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赤桐操君
高齢化問題をめぐる
状況につきましては以上の
程度にさせていただきまして、次は少子化と
住宅問題について伺っておきたいと
思います。
これは、
人口問題研究所によりまするというと、子供の数が二〇〇〇年においては千八百六十万人となっていまして、全体の一四・七%です。十五年後の二〇一五年になると、わずか十五年なんですが、この間に大体千七百九十万人、大分減るんです。そして一四二一%という全体の中の割合になってまいります。どんどん減ってきております。三十年後、二〇三〇年になりまするというと千四百九十万人で一二・七%。この二〇三〇年前後七年間というのが一番のどん底になるようです、この表で見るというと。この二〇三〇年から二〇三六年までの間の七年間が最低の時期になるようであります。ですから、この間かなりの
人口の交代が行われることになると
思います。二〇五〇年になりまするというと、若干ふえてまいりましてこれは二二・一%を占めるようになる、そのときには全体が下がってきておりまして千三百万人ということになるようであります。いずれにしても、子供たちが減少していくということは、これは私は大変重大な問題だと考えておるのであります。要するに、出生率の低下というものが向こう五十年間の大きな
課題となっておると、こういうように私は考えざるを得ないと
思います。
それにはいろんな原因があると思うのであります。例えば、未婚率の上昇とか結婚観、あるいはまた実際の
生活を親から面倒を見てもらっている人たちが独立することについて大変な苦痛を伴うのでそのままにいたい、あるいは夫婦の間の子供を産む、出生についてはせいぜい二人ぐらいにしようとかという大変少ない
希望を持つようになってきておるわけであります。こういったものはいろんな要因から来ていると思うのでありまして、簡単に私がここで今申し上げる必要はないと
思いますが、いずれにしても結果的にそういうことになってきている。
このことを今踏まえまして、
住宅問題との関連で少し諸外国の
状況なんかも見て比較してみるというと、例えば先進諸国の
住宅環境と出生児数の
関係を見ると、アメリカ、イギリス等の比較的出生率の高い国では、一人当たり床面積もまた広いんです。そういうことがここで明らかになってきております。
これはいずれも一九九五年前後の数字でありますが、
日本が一人当たりの床面積で三十・九平米、これに対しまして
日本の出生率が一・四二。アメリカの場合におきましては
日本の倍の床面積を持ちまして六十四平米、出生率は二・〇五となっております。イギリスの場合におきましては床面積が四十・二平米で、これもまた
日本より多くて一・七六と、こういうぐあいになってきております。フランスにおいても、あの
人口が減ったと言われるフランスでも持ち直して、現在は
日本の三十・九平米に対しまして三十四平米でありますが、一・六五という数字を見せておるんです。
こういうように見てみるというと、やはり
住宅め面積とそれから出生率というのは大分これは影響があるんじゃないかなと思うんです。考えてみると確かにあると思うんです。というような感じがいたしまして、きょうは、私の
考え方は当たっているかどうか知りませんけれども、気がつくままに申し述べておるわけでありますが、この辺もひとつ
住宅局の方で御検討願いたいと
思います。これが
一つです。
それで、そういう
状況の中で私が考えるのには、もう
一つ日本の場合には出生
状況を低くしている理由があるのではないかなと、こう思っているんです。それは、例えば我が国の
公共賃貸、それから借家の
料金、こういうもの。
日本という社会の中では周りが海ですから隣の国の
状況はわからないんです。ヨーロッパだったらすぐ隣がわかるんです、フランス、ドイツはすぐわかる。そういう意味合いからいたしまして、どうしてもやっぱり
日本の中は閉鎖的になっております、率直に申し上げて。ですから、ほかの国と比較してみると、どうしても
公共賃貸にしても借家の
料金にしても高いです、我が国の
料金は。決して安くありません。
それから、持ち家に至りましては、金融公庫、税金
対策、いろいろございますけれども、かなりいろんな点で考慮しながらやられております。今回も随分いろいろな点で
対策をとられているようであります。そのローンの返済ということになりますと、おやじさんが働いてエンジン一馬力じゃとてもできないんです。やっぱりエンジン二馬力にして女房も働いてもらわなければこれはとても追いつかない。女房の働いた分は挙げてローンの返済と、こういうのが勤め人の大体の日常の
状況です、実際に。
しかも、そうなると、子供を二人も三人も育てるというわけにはいかないんです。細君が働くんですから、外へ出ちゃいますから。大体一人しか子供は産めない、そして一人育てればいいと。とにかくローンの返済にひとつ
全力を挙げて、二十年たつと自分のものになるからと、こういうことで財産をつくり上げることを目標として夫婦共稼ぎ、よく働いたと思うのでありますが、これが過去五十年間の実態だったと思うんです。
そういうことを考えてみるというと、この
住宅政策そのもの、要するにおやじさん一人の一馬力で払えないんですから、二馬力にしなきゃいけないんですから。そういう状態が実は
一つにはこの少子化への拍車をかけたのではないかなと、私はそういうようにどうしても思えるんです。諸外国ではそういう例は余りないです。
大体子供が学校へ行くようになりまして、成長して親かもだんだん離れていきますというと、お母さん方もデパートへ勤めたり、外へ出ることはみんなやっているようでありますが、それはやはり子供が育て上がった、子育ても大体もうある
程度までいったときの
状況の中での母親の動きだと思うんです。
日本の場合におきましては、小さいまだ乳飲み子をどこかへ預けながら働かなければ間に合わない、こういう
状況はいささかこれは正常ではないだろうと思うんです。私は、
一つにはこういう
住宅政策であったと思うんです。これはやはり、ひとつ
住宅局長中心で御検討をいただかなきゃならぬように
思います。私はそう思うんです。
以上、申し上げてまいりましたが、外国の例もひとつ御参考に申し上げてみたいと
思います。
私は、ヨーロッパは大体三回ぐらいいろんな機会があって参りましたけれども、その都度フランスへは寄ってきました。そして、フランスの
住宅局長とか政府首脳部の皆さん方ともお会いしてまいりました。西ドイツ
時代でありましたが、このときは建設の次官が出てきてくれまして、
住宅局長はもちろん、道路
関係とか河川
関係の
局長さん方も四人出ていただきまして、最後にお別れするときに、あなたのために私のところの行政は二時間ストップした、こういうことを言われて感謝申し上げて帰ったことを今
思い起こすのであります。
そのフランスで私がはっと思ったことが
一つある。それは、フランスでは長い歴史の中でこういう結果になったそうでありますが、一人の子供が生まれると、第一子とか第二子とかじゃないんです、他の諸手当はもちろんこれは別にして、手当金庫というものがあって、そこから一子に対して
住宅手当が出されている、こういうことが言われておるんです。これははっきり私も聞いてまいりました。この手当金庫から手当というものについては全部出されているそうでありますが、この手当はやはり
人口を守るための
一つの
対策であったように伺ってまいりました。こういうこともやはり各国でもみんな苦労しておるんです、
住宅問題をあわせまして。
したがって、
住宅政策上から見ても、こうしたものを含めた真剣な
対策が二十一世紀前半では問われるのではないだろうかなと
思いまして、以上、私の若干の
考え方も含めまして申し上げたわけでありますが、御所見をひとつ
伺いたいと
思います。