○立木洋君 この問題は、先ほど来あなたが自分の
言葉で述べた
答弁は文章を読み上げたのと同じことですよ。同じことを言っているだけです。何ら変わったことを言っていない。私が述べた
質問についてあなたは明確な根拠を与えた回答にはなっていない。
私がなぜ先ほど刑法の三十五条を持ち出したかへ
命令による
武器の
使用は、
武器を
使用する条件を急迫の場合でなくてもよいとなっている。しかも、その
武器の
使用の仕方が、
隊員の
生命等の
防護のための
必要最小限という限度が外されているんです。だから、私はその問題を言ったら、そのことについてあなたは一言も反論しなかった。三十五条が適用されるということを認めた上で、私は
武力の
行使になり得るじゃないかという
政府の統一
見解でただしたんです。
それで、あなたはそういう場合についてもいわゆる
武力の
行使にならないと言うので、五
原則が実行されているならば問題にならないということを言われたので、この問題については先に話を進めます。これ以上、あなたの
答弁を聞いても同じ
答弁を繰り返すだけでしょうから、また別の本を持ち出してきて読み上げるだけでしょうから。だから、私は話をちょっと進めます。
その問題については、いわゆる五
原則、
憲法に反しない
PKOへの
参加の要件という問題としてこれまでも
議論されてきました。しかし、この問題に関して言うならば、この五
原則の第一に「
紛争当事者の間で
停戦の
合意が成立していること。」ということが掲げられております。ところが、この問題については、
カンボジアに最初に
自衛隊を
派遣した一九九三年三月二十九日に、私は参議院の外務
委員会でこの問題について
質問をいたしました。
御承知のように、パリ協定の附属書二の第一条に「
停戦」という項目があります。「
停戦」という項目の中には六つの項目が書かれてあります。そして、それらの項目についてはそのときに全部私は取り上げて、その問題についての
お尋ねをしたわけです。遠くから見えるでしょう。もう赤筋を全部引っ張って一つ一つ全部聞いたんです。
そして、一つ目は、当時、ガリ事務総長の第三次報告で、ポル・ポト派が和平プロセスに全面的に
参加していない、パリ協定の義務を果たすことを拒否している、だから
停戦の第二段階を実施することは不可能になっていると報告にあるがいかがでしょうかと言ったら、澁谷
国連局長は「報告は正しいと思います。」と答えました。
これを全部言うと時間が大分かかります。いわゆる
軍隊の配備だとか弾薬がどういう位置になっているかとか、それから地雷原の詳細な地図だとか、それから
部隊の編成、装備の貯蔵のためのUNTACの計画等々が実行されているのかどうか、全部すっと聞いていって、敵対行動が起こっていないのかどうか、それについてはもう六項目全部それはできていないという
答弁なんです。そして、敵対行動についてそれが守られているのかということについては、それは「完全には守られておりません」と。だから、
停戦の六項目について全部否定されたわけです。それが守られていないと。
だけれ
ども、これは澁谷さんの当時の
答弁をより正確に言いますと、すべて守られていませんという
意味では「完全には守られておりません」という
言葉を使いました。だから、守られている部分もあるかもしれないけれ
ども、「完全に」という
言葉を使って形容したんです。だけれ
ども、私はそのときに、これはこれらの六項目の内容すべてが守られるかどうかということが問題なんだと、というふうに規定されているといって反論をしておきました。
しかし、この問題について私がその当時言ったのは、これによってパリ協定の枠組みが崩れだということを言っているわけではありませんと。パリ協定の枠組みは、
難民の問題だとか、選挙の問題だとか、その他の取り決めがありますから、それらの問題が全部もうだめになってしまったということを言っているつもりではありませんと。しかし、附属書二の第一条にある
停戦の六つの項目については、これが守られていないということだけは認められたということを私は述べたんです。
このパリ協定が決められたのが一九九一年の十月ですから、私が
質問したのはそれから一年五カ月たったときの
質問なんです。一年五カ月たっても、附属書二の
停戦ということがどれ一つも守られていないということになるならば、これは重大な問題ではないかと。これは五
原則から見て反する内容になる、
政府としては真剣なる検討が必要ではないかというふうにして私は
質問したけれ
ども、パリ協定の枠組みは崩れたわけではございませんと言って、それに対して
停戦の
必要性を
政府としては認められませんでした。
ところが、それから一カ月余りたった後、文民警察官、高田さんを初め五名の方々が死傷されました。このときに中断をするなり何らかの慎重な態度をとっておるならば、高田さんを初めとする五名の人々の死傷事態は起こらなかったかもしれない。そのときに何をやったか。やってはならない警備のことまでやったんですよ、文民警官が。この問題が守られていないというのを現実にやった。
この問題についてはさらに九三年、高田さんが亡くなったのはこれはたしか五月四日ですよ。それから一カ月足らずのその年の五月三十一日に、日本共産党の聴濤議員が総理に
質問をした。一年前からポル・ポト派が武装解除を拒否していることが明らかになっているではないですか、この問題に対して、
停戦の問題が十分に実施されていないということについて宮澤総理はどういうふうにお考えなのかと。それで宮澤総理はその当時、見通しが甘かったというのも甘んじて受け入れなければならないと述べられました。
そしてさらに、
カンボジア調査団の超党派の
合意を無視しての
自衛隊の
派遣についてもどう考えるのか、問題ではないかという追及に対しても、総理は、間違いだと申されたらそういうことになると述べておられるんです。
ところが、そういう場合に中断だとか撤退だとかというふうな問題にはなりませんでした。こうした事態は、いわゆる
憲法上の歯どめとしての五
原則が事実上踏みにじられているということではありませんか。
あなたは先ほど、いろいろ複雑な事情があっても五
原則さえ忠実にやっておれば問題はないんだと。だけれ
ども、五
原則が守られていない状態でも中断も撤退もしていないじゃないですか。五
原則さえ踏みにじったじゃないですか。
カンボジアの事態に対してとった態度は一体何なんですか。
茂田さんはいいよ、さっきあなたが言ったから、僕は
久間さんにきょうは聞いておきたい。