○今泉昭君 民主党の今泉でございます。
まず最初に、
農協の今後のあり方というか、その中でも特に重要な役割、仕事でございました信用事業の今後のあり方に関する行政当局の考え方を少しお聞きしたいというふうに考えております。
これは私が言うまでもなく、
農協には四つの大きな使命がありまして、一つは信用事業、もう一つは
組合員の共済事業、そして購買あるいは販売等の経済的な事業、そしてまた指導事業という大きな事業があったと思うわけですが、この歴史をずっと振り返りますと、社会の大きな変革、そしてまた農業というものの社会的な位置づけの変革に伴いましてこれらの業務の力点の置き方というものが大きく変わってきているのではないだろうかというふうに私自身は考えております。
言うまでもなく、これまでの高度経済成長の時期におきましては信用事業を除く事業というのはほとんど赤字のような状態ではなかったかと思うわけでありまして、むしろ
農協自体の活動というのはこの信用事業でもって赤字を埋め合わせていたというような
実態にあったんじゃないかと思うわけであります。特に、金融行政が規制で守られていたということもございましたし、
預金量が不足をしていたということがございましたから、特に現場から金を集めてくる力のある
農協が都市
銀行、特にお金を集める力のない都市
銀行にお金を貸すとかあるいは証券を
運用するとかによって利ざやを稼ぐというのが安易にできた時代だったと思うわけでございますが、そういうものが一つは時代の変化とともにむしろ金融業というものの厳しさというのが規制緩和とともに起こってきた、バブルの中では住専に対する無理やりな、野方図な貸し付けによって逆に痛手をこうむらなきゃならなくなってきた、むしろこの信用事業というものが大変な重荷になってきたような時代になってきたのではないかと思うわけであります。そこで、いろいろと
実態を調べてみますと、例えば
農協、もちろん
信連、農林中金も含めまして調べてみますと、
貯金に対して貸付率のパーセントなんかも見てみますと、
農協の場合は
貯金を集めた中のわずか二七・八%
程度しか貸し出していない。
信連においては二割を切ってしまっている。一番大きなのが農林中金だと、全国的な規模で。
そういう状態でありまして、これを都市
銀行と比べてみますと、都市
銀行などは貸し付けの方がむしろ一〇〇%を上回っている。地方
銀行でも七八%もある。それから、第二地銀では八四%もある。そしてそのほかの
信用組合におきましても七割から八割近くの貸し付けを行っていく力を持っていたわけでございますが、
農協関係、系列の信用事業というものは結局ほとんど自分の力で貸し付ける力がなかった、集めることは集めたけれども、集まった金をいかに
運用していくかという力がなかった、なくなってしまったというのが
現実の姿ではないかと思うわけであります。そういう中において専門家も十二分に育成をしてこなかったということが今日の特に
系統におけるところの
金融機関の大変な苦悩の状態を生じているのではないかと、こういうふうに思っているわけでございます。
この状態を見てみますと、例えば現在の中において
預金を貸し付ける力がないものだから有価証券等の
運用に力を入れざるを得なくなってきている。例えば、
農協においてはその割合が七・四%、これは少ないんですが、農林中金あたりは六割近く、六一%
程度を有価証券の
運用に充ててやっと生き延びているという状態だと。
信連においても二五%近くの
運用にかけなければならなくなっているわけであります。かつてのように、農業に従事する
組合員の生活の安定であるとか、あるいは農業事業の近代化のための投資をするという役割というものがだんだんと低下をしてきているというのが現在の
農協の
実態ではないかというふうに思うわけでありまして、これまでと同じような姿勢でもって
農協を初め
信連、農林中金のいわゆる信用事業というものを行政が指導していくつもりなのかどうか、新しい時代に向けてどのような指導を考えているのかということをまずお聞きしたいと思うわけであります。