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1998-09-28 第143回国会 衆議院 安全保障委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月二十八日(月曜日)     午後四時六分開議 出席委員   委員長 塩田  晋君    理事 安倍 晋三君 理事 浅野 勝人君    理事 仲村 正治君 理事 石井 紘基君    理事 前原 誠司君 理事 赤松 正雄君    理事 西村 眞悟君       麻生 太郎君    伊藤 達也君       臼井日出男君    大野 功統君       嘉数 知賢君    河井 克行君       岸本 光造君    倉成 正和君       栗原 裕康君    小泉純一郎君       佐藤  勉君    田中 和徳君       田村 憲久君    中山 利生君       能勢 和子君    船田  元君       八代 英太君    山崎  拓君       吉川 貴盛君    伊藤 英成君       岡田 克也君    中野 寛成君       藤田 幸久君    横路 孝弘君       冨沢 篤紘君    佐藤 茂樹君       二見 伸明君    中路 雅弘君       東中 光雄君    辻元 清美君  出席国務大臣         外 務 大 臣 高村 正彦君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 額賀福志郎君  出席政府委員         防衛庁参事官  伊藤 康成君         防衛庁長官官房         長       藤島 正之君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 大越 康弘君         防衛庁人事教育         局長      坂野  興君         防衛庁装備局長 及川 耕造君         防衛施設庁長官 萩  次郎君         防衛施設庁施設         部長      守屋 武昌君         科学技術庁研究         開発局長    池田  要君         開発庁水質保全         局長      遠藤 保雄君         外務省総合外交         政策局長    加藤 良三君         外務省総合外交         政策局軍備管  阿部 信泰君         理・科学審議官         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 竹内 行夫君         外務省条約局長 東郷 和彦君         通商産業省貿易         局長      佐野 忠克君         通商産業省機械         情報産業局長  広瀬 勝貞君  委員外出席者         安全保障委員会         専門員     田中 達郎君     ――――――――――――― 委員の異動 九月二十八日  辞任         補欠選任   河井 克行君     八代 英太君   岸本 光造君     倉成 正和君   阪上 善秀君     能勢 和子君   吉川 貴盛君     田中 和徳君   岡田 克也君     藤田 幸久君 同日  辞任         補欠選任   倉成 正和君     岸本 光造君   田中 和徳君     吉川 貴盛君   能勢 和子君     阪上 善秀君   八代 英太君     河井 克行君   藤田 幸久君     岡田 克也君     ――――――――――――― 九月二十一日  周辺事態法案等制定反対に関する請願(金子  満広君紹介)(第二三二号)  同(中林よし子紹介)(第二四九号)  同(東中光雄紹介)(第二五〇号)  同(藤木洋子紹介)(第二五一号)  同(山原健二郎紹介)(第二五二号)  同(中島武敏紹介)(第二九二号)  同(矢島恒夫紹介)(第三〇九号)  同(中島武敏紹介)(第三三八号)  同(中林よし子紹介)(第三三九号)  同(春名直章紹介)(第三四〇号)  同(東中光雄紹介)(第三四一号)  同(平賀高成紹介)(第三四二号)  同(藤木洋子紹介)(第三四三号)  同(藤田スミ紹介)(第三四四号)  同(古堅実吉紹介)(第三四五号)  同(不破哲三紹介)(第三四六号)  同(松本善明紹介)(第三四七号)  同(矢島恒夫紹介)(第三四八号)  同(山原健二郎紹介)(第三四九号)  同(吉井英勝紹介)(第三五〇号)  新ガイドライン関連法制定反対に関する請願  (保坂展人君紹介)(第三三七号) 同月二十八日  周辺事態法案等制定反対に関する請願平賀  高成紹介)(第四一八号)  新ガイドライン関連法制定反対に関する請願  (中路雅弘紹介)(第四五〇号)  同(中川智子紹介)(第四六九号)  同(辻元清美紹介)(第四八八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の安全保障に関する件      ――――◇―――――
  2. 塩田晋

    塩田委員長 これより会議を開きます。  国の安全保障に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤勉君。
  3. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 自由民主党の佐藤勉でございます。  本日は、額賀長官そして外務大臣には、大変お忙しい中、ありがとうございます。早速質問に入らせていただきたいと思います。  まず、額賀長官におかれましては、先日アメリカに行かれ、会談に臨まれたわけでありますが、その会談内容について質問をさせていただきたいと思います。また、その際、長官におかれましては事故に遭われたということで、あわせてお見舞いを申し上げておきたいと思います。  それでは質問をさせていただきたいと思いますが、まず、さきの北朝鮮ミサイル発射問題について伺いたいと思います。  北朝鮮ミサイル発射は、我が国の平和と安全に極めて憂慮すべき行為だと思うわけでありますが、今回の日米防衛首脳会談及び日米安全保障協議委員会では、北朝鮮ミサイル発射問題について米側とどのような話し合いをされたのか、まずお伺いをしたいと思います。
  4. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 御質問にお答えをいたします。  また、佐藤委員からは、温かいお見舞いの言葉をちょうだいいたしましたが、大したけがでもなくてよかったと思っております。御心配をかけて大変恐縮に思っている次第でございます。  なお、2プラス2の席におきまして、高村外務大臣それから私からも、それぞれ北朝鮮から発射されました弾道ミサイル問題について意見を述べさせていただいたわけであります。  私は、北朝鮮から無通告のまま我が日本列島を横断する形でミサイルが発射されたことはゆゆしき事態であり、国民の皆さん方も、みずからの領土にもしかしておっこちる危険性もあったわけでありますから、怒りを持って受けとめているのが実情であるという話をすると同時に、今後我々は、日本の安全ばかりではなく、極東地域における、北東アジア地域における安全と平和にも大きな問題を残す憂慮する事態である、これは日米両国が共通の認識を持つ必要があるというようなお話をしまして、アメリカ側もそういう認識を持っていただいたものと思っております。  今後、日米は、お互いに意見交換情報交換をし、しかもなおかつ、北朝鮮において弾道ミサイル開発あるいはまた海外への輸出、そういうことが行われることがないように厳重に我々の意見を述べさせていただいたということでございます。
  5. 高村正彦

    高村国務大臣 2プラス2ではただいま額賀長官がおっしゃったとおりでありますが、日米首脳会談におきましては、北朝鮮ミサイル発射北東アジアの平和と安定とに憂慮すべきものであり、北朝鮮に毅然とした対応をとること及びこれ以上のミサイル発射開発及び輸出を行わないよう、種々の場において北朝鮮に働きかけていくことを確認いたしました。  また両首脳は、日米安全保障条約上のコミットメントが確固たるものであることを再確認したところでございます。
  6. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 いずれにいたしましても、大切なことでございますので、今後ともいろいろな情報交換をいただきながら、しっかりとその辺のところを守っていただきたいというふうに御要望申し上げておきたいと思います。  次に、対人地雷のことについてお伺いをしたいと思います。  昨年末、日本対人地雷全面禁止条約署名をいたしたわけであります。私も地雷については決して是とするものではないという立場をとっているわけでありますが、もちろん対人地雷については決して褒められた話ではないと思います。  そこで、若干お伺いをしたいわけでありますが、対人地雷については、日本のように海岸線が長く、専守防衛をモットーとしている国においては最適な兵器であるというのはもう皆さん承知のとおりなのかもしれません。そんなときに、自衛隊保有する対人地雷をすべて廃棄することにより、我が国防衛上果たして問題がないのかどうかということをお伺いをしたいと思います。
  7. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 佐藤委員指摘のとおり、島国である我が国におきまして、また専守防衛的な立場からいたしますと、費用対効果の上から見ましても有力な兵器一つであるということは間違いがないというふうに思っておりましたし、これまではそう考えてきたわけでございます。  しかし、小渕総理が決断をいたしまして対人地雷禁止条約署名をなされましたので、我が方といたしましては、この大きな人道的な立場からの政治判断について、これをフォローしていくために、どういうふうに防衛政策上影響を与えないようにできるかということを研究してまいったわけでございますけれども、それ以来、この対人地雷にかわる代替手段研究をしてきておりますし、また必ずこれを装備化していく方向で、我が国防衛の問題に支障が起こることがないように代替手段開発に取り組んでいるところでございます。
  8. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 とりあえず対人地雷についてはなくする方向にということになりますが、自衛隊保有する対人地雷廃棄計画について伺っておきたいと思います。
  9. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 廃棄方法につきましては、これまで安全性及び経済性観点から鋭意検討をしてまいったわけでございますけれども、委員承知のとおり、同条約で定められた廃棄期限、これは、発効後四年以内に保有する対人地雷廃棄を確実に、また効率的に完了しなければならないということになっておりますので、平成十一年度はとりあえず四億円の予算計上をして、対人地雷約二十二万発を廃棄をしてまいりたいというふうに考えているところであります。したがって、四年以内に全廃する方向で考えているところでございます。
  10. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 しっかりとお願いを申し上げておきたいと思います。  また、先ほど長官お話の中に、対人地雷代替手段検討状況及び代替手段の話が出ておりましたが、検討状況、そして予算措置について伺っておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  11. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 とりあえず代替手段が装備化されるまでの間は、指向性散弾といいまして、これは、自衛隊員が自分の目で、どこかの国が侵入をしてきたというようなときに、遠隔操作でもって金属の破片を集中的にばらまいて敵の侵入を防ぐというような仕組みを今考えているわけでございます。それと同時に、対人障害システムというものを考えておりまして、これはやはり同じようにセンサーとか遠隔操作でもって敵の侵入を防いでまいろうという考え方でございまして、予算措置といたしましては、平成九年度補正予算及び平成十年度予算においてそれぞれ約二千万円、平成十一年度におきましては約六億円を計上しているところでございます。
  12. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 そこで、若干観点を変えていきたいと思うわけでありますけれども、日米ガイドラインでは、後方地域における武器弾薬輸送日本が行うこととなっております。対人地雷禁止条約国内法では、運搬は米軍が行うこととなっておるわけでありますが、この二つ整合性についてどのように考えていらっしゃるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  13. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 佐藤委員承知のとおり、新ガイドラインにおきましては、米軍物資、これは弾薬を含む米軍物資輸送協力がなされるというふうに記述されているわけであります。これは今、国会に上程をされておるところでございます。  一方、対人地雷禁止条約について、これが承認をされていくことになれば、私どもは、自衛隊あるいは民間業者も、対人地雷についての輸送国内法に基づいてできない、これは別の問題である、別次元の話であるというふうに考えて対応させていただきたいというふうに思っております。
  14. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 時間が参りましたので、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  15. 塩田晋

    塩田委員長 次に、藤田幸久君。
  16. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 たくさん時間をいただきまして、ありがとうございます。  きょうの安保委員会の開催は、対人地雷禁止条約及び国内法についてしっかりとした精査をしておく必要があるとのことで、それも一つ理由で開かれたというふうに伺っております。金曜日も外務委員会で、小渕総理額賀防衛庁長官町村外務政務次官質問いたしましたが、さらに追加をして、この内容を精査してよりよい形で批准ができるようにとの観点から幾つ質問をさせていただきたいと思います。  まず、条約国内法を読み比べてみますと、いわゆる条約の方からこの国内法に定義づけを読み込む際に、項目が幾つか、表現が大分ずれておるわけであります。  それで、その内容についてまず外務大臣にお聞きをしたいと思いますが、条約の方の第一条の「一般的義務」というところに、使用開発生産取得貯蔵保有並びに移譲、そういったことについて禁止というふうになっておるわけです。これを国内法に目を転じてみますと、使用ということについては使用そのもの、それから開発生産ということについては国内法でもそのまま禁止。一方、取得貯蔵保有という三つの対象概念については、国内法では所持というふうに読み込んで表現がされております。  この担保法を見てみますと、使用については、国内法で既にあるところの爆発物取締罰則という規制に乗るというふうになっておるわけですけれども、この爆発物取締罰則というものを調べてみますと、この法律は、明治十七年十二月二十七日に太政官布告第三十二号でできた法律でございまして、それに幾つ改正がなされまして、最終改正大正七年の法律第三十四号と非常に古い法律になっておるわけでございます。  例えば、第一条の目的を読んでみますと、漢字及び片仮名で書いてあるわけですが、「治安妨ケハ人身体財産害セントスルノ目的以テ爆発物使用シタル者及ヒ人ヲシテ之ヲ使用セシメタル者ハ死刑ハ無期若クハ七年以上ノ懲役ハ禁錮ニ処ス」というふうになっておるわけです。  一番最近この法律が適用されたのは、テロリスト、爆弾の関係の人だろうと思いますが、数年前にあった。ということは、地雷使用という国内法に関してこういった法律が当てられているということ自体が非常にいかがなものかなという気がするわけでございます。  それで、より正確に質問する場合には、この使用という条約上の義務規定になぜ国内法爆発物取締罰則を当てたのか、今その罰則内容については申し上げた次第ですけれども、まずそこからお伺いをしたいと思います。
  17. 東郷和彦

    東郷政府委員 条約国内法関係につきましての技術的な点について、補足的にまず申し上げたいと思います。  委員指摘のように、本条約の第一条「一般的義務」の中の第一項(a)におきまして、条約禁止行為として「対人地雷使用すること。」という規定がございます。条約上、この使用というのが何かということについては、定義は条約の中にはございません。私ども、この条約国会の方に提出する過程におきまして、この使用ということの解釈につきまして、対人地雷を人を殺傷する目的をもって敷設すること及び敷設されている対人地雷を人を殺傷する目的をもって利用すること、こういうふうに解すべきではないかというふうに考えた次第でございます。  このように解釈しました使用について、国内法上どのように担保するかという点でございますが、先生指摘のように、爆発物取締罰則、これには今先生指摘の第一条、さらにはこの未遂行為としての第二条がございますが、この条項に加えまして、刑法上の殺人罪及びその未遂罪傷害罪傷害致死罪、これらを総合いたしまして、条約上の禁止行為担保し得るという解釈に立ったわけでございます。
  18. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 対人地雷禁止条約がここまで広がりを見せた一つの大きな理由は、文民の方がむしろ被害が多い。それから、地雷そのものは、敵を殺傷するよりもむしろけがをさせることによって、味方の兵士が負傷した兵士をそれぞれの陣地まで持っていくというようなことで、むしろ殺傷させないということを目的とした、ある意味ではよりたちの悪い武器である。それから御承知のとおり、一般被害者の方がはるかに被害が多い。それから、無差別性ということがもう一つ人道的に世界的な市民の反応を得た理由であるわけです。  そういった延長上でオタワ条約というものが、ジュネーブ軍縮会議ではなく、オタワ条約ができたという流れからしますと、今の定義づけ及び明治あるいは大正の段階で決まっておりますこの片仮名で書かれた担保法罰則規定、それで死刑無期もしくは七年以上の懲役というのは、どう考えても余りにもかけ離れているのではないかなという気がするわけです。  これは、せっかく条約ができて、条約というのは、金曜日も総理にも確認をいたしましたけれども、オタワ条約精神経緯というものを遵守するという形で、抜け道がなく、かつ、そういった精神を反映させるということも外務次官の方からもお話をいただいているわけですけれども、どうもそういう観点からしますと、この爆発物取締罰則、今御説明をいただいた内容ですと、やはりどうしてもかけ離れてしまっている。何か別の方法はないのか。あるいは今から修正するのが難しいのであれば、その辺をやはり、精神が生かされるような国内法に反映をさせるという点で、大臣いかがですか、今お聞きになっていて、所感を例えれば幸いですが。
  19. 高村正彦

    高村国務大臣 まことに申しわけないのですが、御質問趣旨は、死刑もしくは無期、七年以上ということだと重過ぎるという趣旨なんでしょうか。
  20. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 それが一つと、先ほど言いました殺傷云々のためにこういう担保がされておる、それが理由でこの条約国内法罰則規定に当てたという理由づけの二つでございます。
  21. 高村正彦

    高村国務大臣 地雷というのはまさに爆発物そのものでありますから、地雷使用することが正当であるという場合がなくなったとすれば、爆発物として扱われるというのは至極当然のことであると私は考えております。
  22. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 地雷重要性というのは、多分外務政務次官でいろいろな会議等でお聞きになったかと思いますが、今のお話ですと、武器一般というものを一つの定義づけにしてしまって、核兵器から、あるいは通常兵器から、あるいは地雷ということも含めまして一つ兵器でくくってしまえば、それに見合う国内法があればそれで担保できるというような議論にもなってしまうわけですが、私が申し上げておりますのは、やはり対人地雷条約がここまで速やかに調印あるいは批准の近くまで来ておる、それから既に予想を超えて批准国がふえたということは、いわゆる武器としての手段以外の使われ方とかいうことの人道的な意味があってここまで来ていると思っているわけです。  そういう観点から考えますと、国内担保法がこの罰則規定で、しかも先ほど申し上げたような内容罰則規定を当てているということは、ちょっとかけ離れているのではないかということで申し上げているわけですが。
  23. 高村正彦

    高村国務大臣 地雷というのは、本来的に武器として使用されるものである。ですからその武器として使用されるときに、まさに自衛隊で使っている場合には一定正当性がある、こうされてきたわけです。もし使用するとすればですよ、一定の要件のもとに使用するとすれば、それは正当性があると。しかし、この条約を締結することによってその正当性がないということになるとすれば、その使用の形態というのはまさに一般的な爆発物となぜそこに差をつけなければいけないのか、ちょっと私よくわからないので、教えていただければ大変ありがたいと思います。
  24. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 先ほども申し上げましたが、この爆発物取締罰則目的には、治安を妨げまたは人の身体財産を害せんとする目的をもって爆発物使用するということですね。ですからこれは、今までの事例を見てみましても、いわゆる過激派等が使ったことに対して大分前にこの爆発物取締罰則が当てられている。一番最近、九七年一月、これはやはり爆発物過激派がこの罰則規定対象になっておりますけれども。したがって、今までの、いろいろな形で対人地雷というものが使われ、あるいはこの条約に至った経緯などからしますと、どうもやはりこの罰則規定というものは必ずしも対人地雷に対する罰則規定にはそぐわないのではないか、常識的に見ますと。大臣は弁護士でもあられますので、また別の考え方を持っておられるかもしれませんけれども、そういう観点から質問を申し上げております。
  25. 高村正彦

    高村国務大臣 ですから、爆発物取締法違反の場合は、そういう目的がある場合にそのことに当たるということですから、地雷もそういう目的を持って使用された場合はその法に当たるということだと思います。
  26. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 堂々めぐりになりますから、もう一度申し上げますが、地雷というのは、敵兵を殺すということよりも、むしろ敵の行動能力を削減をし、つまり、殺さずに生かして障害を与えて、そしてそれが軍全体の士気あるいは機能に障害を与えるといったようなことを目的とし、かつ、もともとは防御兵器でございますので、この文案からしますと、そういうこととちょっとその対象内容がずれているのではないか。ただ、これ以上水かけ論をしてもしようがありませんので――じゃ、大臣どうぞ。
  27. 高村正彦

    高村国務大臣 ですから、爆発物取締法というのも目的罪ですから、一定目的のもとに使用された場合にこういう罪に当たりますよということですから、地雷使用した場合も、そういう目的を持って使用した場合には爆発物取締法違反に当たるということであって、そのほかそういう目的がなくて使用された場合、刑法のどれに当たるかというのは、それぞれの場合に応じて決定されるべきことだ、こういうふうに思っております。
  28. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 堂々めぐりになりますので、私が申し上げたその精神というものを、金曜日の委員会でも申し上げましたけれども、やはりここまで至ったという経緯自身が、今までの軍縮問題とかいった次元と違った形でオタワ条約というものが、当時の小渕外務大臣のリーダーシップも含めまして、あるいは市民の運動も含めまして来ておりますので、そういう点をぜひさらに生かしていただきたいと思います。  それで、水かけ論になってしまいますので次の質問に参りますが、先ほど申しましたように、取得貯蔵保有という対象が、国内法では全部ひっくるめて所持というふうになっております。  この所持ということでございますと、実はこの前から質問しておりますけれども、在日米軍所持は認める、先ほどの佐藤議員質問にもございましたけれども、その輸送に関しては米軍自身に当たってもらうということになっておりますが、それで私は、米軍日本国内において所持をする地雷というのは、これは朝鮮半島に使うということが前提アメリカオタワ条約調印をしていないわけでございますので、米軍日本国内に持っております対人地雷というのは、使う場合にはやがて朝鮮半島に持っていくということが前提になっておるわけであります。したがいまして、その米軍所持という場合には、この条約の方に書いておりますところの取得貯蔵保有の中の取得というところ、つまり米軍基地の中に所持をする前提として取得ということがあると思うわけですが、取得ということは、どこからか持ってきて、そして大臣の近くの方の江田島等々あるいは沖縄等々の在日米軍基地に地雷保有をされているというふうに聞いておりますけれども、そこからやがて朝鮮半島に持っていくという場合には、日本としてその持ち込みあるいは持ち出しに際して報告を受けるべきではないか。その際に、この条約上の取得ということが国内法所持の中に一くくりにされているというところがどうも何か抜け道になりはせぬかという気がするわけです。  それも含めまして、この取得貯蔵保有というものをなぜ国内法所持にまとめざるを得なかったのか。むしろそっくりそのまま取得貯蔵保有の方がよかったのではないかという気もするわけですが、その点についてお答えいただきたいと思います。
  29. 高村正彦

    高村国務大臣 条約は、締約国に対し、自国の管轄または管理の及ぶ範囲で、条約禁止している対人地雷使用生産保有等の活動を防止し及び抑止するため適当な措置をとることを求めているわけでありますが、我が国は、在日米軍による対人地雷に係る活動につき、条約上それらを防止し抑止する義務は負っていないわけであります。在日米軍による我が国国内における対人地雷使用開発生産については、条約を締結する我が国立場から認めないこととしているわけであります。  他方、我が国安全保障の確保等の要素を総合的に勘案するとともに、米軍朝鮮半島における安全保障上の理由等から本条約署名しておらず、二〇〇六年までに朝鮮半島での対人地雷の代替兵器開発を目指すとしていることを踏まえて、在日米軍による対人地雷貯蔵及び保有まで認めないとすることは不適当と考えた次第であります。  ちょっと答えがかみ合わなかったところもありますが、条約局長からさらに答弁をさせます。
  30. 東郷和彦

    東郷政府委員 一点補足をさせていただきたいと思います。  条約上の取得貯蔵保有とそれから国内法上の規制との関係でございますけれども、一般的に、条約である行為禁止されている場合に、それを国内法禁止するときにどのような規定を採用するかということにつきましては、当該条約内容、それからその問題に関する我が国内法上の規律の体系、こういうものを総合的に勘案しまして、条約上の義務の内容国内法上きちっと履行し得るように対応を整えるということかと思います。  本件の場合につきましては、取得貯蔵保有、この三つの行為を全体としてとらまえまして所持という言葉で国内法上規律するということが、我が国国内法上、先例等に照らしましても適当ではないかということで国内法を作成したというふうに承知しております。  例えば、化学兵器禁止条約につきましても、条約上この三つの行為があり、国内法上の措置としては所持禁止という形で処理されているという先例もございます。  以上でございます。
  31. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 条約から国内法に言葉を置きかえる際に、今までの先例というのも重要だろうと思いますが、やはりできるだけ、特に国内法なんかになる場合に、読んでよくわかるようにしていただきたいというふうに思うわけです。  例えば、条約の第二条の四「移譲」というところがあるわけですけれども、これは、英語の方ではナショナルテリトリーというふうになっているのですが、日本語の方では領域というふうになっているのです。これは、今まで条約局はナショナルテリトリーを領域というふうにしていたということなわけですけれども、そうすると、普通に読んでしまうと、今まさに問題になっております国内における輸送というものも入ってしまうのではないかというふうに普通だったら読んでしまうと思うわけですね。  ですから、そういった意味で、今条約局長から御説明いただきましたけれども、条約については先週もいろいろ御質問申し上げましたけれども、国内法にかえる際に、ましてや今度ガイドラインの話も、法案が取り上げられるわけですけれども、その辺もぜひ御配慮をいただきたいというふうに思います。  それから、ちょっとこういう細かい話ばかりで時間をとりたくありませんので、最後に一言申し上げますと、先ほどの爆発物使用罰則規定ですけれども、私が聞いた話では、死刑または無期懲役または七年以上の懲役というのは殺人罪よりも重いということでございますので、それもあわせて申し上げておきたい。こういうことで、対人地雷使用に関して殺人罪よりも重い罰則規定を当てるということが本当にいいのかということを、大臣、繰り返し答弁ございましたけれども、申し上げておきたいと思います。  続きまして、在日米軍地雷所持については認めるということになっておりますけれども、在日米軍、あるいは在韓米軍もそうでございますけれども、在日米軍というのは国連軍でもあるわけです。ということは、在日米軍所持をしておる地雷というものは、これは国連軍の地雷というふうにも言えるわけです。その場合に、国連の加盟国、かなりがオタワ条約署名しておるわけですけれども、その場合に、在日米軍における所持をしておる地雷、それから、これが仮に朝鮮半島つまり韓国に移譲をされた場合であっても、在韓米軍というのもこれもまた在韓国連軍でございますので、国連軍であるという米軍所持をする地雷の扱いについてどう考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  32. 高村正彦

    高村国務大臣 一般に言う在日米軍が即国連軍だとは考えておりません。
  33. 東郷和彦

    東郷政府委員 ただいま大臣が申しましたことを補足させていただきたいと思います。  在日米軍日米安保条約及び地位協定に基づき日本に滞在する、これは先生御案内のとおりかと思います。他方、国連軍に関しましては、いわゆる在日国連軍、これは一九五四年に協定に署名いたしまして、現在十二カ国によって構成されております。平成十年七月一日現在、三十名が我が国に派遣されております。  この在日国連軍に対して対人地雷条約で負っている義務をどのように考えるかという点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、本件条約は、締約国に対し、自国の管轄または管理の及ぶ範囲で条約禁止する活動を防止及び抑止する適当な措置をとることを求めているということでございますので、法律的な義務という観点から考えますれば、我が国は、在日国連軍による対人地雷にかかわる活動を防止ないし抑止する義務は負っていないというふうに考えております。
  34. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 今、早口で言われた最後の部分は、在日米軍の中に所持しております地雷が在日国連軍の所有であっても、日本の管轄権が及ばないので義務はないというふうにとってよろしいのでしょうか。
  35. 東郷和彦

    東郷政府委員 在日米軍所持している地雷につきましては、これは、日米安保条約、地位協定のもとに滞在する在日米軍所持しているという意味において、国連軍の問題とは別の問題というふうに考えております。  いずれにいたしましても、この条約が、締約国、すなわちこの場合日本に対して課しておる義務というものは、自国の管轄または管理の及ぶ範囲ということでございますので、法律的な義務という意味では、在日米軍にせよ国連軍にせよ、私どもは、在日米軍、国連軍に対する条約上の義務を実施しなければいけない、そういう義務はないというふうに考えております。  他方、累次申し上げておりますように、我が国の政策として、在日米軍が所有し得る地雷に関しての開発、製造、使用、これは我が国として認めないという対応をとっているわけでございます。
  36. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 これは別の問題で、在日国連軍と在日米軍の地位協定のどちらが優先するかというのはまだいろいろな議論が続いておるわけですけれども、その問題だろうと思いますが、今の局長の答弁ですと、在日国連軍は対人地雷所持が認められるのでしょうか、認められないのでしょうか。
  37. 東郷和彦

    東郷政府委員 お答え申し上げます。  ただいま申し上げましたように、在日国連軍というのは、平成十年七月一日現在、三十名日本に滞在している部隊でございまして、したがって、この部隊が対人地雷を所有するしないという問題は、現実の問題として発生し得るというふうには考えておりません。
  38. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 これはまたいろいろな問題がありますので、また別の機会に質問をしたいと思います。  次に、先ほどの佐藤委員質問の中にもございましたけれども、今回、在日米軍輸送を、日本の業者がせずに、米国が独自に行うという、日本側の政策として決定がなされたわけでございますが、それと日米ガイドラインとの整合性の問題でございます。  先週この質問をいたしましたところ、日本自衛隊ができないことがふえたという答弁がたしか外務次官の方からあったわけですけれども、地雷の運搬ということができなくなったというのがその一つだろうと思いますが、オタワ条約調印をする、あるいは批准をするということによって日本自衛隊ガイドラインあるいは日米安保条約上できなくなったものは、地雷輸送ができなくなったこと以外に何があるのか挙げていただきたいと思います。
  39. 阿部信泰

    ○阿部(信)政府委員 お答え申し上げます。  この条約の第一条によりまして、締約国は、対人地雷使用開発生産取得貯蔵もしくは保有、移譲、これについて、いずれかの者に対して、援助し、奨励しまたは勧誘することはできないということを規定しております。したがって、この条約によりますと、これらのようなことについて、援助、奨励もしくは勧誘に当たることは自衛隊としてできない、こういうことになります。  ただ、現実の問題としましては、以上述べましたことのうちで具体的にあり得ることは、輸送というのが一番あり得るということで、それがこれまで議論になっていたということで、ほかのものについては、現実の問題としては、例えば米軍日本において開発するとか生産するとかいうようなことはほとんど考えられないということがあろうかと思います。
  40. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 それでは、防衛庁長官幾つ質問させていただきたいと思います。  まず、今オタワ条約で該当しておりますのは対人地雷でございます。それで、この対人地雷というものを禁止することによって、日本安全保障に多大な影響があるのではないかと言う方もいらっしゃるわけですが、私は、地雷という場合に、日本自衛隊安全保障上、対人地雷よりも対戦車地雷あるいは水際地雷の方がはるかに重要であったというふうに認識をしておるわけです。  それで、オタワ条約調印批准後もこの対戦車地雷あるいは水際地雷というものは引き続き使われるわけですけれども、この際ちょっと整理をしておきたいと思いますが、対戦車地雷あるいは水際地雷というのは、どんな状況で、どんな敵を対象に、どんな地形での使用を想定されているのか。いつも政府側の答弁で、日本海岸線が長くてという話になるわけですが、もともと、対人地雷海岸線に埋めるわけじゃないわけですね。そういった意味で、対戦車地雷、水際地雷というものは継続して使うということですので、それが実際どういう場面を想定しておるのかということについて、まずお聞きしたいと思います。
  41. 大越康弘

    ○大越政府委員 お答え申し上げます。  海上からの侵攻部隊に対しましては、自衛隊の艦艇、航空機等による攻撃により、できる限り洋上で撃破することに努めますが、その際、着上陸する敵に対しましては、水際地雷を上陸が予想される海岸の水中に敷設しまして、敵の上陸用舟艇等を阻止し、遅滞させるということを考えております。  また、着上陸しました敵に対しましては、陸上自衛隊は師団などを基幹とする主要部隊の戦闘力を発揮して敵を撃破するわけでございますが、その際に、戦車が入ってまいりますような地形に対しましては対戦車地雷を敷設しまして、戦車部隊等の侵攻を阻止し、または遅滞させる、こういったことのために敷設するものでございます。
  42. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 そうしますと、対人地雷と、今おっしゃっていただいた諸地雷との主な違いはどこにありますか。
  43. 大越康弘

    ○大越政府委員 お答えいたします。  対戦車地雷は、陸上におきまして、戦車が通ってくるというふうに予想されます地帯に敷設するものでございます。水際地雷は、海岸の水中に敷設しまして、その海岸を通しまして我が国に侵攻します敵の上陸用舟艇等を撃破することを担っているものでございます。
  44. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 済みません、対人地雷との違いを聞いたわけですが。
  45. 大越康弘

    ○大越政府委員 失礼しました。  対人地雷は、敵の歩兵部隊が侵攻する、そういった地形に敷設をしまして、歩兵部隊等を撃破するということをねらいにしたものでございます。
  46. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 先週も、総理の答弁の中にもございましたが、一般的な日本安全保障の傾向として、地上戦を想定した可能性が非常に少なくなってきていると。一方、この間の北朝鮮ミサイルの発射等にも見られるように、空中あるいは海上等の攻撃の可能性がふえているのではないかという答弁もございましたが、今のお話を聞いておりますと、対人地雷というのは、歩兵で、しかも海岸ではなく、あるいは海岸線ではなく、陸の中の方というようなお話がございました。したがいまして、防衛上の必要性というものの蓋然性が非常に低くなってきたという流れからいたしまして、今回の条約あるいは国内法の流れとも非常にマッチすることを今裏づけていただいたような気が私はいたしました。  ところで、対人地雷にかわるものとしての代替措置ということで、指向性散弾ということが防衛庁の方で今研究をされておられる。予算も計上しておるわけですけれども、指向性散弾対人地雷の代替兵器になる。一方で、オタワ条約禁止されていることには触れない。両方を満たすものが代替兵器としての指向性散弾と思いますが、その指向性散弾対人地雷の違いというものについて簡単に説明していただきたい。
  47. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 我々といたしましては、対人地雷、これにかわるものとして代替措置というものを開発するわけですが、それが完成します間もこの指向性散弾によって所要の措置を講じていこう、こういうことでございます。  それで、指向性散弾の場合は、隊員が相手を視認して作動させるというところが地雷とは典型的に異なっているだろう、こういうふうに思います。
  48. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ということは、効果は同じであるけれども、地雷というのは、基本的に被害者が自分で結果的にスイッチを押してしまうのに対して、指向性散弾というのは、仕掛けた側が遠隔操作でスイッチを押す。したがって、無差別に市民被害に遭うこともないだろうし、あるいは使用された後、埋設された地雷が永遠に地雷としての目的を達成するというような、兵器として存続することがない。私なりに解釈をすると、大体そんな解釈でよろしいでしょうか。
  49. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 地雷指向性散弾、その効果についてはそれぞれ異同があると思いますけれども、対人地雷禁止しようとする、こういう趣旨からいいますと、今先生がおっしゃったようなそういう点が特徴的なところだろう、こういうふうに思います。
  50. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 その場合に、代替兵器であるところの指向性散弾というものは、一般の方々に対する巻き添えとか、後で被害に遭い得る可能性というものは極めて少ないというふうに考えてよい――つまり今想定しているのは、極めて起こる蓋然性が低い日本の陸地のかなり奥の部分で、どこの兵士が来るのかわかりませんが、仮に兵士が、日本の陸地のかなり内部の場面に正規兵がいて、それを守るために指向性散弾を使う。それで、自衛隊がどこか遠隔でスイッチを押して敵に損害を与える。そういう想定の場合に、仮に指向性散弾が、埋めるのか置いていくのかわかりませんけれども、一般日本の都市住民等々に被害を与える可能性は極めて少ないというふうに考えていいわけでしょうか。
  51. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 指向性散弾の実際の運用にはいろいろなケースがあり得るかと思いますけれども、いずれにしましても、一般市民に危害を与えるおそれはないもの、かように思います。
  52. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 次に、地雷廃棄についてお伺いしたいと思います。  今年度の予算で四億円の予算が計上されておるわけですけれども、この四億円というのは、自衛隊保有をする地雷の約二〇%に当たるというふうに聞いておりますけれども、まず、四億円で大体どのくらいの数を廃棄するのか。それから、一個当たりの廃棄コストはどのくらいであるのか。それから、廃棄をする場合に、今自衛隊が持っております対人地雷を大別すると自己破壊装置がついている地雷と自己破壊装置がついていない地雷があるわけですが、計画の中で大体どんな種類の地雷を先に廃棄をしていくのか、そういう計画について。それから、先ほど申しましたコストの面と、どういう種類のものをどういうふうに四年間で廃棄していくのか、その方法とコストについてお聞きしたいと思います。
  53. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 まず、一個当たりの廃棄コストでございますけれども、平成十一年度の概算要求におきましては、対人地雷二十二万発の廃棄のための経費として約四億円を計上してございます。したがいまして、一発当たりの処理単価を試算いたしますと、平均で約二千円ということになろうかと思います。  それから、私どもといたしましては、この条約発効に伴いまして、条約で定めますように、四年以内に必要な廃棄をすべて終了する、こういう考え方で計画的に処理してまいりたいと思いますけれども、その中で、どういう種類のものから、あるいはどういう種類をどういうふうにということにつきましてはまだ、細かい内容につきましてはこれから詰めでまいりたい、かように思っております。
  54. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 一個当たり大体二千円ということは、民間の業者に請け負わせた方が二千円であって安い。つまり、自衛隊自身で廃棄をするよりも総合的に安いということだろうと思いますが、去年、おととしあたり、久間長官のころですが、廃棄のコストについてお聞きしましたら、当時は三万円とかいう話が出ていたわけです。それが今度の計画だと十分の一以下になっているわけですが、なぜこういう違いが出たのでしょうか。
  55. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 私ども、地雷廃棄につきまして、どういう方法が一番安全でかつ経済的にできるかということをいろいろ研究させていただきました。その過程で、海外の例等も調査させていただきました。  その結果、自隊で処理するというのも一つございますけれども、実際問題として、各演習場におきまして多数の対人地雷を同時に爆破するということになった場合のその安全性の問題等々がございますので、その安全性、それから経済性を考えまして、国内の事業者に処分を委託するのが適当であろう、こういうふうな結論に達した。そういう過程で、今申しましたような処理コストということを算定するに至ったということでございます。
  56. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 それでは、ちょっと違った質問をしたいと思いますけれども、この対人地雷禁止の中にいろいろな部品があるわけですけれども、いわゆる汎用部品そのものは製造禁止対象ではない、しかしながら明らかに対人地雷の部品となり得ることが明白な部品については製造禁止対象になるという御説明を聞いておるわけですけれども、では実際にその禁止対象になる部品というものはどんなものがあるのか、それで、そもそもなぜ部品一般禁止対象にならないのかということについて教えていただきたいと思います。
  57. 東郷和彦

    東郷政府委員 お答え申し上げます。  条約上の解釈といたしましては、この条約上例外なく禁止されておりますのは、第一条一の(b)にございます対人地雷生産でございます。したがいまして、対人地雷の部品につきましては、汎用性の高いものも多く、対人地雷生産に利用され得るという理由だけで網羅的にこれらの製造、生産禁止することが現実的でなく、こういうことも踏まえまして、この条約上部品の製造、生産禁止されているということはございません。  しかしながら、先生の御指摘にもございましたように、各締約国におきまして、このような対人地雷生産禁止する上で、その実効性を確保するために、必ずしも完成品が生産されていなくとも、その製造の途中段階にある行為を処罰するということは、これは合目的的なことであるというふうに考え、我が国におきましても、国内実施法上におきまして対人地雷の製造の罪を設けた上で、さらにその未遂罪というのを設けている次第でございます。  これによりまして、専ら対人地雷使用されるように設計された部品、例えば対人地雷用の信管、こういうものを製造すれば対人地雷の製造の未遂として処罰される、こういうことになるということでございます。
  58. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 それから、またちょっと米軍対人地雷に戻りますけれども、この運搬は日本側が行うということになっておりますけれども、先週金曜日の政府、外務次官の答弁だったと思いますが、米軍対人地雷の運搬コストは日本側は見ないという答弁があったわけですが、一方、アメリカ側も今回の日本の法案提出については理解をされておるというふうに伺っておりますけれども、ということは、これは地雷を運搬する部隊が日本にないわけですから、どこからか日本に来て、例えば朝鮮半島有事あるいはその準備段階として運搬をするわけですが、その運搬コストを、私はどのくらいかかるか存じませんけれども、アメリカ側の方で持つということを了解の上で日本側に対する今回の批准に理解を示したというふうに考えられるわけですが、その点は、大臣、いかがでございますでしょうか。
  59. 高村正彦

    高村国務大臣 そのように考えていただいて結構です。
  60. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 それから、その在日米軍対人地雷使用地域が朝鮮半島ということで想定をされておるわけですけれども、であるならば、どう考えても、それをわざわざ日本に置いておくよりは、むしろ朝鮮半島の方に、朝鮮半島と言わずとも、日本以外で朝鮮半島の有事に備えるに最も適した地域に保存をして保持をしていただくということが一番適当ではないかというふうに自然に考えるわけですが、その際に、よく非核三原則という言葉がございますが、非対人地雷三原則でもありませんけれども、持ち込みとかいうことも含めて、やがて使い得る一番可能性のあるところに保持をしていただくということを日本側として訴えることは考えておられませんでしょうか。
  61. 高村正彦

    高村国務大臣 在日米軍対人地雷は、日米安保条約目的を達成するために施設・区域内に貯蔵されているものと承知しております。  我が国としては、犠牲者ゼロの早期実現を目標に、普遍的かつ実効的な対人地雷禁止地雷除去や犠牲者支援への協力に努めていきたい、こう考えているわけであります。
  62. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 対人地雷に関する細かい質問ばかり続きましたので、ほかの質問に移りたいと思いますが、最後に、大臣、もう一度、先ほどの罰則規定殺人罪より重いということについてどう思われますか。それを伺ってから質問を移りたいと思います。
  63. 高村正彦

    高村国務大臣 委員の御指摘は、爆発物取締法違反罰則殺人罪より重いというのをどう思うのかというのと同じ質問だろうと思うのですね。  ほかの爆発物よりも、爆発物がたくさんある中で、地雷という爆発物についてだけ軽くする理由があるのかということを考えていただければ、そんなことはないのではないか。同じ目的を持ってですよ。爆発物取締法違反というのは目的罪ですから一定目的がなければその罪に該当しないわけでありますが、そういう中で、ほかの爆発物よりも地雷という爆発物だけ特別軽く取り扱う必要があるのかということを考えれば、そういう必要はない、私はそう思っています。
  64. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 いや、もともとの質問は、そもそもこの爆発物罰則規定をこの対人地雷国内法に当てることが妥当ではないのではないかというふうに申し上げている観点から申し上げたわけでございます。  水かけ論になりますので別の質問に移りたいと思いますが、まず、この週末の新聞等々で報道されておりますけれども、防衛庁の秘密文書が、八年前ですか、NECを経由してフィリピンの方に流出をしたということが出ておりますけれども、この事実関係とその事柄についての認識について防衛庁長官の方からお答えいただきたいと思います。
  65. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 今の藤田委員指摘の件でございますけれども、私も新聞を見てすぐ調査を命じたわけでありますけれども、平成二年の六月にフィリピンでバッジシステム関連資料が発見されたという情報を入手したことから、防衛庁において調査を進めた結果、防衛庁におけるマル秘相当の資料一点を含むバッジシステム関連のNEC内部資料七十一枚がNECから外部に漏えいしたことが判明をいたしておりました。  防衛庁は、平成三年四月、調達実施本部からNECに対して文書をもって厳重に注意をするとともに、①再発防止に係る誓約書の提出、②具体的な再発防止対策の提出、③再発防止策が実施されるまでの間の取引の停止等を指示し、所要の措置をとっておったということであります。  今後、防衛庁といたしましては、こうしたことがないように、契約企業に対し引き続き秘密保全措置の徹底を指導してまいりたいというふうに思っているところであります。
  66. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 今のお話で、民法上の契約とか再発防止の影響というようなお話でございましたが、バッジシステムというものが日本安全保障にとってどの程度重要なものであるかという認識に基づいて考えた場合に、これは民法上の契約といった事柄では済まされない問題ではないかという気がするわけです。  このバッジシステムというのは、指揮命令とか航跡情報などを伝達、処理する日本全国規模の指揮通信システムなわけです。これによって目標が敵か味方かというものを識別して、要撃戦闘機とかあるいは地対空ミサイル部隊に目標を割り当てるといった、まさに安全保障上の根幹にある事柄がいつの間にか外国に流出をしてしまったということだろうと思いますので、そうしますと、単に民法上の契約、それで二年間の停止といった対象の事柄をはるかに超えた重要な事柄であるというふうに思うわけですが、その点、長官、いかがでしょうか。
  67. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 今藤田委員指摘のとおり、バッジシステムというのは、我が国に対する航空侵攻が生じた場合に、侵入機をいち早く探知をしまして、我が国保有する戦闘機や地対空ミサイルの中から最も有効なものを選択して侵入機に向かわせ、また戦闘機の要撃管制を行うなどの行為を迅速にとることであります。バッジシステムは、このような一連の行為を、各種部隊の効率的な連携を確保しながら、限られた時間内に行うためのコンピューターや情報表示装置、通信装置などの各種電子装置から成る全国的な規模の自動データ処理システムであって、我が国の防空システムには必要不可欠なものであります。  したがって、極めて重要なものでありまして、こういうことが再び起こることがないように、万全の体制をとっているところであります。
  68. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 今の答弁とも関連しておりますが、この事件が明るみになった際に、防衛庁の当局者の言葉の中に、当事者間の問題なのでというような言葉が出ておりましたけれども、当事者間ということで、先ほども民法上の契約なんという言葉がございましたけれども、当事者というのは、何を、だれを指しておられるのでしょうか。
  69. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 防衛庁と契約企業は、秘密の漏えい等の危険を防止するため、契約条項において、秘密の保全に関する規定を設けております。当該企業の責任において秘密の保全を行う旨、秘密保全に関する訓令というものが定められているわけでございます。  今回の事案の当事者とは、防衛庁とNECであります。
  70. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 私は、当事者という意味が、NECと防衛庁ということよりも、やはりこれは納税者が発注者であるわけです、究極的には。それで、このバッジシステムが相手側に渡ってしまうと、まず直接被害をこうむるのは陸上自衛隊と海上自衛隊になると思います。そして、このバッジシステムというものが外国の手に情報として渡りますと、これはNECと防衛庁ということよりも、はるかに大きな、国民あるいは国の安全保障という広い意味での当事者に影響を与えるものがこのバッジシステムではないかと。そういう認識がありませんと、業者と防衛庁の間の問題なので、民間の契約上の問題なのでという程度で二年間。そして、つい最近までその情報というものが出てこない。  私は、先ほどバッジシステムのことについて丁寧に御説明いただきましたけれども、そういう観点からいいますと、もっと事が重大だという認識がないことが最近までその情報が出てこなかったということの本質的な側面ではないかという気がするわけです。ですから、もっとこれは重要な問題であるという認識で、まさに国防のいわば一番根幹のことであるという認識を持ってこれからも対応していただきませんと、また今の言葉だけでは同じようなことが起こりかねないというような危惧を持つわけですが、その点、長官、いかがでございますでしょうか。
  71. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 藤田委員指摘のとおり、我が国の安全を守るためにこういったことが漏えいをしていくということ自体が規律が緩んでいることになっておりますので、防衛産業との間においてもきっちりとした対応措置をとって、再びこういうことがなく、国民の皆さん方に心配をかけることがないようにさせていきたいというふうに思っております。重大に受けとめたいと思っております。
  72. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 それからこの関連で、流出が起こった後、防衛生産管理協会というものを、今問題になっております上野被告の方で創設をしたというふうになっておりますけれども、私もたまたま去年別の件でこの防衛生産管理協会のことについて防衛庁の説明を受けたことがございまして、要するに、防衛庁の方でマニュアルをつくって、防衛産業等にその情報管理についていろいろ指導しているわけですが、本当に厚いマニュアルがあるわけです。そのマニュアルをちょっと見てみましたら、アメリカ側がつくったものの日本語訳のマニュアルなんですね。ということは、そもそもこういうマニュアルをつくって情報管理をするという事柄が日本には存在しなかったので、アメリカのそういったものをまねてつくっているのだろうと思いますけれども、そして、かなり細かい指導もアメリカ側から得ているというふうにも聞きましたけれども、ということは、その内容日本から海外に流出をするというようなことがあれば、これからアメリカ側にとっては、日本というものは本当に何を信用していいのかわからない。しかも、このバッジシステムという一番重要な事柄が流出をしてしまうということでございますので、相当これはアメリカ側にとっては日本防衛情報管理というものは信頼できない、これを取り返すということは並大抵のことではないというふうに思うわけですが、その点は長官、いかがでございますでしょうか。
  73. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 今回発覚した問題につきましては、当庁においてかつて進めた調査によりますと、当庁におけるマル秘相当の資料一点を含むバッジシステム関連の内部資料七十一枚がNECから外部に漏えいしたことになっておりますけれども、この中には、米国側から提供された装備品等にかかわる秘密は含まれていなかったというふうに聞いております。また、米国にかかわる装備品等についての秘密について、これまでに問題になったことは、そんなに、そんなにというか、私は聞いておりません。
  74. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 いや、米国側の品物といいますか、兵器等々が含まれておったかどうかということよりも、米国がそもそもつくったシステムをそのまま日本で適用していたわけですね。そのシステムそのものが結局あやふやであるということになりますと、米側とすれば、その部品なり物資が含まれておったかどうかということよりも、情報管理のソフトそのものが、日本にこれを任せておいては危ういということになってしまうのではないか、その辺の信頼回復というのは非常にこれは大変ではないか、そういう意味で申し上げたのですが。  それでは次に行きますけれども、防衛生産管理協会、それから、先ほど来御説明いただきましたバッジシステムを実際に履行するための組織としてシー・キューブド・アイ・システムズというものを上野被告がつくったということになっておりますけれども、そもそも、なぜこの今いろいろな調達問題で問題になっております上野被告のような人がこういったものを担当することになって、それでそのシー・キューブド・アイ・システムズというようなものをしておるのか。それから、防衛生産管理協会から上野被告は退職金も含めて二千八百万円も受け取ったというようなことが出ておりますけれども、ということは、一番重要な核心である部分に今一番防衛庁の中で疑われておられるような人がかかわっていたということは極めて重要なことでございまして、これは相当抜本的な対応をして、シー・キューブド・アイ・システムズも含めて見直し、それから、どんな人がどんな立場にかかわるかということの検証も必要かと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  75. 及川耕造

    ○及川政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘の株式会社シー・キューブド・アイ・システムズ社あるいは防衛生産管理協会等と現在の上野容疑者との関係でございますけれども、私どもの知る限りにおきましては、その設立等におきまして、所管するあるいは関係のある部署におられたことは事実でございますけれども、どのような形で関与されたかというのは定かではございません。  いずれにいたしましても、シー・キューブド・アイ等の会社につきましては、一社の技術ノウハウだけでは対応できなくなった面もあるということで設立の趣旨には書かれているところでございますし、生産管理協会の設立趣旨等におきましても、当時、防衛にかかわります秘情報というものの管理をしっかりしなければいかぬという機運の中でできたというふうに聞いているところでございます。
  76. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 この問題については、石井議員を初め、いろいろな議員がこの一連の調達問題については随分質問しておるようでございますので、これ以上のことは、またほかの安保委員会委員の方からの質問にゆだねたいと思いますが、実はきのうの新聞だったと思いますけれども、防衛庁のOBの方々、それで民間企業に天下りをした方々のコメントが出ておりました。元空幕長であった方で、大手の電気通信メーカーの顧問をされた方、この方の場合には、余り自分の方から口出しをすると防衛庁が情けない思いをするので実務は何もしなかったとか、それからもう一人の方ですけれども、結局自分がそこに雇われておることによって五十億円の仕事がついてくると言われているというようなコメントも出ておりましたが、私は、全員が全員こういう方ではないというふうに思うわけです。  ちなみに、七月の末に私はカンボジアの選挙監視に行ってまいりました。アメリカの民主党と共和党の両方のシンクタンクのスティーブン・ソラーズ議員ほかのグループで行ってまいったわけですが、そのとき日本から三十二名の選挙監視員が来ておりまして、その団長は西元さんという方です。前、統幕長をされた方でございます。  この方は、自分の肩書をおっしゃらずに選挙監視の応募をされて、それで採用する側もその正体を知らずにたしか採用したはずですが、その方が結果的に団長となって選挙監視をしておられたわけです。御本人は、今ある大きな企業の顧問をされておりますが、企業のトップに話をしたら、企業のトップの方も大変それを尊重されて、あなたが個人の資格で選挙監視に行かれると大変会社にとっても名誉なのでぜひ行っていらっしゃいというふうに認められた。西元さんは、御自身が、一番危険度の高いカンボジアの地域で選挙監視をしたい、中田さんの例もあるし、高田警部補のこともあるし、自分は一番危険な地域に行きたいと志願をされたそうですが、結果的に、そういう経歴の方でございますので、団長にされてしまって、不承不承一番安全かもしれないプノンペンで団長の業務をされておられた。私もお会いをしてまいりましたけれども、そういった立派な方もいらっしゃるわけです。  私は、いろいろ防衛庁のこういう問題が出ておりますので、長官の方で、退役をされて、こういう天下りと言われておるのか、あるいは転身をされたといいますか、企業等で働いておられるOBの方に直接率直なお話を聞かれて、公で会われても、あるいはプライベートにオフレコで会われても結構だと思いますが、そういう方から今の防衛庁の問題について率直な意見を聞かれて今後の対応に当たられる、そういったことをぜひされてはどうかな、これが、調達問題、それからこのバッジシステム流出問題等を勉強して感じることでございますが、全く私の思いつきの考えでございますが、長官、いかがでございますでしょうか。
  77. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 今、一連の今回の問題は、防衛庁、自衛隊のあり方が問われている、行政のあり方が問われているという問題認識のもとに、調達制度検討委員会というものと、自衛隊の再就職の問題についての委員会をつくっております。それぞれ、私は、自衛隊のOBの方々に対して、その経験を踏まえ、また将来のことを考えていただく意味で、ぜひ二つ委員会に、そういう見識を持った、経験のある方の意見を聞くことは大切ではないかというふうに思っております。藤田委員意見も大賛成でありますので、これからつくっていく自衛隊再就職の委員会には特にそういうメンバーを入れて、いろいろと検討してまいりたいというふうに思っております。
  78. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ありがとうございました。  それでは、少しTMDの問題に移らせていただきたいと思いますが、これも最近の新聞で、このTMDについて日米首脳が了解の覚書に署名をしたという記事が出ておりました。これはアメリカのペンタゴンのキャンベル国防次官補代理がそういうことをおっしゃっておるわけですが、このことの事実関係について、実際にそうであったのか、それとも違うのかということについて、これは安全保障協議委員会でというふうに書いてありますので、防衛庁長官でしょうか、外務大臣でしょうか、お答えいただきたいと思います。
  79. 高村正彦

    高村国務大臣 今おっしゃられたような事実はありません。
  80. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 そういうことはありません。
  81. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 それでは、TMDと偵察衛星のことについて、いろいろな記事あるいはいろいろな報道がなされておりますけれども、どうもTMDと偵察衛星について外務省と防衛庁の考え方が大分違うような気がいたしております。それで、外務大臣及び防衛庁長官からそれぞれ、TMDと偵察衛星について賛成なのか反対なのか、それからその理由についてお二人からお伺いしたいと思います。
  82. 高村正彦

    高村国務大臣 いわゆる弾道ミサイル防衛につきましては、我が国防衛政策にとっても日米安保体制の運用にとっても重要な検討課題と認識しております。  画像衛星については、有力な情報収集手段一つと言われておりまして、我が国政府としてもこれに関心を有してきているわけであります。外務省では、従来から画像衛星に関する調査を実施しておりますが、先般の北朝鮮によるミサイル発射をも踏まえ、今後いかなる方策をとることが可能か、内閣を中心に検討しているところであります。
  83. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 弾道ミサイルにつきましては、日米間で総合的な調査研究をしてまいったわけでございまして、先般の2プラス2で共国技術研究を実施する方向我が国の政府内の調整をするという方向づけをさせていただいたわけであります。したがって、我々の防衛政策上の大きな課題として取り組まさせていただきたいというふうに思っているわけでございます。  また、偵察衛星につきましてでございますけれども、防衛庁もこれまで民間の商業衛星等々を介しまして、画像の解析についていろいろと蓄積をしてきております。今後、政府部内でさまざまな議論が展開されていくと思いますけれども、防衛庁としても関心を持って見守っていきたいというふうに思っております。
  84. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 何か一般的な表現をされましたが、では、外務大臣、これはオール・オア・ナッシングということではないかと思いますが、偵察衛星とTMDの必要性ということに関しては、これはコストの問題もかかわりますけれども、あるいはアメリカとの関係もございますけれども、どちらがより緊急性があるか、優先順位をつけるとすれば、どちらがより必要だろうとお考えでしょうか。
  85. 高村正彦

    高村国務大臣 両方とも検討課題でありまして、検討を進めていく中で優先順位がついてくるかもしれませんが、現在の段階で、現時点で、こっちが先、優先的だ、こっちが後だという話ではない、こういうふうに承知しております。
  86. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 では、額賀防衛庁長官、今外務大臣はそういうふうにお答えになりましたが、先ほどの長官のお言葉で、偵察衛星については解析等についての関心ということで、もちろん実際に現場の官庁は防衛庁だろうと思いますので、より具体的なお言葉でございましたけれども、実際に防衛庁として、両方に直接かかわる側とすれば、どちらがより日本の安保体制にとって緊急、あるいはその実現性が高いか、あるいはどちらがあった方が日本防衛上より具体的に有効であるというふうにお考えでしょうか。
  87. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 弾道ミサイルについては、先ほど申し上げましたように、共国技術研究を実施する方向で今政府内の調整を進めさせていただいているという段階でございます。  一方、先ほど偵察衛星についてという御質問でございましたけれども、私が言いましたのは、我が国防衛庁としても、いろいろな情報収集の一環として商業衛星を使わせていただいて、画像の解析能力アップのために蓄積を積んできているわけでございます。これはさまざまな、言ってみれば技術力あるいは解析力、総合的な力も考えていかなければならないし、費用対効果等々も考えていく必要があるわけでございます。  それから、今日米安保条約に基づいてさまざまな情報交換をしているわけでありまして、その役割分担というものをどういうふうにするのかとか、いろいろと検討をしていくことも大事であろうというふうに思っておりますので、私どもは、政府内でいろいろな意見がなされております、偵察衛星ということではなくて、さまざまな意見が情報収集衛星のことについてなされておりますので、関心を持って見守っているというところでございます。
  88. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 TMDあるいは偵察衛星に関しまして共通に言えることは、やがてそういう安全保障に関する多国間での協力をもししていくという必要がある場合に――アメリカとカナダの間にNORADという司令部がございます。これは、アメリカとカナダが北アメリカ全体の防空司令部といったものをつくっておるわけでございまして、地球全体のミサイルの発射、着弾あるいは宇宙空間も含めたミサイルや人工衛星の飛行についてアメリカの持っているすべての情報が集まると。これはコロラド州の山中の地下にあるそうですけれども、それをアメリカとカナダにおいては三十年以上前から共有をするというようなことをしておるわけですが、私は別にTMDが必要だと今申し上げるわけではありませんが、今回の北朝鮮ミサイル発射等を見ておりましても、やはりその場合には情報共有のより効果的なシステムが必要ではないかという気がするわけですが、例えばこのアメリカとカナダのNORADといったシステムも、これは一つ考え方かなと思いますが、その点、いかがでしょうか。これは防衛庁長官でしょうか。
  89. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 この弾道ミサイル防衛を考えますときにいろいろな構成部分がございます。そういう中で情報をどういうふうにとらえ、またそれをどういうふうに伝達し、分析をするか、こういう3CIの部分もございます。  ただ、私ども今考えておりますのは、これから共国技術研究に向けて作業を進めていこうという段階でございますので、今先生がおっしゃいましたような、そういうことを具体的に議論するような段階にはないのではないだろうか、また、そういったものを考えるに当たっては、我が国のいろいろな基本的な防衛政策の問題とかそういったものも踏まえながら考える必要があるのではないか、こんなふうに思います。
  90. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 時間も余りなくなってきましたので、最後に、全く別の次元質問をさせていただきたいと思います。  東京の十条に自衛隊の十条駐屯地というものがございまして、明治時代からのれんがづくりの建物がこの自衛隊の駐屯地の中にまだ残っておるわけでございます。この地域は、まず、日本の戦前の陸軍にとって、小倉とか大阪とか東京の三カ所に陸軍直営の工廠を持っておった。それで、この中でいわゆる事務棟ではない生産関係の建物がまだ残っている。これは明治以来の日本防衛の歴史を物語る大変記念碑的な建物でございます。  この自衛隊の駐屯地、地域との交流も随分やっておりまして、この間私、盆踊りへ行きましたらば、自衛隊の駐屯地の中で、町会の方を交えて、お子さん、家族連れも含めて、後でわかったのですが、自衛隊の家族の方も含めて交流をされて、盆踊りをされている。二十三区の中にあってそういったことをしておる地域だということで、非常にいいことをされておられるなと思ったわけですけれども、そんな中に明治以来の防衛の歴史を物語る記念碑的な建物があった。  それから、この建物自体は変電施設として使用され、当時の、初期の変電所の建物としても最も有意義であるというようなことで、しかも、れんがづくりの建物としても日本の中で大変由緒ある、数少ない残された建物というふうに聞いているわけです。ほかの国におきましても、こういう防衛関係の建物の保存というものはヨーロッパを中心として非常に行われているそうでございまして、日本の場合にはその数少ない場所だというふうに聞いておるわけです。それで、まさに調達に関係する部署もこの駐屯地の中にあるというふうに聞いております。  そういう建物が近々取り壊されるというふうに聞いておりまして、これは一たん取り壊してしまうと覆水盆に返らずということでございますので、今、防衛庁をめぐるいろいろな出来事がある中で、こういったものが残されて、地域との、自衛隊の方々との交流がそういうレベルで行われるということは非常にいいことではないか。  そういう観点から、取り壊しの直前まで来ておるようですけれども、ぜひ区あるいは都と、今までのいきさつはあるようですけれども、そういった流れを超えて、いい自衛隊のイメージあるいは地域貢献というようなことも含めて検討をしていただければありがたいと思った次第でございますが、その点について担当の方から御答弁をいただければ幸いです。
  91. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 十条の件でございますが、先生もう十分御承知のことと存じますけれども、今御指摘のとおり、この地区は明治以来の旧軍の施設でございました。現在は、たしか大正時代に建てられた赤れんがが三棟残っておるわけでございます。  これも先生承知のとおりでございますが、防衛庁の本庁舎を檜町から市ヶ谷に移すという計画が今進んでおります。その一環といたしまして、十条地区は、補給関係の部署を、陸海空の部署を統合するという計画を立てたわけでございます。実は、これはもう平成三年ごろから地元の方ともいろいろと御相談をいたしまして、その当時、現存の赤れんがはすべて撤去をして新たな施設をつくるということで地元の方ともお話をし、御了解もいただいたという経過があるわけでございます。  したがいまして、私どもとしては、現在、そのような経過の中で、れんがの建物をそのまま残すということはいささか困難ではないかというふうに認識しております。  なお、これまでも解体の都度北区当局には御通知を申し上げまして、もし北区の方で御利用計画があるのであれば私どもは協力できますということは申し上げているところでございますが、今のところ、具体的なそういうお話は来ておらないというのが現状でございます。
  92. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 そういう役所間の経緯はあるかと思いますが、それをやはり、この問題を打開すれば、私は、今こういう時期でもございますし、防衛庁にとって非常にいいヒットというかニュースではないかという気がいたしますので、役所間の経緯はあるかもしれませんけれども、ぜひそれを一歩超えて、少なくともほかの省庁あるいは地方公共団体と話し合いを一たん始めていただく、それで当面、取り壊しというような取り返しのつかないようなことにはならないようなことだけでも、話し合いをとにかく始めていただくというようなことをお願いしたいと思いますが、話し合いをするというようなことは難しいですか。都も含めて、話し合いを始めることぐらいはできるのではないかと思うのですが。
  93. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 きょう現在、まだ具体的なお話を私ども伺っているわけではございませんけれども、北区当局、あるいは東京都もそうかもしれませんが、改めて何らかのお申し入れがあるのであれば、もちろん私どもとしても話し合いまで拒否するということは考えておりません。当然、これから地元とも協調して存続していかなければならない駐屯地でございますので、できるだけ地元の方々と調和できるような形で考えてまいりたいという気持ちはございます。
  94. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 長官も手を挙げられましたので、ちょっと政治的にどういう判断をされるか。
  95. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 私まだその建物を見ているわけではありませんけれども、明治末期のころつくられたれんがづくりの建物であるということでありますから、地域づくりの中でうまく密着する方法があるのかないのか、先生の御提言を踏まえて、ちょっと勉強させてください。
  96. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ちょうど九十分が終了しましたので、長い間ありがとうございました。
  97. 塩田晋

    塩田委員長 次に、赤松正雄君。
  98. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 冒頭に、外務大臣に、アメリカの臨界前核実験についてのことでお聞きをいたしたいと思います。  四回目の臨界前核実験をアメリカがこのほどやったというニュースが流れました。私どもは、全世界の核兵器の廃絶、核軍縮の大きな流れに逆行する出来事である、暴挙である、こんなふうに思います。CTBTの抜け穴をねらった、CTBT、包括的核軍縮の条約精神を著しく損なう暴挙だ、こんなふうに思います。タイミングといい、際立ってよくない、こんなふうに思うわけですけれども、さきに地下核実験を強行したインド、パキスタン両国政府にCTBT署名を働きかけているやさき、そういうときにこういうことが行われたということに対して非常に憤りを覚えるものでありますけれども、このことにつきまして、政府の基本的な姿勢、考え方、どのようなものでありましょう、外務大臣
  99. 高村正彦

    高村国務大臣 いわゆる未臨界核実験についてでありますが、米国は、貯蔵する核兵器安全性及び信頼性を確保し、抑止力を維持するために行っている、こういうことを言っているわけであります。そして、包括的核実験禁止条約において禁止される核爆発に該当するものではないというのが国際的な常識でもあるわけであります。  我が国としては、まず、核兵器国の中でもまだCTBTを批准していない米国、ロシア、中国などの早期批准を働きかけて条約の早期発効を目指すということが先決だ、こう考えているわけでありますが、その上で、我が国としては、核兵器のない世界を目指す立場から、このような実験の取り扱いにつき、今後の核軍縮の取り組みの中で検討すべきだ、こう思っておりまして、各国ともその観点から話し合っていきたい、こう思います。
  100. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今外務大臣のお答えの中に、包括的核実験禁止条約、CTBTに違反するものではない、国際的な常識であるというふうなお話がございました。小渕総理大臣も、新聞等で拝見しますと、CTBTに違反するものではないと国際社会では理解をされている、こういうふうな前段があって、その後段の方で、今大臣からはそういうお話が特にありませんでしたけれども、総理大臣は、そういう方向で今後国際社会でそのあり方についても話し合っていきたい、こんなふうなコメントを言われているわけですね。  私は一方で、CTBTに違反するものではないと国際社会では理解されている、今外務大臣は国際的常識だとおっしゃいましたけれども、そうかなと。確かに、そういう考え方ももちろんありますけれども、もう一方で、国際的には、今回のアメリカの臨界前核実験というのは、やはり臨界前とはいえ核実験と本質的には同じものであるというふうな意識もあるわけで、大臣のおっしゃったことは先ほどわかりましたけれども、小渕総理大臣は、精いっぱい今後国際社会の中でそのあり方についても話し合っていきたい、こうおっしゃっているというのは、気分としてわからなくはないのですけれども、非常に説得力がない。  平和国家として日本が国際社会をリードしていくというのだったら、もう少しこの臨界前核実験に対してもきちっと、アメリカに全面的にオーケー、いいよと言うのではなくて、一定の疑問を提起するという形というものがあってしかるべきだと私は思う。国際社会にはいろいろな意見があるわけですから、その辺のバランスをとった見方というものがあっていい、こんなふうに思うのですが、どうでしょうか。
  101. 高村正彦

    高村国務大臣 先ほども申し上げましたように、我が国としては、今アメリカに対しても、CTBTを批准してくださいと働きかけております。まだ、CTBTの批准自体を、アメリカもあるいはロシアも中国もそうですけれども、そういうことを果たしていないわけでありますから、そこをまずやっていただくというところを努力しているところで、そこについて、現時点までそこにいっていないわけでありますから、まず先行してやることはCTBT批准を働きかけるということだと思います。  そして、小渕総理がおっしゃったことを外務大臣は触れなかったとおっしゃいましたが、同じことを言ったつもりでありまして、このような実験の取り扱いにつき、今後の核軍縮の取り組みの中で検討すべきだと考えておりますし、各国とも話し合っていきたい、こういうことを私も申し上げているわけであります。
  102. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 ですから、大臣のおっしゃり方というのは、要するにまだCTBTそのものにアメリカが賛同していない。それは現実はそうなのでしょうけれども、だからこそ、むしろその根幹の部分に対する発言があってしかるべきだという意味のことを言っておるだけでございます。もともと、CTBTそのものについて賛同しているわけではないのだから、その先のことを言ってもしょうがないということだろうと思うのですけれども、それならそれで、あわせてそういうことを、こういう機会にきっちりと日本政府としてメッセージを世界に送るということが私は大事だと思います。  核抑止力に依存した国というのが同時に核軍縮、核不拡散を一方で主張するということについて、私は全面的に否定するものではありません。しかし、核抑止万能論に立つのもどうかと思います。現にアメリカでは、ジョセフ・ナイ教授ですら、核の傘から情報の傘へ、もちろん彼が核の傘を否定している角度から言っているわけではないでしょうけれども、核の傘から情報の傘へというふうな大きな流れがこれから二十一世紀の流れであるといった方向性を示唆しているわけですけれども、私は、こういうケースではもっと自信を持ってアメリカに対して注意を喚起すべきだ。繰り返しになるかもしれませんけれども、CTBTについて、こういうケース、臨界前核実験についてであっても、根源のところからきっちりと言うべきだ、こんなふうに思います。改めて……
  103. 高村正彦

    高村国務大臣 現実的に一歩一歩やっていくという立場から、まずCTBTを批准してもらいたいということを今後ともアメリカ、ロシア、中国等に働きかけていきたい、こういうふうに思っております。
  104. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 次に、防衛庁長官にお聞きしたいのですが、いろいろ聞きたいことがあるのですけれども、まず冒頭に、過去二回、この委員会におきまして、長官の方から報告がございましたですね。調達実施本部の一連の水増し請求問題について政府として、防衛庁としてどういう態度で臨むかということについて、たしかこの委員会で二回報告がありました。きょうはありません。これはいわば、前の委員会からきょうの委員会までの間に、私たちに報告すべき大きな変化が何もないということなのでしょうか。
  105. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 今、一連の調達実施本部をめぐる背任事件については、先般、調達本部の本部長、副本部長が起訴されまして、事件の中身は公判の中で明らかにされていくということになっておるわけであります。  一方で、こうした事態を起こした私どもといたしましては、防衛庁あるいはまた自衛隊のあり方が問われているという厳しい認識のもとに、今後再びこういうことが起こることがないようにどうしたらいいかということを、二つ委員会を設けて検討をしているわけであります。  もう一つは、いわゆる新聞報道で、この事件をめぐって、特に東通事件をめぐって、大量に、組織的に証拠隠滅を図ったのではないかということが公にされたので、このことが事実であれば重大な問題でありますから、内部で調査を進めてきておるということでありまして、我々が内部で調査をしていることについてはまだまとまっておりませんので、もう少し時間をかしてほしいということであります。
  106. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 私がなぜ今のような聞き方をしたかといいますと、実は私は、先般、新聞を見て驚いたのですが、これは新聞の報道ですから、その新聞社の傾向性というか姿勢というものが反映しているので、大いに大臣の方から反論があるかもしれませんが、ちょっとこのことに触れたいと思います。  それは、九月二十五日に防衛庁装備局長が自民党の国防三部会に呼ばれて、調達実施本部の背任容疑事件について報告をされているという記事が出ていたわけですね。  それで、中身につきましてはこういうことです。強制捜査権がないとはいえ、当庁の調査などが不十分であったということは、今から考えれば配慮に欠けた点があって遺憾である、こういう趣旨の発言を装備局長がされているという報道です。その後の部分は局長がおっしゃったことじゃなくて新聞の解説ですけれども、庁内のこれまでの調査が不十分であったことを初めて認めた、こういうふうな表現があって、見出しにもそういうふうなことが出ている一部新聞報道がありました。  このことについて、事実関係はそれでよろしいのでしょうか。
  107. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 その点につきましては委員指摘のとおりでございまして、これは、事案発生当時、故意過失の立証の困難性、それから過失相殺の要求への対応の可能性等から、不法行為として追及することが非常に難しいということから、和解交渉によって国の損失の早期回収を図ろうとしたということで、私どもも報告を聞いたし、そういう認識をしてきたわけでありますけれども、その後の、今回の起訴事実、あるいはまた当時の一部関係者が、当時の返還額の積算額は適正なものではないという認識の提示があったことから、返還額の積算は適正に行われてはいなかったということを今から考えると認識せざるを得ないという考え方を示したわけでございます。
  108. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 それは非常に重大なことで、大臣、私なんかが繰り返し言っていましたけれども、前久間防衛庁長官なんかは、要するに今までの防衛庁の姿勢というのは間違っていないという姿勢でずっと来られて、その基本線上に大臣はおられた。だから、先般、この九月二十五日の自民党の国防三部会での発言というのは、そういった流れを変えるものであったということですね。認められるわけですね。
  109. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 そのとおりであります。当時の積算は適正ではなかったということであります。
  110. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 どうしてそういうことをきょうの冒頭でも報告をされないのですかね。ぜひ私はしてほしかったと思います。  私は、九月十八日の本会議で実は質問をさせていただきました。  調達実施本部の不祥事に調達実施本部が当たるのじゃ、全然それは本当の意味の調査にはならないじゃないですかということを申し上げました。いろいろ申し上げましたけれども、ほとんどまともに答弁していただかなかったという認識でいるのです。  それで、二十五日、自由民主党の国防三部会に出かけられてそういう重大なことを言われる。私たちのところには何もない。何かペーパーをよこされたとおっしゃるかもしれませんけれども、特段何か変わったことがあったというふうな意識は持たない形でしか私たちに対するアタックはなかったわけです。非常に私はよくないと思う。  従来、きちっきちっと長官はこの場で報告をされて、こうします、ああしますとおっしゃっていたのだから、重要な変更について、私たちにこの与野党一緒のところの公開の場できちっと報告をされるべきだ、そんなふうに思いますけれども、改めてそのことについて。
  111. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 赤松委員の御指摘を踏まえて、今後も公開性、透明性を持って対応させていただきたいと思います。
  112. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 事が重大な問題であるだけに、私は、二回にわたる報告というのは、中身についてはともかくとして、その姿勢を評価しておりましたけれども、今回なかったことについては極めて遺憾であるということを繰り返し申し上げておきます。  先ほども藤田委員から質問がありましたけれども、NECの問題について、先ほど指摘があった機密漏えい、バッジシステムに関する機密漏えい問題というものがあったということをこれまた新聞報道を通じて私たちは知ったわけです。さっき大臣も新聞を見てとおっしゃっておりましたけれども、この問題については、大臣、引き継ぎをされるときに、内々こういうことがあったということを聞いておられたということはなかったのでしょうか。突然大臣もお知りになったのでしょうか、先ほど話のあった平成二年六月に起こった機密漏えいの問題について。私たちと同じ時間帯で知り得られたのでしょうか。
  113. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 新聞に出たのを見て、事務局に事実関係を後に報告せよというふうに指示をしたわけでありますから、ほとんど同時期であろうと思っております。
  114. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 これはまさに防衛庁の中における姿勢というか、この問題に対する取り組みというものが、あとうべくんば世の中に知られたくない、公表されたくない、そのままにしておきたいというふうなことであったのだろうと思わざるを得ないのですね。  ちなみに、この問題について、当時の防衛庁の中においての処分、あるいは当時の大臣にはきちっとこのことが報告をされたのかどうか。ちなみに、当時の防衛庁長官はどなたか、それは調べればわかることですけれども。その辺のことについて、これは大臣じゃなくてもいいですが……。
  115. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 本件は、平成二年の六月にこういった情報が入りまして、これに対します措置平成三年の四月に行われている、こう存じております。  その間、大臣等にどういうふうに御報告を申し上げたかというのは、ちょっと今手元に資料がございませんので、後ほど調べて申し上げたいと思います。  なお、防衛庁長官は石川長官、こういうふうになっているところでございます。
  116. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 先ほどの私の質問は、当時、防衛庁の中においてこの責任をはっきりさせたのか、あるいは石川防衛庁長官に報告は上がったのか、このあたりについて、わかっていることがあれば答えてください。
  117. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 今申しましたように、当時の大臣への報告等につきまして、改めて調査をして御報告したいと思います。
  118. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 改めて調査をして言うということですね。  先ほども話がありましたが、NECについては、二年間の取引停止ということがそのときにNECに対する処分としてはあった、こういうふうなお話でありますが、二年間終わって、立ち上がるというか取引が再開されるに当たって、何かがあって立ち上がったのでしょうか、取引が再開されたのでしょうか。その二年の意味というものについてお聞きしたいと思います。
  119. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 平成三年四月に措置がとられたわけでございますけれども、そのときとられたのが三つございまして、一つは、再発防止に係る誓約書の提出、それから具体的な再発防止対策の提出、それから今先生お話のございました取引の停止ということでございまして、これは四月一日から五月二十日までの間の取引を停止、こういうふうになっております。
  120. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 取引停止は二カ月ということですね。局長、そうですね。  今回のNECの水増し請求疑惑に関しても、そういうNECに対するいわば取引停止という話が出ているようですけれども、過去の平成二年のこの事件と同様に、結局、わずかの期間だけで事足れりとしてまたもとへ戻すということでは、NECにとっては痛くもかゆくもない、こんなふうなことではないのかな、こんなふうな感じがいたします。  この水増し請求の疑惑問題あるいは機密漏えいとか、このところNECという会社のことが大変話題になるわけですけれども、一連の問題、こういったことを過去にも起こし、今も起こしている巨大な産業NEC、このトップはこの問題について何らかの、NECとしての立場、釈明、そういうものはあったのでしょうか。私の目にはそういうのは見えてこないし聞こえてきませんが、NECのトップは、別に個人的な恨みがあるわけではありませんが、日本の経済状況の問題に関して強い発言をいろいろなところでされている人ですけれども、そういう自社の問題についての発言というものがあるのかどうか。
  121. 及川耕造

    ○及川政府委員 東通の事案等につきまして、私どもはまだNECのトップの方とお会いいたしておりません。
  122. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 BMDにつきまして、防衛庁長官にお聞きしたいと思います。  先ほどもこの問題についてのお話がありました、アメリカとの間に共同で技術研究を実施するという方向意見の一致を見られたと。これからは政府内部の調整だということで理解しておるわけですけれども、具体的に政府として一歩踏み出すというのは、予算でどうあらわれるかということなのでしょうか。
  123. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 これから政府部内で、実施する方向でいろいろ調整をしていくということでございますが、予算に関連したことも含めて作業を進めさせていただきたいと思っております。
  124. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 先ほど、偵察衛星の問題とBMDの問題と、両方比較しての議論がございましたけれども、政府は、大きい、包括した概念としてのBMDという言葉を使っておられるようですけれども、BMDについてアメリカとの一定方向性の一致を見たと。  それで、偵察衛星に関しては、アメリカとの間で現時点ではどういうふうな位置づけになっているのでしょうか。
  125. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 いわゆる画像衛星につきましては、現在我が国政府部内において検討しているということでございまして、特にアメリカと協議したり交渉したりということは現在やっておりません。  ただ、アメリカの方からは、日本がみずからこの点については決めることであるというような考え方が表明されているということでございます。
  126. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 先ほど防衛庁長官お話の中にもありましたが、現時点では、アメリカのランドサットですか、それからフランスのSPOT、この二つの米仏の商用衛星から画像を購入されている。それで、さらにそれにつけ加えてアメリカのイコノス、この商用衛星から購入する予定で、もう既に百六十一億円の予算がつけられて、二〇〇一年から動き出す、こういうふうな理解をいたしておりますが、現時点はそういう形でアメリカやフランスの商用衛星から画像を買い取るということ。  それで、先ほども話があったのですが、ちょっと私自身の頭を整理するためにお聞きしたいのですが、もう一方で、あの北朝鮮ミサイルの事件があった直後、政府・与党の議論の中で出てきたことを新聞等で知ったわけですけれども、言葉としてちょっとややこしいというか、混乱してはいけないので改めてお聞きしたいのですが、多目的衛星の導入云々ということが議論の対象になっていた、こんなふうに私は理解をしているのですけれども、政府・与党の中で、多目的衛星についてどうするかという議論、これはその後どうなっているのかということと、もう一つは、多目的衛星という言葉のみでいくと、科学技術庁が既にもう具体的に予算もつけられて着々と準備が進んでいるというALOSがある。これと、今政府・与党の中で検討されているのかされて終わってしまったのか知りませんが、多目的衛星との関係はどういうふうに位置づけられるのでしょう。  最初に、科学技術庁の方から、多目的衛星の現状についてお聞かせ願いたいと思います。
  127. 池田要

    ○池田政府委員 先生今御指摘の、私ども科学技術庁で取り組んでおります地球観測衛星でございますけれども、これは宇宙開発事業団が中心になって進めております陸域観測技術衛星、これを略してALOSと言っておりますけれども、これに先立ちまして、これまでに私ども地球資源衛星でございますとか、これは一九九二年に打ち上げておりますけれども、あるいは地球観測のためのプラットホーム技術衛星ということで、これは一九九六年に打ち上げておりますが、こうした陸上域、陸域の観測技術を高度化しようということで進めている衛星でございます。これは、地図の作成でございますとか、あるいは地域の観測、災害状況の把握、ないしは資源探査、こうした目的への貢献を図ることを目的としている衛星でございます。  ちなみに、このためにこの衛星には三種類のセンサーを搭載してございますけれども、このうち最も分解能の高いものは、二・五メートルといったような性能を有してございます。  なお、この陸域観測技術衛星につきましては、平成六年から研究を開始してございまして、平成十年から開発段階に入ってございます。平成十四年度の冬期、すなわち十五年の二月ごろには、これも国産のHⅡAというロケットによる打ち上げを目指して開発を進めているところでございます。
  128. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 という科学技術庁が進めているALOSと、今一連の北朝鮮の問題以降議論の対象になっている多目的衛星とは、全く別のものというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  129. 高村正彦

    高村国務大臣 北朝鮮ミサイル発射を契機として、情報収集のための衛星を持つべきだ、こういう議論が起こったことを契機として、今内閣を中心に、持つとしたらどういうものを持つのかといったことも含めて検討しているところと承知をしております。  例えば、多目的といっても無制限に多目的なのかどうか。まさにこの議論が北朝鮮ミサイル発射を契機に起こった議論であるということも関係することでありまして、そして、どの程度の目的に絞るべきかとか、それに対してどういうふうにすべきだ、まだ余りきっちりしたことを前提を置かないで、内閣を中心に検討しているところだというのが私の認識であります。
  130. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 そうしますと、厳密に言うと、科学技術庁が使っている多目的衛星というのと今政府が検討にかかっている多目的衛星というのは、本当を言えば違う呼称にした方がいいのでしょうね。まあ、これは答えは結構ですけれども。  もう一つ、ここでちょっとお聞きしておきたいのですが、先ほど、臨界前核実験のお話の中で、いわば核の傘から情報の傘へという、これはある意味で大変大きなスパンとしての物の考え方をジョセフ・ナイという人は言っているのだろうと思うのですけれども、しかし同時に、私は、日本が従来からアメリカの核の抑止に頼ってやっていくという路線をとってきて、新しい防衛計画の大綱でも、核についてはアメリカの核抑止力云々というくだりがあるわけですけれども、そういうことはさておいてといいますか、あえてそれはそれとしておきますけれども、もう一方で、この北朝鮮の事件が始まって以来、私もここで今申し上げたような衛星の話をしたり、あるいはBMDの話をしたりしましたけれども、もう一方で言えることは、要するに、コンピューターシステムそのものというか、情報通信のシステムそのものを壊してしまう。壊してしまうというか、敵のそういうシステムを壊すことによって、相手の攻撃を事前にシャットアウトしてしまう。こういう意味合いからいうところの、いわば新しく核の傘にかわり得るところの、敵の情報システムそのものを壊してしまうという意味の情報の傘というものを恐らく言っているのだろう、こう思います。  現実に、映画「インデペンデンス・デイ」の中にもそういうくだりが入っていたようですけれども、私がここでお聞きしたいのは、アメリカとの間の、情報電子技術といいますか、BMDという具体的な形ではなくて、情報電子技術の分野における日米間の技術提携といいますか、そういう議論というのはどの程度行われているかどうか。全く行われていないのか、あるいはこの程度あるのだという、そういうふうな現状をお聞かせ願いたいと思います。
  131. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 日本の政府と米国の政府との間のいろいろなやりとり、それに加えて日本アメリカの民間相互間におけるいろいろなやりとり、その中において、相互の防衛システムというようなものについての意見交換が行われているのは当然でございまして、その中に御指摘のようなものが含まれているという可能性は大いにあり得ることだと思います。  ただ、それの詳細を私は承知いたしませんし、また、それをなかなか申し上げられる状態にはないということでございます。
  132. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 一方的に、BMD論議だとかあるいは偵察衛星という方向に行ってしまっているだけなので、あえて、今言ったような情報科学技術の分野における対応というものも大事じゃないのかということを指摘したわけでございます。  次に、対人地雷条約について若干お聞きしたいと思います。  この問題は、小渕総理が大変に熱心に取り組んできておられたというふうに私は理解をしておりますけれども、ただ、署名が行われてから今回の批准、この日本の国の国会における批准に至るまで随分時間がかかっている。外務省の皆さんにお聞きすると、大変に日本はこの問題に熱心であった、こういう認識の表明があるのですけれども、それにしては、ちょっとここのところの国会における問題の提起の仕方というのも随分ばたばたしているなというふうな認識を持つのです。  この対人地雷条約批准について、既に外務委員会、商工委員会で法案は採決をされて済んでいるということでありますけれども、まず基本的に私はお聞きしておきたいのは、今申し上げたこの問題について、政府は非常に熱心にこの問題に取り組んできた、これは胸を張って言えるのですね。
  133. 高村正彦

    高村国務大臣 胸を張って言えると思います。
  134. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 胸を張ってという部分が、何か下を向いて、余り胸を張っておられなかったようですけれども。  私がNPOの皆さんとかいろいろな皆さんお話をしている、あるいはそれなりに勉強をした結果、どうも外務省、防衛庁、特に防衛庁はお立場からいってそうなのでしょうけれども、この問題についてそう熱心ではなかったというか、かなりいろいろ異論があったというふうに感じております。今回のこの審議に当たって、防衛庁の皆さんにしても外務省の皆さんにしても、会っていろいろ聞きますと、いや、もう前から一生懸命です、こういうふうに返ってくるのですが、明らかにどこかで方針が変わっているというふうに僕は思うのです。従来からの方針が変わったというふうに私は理解していますけれども、防衛庁長官、このあたりはどうでしょうか。
  135. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 方針が変わったというか、政府で平成八年から、オタワ・プロセスヘの参加を踏まえて、防衛庁としても、対人地雷使用等が禁止された場合の我が国安全保障上の影響及び防衛上必要な我が国としてのそれにかわる対応はどうすべきなのかということを検討したわけでございます。  昨年十二月の安全保障会議において、我が国防衛に万全を期するため、条約上の対人地雷に該当せず、一般市民に危害を加えるおそれのない代替手段を導入していこうということが了承されたわけでありまして、そして昨年十二月、政府としての署名が行われた後も、引き続いて代替手段研究開発に努めているところであります。
  136. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 この代替兵器指向性散弾というものにめどがついたというか、そういう代替兵器を導入ができる、対人地雷にかわり得る代替兵器というものがはっきりできるのだというふうに確信が持てたのはいつなのですか。
  137. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 指向性散弾については、いろいろと予算も計上させていただいて、勉強させてもらっているわけでありまして、これは禁止されている対人地雷の代替品というか、臨時的なものとして機能的には有効なものであるというふうに考えておりまして、代替手段がきちっと装備化されるまでの間、これを使わせていただきたい。そしてまた、対人障害システムということについても、発効後四年間、廃棄する過程で技術的にも装備化ができることを期待しながら、いや、できるように、万全の態勢を今とって準備を進めているということであります。
  138. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 いつごろからというお答えはなかったのですけれども、対人地雷を新たな指向性散弾という代替兵器にかえるということは、日本の陸上防衛の戦略構想そのものに変化をもたらすものではないと。従来からの流れ、対人地雷を使っているときと、それからそれを代替兵器にかえてからと、先ほどもお話が少しありましたけれども、日本の陸上防衛に関する原理的な物の考え方、対応の仕方というのは全く変わらない、こういう理解でよろしいのですね。
  139. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 敵が侵入をしてきたときに、この指向性散弾が機能することによって、敵の侵入がちゅうちょされたり、あるいはおくれたりするという意味では、対人地雷の機能を十分果たし得るというふうに考えているところであります。
  140. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 最後に、在日米軍基地、沖縄とかあるいは横須賀におきますところのPCB汚染という問題が今大変に問題になっているということでございますので、若干この問題についてお聞きをいたしたいと思います。  横須賀もそうですけれども、とりわけ沖縄におけるところのPCB汚染というものが問題になっている。  実は、きょう、沖縄へ行って嘉手納基地の調査をしたいということを私どもの党が外務省を通じて米軍に申し入れましたところ、断られたということがあるわけですけれども、既にこの問題については九月九日に防衛施設庁あるいは環境庁等が現地に入って調査をされているようですけれども、この調査結果をかいつまんでお聞きしたいと思います。
  141. 萩次郎

    ○萩政府委員 新聞等で報道されております嘉手納飛行場のPCB投棄問題につきましては、報道によりますと、元従業員のPCB投棄に従事したという発言が発端となっておりまして、地元の方々の不安を解消したいというお考えで、先生がおっしゃいましたように、九月九日、沖縄開発政務次官が環境庁、沖縄開発庁、外務省、そして私どもの防衛施設庁の担当課長クラスを伴いましてこちらに訪れられたわけでありまして、防衛施設庁からは担当課長が同行をいたしております。  その担当課長から報告を受けております話には、米側は、この案件が一九六〇年代から七〇年代ということで相当古いということもありまして、新聞等で報道されております事実関係の確認に相当苦労している様子であるということでございますけれども、本問題に対しては米側も大変大きな関心を有して対応しているという感触を得たという報告を受けております。  なお、米側は、これまでの協議におきまして、報道にございますため池や廃棄行為の記録を保有しておらない、その事実関係が確認できないということもありまして、その事実関係を確認するために、その話をしております元従業員の名前などを知りたいので日本側も協力してくれないかというようなことを申しておるようでございます。  先般アメリカで行われました2プラス2におきましても、我が方の防衛庁長官からの発言に対して、米側もこの問題に関連して専門家チームを派遣するという表明をしておることでございまして、防衛施設庁といたしましては、この問題については米側も高い関心を持って対応しているというふうに考えております。
  142. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 事の発端というか、一番の起源というのは相当古いということであるのでしょうけれども、詳しい調査結果を待たなくてはいけませんけれども、現実に今もなおこうしたPCB汚染というものの不当な垂れ流しというのでしょうか、という状況があるという危険性指摘をされています。将来、米軍基地が日本に返ってきたときに、土地そのものが使えないというふうなことであってはならない、そんなふうにも思います。  アメリカは今非常に強い関心を持っているという萩長官お話でございましたけれども、アメリカ自身、自国における基地における環境基準というのはきちっとしていながら、日本における基地に対していいかげんなことであってはならない、こんなふうに思います。  この問題について、最後に大臣の方から、今後とも強い関心を持ってアメリカに要求をしていくという姿勢を述べていただきたいと思うのですが、どちらの大臣でしょうか。外務大臣アメリカに対してこの問題について強く要求していく、そういう姿勢を述べていただきたいと思います。
  143. 高村正彦

    高村国務大臣 当然のことながら、これからも強い姿勢を持って環境の点に配慮してもらうように求めていきます。  それと、委員が先ほど、米国の環境基準が本国と日本とでは差異があるのではないか、こういうふうにおっしゃったわけでありますが、日米地位協定には、米軍使用している施設・区域における活動に当たっては公共の安全に妥当な考慮を払うべきこと、我が国の法令を尊重すべきことを確認する規定があり、在日米軍は、そのような義務に従い、環境については我が国国内法令を踏まえて一定の環境管理基準を作成し、これに基づいて環境管理行動をとっているわけであります。  この環境管理基準は、米国防省の方針により、外国における基地にあっては、健康及び環境保護のために、米国国内法の基準と接受国、この場合は日本でありますが、の基準のうち、より厳格な方を選択して定められることになっているわけであります。
  144. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 終わります。
  145. 塩田晋

    塩田委員長 次に、二見伸明君。
  146. 二見伸明

    ○二見委員 最初に、九月二十六日にアメリカが行いました臨界前核実験について、これは外務大臣にお尋ねをしたいと思います。  私は、アメリカが九月二十六日に四回目の臨界前核実験を実施したことはまことに遺憾だと考えております。今回の核実験は、臨界前とはいえ、あらゆる核実験を禁止した包括的核実験禁止条約、CTBTの精神に反するものだと私は思います。  しかも、ことしの五月にインド、パキスタン両国が地下核実験を実施したときには、アメリカ政府は両国を非難しました。その姿勢と今回の実験は明らかに矛盾するものだと私は思います。国連総会ではインド、パキスタンの両首相がCTBT署名の方針を表明した直後であるだけに、私は、米国の行為は非常に遺憾と言わざるを得ないと思います。  私は、あらゆる国の核実験に反対する立場から、アメリカとは同盟国でもあり、日米関係を本当に大事にしなければならないけれども、このような行為を容認することはできないわけでありますが、外務大臣の基本的な見解をお尋ねしたいと思います。
  147. 高村正彦

    高村国務大臣 未臨界実験については、CTBTにおいて禁止される核爆発に該当するものではないということは、これは言えるのだろうと思います。  そして、そういう中で、アメリカ、ロシア、中国など、核保有国がCTBTの批准さえ行っていないという現状において、私たちが今するべきことは、それらの国にCTBTの批准を求めていくということがまず第一なのだろう、こういうふうに考えております。  そして、その批准を求めた上で、核兵器のない世界を目指すという立場から、このような実験、このような実験というのは未臨界核実験でありますが、この取り扱いについて、今後の核軍縮の取り組みの中で検討すべきだと考えているわけで、各国ともそういうことで話し合ってまいりたい、こういうふうに思います。
  148. 二見伸明

    ○二見委員 私は、この実験はCTBTの精神に反するものだというふうに思います。  大臣は、CTBTを批准するように働きかける、さらにこの問題についても前向きに対処されるというような感触を受けたわけでありますけれども、きょうはこれだけを議論するわけじゃありませんので、むしろ私は、こういうことをもうやらないという取り組みを強く持ってもらいたいことを要望しておきたいと思います。  それで、私は、きょうはNECの問題と、それから対人地雷について質疑をしたいと思います。  NECが保管していた航空自衛隊の防空用新バッジシステムに関する秘密文書が、一九九〇年六月、フィリピン国内で発見され、日本大使館を経由して外務省にもたらされました。それを防衛庁では防衛庁調達実施本部の職員がこれを内密に処理をしたということが新聞で報道されたわけであります。  私は、我が国安全保障を担当する防衛庁が、安全保障に関する秘密文書が、それはランクはいろいろあるだろうけれども、秘密文書が外国に流出していた、このことは非常に重大だと思います。ランクの高い低いではない。しかもこれは、あるいはこれだけではなくて氷山の一角かもしれないということになると、これは防衛庁自身がこの問題に対する認識は甘いというか、もっと大きく言えば我が国安全保障に対して防衛庁は鈍感であった、無関心であったと私は言わざるを得ないと思いますけれども、長官の見解はいかがでしょうか。
  149. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 二見委員の御指摘を重大に受けとめているものでありますけれども、当時、防衛庁としては、事案の重要性にかんがみまして徹底的な調査を行ったものであり、その結果、NECの内部資料が漏えいをしたということがわかったわけであります。  防衛庁としては、平成三年四月に、先ほども申し上げましたけれども、調達実施本部からNECに対しまして文書をもって厳重に注意をいたしますとともに、再発防止に係る誓約書の提出を求める、それから具体的な再発防止対策の提出を求める、さらに再発防止策が実施されるまでの間の取引の停止を指示するなどの所要の措置をとったところであります。  二見委員指摘のとおり、私は事柄の重大性は十分に認識をしておりまして、今後とも厳しく企業や部内を指導してまいるつもりであり、今後再びこういうことが起こらないように対処してまいりたいというふうに思っております。
  150. 二見伸明

    ○二見委員 事の重大性を認識したときに、まずこの事件を公表しないで内々で処理をしてしまったということ、そして取引停止も二カ月だというこの処分、これは妥当だと思いますか。
  151. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 これは、秘密漏えい事案を公表するかどうか、また漏えいした内容あるいは漏えい者、漏えいルート等、具体的な事実関係を踏まえた上で、当該事案の形態、性質、軽重などを総合的に判断をして考えるべきものと思っております。このNEC案件につきましては、当時、民間企業が作成した内部資料がその当該企業の中で漏えいした事件であったことから公表を差し控えたのではないかというふうに承知しております。  当庁は、先ほど申し上げましたように、NECに対しまして厳重に注意するとともに、二カ月間の停止処分をしたわけでございますけれども、今後、こういうことが起こることがないようにすると同時に、今、我々は、防衛庁それから自衛隊員のあり方が問われているというふうに認識をしておりますから、調達システムの検討委員会においてもいろいろと研究をさせていただきたいというふうに思っております。
  152. 二見伸明

    ○二見委員 私は、公表しなかったということ、それから二カ月という処分、防衛庁自身はこの事件の本質をわかっていなかったのじゃないかと思います。  この事件は、現地警察当局が押収したものを外務省経由で防衛庁に来たわけですね。当然、こういう事件があったということは防衛庁長官は知っていたはずだし、当時の防衛庁の幹部はこの事件は承知していたはずです。そうなれば、知らないとなれば、危機管理のイロハもないのかということになる。知っていてこういうことになれば、長官も当時の防衛庁の幹部も、国の安全については、悪い言葉で言えば無関心だったということか。もしこれがスパイ防止法とかそういう法体制を持っている国だったらどうなりますか。ニカ月では済みませんよ、こんなものは。どうなのですか、一体。
  153. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 若干経緯を御説明させていただきたいと思います。  今先生から御指摘ありましたように、本件は、平成二年六月にフィリピンにおきまして身元不詳の日本人がバッジシステムの文書と称する資料の売り込みを図った事案が発覚し、当該資料七十一枚が現地警察当局から外務省ルートを経て当庁に届けられたものでございます。  それで、当庁といたしましては、同年七月に当該資料の分析を行いました結果、当該資料はバッジシステムTO関連文書でございまして、当庁における秘に相当するもの一点を含むことが判明いたしまして、バッジシステム本機製造請負契約を受注したNECが業務過程で作成した内部資料であると見られたところでございます。  そこで、当庁といたしましては、内部調査を実施するとともに、同年八月にNECに対しまして社内調査の実施を指示したところでございます。それで、平成三年の三月に、その調査の結果、当該資料はNECにおいて作成されたものであること、それから防衛庁内部から漏えいした形跡は見られず、NECから漏えいしたことが判明いたしたわけでございます。  そういったものを踏まえまして、先ほど長官から御答弁申し上げましたような措置をとらせていただいた、こういう経緯になっているわけでございます。     〔委員長退席、浅野委員長代理着席〕
  154. 二見伸明

    ○二見委員 防衛庁にちょっとお尋ねしますけれども、NECあるいは関連企業に防衛庁から天下りはされていますか。
  155. 坂野興

    ○坂野政府委員 お答えいたします。  まず、NECでございますが、平成五年度から平成九年度までの過去五年間に離職した一佐以上の自衛官及び十級相当以上の事務官等で離職後二年以内に就職した者は、当庁で把握しているもので、本年九月一日現在で二十二名でございます。  また、関連企業でございますけれども、私どもとしてどの会社が関連企業というふうに判断するわけにもまいりませんが、例えば、最近、調達実施本部の事案がございますが、そういった関連で、日本電気の関連会社としてマスコミ等で取り上げられている企業ということで申し上げますと、同じような期間で同じような条件でございますが、ジョイント・システムズ・サービスに二名、日本アビオニクスに五名、東洋通信機に四名、日本航空電子工業に四名、シー・キューブド・アイ・システムズに三名、ニコー電子に四名でございます。
  156. 二見伸明

    ○二見委員 それなりの天下りが行われているわけであります。  私は、天下りがあるということを頭に置きながら、NECは、この事件を知ったのが、新聞報道によると八五年七月から八六年初めに流出をしていたと防衛庁に語ったと言われています。もし八五、六年のころにNECが知っていたならば、なぜ四年も五年も防衛庁に報告をしないで隠していたのかということが問題になる。その点はどういうふうに思いますか。
  157. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 本件につきまして、先ほど御説明いたしましたように、この事案発覚以降、NECにおいて調査をさせた結果、先ほど申しましたように、平成三年三月に至ってNECから漏えいしたことが判明した、こういうふうに報告を受けているわけでございます。
  158. 二見伸明

    ○二見委員 これはNECに限らないのだけれども、防衛庁のいわゆる兵器、これを受注した企業というのは、機密を保持するためにそれなりの取り決めなりあるはずです。例えば、NECでは、機密を保持するために社内にどういうシステムをとってきたのか、これはかなり厳しい、セキュリティーですから、かなり厳しい秘密保持をする体制がないと私はならないと思うのだけれども、これはどういうふうになっているのですか、これは。
  159. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 お答えいたします。  これは、秘密漏えいを防止するために契約条項の中で特別条項を設けて企業に対して秘密の遵守を誓わせていると思いますが、その中身について、ちょっと事務局から。
  160. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 基本的仕組みは今長官からお答え申し上げたとおりでございます。  それで、今回のこの事案を受けて、NECに改善措置をさせたわけでございますが、例えば、その改善計画の中身について見ますと、この防衛工場の立ち入り制限の強化であるとか、あるいは保全施設の警備システムの改善であるとか、あるいは機密文書保管室の改善であるとか、こういった改善措置を講ずる、こういう改善計画になっているところでございます。
  161. 二見伸明

    ○二見委員 この事件が発覚して初めて機密保持の重要性を感じて、そして改善命令を出したというふうにしか理解できません。それまではいいかげんだった、かなりずさんだと。今が完璧かどうかわからぬけれども、かなりずさんな体制にあったというふうにしか理解できません。  それで、もう一点伺いますけれども、防衛庁とNECとの間の契約ですけれども、いわゆる平成三年度、この事件が発覚した翌年から最近まで、どういうふうになっておりましょうか。契約ベースの金額で結構です。
  162. 及川耕造

    ○及川政府委員 お答え申し上げます。  平成三年度以降、調本の契約でございますが、平成三年度五百六十五億円、平成四年度五百二十三億円、平成五年度四百三十五億円、平成六年度五百三十一億円、平成七年度七百二十九億円、平成八年度五百七十一億円、平成九年度七百四十六億円でございます。
  163. 二見伸明

    ○二見委員 この事件を起こしてわずかニカ月間の取引停止で翌年からは五百数十億円の契約がある。平然とこういうことが行われている。その契約内容は、例えば平成三年度では、移動式警戒監視システム、ツー・ミサイル・サブシステム、多重通信装置(OH)、飛行試験管制システム、探信儀等、例えば平成三年度はそういうことですね。私は、機密に関することを、盗まれたか何かわからぬけれども、外国に流出されて、それも後にも先にもこれっきりなのかどうかわからぬ。今までも平然とやられていたのかもしれぬ。その企業に、まあ毎年五百数十億円の発注をするという神経は私にはわからない。ほかにNECにかわる企業がないからというならばそれも一つ理由かもしれないけれども、だからといって、NECに、しょうがないんだといって押しつければ、NECはっけ上がるだけだ。しかも、NECあるいはその関連に天下りが行っている、こうなれば強いことも言えないのじゃないかということになります。私は、NECとこういうつき合いはやめてもらいたい。日本の将来のためにやめてもらいたい。
  164. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 今二見委員の御指摘でありますけれども、NECに対しましては、NECとの契約については、今般、東洋通信機等の事案も関連しておりますので、十月一日付で、当分の間、真にやむを得ないものを除き契約を差し控えるということを公表したところであります。  今後とも、私どもは、この秘密漏えいの案件を重大に受けとめて、こういうことがないように努力をさせていただきたいし、また、公表を差し控えたという点については、先ほども申し上げましたが、民間企業が作成した内部資料がその企業から漏えいをしたということなので公表を差し控えたものと報告を受けております。
  165. 二見伸明

    ○二見委員 今東京地検が捜査している案件がありますね。これは経済事犯だと私は思います。今ここで議論しているいわゆる機密文書の流出の問題は、これは質が違います。文書は一枚かもしれないし、あるいは秘密のランクは低いかもしれない。だけれども、これは経済事犯ではない。国家の安全保障の基本にかかわる問題なのだから、その点をきちんと踏まえてもらわないと困ります。  私は、NECに限らず防衛庁からいろいろ兵器に関する発注を受けている企業は、国のセキュリティーに関係しているのだということでもって、今以上に厳しい秘密保持体制をしくべきです。それもできないような企業ならば発注するなと私は申し上げたいと思います。この問題について、これで次の質問に移るものですから、これについて最後に長官の御見解を承ります。
  166. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 二見委員の御指摘を踏まえまして、今後、企業に対しまして厳正な規律保持を指導してまいるとともに、今、私どもで防衛調達の仕組みについて検討調査委員会を設けてありますので、防衛産業のあり方とともに、この問題等についても議論をしてまいりたい。再びこういうことが起こることがないように万全の措置をとってまいりたいというふうに思っております。
  167. 二見伸明

    ○二見委員 これは、もし新たなる法整備が必要であればそれも視野に入れなければならないと私は思います。  次に、対人地雷について若干承りたいと思います。  対人地雷禁止条約は今国会で承認される可能性が私は強いと思います。対人地雷というのは、軍事的には、いわゆる敵の兵士を殺害するよりも、重傷を負わせて、その救出に他の兵士を充てることによってより多くの兵力を削減するあるいは士気をそぐ、そうしたことを戦術的な目的としているものだと私は思います。ですから、防衛庁が、日本が島国であるという地理的な特徴や専守防衛を基本理念としている我が国としては対人地雷防衛戦略上有効な兵器だ、こう規定してまいりました。ですから、陸上自衛隊の訓練でも、どこどこに敵兵が上陸してくる、その上陸してきた敵兵、一個師団か何かわからぬけれども、それを想定して対人地雷、対戦車地雷をそこに敷設をして、進んでくるのをせん滅するのじゃなくて抑える、あるいは、パラシュート部隊が降下する、その周辺に地雷原をつくって、そしてパラシュート部隊が降下できないあるいは降下しにくいような状況をつくる、日本に上陸してきたあるいはパラシュート部隊で来たものをそこにくぎづけにするということに対人地雷の主なる戦術的な目的があるのじゃないかと思います。そうして、一カ所にくぎづけにしている間に、あちらこちらから自衛隊がここへ集まってくる、あるいは米軍日米安保条約に基づいて出動してくる、そして上陸したものを追い出す、こういうような想定で今まではやられてきたのだと私は思います。そういう立場からいきますと、対人地雷がなくなるということは、そういうことが起こったときにその空白をどうするのだと不安を抱くのは、私は無理からぬことだと思います。ですから、私は、代替兵器開発をどうするのだということになるわけですけれども、そういうことだと思います。  一方、アメリカは、まだ署名をしていないといいながら、ブッシュ大統領の当時、対人地雷輸出を停止するという表明をしておりますし、クリントン大統領もことしの五月に、二〇〇六年までに、条件はあるのだけれども署名しますよという意思表明をしている。  対人地雷の非人道性とよく言うのだけれども、兵器というのは大体余り人道性はないのだ、何に限らず。なおかつ、もともと兵器というのは相手を殺したり傷つけたりするのだから、人道性などというのはあるわけない。その兵器の中でも最も非人道性だと言われている。残虐性、無差別性、そういうことに対する国際社会での極度の嫌悪感というのは、これは当然、私は出てくるのは当たり前だと思う。それが大きな国際潮流のうねりとなって禁止条約ができ上がったという、この側面は見逃すことはできない。  私は、この条約批准されるという前提で、我が国防衛に対する考え方というものを改めてつくり直す必要があるのではないか。対人地雷に依拠しない防衛計画。私は、もし日本を本気になって攻撃すると思ったら、対人地雷なんてそんなことやらないよ。ある日ばあんとミサイルで東京を攻撃して、そして混乱に陥れて、それから上陸しようと思うところに空と海からばっと攻撃させて、全部平らにしてしまって、それからやってきますよ。日本をもし攻撃するということになれば、その方がよっぽど手っ取り早いし効果的だと思うから。私はそう思いますよ。限定的小規模侵攻に対処するという対人地雷、依拠、よりどころに、これは選択肢の一つとしてわかるけれども、それが防衛の主力になるのかなというと、私はそうではないのじゃないかなという感じがします。  そういうことを思いながら、防衛計画の質的な転換というか、これは考えてもいいのではないか。私は、ただ対人地雷の代替兵器さえ開発すればいいのだという、そんなものじゃないだろう、もう一度ここで、日本を守るためにどうするかということを考えるべきだろう。  日本は、私が太平洋戦争を子供のころに経験している経験からいきまして、やはり日本は本土に上陸されたらおしまいだな、そんな本土決戦やろうなどという元気ありませんよ、残念だけれども。水際でどうやって排除するか、これ以外に私は日本防衛はないのだと思います。対人地雷というか今までの戦略を全く否定するわけじゃないけれども、やはり私はそういうふうに思います。そういうこと、防衛計画の作成についてはどういうふうに考えているか、それは防衛庁長官にお尋ねしたい。  それで、外務大臣には、これは批准するわけですよね。そうすると、国際貢献の立場から、カンボジアを初めとして、過去または現在地域紛争があってたくさんの対人地雷が埋められている、国連が既に入っているところありますね。アンゴラとか、それから旧ユーゴ、国連が地雷除去に入っている、そういうようなところ。そうした対人地雷によって苦しんでいる地域、特に発展途上国ですから、対人地雷除去にどこまで、可能な限り私は援助すべきだと思うけれども、そういうことについての御決意なりお考えを承りたいと思います。
  168. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 二見委員指摘のとおり、我が国の地形的な特徴等々から考えますと、対人地雷防衛上の機能というものは私は評価されてもいいところがたくさんあったというふうに思っております。  しかし、小渕総裁が対人地雷禁止条約をぜひとも批准するという政治決断をなさったわけでありますから、我が方といたしましては、防衛庁といたしましては、日本の国の防衛上この対人地雷にかわる代替手段はないかということを研究してまいりまして、この代替手段の装備化がそんなに遠くない時期に可能であるという考え方を持っております。  と同時に、その装備化がなされるまでの間、先ほどお話がありましたように、指向性散弾という手段でもって対応していきたいという考え方をとっておりまして、当面、防衛計画の大綱を見直したらどうかということについてまでは考えておりませんで、将来、冷戦後の日本防衛のあり方とかそういうことについては中長期的にはいろいろと議論ができるものと思っておりますけれども、対人地雷に対応した形で防衛計画の見直しをする考えは今のところ持っておりません。
  169. 高村正彦

    高村国務大臣 対人地雷問題につきましては、我が国としては、地雷除去活動に対する支援として国連等国際機関を通じた資金協力を行ってきたほか、草の根無償やNGO事業補助金を通じた犠牲者支援を行ってきているわけであります。  具体的に言いますと、カンボジア地雷対策センターに対する六百万ドルの拠出を初め、国連等国際機関等に対して累計約三千万ドルに上る資金を拠出して地雷被埋設国の地雷除去活動を支援しているわけであります。また、犠牲者支援につきましては、草の根無償及びNGO事業補助金により累計約一億円の支援を行ってきております。その多くはカンボジア向けで、NGOによる義肢製作、犠牲者のリハビリ、職業訓練プロジェクト等に使われているわけであります。  また、我が国は、昨年十二月の対人地雷禁止条約署名式において、犠牲者ゼロプログラムを提唱して、九八年から今後五年間を目途に百億円程度の支援を行う旨表明したところであります。これを受けまして、従来の支援等に加えて、二国間援助を通じた地雷除去関連機材等の供与、医療、リハビリテーションに係る施設整備や機材供与、技術協力等を積極的に実施していく方針であります。この具体化のためにより一層積極的に取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。     〔浅野委員長代理退席、委員長着席〕
  170. 二見伸明

    ○二見委員 外務大臣、ついでに伺いますけれども、日米安保条約日米安保体制を信頼性のあるものにするという立場からこの対人地雷廃棄の問題を考えたいのだけれども、例えばアメリカ我が国内に、日本の国内に持っている地雷というのは、対人地雷と対戦車地雷のいわゆる混合の地雷ですね。対戦車地雷があって、その周りに対人地雷を敷設する、そういう混合型の地雷だと言われています。もし日本有事になった場合に、日本はこの条約の加盟国ですから対人地雷は全く使えませんね。同じ同盟関係にあって、安保条約に基づいて米軍が行動する、そのときに米軍は、アメリカ署名しておりませんから、いわゆる混合型の地雷の敷設はアメリカ立場からいけば可能ですね。これは日米間はどういう話になっておりますか。
  171. 高村正彦

    高村国務大臣 我が方から米側に説明したのは、いろいろあるわけでありますが、我が国領域内での対人地雷使用開発及び生産については、いかなる国によるものであれ、条約を締結する我が国立場から認めない、こういう説明をいたしました。これに対して米側から、我が国条約上の義務及び関連する政策については、これを十分理解するということを明らかにしたわけであります。
  172. 二見伸明

    ○二見委員 それは、要するにその場合はアメリカ使用をしないというふうに理解してよろしいですか。
  173. 高村正彦

    高村国務大臣 我が国我が国立場から、使用することを認めないと言って、相手が、それを理解する、こう言ったわけでありますから、そういうこと、だと思います。
  174. 二見伸明

    ○二見委員 純粋の、あるいは国防の立場からくるといろいろ議論は出てくる問題だと私は思いますけれども、それはそれとして、防衛庁長官我が国地雷除去に精通しているのは、私はやはり自衛隊だと思うのですよ。各国のNGOも退役軍人が中心となって地雷の除去をやっている。これは知識がなければできませんよ。ところが現行では、例えばPKOでは、PKFが凍結されて、PKOの枠組みの中では地雷の除去はできませんね。PKFを凍結解除しても、それはあくまでPKOの世界であって、今、カンボジアだアンゴラだ、あちらこちらから要請、苦しんでいる地雷除去は、これはPKOの枠組みの外の話ですね。私は、PKOの枠組みの中で地雷の除去を考えるのじゃなくて、これを、PKOとは外の世界で地雷の除去が必要なわけですから、PKOとは切り離しをして、地雷除去作業、例えば某国の要請によって自衛隊地雷の除去に行けるという法律をつくる必要があるのではないか。これはPKOとは別です。その国から、地雷を除去したいんだ、日本のノウハウをかしてくれというふうに来た場合に、それにこたえられる法整備が必要なのではないか。自衛隊がみずから行って地雷を除去する、これもある。あるいは現地の人に地雷除去のいろいろな訓練をするということもある。そういうものができるような体制をつくる必要があると思いますけれども、長官の御意見はいかがでしょうか。
  175. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 二見委員指摘のとおり、自衛隊員が持っているこの対人地雷の除去活動におけるノウハウというものは大変貴重なものであり、これを活用していくことは意義のあるものであるというふうに私は思っております。  二見委員指摘のとおり、国際平和協力法においては、自衛隊の部隊等が行う国際平和協力業務の一部については、「別に法律で定める日までの間は、これを実施しない。」こととされているということになっているわけでありまして、ここで、一般に国連平和維持活動として自衛隊の部隊等が地雷除去を目的とするような業務を行うことは、「放棄された武器の収集、保管又は処分」に該当し、おっしゃるように凍結の対象になっているわけでございます。  防衛庁としては、国際的な対人地雷除去に対してどういうふうな協力ができるか、このPKOそれからPKF本体業務の凍結の問題と絡めて慎重に検討してまいりたいというふうに思っております。
  176. 二見伸明

    ○二見委員 これはいわゆるPKFの凍結と絡めて考えるものなのか。というのは、PKFの凍結は、私も当時関係しましたからよくわかっていますけれども、これは簡単じゃありません。むしろこれは凍結とは別の、切り離しをして、PKOとは別の観点から法整備をする必要があると私は思っているのですよ。絡めてはまずいと思う。いかがですか。
  177. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 二見委員の御見解、御見識も踏まえて検討させていただきたいと思います。
  178. 二見伸明

    ○二見委員 終わります。
  179. 塩田晋

    塩田委員長 次に、東中光雄君。
  180. 東中光雄

    東中委員 私は、防衛庁調達実施本部をめぐる背任事件に関連して、防衛庁長官にお伺いします。  九月十日に防衛庁長官は本委員会で報告をされました。その報告の中では、調達本部の本部長及び副本部長が逮捕されたことはまことに遺憾であり残念だということを言われた後で、本件についての経緯について簡単に述べさせていただきますということで、述べられました。  調達実施本部は、平成六年二月、東洋通信機から提出された契約に関する原価計算の見積資料に問題があったことから、特別調査を実施し、加工費の工数計算に問題があることが判明したというふうにされまして、また、調達実施本部では、当該契約が信義則に反して行われ、かつ同社もその事実を認めたことから、過去五年間の契約について、過払い分の返還額に関するさまざまな試算を行うとともに、東洋通信機との折衝を進めたところ、最終的には、返還額は約八億七千四百万円、返還方法は履行中の契約から減額補正を行うことで合意したものである、これはもう言われたとおりのことを言っているわけです。  ですから、これらの行動というのは、主語が調達実施本部です。だから、調達実施本部が、調達業務として過払い分の返還額に関するさまざまな試算を行い、また東通との折衝を進めて、そういう調達実施業務をやって、その結果として、返還額及び返還方法で合意をした、こうなっているわけです。だから、この一連の行為は、調達実施本部の、そういう国家機関ですね、の公の調達業務として行われたものであるということを言っておられると私は理解するのですが、そう理解してよろしいですか。
  181. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 これは、調達実施本部内で、過払いあるいは過剰請求問題をできるだけ早く、国の損失を返還してもらうために、それぞれ企業側から事情聴取をしたりあるいは総合的な決算書類をもとに算定をしたものであり、その意味では調達本部の公的機関で行ったものであります。
  182. 東中光雄

    東中委員 調達実施本部の公的な職務行為として行ったものである、そして結論は、返還額八億七千四百万円、返還方法は一括払いじゃなくて、履行中の契約から減額補正を行うということで合意したんだ、だからこれは全部が調達実施本部の公の調達業務なんだというふうに今言われました。  ところが、本件の背任事件というのは、その調達実施本部の公の調達行為そのものが犯罪だ、国に対する背任だということで今度起訴に及んでいるわけです。だから私は、そういう点で言うと、これはかつてない、公の、国家機関としての調達業務が、それがそのまま背任罪に該当する。しかし機関を処罰するわけにいかぬから、その機関のオルガントレーガーといいますか担当者である本部長及び副本部長、そのほかの人たちもそれに動かされたとしても犯罪になるわけですが、とにかくそれが起訴されるということになっているのです。そういう意味ではかつてない事案だと思うのですが、長官、どう思われますか。
  183. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 その時点におきましては、防衛庁と契約企業の間で、できるだけ早く国の損失を返還させるために合意点を見出したというふうに受け取っていたわけでございますけれども、今から考えると、それは当然、地検で背任容疑で起訴されたという事実もあるし、また当時、調達実施本部の幹部であった方々も当時の算定基準というのは不適切であったというようなことを私どもに言ってきておりますので、私どもは当時の考え方が正しいとは思っていないということを公にしたところであります。
  184. 東中光雄

    東中委員 いや、そんなことを聞いているんじゃないです。事柄の性質が、国家機関が機関として行った調達業務、防衛行政の中の調達業務という、防衛行政ですね、そのやった行政が、それが実は国に大損害を与えるという背任行為だったんだということになっている、これが本件の本質なんだ。そこのところを防衛庁長官は、個々の個人の間違いであるという問題と違うんだ、たまたま防衛庁調達実施本部の本部長にいた個人がその地位を利用して何か犯罪行為をやったというんじゃないんです。機関としてやったというのが本件の特徴なんだ。これを一つも否定されていませんから、私、それで議論しようとは思いません。公の行為だったということを言われているわけですから。それが犯罪になっているのですよ、これはきっちりそれをつかんでもらわないとだめですよということをまず申し上げたい。  次の問題ですが、平成十年九月二十二日付と九月二十五日付で東京地検はこの問題について公訴請求を行いました。事件の公訴事実の要旨によりますと、調達実施本部は、会計法、国の債権の管理等に関する法律予算決算及び会計令、調達物品等の予定価格の算定基準に関する訓令等に従い、東通の一般管理及び販売費、支払い利子等の金額を計算して契約金額を修正し、そして国に返還すべき金額を適正に確定させた上、これにつき東通との間で債権の減免を行うことなくその全額を現年度歳入への一括組み入れ方法により国に返還させる契約を締結すること、そのことが実施本部の任務であったと書いてあるんです。そうは書いていませんが、その任務に反して本件の事件が起こったというんです。だから任務としては、調達実施本部は、予定価格等の算定に関する訓令等の関係法令に従って一般管理及び販売費等の額を計算する、そして契約金額を修正する、これが一つの任務である。そこから、契約金額を修正して、国に返還すべき金額を適正に確定する、そしてこれを国に返還させる契約を東通との間で締結する、この三つのことを任務としているんだ、こう書いてあるのです。  この東京地検の調達本部にの任務、現時点で防衛庁長官は、それは調達実施本部の任務であったというふうにお考えになるか。起訴状にはそう書いてあるのです。いや、そんなもの、そんなことないというふうに現時点で思われるか、どうでしょう。――長官に聞いているのです。
  185. 及川耕造

    ○及川政府委員 当時の責任者がどのような経過で……(東中委員「当時のことじゃないんだ、現在を聞いているんだよ」と呼ぶ)はい、いかなる経過で国に対する返還額を八・七億円というふうに決定したかは今後裁判等で明らかになってくると思います。現段階においては、先生指摘のとおり訓令を援用すべきであったというふうに思っております。
  186. 東中光雄

    東中委員 長官、公訴事実として、こういうふうにすべき任務があった、その任務に背いたのは背任罪なんだ、こう言っているのですよ。そういう任務があったのかなかったのか、これは規範の問題ですよ。そういう任務はなかったんだ、そんなことせぬでもよかったんだというふうに今思うかどうかということを聞いているのですから、その当時どうやったかというようなこと、その当時のことはわからぬです。どうでしょう。
  187. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 先ほど申し上げましたように、当時の返還額の算定基準、根拠というものはもろもろの要件で我々の調査では不十分であって撤回せざるを得ないということはこれまでも申し述べてきたところでありますから、東中先生のおっしゃるように、国が要求すべき損害額は予定価格訓令を援用して算定すべきものと考えられるし、国への返還金額については債権管理法とか関連法に基づいて手続を進めて、できるだけ早く返還できるようにさせたいというふうに思っております。
  188. 東中光雄

    東中委員 だから、検察庁が言っている、訓令等に基づいて予定価格を算定し、そして返還額を確定して、そして締結する、それは債権管理法などに従ってやる、そういうことをやるべきだったが、その当時はそうしなかったということを今お認めになったと聞いてよろしいですね。
  189. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 当時、我が防衛庁内の調査の段階ではそこまで事実関係を把握することができずに、地検の捜査、あるいは当時の実施本部の幹部の皆さん方も適切な根拠に基づいているものではなかったということの声明もあり、東中先生がおっしゃるとおりの撤回と返還を求めることになったわけでございます。
  190. 東中光雄

    東中委員 今おっしゃった当時というのはいつのことですか。今おっしゃった当時というのはいつですか。いつのことですか。
  191. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 私どもが防衛庁の考え方をまとめさせていただいたのは二十五日であります。これは、私どもが、内部の調査とかさまざまな要件に基づいてこの当時の考え方を撤回をして、そして予定価格の訓令に基づいて返還額を算定し直して、そして関係法令に基づいて手続を進めていきたいということを表明したわけであります。
  192. 東中光雄

    東中委員 それは全然食い違っているのですよ。僕の言っているのは、諸冨さんなどがやった、九四年の二月に発見して三月、四月に調査し、六月にという経過がありますね。そのときに、過払い額の問題が問題になったときに、その額がどうなんだということをはかるには、検察庁が言っているのは、そのときに関連法令やあるいは通達、訓令等に従って契約額を算出して、そして損害額を確定するということをその当時諸冨さんなどがやるべきだったのだということを言っているのです。それに背いて諸冨氏などはやったということ、そこが問題なんです。  それで、そのときにどうやったかということについては、防衛庁長官はそういうふうにやったとは言わないで、先ほど一番初めに確認をいたしましたように、こう言っているのですね。「過払い分の返還額に関するさまざまな試算」を行いと書いてあるのです。さまざまな試算を行ったというのでしょう、その当時。あなたの報告の中でそう言っているのです。私、さっきも確認しました。だから、諸冨さんなどは何の基準もなしに、しかも一つじゃないのです、さまざまな試算、試みの計算をやったというのです。それで、あとやったのは向こうと交渉だけだった、そこから結論が八億幾らになった、こういうふうに長官自身が報告しているのですよ。だから、さまざまな試算というのは、その内容は何にも明らかにされていないのですね。それは明らかにできますか。その当時したということを言われているのだから、それはわかるのでしょう。しかしそれは、訓令に基づいて計算をせいということで訓令は書いてあるわけですから、それをやったのではないことは間違いない、さまざまな試算なのだから。そこのところが問題なのですよということを私は言っているのですよ。だから、当時とおっしゃるその当時が、長官が考えた当時とかことしの二月になってとか去年の九月からとか、そういうことじゃないのです、九四年当時こういう立場でやるべきだったのだ、それをやっていなかったというのは検察庁が言っているのですから。その点で、それをやっていなかったことはお認めになるわけでしょう。
  193. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 でありますから、当時の積算額は不適切であったというふうに言っているわけでございます。
  194. 東中光雄

    東中委員 それは不適切であったのではなくて、それが犯罪行為になったのですよということを自覚してもらわないと困るというのが私たちの主張であります。だから、防衛庁としての犯罪、機関のやったことが犯罪行為になっておる、それを犯罪行為だと思わぬでやっておったということだから、いよいよもってゆゆしいのです。私は、史上、前代未聞のということを本会議でも申し上げました。これは言葉のあやで言っているのじゃありませんよ。本当にひどい話ですよ、こんなものは。だって、部下にそういうことを命令して、こうせいああせいと言って曲げていったのですからね。しかもそれは、部下はそんな犯罪行為に加担する公務員としての義務はないわけです。それを従ったということで、刑事事件にはなっていないけれども、本来、理屈からいえば、結局背任行為に加担したことになるのですね、という性質のものなのだということを私は申し上げたい。  そこで、時間がじき過ぎてしまいますので、訓令等に従ってやれということになっておることは先ほど申し上げたとおりですね。それに対して、例の七月十四日付防衛庁の上申書「東通事案に対する現時点での評価について」という文書ですね。これは、この間の本会議の私の質問に対して一切お答えになりませんでしたけれども、あれは全く許されない答弁、事実上の答弁拒否だというふうに私は今も思っています。そのことを今言うよりも、申し上げたいのですが、この七月十四日付「東通事案に対する現時点での評価について」なる文書は、防衛庁が検察庁に出した、そういう題目で出した、その文書自体は時の久間防衛庁長官内容を了解して出したということを参議院で答弁していますね。そして、出したことも認めているのです、中身については触れていないということでありますが。  この問題は、訓令等に従ってやるということからいえば、防衛庁として検察へ出した文書ですから、その中にこう書いていますね。七ページに「予定価格算定の訓令と原価差異算定との関係」という項目がありまして、その中に、本件事案、いわゆる東通事案のような事案を処理する場合に、予定価格算定の訓令を当てはめることは本来的に無理がある、これは防衛庁の見解なのですね。  そして、八ページには、日本工機の算定例では、最初のケースにおいて予定価格算定の訓令が原価差異事案の算定の基準として援用されたことは事実であるが、これをすべてのケースに当てはめることは必ずしも適切でないと考えるというふうに、ことしの七月段階で、訓令に従わない、それから、それだけじゃなくて、当てはめることは必ずしも適切でないと、防衛庁長官内容を了承し、その概要は現在の額賀さんも、要旨ですか概要ですかは承知していると言われているその文書の中に書いてあるわけですね。  これは、今防衛庁が言うたことと真っ正面に反する。しかも、それは防衛庁の見解として検察庁へ出した、こういうことなので、これは防衛庁として、上野何がしという個人の被疑事件について、今度は、防衛庁の見解でそれはやってもいいのだということを検察庁へ防衛庁として申し入れたということになるので、現在から見られたら、それは、訓令等に従って算定せないかぬという規範からいえばそれに反することを、しかも検察庁まで出した。  そこで、私聞きたいのですが、防衛庁が「防衛庁」と書いた文書を検察庁へ出したのは、防衛庁の職務行為としてどういう権限に基づいて出したのか。  それから、俗に上申書と言われておりますが、上申書というのは、逮捕された被疑者側が、被疑者側の言い分として捜査当局に上申するのです。防衛庁は、これは被疑者になっているわけでも何でもないのです。本部長個人がやっている。それを、こういう文書を出したというのは、どういう意味で出したのか。しかも、その内容が、今見たら、正しかるべきことがまるっきり違ったことを言っておるという関係になっています。しかも、それについては、この間の参議院で額賀長官自身が撤回すべきものと思うという趣旨のことを言われましたが、なぜ出したのか、どういう意味で出したのか。撤回して済む問題と違いますから。それは撤回じゃなくて、間違っておるのだから、間違っておるということをはっきりと言明して、そういうことを出した根拠が何もないということもあわせてちゃんとすべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  195. 額賀福志郎

    額賀国務大臣 この問題につきましては、東洋通信機事案に関し、東京地方検察庁に対して、その時点での防衛庁としての調査内容前提として、考え方、評価等についてまとめた上で提出したものでございます。防衛庁から提出されたこの文書については、その後、先ほど来言っておりますように、従来の見解は撤回をさせていただくということを表明をしているわけでございます。  防衛庁から東京地検に提出した文書のどの部分を撤回したのかという点については、文書の内容に関するものなので、これは公判にも影響を与えますから遠慮させていただきますけれども、一般論としては、当時和解交渉により国への返還額を八・七億円と決定して履行中契約から減額させる方法により返還させたことは適切ではなかった、不適正とは言えなかったとの従来の見解を変えるということであります。
  196. 東中光雄

    東中委員 それはちょっと言われていることが違いませんか。  というのは、これは、検察庁へ出したことの内容を公表すると捜査、公判に影響を及ぼすと言うのですね、今。そうおっしゃいましたね。そうしたら、この文書を出したことは捜査に影響を及ぼすことだったのですね。それをこの時点で公表することでさえ捜査に影響を及ぼすと防衛庁が言うのだったら、これを出したのは捜査に影響を及ぼすこととして出したのでしょう。そういうことになりますね。  しかも、その書いてあることが、その時点でといったって、ことしの七月ですよ。諸冨さんなどがやった犯罪行為というのは四年前です、九四年ですよ。その時点といったって、ことしじゃないですか。つい先ごろじゃないですか。それを撤回する内容を明らかにしたら捜査に影響を及ぼす、こんなことを本会議でも言われましたが、筋が通りません。  そんなに影響を及ぼすようなことをあなた方はやったのか、何の権限に基づいてやったのか。防衛庁は、こんな文書を、捜査に関して意見を述べるというような権限どこにあるのだ、だれが出したのかということになっても、いまだに、防衛庁長官の了解を得ました、だれが了解を得たのですか。だれが、どの機関が提出したのですか。何の根拠もないじゃないですか。事実上の防衛庁の具体的事件に対する検察庁への圧力ですよ。不当な圧力ですよ。しかも、その中身は間違っておったということを今認めておりながらなお内容については言えない、こういう姿勢では、これはもう断じて許されない。  事柄の性質を一番最初に申し上げた、公的な行為自身が犯罪だと言われているのだと。それを問われておるときに、その内容についてやったことをいまだに反省しないところか、当時の考え方でと、もってのほかだと思います。私は、そういう答弁をされておる額賀長官の責任は極めて重大だと思いますよ。検察庁がそれはだめだといって起訴しておってもなお、そのことは認めながらそういうことを言っておる、これは許されない事態だということを申し上げて、時間だと言っていますからやめます。  終わります。
  197. 塩田晋

    塩田委員長 次に、辻元清美君。
  198. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党の辻元清美です。  私は、まず最初に、二十六日にアメリカがネバダ州の地下核実験場で未臨界核実験を実施しました。この件に関しまして、日本でも一その後、被爆地の広島や長崎では、被爆者の方も含めまして座り込み行動などが行われております。私も、やはりこのアメリカの態度はCTBTの精神に反するものであるというふうに考えますので、この場をかりて抗議したいと思います。  質問につきましては、先ほどから何人かの委員の方が同じ質問をなさいましたので割愛いたしますが、私は、これはCTBTに反しているというふうに思います。  さて、きょうは対人地雷禁止条約について幾つ質問したいと思うのですが、私は、日本がこの条約批准したということは非常によかったことではないかと考えております。全面的に対人地雷禁止していこうという一歩につながったというふうに思っております。  といいますのも、私自身はカンボジアとかかわってまいりました。議員になる前は、ピースボートという民間の国際交流団体で、初めてカンボジアに行きましたのは一九八五年、今から十三年前でした。当時はまだ日本人は数十人しかカンボジアにおりませんでした。自衛隊が行きまして、カンボジアに国際貢献と言われましたのは九二年ですのでそれから随分後のことなんですが、当時から、この地雷の除去現場であったり、地雷被害に遭った子供たちの現場を見てまいりました。  私自身も、つい最近カンボジアのフン・セン首相がちょっと危険な目に遭いましたシエムレアップとかコンポンソム、今のシアヌークビルとか、あのちょうどプノンペンからシアヌークビルに行く途中は非常に危険な地域なんですけれども、地雷原の可能性のあるところを歩かざるを得ないというような経験も何回もいたしました。  その中で、地雷が普通に暮らす人たちにとっていかに恐怖であるか、そして、一たび子供たちが踏んでしまうと、一生その人たちの人生が台なしになってしまうという現場を随分見てきました。  当時は、実際にカンボジアヘの各国の支援もなく、病院などでは、地雷で足や手をなくした子供たち、その病院に車いす一台もないというような状況で、日本の民間の皆さんにも呼びかけまして、車いすを運んだり、そういう活動を十数年続けてきました。  さて、つい最近は、昨年の十二月に、またピースボートでこのカンボジアに日本のたくさんの若者も行きました。そのときに、CMAC、先ほどから話が出ておりますけれども、カンボジア地雷対策センターをたくさんの人たちが視察されました。その中で、カンボジアでは四百万から六百万個の地雷がまだ埋まっているという中で、聞きますところによりますと、今でも月に百人の犠牲者が出ているということで、CMACではこの地雷除去作業を一生懸命やっています。  こういう中で、民間の四十六団体ほどが日本でも集まりまして、地雷を廃止しようというキャンペーンを、藤田議員などが中心になりまして、NGOと連携をとってやってまいりました。  カンボジアでは、大体一平方メートルの対人地雷を除去するのに日本円で百円程度であるということで、募金活動などをいたしますと、銀座で募金に立つと、若者や女性が随分たくさん協力するというぐらい、この問題に対する一般市民皆さんの関心も高いということになると思いますので、今回の条約批准して、日本はさらにこれを、アメリカも含めた各国に広げていく努力が必要ではないかという視点で、幾つ質問させていただきたいと思います。  まず最初に、先ほどからも少し話は出ているんですが、今回日本批准するこの条約ですけれども、一条では、締約国は、対人地雷を直接もしくは間接に移譲すること、これを禁じています。一方で、先ほどから出ておりますが、我が国には日米安保条約があり、現在、日米防衛協力のための指針、いわゆる新ガイドライン、これが審議するしないということで話題になっておりますが、これに関する周辺事態法案では、後方支援ということで、輸送についての規定があります。しかし、ここには武器弾薬を含まないという記述は入っていないようなんですけれども、そこで質問です。  この周辺事態法案の輸送の、この輸送には、地雷を含まないというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  199. 高村正彦

    高村国務大臣 地雷を含まないと理解していただいて結構でございます。
  200. 辻元清美

    辻元委員 はい、わかりました。  さらに幾つか確認させていただきたいと思います。  次に、在日米軍保有する対人地雷については、国際法上、駐留国の法律は駐留軍には適用されないと判断して、今回はここには触れないというような御答弁が先ほどからございました。  そういう中で、もう一点この場で確認させていただきたいことは、日本民間業者による在日米軍対人地雷輸送は一切ないというふうに理解してよろしいんでしょうか。これは法律違反であると。
  201. 高村正彦

    高村国務大臣 そういうふうに理解していただいて結構です。
  202. 辻元清美

    辻元委員 それでは引き続き、そうしますと、次に、在日米軍がこの対人地雷禁止条約禁止された対人地雷を、日本の領土や領海を通過するときのことなんですが、このようなときには、日本に対しまして事前に通告があるのでしょうか。
  203. 高村正彦

    高村国務大臣 安全保障条約第六条のいわゆる事前通知の対象にはなっていないわけであります。
  204. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、先ほどから、民間業者はこれを法律で禁じるとか、移動に関して日本は関知できないということ、これは、もしも民間業者がこの輸送等に関与していても、事前通告がない場合は立証のしょうがないと思うんですが、いかがでしょうか。
  205. 高村正彦

    高村国務大臣 一般に、犯罪を犯す人が事前通告なんかしていなくとも、捕まえるべきときは捕まえているということですから、アメリカが事前通告しなくても、日本のだれかが輸送にかかわって、そういうことが証拠があればきっちり捕まえる、こういうことであります。
  206. 辻元清美

    辻元委員 ちょっと今の御答弁ではなかなか理解しかねるんですけれども、そうしますと、在日米軍との間でさまざまな協議がされると思いますが、今回この条約批准するということで、民間業者等に輸送を頼むことはないようにとか、我が国としてはこのように運用するので、在日米軍としてもしっかりとした理解をしなければいけないというような協議は行われたんでしょうか。
  207. 高村正彦

    高村国務大臣 そういう協議は累次にわたって行われました。
  208. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、その協議の具体的な内容幾つか教えていただけますでしょうか。
  209. 阿部信泰

    ○阿部(信)政府委員 米国との間では、この条約署名します以前の去年十一月から何度かに分けて協議を行ってまいりまして、ことしの春、一番最近はこの九月十六日にワシントンで国務次官補代理との間で協議を行っております。  この過程におきまして、日本側から、日本側としては、米側に対して、在日米軍基地における貯蔵保有は認めます、それ以外のことについては認めませんということを明確に申し述べまして、米側がこれを十分に理解するという回答を得ておりますので、それに従って米側は行動する、日米の同盟関係のことでございますので、その点については、米側日本国との信頼の関係として米側は確実にこれを守るというふうに期待しております。
  210. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、輸送については何か具体的な話し合いは行われましたでしょうか。
  211. 阿部信泰

    ○阿部(信)政府委員 輸送につきましては、この輸送と申しますのは、条約規定しておりますところの保有一つの形態ということに考えられますので、それについては、米軍がこれを行うということは認められますけれども、同時に、日本の側におきましては、自衛隊あるいは民間業者がこれを行うということは条約上認められないという解釈をしておりまして、それを米側に伝え、米側はこれを十分に理解するということを述べております。
  212. 辻元清美

    辻元委員 済みません、ちょっと今聞き取りにくかったところがあって。民間や自衛隊は認めないということですね。
  213. 阿部信泰

    ○阿部(信)政府委員 さようでございます。
  214. 辻元清美

    辻元委員 在日米軍の基地の中というのは、これは治外法権というのをよく聞くんですが、輸送については、これは公道であります。日本の民間の私たちも暮らしている道路等を使用するわけで、私はこれは、この条約批准した国として、輸送等をする場合には事前通告を受けるということを日本は主張していいのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。  もしもする必要がなければ、その根拠といいますか、それをちょっと知りたいんですけれども。
  215. 高村正彦

    高村国務大臣 委員がおっしゃっている事前通告というのが、もし安保条約六条の言うところの事前協議という意味でおっしゃっているのであれば、それは、岸・ハーター交換公文でいろいろあるわけであります。  三つあるわけでありますが、軍隊の装備における重要な変更の場合には事前協議の必要がある。それで、装備における重要な変更とは何かということについては、具体的には、核弾頭及び中長距離ミサイルの持ち込み並びにそれらの基地の建設を指していて、対人地雷はその対象ではない、こういうことでございます。
  216. 辻元清美

    辻元委員 追加で何かありますか。
  217. 東郷和彦

    東郷政府委員 ただいま大臣の方から安保条約六条との関係での御説明ございましたけれども、一点補足を申し上げたいと思います。  安保条約の六条ということでは必ずしもなくて、米軍地雷輸送するというそのことについて単なる通告をすべきではないかという御質問に対して申し上げたいと思いますが、私ども、この条約検討するに際しまして、条約上の義務をいかに心得るべきかという点と、それから我が国及び極東の安全保障をいかに考えるべきかということについて真剣に検討させていただきました。  その結果、累次申し上げておりますように、在日米軍につきましては、対人地雷貯蔵及び保有、これについては認めるという判断に至ったわけでございます。したがいまして、貯蔵及び保有を認める以上は、その対人地雷を動かすということは、これは米軍の責任において実施する限り認めるということが適切ではないかという判断に至りましたので、かかる対人地雷の移動、輸送というものは、米軍の運用としてそのまま認めることが適切ではないかというふうに考えるに至ったわけでございます。
  218. 辻元清美

    辻元委員 その場合、素朴な質問なのですが、万一公道等の輸送中に不測の事態が起こった場合は、責任はどこの所在になるのでしょうか。
  219. 東郷和彦

    東郷政府委員 仮定の事態に関する御質問ですので、万が一にもそのようなことが起きた場合には、その起きた事態の諸状況を総合的に判断して結論を出すということになると思いますが、そのような事態は起こらない、想定されないというふうに考えてまずはよろしいのではないかと思います。しかし、万が一にも起きた場合には、総合的に判断して考えるということかと思います。
  220. 辻元清美

    辻元委員 さて、今ちょっと輸送のことを伺いましたが、もう一点確認したい点がございます。  対人地雷の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律、今こちらに持っておりますが、この「総則」に、対人地雷使用貯蔵生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約、先ほども少し質問が出たのですが、もう一度確認したいのですが、その後に「条約の適確な実施を確保するため、」この後なのですが、「対人地雷の製造を禁止するとともに、対人地雷所持を規制する等」と、「等」という言葉が入っておりますが、この「等」は、この条約の前者に記載されております使用貯蔵という概念が「等」というところに入っているというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  221. 広瀬勝貞

    ○広瀬(勝)政府委員 この「等」は、実は、例えば、国際連合事務総長の指定する者の検査とか、あるいは所管の大臣への報告徴収とか、そういったことを想定しておりまして、使用等についてはこの法律では規定をしておりません。  この条約は、使用あるいは開発等々を規制しておりますが、例えば、使用につきましては爆発物取締罰則で取り締まることになっております。それから、移譲については、この法律とか、あるいは外国為替管理法で規制をするということになっておりまして、この法律で直接規制をしておりますのは開発生産あるいは取得貯蔵保有といったところでございます。
  222. 辻元清美

    辻元委員 それでは、次に確認させていただきたい点は、自衛隊保有する対人地雷条約で定める四年以内に廃棄するということになるかと思うのですけれども、その計画や手段、進捗状況など、これは公開されるのでしょうか。  この条約にのっとって日本は行動をとっていくわけですね。実際に、条約をつくっただけでは内実がないものになってしまいますので、その状況についてはこのような状況であるということが示されるのでしょうか。
  223. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 今御指摘のように、我々といたしましては、条約発効後、条約の定めるところに従い、四年以内にその必要な廃棄を行うということでございます。  それで、廃棄内容につきましては、毎年国連への報告ということも義務づけられているわけでございますから、私どもとしては、こういった報告の内容についても公表するということになろうかと思います。
  224. 辻元清美

    辻元委員 今公表するという御発言だったかと思います。  それでは、今国連への報告というお言葉がございましたけれども、実際にこれを見ていきますと、同条約の七条に記載されている事項について国連事務総長に報告をし、毎年更新されたものを同総長にさらに報告していくということになっているのですが、この報告それから情報の公開というのも非常に重要な点だと思いますので、これは具体的にはどのような形で国連への報告がなされるのでしょうか。
  225. 阿部信泰

    ○阿部(信)政府委員 この条約の第七条に定める各項目に従いまして、我が国の場合は主として防衛庁で数値を用意しまして、これを国連の事務総長に提出することになります。  具体的な様式等については、これから開かれます準備会議あるいは締約国会議で具体的な詳細を定めるということになると思います。
  226. 辻元清美

    辻元委員 それでは、この条約の運用を、この内容を十分やはり国際社会にも、日本はここまでやっているぞということを示していくことは非常に重要な役割ではないかと思います。  最後になりますけれども、ドイツでもこの条約担保する国内法の整備が終わったそうなのですけれども、ドイツでは、米軍基地での貯蔵、搬入出は認めるが、有事の際の米軍のドイツ国内での対人地雷使用は許さないということをはっきり規定しているという話も聞いておりますので、今後、本委員会でも、この条約批准した後の取り扱いについてもしっかりと情報公開していただきましてチェックしていかなければいけないと最後に申し添えさせていただきまして、きょうの長い審議の最後を務めさせていただきました。  皆様、どうもお疲れさまでした。
  227. 塩田晋

    塩田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時八分散会