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千葉景子君 私も
民法の
基本が全く変更されるということを申し上げているわけではございませんで、
基本は
原則どおり、
特定の個人間などの
関係は
原則どおりというのは当然わかっております。ただ、先ほど申し上げましたように、今や個人が負っている債務というのはやっぱりそういう大量の
債権の債務側といいますか、そういうケースがほとんどであろうというふうに思うんです。
法人と
法人の間で大きな契約
関係、
債権債務関係があるとか、個人的に
債権債務関係が多少あるということは考えられないわけではありませんけれども、個人あるいはいわば消費者という側に立ちますと、やっぱりこういうことに該当するケースがほとんどではないだろうか。
その割には、今回のこの議論といいますのが、確かに
債権者側あるいは
債権の
流動化という経済的側面は
目的としてあるのはわかるんですけれども、やっぱり片方には、そうはいっても
債務者がおり、そして
一般的な消費者というものがあるわけです。その議論というのが大変何か希薄なような気がするんです。
その地位が揺るがせられない、あるいはいろいろな
意味で調整をしたり保障がなされている、法的に裏づけがなされているということはあろうというふうに思うんですけれども、やっぱりこれだけ時代の要請もあり、
債権債務関係というのが今言ったように消費者にとっては大変大きく今後変わっていく、あるいは自分の
債権というものがどんどん動いていく、そういう
可能性のあるものだということも含めて、
債務者にとっても決して無
関係なことではないんです。どうもその辺の側からの議論とか視点というものが本当に十分に盛り込まれているんだろうか、なされているんだろうかということが多少私も気になるわけです。
これは彼ほど
個々の質問の方でいろいろとお聞かせいただきたいというふうに思いますけれども、このところ、そういう
意味で大変重要な議論が非常に簡単に経済の要請がゆえにということで、スピーディーなことは悪いことではないんですけれども、そういう
感じで進められているという
感じがいたしますもので、その辺をちょっと改めて御認識をいただければというふうに思ったところでございます。
さて、先ほどもお話が出ましたように、この
法案が提案をされましたことによりまして、現行の法体系で但
債権譲渡にかかわる
対抗要件、
公示の仕方について結局は三つの形が出てきたということになると思います。
一つは、
民法の
原則にのっとった
公示、それからこの
特例に先立ちまして既に実施がされております
特債法による
公告という形での
公示の
方法、そして今度この
特例の
法案によりまして
登記という形が考えられる。三つの
制度といいますか、
システムができてきた。それぞれ
対象分野あるいはそれを使える主体、こういうものに制限あるいは条件がありますので、それぞれ違うといえばそれまでですけれども、
債権債務関係に対して非常に何か複雑な体系になってしまったという
感じがいたします。そういう
意味で、本当にこれで取引の安全とか
債務者の保護という面で混乱を来すことがないのかどうか、改めて私も心配をするところなんですけれども、そこで幾つかお聞きをしたいというふうに思っております。
まず、取引の安全といいますか
公示のあり方についてお聞きをしたいんですけれども、現在の
民法の体系によりますと、
民法四百六十七条で、
確定日付のある証書による
通知または承諾、これが
第三者対抗要件ということになります。既に実施をされております
特定債権法によりますと
公告という
公示方法になるわけです。
公告がされたときには
民法上の
確定日付のある
通知があったものとみなされて、そして
公告の日を
確定日付とする、そういう法構成になっております。
ただ、
公告という
特債法による
手続は、先ほど御説明がありましたように、
債権譲渡計画の届けとかいろいろな
手続がありますから、そんなに突然こういうことが起こるわけではないから二重に
対抗要件が重なるようなことは現実にはあり得ないと、多分そういうことがお答えの中に出てくるのではないかと思いますけれども、そうはいっても、例えば
公告手続を済ませた
債権と個別に
民法四百六十七条の
対抗要件を具備した
債権譲渡がある場合に、二重
譲渡といいますか二重にそういう
手続が重なった場合に、どちらが優先するのかということについては非常にわかりにくい内容になるのではないかというふうに思うんです。
公告というのは
新聞などに出す、それが
確定日付になるというんですけれども、
確定日付による
通知または承諾ということになりますと一定の時間まできちっと確認できますけれども、
公告では本当に時間のところまでそれによって確定できるのかどうかということもございます。そういう
意味で、
民法上の
確定日付による
通知と承諾、これと
特定債権法の
公告というのはどういう
優劣関係になるのでしょうか。
通産省の方おいででしたら、
公告の
手続の方ではどういう考え方に立っているのか御説明いただけましょうか。