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国務大臣(
堀内光雄君)
大学等における技術に関する
研究成果の
民間事業者への移転の
促進に関する
法律案につきまして、その提案
理由及び要旨を御説明申し上げます。
大学等には、
我が国の
研究資源の多くが集中しており、大きな潜在能力が存在しております。このため、
大学等における技術に関する
研究の
成果を
民間事業者へ移転し、
産業界において有効に活用を図ることは、新たな
事業分野の開拓及び
産業の技術の
向上にとって極めて重要であり、喫緊の
課題である
経済構造改革の強力な推進に大きく寄与するものであります。また、こうした技術移転は、
大学等にとっても
産業界からの情報や資金の環流等を通じて
研究活動の
活性化が図られる点で有益であり、一層の推進が図られることが期待されております。
以上のような
観点から、
大学等における技術に関する
研究成果の
民間事業者への移転を
促進するための所要の措置を講ずるため、今般、本
法律案を提案した次第であります。
次に、本
法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、大学における技術に関する
研究成果を
民間事業者に効率的に移転する特定大学技術移転
事業を
実施する者に対する政策的支援であります。具体的には、特定大学技術移転
事業の
実施計画の承認を受けた者に対し、
産業基盤整備基金からの助成金交付、債務保証等の措置を講ずることとしております。
第二に、大学における
研究成果を活用する
中小企業者への支援であります。特定大学技術移転
事業を通じて大学における技術に関する
研究成果の移転を受け、その
成果を活用する
中小企業者に対し、
中小企業投資育成株式会社による出資の特例を講ずることといたしております。
第三に、国の
研究成果を
民間事業者へ移転する
事業者に対する支援であります。国立大学及び国の試験
研究機関における技術に関する
研究成果について、国から特許権等の譲渡を受けて
民間事業者への移転を行う認定
事業者に対して、国から譲渡を受けた特許権等に係る特許料等の納付義務を免除し、国の
研究成果の普及を
促進することとしております。
以上が本
法律案の提案
理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御
審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
続きまして、
特許法等の一部を改正する
法律案につきまして、その提案
理由及び要旨を御説明申し上げます。
国際的な大競争
時代が到来する中で、
我が国が
経済の活力を維持していくためには、技術革新の進展を支え、新たな競争力の源泉を確保していくことが不可欠であります。そのためには、独創的技術開発の
成果に対して十分な権利保護をできる限り早期にかつ簡便な手段で与え、
成果の活用、新たな知的創造活動の
促進を図ることが重要となっております。
本
法律案は、かかる情勢を踏まえ、特許法その他の工業所有権
関係法律について、権利保護の
強化、早期保護の実現並びに出願人と権利者の利便性の
向上及び負担の軽減を図るための所要の改正を行うものであります。
なお、本件につきましては、昨年十二月に工業所有権
審議会より
特許法等の改正に関する答申が提出されており、本
法律案はこの答申を踏まえた内容となっております。
次に、本
法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一は、特許権等の権利の保護の
強化を図るため、損害賠償制度の
見直し等を行うものであります。具体的には、侵害行為による権利者の損害について適正に補てんが行われるよう損害賠償額の算定方式を
見直し、賠償額の立証の容易化を行うとともに、侵害に対する抑止力を高めるため、
法人により侵害が行われた場合の罰金の引き上げ等を行うものであります。
第二は、創造的デザインの保護の
強化を図るため、意匠制度の
見直しを行うものであります。近年の
我が国におけるデザイン開発力の
向上、特徴あるデザインによる
製品差別化の流れに対応し、創造性の高いデザインについて広くかつ強い権利保護を与えるべく、登録要件としての創作容易性水準の引き上げ、部分意匠の保護導入等の必要な改正を行うものであります。
第三は、いわゆるオンラインシステムによる手続を、意匠・商標制度においても導入するものであります。従来、特許・実用新案制度において可能であったオンラインシステムによる手続を、意匠・商標制度においても導入することにより、さらなる早期権利付与、出願人及び権利者の利便性の
向上を図るものであります。
第四は、特許等の無効審判の審理を迅速化するため、請求
理由の補正の範囲を適正化するものであります。具体的には、これまでは、審判請求の
理由の補正を無制限に認めていたものを、要旨を変更しない範囲に限って認めることとするものであります。
第五は、権利者の負担の軽減を図るため、特許料の引き下げを行うものであります。現行の特許料は、国際的に比較しても後年度の負担が重いものとなっておりますが、権利保有者にとっての負担を軽減する
観点から、現在の料金の累進構造を
見直し、十年目以降の特許料を平準化するものであります。
第六は、その他工業所有権に係る手続の利便性の
向上、工業所有権の保護の適正化等を図るために必要な事項について、所要の改正を行うものであります。
以上が本
法律案の提案
理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御
審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。