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政府委員(山口公生君) この住専
処理の問題、あるいは今回の公的資金の投入問題も、ややバブル経済の
処理の大きな時間的な流れで物を見ていただく方がよろしいんじゃないかと思うんです。
それは、バブルが崩壊して十年まではたちませんが相当期間たっておりますが、バブルが崩壊して直ちに不良
債権問題というのが生じたわけではないわけです。仮に
土地が下がり、あるいは担保価値が下がり業況が悪くなってもすぐさまではないんですね。それは借りている
企業もかなりまだ余力があるわけです、蓄積もあるわけです。まだ熱でいうとかなり余熱が大分ある時期、それが時間がたってきますとだんだん優良
企業がよくない
企業になり、返せるはずのもののもとになっている担保が下がってくる。そうすると、次第次第にそれは
金融機関の不良
債権という形で、あるいはゼネコンの問題もあるかもしれませんが、そういう形でだんだん集約されていっている。だから、時間がたつにつれてそういった問題が出てきていたと思うんです。
そのとき非常に大きなネックになっておったのが住専だと思うんですね。住専で三・五兆円の放棄と一・七九兆円の放棄、合計五兆円以上の
債権放棄ができたんですけれども、それは住専という問題、非常に不幸なことにたくさんの母体行があってだれが一体責任を持っているのかということすらはっきりしない、非常にほぐれにくい形の難問題になったわけでございます。それをこういう形で
処理していただいたということで、不良
債権の道筋の中で
一つありました大きな山、大石があった、それをちょっと除くことはできたんだと思うのでございます。
しかし、その後もそうした処置をやるということは、銀行にとってみますと体力を減らすことです、
利益を使うことです。したがって、だんだん体力が、償却
財源がなくなってくる。そうしますと、まず体力の弱いところから問題が生じる、それが信組の問題だったと思うんです。だから、あの後、信組の問題はかなり深刻になりました。それで
金融三法をお認めいただきました。
ところが、じゃ信組だけで物事が終わるかというと、それ以降もバブルの影響はずっと続いたわけでございます。続けば続くほど借り手の
企業も疲弊します。本当は優良
債権だったのが不幸にして不良
債権になったものもたくさんあると思うんですね。そうしたものを最終的に銀行という名前のところも抱え切れないところが出てきた、それで大型の破綻が証券
会社にも生じました。
そうすると、この間も何度も御説明しましたように、マーケット自体が非常に今度は萎縮したという現象を生じたわけです。それで今回の
金融安定二法という形にさせていただいたんですが、そういう形で見ますと、この住専の
処理が、いろいろ御
議論ありましたけれども、この五・数兆円の
処理がもし今でもまだ解決していなかった場合は一体どういうふうになっていっただろうかという感じは持つわけでございます。
いろんな御批判はもちろんありますけれども、ただ我が国がこの大きなバブルを崩壊させた、それをだんだん解消しなきゃいけない、それを解決しなきゃいけないときにたどるプロセスのときの大きなネックになっていたものがこれで
一つは解決をしたと。しかし、解決したからといって健康体にすぐなれたわけじゃありません。問題点だけをちょっと片づけただけだったということだったのかもしれません。
したがって、今でもその問題がまだ続いているということですけれども、今回の
措置でそろそろ先に進める銀行と、まだまだリストラして不良
債権問題に取り組む銀行と両方あると思うんですね。しかし、みんながみんなもう不良
債権にすべてがのしかかられてあえぎあえぎやる時代はだんだん脱することができるのではないかというふうに見ております。若干楽観的かもしれませんが、そういうふうに見ております。