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国務大臣(
橋本龍太郎君) 今の御
質問にお答えをいたします前に、先刻来の議員と
大蔵大臣とのやりとりに私からも一点補足をさせていただきたい点がございます、たまたま双方お触れになりませんでしたので。
私は、やはりこういう問題が起きてくる背景に、いわゆる護送船団方式と言われる従来型の金融
行政、そしてその中における事前管理と申しますか、事前チェック型の
行政というものがその遠因をなしていたように
思います。それが金融業界と
大蔵省との間の関係をゆがめた部分はなかっただろうか。そして今、こういう事件が起こる起こらないにかかわらず、既に金融監督庁を発足させることを
国会でもお認めいただき、同時に、事前の管理、事前のチェックというシステムから、金融システム改革の中において事後チェックにその
行政のあり方を変えようといたしております。
当然ながら、それぞれの
金融機関の責任は一層重くなりますし、事後のチェックというものに金融
行政、検査
行政そのものも変わっていくわけであります。この根を私はぜひ育てたい、そして着目をいただき、御協力を得たいと
考えておるという点を一点、
冒頭私の感じとしてお伝えをさせていただきたいと存じます。
その上で、
平成九年の
政府見通しをつくりました段階、確かに消費税率引き上げなどの影響等によりまして年度の前半は景気の足取りは緩やかとなるものの、
経済構造改革の実施などと相まって次第に民間需要を中心とした自律的な回復が見込まれる、そして実質
経済成長率を一・九%
程度と見込んでおりました。
ところが、一—三月における消費税率引き上げの前における駆け込み需要というものも私
どもが
予想したよりもはるかに大きかった。逆にそれが四—六の落ち込みでとどまると思っておりました
状況を狂わせたことも私は決して否定をいたしません。そして、その影響は四—六を越えて年後半にはという
考え方を持っておりましたものが、その
状況に至る前に、まさにアジアの通貨・金融不安あるいは我が国の
金融機関の経営問題、予期せざる事態が連続する中におきまして、まさに家計や
企業の
景況感というものは刻々厳しさを加えてまいりました。そして、それは個人消費や設備投資の面においても影響を及ぼしているのは議員からも御
指摘のとおりでございます。そして、
政府そのものが本年度の
政府経済見通しそのものを下方修正するということもやむない
状況に至りました。これは議員から今御
指摘をいただいたとおりであります。
そして、今のお問いかけを私はこのように受けとめました。
財政構造改革というものを主張してきたけれ
ども、その
財政構造改革というものをむしろ捨ててでも景気という面に政策をシフトさせなければならないのではないか。議員のおっしゃりたかったことを端的に直すと私はそのようになるのかと存じます。そして今、
財政構造改革と景気回復への努力、これは二律背反のものではないと私は思っております。スパンの異なる問題です。そして、
財政構造改革の必要性は何ら将来に向けて減少するものではない。同時に、当面の
状況の中で、金融あるいは
税制等の
措置を駆使しながらその対応をしてまいる、これもまた我々の責任、そのように今までも御答弁を申し上げてまいりました。
この
補正予算、御
審議をいただいております九年度
補正の中におきましてもそのような
思いを込めて編成をいたし、なればこそ十年度
予算とのつなぎ目ということを、先ほ
どもお答えを申し上げる中にぜひお
考えをいただきたいというお願いを申し上げた次第でございます。