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1998-03-12 第142回国会 参議院 財政・金融委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年三月十二日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  三月十二日     辞任         補欠選任      林  芳正君     吉川 芳男君      峰崎 直樹君     萱野  茂君      牛嶋  正君     大森 礼子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         石川  弘君     理 事                 岡  利定君                 河本 英典君                 楢崎 泰昌君                 久保  亘君                 益田 洋介君     委 員                大河原太一郎君                 片山虎之助君                 金田 勝年君                 野村 五男君                 林  芳正君                 松浦 孝治君                 吉川 芳男君                 伊藤 基隆君                 今泉  昭君                 萱野  茂君                 牛嶋  正君                 大森 礼子君                 志苫  裕君                 三重野栄子君                 笠井  亮君                 星野 朋市君                 菅川 健二君    国務大臣        大 蔵 大 臣  松永  光君    政府委員        大蔵大臣官房長  武藤 敏郎君        大蔵大臣官房総        務審議官     溝口善兵衛君        大蔵省主計局次        長        細川 興一君        大蔵省主税局長  尾原 榮夫君        大蔵省関税局長  斎藤 徹郎君        大蔵省理財局長  伏屋 和彦君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        大蔵省銀行局保        険部長      福田  誠君        大蔵省国際金融        局長       黒田 東彦君        証券取引等監視        委員会事務局長  堀田 隆夫君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 正二君    参考人        日本銀行総裁   松下 康雄君        日本輸出入銀行        理事       鏡味 徳房君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に  伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○財政及び金融等に関する調査  (財政及び金融等基本施策に関する件)     —————————————
  2. 石川弘

    委員長石川弘君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本日の委員会に、財政及び金融等に関する調査のための参考人として日本銀行総裁松下康雄君を、また国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案審査のための参考人として日本輸出入銀行理事鏡味徳房君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石川弘

    委員長石川弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 石川弘

    委員長石川弘君) 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。松永大蔵大臣
  5. 松永光

    国務大臣松永光君) ただいま議題となりました国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  国際通貨基金が引き続き国際通貨体制中心的役割を担うためには、世界経済の拡大に応じてその資金基盤を強化することが必要とされ、先般、国際通貨基金はその出資総額を四五%増加させる第十一次増資を行うことを決議いたしました。同決議において、我が国出資額は、現行の八十二億四千百五十万特別引出権から百三十三億千二百八十万特別引出権に増額されることとなります。また、我が国出資比率は上昇し、出資額は現在のドイツと同額の第二位から単独第二位となります。さらに、近年急速な経済成長を遂げ、国際通貨基金への出資比率がその経済力に比べて過小となっているアジア諸国等出資比率が上昇するよう配慮されております。  最近のアジア通貨危機においても、国際通貨基金国際的支援中心的役割を果たしてきましたが、今後とも国際通貨基金がこうした危機に適時適切に対処し、国際通貨体制安定等に貢献するためには、第十一次増資早期発効が喫緊の課題となっております。こうした見地から、政府としては、本法律案提案し、国際通貨基金に出資することができる金額を引き上げるため、所要の措置を講じたいと考えております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  6. 石川弘

    委員長石川弘君) 以上で本案趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後刻に譲ることといたします。     —————————————
  7. 石川弘

    委員長石川弘君) 次に、財政及び金融等に関する調査議題とし、財政及び金融等基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 野村五男

    野村五男君 私は、自由民主党の野村五男であります。  昨日からけさに至るまで、「日銀よ、おまえもか」というような感じで、ビッグバンを迎えようとしている非常に重要な時期にこの問題が発生し、昨日以来の円安、これははかり知れないほど国民にも不安を与えている今日であると思いますので、まず日銀総裁質問させていただきます。  もちろん、日銀職員はみなし公務員とされており、贈収賄があってはならないし、みだりに接待を、過剰な接待を受けてはならないということがあるのに、金融の一番大事な日本銀行幹部が逮捕されたというこの時点におきまして、日本銀行綱紀粛正と、それに昨日以来橋本総理とは、大変総理もお怒りの様子でありますけれども、御連絡があったのかどうか、その点について松下さんにお伺いいたします。
  9. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 初めに、昨日、日本銀行職員収賄容疑で逮捕されるという事態を招きましたことについて、御報告を申し上げますとともに、日本銀行総裁として深くおわびを申し上げる次第でございます。  私どもとしましては、捜査に対しまして全面的に協力をしてまいりますとともに、内部の処分につきましては、逮捕者はもちろん、関係者につきましても厳正に行ってまいる方針でございます。  こういった事態におきまして、御質問綱紀粛正に関しましても、まさに全力を挙げて取り組まねばならない最大、緊急のこれは課題であると痛切に感じているところでございます。  御質問総理に何かお話を申し上げたかという点につきましては、昨日、この事案の内容について御報告おわびをとりあえず申し上げました。
  10. 野村五男

    野村五男君 松永大蔵大臣が就任して以来、大蔵省不祥事の問題について、大臣は一番大きな原因おごりである、おごり以外の何物でもないということをお話しされております。  先日、私の子供が買ってきた本の中に、もちろん対談ではございますけれども大蔵省幹部の方がその対談に出ておって、このような対談をしておるんです。私の子供が買ってきた本ですけれども、その中にこのように書いてあるんです。他の省庁も検察も日弁連もみんな大蔵省には頭が上がらないんだと。その対談のところを読んでみますと、  検察庁だって法務省の一部なんです。法務省予算で動いてるんです。われわれがその気になれば、明日からすぐ法務省予算を締められる。金がなかったら、法務省といえども何もできない。いま見てくださいよ、法務省建物どんなですか。行ったことあるでしょう。新しい法務省建物、とんでもないハイテク近代ビルですよ。高さもすごいけれども、中身のハイテクぶりがものすごい。おそらく世界法務省、ミニストリー・オブ・ジャスティスという役所で、あんなハイテク設備を持ってるのは日本以外にないですよ。あれはかっての旧ソ連のKGBどころじゃない。一体何に使うんだというぐらいハイテクです。全部大蔵省予算を渡したんです。大蔵省の機嫌を損ねたらできっこない。   しかもその上に、古い法務省建物、あれは記念館で残ってるでしょう。あの土地を考えてくださいよ。ものすごい価値ですよ。あれを何の役にも立たない記念館で残してる。云々と、こういうふうに書いてあります。  私はこれを見ましたときに、私も昨年は法務政務次官をしておりましたが、何と逆なでる、おごりに満ちた、国民お金をまるで自分お金のように錯覚をして、それが今日のおごり原因になっているのではないか、それが原点にあるんだ、うみがたまってしまったんだと思っているんですけれども大臣、いかがお考えでございますか。
  11. 松永光

    国務大臣松永光君) 御答弁申し上げます。  委員が読まれたその本、私も何カ月か前にちょっと見たことがあります。今お読みになったところで私も感じましたけれども、やはり思い上がりおごり、それがはっきりその対談からも私には見てとれます。  予算編成権あるいは予算提出義務、これは内閣に属しておるわけですね。その実務を法律に基づいて大蔵省が担当する、こういう仕組みになっておるわけでありまして、しかもその予算たる国民の税金が大宗を占めているわけです。それをいかにも自分の金であるかのごとくその対談では言っておりますね。私は、そういう思い上がりおごり、これは絶対これからはあってはならないと。今までそれがあったから、接待を受けることについての自己抑制力といいますか、こういう接待を受けてはならぬというみずからの行動を抑制する心がなかったんじゃないかというふうに思うわけでありまして、そういう面で今後とも私はそれは間違いだと、誤りを大蔵省職員みずから自覚をして、そして公僕としての精神に徹して職務に精励をしてもらわなきゃならない、こういうふうに思っているところでございます。
  12. 野村五男

    野村五男君 ありがとうございます。ぜひとも頑張っていっていただきたいのであります。  国際化の中でこのような恥ずかしいことは許されないことだし、我が党のことですけれども、私はこの間、県の党大会で言いました。一番大事なことはおごりのない世の中をつくり上げることであると。東京大学を出られて、そして大蔵省へ入られて、二十六、七、八歳で税務署の署長になって、そしてまた戻られる。今、接待攻勢を受けて、それを理解できない、モラルというものを理解できない人たちがもし日本のリーダーになったら大変なことになる、ビッグバンなどは乗り越えられないという思いなのであります。  そこで、大蔵大臣にお伺いします。  たしか三塚大蔵大臣が退任の際、金融服務監査官を設置したところでありますが、その後の推移を見ますと本当に機能しているのかという感じもしないわけではありません。そこで、金融服務監査官室のこれまでの活動はどのように行ってきたのか、お伺いいたします。
  13. 松永光

    国務大臣松永光君) 御指摘のように、三塚大臣が一月二十八日に設置をされたのが金融服務監査官室でございます。  この金融服務監査官というのは、民間金融機関等の検査・監督に従事する職員服務に関しまして、みずから積極的に情報の収集・分析、職員身上把握等を行い、非行事件未然防止を図るとともに、非行事件が発生した場合には調査を行い、必要な処分について助言を行う者、そういうことになっておるわけでございます。また、外部の意見を踏まえて厳正な活動を行う、そういう観点から顧問弁護士を設けまして、顧問弁護士助言を求めて活動する、こういう仕組みになっております。  現在、大蔵省としては金融開運部局に在籍した職員について過去にさかのぼって金融機関等との関係大蔵省職員倫理規程遵守状況、これを徹底して調査しているところであります。  それと並行して、従来から服務管理官という仕組みがあるわけですが、それと提携しながら資料を集めて、そして今回の不祥事関係刑事捜査の対象にならなかった者であっても大蔵省倫理規程その他公務員倫理に反する行為があった者については厳正な処分を行うことによって大蔵省綱紀を確立していきたい、こういったことでその中心的な役割を果たして活動を今続けておるわけでございます。
  14. 野村五男

    野村五男君 公務員倫理法検討されています。与党でも、我が党でもそうでございますが、最近変な方向に進んでいきまして、日本文化を絡めまして、日本文化をなくすんじゃないかとかいろんなことが言われておりますけれども、それとこれは別問題でして、景気対策は確かに大事でございますけれども公務員倫理法が罰則を持っても、こういうビッグバン世の中でございますので、厳しい規律が必要となってきたものと私は思っているんですが、景気対策とは別問題にしまして、この必要性、これを大臣はどのようにお考えであるのか、お伺いをしたいと思います。
  15. 松永光

    国務大臣松永光君) 公務員倫理法の問題でございますが、総理指示を受けて設置されました公務員倫理問題に関する検討会公務員倫理法の制定を期してさまざまな角度から議論がなされておるというふうに承知いたしております。また、自民党においても検討が進められ、与党三党の間で協議が行われつつあるというふうに承知しておるわけでありますが、私も政府の一員としてこの問題には真剣に取り組んでまいりたい、こういうふうに思うわけであります。
  16. 野村五男

    野村五男君 昨年の三月三十一日の株価が一万八千三円であった。ことし、その一万八千三円をクリアして新年度を迎えられるかどうかということは、日本経済にとりましてもアジア経済にとりましても大変重要な意味があると考えておった際に、いわゆる公的資金投入ということで三十兆円を用意して法案として通ったときに、株価安心感を与えて順調に上がっていくかなという感じがしましたときに今度の日銀でさえの不祥事というものが出てきたわけであります。そうしますと、円安になり、また不安が出て、本当に自然な形で信用から生まれた一万八千三円をクリアできるかできないかというのは非常に危うくなっているところでございます。  先般、大手銀行からいわゆる資本調達のための申請金融危機管理委員会提出され、一番嫌な言葉なんですけれども護送船団行政をやめようとしているときに各銀行横並びに一千億円というのは何か時代に逆行しているような感じもするんですが、大蔵大臣金融危機管理委員会のメンバーでもありますので、この横並びの一千億についてはどのような考えを持っておられるのか、お伺いしたいと思います。
  17. 松永光

    国務大臣松永光君) 結果的には、委員指摘のように、大手銀行資本注入申請額が一千億ということで、幾つかの銀行が額が一致している点はそれは事実としてあるわけです。大手銀行だけじゃなくて地方銀行も、三行でしたか、申請がなされておるわけでありますが、少なくとも大蔵省としてはこの申請に関して要請をしたり、あるいは指示をしたり、そういったことは全くありません。それぞれの銀行自分銀行資本を充実する、こういったことの判断をして、そして申請されたものというふうに理解をいたしております。  この資本注入申請というものは、委員よく御承知のとおり、例えば優先株発行するとすれば発行する株について当然のことながら優先的に配当していかにゃならぬ。また、株がふえることになるわけでございますから、したがってほかの株主との関係もあろうかと思います。あるいはまた劣後債劣後ローンにいたしましても、いずれも利息を払うということになるわけでございますので、それぞれの銀行自己資本充実、それを通じてみずからの銀行経営体質を強化したい、こういった判断をそれぞれなさって申請したものというふうに私は理解をいたしております。  その申請の中で経営健全化計画というのをはっきり明示して申請することになっておりますから、その中には相当のリストラ計画も約束しなければなりませんし、あるいはまた資本充実によって金融円滑化にどれほど貢献することができるか活用することができるか、そういう計画書も出すことになっておりますから、それらの点を総合的に判断して各行申請されたものというふうに私は思っております。  重ねて言いますけれども大蔵省側が各銀行指示をしたり、そういったことをしたことは全くないというふうに承知いたしております。
  18. 野村五男

    野村五男君 そういう御説明があったわけなんですが、何か私どもが見ますと、本当に借りたいところが申し出なくて様子を見ているような感じがしますので、そういうことが貸し渋りにつながったりいろいろな問題が発生してはいけないと思いますので、できるだけ相手の身になってお金を流す必要があるのではないかと思います。  今話が出ました劣後債とか劣後ローンが主流であって、優先株申請が少なかったことについてはどのようにお考えでしょうか。
  19. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  資本注入のやり方としては、御指摘のとおり、優先株式劣後債劣後ローンとなっておりますが、優先株式申請しましたのは四行でございます。あと劣後債劣後ローンでございますが、基本的には各行判断しているわけでございます。  したがいまして、あくまで推測でしか申し上げられませんが、優先株でありますと自己資本の中でのティア1という本源的なものに充てられるわけでございます。これは永久の場合に限りますけれども、株式でございますのでティア1になる、あとの二つはティア2というちょっと劣後する部分になるわけです。そうすると、自己資本をはじくときにティア2はティア1の範囲内でしかカウントできないということになるわけでございますので、ある意味ではティア1に充当される優先株式の方をより好むということは大いに考えられるわけですが、一方、別の要素として株数がふえるわけです。株数がふえますと市場に出回っている自分銀行株価に悪い影響を及ぼすのではないかという心配も出てくるわけでございます。したがって、その辺のメリットとデメリットを勘案して各行がそれぞれの事情に応じて申請してきたものと私どもとしては推測いたしておる次第でございます。
  20. 野村五男

    野村五男君 今、リストラ策が各銀行から出ていると思いますが、これについても国内店舗の統廃合あるいは人員削減給与等の引き下げなどを示されたと思っておりますが、よく見るとこれについてもそれは出しているけれども製造業の過去のリストラに比べると非常に緊張感が乏しいように思われてならないわけであります。  大臣、その辺についてはどうでしょうか。
  21. 松永光

    国務大臣松永光君) 申請銀行経営合理化ということも健全性確保に関する計画の中ではっきり明示した上で申請することになっております。したがって、その点についても明確に記載された形で申請は出ておりました。  御指摘のように、製造業等リストラに比べればどうかという批判が新聞等に出ておるわけでありますけれども、これは各銀行謙虚に受けとめなきゃならぬ、こう思うわけでありますけれども、私の見たところでは、支店の整理・統合とかあるいは役職員縮減とか、それから職員縮減とか、そういったものを相当真剣にやるという計画になっておるというふうに見ました。  いずれにせよ、最終決定がなされた後、そういう基本的なことについては公表されることになっておりますから、それを見られた上で御判断願いたいというふうに思います。  大事なことは、そういうリストラ計画というものが公的な文書に明記されておりまして、それが審査委員会提出されたということでございます。公的な場で各銀行が約束をしたということであります。そのことについて審査委員会は今後もきちっと注視していくということになりますから、その意味で約束したことが実行される、そういうふうに思うのでありまして、その点が意味のあることだというふうに私は思います。
  22. 野村五男

    野村五男君 国民にできるだけ見えやすいようにお願いしたいと思っております。  実は、その二十一行のうち四行のみが三月十日の夜遅く金融危機管理委員会で承認され、残りがきょう再審査の予定と聞いておりますが、十日の審査で四行のみとなった理由と、そのほかについても審査をしたのだと思いますが、承認するに至らなかった理由は何なのであるかということと、四行の申請額については減額の上承認しているようでありますけれども減額したその理由は何なのかお伺いしたいと思います。
  23. 松永光

    国務大臣松永光君) 新聞等で報道されているとおりでございまして、優先株引き受け等についての審査は、三月五日の申請受け付け後、八日の日に約五時間、九日に約四時間、十日に約五時間、実際真剣な審査をいたしました。責任者においで願ってヒアリングもしっかりやりました。  その中で一部の銀行については先ほど申し上げました経営健全性確保のための計画、この中の記載が必ずしも十分でない、そういう申請書もありました。そこで、そういう点についての補充をしてもらうと、こういったことがありました。それはどういう点であったかというと、例えば役員報酬計画的な縮減縮減とは書いてあるけれども具体的に何年までにどの程度縮減するのかなとということの数字が出ていないなど、そういう書類もありましたので、そういう点については再提出を願うという形でさらに審議をしていこうということが一つ。それからもう一つは、一優先株発行という形での資本注入をする銀行の場合には手続関係で早く結論を出した方がいい、こういうにとになりまして、優先株発行を希望している金融機関についてその手続等のこともありますので承認決議をそこでまず先にした、こういういきさつでございます。
  24. 山口公生

    政府委員山口公生君) 補足させていただきます。もう一つのお尋ねで減額お話がありましたので、これは事務的な話としてお答え申し上げます。減額をされた理由を聞きますと、先ほど私がちょっと技術的に説明しましたティア1の範囲内でしかティア2を自己資本にカウントできないということにBIS基準でなっておりますので、したがいまして劣後ローン申請があったときに劣後ローンティア2の方にカウントされますのである意味ではティア1の範囲からはみ出てしまう、はみ出てしまうとそこに入れましても自己資本比率BIS上の自己資本比率の向上に直ちにはつながらないわけでございます。したがって、その部分はカットされたというふうに承っております。
  25. 野村五男

    野村五男君 足利銀行申請しておったようでありますが、今回申請した二十一行、都市銀行中心となっていることはわかっているわけですけれども、多くの地方銀行あるいは第二地方銀行などからはなぜ申請がなかったのか、あるいは申請する必要がないのか、この辺が何かはっきりしないのですが、この辺はどうなんでしょうか。
  26. 松永光

    国務大臣松永光君) 地方銀行足利銀行を含めて今回は三行あったわけでありますが、先ほど来申し上げておりますように、自己資本充実をこの際この仕組みを活用してやろうという判断当該銀行がされての申請であったというふうに思います。  なお、委員よく御承知のとおり、この措置というものはまだ三年間あるわけですね。今回だけではありませんのでまた次の機会にはあるいは申請する銀行があるのかもしれませんが、各行それぞれ検討されて今回は一応見合わされたという銀行もあるのじゃなかろうかというふうに推測いたします。
  27. 野村五男

    野村五男君 せっかくたくさんのお金を用意したのに今回の申請額は二兆円ということになっておりますけれども金融危機管理勘定の優先株等の一時引き受けに当たってはどういう資金を充当することになるのか、つまり十兆円の国債交付のうちの三兆円なのか日銀等からの借り入れの十兆円の政府保証分なのか、お伺いしたいと思います。
  28. 山口公生

    政府委員山口公生君) その点につきましては、理論的には十兆円の借り入れで対応することも可能ですし、三兆円の現金化で対応することも可能でございますが、最終的には運営をしております預金保険機構においてこれは適切にお決めいただくことになっております。
  29. 野村五男

    野村五男君 それでは、経済と景気問題に関する質疑に入りたいと思います。  景気が、きょうのNHKのニュースなんか見ましても、大変悪い数字になっているわけです。  そこで、足元の景気判断について大蔵大臣の所見を聞きたいのでありますが、松永大臣は先般の本委員会での所信表明において、「家計や企業の景況感の厳しさが実体経済に影響を及ぼしており、景気は引き続き停滞している」と述べられておりますが、私は景気の実態は停滞ではなく既に後退局面にあると考えておりますが、お伺いします。
  30. 松永光

    国務大臣松永光君) 所信表明の演説の中で委員が今申されましたような演説をしたことはそのとおりでございます。私自身、経企庁の判断と異なることを言うのは妥当でないと思ってそう申し上げたわけでありますけれども、実際としては引き続き停滞、そして厳しさを増しておるというふうに認識をしておるわけであります。  したがいまして、今後とも経済の動向については引き続き注視をしていかにゃならぬ、こう思っておるところでございます。
  31. 野村五男

    野村五男君 政府が景気判断の目安としている景気動向指数を見ますと、景気の現状を示す一致指数は昨年十一月から二カ月連続でゼロ%を記録しております。ゼロ%が二カ月以上続いたのは実に五年半ぶりのことだそうでありますが、政府が一致指数がゼロになった時期を景気後退局面と判定しなかったのはどのような理由なのかをお伺いします。
  32. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) 景気動向指数でございますが、これは昭和二十九年以来ございます。御指摘のように、一致指数が過去においてゼロ%になったときには大体その時期は景気後退局面に入っておりますが、ただいつから景気後退があるかどうかという判定は、経企庁の中に景気基準日付検討委員会というのがございまして、そこでいろいろ議論しまして、そのためにいろいろな各種データが出そろいまして総合的に検討されて、その上で経企庁で決定するということを聞いております。
  33. 野村五男

    野村五男君 とりわけ個人消費の落ち込みが深刻であると聞いております。この委員会でも、一兆円の減税はその初年度には三千三百億円の消費の効果があるとかいう話も出ておりましたけれども、この個人消費の落ち込みが非常に深刻になっており、総務庁の家計調査によりますと、本年一月のサラリーマン世帯の消費支出は実質で五・九%の減少となっており、きょうも朝からニュースでやっておりましたけれども、これは三年十カ月ぶりの大きな落ち込みとなっているということで、しかも平均消費性向は六八・六%ですか、これは過去最低の水準にあるということですが、こうした数字から判断すれば景気の現状はもう既に停滞ではなく、先ほど申し上げましたように、下降局面に入っているのではないかという気がするんですけれども、いかがでしょうか。
  34. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) 下降局面にあるかどうかという判定は、先ほど申し上げましたように、政府としての正式な手続はそういうことで行われるわけでございまして、それとは別に現状をどう見ているかということでございますけれども、確かに消費性向が御指摘のような低い水準に今なっているというのは事実でございます。ただ、消費性向はいろんな要因で変動するわけでございます。長期的に見れば比較的安定しているわけでございますけれども、短期的には消費者のマインドとか将来に対する見通しとかいろんな要因によって変動するわけでございまして、現在はそういう消費マインドが著しく悪化してやや消費が低迷している状況にあるという認識でございます。
  35. 野村五男

    野村五男君 このような状況を放置すれば個人消費の低迷が企業収益をさらに悪化させ、さらに企業の収益の悪化がいわゆる設備投資、賃上げの抑制につながり、そして賃金の伸び悩みとか雇用不安が一層の個人消費の低迷恒拍車をかけることになってしまうのではないかと思っています。  この悪循環をどのように断ち切っていったらいいのか、お伺いします。
  36. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) 御指摘のように、消費の回復を初めといたしまして我が国経済の現在の停滞の状況から一日も早く脱出できるようにやっていかなきゃいけないというのは当然でございます。そういうために補正予算を早く成立させていただき、特別減税も二月から実施をされるという状況が実現できたわけでございまして、こういうものが給与所得者等に対する消費にも好影響を与えていくものだというふうに期待をしているわけでございますし、それから現在国会において御審議いただいております税制改正でございますとか、現在実行中でございます金融システムの安定化の施策が現実に実現をされていくことによりまして、こういうものが相乗効果を持って今後好影響を出してくるだろうというふうに期待をし、考えておるところでございます。
  37. 野村五男

    野村五男君 実は、景気対策が非常に現状には悪いということで、それの原因一つに貨し渋りの問題があるということで昨日も総理が貸し渋りがないようにと関係方面を説得したというふうに新聞報道あるいはニュースで聞いておりますけれども、この貸し渋りということでせっかくお金を用意しながらうまく市場に流れない。それは、これも本の引用で大変申しわけないんですけれども、現実に起きていること、貸し渋りが非常に企業、特に零細企業をいわゆる不安に覆っているのでなおさらこの問題が出てきていて、実態はこういうことではないのではないかと思うのであります。  ここに例があるんです。   支店長各位。   貴店における今四半期の回収割当額は、三十二億円とする。格付けCランク先は融資額の四割、Bランク先は三割、Aランク先は二割を目途に回収を進められたい。特に業績不振先や資金収益率の低い先は、優先的に融資金引上げ方針とし、強い態度で交渉にのぞむこと。云々と。そして、今回のBIS自己資本比率規制による資産圧縮は、あくまで対外的な口実であり、真の目的は不採算先の解消、業績不振先の切り捨て、および個別取引内容の改善にある。その意味からも、これを千歳一遇の好機ととらえ、回収割り当てを全額達成願いたい。と同時に、貴店各行員にも口頭にて、周知徹底を図られたい。 と。  私は、バブルが冷えたときの消し方に非常に問題があったのではないかと前々から思っており、予算委員会などでも説明をしておるんですけれども、これを銀行側は先ほど言いましたようにチャンスなんだと、ここで採算の合わないところは引き揚げるべきだと回収に入ってしまっているときに総理がそのような話をしてもなかなか効果がない。BIS規制、三月三十一日の八%のクリアとかそういう大きな問題があり、特に一千兆近い資産価値のいわゆる目減りがそういうものを覆ってしまっているので、ディスクロージャーもうまくいっていないときに貸し渋りをなくせと言っても、実態から見ればこれだけ資産価値が減ってしまいますと、恐らくほとんどの銀行の取引先は含み資産もなくて、もうほとんどの、私は六割ぐらい以上は取引銀行が赤字になってしまうのではないかと。  ですから、もし貸し渋りをなくすというならば、いわゆる赤字会社にも貸せという方針にでも展開しない限り私は貸し渋りなどというのはなくならないのではないかという感じがするわけです。  足元の景気が非常に悪いことはもうわかってきているわけなんですが、政府の平成十年度の経済成長率一・九%の達成は非常に困難ではないのかと思うのでありますが、もし達成が可能というのであればその処方せんを示していただければと思っております。
  38. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) 一・九%の政府見通しは、経企庁を中心といたしまして政府が昨年の十二月に作成したものでございます。そういうことを踏まえまして、現在の予算あるいは補正予算政府として作成され、国会で御審議をいただいているわけでございますけれども、そういう中にいろんな対策が、先ほど私申し上げましたけれども、講ぜられているわけでございますし、まだ来年度の予算につきましてはこれから実施されるわけでございますし、特別減税につきましても現在実施中でございますけれども、さらに四月以降も効果が出てくるものでございますから、そういう状況を注意深く見ていく必要があるのではないかというふうに考えております。
  39. 野村五男

    野村五男君 ですから、まず何よりも本予算の早期成立というものも非常に大事なことになってくるとは思うのでありますけれども、この時期に先ほど申し上げましたように「日銀よ、おまえもか」と、こういう問題で予算成立が一日一日おくれていくということ、これが大変国民にわかりにくくさせている原因でもあるし、一日一日が大事な審議に入っているんだと思っております。  予算成立後、速やかに景気対策を打ち出すべきではないかと、これだけ景気が後退しているわけなのでその有効な景気対策を打ち出さなければ平成九年度に続いて二年連続でのマイナス成長にもなりかねないと思うんですが、この辺はどうでありますか。
  40. 松永光

    国務大臣松永光君) 先ほども御答弁申し上げましたように、景気は停滞をし、厳しさを増しておるというふうに判断しておるわけでありますけれども、こういう状況から脱却をして回復への道筋をつけていくためには、既に国会の御協力をいただいて九年度補正予算を成立させていただいた、その補正予算に組まれておる災害対策事業を含むゼロ国債、合わせて二兆五千億の公共事業、これは鋭意執行に努めているところであります。それから、特別減税の方、これは二月、三月で約一兆円が実施されるわけでありますし、六月には地方税の方の減税が実施されます。  そして、もう一つ金融システムの安定化。去年の秋深くなって暮れにかけて幾つかの銀行が破綻をした、そのことによって金融システムについての不安が起こってきた等々もあって、一般消費者はやっぱり失業の心配も出てきたのかもしれません。そういったことがやはり消費の落ち込みにつながってきたのかもしれません。しかし、この金融システムの安定化については、そのための施策を先般成立させていただきました緊急二法に基づいて今それをやりつつあるわけでありまして、これが実施されれば日本金融システムは相当信頼度が高まってくる、こういうふうに思うわけであります。  そういったもろもろの施策にあわせて、御審議を願っている平成十年度の予算を早く成立させていただき、かつそれと一体をなしておる法人税減税、あるいはまた所得税の制度減税等々の施策が新年度からすぐ実行できるという状態に持っていくことが、そしてそれによって九年度補正予算と切れ目なく十年度の予算が執行できる、そういう状態に持っていくことが一番大事なことではないか、私はそう思っておるわけでありまして、速やかな十年度予算、そして関連法案の成立をお願い申し上げる次第でございます。
  41. 野村五男

    野村五男君 ここまで景気が悪化してきますと、逆に税収が補正見込みどおり確保されるのかが非常に懸念されることになってくると思います。その辺をどう見込んでいるのか、お伺いいたします。
  42. 尾原榮夫

    政府委員(尾原榮夫君) 九年度税収の見通しでございますが、御承知のように、補正予算におきましては当初予算における見積額から一兆五千七百六十億円減額補正いたしまして五十六兆二千二百六十億円と見込んでいるところでございます。  現時点で判明しております直近の実績は十年一月末の税収でございますが、その税収累計前年比を見ますと一〇四・五%の増となっております。ただ、一〇四・五といいますのは補正後予算の伸びが一〇八でございますので若干下回っているわけでございます。しかし、消費税につきまして税率の引き上げによる増収効果が年度の後半に集中してあらわれてくるというようなことの要因を勘案いたしますと、全体としておおむね補正後税収の見積もりにおいて想定しております税収動向の基調に沿ったものと考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、九年度税収についてはまだ四割程度の収納が残されている段階でございまして、現在確定申告が行われておりますが、その状況、三月決算法人についての法人税の確定申告の動向等について十分注視してまいりたいと考えておるところでございます。
  43. 野村五男

    野村五男君 景気対策として公共投資の大幅上積み、それといわゆる所得税減税の継続という問題が当然論議の俎上に上がってきていると思っておりますが、この時点において大蔵大臣はどのようにお考えですか。
  44. 松永光

    国務大臣松永光君) 先ほども申し上げましたとおり、政府の立場としては今御審議を願っておる十年度の予算及び関連法案、それをできるだけ早く成立させていただいて、そして九年度の補正予算と切れ目なく十年度の施策が実行できるようにさせていただきたい、それをお願い申し上げる次第でございます。  なお、党の方ではいろいろなことを検討していただいておるようでありますけれども政府の方にまだそのことについての話はございません。
  45. 野村五男

    野村五男君 それでは、財政構造改革と景気対策は両立すると言えますけれども、最近の政府見解はそう言っているようでありますけれども、二兎を追う者は何とかと言われます。  この際、政府としても財政構造改革法に弾力条項を織り込むとか、建設国債と赤字国債の区別の是非についても検討すべきではないかと思いますけれども、その点についてはどうですか。
  46. 細川興一

    政府委員(細川興一君) ただいま御質問のありました、まず弾力条項の御質問の趣旨は、恐らく米国のOBRA等の例に倣って我が国財政構造改革法においても不況期に景気対策の観点から財源健全化の当面の目標あるいは主要な経費の量的縮減目標等の達成義務を一時停止するといったような条項を設けるべきという御趣旨ではないかと思います。  これまでも大臣総理からたびたび申し上げておりますが、財政構造改革と景気対策とは二者択一の問題ではなくて、中期の目標と当面の対応というタイムスパンの異なる問題であると思われます。我が国におきましては、財政構造改革の必要性は何ら変わるものではありません。他方、時々の金融・経済情勢の変化に応じた臨機応変の対応を行うことは当然であると思われますが、こうした対応は財政構造改革法のもとでも可能であると考えております。  さらに、法律の運用を停止するといったような場合の必要となる危機的な状況をあらかじめ定義することはなかなか困難といった立法技術上の問題も考え合わせますと、御指摘のような条項を設けることはなかなか難しいのではないかと考えております。  もう一つの建設国債と赤字国債の区別の問題でございますが、御承知のように、我が国におきましては、財政法は、健全財政主義の原則のもと、世代間の負担の公平の観点から合理的と考えられる範囲において例外的に建設国債の発行を認めているものであります。財政の現状は、御承知のように、赤字国債の発行を余儀なくされているという状況でありますが、だからといってこうした財政法の原則を捨ててしまっていいのかどうか、やはり財政運営の健全性確保の観点から意味があるのではないかと考えております。  このような健全財政主義の原則から離れて建設国債と特例公債の区別をなくすことにつきましては、各年度の予算の収支じりを公債発行で賄うという考え方をとることになりますので、公債発行が安易に流れるおそれがあることから慎重であらねばならないと考えております。
  47. 野村五男

    野村五男君 私の持ち時間はあと八分ぐらいですので問題を絞って質問をさせてもらいます。  なぜビッグバンが必要になってしまったか。実は、私はきのうテレビを深夜まで見ておりまして、アメリカの株価も下がるのかなと思いましたら、アメリカの株は三十ドルぐらい上がりまして、つくづく日本の現状が、税率の問題からもそうなんでしょうけれども、人もお金もどんどんどんどんアメリカの方へ逃げていってしまってアメリカの一人勝ち、そんな感じさえするようになってしまっているわけなんですね。  そこで、ちょうど一年か二年前に屋山太郎さんという方といろいろ懇談した際に、いかに日本は人もお金も寄りつかなくなってしまったかという数字の中で、例えば一番わかりやすい数字で、観光客などは日本から外国へ千五百万人も行って外国から日本へ来るのは三百万人ぐらいになってしまったり、留学生が日本からアメリカには八万人以上も流れているのにアメリカから日本へは千何十人しか来ていないとか、港湾のコンテナの扱いの量が日本から恥ずかしくなるくらい流れていることに気がついたわけであります。そこで確かにビッグバンを、何としても改革を実行して世界から人もお金日本に戻ってくるようなことが大きな痛みを伴っても非常に大事になる。ところが、一番大事なときこういう大蔵省あるいは日銀不祥事が出てきたということで大変悲しくなっているところであります。  税の問題で、この間二兆円の所得減税が実施に移されましたが、その効果が何かまだ、これからなんでしょうけれども、どのようにこの減税について見ているのか、そしてこれも恒久化が必要なのではないかという感じもとりあえずするんですが、その辺についてどうでしょうか。
  48. 松永光

    国務大臣松永光君) 二兆円の特別減税の効果をどう見ておるかということでございますが、二月、三月に集中的に一兆円やるということ、そして六月に住民税の方がこれまた六千億近くでありましょうけれども、これも集中的になされるということ、それはそれなりに消費拡大の効果は出てくるのじゃなかろうかと、後で見なきゃわからぬことでありますけれども、そういうふうに思っているわけであります。  これを恒久化という話でございますが、問題は恒久的な減税をするためには恒久的な財源が必要でございます。それから特別減税は、所得税の税率はどういうのが望ましいかということは論議の対象から外して、とりあえず特別の方法でやったということでございますから、したがって恒久化の問題につきましては財源をどうするかということ、それが一つ。それから、所得税の税体系のあり方としてどうあるべきか、こういう点。両面から慎重に検討して、そして十一年度の税制改正の中で議論は進められるべきものだと、こういうふうに思うのでありまして、現在のところ恒久化ということについては私ども考えていないところであります。
  49. 野村五男

    野村五男君 時間の関係で最後の質問になると思います。  土地の資産価値の目減り、そして今、巷間伝えられていることを耳にしますと、競売にかけた土地も二割ぐらいしか落ちないと。決して土地を上げることに賛成しているわけじゃありませんけれども、流動化しないことには何としても景況感すべて、しかも日本は土地を担保にする土地本位制でもありましたのでその崩壊が何としても重くのしかかっているわけなんですけれども、やはり流動化させるのにはできるだけ早くバブル前の税制に戻してあげるということも大変重要なことではないかと思いますので、最後に一点だけお伺いします。  地価税については廃止とはしなかったが、その理由は何なのか、どのような条件のもとで復活することがあるのかを最後にお伺いして質問を終わります。
  50. 尾原榮夫

    政府委員(尾原榮夫君) 今回の税制改正におきまして、地価税については臨時的に課税停止ということで御審議をお願いするごとにしております。  地価税につきましては、経済のストック化が進む中で資産に適正な負担を求めていく必要があるのではないか、また、現在の固定資産税の負担水準は地域ごとにばらつきがございまして、土地の資産価値に応じた負担を求めるものに必ずしもなっていないのではないかというようなことを考えますと、資産課税として一定の意義があると考えられるところでございまして、これを廃止することは適当ではないと考えたわけでございます。  しかしながら、地価税につきましては、長期にわたり地価は下落状況が続いております、土地取引の状況などの土地をめぐる状況がございます、それから現在の経済情勢がございます、さらには金融システム安定化の観点を踏まえる必要があります、そのようなことを考えまして、臨時的な措置といたしまして、当分の間、その課税を停止するということにしたものでございます。
  51. 野村五男

    野村五男君 終わります。
  52. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 民友連の伊藤でございます。  私は、本通常国会のこの委員会の中で一貫して質問し、また解明したいテーマは日本ビッグバンをどのようにとらえていくかということであります。  一つは、社会経済の発展という視点で政府が諸準備を進めているテンポと日本銀行経営体質または経営体制の改革が同じテンポで進められて諸準備が行われているのかすなわち日本ビッグバンが順調なスタートを切ることができるのかという点であります。  もう一つは、社会経済の安定または安全という視点から、ビッグバンがもたらす経済上のひずみ、または社会上のひずみ、これに対してどのように対応していくかということで質問も準備し、徐々に核心をついていきたいというふうに実は思っておりました。  今回、不祥事が起こって、その不祥事については社会的にこれはもう悪ということに規定されているわけでありまして、そのことについて質問し、追及すれば、当局からは遺憾の意が表明され、責任の問題が出てきて、または処分というようなことが出てまいります。質問する方はまさに悪行に対して聞くわけですから絶対優位みたいな立場であって、しかし問題はそれだけで、遺憾の意が表明されたり、責任をとると言ったり、処分すると言ったりしたことだけで事足りるのかどうかということに実は今回の一連の状況を見ておりまして気がつきました。  したがって、少し非生産的なことになるのかなと思っていたことも考え方を改めまして、余りこの種のことについては質問を今までしてきませんでしたけれども、きょうは少し時間をかけてやりたいと思っております。構造的な問題としてやりたい。  日本金融危機はまさに複合汚染の中から、金融システムに複合汚染が食い込んできて起こっているんじゃないかと。後々触れたいと思いますが、まず第一は隠匿され続けてきた巨大な不良債権の存在であります。このことを許してきた日本の政治状況なり企業体質というものがあるだろうと。さらには、決済システムという公共財を預かる銀行家たちに倫理の喪失が甚だしいものがある。内部のモラル退廃、さらにはやみの世界とのつながりということがこれだけ出てきて、さらには行政機関と民間金融機関との間の情報のいわば売り買いがなされているという前代未聞の退廃が起こってきている。さらには、そのために政府ビッグバンを進めようとするんでしょうが、護送船団方式と言われた日本金融行政、そのさまざまな諸事情の中で規制と行政指導、監督ということが金融のグローバル化という状況の中で全く合わなくなってきている。もう既に以前からそのことが言われて、制度疲労が指摘されていながらも、そのことに対する改革が放置されてきて、まさに市場経済、民主主義体制の先進国日本として考えられないような今日の停滞ということが起こっているんじゃないかと思います。  金融システムはまさにミクロがシステム全体の安定性を規定しかねないといういわば弱さ、弱点があります。昨年末、十一月以来起こった事象というのがそのことを証明しているかというふうに思っております。だからこそ、金融情報に関して、マクロ情報だけでなくて、むしろ個別金融機関に関する最新のミクロ情報をマーケットに公開するということが重要になってきて、そのことが市場における利用者、お客の選択の確かさを証明するということにもつながってきて金融システムの安定につながってくるというふうに考えております。  しかしながら、市場は常に客観的に状況が把握されるわけではありませんし、情報機会の格差というものもありますから、そのためにこそ政府大蔵省には金融行政と金融検査権限というものがあるし、日本銀行には決済システムの運営、規制・監督権、特別融資などの最後の貸し手機能などのプルーデンス政策の諸機能が付与されている。単に許認可官庁というような立場ではなくて、日本の経済の死命を制する立場にあるがゆえにその権限が付与され、行使することを法律的にも社会全体としても認めているわけであります。  今回の大蔵省不祥事日銀不祥事というのは、情報と引きかえに組織的にあるいは個人的に接待を受けるという現象を悪として、その改善を図るという次元の問題ではないのではないか、日本金融行政と金融システムの構造にかかわっているのではないか、金融行政を所管する大蔵省あるいは中央銀行、その位置そのものが自己否定されているのではないかというふうに思います。  この点について、この構造的な問題としてのとらえ方はいかがか、大蔵大臣の見解と日銀総裁の見解をまずお伺いしたいというふうに思います。
  53. 松永光

    国務大臣松永光君) 従来の我が国金融行政、今、委員指摘のように、一言で言えば護送船団行政、そういう批判を受けてもいたし方ない面があったと思うんです。すなわち、裁量型の行政あるいは事前指導型の行政であったと思うんです。その行政であれば、民間の方は行政に近づいていい情報を早く得たい、あるいは裁量を働かせてもらいたい、こういったことで役所と民間金融機関とに癒着の起こる原因がそこにあったと、こういう行政のあり方を抜本的に変えていかにゃならぬ、そういうふうに私は考えております。  すなわち、事前指導型、裁量型の行政から、事前に透明性のあるルールを確立して、それを明示して、そして事後にそのルールを遵守したかどうかをチェックする事後チェック型の行政に転換をしていかにゃならぬ、そういうふうに私は思います。そうしたことを通じて信頼性の高い、そして公正な金融システムを構築していくことが極めて重要だと、こういうふうに私は思います。  六月までの間に金融監督庁が設置されまして、金融機関に対する監督・検査、そういう行政は大蔵省から離れて金融監督庁に移行されます。一方、去年御審議をいただき成立させていただきました新しい日銀法に基づいて日銀の独立性、こういったものが強化されることになりました。  こういった新しい改革を進めることになっておりますので、その改革を間違いなく進めていくことが今一番大事なことではないかというふうに私は思います。
  54. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 初めに、私ども日本銀行職員収賄容疑で逮捕されたという事態に至りましたことにつきまして、まことに遺憾であり、深くおわびを申し上げます。  その上で、お尋ねの接待問題あるいは日本金融行政のあり方や金融制度の構造問題との関連という点でございますが、もとより、一方におきまして接待の見返りとして便宜供与を与えるといったことは絶対にあってはならないことでございまして、組織的にもそういったことが起こらないように体制の整備を図っていかなければならないことは当然であると考えております。  また、委員指摘日本金融制度の構造に関連をします問題について申し上げますと、市場原理に基づきまして自由かつ公正で透明性の高い制度としてこれをつくっていくことが何よりも大事なことであると考えております。私ども日本銀行におきましても、これまで金融自由化の中で御指摘がありましたような種々の機能を果たしてまいるべく自由で公正な市場の整備に向かって種々の改革を進めてきたわけでございますけれども、今後とも新日本銀行法の施行や金融ビッグバンの進展といった環境変化に柔軟に対応しながら、日本銀行の使命達成に向けましてあらゆる努力を払って国民からの信頼の回復に努めていかなければならないと考えております。
  55. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 私は、今の大臣の答弁、日銀総裁の答弁というのをお聞きしまして、ぜひそのようにやっていただきたいということを強くお願いするものであります。もちろん、私が言うまでもなく、そのようなことだと思っております。  金融監督庁に分離されても国の金融行政機能が分離されているわけではございません。政府の中にその機能が厳然として今後も強化され残っていくわけでありますから、大蔵省の機能は分離されたとしても、それは金融行政機能が分離されたわけではないんだということはあると思うんですよね。そのことをきちんととらえていただきたいというふうに思います。  さて、少し個別の問題に入って、ただいま御両者がおっしゃられたことの証明を少しずつやっていただきたいと思うんです。  大蔵大臣は十日の記者会見で接待内部調査の対象に長野、涌井両局長も含まれていることを明らかにして、大蔵省としても過去五年間の金融部局在籍者の接待問題について調査を進めることといたしました。さらに、金融検査官逮捕の時点で三塚大蔵大臣が監査官制度導入の検討指示しまして、一月二十八日に金融服務監査官が新設されたわけでございますが、設置から約一カ月半を現在迎えております。この間に実際どのような調査をやり、どのような事実が解明されてきているのか、この点について明らかにしていただきたいと思います。
  56. 松永光

    国務大臣松永光君) 今進めておるいわゆる内部調査というのは、金融関連部局に在籍をした経験のある課長補佐以上の者についての内部調査であります。そういたしますと、ほとんどの職員が実はいずれかの金融関連部局に在籍しております。一〇〇%とまでは言えぬかもしれませんけれども、それに近いぐらい在籍をしておるわけであります。先ほど委員指摘があっ夫人もその中に実は含まれておるわけでありますから、当然内部調査の対象であるわけでございます。  三塚大臣のときに設置された金融服務監査官室の話でございますが、この金融服務監査官というのは、先ほども御答弁申し上げましたけれども民間金融機関等の検査・監督に従事する職員服務に関しまして、みずから積極的に情報の収集・分析、職員の身上掌握等を行って非行事件未然防止を行うということが一つ。もう一つは、非行事件が発生した場合、あるいはあるぞという情報等がある場合には積極的な調査を行って、そして必要な処分についての助言を行う、これが金融服務監査官の任務であります。そして、その職務を適正に、効果のあるものとして遂行していくために顧問弁護士という制度を設けまして、顧問弁護士にもう委任をしてあるわけでありますけれども、その顧問弁護士助言を求めながらより効果のある調査を進めていく、こういうふうになっておりますし、今それをやっているところでございます。そして、公務員としての倫理にもとる行為があったと認められる者については厳正な処分をする、それを通じて大蔵省職員綱紀の一層の徹底を図っていきたい、こう考えているところでございます。
  57. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 事務当局にお尋ねいたしますが、長野証券局長は三月九日の衆議院の予算委員会で、一定の範囲内での情報交換だったというふうな答弁がさまざまな答弁経過の中で行われております。  情報交換というのは相対的なものでありますから、大蔵省が民間の金融機関、証券会社から情報を得ると同時に大蔵省の方から情報を出している。情報を得るために相手側の接待を受けるということは、大蔵省側接待をして相手側から情報を得る、向こうはこちらの情報を接待して受ける、相対のものだと思うんです。接待とは飲み食い、ドンチャン騒ぎだけではありません。昼食、ランチもありましょうし、簡単な昼食もあるかもしれません。私はよく、コーヒーは何百杯飲んでも人間関係はできないけれども、酒は一杯飲んだだけでもかなりいい線へ行くという話をしておるわけです。人間と人間の本当のつき合いができたところで真の交流はあると思うんですが、私は大蔵省が果たしてこの情報交換でどのような経費を持っているのか、またその経費の全体の概要、その支出の仕方等について、もしそういうものがありましたらここでおっしゃっていただきたいというふうに思います。
  58. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) 御指摘のような情報交換のための予算的な措置といいますものは、これはいわゆる会議費という形で措置されるものでございます。  この会議費といいますものは、通常は例えばこれは業界と幹部との定例的な会合でありますとかそれから官庁間の意見交換の場でありますとかさまざまな態様があるわけでございますけれども、ここに会議費という形で設けられておりますものはそれぞれの仕事が非常にはっきりその必要性が認められる場合にのみ会議費が措置されるわけでございまして、金額も極めて限定的なものでございます。したがいまして、今話題になっているような意味での情報交換の場の予算措置というものは一言で言えばないというふうに私は思っております。したがいまして、今、世上言われております接待という形でのそういう場を持つということは、これは極めて限定的、昭和五十四年の通達におきましても原則としてそういうものは行ってはいけないということで、例外として認められる場合というのがそう拡大解釈されるようなものではないというふうに考えております。  したがいまして、今、数字的に会議費が幾らということをお答えするだけの準備はありませんけれども、御指摘のような意味での費用が予算上何か措置されているというような、そういう実態はないというふうに思っております。
  59. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 重ねて武藤官房長にお尋ねいたしますが、一定の範囲内での情報交換は必要だと、これは当然必要だと思いますね。ここに参考人出席された民間金融機関の人も全く悪かったというようなことを言って、接待、情報交換を全否定するような答弁がなされたり見解が表明されておる。官庁側からもそれが出ている。それは私は今後の金融行政を進める上で障害になるかもしれないと思っています。常識の範囲を超える接待というものを受けて、受けたら返すのが世の中の常識ですから、計上されていないということは最初から受けるだけだという前提でやっているのかというようなことを言えば言えますが、そんなことを言うつもりはありません。  今、官房長がおっしゃった情報交換の予算として会議費があると。私は会議をやればいいと思うんですよ、昼間。お互いビジネスなんですから。会議で真の情報交換が行われて、あとは常識の範囲で夜やる場合もあるだろうけれども、それは人間関係を豊かにするための場になったっていいと思うんです。接待の場で情報交換が行われることはシステムとして大問題。情報はオープンにされなきゃならないということになれば、インサイダー的にそれが扱われるのじゃなくて公開で扱われるということで、私は日銀においても大蔵省においてもやはり公開の会議で情報交換がきちっと行われるというものはシステムとして強化すべきではないかというふうに思ってお聞きしたわけでございます。  日銀にお伺いいたしますが、日銀幹部職員が逮捕されました。日銀のインサイダー情報を漏らしたというふうな報道がなされておりまして、情報判断資料を公表前に教えていた、さらには日銀のヒアリング調査で得られた他の銀行の機密情報をばらしていたとか。オーブン・マーケット・オペレーションの情報を流していたとかいうふうに報道されておりますが、一体どのような情報がどのようなレベルで流されたのか、そのことで実際の経済効果というのは上がったのかどうか、この辺についてちょっとお聞きしたいと思います。  急に起こった話でありますので事前に通告した内容と違うのでありますけれども、もし準備できていなかったらやむを得ませんけれども、わかる範囲でお答えいただけないかなというふうに思います。
  60. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 今回の不祥事件に関連をいたしまして、この問題の人物の行動につきまして私どももいろいろの報道にも目を通しておりますけれども、現状におきましては、この件が刑事捜査という段階に移行いたしましたので、私どもの側からのこの件につきましての内容についてコメントを申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。  私どもは、基本的にはもとより接待と関連して見返りの便宜供与を行うとか、そういうことはもう規律とか言う以前の本当の許すべからざる不正行為であるというふうに認識をいたしておりますけれども、従来そういった事例がいろいろとあったようには聞いておりません。そのあたりは十分意識をしてやってきたと思いますけれども、今回の遺憾な事件によりまして、その捜査の進捗でありますとか私どもがこれに伴って行おうとしております内部調査の結果を見まして十分内容を把握した上で厳しい対策を講じてまいらなければならないと考えております。
  61. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 私は、二月十日の本委員会において日銀総裁接待にかかわっての質問を申し上げたわけでございますが、そこで総裁は、これまで基本姿勢として、中央銀行がいわば狭い象牙の塔の中に立てこもるというのではなくて、生きた金融、経済の実態を承知するためにはある程度外部との話し合いをすることを禁止してこなかったというお答えが出ました。民間との接触の必要性ということについては私もそのとおりだと思いますし、認めておったと。今回の接待疑惑の問題はそれを超えるものであろうかと思いますけれども、一般的な民間との接触の必要性というのは認めておられたと。  そういう場合、先ほどの大蔵省に対する質問と同じなんですが、日銀の相互交流の費用として、日銀側が民間の金融機関の担当者を集めて、例えば昼の弁当を出して、そこで情報を聞く、こちらも言うというような場面があったかと思うんですけれども、そのような場面、チャンス、システムというのはどのように扱われ、経費はそういうことに対して盛られていたのか、あるいは、大蔵省は会議費という項目での設定はあるけれども、そういうものは特になかったということなのか。新聞報道によりますと、「資友会」というものもあったようでありますけれども、一方的に民間の支出によってこのような会が進められてきたということなのか、この辺についてちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  62. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私どもは、仕事の性格上、金融機関、産業界あるいは学界、また海外の中央銀行というような各方面の方々と金融・経済情勢などにつきましての意見交換を行う機会はたくさん持っております。こういった意見交換を行うことが業務上必要であるという場合には、その経費につきましても銀行の負担としてまいってきております。  その形はいろいろでございますけれども、非常に一般的に行われております形は、関係金融機関の方々あるいはそういう団体の方々と定例的に当行の幹部職員とが会合をしまして、資料の説明をし、情勢判断を交換する、あるいは意見を交換する、その際に昼食を一緒にとるというようなことがございますが、その場所は原則として私どもが主催をいたしますときは行内の食堂を使用してやっております。外部で行うことも全くないことではございません。例えば、私などが地方の支店に視察に参りますと、地元の金融界の方々とやはり同様に昼食をともにしながら情報交換をやるというようなこともあるわけでございます。そういった経費につきましては、これを私どもは会議交際費という費目の中で計上いたしております。  この中で相当大きな割合を占めますのは、例えば海外の中央銀行の方々の集まりというようなものが日本で行われますような場合には経費負担はかなり大きくなるというようなこともございますけれども、私どもの経常的な経費、予算の額は年間で約一億五千万円程度ございます。
  63. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 わかりました。  さて、金融市場のグローバル化の発展によって取引、サービスに国境がなくなった、デジタル信号と化したマネーはいつでもどこへでも、そして幾らでも自由に移動することになったというふうに言われて、私もこの実態はまさに恐るべき状況というふうに思っておりますけれども、対応していかなきゃならない。  その状況下において、金融行政を行う組織、大蔵省金融監督庁あるいは中央銀行がその組織の内部において重要な地位ないしは役割を持つ者と外部との接触について十分な警戒態勢が必要となっているのではないかというふうに思っております。ある重要な情報がまさに意図的に持ち出されたり引き出されることによって、個別の問題にとどまることなく、日本金融システムに重大な影響がしかも瞬時に起こることも十分想定されるわけでございます。情報の管理は国の安全保障に近い状況が内在しているというふうに思います。  大蔵省日銀は、今回の一連の接待、すなわち幹部職員の外部との接触について、内部での記録管理などをどの程度やっていたのか。例えば、ある有力な都市銀行幹部局長クラスが会う場合に、どのようなメンバーがどのような内容で話をし、その結果がどうであったかということがきちんと内部で管理されているのかどうか。もし、管理されないで個人の責任とか資質にゆだねられるとしたら、これは金融危機管理という視点でとても任せられない、そういう省庁や中央銀行には。そういうことがごくラフに行われてしまっているような状況は任せられない。  だから、接待を受けた人の調査をやって処分するということは、それは悪いやつを処分するだけの話であります。そういうことが行われてもいいから、行われた場合にはきちんと機関、組織が知っているということがなければ、インサイダー的に扱う場合にはそんなのはできないということかもしれませんが、そういう責任と立場が大蔵省にはあるし日銀にもあるというふうに思います。今までそういうことをやってこなかったのではないかと。  監査官制度が設立されたばかりであると思いますが、今後、情報の危機管理あるいは自分の組織の中の構成する職員、組織員の防衛、守らなきゃなりませんから、大蔵省大蔵省職員を守らなきゃならない、そのためのシステムをどうつくろうとしているのか、そのことについて大蔵省日銀にお聞かせいただきたいというふうに思います。
  64. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) 大変いろんな問題を含んだ御質問でありますが、まず一般論として申し上げますと、何らかの会合を持って意見交換を行う場合に、それが非常に個別の重要な問題であれば、これは幹部の者であれば、例えば最高責任者といいますか、その部局の長に報告をしたり、あるいは部下の者に情報をおろしたりということが当然行われるんだろうと思います。ただ、一般的な意見交換のような場合までそういうふうに本当に行われているのかどうかということにつきましては、必ずしもそうとは限らないのではないかというふうに思います。  現時点におきましては、平成八年十二月の倫理規程によりまして、そういう会合には届け出を出して服務担当者の了承を得てから出席するということになっております。その届け出がなされないまま行われるとすれば、それは通達に反する行為ということになるわけでございますけれども、そういう形でだれがどういう会合を持つかというのは把握されるわけでございます。  私どもの場合には、基本的にこれは守秘義務というものがございますから、その守秘義務に反するような行為を行うということはあってはならないわけなのでございますけれども、それは基本的に職員一人一人の倫理観、責任感、最終的にはそういうものに任されることになるんだろうというふうに思います。  組織としてそれをどう守るかというような御趣旨の御質問も最後の方にあったかと思いますけれども、我々はやはりその倫理観というものの欠如という御批判を本当に真摯に受けとめて、もう一度職員一人一人が一層の責任感と倫理観を持ってそういう場合に当たる、職務に当たるということがまずもって大事なことなのではないかというふうに考える次第でございます。
  65. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私どもにおきまして、先ほど御説明を申し上げましたような形で行います外部との意見交換、会食等につきましては、これは会議交際費を使用いたします関係で、計画の段階からきちんと承認を受け、また実行後の支出等につきましても、通常の内部経費の支出の手続により、また検査もいたしているところでございます。  問題は、そういうものに関しない個人的な形での外部との接触、交際ということでございますけれども、これにつきましては、従来の点は必ずしも組織としての禁止ということでなしに、それぞれ機会に応じて社会的な判断を逸脱しないように注意を喚起するという節度を持って対応するという指示をしてまいったわけでございますけれども、今回のような事件にかんがみまして、これは当面の問題といたしましては全般的に行内の管理職の調査をいたしまして、そういう外部との会食等についてのこれまでの実行状況についての把握をいたそうということを行っております。  そしてまた他方で、今後のことでございますけれども、これは外部の方との接し方につきましての具体的な行動の指針として「日本銀行員の心得」というものを作成いたしまして、これは外部にも公表したところでございます。その中で、職務上の関係者との無償の会食につきましては明確に禁止するということにいたしましたほか、情報の開示と管理、それから講演や寄稿や出版、また贈答品とか個人的な利殖行為等につきましても職員が守っていくべき事項を具体的にきちんと規定をいたしたところでございます。今後はこの「心得」の厳格な運用を徹底していくということで行内の規律の保持とそれを通じました職務の公正性の確保を守ってまいりたいと考えております。
  66. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 今、それぞれ倫理の問題が言われて、その倫理をきちんと組織的体質にするための教育システムをつくるという話がされました。  私はそれも重要だと思っておりますし、悪い者がいたから悪いことをやったということも成り立つわけですが、組織的に悪が介入することを防ぐシステムがないから本来悪でない者が悪に染まっていく、乗ぜられていくということがあるわけですよね。民間金融機関は利益追求を目的とした集団ですから、貸し渋りの状況を見たって公共性なんかはこれっぽっちもないと私は思っています、もっと批判したい。しかし、そういう集団が秘密の情報を持っている者に対して計画的にこれを籠絡することをやっていったら、どんなに個人の倫理観が強くともやられるんです。  だから、危機管理の視点で職員を守れ、組織を守れということを私は申し上げたいわけです。そうでないと、金融市場がグローバル化したときに、今まで護送船団とか横並びとかなれ合いとか知り合いだったものが、違う者が入ってきてマイクロエレクトロニクスで操作されるんです、その情報によって。瞬時に危険が起こるということがあり得るわけですから、ぜひ危機管理の視点でそのようなシステムをつくっていただきたい。そうでないと、安心して任せられないとか安心していられないということになるんじゃないかというふうに思います。  さて、もう一つ別の視点から今回の接待というものの状況を見ますと、情報というものの本質と扱いについてちょっと日本は国際的な傾向、私も物の本で読むだけでそれほど詳しいことを知るわけではございませんけれども、私の知る限りというか聞くところでは、情報のすべては公開されて、その情報を受けた者の分析能力ないしは選択、付加価値のつけ方でその情報がその者の所有とされて活用されていく、ベースはみんな一緒なんだ、あとはその情報をどう分析、解析して付加価値をつけるという能力にかかるというふうに言われております。わかるような気もいたします。  ところが、日本においては、冒頭私が申し上げたように、ミクロ情報の扱いが金融システム全体に影響を与えるという側面があるという中で、金融行政の権限を持った者が、ないしは中央銀行、最後の貸し手機能を持った者が内密に所有する情報、このことがインサイダー的に扱われ、または裁量的に扱われる。護送船団というふうに私らが批判してきたその横並び護送船団の中にあって、情報操作によって情報の流し方は護送船団ではない流し方がひそかにやられているということが今度露呈されたわけであります。うんと悪口を言えば、特別の価値を持つ情報が接待によっていわば有料で個別に渡されたというふうに言われても仕方がないわけです。  だから、情報開示、ディスクロージャーのシステムというものの確立がないところに問題があるんじゃないかと。まさに国家機密、金融システムを断固守らなきゃならないような最高機密を情報として公開するなんてことはあり得ないと思いますけれども、しかしそのような情報を金融監督機関が持つということはシステム全体が非常な危機にさらされているから持っているわけでありますから、それ以前の問題としてどのように情報が公開されているかということは言われながらちっとも実行されない。日本ビッグバンが行われたときには、そのことが国際的な場面で出されていったときに、それに対応する危機管理もなければ情報に対する認識もなければ、監督庁だけ、中央銀行だけじゃなくて民間金融機関金融システム全体も大変な危険にさらされるというところに行ってしまうんじゃないかというふうに思うわけであります。  そこで、情報の扱い方についての日本金融システム全体の停滞の一つ原因というふうな視点から私は問題提起をしたわけでありますが、これに対して大蔵省日銀からの見解を述べていただきたいというふうに思います。
  67. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) 大変掘り下げた御質問でございますけれども、私どもはそういうインサイダー情報が御指摘のような形で全体のシステムを間違わせることのないような、そういうためにはどうしたらいいかということであれば、一つは今御指摘の情報公開ということ、それからもう一つは日々の行政がそのようなインサイダーの情報によって影響を受けていくような、そういう行政システムを改める、言いかえれば、大臣からも何度も御答弁があるわけでございますけれども、事前にルールを明確にして事後チェック型の行政に転換していく、そういうことによってインサイダー情報を我先に入手することによって得をするような、そういう行政でないようにできる限り努力していくといったようなことかと思います。  そういう意味で、これから御審議をいただきますいわゆる金融ビッグバン関係の法案でありますとか金融監督庁の設置でありますとか日銀の独立性の強化とか、そういう一連の今の金融行政の改革の方向というのは今の御指摘に沿ったそういうものであろうというふうに私どもとしては考えております。
  68. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私どもが私どもの立場で作成をいたしますような情報につきましては、それは企業や企業の団体、また個人その他いろいろのところから提供を受けましたデータを集計し加工をして情報化していくものでございますから、建前はそうやってできました情報はこれを還元いたしまして一般の利用に供するという性質のものでございます。中には例外的に企業の個々の経営内部のいろいろな事情に関する情報等はそういった還元に適しないものもございましょうけれども、通常、情報は集めて、そして還元をして利用していただくというものが原則であろうと思います。  したがいまして、その点で公開が原則ということでございますけれども、どうも問題は、公開をいたしますに当たりまして何か他に先んじてそれを入手したいとか、そういう動きが外部にございますというといわゆる情報の公平な的確な管理という点からは非常に問題でございますので、それらの点につきましては、私どもは行内での情報の作成、公表の過程をいつもチェックいたしまして、できる限りそれが途中で、例えばまだ十分完成をしていない段階で外部に漏れるとかあるいは一般に公開をする時間よりも前に漏れるとかということがないように気をつけてまいっているところでございます。  例えば企業の短観調査といったような調査につきましては、そういう意味で私どもは作成の方法を非常に検討いたしまして、現状はコンピューターのシステムを使いまして表に出ない形での集計を機械的に進めてまいりまして、いよいよこれを公表する予定の時間の直前にならなければそれは内部でも目を通せないというような形での情報管理に移行しております。こういった情報の公表等に関する、作成に関する管理の適正化というものにつきましては今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
  69. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 ただいまの大蔵省日銀の答弁については私もそのとおりだと思います。総論としてそのとおりと。もちろん今の段階は総論で当然なんですが、なお各論については今後の審議の中で議論をしていきたいというふうに思っております。  さて、日銀総裁に最後にお尋ねいたします。  公的資金による銀行への資本注入を今回の成立した法によって行うわけでありますが、最低でも銀行経営を透明化すること、ないしは銀行リストラを徹底すること、さらには金融システムの危機を招いた経営者の経営責任を明確にすることがなされなければならないというふうに考えておりますし、金融当局も考えておられるというふうに思います。  どの銀行資本注入をするかを最終的に決定するのは金融危機管理審査委員会でありますが、それまでの原案をつくるのは大蔵省であり、また日銀もこれにかかわることになるんじゃないかというふうに思っております。  ところで、この委員会委員の一人は松下日銀総裁であります。松下総裁は、元大蔵次官でありまして、さくら銀行の元頭取でもあります。今回、都市銀行九行は優先株劣後債による資本調達をまさに完全横並びでおのおの一千億円を申請いたしまして、さくら銀行も永久劣後債資本調達とのことでございます。松下総裁は大蔵次官のOBと日銀総裁の立場で原案作成の段階で影響力を行使することが考えられるわけでありますが、さらにまたさくら銀行元会長という立場では公的資金の注入に頼らなければならないような経営に陥れた責任が問われるのではないかというふうに私は思います。  この問題について、まず日銀総裁のお考えをお聞かせいただいて、その後大蔵大臣のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
  70. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 御指摘審査委員会委員についてでございますけれども、私も委員の一員でございます。それは、金融機能安定化緊急措置法の規定におきまして、内閣が任命される審議委員三人のほかに大蔵大臣金融監督庁の長官、日本銀行総裁、機構の理事長が職務上の委員ということに定められておりますために私もこの委員を務めさせていただいているところでございます。  それから、決定をいたします際には、これも法律の規定がございまして、金融機関優先株式等の引き受け等に関します機構の承認についての議案につきましては現に在任する委員の全員一致をもって議決を行うこととされているわけでございます。したがいまして、仮に委員が意思表明を行わないでこの委員会の会議に欠席をいたしましたり、あるいは議決の際に棄権をいたしましたりした場合には全員一致の要件を満たさなくなることになりまして、当然に否決ということになってまいるわけでございます。  そのような法律の枠組みの中で私は日本銀行の総裁といたしましての立場で審査委員会出席をしているわけでございますけれども、私自身はそういった私の立場を十分に踏まえまして、特に私自身が民間金融機関の役員でありましたことによっていささかなりとも私の公的資金注入に関します判断に公正を欠くことがあってはならないというふうに自分自身肝に銘じておりまして、その点を強く意識して自戒しながら託された職務を全うするように努めていかなければならないと考えているところでございます。  また、公的資金を注入する金融機関に対しますいろいろの条件につきましてはこの法の制定の間にもいろいろと御議論がございましたけれども、私自身について申しますと、そういう現在の法律の規定から申しまして、委員としての職責を果たすことが現在の私の使命である、そう理解をいたしております。
  71. 松永光

    国務大臣松永光君) 委員よく御存じのとおり、今回の自己資本充実策というのは、我が国金融システムに対する内外の信頼が低下しておる、そういったことを解消するために金融システムに対する内外の信頼を高めていくための措置としての今回の方策だというふうに思っているわけであります。  そこで、いかなる銀行資本注入を受ける資格があるのかということは、法律及び法律に基づいて審査委員会で定められた基準に合致しているかどうかでまず対象銀行たり得るかどうかが決められます。そうした後に申請銀行経営健全化計画というのを、いろいろな点にわたっての健全化計画というのを文書で出すことになっております。その経営健全化の中身は、不良債権についての処理はどういう方策でやるのか、あるいはディスクロージャーはどういうふうにしてやるのか、あるいは具体的なリストラ計画はどういう計画でどういう手順でやるのか、あるいは今回の資本注入を受けたことによってどれだけ金融の円滑化に貢献するのかすなわち貸し渋り解消に寄与していくのかそういう具体的な銀行側の計画というものを出させたわけでありますが、それがそのとおり実行できるだろうかということを念頭に置きながら私は申請銀行の代表者に質問するなどして、そしてチェックをさせていただきます。その結果として審査委員全員が実は判定をする、既にしたのも四行あるわけでありますけれども、そういった方法で今回の審査はなされております。  日銀とか大蔵省とか、そういったところが原案みたいなものをつくって、その上でやっているのでは絶対ございません。すべてこれは審査委員会の場で書類を審査し、意見を述べ合って、その上で全会一致という形で、既に済んだものはなされましたし、きょうも実はなされるわけでありますが、そういうやり方でなされておるんだということをぜひひとつ御理解願いたいと思います。
  72. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 終わります。
  73. 牛嶋正

    牛嶋正君 公明の牛嶋でございます。    〔委員長退席、理事楢崎泰昌君着席〕  私も昨日明らかになりました日銀不祥事に関しまして質問させていただきたいと思っておりますが、前の野村委員、それから今の伊藤委員、お二人も御質問されましたし、私も非常に時間が限られておりますので、昨日このニュー又を聞いたときの私の気持ちを率直に申し上げまして質問にかえさせていただきたい、こんなふうに思っております。  ビッグバンというのは私は二十一世紀に国民が安心して高齢社会を迎えるためのどうしても越えなければならない非常に大きなハードルだと思っております。ですから、これがうまく越えられなければ二十一世紀の我が国の高齢社会というものが非常に暗いイメージになってしまうおそれがあるわけですね。そういう意味で、私は、秋の臨時国会からこの問題につきまして何としても我が国金融システムを安定化し、このビッグバンを乗り越えなければならない、こういうふうなことで努力させていただきました。しかし、こういうふうに次々に不祥事が起こって内外の信頼が崩れていきますと、非常にむなしい感じがするわけでございます。きょう用意いたしました質問もこのニュースを聞いたときに何となくもう色あせてしまった感じを受けたわけであります。恐らく私だけじゃなくてみんなにこういう気持ちを与えたのではないかと。ですから、私はやっぱりこういう問題がもたらす大きさというのは非常にはかり知れないと。ですから、先ほども伊藤委員がおっしゃいましたように、陳謝だけで済むような問題ではないというふうに思っております。しかし、ビッグバンはもう目の前に迫っているわけですから、私はきょうは気を取り戻してまた用意いたしました質問をさせていただきたい、こんなふうに思っております。    〔理事楢崎泰昌君退席、委員長着席〕  少し長期的な視点に立って安定した金融システムの構築というものを目指す場合に、我が国金融市場の構造を決めております直接金融対間接金融、それから民間金融対公的金融、さらに短期金融と長期金融といった枠組みがある程度バランスを保つことが重要であるというふうに考えております。  きょう御質問させていただきますのは、このうちから直接金融と間接金融の枠組みを取り上げまして質問をさせていただきたいというふうに思います。  前回のこの委員会審査、採決されました金融システムの安定化のための金融対策に基づきまして、先ほども質問がありましたけれども、預金保険機構に対しまして銀行からの公的金融の受け入れの要請は出そろいました。そして、十日には四行で三千九百五十六億の投入の承認が決定されております。これによりまして銀行に対する体力強化策が一応動き出したというふうに考えていいかと思います。  この効果につきましてはまた別の機会に検討させていただきたいと思っておりますけれども、このままでいきますと私はますます直接金融と間接金融のバランスが崩れていくのではないかと、こういう懸念を持っているわけであります。そういたしますと、先ほど私が申しましたように、安定した金融システムの構築というのが遠のいてしまうのではないか、こういうふうに思いますが、この点についての大蔵省の見解をお尋ねさせていただきますと同時に、証券会社に対する体力の強化あるいは経営基盤の強化に対してどのような対策を用意されているのか、これをあわせてお聞きしたいと思います。
  74. 山口公生

    政府委員山口公生君) 大変難しい問題の御提起で、また先生からむしろ教えていただきたい感じもいたします。  今回の金融安定二法を提案させていただき、特に資本注入についてはいろいろな御議論を賜ったわけでございますけれども、私がそのときにいろいろ御説明しましたのはマーケットのすくみ現象というようなことを説明させていただきました。したがいまして、先生の御提起の直接金融、間接金融というものの定義の問題にもかかわってくると思うのでございますけれども、確かに預貯金で受けるかあるいは株式とか社債を購入するかというような議論での直接金融、間接金融議論もあると思います。  私が非常に感じましたのは、マーケット金融と相対関係での金融というような感じでとらえるような説明をかなりやらせていただいたと思うんですね。それで、去年の十一月の話をしばしば申し上げてくどくなりましたけれども、確かに余裕のある金融機関がコール市場にお金をなかなか放出してくれない、足りないところは取れないという、これはある意味ではマーケットが不全な状態にあると。また、自己資本を充実しようと思っても株式の発行が容易でない、つまり市場のキャパシティーの問題があると。劣後債にしてもそう、あるいは先ほどの劣後ローンにしてもそうでございまして、なかなかマーケットで必要な額を必要なだけ取れないというような現象が今回のいろいろな意味金融のシステム上の問題だったと感じるわけです。  それが直接的な金融というふうにもし見ますと、その辺についてはやはり我が国においては問題がまだかなりあるのではないかと。その根っこについては、もちろん先生が多分イメージされております個人あるいは企業が直接的な投資リスクをとるのかあるいは間接的にやるのかというところに最後は帰着する話だと思うのでございますけれども、そうしたリスクをとってそのリターンを求めるというような現象は我が国において十分に育っているだろうかという感じを非常に強くしたわけです。今回のシステム安定化も、そういったものに対してやはり政府としてやるべき手を差し伸べないと、本当に不全状態のままでは経済全体が問題を引き起こすというような観点から特に十三兆の方は御審議を賜ったように覚えておるわけでございます。
  75. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 証券会社の経営基盤の強化についてのお尋ねでございます。  今後御審議を賜ることになると思いますけれども金融システム改革法案の中で証券会社の活動を自由化いたしまして幅広い業務、投資顧問でございますとか投信の委託業でございますとか、そういった業務を幅広く自由化していきますと同時に、取り扱う商品につきましてもデリバティブ取引の全面解禁といった業務の自由度を高めていきたいと考えております。  これは、例えばアメリカにおきましてビッグバンに当たりますメーデーという改革が二十年前にございましたけれども、このときの証券会社の収入に占める株式のブローカレッジ、売買仲介のウエートは日米とも大体同じで四割か五割ぐらい、それが大宗でございました。今日、アメリカにおきましてはその比率は二〇%程度にとどまっておりまして、残り八〇%は資産運用業としての幅広いフィービジネスを展開し、そこから収益を上げております。  そういった業務展開は恐らく証券業の一つの将来の姿である、そういったことが可能になりますように、日本は今まで手数料を固定化しており、そのかわり株式の売買の仲介に専念せよという形でやってきておりましたけれども、この自由度を広げるということが一番大切な証券会社経営の活性化策ではないかと考えております。
  76. 牛嶋正

    牛嶋正君 それで、銀行の場合、その体力ないしは融資対応力というのは一応早期是正措置にも見られますように自己資本比率というふうな非常に明確な指標があるわけですけれども、証券会社の場合、それに当たるようなものが何か考えられるのか、証券会社の体力というものを測定する場合の指標としてどういうものを考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  77. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 実は、山口局長を横に置いてあれでございますけれども、証券会社の方がその面では先行したのではなかろうかと私は思っております。つまり、平成二年に自己資本規制比率というものを導入いたしまして、早期是正措置を証券業の方が先行的に導入いたしまして健全性のチェックを行っております。したがいまして、その自己資本規制比率の比率が一定値を下回った場合には業務改善命令あるいは業務停止等の命令を発する、それに従って証券会社の方は資本の増強とかいうことを行うことになってきております。  昨年、幾つかの証券会社で現実に不幸な事件で破綻が多々出ましたこと大変申しわけなく思っておりますけれども、全体としてごらんになりますと、これだけの長期にわたる証券不況の中で、私も銀行局におりましたときにちょっと感じておりましたけれども、証券会社が比較的行き詰まらずに頑張っているなと感じておりましたけれども、それはこの早期是正措置の枠の中で、どの証券がいつどうしたということは申し上げられませんけれども、そういった自己資本の増強をこちらから命じ、それが実施されるという形で乗り切っておるのが実態でございます。
  78. 牛嶋正

    牛嶋正君 四大証券と言われてまいりまして、我々も四大証券に対しましては信頼を置いていたわけですが、その一角であります山一証券が崩れてしまったわけですが、今おっしゃいました体力をはかる指標から見てこの山一証券の破綻というのは十分に説明できるわけでございますか。
  79. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 山一証券につきましては、大変残念ながら今話題になっております簿外債務というものが巨額に存在いたしまして、これが現在の状況へのいわば原因となっております。簿外の債務でございましたので、その含み損を事前に計上してきておれば先ほど申し上げました自己資本規制比率の計算上にそれが反映されるということがあったかと思いますけれども、そういう余地が実はなかった。もちろん、昨年の十一月二十五日時点で新しい自己資本規制比率は計算できましたけれども、もうそれは予防的措置としては手おくれであったということが実態でございます。  あわせまして、御質問にはございませんけれども、三洋証券につきましても巨額の債務保証というものが突然実行を迫られまして、この自己資本規制比率に反映するいとまもなく会社更生法の適用申請になりました。  しかし、こういった問題、簿外は論外でございますけれども、例えば債務保証といったものは保証先の状況から少しずつこういった自己資本規制比率に反映できる方法があるのではないか、公認会計士の方に認定していただいて少しずつ引き当てを計上していく、それに従ってこの比率に反映していく道はあるのではないかと思っておりますから、それを今必死になって新しい反映の仕方を公認会計士協会の御尽力もいただきながら研究いたしております。
  80. 牛嶋正

    牛嶋正君 やはり、幾らそういった体力測定基準を明確なものをつくりましても、そこに含まれないようないわゆる簿外負債みたいなものが見つけられないということになりますと全然意味がなくなりますので、その点できるだけ今おっしゃいましたような方向で厳格な基準をおつくりいただきたい、こんなふうに思っております。  直接金融と間接金融という枠組みで我が国の今の金融市場の構造を見ますと、これは大蔵省からいただいた資料でございますが、アメリカに比べまして非常に日本の場合は間接金融に偏りがあるということでございます。比率で申しますと、アメリカの場合は間接金融が五六・三%、それから直接金融が四三・七%、それに対して日本の場合は間接金融が八八・四%、そして直接金融が一一・六%、こういうふうになっております。  恐らくこういう間接金融に偏った構造というのは長い我が国金融の歴史の中で徐々に形成されてきたというふうには思いますけれども、この構造を見る一つの視点といたしまして個人の株式保有率を、特に今アメリカと比較しておりますのでアメリカと比較いたしますと こういう顕著な点が明らかになります。一九九八年のデータですけれども日本の場合は二三・六%に対しましてアメリカの場合は四七・四%でございます。そして、日本の場合、事業法人が保有しております株式をそれに加えますとちょうど四七・四%になるんですね。アメリカの個人の株式保有と同じになります。  それからもう一つ日本とアメリカで特徴的なのは銀行の株式保有の割合ですが、日本の場合は二一・六%に対して〇・一%というふうになっている、こういうところにも間接金融と直接金融の非常に今のウエートの違いというものが関連しているのではないかというふうに思いますが、これについて大蔵省はどのようにお考えでしょうか。
  81. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 御指摘いただきました点は日本の株式あるいは社債を含みます直接金融市場にとりまして一番大きな特色であり、問題でございます。  個人株主の割合を高められないかというテーマを私どもが取り組み始めましてからもう半世紀ということであろうかと思います。こういった日本の特色ある構造の背景につきましては、いろんな方がいろんなことをおっしゃいますけれども、歴史的あるいは日本の風土とおっしゃる方がいらっしゃいます。個人が非常に安定したものを志向する国民性が強いので預金が一番安心だということを言われる、あるいは企業の方も安定した資金調達ということを考えるとメーンバンクというものから常時資金の供給を受けるという形であったということがさまざま言われます。  しかしながら、今の時点で日本の一般的に資金運用をする個人の例あるいは調達する企業の側がどちらに願望を持っておるかといえば、私どもは資金運用者、個人も含めましてもっと株式、社債等の直接金融への配分もふやしたいという潜在的な希望は非常に強く持っておられるし、調達の方は、これは現実に最近の社債市場をごらんいただきますとわかりますように、直接金融市場で調達したいという願望を持っておりますので、双方にそういう願望があるのであれば、そこの間に介在するシステムを変えることによって両方の願いというのが運用者も調達者も直接金融市場を使いたいと思っておるのであれば、そのニーズに合致するようなマーケットはつくることが可能ではないかという確信だけを持って金融システム改革に取り組みました。そのためには、いろいろな商品の自由化でございますとか、仲介業の問題、例えば外国では株はどういうところに行けば株が買えるのかということと日本で株を買う場合にはどこに行かなければいけないのか、投資信託の場合はどうであるかといったような問題まで踏み込みまして、今、改革の案を取りまとめてこれから御審議いただこうと思っておるわけでございます。  即成果について自信があるかという点につきましては、その長い歴史の重みというものは感じておりますけれども、アメリカにおきましても先ほど先生がおっしゃられましたような現在の姿というのは一九七五年を境に大きく変わっておりますので、システムを改革することで大変な直接金融への道を開くことが可能ではないかという確信を持ちつつ作業を進めてまいりたいと思っております。
  82. 牛嶋正

    牛嶋正君 今のお話ですけれども、資金の調達側は確かに直接金融の形で長期の資金を調達したいという需要は非常に大きいと思うんですが、資金の供給が特に個人の場合を見ますと我が国の場合はローリターンであってもローリスクというふうなものを選好してきたのではないかというふうに思うわけです。  しかし、いずれにいたしましても、私は我が国の間接金融をもう少し強化して、そして直接金融との間のバランスをとっていくためには、今もおっしゃいましたように、やはり個人の株式保有の割合を何としてもちょっと引き上げていかなければならないのではないか、こんなふうに思っております。  アメリカでの個人のポートフォリオの中で株式は二一%、これも一九九六年のデータでございますけれども、保有しておりますが、日本の場合はわずか六・一%であるわけです。我が国でもバブル期にはハイリスク・ハイリターンというふうな言葉も使われておりましたけれども我が国ではやっぱり多くの人々はローリスク・ローリターンを選好してきたのではないかと、これは証券局長が今御指摘になった点だと思います。  したがって、私は株式保有に個人を向かわせるためには、やはり証券市場における株価がある程度安定的に推移する必要があるのではないかこんなふうに思っております。安定的というよりむしろ引き上がってくる、上昇のトレンドをとるということが必要ではないかと思います。  それで、バブル期の我が国の個人の株式保有の割合というものを見てみますと、昭和六十三年、それから平成元年でありますが、一二・六%と一三・九%というふうな比較的高い比率を示しておりましたが、今現在は今申しましたように六%ぐらいに落ちてしまっているわけです。ところが、アメリカの場合、同じ年度で個人のポートフォリオの内容を比較いたしますと、先ほど申しました昭和六十三年、平成元年では一三・二%、それから一四・六%でありました。それが現在は二一%の割合を占めているわけです。日本の方はだんだんと低下しておりますが、アメリカの方は上昇を続けているということです。  これは恐らく株式市場の株価の推移と非常に関連していると思っておりますけれども、この二つの国の傾向について大蔵省はどのようにお考えになっているのか、お伺いします。
  83. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) バブルのピーク時と現時点でのただいま先生がお示しなされました数字の変化につきましては、日米ともこの間の株価の変動というものがかなり大きく影響しておるという側面はございますけれども、そういったことを割り引きましても、個人の金融資産の中の絶対的な水準としての株式というものにつきましてのウエートが日本が低いと。そしてそれは、決してアメリカのように上昇傾向になく、むしろバブル前に比べましてもウエートは低くなっておりますから、下降傾向にあるということは事実だろうと思います。  そこで、御質問でそれはハイリスク・ハイリターンというものとローリスク・ローリターンというもの、私も冒頭に安定的なものを志向すると申し上げましたけれども一つの挑戦すべき可能性として考えますと、直接的に個人がみずからの投資判断で株式の銘柄を選ぶということも一つの道でございますけれども、幅広い投資家をこれから掘り起こしていく観点からいえば、ある程度プロの方に運用を任せていわばロットとして運用していくという投資信託というものの位置づけが非常に高くなってくるのではないかと。その投資信託の中で、非常にいわば上げ下げの激しい商品を組み合わせたものを好むような投資家の方と、そうではなくてむしろ先生がお話しになっておられますような安定的に少しずつ資産価値が上がっていくようなものを望まれる投資家にはそういったものをパッケージとした商品を開発していただく、投資信託の商品の自由化と販売の拡大ということが一つの挑戦すべき分野として大変大事なのではないかという認識を持っております。
  84. 牛嶋正

    牛嶋正君 平成十年度の税制改革でも、この前大蔵大臣から所信をお聞きいたしましたが、有価証券取引税、それから取引所税の税率引き下げが提案されております。それからさらに、今御説明がありました投資信託の整備、それから株式売買委託手数料の完全自由化、こういうふうなものも打ち出されているわけでございますけれども、先ほどから議論しておりますように、我が国の個人の資産に対する選好というふうなものを考えますと、私はこういった対策が打たれても個人の株式保有率がどの程度高まるのか余り期待できないのではないか、こんなふうに思っております。  今、投資信託の御説明をお聞きいたしましたけれども、個人の株式保有率を高めるということに対して金融行政の方ではどのようにお考えになっているのか、これは余り大したことじゃないというふうにお考えになっているのか、その点も含めましてちょっと御説明をお願いいたします。
  85. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 十年度の税制改正におきましては多年の懸案でございましたもろもろの証券税制の見直しが行われました。これは必ずや、直接的に個人がそれで幾らコストが下がるということだけでなく、証券市場全体の活性化を視野に置きますと、私は大変効果の大きい措置を講じていただいたと考えております。  その上で、個人というものの位置づけでございます。私、この職に参りましてから個人投資家の育成ということを大勢の方と御議論をいたしましたら、ある時期にイメージしていた個人投資家が全く違うと感じたことがございます。すなわち、三度の飯よりも株が好き、それで昔切った張ったでやっておられたあの投資家が最近いなくなった、あの人たちに戻ってきてほしい、個人投資家に早く株式市場に参加してもらいたいというお気持ちでいらっしゃる方、それから今まで株式投資をしたことはなくて預金、貯金しかしたことは広い、そういった人たちを証券市場にどう取り込めるかという角度で考えていらっしゃる方、この二通りがございまして、実はここは大きな問題だなと思いました。  そして、その上で私どもは特に後段で申し上げました今まで全く株式市場にかかわりがなかった方にも株式市場に参加していただきたい。ハイリスクと言われますけれども、例えばインフレということが起こりましたときに預金と株式のどっちがリスク商品であるかということを考えますと、あながち預金がローリスクで株式だけがハイリスクだということも言えないわけでございますから長い目で、やはりこれから国民の資産というのはふえていく、しかも高齢化社会ということになりますとバランスのとれた資産構成ということが必要になるだろうと思いますから、その場合にやはり直接金融というものの位置づけを高めるということが大切だろうと思っております。  もう一言だけ言わせていただきますと、先ほど手数料等のお話がございましたが、そこらの流通コストの問題とは別に、株式そのものはやはり企業の持ち分を買うわけでありますから、企業そのものが投資家にとって魅力のあるような存在であるような各種の経済構造改革でございますとかそういったものが相伴う必要があるのではないかと。これはアメリカもイギリスも証券市場改革と同時にもろもろの規制緩和で情報産業を初めとする産業が育ち、それが株式市場の主役を担っておるということを眺めますと、経済分野全体につきましての規制緩和も株式市場活性化にとって大変重要な課題ではないかと、これは私の土俵の外でございますけれども、念じておるわけでございます。
  86. 牛嶋正

    牛嶋正君 いろいろ個人の株式保有率を高めるための施策をお聞きいたしましたけれども、私はやっぱり我が国国民の資産に対する選好態度から考えますと、大蔵省が進める金融行政というものが公正で透明であるということ、それからまた証券会社の経営内容が公正で透明であるということが大前提ではないかというふうに思います。それなくして幾らいろいろな施策を打ち出しても、恐らく個人は株式の方には目を向けないのではないかと思っています。  そんなことを考えますと、今回の大蔵省の証券会社に関連する不祥事というのは、私が今考えております直接金融の基盤強化に対しまして決定的なマイナスの影響を与えてしまったのではないかというふうに思っております。  所信表明の中で大蔵大臣は今後の対応についてるる述べられておりますけれども、私は一たん崩れた直接金融と間接金融の枠組みの修復というのは非常に時間がかかるのではないか、今私が申しました大前提を整えていくというふうなことを考えますと非常に時間がかかるのではないか、ビッグバンを迎えるに当たりまして恐らく間に合わないのじゃないかと。  そういう意味では、この証券会社に関連する不祥事が今私たちが進めようとしている金融システムの安定化に与えたマイナスの効果ははかり知れないものがあるというふうに思っておりますが、最後にこの点についての大蔵大臣のお考えをお聞きいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  87. 松永光

    国務大臣松永光君) 証券会社からの多額の接待を受けたということで大蔵省職員が逮捕されたということは、証券行政に対する大蔵省の実は信頼を著しく毀損してしまったわけでありまして、その意味で証券市場の活性化の観点から見てもまことに遺憾な事態であった、こういうふうに思っております。  近々いわゆる金融ビッグバン法を国会に提出して審議をお願いするわけでありますが、これは証券界の活性化をねらうための法律案でありまして、先生が今申されました直接金融の拡大に大きく貢献する法律案であろうというふうに思います。同時にまた、国民日本の証券市場についての信認を高めていくということが大事なことであろうと思うのでありまして、こうした法改正等を通じてぜひそうなるようにしていきたいものだと、こう思っておるわけであります。今後ともひとつよろしくお願いいたします。
  88. 志苫裕

    志苫裕君 御苦労さまです。  まず、日本経済の状況についてお伺いします。  バブル経済の崩壊と九〇年代世界同時不況のもとで日本経済は長期で深刻な不況に見舞われております。この不況は、どうやら資本主義につきもので、かつて我々が経験したことのある単純な循環型のものではないようです。  自動車、エレクトロニクスなど経済成長をリードしてきた中枢部分を不況が直撃して大量生産、輸出依存型の成長様式、すなわち右肩上がりの成長が限界に直面しているように見えます。企業のリストラはあらゆる産業・業種に広がって、下請・中小の淘汰で排出される雇用不安はビッグビジネスのホワイトカラーから管理職にまで及んでおる。政策当局は、九三年の夏以来、七次にわたる景気対策を講じて六十兆円に及ぶ財政を投入したが、目に見えた効果を上げているとは言いがたい。  そしてまた、年度の予算がまだ成立しないうちから政府の周辺では十兆円に及ぶ追加景気対策が声高に論じられておる。財政当局はこのような動きにどうかかわっておるんでしょうか。私は、それが必要で有効なものなら、政策転換と言われようと後ろ暗いことを感ずることはない、大いにやったらいいと思う。だが、問題は果たして効果が上がるかどうかということなんです。政府もエコノミストたちもここしばらくケインズ的な有効需要対策か新古典派的な供給構造改革かという二つの見解の間を揺れ動いておるだけで、経済の新しい発展方向を示せないまま公共財政はいたずらに膨張して、国債残高はGDPと同じレベルまでに達しておる。国家破綻の道をたどっておると言ってもよろしい。  そこで、改めて問いますが、十兆円の追加景気対策の構想と効果についての所見を財政当局はどのように持っておられるか。景気対策財政改革かの先行事例もなければ経済理論も未完成の状況のもとで神学論争のようなものが繰り広げられておるんですが、この際、政府はもちろんだけれども、学界、経済界などあらゆる日本の知恵を集めて新たな経済モデルをつくる努力をしてみたらどうかというのが私の問題提起ですが、大臣、いかがですか。
  89. 松永光

    国務大臣松永光君) 委員指摘のように、バブル崩壊後の日本の長期にわたる不況を乗り越えるために九三年度以降相当の財政出動をして対策を打ってきたわけでありますが、それがねらいどおりの効果を上げることができたのだろうかといろいろ批判があることは承知しております。  しかし、そのときそのときの経済対策としてやられたことの効果は実はそれなりに、民間活動の活性化の下支えをするとか、あるいは大量の失業者を出すことを防止することができたとかそれなりの効果は発揮したものだというふうに私は見ておるところでございます。  今、先生御指摘のように、いろんな方面で六兆とか十兆とかという景気対策の議論がなされておることは承知いたしておりますが、その効果がどうなるのかということの本当の分析がなされているかどうか私にはよくわかりません。また、言われておる景気対策等について私ども政府の方に正式には何の連絡もない状況でありますが、私は、基本的に言えば、今、先生御指摘のとおり、我が国のGDPを超えるほどの国債を中心にした長期債務を国が持っている中で大幅減税等をした場合にどうなるだろうかということは十分検討していく必要があるというふうに思います。  多額の国債残高がある場合には、いずれはその国債の元利償還のために増税でもしなければつじつまは合わぬわけでありますから、そういう状況下では減税の効果は相当減殺されるんじゃなかろうか、そういったことを説く人もおります。私はこれは十分参考にしなきゃならぬ説だと思います。同時にまた、世代間の負担の公平というのも考えにゃいかぬわけでありまして、多額の負債を次世代の人に負わせるということはいかがなものだろうかということを考えます。そういったことを考えますと、やはり財政構造改革、これは進めていかなきゃならぬ問題だろう、それを全く無視しての政策というのは果たしてとっていいものだろうか、あるいはとり得るものだろうかということを私は考えるわけであります。  そういったことをあれこれ考えてみますというと、何といっても先般成立させていただきました九年度の補正予算、現在公共事業の追加分等鋭意執行に努めているところでありますし、それに切れ目のない状態で十年度の予算の執行をさせていただく、あるいはその予算に関連した法人税の減税あるいはまた所得税の制度減税等々、土地税制もそうでありますけれども、新年度から切れ目なく実行に移せるようにしていただくことが私どもとしては一番の願いであります。そういう考え方でお願いをしているところでございます。
  90. 志苫裕

    志苫裕君 大臣、私が言っているのは、今まで日本経済が体験したことのない事態なんですよ。ビッグビジネスが軒並み直撃されて雇用不安がこれだけ深刻になったことはない。一方、エコノミストたちは、一体ケインズがまだ有効なのかいやだめだと言うのもおれば、レーガノミックスがいいと言って信奉しているのもおれば、そういう状態で不確実性の時代なんですよ。そこでむちゃくちゃに金を使えばいいというものでもない、また使わなければ褒められるというわけでもないんですね。  ですから、もう少し確信の持てる経済モデルとでもいうか経済理論とでもいうかそういうものをそれなりに、日本の知恵を総まとめしてつくるようなことをまず大蔵省あたりは旗を振っておやりになったらどうだということを私は提言しておるわけですよ。あなたは一生懸命に早く予算を通してとかなんとか言っていますが、予算が通ったら何もよくなるという話じゃないんです、予算は下手すりゃ暫定になるんじゃないかという話になっているぐらいですから。あなたの思うとおりには世の中は動いていないんです。私の提言はどうですか。
  91. 松永光

    国務大臣松永光君) よく勉強させていただいて、そして自分自身の頭の中の整理、そしてこれからの財政経済政策を打ち立て、そしてそれを実行するための理論構成をする、そのことの参考にさせていただきたいと、こう思います。
  92. 志苫裕

    志苫裕君 そこがはっきりしないと、与党、野党の違いがあるわけじゃないが、ここで一体財政改革か減税かという議論をしてみたって何の議論をしているのか案外意味のないことをやっているのかもしらぬ、時々そう思うことがある。減税で金をくれたらそれが消費志向になって景気に回るかといったら、貯金箱に行ってしまったり、思わぬことだって起きているわけですから、その辺もう少し経済発展の動向に見通しを立てるような作業を地道におやりになったらどうでしょうか。世界の博士になるかもしらぬよ。  そこで、いずれにしましてもまた財政改革が新たな視点で論ぜられる時期に来ているわけですが、この際ちょっと伺っておきたいのは、財政の非常に重要な位置を占めている財投をどのように位置づけてどのように改革なさろうとしているのか、この機会に伺っておきましょうか。
  93. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) 財政投融資は、確かに財政政策と相まちまして、郵便貯金とか年金積立金などの国の制度、信用に基づきまして集められた資金を原資といたしまして、政策目的の効率的、効果的な推進のためにこれを統合的に運用しているわけでございます。そうしまして、民間では実施困難ないわゆる大規模かつ超長期のプロジェクトとか、民間金融ではなかなか困難な長期固定の資金の供給などをいわば予算と一緒になりまして財政政策上の目的を実現する上で有償資金という位置づけで行うことがふさわしい分野について投資とか融資という、そういう手法を用いる、そういうぐあいに位置づけております。
  94. 志苫裕

    志苫裕君 あなた、私の言うことよく聞いて答えなさい。どこか改革をしようとしておるんですかと聞いているんです。郵便貯金を使っているのはわかっているんです。何も橋を直してくれと郵便貯金をしているんじゃないんですよ。年金を積むのは年をとったら少しは楽をしようと思ってやっているのであって、学校をつくろうと思って年金を積んでいるんじゃないんです。それを皆さんは財政の重要な柱として使っているわけです。  しかし、財投にもいろいろ問題がある。一体財投という、私が不勉強なんですかね、大蔵委員を十何年もしているんだけれども、財投という法律上の文言なり位置づけがございますかね。財投の定義とか目的、運用などを規定した法律がどこかにありますか。
  95. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) 失礼いたしました。先ほどの改革の方をまずお答えさせていただきますが、財政投融資につきましては昨年の十二月に行政改革会議の最終報告が出されまして、現在中央省庁等改革基本法案におきましても財政投融資制度を抜本的に改革するということで、今その趣旨が盛り込まれて法案を提出させていただいているところでございますが、資金運用審議会の懇談会で、改革の方向という意味では先ほど申し上げました財政投融資の基本的な役割必要性は将来においても残る、ただその具体的な役割は社会経済情勢の変化等に応じて変わっていかなければならない、そういうことが必要であろう、したがって今後財政投融資のスリム化に積極的に取り組むとともに、これからは資金の調達面等においてもいろいろ現状を見直していく必要があるというぐあいに指摘されているわけでございます。  先ほど委員が言われました財政投融資の法律的な位置づけということで申し上げますと、これははっきり申し上げまして、財政投融資とはという意味法律上の定義などないわけでございます。  その意味で、先ほど委員が言われましたように、よくわからないと言われるのはもうごもっともな話でございますが、ただ四本柱になっておりまして、財政投融資というのは資金運用部資金、簡保資金、産業投資特別会計、それから政府保証債でございます。  この四本柱はそれぞれ法律の根拠があるわけでございます。例えば、資金運用部資金につきましては資金運用部資金法、それから資金運用部資金及び簡易生命保険の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律というのがございますし、簡保資金につきましても簡易生命保険の積立金の運用に関する法律とか今言いました資金運用部資金及び簡易生命保険の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律がございます。産業投資特別会計も産業投資特別会計法がございますし、政府保証債もそれぞれの発行機関の設立根拠法があるはずでございますが、何せ一括したものがないものですから、まさに先生が言われたように、厳格に言いますとそのものの定義は法律上の根拠がないということでございますが、それぞれの原資ごとに根拠法律があるということで御理解いただきたいと思います。
  96. 志苫裕

    志苫裕君 あなた、無理してわからぬように言わぬでもいいんです。わかるようにもう少し簡単に言いなさい。  財投という法律文言はないでしょう。いや、それは貯金を使うとか政府が年金のお金を集めて使うということは法律にありますよ。財投という法律上の文言はない。法律上にないような文言で人の郵便貯金を勝手に使ったり年金を頭からとったりしているわけで、気分がよくない人はたくさんいるんです。それでもお国のためになるのなら大いにやったらいいと思っていますけれどもね。  ところで、行財政改革の一環として特殊法人など財投機関の廃止が日程に上っておりますね。そうすると、当然のことながら財投資金の債務処理はめどがついておるんですか。財投の保有残高とか財投機関などへの融資残高、あるいは債権の回収の見込みなど、後刻でいいですから一覧表にしてこの委員会に出してください。  財政法の二十八条によると特殊法人等の財務諸表は付加することになっているんですが、余り最近出さないですね。私は、予算、決算は特殊法人だけじゃなくて政府が出資する五〇%以上の認可法人なども対象にすべきだと、むしろそれぐらいの丁寧な扱いの方がいいと思いますよ。  財投資金の運用額は大づかみに言うとどういう分野にどれぐらいに今使われていますか。大づかみでいいです。
  97. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) 平成十年度の財政投融資計画のベースで申し上げますと、全体で約五十兆、正確に言いますと四十九兆九千億でございますが、それがいわゆる政策的な一般財政投融資、それからもう一つは資金運用事業の二つに大きくまず分かれるわけでございます。  一般財政投融資は三十六兆でございますし、資金運用事業は十三兆あるわけでございますが、今、委員の言われました政策的な一般財政投融資の中での大づかみな割合で申し上げますと、住宅関連に十兆……
  98. 志苫裕

    志苫裕君 そう言っているんじゃないんです。国債に幾ら、一般会計に幾ら、特別会計に幾らという言い方をすればいいですよ。橋に幾らとか学校に幾らなんて言わぬでもよろしい。
  99. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) それではそれを申し上げますと、平成八年度末の財政投融資計画の残高は三百七十七兆円、これはストックでございますから三百七十七兆円ございますが、委員が今言われましたそれの分け方で申し上げますと、一般会計及び特別会計が五十四兆円、それから公庫、銀行が百二十九兆円、それから公団、事業団等が百二十兆円、地方公共団体が六十八兆円、主なところはそういうところでございます。
  100. 志苫裕

    志苫裕君 先ほど私が聞いた政府閣議決定によると、どの法人はいつごろやめるとかどの財投機関はいつ廃止するとなっていますね。それで債務処理は間に合いますか。
  101. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) 委員が言われましたように、特殊法人の整理合理化の問題につきまして、これはそれぞれの特殊法人の担っている政策のあり方の観点から議論が行われまして、先ほど言われましたように、累次の閣議決定が行われてきたところでございます。これらの閣議決定に基づきまして今後統廃合等が行われることになるわけでございますが、そのうちの一部が財政投融資の対象機関でございます。そういう法人が対象機関である場合はこれらの機関に対します先ほど先生が言われた資金運用部資金の貸し付けの回収ということになるわけでございますが、これは統廃合等対象法人から新たに設立されました法人に原則としては債権債務関係を引き継いでいただくことになるわけでございます。その場合には当該新たな別法人から私どもとしては回収をさせていただくということになるわけでございます。  いずれにいたしましても、今後統廃合についての具体的な検討が進められていく中でこの財政投融資資金なり資金運用部資金の適切な管理とか確実な回収について遺漏なきを期してまいりたいと考えております。
  102. 志苫裕

    志苫裕君 あなた、そんなのんびりしたことを言っておるようじゃだめですよ。もう二度にわたる閣議決定で何々はいつと決まっているじゃないですか。その機関にまだ途方もない債務残高があるのであれば債務処理なんかできませんよ、返す金なんかないんだから。そうなれば結局財政にしわ寄せが来ますよ。あるいはやめようとするか、やめるのをやめないでおくか住都公団みたいにやめたと言ってもまた家を建てると言っていますが、そんな話にするかわからぬが、どうもその辺は余り管理が適切じゃないですね。  ちょっと問題は違うけれども、一般会計から特殊法人などへ、あるいは財投機関へ出資金、貸付金というものがずっと行われていますね。それらの残高と回収の見込み、それはどうなっているんですか。
  103. 細川興一

    政府委員(細川興一君) 恐縮でございますが、数字につきましてはちょっと今持ち合わせておりませんので、また御報告する機会がありましたら御報告したいと思います。  回収見込みの点でございますが、特殊法人に対する一般会計の貸付金、出資金につきましては、各年度の予算においてそれぞれの事業内容に応じて適切に交付してきているところでございます。  まず、貸付金ですが、例えばこれを原資として特殊法人が事業者等に対して行った貸し付けが返還された場合にはそれを回収せずに事業者等に新たにまた貸し付けを行う、そのための原資として活用しているところでございます。ちょっと回転資金的になっているということだと思います。したがいまして、そういうふうに活用しているところでございますが、当該特殊法人が事業者等に対して有する債権により担保されておりますので、将来の回収に支障が生じることはないと考えております。  それから、出資金につきましては、通例これを回収することはありません。
  104. 志苫裕

    志苫裕君 大蔵大臣金融検査にかかわる不祥事がまたしても摘発されまして金融行政の不信をかき立てております。大蔵大臣の責任を問う声もないわけでもないが、この調子で大蔵大臣をやめておったら何人あっても足らぬですね。きょうはこの程度にとめておきます。  そこで、思うんですけれども、検査を受ける側が何で検査する側をもてなしたり御機嫌を伺うんだろうかと。御機嫌をとっても意味がなければやりませんわね。やっぱり何かメリットがあるからですよ。無理が通るとかだめな仕事がよくなるとかいろいろ何かあるんでしょう。そうすると、問題はやっぱり行政の側に裁量の余地があるからだと思うんですね。裁量の余地なんか全くないように法律なり規則でびっしり書いてある、こういう場合はこうとかこの場合にはこうするとか、はしの上げおろしがみんな書いてあるというならわざわざ別に検査官なり行政の御機嫌を伺ったり変なところに飲みに行かぬでも済みますね。  そこで、この隣どうですか、大蔵省の施策なり業務の全領域にわたって総点検をして裁量の余地などというものを全部埋めてしまう作業をしたらどんなものだろうか。法律で書くか規則で書くかは別にしまして、何かそういう検討をして、必要なら法令、規則で明文化をして裁量の余地を全部埋め尽くしてしまう、そうすれば裁量の余地をめがけて御機嫌をとったりもてなしたりすることもなくなる、こう思います。現在、通達が代行しているんだけれども、通達というのはどうしても行政や担当者の恣意が入り込む欠点がありまして、規則や法律よりもっとぐあいの悪いときがあるんですが、その点どうでしょうか。
  105. 松永光

    国務大臣松永光君) 抽象的なお答えになって恐縮ですけれども、今回の金融検査官を金融機関が大変な接待をしたという事件は、先生御指摘のとおり、やっぱり金融に関する行政が配慮がなされる行政あるいは事前指導、そういう形の仕組みになっているところにも原因一つがあると思うんです。  そこで、これからは要するに先にルールを明確にする、そしてそのルールを民間側は遵守しているかどうか、そのチェックをするという形に抜本的に変えていく必要があると、こう私は思うわけであります。同時に、今度の金融ビッグバン法でも今までは許可、認可であったものが届け出でいいなどという改正がなされるわけでありますが、それも私は行政の透明化の一助になると。  いずれにせよ、さようなわけで事前指導型、配慮型の行政はもうやめて、前にルールを明示する、そして事後にルールの遵守状況をチェックする、そういう形に大幅に転換していくことが大事だと、こう思っております。
  106. 志苫裕

    志苫裕君 私も実は役人のなれの果てなんですが、役所の仕事というのはかた苦しくて融通のきかぬものですよ。だけれども、ますます融通がきかぬぐらいにきちっとルールをがちがちに固めてしまえばそういうところにいろんなのが入り込む、雑念が入り込む余地がなくなりますから、それはこの機会に申し上げておきます。  阪神大震災を契機として、災害を受けた人々の生活を支援しようという二つの法律が提起されております。両者の調整も協議も一向に進んではおらないように見える。一日千秋の思いでいる被災者の期待を裏切るばかりか参議院の存在理由にもかかわっておる、私はそう思います。二案というのは、一つは市民と議員が共同で提案した被災者支援法、もう一つはこれに対する自民党案です。  両者の基本的な違いというのは、一つはこの法律を阪神地震にまでさかのぼって適用させられるかどうかもう一つお金の支払い方は財政から直接支出するかファンドを設けてそこに原資をためて事があったときに支出をしていくか、この二つになっているようです。この違いは突き詰めて言うと財政問題に尽きるわけです。それも、阪神地震にさかのぼるというのは一時一遍の話ですから一時的な財源問題で決まりがつかぬわけでもない。これで、被災者にも喜ばれるし、参議院の存在理由も上がれば、私はこれはできるだけ早く成立させたいと、こう思っています。  とにかく、この両者の調整は真剣に行われていると聞くんですが、財源問題にかかわってくるとなりますと財政当局もこれにかかわらなきゃならぬわけですが、この法案の調整に財政当局は何か知恵を出しておりますかそれとも関与されていますか。
  107. 細川興一

    政府委員(細川興一君) 将来の災害に備えた基金制度等につきましては、内閣総理大臣の設置した防災問題懇談会において検討が必要と提言されており、また全国知事会においても種々検討がなされており、自民党等においてこれらを踏まえて議員立法に向け精力的に取り組まれているものと承知しております  政府としましても、この議員立法については国土庁を中心として、これまでの経緯を踏まえ、誠意を持って調整に参画してまいりたいと考えております。
  108. 志苫裕

    志苫裕君 いずれにしても、私は折衝に出ていないので正確なことを言えませんが、大蔵省に聞くと、けちなことを言って余り気分がよくないそうですが、これは私見ですけれども、このファンドの原資として例えば損害保険会社から応分の拠出を願うというアイデアはできないものでしょうか。私、不勉強かもしれませんが、損害保険を掛けておっても地震保になると免責規定がありますね。一千万円の保険を出さぬで済むのならば、一割の百万円くらいはファンドに対して寄附ぐらいしろという知恵があったって、そう間違っていない。今、預金といえば預金保護基金、保険といえば保険保護基金、投資といえば投資保護基金、何でもそういうのがありますから被災者保護基金というのがあってもいいわけで、被災者支援基金というものを、もちろん原資を一般財源からも長年かかって積み立てていく方法もありましょうが、私のアイデアの一つは損害保険会社に応分の拠出をいただくという方法はないかと。免責規定の一定割合を例えば預金保険みたいな額で拠出していただくとかそれを特別控除の対象にすれば企業にもそれだけ大きな負担もかかるまいという気もいたしますが、アイデアはどうでしょうか。とにかく、国が半分で残りの半分を県と市町村という構想なんだそうだけれども、総額で一千億円もあれば阪神地震の全被災者が救済できるというんでしょう。  どうでしょう、大蔵省、ここで知恵を出して評判の悪いところを一遍に直しませんか。そういうきっかけにしたらどうかなと思うんですが、いかがですか。
  109. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  まず、免責制度で財源があるのではないかということについてちょっと御説明させていただきますと、御指摘は火災保険の免責制度と存じますが、地震による損害は大変大きなリスクでございますので民間の損害保険会社だけの担保力で対応しかねるということで、火災保険の商品におきましては地震による火災等の一定のケースでは約款上免責となっております。  したがいまして、これは地震の規模、災害の規模にかかわらず一定のケースでは免責である前提で保険料自体を算出しておりますので、御指摘のように、大規模地震の場合に火災保険金の支払いが行われない場合もございますが、それはそれによって損保会社に特別の利益が上がるというものではないということを御理解賜りたいと存じます。  それから、現在与野党で提案しておられます被災者支援制度につきまして、詳細は存じませんが、今御指摘のように、基本的には基金の設置等で被災者の生活の安定を図ろうということだろうと承知しております。  この支援制度に民間損保会社の拠出を組み込むということは一つの御提言がと存じますが、他方で、この制度の本質をよく存じませんが、もしこれが極めて公的な制度ということでございますと、民間から、例えば損保会社のみから拠出をさせるというような仕組みにつきましては、その制度の趣旨がどうか、あるいは公平性の観点等からいろいろ問題があるのではないかというふうにも思われます。  いずれにしましても、損保会社はこの災害に向けまして、地震保険等の普及を通じて被災者の生活安定を図りたいということで、それを通じて社会的使命を果たしているというふうに存じております。
  110. 志苫裕

    志苫裕君 大蔵大臣、これは大蔵当局のヒットになると思うんですよ。ですから、お役人に聞きますとああいう味もそっけもない返事しか出ませんけれども、そこはひとつもうちょっとお互いに知恵を出しましょうよ。脳循環障害にかかっている私でさえもこの程度の知恵が出るんだから、大した人がそろっているんだからもっとうまいことを考えなさいよ。大臣、いかがですか。
  111. 松永光

    国務大臣松永光君) この問題は、今、与党間で協議がなされているということでありますので、その結果を見守るというのが私の立場でございますので、御了承願いたいと思います。
  112. 志苫裕

    志苫裕君 与党協議を前進させるにはファンドの財源に筋道が立たないと、これは言うことを聞かない自民党と余り知恵のない社民党で幾ら話しても答えが出ない。だから、これは大蔵当局、少し知恵を出しなさい。被災者救援、被災者の生活支援基金というのがあったって罰は当たらぬですよ。これは強く要望して、成果をそのうちにまたお伺いしましょう。  時間が来ましたので、失礼します。
  113. 石川弘

    委員長石川弘君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。    午後一時十一分休憩      —————・—————    午後二時二十八分開会
  114. 石川弘

    委員長石川弘君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査議題とし、財政及び金融等基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  115. 笠井亮

    ○笠井亮君 日本共産党の笠井亮です。  ついに大銀行の贈賄工作が中央銀行にまで及ぶということで、非常に事態の深刻さが明らかになっている中でございます。金融業界と大蔵、それから日銀、この間でのいわば腐った底なしの関係ということで、今、国民の怒りは心頭に発しております。海外の不信も極致に来ていると。癒着の構造に徹底的にメスを入れて、全容を国民の前に明らかにすることがいよいよ急務になっていると思うわけでございます。そうした中で、接待漬けの大蔵省がつくった予算案とか三十兆円の銀行支援策などとんでもないという当然の声も広がっている。予算を初めとして、財政金融政策を検討する上でこの問題の真相の徹底究明は本当に大前提であって、私はそのためにということで就任された大蔵大臣の責任は本当に大きいというふうに思うわけでございます。  松永大蔵大臣は、一昨日の所信表明の中で、早期に実質的な成果を目に見えるような形であらわせるよう先頭に立って全力を尽くしていくと述べられました。問題は具体的に何をいつまでにどうやるかということだと思うわけでございます。そこでまず、自浄能力を発揮するというふうにおっしゃるならば、内部調査の問題、これは当然必要ですし、現段階での中間報告というのは私は不可欠だと思うんです。  蔵相は、一昨日、答弁の中で中間報告というのはなじまないということも言われたわけでありますけれども、これだけ連日のように新たな事態が明らかになっているんですから、この四月ごろまでにまとまって完全なものができたら発表しますということでそこまで待つのじゃなくて一定の段階で、どこまで明らかになったのか、まだ未解明で調査中のところはどこなのか、どの部分がさらに徹底的にやらなきゃいけないのか、国民の目に見える形であらわして国会や国民から中間的にチェックを受ける、そのことが私は自浄能力を発揮してやっていく上でも、全容解明にとってなじまないどころか、現時点で最低限の義務じゃないかと思うんですけれども大臣、いかがですか。
  116. 松永光

    国務大臣松永光君) しばしば申し上げておるところでございますが、捜査当局の捜査の対象でない人であって、しかし倫理にもとる行為あるいは大変な接待を受けたと言われるような人、これがいるのか、どの程度いるのか、こういったことについて内部調査を徹底的にやって、そしてその人の行為の度合いを考えながら厳正な処分をしていく、それを通じて大蔵省綱紀粛正を図りたい、そして大蔵に対して再び国民が信頼を寄せてくれる、そういう状態に持っていくことが今何よりも大事なことだと、こう思いまして、しばしば申し上げておりますように、前三塚大臣がつくられました金融服務監査官、こういった制度を活用し、顧問弁護士の応援も得ながら内部調査を今進めているところであります。  対象人員が五百数十名、大変な数字に上りますし、そしてまた海外勤務者もいるわけでありますので少し時間がかかっておるわけでありますけれども、何としてでもできるだけ充実した調査結果にして、先ほど申し上げましたような厳正な処分をして、そしてそれを明らかにしていくという方針でございます。  事柄の性質上、途中というわけにはいかない面があるんです。調査が終わった段階できちっと処分をし、そして明らかにしますからしばらくの間お待ちを願いたいと、こう申し上げているところでございます。
  117. 笠井亮

    ○笠井亮君 最終的にちゃんとしたものを出すのは当然だと思うんです。  この間の経過を見ますと、検察の調べとかあるいはマスコミを通じて次々と国民は驚くべき事態を知るわけでございますが、肝心の大蔵省は、今、調査中であります、完全なものができてから、充実してからということでは国民は納得しないと思うんですよ。時間をかけてもみ消すのじゃないかというふうな疑念さえ持たれかねない、私はそういう問題もはらんでいるというふうに思うんです。その上で、真相解明と信頼回復の任を負って就任された大蔵大臣が、ただ内部調査報告が上がるのを待って、それから対策を講じていくという受け身の姿勢でおられていいのかということもあると思うんです。  今おっしゃったこととの関連で見ますと、直近で言いますと、今回逮捕されました榊原、宮野両容疑者については、山一が問題の飛ばし処理を松野元証券局長に相談した一九九一年の末当時、業界を監督する証券業務課の課長補佐だったと、そしてこの間の経過の中で両容疑者はその山一からも接待を受けていたということも明らかになっております。両名については、内部調査に対して、この間明らかになっていることで言いますと、金融機関から接待を受けたことを二月初旬に自己申告したと、これは衆議院でやりとりがありましたね。そこで、それぞれの上司が聴取した上で二月半ばに金融服務監査官室に対して調査処分が必要と思われるという報告を上げて監査官室がもう少し詳しく事情を聞くようにということで差し戻していたということであります。  ところが、そうした重大事実の判明後も結局は一カ月近くにわたって同じ部署に置き続けて、あろうことか宮野容疑者に至っては、任意同行されたときに破綻した山一に特別検査チームのナンバーツーとして入っていて、まさに飛ばしの実態を解明している最中という驚くべき事態であったわけであります。まさに自浄能力を発揮する前に逮捕されてしまったんじゃないかと。  内部調査の中で癒着の疑いが判明したら、まず直ちにその部署から外すとか、それが大臣のおっしゃる実質的な成果を目に見える形でということなんじゃないんですか。いかがでしょうか。
  118. 松永光

    国務大臣松永光君) 宮野についての被疑事実は野村証券との間の過剰接待ではないでしょうか。  そしてまた、山一との関係接待であるかどうか、それは私の方ではわからぬわけでありますけれども、いずれにせよ金融服務監査官の方ではもっと詳しい調査をすべしということで担当部局の方に差し戻したというケースなのでありまして、内容のある調査をするための処置であったというふうに私は理解するわけであります。  先ほど委員の話の中にもみ消すなどという言葉がありましたが、そんなことはできようもありません。もっともっと真相に迫る、迫れたという形での調査に私どもはしたいと、こう思っているわけなんです。
  119. 笠井亮

    ○笠井亮君 被疑事実の後、この間山一からの接待を受けていたということも実際に明らかになってきているわけでありまして、大臣、私はそういうことをおっしゃっているのではだめだと思うんですよ。相手方から接待を受けて癒着の疑いがある幹部職員が依然としてその職に一カ月近くついていて、その中で新たな金融商品をめぐって、果たしてその一カ月間、その幹部職員が公正な行政を行えるかという問題になってくると思うんですよ。  堀田事務局長、お見えになっていますね。  宮野容疑者について言いますと、証券取引等監視委員会にしても、やはりそういうことで自己申告があって、これは問題があるということになっていた人物が実際に逮捕されたときというか、要するに任意同行されたときには山一に入っていたわけですよね。そういう形で山一の今の問題についてもまともな検査ができるのかどうかという、そこについてはどうお考えですか。
  120. 堀田隆夫

    政府委員(堀田隆夫君) 先生、今お話しございましたように、私ども職員の宮野が山一証券の特別検査中に任意同行を求められ逮捕されたということはそのとおりでございます。  私どもの証券監視委員会は、平成三年当時の業界と行政との不透明な関係、あるいは体質が問題であるという反省の上に立って行政から独立した機関として設置をされたものでございまして、私ども例えば特別検査でございますと十名を超える職員で行っておりますけれども、事務局の職員委員長委員二人、計三人のいわば指揮監督下にございまして、個々の証券会社の検査につきましても、その結果を委員会に付議をいたしまして、委員会で厳しい指摘をいただきまして、必要に応じてやり直して、またその委員会にお諮りするというようなことでやっております。  そういったことで、今回私ども職員が、被疑事実は私ども委員会の仕事ではなくて証券局時代あるいは財務事務所勤務時代のことではございますけれども、そういう使命を持った、任務を持った委員会職員がこのような形で逮捕されたということにつきましてはまことに遺憾なことであると、申しわけないことであると思っております。
  121. 笠井亮

    ○笠井亮君 私は、今説明をいただきましたけれども、詭弁だと思うんですよね。それは組織ですから集団的にきちっと点検されチェックされるのは当然でありますけれども、実際に現場で検査に当たる個々の職員、しかもその中で一定の責任を持っているような職員接待漬けで癒着をしていて、その集まりが行った検査が公正だということで国民が本当に納得するかということだと思うんです。  証券取引等監視委員会については行政から独立した機関だということでつくられたという話がありましたけれども、実際には検査官は宮野容疑者のように大蔵省証券局だとか金融検査部などからかなりの方が来られていると思うんです。  実際に検査に従事する検査官の数と出身部署はどういうふうになっていますか。
  122. 堀田隆夫

    政府委員(堀田隆夫君) 今、証券会社の検査に従事いたします、検査官と言っておりますけれども、検査官の数は本部検査官が二十八名おります。そのうち大蔵本省証券局の出身者が十七名でございます。それから財務局出身者が四名おります。それから税関出身者が一人おりまして、あとは国税の出身者、国税庁から参っております職員が六人おるという構成になっております。
  123. 笠井亮

    ○笠井亮君 本省から、それからその他の方も含めて基本的には大蔵省と国税庁という関係ですね。  じゃ、新たに検査官を配置する時点で、大蔵省から独立した機関ということでつくったわけですから、やはり公正性あるいは検査に当たってもきちっとやるということはきちっとされなきゃいけないとなりますと、倫理規程だとか通達等に照らして最も公正でなきゃいけない検査官にふさわしい人物であるかをきちっと入れるに当たっては調べてきたのか。宮野容疑者については九六年七月から上席検査官になったというふうに承知しておりますけれども、たしか財務局から来たんですよね、そのときは、直接には。その時点でこの接待問題というのはチェックできなかったんですか。
  124. 堀田隆夫

    政府委員(堀田隆夫君) 監視委員会の任務、役割は先ほども申し上げたようなことでございますので、これまでも職員の大事に当たりましては高い倫理観と申しますか強い倫理観と使命感を持った職員を適切に配置しようということで私どもできる限り努めてきたところでございますけれども、今回のような事態となってみますと、結果として御指摘の点で十分でない点があったということは認めざるを得ないと思っております。  これから、金融服務監査官のやっておられる仕事もありますので今後の人事は金融監督庁長官の人事ということにもなっていくわけでございますけれども、私ども現場といたしましても今回の経験を踏まえまして一層努力してまいりたいと思っております。
  125. 笠井亮

    ○笠井亮君 これはまさに今後の問題でもあるわけであります。不十分であったということ、それ自体が問題だというのをお認めになったわけですけれども、今度金融監督庁が設置されます。そうしますと、それに当たってはこれまた直ちに問題となってくる最小限の措置だと思うんです。検査・監督機関と銀行、証券などとの癒着を今度こそ断ち切るということで監督庁もつくるということをおっしゃっていたわけですから、検査官による検査体制を構成するに当たっていかなる措置をこの面でもとるかということは直接今度問われてくる問題でもあります。  少なくとも、疑いがあって内部調査でふさわしくないというふうにみなした人物については、これは大蔵省から監督庁に送り出すということはないんですね。
  126. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) 金融監督庁の職員の人事は、金融監督庁長官がその人事権を持っておるわけでございます。したがいまして、長官がその御判断によりまして業務が的確に遂行されるような望ましい人材を確保するというのがまず基本だと思います。  御指摘のように、金融監督庁が発足に当たりまして、その仕事は現在は民間金融機関に対する検査・監督を大蔵省がやっているわけですから、その経緯にかんがみればその職員が監督庁に行くことになるというのが自然なわけでございますけれども、今お話のありましたような、やはり金融監督庁の業務を遂行するにふさわしい倫理観と使命感を持った人材を長官が当然確保するということであると思いますので、我々といたしましてもそういう方針にできる限り協力をしてまいりたいというふうに考えております。
  127. 笠井亮

    ○笠井亮君 私は、こういうこと一つ一つについて明らかになった段階できちっと手を打つ、そして今後の教訓にもしていくということを一つ一つやっていくことこそ、目に見えた形でという大臣の所信もあったわけですけれども、まさに今、現時点で大蔵大臣に課せられた一番の仕事ではないかと思うんです。そういう点では、内部調査があります、その結果を見てからということでこれまた引っ張っていきますと怠慢だというそしりを免れないということになると思うんですよ。  問題は証券局だとか銀行局とか金融関係の部局にとどまっておりません。この間もいろいろと疑惑が持たれている主計局だとかあるいは大臣官房もあります。それから理財局の話もあります。こうなってきますと、さまざまな幹部職員に及んでいるということでありまして、予算編成を初めとして住専問題への税金投入の問題、三十兆円の支援問題、さらには叙勲に当たってもこの問題がいろいろかかわってきて、そしていろんな疑惑が今問題になっているというところでありますから、私は、その点で言いますと、大蔵大臣が内部調査と言われていますけれども、今、金融関連部局、一昨日の衆議院の質疑の中で全職員にという質問もある中で一つ提案だと、それを念頭に置いて考えたいということもおっしゃいましたが、先ほどの質疑を伺っておりますと、大臣金融関連部局で過去五年になればほぼ一〇〇%というふうにも言われました。そうであるならば、何も限定せずにすべての部局について内部調査をやるとすっきりおっしゃる必要があるんじゃないかというのが一つ。  それからもう一つ、二月三日の衆議院の大蔵委員会で、新たな逮捕者が出るような、そういう事態になった場合は大臣御自身が政治家としてのきちっとした身の処し方をしたい、三塚大蔵大臣のとり方も参考にしながらとるべき場合にはきちっと責任をとるということまで言い切られたわけですから、現実に新たな逮捕者が出た、そういう時点である以上、国会で答弁したとおりに責任をとって辞任せよという声が上がるのは当然だと思うんです。大臣はこういう相次ぐ事態を前に一体どういう責任をとられていこうと思っておられるのか、この二点を伺いたいと思います。
  128. 松永光

    国務大臣松永光君) 今、委員は内部調査をもっと早くしっかりやれという、励ましと言っては恐縮でございますが、強い要請でした。その要請を待つまでもなく、私は、大蔵省職員の中で捜査当局の捜査の対象にはならなかったものの、公務員として間違った行いをした人、恥ずかしい行いをした人については徹底した調査をした上で厳正な処分をするという方針で、今その仕事を懸命にやっているところでございます。そうした仕事をしっかりやっていって大蔵省改革をなし遂げるのが私の努めだと、総理から任命されたときにもそのことを厳しく指示されたことでもありますので、その指示のとおり、内部調査の徹底、それに基づく厳正な処分、それを通じて大蔵省の立て直しを図り、改革を図り、そして国民から再び信頼される大蔵省金融行政というものの信頼が回復できるようにしていくことが私の政治家としての責任だろうと、こう思ってこれからも頑張っていく所存であります。
  129. 笠井亮

    ○笠井亮君 内部調査をやるだけじゃなくて、実質的な成果を目に見える形で刻々やっぱり手を打てということを私は申し上げたわけでありまして、橋本首相は、大蔵大臣起用に際して、調査する厳しさが必要だということを考えて決めたというふうに言われたわけであります。腐敗追及への厳しさもなくて、身内への甘さということも指摘されるようでは私は本当に責任を果たしたと言えない、本当にそういう任務にふさわしい責任をとるという立場できちんと身の処し方も考えていただきたいというふうに思っております。  終わります。
  130. 星野朋市

    ○星野朋市君 所信表明に従って御質問をいたしますので、お答えをいただきたいと思います。  まず最初に、大蔵省不祥事という項目が出てまいりますけれども、今回の大蔵省不祥事、それから金融機関の問題、これらが摘発された発端は何だと思われますか、大臣
  131. 松永光

    国務大臣松永光君) 捜査機関の捜査の発端、これはいろいろあるのだろうと思うんです。あるのだと思いますが、外部から素人目に考えますと、総会屋の問題その他で金融機関捜査を受けた、そしていろんな資料が押収された、これじゃないかなと思うのでありますけれども、しかし捜査当局というものはいろんな資料をそろえておるものですから私の方から断定的には申せませんが、素人目で言えばそういうことかなという推測でございます。
  132. 星野朋市

    ○星野朋市君 これは検事の大蔵大臣にお聞きしているわけですが、わざと法務省を呼ばなかったのは法務省を呼んだってこれは現在進行中のものですから詳細はお答えできませんと言うに決まっているから大臣にお聞きしたんですけれども、まさしくそのとおりだと思うんですよ。これは総会屋をめぐっての事件で今まで検察庁がいろいろ、それは情報が入っていたのでしょうけれども金融機関に入ってこっそり資料を押さえた、そこからこれがまさしく手づる式に出てきた、こう考えざるを得ませんね。  これは押さえた資料の中の大体三項目を調べればわかるんですよ。交際費の明細と、それから会議費。会議費というのはおかしな話でありまして、国税局は会議費として認めるのはせいぜいコーヒー、お茶ですよ。それからお弁当でいえば二千円程度のお弁当ならば会議費、それを超えたら全部交際費に持っていっちゃいますね。それから、恐らく営業雑費。この三つの項目を調べてこの結論に私は達したのだと思うんです。  ということは、もしこの総会屋の事件がなかりせば今度の事件というのはあるいは表に出なかったかもしれないじゃないかというとんでもない構図が浮かび上がってくるわけですけれども、推測というところに一つ難点がありますけれども大臣、どうお考えですか。
  133. 松永光

    国務大臣松永光君) これは私が答弁する立場ではないんですけれども、これも推測の域にすぎないわけでありますけれども、とにかく日本捜査当局はいろいろな資料を集めているというふうに私は推測します。したがって、今、委員のおっしゃったことを私の方でそうだとかそうでないとかというふうに断定することはこれはちょっと差し控えさせていただきたいと思いますが、世間ではそういうふうな見方をしているかもしれませんね。  私の現在の立場でございますから、公式に言えば、捜査当局は常にいろいろな方面で資料集めをして、そしてこれは刑罰法令に触れる、こうなったならば捜査当局の職務として捜査を開始するというのが一般常識ではないでしょうか。その程度しか答えられないです。
  134. 星野朋市

    ○星野朋市君 この事件が一段落をするころ参議院の予算委員会が始まると思いますので、そこら辺でこの続きはまたやりたいと思っております。  それでは続いて、先日成立をいたしました金融システム安定化法案につきまして、昨日、四行が認可されて、多分きょうかあしたに残りの銀行の公的資金の導入が決まると思うんですが、再三言われるように、この中の都市銀行九行だけをとってみますと右へ倣えしたように一千億の申請が出されておりますね。きのう四行が決まった後で、ある銀行の首脳部の一人が、右へ倣えでやれと言われたのでやったんだけれども後ではしごを外された、こういうことを言ったという話があるんです。  これは大蔵省に聞いても多分否定すると思いますけれども、これは逆にそうではなくて、この数字を銀行間が言われたのでなくてやったのだとすれば、これはまさしく銀行の談合体質。金融機関のそれぞれの資本、それから財務内容が違うんですから、当然別々の金額であってしかるべき。  再三申し上げますけれども、自民党の一部に真っ先に最も優良な東京三菱銀行から優先株発行させるという案が出た、ところが東京三菱は優先株の定款がないということで山崎政調会長は何と言ったかというと、二月二十日以降に一斉にやらせると、こういうことを言ったんですね。  もしそれを銀行が聞いていなかったとして同じ数字を出してきたというのは、これは銀行横並び体質、談合体質じゃないかと思いますけれども、いかがですか。
  135. 松永光

    国務大臣松永光君) 少なくとも、大蔵省の側で都市銀行に対して要請をしたとか、そういった事実は全くないです。これは御理解願いたいと思います。  じゃ、銀行側が横目で見ながら、じろじろ横を見ながら何かしたかどうか、それは私どもにはわかりません。  ただ、子細に見れば、東京三菱は劣後債、住友も劣後債、それから第一勧銀は優先株、それから富士は劣後債、東海、あさひ、大和、これは劣後ローン……
  136. 星野朋市

    ○星野朋市君 優先株一つしかないんです。
  137. 松永光

    国務大臣松永光君) そういうわけで一つ一つ少しずつ違っていますね。これは、私どもとしては、銀行自分でいろいろ考えられて、そして申請してきたものだというふうにとらざるを得ないんです、こちらの方で要請したりあるいは指示したり、そんなことは全くしてないわけでございますから。
  138. 星野朋市

    ○星野朋市君 大臣、私は大蔵省が言ったとは言っていないんですよ。だから、むしろ銀行側の横並び体質、談合体質、これじゃないかと言っているんです。  きょう、もしくはあした許可されるなら、ぜひとも大蔵大臣、例の審査委員会の中におられるんですから注文をつけてもらいたいことがあるんです。それはどういうことかというと、予算委員会でも述べましたし、それから前の財政金融委員会でも大蔵大臣質問しましたけれども、バブルのときの金融機関責任者、これらがまだ相談役として残っているんですよ。今度は相談役制度をやめるところがありますけれどもね。二年前の住専の処理のときに元大蔵事務次官の小川さんが暗に引責のあれを促したけれども、結局だれもやめなかった。みんな居直ちゃっているんですよ。そして、大臣は、民間のあれはいわゆる株主の判断によるものだと、こうお答えになったんですけれども銀行の株主を見てごらんなさいよ。大体生保でしょう、それから自分の系列の会社じゃないですか。それらがその親銀行に向かってそんなことが言えるわけがない。それが実態ですよ。これは私はもうその角度からどうしても注文をつけてもらいたい、相談役制度はやめろと。その意味でいうと、松下日銀総裁はその角度からいったらまさしくそれの一人ですよね。バブルのときに何をやっていたか。さくら銀行のトップだったんでしょう。それが今、日銀の総裁になって低金利の言いわけを一生懸命やっていますよ。社員なりなんなりは一番トップを見て行動しているわけですから、この点でああいう事件が起こるのは一つはそういう体質にある、構造的なものである、こういうふうにお考えになりませんか。どうですか、御感想を。
  139. 松永光

    国務大臣松永光君) 今度の申請に当たっては、各銀行がみずからの銀行の健全化計画というのを詳細に一つ一つの項目について計画を立てて、そしていつまでにそれを実施するかという、そういう具体性のある計画を立てて提出することになっておりましたが、そのとおり提出してまいりました。それが明確でないものはさらに明確にするようにというわけで差し戻したというか、補充して出すように指示をした場合も実はあるんです。  その中で私がずっと目を通しておったのは、具体的なリストラ計画、役員数、役員報酬、それから店舗数、その点と金融の円滑化についてどういう計画をどういう考え方で具体的にはどういうふうに実施していくのかという点、その他幾つかありますけれども、特にその点には私自身は目を光らせたつもりであります。  店舗数の縮減、それから役員報酬、役員数の相当な縮減、数の多いところは十五名、二十名というふうに役員を減らすという計画、しかもそれは十二年までに減らすのかな、大体そういう具体性のある計画書が出ておるわけでありまして、相当このリストラについては真剣に考えているなと、そして計画を立てて実行しようとしておるなという心証を私は得ました。  今、委員の仰せの相談役云々のことでありますが、きょうあるいはまたあるかもしれませんけれども、そのときの審査委員会の場でそういう機会があれば、委員の今の御発言、それはちゃんと胸にしまって対応していきたい、こう思います。     —————————————
  140. 石川弘

    委員長石川弘君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、牛嶋正君が委員を辞任され、その補欠として大森礼子君が選任されました。     —————————————
  141. 星野朋市

    ○星野朋市君 この件につきましてもいずれまた検証する場があると思いますので、そのときにお尋ねをいたします。  次に、先日の二兆円の減税の件についてお伺いをいたします。  これは平成十年度の減税であるということであります。ここが一つポイントでありますけれども、大多数の給与所得者は二月の給与分でこの減税の効果が多少出ていると思うんですけれども、いかにこれがわかっていないかということを大臣は実感されませんか。私は、まず議員に二月十日に聞いたんですよ、きょう歳費が振り込まれているけれどもどうなんだと。ほとんど知りません、聞いた人間は。二月二十五日に給与所得者に聞いてみたら、みんな振り込みだからわからぬ。本当ですかと。まして十年度のこれが減税だなんということを知っているのはいない。今は確定申告の最中ですね。これは平成九年度分だから全然あらわれてこない。そして、二月二十五日にそういう減税の分を差し引いて、だから実際の手取りは多くなったわけですね。これで振り込まれた。その次の三月一日の日曜日というのは、これだけ戻ってきたんだから家族で外へ行って何が食べようか、何か買おうかこういうふうになるのが普通ですよ。ところが三月一日、ごらんなさい、今度の減税の効果がいかにないかを象徴するように全国で大雪が降っちゃった。大雪が降っちゃったらだれも外へ行かないんです。これが何となく今度の減税効果というのがなかった象徴みたいなものですよ。  そして、前に銀行局長は一定額、これが一番効果があるんだと、こうおっしゃっていたけれども、だれも実感がない。  どう思いますか。
  142. 松永光

    国務大臣松永光君) 私の実感を申し上げますが、振り込み制度、私は、国会の事務局には迷惑をかけるかもしれぬけれども、歳費を持って女房に渡さぬことには亭主の権威がなくなると思って迷惑だけれどもそれをやっておるんですけれども、振り込み方式が実感がわかない原因一つになっているんじゃなかろうかなと。私の女房が渡されたものを見てどう感じたか、それは知りませんけれども、やっぱり振り込みだとぴんとこないんじゃなかろうかなというふうに私の感覚を申し上げたわけでございます。
  143. 星野朋市

    ○星野朋市君 時間ですので終わります。
  144. 菅川健二

    ○菅川健二君 改革クラブの菅川でございます。大変お疲れの時間帯でございますが、もうしばらく御辛抱いただきたいと思います。  最近の相次ぐ金融不祥事あるいは経済不況の中にありまして、国民の間ではきょうの天気のように大変重苦しい空気が漂っているわけでございますが、金融不祥事につきましては、金融ビッグバンに向けての過渡期の現象として早くうみを出して青空の見える、そして透明なルールのもとに新たな市場秩序を形成していただきたいと思うわけでございます。  ところで、経済状況でございますが、午前中も議論がございましたが、依然として大変低迷というかむしろどんどん悪くなっておるわけでございます。雨足がきつくなりまして、現在どしゃ降りの状況ではないかと思うわけでございます。企画庁の三月の月例経済報告を見ましても、日銀の短観を見ましても、また総務庁の家計調査を見ましてもしかりでございます。また、昨日、大蔵省自身が二月の景気予測調査を発表しておられるようでございますが、これを見ますと一九八三年の調査開始以来最悪の状況であるという発表をいたしておるわけでございます。こういったことで、非常に厳しさを増しておるということは大臣もお認めいただいておるわけでございます。  そういう中で、二兆円の減税、それから金融機関に対する三十兆円の公的資金の投入、九七年度の補正予算措置を行って実態としては一時景気対策に対して一歩踏み出したかなどいう感もいたしたわけでございますが、九八年度の当初予算は、御案内のように、財革法に基づきまして大変な緊縮デフレ予算になっているわけでございます。財政再建と景気対策というのは両立しないということは先般来申しておるわけでございますが、この両者がまだら模様になってちぐはぐな政策を行っておると、いわば自動車がガソリンを積んでエンジンを吹かしておるけれどもブレーキがあるものだから全然前に進まないというような状況ではないかと思うわけでございます。  大蔵大臣の率直な御感想をお聞きいたしたいわけでございますが、九八年度の当初予算の大変なデフレ予算、これを早く通してくれ、そうすれば何とか景気がよくなるんだということをおっしゃっておられるわけでございますが、この当初予算が通れば景気はよくなると本気で思っておられるかどうか、率直な御感想をお聞きいたしたいと思います。
  145. 松永光

    国務大臣松永光君) 景気の状況、午前中にも認識を申し上げましたけれども、停滞し厳しさが増しているという、そういう私の認識をお話し申し上げました。  これからの回復をどういうふうにして図っていくか、これが大事な問題だと思うのでありますが、まず私どもが今やりつつあるのは金融システムを強化して、そして金融に不安がないような状態をつくり上げること、これが大事な施策の一つであろうかと思います。同時にまた、先般通していただきました平成九年度の補正予算、あれに盛り込まれておるゼロ国債を含めれば二兆五千億の公共事業、これを今鋭意実行に移しておるわけでありますが、景気にとって一番困る問題は新しい年度の予算が新年度から実行できない、そういう状態になることではなかろうかと、こう思います。  なるほど、構造改革法にのっとって二〇〇三年までの間に赤字公債はゼロにせにゃならぬ、国、地方合わせての財政赤字をGDP比三%以内におさめにゃならぬ、毎年の赤字公債の発行高を前の年よりも減らさにゃいかぬ、そういう条件の中でいろんな知恵を絞りながら必要な分野に重点的に予算を配分するという形で平成十年度の予算は編成されておるわけでありますが、この予算を平成九年度の補正予算と切れ目のないような状態で新年度から実行に移させていただく。一番困る問題は、先ほど申したとおり、切れ目が生ずることではなかろうかと。  この予算、そしてその関連法案、法人税減税もあれば土地・住宅税制もあれば証券関係の税制あるいは所得税に関する制度減税、こういったものが予算とともに直ちに実行できるという状況をつくり上げること、今の段階で一番大切なことはそれであるというふうに私は思っておるわけでありまして、速やかなる成立をさせていただきますようにひたすらお願いを申し上げるわけでございます。
  146. 菅川健二

    ○菅川健二君 早期成立より以前に、やはり当初予算の性格というものが景気に対する先行きを占う大きなものになるのではないかと思うわけでございます。そういった面で、ぜひ当初予算というのは大幅減税とか景気対策を盛り込んだ予算に組み替える必要があるんじゃないかと思うわけでございます。  その前提としては、これも先般申し上げたわけでございますが、午前中も議論がございましたけれども財政構造改革法を改正いたしまして弾力条項を設けるということが前提になるんじゃないかと思うわけでございます。これも先ほど当局の方からの御説明がございましたけれども、何か規定が非常にしにくいということを申されたようでございますが、アメリカの包括財政法でもって既に規定しておることがなぜ日本で規定がしにくいのか、その辺非常に私は疑問に思うわけでございます。  大蔵省の皆さんは大変知恵者ぞろいでございますから簡単な知恵でもって弾力条項は設けられるんじゃないかと思うわけでございますが、再度御答弁いただきたいと思います。
  147. 細川興一

    政府委員(細川興一君) アメリカの例をちょっと具体的に申し上げますと、アメリカの場合には宣戦布告が行われた場合、あるいは経済の低成長の場合に歳出の一律削減が停止されるという、そういう規定になっております。  そういう例はございますが、日本の場合に法律の運用の停止が必要となる危機的な状況をあらかじめどう定義していくかというのがなかなか立法技術上問題があるというふうにも考えられますので、そのことを考えますとなかなか難しいのではないかというふうに考えております。
  148. 菅川健二

    ○菅川健二君 例えば、前期の経済成長率が一%未満の場合は次の年度の予算の編成に当たっては停止条項を適用させるということはできるんじゃないかと思いますが、それすらできませんか。
  149. 細川興一

    政府委員(細川興一君) アメリカの場合のOBRA等でございますが、これは補正予算も含めて各年度ごとに縛りがかかっているものでございます。我が方の財政構造改革法とそこは仕組みが違っているところでございまして、その両者を一概に論ずることはなかなか難しいんじゃないかと思っております。
  150. 菅川健二

    ○菅川健二君 ここで細かく議論しても仕方ないわけでございますが、私は、やはり財政構造改革法をこういった経済状況においては、景気停滞の状況下においては停止し、先延ばしをするという規定を設けることによって十分クリアできるんじゃないかと思うわけでございます。  ところで、仮に当初予算がこのまま原案どおり通るといたしましても、今、自民党の方で、例えば十兆円の補正予算を組んで、しかも公共事業を中心にするとか、政調会長を初めいろいろな意見がマスコミ等でにぎわっておるわけでございます。そういった状況下にありまして、また経済状況におきまして、当初予算がもたないということは今の段階からもわかっておるわけでございます。  したがって、これは推測でございますが、衆議院で予算が通過した段階においてすぐそういった補正予算論議というのが具体の俎上に上って、当然大蔵大臣もそれに関与せざるを得なくなってくるということが間もなく来ると思いますが、大蔵大臣、そういう予感はいたしませんが。そういうことは絶対ないというふうに断言できますか。
  151. 松永光

    国務大臣松永光君) 私は絶対ないということを断言できる立場じゃございません。党の有力な人たちが議論しているということは事実でありますが、まだ私のところに、あるいは大蔵省の方に何も言ってきておりません。  でございますから、先ほど申し上げましたとおり、新年度になっても新年度の予算が成立していないという状態、これが一番景気にとっても困ることでありますので、何回も申し上げるとおり、今、衆議院段階で審議中でありますけれども、いずれ参議院の方に回ってきたならば皆さん方の御尽力でできるだけ早く成立させていただきますようにお願いするのみでございます。
  152. 菅川健二

    ○菅川健二君 こういった補正論議について大蔵大臣として明快な答えが現段階ではできないということはわかるわけでございます。しかしながら、いずれにしても大蔵大臣が経済、財政の最高の責任者でございますから、与党の方から何もないからわしは知らぬよということではなくて、現在の経済状況下にあってどういった予算を組む必要があるのか、当初予算が仮に原案どおり通るとすれば次はどういう手を打たなくてはならないかという少なくとも二手、三手先は見て、大蔵大臣としての見識ある、責任ある見解が示されてしかるべきじゃないかと思うわけでございますが、いかがでございますか。
  153. 松永光

    国務大臣松永光君) まず、平成十年度の予算、そして関連法案、もう何回も申し上げて恐縮でございますが、それの速やかなる成立をお願いするのみでございます。
  154. 菅川健二

    ○菅川健二君 この問題は水かけ論になりますからもうこれ以上申し上げませんけれども、いずれにしても当面の補正予算論議が間もなく起きるということになりますと、公共事業だけの追加ということになりますと、現下の不況というものが消費不況を中心にして起こっておるわけでございまして、そういった面でやはり所得税を中心とする大型減税についてこれから十分検討していただくことが要るのではないかと思うわけでございます。  また、公共事業につきましても、これの必要性は否定いたさないわけでございますが、従来型ではなくて将来の経済構造の改革に結びつく情報通信や学術教育、それから即効性の高い住宅関連等に十分配意していただきたいということをあらかじめ要望しておきたいと思います。  先般、日経のコラム欄を見ておりますと、戦後の大蔵大臣にも、例えば昭和四十年不況の危機を乗り切った田中角栄大蔵大臣、そして狂乱物価を抑え込んだ福田赳夫大蔵大臣の名前が挙がっておったわけでございます。三塚大蔵大臣のピンチヒッターである松永大蔵大臣におかれましても、経済危機財政危機、また大蔵省危機とトリレンマに悩んでおられるかと思うわけでございますが、ピンチはチャンスでございますので、ひとつこれらのトリレンマを見事くぐり抜けてホームランを打っていただくように期待いたしたいと思います。  若干時間がございますので、昨今進行いたしております金融機関自己資本充実のための十三兆円の問題につきまして御質問させていただきたいと思うわけでございます。  現在二兆数千億の申請がなされておるわけでございますが、十三兆円の枠に比べて余りにも少な過ぎるのではないか、したがってこの程度では当初目的の貸し渋りにほとんど効果がないのじゃないかというような批判も出ておるわけでございまして、大蔵省としては果たしてこの程度の額で貸し渋りに効果があるのかどうかあるとすればどの程度あるとお考えなのかお答えいただきたいと思います。
  155. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  今回の資本注入によりまして、金融機関が抱いておりました株価下落あるいは期末の為替レート、あるいは償却、引き当てのコミットメントの履行、こういったもののしがらみからくる不安感がやや薄らいでいるということは言えると思います。その点で貸し渋り対策には一つのプラスと思います。  それからもう一つは、自己資本がふえることによって資産をふやすことができるということでございます。そういったことを具体的には大臣もメンバーでいらっしゃる審査委員会の方で健全性の計画のチェックという過程において御確認いただいておるところでございますけれども、その中に資金供給などの金融の円滑化に資することという項目がありまして、具体的に何を意味するかというと、貸し渋りに対してどういうことをやるんですかということをできるだけ具体的に書いてくださいと、それは金額で幾らふやしますということはなかなか難しいと思いますけれども、融資態度の基本的な考え方をそこで示してもらうということを計画に盛り込むようにしてもらっておりますので、そういった意味では効果が上がるものというふうに期待しておる次第でございます。
  156. 菅川健二

    ○菅川健二君 また、この公的資金投入につきまして、アメリカ等の格付機関におきましては相変わらず厳しい見方をいたしておるわけでございます。それは、御案内のように、欧米に比べて日本銀行の収益率が非常に低い、数%程度で外国では一〇%台になっておるというかなりの差があるわけでございます。そのためには、やはりリストラを徹底すること、それから商品開発力をつける、そういったことをぜひ徹底しなければならないのじゃないかと思うわけでございます。これからビッグバンに向けて体力をつけていくというような方策についてぜひ配慮をお願いいたしたいと思うわけでございます。この点について何か御意見ございましたらお願いいたしたいと思います。
  157. 山口公生

    政府委員山口公生君) 今申し上げました同じ計画書の中にリストラにどう取り組むかという項目も記載してもらうようになっておりまして、大臣もメンバーになっていらっしゃる審査委員会でその点も十分にチェックされておりますので、そういったリストラ等についての努力も着実に実現されていくものというふうに考えております。
  158. 石川弘

    委員長石川弘君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。     —————————————
  159. 石川弘

    委員長石川弘君) 次に、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本案趣旨説明は先ほど聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  160. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 本法律案について御質問申し上げたいと思います。  IMFは世界の為替通貨の安定のために極めて重要な役割を果たしている国際機関であることは言うまでもありません。我が国もこれまでIMFにさまざまな形で協力支援を行ってきたところでありますが、たまたまと言うんでしょうか、折からアジア諸国で生じている通貨・金融危機に対してもIMFは極めて中心的な役割を果たしてきているところであります。今般合意されましたIMFの第十一次増資によってIMFの資金基盤を拡充することは、そういう意味でも極めて重要、緊急のことであるというぐあいに考えております。  それで、我が国も相当額の増資に応ずるわけですが、基本的なこととしてまず第一に、今回の日本増資額はどれぐらいでしょうかそしてそれは日本円に直すとどれぐらいのものでしょうか。また、これが出資額の拡充に伴ってIMFでの日本の投票権、発言権のシェアの上昇につながっていくというぐあいに思われますが、それはどの程度になっているでしょうか。
  161. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 今回のIMF増資によりまして日本のIMFへの出資額は現行の八十二億四千百五十万SDR、いわゆる特別引き出し権、SDRでIMFは会計を組んでおりますのでその単位で申し上げますと今の数字でございますが、これは日本円に直しますと約一兆四千百二十六億円でございますが、ここから百三十三億千二百八十万SDR、約二兆二千八百十八億円に増加するということで追加出資額は五十億七千百三十万SDR、日本円に直しますと約八千六百九十二億円でございます。  また、これによりまして我が国の投票権シェアが現行の五・五四%から六・一六%に上昇いたしまして、現在ドイツと並んで第二位になっておりますけれども、単独第二位に上昇するということになります。
  162. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 増資に応じてシェア計算をなさるということであります。多額の増資に応じるということであり、IMFにおいて第二位の発言権を得ることになるわけですけれども、そうなると、それだけ出資をするわけですから、今までどういうような発言をなさってきたか若干問題はありますけれども、これまで以上に我が国の立場を明確にIMFにおいて主張なされるべきであるというぐあいに考えています。たまたま日本にIMF事務所も最近できたようでございますけれども、どうもIMFの運営に我が国の主張が十分反映しているとはなかなか考えられないところがあるように思います。一つは人材の面です。もう一つは、端的に申しますと、例えばIMFの年次報告書その他の出版物が英文で書かれていて、出資額第二位の日本日本語版がないというようなことは甚だもってけしからぬと思います。そのようなことについて我が国は非常に大きな主張をすべきであるというぐあいに考えています。  また、ごく最近においては橋本さんがインドネシアに行かれてIMFの措置についてインドネシアと御協議願うというぐあいに思っておりますが、日本がそのようなIMFの中における出資第二位の地位にあるんだということを念頭に置いてIMFの運営に参加していかなきゃいけないというぐあいに思っておりますけれども、いかがでしょうか。
  163. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) まさに御指摘のとおりでございます。我が国は、先ほど申し上げたように、現在でもドイツと並んで出資シェアは二位でございますが、五・五%とかその程度の投票権でございますので日本だけで何か主張いたしましてもなかなか通るものではございません。しかし、IMF協定によりまして出資シェア上位五国というのは当然に理事を出すという権利がございまして、我が国はいわゆる任命理事国になっているわけでございます。したがって、常時我が国はIMFの理事会に理事を出しておりまして、主張すべきは主張し、また投票ということになりますと、五・五%でございますけれども、その投票権を行使するということができるようになっております。  今回の増資をお認めいただきますと、わずかではございますけれども、出資シェア、それから投票権シェアとも六%台に乗りましてドイツを抜いて単独第二位になるということでございますので、ただいまの御主張の線を踏まえまして我が国考え方、我が国の立場というものを一層強く主張してまいりたいというふうに思っております。
  164. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 そんな情けないことを言わずに日本の国の主張を、アジアを背景にしょった我が国なんですから、言うべきことは言うだけじゃなくて、意見を通すということもしっかり頭の中に入れていただかなければいけないと思います。  さて、去年の夏のタイ・バーツの危機及びそれに続くインドネシアあるいは韓国の危機がございました。現在も深刻に続いているというぐあいに思いますが、他のアジア諸国も経済に大きな打撃を受けているように思われます。アジアの経済の混乱は世界経済にも当然多大の影響を及ぼしています。また、日本に対しても大きな影響を与えずにはおられないというぐあいに思いますけれどもアジアの経済混乱が日本経済に与えている影響についてどのように見ておられるか、基本的な認識をお伺いしたいと思います。
  165. 松永光

    国務大臣松永光君) アジア諸国の通貨・金融市場の変動、我が国にも少なからず影響が出てくるというふうに見なきゃなりませんが、日本からいえば輸出の減少、現地進出企業の収益の悪化、そしてそれらを通じて世界経済にも悪い影響を与える、こういうことであろうかと思います。特に、我が国の場合にはアジア向け輸出のシェアが大きいわけでありますので、欧米諸国に比べてアジア地域の通貨・金融市場の変動、これが日本の経済に悪い影響を及ぼす懸念がある、こういう状況であろうかと思います。  そこで、我が国としてはこのアジア地域の通貨・金融市場の変動に対してはIMFを中心とする国際的な支援の枠組みの中で積極的に支援を現在実施しておるわけでありますが、今後とも関係諸国及びIMF、世界銀行アジア開発銀行等の国際機関と密接に連携しながら適切に対処していかにゃならぬ、こういうふうに思う次第でございます。
  166. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 今、大臣言われましたように、アジア諸国が日本に対して大きな影響を及ぼしている、及ぼすであろうということで、これはなかなか通貨危機というのはそう簡単におさまらない情勢があるように思うんですね。そして、その中でどういうぐあいに対処していくかということ、しっかりこれは対応していただきたいというぐあいに思うわけでございます。  最近の統計を見ますと、大臣が言われましたように、アジア貿易は縮減方向にあるんですね。つい先日発表された一月の実績を見ますと、前年同月比で見ると、韓国はマイナス四一・八%、タイがマイナス三四・四%、インドネシアがマイナス一八・三%と軒並み減少をしています。  これは現地の通貨建てで見ますと、日本の輸出価格が非常に上がっちゃっていると。それはそうですよね、三千五百ルピアが平常であったものが今一万二千になっちゃっているというような大幅な変化が起こっているわけですから。また、さらに通貨危機のために経済混乱が起こって消費が減っているというようなこともあるでしょう。しかし、こういう対アジア向けの輸出の減少は日本の景気の足を引っ張っていると。先ほど言われたように、大きなシェアを持っているわけですから日本経済にとって大変なことになっているんだろうと思います。  輸出が減るのは相手国の需要が減退している、我が国の製品が高いということでやむを得ないとしても、実は輸入が増加しているかというと、要するにアジアの諸国からいえば通貨が安くなっているわけですから原価が低い、輸出力が増加しているというぐあいに普通なら考えるんですけれども、輸入が増加しているかなと思って統計を調べてみると、ここのところタイからの輸入は前年比でマイナス四・六%。減っているんですよ。我が国の輸入、向こう側の輸出、それが減っているんです。韓国やインドネシアからの輸入もかなり落ち込んでいるんですね。インドネシアは対前年比で一六・〇%落ち込んでいるんです。タイは四・六%、マレーシアは一七・八%、我が国の輸入が減っているんです。向こうは輸出力があるんです。伝えられるところによれば、アメリカに対する輸出はふえている、ヨーロッパ諸国の輸入はふえている。ヨーロッパに対する輸出ですね、アジア側からいえば。なぜ我が国の輸入がふえないんでしょうか。相対的には向こうのアジア諸国の方が競争力があるんじゃないでしょうか。  どうも我が国の輸入が伸びないのは内需不振ということもあるでしょう。しかし、日本市場の構造的な問題、特に閉鎖性が原因であるという指摘もあります。そのようなことについてどういうぐあいに考えておられるか、御答弁願います。
  167. 斎藤徹郎

    政府委員(斎藤徹郎君) ただいまの御指摘我が国の貿易動向でございますけれども、今御指摘がありましたように、直近の一月の我が国の地域別輸入の伸び率を見ますと、世界各国からの輸入がマイナス二・六%になっております。これに対しましてアジア全体からの輸入額がマイナスの二・八%ということで、アジアからの輸入も落ち込んでおりますけれども、同時に世界各国からの輸入も落ち込んでいる状況にございます。  この原因でございますけれども我が国経済の先行き不透明感もあり内需が停滞状況となったこと、それからもう一点はここのところ原油の国際価格が下落傾向にあるということから今申し上げたような状況になっているわけでございます。  ただ、具体的に各国からの輸入動向を見ますと、先生も御指摘いただきましたように、タイ、インドネシアなどは落ち込んでおります反面、韓国からの輸入につきましては一・九%増ということになっているわけでありまして、このように我が国に対する輸出が落ち込んでいる中で、各国それぞれの経済情勢を反映いたしまして若干のばらつきがあるところでございます。  それではこうした通貨危機に見舞われている国の輸出が我が国ではなくて他のアメリカ、ヨーロッパに向かっているかどうかという点でございますけれども、外国同士の貿易でありますので余り詳細な資料は手元にございませんけれども、例えばアメリカの昨年十二月の地域別の輸入動向を見ますと、アメリカから見て世界各国からの輸入が前年同期比で一一・三%の伸びになっております。今、先生御指摘の国について申し上げますと、タイが二三・二%、インドネシアの場合には〇・二%のマイナスになっております。それから韓国からは七・一%の伸びになっております。ちなみに、中国からの輸入は二九・三%ということで大幅に伸びているところでございます。  それぞれアメリカから見た地域別の輸入動向はまちまちでございますけれども、いずれにいたしましてもアメリカの好調な経済に支えられてアジアを含む地域からの輸入が伸びているというふうに考えているところでございます。
  168. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 日本の総体としての輸出入貿易の中で輸入がちょっと落ち込んでいるというのは、あなたがさっきおっしゃったように、原油のせい、石油のせいなんですよ。もちろん、アジアにも石油はあります。だけれども、これは落ち込んでいるんですよ。日本がインドネシアだとかタイを助けるんじゃなくて、我が国から見れば輸入を減らしているんですね。それに反してアメリカやヨーロッパが輸入をふやしているんですよ。日本の国がどうなっておるんじゃということは恐らく通産省なんかも交えて分析をしなきゃいけないのかもしれないけれども大蔵省としても大変重要なことで、口ではインドネシアやタイ国の通貨危機を救おうと言っておきながら、実際にやっていることは、輸入を減らしているということは大変な自己矛盾じゃないでしょうか。  大蔵大臣、私はこれは我が国の政策としても大いに議論をしておかなきゃいかぬ問題だと思います。もちろん、輸出入というのは政府がやるわけではなくて民間がやっているわけですけれども、それに対して我が国がどのように考えているかということは明確にしておかなければいけないことではないでしょうか。いかがでしょうか。
  169. 松永光

    国務大臣松永光君) 先生御指摘のとおりだと思います。  問題は、今、政府委員からも御答弁申し上げましたけれども、フィリピン、韓国からはちょっとふえているんですね。したがって、マレーシア、インドネシア、これが大幅に落ち込んでいる、どんな理由によるものかもう少し詳細に分析する必要があると、こう思います。インドネシアあるいはマレーシアなどに対する支援と言いますけれども、一番目に見えた支援はその国の、マレーシアなりインドネシアなりの産品を日本が輸入してやるとかそういったことが実は一番効果が出てくるわけでありますので、いかなる理由でこういうふうに減っておるのか、例えばインドネシアからの石油の輸入があるとすればその価格が下がったがためにこう落ち込んだのかそのわけを詳しく調べて対応する必要があるというふうに思う次第でございます。
  170. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 ぜひ日本政府としてこの問題は取り組んでいただいて、本当にインドネシアやタイを支援するならばそれなりの措置を必要とするんじゃないかというぐあいに思います。  今の問題と若干離れるかもしれませんけれどもアジア経済危機あるいは金融危機に関連して一つ申し上げたいことがあるんです。それは、去る二月二十日、自民党の緊急国民経済対策でアジア各国への通貨・金融対策の推進をまず求めると、ここのところが一つひっかかっておるわけですね、通貨対策の方は何かやっているというぐあいに思いますけれども政府も同じ日に閣議決定をやっています。  その中できよう取り上げたいのは輸出入銀行によるアジアの現地企業支援のためのツー・ステップ・ローンに関してであります。  現在、日本輸出入銀行はこのツー・ステップ・ローンのタイ及びインドネシアへの供与を準備あるいは検討中というぐあいに伺っておりますが、その実施に当たって二点御要望を申し上げておきたいことがあります。  私もこの間インドネシアに行ってきたんですけれども、どうもそのツー・ステップ・ローンで日本から援助してもらったと現地の人はなかなか思っていないんですよ。何かしらどこかから流れてきたなと、そういうような感想を持っているような気がいたしました。  私は、これまた先般ですけれども、スロバキアに行ってまいりました。スロバキアに行ってまいりましたが、スロバキアの中小企業の経営者からは、日本がツー・ステップ・ローンをやってくれた、それで非常に助かっているんだということを何人かの方からお伺いしました。日本からのツー・ステップ・ローンに対して感謝をしていただきました。  私は、アジアの国々からは、ツー・ステップ・ローンを今までも相当やっているわけですが、何次かにわたってツー・ステップ・ローンをやっているけれども、そのツー・ステップ・ローンはありがたかったというような声を残念ながら聞いていないんです。  そういう意味では、ツー・ステップ・ローンをやるときには輸銀から、タイであればタイの産業金融公社を経由しているようですけれども、最終的な借り手であるタイの企業に対して日本からのツー・ステップ・ローンであるということをはっきりやるべきであると。同じやるにしても、我が国が乏しい財政、余り乏しくないかもしれませんけれども、乏しい財政の中からやっぱり金融を供与しているわけですから、そのことをやっぱりはっきりさせておかなきゃならぬということ、きょうは輸出入銀行理事さんが来ていますけれども、お貸しになるときにはそういうことをはっきり条件をつけて、わしらが一生懸命やっているんだというようなことを明示すべきである、わかってもらうということだ、これが第一点です。  第二点ですが、タイまたはインドネシアでの貸し付けの金利ですね。我が方は五%程度の金利でお貸しになるわけですけれども、それを高い金利でツー・ステップ・ローンで経由して貸すんですよ。十数%になっているというぐあいに思います。今、インドネシアは普通の商業貸し付けは四〇%を超える金利だと、驚くべき金利でございます。私が去年十一月に参りましたときには、一番低いのが一二%で普通なら二十数%だよというようなことをお伺いしました。実際上、どういう金利でツー・ステップ・ローンを運用しておられるかわかりませんが、大変な利幅を持ってやっておられるんですよね。私はそういうことはおかしいと思うんです。  我が国財政資金で外国にお金をツー・ステップ・ローンでお貸しになる。ほかの国の政府あるいは金融機関がその間の利ざやを取って、それが我が国の金利水準であるからなんて威張られちゃかなわないんですよ。そうじゃなくて、やっぱり我が国がツー・ステップ・ローンを提供する以上、アジアの人々に本当に日本アジア経済の支援に真剣に取り組んでいるんだというメッセージが先ほどの第一点と同じように明確に伝わるような施策を講じなければならないんじゃないかというぐあいに思います。  きょうは輸出入銀行理事さんに来ていただいていますが、いかがですか。
  171. 鏡味徳房

    参考人鏡味徳房君) ただいま先生から大変貴重な御指橋をちょうだいしたわけでございますが、まずタイ向けのツー・ステップ・ローンにつきましては現在準備を進めておりまして、タイの公的金融機関に対してお貸しするわけですが、その契約書の中で現地での最終の借り手に対しましてこの借入資金が日本からの支援に基づいていることを周知させる旨規定をする予定にしております。また、ローンの手引書におきましても、あるいは説明会での説明におきましても我が国からの支援である点を周知徹底する、こういう約束に基づいて今ローンの準備をしているところでございます。  インドネシアにつきましては、諸般の事情で若干おくれておりますが、インドネシアのツー・ステップ・ローンについても、この話が具体化していく過程では今タイで考えているのと同じようなことをしてまいりたいと思っております。  また、二つ目の金利の話でございますが、これにつきましては、現在、このタイのツー・ステップ・ローンにつきまして、現地の健全な金融市場の形成にも配慮しながら、輸銀の貸付金利が均てんされるような方向で金利を決めたいということで話をしております。また、インドネシアにつきましても同様の方向でやっていきたいと思っております。  御指摘も十分いただきながら、こういったことで対応していきたいと思っております。
  172. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 ついでのことなんですけれども、どうもツー・ステップ・ローンの資金の行き先、これは輸出をやっている企業に多く当たるような何か書き方になっていて、実態は私よく知りませんけれども、国内企業及び輸出企業というぐあいに書いてあるんですね。何か輸出をする方にだけ金融を行うというような印象を受けているんですけれども、私は、何もそんなことは必要ないので、先ほど申し上げたように、日本国がアジア諸国の経済に対して真剣な取り組みをしているんだということであるならば、一般の国内企業、輸出と全然関係なくても、そこら辺までツー・ステップ・ローンが行ってもいいんじゃないかなというぐあいに思っています。  それから、いみじくも言われましたけれども、今回のツー・ステップ・ローンにはそれを浸透させたいと。大変結構なことだと思いますが、ということはひっくり返して言うと今までは浸透させていなかったということになるんですね。  そういう意味で二つの提案をしたいと思いますが、今、輸出入銀行理事さんはそのような方向で物事を考えたいという御答弁でありましたが、監督官庁としての大蔵大臣のお考え方をこの際伺っておきたいと思います。
  173. 松永光

    国務大臣松永光君) 今、輸出入銀行の方から申されたとおり、せっかく我が国が融資をする以上は、それが日本からのものであるということ、相手国の関係者あるいは最終融資を受ける者の間に浸透するようにきちっとやっていくことは大事なことだというふうに思っています。  利子についても相手国に日本の誠意が伝わるような形を、見える形で取ることがいいことじゃないかなというふうに思います。
  174. 楢崎泰昌

    ○楢崎泰昌君 ぜひ、そのようにお願いをし、かつ最初の方に申し上げましたように、アジア諸国に対する経済の輸出入についても強い御関心を払っていただきたいというぐあいに思います。  時間ですので、これで終わります。     —————————————
  175. 石川弘

    委員長石川弘君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、林芳正君が委員を辞任され、その補欠として吉川芳男君が選任されました。     —————————————
  176. 今泉昭

    ○今泉昭君 第二次世界大戦後の西側陣営の経済再建、そして通貨の安定、経済協力という大きな枠組みの中心的な柱として国際通貨基金、IMFが果たしてきた役割は大変大きいというふうに私自身は評価をしているわけでございます。例示をまつまでもなく、特にいわゆる石油ショックのときに資源輸入国が軒並みに国際収支を赤字に転落をしてハイパーインフレと言われるようなインフレ状態になったときに果たした役割であるとか、あるいはまた中南米におけるところの金融不安、さらにまた冷戦構造が崩壊をした後の東欧諸国の経済危機を救うために果たした役割というのは大変大きいものがあったというふうに評価を実はしているわけでございます。  御存じのように、もともとこれは西側陣営を中心としてつくられました一つの枠組み、仕組みでございまして、冷戦構造の崩壊とともに東欧陣営の経済的な破綻というものを受けまして、新たな経済的な仕組みを構築する必要があるのではないかという論議を一時大変されたことがあったと思うのであります。いわゆるIMFシステムというものの限界、根本的な世界のシステムが変わったわけでございますから新たな形での仕組みづくりというものが大変論議をされた時期があったと思うわけでございますが、日本政府の基本的なスタンスといたしまして、今までそれだけの実績を上げてきましたこのIMF体制というものを新たな世界の経済安定のシステムとして構築し直す必要があるのか、それとも足らざるところを補完していくというような形で今までのシステムをそのまま運用していくという方がよろしいと思っているのか、基本的に日本政府としてはどのように考えていらっしゃるか、まずお伺いしたいと思います。
  177. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 今御指摘の問題についての最近における国際的な議論の状況をまず私の方から御紹介させていただきたいと思います。  結論的に申し上げますと、さまざまな批判あるいは建設的な批判等がIMFに対して寄せられておりまして、例えば極端な話、全く新しい国際機関をつくるべきだという意見もありますし、世界の中央銀行のようなものが必要だという意見もありますし、国際的な保証機関をつくるべきだというような意見もありますが、議論の大勢はやはり現在のIMFを中心としつつそれをいろいろな形で補完あるいは補強していくということが一番現実的であり、かつ必要なことではないかということに議論が向いているように思います。  ただ、アジア通貨危機自体まだ完全におさまっておりません。したがいまして、これを踏まえて新しい国際通貨制度をどうしていくのかという議論もまだ始まったところでございまして、その帰趨は今後ともよく注視していく必要があるというふうに思っております。
  178. 今泉昭

    ○今泉昭君 と申しますのは、昨年から始まりましたこのアジア金融混乱というものに関しましていろいろと考えてみたわけでございますが、タイに始まって各国がいろんな形の金融不安を生じているわけでございます。それぞれの金融不安の実態を見てみますと、それぞれお国柄によってみんな原因というものは大変大きな違いがあるわけですね。  タイのように不動産バブルを中心とした金融不安であるとか、あるいは韓国のように過剰な設備投資というものを中心として進展をした金融不安、また、今一番重いと言われているインドネシアのいわゆる銀行中心とした金融管理というよりも、むしろどこから借りてくるかわからないという一般企業家を中心とした金融の混乱というんでしょうか、それぞれみんな原因というものが大変違っていると思うのでございます。これらの国々が、いずれもこの金融不安が起こったときに、聞くところによりますと、IMFの融資制度というものに対して大変警戒感を持っていたと。  と申しますのは、いろんな形で条件が厳しく設定をされるわけでありまして、融資期間というのが最長五年というふうにもなっておりますし、その期間の中で経済再建を根本的にやらなければならないということは相当なあつれきを起こすわけでございまして、そういう意味で、当初、IMFに援助を求めるということではなくして、日本に公的機関を通じた公的資金の助けを求めてきたという報道があったわけでございますが、これに対して日本はたまたま日本自体も金融不安というものを抱えて大変冷たい態度をとっていたと。したがって、これらの国々はやむを得ずIMFの援助に駆け込んだというようなことが伝えられているわけでございますが、この間の事情について御説明いただければありがたいと思います。
  179. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 具体的に申し上げますと、まずタイにつきましては、昨年の夏、タイ・バーツがフロートいたしました直後にタイの大蔵大臣日本に来られまして、その際に抽象的な形で日本に対して金融その他の支援をお願いできないかというお話はございました。ただ、具体的に金額とか条件とかということについてのお話はその時点ではございませんでした。ただ支援をお願いしたいというお話はございました。その時点ではまだタイはIMFに融資の要請をしておりませんでした。その後、タイは結局IMFに融資の要請をし、しかもそれだけでは足りないわけでございまして、日本を含むアジア諸国からIMF融資を補完する形でバイラテラルな金融支援を行ったというのが現状でございます。  インドネシアについては、IMFにインドネシアが融資を要請する前に日本に対して金融支援の要請はございませんでした。  韓国の場合は非常に微妙というか、複雑でございまして、少なくとも韓国政府から日本政府に対して正式の金融支援の要請は結局ございませんでした。IMFに融資を要請した後にはいろいろな形での支援の要請はございましたが、IMFに行く前に、IMFに行くのを避けるためにいわば日本に融資をお願いするということは政府政府ではございませんでした。ただ、聞くところによりますと、韓国の中央銀行が米国と日本の中央銀行に対して何らかのつなぎ融資のようなものができないかということを、これも具体的な金額とか条件を全く特定することなくサウンドされたということは聞いておりますが、少なくとも政府間では全くIMFに行く前に韓国から正式の要請はございませんでした。
  180. 今泉昭

    ○今泉昭君 実は、IMFの融資のコンディショナルといいましょうか、そういうものがある意味ではそれぞれ融資を受ける側の主権を侵すような形での厳しい一面を持っているという側面があるわけですね。例えば、韓国では最近IMF五賊なんというふうに言われまして、要するにIMFに金融支援を仰いてもうバンザイしてしまったと、そういうことをやった大統領を初め経済関係閣僚は、かつての日韓合併条約ですか、あれに匹敵するくらいの大罪であるというようなことを言われるような、実はIMFからそういう融資を受ける、援助を受けるということがみずからの主権とかプライドというものを大変損なうような厳しい条件があるというふうに聞いているわけであります。  そういうことを考えてみますと、少なくともアジアのリーダー的な立場にある日本がこういうときにもっと積極的な援助の姿勢、みずから乗り出していく姿勢がとれなかったのかどうかということを私はしみじみと感じるわけでございます。例えば、アメリカが当初はアジア金融不安に対する援助には及び腰でありましたけれども、途中から積極的に高官を送り込んでいって再建に対するいろいろな指南、指導、アドバイスをやっていたということが実は報道なんかでよくうかがわれたわけです。要するに、アメリカの存在感というのが後半にはこのアジア金融危機において目立っていた一面があったわけであります。それに比べて日本の存在感というのは大変薄かったというような気がしてならないわけでありまして、今後の日本アジアにおける指導的な立場ということを考えた場合に、我が国政府としては十分この点は考えていかなきゃならない点ではないかと思うわけであります。  今度の土曜、日曜に橋本総理大臣がインドネシアに行かれるそうでございますが、インドネシアはIMFといろいろな意味でもめているお国柄でございまして、そういう意味ではそういう面での調停やらアドバイスなどをするのが目的で今回は行かれるのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  181. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 確かに御指摘のとおり、タイ、インドネシア、韓国と続きました通貨危機の際に、タイにつきましては日本が種かで主導的な役割を果たしたことは事実でございますが、インドネシアにつきましては、先ほど申し上げたように、そもそもインドネシアがみずから直ちにIMFに支援を要請するということでございまして、当初日本のインドネシアの問題に対する関与の度合いは確かにタイの場合と比べて小さかったと思います。  他方、韓国につきましては、先ほど申し上げたような経緯もございましたし、またIMFとのプログラムの合意ができた後も実はいろいろな形で日本がかなり関与し支援をしていたというのが事実でございます。  そこで、インドネシアの問題でございますが、先ほど申し上げたように、昨年の秋にインドネシアに対するIMFのプログラムができた際には確かに我が国の関与の度合いは比較的小さかったわけでございます。ところが、その後ルピアの下落がとまらないということで、ことしに入りまして二度IMFがインドネシアに対するプログラムの内容を修正いたしました。一月の中旬にいろいろな構造対策を強化する一方で経済状況が非常に悪化していますので、その結果財政収支が悪くなるということ自体は容認しようというような形でこれを認めておりますし、一月末には金融セクターの改革について、これは比較的我が国考え方が反映されたような形でIMFがプログラムを修正しております。  したがって、そういう形でインドネシアについてかなり関与してきているわけでございますが、今回の総理の訪問、これは私ども総理が政治的に決断されたものというふうに理解しておりまして、総理がスハルト大統領とお会いになって、インドネシア経済の現状、それから今後特にIMFのプログラムをどういうふうに遵守していくかということについてお話し合いがあるものというふうに理解しております。
  182. 今泉昭

    ○今泉昭君 インドネシアを除きまして、タイにしろ韓国にしろ、IMFの支援を受けながら回復をしていく方向にあるのではないかこれ以上大きく落ち込むことはないだろうというふうに実は見られているわけでございまして、私どもの気持ちからするならば、このアジアの経済危機金融危機日本に及ばないうちに早急にこれは回復してもらうのが望ましいと思っているんです。  ただ一つ我々としての懸念材料は、今回の金融不安によりまして通貨が大幅に各国落ち込んでいるわけでございます。これに比べて隣国である中国が固定相場制、そういう表現ではまずいかもしれませんけれども、通貨は全然変わらない管理制度をとっているわけでございまして、通貨が下落した国々に比べますと、中国としては輸出競争力が相対的に低下をしていっているんじゃないかと思うわけであります。  特に、東南アジア、中国も含めまして東アジア諸国はアメリカに対する輸出が大変多いわけでございまして、アメリカにはどんどん輸出していくでしょう。そういう中で、これまで大変貿易黒字を積み重ねてきた中国が貿易黒字幅がどんどん減っていく、下手すると赤字になる危険性さえないわけじゃないわけでありまして、そういう中で中国が国際収支の健全性を保つために中国の元、人民元ですか、これの切り下げということが仮に起こった場合、これまたせっかくおさまり始めたアジア通貨危機に一大波乱を起こすという心配が実はあるわけでありますが、この点に対する大蔵省としての見通しはどういうふうに持っていらっしゃいますか。
  183. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 確かに御指摘のとおり、中国経済自体は比較的高い成長率、九%前後の成長率を維持しており、消費者物価の上昇率も一%ないし一%以下ということで非常にマクロ経済は安定しておりますが、そして経常収支も現在はGDP比二・五%ぐらいの黒字ということで非常に大きな黒字でございますが、おっしゃるとおり、昨年の暮れごろから黒字が縮小してきているようでございます。  したがいまして、これが今後どういう影響を及ぼすのかという点については注目していく必要があると思っておりますが、中国の人民元の今後の動きにつきましては、少なくとも中国政府は当面断固として現在の為替レート、対ドルレートで比較的安定した人民元の為替レートを維持していくということを内外に表明しておりまして、今直ちにこれを変えるという見込みも予想もございませんし、また十分これはそういう為替政策を守っていけるものというふうに理解しております。  私どもとしても、まさに御指摘のとおり、今、中国人民元がさらに切り下げられるというようなことがありますと、またもう一回りいわばアジア諸国の為替調整が起こるということになりまして、非常に好ましくないというふうに思っております。
  184. 今泉昭

    ○今泉昭君 実は、アメリカのアジアに対する目というのは大変熱いものがあるわけでありまして、聞くところによりますと、三十兆ドルに及ぶアメリカの公益あるいは東南アジアにある資産、こういうものを守るためにアメリカとしては、遠い、太平洋の向こうの国であるにもかかわらず、大変アジアに対していろんな意味で手を出してきているわけであります。  実は、ドルに対する通貨の下落が東南アジア諸国の輸出ドライブをかけている、またそれをしなければ国際収支が黒字になって安定していかないということがありますから、要するに通貨の下落に伴うアメリカに対する東南アジア諸国の集中的な輸出攻勢がこれから強まっていくはずだと思うわけであります。そういう意味考えますと、かつての日本の集中豪雨的な輸出というのが逆に今度は東南アジア諸国から加速されていくことに対して、アメリカは何とかこういうものを防がなきゃならないという危機感を持っているはずでありますし、そういう意味で東南アジア金融安定というものを大変気にしているわけでございますが、このことが、実は日本に対する景気刺激策の、水面下におけると言っていいんでしょうか、あるいは外交面におけるところのいろんな圧力、要求として出てきている一面があるのではないかと思うわけです。  すなわち、少なくとも東南アジアが困っているときには東南アジアの輸出を日本がもっと引きつけるような、輸入を拡大するような、日本の国内の閉鎖性をなくし規制緩和をしてやってくれるような景気刺激策をとらないことにはアメリカの経済も困ってしまうんだ、そういう意味日本に対する圧力あるいは景気刺激策というのが相当来ていると思うんですが、その点についてはいかがですか。
  185. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 確かに、米国の経常収支の赤字は最近増加をしております。貿易収支の赤字を中心にして増加をいたしておりまして、これはドルが今御指摘のようなアジア諸国の通貨の下落によって相対的に価値が上がっている、強くなっているという面もございますし、また米国の経済が非常に順調であるということもございます。  ただ、いずれにせよ米国の貿易赤字が拡大していることは事実でございますので、御指摘のような動きというか、そういう意見が米国でいろいろな形で出ているということは我々も承知しております。
  186. 今泉昭

    ○今泉昭君 日本世界のいろんな意味での、政治的にも経済的にもリーダーとしてこれから大きな貢献をしていくためには、そういう点も十分配慮しながら、我が国の経済の回復のための大幅な景気刺激策を早急に打っていく必要があるのではないだろうかというふうに私は思っている次第でございます。  次に、IMFの機構というんでしょうか、そういうものについての政府考え方を少しお聞きしたいというふうに思うわけでありますが、今回のIMFの出資金、クオータの改正というのは五回目ですか、何回目でしたかちょっと私も数字は忘れましたけれども、何回か五年置きに行われてきているということをお聞きしております。  現在のIMFに出されている資金の量というものと世界のGDPの総額を比較してみますと、その資金量というのは一%を切っている、〇・七%ぐらいだということがよく言われているわけでありまして、もしIMFというものをそういう意味世界各国の通貨の調整だけではなくして経済安定の大きな柱としてもっと強化をしていくとするならば、その程度の資金量というんでしょうか、規模でいいのでしょうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  187. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 御指摘のように、IMFの出資総額は五年ごとに見直すということがIMF協定で決まっております。今回は実は十一回目の見直しということになっております。  そこで、見直しの際には過去五年間に起こりました世界貿易、世界経済の規模の拡大を勘案しながら、他方で各国がどの程度の増資に協力してくれるかということも勘案しながら決まってくるわけでございます。  ちなみに、現在のIMFのクオータ総額をラフに言いますと二千億ドル程度だと思いますが、御指摘のように、その規模は世界のGDPあるいは世界の貿易の規模に比べると非常に小さくなっております。これは昔から比べても小さくなっております。それに加えまして、御承知のように、最近資本が国際的に大きく動くということになっておりまして、それによって為替レートが非常に大きく動く、あるいはアジア通貨危機のようなものが簡単に伝播するということになっておりまして、そういうことからいいましても実は相当程度の規模のIMFの出資総額が必要だということになると思います。  そこで、今回の四五%の増資が決まるに際しまして、各国間でいろいろな話し合いが行われたわけでございますが、もっと大きな増資規模が必要だという意見もございましたし、他方でもっと小さくてもいいという意見があって、結局最終的には妥協という形で四五%の増資という形に落ちついたわけでございます。  ただ、IMFの加盟国の中ではもう少しIMFの規模は大きくないとアジア通貨危機のようなものがもっとさらに起こったら対応が難しくなるのではないかという意見も現にあるわけでございます。
  188. 今泉昭

    ○今泉昭君 大蔵大臣にお聞きしたいと思うんですが、東アジアにある十一の国々、これらの国々のGDPの世界のGDPに占める割合というのは大体四分の一ぐらいだというふうに言われているわけでありまして、日本のGDPを加えますとアジア世界のGDPの四割程度を占めているということが言われるくらいにアジアは大変大きな経済規模を持っている地域であろうと思うわけであります。しかも、今でこそちょっとつまずいてはおりますけれども、二十一世紀はアジアの世紀であるということがさんざんこれまで言われてきたわけでございます。しかも、この東アジアにある十一カ国だけで調査してみても、通貨の準備額というのが世界の準備額の三分の一を占めているというぐらいに大変な外貨準備率を持っている国々であります。  そういう大きな経済規模と影響力を持っている国々、アジアというところにおいて、この地域の経済的な安定というのが世界の経済安定に大変つながっていくわけでございまして、その中の中心にある我が国がこの地域でどのように大きな影響力を発揮し、指導的な役割を果たしていくかということは大変重要なことだと思うわけでございます。  そういう意味で、私は、しばらく前にニュースの報道等で聞いた中で、アジア通貨基金構想というものを大蔵省あたりがお持ちであったという話を聞いております。榊原財務官ですか、が中心となってG7あたりでその構想を打ち上げたところが先進諸国からつぶされたという話も伺っておりますけれども、こういう構想について政府としては、個人的なあれではなくして、そういう構想をこれまで検討され、計画をされたことはあるわけですか。
  189. 松永光

    国務大臣松永光君) 東アジア地域の国々が全部を合わせれば世界の経済の中で大変大きなウエートを占めておる、しかも世界の言うなれば成長センターだと言われたときもあったわけでありまして、したがって非常に大きな可能性を持っている地域が東アジアの地域だと、こういうふうに思っております。  非常に大きな特色は、この東アジアの国々はどこの国も非常に勤勉であるということ、それから貯蓄率が高いということ、そういう特色があるわけでありまして、この勤勉さを十分に生かしていけば、現在はいろんな問題があってやや停滞ぎみでありますけれども、将来はかつての、今から六、七年前までのような世界の成長センターだなどと言われるような状態に立ち返ることは、極めてその可能性は高いと私は思います。そういう中で、日本が隣接をしておるわけでありますから、したがってアジア地域の成長発展を確実たらしめるために日本は大きな役割を果たしていくべきだというふうに私は思います。  先ほどのアジア通貨基金、すなわちAMF構想、それがアジア金融通貨安定のための取り組みの中で議論がなされたことは事実でありますが、これはいろいろな経過をたどって結局は昨年の十一月にIMFを中心にして各国が協力して支援する枠組み、これを中心にしてマニラ・フレームワークというものが合意されて、そして動き始めたという経過になっておるというふうに思うわけでございます。
  190. 今泉昭

    ○今泉昭君 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。     —————————————
  191. 石川弘

    委員長石川弘君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、峰崎直樹君が委員を辞任され、その補欠として萱野茂君が選任されました。     —————————————
  192. 益田洋介

    ○益田洋介君 法案の質疑に入る前に、大蔵不祥事について一点だけ大臣の所感をお伺いしておきたいと思います。  ついにキャリア官僚の逮捕にまで発展しました一連の大蔵省の汚職事件でございますが、六日、東京地検の特捜部は本省などを家宅捜索いたしました。相当量の書類が押収されたわけでありますが、同じ日に大蔵大臣はこの金融検査に関する監督責任のあるとされる九人の官僚を国家公務員法八十二条に基づいて減給という形で処分をすると発表したわけでございますが、その中に日下部元雄さんという方がいらっしゃる。この方は減給二〇%一カ月と皆さんの中ではまあ言ってみれば一番軽い処分でありました。日下部さんは前の国税審議官でありましたし、その前には金融検査部の管理課長というお立場であられた。実は、本年一月二十六日に収賄罪の容疑で逮捕されました宮川宏一さんという金融証券検査官室長、前の金融検査官の一人でございますが、が第一勧業銀行の検査の最中に第一勧業銀行から接待を受けたとして、検査の期間は平成六年の十月から十二月でございますが、昨年七月に戒告処分に処せられたわけでございます。このとき実は宮川被告と同時に戒告処分を受けていたのがこの日下部元雄さんです。日下部元雄さんは管理課長でしたから、当然のことながら逮捕された宮川被告の上司であられた。ところが、七月に処分を受けた後、八月八日付で大臣官房付からアメリカのワシントンにある国際復興開発銀行、世銀に出向して専務理事付のアドバイザー、日本語で言うと顧問ですね、専務理事付の顧問として就任して現在に至っている。何のアドバイスをしているのか私はよくわかりませんけれども、アメリカの首都で大変典雅な生活をされていらっしゃるのではないかと思うわけでございます。  こうした戒告処分の直後に外国に転勤をさせる、私はこの事実を知った際に、非常に印象が深くて、疑惑の発覚直後にこうした措置をとって、ほとぼりを冷ますための言ってみれば緊急避難対策じゃなかったのかと。それで、残された宮川宏一さんはずっと金融検査部にいらっしゃって、そしてことしの一月二十六日に逮捕された。  私は、既に二月十六日の本会議で大蔵大臣にお願いしたんですが、重ねてこの日下部元雄さんの内部調査をしていただきたい。今、海外にいて検察が十分な捜査ができない状況下にあるわけですから、当然のことながら大蔵省として内部調査をきちっとした形でして、その調査結果を当委員会報告していただきたい。  この二点についてお約束いただけますか。
  193. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) まず、日下部に関します事実関係をちょっと御説明させていただきます。
  194. 益田洋介

    ○益田洋介君 それはいい、時間がないからもういいです。
  195. 松永光

    国務大臣松永光君) 実は、先般九名の人の国家公務員法に基づく処分をしたわけでありますが、これは収賄罪を犯したということで起訴された宮川、谷内、この両名の監督者としての監督責任があるということで行政上の処分をしたわけであります。  処分内容委員が既に御承知のとおりでございまして……
  196. 益田洋介

    ○益田洋介君 調査をするのかしないのか、それを報告するのかしないのかそれを伺っています。
  197. 松永光

    国務大臣松永光君) そういうわけで処分をしたわけでありますが、今言われた日下部というのも前々から申し上げておりますように金融関連部局に在職しておった一人でありますから、現にまた公務員でもあるわけでありますからこれは内部調査の対象でありますので調査をして、そして問題があるということが明らかになればその処分を厳正に行い、そして御報告をいたします。
  198. 益田洋介

    ○益田洋介君 実は調査をお願いしたのはこれが初めてじゃないんですよ。私は、昨年の九月四日、本院の決算委員会調査依頼をしています。そのときの調査結果というのを昨年の十二月二日の建設委員会大臣官房秘書課長の渡辺博史さんという方から答弁をいただいています。  それはどういうことかというと、あらあら御説明申し上げますと、検査忌避という銀行法違反を行っていた銀行から検査の期間中あるいは講評が終了した役といえども文書による示達の前という期間において会食、ゴルフ等の提供を受けていたということは社会的信頼を損なうものであるということから七月二十九日に処分をいたしましたと。ところが、詳しい調査結果の内容については現在司法当局に関係書類がすべて押収されているのでできませんと。まず、日下部については、平成六年十一月十四日月曜日、東京プリンスホテルで昼食をとった、それからもう一回は翌年平成七年の一月二十日金曜日、夕食、西新橋にある「ぶじ岡」という小料理屋です、それでとりあえず日下部については会食の代金として五万円を第一勧業銀行に返しました、そして金額がはっきりした時点で精算をしていただくということにいたしましたと、こんな程度の報告。現在逮捕されている宮川被告についてはゴルフの代金として十万円を第一勧業銀行に返したと。  それが現在までにわかっている確定した検察庁の検査結果では、宮川宏一さんはあさひ銀行など四社から八百二十六万円の贈賄を受けた、収賄の疑いがあるということで起訴された。十万円というのが調査結果です。これは大蔵省の正式な調査結果として本国会で答弁された内容なんです。実態は八百二十六万。もっと出るかもしれない。  だから、きちっとした検査をしていただきたいんです。約束していただけますか。
  199. 松永光

    国務大臣松永光君) きちっとした調査をすべく最大限の努力をいたします。  問題はどういう点にあるかというと、言うなれば強制捜査権がない状態で、かつ過剰接待をしたということに関する物的証拠のない状態での調査になるわけです、実際問題。  そこで、私ども考えておりますことは、内部調査をした上で、過剰接待をしたと思われる銀行等に照合をして、そうした上でできるだけ過剰接待を実際受けたのに近いような状態まで迫りたい、こういう気持ちで調査考えておるわけであります。  だから、急げとおっしゃいますけれども、そこまでしないことには必ず批判を受けます。実は去年の秋の調査が不十分だった原因はそこにあると私は見ております。すなわち、その当時既に資料は捜査当局に押収されており、それから接待をした側も実は捜査当局の捜査の対象になっておったと想像されるわけでありまして、そのために非常に口が重かったということもあって後でおしかりを受けるようなずさんな調査結果に終わったということがありますので、その轍を踏まないようにしっかりやりたい、こう思っておるわけでございます。
  200. 益田洋介

    ○益田洋介君 強制捜査しなかったからはっきりした調査結果が出なかったという言い方はおかしいんですよ。本人にきちっと聞いているわけでしょう。それでこんな金額の差が出ているというのが実態なんですよ。それを私は言っているんです。  私は急いでやってくれということは一言も言っていない。それは先ほど笠井先生が言ったことで、ただし迅速であるということは要請されますよ、国民の皆さんからは。私は、なおかつ正確な調査結果を提出してもらいたい、そう要求しておきます。  そして、さらに日下部さんに一回帰国していただけませんか。いろいろとお話を伺いたいんですよ。私は、国会において当然質疑に答える義務があると思いますよ。二人いた検査官、訓戒処分を受けた宮川さんと一緒にチームワークで働いていた。今、話が聞けない状態である。帰って来られないことはないでしょう。一時帰国、いかがですか。
  201. 松永光

    国務大臣松永光君) 調査の結果を見て対応しなきゃならぬというふうに思いますが、国会の方から正式の要請があればこれまた対応の仕方は違ってぐるわけでありますけれども、まずは私どもの内部調査の中でできる限り調査を進めたい、こう考えておるわけであります。
  202. 益田洋介

    ○益田洋介君 それでは、委員長にお願いしたいと思います。  帰国した上で質疑に応じていただく、調査が終わってからと言っているけれども国民の皆さんの前にやはり本人の口からさまざまな事実を明らかにしていただく必要がある、私はそれが国会の義務であると考えるわけですので、委員長、ぜひお考えください。
  203. 石川弘

    委員長石川弘君) その件につきましては、理事会で協議をいたします。
  204. 益田洋介

    ○益田洋介君 それではIMF、ちょっと時間が短くなってしまいました。  四月にG7に大臣は行かれるわけでございますが、そして五月にはバーミンガム・サミットが行われる。  このIMFの機構の改革ということがアメリカでは非常に真剣に議論をされて、そして上下院合同の経済委員会では議事録などの作成決定、それから情報を公開すること、融資対象国に改革を促す目的で貸付金利を引き上げる、市場金利での融資に改める、そういった改革案を検討している。さらには、今現在においては米議会は、総額百八十億ドル、約二兆二千八百億円程度ですが、今回の資金拠出の案については凍結をしている現状だと。それからさらには、下院においては、法案を可決するに当たっては条件があると。それは、独立検査委員会を設立してさまざまなことをこれからIMFの資金拠出に対してチェックする機能、機能を持たせて、その上でなければこの法案の可決はできない、採決まで至らない。アメリカではこれほど真剣に議論をしている。  我が国の本院においては、大臣趣旨説明をけさ聞いたばかりですよ。その後二時間質疑をして、採決までしょうとしている。これは委員会の問題だというふうに大臣はおっしゃるかもしれないが、大蔵大臣としてどういうふうにお考えですか、このアメリカと日本の落差は。
  205. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 御指摘のように、米国では現在、米国のIMFへの出資、それからアメリカでおくれておりましたNABというところへの出資権限の両方について議会で審議していると承知しております。米国の下院のこの関係委員会増資とNABへの出資が最近通過したというふうに承知しております。また、その際、御指摘のようないろいろな議論が行われたということも承知しております。
  206. 益田洋介

    ○益田洋介君 終わります。ありがとうございました。
  207. 石川弘

    委員長石川弘君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  208. 石川弘

    委員長石川弘君) 速記を起こしてください。
  209. 志苫裕

    志苫裕君 アジアの経済不安、通貨危機がクローズアップされておりますが、かってアジアの奇跡とか世界の成長ゾーンともてはやされて注目されたのはそう古い話ではないんですが、わずかの間に不安だ危機だと暗転したのはなぜなんだろうか。一口にアジアと言ってもたくさんの国があるわけで、国内事情や国際関係もまちまちだが、押しなべて共通の要因を挙げるとどうなるんでしょうね。  先ほど来いろいろと同僚委員との間にやりとりされているが、改めてまとめて、きょうはひとつ参考人になったつもりで、わかりやすく箇条的にしっかり解説してもらえますか。
  210. 松永光

    国務大臣松永光君) 御指摘のように、つい数年ないし五、六年前までは世界の成長センターというふうに言われた地域でございます。その地域でどうしてこういった通貨、金融危機が訪れたのか、そのわけはどうかという御質問だろうと思うのでありますが、各国の状況によって必ずしも一概には言えない面があるわけですけれども一つは近年の為替の過大評価、それからこれに伴う経常収支赤字の拡大、海外から流入した資金が不動産セクターなど生産的でない分野に使われた国があったなどということが市場の信認が著しく低下した、これが私は大きな原因ではなかろうか、こう思っておるところでございます。
  211. 志苫裕

    志苫裕君 およその見当はつきましたが、私なりに諸説を紹介しますと、ポートフォリオとかいう資金が大量に流入をしていわゆるバブルを引き起こしたという説が多いようです。ですから、アジアの成長センターといっていたのは見間違いであって、あれは何のことはない、バブルだったんだという説もないわけではない。先進国の長引く不況で余った資金が投機に向かったわけで、余剰資金のはけ口にもなったわけであります。ジャングルの空間にぽっかりと高層ビルが立ち並んで、不似合いな景色が目立つらしいですね。我が国のバブル時代を思えばおよそのイメージも持てるんじゃないかなという気もいたします。  プラザ合意に端を発した円高によって日本からの直接投資も大量に流れ込んだことは言うまでもない。八五年から九〇年までの間にその総額は百五十億ドルに上り、タイについていえば、八七年の日本の直接投資はそれまでの二十年間の累積額に匹敵するというんですね。そのほかに韓国、台湾、香港などのNIESからの資金も流れ込んだわけでして、これがバーツ危機の背景になったとされるそうです。そのようにもう伸びに伸び切ったところへインドネシアのような政治危機が発生したんですからたまったものじゃない。一斉に資金の引き揚げというか流出が始まって今日の事態を起こしたと。  金融自由化とかドルとのペッグ制とかというものも無関係ではないと言われておりますが、当然のことながらこれからは多額の債務処理が問題になります。各国の債務の半分は日本からのもので、その半分近くは不良債権になるんじゃないかということが言われておりますが、まず当局の認識を問いたいですね。  この際、対アジアの融資の総額といいますか、債権債務の残高を述べてくれますか。
  212. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) お答えいたします。  まず、ASEAN四カ国、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン合わせて七百三十五億ドルとなっております。特に、最近問題になっておりますインドネシアに対する邦銀の債権が二百三十二億ドルになっております。次に、いわゆるNIES、シンガポール、台湾、韓国、香港、この四カ国・地域に対する邦銀の債権が千七百九十一億ドルとなっております。三つ目のグループとして中国、これが百八十七億ドル。したがいまして、合わせて邦銀の債権が二千七百億ドル、たしか三十一兆円程度の規模になっておるわけでございます。  そのうち、特に問題となっておりました国はタイ、インドネシア、韓国でございます。ちなみに、タイは三百七十七億ドル債権がございます。ただし、タイの経済は今IMFのプログラムのもとで改善に向かいつつある。韓国に対する債権が二百三十七億ドルございますが、この韓国の状況も改善しつつございます。しかし、残念ながらインドネシアの状況は改善しておらない、非常に不安定な状況になっておると。したがいまして、邦銀のインドネシアに対する債権につきましても、不良債権化しないように、あるいはしたものについての対応をどうするかということを注意深く見守っているところでございます。
  213. 志苫裕

    志苫裕君 大臣、今、局長が答弁になったような情報はこういう法案を出すとき、あるいはその前後に必ず当委員会にも情報として提示をするようにということを昨年の春のIDAの法案のときに私は強く要望しまして、三塚大臣からも承知しましたと御答弁いただいておるんですが、私が聞くまでそういう情報はついにここへ出なかったですね。今後気をつけてください。よろしいですね。
  214. 松永光

    国務大臣松永光君) はい。
  215. 志苫裕

    志苫裕君 こういう事態に対してIMFが支援に乗り出したことはその役割からいって当然のことですが、その処方せんには問題なしとはしません。  すなわち、財政金融の緊縮政策、輸出志向型の工業化政策等、七〇年代のイギリスのポンド危機とか八〇年代のラテンアメリカの債務危機のときの手法をそのまま使って、一口に言えば欧米モデルの押しつけて過剰介入とも言える。その結果、大量の企業倒産、失業を生んで、社会改革がなおざりにされていることのそしりは免れない。  IMFの大株主である理事国としての日本の認識はどうですか、お答え願います。
  216. 松永光

    国務大臣松永光君) IMFを中心とした枠組みの中で日本は支援をしていくわけでありますが、IMFの支援の前提条件としていろんな計画が出され、それを援助を受ける国が了承し、それを履行するということを前提として支援がなされる、こういう仕組みになっているんだと思います。相当の債務国でありますから、したがって経済を強くして輸出を伸ばしていくという仕組みでなければ外貨が稼げません。  先ほど先生もおっしゃいましたように、バブル時代の日本に似たような形で、私も申し上げたわけでありますけれども、非生産的な部門に資金が流れた、ここに問題が一つあるわけでありまして、生産的な部門に資本が使われて、それで生産力が高まる、それによって輸出が伸びる、こういうサイクルにしなければならぬのじゃなかろうかと、私はそう考えます。
  217. 志苫裕

    志苫裕君 これも私はIDAの法案の際にお願いした仲なんですが、とかくアメリカは大国で、人の国の文化に鈍感なところがありますから厚かましく物を言うんですね。ですから、どうしても欧米モデルを強制する、そういう欠点があると思いますので、これはやっぱり第二の理事国である日本はそれ相当に途上国なりそういうところに向き合う場合にはその辺の配慮も必要じゃないかという感じもいたしますね。  極端な例がインドネシアでして、目下アメリカとの間で際どい場面を迎えているようです。インドネシアは、スハルト独裁政権にまつわる経済危機というよりは政治危機の様相が強い。スハルト大統領のファミリーが経済を独占的に支配して、彼は世界の第八番目の富豪にランクされておるそうです。  報道によると、橋本総理はIMFというかアメリカの強い意向を受けてインドネシアに赴くといいますね。アメリカは日本の対応を見きわめたいという魂胆にあるものと思われますが、とにかく間違っても軍事政権に見当違いなメッセージを伝えたり民衆の失望を買ったり日本不信を醸し出すような契機になってはならないと強く要望しますが、大臣からもその旨総理にしっかりお伝え願いたい、こう思いますが、よろしいですか。
  218. 松永光

    国務大臣松永光君) 我が国は、二月二十日、インドネシアの民生の安定に資するという意味で医薬品その他の支援をするということを閣議で決めて、そして援助を行うことになっておるわけであります。それはまさにインドネシアの民生の安定です。そういった立場で日本はおるわけでありまして、インドネシアに対する金融不安解消のための支援はIMFの仕組みの中で、国際的を仕組みの中で支援していきますけれども、同時にアジアの代表的な国である日本としては金融面の支援のほかに民生安定のための支援も日本独自でやっておる、こういうことでございます。  橋本総理のインドネシア訪問、実はインドネシアの経済が早く安定するように、インドネシアの民生が早く安定するように、そのためにはどういったことが大切か、こういったことを中心に意見交換をなさるためにいらっしゃるものだと、こういうふうに思っておりまして、私があえて総理に申し上げるまでもなく、きちっと総理はやってこられるものと、私はそう信じております。
  219. 志苫裕

    志苫裕君 大臣、私が申し上げたいのは、ODAでも何でもそうですが、とかく独裁政権というのは民衆と敵対をしている場合が多いんです。それだけに民衆の不満をもらい火することが間々あるわけですね。その辺に十分注意を払ってほしいということを申し上げているんです。  ところで、このIMFを補完するというふれ込みで、先ほど今泉議員からも発言がありましたが、日本政府のイニシアチブでアジア通貨基金構想、AMFというのが昨年の秋のマニラでのアジア地域蔵相・中央銀行総裁会議で提起された。アジア諸国は選択の幅が広がるし支援の輪も大きくなるというので歓迎したが、欧米、とりわけアメリカの反発は強くて、先ほどもお話がありましたが、米議会では法案の採決に附帯決議をつけるなどの緊迫した局面もあって、結局はさたやみになったと聞きます。それがアジアの失望になっていくわけだが、日本の基本的スタンスの事のてんまつを述べてくれますか。
  220. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 御指摘アジア通貨基金構想は、具体的にはタイのバーツ危機を背景として、タイに対するIMFの支援を補完するために東京で八月十一日に会合がございまして、日本中心アジア諸国が補完的な融資を行ったということから具体的な話が始まりました。もとより、ASEAN諸国の中で既に一昨年来IMFと別にこういった基金をつくるべきだという議論が行われていたようでございますけれども、具体的には先ほど申し上げたようにタイ支援の東京会合で地域の協力を仰ぐということが初めて現実のものとして行われたことを受けまして、これをいわば発展的に常設的な仕組みとして構成してはどうかという話がASEAN諸国を中心に強く出てきたわけでございます。これをタイ支援の場合の日本の強いリーダーシップと重ね合わせまして、ASEAN諸国と話し合う中でアジア通貨基金構想というものが生まれました。  そして、バンコクのASEMの蔵相会合というのが初めてございました。これはヨーロッパとアジアの会議ですが、そこでASEAN諸国がこれを正式に進めるということを決めまして、香港のIMF総会に日本、ASEANその他アジア諸国が臨んだわけでございます。その際、御指摘のように、アメリカが強く反対をいたしました。これは半分誤解であり、アジア通貨危機がもうタイでおさまると思ったんだと思いますが、半分誤解と申しますのは、このIMFに対抗するようなものをつくるというふうに思ったようですけれども、そういうものではこのアジア通貨基金構想はございませんでした。つまり、IMFを補完するものだったんですけれども、対抗するものと誤解されたということもありまして反対があったわけでございます。しかし、その後インドネシアの通貨危機が起こり、米国もインドネシアに対する支援を行うということになりまして、そうした中から米国側にも妥協するという動きが出てまいりました。  他方、ASEAN諸国を中心とするアジア諸国の方も米国と妥協していこうという動きが出まして、御指摘のように、昨年の十一月にマニラで日本アジア諸国及び米国が加わりまして合意が成立いたしました。これは一方ではIMFを中心に協力するということを強化すると同時に、域内諸国でやはりアジア通貨基金構想と同様に域内諸国がIMFの資金を補完するような支援を行うという仕組みを組み入れておりますので、その意味アジア通貨基金構想の一部がこのマニラ・フレームワークの中に生かされたというふうに理解をしております。
  221. 志苫裕

    志苫裕君 去年の秋の三塚大蔵大臣の記者会見の模様なんか見ていますと、何か世界の盟主になったような雰囲気だったんだけれども、いつの間にかどこか消えちゃったですね。大変残念ですね。  それはともかく、最後にしますが、民主化と人権の問題でしばらく凍結しておりましたミャンマー向けの円借款を再開すると報じられております。どういう判断でどうしようというのか、コメントをできればお願いしたいと思います。どうもこのごろ日本政府のやり方はイージーで、けじめがなくて何でもありの感じが強い。この点についても、恐らくまたNGOや民衆の反感を受けるんじゃないかということは容易に想像できますが、ちょっとその辺の判断を。
  222. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 御案内のとおり、円借款につきましては四省庁体制ということで、外務省、大蔵省、通産省、経済企画庁、四省で協議しつつ進めております。  御指摘の点はたしかミャンマーの首都ヤンゴンの飛行場の整備に関する円借款の件であると思います。かつて円借款を供与いたしまして工事が始まっておったんですが、それが中断してそのままになっておったと。その中のごく一部のものについて、非常にこの飛行場の危険性がこのままでは強いということもございまして、その一部について、新規の案件ということではなくて、続行している案件の中の、しかも一部についてどうしても必要な部分について再開を検討しておるものというふうに理解をしております。
  223. 志苫裕

    志苫裕君 ありがとうございました。
  224. 笠井亮

    ○笠井亮君 この間、日本はIMF主導によるタイ、インドネシア、韓国ということでの支援策に加わってきたわけでありますけれども、これらの国々に対する昨年夏以降の国際金融支援というのを見ますと、その規模は急速に大きくなってきているということが言えると思うんです。  その中で日本について見ますと、今回のIMFに対する増資を含めますと、そのほかに日本のバイ支援というのがありますが、これは第二線準備というのを入れると合計で百九十億ドルというのがバイ支援であって、増資分を入れますと約三兆三千億円近くになるのかなというふうに思います。  極めて膨大な規模だというふうに思うんですけれども、この財源というのはどこから手当てをしようとしているんでしょうか。
  225. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) まず、タイ、インドネシア、韓国に対する二国間の支援の御指摘の百九十億ドルについて御説明申し上げます。  タイに対する四十億ドルの支援は、これはIMFと協調してアジア諸国とともに支援するというものでございまして、日本輸出入銀行から四十億ドル相当の円をIMFの支援と並行的に行うということになって実際にこれを実行しております。インドネシアに対しては五十億ドルの第二線準備ということを、シンガポールが五十億ドル、米国が三十億トルコミットしたのと同様にコミットをいたしておりますが、まだ実行いたしておりません。韓国につきましても、日本が百億ドル、米国が五十億ドルという形で第二線準備をコミットしておりますが、これもまた実行いたしておりません。  いずれも実行する場合は、これはIMF等国際機関の支援で不十分であるという例外的な場合にごく短期の支援を行う、具体的には外為特会が持っております外貨を相手国の通貨とスワップするという形でごく短期の支援を行うという形になっております。これは諸外国ともすべて同様でございます。  最後に、IMFの出資につきましては、原則として四分の三は出資証券という形で出資をいたします。通貨代用証券というふうに法律上の言葉で申し上げますとなっておりますけれども、残りの四分の一をSDRで出資するということになっております。  通貨代用証券の部分は、将来、具体的にいずれかの国がIMFから資金を引き出すというときに、そのために円を供給する必要があるときに初めて日本側がこれに応じるというものでございます。  それから、SDRは外為特会が保有しているものをそのまま出資するということになるわけでございます。
  226. 笠井亮

    ○笠井亮君 いずれにしても、公的な資金であることは間違いないわけでありまして、私は、そういう支援を行うならば相手の国からも喜ばれる、その国の自主的な、自立的な経済発展にも本当の意味で役立つものになるようにすべきだというのは当然だと思うんです。  ところが、IMFは支援策ということと引きかえといいますか、そういう点で相手国に対して付加価値税の増税だとか、あるいは財政支出の削減だとかさまざまな厳しい政策の実施を求めております。その結果、これらの国々の国民生活の水準というのが実際には切り下げられて、特に勤労者とか貧困層とかいうことで生活不安が広がり、ストライキやデモなどの抗議行動が拡大しているということで反発を呼んでいるという面がある。アジア通貨危機の発端となって最初にIMF支援が始まったタイはいち早く条件の緩和ということで動いているということがあると思うんです。  私は、重大なことは、アメリカ主導でそういう政策を求めると同時に、一気にグローバリゼーションに引き込むような形で自由化政策をも迫っていることではないかと思うんです。つまり、これらの国々に対して政策を個別変更するということを求めるだけじゃなくて、経済構造やシステム全体も変更を求めるという形になっていると思うんです。  その経済システムについては、それぞれの国の条件や実情もありますから、その国自身が選ぶ権利があるわけでありまして、先ほどもありましたけれども、途上国に欧米流の市場経済システムを一気に押しつけるということになりますと、これは混乱するのは当然かなと。そういうやり方によってこれまで以上にこれら諸国の自主的で多様な経済発展というのが逆に閉ざされるおそれが大きいんじゃないかと思うんです。そういう点も含めて、オーストラリアを初めとして先進国の中からも条件緩和という配慮を求めようという声が実際にあると思うんです。  四月にG7とか暫定委員会の会議があるわけですけれども、国際的にもIMFの改革論議がさまざま行われている中で、出資率が第二位の日本が本当の意味世界経済の持続的発展への貢献をするためにも私は相手国の内政干渉になるような条件の押しつけはやめさせて、融資条件の緩和ということで努力すべきじゃないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  227. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 私も御指摘の点は非常に重要なポイントであると思っております。  具体的に申し上げますと、タイ、インドネシア、韓国、それぞれにつきまして、当初IMFがそれぞれの国と合意したプログラムをそれぞれの国が実施していたわけでございますが、その後実態に合わないという部分が出てまいりまして修正をしております。  例えば、タイの場合ですと予想以上に景気の落ち込みが大きかったということで、当初は財政を黒字にする、タイはもうずっと黒字であったわけですけれども、九七年に財政が赤字になりまして、九八年には黒字にするというのが目標だったわけですが、これは無理であるということで財政赤字を容認するという形に修正をいたしております。それとともに、今御指摘のような貧困層の問題ということに対応いたしまして、社会保障関連支出を確保するというふうにプログラムの修正を図っております。  インドネシアの場合も同様でございまして、当初見込んでいたような経済状況でないということで幾つかの修正を図っております。一番大きな修正は、恐らく財政部門もさることながら、金融セクターの再建ということで十六の銀行を閉鎖して、そのときに預金を全額保護しなかったわけでございます。その結果、銀行の取りつけのような騒ぎが起こりまして大変な状況になったということを踏まえまして、ことしに入りましてIMFとインドネシアが合意いたしまして、銀行の預金者、債権者の預金、債権については全額政府が保証するという新しい取り組みをやっております。また、いろいろなソーシャル・セーフティー・ネットを拡充するということをやっております。  韓国につきましてもある程度そういうことをしております。  しかしながら、御指摘のように、それぞれの国には歴史があり、その経済構造等もかなり違っておりますのでなかなか一様なプログラムではまいりません。IMF側もある程度試行錯誤をしているというのが現状がと思いますけれども、そういう際には我が国としてもいろいろな形で実際にもIMFにアドバイスをしておりますし、必要に応じてコンディショナリティー、条件の緩和等を過去においても働きかけてまいりました。
  228. 笠井亮

    ○笠井亮君 修正がされているというのは私も承知しているんですけれども、やはり基本的にはコンディショナリティーの問題でいえば、これは旧来と同様の処方せんという延長にまだあるというところで、過去においてもということですけれども、これからの問題としてはこれはこの程度の問題ではだめだということだと思うんですよ。  キッシンジャー氏も、二月九日のワシントンポストを見ますと、こう言っております。IMFの救済計画方式は、八〇年代の中南米債務危機の際に開発されたものである、債務のほとんどが政府関係のものである場合にはその処方せんは政府国民向けのサービスの縮小、通貨の切り下げ、輸出の促進といったものになる、中南米におけるこうした処方せんは危機原因に対しては適切であったものの、これは彼の意見ですけれども、それまで既に弾圧に苦しんできた各国にさらに厳しさを加えたために深刻な政治問題を招来した、しかし東南アジアはほとんどの政府予算が堅実であり、債務のほとんどが民間部門のものであったところからそうした救済計画はほとんどの中枢問題にとって関係さえないものであると、そこまで言い切っているわけであります。  私はそういう点では基本的にIMFのとっている今のそういうプログラムに対する条件の問題、これは従来と同様のものを引きずってきていて、それでは本当に当事国にとって、相手国にとっていいものではないということではないかと思うので、これはさらに一層の真剣な検討をぜひしていただきたいと思うんですけれども、その点一言いただいて終わりたいと思います。
  229. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 御指摘のとおり、タイ、インドネシア、韓国とも、東アジアの国はみんなそうでございますが、財政はほとんど均衡ないし黒字でございます。それも単年度でなくてもう十年以上にわたって財政が黒字であるという国が多いわけでございます。そういう国に対して、こういう状況のときに財政が赤字に落ち込んだ、それを直ちに黒字にせよというのは必ずしも適切な処方せんではないということは御指摘のとおりでございます。  ただ、IMFもタイあるいはインドネシア、韓国について非常にやみくもに財政赤字を大きな財政黒字に転換しろと言ったわけではございません。なぜそういうことを言ったかといいますと、いずれの国も金融セクターが非常に大きな問題を抱えている、したがって破綻する金融機関の預金あるいは不良債権の買い取り、あるいは資本注入等のために財政資金がかなり必要になると。したがって、そういう意味で必要になる財政資金分は少なくとも別途財政部門で黒字というかそういう余地をつくらなければならないと。それ以上に大きく黒字にせよということは言っておりません。  しかし、それでも、今御説明いたしましたように、結果で見ますと楽観的過ぎた、きつ過ぎたということでございまして、いずれの国におきましても財政赤字の削減目標、ターゲットを下げているというのが現状でございます。  今後とも、IMFのプログラムについては我が国としても十分問題意識を持って議論をしてまいりたいと思っております。
  230. 笠井亮

    ○笠井亮君 終わります。
  231. 星野朋市

    ○星野朋市君 私は中国の元の問題に絞ってお尋ねをしたいと思います。  先ほどもちょっと今泉委員質問の中で触れられましたけれども、中国の元は私の見るところどうしてもかなり割高になっているという感がぬぐえません。  特に、去年の秋からことしにかけて東南アジアの通貨が大幅に下落をいたしまして、中国の元の切り下げのうわさが相当飛び交った。中国は必死になってこの切り下げを抑えたわけでございますけれども、東南アジアのほかの通貨が下落したためにどうしても元の割高感というのが出てまいりまして、去年の秋からことしにかけて輸出は急速に競争力を失う、それから外資の導入がほとんどなくなってきた、こういうような問題が今あると思うんですけれども国際金融局長、御感想を伺いたいと思います。
  232. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 外資の導入につきましては、中国はかなり前から量、あるいはどこにどういう外資を導入するかということについて厳しくコントロールしてまいりましたので非常に大きく変動しているということはないと思いますが、最近主要先進国から中国への外資の導入はテンポがいろいろな理由から落ちているということは事実でございます。  それから、先ほども申し上げましたとおり、中国は貿易黒字、経常収支黒字でございますが、昨年の暮れにかけてそれが縮小しておるということも事実でございます。  他方、確かにアジア通貨は三割、四割、あるいはインドネシア・ルピアの場合ですと七五%ぐらい下落しているわけでございますが、たしか数年前に中国の人民元は三割強の切り下げを行ったわけでございます。もちろん、複数為替のようなものを統一いたしましたので完全にその三割以上下落したわけではございませんが、それでもある程度の額の切り下げを行ったわけでございます。それがいわば今少なくとも東南アジアの通貨については取り戻されるというか、むしろ大きく下落してそちらの方の輸出競争力が強くなって、相対的にその分中国の輸出競争力が落ちているということは御指摘のとおりでございます。
  233. 星野朋市

    ○星野朋市君 中国自身は、自分のところの元を切り下げないで頑張っているのは他の東南アジアの通貨に対していい結果を及ぼしているんだという強気を言っているけれども、そのために自国の経済がややきしんできているということもまたこれ事実だと思うんです。  それで、今、中国の都市部の失業率というのはどのぐらいかというと、率にして三・五%と言っているんですね。人間の数からいうと千百五十万人、そのうち国営企業の失業者というのは約七百九十万人なんですよ。そして、この間労働大臣が発表したこれからの失業者はどのくらい出るだろうかというと、国営企業を中心にして三百五十万人出るだろうと。そうすると、失業率は都市部だけで公式に四・五%ぐらいになるんですか、実質的には七%ぐらいになるだろうと、こういう経済の実態があります。  そうするとどうなるかということは、先ほどから私が言っているように、外資はそういうところを見でなかなか入ってこない、既に経済特区なんかはバブルの後遺症みたいな形で空きビルが相当目立っている、開発リゾート地区なんかは外国から人が来ない、こういう状態です。これは東南アジアに対してというより世界に対して中国の経済の大きさ、それからもう一つ日本の円ですけれども、この二つというものが相当大きな影響を与えると思うので私はかなり心配して言っているんです。  もう一つ、急にお尋ねして申しわけないんですけれども、今いわゆるデリバティブズ、ファンドマネーというのはどのくらいの規模であると思われますか。
  234. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) ちょっと手元に数字を持っておりませんのでわかりませんが、為替の取引の総量につきましてはBISが数年置きに発表しておりますけれども、全世界で直物、先物、スワップその他各種のデリバティブを含めて為替に関するものでございますが、一日に一・五兆ドルないし二兆ドルぐらい取引があるというふうに聞いております。
  235. 星野朋市

    ○星野朋市君 デリバティブズの総額は九二年に十七兆ドルだったんですね。それから九五年に約四十兆ドルだったんです。その勢いで伸びていったら今どのくらいあるかといったらちょっとわからないんですよ。だけれども、最低でも六十兆ドル、多ければ八十兆ドルぐらいあるだろうと。  それで、マハティールがジョージ・ソロスを非難したけれども、リンキットが切り下げに追い込まれたのはそのデリバティブズの怖さというのに結局対抗できなかったんですね。私は、この中国の元が突っ張っていてどこを攻撃されるかというと、香港ドルがやられると思うんです。  それで、先ほど志苫委員質問にお答えになって、日本がNIES、それからASEAN諸国に対する貸付金、与信の総額が二千七百二十億ドル、約三十兆円という去年の六月の数字のはずなんです。だから、その後どうなったかというと、東南アジアの通貨は相当下落してしまったわけですから、これは日本の債権の中に問題債権というのが相当発生したと思うんですね。ですから、これが今言ったデリバティブズにやられて、さらに東南アジアの通貨が変動すると日本の問題債権というのはますます大きくなる可能性がある。  大蔵省はこれに対して何か今から対策をお考えですか。
  236. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 先ほど申し上げましたとおり、また委員指摘のとおり、確かに最近の東南アジア通貨の異常な下落というものがいろいろな問題を引き起こしているわけでございますが、なかんずく日本を含めた外国の銀行の債権についてどういうことになるのかという問題がございます。  その中で典型的に最も問題になっており、しかも我が国の債権も大きいというのは先ほど申し上げたタイ、インドネシア、韓国でございます。もちろん、香港、シンガポールに対する我が国銀行の債権はもっと大きいわけですが、これはもともと香港、シンガポールが国際的な金融センターでございまして、ロンドン、ニューヨーク、東京と並ぶようなセンターであるということでそうなっているわけでして、これについて特に今の時点で問題があるというふうには認識しておりません。問題はそのほかの東南アジア諸国、中でもタイ、インドネシア、そして東アジアの韓国ということになると思います。  韓国につきましては、幸いロールオーバーができ、期間の長期化もでき、それに対する韓国中央銀行の保証というものもつきまして、日米欧の銀行は近くほとんど一〇〇%近くそういうロールオーバー、長期化に応ずるという契約ができると思いますので、しかもこれは恐らく各金融管理当局、監督当局から見ても不良債権とはみなされない、つまり韓国の中央銀行の保証がつき、しかもしかるべき金利のついた中長期の債権という形でそれは問題ないということになると思います。  それから、タイは残念ながら欧州の銀行が非常に資金を回収しておるということでクレジットクランチ的な状況が起こってまいりまして、日本銀行は比較的優良な債権を持っているということで余り回収していないようでございますが、欧州の銀行は回収しているようなことで問題が起こっておりまして、貿易、金融等について我が国がタイを支援するということをやろうとしているのもそれに対応するという問題意識でございます。  問題は先ほど申し上げたようにインドネシアでございまして、これはまさに予断を許さない状況にあると。これに対してどうするかということは、インドネシアに対する支援、インドネシアの金融、経済が破綻しないように国際的に協調していくということがまず第一であろうと思いますし、他方でそれぞれの債権について銀行が個別にしかるべく対応するということも不可避的に必要になってくるというふうに思っております。
  237. 星野朋市

    ○星野朋市君 終わります。
  238. 菅川健二

    ○菅川健二君 今回の増資によりまして日本の出資割合が高まり単独二位の出資国となることは望ましいと考えておるわけでございますが、これにふさわしい評価を国際社会に得ているかどうかということは甚だ疑問に思うわけでございます。  我が国の意思がIMFに反映しにくい原因一つに、基金の上級職員日本の国籍を有する者が全職員中、千五百四十六名おるわけでございますが、たったの二十五名で一・六%ぐらいにすぎないわけでございます。出資国中十二位となっておるわけでございますが、出資割合にふさわしい職員増に努めるように配慮が必要ではないかと思うわけでございますが、この点いかがでございましょうか。
  239. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 委員指摘のとおりでございまして、一方で出資あるいは投票権シェアが高まって、それによって理事会における発言権が増すということも一つでございますが、もう一つ重要なことはIMFのスタッフの中で日本人が活躍するということが重要でございます。残念ながら御指摘のようにまだ一・六%程度にとどまっておりまして、しかもこの数字は過去十年程度を見ましても余り改善しておらないということでございます。  ただし、幸いなことに最近いわゆる専務理事に次ぐ副専務理事、専務理事がトップにおりましてその下に三人副専務理事がいるわけですけれども、その三人の副専務理事の一人に日本人がなったということがございます。それから、局長クラスにも人がいるということで、かつてよりもかなり幹部クラスのところにある程度日本人の職員がちらほらと出てきていることは事実でございますが、依然として全体として専門職員の中の日本職員の割合というのは御指摘のような低位にとどまっておりますので、何とか日本職員が増加するようにPRする、あるいはIMF側に働きかけるということをしていきたいと思っておりますし、最近東京にIMFの事務所ができまして、そこを通じてのリクルートの活動もぜひやってもらいたいというふうに思っております。
  240. 菅川健二

    ○菅川健二君 ぜひ引き続き増員に努めていただきたいと思います。  次に、アジア通貨危機原因一つに、先ほど来お話がございましたけれども、自国通貨をドルに連動させていますために、このところのドル高で自国通貨が過大評価され輸出の競争力を失ったこともあるわけでございます。国際的に通貨を安定させるためにはドルのみに依存する体質から円、やがてユーロもでき上がるわけでございますが、ユーロを加えた三軸による通貨体制に移行するよう環境を整備することが重要ではないかと思うわけでございます。このためには我が国として円を国際的に使いやすくするための準備をすべきではないかと思いますが、いかがでございますか。
  241. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 御指摘のとおり、東南アジアを含む東アジアのほとんどの国はドルに事実上ペッグしておりましたけれども、今回の通貨危機で香港を除きすべてと言っていいほどドル・ペッグを断ち切ったわけでございます。しかしながら、国際通貨の必要性というのは変わらないわけでございまして、そういう中で従来のアジア諸国がドルにかなり一方的に依存している形からもう少しバランスのとれた、円やユーロも使われるという仕組みになることが望ましいのではないかというふうに思っております。  ただ、円がどれだけ使われるかということは最終的には貿易決済あるいは資本取引等において民間の企業、個人が選択することでございますので、政府として一方的にそれを慫慂するというわけにはまいりませんが、できる限りの環境整備をしてそういった方向に持ってまいりたいというふうに思っております。
  242. 菅川健二

    ○菅川健二君 具体的に二つ申し上げたいと思いますが、政府短期証券、FBでございますけれども、現在公定歩合より下で日銀に引き受けさせておるわけでございます。これを条件をよくして市場に引き受けさせて諸外国が購入しやすいようにしたらどうかということが一点でございます。  それから二点目でございますが、外国からの債券投資に対する利子課税の源泉徴収をなくするということも有効な手段ではないかと思うわけでございますが、この点について御見解をお聞きいたしたいと思います。
  243. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今、委員が御質問になられました政府短期証券、FBでございますが、これは財政法の第七条等の規定に基づきまして、国庫金の出納上必要があるときに発行される証券でございまして、資金繰り上必要な資金を適宜確実、効率的かつ有利に調達する必要があるわけでございます。  そういう趣旨からいいますと、現在、政府短期証券につきましては、今言われました定率公募残額日銀引き受け方式等によって発行するとともに、その条件であります金利は公定歩合を基礎に政府の信用力を勘案して発行金利を設定しているところでございまして、資金繰り債としては私ども一つの合理的な仕組みであると考えておりますが、今、委員が言われました諸外国からも購入しやすくというような意味で言いますと、日本の短期金融市場のことを全体としても見ていただく必要もあるんじゃないかと。  そういう場合、政府の関与します意味では割引短期国債、いわゆるTBというのもございます。これは発行量が着実に増大しておりまして、八年度末では約十二兆五千億ございまして、政府発行という意味ではTBの方が短期金融市場の中核的な商品となりつつあるわけでございます。
  244. 尾原榮夫

    政府委員(尾原榮夫君) 委員の第二点の御指摘は、外国からの証券投資に対する利子の源泉徴収税を廃止したらどうかというお尋ねでございました。いわゆる非居住者の受取利子の問題でございますが、この受取利子につきましては原則として源泉徴収を現在行っております。  この課税権の問題を別といたしますと、二つほど大きな問題があるように思います。  一つは、非居住者の受取利子に対しまして源泉徴収を撤廃しますと、同じ利子所得を受け取ります居住者、日本に住んでおられる方の場合は課税で非居住者の場合は非課税ということになりまして、公平を欠くのではないかと。  それから第二点の問題でございますが、非課税といたしました場合に、非居住者であるかということをどうやって見分けるか。我が国には御承知のように納番等がございません。また、諸外国の例を見ても大変これが租税回避に利用されてしまうという問題もございます。このような状況を考慮して今の制度になっているわけでございます。  この非居住者の受取利子に対する源泉徴収の問題でございますが、金融システム改革が進められる中で、税制全体の中における位置づけを的確に押さえまして、公平、中立、簡素という租税原則を踏まえながら、適正課税担保のための措置とあわせて検討を行っていく必要があると考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、現在この原則を変えなければならないという状況にはないのではないかと考えているわけでございます。
  245. 菅川健二

    ○菅川健二君 ひとつ引き続き御検討をお願いいたしたいと思います。  以上でございます。ありがとうございました。
  246. 石川弘

    委員長石川弘君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  247. 笠井亮

    ○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、国際通貨基金に対する増資法案につきまして反対の討論を行います。  本法案は、IMFの第十一次増資に伴い、我が国が約五十一億SDR、八千七百億円の増資を行おうというものです。  IMFは最大の出資国であるアメリカ主導の運営が行われており、途上国等への融資に当たっても、融資の条件として過酷な経済政策や英米流の市場経済化の押しつけがなされています。こうした現状のままで我が国が出資シェアをふやすことは、この戦略の推進に我が国が一層深くかかわることになります。  とりわけ、今回の増資アジア通貨危機にも対応するものですが、今起きているアジア危機は八〇年代の中南米の危機とは原因や性格が大きく異なっているにもかかわらず、講じている処方せんは従来と同様のもので、増税や公共料金の引き上げ等をもたらすなど、対象国の国民、特に勤労者や貧困層に多大の犠牲を強いるものとなっています。また、急激な自由化政策はこれらの国の自主的な経済発展を阻むことにもなりかねません。  以上の理由から本法案には反対であることを表明し、討論といたします。
  248. 石川弘

    委員長石川弘君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  249. 石川弘

    委員長石川弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、久保君から発言を求められておりますので、これを許します。久保亘君。
  250. 久保亘

    ○久保亘君 私は、ただいま可決されました国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民友連、公明、社会民主党・護憲連合、自由党及び改革クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 国際通貨基金の運営等に当たっては、人材面等での協力を進めるとともに、その政策決定において主要出資国にふさわしい指導力の発揮に努めること。  一 国際通貨基金について、その活動内容に関する情報開示の充実等に努めること。  一 アジア地域の金融通貨危機に対処するため、同地域における経済構造及び金融セクター等の改革が着実に行われるよう、国際通貨基金とも連携しながら積極的な役割を果たすこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
  251. 石川弘

    委員長石川弘君) ただいま久保君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  252. 石川弘

    委員長石川弘君) 多数と認めます。よって、久保君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、松永大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。松永大蔵大臣
  253. 松永光

    国務大臣松永光君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
  254. 石川弘

    委員長石川弘君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 石川弘

    委員長石川弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十四分散会      —————・—————