○岩井
國臣君 いよいよ五全総といいますか新しい
国土計画がまとまりつつございます。その新しい
国土計画では盛んに
地域連携というようなことを言われているんです。それは結構なんですけれ
ども、私が若干心配しておりますのは、連携というキーワード、これはまことに時宜を得て私としてはいいキーワードだなと思っておりますが、
国民レベルで考えたときにまだ共生とか連携といったことについての哲学が希薄というか、例えば自然との共生と口では言うんだけれ
ども、そういった自然についての
認識というものがまだまだ希薄ではなかろうかな、こんなふうに思うんです。
私も実は、これからの二十一世紀におきます大事なキーワードとして共生、コミュニケーション、連携というようなことをふだん言っているんです。この三つの言葉はそれぞれニュアンスが違いますけれ
ども根っこは同じ同根の言葉でございまして、ですから、共生社会を目指すと言ってもいいし、コミュニケーション社会を目指そうと言ってもいいし、連携社会を目指そうと言ってもいいと思うんです。あるいは、ネットワーク社会を目指そうと言ってもいいと思うんです。余りそう違いはないんだろうと思います。私は、ネットワークということが非常に大事だろう。
今度の新しい
国土計画において、私は三大ネットワークと言っておるんですけれ
ども、
一つは御案内のとおり高速道路を中心にしました道路のネットワークです。それからもう
一つは
情報のネットワークなんです、高度
情報化といいますかマルチメディアに向かっての
情報のネットワーク。そして三つ目がエコロジカルネットワークなんです。この三つのネットワークを私は言っておるわけでございます。
御存じの方も少なくないと思いますけれ
ども、ヨーロッパでは野生生物の生息空間をネットワークで結んでいこうという動きが活発なんです。大変活発だ。一九九二年のハビタット指令というのがあるんです。ハビタット指令。加盟国十五カ国なんですけれ
ども、その加盟国がヨーロッパとして
一つの考え方に基づいて野生生物の価値の高い生息空間というものをそれぞれ法的に保護していこう、そういうことで大変な運動が進んでおる。民間組織におきましても、Eエコネット、ヨーロッパ・エコロジカルネットワーク構想というものがあるようでございまして、これが大変大きなうねりになっておるようでございます。
一九九二年の地球サミット、そしてそのとき決められましたアジェンダ21。そして先ほどの生物多様性条約。そういった一連の動きを見るまでもなく、私
たちこれからの時代というものは自然再
認識の時代である、そういうふうなしっかりした
認識に立ちまして生態系保護にかかわる
国民的な運動を今後展開していかなければならないのではなかろうか。そのときに
環境庁としてぜひ強力にリーダーシップを発揮していただく必要があるのかな。私
たちはヨーロッパの人々に負けないように、自然に対するしっかりした
認識の上に立って
環境先進国の仲間入りをしていかなきゃいかぬなというようなことを痛切に感じるわけであります。
問題は、
行政と民間がどうやって連携していくか、連携しながらそういう運動をどうやって展開していくか。連携でございます。これが大変重要な問題。
行政と民間の連携。コミュニケーションということがその前にあるかもわかりません。先ほど言いました共生、コミュニケーション、連携ということが極めて大事ではなかろうか。
平成七年十一月に、先ほ
どもちょっと出ておりましたが、財団法人日本生態系協会主催の、生態系の危機、挑戦と
課題というテーマでエコロジカルネットワーク・シンポジウムというものが開かれました。
シンポジウムにおきましては、日本生態系協会の池谷奉文会長が、我が国の生態系というものがどういう危機的
状況にあるのか、そういうことについてるるお話しになりました。そして、そのような危機的
状況を回避するためにポスト四全総、新しい
国土政策でエコロジカルネットワークということを提案されたんですね。俗にエコネットと、こう私
どもは言っておるんです。
そして、そのシンポジウムにおきましては、オランダからグラハム・ベネットさんという方が来られ、お話をいただいた。ドイツからはヨーゼフ・プラープさんという方が来られ、その方のお話も聞いた。ヨーロッパにおけるエコネットの発展の経緯と現状、そして実践上の
課題というようなもののお話をお聞きしたわけであります。
そして、そのほか
国土庁の方、それから
建設省の方も加わりまして、信州大学名誉教授の櫻井善雄
先生の司会のもとにパネルディスカッションが行われたんです。
あのシンポジウムは、我が国の生物多様性の国家戦略の具体化を図る、具体化ということを考えたときに、言うなれば、私流に言いますと
国土政策上の立場から考えて私は画期的なことであったのではなかろうかなと思います。あのシンポはすばらしい成果が上がったのではないか、こんなふうに思っております。そして、あれを契機にエコネットというものが徐々にいろんな人に知られ、いろんなところで言われるようになってきておるのではなかろうか。
今後、私
たちは、できるだけ多くの人々が我が国におきますエコネットの構築に向けてそれこそ共生の思想に基づいてコミュニケーションを深め、そして連携していくことが必要ではなかろうか。
というようなことで、長くなりましたけれ
ども、そこで
質問でございますが、
環境庁は生物多様性に関する国家戦略についてどういう具体的な施策を展開しようとしておられるのかお伺いしたい。
そして、その際、エコロジカルネットワークの構築につきましては、私は自然の二大要素は水と緑だ、水と緑のネットワークだと、こんなふうに思っているんですけれ
ども、したがって
環境庁は、ぜひ
建設省とそれこそ連携してやっていくべきではないか。現在もいろいろ御検討中だろうと思います。
建設省としてどのように連携してこれからの施策を展開していこうとしておられるのか、その辺も含めてひとつエコロジカルネットワークといいますか生物多様性に関する国家戦略の具体化、具体的施策ということにつきましてお伺いしたいわけであります。