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海老原義彦君
中央省庁等改革基本法案の
審議もこれから集中
審議ということで、いよいよ後段に入ったわけでございます。
総理、毎
日本当に御苦労さまでございます。もうちょっとで、今度こそは本当にもう一息で、速やかに、また確実にこの
審議を滞りなく終わらせてこの法案が成立いたしますことを私も強く希望するものでございます。きょうはなるべく
総理の出番は少なくと思っておりますが、果たしてどうなりますことか。ただ、あちらにお並びの
政府委員の皆さんもこれまで余り出番がなくてお気の毒でございますから、なるべく
政府委員にも出ていただこうかと思っておるわけでございます。
初めに、小里
総務庁長官に一言申し上げます。
総務庁長官の提案理由説明を伺っておりまして、私ほとほと感心いたしました。
長官は自分の言葉で述べられておる。役人が書いた言葉を随分直して、自分の言葉で述べられておる。随所にそれが見受けられました。例えば、「複雑多岐にわたる
行政課題」と印刷には書いてあるんです。これを「これまでと異なるさまざまな課題」と、こういうふうにお読みになった。こういうことが非常に大事なんです。実は、こういう法案の
審議を国民にわかっていただくためには、こういうような心配りというのに本当に私は感服いたしております。
さて、それで
質問に入りますが、この法案の
基本理念、
中央省庁改革に対する
基本理念、第二条でございますけれ
ども、この第二条は、これはさすがの小里
長官も
法律となりますとみだりに手を入れるわけにもいきません。事務から上がってくるまでの過程というのは、私も長年役人をやっておりますからよく存じておりますけれ
ども、いろいろな過程でこういう文章になってしまったんだろうと思いますが、まことに難解でかつ難渋な文章でございます。
ちょっと読み上げてみます。
中央省庁等
改革は、内外の社会
経済情勢の変化を踏まえ、国が本来果たすべき役割を
重点的に担い、かつ、有効に遂行するにふさわしく、国の
行政組織並びに事務及び
事業の運営を簡素かつ効率的なものとするとともに、その総合性、機動性及び透明性の向上を図り、これにより戦後の我が国の社会
経済構造の転換を促し、もってより自由かつ公正な社会の形成に資することを
基本として行われるものとする。
さっと読んでみまして、一回読んで意味がよくわからない。二回読んでもまだわからなかった。私、不敏なものですから三回読んだらよくわかりました。非常に
法律的にきっちりと書いてある文章でございますけれ
ども、ただ、
法律的にしっかりしていても、やっぱり悪文であるということはぬぐえないのかなという気がするわけでございます。
どうしてこんな
法律ができてしまったか。事務当局に聞こうかとも思いましたけれ
ども、そういう誘惑に駆られましたが、これは聞いてもせん方のないことでございますから
質問はしません。ともかく、
一つには、「かつ、」という言葉がポツ接ぎで入るという、
法律の常套手段でございますが、これで読み手を混乱させるということがあるわけでございます。
また「簡素」、「効率的」というような、あるいは「総合性」、「機動性」、これはいずれも国の
行政機能の向上を図る話でございますが、それと並行して「透明性」といういわば
行政の民主的な運営を図る、それを全く混在して使っておるというようなこともありますし、さらに言えば「自由かつ公正な社会」ということ、「公正」というのは、むしろ社会のあり方の目的というよりも
行政に課すべき目標だというような気もするわけでございます。
そういったいろいろなことを思って読んでみますとだんだん混乱してくるんですが、ただ、わかりにくいというだけでありまして、中身的には非常にしっかりした
基本理念がうたわれておると思うわけでございます。もう少し国民にわかりやすい、いわば透明性のある文章になればよかったなと思うわけでございます。
わかりやすいということで申しますと、平成八年十二月二十五月に閣議決定になった
行政改革プログラム、これは非常にわかりやすく書いてあります。プログラムの前文で四つの実現を挙げている。まず第一が「新時代に対応できる簡素で効率的な
行政の実現」、第二が「国民の主体性を尊重する
行政の実現」、第三が「国民に開かれた信頼される
行政の実現」、第四が「国民に対する質の高い
行政サービスの実現」と。これは非常に簡潔に力強く目指す目標をうたっておるわけでございまして、こういった明確な理念が
法律にしてみるとこんな文言になってしまうのかなと。
ただ、こうやって難渋な悪文になるということは、
行政改革理念が後退したんじゃないかという疑いも持たれるおそれがあるわけでございます。私は決してそんなことはないと思っておりますけれ
ども、これは
総務庁長官のお口から、はっきりと打ち消しの言葉をいただきたいと思います。