○石田美栄君 民主党の石田美栄でございます。
今
国会中の中心である
行政改革そして財政
改革は、迫りくる人口構造の高齢化への準備をするため、また危機的な財政
状況を打破するためで、先日の財政構造
改革のときにも少し申し上げたのですけれ
ども、バブル期の税収増の時期に来るべき人口構造の高齢化や出生率の低下による人口の減少化についてはわかっていたはずで、建設国債の償還期限が六十年というふうなことを
考えるだけでも、もっと先の国のことを予測してその当時きちっと認識できなかったのだろうか、残念だということを申し上げました。バブル期に踊って放漫財政、むだ遣いをして、五十年先を見越した政策が打てなかったんだろう、打ってこなかったんじゃないかというふうなことを申し上げたのですが。
高齢化のことというのは割合取り組まれてきているんですが、本当に少子化のことについて、人口が減るということについて真剣に
考えてみたいなと常々思っていたのですが、昨日も自民党の石渡
委員が取り上げてくださったので、それで私もきょうはそのことを皆さんに一緒に
考えていただきたいなと思って少し
お話しさせていただきます。
厚生省も人口問題
審議会で、「少子化に関する基本的
考え方について」ということで「人口減少社会、未来への
責任と選択」と題する報告をされておりますが、御存じのように、現在の人口をもし将来維持するとすれば必要な合計特殊出生率は二・〇八でございます。現在、
日本の出生率は一・四三あるいは一・四二まで下がっております。
そして、二〇〇七年を頂点にしてその後は減少に転ずるというこの人口減少社会。口では言うのですが、実際、
総理大臣も私も、多分二〇〇七年にはよほどのことがなければ多くの人が生きているわけですが、そのときが来ると一年ずつ、ことしは
日本の人口が何万人減ったという報道が毎年されていく
状況を想像してみますと、経済も戦後ずっとよくなってきてまさかと思っていたのが、人口についても明治以来ずっとずっとふえてきて、私たちは減るなんという実感をまだ持ったことがない。二〇〇七年が来ると、毎年そういうことが報道され出したとき私たちはどういう感じを持つだろうなと思うわけです。
今の
状況、確かに戦後女は変わった、随分変わってきた。
考えてみれば、女が柔道をやったりプロレスをやるなんて
考えられなかった。今はもう当然でやれるくらい、あらゆる面で変わった。だけれ
ども、じゃ男の人はどれほど変わったかというと、案外変わっていない。女性を見る見方も、表面はいろいろあっても変わっていない。
そのことは笑っていていいのではなくて、実は北欧の国々というのはこういう人口減少の体験をもう既に済ませていて、一九六〇年あたりから、これは社会学者が言い出して、そのあたりから取り組んで、
日本と同じように一・幾らという出生率を二人台に取り戻しているんですね、
現実に。一九六〇年というともう四十年近くやってきて、実際に二人台に取り戻していて、人口減少は阻めるというところにしているわけです。
それはどうやったかというと、アメリカは人口減少になっていません、これはちょっと特殊なまた別の要因ですが、私はきょう、ノルウェーだとかフィンランドとかスウェーデンの閣僚を見ただけでも女性が半分いるとか首相が女性とか、そういうことはよく知られているんですが、この点について、閣僚が皆さんいらっしゃるし、多少時間をゆったりいただけましたので、どうやってそういう人口減少を阻む、とめることのできる政策をしたかということを
お話ししてみたいと思うんです。
一九六〇年あるいはもう少し進んで一九七〇年代は、今の
日本のように女性が変わってしまって男の人は余り変わっていない、そしてまた女たちが実際いろいろ働きかけても、男の人の意識を変えることができなかったという
現実がその当時あったんですね。一九七三年に男女平等問題担当大臣というのを置きまして、八〇年代に、男の人がみずから変わるというか、何らかの施策がないと変わらないということを、男たちはどう変わったのかということをいち早く調査することから始めているわけです。
その当時、確かに女性はスウェーデンでも自立に目覚めて、女の生き方というものを書いた本が枚挙にいとまがないほどたくさんあったけれ
ども、男の人の調査というのはほとんどなかったという
現実をいち早く
政府が認識して、一九八〇年に男女平等
審議会をつくって、男性の労働生活と家庭生活における意識の実態調査に乗り出して「スウェーデンの男」という本にまとめています。その後、またこの結果を踏まえて、一九八三年から男女平等担当大臣のもとに、これはもちろん女性が代々やっているようですけれ
ども、男の
役割を
考える会というものを設けているんですね。
実は、
日本でも女性学というのは二十年くらい前から私もやっているんですけれ
ども、最近、男性学というのが起こっております、男とは何かということを
考える。いや、笑わないで真剣に。男の人も、本当に男というのはどういう
意味があるのか、どれが男なのかと。そういう学問的にも医学的にもいろんな面の研究がやっと進んできております。スウェーデンは一九八〇年代、そういうところにあったわけで、
政府がそれを出して、結局それは「男が変わる――男の
役割を
考える会報告書」ということで発表されております、新しい男性像を求めて、男像を求めてというふうな。
そのことが政策としてどういうふうになっていったかというと、
現実には女性の大臣が三分の一いるとか、今報道されているいろいろな形ですね。もちろん育児休業は男も女もとれて、そして例えば、一時閣僚の中の女性に二人子供がいて、一人は保育園に行っていて、一人はまだ乳幼児だった。その夫が出版社に勤めていて、育児休業をとって上の子を保育園に連れていって、そしてまだよちよち歩く子をお守りしながら、育児休業中も仕事から離れて全く取り残されたらいけないので、週に一遍ずつは子供を抱えて出版社へ出てどういう
状況かを把握するというような、こんなものも報道されたと思うんですけれ
ども、奥さんは大臣である、そういうことができるような
状況ができていったということですね。
ですから、女の人は育児休業で休んだ後、職業に復帰しようと思うと、職業をやっぱりキャッチアップしないといけないから職業訓練を多少受ける、その間は
政府から手当が出て、そして訓練を受ければ自分の望む仕事につけるという、具体的な政策ではそういうことがやられるくらい男の人の意識も変わっていった。
よく知られているように、福祉政策はもちろんです。もちろん、スウェーデンの高齢者の福祉なんかの行き過ぎとかいろいろ、
日本は
日本流のやり方があって、そのとおりをどうこうということではありませんけれ
ども、明らかにこういう政策を通して男の人の働き方、人生の価値観もやっぱり変わっていったということで、最終的には出生率を回復できているという
現実がございます。
その中で、福祉政策と同時に教育こそがかぎだと。これはちょっと私も思いついて、国に帰ってくる暇がありませんでしたので手元でちょっと一冊だけ手に入れてもう一度目を通したのですけれ
ども、この中に「男が変わる」というタイトルが
一つと、もう
一つは「教育こそが鍵」という章がございます。そういうことを少し
お話ししまして、せっかくこういう二十一
世紀に向けて一大
改革をする中で、本当に国が真剣に将来の人口減少について五十年、百年先を見越して取り組めるところを今回の省庁再編の中で、将来進めていく中で組み入れていただくことに皆さんの御理解がいただけて、少しでも進めたらと思って時間をとらせていただきました。
それで、実際、ちょっとこの本は古いので現在正確かどうかわかりませんが、全体の
責任者は労働市場省大臣兼男女平等問題担当大臣というのがあって、そのほかに男女平等問題協議会だとか男女平等連絡
委員会、男女平等問題事務局、男女平等問題研究班、男女平等オンブズマン、男女平等
審議会というふうなものが並んでいるのですけれ
ども、ちょっと私、勝手な話が長くなりましたが、
総理大臣、
日本の将来の人口問題ということで、今回の省庁再編の中で、男女平等という言葉がいいかどうかは別として、担当大臣というふうなものをきちっと設けて、そこでいろんな調査を初め国として将来に備えて取り組むということについて、御所見をお伺いしたいと思います。