○梶原敬義君 私は、
社会民主党・護憲連合を代表して、
橋本総理並びに
関係大臣に質問をいたします。
質問に先立ち、
橋本総理を激励いたします。
私の郷土の先輩であります村山前
総理が
総理大臣就任後、思いがけない大きな災害や
事件が次々と続きました。阪神・淡路大震災、オウム真理教による地下鉄サリン
事件、沖縄の米海兵隊員による少女暴行
事件や住専の破綻等々でありました。これらに対し、村山さんは懸命に対処し、戦後問題の処理や被爆者援護法
制定、水俣病問題の
解決など前向きな
政治運営をされたことを忘れることはできません。
一方、橋本さんが
総理に就任された後は、人がかわればこんなにうまくいくものかと思えるほど順調な船出でありました。しかし、昨年十月の第二次橋本改造内閣の組閣以降は深刻なイバラの道が続いております。
橋本総理におかれましては、体に気をつけられて、
国家国民のためによい
政治のかじ取りをしていただきますように、心から念願する次第であります。
まず、
政府の
経済運営についてお尋ねいたします。
我が国は、かつて狂乱インフレと今回のバブル
経済という二度の
経済的大混乱を
経験しました。その間、第二次オイルショックや幾たびかの
景気変動を経てまいりましたが、その都度、もっとなだらかな
経済運営はできないものかと思ったのは私だけではないと思います。
でこぼこ道をアクセルを踏み込んでガソリンを吹かせて走るかと思うと、急ブレーキをかけるような
経済運営には強い不信感を抱いてきました。今回の異常なバブル
経済の放置、その後のドラスチックなバブルつぶしを見ると、国の
経済政策は一体どうなっているのかと言いたくなります。上り下りはあっても、高原のハイウエーをなだらかに走っていくような
経済運営が何ゆえにできないのですか、どこに問題があるのですか、
総理並びに
経済企画庁長官にお尋ねいたします。
次に、
金融問題について伺います。
景気は大
不況寸前の状況になっており、
金融恐慌前夜とも言われているこの状況の
もとにおいて、先般、預金保険法改正等
金融二法が成立し、
公的資金の導入が図られたことは、今後の
金融システム安定と
景気回復のためにはやむを得ぬ
措置だと
考えます。
しかし、優先株購入等の
公的資金導入には、恵まれ過ぎている
銀行の役員の報酬の見直し等の、みずからの徹底した内部
努力はもちろんのことでありますが、膨大な不良債権を発生させた
金融機関関係者の過去の
責任を明確にすることが大前提でなければ
国民の納得は得られません。この点について、まず
総理の
見解を求めます。
〔議長退席、副議長着席〕
一方、中曽根民活から始まるバブル
経済と、膨大な不良債権の発生を今まで放置してきた
政治にも
責任の一端はありますが、
金融行政にも大きな反省が求められなければなりません。
大蔵省のOBに続き、現職の
金融検査官までが収賄容疑で逮捕される
事態を招いたことは、単なる個人のモラルの問題を超えた
大蔵省の構造的腐敗と言っても過言ではありません。
構造的腐敗の最大の原因が
大蔵省の持つ巨大な権限にあることは明らかであります。そのためには、与党間で合意をしました
財政と
金融の完全
分離を断行するべきでありますが、「当分の間」という表現についても、もうここに至っては時期を明確にすべきと思いますが、
総理と大蔵大臣の
決意を伺います。
大蔵省は、遅まきながら今回の
事件の発生直後、
金融服務監査官を新設しましたが、これは法令に基づかない内部の模様がえにすぎず、
大蔵省に自浄能力がないことは過去の実績から明白であり、
事件の再発防止の実効性は到底期待できません。むしろ、公認会計士を
金融検査官として採用するなど、この際外部の
人材登用を
考えるべきだと思いますが、
総理の
見解を求めます。
官民の
癒着は
大蔵省に限ったことではありません。一昨年の
社会福祉法人への補助金をめぐる厚生
官僚の
汚職事件は、私たちの記憶に新しいところです。
橋本総理は、
施政方針演説で、不祥事を繰り返す土壌を根本から改め、さらに、いわゆる
公務員倫理法制定を期すと述べられました。
政府の立法に向けての作業はどの
程度まで進んでいるのですか、お尋ねいたします。あわせて、その場合、人事院など中立性の高い機関に
公務員倫理に関する審査機構や外部監査システムを採用することも
考えられますが、いかがですか、お尋ねします。
次に、
景気対策について伺います。
振り返ってみますと、昨年は
行政改革、
財政構造改革の論議に明け暮れた一年でありました。
総理の
改革にかける並々ならぬ
決意が
財政史上例を見ない
財政構造改革法を成立させたことは、大きな成果として高く評価するものであります。
しかし、その一方では、
行財政改革に気をとられる余りに、
国民生活の基盤である生きた
経済、
景気の動向を見失い、結果として
経済政策の運営が手薄になってしまったという反省もしなければならないと思うのであります。
政府の
経済見通しは大きく外れ、
個人消費は
回復するどころかさらに落ち込み、
景気はずるずると
後退を続けてまいりました。加えて、大手の
金融機関が相次いで経営破綻に追い込まれ、
金融システムに対する不安と不信に
日本列島全域が覆われ、それがまた株価の低迷や円安を引き起こすなど、
経済の活動を萎縮させるという悪循環に陥ったのであります。
当初一・九%を見込んでいた
経済成長率は、わずか〇・一%に修正せざるを得ない状況でありますが、何ゆえこれほどまでに
見通しが間違ったのですか。
政府の
経済、
景気の見方に反省すべき点があると思うのであります。今後、このような誤りを犯さないためにどのような
対策をとるのか、率直にお示しください。以上、
経済企画庁長官にお尋ねいたします。
今日の膨大な
財政赤字は長年かかって累積したものであることからも、
財政構造改革は本来相当中長期にわたって取り組むべきものでありますが、
財政健全化の
年度を当初案の二〇〇五年から二〇〇三年に早めてみたり、特殊法人
改革で住宅
金融公庫の活動を大幅に制限したり、今思えば
財政健全化に心を奪われ過ぎて、気負いばかりが目立っていたと思いますが、
総理、いかがでしょうか。
景気が悪くなれば
税収も落ち込み、
財政はますます悪化し、
財政の均衡もなかなか難しくなってまいります。今必要なことは、昨年十一月の緊急
経済対策を早急に実施に移すことは当然でありますが、なお
我が国の
金融システムが完全に
国民の信頼を取り戻すまでは、
金融システム対策に万全を期すと同時に、恐れることなく追加の
景気対策に敢然として取り組むことが極めて重要であります。
株価も上向きかげんになり、一時期のすべてが下向きになっていたムードに歯どめがかかり始めたこの時期に、二兆円の
特別減税を
恒久減税に切りかえることをこの場で表明なさってはいかがですか。
さらに、冷え切った
消費を
回復させるには、低
所得者に大きな
負担となっている
消費税の飲食料品への課税をやめて非課税とすることが是が非でも必要であります。既に欧州
各国ではごく普通に行われている飲食料品への非課税こそ
消費回復の切り札と信じますが、
総理の英断を期待するものであります。
さらに、
景気対策について私の
提案をしたいと思います。住宅問題であります。
国土の狭い
我が国で、特に大都市では住宅の質は今もって改善されておりません。また、建てかえやリフォームの時期の来ているものは
全国で千二百万戸ぐらいあると言われております。住宅への潜在需要は
消費税引き上げ前の駆け込み需要が
予想以上に大きかったことを見ても明らかであります。
戦後の
日本は、
国民の
努力により、着る物と食べる物については相当に改善されましたが、先進国の中でもまだまだおくれているのが住宅であることは言うまでもありません。土地も安くなり、金利もかつてなく低い今が安くて良質で人に優しい住まいづくりの絶好のチャンスであります。
世界の国々から、
日本はバブルが崩壊した後の
平成の大
不況の折、狭隘な住宅
環境から良質で広い住宅
環境へ変わった、国が
政策的な誘導を行った結果であり、あわせて内需を拡大させ国の
景気も立ち直ったと言われるぐらいのことを今行うべきであります。
国民が住宅に投資をするためには、雇用の心配や
年金の不安がなく、将来の
生活設計ができる状態がまず必要でありますが、あわせて住宅
金融公庫を
行政改革の
対象とした閣議決定を
もとに戻し、
融資枠の拡大と、さらに貸し出し条件を緩和することであります。
加えて、住宅の取得に関しては
消費税を非課税にすべきであります。
消費税をなくすことによって
子供部屋が一部屋ふえることになるでしょう。
総理、大蔵大臣、真剣に検討してください。いかがですか。
私は、今の時点では内需拡大による
景気対策にとって、住宅投資ほど大きな
効果のあるものはほかにないと確信しております。住宅建設の波及
効果は向こう三
年間で二・三倍と推定され、関連業種は八百業種に及びます。なお、住宅
金融公庫には
政府の
資金運用部
資金からの
借り入れと貸し出しの利ざやが〇・八%あり、当面
政府からの支出は不必要であります。
政府は内需拡大策として最小の費用で最大の
効果を上げ得るのであります。
公営住宅の建てかえや、震災に遭った阪神地区の住宅建設を急ぐ等も含めて、当面、年三十万戸の追加住宅建設を図ることを
提案いたします。向こう三
年間で国内総生産を四%ぐらいは
引き上げる
効果が出てくるものと
考えます。豊かな
生活と内需拡大による
景気対策として住宅投資への積極的な支援を
提案いたしますが、
総理、いかがですか。感想をお聞かせください。
次に、少子・高齢化、
年金、
医療、雇用問題について若干お尋ねいたします。
少子化、高齢化の進行とその影響は、国の将来を左右する極めて重要な課題であります。とりわけ、
子育て支援のため、保育サービスの拡充や、職業と育児の両立を図る労働時間の短縮あるいは住宅の保障並びに子育て
減税など、子育て
世代に対する
経済的負担の軽減、同時に児童手当の確立など総合的な
政策対応が求められております。そのためには、厚生省任せではなく、内閣に
総理大臣直属の
少子化問題総合
対策推進本部のような機関を設置して、
全国の知事や市町村長さんとも十分連絡をとり合い、国を挙げての強力な
施策を急ぐべきと
考えますが、
総理の所見を伺います。
次に、
医療、
介護、
年金についてお尋ねいたします。
高齢化
社会を目前にして、目をみはるばかりの
医療費の増大や
年金財政の逼迫が私たちの将来に対する不安感を増幅しております。
年金受給年齢に達したとき、約束された
年金がもらえるのかどうかといった不安を解消するため、
総理は、公的
年金が加入者と国の正式な契約であることを改めて確認し、現在の給付水準を断固維持することを宣言すべきではないでしょうか。
さきの国会でようやく
介護保険法が成立し、二〇〇〇年から実施されることになりましたが、これらの課題は総合的な
施策の展開を必要とすることは言うまでもありません。
医療保険と
介護保険については、将来これを一体的に運営していくお
考えがあるのか否か、
総理の
見解をお尋ねいたします。
これらに関連して、
高齢者雇用についてお尋ねいたします。
健康で働く意欲のある
高齢者がたくさんいることは御承知のとおりであります。
高齢者雇用を促進することは、健康で働く意欲のある
人々の生きがいの問題でもあり、結果として福祉費用の軽減につながるわけでありますので、この問題への一層の取り組みをお願いしたいと思います。労働大臣の
決意をお伺いいたします。
人間らしい労働基準の確立と直面する雇用不安に対し、ワークシェアリングの観点から労働法制を見直すことが求められています。一方、
政府の労働基準法改正案は、例えば労働大臣の定める時間外労働の上限基準の法的担保がなく、
女性のみの保護規定の解消に伴う激変緩和の
措置もまた同様であります。深夜労働の新たな規制については、
政府がこれから
実態調査に取り組むという段階のため見送られてしまいました。これでは二十一
世紀を展望した労働法制としては、遺憾ながら不十分だと言わざるを得ません。
社会民主党は、国会審議を通じて、これらの点にはなお引き続き労働者の権利擁護の立場から議論を深めていく所存ですが、労働者の権利を守る立場の労働省においても、この趣旨を踏まえた検討が行われることを期待します。
総理並びに労働大臣の
見解をお伺いいたします。
次に、農業問題についてお尋ねします。
先日、
インドネシアが
日本に米の支援を打診してきたと伝えられています。アジア
各国で
予想される深刻な食糧事情から見て、このようなことは今後もしばしば起こると思われます。
政府は、この要請に積極的に応じるとともに、食糧をめぐるアジアの相互援助
関係を確立するよう努めるべきではないでしょうか。また、WTO農業協定の再交渉に当たっては、新たな農業基本法に向けたこれまでの作業を踏まえて方針を明らかにすべき段階にあると
考えますが、
総理の御
見解を伺います。
総理の諮問機関である食料・農業・農村基本問題
調査会は、昨年十二月に中間取りまとめを行い、
我が国の食糧自給率は先進国の中でも極めて低い水準であり、また、
世界の食糧需給は短期的には不安定さを増すとともに、中長期的には逼迫することもあるとしております。したがって、身近なところで安全な食糧を安定的に確保する
体制確立を急がなければなりません。また、中山間地の直接
所得補償は、
価格政策よりも
所得政策という
世界的な潮流の中で、ヨーロッパ諸国で既に長い間実施されており、
我が国においても一刻も猶予のできないことと思います。
総理の御所見を伺います。
次に、
地球温暖化防止
対策について伺います。
昨年十二月の京都
会議において、
我が国は二〇一〇年には一九九〇年時点からマイナス六%、現時点から実質一五%もの温室
効果ガス削減の
国際的義務を果たしていかなければならなくなりました。しかし、
我が国の対応と削減に向けた取り組みは大きく出おくれており、どの部門でどの
程度削減するのかフレームが決まっていないのみならず、削減の手法、法
制度なども統一がとれているとは到底言いがたい状況にあります。少なくとも、削減の枠組みを早急に決めるべきではないでしょうか。決定された枠組みに基づき、法
制度や太陽光発電などの新エネルギー
対策など、必要な
対策と予算
措置を早急にさらに講じていく必要があると思いますが、
総理の
決意をお伺いいたします。
次に、外交課題についてでありますが、私は、
我が国は日米
関係を基軸としつつも、日中、日ロ
関係のさらなる発展、朝鮮半島の安定化に向けた
努力、東南アジア諸国との
関係強化など、今こそ近隣諸国との積極外交がますます重要になっていると確信をいたします。
総理は既にユーラシア外交を提唱され、日ロ三原則、日中四原則などを表明しておりますが、この際、改めて
日本外交に取り組む
総理のお
考えをお伺いいたします。
日本国憲法の精神と原理原則を忘れることなく尊重し、厳格に守って
日本外交を進めるべきことは、
国民から外交を負託されたすべての者に課せられた重い責務であります。
橋本総理はもちろんこのことを常に心に置き外交に携わっておられることと思いますが、あえて気がかりを申し上げれば、これから本格化する新しい日米防衛協力ガイドラインの具体化作業に関してであります。
これまでの与党間協議あるいは国会質疑を通じても、協力の範囲、後方支援、機雷除去、船舶の臨検など、なお心配されることが多くあります。日米間では、いよいよ
日本有事と周辺有事に備えた自衛隊と米軍の実際の行動
計画や関連
法整備などを進めようとしておりますが、憲法の精神と原理原則が貫徹されるかどうか、
国民は注視をしております。そのためにも、作業の透明性を担保し、シビリアンコントロールの見地から、国会への情報公開が重要であると思います。
総理、いかがでしょうか。
また、沖縄普天間基地の返還、代替海上ヘリポート基地の建設をめぐっては、橋本政権、名護市、そして沖縄県、三者三様に苦渋の選択を強いられているわけでありますが、
橋本総理におかれましては、沖縄県知事、沖縄県民の意思をそんたくし、焦らずに対応していただきたいと存じます。
さらに申し上げれば、普天間基地の問題は、根本的には朝鮮半島の安定など、アジア太平洋地域の不安定要因の除去といった方向性を見定めながら、沖縄駐留海兵隊の縮小につなげていく外交を展開する中で
解決できるものと確信いたしております。
総理の御認識を伺います。
今年、
国民が最も関心を寄せているのは日ロ
関係であります。昨年、
橋本総理とエリツィン大統領の合意に基づいて、二〇〇〇年までに平和条約を締結するよう全力を尽くすための第一歩が一月二十二日の次官級協議でスタートし、続いて小渕外務大臣がロシアを訪問し、第一回平和条約交渉を行い、さらにエリツィン大統領の来日、
橋本総理の再度の訪ロも予定されております。
我が国国民の長年の悲願である北方領土問題の
解決、日ロ平和条約締結への期待がこれまでになく高まっているのであります。この悲願達成に向けて、今後どのような交渉を進めていかれるのか、
総理、外務大臣の御
見解を伺います。
日韓
関係の前途はやや不透明であります。金大中氏が次期大統領に就任するこの機会に、新たな日韓
関係の構築が望まれるのでありますが、日韓漁業協定の終了通告によって反日感情の高まりが心配されます。
我が国漁業
関係者の心情を
考えても、終了通告はやや唐突な感は否めませんが、問題
解決に向けた
総理の
決意をお聞きしたいと存じます。
さらに、昨日の韓国の報道によりますと、金大中氏拉致
事件について、韓国
政府の公的機関の関与を認める真相が伝えられていますが、そうなると
日本の主権が侵されたことになります。
政府のお
考えをお聞かせください。
総理にお尋ねいたします。
また、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国との
関係についてお伺いします。
北朝鮮当局者の発言によりますと、去年の十月から今年の九月まで、同国の食糧はその六〇%が不足しているということであります。人道的見地から、
我が国は今後いかなる支援をしていく用意があるか、お聞かせください。さらに、日朝国交正常化交渉再開のめどはどうなっておりますか。外務大臣にお尋ねいたします。
私がここで特に強調しておきたいことは、
我が国を含むアジア太平洋地域の平和と安定、そして繁栄にとって朝鮮半島の安定化は極めて重要であります。特に、北朝鮮の動向はこの地域において決定的意味を持っていると思うからであります。そこで、
日本はこれまで以上に積極的な外交を展開し、北朝鮮の
人々が
世界の情報を瞬時にしてとらえることができるようにするなど、開かれた北朝鮮を目指して
努力すべきであると思います。
総理のお
考えをお聞かせ願います。
外交問題の最後に、
イラク情勢への対応について伺います。
イラクが
国連決議に基づく
査察を受け入れる義務を怠っていることは明白であります。しかし、直ちに
湾岸戦争の再来へと直結させてよいのか、別に道はないのか、
政府としての
考え方、今後の対応について
総理から御説明をお願いいたします。
最後になりますが、さきの
橋本総理の
施政方針演説の中で深く心に残ったことがあります。それは、相当の分量を割いて
子供の問題、
教育のあり方について述べられたことであります。
特に、進学率が上昇する中で受験競争やいじめ、登校
拒否、さらには青少年の非行問題が極めて深刻であり、
子供たちは悩み、救いを求めていると述べられ、問題に真っ正面から取り組む
姿勢がうかがえます。
また、私たちはいわゆるよい子の型にはめようとする親と
教師になってはいないか、偏差値より個性を大切にする
教育、心の
教育云々と警告を発せられておりますが、全く同感であります。
私は、幼稚園や小
学校のときから塾通いをさせて、遊び盛りの、あるいは育ち盛りの
子供の自由を奪っている今の
社会の姿は間違っていると思うのであります。また、
学校で余りにも多くのことを
子供に詰め込もうとするところに問題があるのではないでしょうか。最小限必要なもの以外は極力圧縮すべきではないか。現行四十人
学級で行き届いた
教育を求めても無理であります。まず当面、第一段階として三十五人
学級の
実現に踏み切るべきだと思います。
そして、先生と
生徒の意思疎通ができ、屋外での
教育の機会もふやし、さらには自然や動植物に接し、優しい心をはぐくむ
教育の創造こそ大事ではないのですか。
家庭と
学校とが
子供の個性の芽を摘むのではなく、それぞれの個性の芽を伸ばす
環境をつくっていくべきであると
考えます。
今の若者の多くは、中
学校時代の三
年間は楽しいものではなかった、余り振り返りたくはないと言っております。国や
社会がいかに
経済的に豊かになったとしても、
子供たちが生き生きとして未来を見詰め、成長することなくしてはその国が滅びることは
歴史が示しております。
総理が六つの
改革の中の最重点として、
教育の
改革に取り組まれることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔
国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕