○国務大臣(
下稲葉耕吉君) 報道でいろいろなされていることは私も
承知いたしております。それから、国会で御答弁したのは議事録がございますので、それはもう精査していただければそのとおりでございますから、間違いございません。
そこで、お尋ねでございますのでまとめて申し上げますと、かねがね申し上げているとおり現行少年法は昭和二十二年に制定されて今日まで来ているということです。そして、二十年前に少年の年齢の問題についてどうだろうかということで法制審で議論がされまして、結局、結論を得ませんでした。中間答申という形で出ているわけでございますが、それ以来、その年齢問題に触れることはタブー視されて今日まで来ていたわけでございます。
そういうような過程の中で、
平成五年に山形県のマット
事件等々が起きまして、いろいろ裁判が分かれたような結論になっているということ等もあり、加えて最近また少年の凶悪な
事件というのが多発しているというふうな情勢になりました。
そういうふうな背景で、
平成八年十一月に、法曹三者が少年問題について議論しようという場が設けられたわけでございます。大体月一遍ぐらいのペースでやってまいりました。そして、一応その議論が積み重ねられたのを背景といたしまして、少年法改正を視野に置いて議論が始まったわけでございます。現在も続いているわけでございます。
しかし、その少年法改正の議論というのは、
審判手続においてそれが適切かどうかという議論でございます。
それを具体的に申し上げますと、今家庭裁判所で裁判官がお一人で
審判なさっている。
一般的な簡単な
事件ならともかくとして、難しい
事件を一人の裁判官で
審判なさるのがいいかどうかという議論が法曹二者の中で出ております。
それからもう
一つは、現行法では
審判に検察官の立ち会いができません。少年、それから少年の付添人みたいな形で弁護士あるいは家族という
方々は立ち会いできるわけですけれども、肝心な
事件を送った検察官の立ち会いというのができません。
一般的な簡単な
事件ならともかくとして、難しい
事件について立ち会いができないのがいいのかどうかという議論がございます。これが二点目です。
そして三点目は、非常に凶悪な難しい
事件等々になりますと、普通の
一般事件では何年もかかってやるんですけれども、四週間以内に結論を出さなくてはならないという今の規定、これがいいのかどうか。
それから、一応
審判の決定が出ますと、
審判に不服ならば子供の方は抗告ができるわけでございますけれども、
審判にもともと検察官が立ち会っておりませんので検察官側は抗告ができません。そういうふうな点がいいのかどうか等々、
審判手続について何とかひとつ議論をして少年法の改正の方向に進もうじゃないか、これが
一つの流れでございます。
これも非常に真摯に熱心に議論を続けておりますので、そう遠くないうちにある程度の結論は出るんじゃなかろうか、こういうふうに思います。これが少年法改正についての
一つの議論です。
それからもう
一つは、年齢の問題でございます。
そこで私の答弁がいろいろ取りざたされておりますが、いろいろ
質問がございます。
質問の過程で、十四歳未満の人は罪にならずという刑法の規定がございますという
説明はいたしております。それから、十三歳でも殺人とかなんとかというような
事件等々がございまして聞かれたものですから、現在の刑法の規定は十四歳未満は罪とならない。
それで、十四歳、十五歳の人でも殺人
事件を起こした事案が最近ございます。それについても聞かれております。それについては、今の少年法の規定では刑事処分をすることはできません、
少年院送りなりなんなりの処分しかできないわけでございます。ですから、現在の少年法の建前はこうなっておりますというふうな御
説明は丹念に申し上げております。
私は、だから十四歳以下に刑法を改正しようとかなんとかと言ったことは一言もございません。現在の法制の建前を御
説明申し上げております。
そういうふうな中で、果たして少年法の年齢が現行法のままでいいのかどうか。これは法曹三者のみならず、
教育関係者ですとか、児童福祉に
関係のある方ですとか、あるいは警察の
関係者ですとか、広く議論をしていただいて、その中で現行の少年法の年齢がいいのかどうかを議論して、結論を出していただきたいということを終始申し上げているわけでございます。
そういうような中で、それは年齢を下げればいいとか、あるいはもっと上げればいいとか、いろいろな議論が出るかもしれませんが、その辺の結論はやはりこれは重大な問題でございますので、私は先入観を持って申し上げているわけでもございません。そういうような形で御議論いただきたい。
ですから、少年法改正の問題は二つございまして、
一つは手続の問題、これはどんどん進んでおります。それから、後者につきましてもいろいろ議論する場を、まず
法務省の中でも
関係部局がたくさんございますので、膨大な資料をもとにして今検討を始めているわけです。それが終わりましたら、今申し上げましたようなところにまた場を広げて議論していただく。私は最終的には法制審にかけて結論を出してもらわぬといかぬ、このように思っております。