○竹村泰子君 民主党の竹村泰子でございます。
まず、
我が国経済の現状認識、戦後
最悪とも言われます政策不況はまさに泥沼化の様相を呈しており、ことし四月の卸売物価は前年比二・三%の下落と、実に十年九カ月ぶりの下げとなったわけであります。失業率も過去
最悪の水準である。そして金融不祥事。二度にわたる証券スキャンダル、大蔵省の金融検査官が複数の大手銀行から検査に絡んで過剰接待を受けた、そして
東京地検特捜部に逮捕され、まさに五十年ぶりと言われる大蔵省キャリアの逮捕に至っているわけでございます。日本銀行幹部職員の汚職事件とか、金融システムそのものに対する内外の信用を大きく失墜させた。
これらの一連の現象がここまで来てしまったことには多くの要因があると思いますけれども、今私どもが
審議しております
財政構造にその大きな原因もあるように思うわけでございます。
戦後の日本は戦前に比べれば平和と自由な
社会がつくられてまいりました。
経済成長のおかげで物質的な豊かさを相当手に入れてきたと思います。しかし一方で、国土が破壊され、
財政も破綻し、行政組織を初め多くの
社会システムが行き詰まり、制度疲労を起こしています。そして、多くの
国民が将来の
社会の
あり方に非常な不安を持っている。だから、貯蓄総額は高くてもなかなか消費をしない、できない、こういった現象があるわけでございます。
これらの問題を解決していくために何が必要なのか。もちろん、官
房長官、
大蔵大臣その他の閣僚の皆さんも頭を痛めておられると思います。私どもにも大きな責任があるわけでございます。しかし、中央
政府や
地方政府は、いわば個人では処理できない、例えば出生から死亡まで、
社会保障などの問題について最終的に責任を持つ組織であると。
先日、私は新聞を読んでいてこういう投書を見つけました。
朝日の投書欄なんですけれども、在日のペルー人の方からの
意見が載っておりました。見出しは「援助もいいが足元忘れずに」という題で、ペルーへのさまざまな援助に感謝しつつも、その前に日本
政府はやるべきことがたくさんあるのではないだろうかそういう趣旨の投書でありました。阪神・淡路の大震災でいまだに多くの人が苦しんでおり、そして孤独死と言われているような現象、アジアの国々での従軍慰安婦や戦争被害者のことなどに触れて、日本
政府はこんなにも苦しんでいる人々が目の前にいるのに手を差し伸べないのか、私が日本人だったらそんな自国の
政府を本当に恥ずかしく思うだろうというふうに述べております。
私もそう思います。
国民は
政府に対して安全、安心の保障を求めていますし、求めて当然だと思います。国土も含め、環境をいかに守っていくのかということも、みずからの
努力とともに
政府の
努力を求めているのだと思います。
総理がいつもおっしゃるいわゆるスケッチ、つまり自由かつ公正な
社会とは、極論すれば、チャンスは平等に与えられるが成功するかどうかは自由競争で決められる
社会、
政府・行政には結果責任が厳しく問われるシステムをベースにした日本という国の
あり方を総理はよくおっしゃいます。
私は、今度の被災者援護法ではありませんけれども、自然災害など自分個人だけでは到底処理不可能なことに責任を持つことこそが国家の
あり方だと信じております。これからの日本という国は、その
意味では安心、安全、環境、そして国家としての品位を保つことを
目標とするべきだというふうに思います。
これらのことについて、きょうは私は、理想とされることと現実とのギャップ、それから総理の責任と
決意をお聞きしたいと思いまして質問を用意いたしましたが、きょうは一般質問で総理がおいでになりませんので、官
房長官、総理に成りかわってどうかお答えをいただきたいと思います。