○竹村泰子君 私は、統一会派
民友連を代表して、ただいま議題となりました
防衛庁設置法等の一部を
改正する
法律案につき、
総理大臣、防衛庁長官に
質問いたします。
質問に先立ちまして、
日本の防衛政策の策定については、今後も憲法の精神にのっとり、非核三原則・専守防衛の堅持、武器輸出三原則の
推進、集団的自衛権の不行使、大量破壊兵器の不保持、
海外派兵の禁止、徴兵制の不採用、シビリアンコントロールの維持などの諸原則を遵守して行われるべきだという大原則を明確にした上で、
質問に入らせていただきます。
まず、本
法案における統合幕僚
会議の機能
強化とシビリアンコントロールの関係について伺います。
本
改正案によって、統合幕僚
会議の役割と機能は相当
強化されることになります。私は、効率的な運用
体制ができることは、防衛力の質的
向上の
観点からは評価すべきことと
考えます。しかし、ミリタリーの部分の
強化が行われるのであれば、同時にシビリアンコントロールの仕組みをさらに
強化することが不可欠であります。特に、
我が国のように、歴史的に軍部の暴走を政治や
国民が有効にチェックできず、不幸な戦争の悲劇に至った
経験を持つ国においては、シビリアンコントロールの
強化充実が強調され過ぎるということは決してありません。
本
法案において、統合幕僚
会議の機能
強化に
対応した政治によるチェックが
強化されているのか、従来どおりであればそれで十分なのかについて、自衛隊の最高の指揮監督権を有する内閣
総理大臣と、自衛隊の隊務を統括する防衛庁長官に御説明をいただきたいと思います。
今回の
法案は、ガイドラインの対米
協力を想定した法
改正ではないと言われております。ガイドラインが本
法案の目的かどうかはともかく、結果的に本
改正案が実際のガイドライン運用に大きな影響を与えることは事実であり、ガイドラインシフトであることは見え見えであります。
例えば、統合幕僚
会議は、
現行ではガイドラインの想定する周辺事態や平素からの日米
協力について防衛庁長官を補佐することはできませんが、今回の防衛庁
設置法
改正案では、統合警備計画の作成や出動時その他統合運用が必要な場合として長官が定めるような場合について、統合幕僚
会議の所掌事務が新しく追加されており、これによってガイドラインの運用が円滑化するというわけです。それなのに、防衛庁は、大規模災害やPKO、
国際救援活動などの平時において二自衛隊以上の統合運用が必要な場合を想定しているとの説明を前面に出し、私が
指摘した点を認めることに消極的なように見受けられます。
また、今国会に提出されておりますPKO法
改正案も、同様にガイドラインに関連する
改正点を含んでおりますが、
政府の姿勢はやはり議論を避けるものです。こうした隠れガイドライン
法案を
国民に十分説明せずにこっそり通してしまおうというやり方、一方では、インディペンデンスの小樽入港を含め、運用面で日米防衛
協力の既成事実を積み上げるやり方は全くいただけません。
総理、率直な
質問で恐縮ですが、
政府が本
改正案の説明に当たって、本
改正案とガイドライン運用の関連を余り表に出さず、したがって
国民に理解を訴えようとしていないのはなぜなのでしょうか。まさか安全
保障問題については
国民に知らしむべからずと
考えていらっしゃるのではないと思いますが、このような姿勢では、かえって
国民の
政府の防衛政策に対する不信感を増すのではないでしょうか。
次に、ガイドライン関連法
整備について
質問します。
ガイドライン最終報告が出されてから七カ月近くがたとうとしていますが、ガイドライン関連法制への基本的な
考え方について、総理御自身の言葉で何も語られていないのではないかと思います。外務官僚、防衛官僚たちの調整作業が終わらなければ、一国の総理がこのような重要な問題について話すことができないというのでは、
日本にあるのは文民統制ならぬ官僚統制だということになります。そうではないということを証明するためにも、きょうはぜひシビリアンの最高峰に立たれる総理御自身の口から、明確な御
意見を聞かせていただけるものと期待しております。
私が
指摘したい問題は、
政府の政策決定過程における透明性であります。
行政が閉ざされた会合で協議を行い、その経過を明らかにしないまま結果だけを提示して市民に押しつけようとするのは、まさに官僚的手法であります。また、
我が国の周辺諸国に誤解を与えないよう、法
整備に透明性を持たせることが重要であることは言うまでもありません。ガイドライン関連法
整備について、一国の
総理大臣が基本方針を明確に述べることが透明性につながるのではないでしょうか。この点について、総理の御
意見をしかと伺いたいと思います。
〔
議長退席、副
議長着席〕
ガイドライン関連法制については、
法案名も仮称でしょうが、対米後方支援法のたぐいが
検討されており、そこでは対米
協力実施内容を閣議で決定し、国会には承認を求めるのではなく、報告にとどめる方向で調整が進められていると聞いております。
これに関連して、久間防衛庁長官は、有事の自衛隊の出動に関する国会承認の基準について、
国民の権利義務を剥奪するような影響があるか、自衛隊が
外国に出るか、国会承認を求める時間的余裕があるか、この三点をかねて
指摘しておられます。周辺事態は
国民の権利義務関係に大きな影響を与えないから、対米
協力内容について国会には報告でよいということなのでしょうか。本当に周辺事態は
国民生活に影響が小さいと言い切れるのでしょうか。
例えば、民間空港を米軍に優先的に使用させる事態やNLPのような訓練、演習の頻度が上がることも予想され、決して
国民生活への影響が小さいとは申せません。また、周辺事態が
長期化すれば
国民生活への影響は当然増してくるものと
考えられます。また、米兵らの捜索・救難活動を他国領域内で行うのであれば、これは当然国会承認の範疇に入ってまいります。
少なくとも、
国民生活に影響の大きい対米
協力や他国の領域内で自衛隊が活動する防衛
協力については、国会報告にとどめるのではなく、国会承認を義務づけるべきであると
考えます。国会に諮る時間がない事態もあるということであれば、場合によっては事後承認も併用すればよいでしょう。
以上について、総理と防衛庁長官の
考え方をそれぞれお伺いいたします。
政府が四月八日に取りまとめた「日米防衛
協力のための指針の実効性を
確保するための法
整備の大要」によれば、捜索・救難活動について、
我が国領域や
我が国周囲の戦闘地域とは一線を画された公海に加えて、当該他国の同意のある場合には他国領海でも行えることになっております。自衛隊の他国領域内への派遣については、憲法との関係や近隣諸国との関係などで問題が生じないとも限らず、慎重な判断が求められます。
政府は、何ゆえに他国領海内においてまで米兵を救助する必要があると判断するに至ったのか、憲法上の問題は
発生しないのか、捜索・救難活動以外の周辺事態における対米防衛
協力で、自衛隊が他国の領域で活動することがほかにも想定されているのかについて、防衛庁長官の説明を求めます。
また、過去の植民地支配と侵略行為という経緯もあり、他国の同意があるときの捜索・救難活動に限定されているとはいえ、
日本が自衛隊を他国の領域に派遣することについては、周辺国の反発も予想されます。本件についての近隣諸国の反応や調整についてどう
考えておられるのか、総理に答弁を求めます。
次に、沖縄普天間飛行場の代替地問題について
質問します。
普天間基地の代替地については、総理は、今まで一貫して名護市沖の海上へリポート案が最善の選択肢として、ほかの案は
考えられないと主張してこられました。ところが、最近、
政府・自民党と沖縄県の間でキャンプ・シュワブ内に民間共用滑走路を建設する案が急浮上してきていると聞いております。私は、普天間飛行場の代替地問題については、こうした柔軟な
対応が不可欠と
考えております。これまでの方針を転換し、海上ヘリポート以外の代替案を
検討しているのかどうかについて、総理に説明をお願いいたします。
政府は、沖縄県が反対したにもかかわらず、経済振興策をあめにして海上へリポートを地元に押しつけようとしてきました。また、海上へリポート建設案については、
政府が地元との調整を怠り、内々に
検討を進めたことが沖縄県民の理解を得られなかった大きな要因でした。今後は、地元や
国民に
検討経過を明らかにしていくよう強く求めます。
同時に、私
どもが再三要求してきたことですが、今こそ代替ヘリポートにつき、海兵隊の削減や
米国本土への即応後方配備の
可能性も含め、地元が受け入れ可能な複数の選択肢をアメリカと再交渉をするべきこと、それを実行する
責任こそ総理御自身にあることを申し上げておきます。
最後に、総理は昨日、新たに四兆円を上回る大幅な減税
対策を提示されました。
あなたはこれまで、国会で私たちの要求を退け、幾度も減税をしないと答えておられます。これは言うまでもなく、景気低迷の大きな要因とされる財政構造改革路線の大幅な修正であり、
政策転換であり、まさに橋本政権の経済見通しの誤りを認めることではないのでしょうか。声を上げることができない弱い立場の人々の涙や
国民の怒りと不安をしっかりと受けとめ、
責任を認めて潔く退陣されることを強く要望して、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣橋本龍太郎君
登壇、
拍手〕