○平野貞夫君
特別減税関係三
法案について、自由党を代表しまして
質問いたします。
まず、冒頭に
大蔵省の金融
検査をめぐる汚職
事件について指摘しておきます。
行政・官僚機構がこれほどまでに腐敗していたのか、
国民は改めて
我が国の先行きに不安を感じています。公正な市場ルールづくりを怠ってきた大蔵
行政、
不良債権をふやすことに協力してきたとも言えるこの
事件は、事
政治、
行政、
経済のみならず、教育も含め、
日本人のあり方と国家の根本を問いかけるものであります。
三塚大蔵大臣が
引責辞職して事足りるものではありません。
事件は氷山の一角と推察されます。徹底的な捜査により事実の解明を行い、一日も早く
信頼を
回復する
措置を講ずるよう、強く要請しておきます。
日本の
政治文化は、古来から、
銀行の貸出部門と
大蔵省の
検査部門とを一緒くたにして裏で談合するというものでした。自社さ連立
政権は今それを表でやっているようなものだと心ある
国民は指摘しております。社民党の前身の社会党は、かつてすぐれたノウハウを持った
政治的
検査部門を担当していました。今や懐かしい思い出でございます。
それにしても、
橋本総理、
事件発覚後のあなたの対応は余りにも無定見です。数日前の自社さ与党三党による、当分の間、
財政・金融両部門を分離しないと決まったばかりの問題について、分離を明確にすると
発言しました。
事件に合わせた一時しのぎの感情論ではないのですか。
公務員倫理法の制定も、結局はあなたが後退して
倫理規程にしたものです。本気でこれらのことを実行すると言うなら、まず自分の無定見さを
国民にわびてからにしてもらいたい。
大蔵省汚職
事件の本質は
政治家の腐敗にあります。大蔵官僚を利用して利権のネットワークをつくり
政権を持続する
政治構造が問題なのです。
橋本総理や加藤幹事長が事務次官の首をとって問題の核心から
国民の目をそらそうとしていることは明らかであります。
大蔵省との癒着が取りざたされた
総理自身の富士
銀行疑惑
事件もうやむやのままではないですか。閣僚、
自民党執行部の泉井
事件、共和
事件等を放置して、官僚の批判をできる与党の
政治家が何人いると思いますか。
橋本総理自身が
責任をとるべき問題であります。いかなる御
所見か、
お答えいただきたい。
橋本総理、
我が国の金融不安、アジアの通貨不安を初め
経済危機の原因は何でしょうか。これらの
危機を招いた
責任はだれにあるのか。いかがお考えか、お伺いします。
あなたが、
平成九
年度予算で九兆円に上る
国民負担増を強制し、公共投資を削減するなど、超緊縮
財政を選択したのが今日の
経済危機の直接の原因であります。私たちが一昨年の
臨時国会以来主張してきたように、
特別減税を継続し、
消費税率の
引き上げを延期し、社会保険料の値上げをしなければ
日本経済はこれほどまでに落ち込まず、金融
危機も発生しなかったはずです。
この
事態を私たちは一年以上も前から予見して警告していました。ところが、
橋本総理は、
特別減税を打ち切っても、
消費税率を上げても、
日本経済は自律的に
回復するとほんの数カ月前まで言い続けてきたのであります。見通しの甘さ、無能さが全世界に知られただけではなく、
我が国の金融不安のみならず、アジアの通貨
危機の大きな原因の一つなのです。あなた自身が世界金融恐慌の発信地にはなりたくないと
発言するほど重大な
状況をつくったのであります。
まず、
橋本総理が行うべきことは、
経済財政政策で私は間違っていました、
政策不況をつくりましたと、世界と
国民に謝るべきではないでしょうか。いかがですか。
昨年末、ASEANの
会議から帰国直後、あなたは突如
特別減税の再
実施を表明されました。 私たちは、昨年の通常国会において、恒久化を視野に入れた
特別減税を継続する
法案を国会に提出しました。一月二十三日の
衆議院本
会議において、神崎武法議員の
特別減税要求に対して、
橋本総理は、
特別減税を続けるには恒久的な新たな財源が必要だが、現在の厳しい
財政状況を考えればとり得ませんと一蹴しております。
昨年、
国民から、
消費の落ち込み、
景気の冷え込みを懸念して
特別減税の継続を求める声が沸き上がりましたが、
政府・
自民党執行部はすべてこれを拒み続けてきました。
十月九日、村岡
官房長官、尾身経企庁
長官、加藤幹事長、山崎政調会長の会談で、
赤字国債の発行を伴う
所得税減税は額の多少にかかわらずできないと完全に否定しています。
同月十八日の
衆議院予算委員会で、上原康助議員の
所得税減税の強い
要求に対して、
橋本総理は、
所得税減税をする大きな財源を持っているわけではない、
赤字国債の発行はあってはならないとまで言い切っております。最近、
財政改革と
景気対策は
二者択一ではないと言っていますが、よく言えたものです。
同月二十日、
衆議院の
財政構造改革委員会で、野田毅議員が、
日本経済はまだ重病だが、
消費税率引き上げや
特別減税打ち切りで治りかけた病人に水をかけ肺炎を起こさせた、これは
政策不況だ、
所得税、法人税の
減税をやるべきだとの主張に対して、
三塚大蔵大臣は、
財政構造改革の原点は
赤字国債依存体質からの脱却、それを崩すと
日本経済はつぶれるとまで言い切っております。これはほんの一例です。
これだけのことを国会答弁などで
国民に約束した上で、ASEANから帰国するや否や、十二月十七日、突如として、あなたが原因をつくったアジアの通貨不安を口実に
赤字国債を財源とする二兆円の
特別減税に踏み切り、
記者会見で
政治責任は今やらなくてはならないことに比べて小さな話だと言い放ったことは見逃すわけにはまいりません。
何が
橋本総理をして心変わりをさせたか、国会答弁を覆したのか。御自分の
判断で
政策を変更したのかどうか、
お答えいただきたい。
同じ日に、クリントン米大統領に電話で二兆円の
特別減税について説明したとのことですが、米大統領の圧力でもあったのですか。
国民の前で明確に
お答えいただきたい。
政策の変更なら、まず
特別減税を否定してきた
政策の
誤りの結果
責任をとるべきです。なし崩しに変更してよいというのなら、これから先の
政策を
責任を持って立案し、実行しようという保証がありません。
政策のモラルハザード、すなわち民主
政治の
倫理観が欠如したものと断ぜざるを得ません。他党の
政策を断りもなく失敬するようでは議会民主
政治、政党
政治は成り立ちません。理念や
政策に殉じない
橋本総理に対して、朝日新聞でさえ一人二役のごとくぬえ的と評しています。
政治責任など小さな話だとは何事ですか。
総理大臣としての資質を疑います。御
所見を伺いたい。
加藤
自民党幹事長が十月二十六日にフジテレビで語ったと報道された読売新聞の記事も重大です。
財政出動要請は、今は国内の声だが、米大統領からも日米のためにやってくれとの圧力が必ず来る、米大使館筋からも事前に来ているが、断っているとの
発言です。
このこと一つをとっても、
特別減税の再
実施や額賀副
長官の米国での
景気追加策の説明などの
政策変更が、
国民の意見や国会での議論の中で行われるのではなくて、米国側の圧力で行われたことは厳然たる事実だと言えます。朝日新聞も報道を訂正しません。
政府・
自民党挙げて、
橋本政権ぐるみで口先介入などによる株価操作、国際的インサイダー取引がきょうも続けられております。
こういうことだから、
特別減税の中身も、
国民の利益にならない、
経済を構造的に
改革しない行き当たりばったりの
減税になるのです。この
減税三
法案は、
財政構造改革法と矛盾し、その精神を踏みにじるものであり、今回限りの一時的
措置は
増税予告つきばらまき
減税にほかなりません。
減税には中期的な税体系に対する理念、哲学が必要であります。構造的に仕組みを変える
恒久減税であるべきです。同じ二兆円の財源を活用すれば、最高限界税率の引き下げ、税構造のフラット化、
簡素化を実現して、すべての税率を下げることも可能です。今や
国民のため、
国民による
恒久減税の
実施が必要です。私たち自由党の
恒久減税論がそれであります。御
所見を伺いたい。
最後に、
政策のモラルハザードどころか、クリントン大統領の女性問題とは質の異なる、国際問題をはらんだ
日本の国益にかかわる女性問題に悩まれている
橋本総理には、もはや
政権の持続は不可能です。
政策不況で莫大な
国民の富を失った
責任のみならず、これ以上
総理が
政治と
政策にわたる過ちを重ね、優柔不断を続けることに
国民は耐えることができません。一日も早く退陣されることが
国民のためにも、
日本のためにも、世界のためにも有益であります。
総理の御
所見を伺い、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣橋本龍太郎君
登壇、
拍手〕