○堂本暁子君 問題は、両省の設置法を見ましたけれ
ども、児童の深夜、泊まりという形の保育というのは、院内保育所に補助は出ているけれ
ども制度としては
我が国にはないわけです。幾ら
労働省の設置法をひっくり返してみても育児休業とかそういうこと、
女性に関しての
労働の施策は書いてあります。厚生省の方には「児童の心身の育成発達を指導する」ということが書いてあります。
確かに
女性の
労働のことは大事かもしれませんけれ
ども、私
どもも今度均等法の中で
女性の保護規定が廃止されたので
女性の深夜業務については大変関心を持っているところですけれ
ども、その問題と子供の発達というのは別の問題です。そして、これは四十年代から五十年代にかけてもう大
議論があったわけです。そのころ、本当にもっと延長保育がなされればいいということを思っていました。
ここに、これは
昭和四十九年の中央児童
福祉審議会の答申ですけれ
どもこう書いてあるんです。
乳幼児の
福祉を最優先する
立場からは、保育時間を大幅に延長し、特に夜間にまで及ぶような長時間保育を、公的な制度として広く一般化し、推進することは、これを奨励する
意味にもつながり、長時間にわたる母子分離によって、家庭の育児に対する意欲と
努力を減退させる結果を招くことも懸念されるので、慎重に対処しなければならない。このことをまず確認する必要がある。
ということです。そして、ちょっとだけその先を読みますと、「今後婦人
労働のあり方、育児に対する父親の協力」云々とありますが、その先にさらに事業所内保育についても書いてあるんです。そこにも「一定の保育水準を保持」し、「地方公共団体の指導職員の計画的な巡回指導等による指導体制の強化、施設に勤務する保母等の職員の各種研修会等への参加などの措置」が必要だということも書いてあります。
今回
労働省のやったことは新規に二千八百万をつけて、これだけ
日本の国でもうさんざん
議論されて五十六年にやっと延長保育に厚生省が踏み切って、そして法改正したのは何とことしです。これから法律が国会を通るというとき、国会を通ればこの四月一日から新しい児童
福祉法は施行されて、そこで初めて延長保育や夜間保育もずっと充実はするわけです。
もうあえて伺いませんが、
労働省は七時間まで延長保育を認める。十五時間の保育です、七時間ということは。これだけの十五時間の保育が、今
局長の
答弁だとゼロ歳児ももちろん含む、二歳未満の子供も含む。そういったゼロ歳児の子供
たちに十五時間にもわたる保育が果たしてどうなのか、あるいは夜間になっての保育はどうなのか。
それから、もし公的に助成をしていくのであればそういった泊まり保育、泊まり保育というよりはあえて泊まり託児と申しますけれ
ども、泊まり託児が子供の心身の発達に対してどういう
影響があるのかということのきちっとした研究なり裏づけを持って厚生省がこういった施策に踏み切ったのかどうか、これはもう大疑問だと思います。
おっしゃるように最低基準にも問題があるんです。今、
局長は六対一で最低基準を満たしていると思いますとおっしゃったが、今度国会を通る法律は三対一になったんですよ、ゼロ歳児は。それで、厚生省の認可保育所とほぼ同じですとおっしゃったけれ
ども、四月にさかのぼって認可保育所は三対一に変わったんです。それぐらい
女性の
労働がふえたから、今度はどこでもゼロ歳児を預かるというふうに制度が変わりました。とすれば、認可保育所でも相当なところまで私はゼロ歳児に
対応できると思います。
私は、とても問題だと思うのは、子供
たちというのは本当に体で寂しさを夜になると訴えているんです。だから、設備があればいい、看護婦さんの泊まり保育があればそれでいい、
女性の
労働に
対応するというものではない。私は十年ほど前、夜間保育ばかりを取材したことがあるんです。今でもはっきり覚えている五歳の女の子がいますが、何度その保育所へ行っても、その子は保母がどんなに寝かせようと思ってもお母さんが迎えに来るまで絶対寝なかった。もう寄りかかって、こうやってこっくんこっくんやりながら母親を待っていたんです。ことことことという母親の足音を聞いた途端に飛び起きて母親のところへ飛んでいった。
だから、お母さんは子供がどんなふうにして待っているか知らなかった。父親はまして知らなかった。でも、私
たちはそれをテレビでずっと撮影して放送しましたから、父親は初めて自分の子供がどんな形で夜中に母親を待っているかということを知った。母親もそうなんです。それで、もう親はびっくりして自分の子供を迎えに行くようになったし、夜間の
仕事もやめたということがありました。子供というのはそのことを親に訴えることもできない。そういった中でもう体じゅうでその寂しさ、つらさというのを示しています。
今、子供の犯罪とかなぜバタフライナイフを持つのかというようなことが問題になりますけれ
ども、私はやはりゼロ歳児の子供というのは、二歳以下でもいいんですけれ
ども、可能な限り長時間保育と夜間保育は避けるべきだと、そのための
労働行政だというふうに思っているんです。それだから、育児休業が充実することがすごく大事。たとえ夜預けるにしても、それであるとすれば本当に厚い保育の
内容が必要だというふうに思います。
ですから、児童
福祉法の改正の中で、ゼロ歳児についてはこれだけの経費が国の
予算からも計上され、そしてほかの
予算は随分減りましたけれ
ども、保育
予算だけはふえた。それは少子化の中でやはり保育の質が問われているんです、今。
そういう形で、その子供の心の寂しさ、そういったものが将来子供にどういう影を精神的、身体的に落としていくか。やはり子供の発達の視点とそれから
女性の
労働条件の視点とが両立する形でやるべきなんですが、
労働省のなすったことは、
女性の深夜
労働が今度認められた、だからここで延長保育とそれから深夜保育に補助するというふうなやり方というのは私はすごく無
責任だと思うんです。もしやるのであれば、どうして厚生省と相談をしないのか。
私は、もうこの
質問は国会議員になってからずっとやっています。そのたびに同じことを繰り返している。どうして
労働省は自分だけでやるんですか。今、たまたま文部省と
労働省という話が出ましたけれ
ども、これは子供のことはあくまでも、それは設置法を見ればわかるでしょう、それとも
労働省のどこかに子供の発達ということが書いてありますか。あったら教えてください。