○平野貞夫君 わかりました。
それと、高齢者と言うとちょっと悪いですが、結構年齢が高くなきゃ司法試験に合格しない。したがって、労働法でも行政法でも勉強する時間的なものもなくなるということがあると思いますので、やっぱりできるだけ若い方が合格しやすい一つの
状況というものも必要かと思います。
私は率直に言いまして、
専門家じゃございませんので素朴な質問しかできませんが、現行の科目
制度に変わったのは昭和三十六年でございますか、いわゆる
法律の専門科目としましては。昭和三十六年以降のことで一つ思い出すのは、ロッキード
事件のときに問題になりました鬼頭さんという判事補がおりましたね。あの方はこの三十六年ごろ司法試験に通ったんです、パスしたんです。この科目が変わって、
制度が変わって通った人なんです。私は同期生ですからよく知っています。したがいまして、
制度を変えるときにはいろいろ問題が起こると思うんです。これは気をつけていた方がいいと思います、人もふやしますから。
〔理事大森礼子君退席、
委員長着席〕
それで、私、素朴なことを申しますと、彼が通ったことで、一体司法試験の
制度というのは何だろうと、
事件を起こす前からもう思っていました。昭和三十年代というのは特殊な時代ですからいろいろあるでしょうけれ
ども、通る方のほとんどは立派な人格と見識をお持ちの方でしょうが、時たまああいう方がいる。あれで私は最も難関である国家試験の一種の権威というのが非常に落とされたと思います。これは答弁は結構でございますが、よくよく人格、人間の価値観、人生観、余り思想に立ち入るわけにはいきませんでしょうが、これは科目のこういう
制度を
改革した後というのは起こり得ることですので、くれぐれも注意してひとつ運営していただきたいと思います。
それから、私の体験で申しますと、七、八年昔になりますか、衆議院のことですが、
国会の審議を通じて贈収賄
事件というのが発生した。例えば撚糸工連
事件とかリクルート
事件なんかがそうなんですが、そういったときに地検特捜部から連絡があって、私はその窓口をやっていたんですが、若い
検事が来まして、
国会の運営とか
会議録とか
質疑の
状況なんかをいろいろ聞かれるわけです。そのときに
感じましたのは、もちろん憲法も勉強されて試験に通ったんでしょうけれ
ども、余りにも統治といいますか国家運営の原点のことについての常識というのがない。
例えば、
企業に頼まれて
国会で質問する、そのこと自身が悪いと言うんです。あるいは団体に頼まれて
国会で質問する、そのこと自身が悪いと言う。冗談じゃない、そのことを通じてお金をもらうとかなんとかということが起こる、そこに
犯罪が生ずるわけであって、それだったら議会は
機能しないぞということを私らは言うわけでございます。あれから十年近くたっていますからもうそんな人はいないと思いますが、非常に若い
検事さんたちがそういう世間の一般常識といいますか、本当に条文の読み方しか知らない。それは若いですから研修していかれるわけでしょうが、しばしばそういう
経験に遭って私は唖然としました。
今後、新しい
社会の
ニーズということで
司法機能の整備をするわけでございますが、
修習の際には、一般教養というより国家公務員として、これは司法試験を通った人だけでもないです、各省のエリートと言われる人ほど
国会の本質的
機能について理解していない。逆に言うと、
国会の本質的
機能を理解したら試験に通らないんじゃないかというぐらい一種の画一的思考です。ですからいろんな
事件が官僚の世界で起こって、これは
教育の問題だと思います。(「
国会法が選択科目じゃないからだよ」と呼ぶ者あり)
国会法というのは戦時国際法みたいな部分がありますので難しいと思いますが、その辺の
教育をよくやっていただきたいということを要望しておきます。
ほとんど要望の話になるんですが、先ほど大森理事から
弁護士過疎の問題が出ました。私は高知県土佐清水という日本で一番過疎の生まれでございまして、中村市、宿毛市、あの周辺を入れて約十万人ぐらい
人口がおるんですが、
弁護士さんの仕事ができる方が一人しかいないんです。これも
裁判官をやめられて高齢の方でございまして、非常に
法律的な仕事が多くなっているときに困っております。
ところが、土佐清水市からは伝統的に、例えば人権問題の森川金寿先生とか、松川
事件の主任
弁護士をやった岡林辰雄先生とか、そういう物すごい著名な
弁護士が出るところです。今でも
弁護士の方たちは結構出ていますけれ
ども、全く帰らない。
これは
法務省に言ってもしようがないことかもわかりませんが、やはり
国民の法意識、それから義務
教育も含めた、やっぱりこれから法の支配ということについて我々も目覚めにゃいかぬわけですので、何とかいい知恵を出していく。例えば高知市だってそんなに多くはいません。それでお金持ちは、例えば大きなパチンコ屋で脱税問題が起こった場合には大金出して東京から
弁護士さんを呼んでやっておるわけなんですよ。地域による
弁護士過疎の問題は僕ら一種の人権問題じゃないかと。ここの問題を一つ提起しておきますので、ひとつ御
検討いただきたいと思います。
それから、各専門の先生方がほとんど質問なさっているものですから、何かとっぴな質問をして申しわけないのですが、司法
制度の整備ということになりますと、私は最終的にはやっぱり憲法をどういうふうに見ていくかという問題に突き当たると思います。政治
改革の問題で、いわば
国会制度、議会
制度も本当に新しい
社会の
ニーズに対応するためには憲法を見直さにゃいかぬ部分がございます。
国会の場合ですと、憲法に規定していろいろんな言葉、技術的なことも含めて大体二十カ所ぐらい変えてもらわなきゃ何かあったときに運営できなくなるような問題があるわけなんです。司法
制度はそれほどではないと思いますが、例えば、三権分立を規定していると同時に、お互いに三権はチェックし合えということも憲法の
要請だと思いますが、私個人の
意見としましては、行政と立法は相当チェックし合うわけですが、憲法解釈権を持っている司法が腰を引いているといいますか、積極的に憲法問題について入ってこない。そういう
意味では現憲法の趣旨を十分生かし切っていない部分があるというふうに私は思いますが、質問の通告もせずに失礼でございますが、何か大臣の御所見がありましたら。