○笠井亮君 私は、
日本共産党を代表して、
財政構造改革の
推進に関する
特別措置法の一部を
改正する
法律案外三案に対して、
反対の
討論を行います。
今日、橋本内閣のもとで
不況と
経済情勢の悪化はいよいよ深刻です。昨
年度の
経済が二十三年ぶりのマイナス成長に陥る事態になり、加えて雇用の問題も重大さを増しております。
政府・自民党は、桜の咲くころと言っていた
景気回復の見通しを、最近はもみじのころには何とかなると言いかえ、依然として安易な展望を語っていますが、すべての指標がその甘い見通しを打ち砕いているのであります。
国民に対する九兆円もの負担増が消費を急激に冷え込ませているさなか、野党の強い
反対を押し切って財革法が
成立したのは、ちょうど六カ月前の昨年十一月二十八日でありました。私は、我が党を代表してこの本
会議の
反対討論に立ち、この
法律が
財政構造改革の名に全く値せず、本
法律案による負担増は
個人消費にさらに打撃を与え、
不況に追い打ちをかけ、さらに
景気の一層の悪化は税収の落ち込みを呼び、
財政が悪化するという悪循環に陥る危険を生み出す、このことを厳しく指摘しました。まさに我が党の警告どおりになったのであります。このような事態に
日本経済と
国民を追い込んだ橋本内閣の
責任は極めて重大だと言わなければなりません。
こうした中、
国民の暮らしを守る当面緊急の
不況対策と
国民本位の
財政再建という、
我が国の
経済と進路にかかわる重大な問題での審議が十分尽くされないまま、今まさに今回の四
法案の
採決が行われようとしていることは到底容認できないものであります。
今回の財革法改定案に
反対する第一の
理由は、一切の聖域なき歳出削減という
法律の名目が崩れたにもかかわらず、
国民生活に犠牲を強いる最悪の仕掛けだけはそのまま残していることであります。
政府は、今回の
総合経済対策で、
補正予算による建設国債増発に何ら歯どめがないことを利用して、三兆五千億円もの
公共事業費の
積み増しを行っています。その結果、公共投資の
総額は前
年度当初
予算比二五%もの増加となり、財革法の言う前
年度比七%減という上限枠をはるかに上回るという巨大な聖域が生み出されようとしています。
他方、
法案では九九
年度予算に限り社会保障の上限枠を外すとしているものの、難病
対策、児童扶養手当、老人医療費など九八
年度に改悪されたものには何ら手をつけず、さらに、今後の医療、年金など社会保障の制度改悪を行う方向は何ら変えていません。また、教育現場をめぐる状況がますます深刻になっているのに、多くの父母や教職員が望む三十人学級の実現も抑えられたままです。
総理が繰り返し答弁している財革法の骨格は変えないというのは、まさにこの
国民生活切り捨ての路線であって、それは引き続き
景気にも悪
影響を与えるものであり、断じて容認できません。
第二の
理由は、現行の財革法に定められた二〇〇三年までに
財政赤字対GDP三%以下、
特例公債を毎
年度縮減しゼロにするという
財政健全化目標を二年先延ばししたとしても、その達成の保証はどこにもないことであります。
当院の
委員会審議の中で、国家
財政の大前提である歳入、とりわけ税収でさえ、既に九七
年度分から
政府の見込みどおりにいかないことが明らかになりました。今後検討するとしている
恒久減税を
実施したり、銀行支援のために三十兆円もの公的資金を使っていけば、さらなる赤字国債の
発行はいよいよ不可避であります。そうなれば、幾ら
政府が石にかじりついても達成すると言ってみても、二〇〇五年までに
目標を達成する見通しは全くなく、早晩、財革法の再改定が迫られることは明らかであります。
第三の
理由は、新たに
弾力条項を設け、
経済活動の著しい
停滞などの場合、
政府の一方的な判断で赤字国債の
発行を増発する
予算を作成できるようにしていることであります。
政府は、昨年秋、財革
法案を提出したとき、内閣がこの間、みずからの判断のみによって自由に法定された方針等を変更して
予算を作成することは許されなくなるという点に、この
法律案の大きな意義があると説明してきました。ところが、今回の改定案による
弾力条項を見れば、財革法の根本をかなぐり捨てて、しかも、その発動
基準は
法律ではなく政令によるとして、
法律そのものによる厳しい規制要件を欠き、事実上、
政府に適用要件と判断権をゆだねるものであります。
このように、もはや財革法には道理もない上に、その骨格の基本は崩れており、今とるべき道はあれこれの
改正ではありません、きっぱり廃止する以外にないのであります。そして根本的には、
財政危機の真の原因であるゼネコン本位の公共投資、軍事費などに思い切ってメスを入れ、国、
地方自治体の社会保障公費負担は二十兆円、公共投資は五十兆円という、欧米にも例のない逆立ちした
財政構造を根本的に改めることによって、
景気回復と
財政再建を進めるべきであります。
また、今回提案されている二兆円の
特別減税の継続も、二年限りの時限
措置では、
景気対策の最大の決め手である
個人消費拡大への
効果は極めて限られています。これでは
国民の期待に到底こたえることはできません。
所得減税は、基礎控除、扶養控除など、人的控除の
引き上げによる庶民に手厚い
恒久減税こそ実現すべきであります。
とりわけ、今日の深刻な
不況を緊急に打開するには、消費の現場で直接消費を拡大する抜本的な
景気対策として、消費税
減税が急務中の急務です。消費税
減税は、確実に消費を増大させる、所得の低い層ほど負担軽減率が大きくなる、冷え込んだ
消費者心理を暖めるなどの特徴を持つものです。
最近、時事通信社が発表した世論調査でも、
景気対策に何を望むかという質問に対して、六割もの回答が消費税
減税を選択しています。
経済界からも消費税
減税の声が上がり、一〇〇%
景気浮揚に役立つのは消費税
減税だ、これが今
景気対策の決め手とさえ言われております。
ここまで消費税
減税の世論が高まり、その声が広がっているのに、
政府は、九兆円負担増の
政治責任を問われるのを恐れて、これに背を向け続けています。今こそ消費税を三%に戻す決断をすべきであります。
責任回避の立場をとり続け、この幅広い
国民的要求に背を向けるなら、橋本内閣の一層の
政策破綻は必至であります。
総理府の調査でも、
国民の七割以上が日本は悪い方向に向かっていると答えているもとで、このように
国民から将来への希望を奪っている橋本内閣は、直ちに退陣し、解散・総選挙により
国民の判断を仰ぐべきであることを強く主張して、
反対討論を終わります。(
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