○堂本暁子君 NGOとあえて前回から言っておりますが、ノンプロフィットオーガニゼーションは非営利の
団体ということですけれ
ども、外国で日常的に使われているのはむしろNGO、ノンガバメントオーガニゼーション、非
政府団体と言う方がポピュラーかと思います。その本質はどこにあるのかというと、やはり非
政府の
団体であるということ、そして非営利の
団体であるというその
二つの性格を持っているということを私は強く思っております。
去年の暮れに京都で地球温暖化
防止京都会議が開かれ、日本のNGOはもちろんのこと、外国のNGOもたくさん京都に集まって大活躍をしました。
政府ができないようなこと、その役割をNGOが果たしたというふうに思っております。
地球の温暖化を防ぐためには、北の国も南の国も、男も女も、この地球上に住むすべての市民が問題の深刻さを認識し、そして二酸化炭素など温暖化ガスの排出をどう抑制するかということに努めなければならない。どんなにどこかの国の
政府が旗を振ってみても、市民一人一人がこの地球の温暖化を防いでいかなかったら、私
たちの住む地球という惑星、その惑星の上の生物は絶対に滅びるのだということが認識されないとこの地球温暖化は
防止できない。
そういった
意味で、政策をつくるのは
政府かもしれませんけれ
ども、実際に
活動し、そしてそれぞれの過程で実行するのは市民であろう。そういった
意味で、市民セクターはこれから本当に大きな期待を寄せられているというふうに思っております。市民でなければできないというふうにも言うことができると思います。
では、なぜなのかということをもう一度問うてみたいのですが、なぜ
政府や企業ではいけないのか、あるいは国連のような国際機関ではなぜできないのか。それは、
一つは時代ではないでしょうか。例えば、難民の問題あるいは麻薬の問題、あるいは環境だけではございません、もっと人権の侵害とか、それから日本の場合であれば非常に高齢化している中で介護の問題な
どもあります。こういった、市民がみずから告発し解決していかなければならないことに気がついて、世界じゅうで同時多発的に
市民団体が活発になってきている、そして行動を起こしてきているというのが現状ではないかと思っております。
先日来、第一セクターとして
政府、第二セクターとして企業、そして第三セクターとして市民というふうに言われているんですけれ
ども、先日、イギリスのチャリティーコミティー、日本で言うNPOの組織になりますけれ
ども、そこの方が見えたときに、いえ、二十一世紀は第一セクターが市民です、恐らく第二セクターはそのまま企業でありましょう、
政府はそういった第一セクター、第二セクターにサービスをする、そういったのが
政府の役割だということをおっしゃいました。それがやはり二十一世紀に向けての大きな時代の転換であり、そして新しい
価値の形成が市民セクターを中心として、軸としてなされていくのだというふうに認識しております。
その
意味で、きょうここで審議をしていますNGOあるいはNPOをボランティアに、単なる奉仕に限定すべきではないというふうに
考えております。
与党案は、第一条に、市民に開かれた自由な社会貢献
活動として
市民活動の健全な
発展を促進するというふうに明記していますけれ
ども、民間の非営利
団体の
活動はボランティアに限ってはならないということをはっきり申し上げておきたいと思います。
その
理由は三つありますけれ
ども、第一に、単に何かいいことをするというレベルではない、時代の変革期におけるNGOのあり方というものは、例えば
個人の生きがいとか自己主張とか自己実現、そういったものの場ではないだろうか。例えば、だれもが官僚になるとか一流企業に就職するとか大学の先生になるとか、そういったことだけではなくて、たとえ収入は少なくてもいい、しかし
自分の生きがいとか
自分の自己実現のためにNGOの場、NPOの場を選んでいこう、そういった若者も、それから若者だけはありません、シルバーの方でも、それから企業をやめたり役所をやめたりいろんな形でNGO
活動を始めている人が今大勢いらっしゃいます。
それは、今までのように単に収入を得るという形での自己実現ではなくて、もっと違った
価値の中での自己実現、例えば人権のため、あるいは環境のため、あるいはエイズ問題といったような中でどう自己実現をしていくかということだと思います。
次に、
市民活動というのは単にいじましい存在ではないということです。もっときちっとしたビジョンを掲げ、専門性を持ち、そしてその
活動や事業をやっていく中で雇用が創出される、日本の新しい経済社会を活性化する、そういった役割を果たすのではないか。
アメリカの場合ですと、NPOが一九九一年にはGNPの実に六・七%を占めました。日本のGNPをもし五百兆としますと、五%と
考えても二十五兆という大変な経済
活動が出現するわけで、非営利
団体が今までの営利
団体だけではなくて日本の景気の下支えになる。アメリカの場合はまさにNGOが下支えをして景気回復をしてきたとすら言われているわけで、日本の場合もそういった視点から、今こういった非常に景気の悪いときにはNGOの役割はもう一度見直される必要があると思います。
第三点は、国際的な
活動でございます。
国境を越えて、
政府間の交渉とか企業の取引とは別に、市民同士が真に友情なり信頼を醸成していくということで、アジアの中で、それからもっと世界規模で日本が信頼される国になっていくために、この
市民活動は非常に大事な役割を果たすのであろうというふうに認識しております。真に市民的、民主的な社会の基礎だと言っても過言でないのでないかと思います。
この
法律、
与党案の
法律に三年近く関与してまいりましたけれ
ども、大変残念に思っておりますことは、よく性善説と性悪説という言葉が出たのですが、この
法案を悪用する
可能性というのが常に議論されてきたことです。それは事実があるがゆえに私は大変残念なことだというふうに認識しておりまして、そのことには最後にもう一度触れさせていただきたいというふうに思っております。
今のような
考え方というか、基礎的な認識に立ってもう一度確認したいということが
幾つかございますので、まずは
与党案の
市民活動促進法案についで
質問をさせていただきます。
まず第一の
質問は、第二条の
定義についてです。
「「
市民活動」とは、
別表に掲げる」という、けさから問題になっている十一の
項目なんですが、「不
特定かつ多数のものの
利益の
増進に寄与することを
目的とする」というふうに言っておりますが、なぜ公益という表現を使わずにここで「不
特定かつ多数のものの
利益の
増進」という表現を使ったかと申しますと、
民法三十四条は主務官庁、
自治体による許認可制度で運営されてまいりました。公益がイコール官益でした。その限定された
意味の中で運用されてまいりました。この公益の範囲は、あくまでも行政サイドの
価値の基準、その
判断、裁量、その領域に限られていたわけです。また、もっと申しますと、縦割りの行政システムかる外れたものは法人化することが今までできませんでした。
こういった行政の枠の外にたくさんのNGOがございますし、だからこそNGOがそこのところを埋めていると言ってもいいと思います。それから逆に、行政の縦割りに
関係なくもっと包括的なあるいは横断的な
活動をしているNGOもたくさんあります。
そこで、この
認証制度を採用した
与党案なんですけれ
ども、ここに「不
特定かつ多数のものの
利益の
増進」というふうな表現をしたのは、その
認証制度をここで用いたことは、あくまでもこういった
内容、こういった問題意識、そしてこれを表現したものとして書かれているというふうに理解してよろしいでしょうか、お願いいたします。