○公述人(山内武雄君) 自治労新潟県本部で衛生
医療を担当しております山内と申します。あわせて新潟県
医療の事務局も担当しておりますので、
医療を受ける立場も踏まえて発言をさせてい
ただきたいと思います。
なお、発言に際しまして
意見陳述メモを配付させてい
ただきました。メモのほかに、「新潟県の二次保健
医療圏における一般病床の必要病床数」と既存病床数の推移を参考資料として配付させてい
ただきました。そのほか、自治労新潟県本部の執行
委員という立場で、「
医療保険制度改革の取り組み」、自治労本部の基本的な視点も入れておきました。最後のページに、新潟日報の三月の記事でありますが、これは県内の
診療報酬明細書の開示請求、この記事を参考資料として載せておきましたので、後ほどごらんい
ただきたいと思います。
時間の
関係もございますので、早速今回の
改正点の三点について
意見を申し上げたいと思います。
まず、一点目の
保険医療機関の病床の指定に関する
改正についてであります。
メモにも記載をしておきましたけれ
ども、新潟県の病院開設者別の数を載せておきました。これをごらんになるとわかりますが、新潟県の場合、非常に公的病院の占める割合が高い県であります。特に県立病院は岩手県に次いで多い県であります。
さて、必要病床数の
関係で県内の現状を述べさせてい
ただきたいと思います。
一つは、昭和六十二年に必要病床数と既存病床数の
医療法
改正が行われたときに、新潟地域は病床過剰地域でありました。そのときに何が起こったかというと、ここにも記載をしておきましたけれ
ども、地域保健
医療計画策定時の病床数のドーナツ化現象であります。いわゆる新潟市民を対象に隣の圏域でベッド数がふえてきた、こういった
状況が起こりました。、
さて二点目に、病床数不足圏域での中核病院以外の病床利用率の低下について申し上げたいと思います。
その次のページの参考資料の「新潟県の二次保健
医療圏における一般病床の必要病床数」を見てい
ただきたいと思います。メモの四ページ目になりますが、ここに「自治体立病院の概要」を記載させてい
ただきました。これは自治体立病院の病床数、病床利用率、そして一日平均外来
患者及び入院
患者を記載させてい
ただきました。これは地方公営企業年鑑より抜粋をさせてい
ただきました。
その中で、「(上越)」は上越圏域であります。これをちょっと見てい
ただきたいと思います。上越圏域はベッド数が不足地域であります。不足地域でありますが、下から四つ目の県立中央病院、これは上越圏域の中核病院であります。ここは病床利用率が九八・二%であります。同じ上越圏域、県立松代病院、県立柿崎病院、これは病床利用率が七五・九、そして六一・六%であります。同じ不足地域でありながら、中核的病院はベッドは九十何%、いわゆる
医療過疎、同じ圏域の中で
医療の過疎が生じている。こういった現状が生じているということを申し上げておきたいと思います。
それと、有床診療所の問題であります。特に国保の診療所の
関係であります。
医療法上、診療所は四十八時間以上の入所は禁止をされております。法律上やむを得ない場合を除くというふうになっておりますが、国保の診療所の場合、いわゆるがんの末期の
患者が地元で最期を迎えたい、こういったことで四十八時間以上の入所の方がかなりいるというふうに私
どもは聞いております。このことは診療所が病院機能を果たしている、こういった
状況も生まれてきているということであります。
さて、
医療法の員数の
関係について申し上げたいと思います。
まず、看護婦の募集に際しまして応募がない、こういった地域も存在します。このことはやはり看護人材確保指針の推進を図っていかなければならないところでありますけれ
ども、看護婦を募集しても来ないことによって病床の削減をせざるを得ない地域もあり、病床不足地域で病床の削減をせざるを得ない、こういった地域もあることも確かであります。
それと、
医療法違反の情報公開の問題であります。
厚生白書には
医師、看護婦等の標準数の充足
状況が記されております。この
医療法違反の情報公開がなぜなされないのか。これも御一考をお願いしたいというふうに
考えております。
私は、新潟県内におきましては、病床過剰地域の対応よりも病床不足地域への対応、これを具体的にいかにどうしていくか、これが早急に求められているのではないかというふうに
考えております。
医療法の趣旨も、病院等の不足地城の病院の整備というふうに記載がされておるところであります。
そこで、例として一点ここに記載をさせてい
ただきました。
医療僻地におけるファクシミリの問題であります。
国民皆保険
制度のもとで、ファクシミリ診断につきましては、ベターではあるけれ
どもベストではないんです。ベストはそこの
医療僻地に診療所なり病院を持ってくる、これをまず基本的にやってい
ただきたい、こういうふうに
考えております。
それと、病床過剰地域における指定取り消しに係る
患者、被保険者の不安であります。
私は以前、新潟の弁天橋病院の倒産のときに、そこの病院に労働組合を急遽つくりまして、組合員として
患者の対応を
検討したこともございます。ぜひこのことによって
患者、被保険者の不安がないようにしてい
ただきたいというふうに
考えております。
医療費削減の
気持ちもわからないではないんですが、
国民皆保険
制度の堅持のためにまず何をなすべきか。これは病床数不足地域の対応だというふうに私は
考えておることをまず申し上げておきたいと思います。
さて、二点目の
診療報酬の不正請求の防止に関する措置の強化について申し上げたいと思います。
県内の指定取り消し
状況等につきましては、私
ども県
医療の議長が県の
委員になっておりまして、私も逐一
状況は承知をしているところであります。
今回の罰則強化は必要だと思いますが、それとあわせて、ここにも記載をしておきましたが、
診療報酬明細書の開示請求についてであります。
まず、請求人の制限があります。これはプライバシーの保護の問題ともかかわりますが、基本的に
患者本人または遺族というふうになっております。これでは請求人の制限が強過ぎてなかなか開示請求ができないのではないか、家族も開示請求を求めてもいいのではないか、こういうふうに思っております。そのほかに、開示請求の情報提供が全くない。例えば、病院なり診療所等に開示請求はできることになりました、こういった情報提供も必要なんではないかというふうに
考えているところであります。
さて、二点目にインフォームド・コンセントの徹底というふうに記載をさせてい
ただきました。生意気な言い方をするようですけれ
ども、今のインフォームド・コンセントというのは、
説明をし、同意をさせる、こういった
状況が生まれているんではないかというふうに
考えております。まず、
医師と
患者の
信頼関係を回復した上でインフォームド・コンセントの徹底が必要である、こういうふうに思っております。
新潟県内の開示請求
状況については、先ほど
説明をいたしました新潟日報の記事を後ほどごらんい
ただきたいというふうに
考えております。開示請求ができるようになりましたけれ
ども、ほとんどない、こういった記事が載っておるところであります。
そのほかに、この
診療報酬の不正請求の
観点でいいますと、保険者機能を具体的にどう強化していくか、こういった点もあわせて整備をする必要があるんではないかというふうに私は
考えておるところであります。
さて、最後の三点目についてであります。
老人医療費拠出金に関する見直しについて申し上げたいと思います。
まず第一点、市町村
国民健康保険の構造的な問題の解消であります。先ほど野村公述人も述べておられました、いわゆる市町村国保の加入者の年齢問題、低所得者の問題、地域格差、小規模保険者の増大、こういった基本的な問題をまず解消しなければならないんではないかというふうに
考えております。被用者保険の現状、健保、共済等も踏まえてい
ただきたいというふうに
考えております。
いろいろこの
老人医療費拠出金に関する見直しについて
意見の対立があるようであります。
意見の対立というか、
意見の食い違いであります。いわゆる被用者保険と経済団体と市町村国保、こういった
意見の対立があるようであります。
私は、最後の四のところにも書いておきました。こういった
医療保険制度そのものについては、
抜本改革の先送りによる被用者保険への転嫁でなく、この被用者保険の転嫁によって何が起きるかというと、ひいてはこのことによって
患者負担、被保険者
負担、これが重くのしかかってくるんではないかというふうに
考えておるところであります。そのことによって、この
老人医療費拠出金に関する見直しについては県民の
合意は得られないんではないかというふうに私は
考えておるところであります。
これらを踏まえまして、今回の
医療保険制度改革案につきましては、まず基本的に
抜本改革を具体的にどうするか、これをわかるようにしてい
ただきたい。このことを申し上げまして、私の
意見陳述にかえさせてい
ただきたいと思います。
以上でございます。