○渡辺孝男君 ただいま
大蔵大臣から
報告のありました
平成八年度
決算につきまして、公明を代表し、
橋本総理並びに
関係大臣に
質問いたします。
政策不況により、雇用不安、生活不安、老後不安など多くの不安が渦巻く今日の
日本において、必死に働き生活している
国民は、大事な税金がどのように使われるか、また使われたか、大変厳しい目で見ております。びた一文血税がむだに使われてはならない、税は
国民全員のために平等、公正、効率的に使われるべきである、そのような思いで
国民は
監視しております。
平成八年度
決算に関する
会計検査院の
検査の結果、不当事項として掲記されたものは三百十四件、約百七十億五千万円にも及び、そのほかにも改善を要する事項が数多く
指摘されております。
不当事項件数の
省庁別比較では厚生省が群を抜いて多く、中でも補助金
事業の
実施及び経理が不当であったものが百五十四件、約三十九億五千万円と過大であるのは非常に問題であります。
この点に関する厚生大臣、
大蔵大臣の見解を求めます。
中でも特に憤りを感じるのは、福祉を食い物にした彩福祉グループによる特別養護老人ホームをめぐる汚職事件であります。これに
関連して厚生省の事務次官が辞任し、そのほか
審議官ら十六人が処分を受けました。
〔
議長退席、副
議長着席〕
また、この事件を契機に、
平成八年十二月、各
省庁に綱紀粛正のため職員倫理規程がつくられることになったわけであります。それをさかのぼること一年前にも、大蔵省は、東京協和、安全二信組
関連の接待事件で省内処分を行った後に、「綱紀の厳正な保持について」という官房長通達を出しておりました。にもかかわらず、今回の金融
関連の不祥事にて、大蔵省幹部やその捜査に当たる警視庁警部の収賄事件が新たに発覚し、公務員の綱紀の乱れが一向に改善されていないことが天下に明らかとなりました。
そこで、
総理並びに
大蔵大臣に
お尋ねいたします。何ゆえ官房長通達や職員倫理規程が守られなかったのか。その原因と、天下り規制の
強化や公務員倫理法制定を含めての今後の綱紀粛正対策について
お答えいただきたいと思います。
また、公務員ばかりでなく、新井将敬自民党代議士の不正利益取得疑惑、泉井石油商不正献金疑惑などの
政治家の倫理が問われる事件も多発しており、この際、汚職
議員が再び立候補できないようにする
政治腐敗防止法を制定し、
政治不信の解消に努めるべきだと
考えます。これに対する
橋本総理の御
所見をお伺いいたします。
さて、時代の変遷や社会の
変化に伴い、
国民の生活パターンや意識にも
変化が生じてきております。例を挙げれば、近年の省エネ、リサイクルに対する
認識の高まりや、地球温暖化防止のための世界市民としての連帯意識の高揚であります。また、少子・
高齢化に伴う家族や地域社会の人間
関係の精神的ストレスの
増加や、世代間、男女間の負担の公平化を求める要求の増大などであります。
行政は、これらの社会
変化や
国民意識の
変化に敏感に
対応しながら、
国民へのサービス向上に努める必要があります。大衆の党公明は、これら
国民の関心が高いリサイクル、
環境問題や少子・
高齢化に伴う福祉、教育の問題を重点
政策課題としてとらえ、積極的な
取り組みをしているところであります。
そこで、これらに
関係を有する
決算の二つの事項について
質問いたします。
平成三年に再生資源の利用の促進に関する法律、いわゆるリサイクル法が制定され、
政府は公共建設工事において再生資源の
有効活用を強力に
推進することになりました。しかし、
平成八年度
決算に関する
会計検査院の
報告では、国庫補助による道路改築
事業に再生砕石が適切に利用されず、高コストの新材の砕石が使用されたために、約三十八億円の材料費中約十億円が割高となり、その分、
国庫補助金が約五億円多く支出されたとみなされるとの趣旨の
指摘がなされております。
一九九二年のリオの地球サミット以降、世界的に資源循環型社会の
構築が求められており、
我が国もゼロ・エミッションを目指して積極的に取り組んできたはずでありますが、まだ
指摘されるような
状況にあることはまことに遺憾であります。このような現状を
総理並びに建設大臣はどのように
認識しておられるのか、また今後の公共建設
事業において資源リサイクルをどのように積極的に取り入れていくつもりなのか、その方針をお聞かせいただきたい。
次に、少子・高齢社会に
関連して
質問いたします。
急速な少子化により、
我が国の児童生徒数は、昭和六十年の千六百七十六万人に対し、
平成八年度は千二百二十四万人と、この十一年間で約四百五十万人も減少しております。しかし、学校数はほとんど減っておりません。その結果として、
平成八年五月一日現在で、おおよそ一割に当たる約一万二千室は将来とも使われる見込みがない空き教室とみなされております。
国は、公立小中学校施設の設置に際し、国庫負担を行っており、文部省は各種の通知等を通して、余裕教室の有効な
活用や社会福祉施設など学校以外の施設への転用を打ち出しております。しかし、
会計検査院はいまだその
有効活用は不十分であるとして改善を求めております。
少子・高齢社会を反映して、地域住民からは福祉施設や生涯学習の場としての利用を求める声が大きくなってきております。そこで、学校の閉鎖性を打ち破り、地域住民との交流を深める
効果も期待できるこの空き教室の有効利用を積極的に
推進すべきであると
考えます。多数の空き教室が有効に
活用されない原因をどのように分析され、今後その改善のためにどのように取り組まれるのか、文部省としての具体的な対策と福祉施設への転用についての厚生大臣の
考えをお聞かせいただきたい。
公明の浜四津代表は去る二月十四日、中学生によるナイフを使った事件が多発していることを踏まえ、教育に関する三つの緊急提言を発表いたしました。その
一つが、空き教室を
活用し、二十から二十五人の学級を実現し、きめ細かな教育ができるようにしてはどうかという提言であります。この提言に関しての文部大臣の御
所見をお伺いしたい。
また、文部大臣は中央教育
審議会に対し、心の教育について諮問を行っておりますが、大人社会のモラルの低下と児童の心の荒廃との
関連について、大臣御自身どのような見解を持っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
最後になりましたが、中国の易経に「亢竜悔い有り」という言葉があります。その意味は、上り詰めた竜には、後は下るだけで悔いを残す運命が待っているということであります。
橋本総理は、昨年九月に自民党総裁に再選されましたが、その後、閣僚人事のつまずき、
景気対策の失敗、
中央省庁再編における初期の理念の後退、財政構造改革法の有名無実化、さらには国家公務員の綱紀の乱れなど、失政やリーダーシップの陰りを示す事件、
状況が相次いでおります。
国民の支持率も五〇%台から三〇%台に低下しております。今後さらに失政が重なり、
国民にこれ以上の負担を強いることがないよう、
橋本総理は早急に退陣を
考えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
総理の御
所見をお伺いし、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣橋本龍太郎君
登壇、
拍手〕