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伊藤基隆君 私は、今の日銀総裁、また
大蔵大臣の御答弁は理論的にはそうだと思うんですよね。しかし、何で二年五カ月も続けてまだ何の
効果も出ないんですか。この間、何次にもわたって多額の公共投資が行われて
効果が出ない。そうすると、私自身に答えを出せといってもかなり無理なんですけれ
ども、多くの討論をしなきゃならないと思うんですが、どうするんだと。庶民の感覚からいうと、庶民の預貯金というのは汗の結晶なんですよ。掛け算では金は絶対入らないんです。全部足し算なんです。
一つ一つ積み上げて少しずつためて、それで預貯金になっていくわけです。
市場原理じゃないんですよね。
ところが、公定歩合とか預貯金
金利は
政策によって決定される。あとは
市場メカニズムの中で動いていきますから、高齢者の世帯だけ
金利を上げるというようなことはなかなかやりにくい。やればできるんでしょうけれ
ども、
市場メカニズムで実施されておる。すなわち、稼いで
銀行、郵便局へ持っていくときはそのお金は絶対的な価値がある、絶対価値みたいなものがあるんですよ、各人にとっては。ところが、一たん
金融機関に預けられる上相対化されちゃうわけです。何だおまえ、汗水流して働いたってそんなもの関係ないで、幾らは幾らやということになると。これはキャピタルゲインだって同じように扱われるわけですね。だから、庶民から今の政権の
経済政策、日銀の
金利決定の判断について批判が強いんです。ぜひそういうことをお酌み取りいただきたい、どこにもしりの持っていきようがないんですから。さっき言ったように、踏んだりけったりの今けったりの
状況で、けられっ放しですわね。それでは余りにも気の毒じゃないか。
経済の
状況がよくなれば収入もよくなるんだから早くやってみてくれということですわね。
そのことを臨時国会の中では盛んに私も言いました。公共投資の問題も言いました。
金利の問題も言ったし減税も言ったし、みんなノーだと。だけれ
ども、ある日突然減税をやって、それはおかしいけれ
ども、よかったなと思っていますよ。ある日突然また
金利を上げようなんということになるのかもしれないけれ
ども、そのときは事前にぜひ国会に説明をいただきたいというふうに申し上げたいと思います。
通告した質問以外いろいろなことでやっていって、時間がまだ幾らかあります。初めて九十何分という時間をいただいてうれしくてやっているんです。
さて、
経済の現状を見ますと、先ほ
ども申し上げたとおり、深刻な不況に落ち込んでいくような危険な
状況にあるのではないかという
危機感を持っております。ですから、今回の
法案が出てきたことについてもそういう
経済分析のもとに行われているんじゃないかなというふうに私も薄々思っております。
さて、
日本経済はこれまで比較的好況だった大
企業、製造業、自動車、電機などと、低速
状況が続く
金融、建設、不動産、
中小企業及び流通の二極
状態にあったと、大
企業、製造業と
金融、建設、不動産業とか中小製造業の二極
状況。しかし、最近になって長引く消費の低迷の
影響が大
企業、製造業にも及んで、自動車、電機など軒並み生産計画を下方修正してきております。昨年の春以降、証券、
金融、生保の次々の倒産、廃業が起こって、さらには中堅ゼネコンの東海興業、大都工業、多価建設、流通のヤオハン、食品の京樽、東食、レジャーの日東興業、これほどの大型倒産が相次いでいるということはかつてないことではないんだろうかというふうに思っています。
さて、四月から実施予定だった
早期是正措置ということが
金融機関の信用収縮、貸し渋りに
影響を及ぼしてきまして、このことが幾つかの大
企業の
経営不安説が風説として流されるなどということが起こってきて大変な問題になってきている
状況でございます。午前の
質疑の中にも貸し渋りの
状況が出てまいりました。私も、日銀からデータをいただきまして、
貸し出し状況や
貸し出し態度について時系列的に見させていただきました。貸し渋りというのは決まった決まりはないんだそうでございまして、
貸し出し案件本来の条件からすれば、従来、当然
貸し出してしかるべきものに
貸し出しをしないということが貸し渋りということなんだろうと思いますが、民間
金融機関の詳しいデータがないとなかなか証明は難しいんだろうと。目録のデータを見ただけでは本当に貸し渋りがあるということになかなかデータ上は言い切れないような気がいたします。
民間
金融機関の言い分としては、そもそも
資金需要がないんだと、あるいは
企業業績の悪化のため
融資すべき
案件が減っているのだという主張もあるようでございますけれ
ども、かなり無理をしてというか、大まかに日銀のデータを見て民間
銀行の
貸し出しが九六年末以降五業態ベースでほぼマイナスの伸びを続けている、加えて日銀短観の
貸し出し態度、DIが同時期急速に悪化していることを考えますと、貸し渋りが相当程度あるというふうに見られるのではないかというふうに思います。
そこで、日銀として今の貸し渋りということがどの程度あるのか、どういう
状況になっているのか、まずその辺の分析をお聞かせいただきたいと思います。