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1998-06-03 第142回国会 参議院 行財政改革・税制等に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年六月三日(水曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員の異動  六月二日     辞任         補欠選任      峰崎 直樹君     小川 勝也君      山本 正和君     清水 澄子君      都築  譲君     平野 貞夫君  六月三日     辞任         補欠選任      橋本  敦君     吉岡 吉典君      西川きよし君     佐藤 道夫君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         遠藤  要君     理 事                 石渡 清元君                 片山虎之助君                 釜本 邦茂君                 高木 正明君                 野間  赳君                 伊藤 基隆君                 小島 慶三君                 猪熊 重二君                 赤桐  操君     委 員                 石井 道子君                 海老原義彦君                 鎌田 要人若                 亀谷 博昭君                 久世 公堯君                 国井 正幸君                 清水嘉与子君                 須藤良太郎君                 田村 公平君                 常田 享詳君                 長尾 立子君                 林  芳正君                 松村 龍二君                 宮澤  弘君                 石田 美栄君                 小川 勝也君                 小山 峰男君                 竹村 泰子君                 寺崎 昭久君                 牛嶋  正君                 海野 義孝君                 益田 洋介君                 渡辺 孝男君                 清水 澄子君                 田  英夫君                 笠井  亮君                 吉岡 吉典君                 吉川 春子君                 平野 貞夫君                 星野 朋市君                 佐藤 道夫君                 奥村 展三君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        法 務 大 臣  下稲葉耕吉君        外 務 大 臣  小渕 恵三君        大 蔵 大 臣  松永  光君        文 部 大 臣  町村 信孝君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        農林水産大臣   島村 宜伸君        通商産業大臣   堀内 光雄君        運 輸 大 臣  藤井 孝男君        郵 政 大 臣  自見庄三郎君        労 働 大 臣  伊吹 文明君        建 設 大 臣  瓦   力君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    上杉 光弘君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 村岡 兼造君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  小里 貞利君        国務大臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       鈴木 宗男君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       尾身 幸次君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       谷垣 禎一君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  大木  浩君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  亀井 久興君    政府委員        内閣官房内閣内        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房内政審議室        長        竹島 一彦君        内閣審議官    坂野 泰治君        内閣審議官    松田 隆利君        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第二        部長       宮崎 礼壹君        内閣総理大臣官        房審議官     榊   誠君        地方分権推進委        員会事務局長   東田 親司君        総務庁長官官房        審議官      西村 正紀君        総務庁長官官房        審議官      瀧上 信光君        総務庁人事局長  中川 良一君        総務庁行政管理        局長       河野  昭君        総務庁行政監察        局長       土屋  勲君        科学技術庁長官        官房長      沖村 憲樹君        科学技術庁研究        開発局長     青江  茂君        科学技術庁原子        力局長      加藤 康宏君        科学技術庁原子        力安全局長    池田  要君        環境庁長官官房        長        太田 義武君        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        環境庁自然保護        局長       丸山 晴男君        法務省民事局長  森脇  勝君        法務省刑事局長  原田 明夫君        外務省総合外交        政策局軍備管        理・科学審議官  阿部 信泰君        外務省経済協力        局長       大島 賢三君        外務省条約局長  竹内 行夫君        大蔵省主計局次        長        細川 興一君        大蔵省主計局次        長        寺澤 辰麿君        大蔵省主税局長  尾原 榮夫君        大蔵省理財局次        長        妹尾喜三郎君        大蔵省証券局長        心得       山本  晃君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        文部大臣官房長  小野 元之君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省教育助成        局長       御手洗 康君        文部省高等教育        局長       佐々木正峰君        文部省学術国際        局長       雨宮  忠君        厚生大臣官房総        務審議官     田中 泰弘君        厚生省老人保健        福祉局長     羽毛田信吾君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君        農林水産大臣官        房長       堤  英隆君        農林水産省農産        園芸局長     高木  賢君        運輸大臣官房長  梅崎  壽君        運輸省鉄道局長  小幡 政人君        郵政大臣官房長  天野 定功君        郵政大臣官房総        務審議官     濱田 弘二君        郵政省貯金局長  安岡 裕幸君        郵政省簡易保険        局長       金澤  薫君        労働大臣官房長  渡邊  信君        建設大臣官房長  小野 邦久君        自治大臣官房長  嶋津  昭君        自治大臣官房総        務審議官     香山 充弘君        自治省行政局長  鈴木 正明君        自治省行政局公        務員部長     芳山 達郎君        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君        自治省財政局長  二橋 正弘君        自治省税務局長  成瀬 宣孝君    事務局側        常任委員会専門        員        志村 昌俊君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件中央省庁等改革基本法案内閣提出、衆議院送  付)     ―――――――――――――
  2. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を開会いたします。  中央省庁等改革基本法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 自由民主党の亀谷博昭でございます。  本法案質疑に先立ちまして、インドパキスタン核実験に伴う我が国対応についてお伺いをいたしたいと存じます。  インドは五月十一日と十三日、核実験に踏み切りました。そして、それに追随するのではないかと懸念されたパキスタンも五月二十八日と三十日、相次いで核実験を強行いたしました。  その間、参議院は五月十三日と五月二十九日、インドパキスタンに対しまして、核実験に抗議し、そしてまた自制を求める決議をいたしたところでありますし、衆議院も同様の決議を五月十四日、インドに対してなされているようであります。  しかし、決議をしてもその声が届かなかったということは大変残念でありますし、憤りを感じると同時に、決議をした立場としても、その声が届かなかったことにある種のむなしさを感じていることも事実であります。  我が国世界唯一被爆国であります。今や核軍縮あるいは核廃絶に向けての取り組み我が国世界に先立って行うべき立場にあるのではないか、このように考えるわけでありますが、まず我々が決議をした、そしてまた政府経済制裁その他いろいろの対応インドパキスタンになさっておられるわけでありますけれども日本政府は、インドパキスタンのカシミール問題を含む緊張関係、そしてまた世界核軍縮核廃絶にこれからどのように対応していかれるのか。  そしてまた、先ほど申し上げましたように、我が国世界唯一被爆国として核廃絶に向けたリーダーシップを強力にとるべきではないかというふうに考えるわけでありますが、そのためにも政府として、我が国として世界にインパクトを与えるような行動もまた示すべきである。  このようなことについて、総理のお考えをまずお伺いいたしたいと思います。
  4. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 院の御決議をいただきまして、それを受けながら今もなお努力をいたしておりますものの、成果の上がっておらない状況を大変悲しく、同時に内心に怒りを持ちながら今の議員の御指摘を拝聴しておりました。  そして、核軍縮あるいは核の廃絶というものに向けた対応考えますには、先般の参議院の御決議の趣旨も踏まえましたとき、まず核の軍縮、不拡散、同時に南アジア安全保障をどう確立していくか、二つの観点をとる必要があると考えております。  そして、核の軍縮廃絶というものにつきましては、今回の事態重大性というものを踏まえまして、我が国独自のイニシアチブとして、今、内外の有識者参加を得て、今後の核不拡散核軍縮の問題について、世界に向けた提言を早急に行う国際的なフォーラムの設置を提唱したいと考えております。  後者の問題につきましては、これは基本的に当事者間の話し合い対話というものが軸になるべきものでありますけれども我が国としては、このインド、またパキスタン核実験という事態が発生をいたします前からこうした点を心配し、安保理においてカシミール問題を取り上げて、問題の解きほぐしをしようという努力を行っておりました。しかし、その成果が見えないうちにこの状況になりました。インドパキスタン核実験という新たな状況の中において、国際社会が根源的と申しましょうか基本的と申しましょうか、本質的な問題というふうに申し上げるべきかもしれません。そうした問題であるこの問題に対していかに対処すべきかということを考えること自体が非常に重要と。来るG8の外相会合におきまして、G8として意味のあるインドパキスタン間の対話を慫慂することを日本としては提起したい、今そのように考えております。
  5. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 東西の冷戦下におきましては、核の傘というものがそれなりの世界秩序を維持するために役割を果たしてきた、そしてまたそのことがP5の核保有に対してあるいはやむを得ないというような空気を醸成してきたのではないか、そしてインドパキスタン核実験によってこの問題が改めて大きな課題として浮上してきた、そんなふうにも思うわけであります。しかしながら、インドパキスタンの間に見られますように、地域紛争を解決する手段として、あるいは地域紛争にかかわる国がこれからも核に関心を持っていくということは十分に考えられるわけであります。  そういう意味では、我が国がこの地域紛争にも積極的にかかわっていくべきであろうというふうに思いますし、同時に、核を保有している国に対して、特にP5に対しても我が国として積極的な発言をしていく時期に来ているのではないか、こんなふうに考えます。ジュネーブで開かれているジュネーブ軍縮会議におきましても日本林大使核保有国責任に言及する発言をされた、こう報道されておりますが、そういう時期にもう来ているというふうに思うわけであります。  そういう意味では、今、総理が国際的な核不拡散核軍縮フォーラムを開くというお考えを示されましたけれども、それはそれとしてどういう中身になるのかわかりませんが、それは多分専門家あるいは知識人と言われる人たちが集まって核不拡散あるいは核軍縮についての話し合いをするのでありましょうけれども、こういう会議というものが一つ限界を迎えていることも私は事実だと思うんですね。核拡散防止条約いわゆるNPT、あるいは核実験全面禁止条約CTBT、こういう会議を何度開かれても、結局インドパキスタン核実験が強行された。会議はもちろんそれ自体必要なことでありますけれども、話し合うことの限界というものもここで露呈したのではないかというふうにも考えるわけであります。  そういう意味で、私は、例えばアメリカ等を含めた、P5を含めた今後の核不拡散核軍縮核廃絶に向けた行動というものがもっと大規模にとられるべきではないか、そしてまた日本はそういう主導権をとる、あるいはそういうものをリードしていく責任世界唯一被爆国としてあるのではないか、そう思うわけであります。  総理、いかがでしょう。このフォーラムは、これはこれで必要なことだろうとは思いますけれども、もっと大きな形で世界の核問題をみんなで考えようではないか。今まである意味ではやむを得ないかと思われてきた五大国も含め、やっぱり核廃絶に向けた強力な積極的な行動をとる、そのリーダーとして我が国リーダーシップをとっていくということが必要に思いますが、再度、総理の御見解を伺いたいと思います。
  6. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに、今私が申し上げましたフォーラム、今回提唱しようとしておりますものは民間有識者のものということにならざるを得ません。そしてその上で、私は、この問題ばかりはという言い方はよくないのかもしれませんが、やはり日本は愚直なまでに真正面からこの問題は取り組むべき性格のものだ、それだけの責任もあると思います。  この事態重大性にかんがみまして、さらに何ができるのか、また何をなすべきなのか。このP5の、そしてそれにすぐ続いて小渕外務大臣参加をされますG8の外相会談での議論流れも見ながら積極的に検討していかなければならないということは御指摘のとおりでありますが、まずG8さらにはそれに先行するP5の外相会談流れというものを見ながら、その上で我々として積極的に検討を進めていきたい、今そのように考えております。
  7. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 今お話にありましたP5の外相会談は六月四日と報道されておりますが、引き続いて十二日にはロンドンでG8の外相会議が開かれるようであります。  そこで、外務大臣にお尋ねをいたします。  今、総理お話をされたようなことを踏まえてG8に臨まれるんだと思いますけれども、私は、今、総理お話しされたそれは、今の我が国の置かれている状況、そして総理のお立場からそれ以上の踏み込みは難しいのかなと、こう理解をいたしますが、どうかG8では、被爆国としての立場から世界をリードする、ぜひそういう対応をしていただきたいというふうに思いますし、世界世論を喚起する役割をぜひ果たしていただきたいというふうに思うわけでありますが、G8に臨む外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
  8. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 究極の核廃絶は、ひとり日本のみならず世界人類のこれは理想といたしていくべきところでございます。  しかし、現実核保有国というのがありまして、そのためにNPTあるいはCTBTあるいはカットオフ条約、こういういろいろの条約を通じて、現実を直視しながら一つ一つ解決をしようということの努力日本としても精いっぱいいたしてきたわけでありますが、にもかかわらず、今般、インドパキスタンがこうした世界一つ秩序づくりの中で実験を行ったということはまことに遺憾で、許されざるべきことだと思います。しかし、現実に起こったことでございますので、これをどういうふうに対応するかということは極めて重要なことだろうと思います。  そういった意味から申し上げれば、本来的に言えば、核保有国あるいは今度行った二カ国、そしてまた世界に、核の問題については、実は能力を持ちながら核開発は絶対やらぬという国、すなわち能力の点についてはいささかこれは言葉が過ぎたかもしれませんが我が国とか、あるいは核保有を製造しつつありながらこれをやめた国とか、世界にはそういう国々がたくさんあるわけです。したがって、こういう事態が生じて、改めて世界の核の管理の問題について、やはり日本イニシアチブをとってやっていかなきゃならぬと強い決意でおるところでございます。  そこで、G8でございますが、本来的に言うと、今ジュネーブ軍縮会議で、委員が御指摘のように日本としても日本なりの主張をいたしておりますが、その後ジュネーブで今度は保有国五カ国がやるわけですね。私どもは、核の問題については、日本がただ一つ被爆国という意味から、実はこういう会合にもでき得べくんば出席をしてと思いましたけれども、今度はP5だけだと、こういうことですから、万やむを得ず、我が国立場はできる限りお伝えをしていきたいと思っておりますが、その後G8になるわけです。G8と相なりますと、核保有国の中で中国は出席されるかどうかわからぬというところもあります。  そういう意味で、それぞれの会合、それぞれの重要性はあるかと思いますが、本来的に言えば、この機会に全世界の各国が改めて今日の事態を冷厳に見ながら、今後どうやっていくかということを考えていかなさやならない極めて貴重な時期だろうと思っております。  そこで、G8につきましては、私としては、国会の御都合もあろうかと思いますけれども、ぜひ出席をさせていただいて、我が国立場は堂々と主張いたすと同時に、これからのあり方につきましても、日本なりにどう対処したらいいかということを改めて訴えてまいりたいと思っております。御支援と御鞭撻をいただければありがたいと思います。
  9. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 インドパキスタン核実験が行われたという環境の中でのG8でありますので、ぜひ大きな成果を上げられるように御期待を申し上げたいと思います。さっき総理が愚直に真っ正面からというお話をいただきました。そういうお立場でぜひこれからも世界世論をリードする積極的な行動をとっていただきますようにお願いを申し上げておきたいと存じます。  そこで、法案の方に入りますが、昨日の審議で、総理行政改革は今ベースキャンプを設営中と、こういう表現をなさいました。これから五年後の頂上に向けて、まずこの法案が通ったところでベースキャンプができ上がる、こういうことだろうと思いますから、ここから徐々に頂上に向けての歩みが始まるというわけでありますが、今回の法案の中で移行目標時期について二段階の表現がなされております。  「遅くともこの法律の施行後五年以内」、そして「できれば平成十三年一月一日を目標として、」と、こういうことにされております。「できれば」ということは、その時点で残らざるを得ないものが幾つかあったにしても、ほとんどは平成十三年一月一日にスタートをするという御決意のあらわれかと、こう思っているわけですが、財革法審議でもありましたように、二年延ばすというようなことになるとまたいろいろと議論が出てまいります。しかし財革法と違って、これは実行するという決意をして、そしてまた着実に努力をしていけば、財革法のように予期せざる事態というのは余り予期できないことであろうというふうに思いますので、ぜひ着実な取り組みを期待したいと思います。  そこで、あえて平成十三年一月一日という前倒しを具体的に表現されたその基本的なお考え総理に伺いたいと思います。それから、きのうの総務庁長官の御答弁では、これからどのくらいの法律を手直しするのかちょっとまだ見当がつかないというお話でした。できるものからどんどんやっていくということだろうと思いますが、その手順、スケジュール等について総務庁長官から伺いたいと思います。
  10. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私どもは、今回の中央省庁改革、これは二十一世紀においてこの国が担うべき機能というものを十分に発揮できる、そして課題に的確に対応できるようにするためにするわけですから、少しでも早く新体制に移行したいということはもう間違いありません。  そうした中で、議員から御指摘のように、二〇〇一年の一月一日を目標としてスタートさせる、そして五年以内という期間設定をいたしました。これは、できるだけ早くその移行スタートもさせたいし、完了もしたい。新たな世紀の始まる二〇〇一年一月一日からの移行開始というものを目指したわけであります。  同時に、膨大な政府の引っ越しと申しますと言い方がおかしいかもしれませんけれども、その移動を業務に差し支えのないようにしながら進めていく責任の持てるぎりぎりの期間、そうしたことを考えまして、遅くとも五年以内というタイムリミットを設定いたしました。
  11. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 申し上げるまでもなく、このように、まさにまれに見る大変高度な、しかも膨大な検討を要する案件でございますので、これからの取り運びを単純に申し上げることもちょっと難しいところでございますが、まず今次の国会におきましてこの基本法国会の意思として確定いただきましたなれば、その前提で申し上げるところでございますが、数日中に公布されるものと確信いたしております。  その数日中とは、もう御承知のとおり、通常三、四日もあれば国会の意思が決定した後行われるものと思っておるわけでございまして、橋本総理大臣は、できるだけ間髪入れず、その時来たらば立ち上げをせよと、そういう方針でございます。したがいまして、推進本部を直ちに設置する。そして、本部長総理大臣を中心にいたしましてそれぞれの組織を編成いたしますが、その組織の形態については昨日来申し上げてまいっておるところでございます。しかも、陣容は当初百名前後かと考えておりますが、事務事業の大変な大きさからいたしまして、漸次これが大きくなり百四、五十名前後になるかと、さように思っております。  それから、さらにその検討の結果、内閣法あるいは国家行政組織法、そのほか必要な関係各省庁設置法等を中心にいたしまして法体制整備も進んでまいります。そして、それらを一まとめにいたしまして、あるいはまた独立行政法人法のごとき特定の、しかも新しい組織体制を組み立てるについて根幹となるような特定法はもっと早目に出さなげればならないかなという感じを持っておるところでございますが、総じて来年の通常国会には、はっきり時期を申し上げることはどうかと思いますが、でき得れば三月ないしその前後と思っております。そういう時期に至りまして、各法案が順次出そろってきて再度国会の意思をお聞かせいただくもの、さように思っております。  さらにまた、二〇〇一年の関係がございますからもう一つ申し上げておかなければならぬと思いますが、そのような法案の整備が整ったならば直ちにそれに関連する予算の編成も必要でありまして、その予算は平成十二年の予算に御相談しなければならないと思っております。  というのは、平成十三年一月一日に移行したい、そういう信念のもとに総理を初め政府は取りかかっておるわけでございまして、それをしかるべく実施するためには、二〇〇一年でございますが二〇〇〇年の予算に関係しておかなければ、二〇〇〇年度中に移行するわけでございますので、そういう段取りが最小限必要かなと思っておるところでございます。
  12. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 やろうと思えばすぐ手がかけられる法案もあるんだと思いますから、我々も全力で一緒に取り組んでいきたいと思っておりますので、平成十三年一月一日には、八合目と言わず、九合目、限りなく頂上に近い形でこれが実施されて移行していかれますようにぜひお願いを申し上げたいと存じます。  そこで、最も手がかかるというか難しいと考えられる省庁設置法であります。きのう、総理の御答弁で、これはむしろ見直し、改正というよりも新しくつくり直すということであろうというお話がありまして、私もまさにそうだと思います。  今、所掌事務あるいは権限と言われるものが二千ぐらい多分あるんだと思います。これを、例えばこれは地方に任せるべきものかなというふうに一つずつ小出しに整理をしていくということではなくて、国として何をやるのか、何をなさなければいけないのか、そういう観点からきちっとした基本を踏まえた取り組みがなされなければならないのだろうというふうに思います。そういう意味で、第四条に基本方針というのが書いてありまして、第二項に省の編成についての基本的なことが述べられております。  きのうもお話しありましたが、総理にもう一度省庁設置法を新しくつくり直すということについての御決意、お考えを伺っておきたいと思います。
  13. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今回の改革というものは、国の権限及び仕事の徹底的な減量あるいは行政組織の整理及び簡素化、こうしたスリム化を進めた上で省庁を目的別に大ぐくりにくくろうというものでございます。  今、議員からも御指摘がございましたけれども、当然のことながら、その場合、新たな省の編成に当たりましては主要な任務を基軸として大ぐくりをする。その際、基本的な政策目的の相違あるいは省間のバランスというものにも配慮をする、これは当然の方針でございます。  そうした上で、各省の設置法を立案するに際しましては、基本法に定めております主要な任務、主要な行政機能、そしてそれぞれの編成方針に即して、ただ単に既存の省庁設置法の改正ではありません、まさにこれは新しい省を設置するわけでありますから、そうした気構えのもとでそれぞれの設置法の任務、所掌事務及び権限について明確な範囲を示すことに留意しながら十分な検討を行い、ふさわしいものにいたしたい、今そのように考えております。
  14. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 ありがとうございました。  そこで、そういう基本的な考え方に基づいて省庁設置法の改正がなされていくわけでありますが、きのうもお話にありました巨大官庁になるのではないかと懸念をされている国土交通省についてちょっと伺います。  これは、運輸省、建設省、国土庁、北海道開発庁が一つに統合されるわけでありますが、この所掌事務は現在法律に書いてあるだけで、建設省で六十六項目、これは一の二とか玉とかというのがありますから、細かいのを入れると多分八十ぐらいの項目になるんだろうと思います。運輸省は所掌事務と権限が分けられておりまして、所掌事務で百八十六、さらにこれに細かいのがありますから多分二百ぐらいの所掌事務ということになってくる。権限は五十二でありますが、これも一の一とか玉とかいう細かいものを含めると多分百項目ぐらいある。国土庁は細かいのを除いて二十七、北海道開発庁は六、こういうことになってくるわけであります。  これだけの所掌事務、権限が一つになって本当にスリム化ができるのか。そしてまた、簡素で効率的な行政が展開できるのか。機動性、透明性が本当に確保されるのか。ひょっとしてこれは巨大官庁になるのではないか、人員、予算も含めて。そういう懸念が出てくるわけであります。そしてまた、同時に、こういう巨大な数多い所掌事務、権限があるために、官庁をめぐるさまざまな問題が裁量権をめぐって起きていることも事実であります。  現在の所掌事務、権限を全部並べていくと、多分国民の生活のすべてがこの中に含まれるのではないかという言い方もなされます。そのことがまさに我が国の中央集権体制を築いてきたわけでありますが、中央集権体制というのも必要だった時代があったと私は思います。それだからこそ国難を克服してきた時代があったということも事実だと思います。本法案の目的、理念にありますように、新しい時代に向かって新しい方向づけをする、新しい国づくりをするということであれば抜本的に見直す必要が生じてくる、こういうことだと思います。  そこで、設置法は新しくつくられるということではありますけれども、現在数多くの所掌事務、権限を担っておられる建設省と運輸省は、現在持っておられる所掌事務、権限を新しい国土交通省に移行する中でどういう観点からこれを整理しようとしておられるのか、さっき基本的なことは総理から伺いましたから、建設大臣と運輸大臣からそのことについてお伺いをしたいと思います。
  15. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 委員からお尋ねのことは極めて重要なことだと認識をいたしております。  国土交通省は、国土の総合的、体系的な開発及び利用という行政目的の実現のために四省庁大くくりをして、これを母体として社会資本の整備や交通政策等の関連施策を総合的かつ整合的に行う組織として設けられたものでございまして、国土の適正な整備、管理についての責任官庁を設置する、こういう目的を持つものである、かように考えております。  いわゆる巨大化の懸念というのは確かにございますが、そういった今とかく言われます問題を払拭するのみならず、ただいま総理からも御答弁がございましたが、行政改革の実を上げるということにつきまして、各省庁と協力しつつ、徹底的な規制緩和でありますとか、地方分権の一層の推進を進める、加えて地方支分部局への権限移譲、このような作業を通じまして減量化を図る、こういうことを効率化、透明化の観点からただいまも進めておるわけでございますが、類似事業間の調整、コストの縮減、事業の決定過程の透明化、評価の適正化、こういったことを図ることは重要である、こう認識しておるわけであります。  少なくとも、巨大化の懸念を払拭して、二十一世紀という来世紀に向かって行政改革の実をいかに上げるかということでこの目的を進めておるわけでございますので、今、総務庁長官の御答弁にもありましたように、基本法が通過することができれば、早速各方面での問題整理に取りかかっていかなければならない、こう考えております。
  16. 藤井孝男

    国務大臣(藤井孝男君) お答えいたします。  国土交通省が建設省、運輸省、国土庁、そして北海道開発庁を母体として設置されるわけですが、交通政策を推進する任務が国土交通省の一つの主要任務ということになります。総合的に交通行政を展開できるということは、まさに社会資本の整備を整合的、効率的に推進することと同じように、国土交通省を編成する大きな大きな眼目の一つであろうかと考えております。  また、強大化すると言われる御指摘の点でございますけれども、ただいま建設大臣からも御答弁があり、また総理からも御答弁がございましたように、この懸念に対しましては、国と地方の役割分担ですとか、また本省と地方の権限の移譲、そしてまた、運輸省は一昨年需給調整の規制を年限を限りまして廃止という、つまりこれは規制緩和でありますが、それを推進する。さらには、建設大臣のお話がありましたように、透明化はもちろんでありますと同時に、コストの縮減等々を推進させることによりまして、やはり行政改革の実を上げるということを重視しながら今後とも対応していかなきゃならない、このように考えておるところでございます。
  17. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 新しい省庁設置法をつくり上げる基本的な考え方を総理から伺いました。また、非常に大きな事務権限を持っておられる建設大臣、運輸大臣から基本的なお考えを聞かせていただきました。これは全省庁にかかわるわけでありまして、今お話しのような基本を踏まえて、この省庁設置法というのは今回の法案の、また行政改革の中核であろうかと思いますので、しっかりとお取り組みをいただきたいと思っております。  次に、今回の省庁再編について中央省庁等改革基本法案ではいろんなことが述べられているわけですが、一つの大きな柱は地方分権の推進であります。  そこで、今まで四次にわたる勧告が出され、それをもとに分権推進計画が閣議決定をされました。四回にわたる勧告を受けての総理の率直な御感想をまずひとつ伺いたいと思います。あわせて、第五次勧告に向けての検討作業がこの分権推進委員会で始まったようでありますが、この第五次勧告に向けて、総理はどんなことを期待しておられるのか、そのことについてもあわせて伺いたいと思います。
  18. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今の御質問にお答えをいたします前に、建設大臣並びに運輸大臣から現行の閣僚としての立場で御答弁を申し上げました部分、この基本法ベースで多少補足をさせていただきたいと思うんです。  巨大官庁というお話がよく出ますその理由に、現行の事業がそのまま引き継がれるんじゃないかという懸念があると思います。運輸大臣から、既に需給調整規制を年限を打って廃止していくことにより運輸行政のスリム化が現実に進行しつつある、それを受けての統合であるという答弁がございました。  また、これは建設省ばかりではございません。その公共事業全体につきまして、この法律の第四十六条に、「公共事業に関し、国が直接行うものは、」ということで、まずその一つのルールを定め、その他の事業に関しては「地方公共団体にゆだねていくことを基本とする」。そして、その第二項におきまして、いわゆるその他の事業に関する助成については「できる限り、個別の補助金等に代えて、適切な目的を付した統合的な補助金等を交付し、地方公共団体に裁量的に施行させる」。  要するに、国の行います公共事業についてもブロック機関にこれを移していくんです、本省が皆抱えるんではありませんということとともに、それ以前の問題として、国が行うべきもの、補助すべき事業というものを限定しました上で、むしろ地方に移していく部分が相当ありますということをこの基本法の四十六条の二項については御説明を申し上げております。こうした点も、その巨大化というものを意識し、そうした御批判の出ないようにということで組み立てておる法体系であることをぜひ御理解いただきたいと思います。  また、私は、地方分権推進委員会、本当に四次にわたる勧告を非常に精力的におまとめいただいたことに敬意を表しております。そして、国と地方公共団体の役割分担を明らかにしながら、国と地方公共団体というものが上下ではなく対等協力の関係に位置づけられるべきもの、そして地方公共団体の自己決定、自己責任の範囲を拡大し、分権型の社会というものをつくっていくための具体的指針の全体像が含まれている、その意味で、私はこれは積極的に評価してまいりました。そしてこれを受けて、五月二十九日、地方分権推進計画を閣議決定したわけであります。  その上で、引き続いての仕事をお願い申し上げたいということで分権推進委に私がお願いをいたしましたことは、今日までの分権推進委の勧告というものは、地方公共団体、いわゆる六団体と言われます六団体の共通した御要請に基づく部分がその作業の中心でありました。しかし同時に、例えば政令都市あるいは中核市といった全国をベースとした中における特異なグルーピングをいたしました自治体の意見というものは六団体の意見ではございませんでしたから、必ずしも今までの作業に反映されてきたとは言えない部分が残っております。  そうしたことを考えますと、これは国、都道府県から市町村だけではなく、都道府県と市町村、あるいは国と市町村、そういうレベルの中でも違った切り口で見ていただくとなお改善すべき点はないだろうか。私は、政令市あるいは中核市といったものを例示に挙げながら、引き続いての作業を分権推進委にお願いを申し上げました。  分権推進委としても、この六団体の共通した御要望を論議していくのではなく、その違った視野を入れた場合には多少の摩擦を呼ぶ可能性はあるが、大事な作業ということで受けとめていただいた、私はそう受けとめております。
  19. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 第五次勧告でまたさらに大幅な見直しが行われ、分権がさらに進んでまいりますように期待をいたしたいと思います。  今回の分権推進計画に、機関委任事務の廃止、そしてこれを自治事務と法定受託事務に分類をするというようなことが示されております。自治事務に約四百項目と言われておりますが、法定受託事務が二百七十五項目、現時点で残っているわけです。これについても、地方に主体的に自己完結的に行政をやっていただくという考え方からいけば、まだまだ地方に任せるべき事務がこの中にもあるのではないかというふうな指摘もありますし、私も幾つかの点についてそんなふうに考えるものがあります。この法定受託事務のさらなる見直しについて一つはお伺いをしたいと思います。  それから、現在の地方分権推進法は平成十二年七月までの五年間の時限立法であります。平成七年七月にこれがスタートして、約二年半で四回の勧告が出されたことになります。今回、第五次勧告に向けての作業をしている。これが七月ごろに勧告が出るかというような報道もありますが、分権推進委員会はあと二年任期が残っているわけであります。この二年を総理はどんなふうに、使おうと言うと言い方が悪いのかもしれませんが、どんなふうな役割を期待しているのか、その辺についてもあわせて伺いたいと思います。
  20. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、私は政令市、中核市を例に引いて、第五次勧告と申しましょうか、これからの分権推進委にお願いをしておりますものを拾いましたが、例えば規模別市町村の要望を踏まえますと、さらに市町村への権限移譲というものをそのレベルに応じて進めるといった視点も持っていただいて現在作業に取り組んでいただこうとしているわけであります。  そうしたことを考えてまいりますと、私どもは地方分権推進計画を閣議決定いたしましたけれども、これに基づく立法化作業等をこれから我々はやらなければなりません。ですから、第五次勧告に向けての作業をお願い申し上げるとともに、やはり私どもがこの立法化作業などの広範な改革内容を実行に移していくプロセスというものを、監視という言い方は余りいい言葉ではないと思いますが、チェックをいただきながら、必要に応じて御意見を出していただく。いわばチェック機能と申しますか、計画が進められるプロセスをやはり監視していただくというか、その中で必要な意見を出していただく、これが残された任期の分権推進委員会の基本的な役割ではないかと、私はそのように思っております。
  21. 上杉光弘

    国務大臣(上杉光弘君) 法定受託事務についてさらなる見直しを行いまして分権を一層推進すべきではないか、こういうお尋ねでございます。  地方分権推進計画におきましては、地方分権推進委員会の勧告に沿いまして機関委任事務を廃止いたしたわけでございます。また、個別の機関委任事務を個別法令ごとに自治事務あるいは法定受託事務に整理をいたしたところでございます。この機関委任事務の整理のための個別法令の改正につきましても、計画に盛り込まれた他の事項と合わせまして法案化を急ぎ、原則として平成十一年の通常国会に、昨日も総理からお答えがございましたが、所要の法律案を提出することとしておるわけでございます。  地方分権を総合的かつ計画的に推進していくために、まずは地方分権推進計画の内容を着実に実施していくことが重要ではないか、このように考えております。
  22. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 今、自治大臣からお話をいただきましたが、分権推進計画の着実な実施は当然期待をしたいわけでありますけれども、法定受託事務についてはやはりもう少し考えるべき部分が残されているのではないかと思いますので、これは今後の御検討をぜひお願いしたいと思っております。  次に、これまでの分権推進委員会の議論というのは、文字どおり権限を分ける、機関委任事務の廃止あるいは国から地方へどういう権限を移譲するかということに主眼が置かれてまいりました。    〔委員長退席、理事高木正明君着席〕 しかし、本当の地方分権ということを考えるのであれば、そしてまた国と地方との対等な協力関係ということを考えるのであれば、県や市町村の役割、そしてありようというものが議論をされなければならないのだろうと思います。  分権推進委員会の委員の皆様はそれぞれに県とか市町村のありようをイメージして議論してこられたんだと思いますが、少なくとも文字としては、あるいはまた表現としてはこれが示されてきていないわけであります。行革委員会の最終報告でも、市町村の規模、財源、人材育成等については検討するということで先送りの形になっております。  この市町村のありようについては、ともすれば観念的、理念的になりがちでありますけれども、今、総理お話にもありましたように、規模別の市町村のレベルに応じた分権、こういうことも考え、そしてまた県、市町村、あるいは今回二十万以上の都市に都市計画その他の権限を移譲するというような方向も示されておりますが、とらえやすいものというのはあるんだと思うんですね、県とか政令市とか二十万以上の都市とかあるいは十万の都市とか。しかしながら、市町村というものをどう考えていくかというと、やっぱりこれは大きな課題であろうかというふうに思います。国と地方団体との関係を定めて、調整して高度な協力関係を構築していくということになれば、当然、市町村のあり方についてもある程度の目安というものが示されなければならないのではないかと思います。  そういう意味で、今後の課題とされている規模、財源、人材育成等について、これはこれからいつごろまで、どんな形である程度の仕分けというものをしていかれるお考えなのか。きのうも御答弁がありました。なかなか難しいことではあるんですけれども、ここのところを踏まえないと本当の地方分権というものは進んでいかないのではないかと思いますので、改めてお考えを伺いたいと思います。
  23. 上杉光弘

    国務大臣(上杉光弘君) お答えいたします。  地方分権を推進し、国と地方の対等な関係を構築していくためには、御指摘のように、地方公共団体の規模、財源、人材育成等の問題に積極的に取り組んでいく必要があるわけでございます。  政府といたしましては、地方分権推進委員会の勧告も踏まえまして、今般、地方分権推進計画を策定いたしたところでございますが、これによって実効ある方策を講じてまいりたいと考えておるわけでございます。  まず、地方公共団体の規模についてでございますが、市町村の規模を拡大しまして行財政基盤を拡充するという観点から、自主的な合併を推進していくことが望ましい。分権の受け皿としては広域行政と合併と二つの方法、これは自主的に選択をされるわけでございますけれども、先々行き詰まりがない、あるいは効率的、機動的という意味からすれば市町村合併が好ましい、このように私は考えておるわけでございます。  また、財源につきましても、補助金等の整理合理化や事務権限の移譲などに応じまして、地方財源の充実確保に努めてまいりたいと考えております。  さらに、地方公共団体において長期的かつ総合的観点で人材育成に取り組んでいただくという観点から、既に人材育成基本方針の策定を要請するなどの取り組みを行っておるところでございます。  国が行っておりましたものを、権限を市町村に移すわけでございますから、規模のみならず、行政能力あるいは人材のレベルアップというものは当然のことでございまして、そのような意味から人材育成基本方針の策定というものを要請しておる、こういうことであります。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、地方分権推進計画に沿いまして実効ある方策を講じることにより、地方公共団体の行政体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
  24. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 ありがとうございました。  今、市町村合併についてのお話がありましたが、地方制度調査会で四月二十四日、市町村の合併に関する答申が出されました。  実は、地方制度調査会では平成六年に自主合併の推進を提言されました。それを受けて現在の市町村合併特例法がつくられたわけであります。きのうの総理お話の中にも、その後動きが余り早くない、こういう表現がありましたが、たしか実際に合併が実現したのは二件ぐらいだったと聞いております。非常に難しい課題でもあります。そしてまた、同時に小さい市町村ほど交付税において手厚い保護を受けるという現在の仕組みもあります。  そういう意味では、市町村合併をどう進めるかというのはなかなか難しい課題でありますけれども、新しい市町村合併特例法の改正案を提出する運びというふうにも聞いておりますので、ぜひしっかりしたガイドラインを示され、できるだけ受け皿が整備されるような取り組みをしていただきますように、時間がありませんのでこれは御要望を申し上げておきます。  そこでもう一つ、地方分権推進に当たって財源の問題があります。  補助金の見直し等もありますが、今法人課税の見直しが議論されております。実効税率を下げていくということになれば、当然地方税であります地方事業税というものも視野に入ってくるのではないかと思いますが、法人課税の見直しに当たって地方の財政に影響を及ぼさないような取り組みをぜひお願いしたいと思うんですが、その辺についての大蔵大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  25. 松永光

    国務大臣(松永光君) お答えいたします。  委員も既に御承知と思いますが、法人課税の見直しにつきましては、今後三年のうちにできるだけ早く国、地方をあわせた総合的な税率を国際的な水準並みにするよう検討を行うこととされておるところであります。  今後、税制調査会において税体系全体のあり方も踏まえながら、地方の法人事業税の外形標準課税の検討を初め法人課税のあり方についての検討が進んでいくわけでありますが、御指摘の点も含めて真剣に検討がなされるものと私は思っております。  既に税制調査会では法人課税小委員会なるものが設置されて検討が開始されておるところでありまして、私としてはその検討状況を見守ってまいりたい、こう考えておるところでございます。
  26. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 外形標準課税をどうするかという議論もありますが、基準をどう設けるのか、赤字法人への課税をどうするのか、さまざまな問題がこれあり、なかなか簡単に進まないのではないかと私も思いますので、ぜひ今御答弁のような方向でお取り組みをいただければと思っております。  もう一つ、提言を含めてお伺いしたいのでありますが、地方分権推進計画に「地方議会の活性化」という項目があります。私は県会議員を長くやってまいりましたので、その立場から、県会議員の定数というのは地方自治法で人口要件で各県何名、何百万人だから何名と、こう決められているわけですね。上限もあります。ところが、その配分に当たっては、その県の中の選挙区の設定、区割り、それからその区ごとの定数というのも公職選挙法で定められる仕組みになっております。  私は宮城県でありますが、宮城県だと仙台が非常に大きな町でありまして人口の四割ぐらいを占めておりますので、どういう現象が起こるかというと、県会議員がどんどん仙台に集中をしていく、こういうことになります。非常に広い土地、面積を持っていながら県会議員が一人、あるいはまたそういう二つの郡が合併をしても一人しかいないというような現象が起きてくるわけであります。  これは人口要件を基準にして、しかももう一つ郡と市を基準として選挙区を定める、こうなっていますから、現在の法律ではやむを得ない現象なのでありますが、各県ごとの人口要件による総定数はやむを得ないとして、その県の中の選挙区の設定や定数の配分は、これは当該地方公共団体いわゆる県に任せたらいいのではないかと思っているわけであります。現在はそれができないんですけれども、そういう私の意見に対する御見解があれば伺っておきたいと思います。
  27. 上杉光弘

    国務大臣(上杉光弘君) お答えいたします。  都道府県会議員の選挙区につきましては、原則といたしまして郡市の区域によることとされておるわけで、御指摘のとおりでございます。また、選挙区ごとの議員定数につきましては、原則として人口に比例して条例で定めなければならないとされておるわけでございます。  このような選挙区の区割りのあり方につきましては、郡の実態として一郡一町もあるわけでございまして、このようなところが全国では五百五十九郡中六十八郡ございます。こういうことなど、地域的まとまりを画する基準といたしましては適当かどうかという御意見や議員指摘のように、地方の自主性あるいは自立性の観点からできる限り選挙区の画定についても地域に任せるべきではないか、このような御意見があるわけでございます。  したがって、そういう御意見も十分お聞きいたしておりますが、しかしながら、地方選挙の選挙区につきましては、一定の地域的まとまりについて恣意によらない客観的な基準により画することが重要でありますし、また選挙区ごとの議員定数につきましても、投票価値の平等の観点からの制約も考慮しなければならない、このように考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、地方自治をめぐる昨今の大きな流れの中で、ただいまの議員の御提言につきましては、一つの貴重な御意見として十分承っておきたいと思います。
  28. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 ありがとうございました。  一票の格差等については、ある程度の基準を設けながらも地方の自主性を尊重する、そしてまた地方議会の活性化を図るという観点から、区割り、定数についてぜひ今後御配慮をいただければと思っております。  なお、政策評価等についてもう少しお伺いしたかったんですが、私の予定の時間がほとんどありませんので、御要望だけ申し上げておきます。  政策評価というのは、基本方針の中にも述べられておりますが、まだ評価のあり方というのがどうも学者の間でも余り定着をしていない。どういうものをどう評価するのかというのはまだまだ研究の余地がある、検討の余地がある、こう言われております。そういう意味では、政策評価をどうするのかということも非常に大きな課題だと思いますし、同時に、政策評価をするに当たってはやはり第三者の見方、意見というものをしっかり取り入れる必要があると思うんです。例えば、何かダムをつくるというときに、地主さんとか地方の知事さんとか市長さんとかみんなの意見を聞きますが、あと途中とか終わってからはほとんどそういう意見を聞くということはないわけであります。政策評価について、しっかりそういうような方向づけが必要だと思います。  もう一つ、会計検査院の機能強化についての記述もあります。この会計検査機能の充実強化、あわせて行政監察局と新しくつくられる省庁横断的な評価部門との整合性をどう図るのかという課題もあると思いますので、この政策評価についてもしっかりお取り組みをいただきますように御要望を申し上げながら、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  29. 国井正幸

    ○国井正幸君 自由民主党の国井正幸でございます。  中央省庁等の改革に関する基本法に関しまして、若干御質問をさせていただきたい、このように思っております。  先週の金曜日には、改正財政構造改革法並びに減税関連の三法案が可決をされたわけでございます。そり議論を通じて、私、率直に感じておりましたことは、財革法というのは悪法だ、あるいは財軍法によって景気が低迷させられた、こんな議論がある意味では目立ったんではないかというふうに感じております。  しかし、私は、国、地方の今日的な状況というもの、財政的な状況、こういうものをやはり考えたときには、大変つらい道ではあっても将来世代に決してツケを回さない、そういう意味で将来の日本が元気であるためにも、この財政構造改革というのはどうしてもやっていかなければいけない課題なんだというふうに私は考えております。  もちろん、景気は生き物でございまして、けさの新聞等によりますと、九七年の一般会計の歳入減一兆円等が見込まれる、こんな記事も出ているわけでありまして、大変に経済の状況というのも厳しいわけであります。これに対して今度の改正財革法の中で臨機応変な対応をとることというのはもちろん必要なことではあるわけでございますが、それとて総理の掲げております六大改革のうちの一つ、財政構造改革というものは決して外に寄せるものでもないし、あるいは課題としてなくなったわけでは決してないというふうに思うんです。  そういう意味で、大変何か総理も悪者というか、袋たたきに遭ったような感じで私もこの議論を聞いておったんですが、私は、少なくとも総理の掲げる六大改革、中でもこの財政構造改革あるいは行政改革というものについては、しっかりと取り組んでいただかなければいけない、このように思っておるわけでございまして、改めて総理、これは我が国課題だということで取り組んでいくという総理の基本的なお考えをひとつお聞かせをいただきたい、このように思うわけでございます。
  30. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員から行政改革議論するためにも財政構造改革というものは必要なものだ、そして将来を考えるとき、これはやり遂げなければならない課題だと、そういう御指摘をいただきました。ありがたく拝聴しておりました。  私は、本当にさまざまな事情はありますけれども、ただ一つ、人口構造の高齢化、少子化という現象だけをとらえましても、将来に我々は極めて大きな課題を抱えることになると考えております。そして、財政を取り巻く環境が非常に大きく変化しておる、そうした中におきまして、将来に向けてさらに効率的で信頼できる行政を確立すること、そして安心で活力のある社会、経済を実現するためにも財政構造改革に取り組まなければならない、この必要性は私は変わるものではないと思っております。同時に、それぞれの状況に応じた臨機の対応が必要であること、それも申し上げてまいりました。  そして、今般、総合経済対策を決定すると同時に、先日、財政構造改革法改正案を成立させていただいたわけでありますが、まさにこの改正案の御審議の中で、臨機応変の措置というものが必要なときのいわば安全弁をつけていただけた。その安全弁をつけていただきましたことを受けながら、私は、基本的な財政構造の方向性というものを維持しながら全力を挙げてこれらの課題の解決に取り組んでいかなければならないと思っております。  そのためにも、実は行政の基本から考えを変えていく、並行して進めていきたいと考えておりますので、ぜひ御協力をお願い申し上げたいと思います。
  31. 国井正幸

    ○国井正幸君 ありがとうございました。  ぜひ、そういうことで私どもも一生懸命頑張ってお支えをさせていただきたい、このように思うわけでございます。  そこで、今、総理のお言葉の中にも安全、安心な国づくり、こういうこともあったわけでございまして、これに関してちょっとお伺いをしたいというふうに思います。  戦後五十年を振り返って、我が国も追いつけ追い越せと、こういうふうなことでひた走りに走ってきたというふうに思うわけでございまして、現在の状況というのは経済的にもそういう意味では世界のトップランナーになった、そういう状況だというふうに思います。  しかし、さあこれから先どうやって生きていくかということになりますと、なかなか先が見えないといいましょうか、海図のない航海の時代だとか、あるいは不確実性の時代だ、こんなことが言われておりまして、これからのかじ取りというのは大変難しいというふうに思います。そのときにあるべき日本の姿あるいは目指すべき日本の姿というのをしっかりと国民の皆さんに提示をすることが必要なんだろうというふうに考えております。我々も現世の利益を享受する余り、将来世代にツケを回さない。やっぱり将来世代が特に少ない人数でもって多くの借金を支える、これは大変なわけでございますので、ぜひそういう意味では我々も十分心しなければいけないだろうというふうに思っています。  私も昭和二十三年の生まれでございまして、俗に言ういわゆる戦後団塊の世代の一員でもございます。ある意味ではベビーブーマーと言うんでしょうか、我々が年がいったときがいわゆる高齢化のピークというふうに言われているわけでございまして、私ども世代としての共通した思いというのも一つあります。我々も、戦後日本の高度成長期というものを若年労働力としてきちっと支えてきて今日をつくってきたという思いがあります。しかし、もう既に五十になりまして、頭に白いものもまじるし、あるいは毛も薄くなりますし、目も見えなくなってくる。さあ、いよいよ我々もこれから先どうなるんだろう、そういう不安な部分はあるというふうに思うわけでございます。  私もよく選挙区を回っておりまして、多くの人と話をします。これから年金がもらえなくなっちゃうんじゃないか、あるいは医療保険がどうなるんだろうと、国民の皆さんは大変心配をしているわけでございます。それは負担と給付という関係は見直していかなければならないというふうに思いますけれども、しかし国民の皆さんは、非常に景気も悪い、世の中も暗い、そのときに先に対してまた不安がある、これではなかなか元気が出ないというのもそのとおりだろうというふうに思うわけでございます。  減税も国民の皆さんからすれば大変ありがたいことであるには違いないんですが、しかしやっぱり先が見えない、国に対して頼れない、こういうふうなことになればどうしても、それじゃ少しでも貯金をして自分で自己防衛を図らなければならないと、こういうふうな感じになるのは仕方のないことだというふうに思うんですね。  したがって、一番ここで景気対策として必要なのは、国民の皆さんに対して将来も心配ないよ、政治が責任を持ってきちっと将来を保障していくよと、こういうことが私は消費を拡大する上で何よりも必要なのではないかというふうに思うわけでございます。  そういう意味で、総理、厚生大臣、年金の問題、医療の問題、いろいろ言われておりますけれども、決して国民の皆さんに心配をかけぬ、そういう強い決意をぜひいただきたい、こう思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  32. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 御意見を伺っておりまして、なるほどな、将来を見据えたいい御意見だなと感心して聞いておりました。  世の中、景気がいいときはこの景気がずっと続くんじゃないかと思いがちです。逆に、景気が悪くなるとこの景気の悪さはずっと続いていくんじゃないかと。株も、上がっていくとずっと上がるんじゃないか、下がっていくとずっと下がっていくんじゃないかという人間の心理。私は、世の中は景気のいいときもあれば悪いときも必ずあると。  今は景気が悪い。非常に将来を不安に思っている方が多いんですが、私は、年金にしても医療においても、将来において安定した制度を築いていかなきゃならない、だからこそ今からその改革を進めていかないとこの高齢社会、少子社会、若い世代に過重な負担をさせてしまうということから改革には手をつけなきゃいけないと思っております。  そういう意味において、今、委員指摘された点、一番大事な点を指摘されたわけでありますので、行財政改革取り組み、そしてなおかつ年金についても、今不安が増幅する余り、公的年金はもうもらえなくなるんじゃないか、むしろ民間の方が有利じゃないかという議論が一部でされておりますが、とんでもないことでありまして、公的年金は必ず物価スライドがあるんです。民間保険にはありません。なおかつ税金を投入しているんです。民間の保険にはどんな有利な保険でも税金は投入されておりません。この一事をとってしても、公的年金は物価スライド、税金を投入しておる点において、いかなる民間の保険よりも有利だということを多くの国民に御理解いただきたい。  医療保険におきましても、私は日本の水準というものは、税金と保険料、そして自己負担がありますが、自己負担におきましても諸外国の制度に比べて決して遜色ない。三割負担、二割負担といいながらも、高額療養費制度という上限が設けられておる。百万円かかろうが一千万円かかろうが二千万円かかろうが、月の費用は六万三千六百円でいいと、普通の家庭は。低所得者はその半分。どの国と比べても、私は、年金制度においても医療保険制度においても、世界の最高水準を行っていると自負しております。  この制度を今後ともお互い高齢世代も若い世代も支え合っていく、一方に負担を押しつけるのではなくて、お互いが協調と連帯感を持った制度にしていかなきゃならないという点において、私は、今後とも安定した安心した制度を構築していく、そのことのために今改革が必要だということを御理解いただきたいと思います。
  33. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、厚生大臣から御答弁を申し上げたことにすべては尽きていると思いますが、私は我々の先輩世代が国民皆年金、皆保険というものを先駆けて建設しておいてくださったことというのが今どれほど大きいかということを考えてみたいんです。  例えば、アメリカは御承知のように医療保険制度で国民全員を対象としたものはございません。そして、いろいろな騒ぎが起きました。あるいは高福祉高福祉と言っているうちに高負担に耐え切れなくなって制度改正に追い込まれたような国もあります。  今、私たちは、将来世代を含めた世代間の負担と給付、これをいかにすれば公平なものに、バランスのとれたものにできるか、これを一生懸命考えているわけですし、同時に、利用者が選択できるその選択の幅を広げたい、あるいは皆保険、皆年金という国の仕組みの上に立って民間事業者の方々の力をどう導入していくか、まさに介護の部分なんかはそういう役割が随分あるわけでありまして、そうしたことまで含めて制度の合理化、効率化を進めようといたしております。  それは、将来にわたって社会保障というものが、年金であれ医療であれ福祉であれ、国民の暮らしのセーフティーネットとしてきちんと位置づけられる、その状態を担保し続ける、そのために必要な改革を今やっておこう、そう考えているということだけはぜひ御理解をいただきたいと思いますし、そうした思いの中での改革に対して国民の御協力をも得たいものだ、理解をも得たいものだと今思い続けております。
  34. 国井正幸

    ○国井正幸君 どうもありがとうございました。  それでは、本論に入る前にちょっと二つほどお伺いをしたいというふうに思うわけでございます。  実は一昨日、私、この質問をまとめておりまして、毎日新聞の夕刊をちょっと見ました。そうしましたら、特養ホームの建設費を水増しして補助金を不正に取得したと、こういう記事が出ているわけでございます。これは、大阪の高槻にある社会福祉法人博乃会というところのようでございます。この新聞の記事によりますと、特別養護老人ホームの建設費を大幅に水増しして申請して国や大阪府から建設補助金を不正受給していた疑いが強まって、大阪地検特捜部が補助金適正化法違反容疑でこの博乃会という社会福祉法人幹部の取り調べを始めたと、こういうふうな記事が載っているわけです。  大変国の財政も厳しくて、キャップ制をかけみんな切り詰めてやっている。小泉厚生大臣も福祉の部分は何とかということで大変頑張っている一方で、こういう補助金の不正受給というのがある。  これは、昨年来問題になっておった埼玉県の彩福祉グループと同様の手口だというふうに思うんです。私、素人だからわかりませんが、同様の手口だと。結局、ゼネコンと組んでその契約金額を高く見せかけて、そしてその総額でもって補助金を、まあこれは詐欺ですね、一種の。そういうことが起きている。こういうことを通しておったんではとてもとても問題にならない、このように思うわけでございますけれども、今捜査中なんでしょうけれども、答えられる範囲で結構ですが、検察当局として今どういう状況にあるのか、一言ちょっと事情を説明してください。
  35. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) 委員指摘の新聞報道は承知しているのでございますが、お尋ねが具体的な事案の捜査状況にかかわる事柄でございますので、法務当局としてお答えは差し控えさせていただきたいと存じます。  一般論ということで申し上げることをお許しいただきますならば、検察当局におきましては、法と証拠に基づきまして、刑事事件として取り上げるべきものがございますれば適正に対処してまいると考えます。
  36. 国井正幸

    ○国井正幸君 いや、法と証拠に基づいてやるのは当たり前の話でして、そんな話を私は聞いているわけではないわけでございます。それは結構ですが、きちっとこれは捜査をしていただかなければいけないということです。  それで、私も素人ながらに申し上げたのは、昨年の埼玉の彩福祉グループと同様のことなんではないか、表面から見ておって。表面化してきた社会福祉法人が幾つかあるわけですが、厚生省としてこういう社会福祉法人についてはどういうふうに対処しているんですか、その辺お伺いしたいと思います。
  37. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 今、毎日新聞の夕刊で報道されました博乃会に関連をして、社会福祉法人のそういった監督あるいは不正が起こらないようにということでどういうことでやっているかというお話がございました。  御案内のとおり、埼玉でのあるいは山形における彩福祉グループの問題が起こりまして以来、私どもとしましては、まず特別養護老人ホーム等の施設整備に関しまして、あるいはそれに関しまする社会福祉法人の認可に関しまして、補助金交付対象施設の決定方法というのが明確化をされていないことがこういったことの原因になってきているということで、そういった補助金交付対象施設の決定方法を明確化するというようなことをいたしましたほか、社会福祉法人におきます建設工事契約につきまして各都道府県の公共工事に準じた契約手続にするということで、まさに彩福祉グループで端的にその手口として使われました一括下請、いわゆる丸投げというようなことについては、これはもう禁止をするという措置を講じまして、その徹底方を図ったところでございます。  今、先生お挙げいただきました博乃会でございますけれども、法務省の方からも御答弁がございましたように、今検察当局においていろいろあれされている段階での報道ということでございますので、私どもも事案は大阪府を通じて今後厳正に調査をしてまいりたいと思っておりますけれども、補助の状態について申し上げますと、平成五年、六年度の工事で出たものでございます。その五年、六年度で総額約七億三千五百万円の国庫補助が出ております。それに大阪府の方の補助を足しまして、全体で二年度にわたりまして総額約十四億六千六百万円の補助が出ておるという案件でございますので、そういう意味ではかなり多額の国費なりあるいは公費なりというものが出ておりますから、厳正に対処をしていかなければならないと私どもも思っております。  したがいまして、今後の検察当局における調査が進み、あるいは私どもの方の調査の結果でそういった施設整備費補助金について新聞報道されるような不正受給の事実がございますれば、当然法に基づきまして、補助金の返還はもとよりでございますが、厳正な対処をしてまいりたいというふうに考えております。
  38. 国井正幸

    ○国井正幸君 ただ、社会福祉法人等についても、建物等はできているあるいはそういう法人があるということで、理事等の役員を変えてそれを使っていく、こういうふうなことに最終的にはなるんでしょうけれども、十分な指導をしていただかなければいけないというふうに思います。福祉という名前を使って悪がはびこるようなことがあっては私はならないだろうというふうに思っています。  それとあわせて、今度の緊急経済対策等でも多額の公共事業をやるわけでございまして、法のもとの平等ということで自然人と法人、いろいろあるわけでございますが、どうも我が国の場合、その法人の規範というんでしょうか、これがやっぱりちょっと足らぬのではないかと、このように思うんです。  これは何というゼネコンが絡んでいるか私はわかりませんが、いずれ明らかになるでしょう。そうなったときに、いや担当者がやったことだとかだれがやったことだとかということで、その中の一部の者を処分することでこの法人が、法人というかゼネコンが生き延びてくる。これはやっぱり私はいかぬと思うんですね。もうちょっときちっと法人の責任というものも追及をしなければならないというふうに思うんです。  特に、こういうことがあれば一定期間の指名停止とかなんかになるのは当然だというふうに思いますが、特にこれからこういう反社会的な行為を行った法人に対しては厳正な処置をきちっととっていくんだと、そういう強い態度で公的な処分のほかに行政処分という面できちっと対応をしていただきたい、こう思うわけでございますが、これはどうでしょうか。
  39. 下稲葉耕吉

    国務大臣下稲葉耕吉君) お答え申し上げます。  今お話しの事件は詐欺罪に係ることでございますが、刑法は詐欺罪につきましては十年以下の懲役と、非常に重い刑罰を規定しているのは御承知のとおりでございます。  今お話しのような法人とのかかわり合いでございますが、詐欺行為の実行行為を行った者のみならず、その謀議に加わった者などに対しましても刑法上共犯として処罰できるわけでございまして、またそのような事例というのはもうたくさんあるわけでございます。そういうふうな意味から、現在の日本の刑法は法人に対する処罰の規定はございません、御承知のとおり。しかし、だからといって、現在の刑法典で共犯等々の具体的な執行もあるわけでございますので、抑止力が低下しているというふうなことは刑法の上からはないんじゃなかろうか。  ただ、刑法に対する特別法といたしまして、例えば独禁法でございますとかあるいは覚せい剤取締法でございますとか、こういうふうなものは法人等両罰規定があるというのは御承知のとおりでございます。  そしてまた、行政処分の問題について申し上げますと、直接法務省のことでもございませんけれども、例えば法人の責任について、被害者から損害賠償の請求を行うとか、あるいは法人等々におきましてはそれぞれの根拠法規がございまして、それによる行政処分というふうなものも可能である、このように認識いたしております。
  40. 国井正幸

    ○国井正幸君 その刑法の方はきちっとこれはやってもらえばいいんですが、私が申し上げたのは、行政処分で社会的な規範というのをきちっと確立できるように、これは総理なり建設大臣が主かもしれませんが、ただゼネコンといっても何も建設省ばかりじゃない。それは運輸省も農水省もいろいろあるでしょう。しかし、これはそういう面で、やっぱり悪いことをした者はこれだけの制裁を受けるんだと、こういうことをぜひやっていただきたいというふうに思います。これは要望しておきたいと思います。  時間がなくなりますので、本論に入らせていただきたいと思います。  独立行政法人についてひとつ伺っていきたいというふうに思います。  行政組織の減量とかあるいは効率化の具体策の一つとして独立行政法人の制度というのを創設したわけでございますけれども、独立行政法人制度というのを創設すると国民から見てどんなメリットがあるんでしょうか。端的にひとつ総務庁長官、お願いしたいというふうに思うんです。
  41. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 端的にということでございますから整理して申し上げます。  一つは、独立行政法人の組織運営のいわば原則というものをきちんとこの際制度化しよう、明朗に、しかも、かつまた合理化ということを趣旨に置いてやりましょうと。それからもう一つは、明確な目的と責任のもとに、しかも自主的に自律的な運営ができますよと。従来の特殊法人については、後ほど先生お話があるかもしれませんけれども、事前管理あるいはそのほか大臣等によりまする直接的管理などが多分にあったわけでございます。三つ目には、企業会計の導入、弾力的な財務の運営。職員のやる気を引き出す仕組みをできるだけ創意工夫しようというようなことを基礎に置いております。それからもう一つは、申し上げるまでもなく、徹底した情報公開。それからもう一つは、定期的な見直しも行います。  以上のような、五つ、六つ申し上げたわけでございますが、現行の特殊法人をひとつ念頭に置きながら、この際、これを抜本的に改革を加えていこう、そういう一つの配慮もあったことでございます。
  42. 国井正幸

    ○国井正幸君 今回、独立行政法人を創設するということは、今、長官御説明ありましたように、これまでの特殊法人の問題点というものを十分総括して、その上に立って考えられておるんだろうというふうに思うわけでございます。  御案内のとおり、特殊法人ということで見ていきますと、NTTやあるいはJR、JTのように株式会社になっているのもありますし、あるいは日本道路公団や住都公団のように、財投資金の支援等を受けながら、しかしランニングコストについては自分で稼いでいる、こういう法人もあるわけですし、さらには宇宙開発事業団や科学技術振興事業団のように、とてもとても稼ぐということではなくて、全く政府からの資金の投入によって運営されているものまで千差万別だというふうに思うんです。  そういう意味で、やる気を起こさせて自主独立、自律してやっていける法人というのは、それはそれなりに私は意味があるというふうに思うんですが、これらについてはその内容を十分吟味していただかなければいけないのではないかというふうに思います。  時間も過ぎていますので、はしょっていきたいと思うんですが、そういう中で私は、今の特殊法人の反省ということに立ちますと、これはどうなのかなと思う特殊法人もあるんですね。それは例えば宇宙開発事業団でございます。  たまたま私の手元には平成九年版の特殊法人総覧という本がありまして、そこには平成七年度の貸借対照表、損益計算書が掲載されておるわけでございます。これを見てみますと、宇宙開発事業団については、一兆七千百九十六億七千八百万余が繰越欠損金なんです。当期欠損金が一千百九十九億二千四百万余でございます。損益計算書なんか見てみますと、費用としては千三百八十六億円余りかかるんですが、では事業収益というのは何ぼほど上がるのかということになると、七億円ぐらいなんです。これはそうだと思うんですよ、ロケットを飛ばしてそれで採算合うということにはならない。  しかし、それをこういう会計の処理方法でやっていていいのか。こういう研究開発型のものというのは収益はそこでは生まないわけです。そこでは金がかかる。これは費用としてきちっと見ていく。それを累積の欠損金としてずっと処理していくというのはいかがなものか。欠損金だから金が回らない、それはどうするかということになると、政府が出資金という形で別の形で出しているわけです。それでずっと両方膨らませながら結局形として残していく。私はこういうやり方というのはいかがなものかというふうに思うんです。  したがって、独立行政法人を新たにつくる、そのときにきちっと自立できるということを十分念頭に置いてつくることが私は必要だというふうに思いますし、あわせて、特殊法人等に対する反省があって独立行政法人をつくるということになれば、こういう宇宙開発事業団のような会計の仕方というのはいかがなものかというふうに感じておるんですが、その辺いかがでしょうか。
  43. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) お答えいたします。  最初に数字を申しますと、宇宙開発事業団につきまして平成七年度末の数字を先生今御指摘になりましたが、平成八年度末で申しますと、欠損金が一兆八千二百億ほどになっております。  なぜこういう問題が出てくるかといいますと、宇宙開発のようなものは大変大規模な資金を投入して、しかもその成果が出てくるまでに時間がかかるということでございますから、それを企業会計原則に当てはめて処理をすると欠損金という形になって出てくる。  それでは、宇宙開発事業団が全然しようもないことをやっているかと言われると、それはそうでないのでございまして、例えば二〇〇〇年度に打ち上げるHⅡAロケットということになりますと
  44. 国井正幸

    ○国井正幸君 私は、しようもないとは言っていませんよ。
  45. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) それはわかっておるんですが、宣伝もちょっとさせていただきますと、二〇〇〇年に打ち上げるHⅡAロケットは、これは世界的に見まして、一番先に行っているのはフランスのアリアンでございますけれども、決してそれの後塵を拝するものではない。現に二十基成約もできているということでございます。  しかし、これは宇宙開発事業団だけではなく、先生御指摘のように研究開発法人に共通する問題でございます。そこで、まず出てくる問題は、では研究開発法人に企業会計原則を当てはめてこのような欠損金を出していく仕組みがいいのかどうか、先生御指摘の点がまず第一点でございます。  これは、実は政府の中では、臨時行政改革推進審議会で昭和六十一年に、要するに企業会計原則に従って特殊法人も標準化をしていこうということを決めまして、その後、財政制度審議会の安企業会計小委員会において昭和六十二年に特殊法人会計処理基準というのをまとめております。  そこで、これはもちろん先生御指摘のように利害得失があることでありますけれども、要するに特殊法人だけあるいは研究開発法人だけ別の会計基準で処理するのじゃなくて、これは一般的な明確な基準でほかと一緒にやっていこうということでやってまいりました。したがって、こういう特殊な研究開発法人の特質は必ずしも十分にあらわしていないかもしれません。しかし、ここだけ別のルールを決めるのはやめようという形で当時は整理したんだと思います。  したがいまして、そこで、今のような基準でやっていきますときの我々の責務は、ではこの欠損金の中身は実はどういうことなんだということを十分に御説明申し上げるということが今の仕組みでは我々の責務であろうと思います。ただ、これがベストなものなのかどうかはわかりませんので、いろいろな方法を我々もまた頭をよく柔軟にしていかなきゃならないと思っております。  それからもう一つの問題は、出資金という形でやるのがいいのかどうかという問題でございます。このほかに例えば補助金、交付金というような手法もあろうかと思います。それぞれの利害得失、これを全部申し上げますと先生のお時間をとってしまいますので簡潔に申し上げますと、要するに長い期間時間をかけて投資するようなものでありますと、その結果に対して政府は権利を持たなきゃいけない。補助金とか交付金でやりますと、その開発投資の結果については政府の権利ということが言えなくなります。一つはそういう問題。  それからもう一つは、法人等に主体性を求める場合は補助金というようなものが適していると思いますが、大きなプロジェクトを進めようと国がある程度主体性を持つということになりますと、どうしても出資金ということがよくなってくるのではないか。そのあたりももちろん利害得失のいろいろな議論があろうかと思いますが、一応そういう整理で進めていることを御理解いただきたいと思います。
  46. 国井正幸

    ○国井正幸君 いろいろ事情はあるにしても、確かに単年度会計でできにくい部分があって、そういうことで長期間にわたりますから、これをするというのは私も理解できるわけでございます。  ただ、いわゆる一般的に出資金という形になりますと、政府としてそれは出しているわけです、あるいは株主になっているわけです。庶民感覚で見ていけば、何がしかの金が出ていてそれがゼロになるなんということはないわけです。一方では資産として残っているわけです。しかし、一方ではそれを注入しなければならないほど多額な負債があるわけですね。それでもう消えていっているわけです。ただ見かけ上、そういう資産があるかのように装っているというのはこういう事業にはなじまないんではないか、こういうことなので、それは世の中にはたくさん知恵のある人もいるわけでございますから、何のために企業会計原則をこれに入れるのか、そういうことを大意を持ってぜひ考えて、それに適するような方法というのを、一律ばかりが私はいいとは思えないんですよ、十分その辺は検討していただきたいというふうに思います。  いろいろ準備をしてきたんですが、時間もなくなってきたので先に進みたいというふうに思います。今後の中央省庁の改編、これの推進体制についてお伺いをしたいというふうに思います。  昨日も宮澤弘先生から、国民にもうちょっと開かれた体制をつくったらいいではないか、こんな御指摘があったと思うんです。そのときに総理の方から、事務局に可能な限り民間の部分を入れると、こういうお答えがあったように記憶をしているわけでございます。これは、ただ事務局に入れるというだけで本当にかじ取りができるんだろうか、そんな思いがあります。本部長総理でございます。そして、各大臣が本部員というふうなことになるわけでございますが、本部と事務局ということだけではなくて、そこにもう一つ何かできないんだろうかというふうに思うんですが、その辺はいかがなものでしょうか。
  47. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昨日も申し上げたことですが、私どもは本当にこの事務局の中には民間の御協力をできるだけ得たい、そして既にさまざまなことで人材の拠出といいましょうか派遣といいましょうか、お願いを申し上げている部分がございます。これはまさに事務局でありまして、そこには大変な膨大な作業をお願いしなきゃなりません。  しかし、私はそれだけで足れりとは思っておりませんから、少し高い立場、言いかえれば本部長たる内閣総理大臣に対し助言したり、あるいは事務局の仕事の状況をチェックしたり、そして必要に応じて私に意見を出していただけるような第三者機関というものはつくりたい。そして、そこに民間、いろんな方があると思います。学者の方も必要でしょうし、ある意味では官僚の機構というものをよく知り尽くしているような方も要るでしょうし、民間で経営者という立場から組織機構というようなものを眺めたような経験を持たれる方も要るでしょう。そういう方々を一定の数お願いをし、相談相手と申しますか顧問と申しますか、まさに推進本部の本部長たる内閣総理大臣の相談相手でありチェック機能を果たしていただけるような、むしろこれは事務局とは違った高いレベルの機関も必要としつつ、そういう方々にぜひ役割を負っていただきたい、そのような思いで内々工夫をいたしております。
  48. 国井正幸

    ○国井正幸君 ありがとうございました。ぜひそういうことでこの所期の目的が達成できるようにやっていただきたい、このように思います。  続いて、政策評価機能についてお伺いをしたいと思います。  この基本方針の中では、「国民的視点に立ち、かつ、内外の社会経済情勢の変化を踏まえた客観的な政策評価機能を強化するとともに、評価の結果が政策に適切に反映されるようにすること。」と、こういうふうな文言が入っています。これは、ある意味では我が国の行政の質というものを根本的に変える、私は画期的なことなのではないか、そのように思って大きく期待しているところでございます。これまで、ややもすると、一たん予算がついたこととか、あるいは一たん始まったことというのは、これはいいことだということでずっと進んでいって、切り込むことができずにどんどんふえてきた、これが率直なところ今日の状況ではないのか、そんな感じがしています。  そういう意味で、やはりこれは必要なんだ、これは必要でないんだ、あるいはもっと強化すべきなんだ、そういうことできちっと評価を加える、これは今までになかった画期的なことだというふうに思います。このことがまさに私は行政改革の基本でなければならないんだろうというふうな思いをしているわけでございます。  時間ももうあれなので、あわせてお伺いをしていきたいというふうに思うんですが、これまで各省庁では、通産省で何か一部去年あたりからできたというのがあるようでございますが、基本的には自分たちの所轄している事項に対して政策評価をする、こういう機能はなかったのだろうというふうに思うんですが、その点の事実の確認と、これからこの政策評価機能というのはどういうふうな形で位置づけをするのか。その辺をお伺いしたいというふうに思います。
  49. 坂野泰治

    政府委員(坂野泰治君) 各省庁におきます評価の組織の状況についてのお尋ねでございましたので、その部分だけお答えをさせていただきます。  通産省の例をお引きでございますが、官房政策評価広報課という組織がございますが、このように評価ということを正面に出しております組織は他にはほとんどございません。従来は、所管行政に関する業務の適正な執行の確保の観点から、監査等を実施する組織として、それぞれ各省庁におきまして、官房に総務課なり会計課なり秘書課なりの部門あるいは監察部門というものが置かれているのが現状でございます。
  50. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、実態は御報告を申し上げたとおりでありますけれども、この法律案の中で、国民本意の政策運営を図る、そうした観点からそれぞれの政策の効果をきちんと客観的に点検をする、そしてその結果をまた政策の不断の見直し、あるいは新たな政策立案に反映させていく、そうした視点を持つ政策評価制度というものを導入しよう、そのような考え方を織り込みました。  この場合、一つの問題点は、その政策評価をどういう位置づけで行うか、だれが行うかということがあります。第一義的にはそれぞれの政策を担う各府省、これがみずからの施策に対してみずから評価を行うことが基本的に重要なんです。その上に立ちまして、各府省の立場を超えまして、それぞれの政策の重複とか整合性あるいは総合性、そうした点検を行う、より客観的な評価を確保する観点からの政府全体の立場に立った政策評価機能の強化を図るということが大変大事な問題になります。いわば複層構造になるということでもあります。  今後、その政策評価制度というものを有効に運営していこうと考えますとき、中央省庁、新たな組織、運営などの詳細を設計する段階から、その評価手法とか評価基準の確立をしておくこと、さらに政府部内の評価部門を組織的な位置づけにどういうふうにしておくか、こうしたことを含めて制度の詳細を十分に練り上げていくことが欠かせません。  こういうことを考えましたとき、この評価システムにつきましては、御審議をいただいておりますこの法律案が成立をさせていただきましたならば、早急に検討を進めなければならないテーマだと思います。その中におきまして、今、議員からこの評価という問題について御指摘をいただきましたようなことも十分に念頭に置きながら作業に当たりたい、そのように考えております。
  51. 国井正幸

    ○国井正幸君 確かに、総理の御答弁のように、各府省で現場に根差した、そして我が所轄の中でどうなのか、こういうことも当然必要ですし、あわせて、府省をまたがる部分を内閣全体としてこれがどうなのか評価する。ある意味では、今は総務庁の行政監察あるいは会計検査院があるわけでございますが、こういうものをもっと充実する形できちっとやるというのは必要なことだろうというふうに思います。  実は二十二年ほどJAの県連に私は勤務していまして、主に管理部門を中心に企画だとか人事だとか、そういう部門を私は担当してきました。それで、いわゆるそういう組織の中での管理部門というのはなかなかつらい部分もあるんです。  大事なんというのは、人事権というか、トップ人事はできないにしても、少々下の方は比較的できますから、それはそれでいいんですが、先ほどもちょっとお話がありましたように、監査なんということになると大体憎まれる仕事なんです。余り招かれざる客で嫌がられるんです。大体が嫌がられる、面倒くさいとか。  ただ、そのときにも、なかなか思っておっても指摘ができない。これは、その同じ枠内で異動して歩くわけですから、余りいじめ抜いていて、今度そこへ行ってまたなるなんというのも、これは人の世のやることでありますので、非常に現実問題としては難しいんです。あすは我が身という部分がお互いにあって非常に難しい。それだけに、やっぱりこういう政策評価を担当する人の資質と人事というんでしょうか、これは大変重要なことだというふうに思うんです。  私の短い経験の中から見ても、その人物が将来その組織の屋台骨をしょっていくような資質を持ち、あるいは人脈の中に位置づけられておれば、少々きついことを言われても、まあ仕方ないな、人の世ですから言うことを聞くが、それが幾らかちょっと外れているようなら、何だ、何を言っているんだ、こういうふうなことの方が先に来て、なかなかこれ、言うことを聞かせるというのは容易なことではないですね。  それぞれの組織には、それぞれの部門というんでしょうか、そこにはそれぞれの大義がみんなあるわけです。それは、自分の府についても省についても、我が府は、我が省はということと同時に、我が課は、我が室は、こういうふうな話に必ずなっているわけでございまして、これを、あなたのところはほかから比べてだめだ、こういうふうなことをやるというのは大変難しいことだというふうに、私は自分の経験からは思います。  そういう意味で、少なくともこの担当する職員というのは兼務をさせるような職員であってはならないわけですし、あるいはまたそれだけの目が通るだけの資質を持ってそれぞれの部門とちょうちょうはっしの議論もやらなくちゃならない、それだけの部分があるというふうに思いますので、これについては人事を含めて、あるいは職制規定というんでしょうか、そういうものを含めてきちっとした対応をとる必要があるというふうに思うんですが、総務庁長官、いかがでしょうか。
  52. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 端的に申し上げまして、大変言うべくして言いがたきこと、しかしながら肝要なことを御配慮賜った一つの御指摘である、こう思っております。  議員は経済団体の管理部門の高度な経験があられると承りますが、現在、私の総務庁としても、例えば行政監察という重要な任務を担っております。  私は、局長以下職員の皆さんに、情勢報告においでになったときには、御苦労さん、本当にあなた方は大変厳しい雰囲気の中で重要な任務を遂行しておられますなという、そういう意識を込めてあいさつもしております。同時にまた、時の問題点というものをできるだけ正確に把握をしてくれ、そして問題点を整理したら勇気を持ってそれに対応していっていいですよ、責任はお互いにとりましょう、そういうような意気込みで督励をいたしておりまする独特の雰囲気が私の総務庁でも経験をさせておりますということを思い出しながら、ただいまの先生の貴重な御定見を承りました。  今次の政策評価制度というのは、先ほどから力説のとおりでありますから、きちんと肝に銘じて配慮していかなけりゃならない、さように思います。
  53. 国井正幸

    ○国井正幸君 そういう意味で、政策の評価ということを含めて行政全体が効率化を目指しているわけですから、やっぱり評価がどうしても必要だというふうに思います。  もう時間もないのでこれが最後の質問になると思うんですが、地方分権と地方行政の効率化の部分で最後に一つだけお聞きしたいというふうに思います。  いわゆる中核市制度というのができまして、現在これまでで二十一市が中核市になっています。来年度また四市ふえる、こういうふうにお聞きをしているわけでございます。ことし四市なったわけでありますからこれは別にしますと、これまで十六県十七市があるわけでございまして、都道府県から中核市に業務の移管が行われたわけであります。特に、保健所業務が要員的にもあるいは仕事のボリュームという面からしても多いわけでございます。  このときに、中核市はそれだけの仕事がふえてくるんですから中核市の要員がふえるのは私は当然だと思う。しかし一方では、中核市に仕事を渡した方の府県は要員が減るということが必要なんだろうというふうに思うんです。その辺を、もう時間もないわけでありますから、要望になっちゃうかもしれませんが、新しい制度を入れたときに、それが本当にどういう形でうまくいっているのかいっていないのか、これはきちっと確認を私はすべきであると思うんです。ややもすると、一たん抱えた要員はその仕事が減ってもそのままにしている嫌いがある、こういうふうな話も承っておりますので、やはりめり張りをきちっとつけるということが必要なんではないかというふうに思います。  あわせて、今、国の行革が言われていますが、地方の行革もこれはやらなくちゃならない、そういう思いもありますので、ぜひその辺についてはよろしくお願いをしたい、このように思います。  終わります。
  54. 高木正明

    ○理事(高木正明君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    正午休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  55. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、中央省庁等改革基本法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  56. 石田美栄

    ○石田美栄君 民主党の石田美栄でございます。  今国会中の中心である行政改革そして財政改革は、迫りくる人口構造の高齢化への準備をするため、また危機的な財政状況を打破するためで、先日の財政構造改革のときにも少し申し上げたのですけれども、バブル期の税収増の時期に来るべき人口構造の高齢化や出生率の低下による人口の減少化についてはわかっていたはずで、建設国債の償還期限が六十年というふうなことを考えるだけでも、もっと先の国のことを予測してその当時きちっと認識できなかったのだろうか、残念だということを申し上げました。バブル期に踊って放漫財政、むだ遣いをして、五十年先を見越した政策が打てなかったんだろう、打ってこなかったんじゃないかというふうなことを申し上げたのですが。  高齢化のことというのは割合取り組まれてきているんですが、本当に少子化のことについて、人口が減るということについて真剣に考えてみたいなと常々思っていたのですが、昨日も自民党の石渡委員が取り上げてくださったので、それで私もきょうはそのことを皆さんに一緒に考えていただきたいなと思って少しお話しさせていただきます。  厚生省も人口問題審議会で、「少子化に関する基本的考え方について」ということで「人口減少社会、未来への責任と選択」と題する報告をされておりますが、御存じのように、現在の人口をもし将来維持するとすれば必要な合計特殊出生率は二・〇八でございます。現在、日本の出生率は一・四三あるいは一・四二まで下がっております。  そして、二〇〇七年を頂点にしてその後は減少に転ずるというこの人口減少社会。口では言うのですが、実際、総理大臣も私も、多分二〇〇七年にはよほどのことがなければ多くの人が生きているわけですが、そのときが来ると一年ずつ、ことしは日本の人口が何万人減ったという報道が毎年されていく状況を想像してみますと、経済も戦後ずっとよくなってきてまさかと思っていたのが、人口についても明治以来ずっとずっとふえてきて、私たちは減るなんという実感をまだ持ったことがない。二〇〇七年が来ると、毎年そういうことが報道され出したとき私たちはどういう感じを持つだろうなと思うわけです。  今の状況、確かに戦後女は変わった、随分変わってきた。考えてみれば、女が柔道をやったりプロレスをやるなんて考えられなかった。今はもう当然でやれるくらい、あらゆる面で変わった。だけれども、じゃ男の人はどれほど変わったかというと、案外変わっていない。女性を見る見方も、表面はいろいろあっても変わっていない。  そのことは笑っていていいのではなくて、実は北欧の国々というのはこういう人口減少の体験をもう既に済ませていて、一九六〇年あたりから、これは社会学者が言い出して、そのあたりから取り組んで、日本と同じように一・幾らという出生率を二人台に取り戻しているんですね、現実に。一九六〇年というともう四十年近くやってきて、実際に二人台に取り戻していて、人口減少は阻めるというところにしているわけです。  それはどうやったかというと、アメリカは人口減少になっていません、これはちょっと特殊なまた別の要因ですが、私はきょう、ノルウェーだとかフィンランドとかスウェーデンの閣僚を見ただけでも女性が半分いるとか首相が女性とか、そういうことはよく知られているんですが、この点について、閣僚が皆さんいらっしゃるし、多少時間をゆったりいただけましたので、どうやってそういう人口減少を阻む、とめることのできる政策をしたかということをお話ししてみたいと思うんです。  一九六〇年あるいはもう少し進んで一九七〇年代は、今の日本のように女性が変わってしまって男の人は余り変わっていない、そしてまた女たちが実際いろいろ働きかけても、男の人の意識を変えることができなかったという現実がその当時あったんですね。一九七三年に男女平等問題担当大臣というのを置きまして、八〇年代に、男の人がみずから変わるというか、何らかの施策がないと変わらないということを、男たちはどう変わったのかということをいち早く調査することから始めているわけです。  その当時、確かに女性はスウェーデンでも自立に目覚めて、女の生き方というものを書いた本が枚挙にいとまがないほどたくさんあったけれども、男の人の調査というのはほとんどなかったという現実をいち早く政府が認識して、一九八〇年に男女平等審議会をつくって、男性の労働生活と家庭生活における意識の実態調査に乗り出して「スウェーデンの男」という本にまとめています。その後、またこの結果を踏まえて、一九八三年から男女平等担当大臣のもとに、これはもちろん女性が代々やっているようですけれども、男の役割考える会というものを設けているんですね。  実は、日本でも女性学というのは二十年くらい前から私もやっているんですけれども、最近、男性学というのが起こっております、男とは何かということを考える。いや、笑わないで真剣に。男の人も、本当に男というのはどういう意味があるのか、どれが男なのかと。そういう学問的にも医学的にもいろんな面の研究がやっと進んできております。スウェーデンは一九八〇年代、そういうところにあったわけで、政府がそれを出して、結局それは「男が変わる――男の役割考える会報告書」ということで発表されております、新しい男性像を求めて、男像を求めてというふうな。  そのことが政策としてどういうふうになっていったかというと、現実には女性の大臣が三分の一いるとか、今報道されているいろいろな形ですね。もちろん育児休業は男も女もとれて、そして例えば、一時閣僚の中の女性に二人子供がいて、一人は保育園に行っていて、一人はまだ乳幼児だった。その夫が出版社に勤めていて、育児休業をとって上の子を保育園に連れていって、そしてまだよちよち歩く子をお守りしながら、育児休業中も仕事から離れて全く取り残されたらいけないので、週に一遍ずつは子供を抱えて出版社へ出てどういう状況かを把握するというような、こんなものも報道されたと思うんですけれども、奥さんは大臣である、そういうことができるような状況ができていったということですね。  ですから、女の人は育児休業で休んだ後、職業に復帰しようと思うと、職業をやっぱりキャッチアップしないといけないから職業訓練を多少受ける、その間は政府から手当が出て、そして訓練を受ければ自分の望む仕事につけるという、具体的な政策ではそういうことがやられるくらい男の人の意識も変わっていった。  よく知られているように、福祉政策はもちろんです。もちろん、スウェーデンの高齢者の福祉なんかの行き過ぎとかいろいろ、日本日本流のやり方があって、そのとおりをどうこうということではありませんけれども、明らかにこういう政策を通して男の人の働き方、人生の価値観もやっぱり変わっていったということで、最終的には出生率を回復できているという現実がございます。  その中で、福祉政策と同時に教育こそがかぎだと。これはちょっと私も思いついて、国に帰ってくる暇がありませんでしたので手元でちょっと一冊だけ手に入れてもう一度目を通したのですけれども、この中に「男が変わる」というタイトルが一つと、もう一つは「教育こそが鍵」という章がございます。そういうことを少しお話ししまして、せっかくこういう二十一世紀に向けて一大改革をする中で、本当に国が真剣に将来の人口減少について五十年、百年先を見越して取り組めるところを今回の省庁再編の中で、将来進めていく中で組み入れていただくことに皆さんの御理解がいただけて、少しでも進めたらと思って時間をとらせていただきました。  それで、実際、ちょっとこの本は古いので現在正確かどうかわかりませんが、全体の責任者は労働市場省大臣兼男女平等問題担当大臣というのがあって、そのほかに男女平等問題協議会だとか男女平等連絡委員会、男女平等問題事務局、男女平等問題研究班、男女平等オンブズマン、男女平等審議会というふうなものが並んでいるのですけれども、ちょっと私、勝手な話が長くなりましたが、総理大臣、日本の将来の人口問題ということで、今回の省庁再編の中で、男女平等という言葉がいいかどうかは別として、担当大臣というふうなものをきちっと設けて、そこでいろんな調査を初め国として将来に備えて取り組むということについて、御所見をお伺いしたいと思います。
  57. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員お話を伺いながら、ちょうど八〇年代の終わりから九〇年代の初めにかけての本院での論議というものの一部を私は思い起こしておりました。今ほど少子というものは騒がれておりませんでしたけれども、既に高齢・少子社会というものは現実のものとなっておりました。そして当時、政府といたしましてもさまざまな推計を公表し、その状況というものを国民に知っていただこうと考えておった時期のことであります。  その時点で、どなたとは申しませんけれども、本院で私自身が受けました質問、それは従属人口対生産可能人口としてとらえれば大きな変化はないじゃないか、子供とお年寄りとを足して従属人口ととらえ、生産可能人口と対比すれば従属人口比率は余り大きく動かない、それなのに高齢社会あるいは高齢・少子社会と、政府はそれを強調し過ぎるのではないかという御議論をいただきました。  私は、そうではないと。その時点では論議の焦点はむしろコストの問題でありましたから、高齢人口がふえるということは年金の受給権がそれだけ新たに発生し、あるいは老人医療の対象者がふえるということであって、従属人口の比率がそう大きく変わらないからといって、高齢・少子社会という問題を国民に御説明することが間違いだとは思わないという議論を随分いたしたことがございます。そうした問題意識は持っていなかったとは思いません。その上で、少子化というものに対してこれほど深刻な状態というものを継続していくという想定はまだ薄かったことは議員指摘のとおりです。  今、先ほど引用されました人口問題審議会のペーパー、私もこれを読ませていただきましたが、その中にはさまざまな角度からの問題が提起されておりましたけれども政府あるいは政府審議会、調査会等でこうした分析に真正面から取り組んだ例も今までございませんでしただけに、この問題提起というものは極めて重大なものと私どもは受けとめてまいりました。  その上で、これから先、この行政改革というところに絞り込んでお答えを申しますならば、私どもは男女共同参画社会という言葉を用いてこの問題を表現しておりますけれども、男女共同参画社会の推進ということはどうしても我々がやっていかなければならない大きなテーマであると考えておりますし、これ自身が内閣としての非常に大きな使命であることも間違いありません。そして、その男女共同参画社会というものを進めていくために、そこに閣僚が責任を持つ体制をつくっていくということも必要である。  ただ、それは逆に、いわば特定の省あるいは特定の何々と位置づけてしまうには余りに大きなテーマである。行政改革会議議論をいたしますときには、各省庁横断的に取り組まなければならない問題をよく横ぐし的な機能と、横にくしを刺すような機能という表現をいたしておりましたけれども、中核になる一つのセクションがあり、そこがこの問題については、どの省庁あるいは府省の政策であれ、その男女共同参画社会というものを実現していくという視点から、それぞれの政策をチェックし、あるいは注文をつけ、その方向に向けていく。そうした機能を今回の行政改革の中において中央省庁の中に位置づけていこう、そのように考えておる次第でありまして、これは委員としてのお立場からもそうした方向に向けて事態が推進できますような御協力をぜひ賜りたい、そのように考えております。
  58. 石田美栄

    ○石田美栄君 横断的にとなるとかなり散漫にというか薄くと。  特に強調したいのは、今やっぱり男の人に、こういう人口という一つの大きな問題、共通のテーマを考えて、変わっていただけるような教育施策、そういうところを今後もう少しいろいろの機会に言ってまいりたいと思いますが、そのことで、こういう場で、日本をつくる方たちがそろっている場ですので、もう一言言わせてください。  豊かな社会というのは自己実現ということが、自己実現というのはいろんな意味がありますが、生を得てそして自己実現していく、このことがやっぱり至上の価値観であって、女性も同じなんだという認識、すぐわかっていただけるかどうか難しいんですが、今後、しっかりと国として取り組んでいただけることを、この場で聞いていただけた方だけでなく、みんなで御協力をぜひよろしくお願いしたいと思います。  人口のギャップというのは、多分女性もできるだけ働くということ、プラス高齢の人もできるだけ頑張るということで、世代の人口のギャップは日本人の知恵で何とか解決していけるというふうに私は楽観しております。だけど、国全体の人口が減るということは、解決策としては外国の人がたくさん入ってくるというふうな状況が五、六十年たったらあるのかなというようなことも考えますけれど、やっぱり私は適正人口があるというふうに思いますので、また機会をとらえて言い続けてまいりたいというふうに思います。  さて、このたびの中央省庁再編についてもっとお尋ねしてまいりたいと思います。  私にとってはこんな大きな法律を扱うのは初めてでして、本当にどうしようと思って、条文を一つ一つ専門的にはなかなか稚拙なんですけれども読んでまいりまして、単純にというか普通に読んで疑問に思いましたことをお尋ねしてまいりたいと思います。  この委員会は行財政改革税制等に関するとなっておりまして、行政、財政、税制は一連のもので、特に今国会では行政改革と財政改革とを切り離して、しかも何度も言われていますけれども順序が逆で審議されてきました。本来なら、行政改革で国の事務とか事業の減量、効率化を打ち出して、そして財政改革のめどが立つということだろうというふうに思います。また、国から地方へ、官から民へ、地方分権、規制緩和の将来像がもっとしっかりと描けた上での行政改革中央省庁改革案であったならば、もっと二十一世紀の国の形が見えてきて、議論がかみ合うのかというふうに思います。  それでも、内閣機能が強化されるといったこととか、よく特殊法人で問題になる郵政の預託制度がなくなれば財投方式も変わるんだろう、二十二省庁あるのが一府十二省庁になってというふうなことはよくわかリました。でも、仕事は今まだどうなっていくかわかりませんから、そのまま並んでいる。そんな具体的な改革手順とか基準がきちっと示されて、それによる見直しによって各省庁の事務が地方、民間、市民へと振り分けられた後に、各省庁の再編に具体的に取り組むことの方がだれから見てもわかりやすいというふうに思います。  ですから、本当は基本法と設置法がセットで出てくればよくわかって、もっと改革の具体像を議論していくことができるんだと思うんです。全体的な討論はともすると抽象的になってしまってなかなか取り組みづらいんですけれども、疑問に思った点をお尋ねしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  行政改革会議の最終報告では、検討すべき対象業務を列挙していた、あるいは一部列挙されておりますが、ほかのことについてはあいまいでございます。今後、実際どれを民営化しどれを独立行政法人にし、あるいは部とか馬とか課の整理をどうするのかということ。推進本部は百人から百五十人くらいの規模になるだろうということをきのう伺いましたけれども、実際そういう具体的な対象業務の選別をして決定していくのはどのように、だれがしていくことになるのでしょうか。
  59. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員の御指摘のポイントは、新たな府、省を編成していく上でのそれぞれの業務をだれが振り分けるのかということですね。  これは、まさに中央省庁改革推進本部、すなわち内閣総理大臣を本部長とし全閣僚がメンバーである推進本部そのものが最終的にその責任をとっていくことになります。  当然ながら、これは事務的には非常に膨大な作業を要するわけですから、この下に設置される事務局が現実の作業を担当するわけでありますけれども、ここに、先日来御論議のありますように、私どもは民間の方々にもぜひ入っていただきたい。いろんなところにお願いを申し上げております。  そして、事務局に実際上の作業はもちろんしてもらいますけれども、それをチェックし、これでいこうという判断は、全閣僚がメンバーとなっております推進本部そのものがいたすことになります。そして、その推進本部が、この法律から逸脱してはいないかとか、あるいはもう少しこうした方がいいんではないかという助言をいただく、あるいはチェックをしていただくための第三者機関を今どのように構成しようかと考えておりますが、責任はあくまでも改革推進本部そのものが持つことになります。
  60. 石田美栄

    ○石田美栄君 そうすると、多分この百人とか百五十人、そういう人数が分担をしてそこでというふうに想像すればよろしいんでしょうね。  次に行かせていただきます。  省庁の数をどうするとか、とにかく二十二省庁が十三省庁になって、そして省、府の編成のときに内部部局として置かれる官房とか局の数を九十に近い数にする、また課とかそれに準ずる室の総数を千程度とするというふうにありますが、実際、現在こういうそれぞれの総数はどうなっているんでしょうか。
  61. 河野昭

    政府委員(河野昭君) いずれも九年度末の数字でございますが、府、省及び大臣庁に置かれております官房、局の数が百二十八でございます。また、府、省、庁、委員会に置かれています課及びこれに準ずる室の総数は千百七十三でございます。    〔委員長退席、理事高木正明君着席〕
  62. 石田美栄

    ○石田美栄君 それで、例えばこの「府省の内部部局として置かれる局の数を基本として十以下とする」というふうにありますから、巨大な省となるということできのうきょうの議論でも盛んに出ておりますが、例えば国土交通省あるいは労働福祉省は現在幾ら局がございますか、単純に合計されると。
  63. 河野昭

    政府委員(河野昭君) 恐縮でございます。実は官房と局でございまして、そこを単純に足しますと、運輸省が八、建設省が六、北海道開発庁はございませんで、国土庁が六でございまして、全部で二十になるわけでございますが、官房はそれぞれにございますので三つ、この中には官房の数も含まれている、そういうことでございます。
  64. 石田美栄

    ○石田美栄君 労働福祉省の方は。
  65. 河野昭

    政府委員(河野昭君) 失礼いたしました。  現在、労働省が六、厚生省が十でございますので合計十六、このうち官房が二でございます。
  66. 石田美栄

    ○石田美栄君 そういう数を十以下とするということに一応条文ではなりますね。二十を十にする、あるいは十六を十というのはかなり大変なことだなと想像いたします。  次に行かせていただきます。  そして、行政機関の職員の定員に関する法律を改正して、国の行政機関の職員の定員についても十年間で一〇%の削減計画を策定となっております。このことについては純減なのかといった議論が行われてきているようですが、こうしたいろんな省庁の数とか職員の数、恐らく国民がこういう議論を聞いていて本当に知りたいのは、そういうふうにやったら、自分たちが税金を納めて行っていろいろんな行政機関、国民から見るといろいろむだ遣いがあるんじゃないかというふうに今時に思っているわけで、一体どう減るんだろうということ、それが知りたいというふうに思います。  一体、省庁再編によって行政経費はどれくらい削減されるんでしょうか。せめて目標値、この条文では全然ございませんが、定数を一〇%削減して、それじゃ目標値があってしかるべきじゃないかというふうに私は読んでいて思いましたし、それにも増して、この一〇%削減にしても、ある程度政治的な縛りをかけて後をやりやすくするんだという意図もあるようでございますから、行政経費についても政治的縛りをかけるという意味でも目標値があっていいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  67. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 大幅に国の権限あるいは事務事業を縮小いたしましてこの際行政のスリム化を行っていくという前提で、一つは、国の組織、定員、職員数も削減するんだなというお話をお聞かせいただきながら、あわせて行政経費は一体どういうふうに削減されていくのか、非常に大事な話ではないかというお話でございまして、まさにそのとおりでございます。そして、でき得れば、こういう大改革を遂行する結果、その行政経費もこのような一つ目標が得られますよという数値を示したらどうか、そういうお話でございます。  御案内のとおり、今申し上げましたように、組織、定員も縮減いたしますが、同時に、その前提といたしまして、規制緩和あるいは中央から地方、官から民へ、そのほか地方分権等、それぞれ大きな改革の作業が進められてまいります。同時にまた、特に抽出して申し上げますと、独立行政法人化という大きな制度設計によりましても相当な変革があるものと思っております。あるいはまた、郵政事業等におきましても御承知のとおりでございます。  そのような国の行政組織の整理簡素化と定員の削減、そしてただいまお話がありまするいわゆる行政経費としての数量目標を私どもはきちんと示したいのでありますが、先ほどお話がありました、またただいま私が申し上げました削減のための重要な一つの根幹にかかわる手続そして作業を進めなければ、なかなかその辺の数値目標というものであってもきちんと説明しにくいな、こういう感じを持つわけでございます。要するに、この歳出削減の全体的効果と申し上げましょうか、これを目標として定量的に示すことはなかなか困難だなと。  しかしながら、姿勢としては、計画の実践におきましては、お話がありましたように、積極的に仰せに対応いたしまして、来年の遅くとも三、四月前後には国の各省庁設置法等を中心にいたしまして明らかにいたしてまいりまするが、その中間におきまして、私どもはできるだけ国民の納得を得られやすいためにも、この行政改革について、そういう意味におきましてもできるだけ早期に全容を明らかにしてまいらなけりゃならない、さように思っております。
  68. 石田美栄

    ○石田美栄君 次に、独立行政法人についてお伺いいたします。  「制度の創設」とありますから新しい制度をつくるということなんでしょうが、現在ある特殊法人とどう違うのか。  というのは、この独立行政法人は、「国家公務員の身分を与える」と四十条に書いてありますし、また三十八条の四号では、「運営費の交付その他の所要の財源措置を行う」というふうに書いてあります。そうすると、特殊法人に対する政府からの出資金、補助金、貸付金といったようなものとどう違うのか、御説明いただきたいと思います。
  69. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 独立行政法人についてのお話でございますが、お話がございましたように、特殊法人とは一体どういうふうに違うのかというところも若干触れながら御説明申し上げたいと思うのでございます。  それぞれ特殊法人について長短があると思うんです。この特殊法人について一つ申し上げられることは、多種多様、共通ルールがございません。現在、特殊法人は八十六残っているかと思うのでございますが、御承知のとおり共通のルールがございません。  あるいはまた主務大臣の強い事前統制がございます。責任体制が不明確であるということも指摘できるかと思うんです。  三つ目には、一概には言えませんけれども、運営が非効率的で極めて硬直的であるということが言われております。  四つ目には、経営内容が極めて不透明だと。これも法人の個人差がございますけれども、そう指摘されてみますと、なるほど、そのこともむべなるかなという感じがいたします。  五番目には、その存在意義が時代の経過とともに低下した業務あるいは法人があるわけでございまして、それらの存続などを検討しなければならぬのじゃないか、そういうことが指摘をされてまいったわけでございますが、改めまして独立行政法人は、それらの経験、実情を十分参考にしながら、次の四つ、五つの考え方で組み立てをいたしたものであります。  その一つが、組織運営の共通ルールをこの際制度化いたします、明確にいたしますと。それから、明確な目的と責任のもとに自主性あるいは弾力性を持ちますと。そして、事前管理から事後チェックへ変えていきますと。そういうところに大きな一つの特徴があろうかと思う次第でございます。  時間の関係もおありでございましょうから、以上で。
  70. 石田美栄

    ○石田美栄君 納得しました。  今の中で一つ、確かに行革会議長終報告では「業務内容・業績等について情報公開を徹底。」というふうになっていますね。この条文では「所要の事項を公表する」となって、何か少し後退ともとれるような表現に私は読めたのですが、情報公開法で特殊法人を対象外にしているということと、今長官がおっしゃった共通ルールで情報公開をきちっとしていくという、その辺のことをちょっともう少し。特殊法人は情報公開法から除外されていますね。こういう特殊法人と独立行政法人の関係をもう少し御説明ください。
  71. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 私は、今次の情報公開法によりまして、結論から申し上げますと、特殊法人は若干おくれますという形になっておりますけれども、特殊法人といえども可能な限り情報を公開すべしと、その原則に立つべきであると思っております。  ただいまお話がございましたように、特殊法人を対象とする情報公開法については、政府は独立行政法人との関係を整理しつつ検討を進めるものとされているところでございまして、これを踏まえ、今後、独立行政法人の制度設計の検討におきまして、その段階であわせてそごのないように進めてまいりたい。要するに、情報公開というものは、特殊法人であってもあるいは独立行政法人であっても、これはきちんと整然と国民の前に全容を明らかにすることを原則とするべきじゃないか、そういう趣旨でございます。
  72. 石田美栄

    ○石田美栄君 ぜひそのようにお願いしたいと思います。  それで、独立行政法人は一体どれくらいの数ができると予測されますか。
  73. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 行政改革会議の最終取りまとめにおきましても大分これは議論をされました。そしてまた、今次基本法を作成して国会に提出するについても議論をいたしたところでございますが、独立行政法人の適用団体としていろいろなものが挙げられました。それは、候補の一つとしてそういう視点から特定の特殊法人等が出てまいったことは事実でございますが、先生のお手元にも、あるいは行政改革会議の過程におきまして出てまいりました特殊法人以外の許認可団体等につきましても、いろいろあろうかと思うのでございますが、本格的な対象としての特定機関・団体というものを必ずしも私どもは今ここで位置づけておるわけではございません。  今回、この法律国会の意思として決定いただきました後、まず独立行政法人というこの制度設計をきちんと法制化することが大事でもあるわけでございまして、それらの作業と前後しながら、その客体と申し上げましょうか、対象の事業、機関、施設等もそれぞれ丹念に精査をしていくべきものであろう、さように考えております。
  74. 石田美栄

    ○石田美栄君 数について御質問をしましたらなかなか難しいだろうなとは思っておりました。  数は数でさておきまして、現在八十七の特殊法人があり、その上に、先日財政構造改革法の改正案の審議のときに同僚の竹村議員指摘いたしましたが、そのことはある新聞ではかなり大きく報道もされていたんですが、特別会計が三十八ございますね。それで特別扱いにされている。これらとの関係、あるいはこれらについてはどうなりますか。
  75. 坂野泰治

    政府委員(坂野泰治君) 独立行政法人の対象業務と特別会計の存在それぞれが一対一の対応関係にあって検討されるということではないと考えております。会計が特別会計の状態であれ一般会計の状態であれ、業務の性質に応じて独立行政法人の対象になじむかどうかの検討がなされるものだというふうに考えます。  したがいまして、現在ございます特別会計が、それぞれ独立行政法人の制度に伴ってどのようになるかということは、今直ちには判明しがたいということだと考えております。
  76. 石田美栄

    ○石田美栄君 独立行政法人がどれくらいの数になるかということが少しでもお答えいただけたら、私は、特殊法人八十七それから特別会計三十八、合計するとこんな膨大になって、一体これが将来どうなるのかというふうに考えたいと思ったわけでございます。  私、ちょっと人口のこと、少子化のことで最初に時間をとらせていただいたので、予定どおりに運ばない部分がございまして、次に入ると時間がちょっと心配なところもございますが、独立行政法人は、その業績評価を行っている過程で、これもかなりの部分、民営化していく過程というふうにも考えてよろしいのでございましょうか。
  77. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) まだ、この制度設計もやらない、そしてまた具体的業務の移しかえもやらない現段階で申し上げていいかどうか、ちょっと迷うところでございますが、せっかくお話してございますので、そもそもその性質上民営化にはなじまないと考えられるものもあれば、その後の状況の推移や変化を受けてその業務に対する評価が変化し民営化の方向で検討に踏み出すものなど、お話のようにさまざまな可能性なしとはしない、そういう感じを持っております。  同時にまた、このような独立行政法人が行う業務が民営化されるか否かは、個々の業務の性格に応じ、また社会経済情勢の変化や国民の意識等に照らして決定されるものであるし、なお大事なことは、やはり独立行政法人化いたしましたその組織自体が、経営管理責任者あるいは従業員の皆さんの意向を大事にしながら、そして業務の趨勢を見て判断されるべきものではなかろうか、さように思います。
  78. 石田美栄

    ○石田美栄君 ではもう一つ。「独立行政法人制度の創設等」と、「等」とついている第三節のところですね。その中に、「特殊法人の整理及び合理化」が入っているのはどういう意味なんだろうかと思ったんです。また、その他の施設や機関の場合には民営化、廃止まで言及されているのですが、特殊法人のところは「整理及び合理化」だけの言葉になっているんですが、この意味を御説明いただけますでしょうか。
  79. 坂野泰治

    政府委員(坂野泰治君) 御指摘の第三節の表題が「創設等」となっておりますのは、この独立行政法人制度以外に御指摘の特殊法人の問題の条項も含んだ制度になっておるからこのようにしておるわけでございまして、それは御指摘のとおりでございます。  この「特殊法人の整理及び合理化」の提言の意味でございますが、これはかねてからいろいろ政府の文章その他の用語でも使っておりますし、意味も同様でございますが、廃止は当然に含むという文言でございます。
  80. 石田美栄

    ○石田美栄君 ありがとうございました。
  81. 小山峰男

    ○小山峰男君 よろしくお願いします。  最初に、私は総理にお聞きしたいわけでございますが、私は日本の今の政治の閉塞状況を改善するためには抜本的に行政改革等を進めなければならないだろうというふうに思っておるわけでございます。この場合、やはり明治以来続いてきておりますいわゆる中央集権型のシステムを分権型のシステムに変えていくということが大変大事だろう、これが基本ではないかというふうに思っているわけでございます。  きのうからいろいろの議論を聞いているわけでございますが、どうも胸にずしりと来るような感じが持てない。政府の報告書等によりましても、地方分権と徹底した規制緩和を車の両輪としてこの省庁再編をやっていくんだというふうにおっしゃっているわけでございますが、その車の両輪がどうもはっきりしない中で、その上に乗る省庁再編だけが先行されている。何となく省庁再編ありきというような印象が大変強いわけでございます。本来なら、中身を吟味して各省庁のスリム化をした上で当然再編という問題になるべきであろうというふうに思うわけでございます。  その辺、なぜこれ並行的と申しますか、省庁再編が先行して行われるようになったのか。その辺について総理の御見解をお聞きしたいと思います。
  82. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昨日来、あるいは衆議院におきましても同種の御意見をしばしばちょうだいをいたしました。まさに明治以前の幕藩体制の日本が近代日本に生まれようとしたとき、必然的に私は中央集権的な国家体制というものをとらざるを得なかったであろうと、翻って思います。そして、第二次世界大戦後の廃墟の中から、乏しい資材、資金等々を最大限に活用して新たな日本を築こうとする時点においても、私はやはりその手法というものは、ある程度中央集権というものを中心にいかざるを得なかった部分があると思います。それでも、敗戦からしばらくの間に官選知事から民選知事へといった、あるいは都道府県警察と国家警察といった従来の日本の仕組みとは大きく分かれる新たな姿というものはありました。  しかし、その流れのままで参りました制度が行政の仕組みとして制度疲労を起こした。そういう中におきまして簡素で効率的な行政というものを目指す、機動的で効果的な政策遂行を実現するために。そう考えましたときに、規制緩和はもちろん必要でありますし、何回も御答弁を申し上げておりますように、本年の四月一日から新たな三カ年計画が規制緩和について既に公表され動いておるわけであります。その中には、従来と全く異なり、例えば運輸省における需給調整というルールを一定の時間をかけて完全に廃止する、あるいは幾つかの行政に共通するルールというものを根っこから変える、こうした発想も入っていることは繰り返し申し上げてまいりました。  同時に、地方分権につきましても、地方分権推進委が四次にわたる勧告を提出されました。そして、これを最大限尊重した地方分権推進計画を五月二十九日に決定いたしましたが、その勧告そのものは既にちょうだいをいたしておったわけであります。今後これをまた具体化していく作業が当然ながら入って進んでまいります。  その上で、私どもはこの規制緩和推進三カ年計画と地方分権推進計画というものと並行し中央省庁の再編を進めていく。これを委員は手順が違うと仰せられますけれども、これを並行して進めていくことによりそれぞれをより効率的に積極的に進めていくことができる、私はそのように考えております。
  83. 小山峰男

    ○小山峰男君 関連して総務庁長官にお聞きするわけでございますが、いずれにしてもかなりの法律の改正という問題が出てくるわけでございます。その作業の中で、今の規制緩和だ地方分権だというものが並行して進められていくときに、果たして本当に作業がスケジュール的にうまくいくのかどうかというような問題。それから先ほどの石田議員の質問に対しましても、いわゆる財源がどの程度節減になるかというようなことについては定量的には把握ができないというようなお話もあるわけでございまして、これはまさにそういう車の両輪そのものがどういう輪になるかということがはっきりしない限り定量的に把握なんか当然できないわけでございます。そういう問題で本当にうまく並行してできるのかどうか。  それから、定数については十年間で一〇%三角ということでございますが、現在でも五%の定数削減というのを毎年実施しているような状況の中で、本当にこの規制緩和なりそれから地方分権なりを今のような形でやるとすればこれでは少ないのではないか、もっとたくさんの定数削減が当然できてしかるべきだと。どうも地方分権もこれでは余り進まない形の前提じゃないかというふうに思うわけでございますが、その辺どうでしょうか。
  84. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 第一点については、先ほど総理の方から大筋御説明をいただきましたが、一つだけつけ加えさせていただきますと、例えば規制緩和一つをとってみましても、なるほど今次の行政改革に直結する重要部分が非常に多いのでございます。この問題も今始めるわけではございませんでして、先生も御承知のとおり、平成七年から九年にかけまして、そして今次の十年にかけましても相当数規制緩和というものは積極的に一つの切り込みを行ってまいっておりますことも御承知いただけると思うんです。二千八百二十三項目でございましたか、過去足かけ四年間かけまして規制緩和は進んでまいっております。  あるいは私は今度思うのでございますが、先々代の内閣等におきましても、例えば携帯電話一つとっても規制緩和の二千八百二十二項目の中の一つであったなと、そういうことを述懐しながら、既に既往の計画が相当効果を発揮しつつある状況であることだけは否定できないわけでございます。  あるいは地方分権計画も、先生御専門で御承知のとおりでございまして、大体の国と地方とのかかわり方というものは先ほどの答申等で私どもは要綱として承っておりまして、それらを念頭に入れながら今組み立てておるところでございます。  それからまた、専門家の先生に申しわけないですが、御承知のとおり今すぐ、一府二十一省庁体制を今夜解くよと、そしてあしたから一府十二省庁体制というわけではないことは御説明申し上げておるとおりでございまして、あと三年近くの間作業をするという全体的な意味では一つ期間もあるわけでございますが、しかし省庁の再編はあと十二カ月足らずですよ、そういう状況であることも十分認識をしながらかかっていかなければならない、こう思っております。  それから、定数の問題でございますが、御指摘のとおり、これから二〇〇一年一月一日までに本来の削減計画は、いわゆる定員計画は堅持をいたします。そして、極力努力をいたします。ことしのごときは三千七百という純減数の結果を出したわけでございます。これは関係各省庁の大臣を初め皆さんの御協力のおかげでございますが、こういう定数計画についても二〇〇一年までにも積極的に進めさせていただくと同時に、二〇〇一年の移行時におきまして根本的に総定員の見直しを行わなければならないということは橋本総理もしばしば言っておられるわけでございまして、また今次の基本法においてもそのことはきちんと位置づけをいたしております。  行政改革いよいよ断行です、中央省庁再編、ここで決定的に移っていきますという段階におきまして、先ほどお話がございましたように、いろんな組織、形態がスリム化されてくるわけでございますから、それを前提にいたしまして合理的で大胆な定員計画というものを国民の前に審議をいただかなければならぬ、私どもはそういうふうに思っております。  あわせまして、またお話がありまするように、そういういわゆる定数についての削減と必要な時代の要請による需要増というものとをよく勘案しながらあわせ進められることは、例えば独立行政法人化による削減も相当手伝ってまいりますし、あるいはまた郵政事業の郵政公社化、そして二年後のことではございますけれども、それらを想定いたしました国の行政機関にかかわる職員の総定数というものは、一〇%以上と申し上げておりまするが、私どもはこれは大幅に積極的に御相談することにいたしておりまして、国家行政組織法あるいは総定員法等の対象にしない郵政公社の職員等の異動等を考えますと相当大幅なものも御期待いただけるのではないか、さように思っております。
  85. 小山峰男

    ○小山峰男君 この法律が成立したらすぐ推進本部を発足させて、百名規模から将来的に百五十名規模になるというふうに先ほどお話があったわけでございますが、私は、今の車の両輪がぴしっとしてこないと百名の人が作業といってもなかなかそごを来すのではないかなという危惧を持っているわけでございます。  総理にちょっとお聞きするわけでございますが、この地方分権推進計画の実施等に伴って各省の事務体制もかなり変わるんだろうというふうに思っています。権限が移譲されたり、機関委任事務が変わったり、あるいは補助金等のいわゆる整理合理化、見直し、それからかなり画期的だというふうにお話があったわけでございますが、公共事業の見直しというようなものも踏まえると、いわゆる国の事務というのは相当整理されてくるだろうというふうに思うわけでございます。  今、総務庁長官からもお話がございましたが、定数そのものもかなり変わってくるだろうと。  ある団体の調査によりますと、地方公共団体のいわゆる補助金申請事務がどの程度の事務量になるかという調査があるわけでございますが、全体の中の約二八%、補助金をもらうというか補助金を交付してもらうための手続に約三割の地方公共団体の職員が携わっているという話があるわけでございまして、これは地方公共団体側でございますが、国でも多分少なくとも三割ぐらいの人が補助金の交付事務にかかわっているだろうと。  そういう意味では、本当の意味の地方分権をやれば国の組織も本当にスリム化するだろうというふうに思うわけでございますが、総理、その辺のお考え方をお聞きしたいと思います。
  86. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大きく二つの視点がこの問題にはあるだろうと思います。  まず一つは、まさに機関委任事務というものが廃止される、この部分についてどういう結果が出るかということであろうと存じます。この場合、国の権限が都道府県に移譲される、あるいは事務が廃止される、当然ながらこれは国の事務量が減少するわけでありますけれども、従来の機関委任事務を国の直接執行にする場合、これは数はそう多くありませんが存在するわけでありますが、これは国の事務量が増加するということになります。  そして、機関委任事務そのものを廃止して自治事務、法定受託事務に振り分ける、移行することにつきましては、今まで事務の処理主体、それもそれ自体は地方自治体にお願いをし、地方公共団体の職員の方々にやってきていただいておりましたから、この部分では国の事務量はそう大きな変化は出ないと思います。  しかし、いずれにしても国が処理すると定められました事務量を適切に見通した上で組織、人員の縮減を図るということは当然のことでありますが、今回の主軸を占める機関委任事務に関連しての業務量となりますと、今申し上げたように、そもそも地方公共団体の職員にお願いをしていたもの、それが直接事務になります部分は国の増になりますけれども、結果的に大きな増減の要因にはそれ自体はならないと存じます。  一方では、公共事業関係でありまして、これはもう既に巨大官庁という御批判におこたえをする立場からも何回か申し上げてまいりましたが、国が行っていくべきものでありましても、その執行についてはできるだけフロックにお願いをしていく。しかしそれ以前に、国がきちんと行っていくことを法律上明記いたしておらないできるだけ多くの部分を地方にお任せをする部分があるわけであります。その意味では、これは機関委任事務の廃止あるいは都市計画決定権限等の地方に対する移譲、また国のかかわりの廃止、縮減と並んで、公共事業を初めとする国庫補助金あるいは負担金の整理合理化、運用、関与の改革が進むことによりまして相当多くの事務量の減が出てくるであろうことは想定されることでありますが、業務量計算として今私自身その数字を手元に持ってはおりません。
  87. 小山峰男

    ○小山峰男君 時間の関係もありますので、少し順序を変えさせていただきます。  この二十九日に出ました地方分権推進計画の中身について御質問をしたいと思います。  特に、第四のところに「国庫補助負担金の整理合理化と地方税財源の充実確保」という項目があるわけでございまして、この地方分権推進計画の中に、国と地方の税財源関係でどういう形をということが書かれているわけでございます。基本的な見直しの方向としては、「国庫補助負担金の整理合理化」が一つ、「存続する国庫補助、負担金の運用、関与の改革」というのが二つ目、それから「地方税、地方交付税等の地方一般財源の充実確保」というのが三点目、基本的な見直しの方向としてこの三点が挙がっているということでございます。  それで、既に国庫補助負担金の整理合理化等については十年からスタートさせているというふうに書いてあるわけでございますが、まず大蔵大臣にお聞きしますが、いわゆる今年度はどの程度の補助金の整理合理化が行われて額等が削減されたのか、その辺についてお聞きしたいと思うんです。
  88. 寺澤辰麿

    政府委員(寺澤辰麿君) お答え申し上げます。  十年度の予算編成におきまして、補助金等の総額は十九兆六千五百一億でございまして、対前年度千三百四十一億の減、三角〇・七%が全体の補助金の減額でございます。そのうち地方公共団体に対します補助金につきましては、制度等の見直し対象補助金が十五兆七千七百二十八億、百二十六億の減でございまして、〇・一%、その他補助金等が三千七十四億でございまして、五百二十四億の減、三角一四・六%の減になっております。
  89. 小山峰男

    ○小山峰男君 自治大臣にお聞きしたいわけでございますが、今のような、額的には今年度の場合大した額にはなっていないわけでございますが、いずれにしてもこの推進計画の中では、「廃止・縮減を行っても引き続き当該事務・事業の実施が必要な場合には、地方財政計画の策定等を通じて所要財源を明確にし、地方税・地方交付税等の必要な地方一般財源を確保することとする。」ということになっているわけでございますが、当面、十年度の額等についてはどういう措置を行ったのか、お聞きしたいと思います。
  90. 上杉光弘

    国務大臣(上杉光弘君) お答えいたします。  地方公共団体に対する補助金の整理合理化につきましては、地方分権推進計画におきまして、地方分権推進委員会の勧告を踏まえまして、一つには地方公共団体の事務として同化、定着、定型化しているもの、二つには人件費補助に係る補助金、交付金、三つには補助率が低いもの、三分の一未満等について、廃止または一般財源化を図ることとしておるわけでございます。  これによって国庫補助負担金の廃止、縮減を行いましても引き続きその事務事業の実施が必要な場合には、地方財政計画の策定等を通じて所要財源を確保いたしまして、地方税、地方交付税等の必要な地方一般財源を確保することといたしておるところであります。  平成十年度はどうしたんだ、こういうことでございますが、平成十年度におきましては、国庫補助金削減計画により削減された補助金等の一部を含めて総額四百六十二億円の一般財源化を行ったところであります。これにつきましては、平成十年度の地方財政計画の策定を通じて所要の一般財源を確保いたしておるところでございます。
  91. 小山峰男

    ○小山峰男君 今、国も財政的に大変な時期だという状況でございまして、国庫補助負担金の整理合理化というのはある意味では国の財源を少しでも確保するという意味で役立つだろうというふうに思うわけでございます。  しかし、そのまま国でこの財源をとられてしまったんでは地方公共団体は成り立たないというふうに思っておりまして、今後も引き続いて、いわゆる入り口ベースでいきますと二対一が出口ベースで一対二という財源構成になっているわけでございまして、この補助負担金等の整理合理化が行われましても、基本的には出口ベースの一対二という前提で今の自治大臣が言ったようなことが確保されなければ地方公共団体そのものが成り立っていかないというふうに思うわけでございます。  後ほど地方税のことにつきましてもお尋ねするわけでございますが、総理、この辺いかがでしょうか。そういう前提で地方公共団体には財源を将来的にも保障していくということを一言お願いしたいと思います、ただこれちょっと通告になかったことかもしれませんが。
  92. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員からもお述べになりましたけれども、この分権推進計画の原案の中にも、第四の「国庫補助負担金の整理合理化と地方税財源の充実確保」、その中の「地方税財源の充実確保」というところ、まず地方税につきまして一対二あるいは二対一と言われました。今、国と地方の歳出純計に占める地方の歳出の割合が約三分の二、租税総額に占める地方税の割合は約三分の一、現実に歳出規模と地方税収の間に乖離があるということは議員が御指摘のとおりです。  また、推進計画そのものも、これを認めた上で、国と地方公共団体との役割分担を踏まえながら、中長期的に国と地方の税源配分のあり方についても検討しながら地方税の充実確保を図る、そうした考え方をとっておるわけでございます。  そして、まさに地方税財源の充実確保というのは、分権を推進していく上で極めて重要な課題でありますけれども、その財源配分、国と地方の税財源の配分のあり方、これは役割分担とあわせながら十分考えていかなければならないものだと私ども考えております。  議員が御指摘をされたその重みは十分受けとめますけれども、当面、自治大臣から今お答えを申し上げましたような考え方で対応していきたい、その上で基本的にはやはり国と地方の役割分担も踏まえながら税財源配分のあり方についての議論を深めていきたい、そのように思います。
  93. 小山峰男

    ○小山峰男君 ぜひそういう形で地方の財源についても十分な配慮をお願いしたいというふうに思うわけでございます。  今、総理は中長期的にというお話でこの推進計画の一部を述べていただいたわけでございますが、この考え方の中では、やはり中長期的には地方税を拡充するという方向で税源を配分するという考え方だというふうに思っておりますし、その場合には、「税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系の構築について検討する。」という表現になっているわけでございまして、私たちとしては、もう少し具体論に入ってぜひ検討をいただかなければならないだろうというふうに思っております。  私は、前からお話をしているわけでございますが、非常に税源の偏在性が少ない税としてはやっぱり消費税というような問題があるだろうというふうに思っております。現在五%の中で一%が地方消費税ということでございますが、これは比較的人口に比例した税になっておりまして、一%移行することによって二兆五千億と言われておりますが、補助金を五兆なら五兆をやめて、地方消費税の二%という形で地方公共団体に税源を移譲するというようなことが一つの方法がというふうに思いますし、また、所得税の今回のいわゆる減税で四百九十一万、課税最低限がそのくらいになっていますが、この所得税の低額部分というか下の部分を、課税最低限を所得税としては上げて、その部分で地方に住民税として移換するということが考えられないかどうか。  この所得税の構造を見ますと、いわゆる低額、低い方の額の皆さんの税というのは比較的やはり偏在性が少ないというふうに言われておりまして、こういうもので地方に税源配分というのができないかどうか。  この二点を検討いただけたらというふうに思っておりますが、総理、いかがでしょうか。
  94. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに私は地方の税財源充実は必要な課題であると思いますし、今も中長期的な検討課題であるということを申し上げました。  今、議員は、その場合に偏在性の少ない税財源、それが地方にとって必要な税財源、そういう観点から消費税の、これは恐らく消費税をアップしろとおっしゃっているのではなくて、現行の消費税の中での配分率を意味しておられるものだと……
  95. 小山峰男

    ○小山峰男君 今の四%の部分を二%に……
  96. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) だから、今の税率の中における配分の変更とおっしゃったんだと思います、これは確認をさせていただくことでありますが。  地方消費税は、御承知のように、平成七年度から先行実施しておりました所得税、個人住民税の恒久減税などとおおむね見合うものとして平成九年度から消費税率の引き上げとともに導入した制度であることはもう申し上げるまでもございません。言いかえれば、先行減税に見合う形でこれは創設をされてまいりました。その中で税率を変更し、国の配分をということは、それこそやはり私は、国全体としても、国と地方という関係でも十分検討しなければならない課題を含んでおると思います。  また今、所得税についていろいろな御論議をいただいておりますさなか、現行の課税最低限と特別減税によって引き上げられたその差の間を地方にと言われるわけでありますか。それとも、その課税最低限……
  97. 小山峰男

    ○小山峰男君 それは一つの例でして、例えば課税最低限を所得税は五百万にするような形で所得税の課税最低限を上げて、その上げた部分を……(発言する者あり)
  98. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 申しわけありません、私がお尋ねした方がいけなかったのかもしれません。  だから、議員の御質問の趣旨が、その課税最低限あるいはその課税最低限以下の所得の方が一番偏在性がないということを言われましたので、あるいは現行の課税最低限プラス特別減税によって上昇したその間に対する部分を主張されたのか、それとも、その特別減税というものは別として、現行の課税最低限以下の部分に新たな部分を求められるのか、もう一つ実は私自身がのみ込めなかったんです。  確かに、その所得階層別に分布をとりましたとき、高額所得者に比べ所得の低い方の方が全国どこにでもおられるという意味では地域的偏在はないかもしれません。しかし、これはやはり個人所得課税のあり方の中で十分議論をした上で決められるべきことではないでしょうか。
  99. 小山峰男

    ○小山峰男君 いや、大変失礼しました。私が言っているのは、例えば五百万なら五百万までもう所得税の課税最低限を上げてしまって、五百万以下については住民税というような形で所得税相当分を地方に移換するというような意味でございまして、ぜひ総合的な検討の中で地方に対する税源配分として御検討いただきたいというふうに思っております。
  100. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほどは失礼をいたしました。  ただ、議員、これは今度は税の性格の問題にもかかるわけでありますけれども、担税力に応じた負担を求める所得税、会費という言い方がいいかどうかわかりませんが、地域社会に暮らす、地域社会を構成するその一員としての会費的な性格を持っております個人住民税。私はやっぱりそれぞれの税の性格は十分考える必要があると思います。それはある意味では、議員が今設定されましたような一定の金額以上、以下という切り分け方で、ここから所得の上の方は担税力に着目をした国税としての負担を、一定の金額以下の所得にとどまる方々には地域社会における会費的な性格としての個人住民税を、果たして税の性格からしてそういうやり方がよいかどうか、これは少々議論を必要とするのじゃないでしょうか。
  101. 小山峰男

    ○小山峰男君 今でも所得税の課税最低限と住民税の課税最低限とのギャップはあるわけでして、そういう問題とすればその問題もあるような気がいたしますが、いずれにしても、偏在性が少ない税目としてぜひトータルの中でそういうことも御検討いただけたらというふうに思っておるわけでございます。  突然ですが、大蔵省、補助金の関係で、先ほどの十九兆、いわゆる国庫負担金と言われているものと奨励的補助金と言われているものの額はわかりますか。
  102. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 先ほど大蔵省から答弁のございました十九兆というのは補助金全部でございまして、そのうち、地方団体向けの補助金というのは約十六兆ございます。  その中に、また国保とか下水道のような特別会計の分がございますので、いわゆる普通会計で地方財政計画に上げているベースでいきますと、十年度で十二兆九千億というのが普通会計ベースの補助金でございます。そのうち、いわゆる国庫負担金というふうに言っておりますのは八兆七千億、奨励的補助金という分類をいたしておりますものは四兆一千億というくらいの感じでございます。
  103. 小山峰男

    ○小山峰男君 総理、今の十二兆のうちの、いわゆる割り勘という性格のものが八兆、それから奨励的なものが四兆というような概算で補助金が交付されているわけでございます。  先ほど私が申し上げましたように、例えば消費税の二%というと約五兆、そうすると、補助金の方で減らして消費税でというようなことが可能だとすれば、お互いに事務的にも非常に簡便な形の中で地方団体も運営ができていくだろうというふうに思うわけでございます。そういう意味で、その辺のことについてもぜひ御検討いただきたいというふうに思います。  それから、もう一点だけ。  いわゆる第五次の地方分権の検討ということが今行われていますが、これについても、当然今度の中央省庁再編の問題について影響が出てくるだろうというふうに思います。そういう意味で、十分それを加味した中で省庁設置法なりなんなりは少なくとも規定されていくべきだというふうに思っておりますので、総務庁長官、その辺をよろしくお願いしたいと思います。  以上で終わります。  どうもありがとうございました。(拍手)
  104. 益田洋介

    ○益田洋介君 先週の金曜日、二十九日に当特別委員会におきまして、国有財産、これは目黒区下目黒一の百五十六の三、関東財務局所管の普通財産の土地ございますが、これに関しまして幾つか御質問をしたのにあわせ資料の請求をいたしました。    〔理事高木正明君退席、委員長着席〕  昨日二日、理財局が私のところに資料だと称するものを持って説明に参りましたが、内容的に非常に不十分でございますので、きょうは新たな資料請求をさせていただきます。  ただ、一点、きのうの報告でわかった点、これは総理も大蔵大臣も恐らく報告を受けていらっしゃると思いますが、私が問題にいたしました今年四月二十二日にエキスパイアする、期限が切れる三十年間の貸付契約については、実は九年前、平成元年の八月一日から契約更新を新たにいたしまして、平成三十一年の七月三十一日までの契約が締結され直していた、こういう事実がわかりました。これについては後ほど御説明といいますか、問題の提起をさせていただきたいと思います。  まず、資料要求でございます。  平成十年六月三日、公明、益田洋介。  雅叙園敷地賃貸借に関する件。  左記資料の提出を求める。  一、昭和四十三年四月二十三日、右土地が国に物納される直前の右土地の賃貸借に関する契約書  二、昭和四十三年四月二十三日から平成十年四月二十二日までの間の国と名会社との土地賃貸借契約の写し  三、右契約締結に際し、当事者間に授受された全員の種類及び金額  四、平成元年八月一日から同三十一年七月三十一日までの間の国と右会社との土地賃貸借契約の写し  五、右契約締結に際し、当事者間に授受された全員の種類、すなわち改築承諾料あるいは更新料及びそれらの金額  六、右土地賃貸料の最近十年間における年額賃貸料及び右土地に対し通常課税されると見込まれる固定資産税及び都市計画税の年額  以上でございます。
  105. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ただいまの御発言については、後刻理事会で協議の上、決定いたしたいと思います。
  106. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございます。  それでは、まず質問の第一でございますが、平成元年に契約が結び直されたという経緯は、細かいことは時間がございませんので申しませんが、実は、平成三年十一月に完成した地上十九階のオフィスビル及び八階建ての結婚式場、宴会場、ホテルなどというのは増築されたというふうに記録には残っておりますし、目黒区役所に合資会社雅叙園が提出した建築計画概要書に、設計は日建設計、施工者は鹿島建設。それで、建物の概要がありまして、構造は鉄筋鉄骨づくり、一部鉄骨鉄筋コンクリートづくり、そして工事種類に増築とあるわけです。増築で申請している。なぜこれが増築になっているのか。増築ですから新しく建てる建物を追加するという形態をとっている。  それではもとになる建築物、これは申請書によれば、申請以外の部分として、延べ床面積二百八十七坪と記されておりますが、これに対して増築分の申請部分は四千五十坪、つまりわずかの小さい残された建物に付随する形で十五倍に近い面積の地上十九階建ての高層ビルを増築したということになっている。私はこれは非常に不自然であると思う。一方、不動産登記簿謄本には新築と書いてある。何かこれはからくりがある。  まず第一に、私が考えられる理由は、増築の方が新築より理財局の、また国の承認を得やすいということ。二番目に考えられることは、増築ならば都市計画法の開発許可が不要となる、さまざまな制約から逃れることができる。こういう理由がまず単純に考えられるわけです。  まず、この辺の経緯について、説明書、報告書というものを先ほどのリストに加えて提出をしていただきたいのが一点です。  二つ目でございますが、二十九日、私がこの件を取り上げましたとき、総理は、可能ならば売却したい、今国家として財源が非常に不足しているというふうにおっしゃいましたが、現在でもそのお気持ちに変わりありませんか。
  107. 松永光

    国務大臣(松永光君) 私から答えさせていただきます。よろしゅうございますか、私で。
  108. 益田洋介

    ○益田洋介君 総理にお願いします。
  109. 松永光

    国務大臣(松永光君) いやいや、私が所管大臣でもありますから。
  110. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 発言を許可しております。
  111. 松永光

    国務大臣(松永光君) これは相続税の関係で物納された財産でありますので、買い受けるように勧奨を行っているところであります。先方が買い受け能力があるならば売却の方向で検討をしたいわけでありますが、これは三年ごとに賃料の改定等もやるものですから、そのたびごとに買い受けの勧奨を行っておるわけであります。今後ともその方向での努力をしていきたい、こう思っております。
  112. 益田洋介

    ○益田洋介君 今、大蔵大臣が三年ごとに賃料の見直しをしている、更新をしている、そのたびごとに買い取ってもらいたいという交渉をしていると言っていますが、この平成三年の十一月にオープンした十九階建てのビル、これは総額八百五十億円、東京三菱銀行その他からの融資を受けている。八百九十億円もあれば買い戻せるじゃないですか。違いますか。せいぜい四百億か五百億ですよ、これ。何でこの段階で買い戻さないで契約の更新をしたのか。それが私は不思議だから調査結果を出してもらいたい、こういうふうにお願いしているわけです。よろしいですか。
  113. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 後刻理事会において協議いたします。
  114. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございます。  それで、この物納不動産というのは、大蔵省の財務局が調査をして将来売買可能と判断したものを国有財産として大蔵省が引き受ける。したがって、もともとこの原理からして、物納不動産というのは一般競争入札などによって売却して国の歳入とするのが原則である、こういうことなんです。ですから、原則に従って進めてください。原則に従って進められるはずだったのに、そういう交渉をしていないという経緯がうかがわれるから、私は調査結果を出してもらいたい。  ゆゆしき問題ですよ、総理総理の御所見をお聞かせください。
  115. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 国有財産の売却あるいは貸付事務というのは国有財産法に基づきまして大蔵大臣が行うことでありまして、個別事案の処理については大蔵大臣にお任せをしております。  その上で、公用、公共用の利用目的のないものについて積極的に売却の促進を図ってまいりたいとこの間申し上げたことは、そのとおりの気持ちでありまして、私は、この個別案件議員から御指摘をこの前受けまして、報告を受けましたところ、新しい契約に書きかわっているという事実とともに、その実態を報告を受けました。  私は、この間申し上げたような、公用、公共用に利していないものとして積極的に売却の促進を図りたいと申し上げたこと、これを変えるつもりもございません。
  116. 益田洋介

    ○益田洋介君 国の財政がこれだけ逼迫しているという現況から、国有財産の管理、運営については大蔵大臣の専管事項であるからというふうな発言はおかしいと思います。やはり国の責任者として、そうした不要不急のものについては早く処分すべきだと、そういう意思表示を明確にしていただいたものと理解いたします。  次に、大蔵大臣に今度は答えていただきたいんですが、二十九日に私がこの話をしたときに、全然知らなかったと大臣はおっしゃった。何で知らなかったんですか。
  117. 松永光

    国務大臣(松永光君) 二つ申し上げて御理解を得たいと思うんです。  一つは、個別の不動産に対する事項でありますので、事務方が答弁するようにその範囲内ではある程度用意しておったようでありますが、しかし、そのもとはと申し上げますと、この種財産の管理、処理については、何せ全国に十数万件あるそうでありまして、そのうちの六万二千件が実は関東及び信越にあるのであります。それは関東財務局長になるわけでありますが、要するに、十数万件ある関係上、この種国有財産の管理、処理の事務は大蔵省訓令によって財務局長に委任しているという関係になっておりました。現在もそうなっております。その関係で、大蔵省自身に実はいろんな資料がなく、関東財務局長のところにあったと。  したがって、そこから詳しいことをお聞きいたしまして、そして先ほどのような詳しいことも、委員も既に御承知でございましたが、入手したので、そこで御説明申し上げたというような経過になっておるわけであります。
  118. 益田洋介

    ○益田洋介君 私が申し上げたいのは、国有地に八百五十億もの建物を三十年の賃貸契約期間をまだ十年残して建てさせる、こういう認可を与える、全然報告が大臣に行っていない。これはだれの裁量で決定したんですか。契約を十年間残して新しい契約に締結し直したという件と、国の財産の上に八百五十億の建物を建てさせるという承認、この裁量権はだれが持つのか。
  119. 松永光

    国務大臣(松永光君) 実は、先ほど新築か増築かという話がありましたが、私は、これは従来の建物を取り壊して建てたものであるから、どう見るかという見方からすれば、法的には新築というふうに見るのが妥当だろうと思いますが、なぜそうなったのかというと、実はその敷地のわきを流れておる目黒川という川がございまして、その目黒川を建設省で大改修をするようになったと。その結果、既存の建物を取り壊さなきゃならぬという事態になった。その機会に新しい建物を建てる。そして新しい建物を建てる以上、何といいますか、世間でいう更新料を、あるいは建てることを改めて容認する承認料、これをいただくというのが普通の一般の常識になっております。  したがって、その土地の時価の一割がその当時の常識的な金額だということもありまして、更新料を四十億国の方はちょうだいをして、そして新たな契約にしたといういきさつでありますので、この経過から見ますというと私は適切な措置であったと。もともと借地権を持っている人でございますから、そして河川改修に伴う建物の取り壊しとの関連での建て直してありますから、承認したということは適切であったというふうに私は判断しております。
  120. 益田洋介

    ○益田洋介君 それでは、先ほどただいまの経緯を含めて資料要求いたしましたので、よろしくお願いして、貴重な同僚議員の時間をいただきましたが、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  121. 海野義孝

    ○海野義孝君 公明の海野でございます。  昨日、事前に申し上げる御質問を差し上げてありますけれども、きょうもう既におやりになった議員の方の中からも大分そういった問題も御質問されていますから、そういったものを除いて、多少新たな御質問をすることをお許しいただきたいと思います。  最初に、総理にお聞きしたいと思います。  総理に御質問するということは久しく機会がなかったんですけれども、今行政改革は大変重要な政治課題でありますけれども、これに絡みまして中央省庁改革に絡んでの基本法、これが審議中であります。  総理は一昨年、九六年秋の臨時国会におきまして、本会議場で、現在審議中の中央省庁改革に絡む行政改革を初めとしまして、財政構造改革、金融制度改革、経済構造改革、社会保障制度改革、さらに翌年のたしか一月か二月に教育改革、こういったものをお出しになって、六つの改革ということを公にされたわけであります。  臨時国会における本会議場において、総理は、なかんずく行政改革につきましては内閣の最重要課題である、このように申されたわけでありますけれども、これにつきましては、当時住専等の問題とか、いろいろないわゆる行政上の問題が噴出いたしまして、大変国会においても慌ただしい、そういった時期を経過していたときであります、そういった中で、この行政改革を内閣の最重要課題に据えられたことにつきましては、総理御自身の御認識があるんではないか、このように思います。  まず、その点についてひとつお聞かせいただきたいと思います。
  122. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私自身、確かに行政改革というものが極めて重要だという認識は以前から持っておりましたし、同時に、どういうやり方が一番行政改革というものを進めていく上で大切なのか、いろいろ従来から考えさせられてまいりました。  多少の時間をお許しいただいてその意味を申し上げたいと思うのでありますが、私ども国会に議席を得ました直後、第一次臨調が作業を開始しておられ、第一次臨調の答申を得、そしてその第一次臨調の答申というのは、昭和五十年代の半ばごろまでいわば行革のバイブルのようにして使われておりました。しかし、次第次第にその中身の中で実現可能性のあるものは減っておったわけであります。  そして、第二次臨時行政調査会が発足をし、三公社を初めとして大きな仕事をなし遂げられました。ただし、そのときにも中央省庁というものには結果的にほとんど手が触れられませんでしたし、あるいは地方分権といったテーマについても大きく歯車は回ろうとはしなかったわけであります。  幸い、その後大きく社会が変化いたします中で、一つは経済的な我が国の仕組みを変えていかなければならない、社会構造、経済構造を変えていかなければならないという流れの中で、規制緩和というものがまじめに議論をされる時代になってまいりました。また、地方分権というものが具体的に、殊に機関委任事務を中心として地方六団体から出されました御意見というものが地方分権推進委に反映をされ、真剣に検討されるという、従来とは変わった状況も生まれてまいりました。  これが進めば、当然のことながらいわゆる官から民、そして中央から地方へという両方の歯車が動き始める。その機会をとらえて行政のより簡素効率的な仕組みというものを模索するなら、この行政改革という大きな仕事が前に動き始めるのではないか。そのような思いで一昨年、私は衆議院選の街頭に立ちますたびにも同じようなことを国民に申し上げてまいりました。  そして、そうした思い、同時に高齢・少子社会というものを考えたときに、いわば人生五十年の時代にその人生設計に合わせたような形でできた仕組みが継ぎはぎをしながらここまで使われてきたが、本当にこれでいいのか。人生八十年時代というものに合った仕組みをこの機会につくりたい、そのような思いもあったことは隠しません。  いずれにいたしましても、地方分権と規制緩和、規制の見直しと申しかえましょう、この歯車が両方動いたこの機会こそ思い切った中央省庁の再編まで進んでいく、この機会を逃してはと、そのような気持ちを持っておったことを申し上げます。
  123. 海野義孝

    ○海野義孝君 今、行政改革重要性ということについてはお話がありました。これは総理もかねてからいろいろな機会におっしゃっていますけれども行政改革だけではなくて、六つの改革がリンケージしていずれも両々相まってその効果を発揮していかなくてはならない。  そういった中で、今行革の問題がこの議会においては論議の対象になっているわけでありますけれども、その行政改革の中身というのは、政治でありますから、政治はやはり国民の皆様に少しでも豊かな、より安心して、そしてまた生涯を楽しんでいただく、私はそういったために政治というものはあると思います。  したがいまして、行革というものも、単に行政改革という中身につきましては、何となく今回の論議の中でも、行政改革イコール中央省庁改革ということが進めば、かなりの部分がそれで国民にとって期待できるようなそういう世の中になっていくという面がどうもわかりにくい。これはこれまでの各委員の方からも指摘がありましたけれども、その辺私も、総理のおっしゃるような行革というのは、官から民とかあるいは中央から地方、そういう視点から政府役割をまず見直すということが先決というか、最初に来なくてはならない。そういった見直しの結果、いわゆるスリムになった中央省庁、こういったものを改めて再編するというのがどう見ても物の順序ではないか、そういうように私は思うわけです。  しかしながら、今回の審議の中におきましては、そういった規制緩和の推進であるとか地方分権の推進であるとかあるいは補助金行政の見直しとか、こういうきちっと踏まえるべき点につきましては、その点列挙されているのみであって、いわゆるスケジュールとか推進の方策とか、そういった具体的な中身については大変乏しいんじゃないか、そういうように私は思うわけです。  つまり、政府役割の見直しと地方、民間への権限移譲という根本的な構造的な構造改革というものが、肝心のところがやや欠落しているのではないか、そして省庁再編のみが先行する、そういった形の今回の基本法になっているのではないか、このように思いますけれども、その点、長官いかがでございましょうか。
  124. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 議員が御指摘ございますように、やはり名実ともにこれの体制ができまして初めて行政改革あるいは特に中央省庁再編のごときは実っていくものであることは大前提である、こう思っております。  お話がございましたように、例えば規制緩和一つをとりましても、中央省庁再編を行うにつきまして、まさに一衣帯水の重要な根幹である、こう思っております。また、議員も御指摘がありましたように、例えば地方分権にいたしましてもそのとおりであります。あるいはまた組織の再整備、合理化におきましても、あるいはまた国民感情と申し上げますか世論から申し上げますと、定数もきちんと合理的な体制に合ったところの定数というものを線を引くべきではないか。そういうもろもろの厳粛な課題、そして避けて通れない多くの課題があるわけでございます。私どもは、それらの体制整備と並行いたしまして中央省庁再編というものは同時に決行するべきものであります、こういう認識に立っておるところでございまして、御理解をいただきたいと思います。  殊に、先ほどの質問でも申し上げたところでございますが、例えば規制緩和一つをとってみましても、今、お互いにアイデアを出しましょう、お互い計画を立てましょうと言い出したわけでは決してございませんでして、もう既に、歴代内閣と申し上げても言い過ぎではないと思うのでございますが、規制緩和のごときは平成七年からかくあるべし、この段階では規制緩和をこういうふうにやっていこうではないかという相当な計画を立ててまいりました。それらを一貫して政府は積み上げてまいっておるということが言えると思うんです。  御承知のとおり、例えば規制緩和におきましては二千八百二十三項目、それをまた私ども橋本内閣におきましては先般再検証をいたしました。二千八百二十三項目というものをここ三年間かけてやってきたけれども、途中で追加したものもございますけれども、一体これは規制緩和の実効を上げているのかどうかということで総理から厳しいチェックがありまして、私どもは総点検をいたしました。  その中におきまして、三百二十四項目でございましたが、実行すれば相当な効果が上がるんだけれどもと思われるものを三百数十項目、二千八百幾らの中から引き出しまして、それをさらにこの前の規制緩和計画六百数十項目の中に打ち込んで、そしてこれを集中的に実行していきましょう、こういうような段取りを内閣で決定して、また国会を初め各位様に御報告をしたようないきさつを持つものでございます。  決して、これをして規制緩和は実効が上がっております、あるいは規制緩和は相当進んでおりますとは申し上げませんけれども、もう既に往時の計画、往時の実行におきましてその体制にあるということも御理解をいただきたい次第でございます。  なおまた、ちょっとお触れがありましたように、独立行政法人等においても、今度その制度設計をしていただいたなれば直ちに立ち上げまして、これは具体的に応用化していかなければならぬ筋合いのものである、さように、その問題に限らず、そのほかの根幹もそのことが言えると思うわけでございます。
  125. 海野義孝

    ○海野義孝君 総務庁長官、大変熱意を込めて詳しくお話しいただいた点につきましては、私もそれなりに勉強しておりますから、でさるだけ簡潔にお願いしたいと思います。  そこで、臨調の行革に見られましたように、いわゆる行政改革と財政改革というのはまさに表裏一体の関係にある、このように思うわけであります。そういった中で、昨年秋に財政構造改革につきましては法案を制定し、一歩進んだわけでありますけれども、私は、先ほどの委員の方にも、行革によるコスト削減の見通しということが定量的には云々ということの答弁がありましたけれども、行革と財政改革は表裏一体の関係でありまして、しかも今回の行革においてはどの程度の行政コストの削減ができるかといった点が重要なことではないか。いろいろな改革を進めていく上におきまして、やはりそういった点が大変あいまいである。  どの改革につきましても、ある程度目標年次とか具体的な数字とかそういったものがないと、国民は何かその辺が、行革ということを国会でやっておるというけれども、じゃ、それが自分たちにとって、例えば今後の納税というような問題あるいは保険の負担というような問題、こういったことが、思い切った百三十年ぶりの行革によってスリムな行政になるということは即、効率のよい、そしてまた小さな政府になるというような期待があると思うんですね。  したがいまして、その辺の財革との絡みで、行革のコストの削減の見通しというか、そういったことばやっぱりある程度明らかにしていただかないと何となくむなしい感じがするんですけれども、その辺いかがでございますか。
  126. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 財革との絡みという大きな視点から私がどこまで言及できるかは一応考えさせられるところでございますが、先ほどお話し申し上げましたように、大胆に根幹に触れる改革を手続として今次の基本法を中心にして御決定をいただきますれば、少なくとも国の行政組織の整理合理化あるいは定員の削減等については、申し上げましたように具体的な数量目標を一応法文上は明示いたしておるところでございます。  ただいまお話しの、いわゆる財政的な面でそのスリム化というものがどの程度貢献するのか、その一つの志と申しますか、あるいは具体的な財政上に及ぼす実効面の数値というものを明確にするべきではないかというお話であろうと思うのでございます。  今の段階におきまして、当然のことながら相当大幅な効果が出てくると考えられるところでございます。相当大幅な効果を期待できると私どもは確信をいたしておりますけれども、まだ基本法も国の方針も決めていただかない、あるいは改革のためのもろもろの制度上にかかわる実行手続というものもまだ法制化していない今日の段階におきまして、歳出削減効果を全体として定量的に示すことはいささか困難であるなど。  また一面からは、国会の意思決定に対する一つの私ども立場というものも考えてまいったところでございまして、少なくとも今回の基本法を初め改革の具体的方針をお取り決めいただいたら、できるだけ早期にそれを順次私は国民の前に、今次の痛みもある、あるいは抵抗もある、我慢もいただきますけれども、こういう大改革をやるのでございますと。あわせまして、私どもはこういう財政上の効果も期待いたしておりますと。数値を早い時期に順次明確にするべきものであるということだけは大きく自覚をいたしておるところでございます。
  127. 海野義孝

    ○海野義孝君 今度は総理一つお聞きしたいと思うんですけれども平成十三年の一月一日、早ければその時点から新しい省庁体制をスタートしたい、こういうことでございますけれども、その時点においての地方分権というのは、具体的には財政等も含めましてどのような形になっているか、総理の御想定になっている姿というものをお聞かせいただければと思います。
  128. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先般、五月二十九日に閣議決定をいたし、国会に御報告をいたしました地方分権推進計画、これから我々は、それを法律にすべきものは法律にする作業に取りかからなければなりません。そして、でき得れば、通常の場合でありますなら、十一年の通常会、ここでその関連する法案の御審議を願いたいと考えておるところであります。  そして、もし御審議をいただき、御了承が得られるとなりました場合、この地方分権推進計画の中に盛り込まれております法律事項の相当部分は、少なくとも翌年度の年度当初から計画的に動いていくことになるでありましょう。  分権推進計画の中にありますもの、これは実は規制緩和推進計画でも同じ問題を持つわけでありますが、法改正を必要とするものは法律の御審議をいただき、国会の御了承をいただき、これを公布して、一定の時間は必要といたしますので、その意味では、推進計画をつくりましたもの、これを法律化する作業をこれから、そして十一年、恐らく通常会において御審議をいただき、恐らく分権に向けての方向のことでありますから私は国会の御了承はいただけるものと信じておりますが、それを受けて翌年度の年度当初からこれがスタートをする。  その意味では、二〇〇一年一月一日という時点を迎えますときには、分権推進計画の中において、法律改正を必要とする相当部分のものが既に動いておる、あるいは動き始めておる、そのような状態をもって二〇〇一年一月一日という日取りを迎えるのではないだろうか、また迎えられるように努力をしなければならないという思いを持っております。
  129. 海野義孝

    ○海野義孝君 総理もおっしゃっておりますけれども、今回の基本法というのはプログラム法であって、その中身は今後、来年の常会で集中審議になるんでしょうけれども、いわゆる各省庁の設置法等によってより具体的にそういう所掌事務であるとか権限の問題については明らかになると思うんですけれども、今回の基本法を見る限りにおきましては、いわゆる行政の裁量権限の見直しといった点に触れられていない。いわゆるルール型の行政を確立するには不十分ではないかと思うんです。  その点を含めてちょっと総理にお聞きしたいと思うんですけれども、官僚の汚職の続発に代表されますように、行革という問題が要請される大きな要因としては、やはり官民のもたれ合い構造ということで、これをやはり変えていくということが大きな問題だろうと思うわけであります。そのためにも、世界的に見ましてもまれな我が国のある官庁の広範な裁量権限、こういった面はやはり見直さなくてはならないということでありますけれども、その点につきましても今回の基本法案の中においては先送りという形になっている、これはまた後で申しますけれども。  要するに、各省庁の権限は法令によって明確にすることにして、いわゆる設置法に規定されているあいまいな裁量権限というのは削除する必要があるんじゃないか、このように思っているわけです。この点については本基本法案におきましては何ら触れられていない、官庁の裁量権限についてもやはり切り込みが不足している、というよりもないということであります。  そういった点につきまして、あいまいな権限に基づく監督とか行政指導を明確化するということが、いわゆる総理みずからがおっしゃっているルール型行政の確立につながる、そういった面からもこの辺の不十分な点について今後どうされていくのか、総理の御所見を伺いたいと思います。
  130. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは、むしろ私は今の御質問を機会にぜひ院の御協力を、また議員にも御協力をぜひ将来ともに賜りたい大事な部分であります。  実は、土光臨調時代、総理府と行政管理庁を統合するという答申に対し、この作業が全く進まなかった時期がありまして、党の行財政調査会長の立場で私はこの案を自分で一生懸命になって書きました。残念ながら応援は得られないままに大変な抵抗の渦に巻き込まれました。今の総務庁が生まれるまでにどれほど、例えば一部の省庁だけを取り上げて再編成をしようとしたときにその抵抗は激しくなり、同時に労働組合をも含め全く協力が得られなくなる、どれほどすごいものかということを私は身をもって体験をしてまいりました。  その意味では、実はこの法律を成立させていただいて推進本部をスタートさせた瞬間からが恐らく同じような思いの日々が続くことになるでありましょう。しかし、そこが実は一番大事な時期になるわけでありまして、議員からも今御指摘がありました、一つは行政の裁量権限の見直しについて、ルール型行政の確立という点についてこの基本法そのものでは不十分だという御指摘でありますが、まさに基本法の中にはその規制のあり方について、事前の規制から民間の自由な意思に基づく活動を重視したものに変えていく、規制行政における国民に対する説明の責任を明確化する、こうした趣旨の規定を入れていますけれども、これを設置法段階を初めとするそれぞれの個別法の中に現実に織り込んでいく作業はそれから始まるわけです。  ですから、私が方向性を示しておりますと申し上げておりますのは、まさに今申し上げたような形でこの基本法は方向性を持っておるわけでありますが、その成立をさせていただいた後、規定を具体化するための作業というものはそこから始まるわけでありまして、私どもとしてはこれを全力を尽くしてやり上げていかなければなりません。  そして、その設置法の中に盛り込まれる所掌事務あるいはその権限規定、こういうものはまさに今申し上げましたような事前裁量型の行政から明確なルールに基づいた行政への転換というものを目指す、そして、恣意的行政という言葉はこれはちょっと各省に気の毒かもしれませんけれども、裁量権に基づく恣意的な行政を排除して、行政指導が乱用されないような設置法の権限規定のあり方そのものをそこから我々は検討していかなければなりません。そういう観点を一方で持ちながら、同時に行政機関の行為の範囲というものを明確にし、しかも臨機あるいは複雑多岐にわたる行政活動というものの柔軟性を損なわない、こうした視点を持ちながら設置法を初めとする関連法案をつくり上げることは私は大変な作業になると思っております。  私どもはその困難を、殊に私自身、総理府と行政管理庁の統合案をつくって袋たたきに遭った経験を持っておりますので、この作業に入ったときの騒ぎというものはある程度想像はつきますけれども、どうぞ議員から、また院から、こうした方向性を持って作業を進めていこうという部分についての御協力はぜひ賜りたい。そして、まさに目的を達成できるような設置法を初めとする関連法案をつくり上げたい。心からお願いを申し上げます。
  131. 海野義孝

    ○海野義孝君 今詳しくお話がありましたけれども、土光臨調当時と比べましても、我が国の置かれている現在の状況あるいはこのメガコンペティションのこういった時代におきましては、どうしてもこれは推進しなくちゃならぬ、実現しなくてはならないと。  問題は、国会におきましても我々政治家におきましても、また内閣におかれましてもあるいは業界においても、やはり新しいそういった見識を持ち、また国際的なそういった標準に合致するような一人一人というか国民でなくてはならないという感じがします。  その点については、さらに強力なるリーダーシップを発揮していただいて、この行革を初めとしました六つの改革が中途で挫折することのないようにひとつよろしくお願いしたい、こういうように思う次第でございます。  そこで次に、今回のこの基本法におきましては、戦略的な視点という点からの省庁の再編という面が少し弱いのではないか、このように私は思うわけでございます。  国土交通省であるとか、大変マンモスな省庁に再編されるというようなことに対していろいろな委員から質問もございましたけれども、いわゆる政官業、これはもうだれ言うともなく、そういった政官業の鉄のトライアングル、これが省庁の再編にも大変障害となっているということでして、そういった点から戦略的な視点という点が大きく弱められているのではないか、私はこのように感じられてならないわけであります。  今回の行革という問題が、省改革、例えば金融制度の大改革、これはビッグバンというと何となく世界的な競争の中に伍して日本がどう生き残るかということになりますけれども、それ以前に、やはり金融、財政等の日本の行政、こういったものについてのありようが問われたのが今回の行革の一つの大きな引き金になったということは間違いない、私はこのように思うんです。そういった中で、いわゆる大蔵省の改革の中核である財政と金融の分離という問題が先送りになった。国税庁の分離についても同様である。こういった点からいうと、大蔵省の、今後財務省になりますか、強権的な体質の温存ということがやはり今後に問題を残すのではないかという点を私は大変危惧するわけであります。  そういった中で、例えば下水道であるとか港湾、道路、こういった各省庁にまたがっている類似事業の所掌の整理、こういったことについても明確な方針が示されていない。あるいは社会保障、消費者、環境、こういった国民生活に直結した分野につきましては大して強化されないということで、国民本位の省庁再編という視点が残念ながら欠如しているのではないか、私はこのように思うんですけれども総理、いかがでございましょうか。
  132. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 当初私は、まさに衆議院選で国民に訴えましたとき、国家の機能、大きく分けて私なりの四つの分類をしておりました。一つは国家の存続に関する機能であり、国の富を確保し増大する、拡大する機能であり、国民の暮らし、国民生活の保障、向上への機能であり、そして教育や国民文化の維持、伝承、醸成といった、私はそういう分類をしておったわけであります。  しかし、今、議員の御指摘でありますけれども行政改革会議におきまして二十一世紀に国家が担う機能は何なんだということを議論いたしました上で、二十一世紀の主要な行政課題として、国際社会の平和と繁栄への貢献、国家主権の確保というものがまず第一、そして我が国の平和・安全・秩序の維持確保、健全な財政の確保、通貨の安定、金融秩序維持、そして産業競争基盤の維持向上による強靭な経済の形成、国土の整備・開発・利用・保全、食糧・エネルギーの安定供給の確保、環境の保全と自然保護、少子・高齢社会における国民生活・福祉の向上、創造的な人材の育成と先端科学技術・学術や文化の振興、こういったことを認識した上でこの議論を進めよう、いわばこうした目的意識を基本に据えてこの考え方を整理してまいりました。  議員からいろいろな御批判をいただきましたけれども、こうした戦略的な国の担うべき役割というものを踏まえ、その上で論議をし、総合的にも戦略的な対応の可能な省庁体制というものを築こうということで論議を集約したということだけは御承知をいただきたいと存じます。
  133. 海野義孝

    ○海野義孝君 次に、この基本法が制定された後の問題でありますけれども、いわゆる推進体制という点につきましては私は十分でない、このように思うわけでございます。  これにつきましては、中央省庁改革推進本部、本法が施行された後にはこれがスタートするわけでありますけれども、ここが今後中央省庁の再編を進めていく上でのまさに心臓部でありまして、要するにここが具体的にどうやっていくかということは、先ほど総理からも一番根幹の部分である行政裁量の問題等についてのお話がありました。  そういった点からいいますと、今回のここまで短期間中央省庁改革基本法をまとめられたということは多とするものでありますけれども、これはもう昨日来議論がありますところで、まさにベースキャンプ、これを何とか確立できた、いよいよここから登攀に向かうという過程においてはまさに大変厳しい。その過程においては遭難、遭難という言葉は適切ではないかもわかりませんけれども、そうすんなりと頂上をきわめるというほど簡単なものではない。したがって、二〇〇一年一月ないしできるだけ早く、五年以内というような多少アローアンスを置いていらっしゃるということもわからぬじゃないんです。  ただ、いよいよこれから大変厳しい、具体的な設置法の問題にしましても、そういう所掌事務あるいは権限等について相当多くのまた法律もつくっていくわけでありますけれども、この過程においてはやはりこれまでの明治維新からの百三十年、さらには最近でいいましても戦後の五十年、こういった中におけるいろいろな弊害というか問題がある。そういった中で、日本が国際的な本格的なそういった時代の波に今突入している、こういうことですから、これは並大抵のことでは、今回は容易でないし、しかも失敗は許されない、完璧なものに仕上げなくてはならないということであろうかと思うんです。  そういう面では、これまで法律の面でいわゆる裁量的な行政が行われるというような弊害がなかったわけではないと。こういった点は、総理もおっしゃるように自己責任原則、市場競争原理、そういった中でやはりルールにのっとっていわゆる事後チェック型の行政、そういった中で自由に公平に国民はより豊かな方向に向かって頑張っていく、こういうようなものにならなくてはならぬと思うんです。  そういう意味で、今回のこの基本法の中の最後の部分の中央省庁改革推進本部、この中身につきましては、推進本部長総理であられるとか、あとその中では各大臣が担当されるとかいろいろなことがありますけれども、昨日、私どもの同僚猪熊議員からもありましたけれども、その事務局の編成につきましても、百人ないし百五十人で当面整備されるという中でやはり広く民間からもそういった有能な人たちをそこに糾合するということは、私はオープンにこれを進めていくという上でも必要であると思います。  それからもう一つ、この推進本部設置についての第六章ですか、この中で私は落としている部分があると思うんですね。それはどういうことかというと、これはこれまでの議論の中で総理からもお触れになっておりますけれども、いわゆる第三者機関の設置という問題は、ここに入れなかったならば一体どこに入れるのかということなんですね。  恐らく各省の設置法となっていったときに、例えば総務省の中に入れるのか内閣府の中に入れるのかというのも、これからの行革推進あるいは省庁再編をしていく中で、省庁の再編というよりも、中身はいわゆる行政構造の改革、そして権限とか事務所掌とかそういった問題についてきちんと組み立てていくということが重要でありまして、その結果が要するに省庁再編になっていくということでありますから、省庁再編が先にあって後いろいろな法律をどうこうということではないと私は思うんです。そういう意味では、やはりこの推進本部というのがまさにかなめである。  しからば、いわゆる官僚主導的なものを廃するためにも、ここに強力な権限を持った第三者の監視機関といいますか、推進することをウォッチしていく機関を設置するということが私は当然ではないかと。これが抜けると、今回もまた行政改革スタート時点における基本法において既にその辺のところに問題を残す、このように私は思うんですけれども総理、いかがお考えですか。
  134. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 基本的に私は議員考え方を否定する部分はございませんが、一部、私は考え方が違う点がございます。  それは率直に申しまして、私ども内閣と申しますよりも、総理を本部長、そして全閣僚をメンバーとする中央省庁改革推進本部をつくりますし、ここが全責任を負っていく体制であると。ただし、それは当然事務局を持ち、その事務局の諸君に民間の方々にも入っていただいて作業をお願いするが、責任はこの推進本部そのものが持つということを申し上げてまいりました。私も、確かに議員が御指摘のように、第三者的な立場からきちんとチェックをしていただき、また必要な場合助言等もいただける、そうした第三者的な立場の機関というものを必要だと考えておりますし、今それをつくりたいということでいろいろ努力も既に始めております。  そして、当然ながら、その第三者機関的なものを設けさせていただけるということになりましたとき、推進本部はその設立の趣旨にかんがみてもその意見を当然尊重する責任はございますけれども、同時に、推進本部が全閣僚によって構成される、そして内閣の責任によって運営されるべきものでありますから、意思決定の責任は私はその第三者機関に負わせることはできない、あくまでも全責任は推進本部を構成する総理以下の閣僚が負うべきものだ、そのように思います。  その上で、私は第三者的な機関として、ある場合は助言もいただきたい、軌道がずれないようにチェックもしていただきたい、そうした組織は必要だと考えており、これはきちんとつくらせていただきたい。そして、それは推進本部に対してそうした助言とか御注意とか、高い立場できちんとした協力のいただける仕組みにしたいと考えております。
  135. 海野義孝

    ○海野義孝君 それでは、最後にもう一問だけお願いしたいと思います。  先ほどもちょっと触れましたけれども、いわゆる大蔵省の金融、財務の分離の問題であります。  本基本法の中におきましては、いわゆる「財務省の編成方針」という中にこの点がうたわれておりまして、その中で「金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案については、その範囲を明確に定めるとともに、これに配置する職員の」云々とありまして、この金融破綻処理制度ないし金融危機管理、これは昨年来のいわゆる金融システムの激動の中においてのそういったものに対する権限の問題でありますけれども、これは財務省ということになっております。そして一方では金融監督庁。いわゆる企画立案が言うなれば現在の大蔵省、いわゆる財務省になり、そしてこの監督指導等につきましては金融監督庁、これは新しい省庁がスタートの段階においては金融庁になるということであります。  この新しい体制について、別表の中でこの十五条に関係した部分についてこういうふうに書かれているんですね。どういうことかといいますと、「財務省において金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案の任務及び機能を担うのは、金融システム改革の進捗状況等を勘案し、当分の間とする」と。こういうように、いわゆる企画立案の部分について、これを財務省に当分の間置くというようなあいまいな状況になっているわけですけれども、これはどうして具体的に財務省にこういった企画立案の中のいわゆる金融システムに絡む問題については当分の間としたのか。  これは例えば二〇〇一年一月一日ということであるならば、少なくともそのときに期間を限るとか、そういったことをどうしておやりにならなかったか。その点だけひとつ簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  136. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 行政改革会議の中間報告以降、その中間報告に取り上げられておる問題につき各方面で御論議がありましたことを私も隠しませんが、その中において、大蔵省改革につき、当時協力関係を持っておりました自由民主党、社会民主党、新党さきがけ三党が論議を交わしました中におきまして一定の方向づけをされました。  そして行政改革会議は、各角度からの論議というものが尽くされた最終の結果とこれを受けとめ、私どもはそれを行革会議の報告に、そしてまた、これを受けて中央省庁再編のためのこの基本法の中にこれを取り込んできたわけであります。  その中に、金融破綻処理制度ないし金融危機管理への対応に限って大蔵省に担当させるという措置は、「金融システム改革の進捗状況等を勘案し、当分の間とする」、ただしその措置は政府内部で調整を行い、金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案の内容を明らかにするとともに、その職員配置数は最小限にとどめるものとするという内容がありまして、こうした議論を踏まえて結論をまとめました。
  137. 海野義孝

    ○海野義孝君 時間になったから終わりますけれども、今の点についてはどうも私はまだすっきりしませんので、改めて。  どうもありがとうございました。(拍手)
  138. 清水澄子

    清水澄子君 私は最初に、二十一世紀を前にした改革は、世界に対して大きな影響力を与えている国の政府と国民は国際的な共通のルールの形成に努力して、そしてそれを遵守していくために率先して責任を負う、そういう私は気構えが必要だと思っております。そういう中で、男女平等の実現というのは、その国際ルールづくりにおいて非常に重要な領域でございます。  そこで総理にお尋ねをいたしますが、男女共同参画は今回の行政改革においても内閣機能強化の目玉であります。だからこそ内閣府に位置づけられたと思いますし、権威の高い合議制の機関を置いて取り組むことになったのだと思います。この男女共同参画の位置づけについては今全国の女性が注目をしております。また、先進国日本の男女共同参画推進本部体制というのはどのように位置づけられていくのか、世界もまた注目をしているのでございます。  二〇〇一年の新体制発足後は、当然ふさわしい位置づけ、そして任務、機能、組織体制を私は目に見える形で備えるべきだと考えますが、総理の男女共同参画に対する御決意をお伺いしたいと思います。
  139. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは議員にお言葉を返すようですけれども、私は、目玉商品にする、そういうつもりはありません。むしろ、男女共同参画社会というものは私たちが目指さなければなりませんし、これがうまくいかなければ日本の将来にいろんな大きな問題を残す、我々が本当に一体となって取り組まなきゃならない重要な課題だ、私はそう思います。  そういう認識で、この法律案におきましても男女共同参画の推進というものを国政上の最重要課題一つとして内閣府の任務に位置づけをいたしました。そして、これを担当する内閣府の内部部局につきましても、その事務を的確に処理できるような組織をつくろうとしております。  私は、議員はちょっと本意ではない言葉を選ばれたと思いますけれども、目玉づくりというようなつもりでこの問題に取り組んだのではないということだけは申し上げたいと思いますし、むしろ内閣府における新しい体制のもとで男女共同参画社会というものの実現に向けてこれからも最大限努力していきたい、そのように考えております。
  140. 清水澄子

    清水澄子君 随分、目玉と言ったことにこだわっていらっしゃいますが、むしろ目玉にするくらい重要視しているとおっしゃる方が私は日本の女性たちには非常に励ましの言葉になると思います。  次に、男女共同参画推進というのは単に機構を設けることで済む問題ではないと思います。既存の法律とか制度とか、それから政策の見直しが必要でございますし、今後のあらゆる立案作業が男女共同参画の視点からチェックされるということが今一番必要なことでございます。また、各省のあり方に男女共同参画の視点が貫徹されていなければなりません。  女性にかかわる日本法律というのは、きょうはもう時間がありませんので申し上げませんが、とてもとてもここで話せるような問題じゃないような、それこそちょんまげ時代の法律がそのまま残っているものもあるわけです。ですから、そういう点で世界の国から日本考え方、あり方が非常に注目をされているわけです。  総理は、来年の通常国会に男女共同参画社会基本法を提出するということを明言されておられるわけですけれども、先ほど述べていただいた決意というのは、何かちょっとこちらに対して非常に一つの言葉に抵抗されておりましたけれども、むしろちょうど中央省庁再編という行革のときに私は一番いいチャンスを迎えていると思うわけです。それらを実行していくためにも、男女共同参画室という小さいものじゃなくて、やはりこれは最低局ぐらいにはしていただきたい、こういうことを私は質問したいと思います。  そして同時に、現在、日本の男女共同参画室というのは、スタッフは今度二人ふやしていただいて六名なんです。カナダ等では百人強のスタッフを持って、そして女性の地位に関する政策を調整したり、それから関連する施策を分析したり管理をしております。その特徴的なことは、一般の省庁とは例外的に、政策領域関係を横断的に調整する権限を持っておりまして、そこで勧告機能や計画策定機能を持ってカナダ連邦政府のすべての省庁を横断的にわたって、あらゆる立法とか施策とか事業のジェンダー分析を行って改革推進に力を入れているのが現状です。これはカナダだけしか私は申し上げませんでしたが、今国際的にそれがもう当たり前のことになって、みんなそれを早く仕上げようと急いでいるのが現状でございます。  そこで、私はぜひ総理にお願いしたいんですけれども中央省庁改革推進本部での作業にもこの男女共同参画の視点をぜひ反映させていただきたいと思います。先ほどの室じゃなくてせめて局ぐらいにということと、この視点を生かしていただくということについて、ぜひお考えをお伺いしたいと思います。
  141. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほど私の答弁がもし不穏当でしたらおわびをいたしますけれども、この男女共同参画社会というもの、そしてそれを目指している男女共同参画会議というもの、これは別表の第一、男女共同参画会議のところに書き込まれておりますように、その任務として、ただ単に「男女共同参画に関する基本方針、総合的な計画等について審議する」だけではございませんで、「政府の施策に男女共同参画の視点が反映されるよう、関係大臣に必要な意見を述べる」、言いかえれば、これはどこの省ということを固定しておりません。ですから、その立場がどこの省庁の施策であれ、きちんと物は言えるわけです。そして同時に、三番目に、「男女共同参画に関して講じられる施策の実施状況を調査し、及び監視すること。」と、わざわざここはこうした書き方をいたしております。ただ単にチェック機能を持つというだけではなく、提言もできますし、それぞれの施策に対して男女共同参画という視点からの意見がきちんと出せる。しかも、その言い方としては調査、監視という言葉まで用いていることを見ていただきたいと私は思うのです。そして、構成員は、官房長官、関係する国務大臣、学識経験を有する者という、これは民間の方々にここに加わっていただけるということでもあります。  そして、この事務局の部分につきまして、議員は今せめて局という言い方をされました。私は、そういうやり方の方がいいのか、それともこの行政改革会議の最終報告の中にございますように、「内閣府の調整部局のうち男女共同参画に関する施策の総合調整に当たる部門が会議の事務局となる。この部門は、会議事務局の機能を担うほか、総合調整及びこれに伴う事務を行う。事務局においては、各分野の専門家等反間の人材を活用する。」、実は機構ではなくて、こういう問題にどんどん民間の方々にも入っていただいて、政府部内の事務局機構でありますけれども、その事務局機構の中そのものに民間の皆さんに入っていただき、男女共同参画というものを進めていこうとしております。  私は、室とか局とかという形よりも、こうした新しいやり方をとろうとしている。そしてそこに民間の方々の事務局への参加も道を開いている。こうした点を、もし全国の女性が本当に議員が言われるように皆さん関心を持ってくださっているんでしたら、こういうところへぜひ協力をしていただきたい。むしろ固定した事務局ではない、民間の方々もその中に入ってきていただいて男女共同参画というものを進めていくためのお力添えをいただけるような仕組みを用意しておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
  142. 清水澄子

    清水澄子君 ぜひ実効性を上げていただくように私どももまた知恵と協力をしていきたいと思います。  次に、総務庁長官に環境行政の裏づけについてお伺いをしたいと思います。  私ども社民党は、一貫して環境省の創設を主張してまいりました。その主張が反映されて、法案では環境庁を省に格上げすることになっておりますし、政府全体を通じて総合的な環境行政の展開が図られていく仕組みが示されております。しかし、これをいかにして実効性あるものにしていけるかどうか、これはこれからの課題であるとは思いますけれども総務庁長官、この法案に盛り込まれた事項をどのように具体化していかれるおつもりか、ひとつその考えをお示しいただきたいと思います。
  143. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 環境行政の重要性につきまして今までもしばしばお聞かせいただいてまいったところでございますが、専ら環境保全を目的とする制度、事務事業は環境省に一元化をいたしました、御承知のとおりでございますが。また、ただたいま御発言の中にもありましたように、私どもは極めて高度な重要な行政の一つだという認定のもとに、まずこれを一つここに整理をいたしました。  他の目的、機能を有する制度、事務事業であっても、その目的、機能の一部に、たとえ一部であっても、環境保全の観点から、基準あるいは指針あるいは計画等の策定、そして規制等の機能を有し、これを発揮することによりまして、関係省庁と共同で管理する、所管する、いわゆる共管とよく言っておりますが、共同所管事項をここにかぶせた。よって、この中心的な一つ役割というものは環境省ですよと。  それからもう一つは、その他広く各行政分野にわたり、環境保全の見地から関係行政機関に対しまして勧告権もありますと。これ室二つ目にきちんと位置づけてあるわけでございます。  なおまた、国際的な関連分野につきましても、きちんとその位置づけがなされておるというのが実態でございます。
  144. 清水澄子

    清水澄子君 次に、環境庁長官にお尋ねしたいわけですけれども、環境庁が環境省になることに国民は非常に大きな期待をかけております。そこで、一つしかお尋ねできないんですけれども、この環境行政強化の重要な要件といいますか、それは戦略的な環境アセスメントが必要だと思うわけです。  来年導入される環境アセスは個別事業の環境影響を評価するいわゆる事業アセスでありまして、戦略的環境アセスメントは、もっとその上位にある政策や計画の事前評価を実施官庁だけでなくて第三者機関がダブルチェックする制度であると思います。この制度はアメリカを初め各国で導入が進められておりまして、その評価の対象は、狭い意味での環境保全だけではなくて、経済社会への環境といいますか、循環型社会構築の全体にわたる総合的な政策評価を行うものであると思うわけです。  この行政改革を推進するときにはこのような戦略アセスというのはぜひ必要だと思うんですが、それについてどういうふうに法制化されていくか、長官のお考えをお聞かせください。
  145. 大木浩

    国務大臣(大木浩君) きょうの御質問は、戦略的環境アセスメントについての御質問でございますけれども清水委員よく御存じのとおりに、環境アセスメント一般と申しますか、全般についても随分長い間時間をかけていろいろと議論はしてまいりましたけれども日本におきましてもまた国際的にも必ずしも定着するまでにすっと行ったということではなくて、日本におきましても、前長官の石井先生がおいででございますけれども、昨年皆様方の御協力もいただきまして、前長官にも随分汗をかいていただきまして、一応環境アセス法案が通ったわけでございます。  そのとき、清水委員も御記憶だと思いますけれども、衆参両院のそれぞれの委員会におきましてたしか附帯決議が出ております。ちょっとその部分だけ読ませていただきますけれども、「上位計画や政策における環境配慮を徹底するため、戦略的環境影響評価についての調査・研究を推進し、国際的動向や我が国での現状を踏まえて一制度化に向けて早急に具体的な検討を進めること。」と。  早急にやれと、こういうことでございますから、本年、平成十年度に予算もいただきまして、国内でのいろいろな体制、それからまた諸外国の例も参考にしながら、戦略的環境アセスメントの問題についての一つの案をできるだけ早くつくりたいと考えております。
  146. 清水澄子

    清水澄子君 早急な法制化をお願いいたします。  次に、この省庁再編の中で、原発の安全規制と放射性廃棄物の管理をどのように続けていくのかについて、総務庁長官にお尋ねをしたいと思います。  まず、原子力施設の安全確保につきましては、動燃事故が相次ぐなど、原子力施設の事故をどのように未然に防ぐかが急務の課題となっております。  現行では、原子力安全委員会が安全審査を実施して、その事務局機能は原発を推進してきた科学技術庁が担当をしておるわけです。原子力の推進と安全規制が同一の行政組織のもとにあるというのが日本の現状であると思います。私は、原子力の推進と規制は、やはりこれはそれぞれ別の行政組織が担って、お互いに緊張関係を働かせることがベターだと思います。アメリカでは、研究開発はエネルギー省、規制は原子力規制委員会が分担しておりますし、ドイツなどでは環境省が規制を担当しております。  科学技術庁は今度文部省と統合するわけですが、この際、原子力推進とこの規制の任務を明確に分離すべきだと考えますが、総務庁長官はこの問題についてはどのようになさろうとされておるんでしょうか。
  147. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、清水先生は、アメリカのNRC等を念頭に置いて御発言だと思います。  今まで日本は、平和利用という観点から原子力委員会が推進していく、しかし安全規制は原子力安全委員会がやるという形でやってまいりましたけれども、今度の案では、それをもう少し高い立場から、強化すると申し上げていいと思うんですが、内閣府のもとにおいて強力にやっていく、こういうことになっております。そのもとで教育科学技術省、それから経済産業省、これが一次チェックをやっていくということになっております。  今までは、確かに先生御指摘のように、安全委員会の事務局というのは科学技術庁の中にあったわけでございますが、今までも私は、それが必ずしも独立性を損ねるということにはならずに、安全委員会は安全委員会として独立に仕事をやってこられたと思っておりますが、今回は事務局を内閣府のもとに置くと。  また、この事務局体制をどうしていくかということにつきましては、まだ実は詰めた議論はできておりません。この法案ができますと、本部をつくりまして、本部の中でもっと詰めていかなければならないと思っておりますが、そういう体制の中で安全審査というものがきちっと独立にできる体制がつくれるものと、このように考えております。ただ、NRCのような独立規制委員会のあり方とは若干違うということは申し上げておかなければならないと思います。
  148. 清水澄子

    清水澄子君 今お答えがありましたけれども、原子力安全委員会は今度内閣府に置くとされております。その事務局機能については、やはり経済産業省とか教育科学技術省からは分離独立させていく、そして環境省がこれにかかわるということは、私は、原子力の推進と規制の分離を徹底するという立場からも非常に重要なことだと考えますが、総務庁長官、どのようにお考えになりますか。
  149. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 大筋におきまして、谷垣長官の方から御説明申し上げたとおりでございますが、ただいま議員の方からお聞かせいただきましたことも参考にしながら対応してまいりたいと思います。
  150. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) ちょっと今の総務庁長官の御発言に補足をさせていただきますと、先ほど申しましたように、内閣府のもとに安全委員会がある。その下で、いわゆる行政庁として教育科学技術省と経済産業省が一次チェックをする、それで安全委員会は二次審査をしていくということになっております。  今までも環境省をこの中でどう位置づけるかいろんな議論があったところでございますが、環境省は、行政庁として環境保全の観点から環境中の放射性物質に関する監視及び測定について一定の機能を担うということにされておりまして、それらを含めて内閣府で安全委員会が、あるいは原子力委員会はまた別の立場でございますが、あるということで、安全委員会と環境省はそれぞれの任務を踏まえてその機能を発揮していくということになると考えております。
  151. 清水澄子

    清水澄子君 私は、やっぱり原子力政策というのはどうしても放射性廃棄物の問題が出てくると思います。  フランス等では放射性廃棄物管理の研究に関する法律というのを一九九一年に公布しておりまして、そこでは研究者と行政と国会議員とがこれについて十五年かけて核廃棄物をどのように処理、管理していくかという研究と分析が行われております。そして、十五年目にはこれを国会に報告して、国会で核廃棄物の管理体制を決定するという作業が行われておるわけです。これらは、核のごみとか放射性廃棄物に対する国民の不安といいますか、そういうものに対して政府がきちんとみずからの政策を定めて国民に対して保障していくといいますか、そういう意味での政府は核廃棄物に対する明確な政策立案を法律でみずからに義務づけているわけです。  ですから、私は、日本政府もこのように核廃棄物の処理については明確な責任ある管理といいますか、政策を策定するレールを敷くべきだと考えますが、総理はこれをどのようにお考えになるでしょうか。
  152. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) お答えいたします。  清水先生、この間フランスヘ行かれていろいろ原子力事情を御調査になったと私も新聞で拝見いたしまして、そのお勉強の御成果かと思いますが、我が国の場合は今までいわゆる原子力長計というもので大きな方向を定めてきたところでございます。現在の原子力長計は四年たっておりまして、今まで大体五年間に一度ずつ改定をしてきておりましたし、またこの前、原子力長計ができましてからいわゆる「もんじゅ」の事故等がございました。  そこで、実際上はいろんな議論が行われてまいりまして、原子力円卓会議であるとか、あるいはそういう御指摘を踏まえて原子力委員会のもとで高レベル放射性廃棄物の処分体制はどうあるべきかというようなことを相当時間をかけて議論してきたところでございます。また、これらの議論も公開の席でいろんな国民各層に御意見を求めながら進めてきたところでございまして、これからの段階は、そういう各方面でいろいろ御議論をしていただいたことをもとに、そろそろ次の原子力長計はどうあるべきかという議論にしていかなければならない段階であろう、こういうふうに思っております。  それで、先ほどフランスの場合は法律でということをおっしゃいました。我が国の場合は、放射能レベルの高低とか、あるいは含まれる放射性物質の種類等の多様性を踏まえてそこをきちっと区分していく、どういう放射性物質がということで区分して管理していく、その区分に応じて処分方策を考えていくという仕組み、それに加えて、各事業者等が自分の責任で処理をしていくということを基本にしております。こういう方針に基づいて国内の原子力関連施設において発生する放射性廃棄物については原子炉等規制法などに基づいて管理する、こういう体制になっております。  それで、さらにその放射性廃棄物、例えば高レベルの廃棄物の処分等をどうしていくのかまだはっきり方向が出ていないじゃないかというようなことを踏まえて先生はおっしゃっているのだろうと思うのでありますが、低レベルにつきましては、原子炉等規制法に基づいて埋設処分を今安全、円滑にやっております。  高レベルの放射性廃棄物につきましては、先ほど申しました原子力委員会において技術的側面及び社会的経済的側面から検討を進めてきたわけでありますけれども、今後、研究開発に鋭意取り組んで技術的信頼性を確立する、そして二〇〇〇年をめどに処分事業の実施主体を設立するといった処分事業の具体化に向けて政府一体で取り組んでまいりたい、このように考えております。
  153. 清水澄子

    清水澄子君 政府一体というのはわかるようで、どこが所轄になるのでしょうか。廃棄物といえば一般的廃棄物、家庭用とか産業用は大体厚生省がやるとかあるわけです。そして、環境庁は環境基本法でも核廃棄物にはかかわりない法律になっております。だけれども、放射性廃棄物というのはこれからも非常に重要なテーマであると思います。ですから、今回の法案でもどこがこれを所轄するのかほとんど記述がないものですから、それについてはどこがやることになっているのでしょうか。
  154. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今回の法律では、先ほどの繰り返しになりますが、今の推進という方向になりますと平和利用というもとに原子力委員会が内閣府においてやるという形になっておりまして、そのもとで一次審査等、あるいは行政庁としての仕事は経済産業省それから教育科学技術省でやっていく、それから先ほど先生がおっしゃった環境省は放射性廃棄物の監視等を行っていく、こういう仕組みでございます。
  155. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 谷垣長官から御説明いただいたところでございますが、私の立場から若干申し上げますと、明確に申し上げた方がいいと思いますが、エネルギーとしての利用に関する原子力の技術開発及び今もお話がありましたような一次的安全規制は経済産業省が、また学術研究及び科学技術に関する原子力の技術開発は教育科学技術省が担当することといたしております。  いずれにいたしましても、放射性廃棄物の管理につきましては、放射性廃棄物の発生から処理、処分のあり方を十分視野に入れつつ具体的にこれから検討してまいりたい、さように思っております。
  156. 清水澄子

    清水澄子君 ぜひそれは国民にも私たちにもわかるような、そういう方針を明確化していただきたいと思います。  次に、今度は大蔵大臣に伺います。  行革というのは省庁再編だけでは変わらないと思います。先ほども同僚の議員たちが質問をしておりましたけれども、いかに行政の質を改革していくかということが非常に重要な視点であると思います。  そのためには、今回実行する行政改革では、今極限まで膨張した裁量行政、それが私は行政を限りなく不透明にしていると考えるわけです。そして、それがまた所管業界との癒着を生む最大の温床にもなってきている。そういう点をしっかり私は、もう問題はすべて明らかになっているわけですから、いかにして裁量行政を削減していくか、このことについてお伺いをしたいわけです。  そのためには、裁量行政を制度化している権限規定をやはり省庁設置法から削除していくべきだ、縮小していくべきだと思うわけです。その点は橋本総理も本会議等でも検討していきたいということは答弁されておるわけですけれども、私は権限規定と表裏の関係にあります通達行政そのものも改めなければ裁量行政を縮小していけないと思います。  そこで、大蔵省は金融通達を廃止するということを明らかにされておるわけですが、まず大蔵大臣にこの作業の状況と今後の予定というものをお伺いしたいと思います。
  157. 松永光

    国務大臣(松永光君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、行政の信頼を確保するためには、その行政が明確なルールに基づく透明かつ公正な行政でなきゃならぬわけであります。  今、委員指摘のとおり、裁量行政とかあるいは通達行政、こういったものが行政に対する信頼を弱めている、あるいは低めておる原因だろう、こういうふうに思います。そういう点を是正するという考え方で、大蔵省としては、金融機関や業界団体を名あて人とする指導的な通達、これは基本的にはすべて廃止するという方向で今作業を進めているところであります。そういう今まで通達でやっておったのを省令にする、あるいは告示という形で公表する、こういったことで透明なルールを明確にするという方針で今作業を進めているわけであります。  それから、もう一つ申し上げておきますが、実は通達の中には業界団体等を名あて人とする通達のほかに講学上の通達と言われるような通達があるわけです。それは何かというと、監督機関が下部の行政機関等に対して法令の解釈とか具体的な判断の基準、こういったものを示すことによって、行政庁の中で法令の解釈や判断の具体的な基準などがまちまちになってはいけませんから、そういうことがないようにするための行政上の取り扱いの統一性、そういったものを期するための通達も実はあるわけでありまして、これを講学上の通達と言うんだそうでありますが、そういったものも全面的に見直す、こういう方針で今作業を進めているわけです。  では、いつまでにやるのかという話でございますが、委員も御承知のとおり、この二十二日には金融機関等に対する監督、検査の権限、これは大蔵省から全部離れてしまうんです。そして、総理府のもとに設置される金融監督庁に移管されます。そうすると、大蔵省としては、新たに発足する金融監督庁、それが発足する前にそういったものをきちっとやって、そして金融監督庁が、今申し上げたような透明な行政、公正な行政、そして明確なルールに基づく行政、それに直ちに取り組めるようにするのが大蔵省の務めだろうと、こう思って鋭意作業を進めているところでございます。
  158. 清水澄子

    清水澄子君 ぜひそういう方法といいますか手段というのは私は各省庁に広げていくべきじゃないかと思いますが、総務庁長官、この通達廃止とか、こういう問題についてどのように着手をしていかれるおつもりでしょうか。
  159. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) ただいまも大蔵大臣の方からお話がございましたように、この行政改革中央省庁再編の時期を絶好の機といたしまして、ただいまお話をお聞かせいただきましたような感覚も大事にしながら、意見も大事にしながら、通達行政についてはこの際基本的に見直すと。そして、より簡素で、より透明性の確保ができるように、なおまた、先ほどお話がございましたように、裁量行政ということに対しましては、総理もしばしば御説明申し上げましたように、極めて重点的に厳粛な対応をしてまいりたいと思っております。
  160. 清水澄子

    清水澄子君 さらに、日本法律というのは非常に政省令が多くて、法律を読んだだけではなかなか内容がわからないという非常に悪い特徴があるわけなんですね。この間の介護保険法なんかは、三百以上も政省令で、何か骸骨みたいに骨だけつくっている。こういう状況が最近非常にふえてきたように思うわけです。  政省令というのは、国会での議論を経ないで制定され、そしてそれがいつ改廃されているかも私たちはわからない。こういうこともまた行政の裁量の働く余地を非常に大きくしているのではないかと思うわけです。ですから、私は、やはり政省令にすべてを記述するんじゃなくて、できることは法律に書き込むということを第一とすべきだと思いますし、それから、政省令が制定されたり改廃されていく際にはやはり国会に報告するというようなことをぜひやっていただきたいと思います。  また、先日閣議決定されました新たな規制緩和推進三カ年計画では、政省令等による規制を制定前に開示し民間の意見を反映させる、いわゆるパブリックコメント手続の導入を検討するとしていますし、それから行革会議長終報告でもパブリックコメント制度の導入が提案をされておると思います。  ですから、私は、行政をどう透明化していくかという意味で、こういう手段といいますか、そういうものをやっぱり大胆に取り入れて、行政の裁量が働く余地というのを極力狭めていくべきと思います。  総務庁長官、どのようにお考えになりますか。
  161. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) もう御承知のとおり、法律は、国民の権利義務に直接関係のある事項を立法府の御意思によって定めておりますが、これに対しまして、ただいまお話がありました政令は、政府におきまして法律の委任に基づいて技術的な事項を定めたり、あるいは法律を実施するために必要な手続事項などを定めるものであると承知いたしております。  同時にまた、ただいまお話がございましたように、裁量行政というものに極力この際私どもは注目をいたしまして、極めて合理的に、そして簡素に、きちんと行政指導の他日乱用がないように、むだがないように心得るべきである、こう思っております。  そのような観点から、一番大事なことは、総理もしばしば申し上げておられまするように、やはりできるだけ明確に、そして具体的に、より可能な限り裁量の余地を少なくした一つのルールというものをもうこの機会に、大変大きな作業であろうけれども、各省庁ごとにきちんとその主なる任務、所掌事務、あるいは権限等をこれからきちんと、いろいろお聞かせいただきましたが、それらのことを参考にしながら、整理いたしてまいりまするその過程において裁量行政は大きく念頭に置くべき事項である、さように思っております。
  162. 清水澄子

    清水澄子君 終わります。(拍手)
  163. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 法案の前提になる幾つかの問題をまずお伺いしたいと思います。  この法案をめぐっては、これが国家百年の計にかかわるものだということが盛んに論議もされております。二十一世紀を国民が希望の持てる世紀にしようということだとは思いますが、現実事態はなかなか大変厳しいものがあります。  さきに発表されました総理府の「社会意識に関する世論調査」によりますと、昨年末、十二月の時点での国民の意識というのは、日本が向かっている方向について、悪い方向に向かっているというのが七二・二%、よい方向に向かっているというのが一二・六%と、こういう数字が出ております。橋本総理総理に就任される直前の数字というのは、よい方向に向かっているというのが二四・三%、それが一一・六%になりました。悪い方向に向かっているというのが五四・〇%だったのが、七二・二%になるという結果になっております。  これはもちろん総理の希望する方向ではないわけでしょうけれども、こういう事態というのは私はまことに深刻な事態だと思いますが、どのようにお考えになるでしょうか。
  164. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 国民の意識、それが内向きになること、批判的になることは国として望ましいことでないことは当然であります。そして、時々私はそういう言い方をしてしかられるのですが、何も私は信じてくれというのじゃない、だけれどもこの国のあるいは民族の持つ潜在的な力、教育水準、技能、そうしたものに対しては自信を持っていただきたいと本当に願っております。
  165. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 今の数字、私は法案で提起されている中央省庁再編問題をこれからどういう方向で考えるかという上でも考えていただきたいと思います。  総理は昨年五月、六つの改革に関しての国民へのメッセージで、国民の一人一人、特に二十一世紀を担う子供たちの将来に夢や目標を抱ける社会を目指す、こういうことを強調されました。これを目指すことは私も当然のことだと思います。しかし、それが今日の事態では反対に国民に将来に対する夢や目標を抱くことができなくて、いわば夢と希望を奪う、こういうふうな結果になっているということを考えると、やはり政治の責任は非常に大きいと思います。  総理、その点では、特に総理期間に悪い方向へ向かっているというのが物すごいテンポで伸びていることと、こういう国民への呼びかけとの関係でどのようにお考えになるか、また政治家としての責任に関しても私は感ぜられるところがあるんじゃないかと思いますけれども、述べていただきたいと思います。
  166. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この国のあすを少しでもよいものにしたい、そして少しでも夢の持てるものにしたい、その思いは変わらないと議員も言われました。私どももそう考えており、その上でこれからも時間の与えられる限り全力を尽くして努力していきたい、そう思います。
  167. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 少し話を進めまして、私は国家百年の計と言うからには、我々がどうしてもやらなくちゃならない仕事があると思います。今度の改革については、小里長官もこれが日本の歴史を変えるような大改革にするんだと、こうおっしゃっていました。省庁再編をやるやらないにかかわらず、我々は二十一世紀を前にして、どうしても我々が二十一世紀を本当に国民が希望を持てる世紀にするためには、二十世紀というのは一体どんな世紀だったかということについての突っ込んだ全面的な総括を内閣においても政府においても、もちろん国民的規模でも国会のレベルでも大いにやらなくちゃならないと思います。その上に立って、二十一世紀の展望をどこにどう見出すかということがあるんじゃないかと私は思っているところです。  そこで、二十世紀の総括ということになれば、二十世紀の始まりというのはもっとさかのぼって、明治政府成立以来の戦前の日本、戦後の日本にまで突っ込んだメスを入れる必要があると私は思っております。戦前の日本は、明治政府成立後、世界の五大国と言われる国になったが、一方では戦争によって破滅という事態になった。その戦前の事態の問題がいまだ世界に尾を引いているということも、我々がこれから二十一世紀を展望する場合には考えなければならないことだと思います。  それからまた、戦後、新しい憲法のもとで日本が新しい出発を行い、そして世界第二の経済大国と言われる国になりました。しかし、その日本が今は大変深刻な経済的事態に直面しております。それだけでなく、日本は労働条件と雇用、産業政策、金融問題などいろいろな面で大企業の勝手気ままな、世界からもルールなき資本主義だという批判も受けている、こういう事態を我々は今抱えている。それに加えて、戦後五十数年たった日本が国際的にも植民地的な基地国家だと、こういうことを言われているわけです。  我々は、日本の戦前、戦後の歩み、そして現状、これをどう転換し、どう大改革して二十一世紀日本のあり方をどういう方向に求めるか、こういうことをきちっと国民的に論議をして、はっきり確立していく必要があると思います。  総理、こういう論議の必要性はどのようにお考えになりますか。
  168. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員のお立場から、ある意味では明治維新の前後までをさかのぼり、その上で一つの歴史観に基づいて述べられましたその歴史の要約、私も大変興味深く拝聴をいたしました。  ところどころ見解を一にする部分、食い違う部分はありますけれども、幕藩体制の中から長年の鎖国を解き、維新、開国というステップを踏み、そして内閣制度をつくると同時に、富国強兵という一つの国家的な目標を掲げ進んでいった日本。そして、その流れは第二次世界大戦の敗戦というその瞬間において大きく変わりを告げようとしたわけでありますが、これはたまたま今御論議を願っております行政改革という視点からも、幕藩体制、明治政府の発足、内閣制度の発足、そして敗戦により、よく行政の骨格が変わらなかったという御議論もありますけれども、内務省が廃止をされ、新たな幾つかの官庁が生まれる。あるいは、第二次世界大戦敗戦直後までの警察行政、国家警察と自治体警察の併存という、そしてそれが幾つかの改革のプロセスを経て現在の制度に定着をしてきている。その間にはもう当然ながら陸軍省、海軍省の廃止というものもございました。そして、憲法も変わってまいりました。  かつての富国強兵という文字はなくなりましたが、敗戦の焦土の中から我々の先輩たちはもう一度国土に緑を戻し、同時に産業を戻し、改めて欧米諸国の経済を見、これにまさるとも劣らない国をつくろうとして努力をしてこられました。そのプロセスにおいて、私は今日までの行政のシステムというものは大きな役割を果たしてきたということを率直に思います。  しかし同時に、その間に少子・高齢社会という今の状況が到来をし、人生五十年時代に設計をされた行政の組織の問題点も出てきた。また、まさに遣いつき追い越せで走ってきた国でありますから、当然ながら行政の手法においてもそれに対応しやすい行政の形態が定着をしてまいりましたものが、改めて今その矛盾に苦しんでおるという状況にあります。そして、巨額の財政赤字を抱え、少子・高齢社会というものの現実の到来の中で、我々は改めて経済社会システムの再構築に今取り組んでおります。  議員の御認識、私の考え方、時には相寄るものがあり、食い違う部分がありますけれども、大きな流れとしての変化は基本的にそれほど異なっていないのではなかろうか、そのような思いでおります。
  169. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 私は、ここで総理と歴史観をどういうふうにするかということを論議しようというわけではありません。私が言いたいことは、国家百年の計に基づく歴史的な大改革をやろうと言うのなら、やはりその前提として、日本の歴史の総括に立った新しい二十一世紀を目指す日本のあり方、二十一世紀日本像というものを国民にも明らかにし、そしてそれに沿って日本の行政のあり方をこういうふうにするんだということが打ち出されるべきではないかと思います。  今我々に論議を求められている法案には二つの点で非常に大きい前提の弱点がある。一つは、国家百年の計と言いながら、新しい日本の姿、日本が目指そうとするものが全く見える形になっていない。それはみんな検討検討ということになっている点で一層わからなくなっているわけです。もう一つは、現状分析がきちっと示されていない。現状がこうだからという点が私は弱いと思います。  それは例えば今度の法案の、これはわからないことはない、わかる一つですが、内閣機能の強化、総理の権限の強化ということが強く打ち出されております。しかし、これについても、なぜ強化しなくちゃいかぬか、なぜ権限を強めなくちゃいかぬか。今の日本の内閣制度あるいは総理の権限ではこういう弱点があって、実際こういう日本の政治に障害があった、だから内閣の機能を強化する、あるいは総理の権限をもっと強めなくちゃいかぬ、それは単に内閣の指導力の弱さということでなく、制度的なものなら、こういう制度的な弱点によるものだと、これを示さないでうたわれるから、一体何のためにやろうとしているのかということがはっきりしません。  内閣機能の強化、そして総理の権限強化、一体日本の今の現状ではどういう弱点、どういう障害があるから強めようというのか、これをちょっと簡潔に総理にお答え願います。
  170. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 議員から幾つかの問題点を提起されましたが、私は一点、行政改革会議は本当に五十回にわたる会議を連続させ、論議を極めて密度の濃いもので進めてきた、そうした意味で、幅広い有識者あるいはその他の議論の集約の結果生まれたものであるということは申し上げたいと思います。  同時に、それだけの努力の中で制度疲労の激しい戦後型の行政システム、これを自律的な個人を基礎にしながら、自由で公正、そして活力のある社会をつくり上げていきたい、そういう目標を持って取り組んだものであるということは申し上げておきたいと思います。  同時に、今回の改革、何が必要なんだというお尋ねでありますけれども、例えば最近における複雑多岐にわたる行政課題に的確に対応し、突発事態に行政の総合力を早期に発揮できるようにする、そのためには国政運営に当たって最高の責任を持つ内閣の機能を高めるとともに、内閣総理大臣の国政運営上の指導性をより明確なものにする、さらに内閣及び内閣総理大臣の補佐・支援体制を整備する必要があると考えておりまして、こうした内閣機能の強化は内外の情勢変化や危機に行政としてより機動的、弾力的に対応できるようになると考えております。
  171. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 今の答弁を聞いても私ははっきりしないんです。例えば、何か悔いが残ることがあったのかどうかなんです。あなたのみならず、これまでの政治でこういう点で悔いが残ることがあった、だからその悔いが残ることがないようにこう強化しようということが出て初めて論拠になると思います。  しかし、私はそれよりもっとこの法案では取り上げなくちゃいかぬ問題があるので進ませていただきますが、参議院段階に来てからの論議を見ましても、質問に対してすぐ出てくるのは、それはこれから検討するということですね。衆議院段階の速記録を読んでみても同じことなんです。僕は衆議院でこれから検討するという答弁が何回あったかちょっと拾い出してみようと思いましたけれども、やめました。終わってからでも一回やってみようと思っているぐらいですが、この法案についていいますと、私の数えたのでは、今後検討するというのが二十二カ所ありました。  だから、こういう法案というものが一体あるものかどうなのか。今後検討する、これでは審議のしようもない。今後検討する、検討させてくれという法案なんですね。それで、その検討ということについては、検討した結果はまた国会にかけるとおっしゃるわけですけれども、それならなぜこういう法案を出してくるか等々、いろいろ論議があります。  最初に、その論議との関係で、きのうもちょっと論議になっていた点ですが、四条三号で「国の規制の撤廃又は緩和を進め、国と民間とが分担すべき役割を見直し、及び国と地方公共団体との役割分担の在り方に即した地方分権を推進し、」云々ということが書かれているわけです、こういう検討をやると。  そういう検討をやったら、それじゃ今のここで出している一府十二省庁ですか、これは変わってくることだって起こるのかどうなのか長官、変更はあるかどうか。
  172. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) ただいま議員からお話がございました中で触れられた例えば第四十三条。私は政府として本法案国会にお諮りするについて、最小限必要な基本的な意思が決定しておればこそここにきちんと明文化できた、こう思うんです。  お言葉を返すようでございますけれども、これから検討しますという事項が非常に多彩にわたっているというお話でございますが、これは今法案の性質上、基本的にまず国会の意思を再確認して、そして国民全体的立場から対応しようという政府責任ある一つ対応の基本姿勢であります。  その中でも、少なくともこの際国会の意思を確認しておくべきであると政府が判断をいたしました問題は、このように第四十二条に明記してあるごとく、この条項だけではございませんが、きちんと整備してあると思うんです。お答え申し上げるまでもなく、第四十二条は国として必要なもの以外についてはきちんとこういうようにいたしますよという方針を、一応原則をはっきりいたしておるわけであります。  国が必要とするもの、しないものをこれから今次の法案を決定していただきました後、まず基礎のところをきちんと整理していただけば、あとは具体的に勇気を出して対応しますよと、こういうことを言っておるわけでございますから、御理解いただきたいと思います。
  173. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 長官、ちょっと私の質問が伝わっていなかったようです。一府二十一省庁を一府十二省庁にするという提案、その一府十二省庁というのは、今言った国と地方、民間の役割等を検討すると。結果としては、これを変えなきゃいかぬということだって出てくるんじゃないかということなんです。
  174. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 結論をすぱっと申し上げますと、私は変わり得ることはない、さように思っております。
  175. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 そうすると、変わることはないけれども、引き続き検討をやるという検討は何のためにやるんですか。そういう変わることはない前提を持って検討をやるというのはどういうことなのか、僕はよくわかりません。  その論議はさておきまして、私の持ち時間の中で幾つか尋ねておかなくちゃいかぬのですが、今おっしゃいましたようなある政府の意思を、はつきりしたものがあることは私は認めます。その認めたのが今答弁がありました四十二条ですね。検討結果はどうなるかわからない。しかし、検討対象は書いてあるわけですから、大体どういうことを目指しているかはわかるわけです。四十三条、私はそういう意味ではっきりしていることと、はっきりしないこととが非常にわかる条だと、こう思って読みました。  ここで、四十二条で独立法人化をどことどことをどういうふうにやるかということにかかわる検討ですが、この検討対象は何々になっていますか。これは事務方さん、ちょっと報告してください。わかりやすく、簡単に。
  176. 坂野泰治

    政府委員(坂野泰治君) 四十二条の条文が指し示しておる検討対象の機関にどういうものがあるかというお尋ねかと存じます。  施設等機関のこの用語は、現行国家行政組織法の中にございます施設等機関、その条文に当たるものを意味しておるわけでございまして、この四十三条の二項以下に書かれております国立大学等の文教研修施設あるいは病院、療養所等の医療更生施設、試験研究機関あるいは作業施設その他国家行政組織法で指しております施設を意味するものでございます。
  177. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 今読み上げられました国立大学の教育研究機関、それから国立病院及び国立療養所、試験研究機関等々を国から切り離して独立行政法人化する、これは非常に明確になっている。どの機関を独立行政法人にするかは決まっていないけれども、それを独立行政法人にするという方向での検討対象にはしているわけですね。  ここに挙げられているのを見ますと、私はここに今度の省庁再編の一つの特徴があらわれていると思います。それは国立病院及び国立療養所のような国民の健康、生命にかかわる部分、あるいは日本の将来にかかわる教育研究機関とかいろいろな試験所、こういうものが国の直接責任から独立行政法人という形で切り離されていく。私は、国民に対するサービス部門やら国の将来にとって大事な部分がこういう形で国の責任から離される、ここにこの省庁再編の方向の一つがあらわれているように思います。  そして、それはきのう吉川議員がここで失業問題に関連して、今失業が非常に重大なときに失業対策を新しい省庁の仕事の対象項目から外しているということ、職安機能も民間に移すと、こういう質問をしたこととともに、やはり国民にとって重大な問題をはらんでおり、私どもはとてもこれは容認することのできるものではないということをまず申し上げておきます。  その上で、ちょっと時間の関係で、質問をして、一括答えていただきますが、私が小里長官にまずお伺いしておきたいのは、きのう吉川議員がこのことを指摘した上で別のテーマ、公共事業の問題に移って別の大臣に答弁を求めているときに、伊吹労相が突然立ち上がって答弁に割り込み、それでこういう答弁をなさった。テレビを通じて誤解を与えかねないからということで、ちょっと速記録によって見ますと、「別表第二の中には、雇用の確保、労働基準、失業、職業安定、すべてここに入っております。そして、それを受けて編成する場合の注意事項として二十五条があるわけです。ですから、失業の対策が抜けておるなどということはございません。」と、こう言い切りました。  そこで、これはあたかもテレビを通じて吉川議員が事実を曲げた根拠のない質問をしたように印象づけるものになりましたが、長官、私どもがもらっているこの委員会で受け取ったこの法案によると、別表二を幾ら読んでも失業という項目は見当たりません。長官あなたのお持ちの法案には失業という項目が別表二に入っているかどうか、はっきり教えてください。
  178. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 二点でございますが、まず前段の方の、先生のお話をお伺いいたしておりますと、国立病院、国立療養所、試験研究機関あるいは検査検定機関、文教研修施設等々、文教施設は言われなかったと思うんですが、これらの機関が類型として示してあることによって、すべてを独立行政法人という新しい制度によってあたかも淘汰するがごとき印象を与えるようなお言葉に聞こえたわけでございますが、私どもは決してそれを全部が全部この際例えば独立行政法人化しますよということは言っておりません。  それをちょっと具体的に申し上げた方がいいと思うのでございますが、例えば四十二条の三項を見ていただけば、「高度かつ専門的な医療センター、ハンセン病療養所等時に必要があるものを除き、」と、しかもその除いた後のものについても、これから「独立行政法人に移行すべく具体的な検討を行う」と、こう言っておるわけでございまして、その前段の除くということはきちんとひとつ明文化しておりますから、御承知をいただきたいと思うんです。  それから、これはもう申し上げるまでもなく、四項三号におきまして「その活動の自律性、柔軟性及び競争性を高めることを基本とし、政策研究等の国が直接に実施する必要のある業務を行う機関以外の」と、こういうこと等も具体的に明記してある、また第五項で「事業の性質に応じて独立行政法人への移行検討するとともに、国の事業として行うものについても、」云々を書いてございまして、この辺の基礎的なところはきちんと区分けがしてございますから、御理解をいただきたいと思う次第でございます。  なおまた、伊吹労働大臣の御発言云々については私が直接申し上げるべきことではないかとも思いますが、あえてお尋ねであるからお答えを申し上げます。  雇用の確保というのは包括的な雇用行政の基本を整理してきちんと明文化してございますから、ひとつ御理解をいただきたいと思います。あとは、つぶさなことは労働大臣がおいでになりますので。
  179. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 失業という言葉があるかないか。
  180. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) きちんと今申し上げましたように、雇用行政については基本的に確保いたしますよということは明文化いたしております。
  181. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 失業という言葉があるかないかというのが私の質問です。これは意味じゃないんです。吉川さんが書いてある言葉を読まなかったような答弁だったから。言葉では出ていないけれども意味はこうだというような、その解釈は別ですよ、言葉として失業があるかどうか。――いや、法案です。法案だから長官がはっきりしてくれないと。  労働大臣には後から質問するから、答弁の機会を与えますから。
  182. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 政治、行政のいかんを問わず、失業対策というのは既成概念の中におきまして最重点事項の最たるものだと私は思っている。ですから、私どもは今度の立法作業におきましては、きちんと雇用という基本的概念で、ただいま先生が指摘なさることも包括してあると確信を持っております。
  183. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 言葉ですよ、失業という。はっきりさせてもらわないと質問できない。法案の文章のことなんだから。
  184. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) もうしばしば申し上げておりまするように、失業という概念が雇用のその明文の中に、背景にきちんとあることを御確認いただきたいと思います。
  185. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 だめだよ、そんなの。吉川さんは今のことを全部読んだんだよ。こういうことは書いてあるけれども失業という言葉がないと言ったら、そうしたら労働大臣が出て、失業ということが書いてあると言ったんだよ。――待ってください。総務庁長官、この別表第二に失業という言葉があるかないか、これは法案審議の重大な問題なんだよ。解釈じゃないんだよ。この法案の解釈をどうするかということを私は言っているわけじゃなくて、失業という言葉があるかないかを言っているんだ。それを言ってもらわないと困る。
  186. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 十年や二十年前の話ではなくて、きのう、きょうの話でございますから、先生、当事者のお話も再度御確認いただくことは大事じゃないかと思います。  それから、私どもの失業に対する施策の基本姿勢は、今も申し上げましたように、基本法の中に包括してきちんと明文化してございますということを御信頼いただき、さらにまたこの法律国会の意思として確認いただきましたなれば、これから具体的に省庁設置法に取りかかっていきますから、きちんと他日それらの具体的な形で姿をあらわし担保されますことを私どもはここできちんと申し上げる次第です。
  187. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 だめだ、だめだめ。総務庁長官、はっきりしてください、法案そのものなんだから。
  188. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) 委員長の御指名なので、お答えを申し上げます。  昨日、吉川委員のお尋ねは、こういうときに失業対策の仕事を項目から外したり、あるいは職安機能も徐々に民間に移していくなどということはとんでもないという御発言でございました。そして、別表の第二には、まず御承知のように「雇用の確保」というのがあります。雇用の確保という意味は失業対策の仕事でございます。したがって、当然そういうものはこの中に含まれているとお答えしたので、含まれていないということを国民に印象づけるような御質問は困るという趣旨のことを申し上げたわけであります。
  189. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 それは解釈を言ったんじゃないんです。きのう読み上げたんです、テレビで。「雇用の確保、労働基準」、それは書いてあります。その後に「失業」、こういう言葉をつけ加えて、そして「職業安定」というふうに読んで、あたかも吉川議員が書いてあることをわざわざ抜かして読んで論議をやっているようにあなたは言ったわけですよ。勧進帳ですよ、これは。ない言葉をつけ加えて読んでいる。  解釈をそう解釈されるのなら、私はここで問題にしませんよ。テレビ中継の場で書いていないことをつけ加えて読んで、吉川議員があたかもある言葉を抜かして読んだようにあなたは答弁した。だから、その事実関係ははっきりしなきゃならない。しかし、この言葉の意味するものはどうだという論議はそれはそれでやりますよ。しかし、事実は正確にしなくちゃいかぬ。  この別表第二には失業という言葉は書いてありません。労働基準法には失業対策ということがきちっと書いてあるが、こっちには書いていない。これを書いてあるように言うからあえて問題にするので、これは芝居じゃないんですよ。まじめな失業対策をどうやるかという論議の場で、そんな無責任な態度をとって勧進帳をやるなんというのはけしからぬよ。(発言する者あり)
  190. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 御静粛に願います。
  191. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) 法律どおりの立法論をおっしゃるのでございましたら、これは理屈になったら失礼でございますが、吉川委員の御質問は、失業という項目がとおっしゃればよろしいと思います。失業対策の仕事を項目からとおっしゃいましたから、失業対策の仕事は雇用確保の中に当然入っているということを申し上げているわけです。
  192. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 時間が来たから私はもうこれ以上言いませんが、解釈を述べたんじゃないんですよ。解釈じゃなくて、そういう言葉があると言って答弁したから問題にしたんです。  そこで、総理、私はこういう対応の仕方が今の内閣の一つの弱点だと思う。弁解がすぐ先に立つ、言いわけが先に立つんです。国会での論戦、国民の世論の動向、こういうことにもっと耳を真剣に傾けない政治をやるから見通しが狂う事態が生まれ、そして国民の支持も下がる、こういう事態はそういう態度から起こると私は言わざるを得ません。  きょうの新聞を見ましても、「一般会計 歳入不足、一兆円超す」と出ております。そして、恒久減税をやろうとすれば財革法の再改正が必要だということも出ている。これもさんざん特別委員会でも論議になりました。そして、予算だって、通った後すぐ補正する。こういう政治というのは、私は総理が何とか自説を貫こうとして真剣に耳を傾けていないということのあらわれだというふうに言わざるを得ない。  私は、そういう今の議論のあらわれというのはそういう言いわけに終始しようとする態度のあらわれとしてあれして、総理、今のような態度、ここで読み上げて、それがいいと思いますか。やはり正確に解釈と法案とは区別して答弁して、初めて本当の意味のある審議ができると私は思いますけれども、どう思いますか。その点だけ。
  193. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は関係閣僚はそれぞれみずからの良心にかけて正確にお答えをしておると思います。
  194. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 終わります。(拍手)
  195. 平野貞夫

    平野貞夫君 自由党の平野でございます。  自社さ政権体制といいますか、これが六月一日、党首会談が行われて、橋本総理・総裁が、四年間、本当にありがとうございました、こうおっしゃって解消したという報道がありましたが、ありがとうございましたで済まない憲法上の重大な問題がここにあると私は思います。  平成八年総選挙のときに、自民党執行部、特に加藤幹事長は、選挙後の政権構成について、自社さ、過半数をとってもそういう連立をやるということを再三述べておりますし、また、同趣旨の発言橋本総理自身、党首討論会等でやっております。これはある意味では国民に対する選挙のときの政治的な公約でございます。したがいまして、政権の性格が変わるといいますか政権与党体制を変えたということになりますと、国民主権の憲法の原理からいいますと、これは国民に信を問うかあるいは総辞職という形でのけじめが要る問題だと思いますが、総理、いかがお考えでしょうか。
  196. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員からは議員の御見解を述べられました。そして、六月一日、三党の党首会談の中で社民党党首、さきがけ党首から閣外協力を解消すると言われたときに、私は確かにこの四年間ありがとうございましたとお礼を申し上げた、これは人間として当然だと思います。  その上で、今これだけ多くの課題を抱え努力をいたしておりますときに、政治的な空白を与野党ともにつくるべきではないと考えております。
  197. 平野貞夫

    平野貞夫君 政治運営の基本についてけじめをつけない、なし崩してやる、これがやはりある意味では一番の政治不信のもとであるし、現在の日本の社会、日本の経済の停滞の原因だと私は思っております。総辞職して政権をまた立てかえても政治的空白にはならないと思います。  そういうことを指摘いたしまして、中央省庁等改革基本法案質疑に入ります。  この法案の第一条は「目的」でございます。「この法律は、平成九年十二月三日に行われた行政改革会議の最終報告の趣旨にのっとって行われる内閣機能の強化、国の行政機関の再編成並びに国の行政組織並びに事務及び事業の減量、効率化等の改革について、その基本的な理念及び方針その他の基本となる事項を定めるとともに、中央省庁改革推進本部を設置すること等により、これを推進することを目的とする。」、こういう文章でスタートしております。  内閣法制局長官にお聞きしますが、この行政改革会議といったいわゆる審議会等、八条機関でございますか、ここの報告を法案提出の根拠にした前例はございますか。
  198. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) 審議会の調査、審議の結果たる結論の表明形式、これは報告あるいは答申あるいは意見、いろいろな用語をもって表示されているわけでございますけれども、その間で特にその内容についての重みの差はないものというふうに私どもは理解しているわけでございます。そのような意味におきまして、かぎ括弧つきの報告という、そういうかぎ括弧つきの報告に基づいて、それを引用して法律が組み立てられているという例は、私ども若干探したところではどうもないようでございます。  しかしながら、冒頭で申しましたように、報告であろうと答申であろうと、あるいはかぎ括弧つきの意見であろうと、その内容に重みの差はないわけでございまして、そういう意味におきましては、具体的な審議会等の答申を引用した立法例、先例というのはございます。これは例えば「昭和五十六年七月十日に行われた臨時行政調査会の答申」という言葉を引用した行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律、随分長ったらしい法律でありますが、あるいは昭和六十三年六月十五日に行われた税制調査会の答申というものを引用した税制改革法、そしてまた所掌事務規定において具体的な審議会等の答申を引用した例といたしましては、数次にわたる臨時行政改革推進審議会設置法におきまして臨調の答申あるいは行革審の答申を引用した立法例がございます。
  199. 平野貞夫

    平野貞夫君 その内容の重みについてあなたにお尋ねしているわけじゃございません。私も、長官が今おっしゃった事例については役人のときに直接かかわったことがございます。  答申というのは、諮問というものがあって答申があるわけでございまして、これは一つのその機関のいわば結論であり意思でございます。これは括弧書きがあろうとなかろうと、報告という形のこの種の審議会のものを目的の最初に持ってきて立法するというのはないはずです、少なくても新憲法のもとでは。  私が申し上げたいのは、この行政改革会議というのはたしか総理が会長を引き受けた。そして、構成とか議論の内容はいろいろ話題になったり問題もありますが、私は、少なくとも総理が本気で行政改革に火だるまになると言うなら、こういう隠れみのをこの第一条の一行目に持ってくるべきじゃないと思うんですよ。内閣機能の強化、何々が必要だからやるんだということから始めなければ本当の行政改革はできないと思っています。  したがって、私はこの一条を読んだだけで、ある意味ではこの基本法法律としての体はなしていない、先ほども吉岡先生から話がありましたが、かぎ括弧の報告書をそのまま法律の案にしたようなものだ、こういうふうに思っていますが、総理の御所見をお伺いしたい。
  200. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員から行政改革会議に対してさまざまな角度からの御批判がございました。確かに内閣総理大臣である私自身が会長となり調査、審議に参画するとともに、これを取りまとめる中で自分なりの議論をしてきたものであります。これは政治の立場からの議論というものを反映しながら、できるだけ早期に成案を得て、その成案を政府の施策に結びつけていく、またこの問題についての責任を明らかにする、そうした思いからでもございました。行政改革会議が各界の有識者の御意見やあるいはさまざまな角度での幅の広い議論を深めてきたことは報道等でも明らかだと思います。  そして、基本法の策定に当たりまして、その行政改革会議の最終報告を最大限尊重する旨の閣議決定を行い、その趣旨に沿って法案を立案し、国会に御提出をしたわけであります。
  201. 平野貞夫

    平野貞夫君 私は、先般、本会議でも申し上げたんですが、この法律は財政構造改革法案の二の舞になるということを申し上げました。これは本当にまじめに仕事をなさっている政府職員の人たちも心配しています。この日本のいろんな危機の中で、こういう乱暴な、無定見な行政改革が果たしてできるか、やったら日本は余計混乱するんじゃないかと危惧しているということを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。  次の問題は総理の中国ODA疑惑についての問題でございます。  なぜ私がこの問題を取り上げるかという理由を最初に申し上げたいと思います。  昭和二十九年ごろでございましたが、私が衆議院議長の秘書をしていたころ、知り合いの某途上国の大使から発電所の建設について無償援助の要望を受けました。私が関係方面との連絡をやりました。このときに私は無償援助の構造腐敗というものをかいま見たわけでございます。  議長さんは非常に熱心に努力されて約三十億の無償援助の話が決まり、大使からお礼をしたいので業者を指名してほしいという話が私のところへ来ました。私は議長さんに報告しましたところ、大変に怒られました。こんなことだから日本の政治が乱れるんだ、ほっておけと言われました。結果は、某大物政治家のところに話が行って、いろいろなことがあったようでございますが、当時、私が秘書仲間や業界の人から聞いた話だと、約三%ぐらいなものが日本の政治家のかかわった人たちにキックバックしてくると、そういう自分の体験がございます。  当時から、初めからかもしれませんが、途上国の援助というのはこのようなうさん臭い話がたまっております。そして、きれいごとを言う人ほどいろいろな問題があるんです。そういうことでございます。  私は、五五年体制というものはこういう構造の上に乗っかっていたんじゃないか、お金の援助だけではなくて腐敗の援助もしていたんじゃないかという思いを持っております。したがって、橋本総理行政改革、財政改革を本気でやると言うなら、国会やあるいは雑誌、論文等で指摘されている疑惑には明確にしておくべきだ、こういう思いで以下質問していきます。  まず、五月二十二日、私が本会議で質問しました際に、総理は問題の朱さんについて、「中国衛生部の通訳として仕事をしておられました。」と答弁されております。  このことについて、その後、ベチューン医科大学病院のプロジェクトでは朱さんは衛生部の外事司官員であり、衛生部の通訳というのは胡暁蒙という外事局通訳という肩書きのある人が別にいらっしゃるわけでございます、衛生部には。そして、朱さんはこのプロジェクトのドラフトレポートを日本側に説明するときに衛生部を代表する立場責任者として名前がリストされております。これはJICA、国際協力事業団が平成二年八月に出された公式調査報告書に記載されておる事実でございます。  その点について、総理、今までの国会答弁、衛生部の通訳であったという答弁と食い違うといいますか、間違いといいますか、事によれば虚偽の発言国会でなさっているんじゃないかという思いがしますが、いかがですか。
  202. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) どういう言い方をなさるかは議員のお気持ちのことでありますから、どのような言い方をなさろうと結構であります。  そして同時に、各国の要人と私が会談をいたしますとき、それぞれの会談の通訳をだれが行ったか一々記録をとっておるわけではありません。  しかし、会談において、一方の言葉を他方の言葉に翻訳し、それに対する相手側の答えをまた一方の言葉に翻訳する、普通そういう役割を演じている方を通訳と申し上げるのが私は日本語だと思います。そして、そういう役割をしておられた。たしか八八年に中国に行ったとき、あるいは九一年に訪中したとき、何回か中国側の通訳として働いておられたと思っております。  私は、私が日本語で話すことを相手の国の言葉に翻訳し、相手の国の首脳あるいはお目にかかる方が相手の国の言葉で発言されるものを日本語に翻訳されて伝えてくれる、それは通訳というものだと思います。
  203. 平野貞夫

    平野貞夫君 通常、政治家が外国に行きます、そしていろいろな活動をなさる場合に、政治家の行動というのはやはり国益にかかわりますので、大臣を経験された方以上なら日本の大使館が必ず日本側の通訳をつけてさまざまな話し合い、さまざまな会議に臨むのが基本だと思います。  この点、総理の場合、総理のお口から、中国に行ったときのほとんどの会議等でこの朱さんが通訳をしてくれた、こういう答弁を今までも国会でしていますが、総理は、この朱さんが、それは日本語は達者ですから言葉のやりとりをかえてはくれるでしょうが、本来の職務が衛生部のこのプロジェクト担当の責任者あるいは実務者であったということを知っておられたんですか、知っておられなかったんですか。
  204. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) その当時において知っておりません。
  205. 平野貞夫

    平野貞夫君 その当時は知らなかったというお話ですが、それではいつ知りましたか。
  206. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 覚えておりませんけれども委員から同じことを聞かれた回数だけでも相当なものであります。そして、そうした問題が報ぜられているということを聞き、その中に彼女の肩書が通訳であったとかなかったとかという話が出ているということも聞きました。
  207. 平野貞夫

    平野貞夫君 それでは、現在はそういう職務を持っていたんだなという認識はされておるわけですね。
  208. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) なぜそういうことを一々私がせんさくしなければいけないんでしょうか。私は、確かに会談において私の日本語を、また相手の方の中国語をそれぞれに通訳してくれた、極めて有能な通訳をしていただいた方と思っております。その上で、その方がどういう肩書をお持ちであったと後に報ぜられたからそれをどうのこうのと言うつもりはありません。
  209. 平野貞夫

    平野貞夫君 私は客観的事実を申し上げているわけでございます。かつてはそういう役職であるということを知らなかったと、これはわかりました。しかし、私はここでこの問題を取り上げるのは二回目でございますが、国会の中で取り上げられてそういう仕事をしていたのかなと、こういう認識をされているかという事実関係を聞いております。総理の感情を、何で自分がそういうことを答えなきゃだめか、そういうことを聞いているわけじゃございません。  基本的には、国会議員のこういう場での質疑に対して閣僚は答弁義務がございます。私の質問に対してコメントする立場ではないと思います。現在はそういう職務であるということを認識されているかどうかという事実をお答えください。(発言する者あり)
  210. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 御静粛に願います。
  211. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 現在、その方がということでありますなら、他家の奥様であります。私はそれ以上、他家の奥様のことを申し上げたりするのは失礼だと思います。  その当時どうであったかというお尋ねでありますから、通訳をしていただきましたと正確に申し上げております。
  212. 平野貞夫

    平野貞夫君 奥様だとかどうだというプライベートなことを聞いているわけじゃございません。  公的機関の公式記録には、平成二年の時点でこの朱さんの役職、役割というものをきちっと記入して、通訳という方は、例えば衛生部の通訳という場合に別の人もちゃんといるわけなんです。そのほかにも大学側で通訳が四人、そして先ほど申し上げましたように、ドラフトレポートのときに日本側の説明の主役は朱さんなんです。そういう事実を今は認識されていると、私はそういうふうに思って質問を続けたいと思います。  さて、角度を変えて申し上げますが、朱さんの衛生部時代の同僚、申光という女性が重要な証言をしております。第一に、朱さんは衛生部外事処内の決定によって中日間で合意された無償援助プロジェクトの項目責任者に、実務責任者という意味だと思いますが、に指名され、担当したのは北京市の中日友好病院と長春市のベチューン医科大学附属病院に対する無償援助であったということを第一点この申光さんは証言しております。この申光さんというのは朱さんの衛生部での一年後輩だそうです。  第二は、無償援助を受ける国の言葉を話せる人間が対象プロジェクトの担当者と通訳を兼任している合理的なシステムが中国にはあると。表向き橋本先生の通訳として行動するが、実際はできる限り先生に随行する機会をふやし、自分に与えられた項目責任者としての任務を促進するよう働きかけるのが役割であると、こういうふうなこの申光さんの証言でございます。  第三は、こうした役割を担った通訳のことを中国では陪同翻譯と呼び、橋本先生が彼女の身分をどう解釈していたかはともかく、彼女にとって先生は間違いなく陪同翻譯の対象としての存在だったと日本のジャーナリストに証言しております。  どうでございますか。申光女史のこの証言についてどういう御所見が、お聞かせ願いたいと思います。
  213. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 議員から長々とお話をいただきましたが、今中国語で言われた言葉が私はまずわかりません。その上で、そういうことを言っておられる方がある、証言をされた方があるという事実をお教えいただきました。  ただ、それは中国の中の話でありまして、私にとりましてわかるはずもなく、また知る必要のないことであります。
  214. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  215. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 速記を起こしてください。
  216. 平野貞夫

    平野貞夫君 日本のあるジャーナリストが証言を得た申光女史の話、これをどう認識されておるかという質問を私は総理にしましたが、ただいま委員長から、それについてはこの再編法案とはちょっとかけ離れているのではないかという御注意がございました。  私はこの法案は価値からいって実質的に憲法を変えるような内容を持っておると思います。したがいまして、そういう大きな問題については、総理自身のわずかな疑惑、我々は問題の調査経過の中で疑惑を持っていますが、それを解明しなければこんな大改革というのは進めるべきでないと、こういう思いでやったものでございましたので、委員長、その点をひとつ御理解いただきたいと思います。  実はこの問題にもう一つ、後日、自由党ではほかの協力し合える政党とともにこの問題の追及を改めてしかるべき場所でしていきます。  そこで、時間の関係でこの基本法審議に入らせていただきます。(発言する者あり)基本法審議の中でやっていたものですから、もう一度戻らせていただきます。  この法律案の別表、外務省の「主要な任務」というところで、「国益の追求」という言葉がございます。この「国益の追求」という言葉は現在の外務省設置法にはない言葉だと思います。これは具体的にどういうふうに構想されているか。
  217. 坂野泰治

    政府委員(坂野泰治君) 御指摘の「国益の追求」という文言は行革会議長終報告にも同様の文言があるわけでございます。  御指摘のように、外務省設置法にこの言葉があるかどうかということでございますけれども、今回の行革会議長終報告及びこの基本法案は現行の設置法の規定を部分的あるいは全部をそのまま移し込むという形ではなくて、これもいろいろな機会で申し上げておりますが、国家のあるべき任務、あるべき機能、それに照らして新たに編成しようとするそれぞれの省についていかなる任務をその省が持つべきかという議論の結果を文言として表示したもの、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  218. 平野貞夫

    平野貞夫君 私はこの法案は成立して施行されても必ず変わる、そういう推測をしております。  しかし、国益の追求というものをこの再編の柱にするということは非常に大事なことだと思っております。それは外務省の主要な任務ということではなくて、政府自身、内閣自身の重要な柱だと思っております。  ところが、現在、今の政権がそういう確信、そういう思いで果たして政治をやられているかどうか、ここに私は疑問を持つわけでございます。真に国益の追求、もちろんよその国に迷惑をかけてはいけませんが、そのことと無償援助とかODAの問題というのはどうしても抵触してくるわけでございます。  そういう意味で、国益の追求ということについて、私は最後に総理の御見解をお聞きしたいと思います。
  219. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 国益の追求、それは当然のことであり、政治に携わる者すべてがその政治的主張のいかんを問わずみずからの主張の背後に持つ思いでありましょう。そして、それは外交であり安全保障であり、あるいは経済であり、さまざまな姿をとって、目に見える、あるいは目に見えないお互いの論議の背景に常に存在してしかるべきものだと思います。
  220. 平野貞夫

    平野貞夫君 私たちがこの中国ODA問題で一番こだわるのは、細かな具体的なことを申し上げて、それは総理もお腹立ちの部分もあるかもしれませんが、そういうことが結局総合して、果たして橋本総理行動がこの問題で国益に沿っていたか沿っていなかったかということを我々は問題にしようとしているわけでございます。  したがいまして、この朱さんの問題は、あと帰化申請、帰化手続の問題でも私にとりましては摩訶不思議な問題があると思っております。しかるべき所管の委員会でそのことはお尋ねしたいと思います。  本日は私の質問はこれで終わります。(拍手)
  221. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私からお尋ねいたします。  旧国鉄公社の経営が破綻いたしまして分割・民営ということになりましてから十数年たっておるわけでありますが、旧国鉄公社がなぜ経営破綻したのかということについて、改めてこの段階で考え意味が極めて大きいのではないか、こういうことであります。  試みに当時の新聞をひもといてみますると、まあまああきれるばかりのことでありまして、国鉄に対する非難がごうごうと渦巻いておると言ってもいいと思います。親方日の丸に安住して無責任経営である、赤字の垂れ流しと、その赤字が今でも尾を引いて二十八兆円の処理が政治上の大きな問題になっているわけであります。労使の癒着がもう目に余る、それから組合権力の肥大化、もう業務は組合の同意がないとやっていけないことになったと。その一つの例としてトイレの掃除がありまして、神聖な労働者がトイレの掃除などをやれるかと、こういうことで組合員はやらない。そこで、駅長さんや助役、管理職がトイレ掃除を毎日やっていたということも言われております。  そういう無責任体制に政治家が介入いたしまして、自分の選挙区に次々に赤字路線、採算は無視して線路を引けと。今の民営JRならばきっぱりとこれを断るのでありましようけれども、当時は何しろ公社、あいまいな性格のまま無責任体制、まあ何とかなるんだろう、政治家の言うことには反対できないということで全国至るところ赤字路線を引きまくった結果がこういうことになったと、こう見てもいい。それから、職場の荒廃も目に余ると。上司の命令に従わないのが当たり前だということになっておりましたし、私は国民の一人として駅員に物を聞いてもろくすっぽ返事もしてもらえない。それから、非常に象徴的なのは、駅舎の事務所にはカーテンが引いてありまして中がのぞけない。要するに、中で居眠りしているか何しているかわかりませんけれども、外からは何をやっているのかさっぱりわからない。  そういう状態が終始して、ついにこれではもうだめだということを決断されたのが中曽根総理だということになりまして、その分割・民営化の実務を担当されたのが当時の運輸大臣である橋本総理と、こういうことになりまして、そのころの中曽根語録、橋本語録も取り上げてみますると、今私が言いました同じようなことを国会その他の場で答えておられるようであります。  特に、私が一番これはと思ったのは、橋本元運輸大臣の国会の国鉄改革特別委員会での答弁でありまして、いろいろな原因が考えられるけれども、時代の変遷に対応し切れなかった公社制というものの持つ限界考えて、国民のニーズの変わりも考慮し分割・民営に踏み切ると、こういう答弁をしております。要するに、もう公社制の限界が来ているんだという御認識であったと思いますが、この認識は今でも変わりはなしと、当時国鉄の経営が破綻したことにつきまして総理考えでおられる認識は今でも変わりはないと、もちろんそうだと思いますけれども、そう理解してよろしゅうございましょうか。
  222. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員から国鉄だけを例示にとられ、一番極端でありましたから、とられて御指摘がありましたが、実は三公社は、問題の大きさは異なりますけれども、それぞれ同様の問題を内在しておりました。その上で、旧国鉄につきましては、当時の私の見解、答弁を要約されましたような問題点、これがありました。  そして、もし一言つけ加えますならば、もう経営管理限界を超えていた。しかも、その状況の中で画一的な運営というもの、あるいは各部門、事業部門間の不合理な依存関係、こうしたものが挙げられると思いますけれども、問題点はただいま議員が要約されましたことに尽きるかもしれません。
  223. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 当時、三公社がありましたことは私も当然知っております。ただ、うまくいっていたケースを取り上げて議論してみても余り意味はないわけで、なぜ国鉄が破綻したのか、こういうことを考えることが大変大事ではないかということがありまして取り上げたわけでございます。  それから、歴史上の教訓、歴史に学ぶという言葉があります。歴史を勉強することは大変重大なことでありますが、この国鉄の破綻、民営化というのは実は歴史上の問題でも何でもない、つい十年、二十年前の出来事でありまして、これでこの国鉄公社の経営のことで随分と苦い思いをしておりながら、またぞろ郵政公社という考えが出てくる。一体こういう発想はどこから来るのだろうか、こういう思いがして仕方がないわけであります。  最初は郵政事業の民営化ということが声高に叫ばれておりました、これが行革の目玉であると。ところが、その反対運動が起こりますと、いつごろからか声が低くなりまして、その妥協案のようにして郵政公社制が出てきたのかなと思っております。これにはまた職員組合も一役買って出まして、我々の身分はどうしてくれると。こういうことになりますと、では国家公務員という身分を認めようと。これは率直に申し上げまして、一つの哲学、理念があってこういう制度をつくり上げようとしたとはとても思えない、何かその場しのぎ、場当たりだと言われても仕方がないのではないか、こういう気がいたします。  人員につきましても、旧国鉄と郵政三事業の人員はそんなに違いもないように思います。巨大化といえば同じようなことであろうかという気もいたすわけであります。  郵政の現にやっている事業について今考えてみますると、特に象徴として挙げられるものは郵便小包の問題があります。これは現在、宅配業者が全国津々浦々サービスに努めておりまして、早晩、郵便小包を利用する人は、いなくなると言っては語弊がありますけれども、非常に少なくなるのではないか、こういう気がしてしようがありません。保険についても同じようなことではないか、こういう気もいたします。そういたしますと、膨大な人員を抱えて仕事がなくなるということも当然射程に入れねばならないことだろうという気がいたします。  しかも、今度は職員の身分は国家公務員でありまするから、これを簡単にリストラをすることは許されないわけでありまして、これは国鉄の二の舞で膨大な赤字を垂れ流して、最後はどうなるのかということが私は大変不安なのであります。  郵政公社をつくる哲学が多分おありになると思いますので、一体どういう哲学に基づいてこれをつくろうとなさっておるのか、それをちょっとわかりやすく国民に説明していただければと思います。ぜひ総理からお願いいたします。これは言うなれば総理が火だるまになって実現しようと考えておられる事業でありまするから。
  224. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 細かい点は郵政大臣から補足をしてもらおうと思いますけれども、私ども行政改革会議の中間報告、そしてその中間報告後のさまざまなマスコミの報道の中で後退とかいろいろなことを書かれたことを覚えておらないわけではありません。しかし、それだけ真剣な議論が交わされ、郵便局というものが地域に根差した機能を維持しながら国の企業としての性格にふさわしい、そうした業務運営を通じて健全な経営ができるものと考え、私どもは公社化を考えた次第であります。
  225. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 先ほど私は橋本元運輸大臣の答弁を読み上げましたが、時代的に考えまして公社制の持つ制度の限界を感じだということを述べておられます。今度はその限界はお感じにならなくなったのかどうか、その点はいかがでございましょうか。
  226. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほど私は他の公社にも触れようといたしましたが、議員が国鉄に集約をされましたので、こうした点についての論議を申し上げることができませんでした。  かつての三公社の持っておりました一つの問題点は、それぞれ監督する立場にあります省庁の影響力が非常に強く、経営等に対しても自主的な裁量の、経営の話ですからこれはまさに裁量の世界でありますが、そういう部分がほとんど許されないままに非常に規制の厳しい中での、しかも独占の形態でありました。これは国鉄だけではございません。今、NTTにかわりまして、国際競争場裏で我が国の通信行政も健聞いたしておりますけれども、当時、例えばアメリカから物を買え、買わないといったときの議論などは、私ども思い出したくもないような議論をしておりました。あるいは専売公社における塩の専売等々においてもさまざまな問題が指摘をされておりました。  今回、企画部門と実施部門をまず分けてしまう、そしてその実施部門が国営の新たな公社に変わっていく、そして全く従来と違うのは、独立採算制を基本にしている、そしてまさに事前管理から事後管理、事後評価に移る、これはまさに経営の弾力性を正面から認める姿であります。私は従来の公社の反省をも込めて独立採算制という決断をいたしました。
  227. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 時間がないのでこの問答はこれで打ち切りまして、次に新しく設立されるであろう郵政公社の法律的性質につきまして法制局長官にお伺いしたいと思います。  法的性格、私はこれがいろいろ考えてもよくわからないものですから極めて端的に御質問いたしますけれども、憲法六十五条、「行政権は、内閣に属する。」、六十六条でしたか、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」と、こういうふうに規定されておりますが、この郵政公社の取り扱う業務は憲法の言う行政権に含まれるのかどうか、右か左かはっきり答えていただければありがたいと思います。
  228. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) 法案におきますいわゆる新しい公社、これは第三十三条にその基本的な要件が書かれているわけでございますが、そのようなもとにおける郵政公社が行う事業、これは依然として国の事業という位置づけでございまして、いわゆる憲法六十五条の「行政権は、内閣に属する。」という意味における行政権行使の一内容に当たるということが前提でございます。
  229. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 行政権に属するという見解、それもまた一つ考えだろうと思います。  それではお伺いいたしますけれども、内閣の行政権に属する、責任はもちろん内閣が国会に対して負うと、こういうことになるわけでありますけれども、この法案を見てみますると、国務大臣の監督権というのは「法令で定めるものに限定する」と、こうなっております。  それで、国務大臣をこの場に呼んで聞いてみますると、いや、実はこれだけの仕事をしているのに法令で私の監督権はここだけだ、全体を読んでいないのでこれを聞かれても私は答弁できません、責任を負いかねますと言われた場合に、我々はどうしたらよろしいんでしょうか。
  230. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) 御案内のとおり、法案三十三条の一項第三号によりますと、「主務大臣による監督については、法令で定めるものに限定するものとする」と規定されております。  問題は、この法令で定めるものに限定という、その法令で定めるものの内容をどう定めるのかということにも関係しようかと思いますが、委員が御質問の前提としておられるやに想像いたしますいわゆるがんじがらめの監督をしなければ国務大臣責任を果たしたことにならないのであるということが憲法の法意ではないという理解でございます。
  231. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 大変異なことを承ります。全体について監督権が及ぶから内閣としても国会に対して責任を負うと、当たり前のことでしょう。ところが、監督権が及ぶのは十のうち二つしかない、八のことについては私は監督権がありませんと。どうやって責任をとるんですか。何のかのと言ってみたって、私は知らない、内閣は関知しないと言われたらそれっきりでございましょう。これは明らかに憲法に違反しています。国会の権限に抵触するものだと。  しかも、国会としては、そうか、それでは今度は予算の編成についていろいろ意見宣言って国会として監視していこうといいましても、これは予算は国会にかからないんですから、ごくごく本当の一部の国務大臣の監督しているこの部分を通じてしか国会というのは権限を発動できない。これほど国権の最高機関である国会をばかにした規定というのは私はついぞ見かけたことがございませんが、ほかにもたくさん例がありますか。時間ですからやむを得ませんけれども、ちょっと答えだけでも。
  232. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) ただいまのように問われますと、もう少し詳しく答弁をいたす必要があろうかと思います。  郵政公社、先ほど述べましたように、国営の新たな公社でございまして、その意味で、郵政公社の行う事務はまず国の事務であるということが前提であるということは先ほど申し上げたとおりであります。  ただ、郵政公社の事務が国の事務であるとしましても、その基本的性格は独立採算制のもとにおける国の企業としての事務であるというところが一つのポイントでございまして、主務大臣による監督については、法案三十二条一項におきまして、法令で定めるものに限定し、目標の設定や事後評価等を中心としたものとして郵政公社に一定の自律的かつ弾力的な経営を認めたといたしましても、主務大臣の行政責任を果たすということは可能であるというふうに考えておりまして、またその意味におきまして、国会に対する内閣の責任を全うすることもできるというのが私ども考え方でございます。
  233. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 終わりますけれども、全然納得はしておりませんから。
  234. 奥村展三

    ○奥村展三君 連日、総理初め各大臣、そしてまた委員の皆さん、御苦労さまでございます。最終バッターですので、しばらくおつき合いをいただきたいと思います。  時あたかも、環境ホルモンあるいはダイオキシン、大気汚染等々、いろんな環境問題が今叫ばれておるところであります。そうした中で、従来の環境庁から環境省という形に盛り込まれておるわけでありますが、冒頭にも申し上げましたように、今日、環境というものに対しては非常に国民の皆さんは意識をなされております。  そうしたとき、環境重視の視点に立ちますと、今回の組織の流れをずっと見てみましたときにも、内閣府の充実をなされるわけでありますけれども、やはり総合機能調整機関、そして強い権限と機能が必要だと言われております。そうした組織の機能強化というものも、やはり私は環境省にされる以上は非常に重要視するべきだというように思います。  循環型社会だとかあるいは環境重視の国際協力等々、いろいろのことを考えますと、環境省の機能強化をしていく必要があろうと思いますが、総理の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  235. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今回の中央省庁等改革基本法案は、既に議員よく御承知のように、府省間の政策調整のための制度の整備に関する規定を置きますとともに、特に環境省の編成方針として、「他の府省が所管する事務及び事業について、環境の保全の見地から必要な勧告等を行うこと。」、「環境行政における横断的な調整機能を十分に発揮すること。」、こうした規定を設けております。  これは、昭和四十六年にスタートをいたしました環境庁、公害というアブノーマルな現象と戦うための役所でありましたが、現在、むしろその目的を達すれば達するほど仕事を失うという非常に皮肉な結果に陥っておりましたもの、地球環境という規模から環境問題というものが今度は非常にクローズアップされる中で、力の及ばなさということが指摘をされるようになりました。  そうした問題意識を持ちながら、新たに設けられる環境省がこうした今申し上げました機能を活用することによりまして環境問題に対して戦略的、総合的に取り組むことができる、そのような姿を組み立てております。
  236. 奥村展三

    ○奥村展三君 従来の環境庁の姿ではなくて、ただいま総理もおっしゃいましたように、機能的にも権限的にも強化をなされてスタートし、そして国民が安心して生活ができる環境をぜひおつくりいただきたいことを要望しておきたいと思います。  そこで、今、エコパートナーシップ東京会議というのが行われたようであります。これは国連と東京都が中心で行われなようでありますが、たまたまけさある新聞の社説にそんなことが載っておりましたし、私も、この環境問題に関連して、環境学習、体験学習というのが非常に大事ではないかなということを過去からも言ってまいりました。  手前勝手なことで申しわけございませんが、私も地方議員をさせていただいたときに、ちょうど滋賀県は五十六年に琵琶湖を守るということで、例の富栄養化防止条例を制定いたしました。そのときであったんですが、家庭の奥さんや家族の皆さんが一生懸命粉石けんを使っていただく、それも大事かもわからないけれども、何とか子供たちに環境学習、体験学習をさせたらどうだろうということを私は県議会で、当時、我が党のさきがけ代表の武村さんが知事でありましたが、そのことを訴えて、十四億かけていただきまして、九百二十八トン、全長六十五メーターあるんですけれども、現在も就航いたしておりますが、「湖の子」、命名は武村さんですが、この船をつくっていただきました。  現在、滋賀県の小学校五年生の子はこの船の上で一泊二日、体験学習をいたしておるところでございます。親のもとから離れて先生と師弟関係のきずなをしっかり結べる、あるいはまた他校の子供たちとそこで友情が芽生えていく、大体百二十人の子供がそれに乗って一泊できるわけであります。それが現在、年間百十回余り就航いたしまして、二百二十日ほど就航いたしておるわけでありますが、当時は、私が提案をしてつくっていただいたときには小学校五年生の子は二万人余りおりましたが、現在は一万五千人ぐらいに減ってしまいました。  ですから、最近は、滋賀県の琵琶湖のあの水を飲んで生活をいただく京都やあるいは大阪や兵庫県の子供たちにも、ぜひその五千人の幅があれば、友情をつくる場所でもあってほしいし、そしてまた、琵琶湖の水はこのようにみんなが努力をしているということも研修をしてほしいということで、この平成十年から県の教育委員会は下流府県の子供さんたちとの交流の場としてもそれを使っていこうということで大いに活躍をしてくれて、私もその当時に、五十六年九月の県議会で提案をしてそれができて、今就航して十五年を迎えていますが、本当によかったなと思っております。  決して自分の自慢話じゃないんですが、そういうようにして、やはり体験することによって、みずからが琵琶湖の水をくんで、そしてプランクトンの状況を見たり、あるいはカッターに乗っていろんなところで研修し、そして郷土の環境に触れ合っていく。湖北の子は湖南のことがわからない、湖東の子は湖西のことがわからない。しかし、滋賀県の琵琶湖というのは、その中でいろんな生活をしている、あるいはまた陸上で生活している、そういう人たちの地域の場面をいろいろ体験する、そこに県土愛あるいは国土愛というのが生まれてくるだろうというような思いで提案をしたんですが、今まさしくそのような行動をしてくれております。  特に、私はそういう経験を踏まえた中で、今日、国有林問題、二兆八千億の借財を抱えて云々と、先ほどJRの問題も出ておりましたが、そういう国有林、あるいは現在食糧を外国にゆだねておる、そうしたときに、やっぱり自給自足が基本なんですよ、そしてみずからがお米を植えて、あるいはまた国有林に入ってこそ、キノコがどのような状態で生えておるか、あるいは間伐をし下刈りをしていく、そういう流れの中で子供たちが体験をし、水の涵養を知り、あるいは自然の中にはぐくまれて生きていく、そういう共生の体験をさせるべきであるというように私は思います。  減反をし、一方では国有林がこのようなことになれば、私は、都会の子に、田舎でもいいですから、ある範囲を提供して、ここで大いに林間学校なりそういう体験学習をしていただく。あるいはまた、減反をしているその田でみずからがお米を植え、野菜をつくって、そしてそれが給食の食卓に出てくる、そういう経験をさせてこそ本当に人間としての価値もわかり、あるいは自然との共生ということがわかってくるのではないかなというような思いをしています。  ですから、国も、地方の議会でも、あるいは行政機関でもいろんなことをお考えになっていると思いますが、自然あるいは環境重視と言うならば、私は環境省ができるこういうときこそぜひこういう問題を国としてもっともっと前向きな姿勢でするべきだというように思います。  そういうような意味で、環境庁も、ことしの予算を見せていただきますと体験学習等いろんなことを提案してそれを予算化してもらっておりますし、また島村農水大臣は元文部大臣でもあったわけでありますので、そういう経験をぜひ子供たちに積ませてやってほしい。そういう施策を農水省も出してほしい。  そして一方、また町村文部大臣は北海道の雄大な自然の中におられるわけですが、私は琵琶湖の小さな山奥ですが、そんなところでも、北海道のあの雄大な自然の中で生きている喜び、一方では山の中にいる喜び、いろんな意味の体験をさせてやる、そういうのが各省庁の縦割り行政を打ち破って、まさしく私は中央省庁の再編のこういうときこそ思い切った、子供たちに環境というところからしっかりと目を向けた行政をするべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  237. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 奥村委員の御提唱に私は全面的に賛成です。私は文部大臣のときにも、最近の子供たちが核家族化の進行とかあるいは少子化のために兄弟間の競合とか連帯を学ぶ機会もない、また地域にあっても、仮に子供が五人集まってどういう遊びをしているかというと、みんな別々に遊んでいると言うのでぞっとしたものでございます。そういう意味で、体験学習というのは何よりの貴重な機会だと思いますから、ぜひ文部省や環境庁とも連携して推進していきたいと思います。  私どもの農業体験学習につきましては、子供が自然に親しみ、かつ豊かな心をはぐくむ上で、また健康増進のためにも野山を駆けめぐり、かつ農業の大切さ、こういうものを知るというのは大変にいいことだと思います。  具体的には、学童農園における学業体験学習の指導とか、あるいは小中学校の教員を対象とした農業に関する研修に対する支援、あるいは小中学生の農業体験クラブ活動の支援等々具体的にも行っておりますが、現状で満足をしているわけじゃございません。あなたもまだまだ御不満でしょうが、私も同じ考えでありますから、ぜひこれからも進めていきたいと思います。
  238. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 委員指摘の、大変大切なことを強調していただいて感謝をしております。  自然体験学習はいろいろな形態で今行われております。学校によっては農園を持っていたり学校林を持っていたりいたします。先般、私は群馬県の植樹祭にも行きましたが、そこで群馬県の林業家なる高校生が未来にわたってこの林は我々が守っていきますという大変すばらしいスピーチをしておられまして、私も感動したわけでございます。  今、農水大臣が御指摘のような形で、農水省あるいは環境庁ともよく連携を保ちながら、一人でも多くの子供たちがそうした自然体験ができるように最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  239. 大木浩

    国務大臣(大木浩君) 環境庁といたしましては、御存じのとおりに国立公園やら国定公園、その他若干いろいろなところを持ってと申しますか所管しておりますので、そういったところを大いに活用してこれからの体験学習も拡大していかなければいけない。  ただ、私の感じといたしましては、そういったものを国の方で、中央で全国一律のプログラムをつくって押しつけるよりは、それぞれの地域でそれぞれの地域に合ったものをつくっていただいた方がいい、それを私どもの方がお助けするということが一番いいんじゃないかと考えております。
  240. 奥村展三

    ○奥村展三君 どうもありがとうございました。  確かにそれぞれの地域にはそれぞれの特色があります。メニューをどのようにして消化いただくかというのはそれぞれの地域にお任せすればいいんですが、私はえらいお国自慢のような琵琶湖でもって話をしましたが、本当に子供たちがそういう夢を持って、あるいはまた師弟との大きなきずなを持って、今心の教育と言われていますが、そういうこともそれが基本だと思います。  しかし、やっぱり集団生活だとかあらゆる場面でみんながともに生きていく、そして生きているんじゃなくて生かされているんだということを基本に置いた教育がなされなければならないというような思いを持っている一人であります。  いろんなことを勝手に申し上げましたが、ぜひ国として施策を推し進めていただきたいと思います。  ただ一つ、琵琶湖のあのフローティングスクールをつくったときに、琵琶湖フローティングスクール湖の子と言うんですが、そのときには文部省から補助は一切ございません。陸上のところには実は補助があるんです。しかし、湖にはなかったんです。ですから、県単独事業で十四億のお金もかけていただいて、現在、年間三億のランニングコストをかけて子供たちに今夢を持たせて頑張っているようなところであります。今後ともよろしくお願いして、質問を終えさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  241. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 次回は明四日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十六分散会