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政府委員(
安岡裕幸君)
金融自由化が既に進んでおりますアメリカとかイギリスにおいて、
個人の立場でそれがプラスに働いているのかマイナスに働いているのかと、こういうお尋ねでございます。
私
どもの方もいろいろと諸外国の自由化の進展について調査をいたしておりまして、まず金利面につきましては、アメリカの方では一九八三年、昭和五十八年でございますが、それからイギリスでは一九八四年、昭和五十九年でございますが、このときに実質金利の自由化が完了したということでございます。
日本では先ほど申し上げましたように一九九四年、つまり
平成六年ですから端的に言えば十年おくれということでございます。
それから、業態間の参入ということで、これは大蔵省さんから
お答えした方がいいのかもわかりませんが、アメリカの方では一九八〇年代に
銀行持ち株会社の子会社に証券
業務を段階的に解禁するとか、イギリスでは一九八六年に
銀行の証券業への参加が自由化されるということがされております。
それから、証券
市場の
改革ということで、これはイギリスで一九八六年の
ビッグバンで実施というのが顕著なことでございまして、早い時期から
金融自由化が進展しているということでございます。
その結果、自由化が
個人の立場で見たときにプラスの面としてどう働いているのかということでございますが、例えばイギリスの方では結構異業種のハロッズとかテスコとか流通業の
企業が
銀行業へ参入するということで高金利の預金を提供するようになったという点もございます。
それから、先ほど
先生からお話がございましたように、これはアメリカの事例ですけれ
ども、投資
信託等の魅力ある証券関連
商品が普及してきたということもございます。
それから、金利自由化直後でございますが、一九八三年十月にはかつての
規制金利のときが五・七五%だったのが一〇%台に上昇したということでございます。当時はかなりフィーバーしたという面もございますが、最近は少し落ちついております。そんな格好になっているということでございますし、最近でも、ワシントンDCに十行ぐらいありますけれ
ども、金利が横並びというのではなくていろいろばらついてつけられているということで、最大〇・七%の金利差があるというようなこととか
金融商品が多様化されるということで
個人の選択の幅が広がったという
状況はプラスの面として、自由化の光の面として挙げられるのではないかというふうに思っています。
しかしながら、一方、
金融自由化の影の面といいますか、配慮すべき点でございますが、例えばイギリスにおきましては一九九〇年から一九九五年、この五年間でございますが、ロンドンで
銀行支店数が二百七十一店舗閉鎖されたということで二割ダウンという
状況がございます。
それから、アメリカの方で
小口預金者の手数料引き上げということで、たしか二十万か三十万の一定の口座
資金を入れないと金利をつけるのではなくて口座維持手数料を取るということもありまして貧しい家庭が
銀行口座を失っていくということで、現在
銀行口座を持っていない世帯が全体の四分の一ということを
指摘している調査もございます。
金融サービスの地域間
格差とか
顧客間
格差の拡大という
状況、つまり
金融自由化のマイナスの面も見られているというふうに認識しておりまして、プラス面、マイナス面を十分認識してこれから事に当たっていくべきだというふうに
考えております。