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政府委員(矢野朝水君) 公的
年金制度といいますのは、御案内のとおり五年に一度財政再
計算をするということになっております。これは、五年ほどたちますと世の中のいろんな
社会経済状況も変わってくるということでございまして、そういったものに合わせて絶えず見直しをするということでやっておるわけでございます。
それで、今、
委員の御
指摘ございましたように、
平成六年度が前回の財政再
計算ということで改正をしたわけでございますけれども、その後少子・高齢化が非常に進んでまいったわけでございます。これは昨年の一月でございますけれども、新しい
人口推計が示されたということでございまして、少子・高齢化が一段と進むという
予測が行われたわけでございます。
そうしますと、現在の公的
年金制度というのは、自分の納めた保険料に利子がついて返ってくる、こういう形じゃございませんで、基本的にはその時々の現役の方の納めた保険料で
年金を払う、これは賦課方式と称しておりますけれども、こういった財政
運営を行っております。したがいまして、少子・高齢化が進むということは受給者とそういう保険料
負担される現役の方とのバランスが厳しくなってくる、こういうことになるわけでございますので、
年金制度にとりまして非常に大きな影響が出てくる、こういうことになってくるわけでございます。
それからまた、もう
一つ欠きを要素が
経済でございまして、少子化がある
程度進みましても
経済成長が十分期待できるということですと
年金制度にとってもそんなに
心配することもないわけでございますが、
経済もそう
成長は期待できないということになりますと、
年金制度にとりましては非常に厳しいということになるわけでございます。
したがいまして、次期制度改正というのは
平成十一年度、来年度でございますけれども、既に昨年の五月から
年金審議会で
審議を
お願いしておるわけでございまして、去年の暮れに、十二月に
年金審議会として一応一通り
議論を終えたということで論点を整理していただいたわけでございます。それにあわせまして厚生省の方で今後の
年金の
議論の参考にしていただきたいということで五つの選択肢をお示ししたわけでございます。
これは、従来ですと
年金審議会で意見書をいただいて、それをもとに
政府原案、たたき台をつくって御
議論を
お願いする、こういう進め方をしたわけでございますけれども、
年金といいますのは御案内のとおり、加入員が七千万人、それから受給者が延べで三千四百万人、
年金受給額も年間三十三兆円、こういう巨額に上っておるわけでございまして、国民一人一人に密接に関連する問題でございます。そういうことで、大いに国民的な御
議論を
お願いしたい、そういう中で、上から何か押しつけるということじゃなくて、ぜひ国民に選んでいただきたい、選択していただきたい、こういう趣旨で
議論の素材として五つの選択肢をお示ししたということでございます。
こういうことで現在
年金審でも精力的に御
議論を
お願いしておりまして、ことしの九月には意見書をいただきたいということで今御
議論を
お願いしております。それからまた、先般、有識者
調査というのも実施いたしまして、近々結果を御報告できると思いますけれども、そういうことで今精力的な御
審議を
お願いしておりまして、こういったものをもとに
政府原案をつくり、関係方面とよく御相談をし、来年の通常国会に法案を提出したいと、こういうことで作業を進めておるということでございます。