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1998-10-06 第143回国会 衆議院 安全保障委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十月六日(火曜日)     午後一時二十三分開議 出席委員   委員長 塩田  晋君    理事 安倍 晋三君 理事 浅野 勝人君    理事 江口 一雄君 理事 仲村 正治君    理事 石井 紘基君 理事 前原 誠司君    理事 赤松 正雄君 理事 西村 眞悟君       麻生 太郎君    伊藤 達也君       池田 行彦君    岩永 峯一君       臼井日出男君    大野 功統君       嘉数 知賢君    河井 克行君       岸本 光造君    栗原 裕康君       小泉純一郎君    佐藤  勉君       園田 修光君    田村 憲久君       中山 利生君    船田  元君       御法川英文君    山崎  拓君       吉川 貴盛君    伊藤 英成君       岡田 克也君    桑原  豊君       坂上 富男君    中川 正春君       中野 寛成君    河上 覃雄君       白保 台一君    冨沢 篤紘君       石垣 一夫君    佐藤 茂樹君       二見 伸明君    中路 雅弘君       東中 光雄君    辻元 清美君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 額賀福志郎君  出席政府委員         内閣官房内閣外         政審議室長   登 誠一郎君         内閣法制局第二         部長      宮崎 礼壹君         防衛庁長官官房         長代理     伊藤 康成君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 大越 康弘君         防衛庁人事教育         局長      坂野  興君         防衛庁装備局長 及川 耕造君         防衛施設庁長官 萩  次郎君         防衛施設庁施設         部長      守屋 武昌君         科学技術庁研究         開発局長    池田  要君         環境庁水質保全         局長      遠藤 保雄君         法務省刑事局長 松尾 邦弘君         外務省総合外交         政策局長    加藤 良三君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 竹内 行夫君         大蔵大臣官房審         議官      福田  進君         国税庁課税部長 森田 好則君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君  委員外出席者         内閣官房内閣情         報調査室内閣調 小野 正博君         査官         会計検査員事務         総局第二局長  諸田 敏朗君         安全保障委員会         専門員     田中 達郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十月六日  辞任         補欠選任   佐藤  勉君     園田 修光君   阪上 善秀君     岩永 峯一君   杉山 憲夫君     御法川英文君   玉置 一弥君     坂上 富男君   中野 寛成君     中川 正春君   横路 孝弘君     桑原  豊君   冨沢 篤紘君     白保 台一君   佐藤 茂樹君     石垣 一夫君 同日  辞任         補欠選任   岩永 峯一君     阪上 善秀君   園田 修光君     佐藤  勉君   御法川英文君     杉山 憲夫君   桑原  豊君     横路 孝弘君   坂上 富男君     玉置 一弥君   中川 正春君     中野 寛成君   白保 台一君     冨沢 篤紘君   石垣 一夫君     佐藤 茂樹君     ――――――――――――― 十月五日  防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第七号) 九月三十日  有事法制化反対に関する請願辻元清美紹介  )(第五八三号)  同(中川智子紹介)(第五八四号)  同(保坂展人君紹介)(第五八五号)  同(畠山健治郎紹介)(第六三八号)  周辺事態法案等制定反対に関する請願(大森  猛君紹介)(第五八六号)  同(志位和夫紹介)(第五八七号)  同(中路雅弘紹介)(第五八八号)  同(中林よし子紹介)(第五八九号)  同(東中光雄紹介)(第五九〇号)  新ガイドライン関連法制定反対に関する請願  (保坂展人君紹介)(第六三七号) 十月一日  周辺事態法案等制定反対に関する請願(春名  直章君紹介)(第七〇二号)  同(中路雅弘紹介)(第七六一号)  新ガイドライン関連法制定反対に関する請願  (土井たか子紹介)(第七〇三号)  同(濱田健一紹介)(第七〇四号)  同(東中光雄紹介)(第七〇五号)  同(保坂展人君紹介)(第七〇六号)  有事法制化反対に関する請願土井たか子君紹  介)(第七〇七号)  同(濱田健一紹介)(第七〇八号)  新ガイドライン関連法案廃案に関する請願  (深田肇紹介)(第七六〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 九月二十九日  周辺事態法に関する陳情書  (第一四四号)  新ガイドラインに基づく周辺事態法案反対に関  する陳情書外二件  (第一四五号)  周辺事態法等ガイドライン関連法案廃案に  関する陳情書外五十件  (第一九九号) 十月一日  防衛庁巨額背任事件徹底解明に関する陳情  書  (第二四九号)  新ガイドラインに基づく周辺事態法案反対に関  する陳情書外一件  (第二五〇号)  周辺事態法案等ガイドライン関連法案廃案  に関する陳情書外二十件  (第二五一号  ) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第七号)      ――――◇―――――
  2. 塩田晋

    塩田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明を求めます。額賀防衛庁長官。     —————————————  防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改   正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案提案理由説明させていただきます。  この法律案は、このたび提出されました一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律の一部を改正する法律案の例に準じて防衛庁職員給与改定を行うとともに、自衛官俸給表陸将、海将及び空将の欄または陸将補海将補及び空将補の(一)欄の適用を受ける自衛官以外の自衛官に係る調整手当支給割合改定を行うものであります。  すなわち、第一点は、一般職職員の例に準じて参事官等及び自衛官俸給並びに防衛大学校及び防衛医科大学校学生学生手当改定を行うとともに、営外手当についても改定することとしております。  第二点は、自衛官俸給表陸将、海将及び空将の欄または陸将補海将補及び空将補の(一)欄の適用を受ける自衛官以外の自衛官に対する調整手当制度について、その充実を図っていくため、自衛官俸給改定との兼ね合い等総合勘案をし、当該自衛官に係る調整手当支給割合改定することとしております。  以上のほか、附則において、施行期日適用日俸給表改定に伴う所要の切りかえ措置等について規定しております。  なお、事務官等俸給並びに扶養手当医師及び歯科医師に対する初任給調整手当単身赴任手当等につきましては、一般職職員給与に関する法律の改正によって、同様の改定防衛庁職員についても行われることとなります。  以上が、この法律案提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  4. 塩田晋

    塩田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 塩田晋

    塩田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河井克行君。
  6. 河井克行

    河井委員 どうも皆様お疲れさまでございます。自由民主党河井克行です。きょうは時間をたっぷりいただいておりますので、この委員会に付託されました法律案審議に加えまして、今いろいろと国民の間で不安に思っている事柄一般事項についても質問をさせていただきたいと思います。  その前に、まず、大臣におかれましては、御就任以来、次から次へとたび重なって難しい問題が発生をいたしておりまして、その御心労を察するに余りあるというふうに思っております。政治にとって最も大事なことは国民生命財産をしっかり守ることだというふうに言われております。それをするのが防衛庁であり、その長官大臣でありますから、今のこの難しい局面、しっかりとリーダーシップを発揮をしていただきまして、いい方向に向かって乗り切っていただきたい、失礼ながら、心から激励を申し上げたい気持ちでいっぱいでございます。  それでは、この委員会に付託されました法律案、きょうは防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案でございますけれども、まず一点目、一般職国家公務員職員給与制度と比べまして防衛庁職員給与制度の特色としてはどのようなものがあるのか、それについてお答えをいただきます。
  7. 坂野興

    坂野政府委員 お答えいたします。  防衛庁職員給与制度につきましては、基本的には一般職職員給与制度に準じているところでございますが、一般職職員と比較いたしまして勤務特殊性が認められるものにつきましては、防衛庁独自の制度を設けているところでございます。  すなわち、俸給制度につきましては、自衛官のように勤務特殊性を有する職員につきましては、職務の類似する一般職公安職等俸給基準といたしまして、その特殊性を考慮して、超過勤務手当等相当額本俸への繰り入れ等を行った自衛官俸給表適用することといたしております。  また、各自衛隊の運営に密接な関係を有する参事官等につきましても、自衛官とあわせて一元的に管理する必要があることから超過勤務の概念を除くことが適当であるとの考え方によりまして、一般職行政職(一)の俸給基準といたしまして、自衛官と同様に超過勤務手当等相当額本俸への繰り入れを行った参事官等俸給表適用することといたしております。  なお、事務官等につきましては、一般職給与法に定める行政職俸給表等をそのまま適用いたしております。  次に、諸手当につきましては、扶養手当単身赴任手当等一般職国家公務員とおおむね同様の体系によっておりますが、自衛官等勤務特殊性に応じた特別の手当といたしまして、例えば、航空手当乗組手当、落下さん隊員手当等が設けられております。  なお、自衛官につきましては、これらに加えまして、いわゆる現物給与として、食事支給、被服の支給または貸与、療養の給付等が行われております。
  8. 河井克行

    河井委員 今、防衛庁職員自衛官の業務の特殊性にかんがみて特徴ある給与体系給与制度もあるというふうに御答弁いただきましたけれども、中心は、他の公務員給与引き上げに応じて防衛庁職員給与も自動的に定められてくるという趣旨答弁だったと思います。  自由民主党は、今回、この法案にはもちろん賛成する立場ではありますけれども、今日本のこの経済状況を考えたとき、民間企業はまさにリストラのあらし、倒産も相次ぎ、失業率も高まってきております。もう本当に普通の企業でも給与の引き下げ、ボーナスの遅配どころかボーナス支給すらできない、それぐらいの厳しい状況が今この日本国じゅうどこでもあるわけであります。もちろん自衛官士気をしっかりと高めなければいけないという観点はよくわかりますけれども、やはり世間常識といいましょうか、一般常識を考えたとき、しかも、残念ながら、昨今、防衛庁ではいろいろな不祥事も発生をいたしました。  そういう事柄を総合的に勘案して、ぜひこれは大臣に御答弁をいただきたいわけですけれども、普通のときの給与引き上げと今回とは違うと思うのですね、客観条件が。そういうときにあえてこの法案を提出されたということについて、できましたならば大臣から心のこもった御答弁をいただければありがたいと思います。
  9. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 河井先生の御指摘のとおり、我が国経済は今未曾有の景気のどん底にあるということはよく承知をしておりまして、しかも、なおかつ失業率史上最高であるということもよく聞いているわけでございます。  そういう中で自衛隊員給与改定お願いをしているわけでありますけれども、自衛隊員は、河井先生承知のとおり、また河井先生が今御指摘のように、日本国民生命財産を守る、しかも、なおかつこの北東アジア地域の安定にも寄与をしていく、あるいはまた国際貢献、あるいはまた大規模な緊急事態等が起こればいろいろと体を張って貢献をしていくということになっております。また、隊員皆さん方隊員になるときに、言ってみればみずからは体を張って職務に専念をするという約束をした上で隊員になっているわけでございます。  私は、自衛隊仕事は、これはいついかなるときも職務が減らされることはないわけでございますから、いついかなることがあってもこの安全とそれから生命財産を守るということの任務を負うているわけであります。一時的な経済の変動によってこの自衛隊員職務が減殺されるわけではないので、やはりそこは、良質な自衛隊員の言ってみれば参加と、それから士気のことを考えると、国民皆さん方にぜひとも御理解をいただきたいということをお願いしたいというふうに思っております。  もちろん、さまざまの問題が防衛庁内に起こっておりますけれども、これはこれまでも私自身が申し上げておりますように、みずからの問題としてきっちりと事実関係を明らかにして、そして、うみを出し切って、新しい防衛庁の再スタートを期して、国民皆さん方の信頼をかち取っていきたいということもあわせて申し上げ、皆さん方の御理解を得ることができればありがたいと思っております。
  10. 河井克行

    河井委員 ぜひとも今のこの大臣答弁を全国の自衛隊皆さん方がしっかりと本当に肝に銘じて日々のお仕事にいそしんでいっていただきたい、そんなふうに思います。  それから、今回は、俸給改定に加えまして、学生手当改定も同じように法律案の中に入っております。  言うまでもなく、防衛大学校、そして防衛医科大学校といいますのは、私は、二十一世紀の日本安全保障をしっかりと担ってくれる本当に貴重な次の世代をつくっていく卵だというふうに思っておりまして、そういう方々についても、今回、学生手当引き上げということになっております。月額一千円ということですけれども、そのあたりのことについて、もし御答弁がありましたらお願いをいたしたいと思います。
  11. 坂野興

    坂野政府委員 お答えいたします。  防衛大学校、そして防衛医科大学校で勉学に励んでおります学生につきましては学生手当支給されております。この学生手当の額の算定の根拠につきましては、基本的には、高校を卒業して国家公務員に採用された方の初任給をベースといたしまして、それから食事代とか宿舎費とかそういったものを差し引いて学生手当が算定されております。今回は、行政職(一)の高校卒業生初任給の額が千円増加されたことによりまして、学生手当が増額されたものでございます。  先生今お話がございましたように、これからの自衛隊を担っていく、そういう前途のある学生に対する処遇ということでございますので、今後とも、私どもといたしましては、そういった学生手当についても十分配慮していきたいというふうに考えております。
  12. 河井克行

    河井委員 ありがとうございます。  引き続きまして、一般質疑の方に移らせていただきたいと思いますが、新しい人工衛星の打ち上げについてです。  八月の末に北朝鮮から一発のミサイルが飛んできまして、日本じゅうがもう上を下への大騒ぎになったことはまだまだ記憶に新しい点でありますけれども、今回のこの事件のとき一番の問題は、やはり何といいましても、日本が独自の情報収集能力が十分発揮できなかった、その点が一番残念だという点だというふうに考えております。  そこで、今、政府部内でも、あるいはまた自由民主党内でも、新しい形の人工衛星の打ち上げについては日夜いろいろな議論を行っておりますけれども、せんだって、小渕内閣総理大臣の御指示によりまして、政府、特に内閣官房におきまして新しい協議体が発足をした。この新しい形の人工衛星の打ち上げ、導入運用について、いろいろな役所が衆知を集めているというふうなことが発表をされました。  そこで、今から一つ一つお尋ねをしていきたいと思いますので、質問にそれぞれお答えをいただきたいと思います。  まずは、今回この新しい協議体事務局を担っていらっしゃいます内調内閣情報調査室お尋ねをしたいのですけれども、どのような官公署が集まって議論をしていらっしゃるか、そして二つ目は、どういう点に絞って議論を行っているのか、その二点についてのみ、まずお答えをいただきたいと思います。
  13. 小野正博

    小野説明員 今御質問がありました点でございますが、人工衛星開発、整備、利用等に関します関係省庁から広く意見を聞きながら現在検討を進めているところでございます。具体的には、内閣官房のほか防衛庁外務省科学技術庁等関係する省庁が大変広うございますので、そういう関係省庁の御意見を賜りながら検討を進めているというところでございます。
  14. 河井克行

    河井委員 集まっていらっしゃる会合の頻度、そしてまた、もう少し詳しく、どういう点について話し合いが行われているのか、お答えできる範囲で結構ですから、御答弁お願いします。
  15. 小野正博

    小野説明員 我が国の平和と安全を守るため、政府として適切な情報収集に努める必要があるところであり、その一環として画像衛星につきましても検討に値するものと考えております。  頻度につきましては、なるべく早期検討をしたいということで、各省庁のお時間を合わせながら、もう既に数度検討をしておるところでございます。また、もちろん、集まるだけではなく、電話等で連絡をとりまして事務的に詰めたりということもあわせてやっているところでございます。
  16. 河井克行

    河井委員 画像衛星についてかなり突っ込んで議論をしていらっしゃるということでありますけれども、これは最終的には単なる学問研究で終わってはいけないわけでありまして、政治行政の世界ですから、必ず何か具体的な成果を上げなくちゃいけないということでありますから、具体的な、日時の最終的なめど、いつごろまでに一応の結論を出すことを念頭に今作業をしていらっしゃるのか、その点についてお答えできますか。
  17. 小野正博

    小野説明員 ただいま検討中でございまして、まだ確たる時期等につきまして申し上げる段階ではございませんが、なるべく早期結論を得るべく努力をしているということで御理解をいただきたいと思います。
  18. 河井克行

    河井委員 なるべく早期にといいましても、これはいろいろな早期という時間的な尺度がありまして、やはり国民が本当に今不安に思っているということを考えたとき、これはあくまでも私見ですけれども、次の本年度の第二次補正予算にある程度具体的な金額としてやはり結実をしてもらわなくては、早期にというその早期が本当にだんだん時期を逸することにつながりかねない、そんなふうに思っておりますけれども、大臣、その点についてはお答えは難しいでしょうか。時期的な問題です、いつごろまでにという。
  19. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 これは今内閣の方から御答弁がありましたように、防衛庁も含めた関係省庁の間で議論をなさっているというふうに聞いておりますので、防衛庁といたしましては、情報収集については大きな関心を持っておりますし、その流れを見ながら考えていきたいというふうに思っておりますし、また、防衛庁としても、これまでも商業衛星等を通じていろいろな情報収集の手だてについて研究をしてきたところでもありますので、それを引き続き続けていくと同時に、政府内閣の対応を見守っていきたいというふうに思っております。
  20. 河井克行

    河井委員 先ほどの答弁でもありましたように、さまざまな役所がずっと集まっているということです。きょうはこの委員会の方に、防衛庁はもちろんですが、ほかに科学技術庁とそして外務省からもお越しをいただいておりますので、逐一質問をさせていただきたいと思います。  まず科学技術庁の方に質問をいたしますけれども、微妙にこの言葉遣いが違っております。科学技術庁の方では、今、多目的衛星というふうな言い方をいたしております。私の理解では、いわゆる超高高度、宇宙空間を飛んでいる衛星早期警戒衛星。これは、いずれ議論が行われます将来のTMD構想一環としてこれから考えていかなくちゃいけないと思っておりまして、きょう主に質問議論をしてまいりたいのは、そのずっと下の低層域、高度にしますと大体八百キロから五百キロの円軌道を描いている、俗に言う画像偵察衛星ということについてであります。  科学技術庁は、その点、今新しい多目的衛星の打ち上げということを視野に入れていろんな作業をしていらっしゃるということですけれども、この導入に対して科学技術庁としてはどのような認識を抱いていらっしゃるか、まず最初にそれをお尋ねをいたします。
  21. 池田要

    池田政府委員 お答え申し上げます。  科学技術庁といたしましては、このような宇宙空間におきます人工衛星を用いまして地上の観察、この場合には専ら情報収集でございますけれども、こうした技術開発につきましては、所管の宇宙開発事業団におきまして、地球観測でございますとか資源の探査、こうしたさまざまな目的機能を持った人工衛星開発をこれまで進めさせていただいております。また、こうしたさまざまな衛星利用につきましては民間での利用も広がっているところでございます。  ただいま先生から御指摘のような比較的低軌道地球を回ります軌道上から地球を観測する衛星ということになりましても、これは行政面でのニーズだけを考えましても、災害対策あるいは地球環境保全でございますとか都市計画の管理、地図をつくったり、こういうニーズがあるわけでございますけれども、こうした国民生活のいろんなニーズを反映して幅広く利用することが可能であり、また必要だということを考えておりますし、こうしたニーズは今後ともますます増大していくものと考えております。  科学技術庁といたしましては、こうした多くのニーズを考えましたときに、これまで培ってまいりました技術を最大限に活用させていただきたいと思っておりますし、今後これに伴って必要になりますさまざまな技術課題につきましても着実に取り組んでまいりたいと考えております。  本件衛星につきましては、今後、いかなる内容のものになるかといったようなことにつきましても、私ども、そうしたことで関心を持っているところでございますし、これまで宇宙開発利用を進めてまいりました立場から、積極的に調査検討には取り組んでまいりたいと考えてございます。
  22. 河井克行

    河井委員 今おっしゃった多目的衛星、本当に文字どおりいろんな目的があるということですから、その中に当然、今言われている、俗に言うところの画像偵察的な機能もその中に組み入れることは十分可能だというふうに聞いておりますけれども、この衛星の解像度はおおむね一メートル程度を念頭に置いて今考えているというふうに聞いておりますが、どうして一メートルなんでしょうか。まずその根拠を伺いたいと思います。  と同時に、その衛星は単独ではもちろん機能しないわけでありますから、大体何機ぐらいで一編成を考えていらっしゃるのか。そして、飛行高度にもよりますが、その耐久年数は大体何年ぐらいか、何カ月ぐらいか。それから、その大ざっぱな費用についても積算をしていらっしゃいましたらお示しをいただきたいと思います。
  23. 池田要

    池田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま、こうした衛星の解像度について、なぜ一メートルかといったことのお問いかけがございました。現在、我が国におきましては、こうした陸上での事物を観測する技術開発、このために陸域観測技術衛星というものを平成十四年度に打ち上げをすべく開発中でございます。この衛星には三種類のセンサー、カメラのたぐいを積んであるわけでございますけれども、このうちの最も高い分解能を有するセンサーの分解能は二・五メートルでございます。この衛星地球からの高度七百キロという高いところを、これは地図を作成するなど、あるいは植生の観察などほかのニーズもございますからこういう高度で運用するわけでございますけれども、こうした比較的高い分解能のセンサーを積んでおるわけでございます。  今後のこうした衛星による画像情報の入手といった場合にはこうしたセンサーのあり方について検討する必要があるわけでございますけれども、今、陸域観測技術衛星についても二・五メートルというものはもう既に開発中だということを申し上げました。また、近々、アメリカにおきましては分解能一メートルの商業衛星が打ち上げられようとしてございます。  こうしたことを考えますときに、私ども、現在既に我が国においても開発中のセンサー技術、こうしたものをもとにして、性能向上をあわせ考えながらこの画像偵察衛星というものを開発するということを考えますと、一メートルといった解像度につきましては十分に実現の可能性があるものと認識しているところでございます。  また、あわせまして先生から、システムとして考えるときに何機必要かといった御質問もございました。この点につきましては、今後、こうした画像情報を得るための衛星利用というものを考えましたときに、それがどれくらいの頻度でこうした特定の地点を観測する必要があるのかどうかといったことを考え合わせる必要がございますし、また、そのセンサーにつきましても、例えば光学センサーといったものでございますと、これは雲がありますと画像を撮ることができません。そうした意味ではレーダーセンサーなどを用いる必要があるわけございますし、そうした意味での衛星そのもののあり方といったものについての、何機かといったこととあわせまして、そういうセンサーをいかに備えるかといったことの検討が当然ながら必要になるわけでございます。  また、耐久年数についても御質問がございましたけれども、通常、ただいま陸域観測技術衛星の件を申し上げましたけれども、こうした衛星運用します場合には、三年ないし五年といったことが通常でございます。三年以上、それから五年ぐらいは十分使えるといったことで、そのための燃料等の用意をして打ち上げるわけでございますけれども、こうしたシステムとして考えますときには、当然そうしたような点をあわせ考える必要がございます。  なお、費用についても御質問がございましたけれども、これは先ほど申しましたように、今回のような画像情報を得るための衛星のシステムについて考えましたときに、それが果たして何機必要なのかといったようなことでございますとか、またその運用のあり方等を考える必要がございますから、これはそうした点がはっきりいたしませんと、果たしてこれが幾らかかるといったことを申し上げることはなかなか難しいものがございます。  ただ、通常、こうした衛星をこれまでに培ってまいりました技術を用いてつくるとなりますと、衛星の大きさにもよりますけれども、数百億円あるいは一機当たり三百億円、そうしたような経費がかかるわけでございますし、これをロケットで打ち上げます場合の経費、これが小さなものでございましたら二機あわせて一機のロケットで打ち上げることができますし、そうしたこともあわせて考える必要がございます。  なお、こういうシステムをつくります場合には、地上でこの情報を得るための設備、システム等の整備が必要なことは申すまでもございません。  ただいま、御質問に対して私どもの知り得る限りでお答えできるのは以上でございます。
  24. 河井克行

    河井委員 いつもの池田局長と違って随分歯切れの余りよろしくない御答弁だったと思いますけれども、要は、一番お尋ねしたいのは、日本の国産の技術をこれから磨いていけばこれをつくることが可能かどうかという点、その点についてお答えを最後にお願いをいたします。
  25. 池田要

    池田政府委員 ただいま申しましたように、我が国でも既に、この陸域観測技術衛星、これは十四年度に打ち上げの予定で開発中だということを申し上げました。こうした技術を使いまして、陸上の物事あるいは建物、こうしたいろいろなものが観測対象になるわけでございますけれども、そうしたものを分解能一メートル程度まで観測するという技術につきましては、我が国におきましても、宇宙開発事業団ないしはメーカーにおいて十分な技術能力は有しているということは申し上げられると思います。
  26. 河井克行

    河井委員 続きまして、防衛庁の方に同じような質問をいたしたいと思います。  防衛庁の方は解像度が十五センチというふうな話をしていらっしゃると思いますけれども、この十五センチの根拠、それと科技庁が言っているような一メートルでは、これは率直に言いまして仕事になるのかならないのか、その点をお答えをください。  それから、大体一編成何機程度で、耐久年数がどれくらいで、費用、そういった点についてもまとめてお答えをいただきたいと思います。
  27. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 資料収集のための衛星につきましては、先ほど内調から御答弁ございましたように、内閣におきまして関係省庁集まりまして、今検討中でございます。そういう中でもって、私どもとして解像度がどういうものであるべきだとかいうことを申し上げている段階ではございません。  今先生からお話しのございました十五センチというのは、多分巷間言われておりますアメリカのKH、キーホール11という偵察衛星がございますが、これの解像度が十五センチということで、現在の軍事衛星と申しましょうか、偵察衛星と申しましょうか、水準としてそういうものがある、こういうことだろうと思います。  一方、私どもといたしましては、現在、これまでランドサットであるとかあるいはSPOTであるとか、そういった商業衛星の画像を購入いたしまして、それをいろいろ分析をしている、そういうことで技術をいわば磨いているわけでございますが、現在これにつきましては、情報支援システムということでそれをさらに高度化あるいは効率化するための今いろいろな機材その他の構築をしているところでございます。  これは、これまで三年ほどかけてやっているわけでございますけれども、こういったものの中で、この解像度が、先ほど科学技術庁からもお話がございましたように、近々アメリカでも商業用として解像度一メートルのものが打ち上げられるというふうな情報もございます。解像度一メートルであれば、それはまたそれなりの我々としての情報手段として有力なものになろうか、こういうふうに思っている次第でございます。
  28. 河井克行

    河井委員 今、防衛局長さんの方から、これはアメリカのKH11という新しい衛星が地上分解能十五センチということなんですけれども、フランスのヘリオス1Aというのも打ち上げていますけれども、これは地上分解能が一メートルということ。これは防衛庁からちょうだいした資料に入っております。ですから、何センチとか何メートルというのは、それはもちろん技術の最高水準を追求すれば追求するほど、最終的には一センチとか二センチということに到達すると思いますけれども、これは、その国によって、置かれている環境によっても、一概にはなかなか言い切れない問題かなというふうに思いますが、その点、防衛局長さん、何かお考えいただけまずでしょうか。
  29. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 確かに、情報収集するという面から見ますと、それは解像度は高いにこしたことはないわけでございますけれども、一方、いろいろな現実的な制約要件もございます。  そういう中で、我々としては、先ほど一メートルというお話がございましたが、そういう解像度はそれなりに意味のある情報を得る手段ではあろう、こういうふうに思う次第でございます。
  30. 河井克行

    河井委員 そこで、この議論を具体的な政治の日程、そしてタイムテーブルにのせるというときになったとき、一番の課題となりますのが、言うまでもなくいわゆる宇宙の平和的利用を定めた国会決議との関係についてであります。  きょうは外務省からも総合外交政策局長さんがお越しをいただいておりますけれども、仮定の話ですから答えにくいかもしれませんが、もし仮に国会決議の見直しを国会の意思として行う事態になったとき、ほかの、当然米国もですけれども、特にアジアの近隣諸国、どのような反応が予想されるのか、お答えをいただきたいと思います。
  31. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 国会決議の見直しにつきましては、委員が御指摘のとおり、もとより国会で決定されるべきものでございますので、政府として何ら予断を持って申し上げるわけではございませんが、仮に将来、国会決議の見直しというようなことがありました場合には、国会審議その他もろもろの状況を踏まえて、必要に応じて関係諸国に対して説明を行うことになると考えます。  現在までのところ、例えば韓国、中国、その他近隣諸国から我が国衛星の問題について、我が方の報道などは十分承知しているはずでございますけれども、公式なコメントというものは寄せられておりません。韓国のマスコミは、衛星の問題について、予算上の問題あるいは防衛上の問題、米国の考え方といったものを論評なしに客観的に報道しているケースが今のところ多いと思います。それからまた、中国のマスコミは、これまでのところこの衛星の問題について、ほとんど報道いたしておりません。  しかし、さはさりながら、現在のところは政府といたしまして衛星目的、その機能をどうするかといったような要素をようやく検討し始めているというところでもございますので、そういう姿に呼応して反応が出てくることはあり得るわけでございますけれども、今具体的にこの時点で明確にどういう反応が近隣諸国から出てくるかということは、正確に見通すことは困難であると思います。
  32. 河井克行

    河井委員 これは事実の確認をしたいのですが、きょう時点で、韓国あるいは中国は画像偵察衛星を現に飛行させているのでしょうか。その点お答えください。
  33. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 まことに申しわけございませんけれども、中国、韓国がいかなる種類の衛星をどういう形で打ち上げているかという今日現在の姿は今ちょっと承知いたしておりません。
  34. 河井克行

    河井委員 ということは、飛ばしていないかもしれないし飛ばしているかもしれないということだというふうに思います。  韓国につきましては、言うまでもなくずっと北朝鮮のいろいろな軍事的な圧力ということがあります。それに引きかえまして、やはり一番気になるのは中国の当局がどのような反応をするかという点についてですけれども、あの国は表と裏がいろいろとあるといいましょうか、なかなか交渉上手なしたたかな国家でありまして、そのときの日本と中国との総合的な関係に応じて反応が生起してくるのかなというふうに思いますが、再度、答えにくいかもしれませんが、お願いしたいのですけれども、特に中国との関係においてどのような事柄が今考えられるのか、もう一度外務省からお答えをいただきたいと思います。
  35. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、衛星そのものについて、今のところ中国の方から公式の論評もございませんし、また、マスメディアの方も余り多くを伝えていないという印象を私たちは持っております。他方、先生が御指摘になられましたとおり、中国は中国でみずからの国防上の必要という目的でいろいろな衛星を含む構想を有しているという情報も折々耳にするわけでございます。  いずれにいたしましても、国会決議の問題とは別にいたしまして、BMDというものは、我が国が弾道ミサイルによる攻撃を受けた場合に限ってこれを迎撃するという純粋に防御的なシステムでございますし、したがって、それ自体としてどの国にとっても脅威となるものではなく、また、日本の場合BMDの導入を決定したわけでもございませんし、日本検討というのは特定の国を対象としたものでもないわけでございますので、こういった点を含めて、必要に応じた説明を十分行っていくということになると思います。
  36. 河井克行

    河井委員 そろそろ時間も近づいてまいりましたので、最後に質問をさせていただきますけれども、せんだって、九月二十一日に、大臣は訪米中、アメリカの国防総省のちょうど入り口近くで交通事故に遭われたということを拝見しまして、私も新聞を、あれはたしかニュース速報でも流れたのかもしれませんが、どうしたのかな、大丈夫かなというふうに、大変個人的にいろいろと指導していただいておる関係上もありまして、心配をさせていただきました。もう大臣、おみ足の方はよろしいのでしょうか。御答弁お願いします。
  37. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 河井先生には大変心温かい御配慮をいただいて、感謝にたえません。右足は強い打撲でありましたが、傷がありましたので、傷はまだ治り切っておりません。したがって、強く片足で立っていたりとかするときはまだ痛みはありますけれども、答弁する分には差しさわりはありませんので、御心配なく、いろいろとありがとうございました。
  38. 河井克行

    河井委員 新聞とかテレビの報道を見ておりましたら、ちょっとしたおけがのような報道が盛んにされているのですけれども、本当に、大臣御自身もいまだに後遺症が続いていらっしゃるということでありますし、おつきの駐在武官は、何ですか、この辺を十数針、緊急入院して手術をされたということですから、むち打ちとかを含めて。これはまあ一国の三軍の長があちらに親善訪問に行かれてすごい歓迎をされたものだなというふうに考えておりますが、同時に、この前、官房長官も記者会見でおっしゃっていましたけれども、まだ正式な報告がないのだと。何であのようなことが、ばっと急に車寄せが上がってきたかということについて、友好国じゃなく日本は同盟国ですから、同盟国の防衛庁長官がそのような目に遭われたわけですから、もう少し毅然と、どうして起こったのかということも含めて、アメリカ政府当局にしかとおっしゃっていただきたいと思いますが、これは、防衛庁長官、当事者でございますから答弁できないと思いますので、きょうはせっかく外務省がいらっしゃっていますので、ちょっと御答弁をいただきたいと思います。
  39. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 もとよりこの事案の持ちます重要性は委員指摘のとおりでございますので、米政府に対しては、きちんとした調査を早急に実施の上、できるだけ早く正確な報告を我が方に提出願いたいということを強く申し入れております。また、今後も、必要に応じ米政府にその旨の督促を行いたいというふうに考えております。
  40. 河井克行

    河井委員 冒頭申し上げましたように、本当に、大臣御就任以来いろいろな難しい事柄発生をしていらっしゃいまして、先般、そういうことで、大臣みずからの身体まで本当にまさに傷つけながらお仕事をしていただいております。打たれ強い額賀先生というのが私たち自民党の若手議員が一致して心から思っていることですから、少々のことでへこたれないで、しっかり頑張っていっていただきたいと思います。  以上、終わります。ありがとうございました。
  41. 塩田晋

    塩田委員長 次に、坂上富男君。
  42. 坂上富男

    坂上委員 坂上富男でございます。  安全保障委員会での質問は、私は初めてでございまして、よろしくお願いを申し上げたいと思うのであります。また、私は、御答弁は簡潔に、もうイエスかノーかという程度で結構でございますから、私もだらだら質問しませんで、きちんきちんと、一問一答でやりますので、そのような御答弁お願いいたしたい、こう思っておるわけでございます。  藤島前官房長あるいは石附それから田中副本部長、いずれも更迭になったわけでございますが、今身分はどういう立場にあって、これが今回の俸給の値上げとの関係においてどういうふうになるのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思っておるわけでございます。  それから今度は、起訴されました諸冨前本部長、それから上野副本部長、この人は、現在は依願退職あるいは任意退職といいましょうか、退職になっていたそうでございますが、これは、今の犯罪の発覚から見ますると、まさに懲戒解雇に当たる犯罪を犯しておるわけでございます。これは、この俸給表との関係からいったらどうなるのでございましょうか。これはさかのぼって懲戒解雇にしていいのじゃないかと思いますが。そしてまた、その懲戒解雇の時点から今日に至るまで、いわゆる退職金それから給料、こういうものは全部返還を求めたらいいのじゃないかと私は思っておりますが、この本日の給料改定問題と絡めて、どうですか、これ。簡単でいいですよ。
  43. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 まず、最初の方からでございますが、それぞれ付になりました三名でございますが、藤島前官房長の場合は防衛庁参事官、また、他の二人の副本部長の場合はそれぞれ防衛庁事務官という官を有しているわけでございます。したがいまして、仮に今回のこの法律適用ということになりますと、現段階では改正法を適用させていただくということになると思います。  それから、退職いたしました諸冨、上野両氏の件でございますが、既に退職してしまったものをさかのぼりまして懲戒処分ということは、今の仕組み上はできないことでございます。ただ、法律上、有罪が確定いたしました場合等に、たしか、退職金を返させるということができるという規定はございます。
  44. 坂上富男

    坂上委員 これは平成六年、平成七年に犯罪が起きたということを、あなたたちがきちっとさえしておればこんなのはもうすぐわかったわけだ、直ちに懲戒解雇できたわけでございます。防衛庁職務怠慢のためにこの犯罪の発覚すら起きなかった、こういうことでございまして、やめた者はしょうがないなんという答弁じゃ許されませんわね。こんなのは、錯誤によって受理したのだから、錯誤によって撤回できるのじゃないの。少しよく研究しなさいよ。こういう悪いことをしたのに、退職金、それから給料いっぱい払って、そしてそれを、もう依願退職したのだし、任意で退職したのだから返還求めることはできません、せいぜい有罪になったら退職金だけ返還を求めることができる、こんなこと国民承知しませんよ。場合によっては、防衛庁が組織的にやった犯罪だとも言われているわけでございます。したがって、あなた方の今の答弁というのは、とてもじゃないが承認できるものじゃありません。もう少しよく研究してきちっと答弁してください。これは、錯誤によるということは幾らでもあるのだから、よくそんなことを研究して答弁してくださいよ。  法務省、おりますか。きょう諸富、上野、前の防衛庁関係、それから永利、長沢、新井、この五人についてはニコー電子関係で再逮捕されたという情報であります。それから、高橋、相原、島山、柳瀬、これはニコーの関係日本電気の関係でございますが、この人は新しく逮捕をされた、こういうことでございますが、報告書をいただいておりますから、簡単にお答えください。
  45. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 お答えいたします。  本日、東京地方検察庁は、防衛庁調達実施本部とニコー電子をめぐる背任事件につきまして、今お尋ねの合計九名について逮捕いたしました。そのうち、先生が冒頭におっしゃりました五名については、東洋通信機の事案で逮捕した同一人物でございまして、残りの四名が新しく本日逮捕になった者でございます。そのうち二名はニコー電子の役員、他の二名は、日本電気の常務取締役無線事業本部長と同会社の無線事業本部特定システムブロック担当支配人ということになっております。  それで、被疑事実の要旨でございますが、概要は東洋通信機との間の背任事件と同じような形でございまして、本来請求して返還させるべき金額を大幅に下回る額を算定したというところについて、九名共謀の背任事案である、簡単に申し上げるとそういうことになろうかと思います。
  46. 坂上富男

    坂上委員 問題は損害です。防衛庁は、返還すべき金額は二億九千六百五十八万七千円でよろしい、こういう約束をしたのでございますが、逮捕状によりますと、まさにこれは国民に対してこれだけ損害をかけたわけでございますが、十四億五千九百五十四万六千円を返還を免れさせて、国にこの金額の損害を加えた、これが背任の損害の金額である、こう言っておるわけでございますが、これは間違いないですか。
  47. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 先生お尋ねの金額ということにつきましては、今先生読み上げた金額そのとおりでございます。
  48. 坂上富男

    坂上委員 防衛庁長官、どうですか、このニコー電子。私、本会議でも御質問申し上げました、東洋通信機と全く同じと。いわゆる背任罪の三要件と言われるところの図利、任務違背、損害の発生、全く同じと。この点について本会議質問をいたしまして、それで、捜査中であるから答弁できないというのが検察庁の答弁でございました。このとおりの事実が本日世間に公表された。そして逮捕された。多分これはこのまま裁判になるのだろうと私は思いますが、こういうことは防衛庁は、私が質問してからその間調べましたか。こういう事実を防衛庁は認めますか、どうですか。本当に、国民に対する損害を発生させたと書いてあるのと同じですよ、国に対してでございますから。防衛庁、この点どう考えていますか。
  49. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 本日、元調達実施本部の本部長及び副本部長が再逮捕された、今先生が御指摘のような容疑で再逮捕され、防衛庁が再び強制捜査を受けたわけであります。そういう意味におきましては、国民皆さん方に大きな不信を与えたことになるわけでありまして、まことに遺憾であり、申しわけないというふうに思っております。  事実関係は、今後、検察当局あるいは公判によって逐次明らかになっていくと思っております。しかも、なおかつ、これは前から申し上げておりますけれども、私どもも、これまでの調達本部のあり方、それから、言ってみればこれから再発防止のためにどういうふうにするかということについて、いろいろと事実関係を調べておりまして、明らかにして、そして国民皆さん方の信頼を取り戻すように全力投球をしてまいりたいというふうに思っております。
  50. 坂上富男

    坂上委員 長官、私の言っているのは、今言ったような被疑事実を今の段階で防衛庁として認めますか、認めませんか、こう言っているのですよ。まだ調査しなければわからぬなどという答弁は、こんなのは答弁になりませんよ。もう検察、政府を代表して国民の名において裁判にかける検察官が、きちっとこれが損害だと明確にあれをして、裁判所の逮捕状もらって、それで逮捕したのだから、防衛庁、この金額認めないのですか。まだ調査しなければわからないのですか。そんな程度の調査だったら、そんなのは意味がないじゃないですか。だから、本会議やってから今日まで何の調査をしていたのですか。この逮捕状に書かれてある損害、背任金額、認めますか、認めませんか、どうです。——君に質問しているのじゃないのだ、長官だ。長官に答えて。
  51. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 繰り返しになりますけれども、とれは現実的に地検の方で捜査を展開中でございますから、その方向を我々も見定めていかなければならないし、また、そういう逮捕されたという事実関係に基づいて我々もこのニコー電子関係について引き続いて調査はさせていただきたいというふうに思っております。
  52. 坂上富男

    坂上委員 これ以上言っても始まりませんが、調査中調査中というのは、何にも調査しないということじゃないですか。だって、あなた、検察庁の、よその官庁の方が速いのだ、調べるのに。あなたたち一生懸命調査しているのだと言うけれども、ちっとも結論が出てこないのじゃないですか。少し嫌みな話でございますが、御指摘だけしなければいけません、これは。本当に、検察庁が逮捕される前から、こんなの自首させぬとだめですよ、申しわけありませんでしたと。自首という制度わかりますか、反省をして犯罪を認めて、そして処罰を求めるというのを自首というのですよ。こういうようなことを積極的にやらぬといかぬです、防衛庁は、本当に反省しているならば。  先ほどあなた答弁しようとしたが、あなた、答弁、どういうふうな答弁したいのか、答えてごらんなさい。
  53. 及川耕造

    ○及川政府委員 大臣お答え申したとおりでございます。
  54. 坂上富男

    坂上委員 そんな程度では困るんです、さっき言ったように。もう本当に防衛庁が反省をして、検察庁に協力をすると言っている以上は、直ちに事実を調査して、これについてきちっと、場合によっては自首させる、そういう行為がなければいかぬですよ、あなた。それを、検察庁に逮捕されてから、これからやっと調べてみますなんというようなこと、こんなこと許されるの。  さて、今度、ニコー電子のことは今大体わかりました。あと二社についてはどうなんですか、調査。調査、どうですか、二社について。判明しましたか。
  55. 及川耕造

    ○及川政府委員 二社についても調査をいたしておりますけれども、特に現段階で大きな問題というふうな形で調査結果が出るというまでには至っておりません。
  56. 坂上富男

    坂上委員 これも不当要求によって、不当に過払いをされたと言われているわけです。そういうことは全くないと言えますか。どうぞ。
  57. 及川耕造

    ○及川政府委員 おっしゃるとおりでございます。精いっぱいさらに調査を続けさせていただきたいと存じます。
  58. 坂上富男

    坂上委員 今の段階でどんな結論が出ていますか、今の段階で、本日現在の段階で、二社について。
  59. 及川耕造

    ○及川政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、二社について今の段階で特に大きな問題というのは発見できておりません。
  60. 坂上富男

    坂上委員 これはあなた方、調査するにもしようがないんじゃないの、資料がなくて。焼却してしまって、証拠隠滅してしまって、だからそんな答弁しかできないんじゃないの。検察庁は独自できっとこれから捜査するんじゃないんでしょうかね。  では、今度はこういうことを聞きましょう。萩長官、おられましょうか。こういう報道がなされておりますが、どうですか。  NECの長沢支配人、長沢支配人というのは逮捕されている人ですね、この人とあなたは東大経済学部の同級生。それで、調本が特別調査をNECにしょうとしたところ、あなたに依頼をして特別調査をストップさせたと言われておるわけでございます。これは、内部調査はどうなったですか、内部調査、この点の内部調査。  それで長官、萩さんですか、施設庁長官、この事実はどうですか。まず、あなたの方から御答弁いただきましょうか、こっちの方から。
  61. 及川耕造

    ○及川政府委員 お答え申し上げます。  萩施設庁長官に調達実施本部長当時のことにつきまして確認をさせていただきましたところ、御指摘のような、NECから特別調査を外すというような形の依頼を受けたというようなことについては記憶にないということでございました。
  62. 坂上富男

    坂上委員 記憶にない。  どうぞ、御本人。
  63. 萩次郎

    ○萩政府委員 ただいま先生が挙げられましたような報道は承知しておりますが、私としては、そのような依頼を受けたという覚えがございません。
  64. 坂上富男

    坂上委員 この辺は議論してもしようがないから、いずれ証人喚問か何かで明確にしたいと思いますから、どうぞ長官、もう少しよく思い出して、本日の答弁と食い違いが起きたら大変でございますから。  こうやって報道されているわけでございますからね。この報道が間違いだったら、名誉毀損でやらぬとだめなんじゃないですか。きちっと対応してください。間違いだったら間違いだと言って、早いところ連絡してください。いずれ我が党で証人、参考人喚問の申請をどこかの委員会でやる予定でございますから、どうぞ食い違いが起きるなんということのないようにお願いをしたいと思っております。  さて、今度は会計検査院でございます。  本来的なのは私は後でまた質問しますが、差し当たり、諸田第二局長さん、円谷審議官さんらは、上野元副本部長らと一緒になってゴルフをやったり飲み食いをしたりしたというように言われております。こういうことは何回ぐらい、どこでゴルフをやったのか、それから、飲んだとするならばどこでやったのか、出席者はほかにどういう人たちだったのか、これはひとつできるだけ、今知っている限りにおいて御答弁くださいよ。
  65. 諸田敏朗

    ○諸田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  古いことなので、日時、場所、出られた方等については記憶が定かではございませんが、食事をしたということはあったと思います。その際の費用は負担しております。  また、ゴルフにつきましては、私的な会でございますけれども、組は違ったと思いますが、一緒だったことはあります。その際の費用についても個人個人で負担しております。
  66. 坂上富男

    坂上委員 この問題も会計検査院の検査の正確さのために質問をしているわけでございます。  まさに防衛庁は、会計検査院に対しても天下りのあっせんをしたり、そして今度新しい事実で、こうやって飲み食いをしたりと言われておるわけでございます。  今の御答弁を聞きますと、ただ官僚同士の仲間としてやったという程度のことでございますが、これまた役所が違いますし、また、あなた方が検査をする立場にある方々と一緒になったり食事をともにするなんというのは、だれがどう負担したかわかりませんし、いずれ調査の結果が出てくるでしょうからそのとき明確にいたしますが、やはりこういうことも気をつけていただかぬと、我々は、あなたたちが本当にまじめに検査しているのだろうかということを大変気にしております。でありますから、この点も私は指摘をしておきたいと思います。  さて、今度、防衛庁のOBがニコー電子へ天下りしておるのはどれぐらいおられるのですか。大体の役職と人数等について答弁してください。
  67. 坂野興

    坂野政府委員 ニコー電子への防衛庁OBの再就職の状況でございますが、平成五年度から平成九年度までの過去五年間に離職した一佐以上の自衛官及び行(一)十級相当以上の事務官等で、離職後二年以内にニコー電子に就職した者は、当庁で把握しているもので、本年九月一日現在四名でございます。
  68. 坂上富男

    坂上委員 どういう役職ですか。
  69. 坂野興

    坂野政府委員 顧問ないし嘱託でございます。
  70. 坂上富男

    坂上委員 法務省、顧問だとか顧問料だとかなんとか言っていますが、どうもこの場合の顧問というのにはわいろ性があるのじゃないですか、この報酬について。この点、法務省はどう見ているのですか。どうも私は、何も仕事をしないで金ばかりもらっていたと思われる。わいろ性なんじゃなかろうかと思っていますが、法務省、この点、どう見ています。
  71. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 先生お尋ねの事項につきましては、現に捜査中あるいは既に公判請求した、公判に係属中の事案にかかわるものでございますので、具体的にそれがいかなるものか、あるいはどういうふうに法律的に評価されるのかということに私から言及するのは控えさせていただきたいと思います。
  72. 坂上富男

    坂上委員 これもぜひ、国民を使って恐縮でございますが、国民の名において、明確にこれはわいろ性があるかどうかということの調べをきちっと国民の前に公表していただきたい、こう思っておるわけでございます。  さて、大越運用局長さんがお出かけいただいているようでございますが、このいわゆる四社事案の中で、日本工機については鈴木さんが当時支出負担行為の認証官というのでしょうか、それから、東洋と藤倉とニコーについては大越局長が当時この認証官だというふうにお聞きをいたしております。一体、認証官というのはどういうことをなさるのか、お聞かせをいただきたいのでございます。  私の、防衛庁からもらった資料によりますと、支出負担行為担当官及び分任支出負担行為担当官の行う支出負担行為を認証する、こう書いてあるのです。認証というのは、正しいかどうかということを認証するのだろうと思うのであります。悪いことをしたことをよろしいと言って認証するのか、あるいは、これは間違いだと言って、これはだめだよと言って否認をするのか、こういうようなことはきっとあると思うのでございますが、どうですか、大越さん、ひとつこの任務について御答弁をいただきたいと思います。  そこで、私はあわせて一括答弁いただきたいのですが、東洋とニコーについては利息は五%、一括返納免除、それから日本工機と藤倉については利息は八%、そして一括返還、取引停止処分というペナルティーがあって、返還条件は全く違っておるわけでございます。一体、あなたはこれを認証するとき、こういうことについて具体的にどのようなチェックをなさったのでございましょうか。これは差別じゃないですか。しかも一方は、今言うならば犯罪行為だ。あなたは犯罪行為の承認をしたとするならば、これはやはり責任があるんじゃないですか。長官防衛庁長官、私は、やはりこれは行政上の責任はあると思いますよ。これは犯罪行為だったんだから。認証したんでしょう、これ。しかも、今度二社と差別があるわけだ。こんなようなことが許されていいのかどうか、私も本当におかしいと思いますが、こんなことを白昼堂々日本防衛庁で行われていたなんというのは全く想像を絶しておりますよ。どうですか、これ。
  73. 大越康弘

    ○大越政府委員 お答え申し上げます。  私が調本の総務担当副本部長に参りましたのは平成六年の七月でございます。したがいまして、日本工機の問題と東洋通信機につきましては、特に東洋通信機はその六月末に覚書が取り交わされておりますので、私が直接かかわりましたのはその後の藤倉航装とニコー電子であるというふうに認識をしております。  認証制度についてのお尋ねでございますけれども、支出負担行為認証官と申しますのは、予算執行の適正を期するために、支出負担行為担当官から送付を受けました契約書等の書類につきまして適正なものであるかどうかということをチェックして認証する、こういう制度でございます。  この事案について直接どうだということについては、今現在捜査の案件になっておりますものですから差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的に申しますと、調本で契約をします契約の件数というのは、新規の契約で約一万件、それから、途中でいろいろと契約の変更がございますので、両方合わせますと年間二万件近い契約がございます。これについて認証をするということでございますけれども、実際にこれを認証するスタッフというのは、会計課に六人前後の者、スタッフしかございません。一年間二百日間の仕事をするということを仮定しますと、一日に百件の認証ということになります。  したがいまして、その審査の内容と申しますのは、その金額の是非ということではなくて、むしろ契約の金額自身が支出負担行為を認められている金額の中に入っているかどうか、あるいは、部分払いで申しますと一〇%を残す必要があるわけでございますが、それがきちんと残っているかどうか、あるいは、調達要求元からの要求どおりのいろいろな納期、納地、そういうものがきちんとなっているかどうか、契約条項の中にいろいろな特殊条項がございますけれども、そういった書類がきちんとそろっているかどうか、そういった形式的なことをチェックして認証するというのが実態でございます。
  74. 坂上富男

    坂上委員 私の質問、何を聞いているの、あなた。私の発言、わかっているの。利息の差別だけでもどうしてこんな差別があるの、こう聞いているのよ。それから、一括返還と分割返済でどうしてこう差別があるの、こう聞いているんです。それだけです。御答弁なさい。
  75. 大越康弘

    ○大越政府委員 お答えいたします。  この件につきましては現在捜査中の案件でございますので、私がここに述べることについては差し控えさせていただきたいと思います。御了解いただきたいと思います。
  76. 坂上富男

    坂上委員 検察庁みたいな答弁しなさんな。捜査に何の影響もない、こんなことは。もう一遍答弁しなさい。捜査にそんな関係ないですよ。あなたは捜査官じゃないんだ。どちらかというと疑いの目をかけられている方なんだ。まかり間違えますと共謀ですよ、これは。御答弁なさい、どうぞ。発言を求めます。
  77. 大越康弘

    ○大越政府委員 繰り返して恐縮でございますけれども、現在捜査中の案件につきまして認証官としてどのようにかかわったかということについては、捜査中でございますので、この場でお答えすることを御容赦いただきたいと思います。
  78. 坂上富男

    坂上委員 委員長、こういう答弁だとこれから質問を続ける——速記とめてください。続けるわけにいきません。捜査に影響なんか何もないですよ、こんなの。利息が違うことをどういう理由ですかと聞いているんだ。何が捜査に影響あるんですか。きちっと答弁しない限りは続けられないですよ。答弁させてください。
  79. 塩田晋

    塩田委員長 ちょっと速記とめて。     〔速記中止〕
  80. 塩田晋

    塩田委員長 速記を起こしてください。  ただいまの坂上富男君の質疑に対しまして、防衛庁初め各当局は、積極的に、誠心誠意、坂上富男君の要求に対しまして十分に答えられるように、説明をしていただくようにお願いいたします。  坂上富男君。
  81. 坂上富男

    坂上委員 極めて簡単なことなのですよ。利息のパーセンテージが違うのはどういうわけですかとこう聞いているのだ。これが何で捜査に影響を及ぼしますか。一括返還と分割返済は何で区別をしたのですか。これは、あなたたちは、たくさんあったから見逃したら見逃したと答弁しなさいよ。いや、わかっていたけれどもさせたということになれば、あなたは共犯なのだよ。刑罰を受けるおそれがあるから答弁できないというのならいいですよ。どっちですか。どうぞ。
  82. 大越康弘

    ○大越政府委員 申し上げます。  先ほどから申し上げておりますように、現在捜査中でございますので私の方から申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしましても、当時その利率が適正であったかどうかということにつきましては防衛庁の中でも現在いろいろと調査しておるというふうに承知しておりますので、その結果にまちたいというふうに思います。(発言する者あり)
  83. 坂上富男

    坂上委員 この答弁は承認できません。  長官、皆さんの御答弁によると、今調査をしている調査をしているということで、この調査には二つあるのでしょう。一つは証拠隠滅に対する調査会の報告、一つは過払いに対する調査報告とあるわけだ。二つのあれがあるわけでございますが、では、一体いつ答弁をするつもりですか、調査会の報告について。報告書をいつ出すつもりですか。あなた方の答弁の形を聞いていますと、全部調査会調査会、そしてそれをいつ提出するかもわからないのだよ、今調査会で調査をしておりますから答弁は遠慮をいたしますと。それで、今度詰まると何を答弁しているかというと、捜査中で、捜査の秘密。検事みたいなことを言ってなさんな。こんなのは、さっきも不規則発言がありましたが、承知したわけじゃないのですよ。ただ私は、自衛隊の諸君がまことに安い賃金で命がけでやっておるから、一日も早くしてあげたいと思っている。しかし、そのことのためにはあなた方の襟を正さなければならぬから私は厳しくやっているのです。私の質問は確かに冷たい質問です、さっきと違って。だけれども、これが国民の怒りの声なのです。でありますから、きちっと答弁してもらわぬとだめですよ。わずかに、利息の違いについて何の捜査上の秘密があるのですか。  私は今度長官質問しますが、今言った二つの報告をいつ出しますか。もうあすで会期が終わりです。あすのうちに出せますか、この二つの調査結果を。長官どうぞ。
  84. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 私どもは、新聞報道によります、組織的、大量に証拠隠滅を図ったのではないかということについて、これが事実だとすれば重大事件である、重大な案件であるというふうに受けとめまして内部調査をスタートしておりまして、既に二百人余りの職員からいろいろな聞き取り調査を行ってきたところであります。  私は、みずからの考えで、できるだけ早く国民皆さん方の前に明らかにしたいという思いで、でき得るならば国会会期中に中間報告的なるものをお示しをしたいというふうに今日までやってきたわけであります。しかし、残念ながら、まだあしたじゆうにこの中間報告をまとめることができるという段階にはなっておりません。  それは、いろいろと、二百人余りも聞き取り調査をいたしますと、さまざまな矛盾とか食い違い等があったりいたします。それを、ではどういうふうに裏づけ捜査をしていくかとか、また、新しい聞き取りがあればそれの整合性も図らなければならないとか、あるいはまた、今後、正しい報告をつくるというようなことから時間が若干かかっているところであります。できるだけ早急にまとめるように努力をしております。ウサギとカメではありませんが、カメはおくれても必ず目的に達します。ですから、ぜひ私どもの努力のことについては御理解をいただきたいというふうに思っております。
  85. 坂上富男

    坂上委員 では、こういうことを調べていますか。海上幕僚長、幕僚部というのですか、ここに、全く関係のない防衛庁の資料が置かれていたというのか隠されていたというのか、これ、事実ですか。海上幕僚長もこういうような何か変なことがあったの。その真相をひとつ答弁してください。
  86. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 ただいま大臣から申し上げましたように、調査委員会でいろいろやっておりますが、その中で、今先生指摘の件でございますけれども、調達実施本部の職員が、九月三日に強制捜査が入ったわけでございますが、その直前に、段ポール箱二箱ぐらいと申しますが、小型の段ボール箱のようでございますが、それを、前に勤務しておりました海幕の課に二つ運んだということは聞き取りの結果で承知しております。本人は、それはあすからのというか日常の業務に必要なものだったので、検察庁の方に押収されるとあしたから仕事に困るというようなことで持っていったというふうに言っておりますが、その辺のことにつきましては、さらに私どもも詳細、調査したいと思います。  それから、海上幕僚長云々というお話がございましたが、この件については、当然のことながら、持ち込まれたその海幕の課の職員はもちろん知っておったわけでございますが、いわば個人ベースの話でございまして、海上幕僚長は当然このことは知らなかったというふうに思っております。  なお、どのクラス、だれかということでございますが、調達実施本部の課長補佐クラスの者が自分の判断でやったというふうに今のところは聞いております。
  87. 坂上富男

    坂上委員 その預かったのを、いつ、どこへ返還した、こう聞いているの。それで、これ、検察庁は十四日に押収したでしょう。どうですか。答えてください。
  88. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 失礼いたしました。  その箱は、その後ずっと、九月の十四日まで実はその海幕に置かれていたようでございます。それで、十四日に再度の家宅捜査が入りました際に、本人から地方検察庁の捜査員に対しまして申告をいたしまして、地方検察庁の方では、現場を確認した上で押収したということでございます。(坂上委員「どこで押収したのですか、どこで」と呼ぶ一現場で、海上幕僚監部の建物の中で押収したということでございます。
  89. 坂上富男

    坂上委員 法務省、三日の日に防衛庁の家宅捜索をやりましたね。十四日にもやったですよね。この罪名はいずれも背任ですわね。これ、どうして二度もやったのですか。もしも一日目がやれなければ、翌日まで続くでしょう。何でこんな間があったのですか。  間があったというのは、今言ったように海上幕僚部に行っているとか、まだあっちこっち、きっといっぱい行っているかもしれません、こういう状態であれば。あっちこっちに行っているものだから、それで、検察庁の方でいろいろ捜査をしたら、大事な証拠はみんな隠滅しておる。一体どういうんだといって、場合によっては証拠隠滅罪ですよと言われて、びっくり仰天をして、もう一遍やってくださいといって、十四日にやったのでしょう、これは。  私がしゃべったことは事実かどうかは別として、二度も、しかも間隔を置いてやらなければならなかった理由だけ、家宅捜索の御答弁ください。
  90. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 お答えいたします。  先生お尋ねのように、九月三日とそれから九月十四日の二回、いわゆる東洋通信機事案の背任事件を被疑事実として、防衛庁等の捜索を実施しております。  ただ、なぜ間隔を置いて二度もやったのかというお尋ねは、まさに捜査の内容そのものでございますので、これ以上詳しく申し上げるのは控えさせていただきます。
  91. 坂上富男

    坂上委員 法務省、刑事局長、私が聞いているのは、その日家宅捜索をやって、その日終わらなかったならば翌日、その翌日とやるんじゃないでしょうかとこう聞いているわけです。何でこんなに間隔があるんだろうかという一般的な話でいいから、御答弁してくださいよ。  これは、やはり防衛庁の証拠隠滅にかかわって、とんでもないことをしていたものだから、それでもう一遍やり直したということじゃないですか。これ、背任の証拠なんというのは、もうやるだけやったんだから。  本日、防衛庁、また家宅捜索をやりましたか。それもあわせて御答弁ください。
  92. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 まず最初に、三番目の本日でございますが、先ほど冒頭で申し上げたニコー電子事案につきまして、やはり背任の事件でございますが、防衛庁の捜索は実施しております。  それから、お尋ねの一点目でございますが、確かに、一般論で申し上げますと、大規模な事案では捜索を二日にまたがって行うことも間々あります。それから、事案によりましては、捜査は進展するものでございますので、その内容と必要性に応じまして、間を置いて再度実施するということも、間々これもあることでございます。  いずれにしても、どういう必要性があったのかということについては、先ほどと同じお答えで、お答えを差し控えるということになります。
  93. 坂上富男

    坂上委員 もう私の時間は経過しておりまして、石井先生から、おれの分延びてもいいよという大変な御協力あるのでございますが、私、実はまた所用もありまして、本日質問事項はまさに三分の一も終わっておりませんが、また決算委員会等もいろいろあるそうでございますので、そのところで質問をさせてもらいます。  私は、防衛庁に要望したいと思います、長官。  こうやって、本当にまじめに答弁していられるのだろうか。もう裸になって私たちに御答弁いただきたいと私は思っているわけですよ。  今聞いている限りにおいて、これを聞いた人はどう思っているだろうか。私はやぼな質問をしているのだろうかとこう思われるか、あるいは、防衛庁は隠しに隠して、逃げるに逃げるために答弁をしていると思われるだろうか。これは国民が判断することでございますが。  私は、本当に防衛庁が裸になって、本当にうちの方はこれが間違っておりましたと言って自首させるぐらいの対応をしていただかぬといかぬと思いますよ。本当に反省していますなんて言うたって、上辺ばかりだ、実態は答弁も満足にできないじゃないの。事実関係調査中でございますと。いつ提出をするかと言えば、いつ提出できるかわかりませんが早急にだ。こうやって、国会を免れよう、逃れよう、引き延ばそう、これだけなんじゃないですか。私はいかぬと思いますよ。  起きたことは仕方がありません。私も弁護士ですから、場合によっては弁護に立ってもいいのですけれども、そういうわけにもいかぬでしょうが。とにかく、本当に反省というものが答弁の中にも出ているとすれば、私なんか一番気のもろい方でございまするから御協力もしたいんでございますが、まだまだこれは徹底的な追及をしないと、私たち議員としての務めを果たせない、こう思っておるわけでございます。  決して長官が隠しているとは思いませんけれども、長官ももっと厳しく、あの厚生省でエイズの問題があったとき、本当にうちの菅さんが厳しくやられましたが、もう防衛庁を組織再編成してもいいですから、やはり徹底的にやることが国民の信頼をかち取ることだろうと私は思っておりますので、ぜひひとつ要請をいたしまして、またの機会に御質問をお許しいただきたい、こう思っております。  以上でございます。ありがとうございました。
  94. 塩田晋

    塩田委員長 次に、石井紘基君。
  95. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 防衛庁長官に伺います。  北朝鮮から、ミサイルが飛んできたのか宇宙衛星の端くれが飛んできたのか、その点の判断はどういうふうになりましたですか。
  96. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 お答えいたします。  防衛庁といたしましては、アメリカ側で人工衛星が失敗したというケースも考えられるということがありましたので、専門員をアメリカに派遣をいたしまして、いろいろ意見交換をし情報交換をしてまいりました。  しかし、それにもかかわらず、防衛庁といたしましては、弾道ミサイルの可能性が高いというふうに当初言っていた考え方をまだ持っております。  したがって、この整合性につきまして、アメリカ側の、人工衛星が失敗したという考え方について、まだ若干ギャップがあるものですから、これについて引き続いてきちっとした考え方をまとめるための分析作業を行っているというふうにとっていただきたいと思います。
  97. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 対北朝鮮政策ないし防衛政策という面で、韓国の大統領が来られる際には、そのあたりに触れた話が出るのじゃないかと思いますが、それはいかがかということと、その際にも、やはりミサイルであるという立場から議論をされる予定ですか。
  98. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 これは、小渕首相と金大中大統領の間で話し合われることになると思いますが、私の立場で、今コメントする立場にないわけでありまして、その共同声明も今まだ作成中の段階ではないかというふうに推測をいたします。
  99. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 長官は全然かかわらないのでしょうか。  まあ、それはいいです。  それともう一つ、NECの工場から防衛庁の秘密が漏えいしたという事件でございますが、これは防衛秘密というものと、それからまた防衛庁の内部の秘密というようなことがいろいろあると思うのですが、一体こうしたものに対しては法的な手段というものはないのでしょうか。
  100. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 これまでも国会の中で何回か議論された案件でございますけれども、私どもは、このNECの秘密が外部に漏れたということについては重大な問題として受け取っておりまして、本日、依命通達といいますか、私が命じまして、事務次官を通して関係部門に、契約企業の秘密保持について万全を期すように通達を出したところでございます。そして、周知徹底を図って、再びこういうことが起こることがないようにしたいというふうに思っております。  大ざっぱに言えば、防衛庁の秘密につきましては、防衛庁自衛隊員がそういうことを漏えいしたりした場合は刑事罰がありますけれども、一般の国民の場合は罰則規定がないというふうに受け取っております。  したがって、今後徹底的に、こういうことを考えていく場合には、国会の場でもいろいろと御議論をしていただくことが適切ではないかというふうに思っております。
  101. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 それはちょっとおかしいと思うのですね。もともと防衛庁にあった庁秘か何かの秘密が漏れたわけですから、よその人が来ていきなり直接持っていったというわけではないのでしょうから。そうすると、防衛庁隊員が全然かかわっていないということはないのではないですか。そのあたりは調査されたのですか。
  102. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 申しわけございません。担当の政府委員がおりませんので、私が承知しておる限りで御答弁をさせていただきますが、平成二年のNECの件は、たしかNECに発注しているものがございまして、その関係上、必要な秘密書類を渡したということだと思います。  これは、一般的に申しまして、私どもの装備品発注の際あるいは修理の際にある種の秘密のものを企業側に渡さなければならないケースというのは間々あるわけでございます。それは、当然のことながら契約の中で、企業側も必ずその秘密を守ってくれるように契約書上明記してあるわけでございまして、平成二年のケースは恐らく契約上の約束が守られなかった例、その原因は私ちょっと存じませんが、そういうことに理解をしております。  そこで、先ほど大臣から御答弁申し上げました通達と申しますのは、事務次官が大臣の命によりまして、部内の契約の関係を持っておりますところに対しまして、今後民間と契約する場合にはそういう点を十分注意するように、また企業側にもその点をよく理解してもらうようにという趣旨のものでございます。
  103. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 私は、将来のことを言っているのではないのですよ、その事件について言っているのですよ。契約の相手方であろうと何であろうと——では契約の相手方だったら秘密が漏れていいという話ですか。それはおかしいのではないですか。それは、契約は契約、庁秘は庁秘、防衛秘密は防衛秘密ですから、契約を通して漏れようと、あるいは友人関係を通して漏れようと、どういう形で漏れたにしろ、それが漏れたということは、漏らした人がいるわけでしょう。その責任があるのではないですか。
  104. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 先ほども申し上げましたが、大変申しわけございません、ただいま担当政府委員がおりませんので、私は細部を存じておりませんので正確な御答弁をいたしかねますが、一般論で恐縮でございますけれども、先ほども申し上げましたように、企業に何らかの発注をいたします場合には、当然その秘の部分も示さなければ製品がつくれない、あるいは修理ができないということがあるわけでございまして、そこまでは当然のことながら合法的な行為であるわけでございます。そこから先、企業がきちんと秘密を守って、修理なり物の製作なりにそれを役立てている分には何の問題もないわけでございますが、あるいは企業の中から何らかの関係で漏れたとすれば、大変問題だというふうに認識をしております。  もちろん、先生がおっしゃるとおり、だれかがやったわけでございまして、今回の場合、今後そういうことのないようにという通達をしたわけでございます。     〔委員長退席、浅野委員長代理着席〕
  105. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 質問の通告もしておりませんでしたので、そこのところは問題提起をしておきますので、きちっと見解を出してもらいたいと思います。  それから、例の防衛庁の背任事件に移りますが、先日の決算行政監視委員会でもって防衛庁長官は、東通に限られたかもしれませんが、この件については全面的に防衛庁のこれまでの主張を撤回するというふうに言われたと思いますが、その中で、一つは、東通、八億七千四百万、これに対して追加の支払いを、返納を要求するということも言われたわけですが、そもそもどういう算定に基づいて八億七千四百万になったかというのがわからなかったわけですね。そのわからないものを、さらに追加して支払いを求める、返納を求めるということになりますと、これはますますわからなくなると思うのですが、それは幾らぐらい返納を求める予定なのか、そして、その幾らぐらいということの根拠は何なのか、そのあたりをお示しいただきたいと思います。
  106. 及川耕造

    ○及川政府委員 先生御案内のとおり、起訴をされた検察の方から、なお足りないと申しますか、追加的に国損が生じている額というのは約二十一億というふうに私どもは承っておりまして、その具体的内容等は、今後の捜査の進展並びに公判等で明らかになってくると存じます。  いずれにいたしましても、その額が一つの目安として、私どもは関係当局等とも御相談をしながら返済の手続を進めなければいかぬのかというふうに思っておるところでございます。
  107. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 東通、二十一億ですか。
  108. 及川耕造

    ○及川政府委員 起訴をされましたときに検察の方から発表されました点によりますと、約二十一億円の国損が残っている、こういうふうに伺っております。
  109. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 大体、捜査中であるとか起訴中であるとか言って、防衛庁は詳しいことを言わないのですが、そうすると、これについては検察が出しているとおりの数字を丸のみする、こういうわけですか。それは、どうしてそうなのでしょうか。
  110. 及川耕造

    ○及川政府委員 検察当局の方でお調べになりました点にはそれなりの一つの権威があろうと思っておりますけれども、私どもは、そのままその数字をということではなくて、それは非常に重要な数字だと思っておりますけれども、なおしかるべき関係の機関等と御相談をしながら最終的な額を確定したい、こういうふうに思っているところでございます。
  111. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 大体、先日も、従来の防衛庁の見解を防衛庁長官が撤回をするに当たって言われたことの一つは、このように強制捜査も行われたことでもあるし、それに対して責任を感ずるのでというようなことを言われたと思いますが、そうすると、強制捜査が行われたとか地検でもっていろいろと防衛庁の疑惑が追及されておるから、だから地検の言うとおりにするのだ、こういうわけなんですか。
  112. 及川耕造

    ○及川政府委員 大臣の方から強制捜査という点のコメントがあったかどうか実は……。恐縮でございます。  大臣が今回撤回する理由として申し上げましたことは、一つは、確かに起訴されたという事実の重み、いま一つは、当時の関係者の一部からこれまでの積算というのは適切ではなかったという見解が寄せられた、この二点で申し上げたわけでございまして、私どもも、それを踏まえますと、この起訴事実の重みというのを踏まえまして、返済の手続を早めなければいかぬ、こういうふうに認識したということでございます。
  113. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 従来は、この返還額というものは正しいのだという答弁で一貫してきたわけですよ。それで、地検でそういうふうに起訴される、強制捜査をされるということになったら、違っておりましたと、これでは全然主体性もなければ説得力もない。  どういうわけでそういう数字になるのかというのを、少なくとも今の答弁では二十一億、こういうふうに言われたわけですね。では、なぜ八億七千四百万が間違っておって、さらに追加分二十一億必要なんだというふうに、防衛庁として自分の判断で、なるのか。この根拠は、いずれにしてもどうしたって必要な問題ですよ。どうですか。
  114. 及川耕造

    ○及川政府委員 私どもは、従来、八億七千万というのは両者の和解交渉によって決着をした数字ということで、それなりの一つの合理性を持つものではないかというふうに考えていたわけでございますが、先ほど来御答弁申し上げておりますように、その前提となりました事実関係というものの認識が根底から覆ったわけでございます。  そういたしますと、初心に返りまして、言ってみれば予定価格訓令を援用して算定すべきではないかということになりますので、そうなりますと、恐らく検察の方で提示をされましたなお二十一億円近い国損額というのが生じているのではないか、こういうことでございます。  ただ、細かい数字等につきましては、今後関係の御当局等と検討させていただきたい、こういうことでございます。
  115. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 それはもうますますつじつまの合わないことにつじつまの合わないことを積み重ねていくようなことになるのだろうと思いますけれども。  そうすると、今度のさらに追加でもって請求する分については、これはどういう形をとるのですか。以前は覚書という形を各企業との間でとった。そして、それを返納させたと言っているのだけれども、返納させていないことが先日の議論でも明らかになったわけですが、そうすると、今度はきちっと返納させるわけですか。
  116. 及川耕造

    ○及川政府委員 返納額の正確な算定並びに返納方法につきましては、関係機関と御相談をさせていただきまして決定していきたいというふうに思っております。
  117. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 それは、ニコー電子の問題も関連してまいりますけれども。そうすると、各企業との間で再び何かの契約を結ぶのですか。あるいは、もし企業の方が防衛庁が言う金額では承服できない、あるいはその金額がどうしても正しい算定の方法がなくて、みんな資料を燃やしてしまったり隠してしまったりしたわけですから、できないということになった場合にはどういうふうに、今度は防衛庁の方が企業に対して不法行為ということで訴えるということになるのですか。どういう方法になるのですか。
  118. 及川耕造

    ○及川政府委員 今直ちにこういうやり方というものを持っているわけではございません。したがいまして、そういう点についての専門家であります関係機関、あるいは主観的な解釈をできる省庁等と御相談して、どういうやり方が一番いいか検討させていただきたいと思っているところでございます。
  119. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そういういい加減な、全くあいまいな形で、さらに国損が二十一億東通に対してはあった、そういうふうなことを言い出す。根拠というものは示せない。  ニコー電子については、やはり地検の言っているとおりの金額をさらに追加で請求するのですか。
  120. 及川耕造

    ○及川政府委員 これについては、本日一部逮捕された方が出た段階でございますので、もう少し捜査の状況等を踏まえて検討させていただきたいと思っております。
  121. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 さっきの坂上委員に対する答弁では、ニコー電子についても十四億幾らということでもって、数字はそのとおりでございますという答弁があったのではないですか。
  122. 及川耕造

    ○及川政府委員 ちょっと、その十四億というのは私の方から申し上げていないと思いますけれども。たしか法務省の方でそういう数字を挙げられたのではなかったかと思います。(石井(紘)委員「だから、それで防衛庁はそれでいいと言ったんじゃないですか」と呼ぶ)  私どもの方からいいのどうのではなく、それは、まさに容疑の事実としてあるということは受けとめておりますけれども、それが最終的な額になるか。東通のときも、御案内のとおり、逮捕のときの国損額とそれから起訴事実のときは違っておりますので、今後の捜査の進展をなお見守る必要があるのではないかというふうに思っております。
  123. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そうすると、別の聞き方をすると、ニコー電子についても東通と同じようなやり方、似たようなやり方を当時やって、覚書ということで二億九千七百万、三億からちょっと、三百万だけ足りない、そういう数字にしたわけですが、これは、ニコー電子についてもやはり追加でもって国に、これも国損を与えていると言っているわけですから、追加分というものが当然あるというわけでしょう。そういうわけですね。
  124. 及川耕造

    ○及川政府委員 いずれにしましても捜査の進展を見守りたいと思いますけれども、もしそういうことで確定的なことになってまいりますれば、適切な措置をとってまいりたいというふうに思っております。
  125. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 防衛庁としての主体的な、自分の頭での判断というものはどうなのですか、ないのですか。防衛庁は全部向こう任せというのですか。そうならそうと言ってください。
  126. 及川耕造

    ○及川政府委員 私どもなりに精いっぱいそれなりの調査をさせていただいておりますけれども、いかんせん、やはり強制調査権のない省でございますので、その限界はぜひ御理解を賜りたいというふうに思います。  また、逮捕あるいは起訴という事実の重みはそれなりに受けとめるべきであろうというふうに思っております。
  127. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そういうあいまいな答弁ではだめですね。強制捜査権のない省——では、ある省というのはどこですか。強制捜査権がなかったら自分で自分の予算を決められないということですか。ちょっとしつこいようだけれども、そういう妙ちくりんな答弁をするから、私はそういうふうに言わざるを得ないのです。どうなのですか。
  128. 及川耕造

    ○及川政府委員 私どもといたしましては、東通に関しましては、繰り返し御答弁申し上げておりますように、起訴という事実の重み、そして関係者の一部の方の積算額が適正ではなかったという御見解等いただいた上で、今回、国損額の存続というものを判断したわけでございます。私どもなりにそれなりの主体性を持って判断したつもりでございます。  したがいまして、先生指摘のとおりニコー電子につきましても、今後の捜査の進展、私どもの調査の展開等踏まえまして、それなりのみずからの判断で決めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  129. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 防衛庁長官防衛庁はこの問題ではもう判断能力を失っているのではないですかね。答弁も全然一貫した答弁ができない。しかも、つい先週は、今までの防衛庁の主張は覆りましたということで、防衛庁のこの一年間主張してきたこと、あるいは上申書などという形で出してきたこと、覚書でやってきたこと、こうしたことは全部覆りましたということを防衛庁長官みずから言われた。これで防衛庁日本の防衛の信頼というものを保つことができるんですか。
  130. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 私どもがこれまでの考え方を撤回させていただいたのは東通の事件についてでございます。それに伴って国損が生じておるということになれば、関係法令に従って一括返還をさせていただきたいというふうに考えているわけであります。  今、石井委員指摘のニコー電子については目下捜査中でありますが、私どもといたしましては、これまで述べてきた考え方、それから東通の問題、それから地検当局の今後の捜査、そういうことを見ながら適切に処理をしてまいりたいというふうに思います。
  131. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 もう全然主体性がないんですよね。  今、例えば東通について、さらに追加の返納分があるという、防衛庁がそういう判断に立ったならば、これはもう予算の問題ですよ。直ちに予算の問題になるわけですよ。予算に対して、過年度の過払い分が明らかになったその現年度の収入に加えなきゃならないわけですよ。どういう形で加えるのですか。
  132. 及川耕造

    ○及川政府委員 まず、正確な債権額の確定を行わなければならないと存じます。それを踏まえまして、多分債権管理法に基づくことになるのではないかと思いますが、債権発生の通知書を会社の方に発送いたしまして、そこから回収を図っていくということになるのではないか、一括返還を要求……(石井(紘)委員「いつ」と呼ぶ)これは、日時をあれするわけにはまいりませんけれども、なるべく早くやりたいというふうに思っておるところ……(石井(紘)委員「今年度中にやるのですか」と呼ぶ)ちょっと日程はまだあれでございますが、なるべく早くやりたいと思っております。できればそれが望ましいことだというふうに思っております。
  133. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 いやいや、それは明らかになったその現年度にやらなきゃいけないのですよ。だが、それにしても、そういうことが全然根拠が出せないで、そんなことを軽々に言って……。  そうしたら、今のニコー電子の問題は、長官答弁によると、地検の調べやあるいは裁判の進展がなければ判断できない。これじゃ全然、防衛庁国民の税金というものはどういうふうになっちゃうのか、そういうことになるわけで。  そうすると、はっきり言ってもらいたいのですけれども、東通のことについてはそういうふうに、さらに返納を要求しますと。これだけ言っただけでも今までの全面転換ですから、これは大問題ですけれども、じゃ、ニコー電子については今言わないということになると、ニコー電子についてもそういうさらに追加の過払い分というものがあったということになったら、ではそのときになって今度は今の答弁を撤回するというわけですか。そんな無責任なやり方はありますかね。今の答弁と違うことが起こったら、今度こそは、これは防衛庁長官はみずからきっぱりと、官房長だとか次になった官房長をまた首にするんじゃなくて、御自分が責任をとるということはないのですか。     〔浅野委員長代理退席、委員長着席〕
  134. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 私は、だから東通の問題について、債権が発生すれば国損についてできるだけ早く一括返還をさせていただくような考え方を持っています、そういう事例を参考にすると同時に、地検の捜査等も考えながら、これから判断をしていく、適切に対処していくということを申し上げたわけでございます。
  135. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 まあ、こんな責任も何もない、自主的な、主体的な判断も何もないこういう防衛庁を相手に議論をしていてもしようがないので、やはり別の方法を考えなければいけないなと思いまして、つくづくそういうふうな感想を持ちましたので、申し上げまして、ちょっと早いですけれども私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  136. 塩田晋

    塩田委員長 次に、白保台一君。
  137. 白保台一

    白保委員 平和・改革の白保台一でございます。  私は、沖縄のさまざまにあります基地問題の中から何点か絞ってお伺いをしたいと思います。特に、最近問題になっているPCB汚染の問題や、あるいはまた地位協定三条三項の安全な作業ということについての問題や、そして同じく地位協定四条に関する問題、そして、一〇四号線越え実弾演習が終わりましたが、その不発弾の処理の問題等々、順次伺っていきたいと思います。  最近問題になっています米軍基地の汚染について伺います。マスコミの報道で、在沖米軍基地、特に嘉手納基地や牧港補給基地の元従業員らの証言によるPCBの扱い方がつぶさに報道されています。そして、これが大きな反響を呼んでいるわけであります。  PCBについては、国内においては、特に変圧器などの保管について最近我が会派の大野由利子議員が政府質問主意書を出しましたところ、その答弁書で厚生省が、九月十八日、有害化学物質のポリ塩化ビフェニル、PCBを含んだ変圧器などの廃棄物の保管状況を全国の事業所を対象に調査するとして、以来、それでは嘉手納の問題や牧港の問題はどうするんだ、こういった話等も出てきているわけであります。  そこで、ちなみに申し上げますが、報道されているものは極めてセンセーショナルな形でもって報道されています。したがって、私は、このPCBの問題について確認をしておきたいと思いますが、絶縁性が高いことから変圧器などによく使われました。しかし、カネミ油症の原因物質とされたために生産や使用が禁止され、PCBを含んだ変圧器などは厳重な保管が義務づけられています。  しかし、九二年の調査で全体の二割に当たる事業所で変圧器などの紛失が明らかになったほか、現在も不法投棄が後を絶たない、こういうふうに言われています。このため、厚生省は、PCB廃棄物の適正な保管を徹底するよう都道府県に指示しておりますが、その後の調査はしていなかったわけでありますけれども、今年度、再度保管状況を調査する、こういうふうに先ほどの政府答弁書に出てきているわけであります。  そこで、まず最初に、厚生省に聞きたいと思いますが、米軍基地内のPCBの廃棄物の適正な保管に関してはどうすべきだというふうに考えておりますか。
  138. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 PCB廃棄物の保管状況につきましては、今先生指摘ございましたように、平成四年度に調査を行っておりまして、その後の状況をフォローするということが非常に重要だと考えておりますので、近々調査を実施することといたしているところでございます。  御質問の米軍基地の関係でございますが、日米地位協定に基づきまして日米合同委員会が設置をされておりますが、その合同委員会のもとに置かれました環境分科委員会の枠組みを通じまして、環境庁より、在日米軍におけるPCB品目の使用及び保管状況の照会を行っているところというふうに私どもとしては聞いているわけでございまして、厚生省といたしましては、関係する省庁と連携をとりながら情報の把握に努めてまいりたいと考えております。
  139. 白保台一

    白保委員 今の御答弁ですが、現在、米軍基地内については、合同委員会の下部にある環境委員会等を通じて照会をしているということですね。
  140. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 先生指摘のとおり、日米合同委員会のもとにございます環境分科会の枠組みを通じまして、PCBの使用、保管状況を現在照会中でございます。しかしながら、まだ回答には接しておりません。  いずれにしましても、この枠組みを通じて努力してまいりたいと思っております。
  141. 白保台一

    白保委員 この問題について新聞で大きく報道されて以来、政府は調査団を出して、二回にわたって嘉手納基地に入って米軍側からの意見を聞いたり調査をしたりしております。政府の方が二回入りました。その結果、どういうことがわかったのでしょうか。
  142. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 ただいま先生お尋ねの調査団につきましては、これは、報道されました一九六〇年代から七〇年代にかけて嘉手納飛行場内にあります地点にPCBが投棄されていたという問題に関する話だろうと考えますが、この点につきましては、下地沖縄開発政務次官を団長とする政府関係者が、先生指摘のとおり、二回にわたり現地に向かいまして米側から説明を受けたところでございます。  その点に関しましては、米側からは、九月二十八日の第二回目の調査団派遣の際に概略次のような説明がございました。  すなわち、報道されているような一九六〇年代から七〇年代にかけて同飛行場で行われたというPCBの投棄については、米軍において過去三十年間にわたる書類及び写真を入念に調査するとともに、関係者に対しインタビュー等を行ったが、報道されているようなPCBの投棄は今までのところは確認できていないという点が第一点でございます。  第二点といたしまして、在日米軍といたしましては、米国防省の方針に従い作成しておりますいわゆる環境管理基準に基づきまして厳しい環境管理行動を行っておりまして、嘉手納飛行場独自の環境対策として、有害廃棄物の厳格な保管を含めまして種々の対応をしており、国防省、本国からも高く評価されているというのが第二点目の説明でございます。  第三点目といたしまして、報道されているようなPCB汚染地点があるかどうかということを確かめ調査するために、米国防省が専門家チームの派遣を予定しておりまして、十月中旬にも派遣される予定であるという話がございました。
  143. 白保台一

    白保委員 二回入って、いろいろと米軍の方から話をお聞きになったと思いますが、私はこれからだんだんに明らかにしていきたいと思いますが、まさに軍隊というのは非常に閉鎖性、密室性があるな、こういう感じを強く持っています。  同時に、今おっしゃったとおり、まさに向こうの新聞にも、ため池が確認できず、そういったものの投棄はなかったと、こうやって大きく出ているわけでありますが、今おっしゃった中で二番目と三番目が矛盾するのですよ。そういう自信を持って、確信を持って米軍が言うのであったならば、何も調査団なんか来る必要は全くないのです。  だから、米軍の方の説明を聞いて、それで皆さん、まさにそのとおりだと思って納得して帰ってきたのですか。
  144. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 米軍は、米国防省の方針に従いまして、在日米軍に関しましては一九九五年以来環境管理基準というものを設けまして環境管理行動というのを行っております。これは、報道されております、現在問題になっております一九六〇年代から七〇年代にかけてのPCBの投棄という問題の当時にはなかった制度でございます。  それから、我々日本政府といたしましては、いずれにしましても、住民の方々の不安、いろいろな問題がございますので、米国側に対しましては、累次、あらゆるレベルにおきまして実態、事実関係の調査を行うよう申し入れを強く行いました。その結果と申しましょうか、米側としては、調査団の派遣ということを決定いたしたというふうに理解しております。  ちなみに、その米側の決定につきましては、去る九月二十日、ニューヨークで行われました日米安全保障協議委員会、これは閣僚レベルの委員会でございますけれども、その際に米側より、日本政府からの調査実施の要請を真剣に受けとめているという認識の表明がございまして、それで、報道されているような嘉手納飛行場におけるPCB汚染地点があるかどうかということを調査するために、国防省の熟練した専門家チームを派遣するということの説明があったわけでございます。
  145. 白保台一

    白保委員 今、米軍側の、あるいはアメリカ側の話を説明されたわけでございます。  そこで、この問題が今大きくクローズアップされてきているのは、一九九二年のマスコミの報道で、その際に、全駐労の沖縄空軍支部の皆さん方が、みずからの健康の問題やあるいはまた環境浄化の問題や、そういった問題の観点から、全員集まって懇談会を開いて、そしてその結果として、いろいろな結論として、さまざまな問題があったということを出しているわけですね。  したがって、私は、今米軍の方の話がございましたので、じゃ、政府はこの従業員の皆さん方の方からの聞き取り調査はなさいましたか。
  146. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  本件は、米軍基地内で起きた事案であるということでございますし、また一九六〇年代あるいは七〇年代に起きたという古い事案でもございます。  したがいまして、私ども、今回九月二十八日に四省庁調査団で参りましたときの米側の回答、すなわち米側から、十月中旬に米国本土から本件調査のための専門家チームを派遣する、そして調査するという回答を得ましたので、当面、米側の責任において実施される問題地点の調査の推移を見守るということ、これが第一点でございます。  また、環境庁といたしましては、今までやってまいりましたのは、問題地点の外側の海域につきまして、昭和五十一年度から沖縄県、環境庁共同いたしまして調査をやっております。そういうことで、いろいろ環境のチェックはやっております。そして、その延長線上で基地周辺についての環境調査をさらに行うべく、現在環境庁としては準備を進めております。そして、今後米側と調整を進めていきたい。こういうラインでの対応を優先させたい、こう考えております。
  147. 白保台一

    白保委員 いや、私が言っているのは、今の質問は、従業員の皆さん方からの聞き取り調査をされましたかというお話です。
  148. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 実施しておりません。  ただし、この件につきましては、約三十年前に起きたという極めて古い事案でもありますので、客観的なデータ把握は必要だと考えておりますので、私どもとしては、環境調査の結果の把握、これを優先したいというのが考えでございます。
  149. 白保台一

    白保委員 それは、あなたの方の言い方も言い分としてあるのだろうと思いますが、一九九二年の一月三十一日にアメリカの下院軍備委員会環境回復審議会の報告がマスコミで流れて、そして当時の駐留軍の労働者の皆さん方が集まって、一体これはどういうことだということでみんなで聞き取り調査をやって、その結果として、こういうことがありました、こういうこともありましたということが明確にまとめられているわけですよ。そのことが基本となって、今日のこの問題になっているわけです。  したがって、これは皆さん方も一方的に米軍の話や周辺の環境だけを見て判断するのではなくして、やはりこちらの方の意見もしっかりと聞かれることがいいのではないか、そういうことですよ。行いますか。
  150. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 先ほど来委員が御指摘の、一九九二年の米国側における調査の件でございますけれども、これは、私どもが理解いたしますところでは、一九八六年ごろでございましょうか、PCBの変圧器が漏れていたというような問題が明らかになりまして、それに関しましてアメリカの下院議員の調査報告が行われたという、その際のことであろうかと思います。  他方、現在問題になっております六〇年代、七〇年代のPCBの投棄の問題ということは、このいわゆるレイ報告書というものとは直接の関係はないのではないかと思います。  ちなみにと申しますか、元従業員に対する調査、インタビューでございますけれども、我々が下地政務次官の調査団から聞いておりますところでは、米側からの説明によりますと、米側における調査は、過去三十年間にわたる写真及び書類を入念に調査するとともに、当時の基地従業員を含む関係者に対するインタビューも行ったということを聞いております。
  151. 白保台一

    白保委員 ですから局長、それは、要するに米側が行った調査の報告ですね。日本側としては、こういう話が出てきた以上は、日本として従業員のお話等もお聞きになりませんかという話です。いかがですか。
  152. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 本件につきましては、やはり三十年前の古い事案ということでございまして、やはり一番重要なのは、科学的に客観的なデータの把握ではないかと思います。  したがいまして、私どもとして優先させたい対応といたしましては、今回米側の責任において実施される問題地点の調査の進捗、これを見守るというのが第一点、かつまた、これから環境庁の行う周辺環境調査の実施、これを優先させる、そういう形の対応が現実的ではないか、こう考えております。
  153. 白保台一

    白保委員 わかりました。  さて、今度、十三日にアメリカ側が調査に入りますね、米軍側がチームを組んで。米国防総省や太平洋軍司令部、在日軍司令部、専門家のチームが入りますね。そういうふうに答えられましたよ、先ほど。入りますね。  その入る皆さんと、我が方も、日本の方も専門家チームが一緒に入る考えはありませんか。
  154. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 今の十月十三日という具体的な日付については、そのような話もあったということは聞いておりますけれども、まだ確定されたものとは承知いたしておりません。  いずれにしましても、お尋ねの立ち入りといいますか参加の問題でございますが、政府といたしましては、米国防省の専門家チームが周辺住民の不安にこたえるべく科学的な観点から実施する調査というものの進捗を見守りたいと当面は考えております。  我が方の参加につきましては、政府関係者による何らかの立ち会いの可能性ということにつきまして米側と調整を図ることといたしたいというふうに考えております。
  155. 白保台一

    白保委員 十三日と確定したわけじゃないというお話ですが、今度の米側の調査を見守りながら、いずれにしても、日本としてもしっかりとした調査をされる、こういうことでよろしいですか。
  156. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 この点につきましては、先ほど来るる申し上げているとおりでございますが、我が方の強い要請にこたえまして、米国の方から専門家を派遣して調査をしたいということでございますので、当面はその米国の調査の進捗を見守りたいというのが我々の基本的な姿勢でございます。その結果によってさらに適切な対応を考える、こういうことになろうかと思います。
  157. 白保台一

    白保委員 先ほどから答弁を聞いていますと、今度の問題と、そしてまた一九六〇年代のああいった問題、さまざまな形の対応があるというお話でございました。  そこで、米軍は、国防総省は、海外における軍の活動に関係して、環境浄化をしていくという指示文書を持っているのですね。何十年前であれ、そこで活動した以上、土壌が汚染されていないか、水質が汚染されていないか、そういうことを長い期間をかけて、その環境浄化のために国防総省は方針を出しています。  ですから、先ほどから、それは六〇年代だろうとか七〇年代だろうとか、そういった話がありますが、国防総省の方針というのは、いつであれ、国防総省の海外活動におけるところの環境浄化、その活動というのは指示文書として出されています。だから、六〇年代だからどうだという話にはなりません。  そういう意味では、今回このように基地汚染の問題が出てきた以上、何十年前であれ、しっかりとした環境浄化をさせていくというのが本来の国防総省の考え方です。十年前、まあ七、八年前ですけれども、米下院の軍備委員会環境回復審議会、この人たちが、国防総省が海外活動をやっているところの調査をやっています。そういう中で、「一九七三年以降、海外の米軍施設は、受け入れ国の環境基準を順守し、適用される国際協定の条項に合致し、さらにそれらと矛盾しない米国の環境基準をも適用するようにという国防省の政策指導が存在したにもかかわらず、」「この政策が、太平洋地域では最近までほとんど無視されており、今日も不完全にしか理解されたり適用されたりしていないことを発見した。」数年前です。  そして、「現在の国防省の海外における環境政策指導は不十分である。なぜならば、太平洋における多くの施設では、受け入れ国の環境法や規則に無頓着てあり、複雑な米国の基準や規則に合致するように環境問題を扱うことの出来る人員を擁していない。」  言ってみれば、さまざまな問題が基地の中ではあるのです。結局アメリカとしては、環境を守れ、環境をしっかりと守って、そして汚染したところは浄化をしていく、こういう方針を持ちながらも、この基地の中にそういったことをやれる人員を配置していない、用意していない、こういう下院の軍備委員会の環境回復審議会の報告があるわけです。  したがって、言ってみれば、米側の報告がいろいろありますけれども、本当に環境という問題を基本に置いて考えられる、対応できる、そういう人たちが、米側自身がこれはもう人員を擁していないと言っているのですから、これをうのみにしてやっていけるのか。我が方の環境を守ることができるのか。極めて重要な問題です。  続けますけれども、「国防省の環境政策や規則に関する過去の無視や現在の混乱の結果、米国や受け入れ国の環境基準との不一致を継続させ、不必要な環境破壊や健康障害を生み出し続けている。」こういうことも書いています。そして、特に、国別の報告の中の「日本/沖縄」というところで、「環境保護は現在の米軍地位協定ではカバーされていない。日本の環境庁は、強制力を持たないので米軍の環境違反に対して行動をとらない。」こう言っています。  今のは報告の抜粋ですけれども、私が今申し上げたことをお聞きになって、どう考えられますか。
  158. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 米軍基地内における環境問題につきましては、地位協定上、やはり施設管理を専管する米軍が行うものということで、私どもは、基地周辺の、国内法でもって環境行政をやる分野について適正に対応している、これが現状でございます。
  159. 白保台一

    白保委員 したがって、アメリカの国防省は、その国の環境基準あるいはみずからの、アメリカの持つ環境基準に基づいて、環境を汚染した場合、浄化をしなさいという指示文書を出しているのです。ところが、受け入れ国にそういったものがない。しかも、地位協定でカバーできない。こういうことを、米下院の軍備委員会環境回復審議会が報告書を出しているわけです。この問題は非常に重要な問題なのです。  そこで、外務省にお聞きしたいと思いますが、いわゆる提供施設の中におけるところの安全な作業です。安全な作業を、妥当な考慮を払わなければいけない、こういう三条三項があります。このことについて御説明いただきたい。安全な作業とは何ですか。公共の安全、妥当な考慮、これは何ですか。
  160. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 御指摘の地位協定第三条三項でございますが、「合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って行なわなければならない。」旨の確認的な規定が置かれております。  ここに言われておりますいわゆる作業というものは、我々の解釈といたしまして、広く米軍の活動一般を含むものと解しておりまして、また、この条項に言いますところの「妥当」及び「公共の安全」ということにつきましては、在日米軍が、施設及び区域における活動に当たっては、その周辺における公共の安全とか、国民の、住民の方々の生活に非常な危険をもたらすことのないよう、適切なしかるべき考慮を払わなければならない、こういう趣旨を一般的に述べたものと考えております。  そこで、先ほど先生が御指摘になりました米軍の環境に関する取り組みでございますが、議会の報告書を御引用なさいましたが、現在、これは一九九五年以来でございますが、先ほど述べましたとおり、米国の基本的な方針といたしまして、国外における基地におきましては、これは日本を含みますが、いわゆる環境管理基準というものを設定いたしまして、これに基づいて環境管理行動というものをとっております。この環境管理基準というものにつきましては、米国内の国内法の基準と、それから相手国、接受国でございますが、この場合は日本でございますが、その国内法の基準のうち、より厳格な方を選択して基準としているということでございます。  一九九五年にこの環境管理基準が在日米軍について作成されまして、これは地位協定のもとにございます日米合同委員会のもとの環境分科委員会を通じて日本側にも提出をされまして、日本側の基準とも照合いたしまして、チェックをしております。二年ごとにこれを改定するということで事が運んでおりまして、現在、この環境管理基準に従った措置が米軍の施設・区域内で行われているということでございます。
  161. 白保台一

    白保委員 局長、今のお話はわかりました。  そこで、大事なことは、三条三項の問題で環境を含みますか。環境問題。
  162. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 三条三項が環境問題を排除しているということはないと存じます。また、地位協定の十六条におきましても、在日米軍が我が国の法令を尊重すべきことという点が確認されておるところでもございます。
  163. 白保台一

    白保委員 実は、よく聞いていただきたいのですが、沖縄県の基地対策室が定期的に発行しています「沖縄の米軍基地」の平成十年三月版がございます。その中に「PCB漏出事故」というのがあるのです。平成八年の三月十九日、那覇防衛施設局から県に対して、平成七年十一月三十日付で返還された米軍恩納通信所跡地の既存建築物の解体及び土地の復元工事中に、汚水処理槽内の汚泥や流出口付近からカドミウム、水銀、PCB、鉛、砒素等の有害物質が検出されたとの報告があった。この報告は、肥料取締法に基づき、当該汚泥が肥料として使用の可否はどうだということで判断するために検査をした結果、それに基づくものであったわけであります。  この問題については、その後、取り扱いについて大変那覇防衛施設局は苦労されました。県と那覇防衛施設局が大変苦労して、さまざまに協議し、那覇防衛施設局が責任を持って処理する、そういうことになったわけですが、施設局は米軍に対して、一時保管することはできないかというふうに協議をしたわけです。ところが、米軍側は、日米地位協定では施設の返還に際して原状回復義務はない、返還後に発見されたそういった問題について、我々は責任を持てないということで難色を示した。その結果、那覇防衛施設局が、仕方がありませんから、航空自衛隊恩納分屯地内に一時保管するということで一応おさまっています。  結局、何が言いたいかといえば、返還をする際に原状回復義務がない。したがって、その中でさまざまな問題があったにしても、結局はそのまま返してくる。この問題は非常に大きな問題で、跡地利用をしようと思っても、そういった汚染をされた状況では、それを直ちに跡地利用することはできない。  今局長は、一九九五年以降環境基準を持って当たっているというふうに言っていますが、現実には、ここ一、二年、こういった問題があるのです。したがって、この問題の、四条の見直し等も含めて考えていかなかったならば、環境基準を九五年から動かしているから大丈夫だ、こういうふうに言われても、決して大丈夫じゃないですよ。  この問題についてどのように考えられますか。
  164. 萩次郎

    ○萩政府委員 ただいまの米軍旧恩納通信所におきますPCBの処理につきまして、その事態の推移は、先生がおっしゃったとおりの経緯を経まして、現在、那覇の防衛施設局の責任において、航空自衛隊の恩納分屯地内に一時保管施設を設けて保管をしておるところでございます。PCBの汚泥処理は、現在その技術開発中でございまして、開発され次第この汚泥を処理をしたいというふうに思っておる現状でございます。  それで、先生からお話がありましたように、現在、まさに地位協定上米側に原状回復義務というものがないということになっておりますので、返還されました跡地の環境問題につきましては、従前でございますれば、それが発見されれば、防衛施設局において私どもが責任を持って処理をさせていただいて、地主の皆さん方にお返しをする、こういう処理をしたいと思っております。この方向は今後とも変わりがございません。地主の方に土地をお返しするときにはきれいにしてお返しをするということは、努めさせていただきたいと思います。
  165. 白保台一

    白保委員 外務省にお伺いしたいのですけれども、あれだけずっと長い間いろいろな話をしました。結論的には、今までは守られてこなかったかもしれないけれども、九五年以降というのはきちっと米国防総省の環境基準を守れるようにしてやっていくんだ、これはアメリカの方針です。当然そのような方向でいかなければいけない。  前々からそういった方向であったけれども、太平洋地域ではそういったことをやっていなかった、そのことが指摘されて、九五年以降は、この環境基準をしっかり守るように、在日米軍基地についてもそういう方向になってきたというふうに外務省理解をしておられると思うのです。そうじゃないですか。先ほどからの答弁を聞いていますとそういうふうに受けとめています。  ならば、先ほどのような状況というものが、本来ならば、国防総省は、海外基地におけるところの環境浄化の基準という文書を持って当たっているわけですから、今、防衛施設庁長官がおっしゃったそのような形ではなくして、アメリカ側が本来ならばやっていかなければならない。それがなされていないというところに問題がある。そういった問題についてはきちっと遵守させるようにすべきではないかということを先ほどから申し上げています。いかがでしょうか。
  166. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 在日米軍にかかわります環境問題は、確かに、先生が先ほどから御指摘のとおり、従来からあった問題でございますし、重要な問題だと認識いたしております。  それは、何も一九九五年以前はそうではなかったということではございませんで、環境についての問題が発生いたしたりしますと、日米合同委員会のもとにございます環境分科委員会において取り上げてきたのは、九五年以前にももちろんやってきたわけでございます。先ほど先生がまさしく御指摘されましたアメリカの下院議員の報告にかかわります問題も、この合同委員会の環境分科委員会で取り上げられて処理をされたところでございます。  いずれにいたしましても、地位協定の四条一項は、確かに、米国が施設・区域を返還するに際しまして原状回復の義務を負わないという趣旨の規定がございます。ただし、これは四条二項におきまして、片方で、米国が施設・区域に加えました改良とか工作物についても、我が方として、そのまま返還を受けて補償をする必要はないということとの権利義務の均衡を図っているという趣旨がございます。  しかし、いずれにいたしましても、この四条一項で原状回復の義務がないからと申しまして、米国が、施設・区域における活動に際しまして、我が国の公共の安全や環境の保全ということを無視してよいということでは決してございませんので、政府といたしましても、引き続き、米国に対して、環境の問題を真剣に取り扱い、十分注意を払うということにつきましては、これからも適切に対応してまいりたいと思います。
  167. 白保台一

    白保委員 時間が参りましたので、最後に長官にお伺いしたいと思います。  長い間、返還が決定していながら、移設条件がついたために、なかなか動きがなかった那覇軍港の問題で、最近、沖縄県議会で大田知事が、浦添地先移設の問題等、前向きな答弁をされておりますが、長官はそれに対してどのような感想をお持ちでしょうか。
  168. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 今、委員指摘のとおり、浦添市におきましては、商工会議所で受け入れ提言をなさり、それを市議会が採択をした、しかも、なおかつ県議会において、知事さんが、柔軟な態度というか、そういう話をなされたということは聞いております。  今後、そういう議論がさまざま起こって、環境整備がなされることが好ましいというふうに思っております。
  169. 白保台一

    白保委員 不発弾の問題等もお聞きしたいと思いましたが、時間が参りましたので終わりますけれども、ぜひ、不発弾の問題等についても前向きに、きちっとした対応で取り組んでいただきたい、そのことを申し上げて、私の質問を終わります。
  170. 塩田晋

    塩田委員長 次に、西村眞悟君。
  171. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 本件防衛庁職員給与に関する法律について、一点だけ御質問いたします。  この法律は、一般職職員給与に準じて防衛庁自衛官給与を考えるという体系になっておりますが、私は、この点についての長官の御所見を伺いたい。  つまり、三公社五現業のときに、思い出す発言があるわけですが、国鉄に石田総裁という方がおられまして、たばこを巻いている仕事をしている人間と、乗客の命を預かることを仕事にしている人間の給与が、同じ機関で決定されて、ほぼ同じであるのはおかしい、このように発言したわけですね。私は、それは妥当だと思います。  それで、我が国自衛隊が、長官の発言では、国内では軍隊ではないとおっしゃいますけれども、先ほどの、冒頭の河井委員に対する御答弁でも、戦車、航空機、イージス艦を持って、いざというときには身の危険を顧みず国民の命を守るという任務についておるということですね。  世界じゅうで、このような任務についている国民給与に関しては、この任務に限定した独自の給与体系と決定機関を持っておるわけですね。我が国はそうではないわけですが、私は、この任務を持つ自衛官給与に対しては、やはり独自の機関を持ってそこで決定すべきである、勤務状況一般職とは、準じるといったって、準じられないほど違いますから、そのように思うのですが、長官の御所見はいかがですか。
  172. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 今、西村委員のお話を聞いておりまして、なかなかすばらしい御意見であるというふうにも思います。  ただ、自衛官給与制度は、ほかの特別職の国家公務員と同様に総務庁の人事と今はなっておりまして、一般職国家公務員と相互に均衡がとれるようになっているわけであります。  ほかの国の軍隊について、全部詳しく知っているわけではありませんが、各国軍隊の給与につきましては、恐らく軍人の徴兵制だとか志願制だとか、そういう兵制のあり方によっても違っているのだと思いますけれども、軍人の給与と一般の公務員給与とが大体一定の均衡がとれているというふうにも伺っております。したがって、我が国における自衛官給与とほかの一般職公務員給与との関係もバランスがとれているのではないかというようなことを考えております。  今、私は、自衛隊員の再就職の問題について、これから勉強会をしようという検討会をつくろうと思っておりますが、当然、自衛隊員給与の問題等々にも議論が波及していくものと思います。したがって、私は、自衛官についての勤務条件については特殊なところがあるだけに、思いをいたしていかなければならないのではないかという思いはあります。
  173. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 お伺いいたしまして、問題意識は共有していただいていると思うのですが、その方向で検討を開始されるということですから、まあ検討ですからいろいろあろうと思いますけれども、石田礼助総裁の発言は、今になっても自衛官給与を考える場合に重きをなしていると、本来あるべき姿だと私は思っております。人間は誇りで仕事をするものですからそのように思うのです。  さて、自衛隊に対する国民の信頼に関して御質問いたします。  今、背任被疑事件等々が当安全保障委員会でも質問の大半を占めておるわけですね。しかし、私は、自衛隊国民からの信頼というふうな、この一番大切なものを確保するのは、やはり自衛隊が国土、国民、国家を守る万全の体制をとっておる、持っておるのだということに尽きるのだと思います。不信というのは、被疑事件というものは、社会生活の中で組織には起こり得るということは国民は知っておるのです。共産主義独裁国家のようにそれが一切ないという社会自身はある意味ではやはり病的な社会なのです。いざというときには、この自衛隊防衛庁という組織が国民を守る、国土を守るために使うことができるのかできないのか、この一点が国民の信頼である、この防衛庁という、自衛隊という組織の信頼の最終的なかなめであると私は思いますが、長官、いかがでございますか。
  174. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 やはり国民あっての自衛隊であります。したがって、国民皆さん方の信頼関係に裏づけされたものでなければならないというふうに思っております。
  175. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 当然、国家国民あっての自衛隊でございますから、それが信頼されていなければならない、その信頼されているのは、なぜ国民が四兆円も毎年投入することを承知しているかといえば、いざというときに万全の国防体制を持っておるということに尽きると思うのですね。  それに関連して、先ほどから背任被疑事件についていろいろな質問がありました。私は質問を聞いておりましていつも思い出すことが一つあります。  これは日本海海戦のときの戦艦「三笠」のことなのですが、あれはイギリスに発注して我が国が最新鋭の「三笠」を購入する予定でございましたけれども、予算が足らなかった。予算が足らなかったら購入できない。購入できないということは、例えばロシアもしくは他の国がそれを確保するかもしれないという状況の中で、西郷海軍大臣は何を決断したかというと、今でいう税金の横領、背任を決断したのですよ。そして、部下の山本権兵衛に、「三笠」は買わねばなりません、公金を横領しましょう、そしてそれが国民に許されなければ二重橋の前で腹を切りましょう、こう言ったわけですね。この明治の大臣のバックボーンは那辺にあったかというのは、先ほど私が質問申し上げた、国防という責務を担う組織の国民からの信頼は国防に万全を期すことに尽きる、ここにあったわけですね。それは申し上げておりまして、長官の御所見をここではいただきません。  では、先ほど少し質疑がありましたけれども、ミサイルが飛んできたことを受けて、偵察衛星でありTMDであると。将来の膨大な予算を投入するこの兵器の、また情報収集システムのことを議論されているというのはわかりますけれども、それまでの間に、現在は動かない、また現在は対処能力がない、この部分において、現在持っているシステムを法制も含めていかに対処可能にするか、敵ミサイル基地攻撃、撃破という目的、それによって国民の命を守るという我が国の国防組織の、先ほどから言いましたかなめを守るかということに議論を費やすと同時に、防衛庁内では取り組んでいただかねばらないと私は思うのですね。  それで、本年八月三十一日のテポドンのことも含む、六年前になるのですか、ノドンミサイルは既に日本海に発射されておるわけです。九六年三月には中国が与那国島沖にミサイルを発射したわけですね。この地点を基準にいいますならば、平塚か小田原のところにミサイルを落としたわけでしょう。今に始まったことではないのです。それ以来、軍事的な観点から、いかなる措置を防衛庁としてはとられようとしていたのか。また、長官自身としては、八月三十一日以来、いかなる措置を腹の中でやらねばならないのだと思っておられるのか、このことについて御答弁いただきたい。
  176. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 これまで弾道ミサイルとか大量破壊兵器の拡散に対処しまして我々の安全をどう守るかということについては、委員指摘のとおり、我々も大きな課題であるというふうに認識をしておるわけでありまして、その中で、アメリカとは日米関係のこれまでの経緯からして、この弾道ミサイルについてどういう対応をするか、どういう防空システムがつくれるのか等々についていろいろな調査研究をしてきたと。そして、今回2プラス2におきまして、北朝鮮の今回の弾道ミサイルの発射につきましては、弾道ミサイルの脅威というものを共通の認識として我々は持ったわけでございます。したがって、共通の認識を持った上で、それならば今後どういうふうに対応するかということについて、一つは、我が国も共国技術研究に参加をするという作業を進めていきたいという意思表明をしました。  一方で、日米関係の緊密化が必要でありますので、この日米関係の信頼関係をきちっと再確認をして、アメリカ側も日本側もコミットメントを確認をしたということで、我々は精いっぱい日本の国の安全を守ろうということについて今努力をしているということであります。  一方で、さまざまの情報収集について、防衛庁内でも、どういうふうに情報収集して、そしてまた我々が時々刻々の変化に対して対応できるかということについて、改めて我々は対応をいろいろと考えていかなければならないというふうに思ったところであります。
  177. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 この問題は前回もお聞きしました。ただ、ここで要望しておきたいことは、攻撃的兵器を持っては専守防衛に反するとかいうふうなドグマからは解放されていただきたい。兵器というのは、武器というのは、みんな攻撃的なのです。  それで、今情報収集のことについて言われました。アメリカは、テポドンに関しては人工衛星説をとっております。ただ、ここで特異なのは、我が防衛庁はミサイル説を捨てておりません。アメリカがなぜ人工衛星説をとらざるを得ないのかといえば、これは、六年にわたる軟着陸政策がミサイル、大陸間弾道弾という結果をもたらしたということは、共和党が議会で多数を占めるクリントン政権では言えないからです。しかし、我が国防衛庁はミサイル説をとっております。  そこで質問いたしますけれども、我が国もアメリカに追随して軟着陸政策をとりました。与党の幹事長は五十万トンの米を決断して、国際社会に呼び出せば常識がわかる国家になるという口実でございました。我が国の米であれ金であれハイテクの部品であれ、北朝鮮に送られる物資は、軍事的な側面からいうならば、我が国に対して非常に危険であるのか、ミサイルの結果をもたらすのかもたらさないのか、これを軍事的側面から御答弁いただきたいのと、もう一つ。通常爆弾をミサイルに装備するようなばかな国はございません。いかに優秀なミサイルでも、通常爆弾では小さなビル一個が破壊されるだけでございます。あの高価なミサイルを国民二百万が餓死している中でつくり上げるということは、核弾頭をそこに並行して開発しているということです。  それで、先ほどの質問一点と、防衛庁長官、ミサイル開発と核弾頭の開発は不可分一体であるというのは軍事上の常識なのです、したがって、ミサイルは六千キロを飛ぶ三段ロケットが完成している中で、北朝鮮は核弾頭を持っているのか否か、その辺の情報はございますか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  178. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 北朝鮮が核弾頭を、核開発を、一個か二個、プルトニウムをつくれるぐらいのものは持っているというような情報は聞いておりますけれども、防衛庁としてきちっと確認しているわけではありません。当然、我が方としては今、北朝鮮に対しまして、ミサイルの開発、輸出あるいは核開発について、これを何としてもストップしてほしいということを強く要請しているところであろうというふうに思います。
  179. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 軟着陸政策はミサイルという結果をもたらして、飛んできたということです。これはもう紛れもない事実でありますから、指摘させていただいて、共通の認識にさせていただきたい、このように思うのですね。  ミサイル開発と核弾頭の開発は不可分一体であるということも、これは軍事常識ですから、長官はよく御存じのはずでございます。  次に、法制局に来ていただいておりますから、二点だけお聞きします。  憲法二十二条に記載せる国内移動の自由、これは当然我が国国民すべてが共有しておるということが一点。  それから、よくこのごろ談話ということがありまして、宮澤官房長官の教科書問題に関する談話、後藤田官房長官の靖国神社参拝せずとの談話、加藤官房長官の従軍慰安婦問題に関する談話、河野官房長官の従軍慰安婦強制連行した旨の談話、村山総理大臣の八月十五日のあの談話。この談話というものは、一内閣の考え方、すなわち政治意見の表明であって、したがって、政策と同様に、政治的批判の対象になるにすぎず、法的拘束力を有しないのか。それとも、一内閣の官房長官であれ総理大臣である者の談話は、法的拘束力を持って将来の内閣をも拘束するものか否か。  憲法二十二条の、国民は国内移動の自由を有しているか否かと、談話の法的拘束力、あるやなしやということについて御答弁いただきたいと存じます。
  180. 宮崎礼壹

    ○宮崎(礼)政府委員 初めの御質問につきましては、憲法第二十二条は「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」あるいは二項で「何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。」としておりますので、御質問のとおり、これは何人に対しても保障されている権利であると解します。  それからもう一つのお尋ねでありますが、談話というふうに申されます中には、閣議決定を経たものと、また、そうでなくて一政治家あるいは閣僚としての御発言という、二つあろうかと思いますけれども、従来、国会等で政府側が御答弁しておりますのは、閣議決定という手続を経たものについてどうなんだろうかということでございましたので、その点につきまして確認的にお答えを申し上げます。  内閣法四条一項によりますと、「内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。」というふうに規定しておりまして、すなわち、内閣の最高の意思決定手続というのは閣議決定であるというふうにされておるわけであります。  このことから、閣議決定というのがなされました場合におきましては、その閣議決定は、当然当該内閣及びその統括下にあります行政機関や職員を拘束するものと解されるわけでありますが、さらにその閣議決定の効力は、原則として後の内閣にもその効力が及ぶというふうに従来から考えられているところでございます。
  181. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 まず第一点の確認させていただいたことに関して、これは安全保障委員会ですから防衛庁長官にお聞きするのですが、我が日本国内に移動しようとする日本国民を阻止または排除するものが外国の軍隊である場合、それは我が国の主権を侵す行為に当たって、したがってそれを回復するために、その国民を守るのが自衛隊の任務ではありませんか。
  182. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 もう一度言ってください。
  183. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 それならわかりやすく聞きます。竹島の問題を申し上げておるのです。  我が国国民は、我が国内憲法において、竹島に行く自由を有している。しかし、今の時点で、その竹島に行く自由を阻止または排除するのは韓国の官憲である。また、この観点から見るならば、この韓国の行為は、日本の主権を侵害して、日本の領土を侵略している行為に当たる。竹島という、具体的な我が国の領土に行く自由を有する日本国民が外国の軍隊によって排除されるとするならば、その排除する部隊を撃破して外国軍隊の侵略状態を排除するのが自衛隊の任務ではありませんかと申しておるわけです。
  184. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 自衛隊法の第三条に、「自衛隊の任務」として、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」というふうになっております。しかも、なおかつ、委員指摘のとおり、防衛出動する場合は、急迫不正の侵害、あるいは代替手段がないこと、あるいは必要最小限の手段で対応するというようなことが書かれているわけであります。  この島の問題がそういう防衛出動に当たるのかどうか議論があるところであろうし、またある意味では警察行動的なことをすぐ自衛隊がとっていいのかどうかというようなこともあるし、竹島問題については、我々は歴史的にも国際的にも我が国固有の領土であるというふうに主張してきておるし、しかもなおかつ、従来政府は、平和的に話し合いでこれを解決していきたいということで対応してきているところであります。
  185. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 いや、それはわかるのですけれども、私が申し上げているのは、そこに行く国民がおって、その国民に対して銃撃があった場合に、その国民に対する侵害は急迫不正の侵害である、その国民を守るのは自衛隊の任務であろう、このように思うのです。これは、直接侵略の事態なんですね。これは、我々は認めねばなりません、韓国の議会ではないのですから。それはよろしいですか、防衛庁長官
  186. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 竹島かどこかにおられた日本人が襲撃をされた、それが即座に日本が侵略を受けたことになるのかどうかについては、その攻撃をした組織あるいは首謀者等々がどういう意思を持っているのか、どういう規模で攻撃をかけているのか、さまざまな要因もまた考えていかなければならないのではないかというふうに思います。
  187. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 あそこにいるのは韓国の官憲なんですね。もうそれは明らかなんです。韓国の官憲以外の何かわからぬものが我が国の領土にいるということを、我々の国家は認めたことがない。  したがって、防衛庁長官に、今回の金大中大統領閣下の訪日に際する問題をこれからお聞きするわけですが、急迫不正の侵害ではありません、数十年前に官憲に上がられております。しかし、我が国は、冒頭の前提でも確認いたしましたが、国民が竹島を利用するために行くということについては、我が憲法上保障されておるわけですね。その国民が襲撃を受ければ、出なければならないのは、大砲と機関銃を持っている相手に対してピストル一丁の警察を出すわけにいきませんから、自衛隊しかないわけです。  さてそこで、防衛庁長官にお聞きします。  内閣の閣僚の一人として、日韓条約において、植民地時代また戦争中の韓国との関係における過去の処理は決着済みであると思っておられますか。あのときは、外貨準備高、日本が十七億ドル。しかし、その中から五億ドルを韓国に供与した。そして、その五億ドルは、経済成長寄与率は二〇%であった。こういう、ただ単に文書で交わしたのではなくて、実質的に十七億ドルしかないなけなしの外貨準備高から五億ドルを供与しているわけでしょう。決着していると思われますか、思われませんか。
  188. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 国と国との約束のことでは、決着していると考えています。
  189. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 さてそこで、村山総理談話。先ほどの法制局の意見については、法的拘束力という言葉で言われましたが、私はそれは間違っていると思う。内閣が交代する民主主義国家における意味を没却している。前の内閣が無能だから、国民はさらに新時代に対処する内閣を選ぶのじゃないですか。選挙の意味を没却している。したがって、我が国の領土を直接侵略している、過去にもう既に侵略しておる、居座っておるという国家があって、そして日韓条約においても、長官の言われるように過去については決着済みであるにもかかわらず、大統領がかわるたびに、そこに過去についての謝罪をするということは、例えば国民一千名が竹島に行こうとして、銃撃を受けて、助けに行かねばならない自衛官士気にかかわることではありませんか、これは。長官、どう思われますか。
  190. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 私は、かねて日韓議員連盟、中野先生もおいででありますが、やはり隣国の韓国と仲よくしていくことが日本の安全あるいは経済的な繁栄等々もろもろのことを考えても非常に大事なことである、遠くの親戚より近くの他人であるということわざもありますし、日韓関係については何とか友好関係を保ちたいという思いは委員と一緒でございます。  私といたしましては、そういう流れの中で、これからやはり未来志向で考えていくことが大事であろうというふうに思っております。その中で、いわゆる歴史認識ということでございましょうけれども、私は小渕内閣の一員として、政府の見解、つまり、我が国が過去の一時期に植民地支配と侵略によりアジアの国々の人々に対し多大の苦痛と損害を与えたという事実を謙虚に受けとめ、そしてその反省とおわびの気持ちに立った上で、今後前向きに未来志向でやっていこうということを支持しています。
  191. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 それは未来志向でも何でもないのです。韓国国民国民感情があるのと同様に、我が日本国民にも国民感情がある。金泳三大統領は、竹島問題を従来の紛争処理に関する日韓交換公文の次元から上げたのですよ。みずから竹島駐留部隊に電話して、反日感情をあおって、竹島問題を金政権の国民支持を高める道具に使ったのですよ。だから、一言言っておかねばならない。そして、そこで謝り続けることは、長官が栄誉礼を受けた部隊の士気にかかわる、このように思います。  さて、日韓共同声明はもうすぐ発信されるわけですけれども、村山談話を踏襲するというふうな報道がなされておるということですが、これはそのとおりなのでしょうか。ひょうたんから何が出るかわからぬのですか、それともおおよそはこの場で、現時点で答弁できることは、村山談話の踏襲であるということは言えるのでしょうか。どういう段階に来ておるのでしょう。
  192. 阿南惟茂

    ○阿南政府委員 ただいまお尋ねの日韓共同文書でございますが、日韓関係の過去、現在、未来、こういうものを包括的にあらわす文書を作成すべく、今先方と話をしているところでございまして、今申し上げましたように、過去、現在、未来でございますので、過去の認識といヶことも書き込まれるというふうに考えておりますが、その中身につきましては、首脳間の文書、共同宣言でございますので、我が方の歴史認識は総理の歴史認識がここに表明される、そういうふうに考えております。
  193. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 先ほどの法制局の御答弁と今の局長の御答弁と、それから防衛庁長官の先ほどの御答弁を総合すると、植民地時代についての云々がやはり出てくるだろう、現時点における竹島の問題は出てこないだろう、こういうふうにほぼ予想されるのですが、質問は時間以内で終わりますけれども、終わるに当たりまして、村山内閣の談話の字句どおりではなくて、それを踏襲するなら、防衛庁長官、もっと大事なものを踏襲していただきたいのですよ。  なぜかといいますと、県道越えの演習射撃にあれほどまで大騒ぎした内閣なんです。したがって、一億二千万住む我が国家越えのミサイルが発射されたときに遭遇している内閣としては、つまらぬ一老人の国会謝罪決議が過半数の出席もなくつぶれたから、八月十五日にちょろちょろっとやったような談話を踏襲せずに、県道越え砲弾射撃で大騒ぎしたのなら、日本列島越えのミサイルにもっと大騒ぎしていただきたいなと私は思っておるのですが、これで質問をやめます。
  194. 塩田晋

    塩田委員長 次に、中路雅弘君。
  195. 中路雅弘

    中路委員 最初に、防衛庁職員給与法律について私たちの党の見解、態度を述べておきたいと思います。  この法案一般職のベースアップに準ずるもので、防衛庁職員を特に優遇するものではありませんけれども、しかし、以下三点でこの法案に反対であります。  一つは、防衛庁の装備品調達にかかわる水増し請求による過払い、返還額の圧縮と天下りの取引疑惑、あるいは過去にさかのぼる巨額な軍事企業に対する過払いの実態や証拠隠滅など防衛庁の組織ぐるみの許しがたい背任行為が今国民に大きな怒りを広げているわけです。  また、小渕内閣は、対米公約を踏まえて、アメリカの無法な軍事干渉に日本が自動的に参戦するガイドライン関連法案の成立をねらい、日米安保体制の強化を図っています。  三番目に、防衛予算の四四・一%を占める人件費のアップはそのまま軍事費の増大につながります。世界の軍縮の流れの中で、自衛隊の装備と人員の大幅削減による大幅な軍縮に踏み出すことが必要でありますが、政府はこれに背を向けて軍拡と軍事同盟の強化を推進しています。  こういう背景を持つ中での法案であります。この給与に関する法案については、以上の理由で賛成することはできません。  続いて、きょうは防衛庁の背任事件について質問したいと思います。  きょうも防衛庁のこの背任事件、不正減額で、ニコー電子の問題で、NECの子会社でありますが、諸冨長官以下五人の再逮捕、NEC、ニコー電子の関係者四名が逮捕され、また防衛庁が今回で三回目の捜索を受けているわけであります。防衛庁とNECや東洋通信機、ニコー電子などによって水増し請求の返納額が圧縮されていた。まさに防衛庁と軍事産業が国費を食い物にしたという重大な事件であります。捜査当局はもちろんでありますが、国会でも徹底してこの真相を解明すべきでありますし、防衛庁は真実を解明して水増し請求過払いによる国の被った損害を取り戻す責務があると思います。  そこで、まず最初にお聞きしたいのですが、防衛庁は九月二十九日、藤島官房長と石附、田中両調本の副本部長の解任、更迭を発表しました。秋山事務次官は十月二日に、藤島官房長と田中副本部長が家宅捜査の直前に関係資料を自宅に持ち帰った事実を明らかにしています。石附副本部長も資料を持ち帰っているわけです。しかも、藤島官房長は持ち帰った資料を焼却したということでありますが、長官はその事実の報告を受けていますか。
  196. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 受けております。  ただ、藤島官房長は、自宅に持ち帰ったのはコピーをしたものであって、焼却ということではなくて、破棄をしたというふうに聞いております。
  197. 中路雅弘

    中路委員 今焼却をしたというよりも何か捨てたとか言っていますけれども、東京地検の捜査経過を知るために、石附副本部長が中心になって事情聴取を受けた調本の職員から供述内容を聞き取っているということが言われています。通称青ファイルと言われていますけれども、この青ファイルも含まれていたということが言われていますけれども、職員の供述内容を聞き取ること自体が捜査に対する介入でありますし、皆さんの防衛庁の調査というのは、職員の調査というのは、検察にどういう事情聴取を受けたかということを聞き取る、これが調査なのですか。この青ファイルが持ち帰った中にあったのかどうか、藤島官房長、石附副本部長に聞けばわかることでありますし、その当時の調査の事情を聞けばわからないはずはないのですが、この点、長官、もう一度いかがでしょう。
  198. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 ただいま防衛庁内の調査委員会で文書の問題に関しましてはいろいろ調査をしておるところでございます。  今委員仰せのいわゆる青ファイルというお話でございますが、講本の中でこれは実は昨年の十月ごろからいろいろ事情聴取を受けた者がかなりの数に上ったようでございます。そういう者の中にはいろいろと不安感を訴える者等もありましたので、いわば任意にその事情聴取の内容等を提出した者もあったというふうに聞いております。それらをある程度まとめたファイルがあったことは事実のようでございます。  そういったもの、あるいはいわゆる四社事案の経過、そういったようなものがまとめられた冊子と申しますかファイルというものがございまして、それらが藤島前官房長のもとにも配られていたようでございます。そして、先ほど大臣が申し上げましたように、それらを自宅に持ち帰った後、一読後、不要なものとして破棄したというふうに聞いております。
  199. 中路雅弘

    中路委員 家宅捜索の前に関係資料、しかも事情聴取を受けたものも入っている、こういう資料を持ち帰って焼却するということ自身が明白な証拠隠滅そのものではないですか。既に関係者の事情聴取は終了していると思いますが、防衛庁長官も二百人余りの事情を聞いていると言っているのですね。いつ、この結果を報告するのですか。委員会で九月中とかあるいはこの国会が終わるまでと言っていましたけれども、あす一応終わるのですよ。この調査は一カ月たっているのです。どうするのですか。
  200. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 九月中と言ったのは私の個人的な思いでありまして、公にしたことではありません。  ただ、先般の予算委員会で、私はでき得るならば国会中に中間報告ができるように最大限の努力をしたい、努力目標として国会中ということを上げさせていただきましたが、二百人余りの聞き取り調査をいたしますと、さまざまな意見の食い違いとかがあります、あるいはまた新しい話が出てくれば、その裏づけもしなければならないということ、まして防衛庁として中間報告をする以上は、これが正確を期さなければならないということ等々から、若干作業がおくれておりまして、できるだけ早く報告が出せるように今全力投球を行っておるということをぜひ御理解をいただきたいと思います。  先ほども坂上委員から御質問がありまして、ウサギとカメの話をしましたが、早くても拙速ではいけないのでありまして、やはり遅くても着実にきちっとした目標に到達できるということが大事だというふうに思っておりますので、しかも、なおかつ私ども全力投球でやるということをお約束いたしますので、よろしく御理解のほどをお願いします。
  201. 中路雅弘

    中路委員 これは防衛庁が組織的に証拠書類の焼却、隠滅を行ったという疑惑ですから、事実とすれば、あなたのもとで、長官のもとで行われたということになるわけですから、大変重要な問題ですね。  しかも防衛庁は、九月十二日に証拠隠滅報道がなされた直後に、四社事案の管理実態に関する調査委員会をつくりましたね。後で秋山事務次官にかわりましたけれども、最初の調査のこの委員長は藤島官房長ですね。あなたは藤島官房長を任命したのです、調査委員長に。その藤島官房長が——きょうも官房長の部屋も捜索されているでしょう。それでは証拠隠滅についての調査のためではなくて、まさに証拠を隠すような藤島官房長を調査委員長にするということ自身が防衛庁長官自身の、任命した責任の問題は極めて重要だと私は思いますが、もう一度いかがですか、この問題。(額賀国務大臣「もう一度お願いします、済みません」と呼ぶ一藤島氏を調査委員会委員長に任命する、その藤島氏が今疑惑もかけられ、あなたも更迭したのですよ。その任命した長官の責任は大きいと思うのです。
  202. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 当時、藤島官房長が長としてやっておられたのは、四社事案の内部調査の長としてやっておられたわけでありまして、私は、新聞報道で組織的に大量に証拠隠滅を図ったという報道がなされたときに、これが事実であるとすれば大変なことであるということで、秋山次官に対しまして、秋山次官が中心となってこの証拠隠滅関係の文書管理について調査をするべきであるというふうにして、次官を長にした次第であります。
  203. 中路雅弘

    中路委員 最初に任命した藤島官房長がみずから書類をうちへ持っていって隠滅を図る、防衛庁のほかの調本の幹部も全部そうですね。まさに組織ぐるみでこうした証拠隠滅を図っている。それがあなたの、長官のもとで、今防衛庁の中でやられている。  防衛庁も、きょうを含めて三回の捜索を受けているじゃないですか。もっと防衛庁長官は責任を感じて、明確にしなければならないと思いますが、繰り返し、長官のこの問題についての責任の自覚、私はもう一度聞きたいと思います。
  204. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 大変失礼いたしました。先ほどのいわゆる証拠隠滅関連の内部調査については、当初藤島官房長がやっておられて、その後秋山次官になったという経緯であります。これが正しいわけであります。
  205. 中路雅弘

    中路委員 だから、その藤島氏を任命したのはあなたでしょう、最初の調査委員長に、十二日。十六日になって秋山氏にかえたのですよ。だから、あなたが任命したのですよ。その責任はどうなんです。
  206. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 それは、新聞報道がされてからそういうものをスタートしたわけでありますから、そして官房長に中心となってやってもらうようにしたわけでありますけれども、その後、私も委員会で御説明申し上げましたように、当時藤島官房長が東京地検から事情聴取をされたという報道もあり、それを確認したものですから、その者が長として内部調査を引き受けているわけにはまいらないので、秋山次官に、かわって内部調査を責任を持って遂行するようにというふうにしたわけでございます。
  207. 中路雅弘

    中路委員 だから、任命したあなたの長官としての責任は大きいのだということを私は先ほどから言っているわけです。  次に移りますけれども、NECの水増し問題、防衛庁は九月二十九日に公表したので、十月一日から東通事案に関連してNECと東洋通信機との取引停止を決定しました。  防衛庁調達本部をめぐる背任事件の起訴状を見ますと、NECの常務取締役だった永利植美と官安全画室長であった長沢弘の共謀の上と書いてあります。NECと取引停止をしたというのは、NECの本社が東通の水増し請求とその返納額の減額に組織的に関与したという判断をしたから取引停止をしたわけですね。間違いありませんか。
  208. 及川耕造

    ○及川政府委員 御指摘のとおり、東洋通信機の事案に関連いたしましてNEC及び東洋通信機の幹部等が逮捕、起訴をされたわけでございます。したがいまして、防衛庁といたしましては、この逮捕されました方々のおられるNEC並びに東通という二つの会社との間の契約を行っているものでございますから、その契約は差し控えるべきだという考え方のもとに、十月一日より取引停止の措置をとったところでございます。
  209. 中路雅弘

    中路委員 個人じゃなくてNECが会社として組織的に関与したということですね。  この取引停止の処置は当然防衛庁長官が行ったことだと思いますが、委員会で、取引停止の解除の措置について、きちんと清算された段階で考えることだと防衛庁は述べていますが、NECの関与の実態を国民の前に、清算された段階と言っていますけれども、明らかにするということは約束できますか。
  210. 及川耕造

    ○及川政府委員 現在、取引停止の期間につきましては当分の間というふうにいたしているところでございまして、東通及びNECに関しましては、先般国会でも私から東中先生に御答弁をさせていただきましたように、東通事案に関します国損額の返還等が確定した際に、その期間につきましてさらに今後の状況を踏まえて決定したいというふうにお答え申し上げたところでございます。
  211. 中路雅弘

    中路委員 このNECは東通やニコー電子の返納額の圧縮に会社として関与したというだけではないのですね。NEC本社自身が巨額な水増し請求をしていた疑惑が今マスコミでも指摘をされています。これが事実だとすれば、NECは防衛庁に新中央指揮システムを初め航空自衛隊のバッジ、陸上自衛隊の師団通信システムなどを納入する調本本部との契約額が一九九一年から九六年までの五年間で二千七百八十九億円に上る、契約高で五位、九七年では四位と実績がある企業です。NEC本社に対して私はやはり特別の徹底した調査が必要だと思うのですね。  二百八十社の企業を今調査をすると言っていますけれども、東通もニコー電子も日本航空電子工業も、すべてNECの系列の会社であります。NECを含めてこの関連企業、ここはやはり優先して徹底して関連会社を調査すべきだと私は思いますが、長官、いかがですか。
  212. 及川耕造

    ○及川政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、私ども現在、これから五年をかけて二百八十社の制度調査をやろうと思っておりますけれども、これにつきましては一般確定契約を主とする会社を対象といたしておりまして、そのすべてについて実施したいと思っております。それはただNEC関連だけではなく、今申し上げましたように、一般確定契約を主とする会社すべてを対象にいたしたいと思っております。  ただ、その順番等につきましては、それが明らかになりますと思わぬことが起きてはいけませんので、その内容等については差し控えさせていただきたいと思っております。
  213. 中路雅弘

    中路委員 そんなこと聞いちゃいないですよ。今問題になっているのはNEC、そしてみんなNECの子会社、関連会社でしょう。だから、何年もかけて二百八十社を調査する、そういう中で、このNECと、問題になっている、全部そうなんですよね、NECの関連でしょう。だから、そこについてはやはり力を入れて集中して今調査をすべきじゃないかということを聞いているのです。長官、いかがですか。
  214. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 もう御存じだと思いますが、NECにつきましては、平成九年度より調査を着手しておりまして、十年三月に府中事業所、十年八月に横浜事業所についてそれぞれ実地調査を行っているところでございます。  したがって、委員指摘のとおり、今当面の問題になっていることでもあり、そういうことを踏まえて二百八十社の制度調査を進めていくというふうにしたいと思います。
  215. 中路雅弘

    中路委員 今問題になっているのは、私が挙げた関連の会社でしょう。だから、調査はそこへ力を入れて集中してやるべきだということを主張しているわけであります。  ニコー電子についてお聞きしたいのですが、防衛庁は十月一日の予算委員会で、東中議員の質問の中で、ニコー電子について、訓令に基づかないで返還額の処理をしたということを認めておられます。訓令に基づかない、どういう不正な処理がされたのか、明らかにしてほしいと思います。
  216. 及川耕造

    ○及川政府委員 ニコー電子の返納額の算定に関するお尋ねでございますけれども、現在検察当局による捜査がまさに始められた段階でございます。その返納額の試算の内容、経緯等については、捜査への影響等を考えまして、お答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  217. 中路雅弘

    中路委員 それはおかしいな。先ほど言ったように、ニコー電子の疑惑が指摘されて、防衛庁自身が訓令によらないことを認めながら、その処理の内容を明らかにしない、今捜査の段階である、それはおかしいではないですか。いつもこの委員会で、起訴されるまでは言わない、起訴されたら今度は捜査に影響するからということで一切答えない。  NECについて、いわゆる訓令に基づいて処理がきちっとやられていなかった点がある、処理していないということを言っているわけですから。だから、どういう不正があるのか、あるいは、訓令に基づかないでどういう処理がされたのかということを聞いているのですよ。これがどうして答えられないのですか。
  218. 及川耕造

    ○及川政府委員 まさにその点が恐らく捜査の核心的部分になろうかと思いますので、ぜひその点だけは御答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  219. 中路雅弘

    中路委員 検察は検察でもちろんやるでしょうけれども、数年前に処理したことでしょう、やってきたことでしょう。それをこの場で、検察で今問題になっているから言えない。何年か前にやったことではないですか、皆さん。どうしてそれが言えないのですか。これはけしからぬことだと思います。  こうした問題で、先日、十月一日のやはり予算委員会で、東中議員の質問で、予定価格の訓令に基づかない方法で、これは東通ですが、八億七千万円という返還額の算定をはじき出した、今は予定価格の訓令に基づくのが適切ではなかったのかというような判断をしている、長官はこのようにお答えになりました。適切ではなかったのかというのではなくて、東通の水増し請求という不正事件の処理について、予定価格の訓令に基づいて処理しなかった、ここに問題があるわけです。ここに間違いがあるわけですね。  皆さんも、これまでの見解を撤回された。適切でないというようなことではなくて、東通の水増し請求という不正事件の処理について、関係法令や訓令に従わないで処理した、そのこと自身が今、この調達業務自身が犯罪として問われているわけですから、そういう認識でこれまでのそうした処理が間違っていたということを長官ははっきり認めるべきではないでしょうか。いかがですか。
  220. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 ですから、東通事件について、八億七千万の返還額の積算根拠については、これは言ってみれば、当時の幹部の一部の者も適切ではなかったというふうに言っているし、東京地検も背任という形で起訴されたということもあり、我々は、予定価格とかさまざまなことを考える中で、予定価格以外の方法で返還額を算定したわけでありますから、その前提が覆ったものと思っておりまして、これからは予定価格を中心にした積算根拠で国損をはじき、一括返還をしていくような形を関係当局と相談をしながらやっていくことが必要であるというふうに思っております。
  221. 中路雅弘

    中路委員 この点でも長官の責任は大きいと思いますよ。前長官の久間氏もこれまで、この水増し、過払いの処理についてどう説明しておられるか。返還額をどうすべきかについて、ルールはない、統一的基準がないとか、あるいは、相手企業との話し合いによる一種の私法的な和解契約で決定するしかないと繰り返しこの委員会でも答弁をしていました。  長官は九月十八日の衆議院本会議で、過払いといった問題が発生した場合には公正、適切に処理できるように統一的な基準をつくることがよいと答弁されていますが、今まであなたも、撤回の九月二十五日までは、いわゆるルールがないとか基準がないということを言って、ここは久間長官もそうですが、従来の見解、やり方を弁護してきたのですね。私は、この点で額賀長官の責任も免れないと思うのです。  ルールはあるのですよ。明確に、関係法令と訓令に基づいてやるというルールがあった。これに基づいてやらなかったということが今背任に問われているのですね。それをこれまで、ルールがない、基準がないということで、いろいろ方法を考えたと言ってきた。それが覆ったわけですね。  だから、明確にその点を認めるとともに、これまであなたも、九月二十五日まではそういう答弁をやっていたのです、本会議でも。この責任は免れないと思います。長官、いかがですか。
  222. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 八億七千万円の算定の背景に、今度背任容疑で当事者が起訴されたというような、言ってみれば新しい要因が出てきたわけでありますが、そういう要因はよもや当時考えられるものではなかった。その上に、当時の幹部の一部の者が、当時のやり方は適切ではなかったと言うようなこと等を総合的に考えた場合に、当時の算定基準というものの根拠は崩れ去ったものと思って、そして考え方を修正して、今後は言ってみれば一定の処理基準をつくって考えていかなければならないというふうに思っておりますけれども、その有力な一つが予定価格であるということは間違いがないというふうに思っているわけでありまして、今後こういうことが二度と起こることがないようにすることと、これまでのすべてのことについて事実関係をさらに明らかにしていくことが私の責務であるというふうに思っております。
  223. 中路雅弘

    中路委員 時間になりましたので終わりますが、最初言ったように、今のいわゆる防衛庁の焼却、証拠隠滅の問題、これも長官のもとで行われたわけでありますし、先ほど言いました藤島官房長をこの調査委員会委員長に最初任命したのもあなたであります。  今もお話しのように、二十五日の、従来の防衛庁の見解を撤回するという表明をされるまで、これまでこうしたルールがないとか基準がないということで東通のやり方等を弁護してきた、正当化してきた、こういう点でも前長官も現長官も責任が大きいと私は思います。このことを強く指摘をして、終わりたいと思います。
  224. 塩田晋

    塩田委員長 次に、辻元清美君。
  225. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党の辻元清美です。  本日は、防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案審議を行っております。  それに先立ちまして、今実際、非常に景気が悪いというのは皆さん御承知のとおりだと思います。総務庁が発表した労働力調査によると、八月の完全失業率は四・三%、それから失業者数は二百九十七万人と、過去最高になっているということで、民間で働いていらっしゃる方々を含めて非常に厳しい経済状態の中で頑張っていられると思うのです。  こういう中で、今回、防衛庁職員給与審議しているわけなのですが、これに当たりまして、実際に今この委員会でも今回の背任事件についてさまざまな委員の方が指摘されております。こういう問題を抱えて、額はともあれ、やはり国民感情としましては、給与について云々するのかという国民感情がないとは言えないと思うのです。  そういう中で、まず最初に、間もなく採決になりますけれども、この採決に当たり、さらにこの背任事件をしっかりと追及していくという長官の決意がない限り、なかなか国民的にも説明ができない状況になっているのではないかと私は思いますので、まず最初に御決意を聞かせていただきたいと思います。
  226. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 今の辻元委員の御指摘については大変、肝に銘じさせていただきたいと思いますけれども、確かに今、経済状況は史上最低、最悪でございます。失業率も最悪の状況を来しておるわけであります。そういう中で自衛隊員給与改定の御議論をいただいているわけでありますけれども、私といたしましては、確かに、一連の背任事件あるいはいわゆる証拠隠滅問題等々によりまして国民皆さん方に不信を与えたことについて、大変申しわけないというふうに思っております。  しかし、この問題につきましては、かねて主張しておりますように、みずからの力で自浄能力を発揮して事実関係を明らかにするとともに、こうしたことが再び起こることがないように、防衛庁の調達システム、それから防衛庁行政のあり方等々について万全の体制をしいて、そして、言ってみれば、中興の改革的な防衛庁の立て直しを図らなければならない、そういうことによって国民皆さん方の信頼をかち取っていかなければならないということで、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思っております。  なおかつ、一方で、自衛隊員皆さん方におかれましては、三百六十五日二十四時間体制で、国民皆さん方に何かがあったときに生命財産を守るために体を張って頑張っているところでございます。一時的な大不況であるから給料を下げるということも一つの考え方ではあるかもしれませんけれども、私といたしましては、やはり国家国民のために体を張って汗を流している、そういう隊員皆さん方にそこはきちっと給与の面でも約束をして、そして良質な隊員士気旺盛な隊員を形成していくことも私の務めであるというふうに思っておりまして、そこのところはどうぞ委員先生方の御理解を得られますように、心からお願いをするところであります。
  227. 辻元清美

    辻元委員 今、長官のお言葉の中に、徹底的に調査するということです。それで、私も何回もこの件については質問させていただいておりますが、引き続き、前々回幾つか質問した中で、書類の保存ということについて幾つかお伺いしたいと思うのです。  それで、前々回の質問になるかと思いますけれども、私は、調達実施本部の資料は、防衛庁文書処理規則によって保存処理が行われているということについて質問いたしました。それで、保存期間は一年、三年、五年、永久という四つの基準で整理保存するということですが、聞きますと、予算を伴うものは五年もしくは永久というふうにそのとき答弁いただきました。  そのとき具体的に私が示させていただきました三つの資料ですね、保存文書。返納に使った経費率の算定資料、これが一つ目です。それから二つ目が、返納額を決めるために提出させた伝票。三番目が経理元帳。この三つについて前々同質問いたしました。この中で、そのときは御回答いただけませんでしたけれども、後での御回答で、返納額の算定資料等は五年の保存であるというふうに、これは防衛庁装備局管理課の方にお知らせいただきました。  ということで、これらの中で一番古いものは一九九三年、平成五年のものだという御回答だったのですけれども、今回の件に関してこの返納額の算定資料はしっかり保存されていたというふうに理解してよろしいのですね。
  228. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 今辻元委員指摘の経費率の算定資料の保存期間は、防衛庁文書処理規則によりまして文書保存期間は五年保存となっておりますので、保存されているものと思います。
  229. 辻元清美

    辻元委員 保存されているというふうに長官から御答弁いただきましたけれども、これはどのような形で、現在防衛庁の中にあるのでしょうか。
  230. 及川耕造

    ○及川政府委員 恐縮でございますが、御質問お答えする具体的な資料を手元に持っておりません。後ほどまた御回答させていただければと思います。
  231. 辻元清美

    辻元委員 といいますのも、特に私が今指摘させていただきました資料は、焼却されてしまったのではないかという疑いをかけられている資料であるわけです。ですから、この資料が存在するかどうかというのは先ほどの徹底調査の中では一番の焦点になってくる、その保存すべき資料であるわけですが、今御回答の中に、あるかどうかわからないと、現在に至ってもですね、そのような御回答であるというふうに考えればよろしいのでしょうか。
  232. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 ただいま先生指摘のとおり、私ども徹底的な調査をしておるところでございます。それで、この返還額を算定するに当たって使った資料等の状況等につきましてももちろん現在調査中でございまして、今、ちょっとまだ確たることを申し上げられる段階ではないということでございます。  それから、伝票類あるいは経理元帳というお話がございました。これらにつきましては、実は本来会社にあるものでございまして、防衛庁の方は、必要な場合にはコピーを見ることもございますが、通常、防衛庁の中で保存する文書ではございません。
  233. 辻元清美

    辻元委員 確たることを申し上げられないという御答弁でしたが、この資料が存在しているのかどうかということなのですね。この資料の内容についてどうだという話ではなくて、あるのかないのかということが答えられないということですか。それをはっきりおっしゃっていただきたいのですけれども。
  234. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 今手元に全部詳細のものを私持ってきているわけではございませんので、その点は御勘弁いただきたいと存じますが、ある種のものがもちろんあるわけでございます。ただ、それですべてのものなのかどうか、そういったことにつきましてなお調査をしているということでございます。
  235. 辻元清美

    辻元委員 特にこの保存文書についてはもう最初のころから、マスコミでも指摘されていましたし、この委員会でも私は何回も指摘させていただいているわけですね。ですから、今徹底調査とおっしゃっている中で、現在に至っても御答弁が私はあいまいだと思うのです。ここのところ、この保存文書についてはしっかりと調査するという以外に、今の御答弁ですと、やはりないものもあるのかなというふうに受け取らぎるを得ないというふうに私は考えますけれども、しかし、これは押し問答していてもしようがないので、次に進みたいと思うのです。  さて、そういう中で今度は、先ほど何人かの委員から指摘がありましたけれども、藤島前官房長の今回の一連の、疑いをかけられているとはっきり申し上げましょう、ということについて質問させていただきたいのです。  先ほど、前官房長が自宅に書類を持ち帰ったということをお認めになりました。長官は、コピーであるというふうに御答弁されたわけですが、どういうコピーを持ち帰られたかわかっているのでしょうか。
  236. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 藤島前官房長が、八月の下旬でございますか、家に持ち帰った資料と申しますのは、いわゆる四社事案の経過ですとか、あるいは、その四社事案に関連しまして東京地検にいろいろ事情聴取を受けた方がたくさんおられます、その方々からのヒアリングをファイルにしたもの、そういったものとか、あるいは想定問答集ですとかその他の資料というふうに聞いております。  焼却云々という新聞記事が出たわけでございますが、そうではなくて、最初に申し上げました事情聴取の資料あるいは事案の経過資料、これらのファイルにつきましては、一読後、不要なものとして破棄したというふうに聞いております。
  237. 辻元清美

    辻元委員 今の御答弁の中に想定問答集というのが出てきたのですが、これは何ですか。
  238. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 一般に私どもの役所の中では、国会の御議論あるいは御質問お答えするための想定問答集等を日々つくっております。それらのものについて、自宅で勉強用に一たん持ち帰ったということでございます。
  239. 辻元清美

    辻元委員 持ち帰ったというようでございますという御答弁なんですが、今官房長代理は責任者でいらっしゃるわけで、藤島前官房長が持って帰られた内容について目を通されたのですか。
  240. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 まず、当然のことながら、破棄されたものに目を通すわけにはまいりませんが……。  それから、一たん自宅に持ち帰りまして、また役所に持って帰ったものがございます。これらにつきましては、東京地方検察庁の方に任意提出または押収されておりますので、私は現物は見ておりません。
  241. 辻元清美

    辻元委員 先ほど、長官がコピーというふうにお答えになりましたが、原本はどこにあったのでしょう。
  242. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 最初に申し上げました事案の経過とかあるいは事情聴取のファイルというものは、調達実施本部の方でつくったものということで承知しております。
  243. 辻元清美

    辻元委員 これは非常に重要なことだと思うんですね。先ほどの委員指摘されましたけれども、前の官房長でいらっしゃったわけですね。そういう方が疑いをかけられるような行動をするということは、これは本当に信用を失墜してしまいますので、それでしつこく聞いているわけなんです。  実際にこれは九月三日に最初の家宅捜査がされた数日前というふうに言われておりますけれども、その後九月二十九日に官房長を長官は更迭されておりますけれども、その理由は何なんでしょう。報道によりますと、責任をとったものではないというような御答弁をされておりますけれども、今後この藤島前官房長の行動が明らかになってくるかと思うんですが、今もそのような御認識でしょうか。
  244. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 藤島前官房長が事情聴取を受けたという報道もあり、私もそれを確認をいたしたわけでございます。  したがって、当時私は、内部調査会というものをつくりまして、そしてみずからの力で事実関係を明らかにしていかなければならないという強い決意を持っておったものですから、事情聴取を受けた上に、官房長というのは全体的な文書の総括責任者であります、したがって、本来ならばその事実関係を先頭に立って明らかにしなければならない立場でありますけれども、事情聴取を受けたとかいう話もありまして、私は、このままでは事実関係が明らかになることに若干支障が起こるのではないかということで、官房長を官房付にし、しかもなおかつ、言ってみればその事実関係だけではなくて、防衛庁内にはさまざまの仕事があるわけでありますから、本来の業務にも支障がないようにするために、官房長の職を解き、官房付にしたということであります。
  245. 辻元清美

    辻元委員 ということは、責任をとって更迭というわけではないということですか。
  246. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 一般的には処分をしたのではないかというふうに受け取られる向きもあるかと思いますけれども、私といたしましては、事実関係を今調査中でございまして、その事実関係が明らかになった上で厳正な措置をとらせていただきたいという話を言っているわけでございます。
  247. 辻元清美

    辻元委員 先ほどから幾つか細かい点を聞かせていただきましたが、これは今回の事件のある意味で重要なポイントだと思います。  さて、内部調査の進行ぐあいにつきましては、明日の会期末までというこの間からの御答弁でしたが、ちょっと難しそうなお話がございました。  それで次に、九月二十四日に有識者会議というのをおつくりになったかと思うのですけれども、この防衛調達制度調査検討会、こちらの方はどのような進行ぐあいで、どれぐらいで結果といいますか、検討結果、発表されるおつもりで進めているのでしょうか。
  248. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 二十四日の最初の会合に当たりましては、私は、これは防衛庁のあるいは自衛隊のあり方が問われていることである、したがって防衛装備品の調達システムについて、これまでの歴史的な経緯、それから海外ではどういうふうに行われているか、さまざまなことを考えながら、国民皆さん方に十分透明性を持って、信頼感ができるものをつくってほしい、その心意気としては防衛調達本部を解体するぐらいの気持ちでやってほしいというふうに言いました。そして、各先生方が今、鋭意、資料を集めたり、あるいは海外に行って勉強したりしているところでありまして、一つのターニングポイントといたしましては、できるだけ早く、言ってみれば問題によっては先に結論を出して国民皆さん方にアピールをしていきたいというふうに思っております。
  249. 辻元清美

    辻元委員 といいますのも、この中で論じられていることだと思いますが、第三者機関をつくっていこうという話が出ていると聞いております。今回の調査も、内部調査をしたらぼろぼろぼろぼろ、調査しているはずの人が今度は何か家に書類を持って帰っていて燃やしていたとか、何かそういう話も次から次に報道されたりして、このままいきますと一体いつまでかかるのかという中で、第三者機関が客観的にチェックしていく、それを担保していくというのは非常に重要だと思いますので、その方向で進めていただきたいというふうに強く申し上げておきたいと思います。  さて、最後になりますが、先ほど、明日、金大中韓国大統領を迎えるに当たりまして、歴史認識の話が少し出ました。その中で、ある委員の方がつまらぬ老人の談話というふうに言われたのは、どの談話なのか私はわかりませんけれども、それがもしも一九九五年八月十五日の村山元総理の内閣総理大臣談話を指すのならばそれは不適切な発言ではないかということをまず指摘させていただきたいとともに、長官にお伺いしたいのですけれども、私は、この戦後五十年の談話を継承して明日から金大中大統領に対応していただけるものと理解しておるのですが、それでよろしいでしょうか。
  250. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 これは小渕首相と金大中大統領の共同声明という形で出るのだと思いますけれども、これは両首脳の間で今作成中のものであろうというふうに思っております。私が述べる立場にはありません。
  251. 辻元清美

    辻元委員 以上で終わります。
  252. 塩田晋

    塩田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  253. 塩田晋

    塩田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  254. 塩田晋

    塩田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 塩田晋

    塩田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  256. 塩田晋

    塩田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十一分散会      ————◇—————