○
参考人(三村光代君) 御紹介いただきました三村でございます。
貴重なお時間ですが、私がここにおりますことは普通の
消費者団体とは違うんではないかという疑問をお持ちの方もおいでではないかと思いますので、簡単に私の会のことを紹介させていただきます。
私
どもは、一九八八年に通産大臣の許可を得まして消
費生活アドバイザーと消費生活コンサルタントが一緒になって設立した社団法人でございます。レジュメの方に書きましたが、余り名前が長いのでふだんはNACSと呼んでおります。NACSの英語の解釈は、
消費者問題の専門家
集団だということで私
どもは
活動を展開させていただいております。
消費者運動は、例えば駅前でチラシを配るとかプラカードを持って運動を展開するというようなことは、私
どもとしては会の目的の中には入っておりません。
私
どもの一方の構成員であります消
費生活アドバイザーは、ことし三月に十八期が出ました。現在全国に六千五百人ぐらいのアドバイザーがおります。それから、消費生活コンサルタントは、昭和三十七年に財団法人の日本
消費者協会が養成を始めまして、毎年五十人ぐらいの養成を行っておりまして、現在千七百名ぐらいが全国に散っております。現在、私
どもの会は、その中の一部が加入しておるだけなんですが、四月末で三千四百名の
会員を擁しまして、全国、沖縄から北海道まで
会員の一人もいない県はないという
状況になっております。
実は、消
費生活アドバイザーは二十八歳が受験年齢ですので、
企業に勤めているとかの実績のない方は二十八歳にならないと試験が受けられないことになっております。アドバイザーの中で圧倒的に多いのは主婦でございます。七〇%ぐらいの主婦がアドバイザーの資格を持って
活動しているという
状況です。消
費生活アドバイザーは
企業とのかけ橋ということになっておりますので、
企業の中から
消費者のかけ橋役をしております。
それから、コンサルタントは、
消費者団体の中で
活動している人もおりますが、実際は消費生活センターの窓口で相談に当たっている者もたくさんいるというのが現状です。
さて、本日のテーマに入らせていただきますが、「
現行大店法下での
消費者」というテーマを挙げてまいりました。
現行大店法では、開店日、年間
休業日数、閉店時刻、そして面積の四項目で
調整を行っております。
休業日数の削減とか閉店時刻の延長などは、これを認めると周りの中小商店に影響するからという理由で、この要求をのむときは
店舗面積を大幅に削減するというバーターで
調整されているのが現状のようです。一日や二日の
休業日数削減の要求が認められないということもあります。
審議会の席でも、面積は削られるのだから初めから多目に申請すると言われた
委員さんもおいでになられました。逆に、私が出ております埼玉県のある
意見聴取
会議で、三十平米ぐらいの店を経営している商店主の方が
大型店に対して、大き過ぎて想像できない、どっちみち
競争にならないんだからどうでもよいと言われたことがありました。
町の
中心に
スーパーマーケットがあり、その周りに
商店街が発展していた一昔前の
商業地区が
消費者にとっては大変ありがたい姿だったというふうに思います。なぜかというと、そこに行けば品ぞろえの豊富な店で選ぶことができ、価格も安く選ぶことができたわけです。さらに、その周りを取り囲む門前町的になっている
商店街では、高品質で差別化された商品を買うことができるという利点があったわけです。
消費者にとっては
大型店だけでも、それから中小小売店だけでも望ましい町とは言えないのです。今やぜいたくなことになってきていますが、今申し上げたような町が望ましいのではないでしょうか。
欲しいものを求めて町の商店を何軒も歩いたという経験を持つ方はたくさんいらっしゃると思うのです。私もその一人ですが、思いがけず町の小さな店で探していたものを見つけたということもあります。特に特殊な商品でない限り、コマーシャルが
流れ出すとその商品が買いたいと思って特に私のような立場の人間は探して歩くわけですが、
大型店でもスペースがないということだとか、それからバイヤーさんの
活動の足りなさもあるのかもわかりませんが、見つからないということも結構あります。ところが、努力しているお店では、その新しい商品が小さいお店の中で見つかるということもあるわけです。やはり
消費者が何を買いたいのかということを念頭に置いた
街づくりというのを
考えて商店主もやっていただかないといけないんではないかというふうに思います。
また、埼玉県のある市が行った市民の
購買行動調査の結果によりますと、広告をよく読む主婦、新聞は読まないんじゃないかと冗談を言った人がいますが、広告を絶えずくまなく読まれている主婦の方
たちは、どこに行くとお砂糖
一つがどのくらい安いかということも探して回って歩いている。働いていない主婦は、それが自分の働きだと思っている主婦もたくさんいるわけで、そういう形で広告をよく見る方は、そこが安いとわかれば市外の商店にでも出かけていくという行動をとっているわけです。現実には、商品がたくさんあることも望みだけれ
ども、安いということも
消費者にとっては足を向ける大きな要因になっているということを知っていただきたいと思います。
さて、またこういうような
消費者であっても、アフターサービスを望むような大型の商品とか設置が自分ではできないようなものは、後々のことを
考えて近くの店で選ぶというように使い分けをしている
消費者もたくさんおります。しかし一商店や
商店街によっては電話やファクスで注文を受けて配達することでお客をつなぐ手段にしているところもこのごろは大変ふえてきております。
ある
コンビニでバイクを置いて配達するという店がありましたので、そこへ行きまして、ボールペン一本でも配達してくれますかというふうに聞きましたら、二百円出してくれれば配達すると言われたんです。これからはサービスを買う
時代だから、ボールペン一本を配達してくれと言う人はいないかもしれませんが、意外や、聞いてみると利用している人がたくさんいる。
高齢者にとっては、毎日二百円プラスすることでお
弁当の配達をしていただけるんだったらありがたいサービスになるのではないかというふうにも思います。努力なしで中小商店が保護される
時代は終わったのではないかと私は申し上げたいと思います。
さて、次に、最近は超
大型店が
郊外に
出店するという傾向が見られますが、そのために町の
中心街から商店が消えるという現象が起こっています。私の住んでいる町でも同じような現象が起こっておりまして、つい先ごろまでアーケードがついていたところのアーケードがなくなったら、単なる通りになってしまったんではないかと思えるような現象が起こってきております。こういう
郊外に
大型店ができるということで泣いている
消費者もいるんだということも私は申し上げておきたいと思います。
それは、車の運転ができない人あるいは
高齢者。実際には、
郊外の店にだれかに運転していっていただかなければ行けないといっても、今の
地域、私も住宅地に住んでおりますが、よその奥さんを誘ってこれから
買い物に行こうというような
状況ではないんです。隣近所がとてもそんなことをできるような
状況にないというのが現状ではないかと思うんです。まさか隣に住んでいる人がだれか知らないなんということはありませんが、そんな現状の中で車の運転のできない人というのは、現実には
郊外の店に
買い物に行きたくても行けないというのが実態です。
ある
高齢者の話ですが、町の中央まではいつもバスを利用して行っていたのですが、あるとき布団を仕立て直しに出したいと思い、持っていきたかったけれ
どもバスには乗せられないので、自分でシルバーカーを押して遠くまで行ったという話を聞きました。
これなどはバスに乗らなくても電話一本でお店の方に来ていただくことが可能なものではありますが、
高齢化社会に向かって、実際に毎日の食料品はそれではだれが買うのかということになります。ヘルパーさんにお願いしても、近くに店がなければ買いに行っていただくことも不可能になってきている現状の話を聞いております。そういう中で、
消費者が生きる手段として一番大事な食料品を買うことすらできないというような
状況になっては困るというふうに、
高齢化社会に向かえばこそその辺は私は重要な問題として
考えていただきたいというふうに思います。
さて、総理府の調査によると、
消費者が店を選ぶときの第一は豊富な品ぞろえ、品質がよいこと、価格が安いですが、もう
一つ、毎日の生活から見ると今申し上げましたように近くて便利ということも必ず挙がってきます。また、駅に密着の店などは、働く主婦にとっては通り道にあるということで選ぶ重要な要因になります。働く主婦は夜遅くまで開店している唐というのはとてもありがたいんですが、現実にはそこに働いている主婦もいるということもお
考えいただかないといけないのではないかというふうに思います。
さらに、夜遅く私が実際に
買い物に行って幾つかの店を歩いてみますと、明らかに生鮮食品の品ぞろえは悪くなっています。さらに食料品以外の売り場を少し歩いてみますとわかるんですが、客がほとんどいないというような
状況ですと、現実には店員さんを探すのも大変です。
九時閉店のある
スーパー、
大型店の方に伺ってみましたら、とても残念な話なんですが、客も含めて人が少なくなるために、見張る目が少ないということもあるんだと思うんですが、万引きがふえているということを伺いました。こういう問題まで
大型店の
規制の中でどうこうする問題ではありませんが、そういう素地をつくっていくというようなことは
考えておかなければいけないことではないかというふうに思います。
大型店の
出店ラッシュになり
大型店同士が熾烈に争いをするようになってきているということも
一つ問題ではないかというふうに思います。せっかく
出店したのに、店の思惑に合わないからといって勝手に退席してしまうという店も最近よく見られるんです。それはそれなりにお店のいろんな
意味での思惑がおありだと思いますが、実際に商店が空洞化している中で
消費者が
買い物に行けない
状況ができるということもあることも知っていただきたいと思います。
これは山口の
審議会の席で出ていた例なんです。国道を挟んで超
大型店が二
店舗出ることに決まったわけですが、その中で、両
店舗が話し合って扱う商品をドッキングさせないという手段を講じるということになったという話を聞きました。そのあたりの配慮も大変大切なことではないかというふうに思います。
それから、
大店法がいよいよ消えることになったわけですが、いろんな
意見がありますが、これからできる新しい
法律は、やっぱり
出店に当たってはナショナルスタンダードをつくっていただいて、ここまではどこに
出店しても同じだという線を引いていただく必要があると私は思います。その後で、それぞれの市だとか県だとかが
考えて条例が必要ならばつくっていただくのはそれでよろしいと思うのですが、あくまでも一線はナショナルスタンダードでいっていただかないといけないのではないか。
勝手に動かれないようにしていただきたいのとあわせて、
街づくりという
言葉の陰に隠れて
大型店が以前の
商調協のときのようになかなか
出店できない
状況になるということも避けていただきたいというふうに思います。その問題は、
消費者にとっては明らかに
消費者の生活
環境を悪くしていくことにもなるわけですから、ぜひその点も考慮に入れていただきたいと思います。
それから、新しい
立地法では、
消費者というよりも住民あるいは
生活者の目で監視ができるので、また
消費者がここに一歩加わって物が言えるときが来たというふうに私は思っております。
私が出席した
意見聴取
会議でも、ごみ問題を取り上げた
消費者代表が、どこにごみを持っていくのか、市のごみ焼却場に出されるのは困る、その問題がはっきりしないと
出店に賛成できないと主張していらっしゃいました。新法での
出店は、住民、
生活者の監視は否めないと思います。したがって、この問題は既存の
大型店にも影響が及ぶと
考えております。
大型店の適正な
立地は地方
行政に任されることになりますが、先ほど申し上げました
商調協のような特に市町の
調整が出ないようにきちっと基準を定めていただきたい。そして、
消費者や
生活者が監視しやすくするために、一般住民に公告縦覧を簡単にできるよう何らかの手段を講じてほしいと思います。できれば、公民館等、
消費者が集まってきやすいところに、住民が集まってきやすいところに縦覧できる
場所を置く、それから公民館などで説明会を開催する、町内会の回覧板でそのお知らせを流すというような形をとっていただけるとありがたいと思います。
意見提出もどこにどのように出していくのか、情報提供も必要です。これまでと違って、
出店してから約束を守っているかを監視することも必要だと思います。住民の監視は四六時中厳しく見ていることになるので、ごまかしがきかないと言えるのですが、そのためには住民に
意見が言えることを知らせることが必要です。監視できる体制をつくることが必要だと思います。
私の会は、幸いに全国に小さな地区分科会等を持っておりますので、できる限りその拠点となって住民の方
たちを引っ張っていけるようなリーダー的な
活動を展開していきたいと思っております。
以上です。