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国務大臣(
下稲葉耕吉君) ただいま議題となりました
保護司法の一部を
改正する
法律案につきまして、提案の
理由及びその概要を御
説明申し上げます。
保護司
制度は、地域社会の穏健篤実な奉仕家たちが犯罪や非行をした者を無報酬で補導援護するという世界にたぐいまれな
制度として発展し、その立ち直りや地域社会の安全に大きく寄与しておりまして、
我が国の刑事政策上極めて重要な役割を果たしている
ところであります。
しかし、近時の社会風潮等によって、
保護司としての有能な人材の確保が容易でなくなりつつある一方、さまざまな問題点を抱える処遇困難な対象者が増加して
保護司の負担が増している状況の中で、
保護司とその
活動に対する一般
国民や地域社会の理解及び
保護司組織による組織的な支援体制の強化が喫緊の課題となっております。
ところで、
保護司の職務のうち、
保護観察や矯正施設に収容中の者の環境調整につきましてはその内容がはっきりしておりますが、犯罪予防
活動のようにさまざまな
活動形態があり得るものにつきましては、どのような
活動をどのように行うのが公務であるのか必ずしも明確ではなく、一般
国民の
保護司に対する理解が不十分となり、十分な協力を得がたい原因の一つとなっております。
また、現在、
保護司を構成員とする
保護司組織が全国に結成され、
保護司相互の研修や福祉機関との連携を図る等、
保護司の
活動を支える上で重要な機能を担っておりますが、これらの
保護司組織は、現状においては任意組織にすぎず、その役割、機能について明確な規定がないため、対外的に
保護司組織について理解を得るのに障害となっており、また組織運営の負担が一部
保護司に偏るなどして組織
活動の充実を図ることが難しくなっております。
さらに、
保護司及び
保護司組織の
活動が地域社会の安全及び住民福祉の向上に寄与しておりますことから、地方公共団体からさまざまな支援を行っていただいておりますが、今後、地方公共団体との協力
関係を推進していくためには、その
法律的な根拠を明確にすることが必要であります。
そこで、
保護司
制度の充実強化を図るため、
保護司の職務の遂行に関する規定を整備するほか、
保護司組織を法定化するとともに地方公共団体の
保護司及び
保護司組織に対する協力規定を設けるなどの必要があると
考えられますので、ここに本
法律案を提案することとした次第であります。
次に、
保護司法の一部を
改正する
法律案の概要について御
説明申し上げます。
第一に、
保護司は、地方更生
保護委員会または
保護観察所の長から指定を受けて当該地方更生
保護委員会または
保護観察所の所掌に属する事務に従事するほか、
保護観察所の長の
承認を得た
保護司会の計画の定める
ところに従い、当該
保護観察所の所掌に属する一定の事務に従事するものとしております。
第二に、
保護司の職務を支援する組織として
保護司会及び
保護司会連合会を法定化しております。
第三に、地方公共団体は、
保護司及び
保護司組織に対し必要な協力をすることができることを規定しております。
以上が
保護司法の一部を
改正する
法律案の提案
理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重に御審議の上。速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。