○
竹村泰子君 私
ども、きょうまでいろいろ
審議をしてまいりまして、
議員立法三法がぶつかり合う形で
国会の中での
議論が進んできたということを非常にうれしくも思い、また誇りにも思ったわけでございます。
ただ、私も
審議の中で、もしこの
法案が
市民活動促進法案という
名前で通るとすれば初めて
法律の中で
市民という
言葉が使われる、非常に画期的なことではないかと考えますという
質問をさせていただいたこともありますが、きょう提出されます
予定の
修正案では
特定非
営利活動促進法ということになるようでございまして、
市民という
言葉が消えてしまったということは非常に残念だったと初めに一言申し上げさせていただきたいと思います。
それで、かなりの
議論がお互いに交わされまして、私
どももいろいろと
質問させていただいてまいりました。きょうは時間が短いので言いっ放し的になるかもしれないんですけれ
ども、三年後の
見直しに向けて
問題点をいま一度きちんと時間の許す限り私の方から申し上げてみたいというふうに思います。
まず、私も先日の
審議の中で大変大きな問題ではないかと
指摘をいたしました二条二項二のイの
宗教、信教の自由の問題のところと、それからハの「
特定の
公職」云々。
私は、本来はこのイとハは不要なのではないかというふうに思っております。そして、私
どもはハにつきましては、もし
修正が可能であればこのハの
項目の中の「
特定の
公職の
候補者若しくは
公職にある者又は政党」までを削除してほしいということで、文章としては「
特定の
公職の
候補者を推薦し、支持し、又はこれらに反対するものでないこと。」というふうにしていただきたいと希望いたしましたが、残念ながらなかなかそうはなっていっていないようでございます。
確かに、現役の
公職者を批判すれば結果的に反対の立場の
候補者に有利をもたらすということはあるかもしれないと思いますけれ
ども、それは結果論でございまして、
言論・
表現の自由、公権力への監視、批判の自由を禁止する理由とはならないのではないか。
例えば、
薬害を起こした厚生省の
役人が、もし転身して地方自治体の
首長や
国会議員になっているとします。そうしますと、
薬害の責任を追及する
団体は
NPO法人をとることができず、
NPO法人格を持っている
団体はこれらの人物を批判できないということになりはしないか。そういうことはないようにするというふうな
お答えでございましたけれ
ども、あり得るのではないか。
薬害の
被害者たちのケアに取り組む
ボランティア団体は
NPOの
対象とするけれ
ども、
行政や
政治を批判したり
被害者たちの
裁判を支援する
団体は
NPO法の
対象にはならない。要するに、言いたいことを言って
政府やお役所の側から見れば余り好ましくない
ボランティア団体はなるべく
NPOの中には入ってほしくないというふうなことになりはしないだろうかという
心配をしておりました。
先日もこの
審議の中で
海老原先生の方からだったか、出ておりましたけれ
ども、
公職にある者を批判する自由というのは
民主主義の中では最も重要な
言論・
表現の自由でありまして、これを禁止するということは、
NPO法人が
日本の
市民社会における
民主主義の健全な発展に寄与することを
最初から封じるものではないだろうかという
懸念がございます。これでは、
NPO法人は汚職をしたり
税金を不当に使ったり暴力的な横暴を働いたりした
首長や
議員を批判することもできなくなる。特に、このハについては主たる
目的ではないことというのが入っておりませんので、
大変心配であるということを一つついておきます。
公正な
選挙を実現するために制限されるべき
行為というのは
公職選挙法の十三章に定められておりますから、
確認団体以外は多くの
行為を禁止されることになります。
法人格と引きかえにこれ以上のことを制限されなければならないいわれはないのではないか、こういうふうに考えるわけです。そういう大きな
問題点が一つあるということをきちんと我々はわきまえて、次の段階ではこういったところは考え直すべきだというふうに思います。
それから、第四十三条認証の
取り消しの
条項ですけれ
ども、
与党案では
行政が
司法の
判断を仰ぐことなく
法人の
法人格を取り消すことができるようになっています。簡単にこの
規定が発動されることはないと思いますけれ
ども、しかし、直接この
規定が発動されなくても、
改善命令や
行政指導に
NPO法人をいや応なく従わせるための圧力ということにはなり得るのではないか、その力としては確実に機能するのではないかというふうに考えます。
ほとんどの場合、
行政から
命令や
指導を受けた
法人は、
裁判に訴えたとしても十年前後
法人格がないという
状態になるわけですし、そんな危ない橋を渡るよりも
行政の意向に従っておこうということになるのではないかと思います。
行政に与える権限というのは、
宗教法人並みに
裁判所に
当該法人の解散を請求できる定めとするべきではないかと思います。これも私
たちがぜひきちんと考えておかなければならない点ではないかというふうに思います。
ほかにも種々ございます。
さっき私が冒頭に申し上げましたけれ
ども、
法案の
名称も「
市民活動」の
話句が「
特定非
営利活動」というふうに変えられました。そして、
目的についても「
市民に開かれた自由な
社会貢献活動」という
表現が「
市民が行う自由な
社会貢献活動」へと変えられるというふうに聞いております。このことは、
法案の性格が
無償の
ボランティア活動を
対象とするものへと変えられたことの象徴ではないでしょうか。
自民党や経済企画庁、経団連の皆様は、これまで
税金を財源にして
中央政府、
地方政府によって担われてきた各種の公共的な
関心事の多くを
公共セクターの
事務から外すことによって
法人大企業、
富裕税の
税負担を軽減して、外された
公共的関心事については
ボランティア有志の
寄附によって担ってもらおう。これは少し
言葉が過ぎるのかもしれませんけれ
ども、そういう
意味で
NPO法を位置づけていらっしゃるのではないかな、勘ぐり過ぎなのでしょうか。私はあえてここで
お答えを求めませんけれ
ども、そういうふうに思われる向きがあります。多くの
人たちがそういうふうに考えていることを
指摘しておきます。
逆に言いますと、もう少しつけ加えますと、
行政の安上がりな
下請、
肩がわりみたいな
団体というふうに
NPOに対する性格づけをもししていらっしゃるとすれば、そのようなことはないと望みたいですが、もしそんなところが少しおありになるとすれば、これの
目的の限定はやはり非常に重要であるというふうに考えます。
現在の
議論、いろいろと昨年から
国会の中で
議論をし続けてきたわけでありますけれ
ども、いや、そうではないんだとか、いや、こういうふうに考えているといった御
意見がおありでしたら後でもちろんお聞かせいただきたいと思います。私はきょうは特に通告をしておりませんので、もし自発的に
お答えなり御
意見があったらぜひお聞かせいただきたいと思います。
ほかにもこのイのところ、「
宗教の
教義を広め、
儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる
目的とするものでないこと。」とか「
政治上の
主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる
目的とするものでないこと。」とか、状況によっては非常に乱用の危険をはらんでいる、そういった
規定もあります。
政治上の
主義とは恒久的な
政治経済体制についての思想を指すと言いましても、例えば昨年一月の
公安審査委員会の決定においては、
オウム真理教団の夢想的な
教義が
政治上の
主義に当たるとされた実例もございます。決してその
拡張解釈があり得ないとは言い切れません。
私
たちは、これらの
条項を積極的に容認していくとか、間違っていたではないかとか言うものではありませんけれ
ども、こういう
市民運動あるいは
大衆運動、
大衆団体への警察や
行政の介入、管理、嫌がらせ、弾圧はこれまでにも十分あったことでありまして、私
たちも大
なり小なりその影響を受けているわけであります。そういうことから、非常に多くの
団体が、
NPO法と言ったらいけないのかな、
特定非
営利活動促進法というふうになる
予定でありますこの
法案に対してさまざまな
問題点を
指摘しているということを申し上げ、そして、三年後の私
たちの
仕事としてのよりよき
法案づくりについてぜひ力を合わせていきたいというふうに思います。
御感想がありましたらお聞かせいただいて、私の
質問を終わります。