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上田耕一郎君 まず、
たたき台のペーパーですけれども、幾つか
意見がありますが、
調査室と
関係者の御苦労に敬意を表したいと思うんです。全体としては賛成です。
田さんが言われましたように、一兆二千億、とにかくそれだけの巨額の資金、税金を使ってやっている仕事で世界で一、二を争うものなのですから、やっぱり
原則をはっきりさせること、それから透明性、
情報公開、これが非常に大事だと思うんですね。
参考人として出席されたこともある
山本海徳さんは、朝日の論壇で、僕は前にも引用したんだけれども、
ODA白書はよくまとまっているけれども、技術
協力予算の半分を占める
外務省以外の十八
省庁の技術
協力や
大蔵省所管の出資・拠出などの詳細は記述されていないと、こういう専門家でも書かれていないと言うぐらいなんです。
情報公開という点、
山本さんのペーパーでも
国会へも全体のわかる
資料を出してほしいという案ですけれども、国民に対する透明性、これは
国会に対する透明性でもあるんだけれども、それを図ることはまずとにかく何よりも大事だと思うんですね。そうでないと国民の支持は得られないんで、そのためにはどうしても
基本法が要ると思うんですね、現状の改善ではなくて。現状の改善では、この十八
省庁の技術
協力が全くわからないというようなことはそう簡単にぱっと直らないので、やはり
基本法が必要だと思うんです。
それで、具体的な
意見としては、「総則」のところ、これは
内容はいいんですけれどもちょっと文章を、旨とするというのが
二つありますし、開発途上国の話が前と後ろに載っているので、文章を少し改善させていただいたんです。ほとんどこのままなんですけれども、順序を変えました。
国際開発協力は、人類の共生と連帯の精神に基づき、開発途上地域における飢餓と貧困の克服、人の尊厳に値する住民生活の保障を支援し、開発途上地域の政府、住民の自助努力を支援することにより、というふうにして、最後に、国際社会における地域格差の是正を図り、世界の平和と人類の福祉に貢献することを旨として行われると。ちょっと順序を変えて、文章上の整理をし、こういうふうにした方がわかりやすいのではないかと思ってちょっといじってみました。
それから二番目は、「
基本原則」のところで「
基本原則に従い、相手国の要請」云々とありますけれども、「相手国の要請」の前に国連諸機関、これは入れておいた方がいいんじゃないか。国連諸機関及び相手国の要請、経済社会
状況や二国間
関係等々と。これはやっぱり国連は国際世論を結集する場でもありますし、そこで
ODAは大きな問題になって
議論もされるし、いろいろ決定も行われるので、国連諸機関というのは国連の幾つかの機関でもありますので入れた方がいいんじゃないかと思うんです。
二番目の「主権の尊重等」ですけれども、ここに私が前から主張しております自主性という言葉を入れて、主権の尊重、自主性等と。主権の尊重というのは相手国の主権の尊重ということになるので、これは
日本自身が自主的に進めること。特に私は戦略
援助への追従問題を大きな
議論として今までも主張してきたんです。前の七項目の合意事項のときにもその問題で各会派一致して自主性ということを入れようということになった。
参考人として来られた読売の解説部の杉下恒夫さんも、読売新聞の去年の五月二十一日付で、
ODAは
一つは人道的
援助、もう
一つは戦略
援助だと。戦略
援助というのは国や地域の
政治、経済的利益に基づき行う
援助だ、OECDに加盟する主要
援助国が戦後行ってきた
ODAの大半は戦略
援助だったということを言って、一方的な戦略
援助というのは経済開発にも結びつかないし、長期的な
政治の安定にもつながらないことが実証されていると。
日本の
ODAは西側の一員として戦略
援助に
協力してきたんだが、
日本独自の戦略がない、独自のものを打ち出すべきだと、大きな解説を書かれております。
そういう点で、やっぱり
日本の国民の
立場に立った自主性の確立というのは非常に大事だと思いますので、自主性、これを入れていただきたいと思います。
それから
あと、「民主化の促進」のところは、今、
田委員も言われた人権問題をここにやっぱり一言入れておいた方がいいと思う。どういう言葉になりますか、例えば
基本的人権、民主化の促進というように、人権という言葉は非常に大きな問題なので、この民主化のところに入れた方がいいと思うんですね。「女性及び子供」のところに入れるより、この「民主化」のところに入れた方が人権問題はいいと思うんです。
それから、大きな項目として、いろいろ問題があるので落とされたんだと思うんですけれども、二重丸としてやっぱり
実施体制の一元化はどうしても入れる必要がある。
調査室がつくってくださった
発言意見の要旨の中にも「
援助実施体制の在り方」というのは
一つ大きな項目となっておりますし、十九
省庁の問題それから四
省庁で
協議している円借款の問題等々いろいろありますが、やっぱり
実施体制の問題は入れるべきだと思うんですね。私は、二重丸として、適正かつ効率的な
国際開発協力のため
実施体制の一元化を図ること、この一行が要ると思うんです。
外務省に属するのか総務庁の外局にするのか、いろいろあるんでしょうけれども、やはり何らかの開発
援助の
省庁が要りますし、
外務省から独立した一元化がやっぱり要ると思うんですね。先ほど言った自主性という点のためにも
外務省から独立した
実施体制が要ると思いますけれども、それはどこまで書くか。
骨子の
たたき台としては、
実施体制の一元化を図ることという抽象的な項目で入れていただきたいと思います。
それから、その次の「
国会に対する
報告」ですが、これはもう
報告提出だけになっています。それで、
事前の
国会審議というのはいろいろな困難があるという話も
田委員からありました。私も、
国会のさまざまな
審議能力とか
調査能力等々を
考えて、余り細かなことを全部
事前に
調査しろといっても行ったこともない国のことでわからないということもありますし、こういう
基本原則に基づいた
計画の
審議は、こういう
基本原則、総則を決めた以上、大きな
計画、中長期
計画が基本にのっとっているかどうかということを
国会で
審議した方がいいと思います。それで、「政府は、毎年、
国会に、
国際開発協力」の後に
計画の基本という言葉を入れて、
国際開発協力計画の基本と、その効果に関する
評価を含む
報告というふうにしていただきたい、そう思います。
それから、
山本さんのペーパーですけれども、全体としては確かに現状改善の上で非常に積極的項目が多いと思うんですね。ただ、
基本法は要らない、そのかわりにこれが要るんだということになりますと、やっぱり矛盾が生まれてくるように思うんですね。
国会の
かかわり方の改善をするためにも
基本法が必要になっているわけだけれども、そこで
基本原則や何か余り細かく決めると
ミャンマーを例に挙げて少し機動的な
外務省等の対応が困難になるんじゃないかと言われましたが、この
基本原則を明らかにして透明性を確保するということが
基本法の大きな目的でもありますし、
ミャンマーなら
ミャンマーの問題で、じゃそれをやるべきかどうかということが
基本法に基づいて
国会でも世論の間でも
議論できて、そういう
議論に基づいてさあやれということになれば本当に堂々とやれるわけですから、
基本法はむしろ必要だということを
山本さんのペーパーも裏書きする結果になっているんじゃないかというふうに思うんです。
それから最後に、これは
たたき台ですので、実際に法案を作成するときにはいろいろ
状況も変わりますし、ここに
たたき台の
骨子が書いてあったとしても、つけ加えるものあるいは削るものもいろいろ出てくることだと思うんですね。ですから、そういう
方向で、そういうことを前提として、できれば小
委員会の総意ということでこの
骨子の
たたき台がつくられていくといい。その点では、
山本さんは
国会との
かかわりではこういう案も出されておられるし、慎重な態度をおとりだけれども、ぜひ
山本委員もこういう全体の
方向で、また作成時にはさっき言ったようにさまざまに修正したり削除したりということも可能なので、もしここに書かれているここがまずいとかいうことがあればおっしゃっていただきたいし、そういう
意見が特にないんでしたら
骨子の
たたき台についてはぜひ賛成していただきたい、そう希望したいと思います。
以上です。