましたが、何となく大きくこれが動き出したなという感じがするわけであります。  大田知事は、昨年の吉元知事再任のときに、共産党の同意を取りつけるために、那覇軍港浦添移設には同意しない、賛成しない、こういうことで共産党との覚書か何か合意を取りつけて吉元知事の副知事再任手続をとったわけでありますが、いかんせん吉元さんは否決をされたわけです。  ただ、そういう姿勢をとってきた大田知事が去った九月議会で、この那覇軍港浦添移設について前向きに検討したい、こういう答弁をしているわけです。これからしましても、ああ、やはりこの那覇軍港は動くなという感じをしているわけであります。  そこで、浦添地先といいましても、那覇新港区域重要港湾区域になっているわけです。その那覇新港那覇市長が今管理者ですけれども、大田知事は、この那覇港全体、那覇港は、今の那覇軍港、それから那覇港、泊港、それから安謝新港浦添埠頭も含めて那覇港になっているわけですが、そこを一部事務組合整備をして、そして管理をしていきたいという考え方を持っております。だから、その一環として那覇軍港移設をするということに前向きな姿勢をとっているということであれば、今後の那覇新港整備の中でこの那覇軍港整備というものはどのような形で位置づけられていくのか。  これが実際に工事のための予算がつくというのはまだまだ先のことではあるとは思うんですが、しかし、実際にここの工事沖縄開発庁直轄工事をやっています。そういうときに沖縄開発庁として、この那覇軍港浦添埠頭に移る、つくっていいというときに、その予算対応、これをどのように進めていかれるのか。防衛予算になるのかな、あるいは運輸省予算沖縄開発庁が一括しての予算になるのかなという感じを持っておりますが、その点についてお尋ねをしたいと思います。
  16. 井上吉夫

    井上国務大臣 今仲村議員お尋ねのような状況でありますので、現地事情からは、お話しのように、那覇軍港については港湾管理者那覇市ですね、那覇市長浦添の方になりますと浦添市長ということになりましょう。そしてこれが移設ということになると、どうしても、お話しのようにこれは全体として沖縄県がかかわってまいりますので、那覇市と浦添市と沖縄県、その三者で一部事務組合をつくって港湾管理者になるという姿になるのが一番よかろうというので、再来年ぐらいにこのことを目指して話が進んでいるというぐあいに聞いています。  ところで、今お話しのように、この話が急速ある程度動き出したというのは、浦添市におきます商工会議所皆さん方が、市の議会に対して、ぜひこの機会に、我々の地域浦添埠頭開発のためにこの那覇軍港浦添埠頭地区への移設をやりながら全体の開発をぜひ進めてほしいという趣旨陳情書をお出しになった、それが議会で採択されたというのが浦添事情だと聞いています。  ただ、そのことを受けて市長さんが、直ちにそれじゃこのことをさらに推進するために進めていくというところまでいっているとは聞いていません。県議会におきましても同趣旨の話があって、浦添市でもそういう動きになり、那覇の方でもそういう動きになり、全体としてこのことを推進するという空気になったら県知事としてもそれに対応しての考え方をしていきたいという段階だと聞いていますので、まだ話はこれから先になると思います。  したがって、それらの話が一本化して、そして、これを一体としての浦添埠頭地域への那覇軍港移設ということがいよいよ具体化するということになったら、実際の港湾計画、かれこれの実務的な面については沖縄開発庁がお手伝いをしながら、運輸省とともに計画を進めていくということになろうと思いますが、まだその前の段階でありますので、これから先こういうぐあいに進めていくということを今直ちに私が申し上げるということは、現地事情等から見て言い過ぎだと思います。  したがって、この動きが、今申し上げましたような背景がさらに前進をして、それでこのことが、沖縄那覇なり浦添を含む地域一帯発展のためにも、あるいは県民的立場からも望ましいものとして進んでいけば、私どもも当然のこと、そのことが沖縄県の発展につながるための仕事は、開発庁としてやれることについてはしっかり受けとめてやっていきたい、このように考えております。
  17. 仲村正治

    仲村委員 どうもありがとうございます。  私も、まだまだ先の話ではあるけれども、この那覇港の整備沖縄開発庁直轄工事でやっておりますので、もしこれが決まった場合にはやはりまた沖縄開発庁がこの仕事をやらなくちゃならないという立場からまず基本的にお尋ねをしたわけでありますが、いろいろな条件が完全に整うことを私たち努力をいたしますので、ぜひその節は沖縄開発庁としてもしっかり頑張っていただきたい、このように思っております。  それから、沖縄県は、平成八年一月に基地返還アクションプログラムなるものを策定して、二〇一五年までに三段階に区分して在沖米軍基地全面返還、いわゆる基地をゼロにする計画書政府に提出しております。在日米軍基地の七五%が沖縄に偏って存在することは余りにも不公平であり、また、沖縄県民負担をかけ過ぎている現状から、沖縄米軍基地整理縮小県民立場からいたしますと至極当然の要求だと思うし、また、政府もこの要請に真剣にこたえていただかなければならない、こういうように思うのであります。しかし、大田県政が考えているように、基地をゼロにするという考えは余りにも非現実的で幻想的な発想でしかないと私は思っております。  政府沖縄から提出された基地アクションプログラムに対しどのような対応をしてきたのか、お尋ねをしたいと思います。
  18. 高村正彦

    高村国務大臣 沖縄県に所在する米軍施設区域整理、統合、縮小につきましては、沖縄県民方々の御要望も踏まえながら、さまざまな可能性につき検討を行って、日米両国政府最大限努力を払ってSACO最終報告を取りまとめました。このSACO最終報告は、基地アクションプログラムの第一期に返還を求めている施設区域のほとんどを含んだものとなっており、また、在日米軍運用所要及び即応態勢維持配慮し、かつ日米安保条約目的達成との調和を図ったものであります。  政府としては、御質問の基地アクションプログラムではなくて、以上のようにして取りまとめられたSACO最終報告の内容を着実に実施することが、沖縄県民方々の御負担を一歩一歩軽減するための最も確実な道であると考えております。  沖縄県民方々の御理解をいただきつつ、SACO最終報告の着実な実施のため、引き続き最大限努力を払ってまいりたい、こういうふうに思っております。
  19. 仲村正治

    仲村委員 私も先ほど申し上げましたように、基地をゼロにするというのはこれは非現実的な発想だ、こういうふうに思っております。  そのようなときに、我が国安全保障上最も重要な政策である日米安保条約、果たして沖縄基地をゼロにして日米安保体制というのが維持できるのかどうかという気持ちでありますが、仮定の話として、大変失礼でありますけれども、沖縄基地をゼロにして日米安保体制の、安保条約維持はできますか。その点についてお答えをいただきたいと思います。
  20. 高村正彦

    高村国務大臣 残念ながら、限りなく不可能に近いことだと思います。
  21. 仲村正治

    仲村委員 私もそのように考えております。  なぜ私がここで基地アクションプログラムについてお尋ねをしたかと申しますと、提出をしているけれども、政府は一切これについてコメントしない、何となく肯定的に受け取られていはしないかというような気持ちがありますので、できるのとできないのと、やはり政府ははっきりしていただきたい、こういう気持ちがあるからであります。  次に、沖縄県の国際都市形成構想計画についてお尋ねをしたいと思います。  沖縄県は、平成九年五月に国際都市形成計画を策定し、その計画実現のため、政府協力を求めるべく同計画書政府に提出していると思います。たまたまその時期は、政府SACOで、沖縄米軍基地整理縮小、統合の詰めの作業の真っただ中でありましたし、さらに、総理大臣以下全閣僚の中に大田知事も席を並べた沖縄政策議会で、沖縄の振興策の審議が基地整理縮小の作業と同時並行的に討議が行われている時期と相まって、政府としては、沖縄県から提出された国際都市形成計画については極めて肯定的に受けとめていたと思います。  私は、まず、当時政府はこの沖縄の国際都市形成計画をどのように受けとめ、どのような形でこれに対処していかれるつもりであったのか、お答えをいただきたいと思います。
  22. 安達俊雄

    ○安達政府委員 お尋ねの、県の国際都市形成構想でございますが、その中には基本的な考え方として、沖縄の将来を考えますときに、米軍基地整理、統合、縮小を図るだけではなくて、それに即応して、足腰の強い沖縄経済の構築、また依存型経済から自立型経済への移行に向けての努力が不可欠である、こういう認識が一つあったこと、そしてそういう関係において、米軍施設区域整理、統合、縮小とそれに即応した振興策というものが相互に密接に関連し合っている、こういう考え方が県当局の国際都市形成構想に係る基本的な考え方であったと認識しております。  同構想の中核でございます普天間の跡地をどうするかという、四百八十ヘクタールの跡地問題という非常に大きな問題を考えますときに、そうした基地問題と地域振興の関連についての県の考え方は、当時として十分理解できるものでございました。これを政府としても基本的に重く受けとめる中で、知事もメンバーでございます沖縄政策議会を中心として、県と国とが一体となり、各般の振興策の検討及び事業の推進に取り組んできたというのが経緯として認識しているところでございます。
  23. 仲村正治

    仲村委員 今安達審議官がおっしゃったとおり、私もそのような理解をいたしておりますが、県としては、基地のアクションプログラムとの関連性、これは全くないというようなことは言えない、こういうように認識をいたしておりますが、もちろん、県全体を網羅した振興開発計画の絵が描かれているわけでありますが、何といっても、普天間基地全面返還を前提にした基地の跡地利用が最もその中核的な計画であった、このように私は思っております。  したがいまして、今、普天間基地移設について、海上基地が反対だというようなことで見通しが立たなくなったわけですね。したがいまして、この国際都市形成構想計画も立ち消えになるのではないかという感じがありますが、大田さんは、そうじゃない、何も基地の跡地利用だけを想定しているんじゃないというようなことを言っておりますが、今私は、政府の受けとめ方からいたしましても、基地整理縮小と同時並行的にこれは進めていかないと、せっかく日をかけてっくり上げたこの計画は水泡に帰すというような感じがしてなりません。したがいまして、私は、基地整理縮小とこの国際都市形成計画の実現はリンクしていかなければならない、こういうふうに思っております。  もう一度確認をしたいと思います。
  24. 安達俊雄

    ○安達政府委員 海上ヘリポートの受け入れ拒否表明に伴いまして、基地問題の今後の進展についての見通しが得られない状況に立ち至っているわけでございます。  先生の御指摘もございましたけれども、米軍施設区域整理、統合、縮小に即応して、きめ細かな振興策の展開を図ろうという基本的な考え方で進めてきたわけでございますけれども、そういう中で、実際上、我々の実務的な検討も、具体的な形で進めるということについてはなかなか難しくなってきておるということでございます。
  25. 仲村正治

    仲村委員 次に、第三次振興開発計画の後期の課題とポスト三次振計、並びに橋本前総理が発表された沖縄の経済振興二十一世紀プランについてお尋ねをしたいと思います。  井上大臣は二度目の沖縄開発庁長官御就任であります。たまたまこの時期は第三次振計の後期の、まさに三次振計総仕上げの極めて重要な時期に差しかかったときでありますので、井上大臣としての御活躍に大きな期待を寄せているところであります。  まず、第三次振計の前期の成果と後期の課題への取り組みについて、御決意をお尋ねいたしたいと思います。
  26. 井上吉夫

    井上国務大臣 第三次の振計を含めまして、御承知のとおり、私がこの前、短い期間でしたけれども、大臣に就任いたしましたのは平成元年でございます。丸九年たっております。あのときに比べますと、私は、沖縄皆さん方の御努力そして振興計画に基づくいろいろな施策が、相当大きな投資を沖縄に実行、実施をしながら、かなりな成果を上げてきたものだと思っております。したがって、振興計画にずっと定められた細かい計画をほとんど、ほぼ計画どおり実行が進んできたのが前期の振興だったと見ております。ちょうど半ばぐらいに差しかかりますので、去年の三月、沖縄振興開発議会において三次振計の後期展望が取りまとめられたところでございます。それに基づきまして、後期の事業を着実に進行していきたいなと思っております。  したがって、残りの三次振計の仕事が順調に進んでいった後をどうするか。当然のこと、仲村議員は沖縄の御出身でありますから、三次振計で終わりというわけにいかぬよ、引き続きやはり沖縄は進めていかなければならぬという思いがおありだと思います。  ただ私は、今担当大臣として、ちょうど半ばの時期に次の四次振計を間違いなくやりますというのを直ちに申し上げるわけにまいりませんが、沖縄県、そしてこの仕事を一緒にずっと進めてきてくれました関係省庁と十分協議をして、そして地元沖縄県の要望等をしっかり受けとめながら、今でも沖縄県は、御承知のとおり雇用の情勢を見ましても、逆に言うと失業率の高さから見ましても、いろいろな点で問題がたくさん残っております。さらに、これから先の沖縄は、いろいろな力に頼ってではなくて、自立してどういうぐあいに伸びていくか。これから先の沖縄の未来というのを、日本全体から見ても、当然のこと沖縄県民から見ましても、すばらしい南の拠点としての開発を目指さなければならぬというぐあいに思いますので、後期につきましては、前期五年間の実績の上に立ってさらにそれを着実に前進させる、そういうことによって、我が国の経済社会に沖縄県が大きく貢献をしてくれるようにしていくことができるように全力を挙げて頑張っていきたい、このように思っております。
  27. 仲村正治

    仲村委員 今大臣がおっしゃったように、まず当面この三次振計の着実な実施ということが大事であります。同時に、もうこれで終わるのか、やはりポスト三次振計ということは、この三次振計の後期の課題を推進しながら考えていかなければならない。歩きながら考える、考えながら歩く、こういう立場でひとつ推進をしていただきたい、このように思っているわけであります。  次に、沖縄基地整理縮小との関連で設置された沖縄政策議会、その事務局である内閣内政審議室の沖縄担当室が現在どのように機能しているかということであります。  総理大臣を初め全閣僚と席を並べて沖縄県知事が参加しての沖縄政策議会は、全く他の都道府県では例のない、考えられない、一地方自治体の振興策を協議する場として、私たち県民からすれば、この機関の活用は千載一遇のチャンスと考えていたのでありますが、いかんせん昨年十一月から開かれていないということはまことに残念至極に存じます。この沖縄政策議会の機能の復活を早急に図るべきだと思う。そして、その事務局の沖縄担当室は現在どうなっているのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  28. 安達俊雄

    ○安達政府委員 お答え申し上げます。  縦割り行政を排しまして、各省庁が連携して、また国と沖縄県が連携、協力し合って沖縄問題に取り組むというこの沖縄政策議会、あるいは私ども事務局の体制は、まあ自分で言うのもなんでございますけれども、大変画期的な取り組みであったと思いますし、その活用を期待されておるところでございますけれども、現下の状況は先ほど申し上げたような状況にございまして、その仕組みが必ずしも有効に生かせないという状況になっているわけでございます。  沖縄政策議会につきましては、必要に応じて開催をしていくという方針に政府として変更はございませんけれども、現下の状況の中で、現在のところ開催の予定は立っていないということでございます。  それから、当室の関係でございますけれども、例えばの話を申し上げますけれども、普天間跡地対策をどう推進するかということで、建設省から第一級の都市計画のエキスパートを常駐させていたわけでございますけれども、具体的な作業のめどが立たないということで、やむなく引き揚げてもらわざるを得ないという状況にもなりました。そういった業務量の変動の中で、一時十五名の体制で進めておりましたけれども、現在八名の体制に縮小している、このような状況になっております。
  29. 仲村正治

    仲村委員 極めて残念な話であります。これだけ一地方自治体のために、総理を含めて全閣僚が参加して、しかも地元県知事もそこに席を並べて沖縄振興策を協議する機関が今立ちどまった状態になっている。私はそのままもう立ち消えになるのではないかという心配を持っておりますが、今審議官から、これはできるだけ早急に復活できるように、機能するようにしたい、こういうことでありますので、私たちもそういう環境が整うように頑張っていきたいと思っておりますので、どうぞひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、橋本前総理は、昨年十一月二十一日に沖縄で開催された復帰二十五周年記念式典での講演の中で、沖縄の経済振興二十一世紀プランを発表されたのであります。  私は、総理のお話を聞いて、これはまさにポスト三次振計の中核的な構想となる、総理の発言の重みを考えると、この二十一世紀プランの実現は一二〇%の確率を持っている内容だと考えたわけであります。それで総理は、来春というのはことしの三月三十一日までということだと思いますが、来春をめどに総合研究開発機構、NIRAで検討させて具体的な形にしたい、こういうお話でございましたが、この二十一世紀プランというのが今どういう形になっているのか、これをお答えいただきたいと思います。
  30. 安達俊雄

    ○安達政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の二十一世紀プランでございますが、御指摘のとおり、昨年十一月の復帰二十五周年記念式典において、橋本前総理が策定の方向を表明されたわけでございます。  ちなみに、その式典において総理が表明されました五つの施策というもののほとんどの部分は、改正沖振法の形で結実しているわけでございますけれども、二十一世紀プランにつきましては、基地跡地のあり方を含めて沖縄の二十一世紀のグランドデザインを描くという大作業でございます。県土構造の再編を目指すような意欲的な、単なる作文ということではなくて、意欲的なものであればあるほど、基地のありようというもの、その展望を無視して描くことはなかなか難しいわけでございまして、現在の基地問題の展望が得られない状況の中で、実際上こうしたビジョン策定の作業には大きな限界が生じておりまして、そういった面から、私どもの立場からも基地問題の厳正な形での進展を強く期待しているところでございます。
  31. 仲村正治

    仲村委員 今おっしゃるとおり、やはりSACO最終決定基地整理縮小と大きくこれは関連づけていかれるものであるし、先ほども申し上げましたように、まさにポスト三次振計の中核的な構想である、計画であるというふうに考えておりますが、これが今立ちどまった状態になっておりますことを非常に残念に思ってなりません。一日も早く正常の姿に立ち返ることを期待をいたしております。  最後に、せっかくの機会でありますので、井上大臣、あしたサトウキビ代が決まります。今景気対策で、第一次補正で十六兆円の景気対策予算を組む、第二次補正で十兆円の予算を組む、こういうふうに景気対策をするわけでありますけれども、農村の景気対策は農産物の価格を決めること、これが一番であります。したがいまして、私は、あしたのサトウキビの価格決定というのは沖縄の農家経済に大変大きな影響を及ぼすものでありますので、ぜひとも適切な、農家が再生産できる、意欲を持たせるような価格の設定に、大臣も一緒になって頑張っていただきたいことをお願いを申し上げたいと思いますが、御決意を伺いたいと思います。
  32. 井上吉夫

    井上国務大臣 仲村議員がおっしゃいましたとおりであります。  七割の人たちが、沖縄農業の中でキビに頼って一生懸命頑張っていただいている。私の鹿児島の南西諸島もほぼ同じような条件下にあります。そういう人たちにとってはもうすべてが、そして、地域を支えるということのために我々が一生懸命頑張っている大もとは、このキビ価格の決定が、この後も引き続き元気を出してこの地域で農業を中心として頑張っていける、そういう位置づけの大事な作物だと心得ておりますので、私も全力を挙げて頑張っていきたいと思いますし、農林省の方に対してもそのことを強く要請をしてまいりたいと思います。先生も、どうぞひとつ部会等の場で頑張ってください。お願いします。
  33. 仲村正治

    仲村委員 ありがとうございました。  終わります。
  34. 五島正規

    五島委員長 上原康助君。
  35. 上原康助

    ○上原委員 今の仲村先生の御質問と若干重複する面もあるかと思うのですが、まず沖縄振興策の方からやわらかくお尋ねをして、後で基地問題についてお尋ねします。  一つには、第三次振計後の振興策をどう策定をしていくのか、展開をしていくのか、大変注目されているわけですね。今、井上大臣は半ばと言うが、もう後半ですね。二〇〇一年ですから、恐らく来年以降は、ポスト三次振計をどうするかは真剣に検討しなければいかない段階だと思っております。  いろいろ言い分はあるでしょう、政府にも。だが、沖縄の振興策にしても、基地問題その他重要政策がなかなか思うようにはかどらないのは、決して沖縄県知事の責任でもない、沖縄側の責任だけではない。それは、基本的には、歴代自民党内閣あるいは政府沖縄施策に対する基本認識が、誤っているとは申し上げませんが、沖縄県民期待というか、あるいは理念とか考えと根本的に異なっている。その大きな壁をどう取り除いていくかということを、どうも政府、各省庁もいまいち努力が足りない、そういう気がしてなりません。決して政府だけの責任とは私は申し上げないし、努力は評価しますが。  そこで、まずポスト三次振計について、確かに今具体的に、四次振計をつくるとかあるいはどうするということは御答弁いただけないかもしれませんが、私は、やはり今、三次振計のこの全体的な面を総点検、総検証して、二十一世紀という世がわりの時代に対しては、新たな経済政策とか何らかの振興策というものを講じなければいかないと思うのですね。  基本的な理念というものは、沖縄開発庁はどう考えておるのか、あるいは内政審議室はどう考えておられるのか。この二点、根本的なことについてお答えをいただきたい。
  36. 井上吉夫

    井上国務大臣 内政審議室の質問は内政審議室で答えてください。  上原議員おっしゃいましたように、本当に、日本で唯一戦場になって、その後も長いこと米軍の占領下に呻吟し、しかも、なお今も基地の七五%を沖縄がしょい込んでいる、こういう状態の中で、もう言いたいことは腹いっぱい、もっともっと国全体として考える必要があったというぐあいにお考えだと思いますし、そう言われるのも当然だと私も思います。  ただ、具体的に言うならば、ここまで進んできた振興計画が、いよいよ第三次の振興計画が半ばになった。いよいよ後半に入る。そして、その後をどうやっていくのかという、これから先の沖縄の未来像ということについて、二回目の大臣じゃないか、隣県鹿児島の出身でもあるということもあって、沖縄に対するおまえなりのいわば構想というものがあれば述べよということだと思います。  具体的な積み上げということではなしに、かなり大ざっぱな言い方になると思いますが、私は、この前決まりました特別自由貿易地域制度などを初めとする特別の対策は、これを本当に生かそうとして実行に移すというのはこれからだと思います。ようやく枠ができた、これを本当に生かすということについては、みんなで手伝いながら、このことを大きく、予想以上の進度で進行したいな。そういうことによって、もう財政に頼るとか、おれだけがこれだけ苦労したのだから、その分だけ国全体で面倒見ろよという発想ではなくて、沖縄が十分自立しながらすばらしい地域として発展していく。いわば自立を目指す沖縄という立場で考えるならば、この特別な制度を最大限活用するということが一つの着眼ではないだろうか。  そのこともありまして、実は、実際にこれを利用していただくのはやはり沖縄県の皆さん方だなと思いましたけれども、それだけではなくて、やはり特別自由貿易地域制度による税制の恩典、こういうことを諸外国の税制の仕組みと比べてみても、トップクラスと言っていいほどのすばらしい制度だというぐあいに見ることができます。  あわせて、御承知のとおり、これから先は情報通信というのがどんどん、大事な、魅力ある新産業というぐあいになっていくと思います。こういうこともありまして、閣議でもしばしば隣り合わせになったりして会いますので、通産大臣やらあるいは郵政大臣にも御相談をして、沖縄県でみずからこのことを真剣に誘致活動をやられるにしても、やはり国全体として、あなた方が一番数多くのノウハウも持っている、人との接点も一番有力なはずなので、とりわけ実務担当の課長クラスの人なりあるいは審議官クラスの人なりに幹事役にでもなってもらって、このことがもっともっと速いスピードで立ち上がることができるようにぜひ考えてくれぬかと。ようやくこれは、実を言いますと一既に看板をかけまして、このことの応援体制も発足をいたしました。  決して、開発庁が全部、こういうことをどうぞというつもりはありません。いろいろな材料を調えたら、このことはぜひ沖縄県で活用していただく。開発庁が自慢げにこのことをやろうなんてちっとも思いませんので、そういうつもりで対応をしたいなと思います。  いずれにいたしましても、沖縄におきます二次産業の比率の非常に低いこと、あるいはこれから先伸びていくであろう新産業、情報通信なり、あるいはもう一つ言うならば、沖縄の観光資源というのは、日本全体の中でもやはり一番すばらしい地域であり、しかも南に開かれているということなどをどう生かすかというあたりに目を向けながら、とりあえずそこに結びつくまでの間、まだまだ足らない社会資本、公共事業面でいう、そういうものも活用をしながら、目の前のいわば失業率の高さ、雇用率の低さというのをとりあえず埋めながら、目標としては、そう長くない間に自立する沖縄ということを目指して、これから先の新しい産業を沖縄に根づくようにしたいな、少し長くなりましたが、そういうぐあいに考えております。
  37. 上原康助

    ○上原委員 お尋ねしますから、できるだけ短目にお願いします。  私がいろいろ具体的にお尋ねしようとする面もお答えされましたが、歴代の開発庁長官は大体異口同音にしてそういうことをおっしゃってきた。だけれども、残念ながらスタンドステイなんですよね。立ちどまっている。私も開発庁の席を汚したというか席に座っておったけれども、なかなかうまくいかない。そのことは、後で根本的な問題言いますからね。  だが、もうここまで来て、戦後五十年が余って、二十一世紀を目の前にして、沖縄問題というのは今までのような政府対応ではもうとてもじゃないがだれも納得しませんよ、わしらを初めとして。それは与党とか野党とかイデオロギーの問題じゃなくなっている。一体政府とは何ぞやということをみんな今考えてきているのですよ。これは日本だけじゃない。最近の金融状況とかいろいろな不祥事を見ればわかるでしょう。  そういう意味で、じゃ、三次振計後は四次振計にするのか、新しい皮袋をつくろうと考えているのか、政府は。恐らく、橋本総理がお考えになろうとした二十一世紀経済振興プランというのは、僕は新しい構想だったと理解しているのだ、私なりには。その点はどうなの、内政審議室を含めてもう少し中身のある答弁はできないですか。
  38. 安達俊雄

    ○安達政府委員 先ほど井上長官がお答えになったことに尽きるわけでございますけれども、私なりに若干補足させていただきたいと思います。  沖縄の中長期の展望は何かということでございますけれども、これにつきましては、昨年、沖縄政策議会から総合研究開発機構に要請を行いまして、香西委員長以下の有識者に熱心な御議論をいただきました。その基本的な考え方は、まさに長官おっしゃったとおりでありますけれども、まさにその自立型経済にどう移行していくかということが重要である、持続可能な成長を沖縄経済にもたらすエンジンのようなものを今後どう確保していくかということが最大の課題の一つではないかという指摘がございました。  そういった中で、インフラ整備の重要性とともに、内発型あるいは外発型含めて産業振興をどう図っていくかということが極めて重要な課題と私どもも認識しておりまして、そういった意味の試みとして、まさにNIRAの中間報告、その報告を受けての政府としての取り組みの結実したものが先ほども御紹介のあった改正沖振法ではなかったかというふうに思っておりまして、いわばそういった問題意識の先行として沖振法の改正が行われたわけでございます。  二十一世紀プランにつきまして、なかなか今進められない状況になっているというところは先ほど御説明させていただいたとおりでございまして、それ以上の補足する説明は避けさせていただきますけれども、そういった大きな方向に向けてどのようなグランドデザインを描いていくかというところが一つの課題になっておる、二十一世紀プラン策定という意味において課題になっておるというふうに認識しております。
  39. 上原康助

    ○上原委員 確かにいろいろ難問があって、沖縄政策議会も一年近く開かれていない。もうちょうど一年ですね、十一月だったから、今十月だから。基地問題はデッドロック。これは後で聞きますからね。  だが、橋本前総理が沖縄県民に向かってメッセージをしたこと、約束したことは、これは天下に対する公約ですよ。沖縄側の姿勢がどうのこうのといって一国の総理大臣が天下に向かって言ったことをほごにするということ、これは、もしそういうことがあるとするならば、それがまた新たな政治問題になるということをここで強く申し上げておきたいと思う。  確かに沖振法の改正というのは、私たちも一生懸命努力をして、全会一致でこれは先通常国会、通したわけですからね。特別自由貿易地域制度、いろいろ今努力されていることはわかります。しかしこれも、こういう不況、国際的な経済不況の時代、金融不況の時代ですからね、沖縄に税制を少しぐらい、少しぐらいというかかなりよくしたといったって、行きましょうという企業はなかなか少ないと思うよね。僕は余り過大な期待はよくないと思いますよ。  確かに下地次官なんかが努力をして、企業誘致プロジェクトチームを沖縄県もつくっておりますが、開発庁の方にも設置をして、いろいろ御努力していることはわかる。評価もします。しかし、この沖振法を改正して、これで沖縄の自立に向けた産業立地なりあるいは大きな企業誘致ができて、自由貿易地域そのものが、特定地域を、中城湾を指定をしてやれば本当に活性化していくという見通しを政府として持つのかどうか。そこいらの点については、現状と見通しはどうですか。
  40. 玉城一夫

    ○玉城政府委員 前通常国会で全会一致で成立しました沖振法の改正に基づく特別自貿等の新しい制度の創設、これは枠組みはできましたけれども、じゃ、これから具体的にどういうふうに企業が張りついていくかということにつきましては、先ほど来大臣からもお答えいたしておりますが、沖縄開発庁としましては、通産省や郵政省の御協力も得て、これらの企業誘致について沖縄県をバックアップしていきたい。沖縄県でもプロジェクトチームをつくっておりますし、一体となって、これが目的とするところが実現されるように一生懸命努力をしてまいりたい、このように考えております。
  41. 上原康助

    ○上原委員 そう簡単にいかないということはわかりますけれども、返ってくる答えというのは、沖振法を改正して相当バラ色のあれを描いたから大丈夫だと言うのだが、実態はそうなっていない。そこをどう解決していくかということを、もちろん沖縄側も、我々を含めて、もっと努力をし、やらなければいかないわけなのだが、やはり、実際に政策を運営し、政府の実権を握っているのは皆さんなんだよ、沖縄開発庁を含めて、政府なんだよ、政権党なんだよ。そのことは片時も忘れちゃ困るということ。私は、そう簡単にこの自貿域というものが大きな効果を、一時期期待されておったような方向には行かない可能性があると思いますよ。これはどこにその原因があるのか、もっと積極的に解明をしながら御努力を願いたいと思います。  そこで、もう一つは、これは基地問題と関連してくるのですが、今唯一沖縄の側で評価されているのは、島田懇の基地所在市町村のプロジェクトの問題ですよね。これは、逆に見れば、裏から見ると、基地存在があるからそういうプロジェクトをやっていくわけですから、基地を全面的に否定する側から見るといろいろ問題点は出てくるかもしらないのだ。しかし、私は、それは当初から評価をする一人だということで進めていただいた、また島田先生にも何回かお会いして意見交換もした。  これは御承知のように、政府とあるいは関係市町村が提携をして具体化をしていることなんですが、一々は挙げませんが、今後このことについてはどのように具体化をしていくのか。現在の状況とこれからの将来展望について、一応公式な場で政府の考えというのか、担当の方から述べておいていただかなければ困る面もありますから、ひとつ御答弁を願います。
  42. 安達俊雄

    ○安達政府委員 御指摘の島田懇事業でございますけれども、いわゆる沖縄懇談会といいますか島田懇談会が、平成八年十一月に提言を政府に提出いただいたわけでございます。  現在、その具体化のための助言を得べく、平成九年六月から、同じく島田教授をヘッドにいたしました有識者懇談会の設置をいたしまして、いろいろ助言をいただいて進めているわけでございますが、予算化につきましては平成九年度からスタートしておりまして、実はこの間、十月七日にもその有識者懇談会が開かれたわけでございますけれども、相当具体的な方向が見えてきたなという印象を官房長官からもいただきました。  具体的に申しますと、今まで議論の段階であったわけでございますけれども、来年三月には名護の留学生センターでございますとか、あるいは金武町の、まさに少女暴行事件があった金武町で、事件、事故をなくすために暗がりを追放しようということで、街灯設置の工事等もございましたけれども、これらも三月には完了する。また、伊江村のマリンタウン構想の一部もこの十一月には完了する。また、名護における雇用創出の一つのポイントでございましたマルチメディア館でございますけれども、その入居者の一人であるNTTの番号案内センター、これが来年四月から本格的に事業を開始し、百名の新規雇用が確保される。こういった形で、具体的な形で姿をあらわしてまいりました。  また、この間の、十月七日の有識者懇談会におきましては、今後新たにスタートする事業といたしまして、国頭村のエコ・スポ・レクゾーンの整備でございますとか、あるいは名護におけるネオパーク国際種保存研究センターでございますとか、あるいは宜野座村あるいは北大東村、こういったところの四つの新規事業も、スタートが有識者懇談会のレベルで了承になりました。  私ども、今後財政当局とのまた折衝を進めていくわけでございますが、この島田懇事業の基本理念といいますか、基地そのものを固定するという意識では全くございませんで、基地の閉塞感にあえいでいる基地所在市町村の活性化に、国が直接対話でお手伝いをしていこうということでございまして、その手法として、雇用創出があり、産業振興があり、そして人材育成がある、この基本的な考え方、ユニークなフレームワークのもとでの事業だと私どもも認識しておりまして、この島田懇事業の着実な実現のために、提言の実現のために、今後とも頑張ってまいりたいというふうに考えております。
  43. 上原康助

    ○上原委員 ここで一々は、リストは、事業計画等の各市町村の要望とかあれは申し上げませんが、これはしっかり継続させて、着実にやっていただきたいと強く要望をしておきます。  今ありましたように、十一年度に向けて新たな七事業の提言決定が、十月八日ですか、有識者作業部会でもなされている。これなども、北部振興を含めて大変期待が持たれていることを申し添えておきたいと思います。  それと、一点確認というか、具志川市の青少年育成国際総合交流センター、これは事業採択されているわけでしょう。その点についてひとつ、私もこのことで相当苦労しましたので、どうなっているか、今の状況と今後の見通しを少し述べてください。
  44. 安達俊雄

    ○安達政府委員 具志川市の青少年育成国際総合交流センターでございますが、既存の青少年育成福祉施設が非常に老朽化しておりまして、それを統合して、新たな視点で活動拠点としての整備を図っていこうというものでございまして、平成十年度に調査を行いまして、来年度、設計及び用地確保に進んでいくということでございます。  この夏、三回にわたって行われました作業部会におきまして、集中的な議論が、他の町村のプロジェクトとともに検討が進められまして、一つ、さらにコストの低減に努めなさいという宿題をいただいているわけでございますけれども、そういう方向において了承するということが十月七日の有識者懇談会本会の方でも了承されたということでございまして、今後、こういった有識者懇の方向のもとで、私どももその実現に努めてまいりたいと思っております。
  45. 上原康助

    ○上原委員 これはいろいろ経緯があって、規模の再検討等々がございましたが、今お述べになりましたので、ぜひやっていただきたい。これはまた現に米軍の住宅環境問題ともかかわっているということは、もう指摘しないでもおわかりだと思いますので、そういう両面から実現を促進していかなければいかない重要課題だと思いますので、御留意をいただきたいと存じます。  次に、先ほどもございましたが、沖縄の第一次産業、農林水産業をどうしていくかということが非常に私は重要だと思うのですね。  どうも最近、私たちを含めてかもしれませんが、時折よく自問自答して考えたりするのですが、やはり沖縄の亜熱帯性あるいは気候風土、地域性からして、私は、地場産業の育成、伝統文化というか、そういう規模は大きくなくても着実に離島なり地域で振興できる産業、企業というものはもっと大事にしなければいかぬじゃないかということを思うわけですよね。国際都市も結構だが、国際化も結構なんだが、足元はどうするか。そういう面から考えますと、先ほどもありましたが、やはり沖縄の基幹作目であるサトウキビの生産拡大あるいは品種改良を含めての大切さというのは、私は非常に重要だと思うのですね。  これはいろいろありますよ。観光問題とか農業の生産性とか、収入の高いマンゴーとか花卉とか、いろいろないい面もある。それも進めながら、やはりサトウキビは守っていかなければいかぬ。パインにしてもそうだ、製品化するかあるいは観光用にするか食品用にするかは別として。そういう点からして、あした決まるであろうサトウキビの生産者価格については、私はやはり政府全体としてお力をかしていただきたい。これは井上大臣は当然ですが、総務庁長官外務大臣も、国務大臣という面で。この点について、やはり井上大臣かな、お答えするのは。  やはり農林省ももう少し積極的に沖縄農業を守るという立場からやっていただかないと、あなた方、下げることだけ考えてはいかぬよ。農林省来ておったら、まず現状とあしたの見通しを少しお答えください。
  46. 西藤久三

    ○西藤説明員 先生御指摘のとおり、サトウキビは沖縄県の地域農業において代替性のない基幹的作物でございますし、地域経済の発展や国土保全に大きな役割を果たしているというふうに考えております。  しかしながら一方、サトウキビを取り巻く情勢は、内外価格差の縮小要請、あるいは需要の減少等、極めて厳しいものがございます。  このような情勢の中で価格決定を行うに当たっては、先生の御指摘にもありましたように、生産農家が意欲を持ってサトウキビ生産に取り組めるようにしていかなければいかぬということが基本でありますが、他方、御案内のとおり、サトウキビの価格支持のために負担を負っている関係企業や関係消費者のことも考慮しなければ、糖価安定制度の存続自体が困難になりかねないというふうに考えております。  また、最近の物価動向や本年産の生育状況、他作物とのバランス等も十分考慮する必要がありまして、私ども、いずれにせよ、糖価安定制度、砂糖の価格安定等に関する法律の規定に基づきまして、あすじゅうにも価格を決定したいというふうに思っております。
  47. 上原康助

    ○上原委員 これも議論すればいろいろありますが、絶えず問題になることですが、西藤審議官、総合事務局農水部がはじき出され、あるいは皆さんが決定する平成九年サトウキビ生産費というのは、十アール当たり十八万四千五百円となり、実際の生産費は皆さんが決定する価格とは常に差があるということ。御承知のように、ちょっと時間がありませんから、生産費をトン当たりで見ると二万六千二百七十一円。だが、農家手取りは二万四百二十円。したがって、五千円余の差があるわけですよ、農家にすれば。  こういう格差の問題は何回か沖特やいろいろなところで議論をしてきたが、一向に埋められない。いつもむしろ基本価格は削減をしている。ですから、農民や農家が、関係企業を含めて、やはり生産意欲が維持できる、あるいは希望の持てるような価格の査定というものは必要だと思います。その点、改めて井上大臣の決意をお聞かせください。
  48. 井上吉夫

    井上国務大臣 お話しのとおり、今、細かい数字を言いますと、なかなか理屈はうまくかみ合わぬと思うのですよ。どうやって本当に沖縄に、あるいは鹿児島の奄美など南西諸島の地域に農業が根づくのか、人々がここで生活するのかというその立場にやはり一番重点を置いて考えないと。  キビ農業が生きていくために、国際価格に比べればはるかに高くついている、そのことはわかった上で、調整費だとかあるいは交付金等によって何とか成り立つような仕組みをつくっているわけですから、これを前の年と比べどうなのか、あるいはこれから先も残っていくためにどうずればいいのか。生産性の向上に努力をしなければならぬ、機械化も、あるいは糖度の高い高品質のもの、いろいろなことをやらなければいかぬが、それでもなおかつ、人並みの生活ができるのかというところに視点を置かなければならぬ。  そういう思いで、どうしても農林省を中心としながら頑張っていただきたいし、財政当局もそのことについてはわかってもらわなければならぬ。私どもは役所を挙げてこのことについてはしっかり取り組んでいきたいなと思っております。
  49. 上原康助

    ○上原委員 ぜひひとつ、御努力を強く要望しておきます。  時間がだんだん差し迫ってまいりましたので、基地問題について。雇用失業対策についてもお聞きしたいのですが、太田総務長官は私は要望していないのだがいらっしゃるから、あなたのお顔を見たら失業問題を聞かないかぬかなと思って、時間があれば聞きます。失礼、労働省も来ていると思う。  せっかく法務省、来ていただきましたので、けさ外務委員会でも取り上げたのですが、私は今度の女子高校生ひき逃げ事件というものは、今度の政府対応では納得しがたいのですよ。しかも、法務大臣は、事前に身柄はやはり日本側に引き渡すべき、あるいは移転すべきだったという見解を述べられた。  法務省のお立場で、地位協定上はいろいろあるだろうが、やはり法の平等性という面から、あるいは人権という面から考えて、今回の事件の悪質性からして、起訴しない前に、沖縄県警要求しているんだ、外務大臣は、強い要望がなかったから、要求がなかったからということを、けさの外務委員会で御答弁あったわけですが、そのことはさておくとして、これから地位協定問題を我々は真剣に議論しなければいかぬ、根本的に。そういう面で、法務省の御見解をまず聞かせておいてください。
  50. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 先生御質問の事件について申し上げますが、確かに起訴前に身柄の引き渡しは行わないということで、検察庁としてもそういうふうに考えたわけでございます。  その理由は三つほどあるかと思いますが、第一点は、被疑者自身が当初から本件の犯行を明らかに認めておったということでございます。それから二点目は、この事件の、これはひき逃げ事案でございますが、目撃供述が明確で、しっかりしておりました。それから三点目は、こういう事案ですから現場での実況見分の立ち会いを被疑者に求める必要があるのですが、米軍当局も身柄の押送等に全面的に協力している状況にございました。そういった主として三点でございますが、勘案しますと、処理までそれほど時間がかかる事案ではないというふうに検察庁は判断いたしまして、起訴前の身柄の引き渡し要求をする必要性は低いという判断でございました。  以上でございます。
  51. 上原康助

    ○上原委員 より法的な面というものが明らかにというか理解ができる面もあります、今の御答弁などを含めて。しかし、外務大臣、けさほどから申し上げておりますように、確かに外交交渉とかあるいは法律を実際に運用していく、執行していく側からすると、いろいろな捜査権その他、相手の言い分とか実況見分とか、諸般の実態、実情というものを掌握した上でしか逮捕なり拘束はできないわけで、それは一般論として当然だと思うのですね。  だが、これまでもいろいろな、九五年九月の事件なり、その後も相当この種の事件がある。常に地位協定の第十七条あるいは二十五条の合同委員会運用のあり方等々が問題になっているわけですよね。その意味では、県民感情なり国民の受ける印象は、またもかと、この気持ちはぬぐえないのですね、今の説明やけさの大臣から。施設庁にはまだ聞いていないけれども。  そういう面では、やはりここはもう一度、地位協定見直しないしは抜本的な改正、改定ということも含めて、さっき外務大臣も検討したいということまでおっしゃっていただきましたが、改めて私は外務大臣の決意を聞かせていただきたい。そうせぬと、これは沖縄県民感情として、絶対許せぬというのが強いですよ。むしろ、こういうリスクを受けるよりも、事前に身柄を引き渡せと法務省外務省も一体となってやった方が、もっと沖縄のいろいろな問題というものは前進していくと私は思う。  そういう面で、ひとつ地位協定に対する御決意を聞かせてください。
  52. 高村正彦

    高村国務大臣 沖縄県民、もっと広く言えば日本国民感情というのはよくわかるところでありますし、直ちに米側と協議に入るということではなくて、私たちも、委員がおっしゃったようなことも含めて勉強してみたい、こういうふうに思っています。
  53. 上原康助

    ○上原委員 ぜひそこは、地位協定の問題は我々も勉強しながら、NATOがどうとか、ボン協定がどうとか、韓国がどう、これはもちろん比較対照して勉強はせにゃいけませんけれども、やはり日本日本の主体的判断でやっていかれればいいのですよ。そういう面で、地位協定問題の御検討をなさいますね。
  54. 高村正彦

    高村国務大臣 勉強してみたいと思っています。
  55. 上原康助

    ○上原委員 我々もいろいろ提言もしたいと思いますので、ぜひよろしく、積極的に御検討を願います。  次に、防衛施設庁長官、せっかく来ておって聞かないといかぬから、那覇軍港問題について。  これは外務大臣に聞いた方がいいのかもしれませんが、合同委員会での決定がどうのこうのということももっと深く掘り下げて議論をしなければいかないと思うのですが、問題は、県内の情勢が変わっているということは皆さんは御理解いただけると思うのですね。この変化について政府はどう受けとめているのか、これが一つ。  もう一つは、やはり条件がついているわけですよ、仮に那覇軍港浦添の港湾整備の問題と一体化して進めるという場合でも。共同使用の可能性とか制限水域を解消することとか、米軍が必要なくなったときにはやはり浦添市ないし県か那覇市に譲渡するとか。費用については、これはもちろん国がやらなければいかぬでしょう。そういったことが地域の意見調整としてまとまれば、政府としては、外務省あるいは防衛庁としては、そういうことを受けとめて推進していくのか、あくまで軍港特定としてやっていこうとするのか。その二点について、きょうは基本的なことだけ聞いておきましょう。お答えがあれば外務大臣でもどっちでもいい。
  56. 萩次郎

    ○萩政府委員 那覇港湾施設移設問題につきましては、SACO十一案件の中でも普天間に次ぐ大変重要な案件でございます。この件について、先生おっしゃられましたように、昨今、沖縄県、浦添市、地元においていろいろな動きがあるという点について聞き及んでおります。SACOの案件を実施するためには大変前向きな動きではないかというふうに感じております。  それで、今後どうなるかという問題になるわけでございますが、先生十分御承知のとおりに、現在決まっておりますのは平成七年の日米合同委員会の合意だけでありまして、その後具体的な中身はまだ一切検討されておりません。  したがいまして、この那覇港湾施設移設問題につきましては、地元においても依然として賛否両論もございますようですし、先生がおっしゃられた条件がいかようなものであるか、この辺もまだ確と定まったものではないというふうに承知しておりますので、ありていに申し上げれば、ここでは地元動きを見守らせていただきたいということに尽きるわけでございます。それに応じて、私どもの方でも地元とも十分協議をし、具体化してくる段階になりますれば米軍それから政府部内等と十分な検討をすることが必要になろうかというふうに考えております。
  57. 上原康助

    ○上原委員 いずれにしましても、これはそう簡単にいく課題ではない。だが、変化が出てきていることは事実。それを、政府がどれだけ誠意を持って地元協力を求める姿勢を示すかによるのだと私は思う。その面では、SACOは根本的に見直さなければいかぬと私は思う。  普天間は、海上基地はみんな反対ですよ。だから、今の軍港移転について、外務大臣としてはどういうふうにやっていかれますか。一言でいいですから、御決意でもあればお聞かせください。
  58. 高村正彦

    高村国務大臣 基本的には、政府としては、SACO最終報告の内容の着実な実施が沖縄県民方々の御負担を一歩一歩軽減する最も確実な道であると考えておりまして、今後とも沖縄県民方々の御理解と御協力をいただきたいということでありますが、いろいろな問題について、県内においてどのような議論がなされていくのか関心を持って見守りつつ、真摯に取り組んでいきたいと思っております。
  59. 上原康助

    ○上原委員 ちょっと歯切れが悪いですが、きょうはけさからいろいろやっているから、この程度にします。  最後に、あと二分ぐらいありますか、失業雇用問題、これは大変深刻な事態。  本来ですと、沖振法にちゃんと、三十八条、第六章にあるのですよ。九・二%というのは、大臣、総務庁長官も含めて、これは深刻な事態ですよ。  政府も総合雇用対策を経済改革を含めてやっていらっしゃるけれども、やはり沖縄の失業雇用問題については、もっと政府が県とタイアップして、率先して緊急政策を打ち出すべきだと私は思うのですが、これについて、御意見、御所見があればお聞かせを願って、終わりたいと思います。
  60. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 沖縄県におきます雇用情勢は、先生御指摘のように、大変厳しいと私どもも考えております。  このための対策といたしまして、現在、緊急雇用開発プログラムに基づきまして、沖縄地域の資源を活用した事業を進める中で、若年者の雇用開発を行っていただく場合に、それに対する三年間にわたります賃金助成をするというふうな事業を始めておりますが、この助成率を三分の一から二分の一に引き上げ、若年者の方々の雇い入れを促進いたしているところでございます。  また、あわせまして、沖縄全県を雇用機会増大促進地域に指定をいたしまして地域雇用開発助成金の対象といたしておりますが、これにつきましても、助成率を引き上げまして、この中で雇用開発をしていただいた場合に、これに対する賃金助成を行うことによって対策を進めております。これらにつきまして、人数は少ないわけですが、従来に比べますと倍くらいの人数がこの制度の対象となっております。  今後とも、沖縄県といろいろ御相談をしながら対応してまいりたいというふうに思います。
  61. 上原康助

    ○上原委員 時間が来ましたから、ぜひしっかり進めていただきますように御要望を申し上げて、終わりたいと思います。
  62. 五島正規

    五島委員長 白保台一君。
  63. 白保台一

    ○白保委員 井上長官は、このたび二回目の御就任でございまして、大変御苦労さまでございます。  長官の就任のごあいさつあるいはインタビュー等を見ておりまして、長官は、振興策をしっかりと進めていかなければならない、基地問題がいろいろとある、だけれども、このことはこのこととして、沖縄の振興策はとめてはならないということを一貫してお話しになっておられるというふうに私自身は受けとめています。  同時に、この振興策のために、先ほども御答弁にもありましたが、抜本的なといいますか、特別的なそういう制度のもとで推進していかなければならないというようなことも言われたように記憶しておるわけでございますが、いずれにいたしましても、そういう振興策をしっかりと進めていくという、長官としての責務という問題を明確にされて臨んでおられる、こんなふうに私は受けとめておるわけでございます。先ほども質問にあったかと思いますが、前回御就任なされて、そしてまた今回、九年ぐらい間がありましたか、今度就任されて、前回と今回と比較されて、どのような現状認識をお持ちなのか、まずそのことをお聞きしたいと思います。
  64. 井上吉夫

    井上国務大臣 私の前回、平成元年の大臣就任は二カ月ちょっとでございましたから、大臣になったといっても、先ほど上原先生から、おまえが言うようにはなかなか動かぬよというお話がありました。上原先生も大臣をやられたので、ましてや地元でありますから、ついついそんな感じを持たれるかもしれません。  私は、大臣として九年ぶりに行ってみました。そして、今度は特別自由貿易地域というのをぜひ見たいなと。いつもだと、那覇に入って開発庁に行って、そして南部戦跡を回って、第一回はそういう手順で回ってということでしたが、今度は、中城湾に新しい特別自由貿易地域として整備がされつつある港湾はどうしても見たい、それから普天間基地も見たい、そして、那覇の新しい都市開発地域、ここだけはまず見ておきたい、そして、沖縄の全体像の中の中心の部分をつかんでおきたいなという感じで参りました。  正直言いまして、私は、あの中城湾の新しい特別自由貿易地域は、既にその隣にずっと地元企業が張りついて、しかもすばらしい町になっておりますし、残された百ヘクタール余りの特別自由貿易地域というのは、今は景気が悪うございますから、すぐにはなかなか、新しい企業が張りつくというのは、黙っていたのでは来ないかもしれませんが、少し景気の模様が変わったりどこかがいい企業を見つけて引っ張ってくれば、その後はおれもおれもということで、間もなく土地の狭さを感じるくらいになることも決して不可能ではないな、そんな感じすらしました。  そういう意味では、私は、九年前とは随分、いい意味で沖縄は島全体として活気が出たな、町もよくなったなと。すべてを見て回っているわけではありませんので、次の機会には私は北部を回りたいな、そして、その後またできるだけ早く見て回りたいと思っていますが、あれやこれや考えますと、前と違っている点は、とりわけ基地問題が九年前とは随分問題の取り上げられ方が違ってきている。それは、政府もそういう意味ではこの問題の大事さというのを非常に強く認識をして、沖縄問題を小渕内閣の大事な課題として取り組む必要があるということを指示を受けましたし、私もそのとおり感じております。  新しい対策を含めて、これから先、沖縄の振興対策というのはかなりやりようによっては伸ばせるのではないのかな、少し長くなりましたが、そんな感じを持っています。
  65. 白保台一

    ○白保委員 先ほどから、前に質問された両先輩の皆さん方からもさまざまな質問がございましたが、そういった中で、またもとに戻るのですが、長官が就任されたときに、一国二制度的というふうにおっしゃったのか、あるいは特別な制度というふうにおっしゃったのか、その辺はちょっと定かではありませんけれども、そういうふうな表現で、新しい沖縄の振興策みたいなことを描いておられるようなインタビューであったというふうに私は記憶しております。  その辺をどういうふうに長官自身が頭の中で描いておられて発言されたのか、それをお聞きしたいなと思っているのですが、いかがでしょう。
  66. 井上吉夫

    井上国務大臣 恐らく委員期待しておられるような、全くユニークな物の考え方、なるほどこういう考え方もあるのかなというほどのものはありません。  しかし、今までなかった部分としての新しい立法によってこれから走り出すわけですから、本当に県民全体がこれを足がかりにしてうんと伸ばすよという意気込みを持っていけば、職業の構造的組み合わせも含めて、今までとは相当違った形の沖縄県ができ上がるのではないのか。したがって、現在の制度を最大限に活用しながら、できた仕組みをできるだけ早く着実に生かしていくということを伸ばしていきたいと思っています。
  67. 白保台一

    ○白保委員 先ほど雇用失業の話が出ておりましたが、十月二日に発表されました県内八月の失業率は九・二%。これは、御存じのように、海洋博後の不況で一九七七年五月に記録した七・九%、それからことし五月の八・二%をともに上回って、一九五一年に統計の調査を開始して以来過去最悪を記録した、こういうことになっています。  そして、全国でも男女ともに過去最悪の四・三%というふうに更新をしているわけでございますが、総務庁は、全国的には、建設業と製造業を中心に業績悪化によるリストラが進んでいるためだというふうに分析をしておるわけであります。  ただ、沖縄県内の失業率の高さは若干内容が違っておりまして、私も実は、四月に七・二%を記録したものですから、これは大変だということで、県の商工労働部や那覇のハローワーク、そういったところをずっと調査して、あるいは聞き取りをしたりしてまいりました。  そういった中でわかることは、要するに沖縄の特徴は、県外からの求人が県内求人を上回るという状況が非常に続いています。そういう中で全国的な不況が続きますと、県外求人ががくっと減ってくるわけですね。したがって、全国的な不況というものがそのまま県内失業率に、ふだんから全国的な平均から見ると相当高い失業率がずっと恒常的に続いておりますから、そこに全国の不況のために県外求人率が下がりますと、その分だけ上にかぶさってくる。こういう状況というのが特徴的に挙げられます。  何もそれだけではありません。御主人の会社の業績が悪いために、それでは奥さんも働きましょうかといって新たに働き出す、こういった新たな人たちもおりますから、そういったことも含めていくといろいろなことがありますが、特徴的に申し上げますとそういう状況です。  したがって、県の方も、こういう状況等を踏まえて、六月や九月の定例県議会で補正予算を組んで、でき得る限り公共事業を多く進めていくということで推し進めてやってきているわけでございます。  先般も長官は国の事業の契約率の問題等に言及なされておりますが、そういったことを踏まえて、こういう非常に失業率が高い状況の中で県内経済をきちっと支えていかなければいけませんから、国として、あるいは開発庁としてどういうふうにこういった部分について対応されるのか、その辺のことについて伺いたいと思います。
  68. 井上吉夫

    井上国務大臣 全国的な失業率に比べての沖縄における高さは、確かに数字でおっしゃるとおりでありますから、私も、どこをどうやればいいのか。開発庁としてすぐにやれることということになりますと、予算化された公共事業をできるだけ早く発注して仕事の場をすぐに起こせよ、このことは実はこの前から何遍か、口を酸っぱくするほど言っています。しかし、そのほかに一体どういう手段、方法があるのかなということになりますと、私の頭の中ではなかなか浮かびません。  したがって、県とも御相談をしながら、どうやればいいのか。少し長い目で見れば、今申し上げましたようなもろもろの新しい制度を活用して仕事の場をどうつくっていくかということになっていくと思いますが、それぞれの県、地域における雇用に対する問題の解決の手段というのはやはり、地域性もありますので、数字だけですぐこういうことでということでは助けにならぬと思いますので、とにかくこの状況をどう脱却するかということについては、開発庁も、おれの方は国の出先、あなた方は県ですから独自に一番中心におやりなさいじゃなくて、一緒になって方法を考える、そういう関係を今まで以上に密接にやっていくということぐらいしか私の頭の中には浮かびませんので、お答え申し上げます。
  69. 白保台一

    ○白保委員 今長官おっしゃったように、国、県一体となってこの厳しい状況をぜひ乗り越えていかなきゃいけませんので、県の方も六月、九月の補正予算で前向きに取り組みを始めましたので、国の方も積極的にやっていただきたい。このことをまず申し上げて、次の問題に移りたいと思います。  そういう中で、観光関係は、先ほどもお話もございましたが、大変好調のような状況にあります。内容は、細かく言うといろいろなことはありますが、入域旅行客ですね、そういった方たちの数もだんだんにふえております。  昨年の統計を運輸省が出しておりますが、航空旅客動向というのがございます。これは、一九九七年度に沖縄の空港を利用した国内線の旅客数は、前年度に比較して九・二%ふえて七百九十二万人。全国平均は四・二%ですから、倍以上の空港利用数の伸び率があるわけですね。極めて好調である。  これは、その要因として運輸省も言っておりますが、官民一体となった努力の成果だと。当然、官民一体となって努力したからそういった結果が出てきたんだろうと思いますが、そういった中でも特に、航空運賃を東京−沖縄往復で八千円低減するという状況が大きな要素として挙げられます。あるいはまた、朝の早い便だとか夜の遅い便、それを低減するとか、あるいはまた安いツアーが随分と多く出ているとか、そしてまた地元においてはいろいろなイベントをやって、「大琉球・まつり王国」そういったものをやったりなどして誘客に努めておるとか、さまざまな努力の結果としてなっておるわけです。  特に、最近の傾向としては、沖縄本島や宮古島がプロ野球のキャンプ地になっておるとか、また石垣島がJリーグのキャンプ地だとか、そういったことでスポーツアイランド的な方向性も出始めていますし、文化交流が非常に盛んになっておるということで、今上がってきているのは、やはり一層航空運賃の低減が必要である。それによって多くの人たちが交流できるし、長官先ほどからおっしゃっているように、非常に特質のある島ですから、そういったものを生かすためにもこの辺の問題が一番重要であるというふうな声が高くなっているわけでございますね。  したがって、運輸省、昨年もいろいろと公租公課の問題等も議論ありましたが、一層の努力が必要ですが、今考えられる低減の問題としてはどのように考えられるでしょうか。
  70. 岩村敬

    ○岩村政府委員 航空運賃につきましては、これまでも、例えば幅運賃制度を導入するとか、割引運賃制度を設定する際にそれを容易化する、すなわち、一々認可で縛るのではなくてそれを容易にできるようにする、そういった形で規制緩和を進めてまいりました。それからさらに、来年度には需給調整規則、そもそも参入について自由化を図るということまで進めていく、そういうプログラムで今進んでおります。こうした規制緩和の推進が、一つは運賃の低廉化、さらには利用者利便の向上というものにつながっているのだろうと思います。  それからさらに、今先生から御指摘ございましたように、沖縄振興策の一環といたしまして、昨年、本土−沖縄間の航空運賃を下げるという目的で、いわゆる空港使用料等の軽減措置を講じました。その結果といたしまして、先ほど先生の方から、九年度の航空旅客が、沖縄の路線が全国に比べて伸びておるという、そんな効果も出ております。そういうことで、さらに使用料については、二種A空港といいますが、国の管理しておる地方の空港につきまして着陸料を、沖縄ほどは今回は下げる余裕がございませんが、現行の三分の二に下げる、こういった案を現在十一年度の概算要求という形で政府の中でもんでおるところでございます。  そういう意味で、今後とも旅客利便の向上のために努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  71. 白保台一

    ○白保委員 この辺の問題は、沖縄のこれからの観光立県としての立場で極めて重要な問題でございますので、一層の研究をぜひ要望したいと思います。  そこで、ことし沖振法改正をやって、先ほどから長官からお話がありますように、特別自由貿易地域の問題、そしてまた観光振興地域の問題、そして情報通信産業の問題、こういったものが大きな柱であったわけでございます。せんだって沖縄県が、情報通信産業の問題でマルチメディアのアイランド構想をまとめました。これは、私も何度かここで質問をしておるわけでございますが、情報通信産業については極めて重要な問題で、非常な勢いでもって今伸びておるわけでございますけれども、特に沖縄地域性を生かして、アジアへ大きく伸びていく情報通信のハブ化を目指してやっております。  最近まとめ上げられたその構想においては、二万四千五百人でしょうか、雇用効果が見込めるということで、大きな構想になっておるわけでございますが、特に若年層の失業者が多いことでございますから、こういった問題がきちっと実現していくならばかなりの雇用効果も期待できるな、こう思っているところでございます。  それで、郵政省の方にお聞きしたいと思いますけれども、沖縄県が今度まとめたこのマルチメディアアイランド構想についての政府としての評価と見通し、そして国としてはどういうふうな形で関与していくのか、このことについてお聞きしたいと思います。
  72. 金澤薫

    ○金澤政府委員 お答え申し上げます。  沖縄県におきましてお話がございました沖縄マルチメディアアイランド構想を取りまとめたということは承知しております。これは、情報通信産業の集積、人材育成、研究開発、それから先進的アプリケーション、これらの事柄について網羅的に整理した、報告書としては非常に私どもとして評価しているものでございます。  郵政省といたしまして、現在、沖縄をアジア太平洋地域における情報通信ハブとして形成いたしますために、沖縄マルチメディア特区構想という構想を推進しているところでございます。  具体的に申し上げますと、共同利用型の研究開発施設整備して、地元の企業や大学、研究者等に開放いたします沖縄情報通信研究開発支援センターというものを設けました。それから、通信・放送機構が地元の大学と連携いたしまして、高度通信技術やGIS関連技術の研究開発を実施いたします沖縄リサーチセンターを整備したところでございます。さらには、NTTの一〇四番の番号案内センターを初めとする情報通信関連産業の誘致を支援するための施設といたしまして、名護市にマルチメディア館というものを整備いたしました。それから、名桜大学構内の多目的ホールに衛星を利用した遠隔講義等の学習システムを整備いたします名護市マルチメディア人材育成システムというものも設置したところでございます。  このように、郵政省として沖縄県の情報化に従来からも努力してきているところでございますし、今後とも努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。  さらに、沖縄県の沖縄マルチメディアアイランド構想についてでございますけれども、これにつきましては、沖縄県からこの構想に基づきましてさまざまなプロジェクトの御相談があるかと思いますが、その御相談があった場合に、その内容、効果、実現性等について検討した上で、適切に対応してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  73. 白保台一

    ○白保委員 マルチメディアの問題については、期待が非常に大きいだけに、しっかりと取り組んでいかなければならない、また、政府の方もしっかりかかわっていただきたいと思っております。私自身は、さまざまな問題等にかんがみて、実際にこれを実現していくためには果たしてこれでいいのかという部分もありますし、現実問題として、私どもは、これからこの問題について本気になって取り組んでいかなければ、期待ばかり大きくして実現が難しかったなどとなったら大変なことですから、この辺についても政府の方もしっかりとかかわっていただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。  最後になりましたが、外務大臣、せっかくおいででございますので、先ほどから出ております女子高生の米海兵隊員によるところのひき逃げ事件の問題でございますが、私も九日の日に浦添市にあります米総領事館に行ってまいりました。総領事はちょうどAPECの経済閣僚会議でそちらの方に行ってお留守でございましたが、副総領事にじっくりと、抗議をしてまいったわけでございますが、時間をかけてお話をしました。  その際に、やはり私どもが申し上げたいことは、何といっても酒気帯びで、酒を飲んでぶつけて、転倒しているところを見てそのまま逃げていく、こういうことはあってはならない、人間として最悪の行為ですから、これは絶対に許すことはできない、大変悪質だということで抗議をしましたところ、とにかくこれはもう弁解の余地はない、申しわけないと一生懸命謝罪しておりましたが、引き渡しの問題について話が出てきますと、どんなことでも協力いたします、二十四時間捜査をするなら二十四時間捜査にも協力いたします、何でも協力しますがこれはできませんということで、かたくなに拒否をされていました。  確かに、今回は大変協力的で、先ほど局長からでしたか答弁がありましたように、内容的にはかなり協力的、そしてまた内容も明確であったということでこういう形になったと思うのですが、そこで県民感情が許さない、これは何かといえば、これは悪質なんです。極めて悪質だと思うのです。  この運用面で、凶悪なもの、そういったものがあって、殺人だとかあるいはまた婦女暴行だとか、こういった凶悪なというふうなことが言われるわけですけれども、それじゃ凶悪というのは何だと。前も、九六年七月ですか、長崎で女性が首を切られた。この場合には直ちに引き渡された、こちらの方で拘束したということに対しては、これは故意であったからという話ですけれども、それじゃ、このひき逃げして、倒れているのを見ていてそのまま逃げたというのは何なんだと。同じ重体です。そこでどう違うのかと。人間の命に差異はないわけですから、みんな大事なんですから。そういう面で、その違いがはっきりしない。  やはり十六条の、きちっとその国の法令を尊重する、このことを基本に置いてやっていかないと、県民気持ちは納得いきがたい。この二つは、長崎県の場合と今度の場合とどう違うのか、この説明がつかないのです。大臣、いかがでしょうか。
  74. 高村正彦

    高村国務大臣 「殺人又は強姦という凶悪な犯罪」、こういうふうに文章でなっているわけであります。そして、第二文では「その他の特定の場合」というのがあるわけで、その佐世保の事件は、おっしゃったように強盗殺人未遂事件でありまして、首をばっと切ってショルダーバッグをひったくったというわけであります。今度の事件は、酒を飲んでひき逃げしたという事件であります。悪質なことには変わりないじゃないかと。いろいろな見方があると思いますが、確かにこれも大変悪質な事件です。  どこが違うかといえば、それは捜査の必要性だったと思います。先ほど刑事局長答弁されたように、今度の場合は、まさに実況見分にも被疑者自身が立ち会い、被疑者が取り調べに全部応じる、そして当初から自白をしている。そういう中で、現実にかなり早い時期に起訴もできた。捜査の必要から必ずしもなかったということなんだろうと思います。  そして、前の事件については、凶器を捨てちゃうとか殺意を否認するとか、そういうまさに徹底して取り調べないと事実がわからない、だから捜査上どうしても必要だと、捜査当局から、ぜひ引き渡しを求めてくれ、こういう要請があって外務省としてもした、こういうことがあったわけであります。  今度の場合は、確かに当初逮捕状を執行しようとして断られていますが、その後の米軍側の協力状況、そして証拠もしっかりしている、被疑者もすべてを自白している。こういう状況の中で、恐らく捜査当局地位協定あるいはその取り扱い等によって身柄の引き渡しを求める必要がないと判断されたのだろう、こういうふうに思っております。
  75. 白保台一

    ○白保委員 いろいろと御説明がございましたが、しかし県民感情としてみれば、今の大切さにおいては、結果論として両方とも重体ですから。こういう状況を考えたときに、やはりこの辺はしっかりとこちらの方も、県民が納得いくような、そういう形をこれからとっていってもらわないといけないというのがみんなの気持ちです。  先ほどもう既に上原先生から地位協定の問題等議論がございましたので、時間がありませんのでやめますが、なお私はこの問題については、今回のことは納得のいかない、そういう状況であるということを申し上げたい、こういうふうに思っております。  最後になりましたが、幾つか通告しておりましたけれども、もう既に時間が参りましたので終わりたいと思いますが、先ほど両先輩の方からもお話がございましたけれども、私、昨日、中川農林水産大臣に、党として、沖縄、鹿児島の農業とサトウキビの問題について申し入れをしてまいりました。いよいよ大事な時期になってまいりましたが、長官を先頭に、ぜひ両県のサトウキビの問題等、しっかりとした、きちっとした、納得のいく、そういう結果が出るように御努力要請しまして、質問を終わります。  以上でございます。
  76. 五島正規

    五島委員長 鰐淵俊之君。
  77. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 私は、自由党の鰐淵でございます。本日は大変御苦労さまでございました。  私は、北方領土返還問題に関しまして御質問いたしたいと思います。  御案内のとおり、本問題は、戦後半世紀を過ぎて、なおかつ国民の悲願としていまだに解決を見ない問題でございます。沖縄返還のときには、佐藤栄作元首相が、沖縄返還なくして戦後は終わらない、そういう有名な言葉を述べました。しかし、私どもは、北方領土の返還なくしてまだ戦後は終わっておらない、時あたかも半世紀を過ぎてもまだ終わっていないというのが率直な気持ちでございます。  しかしながら、先輩の幾多の今日までのその問題の解決のための努力というものがありまして、紆余曲折がありましたけれども、昨年あたりから、昨年の十一月、クラスノヤルスクにおきまして、橋本・エリツィン会談ということによりまして、今世紀の問題は今世紀に解決しようということで、平和条約の締結という問題について、前向きにひとつこの問題を進展していく、東京宣言に基づいてこういう合意を見ているということにおいて、長年北方領土返還に携わった方々、あるいはまた多くの国民もそこに大きな希望、期待を持ったのは事実でございます。しかも、その後におきます川奈会談におきましても全くそうでございますし、外務省のペーパーをいろいろ送っていただいておりますが、つい先日までのそれを見ても、非常に見通しの持てる、そういうペーパーが続々と舞い込んできまして、私も本当に期待をいたしておりました。  しかしながら、つい最近、いろいろな情報をトータル的に考えてみますと、果たしてこの問題は、かつて、つい先日まで政府やモスクワ、いわゆるロシアが言っているようなことになるであろうかという一抹の不安が起きてきたわけであります。  それは、御案内のとおり、いわゆるロシアの経済が非常に悪くなったということが一つ。二つ目は、エリツィンさんの健康問題が非常に大きな問題になってきたということ。三つ目は、ロシアの政府の要人が次々と発言する内容においては、二〇〇〇年までに平和条約を締結しようということを急ぐ必要はない、何もそれにこだわることはないのだ、こういうような御発言。あるいはイワノフ外相にしてもそうですし、最近は、ロシュコフ第二アジア局長でしょうか、この方の言っていることが新聞に出ておりますけれども、この方の話では、全く何か二〇〇〇年で平和条約を締結しようということに水を差すような発言をしている。どうも、ロシアの動きがだんだん我々の期待と裏腹な状況になっているということを私どもは懸念しているわけであります。  したがいまして、この北方領土問題につきまして、高村外務大臣の今後の見通し。例えば、外務大臣が訪ロされる予定だと伺っておりますし、その後は総理大臣も行かれる、こういうことでございますから、地ならしをされて、総理が行かれて、一定の成果を見なければ、一体日本の外交は何だというぐあいに言われるわけでございますので、その点の見通しと今後の推移、あるいは現在の状況、こういったことについて端的にまとめて御答弁いただければ幸いだと思います。
  78. 高村正彦

    高村国務大臣 領土問題につきましては、御指摘のように、東京宣言に基づき二〇〇〇年までに平和条約を締結すべく全力を尽くすとの昨年十一月のクラスノヤルスクの両国首脳の合意に従って、日ロ双方の間で交渉が進められているところであります。本年四月の川奈における日ロ首脳会談においては、平和条約が、東京宣言第二項に基づいて四島の帰属の問題を解決することを内容とすることで一致しているところであります。  今後、日ロ間では、近々行われる私の訪ロ、十一月の小渕総理の公式訪ロ、来年のエリツィン大統領の公式訪日等、ハイレベルの間断なき対話が予定されており、政府としては、あらゆる分野で両国関係を進展させつつ、クラスノヤルスク及び川奈合意の実現に向けて引き続き全力を挙げて努力していく考えであります。  今委員指摘のように、いろいろ状況が動いておりますが、当初からそんな易しいことをやろうとしているわけではないので、大変なことに取りかかっているわけでありますから、楽観もしなければ悲観もしないということで、何とか実現するように最善を尽くしてまいりたい、こういうふうに思っています。
  79. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 大臣の発言はそういうことに相なろうかと思いますが、私も、釧路という町に住んでおりまして、かつてロシアにも行ったことがございますし、ロシアの方々とは随分いろいろ知り合いもございます。したがって、ビザなし渡航その他でも随分島と交流もしたり、お互いに友情を温めたり、民間サイドではそういう交流もかなり深まっておるというような実情でございますが、事北方領土問題になりますと、そういう方々も口がかたくなりますし、そういう問題についてはなかなか胸襟を開いていただけないというのが私の体験でございます。  したがって、大臣が今申されたとおり、この問題は非常に難しいけれども、しかし我々のあの北方領土は私どもの持っている主権である、したがって日本の主権にかけてこの問題を解決するという、やはり為政者、いわゆる政府としては不退転の気持ちを持って、日本の世論をバックにして、あるいは世界の世論もバックにして、この問題を解決していかなければならない、私はこのように思うわけでございまして、今の発言の中では、ひとつ粛々と今までの行程を進めていく、しかしそれは厳しいものもあるというぐあいにおっしゃっておりますが、私の、予感と言ったらおかしいですが、一つの推測としては、どうも交渉の時期としてはかなり厳しい交渉になるのではないか、私はそのように懸念をいたしております。  それは、先ほど申し上げましたとおり、エリツィンさんの個人的な健康問題も、新聞等で私は知る限りでございますが、かなり長い交渉なりあるいはまたしっかりとした交渉の中で果たしてやっていけるのかどうかという問題、それからロシアの経済が余りにも悪過ぎるという状況、それから今言ったロシアのいろいろな要人の方々は、この日ロの平和条約の締結の道程について必ずしも全面的な賛成のもとにやっておらないというのが発言の節々から見えるわけでございます。  例えばプリマコフ前外相、今度この方は首相になられましたが、この方はどちらかというと、国会演説等で聞く限りは、ロシアの主権を損なわない、そういう形で解決を見出す、ということは北方四島の主権はロシアにあるのだ、こういう意味での解決ということになると、まるっきり日本と裏腹だと私は思います。どこに接点があるか。全く接点を見出せないような発言もなさっている。  あるいは、イワノフ氏においても、この問題は非常に複雑で微妙な問題だ、したがってこの解決は何も二〇〇〇年という期限を切って追い立てるようにする必要はないのだという問題。  それから、政治的にも、共産党方々、保守的な方々がいるわけでございますが、どうもそういう方々の発言権も強くなっている。  そういった客観情勢を外務大臣としてはどのように見られておるか、その点についてお答えいただければと思います。
  80. 高村正彦

    高村国務大臣 今御指摘になった報道の内容については私も一応承知をしておりますが、報道を通じて伝えられる個々の発言に私の立場で逐一コメントすることは余り適当でないというふうに思っています。  日ロ間の平和条約締結交渉については、日ロ双方における内閣の交代にもかかわらず、クラスノヤルスク合意の実質的前進及びそのための作業の加速化を図ることで日ロ双方が一致しているわけであります。国連総会の際の日ロ外相会談においても、イワノフ外相自身が、クラスノヤルスク及び川奈の合意をはっきりと私に対して確認をいたしました。  政府としては、近々行われる私の訪ロ、十一月の小渕総理の訪ロを通じ、あらゆる分野で日ロ関係を進展させつつ、東京宣言に基づき二〇〇〇年までに平和条約を締結するべく全力を傾注していきたい、こういうことを考えているわけであります。
  81. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 公式な外務大臣の発言としましては、そういった型どおりの答弁にならざるを得ないと思いますし、外交問題ですから相手もあることです。  しかし、私のこれまでのロシアの方々との体験からは、日本の常識といいますか、あるいはまたロシアの考えというのとは相当違っておりますから、私どもの期待は、今度外務大臣が訪ロされるという中で、過去川奈会談に至るまでの基本的な合意を速やかに実行できる、そして今世紀の問題はやはり今世紀で決着をする、こういった合意をぜひ生かしていただきたいと私は念願をするわけでございます。  そのためには、やはり相当な不退転の気持ちといいましょうか、何が何でもこの外交をやり抜けるというような、強固な外交手段といいましょうか、気持ちといいましょうか、交渉といいましょうか、そういうものが私は絶対不可欠だと思います。途中であきらめたり、難しいからといって投げ出すようではならないのであります。  あくまでも北方四島は占有されているわけですね。もう半世紀以上も占有されている。こういったのは世界でも、少しの例はあるようでございますが、やはり日本は顕著な例だと思います。しかし、沖縄、小笠原は平和的にアメリカから返ってきたわけでございますが、やはりロシアの方も、できればひとつ平和的にお互いの良心に従って合意でき得れば非常に幸いだと思うわけでございまして、これからロシアへ行かれるわけでございますが、その辺の決意のほどをひとつお示しいただければと思います。
  82. 高村正彦

    高村国務大臣 おっしゃるように、今世紀起こったことですから今世紀中に解決したいという強い意欲を持って、全力を尽くしてやってまいりたい、こう思っております。  相手方は時々いろいろ言っていますけれども、法と正義に基づいてあの島の主権はこちらにあるということでありますから、いやしくも、解決に当たってその基本的なことを放棄するというようなことは絶対にありません。
  83. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 私は、ロシアとのいろいろな領土問題を抱えている国も何度か行ったことがございます。北欧のフィンランドその他、ノルウェー。いろいろな意味で、北極圏のところでやはり領土問題を抱えている。割合と私どもの話は聞いていただけますが、イギリスの外交関係の研究所も行かせていただきましたし、また国連にも行かせてもらいました。あるいは国務省にも行きましたが、やはり何といっても、この問題はヤルタ会談という、当時のアメリカ、イギリス、そして中国も入るでしょうが、ヤルタ会談は別ですが、そういう国々がタッチしていたわけでございますから、やはりそういう国々の方にも相当な協力をいただかなくてはならない、私はそう思うわけであります。  日本といたしましては、そういった国々に対してもっともっと積極的なアプローチをかけるべきだと思いますが、その辺の御努力はどんな形で外務省はなさっておるのでしょうか。
  84. 西村六善

    ○西村(六)政府委員 この問題につきまして諸外国の協力を得るべきであるという御指摘でございますが、もとよりこの問題の本質につきまして、ただいま外務大臣が申されましたように、法と正義に基づきまして我が国に主権があるわけでございまして、その点につきまして諸外国の理解を求めることは、既にこの問題が発生しました当初から引き続きまして行われておるところでございまして、多くの国におきましては、そのような我が国立場に理解を示しているというのが現状でございます。  今後、引き続き同じようなことをやっていかなければいけないと思いますけれども、同時に、この問題は我が国とロシアの二国間で解決されるべき問題でございますので、その基本的な立場のもとで、さような外交、諸外国の理解を得る、協力を得るということをしていかなければいけない、そういうふうに考えている次第でございます。
  85. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 それでは、この問題につきましてはほぼ終わりの方になるわけでありますが、私どもの立場としては、とにかく高村外務大臣に頑張っていただきたいということですね。  訪ロをされたときに、過去に合意を見たことについて、やはりお互いに信頼関係を持ちつつ、二〇〇〇年の平和条約締結ということは、これは国民の悲願でもあるし、それが基本的な我々の外交の課題、いわゆる北方四島の主権というものをいかにその中で解決していくか、非常に難しい課題でありますが、しかし、これは日本にとっての外交としては、今の外交案件として最大の案件だと私は考えます。それだけに、命をかけてもやるべき課題だ、解決する課題だ、このように思いますので、ぜひひとつ頑張って交渉に臨んでいただいて、ぜひひとつ総理が行かれたときにはまた一定の進展を見れるように、私ども心から期待をいたす次第でございます。  それでは、次は総務庁の太田長官の方に。特に北方領土の世論喚起といった点については、総務庁長官の所管だと思います。  かつて武藤長官が私の質問に対しまして、確かにどうも世論の喚起がちょっとマンネリ化しつつあるのではないかということを反省し、もっと積極的にやっていきたい、こういう回答がございまして、ビデオをつくったりパンフレットをつくったり、そんなことで東京あるいは都道府県で一年に一回ぐらいやって気勢を上げるということではなくて、北海道の根室とか、私どもは近いですからしょっちゅうそういう問題についてやっておるわけですが、これだけ今期最大の外交案件であるにかかわらず、どうもまだ一般の国民の目が、北方領土を何としても返せという気概に欠けているのです。気概に欠けるということは、どうも学校の教育にしてもそうですし、一般の国民にとりましても、せっかく大臣が訪ロされる、訪ロされたら頑張っていけという、サポートですね。サッカーのようなサポーターですよ。それ以上のものがなければだめなのですね。日本の外交を本当に成功させるためには、日本人がみんなそういうサポーターにならなければいかぬ。その役が、太田大臣の所管する官庁なわけであります。  それで、今までいろいろ私は聞いておりますが、いまだにまだどうもひとつパンチ力がない、こういった点について、まず長官の御意見をいただければと思います。
  86. 太田誠一

    ○太田国務大臣 今、それこそ外務大臣が、これからいよいよ、今委員がおっしゃるここ一番という場面に乗り出していかれるわけでございます。それに比して、国内の方のサポーターのオーガナイザーはどうかということでございます。  私は、総務庁の長官に就任をいたしましたときに、もう一回、一体これは何であるのかということを考え直してみたわけですね。そうしますと、平和な時代に血を流さずに領土の国境線を変えるということは大変なことでございますので、それは普通はない。今委員はいろいろなことを、明るい希望を常に持ってこられたわけでございますけれども、普通はなかなかできないことだと思います。ただ、我が国の歴史でいえば、沖縄については、それが日米安保条約や、また友好的な関係があったこともあって、奇跡のようなことが実現をしたわけであります。  ロシアとの関係というのは、アメリカとは違って、基本的には、長い戦後の歴史を見れば友好的でなかったわけでございますから、その中で、ロシアの指導者と我が国の指導者の個人的な信頼関係からそれを積み上げていくということも、これもまことに簡単な話であるはずがないわけであります。普通は血を流さなくちゃ領土を取り戻すのはできるはずがないわけで、世界じゅう、かつて侵略をされたままで一つの国の領土になったままという国は、例えばイギリスなどもそうでありますし、そういうところにいけば、考えれば考えるほど本当にこんなことは大変だと思います。  そこを支えるのが粘り強い運動でございますので、今総務庁がやっております、二千ぐらいの学校にアニメやビデオを配る、それから毎年相当数の署名をとって、もうそろそろ七千万になろうとしているということは、地道な運動はよくやっているというふうに私は思いますし、また、そのようなことをこれから続けていくべきと思うのですね。それが話題になるということが大事だろうと思います。だから、一工夫も二工夫もして、もっともっと話題になって新聞やテレビに取り上げてもらえるようなことをむしろ考えなくちゃいかぬのじゃないかというふうに思っております。
  87. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 もう余り時間がなくなりましたが、私は長官の気持ちはわかりますが、問題は、領対あたりでいろいろとPRのものをつくって、今ビデオでも学校に出す、あるいは学校の教科書にも載っています、四年生の社会科の下に。私もこれを全部調べて全部見ているのですが、問題は、載っている副読本もある、ビデオも配る、パンフレットも配る、配るだけはそれは配るのですが、それがどう活用されたかということについてのアフターケアなりあるいは進行管理なりがよくできていないのですね、どういうぐあいに使われたか。この辺については、総理府の方の担当の方、どうでしょうか。
  88. 川口雄

    ○川口説明員 ただいま先生からの御指摘にございましたビデオの件でございますけれども、平成九年十一月に配付いたしました。  そして、確かにおっしゃるとおり、配ってそのままではどういう効果があるかわかりませんので、あわせまして、約六千人の生徒を対象にアンケートを行いました。  その結果でございますけれども、北方領土問題に関する知識につきましては、四島の名前を全部正解という方が、ビデオを見る前では四二%、ビデオを見た後七五%に上昇しております。それから、北方領土問題を理解したというのが、ビデオを見た後九三%という結果になってございます。  それから、北方領土への関心でございますけれども、ビデオを見る前は、北方領土に関心があるという生徒は二七%と比較的低うございました。見た後は、北方領土に行きたいとかあるいは機会があれば行きたい、こういう生徒が六〇%ということになっております。  それから、ロシアに対する印象でございますけれども、見る前は、よいとかあるいはどちらかといえばよいが一七%、見た後は五九%ということに上昇しております。それから、これは生徒の反応でございますけれども、教師の方からは、地理とかあるいは公民の授業の中で活用したとかあるいはわかりやすかったというような感想が寄せられまして、ちょっと自画自賛になりますけれども、かなりの啓発効果が上がったというふうに考えております。
  89. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、要はまだ学校教育の現場とかそういうところでは十分な活用がなされていない。私が歩いている限りはそうなんです、実際私は現場を歩いているのですが。ですから、問題は、そういういいものはやはり学校教育の中でも今度は取り入れるということをぜひひとつ文部省の方にも強く、大臣、要請していただきたい、このように思います。  以上、終わります。
  90. 五島正規

    五島委員長 古堅実吉君。
  91. 古堅実吉

    ○古堅委員 最初に、サトウキビ問題についてお伺いしたいと思います。  キビ問題は、決して何か一つを論ずれば済むというものではなくて、多角的に論じ合う、それが大事だと思うのですが、時間もありませんし、また、あしたには価格決定がなされるという事態でもありますので、価格問題を中心にして尋ねさせていただきたいというふうに思います。  このサトウキビについては三次振計でもきちっと位置づけられていまして、基幹作物というふうになっております。しかし、残念ながら、この基幹作物が今や、将来にわたっての明るい展望につなげるという状況がなくて、危機に直面していると言っても過言でないような状況ではないか、こう考えております。  沖縄県における事例をとらえて申しますというと、この十年来の推移では、収穫面積が、一九八八年の二万一千三百九ヘクタール、それが九七年には一万三千八百二十七ヘクタール。また、この十年間の生産量では、一九八八年の百四十三万六千トンから九七年の八十九万一千トンというふうに激減しております。このままの推移を許せば、これはもう将来はありません。こういう事態ですから、製糖工場は原料不足のために経営難に陥って、リストラが始まり、首切り、これが広がっていまして、労働争議、そういう事態も巻き起こっております。  そこで伺いたいのですが、長官は、沖縄担当でいらっしゃると同時に鹿児島の御出身であります。キビ問題については特別の関心をお持ちであろうというふうに思いますが、政府は、こういう危機的な状況下にあるキビづくり農業をどのように受けとめておられるのか、サトウキビはつぶしてはいかぬ、こう真剣に考えられて、その振興策をまじめに進めるおつもりが本当におありかどうか、そのことをしかとお聞きしたいと思います。
  92. 井上吉夫

    井上国務大臣 お説のとおり、あした価格が最終的に決まるわけですが、キビを取り巻く状況を考えますと、どんどん減っているじゃないか、一番の基幹作物だといいながら、どんどん面積も減っているじゃないか、生産量も減っているじゃないか、したがって、製糖工場もだんだん縮減して、従業者もやめていくなり、あるいは合併なりということをしないと生き残れぬじゃないか、キビの方もだが、製糖工場の方も、両方ともだよということをおっしゃいました。まさにそのとおりです。  ただ、しかし、沖縄農業にとって、それではキビ以外に中心になる作物がほかに求められるだろうか。それは、全くないとは言えないでしょう。もっと手間がかからずに換金性の高い品物もあるでしょう。しかし、それに移っていけばなおさらキビ面積が減っていくわけですので、御承知のとおり、沖縄におきますサトウキビは全面積の延べ面積でいって五割を占める、農家でいえば七割です。鹿児島の南西諸島も実は似たり寄ったりです。だから、これ以外の作物は考えられない。  農業全体の問題として、残念ながら、農業全体がこういう形で衰退をしているのが現状でありますので、何とかしなければならないというのは、農家もあるいは地域の行政もひっくるめて一生懸命やっているわけだと私は思います。農業団体もそうです。  だから、この問題をめぐりまして、このところ、連日私のところにも鹿児島からも見えるし、沖縄からも見えています。とりあえずはあしたを目指す価格の問題、その中には関連対策も含めて、最終的に、基本価格プラスいろいろな関連諸対策によって、少なくとも前の年よりも引っ込まない支持価格というものをどんなことがあっても決めてほしいというのが、恐らくあしたを目指す全農業団体や農業者の強力な要請活動として最後の答えに向かうと思います。  私は、既に決まりましたビートなどの推移から見て、実際の農家手取りという面では去年並みで決めてこれるというぐあいに予想をしておりますが、最後の最後まで、私もまた、お話のような立場で、とりあえずこの価格維持について全力を挙げて頑張っていきたいなと思います。  そういう意味では、確かに、本当に先が明るいのかと言われると、こうやればという手だてが、すぐ名案があるわけではありません。しかし、そのほかには考えられないこの地域における農業の主幹作物でありますから、何としても、やはりこのキビ作というのは沖縄にとっては維持していくためのあらゆる努力をしなければならない。  労働力もだんだん、質の面でも人間の面でも減っていきます。その部分をできるだけ機械化によって賄わなければならぬ。機械が駆使できるだけの土地条件整備しなければならぬ。同時に、キビは御承知のとおり水を一番求める作物であります。そのことについても、水問題もあわせて考えるという、あらゆる手だてを講じても、なおかつ、これがどんどん生産が伸びるというめどを先行きとして言うことができないことが大変残念であります。  しかし、何としてもこれだけは残していきたいなという意気込みで、関係者がさらに努力をしていくというぐあいに要請をし、私もこのことに向けてさらに全力を挙げて頑張っていきたいと思っています。
  93. 古堅実吉

    ○古堅委員 実は、十月八日に日本共産党会議員団として農水省をお訪ねして、この問題についても申し入れしてまいりました。対応された審議官は厳しいことばかりをずっと述べられて、深刻だ、深刻だと連発しておられました。これではいかぬというふうな思いを強くして帰ってまいったのですが、いよいよあしたですから、今長官からも努力の方向を示されたわけですが、あえて重ねて要望を含めて申し上げておきたいというふうに思います。  先ほども申し上げましたが、三次振計にきちっと位置づけられたこのサトウキビ、いろいろな事情で厳しい、そういうことがあったにしても、このサトウキビをつぶしてしまっていいのかということが問われる、こういう重大問題がありますので、絶対にそういう方向に、政策的に見過ごすことになってはいかぬ、そういう面できちっと受けとめてやっていただきたいというふうに思います。  長官は、先ほど申し上げましたが、鹿児島の御出身でもありますし、我々も沖縄県と鹿児島両県から要請を強く受けています。私たち、奄美へ行きましても、沖縄と同じような、あるいは部分的には沖縄以上にキビ一色のようなところがございます。徳之島などへ行きますというと本当にそんな感じです。そういう面から、ぜひ両県の切実なそういう要望にこたえていただきたい、こたえなくてはいけない長官としての責務がおありだというふうに、私はあえて申し上げなくてはいかぬなというふうな気持ちがあるわけです。  その上で、価格の引き下げはしない、キビの再生産が可能な農家所得の保証となるような、そういう方向と、そして沖縄県や鹿児島県側から要請されておりますキビと糖業の振興についての幾つもの要望事項があります。こういうことも含めて最善の御努力をしていただきたい。一言御決意を伺わせていただきたいと思います。
  94. 井上吉夫

    井上国務大臣 お話しのとおり、全力を挙げて、サトウキビそのものもだし、サトウキビの工場も守っていく、これは運命共同体でありますので、両方をしっかりにらみながら、これからも元気を出してやっていけるための、全力を挙げての努力をやっていきたいと思います。
  95. 古堅実吉

    ○古堅委員 次に、外務大臣に、何人かの同僚から質問がありました女子高生ひき逃げ事件についてお尋ねしたいと思います。  その問題について、実は十月八日に日本共産党会議員団として大臣にお会いしたいなというふうに思っていたのですが、大変忙しいさなかで、北米局長対応していただきました。我々はその問題を重視して、身柄引き渡しの問題などを含めて強い要望を申し上げて帰りましたけれども、この事件というのは単なる自動車事故じゃありません。乗用車が女子高生のバイクに追突したところから約三十メートルほどのところまでその女子高生ははね飛ばされている。そこからさらに三、四十メートルのところまでオートバイははね飛ばされている。大変な事態が発生しておったのだなというふうなことを思わせます。  きのう届いた新聞を見ますというと、これ見えると思いますけれども、「回復祈り千羽づる」、「病院には家族や親類、友人が夜遅くまで詰め、高校生の回復を祈りながら千羽づるを折っている。」ということで、病院に運ばれたその子は、意識不明のまま生命が危ぶまれるような事態というのが今なお続いているわけです。  その母親は、そういう子を前にして、事故を起こした海兵隊員が現場から逃走せずに娘をちゃんと保護していたらこんな重傷にならずに済んだのにというふうに、日本共産党の代表がその日の晩にお見舞いに行ったときにおっしゃっておったということでの報告がございます。まさに、命にかかわる重大事故を引き起こしながら、この海兵隊員が被害者の命を救う緊急対策もとらずに被害者を見捨てて逃走したという、極めて悪質で人道上絶対に許せない重大事件となっています。  そのことについて、一言、大臣がどう受けとめておられるか、余り長いお話は要しませんので、お伺いしたいと思います。
  96. 高村正彦

    高村国務大臣 大変痛ましい事件であり、また遺憾である、そしてこの被疑者、既に起訴されたのですから被告人ですか、被告人は大変悪質な行為をした、こういうふうに思っております。
  97. 古堅実吉

    ○古堅委員 事故現場を逃走したこの海兵隊員は、これは同僚も一緒に二人乗っておった自動車なわけで、基地内に逃げ込みました。沖縄警察署は、十月八日、逮捕状をとって、米軍身柄引き渡しの同意を求めた。基地司令官は、起訴前引き渡し事案に該当しないとして、日米地位協定を根拠に拒んだのであります。  今回のこの事件というのは、日本側から起訴前の身柄引き渡しの同意を求めることができる事例と考えておるのか、できない事例なのか。地位協定とその運用の改善と言われた日米合意に照らしてお答えいただきたい。
  98. 高村正彦

    高村国務大臣 運用の改定によりまして、この規定の運用の方針として、まず、殺人または強姦という凶悪な犯罪の特定の場合に日本側が行うことがある被疑者起訴前の拘禁移転についてのいかなる要請についても好意的考慮を払うこと、こうなっておりまして、また次に、日本国が考慮されるべきと信ずるその他の特定の場合について日本側が合同委員会において提示することがある特別の見解を十分に考慮すること、こういうふうに規定しているわけであります。  この規定に該当するかしないかということは非常に難しい判断でもあるわけでありますが、捜査当局とすれば、捜査に支障がなかったということで、あえて身柄引き渡しを求めるということを政府内部で提起してこなかったのだろう、こういうふうに思っております。
  99. 古堅実吉

    ○古堅委員 運用の改善などという形で問題は解決しなかったのだというふうなことを裏づけた発言のように思います。  基地に逃げ込んだ悪質な被疑者米兵について、警察は、みずからの手に逮捕状を持ちながらそれを執行することができない。米軍基地外の住民地域の国道上で公務外の米兵が起こした日本人を被害者とする重大事件で、第一次裁判権も日本側にある、こういう被疑者について、日本警察逮捕状の執行ができない。一国家の主権にかかわる重大な問題がここにあります。  戦後五十三年余も過ぎました。このような事態を主権国家として屈辱的だとは大臣は思われないのか。本当にこれでいいのだというふうなお気持ちなのか、その点を一つお答えください。  時間がないので、続けます。  このような屈辱的な状況が続くという根幹には、日米安保条約日米地位協定があります。  我が党は、安保条約をなくすることが根本だというふうに考えますが、この屈辱きわまりない地位協定、その安保条約をなくする以前にも、直ちにその抜本的な見直しをすべきだというふうに考えます。先ほど、勉強もしていきたいということをおっしゃいましたが、地位協定の改定というのは、あの少女暴行事件の直後に見られるように、圧倒的な国民の声でもあるというふうに考えます。改めてその方向に政府として真剣な検討が必要だというふうに思います。  その二点についてお答えください。
  100. 高村正彦

    高村国務大臣 日米地位協定は、日米安全保障条約の目的の達成のため、我が国に駐留する米軍の円滑な活動を確保するため、米軍の駐留に関するさまざまな側面について詳細に規定したものであります。  受け入れ国の同意により駐留する外国軍隊の構成員に対して一定の特別な法的地位を認めることは一般国際法上も確立した原則となっており、このような地位協定を締結している例は、米国とNATO諸国、韓国、豪州等の間にも見られるわけでありますが、その規定ぶりは、一般的に言って、日米地位協定と相当程度共通したものとなっているわけであります。  これらの事情も勘案すれば、現時点で直ちに地位協定の改定が必要であるというふうには考えていないわけでありますが、先ほどから申し上げているように、私なりに勉強はしてみたい、こういうふうに思っております。
  101. 古堅実吉

    ○古堅委員 時間が来ましたので終わりますが、一般的に国際的なものとなっておるというふうなお考えのようですが、これはとんでもありません。  確かに、アメリカはその力に任せて、随分数多くの国との関係においてそういう関係を結んでいます。アメリカの意向を受けて、受け入れさせた国からするというと、主権にかかわる屈辱的な内容を盛り込んでいます。それが一般的な国際通例上も通るものだというふうなことをおっしゃったのでは、これはアメリカの覇権主義をそのまま認める植民地的な受けとめ方と言ってもいいんじゃないか。  そういう考え方を改めない限り、本当に国民がこのことを怒っているという、問題の解決の方向に発展しないということを厳しく指摘して、終わらせていただきます。
  102. 五島正規

    五島委員長 前島秀行君。
  103. 前島秀行

    ○前島委員 時間も十五分ですので、端的に質問しますので、よろしくお願いをいたします。  私は、沖縄県出身ではないので、別な視点でちょっと聞いてみたいと思っています。  というのは、この沖縄の振興策にせよ、あるいは基地の問題の前進にせよ、今、沖縄県と政府との間の状況、この問題を打開しなければ、振興策もこれ以上基本的にはできないのじゃないかな、基地問題もこれ以上進まないのではないかな、私はそんな実感がいたします。  そういう面で、私は、きょうは官房長官には御出席いただけていないものですから残念でありますけれども、最初に、沖縄開発庁長官、大臣としての立場、長官としての立場と、鹿児島県の御出身でもあるということを含めて、ひとつぜひこの局面を打開するという意味で長官に頑張ってもらいたいな、そんな観点で質問をしたいと思っています。  それは、一つは、沖縄政策議会が昨年の十一月以来開かれていない、この状態の打開なんです。  私は、村山総理ができて、沖縄県と政府が一つになってやろうという構想が生み出され、それを橋本総理が引き継いで今日こうなったというこの構想を非常に高く評価しているし、これが従来の縦割りを超えて沖縄の振興策に向かって推進役として今日大きく働いてきたことは間違いないと思っていますね。それがとまってしまっている。私は、これを何とか動き出させない限りはだめじゃないかな、そんな感じが一つします。  もう一つは、先ほど言いましたように、沖縄県知事と総理並びに官房長官が会うの会わないのというふうな状態で、沖縄の振興が、沖縄基地問題が進むわけがないように思う。  ぜひ、俗に言えばちょっと生臭いですけれども、十一月の知事選の思惑だとか党利党略だとかメンツなんというものを超えて、この異常な状態を打開するために、私は、長官に頑張ってもらいたいな。こっちは、官房長官がきょう御出席いただいたら直接お願いすべきものだなと常日ごろ僕は思っていたわけであります。  そこで、さきの皆さんの質問の中にもあった、那覇軍港の問題が動き出したということの意義。二十数年間そのままでほっておかれたというこの問題は、三事案の中にあり、SACOの中の重要な一つ、沖縄県の構想から見れば二枚看板ですね。いわゆる普天間の跡とそれから那覇軍港の西海岸の開発という二枚看板。その那覇軍港の行き先が動き出したということは、私は大きな変化だろうと思う。これを一つの手がかりに、取っかかりにして局面の打開が図れないかという感じが非常にする。  簡単なものではないということは私、百も承知です。しかし、二十六年間ほっておかれたものが、受け入れ側、地元浦添市を中心にして動き出したということの意義は大きいと思いますね。普天間が行き詰まったからという意味ではなくしても、私は、この大きな変化を積極的にとらえて、政府がいろいろなメンツだの経過を乗り越えて積極的に進むべきではないかな、それをひとつ沖縄の振興策の担当大臣である井上長官が引っ張っていってほしいな、こういうふうに思っているのです。  そういう面で、私、時間がありませんので、四つほどまとめて質問しますから、端的に答えてください。  長官は、かねてから基地問題と振興策はリンクさせてはならぬということを言っていたと思いますが、改めて、これは私は非常に不幸なことだと思うし、また別な意味で、基地がなくならないと沖縄の振興はないよという面でのリンク論というのは、私は賛成だと思っています。どこへ行ったって基地にぶつかる、海に行っても基地にぶつかる、空に行っても基地にぶつかるという状況の中では、基地縮小されない限り、なくならなければ沖縄の振興というのはなかなか難しい、基本的にはいかないなという意味でのリンク論はわかるけれども、普天間基地の行き先がはっきりしないから一切の振興策はやらないよというリンク論は受け入れられない。長官はどう思うかということが一つ。  二つ目は、私は、やはり政策議会の再開なくして振興策はさらに発展しないと思う。再開のために長官はどういう努力をするか、してほしい、その点の努力、方向をお聞きしたい。  それから、新聞にも出ているようでありますが、大田知事が直近の十六日に全国知事会で来る。総理に会いたい、総理に会えなくても官房長官といろいろな議論をしたい、当面の問題についても話したいという希望があるようでありますけれども、具体的なめどはついていない。官房長官は、昨日、チャンスがあったらと言っているようでありますけれども。ある意味では、長官、これは重要なチャンスでありますから、ひとつ積極的にトップ会談の場面をつくる努力ができないのか、官房長官がいたら直接私は返事を求めたいなと思っていたけれども、この点の努力、見通し。  それから四つ目は、那覇軍港動き出した。それを積極的に推進をするために、沖縄開発庁長官の分担の仕事である例のプロジェクトチーム、六十一事業の中の、プロジェクト三の中の港湾開発だとか、空港のインフラ整備の問題だとか、港湾流通機能の問題というのは、他省庁とも絡んできますけれども、私は沖縄開発庁の重要な役割だと思う。それを積極的に進めていく、具体化していくことによってこのチャンスを具体化させてもらいたいな、そんな気がいたします。  この点について、まとめてで恐縮でありますけれども、長官の御意見、決意を聞きたいな、こう思っています。
  104. 井上吉夫

    井上国務大臣 お気持ちよくわかります。  私も、ずばり、今質疑応答という立場を超えながら、沖縄の振興を役割とするのが私の本務だからということで、あとの話はそれぞれの担当者の話だからというぐあいに答えをそらそうとは思いません、あなたが言われるのと同じような気持ちを持ちます。  しかし、政府の中におきます沖縄問題の所管がそれぞれ、こういう問題は官房長官、こういう問題は外務省、これは防衛庁、防衛施設庁という仕分けをしていることは御承知のとおりでありますから、私の現在持っている権限を越えたところまで申し上げるわけにまいりません。  ただ、いろいろな動きがある。このままとまってしまったのじゃ、開発庁と沖縄県との関係、言葉をかえて言えば、国と沖縄との関係というのが何だか発展をとめてしまったような形のまま停滞しているじゃないか、何とかこれを動かす好機ではないかという意味でおっしゃったと思います。  今がその好機としてとらえるべきかどうか、私も判断に迷いますが、間近な問題としては、十六日に全国知事会があるという話を聞きました。実は私のところには何もありません、それが。かくかくしかじかだからということであれば、また私の気持ちも少し違ったかもしれませんが、それぞれがやはり生きている人間としての今までのいろいろないきさつを踏まえながらのことでありましょう。  一番根っこは、橋本総理が普天間の返還を受けて全力を挙げてアメリカと交渉した、そして何とかこれが目鼻がついた、それにはかわるべきヘリポートが要るな、そして、それをいろいろ検討したあげく、一番やはり最適な場所というのは海上ヘリポートではないか、それが意見が完全に分かれたまま、それ以来いわば協議会も実際上は機能を停止したというのが現状だと私は思います。  したがって、いろいろな現在の動きがだんだんと、先生が言われたような国と県との間が、まさにこういう問題を超えて沖縄発展のために、ましてや普天間をできるだけ早く返還してもらって、グランドデザインをここで国際都市として描くというそのことができるだけ早く答えが出ると、開発庁としてやる仕事もその分だけより具体化するなという思いがありますから、いつどういう形で申し上げるかは別として、この十六日の時点に言えるかどうかは別として、私の気持ちの中にしっかり受けとめながら、しかるべき私なりの判断の時期に申し上げたいなと思います。  きょうのところはそれで、私の気持ち答えさせていただきました。
  105. 前島秀行

    ○前島委員 運輸省、ちょっと聞きますけれども、いわゆる那覇軍港動き出したという時点、これは、これから外務省なり防衛庁が入ってアメリカとの折衝等々、那覇軍港移転の具体化というものが前提になることは間違いありません。そう簡単でもないなということもわかっています。  そういう状況の中で、例の六十一の事業の中で、あの那覇軍港の跡、西海岸の発展のためのプロジェクトがさまざまあって、この三月で最終的な会議があって終わってしまった、こうなっていますね。それから先は、これがもう少し具体化にならなければということであることはわかりますけれども、やはり私は、この那覇軍港の問題が動き出したということは、ある意味では大きく前進するチャンスだな、今までの構想をある意味では変更してまでも、ここに一つの焦点を持っていく一つのチャンスだな、こういうとらえ方もあると思うのです。  だとすると、十年でとまっているこのプロジェクトの再開だとかあるいは具体化だとかそのための予算化というのは、運輸省の方は検討の余地はあるのか、その辺のところをちょっと聞かせてくれませんか。
  106. 川嶋康宏

    ○川嶋政府委員 運輸省におきましても、沖縄の振興策につきましては、該当するプロジェクトチームごとに、沖縄県及び関係省庁と緊密に連携をとりながら検討を進めてまいったところでございます。  このうちで、お尋ねの物流に係る港湾インフラの整備関係しましては、沖縄政策議会の第三プロジェクトチームにおきまして、沖縄開発庁と共同で、沖縄における国際流通港湾実現可能性調査を実施したところでございます。具体化につきましては、調査結果を踏まえながら、また引き続き需要の動向を見ながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  107. 前島秀行

    ○前島委員 私は、現地動きを、運輸省なり開発庁が積極的に取り込んで、国の方がリードしていくというふうにぜひお願いをして、新しい方向性、実現ができるようにぜひ努力をしてもらいたい、こういうふうに思います。  外務大臣にちょっとお伺いをいたします。  いわゆる普天間飛行場問題がああいう状況になってしまっている。私は、私なりに沖縄基地問題を考えるときに、やはり、沖縄人たちの思い、五十年の苦しみから考えて、これ以上の基地を新たにつくることだけは勘弁してくれというのが、ぎりぎりの、最低の、沖縄の皆さんの共通した思いではないだろうかな、もうこれ以上新たに基地をつくるのはやめてくれ、こういうことだろう、そこが原点のような気がいたします。  そういう意味で、私たちは別な立場ですけれども、一応政府整理、統合、縮小という原則で来たわけですね。私はやはり、この普天間の空港の行き詰まりの原因が、整理縮小、統合という、沖縄人たちの受けとめることよりか、やはり移転は新設であったということ、ここがやはり沖縄人たちの思いとぶつかってしまったんではないだろうかな、こういうふうに思います。  そういう面で、大臣に一つお伺いしたいのは、やはり、沖縄基地問題というのは、新たな基地はつくらない、そういう意味での整理、統合、縮小という原点で、これからも基地問題、普天間の問題を処理すべきではないか、その枠組みの中でしかないんではないだろうかな、これが一つ。  それと、これからの普天間基地の問題を新たに考えるときに、政府として、この代替案を含めて移設の選択肢を広げる。橋本内閣時代は、やはりこのヘリポートにこだわっていたといいましょうか、一辺倒で、これが一番いいんだ、こう言ってきたけれども、現実に地元の人がノーと言っている以上、これ以上現実に進まぬだろう。だとすると、整理、統合、縮小という枠の中で、代替案を含めて移設の選択肢の幅を広げる、そう考えるしかない。そういう方向に政府としても、小渕内閣としても今後検討していくというふうに私は理解をしているんですが、そういうふうに理解をしていいか、受けとめていいか、大臣にお聞きしたいと思います。
  108. 高村正彦

    高村国務大臣 普天間飛行場移転先につきましては、SACO中間報告以降、嘉手納飛行場、キャンプ・シュワブ等が挙がったわけでありますが、沖縄県議会等において、騒音、事故、水源や自然環境の破壊、基地の固定化につながるような基地の新設になるなどいろいろな懸念が表明された、そういう過程があって、海上ヘリポート案は、こういった懸念を念頭に置きながらあらゆる角度から検討を行った結果、沖縄県民方々の御負担を軽減させる最良の選択肢として、地元に、少なくともそのときは提示をしたわけであります。  このような経緯から、政府としては、海上ヘリポート案に立って話し合っていくことが今でも最善と思っているわけでありますが、今後本問題について、県内においてどのような議論がなされていくのか関心を持って見守りつつ、真摯に取り組んでまいりたい。先生のおっしゃったことも頭の中にインプットされました。
  109. 前島秀行

    ○前島委員 終わります。
  110. 五島正規

    五島委員長 次回は、明十五日木曜日午後一時十分理事会、午後一時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十四分散会