運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1998-02-02 第142回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年二月二日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  一月三十日     辞任         補欠選任      木庭健太郎君     牛嶋  正君      筆坂 秀世君     吉岡 吉典君      田村 秀昭君     木暮 山人君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩崎 純三君     理 事                 岡部 三郎君                 小山 孝雄君                 佐藤 泰三君                 永田 良雄君                 成瀬 守重君                 小山 峰男君                 角田 義一君                 風間  昶君                 照屋 寛徳君     委 員                 阿部 正俊君                 石井 道子君                 板垣  正君                大河原太一郎君                 大野つや子君                 金田 勝年君                 沓掛 哲男君                 末広まきこ君                 田沢 智治君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 南野知惠子君                 長谷川道郎君                 平田 耕一君                 真鍋 賢二君                 依田 智治君                 久保  亘君                 小林  元君                 直嶋 正行君                 広中和歌子君                 和田 洋子君                 魚住裕一郎君                 牛嶋  正君                 加藤 修一君                 高野 博師君                 及川 一夫君                日下部禧代子君                 田  英夫君                 笠井  亮君                 須藤美也子君                 吉岡 吉典君                 木暮 山人君                 星野 朋市君                 島袋 宗康君                 山口 哲夫君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        法務大臣     下稲葉耕吉君        外務大臣     小渕 恵三君        大蔵大臣     松永  光君        文部大臣     町村 信孝君        厚生大臣     小泉純一郎君        農林水産大臣   島村 宜伸君        通商産業大臣   堀内 光雄君        運輸大臣     藤井 孝男君        郵政大臣     自見庄三郎君        労働大臣     伊吹 文明君        建設大臣     瓦   力君        自治大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    上杉 光弘君        国務大臣        (内閣官房長官) 村岡 兼造君        国務大臣        (総務庁長官)  小里 貞利君        国務大臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       鈴木 宗男君        国務大臣        (防衛庁長官)  久間 章生君        国務大臣        (経済企画庁長        官)       尾身 幸次君        国務大臣        (科学技術庁長        官)       谷垣 禎一君        国務大臣        (環境庁長官)  大木  浩君        国務大臣        (国土庁長官)  亀井 久興君         ─────        会計検査院長   疋田 周朗君         ─────    政府委員        内閣審議官    坂野 泰治君        内閣官房内閣安        全保障室長        兼内閣総理大臣        官房安全保障室        長        江間 清二君        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        内閣総理大臣官        房管理室長    佐藤 正紀君        警察庁刑事局長  佐藤 英彦君        総務庁長官官房        長        菊池 光興君        総務庁人事局長  中川 良一君        総務庁行政管理        局長       河野  昭君        防衛庁長官官房        長        大越 康弘君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛施設庁長官  萩  次郎君        経済企画庁調整        局長       塩谷 隆英君        経済企画庁調整        局審議官     小林 勇造君        経済企画庁総合        計画局長     中名生 隆君        経済企画庁調査        局長       新保 生二君        科学技術庁長官        官房長      沖村 憲樹君        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        沖縄開発庁振興        局長       若林 勝三君        外務省北米局長  高野 紀元君        大蔵大臣官房長  武藤 敏郎君        大蔵大臣官房金        融検査部長    原口 恒和君        大蔵大臣官房総        務審議官     溝口善兵衛君        大蔵省主計局長  涌井 洋治君        大蔵省主税局長  尾原 榮夫君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        大蔵省国際金融        局長       黒田 東彦君        証券取引等監視        委員会事務局長  堀田 隆夫君        国税庁次長    舩橋 晴雄君        文部大臣官房長  小野 元之君        文化庁次長    遠藤 昭雄君        厚生大臣官房長  近藤純五郎君        厚生大臣官房総        務審議官     田中 泰弘君        厚生省社会・援        護局長      炭谷  茂君        厚生省老人保健        福祉局長     羽毛田信吾君        農林水産大臣官        房長       堤  英隆君        農林水産省構造        改善局長     山本  徹君        農林水産省農産        園芸局長     高木  賢君        水産庁長官    嶌田 道夫君        通商産業大臣官        房総務審議官   及川 耕造君        通商産業省機械        情報産業局長   広瀬 勝貞君        中小企業庁長官  林  康夫君        中小企業庁計画        部長       中澤 佐市君        郵政大臣官房総        務審議官     濱田 弘二君        労働大臣官房長  渡邊  信君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設省建設経済        局長       五十嵐健之君        建設省道路局長  佐藤 信彦君        自治大臣官房長  嶋津  昭君        自治省行政局長  鈴木 正明君        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君        自治省財政局長  二橋 正弘君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君    参考人        日本銀行総裁   松下 康雄君        海外経済協力基        金総裁      西垣  昭君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成九年度一般会計補正予算(第1号)(内閣  提出衆議院送付) ○平成九年度特別会計補正予算(特第1号)(内  閣提出衆議院送付) ○平成九年度政府関係機関補正予算(機第1号)  (内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成九年度補正予算三案についての理事会決定事項について御報告いたします。  本日の総括質疑割り当て時間は百四十二分とすること、各会派への割り当て時間は、自由民主党二十分、民友連四十分、公明三十分、社会民主党・護憲連合十五分、日本共産党十五分、自由党十分、二院クラブ六分、新社会党・平和連合六分とすること、質疑順位につきましてはお手元に配付いたしておるとおりでございます。     ─────────────
  3. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成九年度補正予算三案の審査のため、本日の委員会日本銀行総裁松下康雄君及び海外経済協力基金総裁西垣昭君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 平成九年度一般会計補正予算(第1号)、平成九年度特別会計補正予算(特第1号)、平成九年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。     ─────────────
  6. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) この際、大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大蔵大臣松永光君。
  7. 松永光

    国務大臣松永光君) 今般、大蔵大臣を拝命いたしました松永でございます。  今回の大蔵省をめぐる不祥事は、行政に対する信頼を著しく傷つけるものであり、ざんきの念にたえません。職員一同深く反省するとともに、綱紀粛正を徹底し、国民信頼の回復に全力で取り組む決意であります。どうぞよろしく御指導のほどをお願いいたします。  さて、先般、本委員会に「財政構造改革を進めるに当たっての基本的考え方」等を提出いたしましたが、これらについて一言申し上げます。  まず、財政構造改革を進めるに当たっての基本的な考え方は、昨年十一月に成立した財政構造改革の推進に関する特別措置法等を踏まえた今後の財政構造改革についての考え方をお示ししているものであります。  次に、この基本的考え方の背景にある中期的な財政事情試算したものとして、財政構造改革法等を踏まえた中期財政試算を添付いたしております。  この中期財政試算においては、財政構造改革法に規定された財政構造改革の当面の目標である平成十五年度、二〇〇三年度特例公債脱却に向け、毎年度一兆四千億円程度ずつ機械的に均等に公債金収入を減額すると仮定した試算を示し、また、参考として、国及び地方の財政赤字GDP比を示す等、今後の中期的な財政事情をお示しするものとしております。  また、この中期財政試算に関連して、国債整理基金資金繰り状況等についての仮定計算もあわせて提出いたしております。  財政健全化は、主要先進国共通課題であり、各国とも具体的な目標を掲げて果断に取り組んでいるところであります。我が国においても、今後とも財政構造改革法に従って予算編成を行うことにより、現下の諸課題に的確に対処しつつ、財政構造改革を着実に進めてまいりたいと考えております。  提出いたしました資料について、よろしくお目通しのほどをお願い申し上げます。     ─────────────
  8. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 前回に引き続き、質疑を行います。平田耕一君。
  9. 平田耕一

    平田耕一君 自由民主党平田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  昨年に至りますまで、幾つかの省庁での不祥事と、そして今日に至る大蔵省の報道されました件、さまざまな事件が勃発をしたわけであります。そしてまた、この週末の状況といいますと、我が党の幹部からもいろんな発言が相次いで、まさに時代変わり目というものを感じざるを得ない昨今でございます。  そして、冒頭に新大蔵大臣の御発言がございました。すなわち、私自身は、いろんな問題、政策的な問題も、そしてそれらの不祥事に対することも、綱紀粛正をやる、こういう発言をもって新大臣が全く時代変わり目の二月二日、きょう御登場なさった、こういうふうに理解をしているわけであります。  そこで、綱紀粛正をやるんだ、こう冒頭に御発言がございました。この綱紀粛正というものをもう少し具体的に、どのようにお考えなのか、お示しいただきたいというふうに思います。
  10. 松永光

    国務大臣松永光君) お答え申し上げます。  公務員たるもの、常に国家国民に奉仕するという信念で公務に従事していただかなければなりません。その点がやや薄らいできますというと不祥事が起こったりしがちであります。したがって、私は、まず第一に、大蔵省仕組みを改革すると同時に、職員の気持ちを公務員のあるべき本来の姿に立ち戻っていただく、それが極めて大事なことであると考えます。そうした状態に立ち戻っていただくように強く指揮をしてまいりたい、こう思っているわけであります。
  11. 平田耕一

    平田耕一君 どうぞよろしくお願い申し上げます。  そして、まさにこれは非常に重要な話が、もちろんいろんな立場でこの休日の間に発言があったわけであります。我が党の幹事長もNHKの談話で、三月末の決算並びに株価等の様子を見て財政再建路線転換の必要もあるのではないかとの発言があったわけであります。  若干細かいことを申し上げますと、三月末の決算と申しますと、例えば各企業決算の確定というのは三月末では出ないわけでありまして、四月、五月、法的には最短で五月末であります。そして、一カ月の猶予を見て六月の株主総会、これが確定であります。したがいまして、決算予想ということであれば、現時点でも予想というものはもう各社持っておるわけでありますし、その集積もできるわけであります。他の要素の株価とか為替とかいろんな状況といいますと、これはもう既に、もし転換が必要だということであれば、今日、あの発言というのは直ちにストレートに議論されなければならない問題であります。  期末の決算を見てと、この談話はどうもちょっと、まだ我々のところにもああいったメディアでの見聞だけで伝わっていないわけでありますが、そのことにつきまして所感なりお考えなりございましたら、概略総理にお尋ね申し上げたいというふうに思うんです。
  12. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昨日、機会がありまして、東京ドームに約五万の中小企業方々あるいはその経営を支えておられる方々のお集まりがありました。そして、そのときにもいただきました御意見、非常に厳しいものを含んだものでございました。  今改めて長々繰り返すことはいたしませんけれども、家計におきましても企業景況感にいたしましても非常に厳しいものがございます。そして、そうした中において政府は今、九年度補正予算の御審議をいただき、引き続いて十年度の予算案の御審議並びに税制改正等関連法案の御審議国会にお願いいたそうとしております。  まず、我々は、何としてもこうしたいわば基礎になります部分、これを一日も早く国民のもとにお届けし、それらに盛り込まれた施策というものが使えるようにいたすことに全力を尽くさなければなりません。そして、私どもは、その中に盛り込まれております施策というものは、それぞれ相乗効果を持ち効果をあらわすものと信じ、最善考え方を示しておりますけれども、いろいろな御意見が既に国会を構成いたしております各政党の中から、その中には当然ながら我が党をも含めましていろいろな御意見が出されておりますし、民間におきましてもさまざまな御意見が出されております。  そうしたものに対して我々が注意を払いつつ日々の業務を行っていくことは当然でありますけれども、まず何よりも税制であり、予算であり、それが予定どおりの時期に国民のもとに届けられ、実行に移せることをまず皆様にお願い申し上げたい、そのような思いで今も御答弁に立っております。
  13. 平田耕一

    平田耕一君 それが正論であろうかというふうに思っておりますが、加えて、幹事長といたしますれば、その幹事長代理が、今我々はまさに、衆議院は通過したといえども、この参議院で九年度の補正審議しておるわけでありまして、さらにその十年度の補正を云々するということがいかがなものかと私は個人的には思っているわけでありますが、そのことにつきまして大蔵大臣から所感をお聞かせいただければと思っております。
  14. 松永光

    国務大臣松永光君) お答え申し上げます。  我が党の有力な方が、現在の日本経済状況等にいろいろな思いを持たれて、これを克服するためにどういう政策が望ましいか、こういう見地からいろいろな研究をされる、そして時に会ってはそれを外に発表されるということは、これはそれなりに意味はあると思いますけれども委員が今御指摘のとおり、この厳しい事態を克服するために補正予算審議をお願いしているとき、あるいはまた本予算もいずれ御審議をお願いしなきゃならぬことになるわけでありまして、私どもとしては、御審議を今お願いしておる補正予算、そして後で御審議を願う本予算、これが現時点では最善のものであるという確信を持って審議をお願いしておるわけであります。  特に、補正予算の中で、先般成立させていただきました二兆円の特別減税、そしてこの補正予算に組み込まれておる公共事業追加等、こういった措置補正予算成立後速やかに実施することによってある程度効果が、特に特別減税の方は二月、三月に集中的に減税効果が出てくるという仕組みになっておりますので、これによって二月、三月に相当程度効果が出ることを期待しておるわけでありますが、同時に、補正予算全般、そして本予算を速やかに成立させていただいて、それを速やかに実行に移させていただいて、それを注意深く見守っていきたいというのが私ども考え方でございます。
  15. 平田耕一

    平田耕一君 ありがとうございます。  この補正も、やっぱりこの時点で最重要課題であるということは当然であります。そしてまた、私が申し上げたいことは、党が一枚岩になって内閣を支えるという気概をみんな持っておるわけでありますけれども、それと、それぞれの立場発表なされるということとの何といいますか、うまく党内が進みますように、発表等立場をお考えいただき、十分な配慮をしてお進めいただきたいというふうに思っております。まあ意見でございます。  では、質問させていただきますが、私自身はいろいろこの日曜日の発言等につきましても、路線転換なのかあるいは緊急措置なのか、議論を喚起するためのものと解釈できないこともないわけでありますけれども、自分なりの考えに沿って質問申し上げたいというふうに思います。  まず、大蔵事務当局質問をいたしたいと思いますが、共同債権買取機構というのがあるわけでありまして、何がしか不良債権金融機関から買い取っておるわけであります。この買い取り価格のこれまでの総額、そしてそれは各金融機関簿価との乖離はどのぐらいの額になっておるのか、お答えをいただきたいと思います。
  16. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  ちょっと今資料を探しておりますので後ほどまた御報告申し上げますが、総体としていいますと、相当額債権を移しておりますけれども土地の処分がなかなか進まないということで、その回収状況は余り芳しくないというのが実情だというふうに考えております。
  17. 平田耕一

    平田耕一君 質問の要旨は、土地をもっと早く、低廉な価格であっても回転させて強引に経済を立ち上げていくという手法をアメリカはとって、日本は買い取ったまま塩漬けになっているという違いがあると思うんですが、そのことを指摘するつもりじゃなくて、買い取った価格が数兆円あると思います。そして、それは時価で買い取っているわけであります。したがいまして、簿価との乖離がある。その簿価との乖離というのは各銀行資産減になっている、それは幾らですかと。そして、それは税収が半分減っていることになりますね、その額の。これをお尋ねしておりますので、いろいろなところで発表もあったわけでありますが、概略の数字をお答えいただきたいというふうに思います。
  18. 山口公生

    政府委員山口公生君) 大変失礼いたしました。  買い取り実績が、五年三月からの累計で申し上げますと、債権の額面が約十四兆でございます。買い取り価格時価でございますので、約五・五兆でございます。その差し引きが銀行の損という形になるわけでございます。
  19. 平田耕一

    平田耕一君 これはざっとした話ですけれども、その差額の半分は国の税収減になっておる、こういう確認と、それからこの資産目減り、今まさに三十兆円何がしか資金でもって銀行資産を補充しようとしておるということとこれは相反して、資産がここで目減りしていると。こういう共同債権買取機構が存在する限りにおいては、片方資産を充実しましょう、国のお金、日銀のお金でもって充実しましょう、こちらでどんどん簿価を減らしましょうと。名目的にはそうなっているんじゃないですか。
  20. 山口公生

    政府委員山口公生君) 税につきましては、利益が出ている場合、黒字決算の場合はもちろんそれが損になりますので先生のおっしゃるようなことだと思いますが、その期が赤字の場合等いろいろありますので、税収幾らということは申し上げられませんが、考え方としては先生のおっしゃるようなことだと思います。
  21. 平田耕一

    平田耕一君 銀行総体で論じますと莫大な業務純益が上がっているわけでありまして、私が指摘させていただいたような状況であろうというように思っております。そして、資産が帳面上目減りをした、数兆円目減りをしたということが一つと、税が減った、これが指摘の第一点でありまして、銀行に対して大変何といいますか、優遇策というものがここにあらわれておる、これをまず冒頭指摘しておきたいというふうに思います。  それから、関連しましてちょっとお尋ねしておきたいんです。  三十兆円の安定化資金というものを用意してやろう、こういうことであります。このうちの金融危機管理勘定、これが十三兆円、こういうことでありますが、十三兆円というものは現時点で十三兆円という額が十分想定されてのことなのか。先ほども申し上げた、これは重複しますけれども片方共同債権買取機構資産目減りさせている、そしてここでまた逆に国のお金で補充しましょうということと、これから併存していって矛盾しないかどうかということをもう一度お尋ね申し上げたいというふうに思います。
  22. 山口公生

    政府委員山口公生君) 十三兆円の考え方でございますが、これは危機管理の考え方の基本でございます。その中で、三兆円が損失の補てんに充てられ得る国債の交付ということで、あと十兆円がファイナンスのための資金でございます。  それで、その目的は二つありまして、一つは受け皿銀行への資本注入ということでございます。もう一つは、一般銀行への危機の際の資本注入でございます。  これは何のためかと申し上げますと、金融が大変危機的な状況に陥るケースが例えば昨年の十一月に見られたわけでございます。株価が下がり格付が下がり、その危機感が高まることによって、預金の引き出しあるいはコール市場のすくみ現象あるいは海外での外資の調達難というような大変クリティカルな問題が生じました。不安感が不安感を呼び、それで銀行は自己資本をどうしても維持しなきゃいけないという一方の気持ちから、貸し渋り現象すら起こしております。その結果、一般企業においても資金繰りが苦しくなる、それがまた株価を下げる、株価が下がるとまた金融機関に対する不安が高まる、また銀行はさらに貸し渋りをやるというような、非常に経済全体が危機感を持ったわけでございます。  また今回、三月期を控えまして、各金融機関株価幾らになるだろうかという気持ちを持っております。それを低く想定しますと、またかなり厳しい貸し付け状況に立ち入ってしまうというようなことが考えられるわけでございます。  そこには、BIS基準で言いますと八%のバリアがある、国内基準ですと四%という自己資本のバリアがあるということでございまして、これを何とかして乗り越えようということで、かためかための行動をとることによって、逆に我が国の企業が非常に厳しい、あるいは雇用に至ってもいろんな影響が出てくる。こういう悪いスパイラルの現象を食いとめるために、いざとなったときはこれだけの用意がしてあるんだよということをここで示すことが今は一番大切なことではないかということでお願い申し上げているということでございます。
  23. 平田耕一

    平田耕一君 抽象的にはよくわかるんですけれども、三十兆円でありますので、事細かに子細をお尋ねいたしておりますので御答弁をお願い申し上げたい。  要するに、十三兆円は預金保険機構から拠出するとしていく場合には、優先株なり劣後債なり資産勘定で残るものがあって、これは預金保険機構としてはお金を出すが資産が残る、こういう解釈でいいですね。
  24. 山口公生

    政府委員山口公生君) 先生のおっしゃるとおり、例えば優先株、劣後債等を持ちますと、危機を脱しまして状況がよくなりますれば、もちろん市中でそれを売却したりして回収をするわけでございます。
  25. 平田耕一

    平田耕一君 そうしますと、スキームの図をいただきまして、その左側に特例業務勘定十七兆円というふうにあるわけであります。預金保護のためということでありますけれども、具体的に預金保護を整理回収銀行なのかあるいは受け皿銀行なのかに、どんな形で、贈与なのか貸し付けなのか、ちょっと教えていただきたいというふうに思います。
  26. 山口公生

    政府委員山口公生君) 十七兆について御説明申し上げます。  十七兆のうち七兆は、国債の交付の形でいつでも政府に償還すなわち現金化を求め得るというものでございます。残りの十兆はいろいろなファイナンスに使うという政府保証でございます。預金者の方々が、昨年の例をしばしば挙げて恐縮でございますが、大変大型の破綻等がございまして、非常に御不安をお持ちになったと。ある銀行では風説を立てられただけで窓口にかなりの方の行列ができたということでございました。預金者が、果たして自分の預金は全部保護されるのであろうかという不安の念をお抱きになったような現象も起きました。  そこで、これまで保険料を七倍に上げて対応しているところでございますけれども、今後、経済の動きによって破綻がまた大きく出るということが万一ありますれば、預金者の方々に二〇〇一年三月までは全額を保護するということを財源的にもしっかり示していくということが大切であろうというふうに思うわけでございます。  したがって、その七兆円の方はそうしたものの穴埋めでございます。すなわち、不幸にして破綻した銀行がロスを抱えております。つまり、資本金でも埋め切れない部分はロスになるわけです。それを埋める財源が七兆円でございます。もちろん、これをできるだけ使わない形での我々の努力は必要だと思いますけれども、万が一のための準備としてそれだけの用意をさせていただくということ。  もう一つ、十兆円の方はファイナンスでございまして、これはロスの穴埋めのほかに、例えば北拓の例を挙げますと、北拓の資産あるいは預金の負債の方を両方とも北洋銀行が引き受けてくれるわけですけれども、不良資産まで引き受けてやるということはなかなか難しいと。そうしますと、不良資産時価で預金保険なり整理回収銀行が買い取ってあげるということになるわけでございます。そのときにはファイナンスが必要になるわけでございます。  じゃ、買い取った不良債権時価で買い取りますから、プラスになるかマイナスになるかわかりませんが、仮にもしそこで目減りがまた生じてマイナスになりますと、それは先ほど申し上げた七兆円の一部をロスの穴埋めということに使わせていただく、こういうことで破綻処理も問題なく進めさせていただきたいということで十七兆円お願いしているわけでございます。
  27. 平田耕一

    平田耕一君 もう一度お尋ねいたします。  七兆円は贈与ですか。預金保険機構から見て贈与になるわけですか。
  28. 山口公生

    政府委員山口公生君) 贈与とそれから目減りしたときのロス埋め、こういうことでございます。贈与はそのときに、移すときにやりますので、それは贈与でございます。
  29. 平田耕一

    平田耕一君 そうしますと、皆疑問に思っておるのは、三十兆円というものを一括して、十兆円の拠出と二十兆円の日銀からの借り入れが預金保険機構に起こると。そこから出るのは、十三兆円はほとんど資産として回収可能といえば可能なものだ、こちらの十七兆円のうちの十兆円はほぼ回収可能なんだろうということでありまして、回収できるものと回収できないものと混在して三十兆円というものがあるにもかかわらず、十兆、二十兆といって仕分けがなされたということについて、きちんとした整合性を持って運用できるのかどうか、御答弁いただきたいというふうに思います。
  30. 山口公生

    政府委員山口公生君) 先生がわかりやすい形でお示しされましたように、特例業務勘定に交付します七兆円はそういう贈与とかロス埋めに専ら充てる用意のあるお金だというふうに御理解賜ってよろしいかと思います。  それから、三兆円の方は、融資といいましょうか、優先株や劣後債、劣後ローン等、ファイナンス、企業に対する自己資本充実のためで、一方でそういう資産を持つわけでございますので、これは必ずしもその三兆円が損になるのかどうかわかりませんが、いざとなってもし高い値段のものが下がってどうしても安く売らざるを得なくなったというときの穴埋めでございます。ちなみにアメリカの一九三〇年代の例で言いますと、これはプラスになって政府の方がもうかったという記録が残っている状況で、どちらになるかはまだわかりません。  それから、二十兆のファイナンスは、いろいろ先ほど申し上げましたファイナンス、それから金融管理勘定の方の優先株等の引き受けにおいてもファイナンスが基本でございますので、そのファイナンスに使うというもので、先生の御整理のとおりで結構だと思います。
  31. 平田耕一

    平田耕一君 いずれにしても、もう少し質問したいことがあるんですが、最初に申し上げた共同債権買取機構が存在するがゆえに、総じてその価格差でもって随分の節税といいますか納入税が減っているということ、それらのことが、多少矛盾はありますけれども銀行優遇になっているという第一点。二点目が、資本の充実あるいはロスの穴埋め等で銀行は大変な優遇だという点であります。  後でまた時間があればこれに付随してお聞きしたいと思います。  そこで、ちょっと話を変えます。二十五兆円の中小企業に対する支援枠を用意した、こういうことについてお尋ねを申し上げたいというふうに思います。  概略の数字で結構でありますけれども、このうち保証、貸し出し等の実施額を御報告いただきたいと思います。どの時点でも結構であります。できるだけわかる新しい時点の実施実績をお示しいただきたいと思います。
  32. 林康夫

    政府委員(林康夫君) お答え申し上げます。  政府金融機関の保証を含めて本年度十二兆、そして十年度について十三兆のお願いをしているわけです。既に一部は実施に付されておるわけでございますが、十一月十九日から十二月三十一日までに申し込みを新しい枠組みのもとに行っているわけでございます。  実際に十二月に実施された融資でございますが、中小公庫につきましては金額で二千二百三十七億円、前年比で言うと一二・三%の増、国民金融公庫四千八百五億円、一七・一%の増、そして商工中金は二千三百九十八億円、一三・一%の増となっておりまして、合計で九千四百四十億円、一四・九%の増というのが十二月の実績でございます。  一月に入りまして、また政府金融機関の融資については申し込みが急増しておりますし、また実績もふえておりまして、現在集計中でございます。
  33. 平田耕一

    平田耕一君 昨年の十二月十二日に国会が終わって、年末年始を控えて、私自身も本当に微力でありますけれども地元で貸し渋り対策室、自民党本部が設置したのに倣いまして設けて、経理要員も置いてずっと相談を聞いたわけであります。  そういたしまして約二十社、本当に困り果てたところが残って、そこの相談でずっと中身まで入ったわけでありますけれども、融資をお願いして融資をしていただく。地銀というのは割かしここに至って貸し渋りということを非常に意識して率先して出していただいているような感があるわけでありますけれども、この用意した金に比べて、まだ一兆そこそこであります、一月はもっとふえると思うんですけれども。  そういう金額のうち、融資をした金額がどのぐらい都銀あるいは地銀、いわゆる銀行への返済資金になっているか、把握しておみえでございましょうか。
  34. 林康夫

    政府委員(林康夫君) お答え申し上げます。  現に都銀に返すために借りるという件数もかなりあるのでございます。実際にその融資も可能という仕組みにはしております。ただ、どの程度そういう金額になっているかということは集計をしておりません。
  35. 平田耕一

    平田耕一君 八割はそうですよ。八割は返済資金です。八割以上と言った方がいいと思います。明確に八割とはつかめませんけれども、言ってみればほとんど返済資金に困って融資を申し込んでいるわけです。名目上は、返済資金だとかいうことだと融資していただけない、難渋しますから、違う簡単な、設備資金を多少多めにするとかいう形で申請をして借りようとしておるんですけれども、実際にはほとんどが返済資金に充当していく。いわゆる違う名目で借りておるというだけのことでありまして、経理の中身は突っ込んで見ないとわからないんですが、実質はそういうことなのであります。  ぜひひとつその辺の把握というものを徹底して、そのことにももっと資金を突っ込んでいくという姿勢、もう既にやっておるわけですから、きれいごとじゃなくて、既に用意した資金はもう都銀への返済資金に回っておる、それでいいと思いますけれども、ぜひひとつ把握をするように努めていただく、それも積極的にやっていくということをお願い申し上げたいというふうに思います。そして、これが銀行資金が還流していっているということの第三点目であります。すなわち、これからどんどん資金が行くだろう、そうすると返済資金として銀行へはどんどん資金が還流していく、こういうことであります。  私は、このことについては抜本的に、先ほどそれでも金を出してくれと言いましたけれども、それも大事でありますし、保証枠というものをもっと拡大してこの対応をしていただくということは重要であると思いますけれども共同債権買取機構資産目減りさせているじゃありませんか、要するに貸し渋りの大きな要因になっているんじゃないですかということが一点目。それから二点目が、三十兆円が銀行への大変な、これは必要なことでありましょうけれども銀行に対して優遇ですねと。三点目、二十五兆円の中小支援策も大変な銀行への資金還流を起こしていますね、これが三点目であります。  そして、ここへ来てあり得べからざる、要するに金融検査、まさにそのことを担当する人たちの銀行との癒着というのが浮かび上がった。もう大変な国家を挙げての対策が何点かあって、そのことの担当のところで、本当の根幹のところで不祥事があったということについて大変憂いを持っております。  私、総理に申し上げたいのは、ここで改革を掲げました。みんなでやらなければいけませんけれども、金融システム改革、その中の早期是正措置も含めて、このままその路線は維持すべきであると思いますけれども、事ここにいろんな大きな政策、何兆円、何十兆円という政策、その遂行するかなめのところが不本意なことになってきた、国民みんなの信頼を得られなくなってきた。ここで一度大蔵大臣も所信で表明されました、綱紀粛正をやるんだ、具体的にやるんだという表明をなさったわけであります。  ここで、それらの早期是正措置を含めて、路線転換しないけれども、抜本的に行政改革、倫理も含めた、そのことを抜本的に立て直すまで半年なり一年なりの停止といいますか整理期間といいますか、期間をとろう、冷静になってみんな考えようと。この時期をとることは私は本当に自然なことだろうというふうに思います。これをぜひお願い申し上げたいと思い、ほかの国際的な情勢もあろうかと思いますけれども総理総体的な所感をここでお尋ね申し上げたいというふうに思います。
  36. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、議員が今冒頭に述べられましたように、公務員の倫理という問題から議論をしなければならない事態というのを本当に情けなく思いますし、自分自身つらい思いでお答えを申し上げなければなりません。  そして、まさにその信頼を取り戻すための努力、そして先日来、私は倫理規程というものでそれに対応するということで国会にも申し上げてきたが、その倫理規程というものがつくられた後においてこのような事件が起きた。法をもって臨む以外にないと決心し、政府自体におきましても既にその作業がきょう正式に動き始める。党の方でもいろいろな御判断を願っている。そういう状況でありますために、その綱紀粛正と同時に、倫理の面をきちんと立てた仕事のしぶりに変えていく。これは当然のことながらやらなければなりません。  ただ、それと同時に、金融機関の安定を図ること、そして今、公的な資金供給というものが返済という形で流れているという御指摘も、多分私はそういうものもあるだろうと思います。その上で今、議員が半年なら半年、その倫理というものの信頼感を取り戻すまでちょっと待ったらどうだということをお話しになりました。  しかし、私は同時並行で進めさせていただきたい。  なぜなら、三月三十一日をもって本年度は終了いたします。そして、四月一日からは新たな予算がなければ国は動きません。そして、安定化策はやはり必要であり、これをお認めをいただかなければ、基盤の部分に対するいわば基礎固めができません。全力を挙げて政府としてその倫理の確立というものに向けての努力、さらには公務員への信頼の回復のための努力を我々は図ってまいりますが、そのために手をとめるということは許されない。  殊に、年度がわりの時期におきまして、その年度がわりの時期に必要な、例えば予算案が成立をしていない、税法が成立をしていない、そのために生じる混乱というものがあることだけはぜひ御理解をいただきまして、国会におかれましても、この年度のかわります時点に、次年度国家の運営に必要な予算、その予算を執行するための関連法案、税法、こうしたものについてはぜひ期間内における御審議をお願い申し上げたい。  倫理については、我々は、この事態を私自身恥だと思っております。規程で守られると思っていたら、見事に裏切られました。これ自体が恥です。全力を挙げて努力をしてまいりますので、年度に切りかわりが生ずる三月三十一日から四月一日のその時点において、国として必要な努力が引き続き継続できますような状態をぜひお願いを申し上げたい。
  37. 平田耕一

    平田耕一君 ちょっと子細に質問を突っ込んでみたいと思うんですけれども、先ほど申し上げたいろんなことが銀行に対して、金が還流していくとかということがあるわけでありますけれども、そうしたときに、野党から突っ込めという援護がありますのであれでありますが、公務員の倫理も姿勢もこれはもう最優先であります。  そして、その大きなお金金融機関に還流したりそこへつぎ込むということになって、同時に金融機関の姿勢といいますか、その充実されたお金を、資本として受け取ったお金を、金融機関がじゃ果たしてその真の安定化、そして金融貸付金のボリュームの増額のためにきちんと使われるかどうかをチェックするというのは、これは非常に難しい問題でありまして、それをぜひひとつきちんとしたことで、これはしり込みせずに、ここのところは決して言いわけにしないで、大蔵省はきちんと突っ込んでやっていくべきだと思いますけれども銀行局のちょっと見解をお尋ねしたいというふうに思います。
  38. 山口公生

    政府委員山口公生君) 先生のおっしゃるようにいろいろな方策が貸し渋りを防ぐために有効に使われるということは大変大切だと思うのでございます。  ただ、今の現状をちょっと御紹介させていただきますと、銀行は三月末の状況をかなり悪い場合も想定して行動しております。したがって、いろいろな貸し渋り現象等が激しく起こるわけでございます。  先般、昨年の十二月にある商社が倒産いたしました。そのときのことをちょっと御紹介させていただきますと、メーンバンク、サブメーン、幾つかの銀行が支えておりました。ところが、将来を見越して、下の方の三番目、四番目、五番目ぐらいがどんどんうちの直接的なお得意さんではないからというので資金を引くわけでございます。そうしますと、その部分をメーンバンクは全部肩がわりしていかなければならない。メーンバンクとしても、どんどん貸し出しがふやせるような状況でありますとそれは支えられますが、限界に来ますと一挙にそこが崩れていってしまう、いろいろ前提はありますけれどもそういった図式の倒産というのが起きました。  これは、貸し渋り現象が単にメーンバンクと当該企業だというだけじゃなくて、銀行間がお互いに支え合っている企業についてそういった現象が起きるということであります。  そうしますと、自己資本を充実することによって貸し渋りを防ぐということが今どういうシチュエーションで一番緊急な課題になっているかというと、三月末になっても大丈夫な手だてが十分に備わっているという安心感がまず一番大切だと。そうしませんと、手段が限られている、手段がなくなる可能性があるという恐怖感を持ちますともう今の時点からだんだん最悪事態を考え出すわけでございます。そういった現象が今起こっている貸し渋り現象の一つの大きなことでございます。  したがって、非常に言い方として難しゅうございますが、国民の皆さんあるいは企業の皆さんあるいは金融機関に安心してもらえる手だてを準備するということを今一生懸命やらせておる。それで、先生がおっしゃるように、そういうことが確実にできるとなると、私どもも貸し渋りは絶対社会的な存在として好ましくないということを強く言いますし、そういうことを是正してもらいたいというふうに思っている次第でございます。
  39. 平田耕一

    平田耕一君 そういう御答弁をいただきますと、まだ国民の間にくすぶっている問題を一点ちょっと追加してお聞きしておきたいと思います。  山一の問題がありました。日銀の巨額の特融が行ったわけであります。結果、聞いてみたら、メーンの富士銀行は二十五億の債権しかなかった、こういうことでありました。証券局長もどこかで私に答弁をしていただきました、二十五億円と聞いていると明確におっしゃったわけであります。日銀特融というのは返してもらえる見通しがあるからやったんだ、こういう総裁の答弁でもありました。片一方で、主力銀行がふたをあけてみたら二十五億円の債務だったと。これは今の御答弁と多少矛盾しませんか、どうですか。二十五億であれば倒産させることもなかったんじゃないですか。
  40. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 証券会社の場合は、一般の事業法人とやや資産、負債の形が違っておろうかと存じます。  証券会社の負債は、例えば山一証券の場合三兆円ほどでございましたけれども、ほとんどのものはいろんな形での有価証券の借り入れという形でございました。そしてまた、資産勘定の方も保有有価証券ということがございます。一般の事業のように銀行から資金を借りてきて何か設備を持って事業をするという形ではなく、買いと売りの中で仕事をしておりますので、銀行からの借り入れというものが非常に少ないということはそういった業態によるものでございます。
  41. 平田耕一

    平田耕一君 そうおっしゃるのならば、ピークでどれだけ行っていましたか、富士は。
  42. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 今手元に資料はございません。恐らく、考えられるとすれば百億ぐらいのオーダーの増減はあろうかと存じます。
  43. 平田耕一

    平田耕一君 ピークで百億前後ということを明確に御答弁なさったという数字があれば、それは納得であります。  先ほど銀行局長にお答えいただきましたけれども、後の銀行の、債務者じゃなくて、逆の銀行の渋りについてもぜひともひとつ御確認のほどをお願い申し上げたいというふうに思います。  中小企業立場でもうちょっと質問したいと思うんですけれども、いろいろ相談に乗って棚上げも随分お願いをいたしました。棚上げには政府金融機関も各銀行も本当に気持ちよく応じていただいた。ただし、まじめな再建計画があった場合にはという前提でありますけれども、応じていただいた。これが私は中小企業者にとって今一番いい方策だろうと思います。  先日、先輩議員の永田先生からリスケ、リスケジュールという話がありましたけれども、まさにそれはこの時期、追加資金を借りて返済資金を多くするよりも、まじめな計画があれば棚上げしてでも頑張れよ、こういう姿勢で窓口をずっと指導していただきたいと思うんです。  そんな中で、実は今、銀行以外の金融機関、要するに市中銀行に近いノンバンクというものはPR攻勢がすごいんですよ。借りろ借りろ、借りてくれ、健全なときでも借りてくれ借りてくれと言われて、銀行の預貸率なんかを考えると、金利を考えると便利だから借りちゃう。それが残っているとだめだといってもう追加資金を貸さない。これは大問題だと思っているんですが、このことをちょっと、これだけの話でおわかりいただけたと思いますけれども、わかりませんか。  ノンバンク、いわゆる市中銀行に近い、一応認められて法定金利内でやっている、年利二十数%の金融機関が貸し付けている先にはもう融資しないんだ、こういう風潮があるんですけれども、これは困ったものだというふうに思っております。それを払拭してでもやりなさいよというための資金を投入すべきだと思うんですが、そのことについてちょっと御見解を承りたいというふうに思います。
  44. 山口公生

    政府委員山口公生君) 確かに、銀行以外にもノンバンクが預金を受け入れない形での融資業務をやっております。ノンバンク全体が問題だというふうには私は全然思っておりません。それなりの重要な役割を果たしていると思います。  ただ、先生がおっしゃるようないろいろな現象が余り好ましくない現象として仮に起こるとすれば、それは銀行の貸し渋り問題をどう解決していくか、あるいは政府金融機関はそういったものにどう積極的に対応していくかということの方で十分な対応をしなければならないというふうに考える次第でございます。
  45. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 時間です。
  46. 平田耕一

    平田耕一君 そうですか。残念ですけれども、終わります。  ありがとうございました。
  47. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で平田耕一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  48. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、小林元君の質疑を行います。小林元君。
  49. 小林元

    小林元君 民友連小林元でございます。  今回、金融問題がいろいろ議論をされておりますが、そういう中で二十六日に金融検査部の二人が収賄容疑で逮捕されました。大蔵大臣が、あるいは小村事務次官が引責辞任をする、大変な事態を招来したわけでございます。  ところが、一月三十日、またマスコミによりますと、自主廃業しました山一証券の問題に絡みまして簿外債務問題があったわけでございます。その簿外債務を飛ばすというようなことで自主廃業というようなことになったわけでございます。ただいまも平田委員から御指摘がありました。  そういう、その当時の三木副社長が九一年十二月、九二年二月、二回にわたりまして大蔵省の当時の松野証券局長に報告をした、指示を仰いだといいますか相談をされたという話でありますけれども、これは大変な問題だ。まさに護送船団方式、あるいは問題を先送りする、こういうことの典型的な事例であると。これは事実かどうか、新聞報道でございますのでまだわかりません。  このような報道に関連しまして、大蔵大臣はどのように把握をしているのか、あるいはこれから調査をするのか、御所見をお伺いしたいと思います。
  50. 松永光

    国務大臣松永光君) お答え申し上げます。  今、委員指摘のように、山一証券の簿外損失の処理の問題について、当時の局長が簿外損失の処理を指示したというふうな趣旨の新聞報道がありました。その点につきまして、大蔵省としては事務当局をして当時の証券局長に事実関係を確認させました。その内容については確認に当たった事務方に詳しく答弁をさせますけれども、いずれにせよ、この問題については証券取引等監視委員会で特別検査が今行われているところであります。その特別検査の結果を待ちたい、こう思っております。
  51. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) ただいま大臣から御答弁申し上げました事実関係につきまして私どもの方で当時の証券局長に確認いたしましたところ、次のような話でございました。  平成三年の末から平成四年初めにかけて、時期を正確に記憶しないが、多分平成三年の末だったのではないかとしておりますけれども、山一証券から顧客との間のトラブルについて話があったのではないかという記憶がある。当時、このような問題につきましては、平成三年十月に証取法の改正が行われておりまして、基本的には当事者間の訴訟などにより解決されるべき問題である、当局としてもはや判断すべき問題ではないという考え方で各社を指導しておりましたので、自分としてもそのような考えで山一証券に対してそういう考え方を伝えたのではないかと思う。少なくとも、報道にあるように山一証券に対して損失の簿外処理を指導したということはないということでございました。
  52. 小林元

    小林元君 簿外処理をしたことはないと。そしてまた、この一連の山一問題につきまして、昨年も経営破綻を受けたときに、長野証券局長は、山一証券から簿外債務の問題について二、三日前に報告を受けた、それまでは承知をしていなかったと。しかし、今の報告ですと、当時の問題につきましてもそういう問題があったというような御報告でありましたが、これとの関係で本当は承知をしていたんではないか、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  53. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 私が承知していました経緯につきましては、当委員会でも何度か御答弁したとおりでございます。  若干技術的になりますが、大事な問題でございますので、平成三年当時の問題、何が問題であったかということを多少御説明させていただきたいと存じます。  当時、損失補てんということが話題になりまして、平成三年、二度にわたりまして各証券会社が損失補てんをした実績を調査の上これは公表し、国会にも御報告申し上げました。その過程で、もう一つ現先取引というものがございまして、債券の売買取引の形をとっている金融でございますけれども、その現先取引の中で最終的にそこに含まれるロスを証券会社が引き取るのであれば損失補てんになりかねない。しかし、それが普通の企業間の現先取引として終了するのであれば、それは普通の金融取引であるのだなという、いわゆるありていに申し上げますれば、我々の目から見るとグレーゾーンみたいな問題の取引がございました。  山一証券に関して言えば、その当時それが受け渡し金額ベースで二十六企業、約二千五百八十億ほどそういったものがございました。これらにつきまして、私ども当時の担当者は、その取引のもとになった企業に最終的に引き取っていただくか、あるいは通常の金融取引としてまた第三者に転売されるということできちんと処理されれば、これは損失補てんに当たらないなということで、そういう指導をしておった。  したがいまして、その現先取引の指導という問題と、いわゆる今日明らかになりました飛ばしというものがやや混同されておる感じを持っておりますけれども、いずれにしましてもそこら全体を含めまして、現在、証券取引等監視委員会等の特別検査で解明していただきたいと考えております。
  54. 小林元

    小林元君 今、図らずもグレーゾーン、こういうお話がありました。しかし、その金額につきましては二千五百八十億円、これはまあ山一証券自体の取引額の中で何%になるのか、それはわかりませんが、大変重大な問題だったのではないかというふうに思うわけでございます。そういう問題をずっとグレーゾーンの中で処理をしたといいますか放置したという責任は極めて重大ではないか、こういうふうに思うわけでございます。  この辺の経過等々調査をしているということでございますから、今後とも十分調査をし、でき得るならば本委員会に報告をしていただきたい、これは委員長にお願いしたいと思います。
  55. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) ただいまの御発言の趣旨を踏まえて対応いたしたいと思います。
  56. 小林元

    小林元君 与党三党の間で、大蔵省の強大な権限の問題で、金融と財政を分離するというようなことが合意をされたというふうに新聞で伝わっているわけでございます。  再三指摘をされておりますが、こういうような問題につきましては、やはり大蔵省という巨大な官庁の構造的な問題、構造的な体質、構造的な汚職だ、こういうふうに思うのであります。どうしてもこういうこれまでの経過を踏まえまして大蔵省の改革に取り組むべきではないか。  これもマスコミで報道されておりますけれども、橋本総理からも松永大蔵大臣にそういうような大蔵改革に取り組んでほしい、こういう御要請があったというふうに聞いておりますが、松永大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  57. 松永光

    国務大臣松永光君) お答え申し上げます。  財政と金融の分離の問題でございますが、委員既によく御承知のとおり、六月までの間に大蔵省業務になっておる金融機関等に対する監督・検査、この機能はすべて、金融監督庁という新たな役所が総理府のもとにできまして、そこに全部移転することになっております。大蔵省の現在おる職員の中からそこに三百七十三名も行くことになっております。  同時にまた、大蔵省仕組みの中で、銀行局、証券局それから保険部も含めて金融管理局という新たな小さい局にまとめるということになっております。すなわち検査・監督の機能はすべて総理府のもとに置かれる金融監督庁という新たな役所の所管になる。相当な大蔵省の改革の一つであります。  その後の改革問題は、委員よく御承知のとおり、三党合意というものが去る一月二十日長い間の議論の末合意ができておるわけでありまして、その合意の趣旨をそのとおり実行していくのが私の務めであろう、こう思っております。
  58. 小林元

    小林元君 昨年の行財政特でも私申し上げたのでございますけれども、今回のような不祥事件を起こした企業に対しまして法的な措置といいますか罰というんですか、これは当然のことであろうというふうに考えております。  昨年も、第一勧銀のときに、これは国の事務ではないかもしれませんが、宝くじの発行事務を委託しているというようなことに関連して、そういう事務委託をやめるというようなことを申し上げたことがございます。  法的措置は当然であります。ゼネコンの汚職等につきましても、指名停止をする、取引停止をするというようないわゆるペナルティー、これは国でもあるいは地方団体でも行っているわけでございます。この辺について、こういう不祥事に関連して、国と全く取引がない、何も関係がないということであれば何もできないわけでございますが、国債の発行事務等々いろんなことがあるんではないかと思いますが、そのようなペナルティーについてどのように考えておりますでしょうか。
  59. 松永光

    国務大臣松永光君) 委員にお答え申し上げますが、その前に、先ほどの私の答弁の中で、銀行局、証券局をつぶして新たに大蔵省の中にできる局のことを金融管理局と言いましたけれども、あれは金融企画局の間違いでございますので、お許し願って訂正をさせていただきます。なりたて早々でありますので、恐縮ですが、お願いいたします。  今御指摘の点でございますが、これは捜査当局による強制捜査が始まったばかりのところでありますので、今後の推移を踏まえまして法令に基づいて厳正に対処してまいりたい、こう答えるしか現在のところはございません。
  60. 小林元

    小林元君 今回のこの不祥事件といいますか、いわゆるMOF担、企業側といいますか金融機関の方ではMOF担については廃止をするというような、銀行協会の中でもそういうことの申し合わせをしたというふうに言われております。これはいわゆる贈賄側の銀行としてどうするかという考えだと思いますが、これはいわばMOF担個人が接待をした、贈賄をしたということではないと思うんですね。MOF担というような組織があるというところで、専らそういうことを仕事にするというのはおかしいんですが、情報収集も含めて幅の広いといいますか、いろんなことをやってきた。そういう中で一つのやり方として接待をするあるいは贈賄に及んだということになりますと、これは企業として意図的に故意に違法行為を行った、こういうことになるんじゃないか。  これは企業責任といいますか、企業として法的な措置というものが刑法上あるのか、あるいは非常に公益的な性格を持っているというふうに銀行法には規定をされているわけですが、そういう銀行が違法行為をした、これは仮の話でございますが、違法行為ということになるのかどうか私も十分承知しておりませんけれども、一般的に見れば違法行為をしたのではないか、そうすればこれは非常に責任が重いのではないか、こういうふうに思うわけでございます。  その場合に、大蔵省としてそういうような法的な責任をきちんと、大蔵省の検査官と銀行という関係で、大蔵省大蔵省としてその関係者に対して厳しい措置をする、倫理性を高めるというようなことをやるわけでございますが、その相手の金融機関に対してどういう対処をするのか、お考えがありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  61. 松永光

    国務大臣松永光君) 委員よく御承知のとおり、かつまた先ほど私が申し上げましたとおり、金融機関ないし金融業界と大蔵省の関係はほとんどなくなるわけです。監督・検査は大蔵省から新たにできる総理府傘下の金融監督庁に行きますから、その意味で金融機関がいろんなことをする対象はMOFじゃなくなるんですね。したがって、MOF担はなくなるものと私は思いますが、一般論として申し上げまして、民間側も役所の人を接待して何かうまいことをしてもらおうというふうな考え方自体、私は反道徳的なものだ、こう思います。  今回の事件、先ほど申したとおり、捜査当局で今厳正な捜査をやっているところでありますので、その捜査の結果を待ちまして、法令に基づいて厳正な対処をしていきたい、こう考えております。
  62. 小林元

    小林元君 松永大蔵大臣に期待をするものでございます。  さて次に、平成九年度の予算編成に当たりましていろいろ経済見通しが立てられたわけでございます。経済見通しとして、消費税引き上げ等の影響により年度前半は景気の足取りが緩やかになる、民需を中心として次第に自律的な回復が期待される、一・九%ほどの成長になるというようなことになりました。そういう中で、消費税アップあるいは減税の廃止等々九兆円をつぎ込んで平成九年度の予算編成がなされました。財政再建元年だということでスタートを切ったわけでございますけれども、実質的にはこういう経済見通しというものがどうも甘い方向に行ったんではないか、認識が甘かったんではないか、これまでももう再三再四指摘をされてまいりました。  そして、財政構造改革を昨年臨時国会で決めたわけでございますが、そのときの総理の御所見も、高齢化、少子化の時代に向かってこれからは大変な時代である、したがって、大型補正をする、あるいは減税をする、そういう財源はないんだというふうに終始おっしゃってまいりました。そういう財源がないということで終始してきたわけでございますが、十二月十七日に突然二兆円の減税、先週これは国会を通過したわけでございますけれども、やはり経済見通し、二兆円の減税をするにつきましても、クアラルンプールのASEANプラス3等々で、急速度に厳しい状況である、こういうふうに認識をされたわけでございますが、足踏み状態あるいは停滞をしている、そしてまた弱含み、後退局面に入っている、こういうようなことが続いているわけでございます。  ですから、財政構造改革をやるというためには、これは先ほど大蔵大臣がわざわざあえて財政構造改革についての所見を述べられました。これも三・五%の成長あるいは一・七五%の成長というようなことで考えておられたわけでございます。現実に、平成九年度は〇・一%というようなことも言われているわけでございます。したがって、財政再建もこれは容易ではない。だからどうしても経済見通しを強く言わない限りはやっていけない。そういう中で総理のお考えが言われているんだと思うんですけれども、周りのアジアの状況等も含めまして、現在の経済認識、再三言われておりますが、御所見をお聞きしたいと思います。
  63. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今の御質問にお答えをいたします前に、先刻来の議員と大蔵大臣とのやりとりに私からも一点補足をさせていただきたい点がございます、たまたま双方お触れになりませんでしたので。  私は、やはりこういう問題が起きてくる背景に、いわゆる護送船団方式と言われる従来型の金融行政、そしてその中における事前管理と申しますか、事前チェック型の行政というものがその遠因をなしていたように思います。それが金融業界と大蔵省との間の関係をゆがめた部分はなかっただろうか。そして今、こういう事件が起こる起こらないにかかわらず、既に金融監督庁を発足させることを国会でもお認めいただき、同時に、事前の管理、事前のチェックというシステムから、金融システム改革の中において事後チェックにその行政のあり方を変えようといたしております。  当然ながら、それぞれの金融機関の責任は一層重くなりますし、事後のチェックというものに金融行政、検査行政そのものも変わっていくわけであります。この根を私はぜひ育てたい、そして着目をいただき、御協力を得たいと考えておるという点を一点、冒頭私の感じとしてお伝えをさせていただきたいと存じます。  その上で、平成九年の政府見通しをつくりました段階、確かに消費税率引き上げなどの影響等によりまして年度の前半は景気の足取りは緩やかとなるものの、経済構造改革の実施などと相まって次第に民間需要を中心とした自律的な回復が見込まれる、そして実質経済成長率を一・九%程度と見込んでおりました。  ところが、一—三月における消費税率引き上げの前における駆け込み需要というものも私ども予想したよりもはるかに大きかった。逆にそれが四—六の落ち込みでとどまると思っておりました状況を狂わせたことも私は決して否定をいたしません。そして、その影響は四—六を越えて年後半にはという考え方を持っておりましたものが、その状況に至る前に、まさにアジアの通貨・金融不安あるいは我が国の金融機関の経営問題、予期せざる事態が連続する中におきまして、まさに家計や企業景況感というものは刻々厳しさを加えてまいりました。そして、それは個人消費や設備投資の面においても影響を及ぼしているのは議員からも御指摘のとおりでございます。そして、政府そのものが本年度の政府経済見通しそのものを下方修正するということもやむない状況に至りました。これは議員から今御指摘をいただいたとおりであります。  そして、今のお問いかけを私はこのように受けとめました。財政構造改革というものを主張してきたけれども、その財政構造改革というものをむしろ捨ててでも景気という面に政策をシフトさせなければならないのではないか。議員のおっしゃりたかったことを端的に直すと私はそのようになるのかと存じます。そして今、財政構造改革と景気回復への努力、これは二律背反のものではないと私は思っております。スパンの異なる問題です。そして、財政構造改革の必要性は何ら将来に向けて減少するものではない。同時に、当面の状況の中で、金融あるいは税制等の措置を駆使しながらその対応をしてまいる、これもまた我々の責任、そのように今までも御答弁を申し上げてまいりました。  この補正予算、御審議をいただいております九年度補正の中におきましてもそのような思いを込めて編成をいたし、なればこそ十年度予算とのつなぎ目ということを、先ほどもお答えを申し上げる中にぜひお考えをいただきたいというお願いを申し上げた次第でございます。
  64. 小林元

    小林元君 これから論議をしようというふうに思っておりましたが、総理から先に御答弁をいただきました。  世界大恐慌でございますか、一九二九年の十月二十九日に起きたわけでございます。しかしその後、当時のフーバー大統領、大変タイミングが悪く後手後手に回りまして、不況下で大増税をやった。十億ドルというふうに言われております。あるいは金融不安を放置した、遅きに失したんではないかということが言われているわけでございます。  むしろ、私は、財政再建というのはある程度の、先ほども申し上げましたけれども経済成長というものを必要とするんだ、だから景気対策は大事なんだというふうに、両立をするというよりは景気対策を十分考え、そして財政再建をやる。財政再建の重要性を否定するものではありません。景気回復といいますか、財政出動一辺倒の主張をするつもりはございません。しかし、そういう財政・景気対策の重要性、そしてそのタイミングの重要性というのがあるんではないか、こういうことを申し上げたいと思います。  時間がありませんので、先へ進ませていただきます。  総理は十二月十六日にクアラルンプールのASEANの会議において、アジアの経済状況が大変な通貨危機である、重大である、そして日本発の大恐慌を決して起こしてはならない、そういうことで、我々は不満でありましたけれども、二兆円の減税を決断された。  この通貨危機、これは半年ぐらい前からいろいろ話題になってきたわけでございますが、先日、韓国の対外債務の問題について二百四十億ドルの支援策が決定をしたわけでございますが、これらについて外務省あるいは大蔵省ではどのように認識をし、あるいは総理がASEANに行くにつきまして、どのように報告を官邸の方に上げたのか、それをどういうふうに総理はお受けとめになったのか。行く前と行った後の認識というもの、お考えを聞かせていただければ大変ありがたいと思います。
  65. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 議員、時点を限られましたが、そのアジアの通貨というものに懸念を持ち出しましたのは、実は昨年の比較的早い時期からでございます。  ただし、これがこれほど拡大をするという予測を持っていたわけではございません。そして、その時点において非常に懸念をいたし始めておりましたのは、日本といたしましてタイを心配いたしました。しかし、表面化はいたしておりませんでした。そして、サミットの非公式首脳会合の中においても、この問題を私は一度提起をしようといたしましたが、残念ながら他の首脳の関心を引くことができませんでした。そして、その前の段階で、四月に参りましたアメリカ訪問の際も、一部議論を交わす部分はございましたけれども、それ以上の対応にはまだ結びつきませんでした。  ところが、七月にバーツの危機が始まりましてから連鎖的にこれが各地に反応を起こす事態になりまして、にわかにこれが急な議題として国際的な課題になりました。そして、バンクーバーにおけるAPECの議題も大きく変化をし、APECの非公式首脳会合はまさにこの問題に相当部分をとられることになりました。しかも、その時点では我が国自身が山一証券の破綻が表面化しました直後でありまして、特に山一証券は業務を海外にも積極的に展開をしておりましたから、その海外における顧客の保護をどうするかというような部分までを含めてこの会議では議論をいたすことになりました。  ですから、その時点では深刻さを私は知らなかったわけではございませんで、むしろAPECの非公式首脳会合は非常に真剣な議論の場になったわけであります。ただし、その時点ではIMFとの合意の形成自体に抵抗をしておられる国もございましたことを、例示は控えさせていただきます、その時点のアジアの首脳たちの認識の中にIMFとの合意を前提とした対策を立てること自体にまだ抵抗があった時期であるということも申し上げなければなりません。  そして、それからごく限られた日数の間にクアラルンプールにおけるASEANプラス3、ASEANプラス1の会議になったわけでありますが、この会議も当初予定されたときにはASEAN三十周年という記念の一つのプログラムとして想定されたものでありますけれども、性格は真っ向から変わるものとして開催をされることになりました。  そして、個別の論議の中身は控えたいと存じますが、その前にマニラ・フレームワークが合意をされ、これはAPECの前であります。そして、APECの席上、今よくアメリカ大統領が提唱したと書かれておりますけれども、シンガポールのゴー・チョクトン首相から、アメリカ及び日本が主要先進国大蔵大臣会合プラスを開いてこの状況にどう対応するかの主導権をとってほしいという発言が出、クリントンさんと相談し、アメリカがイニシアをとり、日本はそれを強力に支援し、その主要先進七カ国の蔵相・中央銀行総裁会議は間もなく開かれることになっておりますが、そこまでにお互いにIMFを中心とし、世銀を中心とした安定への努力をしようというのがクアラルンプールにおいてお互いが論議をしてここまで参った内容でございました。  その中において、アジア経済というものがカリの群れが飛んでいくような形、その中の先頭を飛んでもらっている日本という位置づけでの議論がありましたことは事実でありますし、そうした中から特別減税をお願いしようという決断をさせていただいたことも事実であります。
  66. 小林元

    小林元君 総理からいろいろお話がありましたが、時間も大変限られております。  今、IMFの主導といいますか、そういう形でいろいろ進められてきたというお話がございました。しかし、日本としてアジア通貨基金をつくろう、あるいは円の国際化等を進めようという話もちらほらしていたわけでございます。その辺について、大蔵大臣、何か御所見、アジア通貨危機について国の御方針がありましたらお伺いしたいと思います。
  67. 松永光

    国務大臣松永光君) お答え申し上げます。  アジアにおける最近の通貨問題等を克服するためには、各国すなわちアジアの諸国が経済運営を適切に行う努力がまず第一でありますが、同時にまた、市場の信認を回復するためにもIMFと合意したプログラムを着実に実行していくことが肝要であり、我が国としてもIMFの枠組みの中での協力支援、これはしっかり行っていかなければならぬ、こういうふうに思っておるところでございます。
  68. 小林元

    小林元君 同様の問題につきまして、二月にG7あるいは中央銀行総裁会議が開かれるというふうに聞いておりますけれども松下日銀総裁に、アジアの経済につきまして、日本経済との関係というのは極めて重要であるわけでございまして、日銀としてどういうお考えがあるのか、どういう対応をされるのか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
  69. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 日本銀行におきましては、昨年の夏以来の東アジア諸国の金融・経済危機に際しまして中央銀行としての立場からさまざまな対応を図った次第でございまして、例えば昨年の八月には、タイの当局によります経済安定化に向けました努力を支援するという観点から、日本銀行は、欧米の主要各国の通貨当局や国際決済銀行と協力をいたしまして短期のつなぎ融資、いわゆるブリッジローンと申しますが、これを供与する用意があるということを明らかにいたしました。また十二月には、韓国銀行の要請に基づきまして、IMFの融資が実行されますまでの間、千六百五十億円の短期のつなぎ融資を私どもが供与した次第でございます。  このほか、私どもといたしましては、アジアの金融危機の打開に対する各国の真剣な努力を支援するという意味から、ただいまお話がございましたG7あるいは国際決済銀行の中央銀行総裁会議におきまして、当地の事情をよく説明し、その対応についての考え方を紹介いたしまして、適切な協力体制がとられてまいりますように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  70. 小林元

    小林元君 時間がなくなりましたので、最後にお尋ねをしたいと思います。  この平成九年度の補正予算減税を盛り込んだわけでございますけれども平成九年度の予算、そして今回の補正予算、十年度の予算、これから審議に入るわけでございますが、どうも整合性がないのではないか。いわゆるデフレ予算、今回は景気回復をメーンにする、そしてまた財政構造改革法によっていわゆる超緊縮型といいますか、デフレ予算をつくる。こういうことはどうも首尾一貫しない、整合性がない、連続性がないというふうに思えるわけでございます。  両立できるんだというお話もあります。先ほども平田委員からいろいろ、自民党の幹部でも六兆円の大景気対策をやれというような話も出たり、いろんなことが出ているわけでございます。しかも、欧米、アメリカサイドからも、外圧と言うとどうかと思いますが、総理に直接クリントン大統領が話をする、あるいは要請があったというようなお話もございます。そしてまた、ルービン財務長官もそういうような話をしていると、これは直接総理に伝えたのではないと思いますが。  あるいは、先ほど来お話が出ておりますアジアの通貨危機に関して日本の役割の重大性というものを考えれば、どうしてもこれから景気対策をちゃんとやるんだ、財政改革路線を一時棚上げしてでもしっかりやるんだというのが本来ではないか。政策転換ととられてもやむを得ないというような非常に消極的な御発言ではなくて、国民に、ここはどうしても景気回復に全力を尽くしたい、理解をしてくれ、してほしいと、こう言うのが筋ではなかろうかと思いますが、その所信を伺って、私の質問を終わらせていただきます。
  71. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、ですから景気対策が要らないなんて一回も言っていないと思うんです。そして、財政構造改革は確かに私は将来のために必要だと本当に思っています。  同時に、今我々は金融システムを安定させ、景気を回復軌道に乗せなければならないと考えておりますし、そのために三十兆円に上る国債と政府保証を活用しての預金者の完全保護と、システムの安定に資するための対策をも御審議をいただくべく国会提出し、また特別減税も、賛否を別にして、二月一日からこれが動かせるように国会にお願いをして間に合わせていただきました。特にその間における、私は参議院が従来の慣例にとらわれずこれを審議していただきましたことには党派を超えてお礼を申し上げたい気持ちであります。  ですから、私は、景気の回復と金融システムの安定が今一番大事なんです。そのためにも相乗効果を上げてこれが実行できますように、既にお諮りをし、あるいはお諮りしようとしている施策というものが期間内に現実のものとなる、それがまず第一のことでございますのでよろしくということをお願い申し上げております。
  72. 小林元

    小林元君 ありがとうございました。
  73. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で小林元君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  74. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、高野博師君の質疑を行います。高野博師君。
  75. 高野博師

    高野博師君 公明の高野でございます。  イラク情勢が大変緊迫している状況なので、総理にこの現状の分析と認識についてまずお伺いいたします。
  76. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 国際情勢であり、安保理の非常任理事国として今我が国自身も各国とともに外交努力を行っております中でありますので、一定の限界のあることはどうぞお許しをいただきたいと存じます。  イラク政府が一月十二日に大量破壊兵器廃棄に関します国連特別委員会の査察の不許可を決定いたしました。それ以来、急遽緊張状態、それまでも非常に不安定な状態でありましたが、非常にこれが高まってまいりました。そして、現在関係諸国が事態の正常化に向けた外交活動を活発に展開をいたしておりますし、我が国もまた、今、安保理の非常任理事国という立場の中で外交による解決が図られるよう努力を続けておる状況の中にございます。  そして、大量兵器の廃棄に係ります査察の受け入れ、これはイラクのクウェート侵攻の結果としてイラク自身が合意したものであります。そういう中でその査察のプロセスのある瞬間からこれを拒否したというところから問題が起きてまいりました。  そして、アメリカは非常に強い姿勢でこれに臨もうといたしておりますし、それに賛意を表して明確に同じ立場をとろうとしている国もあります。また、ロシアのように特使を派遣し外交努力を行っており、この成功の確率は非常に低いと言われておりますけれども、イラクを説得しようとしておる国もございます。また、アメリカ自身、我が国に対してもそうですけれども、イギリスあるいはフランスあるいは湾岸諸国等に対し、アメリカの立場への理解あるいは支持を求めるための活動を続けておることも御承知のとおりでございます。  そして、申し上げられることとして、我が国といたしましても、在京のイラク臨時代理大使に対し改めてその査察の受け入れを求めるということを初めといたしまして、各国と連携をとりながら、この事態がこれ以上悪化しないようにという努力を続けている状況であるという報告を受けておりますというところでとめさせていただきます。
  77. 高野博師

    高野博師君 オルブライト長官が重大な決断を下す時期が近づいているという発言もされておるし、アメリカとしては一九九一年の湾岸戦争を上回る爆撃機を配備している、空母インディペンデンスも現地に向かっている、こういう状況にありますが、我が国はアメリカの武力行使を容認するんでしょうか。
  78. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) ただいま総理から御答弁申し上げましたように、現在、国連安保理決議一一三四に基づきまして、イラクがその決議に従って査察を受け入れるというために、我が国としてはあらゆる外交的手段を講じてイラク側にその改善を求めておるという状況でございますので、今、仮定の問題としてお話をされましたが、現在日本としては最善の努力を傾注している、こういうことでございます。
  79. 高野博師

    高野博師君 我が国は日米同盟関係の枠内であるいは憲法の枠内で何らかの行動をとることはあり得るんでしょうか。
  80. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今申し上げられることと先ほど私は限定を加えました上で安保理の非常任理事国としての努力、また国内で目に触れる形といたしましては在京のイラク臨時代理大使を招致し、査察の受け入れに対しての働きかけをしているということを申し上げております。
  81. 高野博師

    高野博師君 それでは、新ガイドラインというものはこのイラク情勢、この事態に適用されるんでしょうか、外務大臣
  82. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 新たな指針に言う周辺事態とは、日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合を言うことは申すまでもありません。現下のイラクの情勢は、周辺事態ということと考えておりません。  また、日米両国政府はイラク情勢について情報交換等を行っておりまして、これを指針上位置づけるとすれば、平素から行う協力に当たるもの、こう考えております。
  83. 高野博師

    高野博師君 周辺事態についてはこれから聞こうと思ったんですが、まずこのガイドラインについては国内法の整備がまだできておりません。そういう中で、もし万一有事が起きたときに、自衛隊の行動を初めとして超法規的な措置に出ることはあり得るんでしょうか。
  84. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 自衛隊がどうこうするようなことは全く考えておりません、今の段階では。
  85. 高野博師

    高野博師君 要するに、この新ガイドラインで国内法の整備ができていない、まだ法案も提出されていない。こういう状況の中で、もし万一、これはイラク情勢ばかりではなくて周辺事態ということが起きたときに、これはどういう法的な根拠に基づいて自衛隊あるいは民間の協力等を得るのかどうか、それについてお答え願います。
  86. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 私どもとしましては、その時々の法律に従って行動するわけでございまして、現行の法律の枠内でできることとできないこととをわきまえながらやっていきます。
  87. 高野博師

    高野博師君 ということは、超法規的な行動はあり得ないという理解でよろしいでしょうか。
  88. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 防衛庁、自衛隊としましては、とにかく憲法及び現行の法制に基づいて行動するわけでございますから、超法規的なんという言葉はまず私どもの口から出るわけがございません。
  89. 高野博師

    高野博師君 今、イラク情勢についてはいわゆる周辺事態には当たらないという御発言でございましたが、当たらない理由をもう一度聞かせてください。
  90. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 周辺事態に当たるとか当たらないとか、そういう事態が発生した場合に、それを今度の新しいガイドラインでどう判断するか、それぞれの国が判断しながら、しかも日米間で調整しながらやっていくわけでございます。  しかも、そういうふうにやるときに、法律上制度ができていない場合にはどうするかという問題はまた別でございまして、だからそういうふうに現時点でいろんなことを想定されながら仮定の話をされましても、事実上答弁しようがないわけでございますので、ぜひ御理解賜りたいと思います。
  91. 高野博師

    高野博師君 周辺事態は地理的な概念ではないということは政府は何度も答弁しているわけであります。イラクについては、我が国の安全と平和に重大な影響を及ぼさないということであれば、これは日本として行動をとる一つの根拠は、国際社会の一員としての行動、それのみの行動しかあり得ないと思うんですが、念のため確認いたします。
  92. 高野紀元

    政府委員高野紀元君) 我が国の国際的な行動というものは、当然我が国の憲法及び我が国が加盟しております国連憲章あるいはその他国際法に基づいて行われるわけでございます。そういう意味で、ガイドラインとの関係で先ほどのお尋ねは、現状において現在のイラクにおける状況が周辺事態に当たるかどうかということでございましたので、それは当たらないということでございます。  その他、ガイドラインにございますとおり、平時において国際の平和と安全に関連する情勢について随時情報を交換するということもございますから、その点においては日米間で種々の協力は行われるということだと思います。
  93. 高野博師

    高野博師君 このイラク情勢については、我が国政府としてはあくまでも話し合いによる平和的な事態の解決ということで努力をすべきである。先ほど総理からもいろんな外交努力をしているというお話がありました。  アメリカあるいはイギリスに対しても武力行使については賛成できないという明確な表明をすべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  94. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 先ほども御答弁申し上げましたように、現下、我が国といたしましては、このイラク情勢というものを重大な事態と考えまして、あらゆる外交的手段を講じまして安保理の決議が達成できるように努力を傾注しておるさなかでありますということでございます。
  95. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  96. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成九年度一般会計補正予算(第1号)、平成九年度特別会計補正予算(特第1号)、平成九年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。高野博師君。
  97. 高野博師

    高野博師君 イラク情勢について一言だけ追加的にお伺いいたします。  このイラク情勢の問題に関して、湾岸戦争のときと同じように日本政府お金だけを出すというやり方は恐らくないと思いますが、念のため確認いたします。
  98. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 湾岸戦争のときは、よく議員御承知のように、クウェートに対する侵略ということから多国籍軍が編成され、そしてそのクウェートの領土を回復するという事態とともに、平和を乱したイラクというものに対しての攻撃が行われるという結果を招来いたしました。  その後、この安保理の中において示されました条件をイラクが受諾し、みずから受諾した内容に違反しているということが今の問題を惹起している状況であります。状況は大きく異なると思います。
  99. 高野博師

    高野博師君 それでは、別のテーマに移ります。  中国の恵州柏塘養鰻事業、中国におけるウナギの養殖に関してOECF、海外経済協力基金の方から融資をされたんですが、これまでの経緯と問題点について御説明ください。
  100. 西垣昭

    参考人西垣昭君) お答え申し上げます。  この事業は、日本側六〇%、中国側四〇%出資の現地合弁会社、恵州柏塘養鰻有限公司が、広東省恵州市にて養鰻場六十一・六ヘクタール、成鰻年産が二千百トンと予定されたものを建設するものでありました。私ども海外経済協力基金は、本事業の第一次分として約半分の三十・五ヘクタールを対象といたしまして、九四年三月に十億五千万円の融資を行ったものであります。  事業そのものは、九五年十一月に日本側出資者で本事業の推進役である日盛産業が和議開始を申し立てて、事実上倒産いたしましたため、事業の継続が危うくなりまして、その後の再建努力にもかかわらず、日盛産業にかわる推進企業も見出すことができませんでした。海外経済協力基金としても、事業達成の見込みがなくなったと判断いたしまして、昨年、九七年五月に一括繰り上げ弁済を請求いたしましたが、残念なことにいまだに返済されておりません。  また、貸付金の使途につきましても、借入人等からはっきりとした報告がなされず、解明できておりません。さらに、本件融資の際、当時の業務担当部は本事業の早期実施を求める借入人からの要請に応じまして、中国銀行からの保証状を取得しないまま貸し付け実行をしたために、債権保全に問題が生じる事態となっております。  海外経済協力基金といたしましては、所要の法的措置をとって債権の回収と資金使途の解明に努めているところでありますが、このような事態になりましたことはまことに遺憾でございます。
  101. 高野博師

    高野博師君 このウナギの養殖事業について、今お話がありましたように十億五千万が不明になっているという点、これが問題になっております。  基金の内部としては、内部の処分をされたと聞いておりますが、どういう処分、だれに対する処分で、そしてその中身は何でしょうか。参考までに、西垣参考人の出身省庁と最後のポスト、そして現在のポストに何年おられるのか、お伺いをします。
  102. 西垣昭

    参考人西垣昭君) ただいまも申し上げましたとおり、この中国柏塘養鰻事業につきましては、融資の実行に際しまして当時の業務担当部、これが本事業の早期実施を求める借入人からの要請に応じて、中国銀行からの保証状を取得しないまま貸付実行を行いました。その後、中国銀行から保証状を入手したものの、保証状に条件が付されていたために本保証状はいまだ有効になっておりません。  このような融資の実行は、中国銀行による保証状を得ることとしておりました貸付承諾稟議書及び貸し付けに係る債権保全のための措置を講じることを規定した内規に違反しておりまして、銀行保証が不十分なまま事務処理が行われたということに対しまして、海外経済協力基金の就業規則にのっとりまして、昨年六月二十六日付で関係者を懲戒処分としては極めて厳しい停職処分としたところであります。  それから、私自身のことについての御質問でありますが、本件の重要性にかんがみまして、私自身も俸給月額の一部を自主的に返納させていただいております。  いずれにいたしましても、当時の業務担当部が銀行保証をとらないまま貸し付けを実行し、結果として債権の回収が困難となっていることについては、まことに遺憾であります。今後、このような事態の再発がないように、海外投融資に係る内部チェック機能及び内部報告体制の拡充等の措置を既に講じているところでありまして、このようなことが二度と起きないように基金全体として努力をしていくつもりでおります。
  103. 高野博師

    高野博師君 どこの出身ですか。
  104. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 私は平成元年六月に大蔵省を退職いたしました。それまでのポストは大蔵事務次官でございます。  それから、現在のポストには平成二年のたしか五月二十一日に就任いたしましたので、今まで七年八カ月近く経過している、こういうことでございます。
  105. 高野博師

    高野博師君 これは、OECFの融資の金額十億五千万が消えたという話でありまして、基金内部の処分で済む問題ではないと私は思います。  そこで、この融資案件の決定の過程において、いずれかの政治家から基金に対して何らかの働きかけがあったのかどうか、念のため確認します。
  106. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 日盛産業の養鰻事業につきましては、これが第四回目の貸し付けになります。たしか第一回目の貸し付けは、私が基金に参ります数年前のことでありまして、私が参りましたときにはまだ養鰻事業をきちんとやっていた、こういう状況でありました。  私が担当してから、これは四回目の分を私が総裁になりまして初めてその話を聞いたわけでありますが、そういう経緯もありまして、どなたか政治家の方から私が頼まれて、そこでこの事業が始まったというようなことでは経緯から言っても決してないわけであります。私は、この件につきましてどなたかから電話が入ったとかそういったようなことは全くないと思います。全く記憶しておりません。
  107. 高野博師

    高野博師君 電話が入ったかどうかというのは、私は聞いておりません。  この融資は、四回にわたって約三十三億七千万の融資が出ているのでありますが、ことごとく失敗しております。ほかの三件については銀行保証があったので、お金は返ってきております。しかし、この最後の案件については返ってきておりません。  そこで、この十億五千万については基金の方からあさひ銀行の室町支店の口座に入金されております。この入金された後、どのような経過をたどったか全く今のところわかっておりません。そこで、このあさひ銀行の室町支店に入金するというゴーサインはだれが出したんでしょうか。
  108. 西垣昭

    参考人西垣昭君) この件につきましては、高野委員には外務委員会でもお話ししたところでありますけれども、貸し付けをするかどうかという問題の決定につきましては、これは役員会まで上げまして、最終的には総裁まで上げまして稟議決裁をしているところであります。  その決裁に基づきまして、貸し付けの実行をする際にどこで処理をするかという点につきましては、その稟議決裁に基づいて機械的、事務的に処理できるものにつきましては担当部長以下で処理する、こういうことになっておりまして、本件はまさに担当部長以下に権限を委任しております案件でございますので、部長以下のところで決定をし実行した、こういうことでございます。
  109. 高野博師

    高野博師君 この室町支店の口座には平成六年の三月三十一日に十億五千万が入金されております。そこで、この三月三十一日の二日前に口座が開設されておりまして、名義人は恵州柏塘養鰻有限公司、署名人は小嶺信子日盛産業社長、それから葉山一雄日盛産業取締役、この二人であります。  実際に問題なのは、OECFとこの会社との貸付契約が振り込む前日の三月三十日になされております。口座開設が二十九日、契約が三十日、そして三十一日振り込みと慌ただしく行われているのであります。銀行保証を取りつけてないという段階でなぜこの時期に入金したのか、極めて不自然でありますが、急ぐ理由が何かあったのかどうか、お伺いいたします。
  110. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 職員に権限を委任しております事柄でありますので、私どもとしては承知していなかった、そういうことでございます。(「時々相談は入るだろう」と呼ぶ者あり)  さっきも申し上げましたように、貸し付けをするかどうかという判断につきましては、総裁まで上げまして決定をするわけでございます。決定された貸し付けが貸付契約に基づいて出される時点におきましては、これは担当の職員に委任をしておりまして、私どもが承知しないでも事務的、機械的に事業が進んでいく、こういう建前になっております。このようなことが起きたのは、基金ができましてもう三十年になりますけれども、私は寡聞にして、これ以外にこんな失敗をしたということは承知しておりません。通常ならば、こういうことで粛々として仕事が行われているわけであります。
  111. 高野博師

    高野博師君 銀行に振り込まれた後、本来は中国に送金されていなければならないのでありますが、この後、全く中国側にはこのお金は行っておりません。  そこで、経企庁と会計検査院は、この点について調査したんでしょうか。
  112. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) この柏塘養鰻事業に対しまして、九四年の三月に海外経済協力基金が保証状を入手しないままに貸し付けを実行いたしまして、結果として十億五千万円の債権の回収が困難になりましたことは、まことに遺憾と考えている次第でございます。本件に関しましては、先ほどのお話のとおり、就業規則にのっとりまして職員の懲戒処分を行ったという報告を受けております。  私どもといたしましては、経済協力基金に対しまして、海外投融資に係る貸付実行手続の改善、内部チェック機能の確立、内部報告体制の整備等の再発防止策を講じさせておりますし、また、資金使途の解明や法的な対応等も求めているところでございまして、今後とも、必要に応じまして海外経済協力基金に対します指導を行っていきたいと考えている次第でございます。
  113. 高野博師

    高野博師君 この問題は、遺憾で済む話ではないと思います。  それから、先ほど総裁は、なぜ三月三十一日に振り込んだかという点については全く答えておりません。もう一度お伺いいたします。
  114. 西垣昭

    参考人西垣昭君) あさひ銀行の口座に振り込んだ後の金の動き方につきましては……
  115. 高野博師

    高野博師君 なぜ三十一日かと聞いているんですよ。
  116. 西垣昭

    参考人西垣昭君) この辺の事情は、当時は任せておった話でありますので、詳細知りません。  しかし、その後の担当者からの報告によりますと、先方が急いでいる、事業のためにシラスの購入が急がれているというふうなことで協力したということだと私は思います。思いますが、しかしこれは私が思っていることでありまして、詳細はよくわかりません。  そういうこともございまして、これはそのほかにもいろいろと事由がございまして、なかなかよくわからない、そういう事案でございますので、公権力でもって解明するしかないということで、この事業はもともと中国でやっている事業でありますので、中国側にも告発をし、それから国内においても警察御当局に対して御相談をしている。そういったことを通じまして、いずれ明らかになるだろうということを私は期待しているところであります。
  117. 高野博師

    高野博師君 それでは、なぜ三月三十一日に振り込まれたか。  このお金というのはODAの一環であります。これは経企庁も監督不行き届きだと私は思いますが、平成六年三月三十一日に十億五千万が振り込まれた。同じ日に一億六千万が国内の大和銀行神田駅前支店の口座に移されておりまして、そして同日、期限内の十枚の手形の決済に使われております。外為送金というのは全くうそであります。これは目的外の流用の重大な事実であります。いかなる手形で、だれがだれから切った手形なのか、これはここでは明らかにしません。私はつかんでおります。  そして、同じく翌日の四月一日、七千八百万余りが中国銀行の北京支店に、これは中国経済貿易信用名義の口座に振り込まれております。そしてまた、四月の二十一日には、八億円が千葉銀行の香港支店、これは恵州東昇養鰻有限公司、この名義の口座に送金されて、まもなく日本に返ってきております。これは重大な事実であります。この東昇養鰻有限公司というのは別のウナギの事業で、これまた基金から八億八千万融資を受けておりますが、この事業も失敗しております。しかし、失敗はしておりますが、AFICというアジア金融投資会社、これはアジア開発銀行の子会社でありますけれども、ここの保証があったのでお金は返ってきております。しかし、AFICの保証の取りつけ、この点に関してだれがどういう形で取りつけたのか。アジア開発銀行には大蔵省から出向している人間もいるんですが、この点はきょうは追及はしませんが、いずれにしてもこの十億五千万は消えております。  そこで、平成六年六月、中国銀行の保証状が取れたのでありますが、これは有効になっておりません。問題は、日盛産業とヤオハングループ、そして恵州市の水産局が合弁でまた別の恵州百恵鰻業有限公司、これをつくっております。これは、柏塘公司とはまた別の会社であります。なぜ日盛産業がまた新たに別の同じ業種の会社を次々につくっているのか、これが問題のポイントであると思います。  そして、同じ平成六年六月八日に、くだんのあさひ銀行の室町支店の口座に今度は約一千五百万、五千万、五千二百万、そして一億二千五百万、これが四回に分けて振り込んで入ってきております。そして、次の日の六月九日には五億円の金がまた入ってきております。そしてまた、不可解なことに、六月十日にはさらに室町支店の口座から五億円と二億四千万、それぞれ外為送金をされております。その他幾つかの入金、送金があったのでありますが、いずれにしても現地法人の柏塘養鰻事業には一円も入っておりません。あさひ銀行の室町支店を舞台にした複雑な金の動きというのは、この事件の底の深さと幅の広さを暗示していると私は思っております。  そもそも、日盛産業の倒産というのは計画的なものではなかったのかという疑問が残ります。もしそうだとすれば、相当巧妙に仕組まれた犯罪ではないかと私は思っております。OECFは現地の合弁企業を告訴しておりますが、むしろ告訴されるべきはOECFではないか、私はそう認識しております。  そこで、この問題について、総理は、先般も中国銀行の保証をとらずに融資が先行したことはそれだけ責任があるケースだ、遺憾だと申し上げる以外にないという発言をされておりますが、再度、総理の認識をお伺いいたします。
  118. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ただいま、責任者として西垣氏の方からその事情も改めての説明がございました。当時申し上げました受けとめに変わりはございません。
  119. 高野博師

    高野博師君 この問題は大変な犯罪の可能性があると思います。その点について、警察当局の見解を求めます。
  120. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 警察といたしましても、お尋ねのような事案があることを承知いたしておりまして、刑罰法令に触れる行為がありますれば、適切に対処していく所存でございます。
  121. 高野博師

    高野博師君 徹底的な調査をしていただきたいと思います。  それでは、次の質問に移ります。  松永大蔵大臣が新しく就任されまして、大臣大蔵省信頼回復とそれから綱紀粛正、そういうことで大きな役割を果たすという期待がされているわけでありますが、この問題、新しい大臣の就任に当たりますので、大臣の決意をまずお伺いしたいと思います。
  122. 松永光

    国務大臣松永光君) お答えいたします。  午前中も申し上げたことでございますが、大蔵省職員が収賄罪の容疑で逮捕される、そして金融検査部に家宅捜索が入る、大変な事態でございます。私はこの事態を厳しく受けとめ、同時にまた国民の大蔵行政に対する信頼を著しく揺るがした大変なことであるというふうに思っておるわけでして、国民の皆様方に申しわけないとおわびを申し上げますとともに、こうした事態を二度と再び起こすことがないようにその原因を徹底して究明して、その原因をただすと同時に、組織の面での改革と職員の意識改革、両方を徹底して進めてまいらなきゃならぬと思います。  同時にまた、職員につきましては、公務員としての使命感をきちっと持ってもらって、そして公務に精励してもらいたい、そういう状態になるようにしていくのが私の務めだと思っておるところでございます。
  123. 高野博師

    高野博師君 この大蔵省の汚職の問題についてはまた別な機会に質問いたしますが、単なる綱紀粛正とかあるいは公務員の倫理法の規定等だけで解決できる問題ではないと私は認識しておりまして、問題の本質はもっと根の深い構造的なものだというふうに思っております。  ところで、松永大臣に若干個人的なことをお伺いいたします。  埼玉県草加市に特養老人ホームの草加園があることを御存じでしょうか。
  124. 松永光

    国務大臣松永光君) お答えいたします。  承知しております。
  125. 高野博師

    高野博師君 この草加園に関していろんな問題があるということは御存じでしょうか。
  126. 松永光

    国務大臣松永光君) 私は、問題があるということはつい最近まで知らなかったんです。  しばらく前に、「財界展望」という雑誌が私のところに送られてきました。読んでみましたら、大きく「「衆院予算委員長」の名も出た」という見出しになっております。そして、私それをさらっと見てみたわけでありますが、ああ、これは私の評判を落とそうとする人たちのしたことかなという感じを持ったわけであります。  念のために、ここに出ておる内田さんという人は、これは実際上自分の土地を提供して始めた草加園なんでありますけれども、実は私の父の代からの草加地区の古い農家でありまして、つい三十年ぐらい前から現在草加園のあるところに大きなゴルフ練習場をやっている人でした。そのゴルフ練習場をやっておったわけでありますけれども、バブル時代に実は株に手を出して失敗して、そしてゴルフ練習場を閉めて、将来のために何か社会に役に立つ仕事をしようということでこの特養を始められたというふうに聞いております。  そして、そこの理事長になっている新井さんという人がおるわけでありますが、これもまた私の父の時代からの応援者で、その付近でも有名な旧家名門、その程度のことは知っておりますけれども、それ以外のことは全く私の承知していないところでございました。  念のために、この内田さんというつい最近まで市会議員をしておった人でありますが、この人に、何か不正なことでもしたのかねと、草加市議会等で随分問題になりましたから。いや、先生、全く不正なことはありません。ただ、草加市議会で市議会の中の政争の絡みで問題になって時々新聞に出ていることで、不正はないから先生御心配なくということでありましたので、そのとおり私は受けとめておるわけでございます。
  127. 高野博師

    高野博師君 私、個人的な名前を挙げようと思わなかったんですが、大臣の方から名前が出てきましたので、この内田さんという元市会議員でありますけれども、株に失敗した、その後老人ホームをつくり出した。どうしてそんなお金があるのか、私は不思議に思います。  この草加園ができる途中、平成五年の七月に衆議院議員の選挙があったときに、松永大臣はこの特養ホームの駐車場を選挙事務所にしておられたのは覚えておられるかと思うんですが、平成六年五月二十六日、オープニングがあったときも出席をされております。新進党を除名になった今井代議士も出席しておりました。  ところで、大臣の秘書の方は、この草加園の開設準備に何らかの形でかかわっていなかったでしょうか。
  128. 松永光

    国務大臣松永光君) この雑誌によるとMというふうに名前がなっておりますけれども、これは前田という男でございます。  草加園の建設途中でありましたけれども平成五年七月の選挙、その当時はまだ建設途中であいておった。古くからの私の支援者でございますから、そのあいているところを駐車場等に使わせてもらったことは事実であります。  何でその前田君という名前がここに出てくるかというと、ゴルフ練習場でございますから、その練習場の経営者の内田さんという人はシングルクラスのゴルフのうまい人なんです。前田というのもゴルフがうまいです。しょっちゅう一緒にゴルフをやっておったという関係。  実は、前田君というのが私の選挙の手伝いをするようになったのは昭和六十一年の選挙からでした。私の父の時代は、草加は非常に私の父の応援者が多かったんですけれども、だんだん私の方は弱くなってきた。それで、古い連中を掘り起こさなければ選挙が難しいことになりまして、いろいろな人に相談しましたら、前田という者が体もあいているし、それからゴルフを好きな人は大体知っているぞということで、六十一年の選挙から私の選挙の草加地区の手伝いをしてもらったと。六十一年の選挙、平成二年の選挙、平成五年の選挙は半々だったと思う。私の選挙の手伝いと鴨下さんの選挙と半々じゃなかったかと思うんですが、そういったことで私の応援もしてくれたということであります。  できた後に御招待がありましたので見てみましたら、理事長は私の平成五年の選挙までその地区の責任者的な役割をしていただいた有名な旧家の新井さんでありましたので出席をしたと、こういういきさつでございます。  申し上げておきますが、この関係で私はどこにもだれにも物を頼んだり、あるいはまたその関係で飲食をしたり、ましていわんや金品を受領したりなどということは全くございませんから、念のために申し上げておきます。
  129. 高野博師

    高野博師君 実は、この特養ホームの草加園をめぐって数々の問題、疑惑があります。  一つは、今おっしゃられた前田秘書が秘書という立場を利用して、草加園の開設認可とかあるいは建設補助金等の事案がうまく運ぶように埼玉県あるいは草加市に働きかけていたということが言われております。前田氏については、この老人ホームができてから一年間施設長の立場にありましたけれども、これは鴨下一郎議員の秘書も兼ねて、公設秘書でありますので兼職をしていたということがあります。  もう一つ、前田氏は施設長の資格を持っていなかったという事実があります。  もう一つ、この老人ホームの法人認可日が二つある。一つは、これは虚偽なんでありますが、問題はその補助金が国と県と市で五億一千万円、これが法人格のない、すなわち認可のされていない時期にこの団体に支出されていたということが明らかになっております。建設用地の売却に絡む疑惑、あるいは社会福祉・医療事業団、これは厚生省所管の法人でありますが、二億円の融資に関する問題等があります。特に問題になっているのは、法人の認可日が平成六年四月二十五日であるにもかかわらず、平成六年一月十日ということで、これは県の方から市の方にこういう通知が来ております。しかし、原本では四月二十五日ということになっておりました。  したがって、国と県を合わせた補助金が約四億一千万円、これと市の補助金が一億、五億一千万の補助金が法人格のない団体に出されていたということになりまして、これは重大な違法行為でありますが、厚生大臣、これはいかがしましょうか。
  130. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) ただいま先生が御指摘されましたように、補助金の交付が法人の認可の以前になされているわけでございます。これについては、あくまでこれは不適切な事例ではなかろうかというふうに考えております。  このような関係のないよう都道府県に対して十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  131. 高野博師

    高野博師君 不適切じゃなくて、これは違法と違うんでしょうか。
  132. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) 必ずしも違法とも言い切れないところがあるんじゃないかなというふうに思います。  県によっては、確実に施設ができる、また法人ができるというようなことを確認して法人の認可を行うという事例も中にはあるというふうに聞いております。必ずしも一般的な事例ではございません。ただし、違法とまで言えるかどうか、これは言い切れないところがあろうかと思います。しかし、著しく不適切であるということは事実だろうと思います。
  133. 高野博師

    高野博師君 確実にできるかどうかは、できてみなければわからない話でありますから、これは不適切ではなくて明らかに違法だと私は思います。いかがでしょうか。
  134. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) たびたびの御回答になりますけれども、現実に社会福祉施設また社会福祉法人をつくる過程を見てみますと、まず建物をつくる、それからそれを運営する法人をつくっていくということが一般的によく行われるケースでございます。  老人ホームの場合は二年程度建設に要するというのは一般的なケースでございます。したがいまして、建物がある程度でき上がったという場合、当然新設の法人の場合でございますけれども、ある程度建物が先行する、そしてそれに伴う国庫補助金等が出ていくというケースは必ずしも珍しくはないということでございます。
  135. 高野博師

    高野博師君 必ずしも珍しくないという随分いいかげんなやり方をしていると私は思います。  そこで、この老人ホームができた当時、厚生省から埼玉県庁、そして草加市に出向していた人はどなたでしょうか。
  136. 近藤純五郎

    政府委員近藤純五郎君) 御指摘の社会福祉法人草加会の法人の認可の平成六年四月でございますけれども、この当時、埼玉県の高齢者福祉課長に茶谷滋、それから草加市の福祉部長に吉田秀博という者がそれぞれ厚生省から出向しておりました。
  137. 高野博師

    高野博師君 茶谷滋氏と吉田氏、この二人が、補助金の交付の時期、このつじつまを合わせるために文書をつくっていた可能性が私はあると思います。  そこでもう一つ、社会福祉・医療事業団、これは特殊法人ですが、この二億円の融資については草加園の開設の四カ月後に出されているわけでありますが、事業団の規約によれば、借り入れ申し込みは事業着工前が原則だということになっております。  その点につきまして厚生省に聞きますが、事業団の規則に反して特養開設後の融資をした例はほかにあるんでしょうか。
  138. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) 社会福祉・医療事業団の融資につきましては、原則といたしまして、先生指摘されましたように、施設の工事の着工前に申請していただくという原則をとっているわけでございます。これは、融資が実際に拒否された、できなかったという場合、工事について大変迷惑がかかるというようなことを配慮した取り扱いでございます。  しかし、これは原則でございまして、中には着工が非常に急がれるというような場合、また着工後の事情によって資金計画が変動して、どうしても融資を受けざるを得なかったというような事例があるわけでございます。そのような事例につきましては、着工後でございましても、個別の事情にかんがみまして事業団の諸規定の範囲内で融資を行う場合はございます。また前例もございます。
  139. 高野博師

    高野博師君 この融資については異例だと、こう言われているのでありますが、この事業団からの融資に関して、埼玉県とそれから草加市から事業団に対して、本件について特別な扱いをしてくれないかという電話が入ったということが一部雑誌に出ております。この点について、だれからそういう電話が入ったのか、確認をしたいと思います。
  140. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) 事業団に本日確認いたしましたところ、まず埼玉県の高齢者福祉課長から、八月の上旬、八月三日でございますけれども、公文書に基づきまして融資についての配慮を願いたいというふうな文書をいただいております。  この中身は、本来資金を予定しておりました贈与者が亡くなられたということで事業の継続ができなくなった、着工後の融資という例外的な措置をお願いしたいということの文書をまずいただきました。そして、その文書をいただく前に、高齢者福祉課長、これは茶谷でございますが、から福祉貸付部の担当者に電話があったという報告を受けております。
  141. 高野博師

    高野博師君 そういう電話によって特別な扱いをしたということでありますが、これまで明らかになった事実というのは、今、大臣がお話しされましたように草加園の事実上のオーナーは内田元市議、それから理事長の新井氏、これも松永大臣の後援会の幹部だということでありまして、また老人ホーム建設に奔走した前田氏も元秘書である。そして、この時期に埼玉県の県庁には厚生省から茶谷氏が出向していた、そして県内の福祉施設関連事業に大きな影響力を持っていたということが明らかになっています。  そこで、松永大臣にお伺いいたしますけれども大臣の本件についての認識と、それからその後茶谷氏を一昨年十月の衆議院議員選挙で埼玉六区から担ぎ出しをされ、推薦をしているわけでありますが、茶谷氏との関係は何かございましたでしょうか。
  142. 松永光

    国務大臣松永光君) 茶谷という人間の名前は、私は全く知らなかったんですよ。一昨年の十月、結果的には十月が選挙でございましたが、その年の八月ごろ、どうしてもあの選挙区に自民党の候補者がなかなか立てられなかった。名前が出た人はあるけれども、あれは第六支部だったかな、そこの地域に選考委員会を県会議員を中心につくってあったわけでありますが、名前が出た人をだれも支持しないんです。  候補者を立てられなければ県連会長の責任でありますから、そこでだれかいないのかねというわけで話を持ち出したら、上尾の有力者その他の声から、県の高齢者福祉課長かな、それをやっているのがどうも出てくれそうだと。あそこの県会議員全員から、それならばいいねという話が出てきた。それで、私は全く知らぬ人間でございますから、県会議員の諸君にその茶谷というのはどんな人間だ、悪い評判でもあったら困るんだがどうだいとこう聞きましたら、非常によく仕事をしていると。言うなれば、埼玉県の福祉行政のリーダー的な役割をしているんだという話だから、それならみんながいいと言うならいいなというわけで、第六選挙区の県会議員、その他の地域で諮ったところ、全会一致でそれはよかろうとこうなりましたので、県連の組織にかけて党本部に進達したと、こういうことでございます。  私が党本部に進達した後、本部の公認がおりて、そして埼玉県庁で記者会見するという。記者会見をするのに県連会長が立ち会わなきゃいかぬと思って、立ち会ったときに初めてその男の顔を見たんです。  これが私の承知しているところなんです。
  143. 高野博師

    高野博師君 この特養老人ホームに関しましては、先ほど指摘しましたように、元秘書の前田氏がいろんな動きをされた。これは、大臣の指示で動いたのか勝手に動いたのか私はわかりませんけれども大臣の責任は全くないとは言えないのではないか。  大臣がこのたびの就任の記者会見の中で、徹底した綱紀粛正を行う、誤ったこと、誤った人があれば厳正に対処すると、こういう発言をされているのでありますが、自分の後援会あるいは元秘書等、いわば身内のような人間がいろんな動きをしているということに対してやっぱり綱紀粛正をすべきではないか、何らかの措置をすべきではないかと私は思います。  その点について、大臣所感をお伺いします。
  144. 松永光

    国務大臣松永光君) 前田君を私の秘書だ秘書だと決めつけられましたが、今日のように公職選挙法が厳しくなって、秘書であれば連座制が即適用になるという状態ならば、私は秘書という名刺も使わせなかったと思う。  平成五年の七月の選挙のときまで、昭和六十一年、平成二年、そこまでの間、先ほど申したような人間関係があって、選挙区内の後援会を組織するのに非常に有能だと思ってその方面のことだけを頼んで、そしてやってくれた人でありまして、いわゆる秘書というほどまでにはきていないんですね。そしてまた、今の内田氏との関係は、内田氏と前田氏がゴルフその他を通じて非常に懇意であったということで、内田氏が前田君にいろいろ相談したことかと思います。  私自身は、社会福祉法人とか特養とか、そういった事柄についてはとんと疎いんです。また、その設立の手続等もほとんど知りません。そしてまた、この問題についてだれにもお願いしたりしたようなことはございません。これからは、正式の秘書でなくとも、まじめないい青年を選んで使わなければいかぬなと、こういう反省はいたしております。
  145. 高野博師

    高野博師君 秘書というほどではないと言いますけれども、秘書という名刺を使わせたと今おっしゃられましたけれども、これがやっぱり重大な事実だと私は思います。その名刺を使って、肩書きを使って相当のことはできる、やる人もいるというそういう事実があります。  最後に、総理所感を伺って終わります。
  146. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私もかつて自分の秘書の問題を非常に厳しく反省させられたことがございます。  政治家の事務所はさまざまな方が立ち寄られ、また協力もしていただかなければ選挙に臨めるものではございません。その中で、のりを越えないことの大切さを今受けとめております。
  147. 高野博師

    高野博師君 終わります。
  148. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 関連質疑を許します。加藤修一君。
  149. 加藤修一

    ○加藤修一君 同じく公明の加藤修一でございます。  私は、まず最初に、自由民主党本部の銀行からの献金あるいは借入金という問題についてお尋ねしたいと思います。  今国会におきましては、三十兆円の公的資金投入枠を設けて、いわゆる金融システム安定化策、そういったものを審議している最中でございます。あるいは、大蔵省幹部が収賄容疑で逮捕されるという非常にゆゆしき事態に陥っているわけでございます。また、国民は、本当にこの金融危機あるいは経済危機、こういったことを乗り越えていく、そういった先導役を大蔵省あるいは政府・与党に任せていいのだろうか、そういう大きな危機意識を持っている。そういったことは、私も地元に戻りますと、そういうふうに言われるケースが非常に多いわけでございます。  そういった意味では、国民の不信に対して何をもってこたえていけばいいのか。まずもって国民に対して行うべきは、総理としてみずからの襟を正すということではないでしょうかというふうに私は考えるわけですけれども、この辺についてまず御答弁をお願いしたいと思います。
  150. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員から、みずから襟を正せという御指摘をいただきました。それは私自身そのとおりに思いますし、幸か不幸かという言い方は不謹慎だとおしかりを受けるかもしれませんが、例えば通産大臣のときにもそうでありますが、今、総理という立場にありまして、自分のあらゆる行動がすべて報道の対象になる中、みずからを一層戒めるよき機会であると思います。
  151. 加藤修一

    ○加藤修一君 それを踏まえて、自民党はかつて住専処理の税金投入のときに、政府ですけれども、自民党としては銀行からの献金を自粛しよう、そう言ったわけでございますけれども、実際はまだ献金をいただいていると。さらに、過日の予算委員会においても出された問題でございますけれども、九三年に銀行から百億円のお金を借りたということが議論になりました。  そこで、総理にお尋ねいたします。  担保について、総理は、「自由民主党本部が入っております自由民主会館そのものが担保になっております。」、そのように、断言されておりますけれども、私が調べた範囲では、土地、建物の登記簿にそのように書いてございません。全く抵当権の設定はございませんよ。担保は抵当ですから。抵当権の設定はない。答弁と明らかに食い違います。
  152. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私も政党の総裁という立場で、自由民主党においてそれぞれのつかさつかさにおいて行っておりますことのすべてを承知しているわけではありませんが、経理局がその詳細を行っていることを先般も申し上げました。  その上で、議員が今御指摘になりましたようなことでありますならば、ちょっとこれは本当に問題でありますから、私も調べて御返事を申し上げたいと思います。
  153. 加藤修一

    ○加藤修一君 私は、総理が答弁された一月二十九日の日付が入った登記書を持っています、手元に。法務省が出したもの。「甲区(所有権に関する事項)」、これは当然国有地ですから。さらに、乙区に関しましては書いてありませんが、「登記簿に記録されている事項の全部を証明した書面である。ただし、登記簿の乙区に記録されている事項はない。」と。抵当権は設定されていないという意味ですよ。  ということは、総理が言っていた「担保になっております。」ということは明らかに事実と真っ向から違います。
  154. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変恐縮でありますが、今土地と言われましたけれども、これは借り地でありますから、借り地を抵当に供することはあるわけはございません。そして、自由民主会館、その建物が私どもは担保に入っておりますというお答えを申し上げたわけです。  それに対して、今土地の登記が国有地であるからけしからぬという御指摘でありますが、御質問がありましたその衆議院での答弁がとおっしゃいますけれども、御質問土地とか建物とか限定されたものではございませんでした。そして、自由民主会館という建物のことを私は御答弁申し上げたことでありまして、それを建物とわざわざ申し上げなかったのは私の言葉が足りなかったかもしれませんが、同時に、その底地であります国有地に何ら抵当が設定されていないということでのおしかりはちょっと私は違うと思います。
  155. 加藤修一

    ○加藤修一君 明確に話をしますと、要するに建物の関係について私は申し上げたい。建物についても担保権が入ってございません。もちろん、土地は担保にするわけにいかないわけですから。「自由民主党本部が入っております自由民主会館そのものが担保になっております。」と明快に断言されているんですよ、総理
  156. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ですから、恐縮でございますけれども、今、前経理局長をした経験のあります閣僚に念のために確かめてみましたが、担保に入っていると申しております。  しかし、もし過ちがあればいけませんので、もう一度、本日この委員会が終了いたしましたなら、私自身から経理局に確かめて、お答えを申し上げます。
  157. 加藤修一

    ○加藤修一君 なかなか納得できないんですけれども。  要するに、これは法務省で出されている書類、明らかに。担保になっているという場合には抵当権が設定されますよ。違いますか。今答えてくださいよ。
  158. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ですから、今答えろとおっしゃいますから、私の知る限りお答えを申し上げた上で、経理にこの委員会が終わりましたら確かめて、改めてお答えを申し上げますと申し上げております。
  159. 加藤修一

    ○加藤修一君 明らかに建物には抵当権が設定されていない、これは事実でございます。  それと、報告するということをおっしゃいましたが、どこに報告しますか。委員会に報告していただけますか。
  160. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 本来なら、議員の御指摘でありますから、議員御自身にお答えをすればよろしいのかもしれませんが、これは委員会としての意思を理事会で御相談をいただきましたなら、その理事会でお決めをいただきましたルールでお答えを申し上げます。
  161. 加藤修一

    ○加藤修一君 委員長、そのようにお取り計らいいただきたいと思いますけれども委員会の方によろしくお願いします。
  162. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) ただいまの総理答弁もあるわけでございますから、理事会の方でその書類を受けとめたいと思います。
  163. 加藤修一

    ○加藤修一君 ただ、私がまだ納得していないことは、一般的に言いますと、担保に対しては当然抵当権が設定されるわけですよ。しかも、総理がそのように答弁されたのは、全国放映されているときなわけです。しかも、担保になっているということを二回もおっしゃったわけでございますから、もしこれがおかしな形になっていれば、非常に責任は大きいと言わざるを得ないということを私は言っておきたいと思います。
  164. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 再度か再三かわかりませんが、何回かお尋ねがありましたから、確かに私は党から聞いておりましたとおりにお答えをいたしました。  自由民主党は随分長いこと続いてきている歴史を持っております。そして、借金も随分昔から抱えております。そして、恐らく歴代、同じような御質問がありましたならば、そのようなお答えをしたと存じます。  そして、今、議員はテレビの云々ということを言われましたけれども、私はテレビの放映があろうがなかろうが、委員会でお尋ねを受け御答弁を申し上げていること、少なくとも自分の党につき報告を受けておりますとおりを申し上げましたし、今も私のわかります限りお答えをした上で、理事会の御決定に従って御報告をいたすということも申し上げております。
  165. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは次に、突然でございますけれども大蔵大臣質問させていただきたいと思います。基本的な質問でございますので、質問通告はしてございません。  今回のさまざまな不祥事、疑惑の問題、あるいは巷間聞いていること、また事件に実際にもなったりしておりますけれども、住宅購入に当たって官僚の方々が融資を受けているケース、それも無利子とか非常に低い利子で受けている、あるいは無担保で、そういったケースが一つの不祥事としてあったわけでございますが、こういった問題については、大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。
  166. 松永光

    国務大臣松永光君) 具体的な事実を私は承知しておりませんので、一般論として申し上げるほかありませんけれども……
  167. 加藤修一

    ○加藤修一君 事件になっています。
  168. 松永光

    国務大臣松永光君) 個別的な事件を私は知りませんものですから、一般論として申し上げますと、通常金銭をお借りする場合には利息というものを払います。そういった通常の負担なしに融資を受けるということは何らかの便宜を図ってもらったということになるでしょう。それを職務と関係のあるところから受けるというのは問題ありというふうに私は考えます。  しかし、親戚とかごく懇意な友人の場合ならばこれは別でございましょうから、職務と関連のあるところなどからそういった行為をすることは慎まなきゃならぬことだというふうに私は思っております。
  169. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、山一証券破綻処理の問題について。  午前中にも質問がありましたけれども、山一証券の三木前社長が大蔵省の当時の松野証券局長に九一年十二月と九二年一月に飛ばしのことを報告し、その際に一部の顧客企業の損失について簿外処理を指導された、そういうふうに大きく報道されていたわけです。  長野証券局長、これは事実でしょうか。
  170. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 午前中もお答え申し上げたところでございますけれども、当時の証券局長に確認いたしましたところ、多分平成三年の末ごろだったということでございますが、山一証券より顧客との間のトラブルについて話があったのではないかという記憶があると。このような問題につきましては、平成三年十一月に証取法の改正が行われ、基本的に当事者間の訴訟などにより解決されるべき問題、こうなっておりましたので、当局として判断するような問題ではないという考え方に立って自分としてもそのような考え方を山一証券に対し伝えたのではないかと思うと。少なくとも報道にあるような、山一証券に対し損失を簿外処理するということを指導したことはないということでございます。
  171. 加藤修一

    ○加藤修一君 山一証券の飛ばし、簿外債務のことを知ったのはいつになりますか。
  172. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 私どもが山一証券の含み損を簿外処理しておった事実を承知しましたのは昨年の十一月十七日でございます。
  173. 加藤修一

    ○加藤修一君 それは全くの事実ですね。
  174. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 事実でございます。
  175. 加藤修一

    ○加藤修一君 長野証券局長としては、先ほど大臣にもお聞きいたしましたけれども、今回のいろいろな不祥事の問題について、大蔵省信頼回復のために何をすべきであると思いますか。
  176. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 身の処し方、ふだんの日常生活、そして執務まで含めまして、国民の皆様から御批判をいただくということを超え、御信頼をいただくようにいろいろな面で自戒自重していかなければならないと考えております。
  177. 加藤修一

    ○加藤修一君 長野証券局長、あなた自身がさまざまな形で報道されているわけですけれども、いわゆる公的資金を導入するかしないかという非常に大きな問題あるいは不祥事の問題が起こっている最中に、証券局長といういわゆる大幹部でございますけれども、疑惑を持たれている。そういった意味では、大蔵省が今再スタートを切ろうとしているときに、こういう疑惑を晴らすということは非常に大切なことのように思います。  例えば、世田谷区にあります五億円相当の豪華な自宅、これを無担保で購入したというふうに言われておりますけれども、どうやってこれは購入されたんですか。
  178. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 私がただいま住んでおります自宅は、昭和六十三年に土地を購入したわけでございますけれども、家族ぐるみで恐縮でございますけれども、家内と、家内の両親がそのころおりましたものですから家内の母親と、三人で三分の一ずつ分担するということで土地の購入をいたしました。五億円と伝えられておりますけれども、四億に達しておりません。  私の負担の三分の一につきましては、それ以前に実はマイホームのためと思って持っておりました土地をそのとき買いかえのような形で売りました売却代金と自己資金と、それから共済組合からのローンでもってその自分の必要な金額を調達いたしました。
  179. 加藤修一

    ○加藤修一君 共済組合というのはどこの共済組合ですか。
  180. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 国家公務員共済組合でございます。
  181. 加藤修一

    ○加藤修一君 私が聞いている範囲では、共済は上限が二千万と聞いておりますけれども、そのほかの数字的なお話がございませんでした。到底、一公務員が購入できるというような段階ではないように思いますけれども、その辺についてどのようにお考えですか。
  182. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 私が買いかえと申しましたけれども、かつて自分のマイホームにと思って準備いたしておりました土地が、まさにバブルの最盛期でありましたから、結果としては高いとおっしゃられるかもしれませんけれども、九千万円の売却代金でございました。それで買いかえたわけでございますけれども、買った方の土地も今はその三分の一以下に下がっておりますから、当時はそういう値段のときでございました。それに、千二百万円を共済組合から借りまして、二千数百万ほど自己資金で充てたものでございます。
  183. 加藤修一

    ○加藤修一君 土地の購入はどの会社から購入いたしましたか。
  184. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) これは、不動産業者の広告によりまして仲介業者から購入いたしました。契約の相手方に私は会ったこともございませんけれども、契約書上で見ますと、不動産事業を行っておった会社のようでございます。
  185. 加藤修一

    ○加藤修一君 これは、登記簿によりますとリバーヒルという会社から購入しておりますけれども、リバーヒルは実は住専八社のうちの第一住宅金融株式会社、それが債務保証というか債権者になっているわけで、そのときの債権額が三億七千万というふうに言われているわけですが、この辺のことについては当然知っているわけですね。
  186. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 土地を購入いたします場合には、その土地に担保権がついております場合にはそれを抹消していただかなくちゃいけませんので、私はその仲介の不動産業者に売買に伴って前保有者の登記を抹消していただくようにお願いいたしまして、その抹消を確認いたしました。その抹消された抵当権は、登記簿上たしかそのようなことが記載されておったと思います。
  187. 加藤修一

    ○加藤修一君 株式会社リバーヒルが購入した先は五味さんという方ですけれども、五味さんという方は御存じでしたか。
  188. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 私のお隣の方のようでございます。すなわち、御相続がありまして、その半分を売りに出されて、残り半分のところに家を建てられたようでございます。  ただ、その亡くなった方の奥様なんだと思いますけれども、ただいまは別なところにお引っ越しになっておられるようでございます。今はその五味さんのお子さんたちが住んでおられます。
  189. 加藤修一

    ○加藤修一君 私が調べた範囲では、五味さんというのは富士銀行に勤めていて、前香港支店長、現在国際部長であるということでございます。  そもそも、これだけの高額な土地購入に当たって無担保であるということ自体がちょっと私は理解できないんですけれども、拓銀のノンバンク会社エスコリースというところから何らかの融資を受けた経緯がございますか。
  190. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) ただいま申し上げましたように、その一億余りの私の所要資金の調達先は先ほど申し上げたとおりでございます。  ただいまお尋ねの、それはノンバンクでございましょうか、私は全く存じません。
  191. 加藤修一

    ○加藤修一君 新宿の今話題になっている風俗店がございますけれども、(発言する者あり)私はよく知りませんが、こちらに行かれた経験はございますか。
  192. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) お答え申し上げます。  閣僚席からも、それから委員の席からもいろいろとお声が飛んでおりますけれども、私自身、このような機会をちょうだいして、私に向けられました不当な人身攻撃に対していずれの日にか発言したいと考えておりましたので、そういう機会をつくっていただいたことを感謝いたしております。  その上で、ただいま御指摘のありました新宿で、週刊誌等で報道されておるようなところに行ったことは、私は断じてございません。
  193. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、別の件で証券局長にお伺いしたい。  平成五年の七月、そのときには大蔵省で恐らく審議官をされていたと思います。その平成五年七月に複数の大手銀行方々と顔合わせしておりますけれども、いわゆる会食というふうに私も理解しておりますが、その会食の趣旨はどういうことでしょうか。
  194. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 平成五年の七月に私は銀行局の審議官に就任いたしました。その後の銀行との会合の持ちよう等につきましては、現在省内の調査等も行われておりますが、私の復元できる限りの報告をいたしております。  今日の基準、一昨年の暮れに倫理規程が制定されまして、それに従って現在対応いたしておりますが、それ以前の段階、すなわちただいま御指摘のありましたような段階におきましては、今日の倫理規程から見ればという点はあろうかと思いますけれども、当時は、それは社会的な儀礼の範囲で許されることかなという形で銀行の幹部の方と私ども幹部で顔合わせと申しますか、あるいは一般的な議論と申しますか、そういった会食の機会をいろいろな銀行と持っておったことは事実でございます。
  195. 加藤修一

    ○加藤修一君 まだこの関連について質問をしたいわけですけれども、別の機会にする予定を組みたいと思います。  それで、大蔵省の汚職の関係で、いわゆる今回の汚職事件の事実関係、それと背景について内部調査をしているというふうに聞いておりますけれども、その調査対象の部局と対象人数あるいはその結果をいつまでに国会に報告する予定でございますか。
  196. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) ただいま総理の御指示によりまして、金融検査部、銀行局、証券局さらにはそのほかにも金融に関連する部局、国際金融局等がございますので、そこに現在在籍している者及び過去五年間に在職した者、合わせまして五百五十名を上回ると思われますけれども、その者に関しまして内部調査を進めております。  基本的には、これは任意の調査でございますけれども、先般、金融服務監査官というものを発足させまして、単なる申し出ばかりではなくて、周辺の情報分析等もあわせましてより精度の高い調査を行いたいと思っております。  何分にもこういう大勢の調査は初めてでございますので、できる限り早く調査を行いたいと思っておりますけれども現時点でいつということを申し上げる段階ではございません。
  197. 加藤修一

    ○加藤修一君 およそのことでよろしいですから、いつまでですか。
  198. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) ただいま申し上げたようなことで、できる限り急ぎますけれども現時点でいつということを申し上げるわけにはまだ至っていないということを御理解賜りたいと思います。
  199. 加藤修一

    ○加藤修一君 金融服務検査官というのが調査をやっていくわけですけれども、この検査官が対象とする部門はどの範囲になりますか。
  200. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) ただいまのお尋ねは、金融検査官の話でございましょうか、服務監査官……
  201. 加藤修一

    ○加藤修一君 服務監査官。
  202. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) 服務監査官の方の話でございますね。  金融服務監査官は、今回の金融検査部のこの逮捕という事態を踏まえまして、室長以下十名で去る二十八日に発足いたしました。  これは、金融機関等の関係業者と金融関連部局の職員の間の服務というものを監査するということでございますので、金融関連部局におる人間はその対象として含まれるということでございます。
  203. 加藤修一

    ○加藤修一君 これは、さかのぼってOBを含めたという形にはならないんですか。あるいはさらに、将来的には第三者機関に任せるようなアイデアはありますか。
  204. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) 私どもが調べる対象となりますのは、やはり公務員という関係にあります現役ということになります。OBにつきましては、調査権はいわばないわけでございますけれども、仮に現職中に何か疑惑があるということであれば、それはそういう意味では聞き取りをいたすことも考えたいというふうに考えております。  それから、将来のことにつきましては、現時点におきましてはまだそこまでの考えは持っておりません。国税等には法律に基づく監察官制度というのがございますが、現時点のこの金融服務監査官というのは内規に基づくものでございます。むしろ、将来はそういう形でより正式なものにしていくということが一つ考えられるかなというふうに思っておりますが、具体的な方針が決まっておるわけではございません。
  205. 加藤修一

    ○加藤修一君 実際に今回逮捕された検査官についてですけれども、いわゆる検査日を銀行に漏らしている、これは国家公務員法の守秘義務違反にならないか。要するにこの検査官は国家公務員法に照らしてどんな違反が考えられますか。
  206. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) 私どもは、これは国家公務員法の解釈は専門ではございませんけれども、また厳密にはその専門の方からお答えいただきたいと思いますけれども、一般的な守秘義務違反あるいは公務員としての名誉を傷つけるという意味での違反があるのではないかというふうに思います。
  207. 加藤修一

    ○加藤修一君 この検査官について大蔵省として、先ほど来処分の話もございましたけれども、具体的にどういったことを考えているか、あるいは内部調査で過剰接待だけでなく、銀行への情報が遺漏されたといったことについても具体的に調査をする予定であるかどうか、その辺についてお答えいただきたいと思います。
  208. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) この逮捕された二名の案件につきましては、既に捜査当局の捜査になっておりますので、そういう形で刑事手続によって解明をされるものというふうに考えております。  現時点では、私どもはそれを見守ってまいりたい、かように考えております。
  209. 加藤修一

    ○加藤修一君 総理も申されておりますけれども、いわゆる職員倫理規程では限界である、間に合わない、いわゆる公務員倫理法が必要であると、そういう決意をされていることについては非常に関心を私も持っております。こういうことに関しまして、国家公務員資産公開、ある一定の役職以上の国家公務員については給与外収入等いわゆる資産の公開を義務づける、そういったことも大切でありますし、それから国家公務員の内部告発保護法、そういったたぐいの法律の制定も私は必要ではないかと思いますけれども、この辺についてどのように思いますか。
  210. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに、私は倫理規程でそれが効果を発することを期待し、今回の事件によって裏切られ、さらに根本的な対応をしようとすれば公務員倫理に関する法制化を考えなければならないという思いを持ち、そして正式に官房副長官にこれを指示いたしましたというところまで本院でも申し上げました。  そして、本日、政府部内に設けました公務員倫理問題に関する検討委員会第一回の会合を持ったところでございます。内容などにつきましては今後の検討にゆだねられるわけでありますが、いずれにしても早急に作業を進めたいと考えておりますし、自民党におきましても、こういう問題に対する委員会をつくり検討を開始しておられますので、こうした中で勉強していきたいと考えております。
  211. 加藤修一

    ○加藤修一君 質問を終わります。
  212. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で高野博師君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  213. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、和田洋子君の質疑を行います。和田洋子君。
  214. 和田洋子

    ○和田洋子君 民友連の和田洋子でございます。新しく就任をされた大蔵大臣にお尋ねをします。  就任のインタビューに答えて、公正で透明な金融行政への転換に取り組む考えを強調しておられますが、もう一度抱負をお願いいたします。
  215. 松永光

    国務大臣松永光君) お答え申し上げます。  午前中にも大蔵大臣就任に当たっての決意について申し上げたわけでありますが、まず第一には、大蔵省職員二名の逮捕をきっかけにして大蔵行政に対する国民信頼が大きく揺らいでおる、これを一日も早く払拭して、そして国民から信頼される大蔵行政に立て直していかなきゃならぬ。  そのために、逮捕された人の処分については捜査当局に任せるわけでありますが、逮捕に至らないけれども公務員としての倫理に反する行いをした人がないかどうか、そういった点について、三塚前大臣が辞職なさるその直前に大蔵省の中に金融服務監査官室というのをつくっていただいて、十名の担当者を任命していただきました。その監査官室の人を中心にして、武藤官房長を指揮者にして、過去五年にさかのぼって金融関連部局に在職しておる約五百五十名の人たちの内部調査をやってまいりまして、著しく規律に反した人があればそれはそれなりに、軽い人についてはそれなりにきちっとした処理をして、そして倫理確立を目指していきたい、これが一つ。  もう一つは、最近の経済情勢が大変厳しい情勢でありますので、景気回復のための努力をしていきたい、この二つが私としては大事な二つの点ではないか、こう思って、私自身も微力でありますが一生懸命頑張っていきたい、こう考えているところでございます。
  216. 和田洋子

    ○和田洋子君 監査体制をきちんとする、職員綱紀粛正を本当にやるというふうにおっしゃいますが、前大臣からの申し送りというかそういうもので、大蔵省の中に委員会をということでありますが、大蔵省方々が自分の上司または同僚をきちんと綱紀粛正のためのそういう査定ができるんだろうかというのは、国民の大半が不安に思っている、またできないんじゃないかというふうに思っておりますが、その点についてはどう思われますか。
  217. 松永光

    国務大臣松永光君) 著しい法令違反等については専門的な機関が外部にあるわけです。しかし、隠れておるものもあるかもしれません。あるいはそれほどでないものもあるかもしれません。そういったものも含めて、まず内部調査をきちっとやっていこうという趣旨で申し上げたわけでございます。
  218. 和田洋子

    ○和田洋子君 内部調査については疑問が多く残りますけれども、何しろしっかりきちんとやっていただきたいと思います。  そして、第二番目に、二兆円の特別減税公共事業の前倒しの発注などで二、三月中に消費の拡大に相当程度力になるというふうなコメントをされておられますけれども、確かに二、三カ月でそんなことが起こると思われますか。
  219. 松永光

    国務大臣松永光君) 先日、参議院において特別減税に関する法律案を成立させていただきました。それによって特別減税はこの二月から実施されます。具体的には、給与所得者の場合、二月、三月に集中して約一兆円ぐらいになるそうでありますけれども減税が実施されます。  今審議を願っておる補正予算の中に、委員御存じのとおり、公共事業約一兆円の事業費、それから公共事業の前倒しという関係でのゼロ国債分が一兆五千億、それを補正予算成立後直ちに実行に移すということになってきますというと、二月、三月、四月あたりに合計して四兆近い、三兆何千億の実は事業がなされるわけでありますから、それは当然のことながら景気の回復に力になってくる、こう思うわけでありまして、そのことを申し上げたわけでございます。
  220. 和田洋子

    ○和田洋子君 私も国民の皆さんとともにその推移を見守っていきたいと思っております。  総理にお尋ねをします。  総理は、本会議場でもこの委員会でも、またほかの委員会でも何回も、絶対に財政構造改革の方針でいく、そして景気対策も一緒にやっていくというふうにおっしゃられました。しかし私たちは、消費税のアップはもっともっと景気がよくなってからでないと効果がない、特別減税は絶対にやめてほしくない、そして医療費の負担などはまだまだ国民に強いてはよくないというふうに申し上げてきました。国民の声を代弁したつもりでありますが、それが去年の十二月に特別減税の実施を表明されました。それ自体は大変よいことだと思いますし、もっと多い方がいいというふうに思います。時は遅いというふうにも思っております。  そういう政策の転換された理由を、本当に国民は、毎日毎日私のファクスになんかどうしてそんなことを今さらというような声で言ってくるわけです。何回も恐縮ですが、わかりやすく、御答弁をお願いします。
  221. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ファクスあるいはインターネットを通じての御意見と申しますものは、官邸の私のところにもたくさんの御意見がございます。そして、その御意見の中にもちろんさまざまな御意見があります。しかし、少なくとも財政構造を直さなくていいとおっしゃる方はありません。財政構造が今のままでいいんだとおっしゃる御意見はない、これはどうぞお認めをいただきたいと思うんです。  そして、その上で、先行いたしておりました所得減税に対して、消費税の税率は引き上げをさせていただきたい。確かに私自身は、おととしの衆議院選中、日本じゅうを駆け歩きますときにも、二%の引き上げをさせていただきたい、そのうちの一%は地方の財源ということも申し上げながら選挙をいたしました。そして、社会保障につきましても、今のままだったら負担に耐え切れなくなってしまうということも申し上げたと思います。  そして、その上で、一点申し上げておくべきであろうと思いますのは、確かに私どもが予測をいたしました以上に一—三月の昨年の駆け込み需要は大きなものになりました。その分四—六で落ち込むことは覚悟しておりましたが、やがてそれが吸収をされ、秋口には回復をするという見通しを立てておりましたとおりにならなかったことも事実です。  しかし、同時に、医療保険財政がパンク寸前になっております中で、私たちは、医療と申しますか、医療保険あるいは年金の仕組みというものは国民の暮らしのセーフティーネットとして今後ともにきちんと維持されなければならないと思います。高齢・少子化社会の中で世代間の公平というものも頭に置きながら、セーフティーネットとしてこれが維持できるようにするための改正をお願いしなければならない。今後もこれは継続して実は改正をお願いしなければなりませんし、国民的な議論の中でこれを決していかなければなりません。  その場合に、国が仕事をいたしますためには借金をいたしますから、税という形で国民に御負担を願いますから、それぞれの仕組みに応じた保険料という形で仕事をいたしますから、その組み合わせの中で以外に仕事の方法はないわけであります。確かに、私はその中で借金をこれ以上ふやすことについて首をひねり続けてまいりました。同時に、その借金が余りに過大になって、それが子供や孫の世代に対してどのようなものかということも訴えてまいりました。  今、特別減税を初めといたしまして、大蔵大臣からも御説明を申しましたような九年度補正予算、さらには十年度の本予算税制改正、こうしたものを相まって運用していくことで、我々は、金融システム安定とともに、我が国経済を回復の軌道にきちんと位置づけたい、そのためにも国会での御審議をその間に合う時間内にというお願いを申し上げている次第であります。
  222. 和田洋子

    ○和田洋子君 総理がいつも後世にツケを回せない、子孫に借金はふやしたくないというのが、ここで結果的にそれができなかった、それ以上に借金がふえるわけであります。  お答えはいただかなくて結構なんですけれども、先日、広中委員が囲碁の話を、急場、大場の話をされましたが、急場しのぎという感じになるのかなという思いがします。木を見て森を見なかったということになるんではないかというふうに思います。  大蔵大臣にお尋ねをいたします。  前大蔵大臣は、金融システムの安定化対策の目的の第一番は預金者保護であるというふうにおっしゃっておられます。いつも私は地元を歩いておりますと、三十兆円というお金が余りにも大きなお金で、地元の奥さんたちにはちょっとわからない、どんなお金なんでしょうねというふうに言われますので、国の予算が七十七、八兆というお金ですからと言うと、えっ、国の予算の大体半分もですかというふうによく言われます。一生懸命に働いて税金を納めて、それでなおかつやっとの思いで貯金をする、また貯金もできない人もいます。そういう人たちが預金者保護は税金からというふうに言われると、大変拒否反応を起こします。私たち貯金もできないのに、大型の貯金をしている人に何で私たちの税金がというふうな思いだと思います。  銀行やなんかのリストラとか給与体系というのは、先日の新聞にも出ていましたけれども、私の地元もそうなんですが、銀行員なんというのはトップクラスの月給取りです。ある大卒の金融・保険関係の生涯の賃金は三億二千四百二十五万円というふうに出ていました。全産業中で最も高い。それに加えて、運送とかに携わっている人たちを五千三百万円も上回っているというふうに新聞に出ていましたが、そういうことからして、銀行が果たして自分たちのリストラをしているんだろうか、給与体系なんか見直しているんだろうか。そしてまた、地元でも東京でも同じですが、市中のすばらしい一番いいところにビルでも本社でも何でも持っているわけですが、そういう資産を全部処分してからの話なんだろうか。  まず預金者保護ありきというのは、大変国民には納得がいかないというふうな思いがいたしますが、いかが思われますか。
  223. 松永光

    国務大臣松永光君) お答え申し上げます。  委員御承知のとおり、今衆議院の方で審議をしていただいている金融システム安定化に関する二つの法律が通りますというと、預金者保護のために公的資金が十七兆円用意されます。  預金者保護というのは、預金者、国民の皆さん方の預金というものは責任を持って国が保証しますよと、そういうことを明確にし、かつ物的なものをそろえるわけですね。そうすると、預金者、国民は安心して、そして預金もするでしょうし、ましていわんや風評に惑わされてあちらこちらにしている預金を下げに回るということもなくなるでしょう。それが日本の金融システムを安定させるために非常に大事なことだと、こういうことを思うわけでありまして、預金者保護というのはそういうものだというふうに私は思っております。
  224. 和田洋子

    ○和田洋子君 それはよくわかりますけれども国民は、預金者保護ありきじゃなくて、そのさきにやるべきことはやってほしいというふうに思っているのですから、そこをよくお考えいただきたいと思います。  そして、これは二〇〇一年まで全額ということで、それからは一千万以上はしないということになるのですか。
  225. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  預金保険制度自体の本来の規定は、大衆の預金を保護するということで、一千万までの元本を保証するというように書いてございます。ただ、二〇〇一年三月まではいろいろ破綻等が起きるという状況にあるといったこともありまして、非常に信用不安を起こしてはならないということで特別資金援助、ちょっと専門的になりますが、そういう形で全額が保護されるということになってございます。  二〇〇一年三月までという一応規定になっておりますので、法律を見ますと、それはそれ以降はその本則に戻るという形になってございます。
  226. 和田洋子

    ○和田洋子君 私の認識では、預金保険機構の原則は最初から一千万だったはずですが、それが全額ということになって、そして二〇〇一年というふうになるんだなというふうに思います。  例えば、私たちが銀行お金を借りに行くと、資産を調べられたり担保を出させられたりいろいろなことをして、借りに行く人は本当に裸状態の自分を見せなくてはいけない、そういうことでありますから、もし預金者保護というのが二〇〇一年から一千万円以上はされないというならば、今度は預金者側が銀行を選ばなくてはいけない、そういうふうになるわけであります。  有価証券報告書とかそういうのは、国民は本当はよくわかっていないんですね。私たちはそんなことよりも、大蔵省がどういう審査をしたんだろうか、大蔵省が何年前からどのくらいの審査をしてこの銀行をどういうランクにしているんだろうか、そういうことをきちんとカウンターででも何でもすぐ、国民のだれもが預金をする以上は見られるようなシステムをつくっていかないと、預金者が保護されるということは絶対にないというふうに思いますので、御答弁をお願いします。    〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
  227. 山口公生

    政府委員山口公生君) 当局において銀行をランクづけして、それを公表していくとなりますと、大変にいいランクをもらったところはどんどん預金は集まって経営は楽になるでしょうが、これから努力してよくしようとしているところはどんどん落ちこぼれになってしまうというようなこともあります。  したがって、各金融機関が自分の内容をよく調べて、それをディスクローズという形できっちりとやっていく、それでもし今調子が悪くても、こういう努力をしていますということも含めて開示していきながら、国民の皆様の、預金者の皆様の理解を得ていく努力をするというふうにしていくべきだろうと思います。  私どもも、例えば不良債権一つにしましてもアメリカの基準に倣ってやるようにというような指導もしておりますし、またディスクロージャーといっても不良債権だけではございません、どんな商品を売っているのかとか、あるいはどういう方針で経営をしようとしているのかとか、実はたくさんの項目がございます。しかも、ディスクロージャーは商法でも規定がございますし、銀行法でも証取法でもいろいろございますし、それから専門家向けのディスクローズもしております。それから、お客様向けのディスクローズもしております。それをもっと充実していくという努力は私どもぜひ促していきながら、預金者の皆さんが自己責任で選べるような情報の開示というのに努めていくことが大変必要であろうと私ども考えておる次第でございます。
  228. 和田洋子

    ○和田洋子君 私も、銀行が自分のところを調査して、そんなことを信用できるかなというふうに思います。  それなら、やっぱり大蔵省の方が一番、大蔵省も最近は怪しいんですけれども、権威ある大蔵省のそういうディスクローズをぜひお願いしたいと思います。  地方分権についてお尋ねをします。  第一次から第四次の勧告が出されて、近く第五次も出るそうですけれども、それを受けて推進計画というのが検討中であると聞いております。どのくらいの進捗がされたのか、お願いいたします。
  229. 上杉光弘

    国務大臣(上杉光弘君) お答えいたします。  地方分権の推進につきましては、地方分権推進委員会の四次にわたる勧告を最大限に尊重いたしまして、今通常国会が終了いたすまでのできるだけ早い時期に地方分権推進計画を作成いたしまして、総合的かつ計画的な地方分権を進めることといたしております。  このため、自治省におきましては、昨年末に、機関委任事務制度の廃止後における地方公共団体の事務のあり方につきまして、あるいは関係する一連の制度のあり方について大綱を取りまとめたところでございます。地方分権推進計画作成に向けての第一歩が踏み出されたところでございます。  現在、各省庁におきまして、この大綱を踏まえ、地方分権推進委員会の四次にわたります勧告に沿いまして、地方分権推進計画の作成に向けた作業が進められているものと承知をいたしております。
  230. 和田洋子

    ○和田洋子君 都市計画関係以外に三十六ぐらいの分権の事項が要望されていると思いますが、自治省に関してはどんな機関委任が地方に分権されたのか、お尋ねいたします。
  231. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) お答え申し上げます。  地方分権計画の作成時期はただいま大臣からお話ししたところでございますが、それに先立ちまして橋本総理からの強い指示によりまして、前倒し措置できるものは前倒し措置をするということで、自治省におきましての前倒し措置につきましては三つほど行っております。  一つは、昨年の通常国会におきまして、都道府県の局部の設置にかかわります事前協議制がございますが、その見直しを行っております。また、外部監査制度の導入を含みます監査機能の充実などの地方自治法の改正を行っているところでございます。  それから二点目としましては、機関委任事務制度の廃止に関しまして、ただいま大臣からお話ししましたように、関係省庁における法令の改正作業に役立たせるために大綱を取りまとめてお示しをいたしました。  それから三点目は、自主的な措置といたしまして、公の施設を管理委託できる法人につきまして自治大臣による指定制度がございましたが、それを廃止いたしております。  以上でございます。
  232. 和田洋子

    ○和田洋子君 ことしもその予定はありますか、平成十年。
  233. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) お答えいたします。  地方税の関係でございまして、十年度の改正の予定でございますけれども、標準税率を採用しない場合などに、幾つかの税目におきまして自治大臣への事前の届け出制となっておりますが、これを廃止しまして地方団体の自主性に持っていくということを考えております。  また、個人の市町村民税の制限税率につきましてもこれを廃止するということで、十年度法律改正案の中に盛り込む予定といたしております。
  234. 和田洋子

    ○和田洋子君 地方の六団体が地方分権の一番の要望に、財源を伴わない分権は要らないというふうに強く要望されております。とっくにそういうことはやっておられると思いますが、ぜひよろしくお願いいたします。  大蔵大臣が御就任のときに、裁量行政を廃止したいというふうにおっしゃいましたが、その意味というか、実際行われることを大臣お願いします。
  235. 松永光

    国務大臣松永光君) 行政のやり方として望ましいのは透明な行政であり、法律で条項を決めて、そしてそれに基づくことならば民間は自由な活動をしてよろしいと。民間に対して役所の側が自分の裁量でああだこうだするということをしていけば、そこに不公平なことも起こってくるかもしれませんし、あるいはそこで汚いことが行われる危険性もあります。したがって、裁量行政じゃなくして透明な行政、そういったことにしていくのが望ましい、こう申し上げたわけでございます。
  236. 和田洋子

    ○和田洋子君 私は地方分権の中で陳情の政治ということで聞きたかったんです。今、地方分権と言われ、地方と国はイコールであるという理念で出発をしていると思いますが、残念ながら、大蔵省お金がいっぱいあって、地方はそのお金をいただきに来なくてはいけない、それが地方の考えです。  町長以下、議長さんたちが毎日毎日いろんなところから陳情に見えて、大蔵省に行ってきた、建設省に行ってきたというようなことがあるわけですが、事業なんというのは県庁の職員が説明に来るくらいで、あと陳情なんて来ることないというふうに自治省から通達があればいいなと私は思います。どうしても地方では、陳情に行けば、名刺の数がふえれば、その地方の真心というか熱心さがわかる、その熱心さは名刺の数だよというふうな言われ方をしておりますので、もう本当に地方はいつも陳情に来なくてはいけないという、とても変な仕組みだと思います。自治省は、そういう地方分権の第一番の改正で、陳情政治を取りやめるというふうな通達を出すべきだというふうに思いますが、いかがですか。    〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕
  237. 上杉光弘

    国務大臣(上杉光弘君) お答えいたします。  まず、陳情政治を取りやめるべく通達を出せということですが、限られた予算で、その予算の中に組み込みます事業について全国各地から競争が激しければ、当然その事業も、めり張りのついた内容であるのか、詳しいことをお伝えいただくというか説明いただくというか、あるいは自治省の指導を求めるとか、そういうものも含めて政府にそういう形での働きかけが今まであったことは事実でございます。これを一遍になくする通達を出せと言われても、限られた予算で事業を推進し予算をつけていくということになれば、非常にそれは難しいことかと存じます。そのことをお答え申し上げます。  多くの地方公共団体が陳情などに多大の経費とエネルギーを費やしておられることはよく承知をいたしております。全部歩どまりだとは思っておりません。大変だと思っております。  このような状況を改めるために、地方公共団体の自主性、自律性を高め、総理がいつも言っておられます、今まで国、都道府県、市町村と縦にあったものを、今度はもう村も町も市も都道府県も国も横に一緒に並べるんだ、これはもう大改革なんですね。おっしゃるようなことを含めて大改革をしよう、総理はそうおっしゃっておるわけでございまして、そのような地方公共団体の自主性、自律性を高め、国と地方の関係を上下の縦の関係からこれを対等、協力の横の関係に置くという大改革、行政改革、分権の推進をやろうと。これが今度の改革だと私は認識いたしておりまして、もう徹底的に自治省としてはこれに取り組まなければならない、このように思っておるところでございます。  御指摘のように、国と地方の役割分担をさらに明確化いたしまして、地方分権を強力に推し進めるべきでございます。私は、住民に身近な行政というのはできる限り住民に身近な地方公共団体が担っていくことが基本ではないか、そのようにもこの分権推進とあわせて考えておるわけでございまして、特に重要なことだと思っております。国から地方公共団体への権限の移譲、特に市町村への権限移譲に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  なお、地方分権推進委員会の勧告では、都市計画の決定権限など、先ほど局長から申し上げましたように、権限移譲の具体的な項目を示しておるわけでございまして、各省庁において所要の作業が進められておるものと認識をいたしております。  また、地方分権推進委員会では、七年七月三日から十二年七月二日の五年間、あと残りました期間は二年五カ月程度でございますが、橋本総理から、この残された期間に市町村への権限移譲を含む国及び都道府県の事務権限の移譲などの問題についてさらに検討を進めていくようにという旨の要請が強くなされたところでございまして、これを受けまして今後第五次勧告に向けて調査、審議を進められることになったと承知をいたしております。  基礎的な地方公共団体でございます市町村への権限移譲がスムーズに進むようにさらに審議を進めていただき、実りあるものとしなければならない。大いにこの審議を見守り、期待をいたしておるところでございます。
  238. 和田洋子

    ○和田洋子君 大蔵大臣がおっしゃいました裁量の政治、裁量行政から決別、そして陳情政治がなくなるように、官僚の接待とか官官接待とか、それが大きな温床になるというふうに思いますので、早くそういうことが実現されるようによろしくお願いいたします。  次に、今全国の自治体で食糧費問題というのが大変問題になっております。これについて大臣、どういうふうにお考えですか。自治大臣、お願いいたします。
  239. 上杉光弘

    国務大臣(上杉光弘君) 地方公共団体における官官接待というか、食糧費の問題でございますが、これが不適正経理として扱われておるとするならば、これは地方自治体に対して信頼を損ない、著しく住民の間に不信感を惹起させるものであり、まことに遺憾であると思っております。
  240. 和田洋子

    ○和田洋子君 この食糧費問題が出ている県と出ていない県というのがあるんですが、出ていない県は全然ないということは絶対に私はないと思いますけれども、開示をされていないということなのでしょうか。  大臣はどういうお考えですか。
  241. 上杉光弘

    国務大臣(上杉光弘君) お答えいたします。  食糧費問題があるところとない県がある、ない県は開示されていないのかと、こういうことでありますが、そのことについて私、明確に承知をいたしておりません。
  242. 和田洋子

    ○和田洋子君 なければいいという問題ではないというふうに思います。絶対に自治省、各県にそういうことがないような言い方とか何かあるんではないかというふうに思いますが、それは残念です。  私は、この原因の一つには、国の予算と県の予算または市町村の予算の項目とか地方に合った予算の使い方とか、そういうことが違っているために起こっている。例えば、官官接待とかそういうことであれば断じて許せないわけでありますけれども、残業の問題とか旅費の問題とか、そういう問題もたくさん起こっています。この事業費の中で何%の残業しか認めないとか、我が福島県なんかは県土が広いわけですけれども、旅費の規定はこれまでだよというような国の決められ方が各県に合っていないというふうな思いがします。  そういうことは思われませんか。
  243. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 地方団体におきますいろんな予算計上の仕方、これはそれぞれの県において実態に応じてやっておると思いますが、今、委員が御指摘になりましたような、例えば時間外をどういうふうに計上するかという問題は、いわゆる国の補助事業でありますと、補助事業に一定の事務費を見ると、その中で旅費とか時間外をどういうふうに見るかという問題がございます。それから、単独事業につきましては、地方の単独事業の中でそれぞれの地方団体の判断で見られるということであります。  一定の基準が決められたものもございますが、いずれにしても私どもは地方団体に日ごろから、今、委員指摘のような問題が生じていることもございまして、予算執行の実態をよく把握して、予算執行の実態と計上の仕方が必ずしも一致していなくて適正でないというものについては、これは積極的に改善をしてほしいということをいろんな機会を通じて申し上げているところでございます。
  244. 和田洋子

    ○和田洋子君 もっと早く国が地方に合った予算の使い方、計上のさせ方をしていたらこんなに大きい問題にはならなかったのじゃないかなと私は思いますので、ぜひ早くにそういうことをしていただきたいと思います。  農業問題についてお伺いします。  今、日本の農業を取り巻く環境が大変厳しいとかいうまくら言葉を言わなくてはいけないような厳しい農家の方たちの事情があります。中山間地の農家とか小規模の農家を育てながら集積農家を育成していくというのが国の大きな政策だったのですが、今実は一番困っているのが大規模の農家の方たちです。そういう思いをぜひ知っていただいて、これから質問をさせていただきます。  瑞穂の国の日本の農業を守るために一生懸命農家を育てようとする、この日本の国の農業を守ろうとする行政なのか、それとも環境保全型農業というのはそういうことから少しずつ撤退していく農業なのか、その理念をお聞かせいただきたいと思います。
  245. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、撤退という言葉を使われましたけれども、その撤退という言葉が意味するイメージをどういうふうに描かれているのか、ちょっと私には理解に苦しむところがございます。  というのは、我が国の農業というものが、その生産活動を通じて食糧を安定供給する、これは本来の農業の役割でありますけれども、それに加えまして豊かな緑を国土の中に残していく、あるいは環境の維持形成に貢献していく、こういうことは従来から言われてきました。また、事実その役割はあったはずなんです。  ところが、近年、化学肥料が多用される、あるいは農薬が不適切に使用される、そしてそれが例えば飲用水の水源となるような河川の水質を悪化させるとか、環境に悪影響を及ぼすという面からも逆にこうした問題が議論をされるようになりました。  同時に、これは大変ちょっと私ごとにわたって恐縮ですけれども、私の郷里は岡山県です。私のふるさとの村は構造改善を非常に早い時期に終わった地域でありますが、水田は現在、私どもの幼いころにはございましたけれども、全くございません。全部挙げてブドウに集中しております。そして、そういう特色を持った地帯としてそれなりの生育を続けております。私の本家もそうです。  そして、その意味では私は、実は農業という言葉にいろんなイメージをみんなが重ね合わせるようになってきたと思います。しかし、その中でだれもが疑わないもの、それは一つは食糧供給力の保持であり、それは通じて自給率の維持向上という方向にも結んでいくと思います。  同時に、消費者がより安全な農産物を求める空気の非常に強くなってきております今日、あわせて環境への負荷をいかに減らすかという視点から、そうした視点を持ちながら、なおかつ持続的な生産を可能にする農業、そういう意味合いで環境保全型農業という言葉が使われ始め、そして農政の重要な課題としてこの言葉は位置づけられ、推進に努められているものだと私は理解をいたしております。  それはむしろ生産者の皆さんの安全をも確保することでありますし、これが後退のイメージを持つという誤解がもしありますなら、これはぜひ解いていただきたい。私は、我が国の農業が消費者にも喜んで支えられていくためには、これは本当に必要なことだと思っております。
  246. 和田洋子

    ○和田洋子君 それを聞いて安心をいたしました。  本当はこの環境保全型農業の意味の中には、農家の方たちが一番気にしているのは、ヨーロッパ型の休田をすればお金をやる、デカップリングとかそういう意味でのお金を出すとかいう意味になってきて、日本の国も今は三年に一回は農家の皆さんは休まなくてはいけないというような減反政策なのでありますが、そういうことからして、今まで農業に対して環境保全という言葉よりももう本当に米価とかそういう強い言葉でした。  そして、この間の省庁の再編のときは農林省がなくなってしまうんだろうなんということも取りざたされて、とても農家の方たちは驚いておられたのですが、今回農林水産省がそのまま残るという形で安心をしておられますが。農業を本気で頑張っている人たちのそういう意味も込めて、環境保全型農業がよかったというふうに思います。  ウルグアイの予算についてお尋ねします。  ウルグアイ・ラウンドの農業合意というのは、六カ年の新しい事業である、なお従来の農林水産予算に支障を来さないというのが一番最初の理念であったというふうに思います。しかし、昨年六月の財政構造改革のときから二年の延長ということになりました。これはやはり農家の方たちとの約束をほごにしたんじゃないかという思いがありますが、いかがですか。
  247. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。  公共投資につきましては、我が国の財政状況を踏まえまして財政構造改革の一環として見直すこととされたところであります。  その中で、現行の公共事業の長期計画は、例えば十年間の計画である土地改良については四年延長し、それ以外の長期計画については二年延長することとし、これにより投資規模の実質的な縮減を図ることとされたところであります。これとあわせまして、六年間のUR対策のうち公共事業の農業農村整備事業については二年間の期間延長を行うこととされたものであります。  この見直しは、非常に厳しいものではありますが、事業の重点化、効率化、コスト縮減の推進等により事業効果の早期発現に努めるという趣旨をいわば生かしたものであります。
  248. 和田洋子

    ○和田洋子君 のど元過ぎれば熱さを忘れるというふうに農民は思っています。重荷になったウルグアイ対策費の削減の意図があるのではないかというふうに全国の農民は思っていますので、その点をよく感じながら、大臣、お願いいたします。  最近の農道とか林道、かんがい排水事業、農林水産省の所管に係る公共事業で事業実績の是非をめぐって議論をされています。原因の一つに、第四・四半期に入って三千億円あるいは四千億円という対策予算補正で追加され、十分な準備や検討期間を確保できないままに予算が執行されてしまう、そういうことに問題があるのではないかというふうに思いますが、どう思われますか。
  249. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。  ウルグアイ・ラウンドの公共事業につきましては、補正予算はUR対策を計画期間内に確実に実施するとともに、米をめぐる厳しい状況に対処するため稲作と転作の高度化、効率化等によるいわば生産基盤の整備を緊急に行うものであります。したがって、この補正予算は、平成九年度内に緊急に整備を行うことにより稲作と転作の高度化、効率化等に資する地区であって冬期間の事業の実施が可能と考えられる地域を対象としております。  なお、本年度の農業農村整備事業につきましては順調に事業が進捗しており、平成九年度補正予算を加えた一—三月の予算額は平成八年度の同期間の事業実績をやや下回ることから見ても年度内の執行は可能な範囲であるものと考えております。  また、今の時期にいわば少しくこういう予算を組むことは、ある意味では事業面で無理があるのではないか、このような御指摘もいただくところでありますが、これは冬期にできない面的な整備ではなくて、トンネルとか用排水路をつくるとか、あるいは事務所とか機械の設置とか、むしろ冬期の方が事業がしやすい面があるものもあるわけでありまして、それらを重点的にやるということであります。  少なくも、農村にいろいろな御不満があることは十分承知をいたしておりますが、最近、むしろ農村の皆さんから、よく政府は前向きに取り組んでくれたという御評価をいただいていることも私の耳にはたくさん入っております。
  250. 和田洋子

    ○和田洋子君 私の耳には入っていませんので、お尋ねをします。  平成九年度補正予算案で千七百二十五億円の関連対策予算を組む一方で、農林水産予算の総額は前年比九四%に抑えられました。従来の予算を縮減させてUR関係の予算を捻出したんじゃないか、やっぱりこれは合意に反するというふうに思っておりますが、いかがですか。
  251. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 私は再三、衆参の予算委員会等でも申し上げましたけれども、UR対策というのは国民との約束事でありますし、国際的にこれを受け入れるということはそのまま国際化の波をかぶるという、農業農村にとっては大変に未知の世界へ引き入れるといいましょうか、大変な不安をもたらしたものですから、この約束事は体を張って守るときちっと申し上げてきたところであります。  その一つの例が、最近自主流通米が平成九年米の場合は何と一一・五%も急速な下落をしました。これらについては緊急米対策を大蔵大臣に再三折衝し、御理解を願ったところであります。  以上です。
  252. 和田洋子

    ○和田洋子君 当初の予算の中に一般の農政費と切り離したUR枠を設置する必要があるのではないかというふうに常日ごろ思っておりますが、大臣、いかがですか。
  253. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 本対策につきましては、さきの通常国会におきまして予算審議財政構造改革会議においていろいろ御指摘、御議論もいただいたところであります。これまでの実績を慎重に検討いたしまして、より効果的な事業内容を求めた結果、このような見直しを行うこととしたところであります。  その見直しに当たりましては、現場のニーズを踏まえた即効性のある事業を充実すること、先生は御専門ですけれども、すなわちライスセンターですとか、あるいはカントリーエレベーターとか、それぞれの地域でもう切望しているものもありますし、生産、流通あるいは集中出荷等の設備の充実等に特に力を入れてバランスを変えたということが言えます。すなわち、公共事業に対しては二年先送りをし、従前六、四とされたものを約五対五にしたのもそれらへの配慮であります。
  254. 和田洋子

    ○和田洋子君 終わります。
  255. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で和田洋子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  256. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、及川一夫君の質疑を行います。及川一夫君。
  257. 及川一夫

    及川一夫君 大変御苦労さまでございます。とりわけ大蔵大臣には、大変問題が山積している中ですから、私は個人的にも本当に大変だなというふうに思いながら、ひとつ大蔵大臣の任を全うしてもらうようにお願いをいたしておきます。  私は、これまで与党の立場でずっと補正予算あるいは本予算すべてにかかわってまいりました。そこで、時間も限られておりますので、当面する大蔵問題と金利の問題についてお伺いしたいというふうに思います。  まず冒頭大蔵大臣、午前中にお気持ちとして大蔵の仕組みを変えることが極めて重要だというふうにお述べになりましたが、どんなことをお考えになっていますか。
  258. 松永光

    国務大臣松永光君) お答えを申し上げます。  これは既に先生方が一生懸命になられて、大蔵省の仕事の中から実は金融機関に対する監督・検査、そういう行政分野は大蔵省から切り離して総理府のもとに金融監督庁を置いたらよろしいということを決めていただいて法律も通していただいて、そして遅くとも六月いっぱいにはこれを実行しなきゃなりません。これをやり遂げれば大蔵省は随分スリムになるんじゃなかろうかと、こういうふうに思います。  同時にまた、銀行局、それから証券局、これがなくなりまして、大蔵省の中に金融企画局として残るわけですね。したがって、金融行政の中で企画・立案部門だけが大蔵省に残って監督・検査の部門は全部総理府傘下の金融監督庁に行く、これが一番目の改革だと思います、それをやり遂げることが。  二番目のそれ以後のことにつきましては、先生も大分苦労なさったことと承っておりますけれども、三党合意、あれの文書をそのまま受けまして実行していかなきゃならぬ、こういうふうに思っているところでございます。
  259. 及川一夫

    及川一夫君 私は、財政、金融の分離という問題は、言葉どおりではなしに、もう端的に言えば大蔵省全体を見直すということにつながる問題だと思っています。  したがって、今現在の大蔵省全体の問題をとらえると、一つは予算編成という問題について、これは特に総理なんかは長年携わってきているからどういうことかなということをむしろお尋ねしてもいいんですけれども、要するに大蔵省予算編成の権限がある、こういうことが言われていますね。しかし、憲法八十六条では予算の作成は内閣ということになっておるわけです。設置法の方には権限がある、こう書いてあるわけですね。これも法律の整合性からいくと一体どういうことになるのかなという思いもいたします。それから、作成するということも大蔵省の設置法の中に書かれているわけです。憲法では内閣が作成するということになっている。  そういう問題などを含めて、さらには徴税権については、これは関税の問題を含めて、これまた大蔵に主税局という形でありますね。さらには、国の財産を管理する権限も大蔵にある。さらには、金融全体について大蔵大臣がお触れになった問題、これも権限がある。  私から言うと、いろいろ調べてみると、とにかく百七十二ものいわば許認可にかかわることがわずかに大蔵省設置法の四条、五条、これだけでそれぐらいの数があるわけですね。一体これで本当に一つの省庁ということでいいんだろうかということを考えるんですが、大蔵大臣、どう思いますか。
  260. 松永光

    国務大臣松永光君) 大蔵省の権限が大き過ぎるという御意見は私が大臣に就任する前からしばしば耳にしておりました。しかし、行政の執行というのは継続性がなければなりませんし、一歩一歩改革していくものだというふうに私は思っております。  そういう観点からいいますと、先年、先生方の大変な努力で金融に対する監督と検査、これが全部大蔵省から切り離されて金融監督庁になると、三百七十三名も大蔵省から出ていくわけでありますから。そして、大蔵省に残る金融に関する部局は金融企画局という小さい局だけになる。相当なスリム化への努力でありますし、これを確実に実行することが当面の私の務めと、こう思っておるわけであります。  その余の部分は大変大きな問題でありますから、さらに論議を深めていただいてお願いしたいわけでありますが、当面は一月二十日付の三党協議、これを文字どおり受けとめて実行していくのが私の立場だろう、こう思っております。
  261. 及川一夫

    及川一夫君 もう少し進めてもらいたいなという気がいたしますね。大体今の御答弁なら行政官でもおやりになる。  現実に財政と金融の切り離し問題で、しからば大蔵として嫌だ嫌だと言うからどういう制度にすればうまくいくのかというふうに聞いたら、今の制度が一番いいと言うわけだ。今の制度が一番よくて何で住専問題が出るんですか、何で大和銀行問題が出るのかということを問いただして初めて今の担当の人たちがやむなしと、こういう気持ちになったという経過があるんです。  ですから、私はどの省庁に比べてもこれだけの権能を持っている省というのはないんだろうと思いますね。したがって、根本的に見直してみるという作業が私は必要だというふうに思うんですが、いかがですか。
  262. 松永光

    国務大臣松永光君) 今の金融監督庁の設立の次に来るものは実は金融に関する行政の中で危機管理に関する企画立案、これだけが残って、あとはまた大蔵省から離す、こういったことが第二段階であるものと私は承知しております。そういう考え方で一つずつ一つずつ改革を進めていきたい、こう思っておるわけであります。
  263. 及川一夫

    及川一夫君 それじゃ、ちょっと官房長にお伺いしますが、今の金融関係の定員の配置はどうなっているのか、具体的に述べてください。
  264. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) 現在の金融監督庁への御質問だと思いますが、予算上は四百三人の配置を織り込んでおります。長官官房に七十名、検査部に百六十五名、監督部に六十八名、それから証券取引等監視委員会に九十八名を予定しております。
  265. 及川一夫

    及川一夫君 私は、国際金融局を除いて四百八十七名という数字をいただいております。そういう前提に立って物を申すんですが、大蔵大臣も言われたように、三百七十三名は監督庁の方へ行きます。しかし、その他一般行政にかかわる企画立案の部分は残る、金融企画局という形で。しかも八十六名残ることになっているんですよ。  しかし、総理も御存じのように、行政改革会議、さらには与党間の十者協というのがあります。そういったところでは金融破綻並びに危機管理に関する問題は残すがその他は全部持っていく、こういうことになるんですが、それは御存じですか。
  266. 松永光

    国務大臣松永光君) お答え申し上げます。  今申されたことが一月二十日の三党合意で決められた文書の中にはっきり入っておるわけでありまして、それが第二弾の改革だというふうに私は理解しておるわけでございます。
  267. 及川一夫

    及川一夫君 官房長、大体、金融破綻とか危機管理というのはどんなお仕事をやるんですか。
  268. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) 三党合意におきましては、金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案についてはさらに政府部内において調整をした上で分離をするという、大蔵省に残される者と監督庁に移される者とを振り分けるという趣旨のことが書かれております。  私どもは、金融危機管理というものが、いろんなことがあり得るわけでございますけれども、一つは今回の金融安定化二法のような大きな、国全体といいますかあるいは地域経済全体に影響を及ぼす可能性のある、そういう金融不安というものに対応するものがその中で一番大きなものなのではないか。金融機関の個別の破綻処理というのは、それは危機管理ということ、あの言葉の中にはどちらかというと入らずに、監督庁のお仕事になるのではないかというふうに考えております。
  269. 及川一夫

    及川一夫君 大蔵大臣、金融破綻、危機管理という言葉は非常に重く受けとめますが、仕事の内容は何であるか、さっぱりわからないですよ。だから、残る金融企画局、八十六とかありますが、これがすべて金融破綻と危機管理じゃないんですよ。したがって、この中で半分以下は消えますよ、どんなことを言ったって。したがって、金融破綻とかいうお仕事というのは三十ないし四十名だと私は聞いている。そういう前提でその人たちも移っちゃったということになると、財政出動のために三十名も四十名も、総理、これは必要なんでしょうか。私は本当にわからないのですよ。  だから、私としては、大蔵省が一番問題にしたのは、いざ財政出動といったときには大蔵大臣に権限がある、これとの兼ね合い、並びに国際会議に出たときの話なんですよ。そのために三十名も四十名も金融企画局というような格好大蔵に残すんですかということが問題の焦点なんです。これはまだ解決しないんですよ。どうでしょうか。
  270. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 議員よく御承知の上でお尋ねでありますけれども、今政府が公の場におきまして御答弁をいたすとすれば、与党の合意のものをそのままにお答えするということにならざるを得ないと思います。また、私はそれが与党三党に対する、政策責任者に対する礼であると思います。そして、私どもは今与党三党からいただきました財政金融についてのお考えをそのままに受けとめて基本法の中に考え方を位置づけようといたしております。  その上で、私は、先ほどから議員と大蔵大臣の御議論の中でやはり一番変わるもの、それはまさに金融行政につきまして、検査・監督というものが、金融監督庁が発足することになるわけでありますけれども、それ以前の問題として、従前の事前管理型の行政が事後チェックに変わるという部分、そしてこれが例えば行政定員で考えました場合にどれだけの事務量の削減につながるのかというのは、これはちょっと私も素人ですからわかりません。しかし、一番大きな行政の変化は事前管理型行政から事後チェックに変わる。  そして、これはたまたま財政、金融の直接の部分ではありませんが、非常に近接をした問題として、財政投融資につきましても、例えば郵貯等の資金運用部への預託を廃止する、これは大きく変化を生ずることでありまして、そうした要素は事務量の計算としては相当正確にやらなきゃいけないんじゃないでしょうか。預託を廃止する。しかし、私は財政投融資の必要性はなくならないと思います。その場合には、当然ながら市中においてこれを調達する、そこまで考えて数字は置きませんと、今必ずしも正確な要員数をこの中からはじき出すというのは、多少まだ問題を整理し切れておらない部分を残しておるように思います。  ただ、基本法におきましては、与党三党の合意でまとめられましたものを正確に受けた形で対応してまいりたい、その点はどうぞ御理解をいただきたいと存じます。
  271. 及川一夫

    及川一夫君 総理からお答えがございましたから、それはそれなりに別に私は否定はしないんです。問題になってくるのは、結果的にそういうお仕事をやる場合に、一体当分の間というのはどのぐらいなのかということ、つまり移行する期間でしょう。あるいは、当分の間というものを永久にと言う人もいるそうだけれども、そんなことを言って国会論議をして、たとえ与党論議であろうと、そんなむちゃくちゃなことをおっしゃるなら考えようがありますよというふうに私は申し上げたい。  いずれにしても、ビッグバンという問題が二〇〇一年に来るんですよ。二〇〇三年には省庁関係のあれは完了しようというわけですよ。この間にすべてを決めなきゃ何の意味もないということだけは僕は総理に申し上げておきます。  それから、次の問題として、不祥事が起きました、申しわけない、おわびをする、二度と繰り返さないようにしたい、こうおっしゃるんですが、私はもう聞き飽きたというよりも、これは何も行政府だけを言っているんじゃないですよ。民間の経営者の皆さんもそうでしょうが、よく見ましたよ、去年一年、頭の下げるところを。しかし、その後何も起きていませんか。起きているんですよ。  ですから、謝る、あるいは二度と起こさないと、私はできもせぬようなことは言うべきじゃないという気持ちなんですよ。必ず起こるんですよ、これは。いつ、どんなときに、どんな理由で起こるかわかりません。なぜなら、社会だって刑法もありますよ。いろんなこういう悪いことをしちゃいかぬということがあるにもかかわらず、泥棒、詐欺、殺人、起きているじゃないですか。ですから、私はむしろ起きるということを前提にして倫理法や何かをつくるべきだ、こういうふうに思っていますが、総理、これはいかがですか。
  272. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いつぞやこの問題は、たしか与党協議の場であったと存じますけれども、私は倫理規程でいきたいということで、今と同様の御意見を議員が述べられましたのに対し、少なくとも公務員試験を受けようという諸君にそれだけの倫理観はあるはずということを申し上げました。しかし、今回、本当にその倫理規程を整備いたしました上でこうした事件が起き、倫理規程だけではこれは完全に徹底できないということを思い知らされました。それだけに本当に残念であります。  その上で、こうした事件が起こるなら倫理法をつくらざるを得ないと。一月二十八日、公務員倫理に関する法制化などの検討を官房副長官に指示いたしました。本日、政府部内に設けました公務員倫理問題に関する検討委員会第一回の会合を開きました。自民党の方でもそういう検討を既に開始いたしております。  いずれにいたしましても、倫理法というものを考えざるを得ない。その場合に、していいことを列記するのか、しちゃいかぬことを列記するのか、法体系としてはいろいろな考え方はありましょうけれども、いずれにしてもこれは真剣に検討をしなければならなくなっておりますし、いたすつもりであります。本当に残念だと思いますが、倫理規程だけで済まないということは承知をいたしております。
  273. 及川一夫

    及川一夫君 我が党も具体案を提案して論議をさせてもらっていますから。  それで、私はもうずばり言って、収賄というのはどういうものを言うて、接待というのはどういうもので、量定的にはどうなって、さらにそういうことをやったらこんな処分をする、処分に値するというようなことをはっきり書く必要が私はあると思っているわけであります。  その上に立って、事件が発生したら、自動的にという言葉はよくないが、ぱっと適用されるというような倫理規程にすべきでありますし、さらに行政官というか監督責任の裁量権というのは、それ以上の者をやることはいいけれども、それから下の者を何か適当に裁量してしまうというようなことはやらせてはいけない。それから、そういう規程に反することをやりましたということで本人が申し出てきたら免責、免罪というようなものを入れる。私から言えば、ある意味のアメリカ型かもしれません。そういったものを念頭に置いて、これだよと、これに違反したら公務員はやられますよということをはっきり意思表示する、覚悟の上で公務員になってもらうというふうにするようなものでないと私はなくならないという思いがいっぱいでございますので、そういった点をぜひ検討していただきたい、こう申し上げます。  それから、次に申し上げたいのは、大蔵大臣、金融服務監査官というのをセットいたしましたね。これは官房長訓令という方法らしいんですが、これはどういう意味なんですか。
  274. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) 一般に、機構を新設いたします場合には、毎年度の予算編成過程におきまして要求を行う必要があります。そういう正式な手続をとる場合には、既存の組織の合理的再編成ということがまず前提となって、極めて厳しい機構の新設の議論が行われるわけでございます。  今回の場合には綱紀保持のために緊急に対応しなければならないということで、内部の訓令によりまして、当分の間の、しかも他の官職との併任職という形で監査官制度を設置いたしました。一般的に緊急に官職を設置する場合にはこのような対応が広くとられているわけでございます。  仮にこの金融服務監査官を専任の恒久的な機構ということにする場合には、平成十一年度予算等におきましてきちっと検討する必要があるわけでございますが、この訓令で緊急に設けたというのは、そういう意味で設けさせていただいたわけでございます。
  275. 及川一夫

    及川一夫君 総務庁にお聞きしたいのでありますけれども、課長以上の組織がえをする場合には政令、調査官、企画官等は省令、それ以下については定員上決まっておるのでいろいろ職務付加とかいうような言葉で任務がえをするという扱いになっているようですね。  ところで、監査官制度というのは各省の行政の組織がえ、機構がえ、改廃という問題に値しないんですか、これは。
  276. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) ただいま官房長の方からお話がございましたように、今次の金融服務監査官あるいは監査官室の設置につきましては、大蔵省のいわば省内の訓令によるものでございまして、本来総務庁がとり行っておりまする機構審査の関連ではございませんでして、さような取り扱いになったかと思っております。
  277. 及川一夫

    及川一夫君 意見は後で申し上げることになるでしょうが、要すればこういうレベルの人たちで果たして監査官とか調査官というのは務まるのかなという思いなんですよ。そんな軽いものかいな、これはと。だから、官房長クラスで訓令でもってちゃっちゃっちゃっと機構をつくるなんというのができるのかなと思ったりするんです。  大蔵大臣、その役割、任務についてもう少し明確なことを言っていただけないでしょうか。
  278. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) 御指摘のとおり、この金融服務監査官というものをしっかりとした組織にするためには、専任の恒久的な機構とする必要があろうかと思います。ただ、そのためには十一年度の予算要求を待たなければならないということがあるものですから、当面の措置といたしまして内部の訓令ということで設けました。  これは恐らく、十一年度要求ということになりますと、金融監督庁が発足するのがこの春でございますので、その検査・監督に係るこの制度につきましては金融監督庁におきまして次の予算要求をするかどうかを判断されるものと思います。  また、大蔵省に残りました金融企画局に関する仕組みというものがどうなるかについても、私どもとして考えてまいりたい、かように思っております。
  279. 及川一夫

    及川一夫君 大蔵大臣
  280. 松永光

    国務大臣松永光君) 御答弁申し上げます。  今、官房長が御答弁申し上げたとおりでありますが、経過は委員よく御承知のとおり、前三塚大蔵大臣がこのたびの職員二名の逮捕という重大な事態を重く見まして、これは内部的にもきちっとした調査をして、そして許すべからざることをした職員については内部的にもきちっとしたことをしなけりゃならぬだろうと。内部の調査でありますから、なかなか大変なことは大変でございますけれども、弁護士さんに協力をしてもらうなどということも含めて相当徹底した調査をして、そして現在の大蔵省に対する不信感というものを一日も早く払拭しなきゃならぬ、そういう思いでこの制度をスタートさせたというふうに私は理解をしております。  しかも、先ほど来申し上げておりますように、六月までの間に金融監督庁を総理府のもとで設置しなきゃならぬわけでありまして、そちらの方に三百七十三名行くことになりますね。立派な人を送り出さなきゃなりません。その前にこうした調査を済ませておかなければならぬ、こういうわけで緊急を要することになりましたので、先ほど来官房長が申したような経過でつくられた、こういうふうに御理解を願いたいわけです。
  281. 及川一夫

    及川一夫君 大企業にある考査室のようなものを大蔵あたりもそろそろ考えるべきじゃないかなという感想を持ちます。  金利の問題に移らせていただきます。  日銀総裁、どうもありがとうございます。  最近のG7全体の金利を見たときに、我が国の公定歩合というのは一体どの辺におるんでしょうか。
  282. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 我が国の公定歩合の水準は現在〇・五%ということでございますけれども、これは今御指摘がございましたG7の各国の中では最低の金利でございます。
  283. 及川一夫

    及川一夫君 あっさり最低だと言われてがっくりくるんですけれども、昭和五十五年から、一九八〇年からこの方までずっと見ますと、本当に最低なんですね、どこの国に比べても。ドイツと比べて四年間だけちょこっと上回ったことはありますけれども、とにかく最低ですよ、これ。  これはどういう意味を持つのかなというのが私は理解できないんです。経済的な条件とか財政力とか技術力とか、あるいは製造業というものを見た場合でも、全く掛け値なしだと言っておられる我が国の金利が何で一番最低なんですかということが私は理解できない。これはどういうことなんでしょうかね。
  284. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私どもが現在の水準にまで金利を引き下げましたのは今から二年余前のことでございますけれども、その当時の我が国の経済情勢におきましては、非常な円高によりますいろいろの効果等もございまして非常に経済の活動水準が低下をいたしておりました。このままで置きますというと物価全体がいわゆるデフレの状態に陥りまして、その悪循環が生ずる心配もあるというような時期でございました。その時期に、私ども経済全体をてこ入れいたしまして、経済活動が円滑な自律的な回復の軌道に乗ってまいるように金融政策の面でもできる限りの強い対策を講じる必要があるということで現在の金利まで引き下げを行ったわけでございます。  その後、今日まで二年余の間の推移を見ますというと、それは経済全体につきまして、やはり低金利は企業資金調達コストを非常に軽くいたしますので、企業の収益力の面ではプラスに働くわけでございます。そういう点から、企業におきましては設備投資もふやす、また生産もコストが下がっておりますので拡大をすることが容易になる、そういうことから企業活動の下支えをやる役に立ってきたというふうに考えております。企業活動がそうやって下支えをされることによりまして、雇用の面におきましても、ゆっくりではございますけれども改善をいたしてまいりましたし、また給与水準につきましても、この間に低下をするというようなことなしに、緩やかでございますけれども上昇するという効果がございました。  ただ、現状におきまして私ども経済の情勢を判断いたしますと、なお現在停滞色の強い経済情勢でございます。純輸出とか一部の設備投資とか経済を支える要因はございますけれども、全体として見ますとまだ家計は非常に慎重でございまして、消費支出が盛り上がりません。そういうことから、企業の在庫がふえまして生産も増加をしないという状態でございます。  私どもとしましては、いろいろこの低金利が家計の面の金利収入に非常に影響を及ぼすということは十分承知をしているのでございますけれども、やはり経済全体の活力がもう少し高まりまして自律回復の軌道に乗っていくようにいたしたい。それによりまして雇用もふえる、あるいは賃金も上昇するということになりますと、家計も自信を持って消費もふやされるという効果が期待できると思うのでございます。そういう点から、現状なお低い金利水準を維持しているのでございます。
  285. 及川一夫

    及川一夫君 前段で言われた点は経済学的な問題なんでしょうね。だから、それに反論する気はありません。  しかし、現実はどうかという後段の話です。日銀総裁も大変影響を与えて申しわけないという意味のことをおっしゃった、一体なぜこうなるのかというところを。それは政治の面からやらなきゃならぬことはあります。しかし、政策委員会があるわけですから、ここから一たん掘り下げて議論してもらいたい、何で銀行が貸し渋りをやるのかということ。  それから、銀行自体に活気がありません。活気がないということは何か目標を持たないからじゃないでしょうか、不良債権ばかり気にしちゃって。私は一般の預金者に金利を払いなさいと。率は何%にするか問題でしょう。しかし、私は二%ぐらいにするぐらいの発想でなければ、それを銀行目標に据えれば銀行は二%の金利を払うために貸さにゃいかぬでしょう、一生懸命稼がなきゃいかぬじゃないですか。そういうものが全くないという状態ですよ、〇・五%なんというのは。だから、銀行は自分を守ろう守ろうとして、結果的には貸し渋ってしまって経済全体がおかしくなってしまっている。これは日銀は本気になって考えるべきですよ。  私は政治をやっているから、私の言ったことが圧力だと考えられたら困りますよ、これは。圧力じゃありません、提言なんですよ。大蔵だって一名ぐらい政策委員がいるんだから、問題の提言があるでしょうが。そういったことを考えて日銀の政策委員会が何かやっていただかないと、本当にこれは後の祭りじゃ済まない問題だというふうに考えるので、総裁、もう一度どうですか。
  286. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 銀行に厳しい目的を与える面から申しても低金利政策を改めてはどうかという御指摘でございます。金利政策につきましては、私どもも中央銀行といたしまして日ごろ本当に真剣に考えていくべき問題であると考えております。  ただ、私どもが現在仮にこの金利を引き上げました場合に懸念されますことは、これによりまして市場の金利やもろもろの金利が上昇してまいりますので、つれて銀行資金調達コストも全般的に上がってまいります。その場合、もちろん御指摘のように銀行は収益を維持するために経費節減その他の合理化の努力も強化をしていくに違いないと考えてはおります。しかし、全面的に金利が上昇をいたしました場合に、調達の方の金利でございますけれども銀行としましては、自分の営業を持続して一定の収益を上げ、そして信用を維持してまいりますためには、やはりその調達コストの上がりました分は多かれ少なかれ貸出金利の方に転嫁をしていくことになるわけでございます。それは十分努力をした上でなおそういう状態になりますというと、それが企業資金調達コストの上昇を招きまして、それがまた設備投資や生産の採算を悪化させるということから、経済全体の活力が強化される点についての支障になる面がございます。  こういうことでありますので、全体としましての経済の活力を下支えしてまいりまして、そのことによって経済全体が力を高め、それが一般の皆さん方の雇用や賃金にもよい影響を及ぼしていく、そういう状態に持ってまいりたいというのが私ども考えでございます。  ただ、私どもも今後もちろん引き続いて金利のあり方につきましては経済のそのときの実情に応じて真剣に検討してまいりますので、ただいまの御指摘もそういうところに私どもは一つの御指示をいただいたという気持ちで今後の検討を行ってまいりたいというふうに思っております。
  287. 及川一夫

    及川一夫君 お金を借りる方は利子を取られるということを前提にして、経営にプラスになるかマイナスになるか、必要か必要でないか判断するのでありまして、そんなことは余計なことだと私は思いますよ。公定歩合は公定歩合ですよ。しかも、預金をしている人から言えば金利が来るはずだと思っているんですから。それがゼロですから、今は。ゼロと同じような事態なんですよ。これをどうするかということを考えませんと、銀行とかあるいは借りたところは利子が低いからそれだけプラスになったって、肥えているのはどこですか。銀行と経営者だけなんですか、庶民はどうなるんですかということにつながっていくでしょう。  だから、あなたの、総裁の理屈は理屈として私はわかりますよ、そんなことは。しかし、どんな金利になっても借りる借りないは経営者が責任者として判断されることなんですから、少なくとも銀行銀行としての役割を果たすような指導というのが私は必要ではないか、こう思っています。  それで、総理発言ということになるとこれは容易じゃないんですが、ぜひ総理も政治の面からいろいろあれすることは結構なんですけれども、私は限界があると思いますよ。  そういったことを前提にして、もう少し金利政策という問題についてはまともに議論してもらわぬと困るということを申し上げて、終わりたいと思います。
  288. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で及川一夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  289. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、吉岡吉典君の質疑を行います。吉岡吉典君。
  290. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 ことしの一月一日のある大新聞の社説が「だれ一人として明るい世紀像を描くことができない。」と書いたように、国民は非常にお先真っ暗な状況の中で新年を迎えました。  総理、多くの国民があすへの希望が持てない状況に置かれている、この事態をどのようにお考えになるか、まずお伺いします。
  291. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昨年の暮れから本年にかけまして、我が国の金融機関の破綻、アジアの各地の通貨不安定等、大変苦しい状況で新しい年を迎えたことは議員御指摘のとおりであります。  その上で、全力を挙げてそこから抜け出そうと、政府としては、補正予算、また特別減税、さらに金融システム安定化二法の御審議を少しでも早くから願いたい、用意ができ次第国会に御審議いただきたいとお願いを申し上げてきました。先般、特別減税につきまして、党派を超えて参議院が従来の慣例を破り、二月一日から特別減税が実施できる状態をおつくりいただいたことには心から感謝をいたしております。
  292. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 政治の責任は国民に希望を与えることだと思います。ところが、その国民の希望を奪うような事態が起こっているところに今の重大な問題があると思います。毎日のマスコミをにぎわしている大蔵省金融機関との癒着による一連の疑惑事件、これは国民の政治への不信を決定的なものにしたと思います。  日本の現状を一層暗いものにしているこの問題について、大蔵大臣、どうお考えになりますか。
  293. 松永光

    国務大臣松永光君) 今回の大蔵省職員二人が収賄罪の容疑で逮捕されたという事態を私は厳しく受けとめております。そして、このことによって大蔵省への世の国民信頼が大きく揺らいできておる、極めて重大なことであるというふうに認識いたしております。  そこで、事件についての真相解明は捜査当局が鋭意やっておるわけでありますのでその結果を待つことにいたしますが、私といたしましては、綱紀粛正を徹底するという意味もあって、前三塚大臣が退任の意思を表明される日に大蔵省内に金融服務監査官という制度をつくっていただきましたので、それを十二分に活用して内部調査を徹底してやりたい、そしてそれに対する調査の結果を見て適正な処置をして綱紀粛正を徹底してやりたい、こう考えているところでございます。
  294. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 大蔵省の疑惑事件は、二人が逮捕されたということだけでなく、この何年間相次いでいるというところに深刻さがあると思います。そしてまた、大蔵省だけでなく、おととしから去年にかけては厚生省の疑惑事件がありました。それに続く今の大蔵省疑惑事件です。  国民の中に、大蔵省に対する信頼が揺らぐだけでなく、政治そのものが信用できない、こういう状態をつくり出していると思います。したがって、疑惑は大蔵省だけでなく他の省庁は大丈夫かというところにまで広がっている、そういうふうに思いますが、総理、いかがですか。
  295. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほど来、他の議員にもお答えを申し上げたことでありますが、私は公務員の倫理性というものを信じておりましたし、公務員試験を受けて公務員たらんとする諸君にはそれだけの自負心があるものと信じておりました。ですから、倫理規程をきちんとつくれば遵守されると信じておりましたが、今回、真っ向からこれを裏切られました。  そして今、内閣は倫理法制定の検討に入っております。
  296. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 そういう状況ですから、繰り返し答弁の中にある綱紀粛正とかあるいは謝罪とか決意表明、こういうことは国民の側から見ればもう聞き飽きた、こういう状況だと思います。そして、今もお話がありましたが、金融服務監査官あるいは公務員倫理法、こういうものを設置あるいは制定するということで信頼は回復するほど簡単な事態ではないと思います。本当に国民が納得できる抜本的施策が求められております。  それはなぜかといえば、例えば三塚前大蔵大臣がこの一月十九日の国会で、「一昨年十二月倫理規程発出後は、さようなことは全くない」、「法に触れるようなことはない」と答弁された。ところが、その直後に答弁に反して幾つもの事件が明らかになって、「全くない」という答弁は真実に反する答弁だったということが最近も明らかになっているわけです。  三塚前大蔵大臣はやめられましたが、武藤官房長は残っておられる。そうしますと、国民の間ではどこの部分を信用していいのかという気になると思いますが、そんなことはないと言い切れますか。これは総理にお伺いしましょう。
  297. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 三塚前大蔵大臣が議員が今引用されました答弁をされたとき、私はその横におりました。そして、私は多少ニュアンスの異なる答弁をいたしました。三塚前大蔵大臣が自分の部下を信じて言われたことを、結果として裏切られたわけでありますけれども、それが意図的なうそを言ったように世の中にとられるとすれば、これは大変心外であります。三塚前大蔵大臣は自分の部下を信じ断言をされたのだと私は思います。結果としてそれは裏切られました。  そして今、官房長は自分の職責として、三塚前大蔵大臣の指示を受け、また私がその任務を兼務いたしましたときの指示を受け、過去五年にわたる関係行政に携わった者たちの行動をチェックし、これ以上の問題があるかないか、当然のことながらそれはないことを願います。ないことを願います。しかし、全くないと言い切れるかと言われれば、私も今そこまで自信を持ち切れる気持ちではありません。  それだけに、過去五年間にわたる関係部局に勤務した者を調査する、法的権限はなくてもできる限りの調査をする、しかもこれには外部の専門家としての弁護士の方々の助言も得る、そこまで官房長は覚悟を決め、その調査に当たっております。
  298. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 国会で答弁したことが全く事実に反するものだったということがその直後に明らかになるようなことがなぜ起こったかということを含めて、真相の徹底的究明がまず出発点だと思います。  委員長、ここで笠井議員の関連質問をお願いいたします。
  299. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 関連質疑を許します。笠井亮君。
  300. 笠井亮

    ○笠井亮君 今の吉岡委員質問との関連で私が特に重大だと思いますのは、今日のいわゆる金融不安ということをつくり出す発端とされた山一証券、それから拓銀の問題、この破綻に密接にかかわる点が幾つかございます。  一つは、一九九一年の山一証券の簿外処理、飛ばしの問題が事もあろうに当時の大蔵省の証券局長の指導によるものであった疑いが濃厚だという驚くべき事件であります。  先ほど長野証券局長は答弁の中で、松野元局長平成三年当時のトラブルの問題というのは当事者間の訴訟などで解決されるべき問題だと言っていたというふうに松野氏の言葉を紹介され答弁しましたけれども、私はそれはつまり簿外債務があることを知っていたからこそ、当時、松野元局長が訴訟などで解決せよと言ったんじゃないか、こういう問題だと思うんです。  松野氏は新聞のインタビューに答えましてもこう言っております、「僕は当時、飛ばしは裁判にしろと言っていた」と。つまり、少なくとも大蔵省は飛ばしの事実を当時から知っていた。このことは明白ではありませんか。どうですか。
  301. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) ただいま担当の証券局長がこちらの方に向かっておりますので……。(「休憩」と呼ぶ者あり)
  302. 笠井亮

    ○笠井亮君 私、通告していますよ。これじゃできません。
  303. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 暫時休憩いたします。    午後四時七分休憩      ─────・─────    午後四時十三分開会
  304. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 休憩前に引き続き、再開いたします。  大蔵省に一言申し上げます。  重大な局面を迎えているこのときに、通告を受けながら欠席いたしたことにつきましては、委員長としてまことに遺憾に存じます。  笠井君の先ほどの質問につきましては、質問時間の枠外として取り扱いたいと思いますので、どうぞもう一度御発言を願いたいと思います。
  305. 笠井亮

    ○笠井亮君 吉岡議員の質問との関連で特に私が重大だと思いますのは、今日のいわゆる金融不安をつくり出した、そういう発端とされた山一証券それから拓銀の破綻に密接にかかわる二つの問題を私も取り上げたいと思うんです。  一つは、一九九一年の山一証券の簿外処理、いわゆる飛ばし問題が事もあろうに当時の大蔵省証券局長の指導によるものであった疑いが濃厚だという極めて驚くべき事件であります。  先ほど長野証券局長は、松野元局長平成三年当時のトラブルの問題は当事者間の訴訟などで解決されるべき問題となっていた、このように本人が言っていたと答弁されましたけれども、私はそれはつまり簿外債務があることを知っていたからこそ松野元局長が訴訟などで解決せよと言ったんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  松野元局長は新聞のインタビューの中でもこう言っております、「僕は当時、飛ばしは裁判にしろと言っていた」と。つまり、これは少なくとも大蔵省が当時飛ばしの事実を知っていたこと、これは明白じゃないかと思うんですけれども、その点についてはどうですか。
  306. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) まず、本委員会への出席がおくれまして大変御迷惑をおかけいたしましたこと、心よりおわび申し上げます。委員長にも大変御迷惑をおかけしました。  ただいまの御質問でございます簿外債務と飛ばし、言葉の定義がいささか混同しがちでございますけれども、当時問題となっておりましたのは、顧客が株式投資などをいたしましてその顧客の資産目減りが生じた、顧客に含み損が生じたという問題でございまして、あくまで顧客のバランスシートの問題でございます。  その損失を証券会社がそのまま自分の損として引き取れば、それは場合によっては損失補てんという疑いが出てくる。したがって、その損失は顧客側が本来かぶるべきものであるのか、それとも証券会社が引き取るべきものであるのかというふうな議論が種々ございますから、裁判によってどちらの負担に帰するべきものかということを決するのが一番望ましい。仮に顧客側に含み損のある有価証券がありました場合でも、それは最終的にまたその前の顧客が引き取ったとかという形になればそれは全く問題のない取引であって、通常の現先等の金融取引である、こういう認識でございます。  今回起きております問題は、山一証券の含み損が簿外で処理をされるに至っておったということでございまして、その山一証券に発生しました含み損には、当時の会長の国会での答弁によれば、為替の差損といったようなことまでも含まれておるようでございますけれども、つまり顧客のロスの話か山一のロスが、含み損が簿外になって山一の帳面から落ちたのかという話はちょっと次元が違うということでございます。
  307. 笠井亮

    ○笠井亮君 あれこれ解説を聞いたわけじゃないんです。私は当時から当時の証券局長がそういう事実を知っていたということを言っているわけでありまして、長野局長は昨年の十一月十七日に初めて知った、先ほどの答弁ではこれは事実だとまで重ねて強調したわけですけれども、そういうようになりますと、一体大蔵省はどうなっているのか、まともな引き継ぎもしてないのかということが大変に問題になるということだと思うんですよ。  しかも、松野元局長は国内だと大蔵省が調査しないといけない、海外で処理しろということまで言ったんじゃないかということが言われているわけでありまして、元局長が飛ばしの事実を知った上でさらにその簿外処理の指導をしていたとしたら、これは二重三重に重大な問題だというふうに思うわけであります。  松野元局長の話を聞いた山一側の関係役員らは、確かに簿外でという言葉は使わなかったけれども、三木前社長から松野氏との会談の説明を受けた役員全員が大蔵から簿外処理のお墨つきを得た、要するにあうんの呼吸の指導を受けたと受けとめているということがまさに今問題になっているわけであります。これはもう徹底究明すべきだというふうに思うのであります。  そこで伺いますが、山一のそういう関係者にはだれにどういう調査をして、どういう事実をこの問題をめぐってつかんでいるのか、きちっと報告をしていただきたいんですが、その点はいかがですか。
  308. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 現在、山一証券には、再々御答弁いたしておりますように、官房の検査部と証券取引等監視委員会の合同の特別検査が入っておりまして、実態の解明に努めております。また、これは想像と言っては失礼でございますけれども、捜査当局も本件については関心を持って調べておるのではなかろうかと私は推察いたしておりまして、そういった過程で具体的に明らかになっていくものと思います。  先ほどの簿外の話、重ねて申し上げますけれども、山一証券の簿外債務でない、山一証券に発生した含み損の処理の問題でございまして、顧客に発生しておる含み損のある債権の処理という問題と違う、したがって、いかなる意味でも山一証券の負債を簿外に持っていけという問題はその当時問題になりようもないということでございます。  それから、新聞によれば百貨店の損失ということで海外にという話がございますけれども、これも衆議院予算委員会で報告されておるとおり、その百貨店にかかわります飛ばしの処理は海外では行われてはおりません。これは衆議院予算委員会の方に山一証券から提出された資料でそのようになっております。
  309. 笠井亮

    ○笠井亮君 局長、何回そういうふうに言われても、弁解されても、要するに裏表の関係なんですよ。要するに、知っていたということをあなたが認めているようなものです、当時から。そういう答弁では私は納得できないと思うわけであります。しかも、捜査は捜査だということを言われますけれども、大蔵は大蔵できちっと調査すべきだということはあると思うんです。  しかも、あなたは先ほど、この問題を取り上げたときに、松野元局長がこう言っているということは調査の報告の中で言った。山一については一言も言わない。こういう問題もあるわけでありまして、私はこれでは本当にこういう重大な問題、果たしてそれがあったのかないのかということも含めてそういう指導の問題があったのかないのか、これについて本当に客観的な解明ができないんじゃないかというふうに思うわけでありまして、委員長にぜひこれは要請して御検討いただきたいんですが、山一証券側の三木前社長、それから大蔵省側の松野元証券局長の当委員会への証人喚問を要求したいと思います。
  310. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 後刻理事会におきまして協議いたします。
  311. 笠井亮

    ○笠井亮君 もう一つ、破綻した拓銀についても、接待によって検査結果に手心が加えられて、乱脈経営、不良債権の実態が隠された疑いが濃厚であります。しかも、谷内課長補佐が九五年三月の検査で拓銀側から不良債権の償却費用を損金扱いにする工作を依頼されて応じていたことが明らかになっております。査定を甘くして無税の範囲を拡大して、拓銀の法人税額が大幅に圧縮された、このように見られる脱税の疑惑そのものであります。これは事実でありますか。
  312. 原口恒和

    政府委員(原口恒和君) お尋ねの件についてそのような報道がなされているということは承知しておりますが、事実関係については現在捜査中というふうに認識をしております。
  313. 笠井亮

    ○笠井亮君 今捜査中だということでこれもごまかすことはできない。怠慢だと思うんですよ、私は。こんな重大な問題を直ちに大蔵省として調査しないのは問題だと思うんです。このことを言っておきたい。  伺いたいんですが、その当時ありました不良債権償却証明制度のもとで金融証券検査官がどのような権限を持っていたのか、簡潔に説明をしてください。
  314. 原口恒和

    政府委員(原口恒和君) お尋ねの不良債権償却証明制度は国税庁との協議に基づきまして実施しておったものでございます。金融証券検査官が回収不能または無価値もしくはこれに準ずる債権として証明した不良債権の金額は原則として税法上も損金として是認するということにしております。  ただ、平成十年四月より早期是正措置が導入されるという中で、今後、金融機関の自己責任原則のもとで適正な償却引き当てを行う環境が整備されてきたということから、この制度については昨年廃止をしております。
  315. 笠井亮

    ○笠井亮君 拓銀の一九九〇年度から九六年度の債権償却特別勘定、この年度別の金額はそれぞれ幾らで、うち無税償却の金額は幾らになっていますか。
  316. 原口恒和

    政府委員(原口恒和君) 現在、手元に資料がございませんので、これについては後ほどお答えしたいと思います。
  317. 笠井亮

    ○笠井亮君 私はきちっとこの問題を聞くということを言ってあるわけで、資料がないというのは大変な問題、そんなこともやらないというのは重大な問題だと思うんです。検査官は、銀行の健全性確保のための検査だけじゃなくて税法上もさじかげん一つで無税償却を認める、こういう二重の権限を持っていたと。それが接待によって大蔵省が脱税幇助までしていたとなれば、これはめちゃくちゃだと思うんですよ。  大蔵大臣、まさに大蔵省が脱税の幇助をしていたんじゃないかと、こういうことが言われているわけでありますけれども、徹底解明して国会に報告すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  318. 松永光

    国務大臣松永光君) 大蔵省の金融検査部の職員の問題については、従前から申し上げておりますとおり捜査当局が強制捜査に入っておるわけでありまして、その経過と結果を待つしかないわけであります。その結果を待って、法令に基づいて私としては厳正に対応したい、こう思っております。
  319. 笠井亮

    ○笠井亮君 大蔵省自身の問題でありますから。捜査は捜査です。大蔵省としても内部できちっと調査をする。そして、事実がどうであったのかということを徹底してやるべきじゃありませんか。
  320. 松永光

    国務大臣松永光君) 捜査当局の手に渡っているものにつきましては捜査の邪魔になっちゃいけませんので、それ以外のものを中心に内部的な調査をするという二本立てになっておるわけであります。
  321. 笠井亮

    ○笠井亮君 どういう邪魔になるんですか。
  322. 松永光

    国務大臣松永光君) 現に捜査当局が捜査に入っている場合には、それらの関係の事案は捜査当局にお任せするといいますか、捜査権を持っておる者がより適正に捜査をできるわけでありますから、それにお任せしたい、こう言っているわけであります。
  323. 笠井亮

    ○笠井亮君 これが捜査の対象になっているかどうかわからないわけでありまして、なっているんですね、それじゃ。それはわからないわけでしょう。大蔵省自身が内部でこの問題はどうなっているのかきっちりと調べるべきだ。私はこれは当然だと思うんです。納得できません、それじゃ。  それから、先ほどの資料ですけれども、今手元にないけれども、じゃこれは出せるんですね。
  324. 原口恒和

    政府委員(原口恒和君) 個別企業について、決算上の数字については御報告できると思います。
  325. 笠井亮

    ○笠井亮君 それでは確認しますけれども、拓銀とそれ以外の今問題になっている三和、第一勧銀、あさひ含めて、都銀十行について九〇年度から九六年度までの債権償却特別勘定の年度末の金額、それからそのうち無税償却をした金額と債権リスト、これは大蔵省として出せますね。
  326. 原口恒和

    政府委員(原口恒和君) 個別企業の情報については、守秘義務との関係もございます。そういう意味で、今申し上げましたように、決算上公表されている部分についてはお示しをすることができるということだと思います。
  327. 笠井亮

    ○笠井亮君 それじゃ徹底解明できません。  守秘義務、プライバシーの問題ということで言えば、住専問題のときに、委員長、これは国会法百四条による資料提出というものがやられました。それで、そのときにもプライバシー保護の観点から取り扱いを配慮するということも、先方もぜひよろしくと言われて、その上で具体的に資料も出ているわけであります。  今申し上げた点、資料について当委員会提出をするということで資料要求をしたいと思いますが、委員長、ぜひよろしくお願いします。
  328. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 後刻理事会におきまして協議いたします。
  329. 笠井亮

    ○笠井亮君 終わります。
  330. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 今のようなさまざまな疑惑の徹底的な解明がなければ国民信頼の回復はないと思います。その点で、私は今政府がやるべきことは、こういう疑問のある上にできた三十兆円による銀行への支援策、こういうものを中止して、真相究明のために全力を挙げることを求めます。  次に、国民の非常にお先真っ暗、不安の最大のものは何といっても暮らしの問題、不況の問題であります。まず、不況をどう打開するかという点では、この不況の原因を取り除かなくちゃならない。その点で、何が今の深刻な不況のもとになったかという点については、もうほとんどすべてが一致して指摘するところは九兆円の負担増であった、これは経企庁の資料でもそういうふうになっていると思います。  ところが、総理はこの九兆円の負担増は必要なものだ、適切なものだったという答弁を繰り返しておられます。今もこれは必要なものだったと言い張られますか。
  331. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、消費税の税率の二%引き上げはそれ以前に先行いたしておりました所得減税を埋めていくものとして国民に御理解を求めてまいりました。それは議員御承知のとおりであります。  そして同時に、我が国の社会保障制度が将来に向けて国民生活の本当のセーフティーネットとして将来も存続し得るように、今の医療保険制度における財政の危機的な状況を解決しながら、同時に将来に向けての仕組みを準備していく作業も必要なことだと判断をしてまいりました。そして、社会保障についてもまだこれから先努力をしていかなければならないことは議員御承知のとおりであります。
  332. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 私は今のような不況の原因を取り除く点に前向きでない態度では国民の不安は解消できないと思います。  今、消費税を三%に戻せということは、私どもだけでなく、報道によると自民党議員も地方でこれこそ即効性のある景気対策だと演説をぶって歩いている人がいるというほどです。  どうです、もう全く検討の余地もないとおっしゃるんですか。
  333. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほども申し上げましたけれども、所得税減税を先行させてまいりました。そして、そのいわば先行いたしましたものを埋めていきますためにもこれは必要な選択肢として私どもは選択をしたわけでございます。今、議員からはそれはけしからぬと仰せられますけれども、私は将来を考えましたときにこれは必要な改革であったと考えております。
  334. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 今、社会保障の問題に関連して、社会保障の存続が必要だという答弁がありましたけれども、その答えは医療の連続カットということでありました。  今の不況の原因はどこにあるか。日本総合研究所のレポートはトップに社会保障の負担の持続的増大への不安が第一に挙げられているわけです。したがって、社会保障をどうするかという問題もまた重要です。  私はここで一点総理にもお伺いしたいと思いますが、最近いろいろな方面で福祉、医療、社会保障というのは経済のお荷物なのか、それとも経済を発展させる効果を持ったものかということが盛んに論じられ、また研究もされております。  厚生省、この点で、最近の研究は社会保障、福祉、医療というのは公共事業以上に大きな生産波及効果、雇用効果があるという結果を次々報告していると思いますが、そういう研究の幾つかを報告してもらいたいと思います。
  335. 田中泰弘

    政府委員(田中泰弘君) お答えいたします。  社会保障と経済の関係について述べております論文は数点ございます。また、平成七年七月の社会保障制度審議会の勧告もそういう点を触れておりますし、最近では平成八年三月に医療経済研究機構が福祉充実の経済効果ということに関しまして報告書をまとめております。また、平成七年の十二月に公的介護の充実の経済効果についてということで元長寿社会開発センター企画振興部長がまとめた論文等がございます。これらの論文におきましては、いずれも福祉の充実が必ずしも経済にとって阻害要因となるわけではなく、積極的に貢献する面があるという立場から分析を行っているというふうに認識いたしております。  以上でございます。
  336. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 現在、内閣審議官だそうですが、厚生省の幹部であった宇野さんという方は「介護の社会化は日本経済を救う」という題の論文もお書きになっています。私はこれは非常に重要な考え方を示していると思います。  厚生省、どういう考えですか。
  337. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 今、先生がお挙げになりました論文は今お話しになった人が個人的に書いた論文でございますけれども、論文の論旨は、これまで新ゴールドプランによる介護サービスといった福祉につきましては全く消費の対象というみなされ方をしてきたけれども、この充実が今後の経済発展につながるというのが彼の論旨だったように承知をいたしております。
  338. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 こういう考え方総理もよく御存じだと思いますけれども、今の宇野さんの論文というのは、一九九五年の補正予算が相も変わらず従来の公共投資重視型だということを批判した上で、これを転換しなくちゃいかぬということで、今紹介があったような論理を展開しているわけです。  総理、御存じだろうと思いますが、こういう一連の考え方をどのようにお考えになりますか。
  339. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いろいろなお考えがいろいろな方々から述べられているというお話でありますが、そうした例えば医療・福祉分野というものが二十一世紀に向けての大きな産業構造の変化の中で新たな雇用を創出する分野として指摘されており、そしてそれが相当な見込みを受けているという産構審の答申も私自身も存じております。そして、間違いなく高齢社会というものの中で医療、福祉の産業としての分野、そしてそこにおける雇用の創出、そういうものを否定する方はないでありましょう。  そして同時に、私が申し上げたいことは、そういう大きな産業の一分野としての発展を確保していきますためには、民間活力というものがその中で思い切って動ける基盤が必要であります。そして同時に、国民がその費用をどう負担するかという視点、その場合にセーフティーネットとしての医療保険あるいは年金制度というものを今後ともに維持する必要があるということを申し上げた意味も十分御理解をいただけると存じます。
  340. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 今のお答えにはまた後でもう一度触れるとしまして、最近の研究だけでなく、厚生省は三十五年度の厚生白書でこういう考え方を示しておりますね。  厚生省、この厚生白書で述べている点を報告してください。
  341. 田中泰弘

    政府委員(田中泰弘君) お答えいたします。  昭和三十五年の厚生白書におきましては、当時、経済成長を重んじる立場から、社会保障の拡充は経済の成長にとってむしろマイナスであるという考え方に反論いたしまして、社会保障の充実が積極的に経済の成長に貢献するという面に言及しているものと認識しております。  具体的には、景気の後退期におきましても、年金、医療、失業保険の給付が経常的に安定した消費需要を増大させることによりまして経済の安定を通じて経済成長に寄与するもの、こういった見解を示しているところでございます。  以上でございます。
  342. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 厚生白書は三十三年度、三十四年度版でもこの問題を提起しております。厚生省のこういう社会保障重視の政策に沿って国民皆保険制度が確立される等の前進があったことが私はその後の日本経済成長にも力になっていると思います。  ところが、最近の実態はどうかというと、依然として日本の歳出構造は福祉お荷物論だと言わざるを得ません。宇野さんの論文が批判しているような公共事業優先、国、地方を通じての年間投資はここ数年公共事業五十兆、社会保障二十兆という状態が続いております。公共事業に社会保障の二倍も三倍も投じている国は世界にありません。  ヨーロッパではどうかというと、反対に公共事業に使っている金の三倍、四倍、五倍、こういう額を社会保障に投じています。私は、今の日本の構造をこういうふうに変えること、そして社会保障を充実することが将来の国民に安心感を与える上でも大きい力を持っているし、またそれが経済の面でも効果があるという多くの研究成果が出、政府の文書でもこういうことをいろいろ考えているわけですね。  民間活力とおっしゃったけれども、そうでなく、政府自身がこういう公共事業偏重のあり方を改める、私はこのことが必要だと思いますが、総理、いかがですか。
  343. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) たまたま今、昭和三十五年の厚生白書、これを引用されました。ちょうど私が社会人になりました年であります。そして、当時はまだ中学を卒業して社会に巣立っていかれる若い方々が五〇%近く、たしか四四・数%おられたと思います。そして、豊富な優秀な若い労働力に依存する産業も国際競争力を持つ時代でありました。  私はこの厚生白書の中の見識というものは今日も正しいものが多数含まれておると思います。しかし同時に、この昭和三十五年の厚生白書の中には現在の高齢化の急速な進行あるいは少子化というものは入っておらないと思いますし、社会保障に対する国民の需要の変化といったものも当時とは大きく状況が変化しておることをやはり計算に入れなければならないと思います。その上で、私は社会保障は必要だと申し上げております。むしろ、国民の生活のセーフティーネットとしての役割は今のうちに本当に将来になっても維持できる仕組みをつくっておかなければいけないという私の思いにもつながります。  そして、ヨーロッパの公共事業日本公共事業、社会保障費という対比の議論をされましたが、私は、ジャン・バルジャンのころから下水道ができ上がっており、逃げ歩けるような下水道を持っておりました国と、残念ながら現在なお生活環境を改善し、将来を考えても公共投資に一定の重点を置かざるを得ない我が国と、簡単な対比で済むものではないと思います。
  344. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 時間ですから、終わります。
  345. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で吉岡吉典君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  346. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、木暮山人君の質疑を行います。木暮山人君。
  347. 木暮山人

    木暮山人君 自由党の木暮山人でございます。  このたびの補正予算三案、関連する問題につきまして質疑を行わせていただきたいと思います。  まず、私が近年よく耳にしますことは、景気はどうかといいますと、ゆっくり回復しているんだと。私も、ゆっくりというのは少しずつマイナスじゃない方向に進んでいる、ということは悪い方向ではないというような感じで受け取ってまいりました。  また、総理は金融ビッグバンを高らかにうたい上げまして、その節目は二〇〇一年四月に来るわけでして、以降、預金者全額保護はなくなり、預金者による金融機関の選別が本格化します。  しかし、今回、優先株などの公的資金による引き受けは金融機関救済以外の何物でもなく、まさに大蔵省に守られた護送船団行政を強化し、金融ビッグバンに逆行すること甚だしいものがあると思います。そもそも、各国がBIS規制をクリアするため公的資金を使って優先株を引き受けるような施策をとるようになれば、市場経済の意味は失われてしまうでしょう。  総理はこの法案の成立によって日本じゅうの金融機関に資本参加するという安易な救済をもくろんでいるとしか考えられないのであります。安易な救済は金融機関の経営努力を怠らせ、国際競争力を弱める結果となることは見え見えではありませんか。金融機関がみずからもっと反省し、合理化努力しないで、何を貸し渋りなどと言うんでしょうか。  この問題につきましてひとつ総理の御見解をお伺いしたいと存じます。
  348. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず冒頭に、私は、議員が提起をされました、金融機関自身がもっとリストラへの努力を払え、あるいはもっと積極的に銀行業という業務に対して情熱を持って行動しろという御指摘には全く異論はございません。その上で、どうぞ誤解を解いていただきたいという思いを率直に申し上げたいと存じます。  今回御審議を願いたいと考えております金融安定化策、いわゆる二法、これはまさに金融の危機的な状況に対応していくため、危機管理上の例外的な緊急対策という性格を持ち、三十兆円の公的資金を活用できる仕組みを設けまして破綻処理に際して預金の全額を保護する、また金融機関の自己資本充実を図りますことにより金融システムの安定と内外の信頼を確保しようとするものであります。  既に本院におきましても、北拓の破綻、それが北海道地域経済に与える影響への心配、そして北洋銀行による営業譲渡、その北洋銀行への自己資本充実のための必要性といったことは申し上げてまいりましたので、改めて繰り返しはいたしません。しかし同時に、いわゆる風評被害というものが昨年秋から暮れにかけましての一時期、我が国の金融機関の上に極めて大きな影響を出しかねない危険性がありましたことも議員御承知のとおりであります。  我々は、こういうものに対しては我が国の金融の安定をきちんと担保しなければなりません。同時に、金融機関の破綻に対して、これまで同様、破綻金融機関は存続させないという方針を全く変更するつもりもありませんし、経営者責任などを厳格に追及していくという方針で対処していくことも変わりはありません。  同時に、議員大変御心配をいただきました自己資本充実のために行います優先株などの引き受けに当たりましても、個別金融機関の救済とかあるいは優遇といったことになりませんように、それぞれの金融機関の申し出、申請というものを前提にして、公正中立な審査委員会が厳正な審査基準に基づいて審査の上、決定をするという仕組みをとっております。  そして、当然ながら将来に向けての計画もきちんと明らかにさせていくわけでありまして、そうした意味での透明性の確保とともに、俗に言われる護送船団方式というものの姿はとらないんだということを改めて申し上げたいと思います。  そして、金融システム改革そのものを進めていかなければならないという状況は当然のことながら必要なことでありまして、その早期是正措置を緩和いたしますのも、国際的な活動をいたしている金融機関を対象とするものではなく、これにも一定の制約を加えていることを申し添えたいと思います。  こうした改革のもとに、私どもは自由な、本当に開かれた市場というものができる、そして基盤は安定していく、そう信じており、そのためにもこの二法につきましてもできる限り早い御審議と成立を心から願う気持ちでいっぱいであります。
  349. 木暮山人

    木暮山人君 どうもありがとうございました。これが将来まで的確に実現されることを祈ってやまない次第であります。  次に、九六年一月に経営破綻しました阪和銀行の割り増し退職金問題について質問をさせていただきたいと思います。  報道によれば、割り増し退職金の総額は八十五億円で、一人当たり約千五百万円に相当する。従業員は割り増し退職金が認められない場合はストライキを実施する構えを見せたため、大蔵省、日銀も預金の払い戻しができなくなることを避けるため容認したという。他の金融機関の破綻処理で割り増し退職金を支払った例はないのか。  阪和銀行の割り増し退職金支払いは突然の破綻で生活を脅かされる従業員の心情を酌めばやむを得ない選択だとの見方もあるが、今後の金融機関の破綻処理に大きな影響を与える可能性があることは間違いありません。  支払い額は従業員規程に基づく二十九億円を大きく上回る百十四億円となっております。これに伴う損失の増加は預金保険が負担するとされています。他の破綻処理でも従業員が同じような割り増し退職金を求めてくることも考えられますが、その場合、大蔵省、日銀はどのように判断されるか。また、同じように認めてしまえば、公的資金に従業員対策のみを目的とした負担増加が生ずる。今後、どういうふうに対処するのか、大蔵省か日銀の方に質問したいと思います。
  350. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  阪和銀行の処理に際しまして大変難しい問題が生じました。そのうちの一つがこの労働問題でございます。従前の退職金規程が自己都合の退職しか規定していなかったという背景がまずございまして、それで従業員の組合の方はスト権も確立しストも辞さないという姿勢で退職金の問題に取り組まれたわけでございます。労使紛争の形をとってまいりました。ただ、これはあくまで破綻処理としては最終的な預金保険の適用ということになりますので、私どもからのアドバイスとしては、それは客観的、公正なものでなければならないということで、裁判所の御判断を仰いだらどうかというようなことで民事調停による解決が図られたわけでございます。  もちろん中央労働委員会、地方労働委員会等を活用する方法もあったでございましょう。いずれにせよ、客観的な公正な立場の人から見て決めていただくということで、それの結論が出ましたので、それを尊重して、今回、預金保険機構の運営委員会でもそれが了承されたということでございます。  他にいろいろなケースがあります。例えば、破綻しましても、従業員がほとんど受け皿銀行に引き継がれる場合はこういう問題は生じません。それから、退職金規程がきちっと存在していてそのまま払われている場合はそういう問題も余り生じません。  いろいろ個々のケースで出てまいりますけれども、仮にストライキというような現象が起きますと、この預金保険の制度上はペイオフを行わなければならないという羽目になるわけでございます。そうしますと、せっかく預金者を保護しますと言っていながら、そういったことのためにそれができなくなる。もちろん労使関係というのはまたそれはそれで大変大切なものでございますけれども、そこの調整をやはりそういった客観的なもので担保していくという解決方法を図っていくこととなろうと思います。  今後いろいろな破綻が生じた場合に、ケース・バイ・ケースでいろんなことが生じてくると思いますけれども、基本的にはそういう考え方を貫いていくべきではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
  351. 木暮山人

    木暮山人君 今このような経済のいろんな波乱がだんだん日本国じゅうに浸透していきますと、政治に非常な不信を抱いて、いつどのような問題が生ずるかわからないような現状であります。  そこで、ひとつ総理にお聞きしたいのでありますが、まず防衛庁の防衛省昇格の問題についてお伺いします。  中央省庁一府十二省庁の再編構想の中で、再編された中央省庁がいずれも省となる中で、国の存立にかかわる最も基本的な部分である防衛を担う官庁だけがただ一つ庁であるというのは、周辺諸国から見れば一段と不自然に見えるのではないか。周辺諸国もいずれも国防省を設置している。日本もきちんと防衛省と位置づけるべきである。日本が軍備を増強するとか防衛政策を転換するというようなことがないと脅威には陥らないとは思いますが、それについて簡単にひとつ御答弁をお願いします。
  352. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今回の行政改革会議の論議のプロセスにおきまして、防衛庁を省に昇格させるかどうかにつきましてはさまざまな御議論がございました。そして、最終報告におきましては、防衛庁は現状どおりということになりました。この報告にありますことでありますが、新たな国際情勢のもとにおける我が国の防衛基本問題というものは別途政治の場で議論すべき課題であると考えております。
  353. 木暮山人

    木暮山人君 ちょっと時間がなくなりましたので、申しわけないんですが、簡単にお願いします。  防衛庁は国家行政組織法第三条四項及び防衛庁設置法第二条によって総理府の外局として位置づけられていますが、世界のいずれの国を見ましても国防省が総理府に従属している国は見当たらないのであります。また、防衛庁長官は防衛庁設置法第三条により国務大臣を充てることになっておりまして、防衛庁はいわゆる大臣庁となっております。内閣法第三条一項によるいわゆる主任大臣ではないことから、所管の法律の制定、改廃について閣議の開催を求める閣議請求権を有していないのであります。  さらに、自衛隊法第七条により、内閣総理大臣内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有することになっていますが、内閣法第四条及び第六条により、内閣総理大臣がその職権を行うのは閣議によるとされております。つまり、自衛隊を指揮監督する場合の方針事項の決定は閣議に諮らなければなりません。  しかし、これではペルーの人質事件に見られるような危機に対し十分機能することができないことは明白であります。今のシステムでは日本の危機管理能力はゼロであると言っても過言ではありません。  その意味からも防衛庁の防衛省昇格をすべきであると考えておりますが、総理の御意見を承りたいと思います。
  354. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今御答弁申し上げましたように、防衛庁と防衛省、さまざまな議論がありました結果、防衛庁というものを内閣府に位置づけることで行政改革会議の結論をまとめました。  ただ、ここで申し上げておきたいことは、国防、すなわち国を守るというその任務の重要性を認識し、より大きな尊敬の念を持ち、名誉をもって関係者を遇すべきだという思いは私は人後に落ちないつもりであります。  同時に、我が国の危機管理へのさまざまな対応、その点についての御懸念をいただきましたけれども、我々は日本国憲法のもとで日米安全保障体制というものを堅持して節度ある防衛力を整備する、同時に我が国を取り巻く国際環境の安定を確保する、そういった外交努力を行うことを安全保障政策の基本といたしておりますし、またさまざまな日米間の協力のための指針というものを策定いたしたわけでありますけれども、その実効性を確保する検討の中からまた我々はいろいろ御論議をいただくべきテーマを持つでありましょう。  しかし、今回、危機管理というものも議員から御提起をいただきましたけれども、現在の危機管理システムの中においても、防衛庁の諸君は、言いかえますならば自衛隊の諸君は非常に大きな役割を果たしてくれておる、これに対して私は心からの敬意をこの機会に表したい、そのように思います。
  355. 木暮山人

    木暮山人君 どうもありがとうございました。
  356. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で木暮山人君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  357. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、島袋宗康君の残余の質疑を行います。島袋宗康君。
  358. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 せんだっての本委員会におきまして、質疑の中で時間の関係で深く立ち入ることはできませんでしたけれども、その何点かについてさらにお伺いをしたいと思います。  まず、沖縄の米軍基地の過密な状況がなぜ続いているのか、その責任は挙げて政府にあるのではないかということを私は冒頭質問いたしました。それに対して、総理は沖縄県民の気持ちに一定の理解を示されながら、占領が沖縄だけではなかったこと、また沖縄の施政権返還に目が奪われた点を挙げて、政府がこの責任を回避しているような印象を受けました。  しかし、この問題は非常に重要な問題であります。ここで明確にしておかなければ、一連の沖縄基地問題は焦点がぼけてしまいます。  私は、沖縄への米軍基地集中については、政府に責任があり沖縄側に何らの責任がなかった、それは歴史的事実であるとかねがね主張してまいっております。  いま一度総理の御見解を伺います。
  359. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変失礼でありますが、私はこの前、その問題の所在をお尋ねになりましたので、歴史的経過の中で施政権が返還をされ沖縄県が本土に復帰いたします時点で、その施政権の返還ということに我々自身目が奪われてしまったということに率直に反省の気持ちを申し上げたつもりであります。それがもし沖縄県の皆さんの目から見ると責任を回避したととられるのであれば大変心外であります。  むしろ、もしそうした議論をいたさなければならないのであれば、あるいは沖縄県民と本土の私たちの間、琉球王国時代から廃藩置県を経て琉球処分と言われました不幸な時代、そしてその後におきましても存続をした沖縄県独特の、例えば人頭税が廃止されるまで、本土の各都道府県と同等の税制しかれるまでにどれだけの時間がかかったのか。そして、戦争への道を歩み始めたときにどのような形で沖縄県内に基地がつくられていったのか。あるいはもっと正確に申しますなら、日本の移民史の中において沖縄県民がどのように位置づけられ、それが一部の国々でどんな影響を残したかも申し上げなければならないのかもしれません。  国会の御答弁でそうした長々としたことを申し上げることも控えながら、私は議員の御質問に素直に、当時若かった一人として、復帰の時点において我々は施政権が戻ってくる、沖縄が戻ってくるということだけに目が奪われて、内在する問題まで十分に心がいかなかったかもしれないということを申し上げましたが、それがお気に召さなかったとすれば大変残念であります。
  360. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 いえ、私は、戦後そして復帰後も変わらぬ沖縄の基地の存在というものは、これは政府の責任であるのではないかということを申し上げているのであって、総理のお答えに対して疑問を持っているものではない。ただ、政府の責任であるのではなかろうかということを申し上げているだけです。
  361. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私が今何をどこまで申し上げればいいのかも大変迷うような微妙な時期であります。ただ単に国の責任、国の責任と言っていれば沖縄県の問題が解決するほど安易な問題のバトンを受け取ったとは私は思っておりません。その上で、全力を尽くして少しでも事態の解決に努力をしようとしてまいりました。お認めいただけなければそれまでのことでありますが、大変残念であります。
  362. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄の米軍基地がヘーグ陸戦法規などの各条項に違反しつつ形成されてきたことはさておきまして、少なくとも復帰以降の基地縮小に対して政府はどのように努力されてきたのか。すなわち、政府は復帰後、沖縄の基地集中をどのように改善する努力をしてこられたのか、その努力はどんな成果が上がったのか、その辺について御説明願います。
  363. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) SACOの協定をまとめますのにどのような努力を現内閣として払ってまいったかは議員がよく御承知のとおりであります。その上で、それに対して議員がどのような評価を下しておられるかも私は存じております。  それ以前の過去の政府の努力につきましては、政府委員から御答弁を申し上げます。    〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
  364. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) SACOを行いますことによって五千ヘクタールの縮小、整理、統合を行いたいということで、これは現存の二一%減に相当するものであります。
  365. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 過去、過去の話。
  366. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) ちょっと突然の御質問で、今すぐ資料を手に入れましてお答え申し上げます。
  367. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私はSACOの話をしているわけじゃなくして、それ以前の話をしているのです。
  368. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 確かに今度のSACOでまとめました数字と比べますと、過去に縮小されました面積の規模は非常に少のうございます。それは先生のおっしゃるとおりでございます。  しかしながら、今回のこの推移を見ながら思いますには、いろんな計画が今までもあったのかもしれませんけれども、オール・オア・ナッシングで議論されますと非常に先へ進まない。今度のSACOでもかなり総理が先頭に立たれましてあそこまでまとめたわけでございますけれども、とにかく一歩一歩やっていくことについて、やはり県御当局あるいは沖縄の各市町村の御当局の御理解等も得ながら御協力を得ないとオール・オア・ナッシングではなかなか進まない、そういうのがこれまでにずっとあったのじゃなかろうか、そういう感触を率直に言って持っているわけでございますので、これから先もぜひ地方自治体、住民の方々の御理解を得ながら今度の計画を進めていこうと思っております。
  369. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 次に、この問題に関連し、総理は、米軍施設・区域が集中していること、これは沖縄県の皆さんに長い間大変な御負担をお願いしていることでもあり、そしてその痛みを分かち合う必要がある、国全体で分かち合わなければならないという御答弁をされております。  そこで、総理が沖縄の痛みを分かち合う、国全体で分かち合うと言われるその具体的なこととはどういうことでありますか。
  370. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、議員御自身が今まで私を質問と申しますよりも詰問されましたことに対する私の答えの中から幾つかの事例を見つけていただきたいと思うのであります。  例えば県道越えの実弾射撃の問題、長い間政府がこれに対して県民の心を酌まないというおしかりを受けてまいりました。本年から、本土の中にあります複数の射撃訓練場がこれを受けとめて、それぞれの地域の住民が協力をしつつ実施ができることになりました。こうした例もございましょう。  あるいは、全く違った例を引きますならば、先日知事さんから御要望を受けつくりました修士課程、博士課程の沖縄県の若い方々が留学をされ、いつでしたか出発をしていかれましたが、そのお一人が元気で学んでいる状況のお手紙をいただきました。小さなことかもしれません。そして、それは議員からすれば評価をいただけることではないのかもしれませんが、一つずつそうして取り組んできております。
  371. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 時間がないので前に進みますけれども、さきの予算委員会における総理の御答弁について、今沖縄県の大田知事の言動が各方面から注目を集めております。総理は知事の言動について、県内移設につき特に異論を発しなかったこと、全国知事会に欠席していたことの二点をコメントされております。その際、総理から、大田知事の名誉のためという注釈がつきましたが、私も大田知事の名誉のため再度総理考えをお伺いいたします。  まず、全国知事会に欠席された点については、なぜこの時点、国会の場で全国知事会のことを明らかにされたのか、真意がわかりません。  また、県内移設に異論を発しなかったという点について、知事は従来公の場で基地の県内移設には反対であるという立場を明らかにしております。県民もその姿勢を支持しております。総理に対してそれをあのとき言わなかったということで知事に何らかの責任があると言われるならば、それは総理が沖縄の現状、知事の悩みや沖縄の空気というものをよく御存じないのではないかという気がします。  例えば、総理初めここにおいでの閣僚の皆さんが戦後五十年間のうち沖縄に滞在された日数は累計しても恐らく数週間であると思います。それで沖縄の実情を知ってもらうことは非常に無理だと思いますけれども、私は基地の島沖縄に五十年以上も住んでよくわかっております。現に県内移設という点に関し総理と私は相当な認識の違いがあるようであります。  総理の御所見をお伺いします。
  372. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一点、私の方からそうしたことを申し上げたのではなく、繰り返しいろいろなお尋ねがあります中において、全国知事会議に私自身が臨みました回数は二回でありますが、御出席をいただけませんでしたという事実を申し上げました。    〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕 それには、その席で私が沖縄県の問題を出したけれども、他の知事さんたちも反応してくださらなかったんですということも一緒に申し上げております。  それから、沖縄県に滞在した日数で沖縄の心が理解できていないと仰せられますなら、恐らくそれは返す言葉のない言葉だと存じます。私は恐らく、衆議院自由民主党所属議員の中で、沖縄県にさまざまなことでお邪魔をし泊めていただき、多くの方々に触れた機会も少ない方ではないと思っております。殊に、復帰の前後から昭和五十年代の前半にかけましては恐らく圧倒的に多い方の一人でありましょう。その上で、おまえたち本土の人間には自分たちの気持ちはわからないんだということでありましたなら、これに対して申し上げる言葉を私は持ちません。ただ、そういう言葉を伺うことを私は残念に思います。
  373. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 名護市沖の海上基地建設予定地域内において、国際希少野生動植物種でIUCN、国際自然保護連合のレッドデータブックに絶滅危惧種として登録されているジュゴンが発見されておることはさきの委員会で申し述べました。これに対し、久間防衛庁長官は、ジュゴンは提供水域外だと思いますと答弁されております。普天間飛行場移設対策本部が昨年十一月に出した「海上ヘリポート基本案について」と題する報告書でも、ジュゴンについては、調査の際、調査水域外の海域において遊泳中のジュゴン一頭を目視したと記され、予定海域とは何の関係もないような書き方がされております。久間長官は環境庁等関係機関とも協議しながら所要の環境評価を適切に行いたいと考えていると述べておられます。  以上のような状況を踏まえて、同海域はジュゴンの生息を初めサンゴの分布も見られる貴重な自然環境を保持されていると私は思います。環境庁としてもその保護に重大な関心を持つべきであると考えておりますけれども、大木環境庁長官、どのようにお考えになっておられますか。
  374. 大木浩

    国務大臣(大木浩君) 環境庁といたしましても、今お話しになっております水域にいろいろと豊かな天然資源があるということは十分に承知しております。先般、防衛庁長官からもお話がありましたように、私どもとしましても、今後いろいろな建設が始まるとすれば、それがどういう影響があるかということは十分調査してまいりたいと思っております。  ただ、どういう建設になるのか、どういう規模の例えばヘリポートになるのかというようなことはよくわかりませんので、これにつきましては今後その状況をしっかり把握いたしまして、例えば法律に基づく国としての環境アセスメントをするのか、あるいはほかの仕方でするのか、その点はいろいろと差が出てまいるという可能性もありますから、これは計画が進行し全貌がはっきりしたところでまた勉強させていただきたいと思っております。  ちなみに、ジュゴンにつきましては、環境の立場からもいろいろ問題があるわけでありますが、同時に文化財保護法で、これは文部省、それから水産物資源の保護法、これは農水省だと思いますが、そういったところでも別途いろいろと関心を持っているというところでございます。  以上でございます。
  375. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で島袋宗康君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  376. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 次に、山口哲夫君の残余の質疑を行います。山口哲夫君。
  377. 山口哲夫

    山口哲夫君 一月二十九日の当委員会におきます社民党の日下部議員の質問に関連して、少し総理の御意見を聞きたいと思います。  日下部議員は要点としてこう述べておりました。三兆円の中で優先株や劣後債を引き受けることになるんだけれども、これは大銀行の救済にならないか、そんな質問でありました。  これに対して、総理は、申請主義だからどこが手を挙げてくるか予断を持って見ることはできない、公正中立な審査委員会が厳正な審査基準を設け全員一致で議決をする、議決後は閣議にもかける、したがって特定行を助けるといった意図でこれを考えているものではない、こういう答弁をされておりました。  しかし、実際にはそういうことで済むだろうかという心配があります。実は、どこの銀行が最初に手を挙げるんだろうかというのは随分注目をしていた問題であります。ある銀行が先に手を挙げるということになると、あの銀行はいよいよ危ないんだなという心配を預金者が持つ。そういうことを考えるとうっかり手を挙げるというわけにもいかない。それでなかなか申請が出てこないという読みがあったわけです。  一体それではどうしたらいいかということで、いろいろ知恵を働かせたんでしょう。それならば一番安全な銀行、一番力のある銀行が最初に手を挙げたらいいだろう、そういう結果、東京三菱銀行が手を挙げたというふうに伝えられているわけです。一説には、これは実際には大蔵省がやらせたんではないかという、そんな話まで出ているわけであります。  こういうことで、優良銀行が次から次へと手を挙げてくるだろう。これは申請してくれば断るわけにはいかないと思うわけですね。総理の今までの答弁から申しましても、当然断るわけにはいかない。そうなりますと、これは優良銀行に対するというか、やっぱり特定の銀行に対する政府としての支援策にならざるを得ないんではないだろうか。総理は特定行を助ける意図で考えたものではないとおっしゃるけれども、結果としてそういうことになる心配は多分にある、こういうふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか。  総理の答弁したことについて質問しているんですよ。
  378. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今余り紙を読んだ答弁を申し上げる気にもならないものですから。  日下部委員だけではなく、同様の議論を他の方とも私は何回か衆参両院を通じて申し上げたような気がいたします。  そして、議員が今引用されましたように、申請を受けて審査する、だから今はわからない、申し上げていることは事実そのとおりであります。あるいは議員の御引用を伺いますと、そのときにそこまで私は申し上げなかったのか、もしそうだとすれば日下部委員に失礼をしたと思いますけれども、私はもう一つのこの安定化策の対象として北拓と北洋の例を引き、よく御説明を申し上げました。すなわち、地域経済に及ぼす影響というものを考え、北海道内における営業譲渡を北洋が受ける、しかし北洋の規模からしてこれを受け切るのに自己資本の増強が必要である。こうした場合にも対応できる手法、そのような御説明を申し上げてきたと存じます。  そして、まさにそれは信用秩序を、そして国民経済に重大な支障の生じる懸念というものを払拭する、そうした緊急の事態に対応するものだということを申し上げております。そして同時に、破綻するものは救わないんだということも申し上げてまいりました。  しかし、そこから先の部分は、まさに申請する、議員の想定されるような、御質問になりましたような形ばかりで申請が出てくるかどうか、私には今それを判断する何らの材料もございません。
  379. 山口哲夫

    山口哲夫君 拓銀と北洋の問題は、この質問についてはお答えになっていないようですね。  そしてさらに、日下部議員がこう言っております。優先株、劣後債など、相当期間が経過した後に全く処分できそうにないときは一体どうしますかという趣旨の質問をしているわけですね。  これに対して、総理はこう答えています。優先株などの引き受けを行いました後でもその発行金融機関が破綻する蓋然性が高いと認められない、そして相当期間が経過しても取得した優先株などの処分を行うことが著しく困難である、そういう状況がもし想定されるなら対象にはしないということを最初から審査基準の要件として法律上規定するわけです、ですから議員の例示されたような事態が事前に予見されます場合はそもそも引き受けない、引き受けの対象にはなり得ない、こんなふうに言っているわけです。  要するに、破綻の心配のない銀行、そういうものの申請についてはこれは受けましょう、こういうことになるわけですね。そうすると、そういう銀行というのはますます安定してきますから、これはもう預金もどんどん集まってくると思う。ところが一方、そうでない銀行はどうかというと、例えば中小銀行などは結局はだんだん預金者が離れていく心配が出てきて苦しくなって、いわゆる銀行の二極分化が始まるんではないだろうか。  そういうことを考えたときに、やっぱりこれは護送船団方式で、今度は優良銀行だけを支援していくような、結果としてそういうふうになる。しかも、今度は大がかりに公然とやれるわけですね。そこを私どもは心配するわけです。  だから、どうしてもこの今のやり方でいくと優良銀行の支援策になる心配が出るということをもう一度申し上げておきたいと思います。どうですか。
  380. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 平たく申しますならば、危なっかしいものは対象ではありませんということを、きちんと答弁資料を読みました議事録をまた今お読みをいただきました。  ですから、優先株等の発行金融機関に対しては、引き受けの申請に際し、将来にわたって責任ある経営が行われるよう経営の健全性確保に関する計画の提出を義務づけ、議決に当たっては基本的にこれを公表することとしているなど金融機関のモラルハザード防止のための措置も講じておりますということを申し上げております。  また、この法案の趣旨を踏まえ、実際の優先株等の引き受けについては、法律に基づき設置される公正中立な審査委員会が法律にのっとり、また国会での御議論も踏まえて策定する審査基準に基づき全員一致により議決を行うこととするとともに、議事録等を公表することとしており、厳正かつ透明な審査を期しておりますということを申し上げ、その上で日下部委員の優先株を保有する相当の期間というものについてのお尋ねに関連した答弁までを引用されました。  これは本当にいろんなケースが想定されるわけですけれども、そしてそれをどのぐらい保有するかということも、その状況、特に市場の状況等によっても変化を生ずるものでありましょうが、いずれにしてもそのときに本当に悪いもの、破綻するようなものは救わないんだと申し上げますと、優良機関育成策かというお尋ねでありますけれども、私は議員が言われるような大銀行だけが優良銀行たり得るものではないと思います。  地域に特化し、地域に密着し、地域の産業育成に資するそうした金融資本というのも当然存在してしかるべきでありますし、そうしたものも含め、まさに今回の北洋はそういう形でおりましたものが北拓を支える、小が大を支えるという結果を生じているわけであります。何ゆえ大銀行、優良銀行のみをとおっしゃらなければならないのか。システム安定化を重視する私ども考え方を率直に聞いていただきたいものだと思います。
  381. 山口哲夫

    山口哲夫君 総理がお答えの中で、とにかく破綻するようなそういう銀行はもう対象外だ、だから経営の安心できるようなところだけしか申請を受けるわけにはいかないという答弁をしているから、それでは結局は特定の銀行を有利にする結果になるでしょうと言っているわけです。総理の答弁をそのまま受けて言っているんです。  それで、優先株というのは相当期間が過ぎた後にこれを売ることになるんですけれども、私はそう簡単に売れるだろうかという心配が実はあるわけです。もしその株を政府が売ったら、売られた銀行は、これは恐らくこの株価は下がるでしょうね。下手すると関連して暴落するかもしれない。そうなると、やっぱり政府に売られたら困るんですよ、こういう銀行は。そうするとどうなるかといえば、銀行から政府に売らないでくださいという嘆願が出てくるんではないでしょうか。  そういうことを考えたら、結局、最後は政府が優先株あるいは劣後債、そういう申請を受けた銀行だけを救うような結果になる。それは政府の支援がなくてもちゃんと自立できる銀行なんだから、そんなところに政府お金をつぎ込むような今のこのやり方というものは大変危険である、そういうことはすべて銀行に任せるべきであるということで、私はこういう公費の大幅な投入については絶対に反対であるということを申し上げて、終わります。
  382. 岩崎純三

    委員長岩崎純三君) 以上で山口哲夫君の質疑は終了いたしました。  これにて総括質疑は終了いたしました。  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十七分散会