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伊藤基隆君 私は前回の
委員会で金融自由化の力点の置き方について批判をいたしまして、それが混乱を起こさないように考えて
大蔵省としてやってきた、すなわち例えば企業から個人へ、大口から小口へと。金利の自由化でも、大口から小口へといっても、億単位から始まったわけでしょう、しばらくは。億単位の自由化ですね。九四年の最後の段階で言ってみれば小口というか個人が手が届く範囲の金利の自由化。
しかし、実際問題はその後金利の自由化になったのに金利は横並びが続く、これは自由化というものの
意味をとらえていないんじゃないかというふうに私は思うんです。城南信用金庫が新しい商品を出したということについて世の中で皆評価しました。少しそれに追随するものが出てきた。そのくらいの変化ですね。かつて三菱銀行が独自の金利を設定して出そうとしたら
大蔵省にとめられたというような話が当時世の中にずっと流れました。私は、金利自由化はやったんだと、実際やったんですけれ
ども、そのことについて民間は受けていないじゃないかというふうに言いたいわけです。長い間時間をかけてやってきたその慎重なやり方ということは私も大切なことだったと。しかし、今急ピッチに起こってきているというふうに銀行
局長は言いましたけれ
ども、それに私は対応できていないことの心配があるわけです。
ところが、シティバンクとかどんどん入ってきてどんどん展開していますね。それが消費者の利益を守るシステム、
アメリカ型の
市場の慣習的システムというようなものは
日本にない。やりたい放題みたいになっちゃうんじゃないかというおそれもあって、その辺が準備ができていないんじゃないかというふうに心配します。準備のことはまた
一つ一つ聞いていきたいと思います。
そこで、先ほど
大蔵大臣の答弁の中で、不良債権の処理について、帳簿上の処理を実物処理に転換させなきゃならないというふうに言われました。私は、行財政・税制特別
委員会のメンバーでもありますから、自由民主党の片山
委員と政府とのやりとりを聞いて、質問しませんでした、考えはよくわかりましたから。
そこで、私が午前中に申し上げたように、おんぶにだっこに哺乳瓶じゃないかと言ったのは、例えば損切りしても無税にしてやろうじゃないかというような無税償却、これは哺乳瓶、ミルクを与えると。おんぶにだっこしてなおやるのかと。私は、こういうふうにすれば根本的な不良債権の解決になる、公的資金もそこに投入してやらなかったら
日本の体力がなくなるんだという方程式を解くような、
見解としてはわかるのですが、相手は生身の
国民なんです。
戦後ずっと、超とは言いませんが、低金利で来たと。
日本の復興のためだと一番
最初に言われて、これは非常に重要なことだと
国民も思ったと思うんです。石炭を最優先
課題にしたり、造船に財投をぶっ込んでいくとかということもやりました。どこかの船舶会社の偉い人が産業界は財投の世話は一切受けてなかったなんということを言って、私もその人には抗議しましたけれ
ども、とんでもない話だと。だから、
国民はそうだろうなと思って国力回復のためにはこらえてきた。しかし、前にも何回も私は言っていますが、例の狂乱物価のときに貯金の目減りが起こったわけですよね。ゼンセン同盟という組合が
訴訟まで起こしました、貯金目減り
訴訟。あれで企業の借金は棒引きになった。狂乱物価でかなり蓄積があって、大企業は資金が潤沢になって銀行を相手にしなくなった。そこで中小または非製造業、それがバブルのときは
不動産に回っていった。バブルの起因の
一つですよね、日米
関係もあるけれ
ども。それでそのバブルのときに多くの事例が、住専は税金で救われたと。私もあのときはあれしか方法がないというふうには思っていました。
しかし、一方でこの東京近郊、都市近郊に土地を持っている人が融資を受けろ受けろと言われて受けてやって、それがバブル崩壊で返せ返せになって、貸したものを返せですから当然な話ですわね、ということになって大変な苦しみを受けた人が、もう立ち上がれないほどダメージを受けた人がいっぱいるわけです。バブルのときに私が前に住んでいたところで私の家より小さい家が、私の家は
最初買ったのが二千六百万だったのがバブルのときは七千万ぐらいになりましたけれ
ども、売れば住めなくなるから……。埼玉県ですよ、
大蔵大臣。上尾市です。私の家のそばで私の家より小さいのが一億ですよ。それを買ったんだ、当時の人が。どうするんですかそんなもの。今三千万ですよ、よくやって。そういう被害を受けているんです、この金利政策によって。
それで、超低金利でどんどん、不良債権を処理するための資金と公式に言われているわけじゃないけれ
ども、その時間的余裕と資金が銀行にはあったにもかかわらず、不良債権は帳簿上の間接償却で残していて、この間特別
委員会で
大蔵大臣が言ったように土地が将来値上がりするんじゃないかと、何とか根性と
大蔵大臣は言いましたが、そういうのがあって、とうとうそうならなかった。そこで与党・政府が検討しているのは、図式どおりいえばそれで解決できるけれ
ども、そこまでやっていたのに、じゃ哺乳瓶をやるのかということになるわけです、政治的には。政策的には
大蔵大臣が言ったこと、総理が言ったことはそれで決断してやればできるのかもしれない。与党が多数だから通るのかもしれない。しかし、政治的に
国民に対してそういうことが言い切れるのかと、そういうふうに私は言いたい。そのことについてやはり答える責任があると思いますよ、今の段階でも。