○岩井
國臣君 今、上野先生の方から
建築基準法と健康の問題、そして
既存不
適格の取り扱いの問題、建設大臣といいますか
建設省に対しますこれからの宿題というような形で問題提起がございましたけれ
ども、建設大臣、私の方からもひとつ問題提起をさせていただきたいと思います。
二年半ほど前になるんですけれ
ども、私が国
会議員になりまして直後の決算
委員会でございますが、初めて
質問に立たせていただきました。そのときに、土地利用規制の問題を取り上げさせていただいたんです。森建設大臣のときでございました。
実は上九一色村の
地域づくりの
関係でございます。私
ども新人仲間で
現地視察に行ったんです。そのときにいろいろと私なりに考えさせられた問題でございますが、上九一色村の場合、現行の
法体系では事前に何の手も出せなかった、こういう問題でございます。オウムの問題です。
あのような施設に関連する
法律といたしましては、消防法、医療法、食品衛生法、水道法、
大気汚染
防止法、水質汚濁
防止法、
廃棄物の
処理及び清掃に関する
法律、そういった
法律がいろいろあるわけでございますけれ
ども、やはり
建築物の立地に関する
法律としては
建築基準法が基本だと思うんです。
そこで、私はあのときに、当時梅野
住宅局長でございましたけれ
ども、
住宅局長に対しましてその点をお尋ねしたんです。そうしたら、案の足といいますか、当然答えも私なりに予想しておったんですけれ
ども、現行の
建築基準法では何ともしがたい、そういうことなんです。やっぱり現行の
建築基準法といいますか、
法体系では何ともしがたい。
しかし、
現地の公民館で私
どもが
現地の区長さんからお聞きいたしました話は、私
どもにとりまして大変ショックだったんです。あのとき鈴木先生も御一緒だったんですが、大変ショックでございました。
平成元年に始まりまして、
平成三年から急速に土地の買収が進んでいったんです。あれよあれよという間に何とも言えぬ奇妙な
建物がどんどん建っていったんです。全部で三十四棟。しかも、富士山を背景にあのすばらしい高原に建っていった。あの地帯が工業地帯に指定されているならいざ知らず、工場というか倉庫といいますか、何とも言えないああいう妙な
建物があのすばらしい高原に建つなんてだれも予想もしなかったわけです。だれが考えてもこれは異常としか思いようがない。全く異常だと思うんです。
そんな異常がなぜほうっておかれたのか、こういう問題なんです。それはだれも気がつかないうちにそうなっていったんではなくて、地元とのトラブルが日増しに高まって、上九一色村全体としても大変深刻な問題になっていった。それにもかかわらずそうなっていった。そういう中で、なぜ
建築基準法は何ら手を打てなかったのか。いろいろ御努力はいただきまして、そういう御努力の結果の御報告というか、御説明があのときございました。
現地の区長さんの言い方からしますと、この日本という国は本当に法治国家なのか、とても法治国家とは思えなかった、こんな話でございました。
あのようなケースの場合、現行
建築基準法ではどうにもならないんです。今度の
改正でもどうにもならぬ点があるのかもわかりませんけれ
ども、
法体系の上で少し問題がありはせぬかなということで私は問題提起をさせていただくわけであります。
十数年前、これも同じ山梨県でございます。環境問題が今大変大きな問題になっておりますが、山梨県は「環境首都・山梨」というふうに掲げまして、景観条例づくりをお進めになった。景観条例をおつくりになりました。そして、そんな中、八ケ岳山ろくの清里のリゾートマンションをめぐりましていろいろトラブルがあったわけです。それで裁判になりました。山梨県は景観条例を根拠に
建物の高さについて見直しを求め、そして業者に
建築確認を出さなかったんです。
建築確認の申請を出したのに県が許可しないのは
建築基準法に反するのではないかと業者が裁判に訴えた、こういうわけであります。
結果はどうであったかといいますと、条例よりもやはり法の方が優先するということでございまして、県が裁判で負けてしまった。せっかく景観条例をつくって、個性ある
地域づくりを行おうと、これは山梨県の切なる思いだったわけです。にもかかわらず、国の法が優先され、それができない、こういうことだったわけです。
法体系全体としてどこかおかしいのじゃないかという気がして私はならない。
建設省もHOPE計画というのをやっておられます。HOPE計画なんかも本質的に同様の問題を含んでいるのじゃないか、そんなふうに私は思うわけです。
まず、国土庁に最初にお尋ねしたいわけでありますけれ
ども、先般の「二十一世紀の国土のグランドデザイン」におきまして、美しい国土づくりというのが標榜されております。今までの全総計画に比べまして、これは大きな特徴だと思うんです。かかる見地から、今後何らかの形で
建築物の立地規制などが、どういうものになるのかわかりませんが、そういったたぐいのものが行われる必要があるのではないかそして大いに景観とか個性ある
地域づくりを進めていく必要があるんじゃないか、こんなふうに私は思うんです。
建築基準法の問題はちょっと横へ置いて、ひとつその点につきまして、国土庁は今後どのように美しい国土づくりというものを進めていこうとしておられるのか、御見解をお尋ねしたいと思います。