○益田洋介君 私は、公明を代表して、ただいま議題となりました
財政演説と
財政関連四
法案につき質問をいたします。
今日、
我が国経済は、
政府が主張するような足踏み状態からまさに後退期に入った
状況でございます。
国際的に、
日本経済はタイタニック号とも称され、沈没を懸念されるほど
悪化しているのが現況でございます。
我が国の
国民も
企業も不況にあえぎ不安感を募らせております。かつては順風満帆と言われた
我が国経済は、速水新日銀総裁の言葉をかりれば、闇夜に海図なき航海に出る状態で、あすが見えないのが
実態であると言わざるを得ません。
政府・与党が
経済対策をまとめるたびに
株式市場は失望売りに包まれるし、
橋本総理が大型
減税を表明したと同時に
為替市場では円が暴落するといったぐあいに、
日本の
企業や
個人も不信感の余り萎縮してしまっているという悪循環が続いております。
先般のワシントンG7と先日のロンドンG8では、各国から
日本の
景気後退に強い懸念を表明する声が上がり、非難が相次ぎました。そして内需拡大を急ぐよう要求され、
日本責任論が展開されたわけでございます。まさにケインズの言うコンフィデンスの危機の状態であることは間違いございません。
主要先進国の中で最悪、未曾有と言われる
我が国の
財政を立て直すことを理由に、
総理は昨年秋の臨時国会で我が党の反対を押し切ってまで強引に
財政構造改革法を成立させました。この
改革法では、一、二〇〇三
年度までに
財政赤字を国内総生産、GDPの三%以内にする、二、赤字国債の発行額を毎
年度減らし、二〇〇三
年度までにはゼロにする、三、分野別の歳出の削減、抑制
目標、キャップを設けるという三つの
目標を掲げていましたが、今回の
改正案では三つの
目標とも全面後退いたし、財革法の本来の骨格はすべて骨抜きにされたわけでございます。しかし、一方では、
財政再建は既に達成しなければならないことが
我が国の命題であり、したがって、財革法は
改正するのではなく執行を停止すべきであると私は主張するものでございます。
そして、この未曾有の
経済危機、
景気低迷の原因は
橋本内閣による政策不況以外の何物でもないと判ずるものでございますが、
総理並びに
大蔵大臣の御所見を伺いたい。
翻って
考えるに、
橋本総理は
財政構造改革について、既に三回にわたって大きな失敗をしたことになると思います。
第一に、機動的
経済運営を妨げ、
景気に悪影響を与え、冷え込ませる効果を持つ財革法を、北海道拓殖銀行、山一証券等の
破綻により、紛れもなく
金融危機が発生していた直後に、我が党の反対を押し切って成立させたことであります。
第二に、
景気がさらに急速に
悪化の一途をたどったにもかかわらず、
総理御自身の
個人的メンツにこだわる余り、財革法の執行停止をタイミングに合わせて行えなかったことでございます。すなわち、我が党が主張した九八
年度緊縮型
予算案の大幅修正を適宜行わず、適切な
景気対策を打ち出せなかった点でございます。
第三に、今回やっと重い腰を上げて財革法の
改正を決心したにもかかわらず、根本的な問題には全く手をつけず、その場しのぎの修正にとどめようとしているという点でございます。これでは
景気の先行きに対する
国民と
企業の不安感は全く払拭できず、単
年度に限っての
特別減税を思いつき程度に小出しに発表しても、消費や設備
投資はふえることはなく、
株式市場や
為替市場の不信は解消するはずがないのでございます。
昨年十一月二十八日に成立させた財革法の最大の問題点は、実体
経済を無視して赤字国債の削減だけを
短期間で実現してしまおうとする無謀な意図が背後にうかがわれた。これにより、構造的な弱点を抱え、回復力も低下してしまっている
我が国経済に
財政デフレが強烈な勢いで加わることになってしまったわけでございます。
一方、
政府・与党の
財政構造改革会議は、弾力条項新設に加え、
財政健全化目標の二年延長と
社会保障費の歳出上限枠の一年間停止を決定いたしました。しかし、これでは財革法のもともとの欠陥は一切修正されていないし、
我が国経済の置かれている厳しい現況には
対応できようがない。
我が党は、こうした小手先の修正をやめ、
財政の健全化をあきらめずに着実に進めるためにも、財革法の一時執行停止を主張してまいりました。そのために、歳出の膨張と
財政赤字拡大の主たる原因である公共
事業費を暫時削減し、
社会保障費についても年金、
医療、
福祉に関して総合的にむだを省きながら、高齢化に伴って増額する分をふやしていくこととすべきであると
考えますが、
総理並びに
大蔵大臣の御所見を求めます。
日本の国際競争力の評価は時々刻々に低下し続けており、スイスに本部を持つIMD、国際経営開発研究所による九八年の世界競争力ランキングでは、
日本は昨年の九位から実に十八位にまで転落した。このことは
我が国の
経済システム全体が
制度疲労を起こし劣化していることの証左であり、
橋本内閣による構造転換のおくれが現在の
経済不況を一層深刻化させていることも意味するわけでございます。
口を開けば、
総理は六つの
改革を進めていると繰り返すが、
税制改革については全く論議が見られない。イギリスではサッチャー
税制改革、アメリカではレーガン
税制改革などの強力な
税制改革が
経済活性化の大きな引き金となったわけでございます。現在の
日本の現状をかんがみると、我が党が政策として掲げるような三兆円
規模の大幅な法人税、また三兆円
規模の
所得税と
地方税の恒久的
減税が緊急
課題であるということは間違いがございません。
アメリカのルービン財務長官は、ワシントンG7終了後の記者会見で、
総理の
提案した四兆円の
特別減税案に対し、
特別減税では
経済効果はないと断じました。そして
恒久減税でなければならないとし、暗に我が党の政策を全面的に支持したわけでございます。
実効税率は現行の四六%から四〇%程度まで下げる必要がある。これは、
経済のグローバルスタンダード化が叫ばれる昨今、フランスの四一・七%、イギリスの三一%に比べ、
我が国の法人所得課税率が突出して高過ぎることが明白であるからであります。
企業活動が現在のように停滞してくると、雇用の減少や設備
投資の不振を生んで
景気の先行き不安が消費不振を招くといった悪循環に陥ることを防がなければならない。
法人
所得税率を現在のレベルのままに放置しておけば、さらなる国際競争力低下を懸念する大
企業が海外へ流出し、その結果、国内には種々の規制に保護された非効率的な
企業しか残らず、産業、
金融の空洞化を
促進させてしまうおそれが十分にあると
考えられるが、
総理並びに
大蔵大臣の御所見をお伺いしたい。
さて、私は、
政府は行政
改革の
目標とする到達点の一つである小さな
政府への移行を宣言すべきであると訴えるものでございます。欧米で小さな
政府といえば行政
改革と
減税が柱となっているわけでございますが、
橋本内閣は昨年、消費税率二%アップで五兆円、
特別減税の廃止で二兆円、
医療費の自己負担増で二兆円と
合計九兆円もの
国民負担増を我が党の反対にもかかわらず断行した。その結果、今日の深刻な不況を招いたわけでございます。
財革法の一時執行停止と、それに伴う将来的な見直しは、
我が国経済への
内外の信頼を一日も早く取り戻し、小さな
政府をつくる絶好のチャンスであると
考えるが、
総理の御所見をお伺いしたい。
九七
年度の実質
成長率は、オイルショック以来二十三年ぶりのマイナス成長になることが明らかになりました。
景気は停滞の段階から明らかに後退の局面に入ったと言える。八日発表された三月の国内卸売物価指数は、前月比で三カ月間連続の下落となりました。
景気後退と物価の下落が同時進行するデフレスパイラル現象が、いよいよ現実化してきたことのあらわれでございます。
橋本総理はASEM、
アジア欧州
会議で
日本の
経済は戦後初めての厳しい
状況に直面しているとの認識を示しましたが、問題はその判断が余りに遅きに失したという点にある。
アメリカの
財政赤字の削減が順調に進んでいる背景には、長期的に好
景気が続いているということがございます。
財政改革の達成には好調な
景気が前提となることは論をまたない。しかし、大型
金融破綻が相次ぎ、
景気停滞色がはっきりしていた九八
年度予算の編成時に、財革法の厳しい歳出抑制方針のみを
運営して効果的な
景気浮揚策を盛り込まなかったことは、
橋本内閣の
予算編成に対する明白な失敗であった。そしてこのことは疑義を挟む余地のない事実である。アメリカの包括
財政調整法には、
景気低迷時に歳出の一時削減を一定期間凍結するいわゆる弾力条項が設けられていることとは、極端な相違が生じてしまっているわけでございます。
予算成立直後の現在、既に
補正予算を組まざるを得なくなっているという
考えられないほどの矛盾が生じたのも、
予算編成が
政府の大失敗であったというあかしであることは間違いないと
考えるが、
総理の御所見をお伺いしたい。
このように、
我が国の
経済、
財政のみならず、国家としての信頼を世界的に失墜させた上、
国民を塗炭の苦しみに沈めた
総理の失政の
責任は余りにも重い。
総理が辞任することが最大にして唯一の
景気対策であるとの
内外の声が高まる今日、もし、
総理に人としての良識のかけらが残っているのであれば、
総理は一刻も早く退陣すべきであると強く主張するものであるが、
総理の御所見をお伺いし、私の質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣橋本龍太郎君
登壇、
拍手〕