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佐藤道夫君 もうよろしいです。
日本の
役所は頭のかたいことで大変定評があります。公式な
仕事、業務として取り上げた以上はこれに関して必ず膨大な書類がつくられます。なぜこの
仕事を我々が受け持ったのか、そのいきさつはどうだ、経過はどうだ、それから最終
処理はこうなったかと、こういう書類が必ずつくられるわけであります。一件書類と言ってもいい。ところが、先ほど
堀田参考人の話ではこれは一切つくられていない、こういうことでございますので、大変いぶかしいわけであります。
松野参考人の話によりますれば、どこからともなく、だれとも知れない者から
情報の提供を受けまして、多分
担当課だと思うけれ
どもだれかを呼んで伝えた、
調査をするように伝えたと。こんなことは、日本の
役所でこんなばかげたことはないわけです、私も
役所に何年もおりましたからよくわかっておりますけれ
ども。そういうことになりましたら、
担当課長をまず呼び出しまして、こういう
情報が入ったので君のところで至急
調査をしてほしい、こういうわけであります。
担当課長は課に戻りまして、彼のやるべきことは何か。第一にやることは
担当者を指名することであります。
課長補佐、係長、何人もいる中からあの男が一番適任だ、君にこれは
局長の特命だからお願いしたい、こう言って命令するわけでありまして、命令された
担当者の第一にやることは何かと、こう言いますと、これは書類をつくること。本日、
課長より
局長の特命事項としてこれこれしかじかのことで命を受けたと。大蔵の官僚ですから大変頭がいい。これについての問題点はこれとこれとこれと、もう多分最初のうちから大体の
処理方針も示されているんでしょう。それから、これに
関係する
役所はこれとこれとこれ、内閣法制局と法務省刑事局、これについてはいつ幾日ごろ
意見を打ち合わせに行きたいというようなことがちゃんともう最初から大体決まっておって、その書類は
課長を通じて
局長に上がってくる。
局長も、あの課はよくやっているわいと、こう思うわけであります。
その
関係が一体どうなっているのか、さっぱりわからないのであります。
私がもう
一つわからないのは、
三木副
社長と
松野局長が会ったいきさつです。
三木副
社長は呼ばれたと言っているし、こっちは呼んだ
覚えはないがと。しかし、それにいたしましても、
局長が向こうの
山一の副
社長と会う、これは大蔵にとってもかなり重要な問題でありますから、
松野局長のやるべきことは何かと、こう言いますと、すぐ
担当課長を呼んで、例の件はどうなっているかと。
担当課長は、大変
報告がおくれておりましたがもうほとんど
調査が終わっておりますと。きょう
山一の副
社長が会いに来る、どういうふうな
指示、指揮あるいはまた助言をしようかと。これについて
担当課長は必ず二案、三案、四案ぐらい持ってきまして、こうやりなさい、ああやりなさい、これが一番いいと思いますと助言をします。
局長は、なるほどな、じゃそれでやろうや、君もちょっといてくれよと、こういうことで
三木副
社長が呼び入れられるわけであります。これはどこの
役所でもこういうことをやっております。そして、これは
監督官庁から監督されている
証券会社に対するいわば判決の言い渡しと言ってもいいと思います。重々しいものであります。単なる助言とか指導とかいうものじゃないと私は思います。
それで、
担当課長のつくったその要綱に従って助言をする、指導をする、監督をする。その結果がどうなるかといいますと、これは
担当課長がまた議事録的なものをつくって記録に編綴する、保管する、こういうことになるわけであります。
それから、
局長は大変忙しくて法案に忙殺されてあれこれする暇がなかった、そのことも関心を失ったと言っておりますが、これもまた私に言わせれば絶対信用できないことであります。
末端の法案
担当の事務員がそういうことを言うならばわからぬでもないんですけれ
ども、
局長ですから
証券行政全体を見ているわけであって、法案の
関係はほんの一部と言ってもいい。これが忙しくて全部目が行かなかった、こんなばかげたことはあるわけはないんです。しかも、廊下などで
担当課長と行き違えばすぐ問題を思い出して、君あの件どうなっているかと、そう言えば
担当課長は、
報告がおくれて申しわけございませんがこうなっておりますということで話というのは進む。
全然知らなかった、そういう無責任な
局長がこの霞が関にいたのかと私、初めて知りました。霞が関どころか全国に何千何万という
役所がある中で一番最低の話ではないのか、こういう気もしないわけではございませんが、しかしそんなことは恐らくないんでしょう。全部知っていたか、あるいはこれから先は私の推測でありますので、もし名誉を毀損することがあれば大変申しわけないと思いますけれ
ども、これは
大蔵省の
局長室での
話し合いではなかったんじゃないか。
そう言いますと大変申しわけないんですけれ
ども、
三木副
社長からどこか料亭にでも接待を受けまして、その場で
三木副
社長が何げない調子で、あの問題で困っているが
局長さんどうすればよろしいのかなというふうなことを言って、こちらも酒の勢いもありますから余り深くも考えないで、まあ
海外にでも飛ばすのか、こんな言い方でもしたのかと。だから、この
関係の記録が一切残っていないんだろうと思います、残っていないことは間違いないようですからね。
ただ、
担当課の説明もどこまでが本当なのか。厚生省の薬害エイズの問題も、あれも書類隠しが行われていたというので、この
関係の書類が一切出てこない。あるいは
大蔵省がこれを隠匿しているのかもしれませんので、そうなりますと私の推測は当たらない。ちゃんと
大蔵省の正式な業務として行われた、そういうものだ、こういうことになるわけですから、
委員長、まことに申しわけないんですけれ
ども、
大蔵省に対してとりあえずこの一連の資料の提出を命ずるようお願いしておきたいと思います。
なお、私の今のこの話につきまして、
松野参考人も何かお考えがあろうかと思いますので、お聞かせ願えればと思います。