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1998-05-28 第142回国会 参議院 外交・防衛委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月二十八日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  五月二十二日     辞任         補欠選任      角田 義一君     広中和歌子君  五月二十七日     辞任         補欠選任      広中和歌子君     角田 義一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         及川 順郎君     理 事                 笠原 潤一君                 須藤良太郎君                 武見 敬三君                 吉田 之久君                 高野 博師君     委 員                 岩崎 純三君                 塩崎 恭久君                 鈴木 正孝君                 野間  赳君                 二木 秀夫君                 宮澤  弘君                 齋藤  勁君                 竹村 泰子君                 角田 義一君                 田  英夫君                 立木  洋君                 田村 秀昭君    国務大臣        外 務 大 臣  小渕 恵三君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 村岡 兼造君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君    政府委員        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        内閣法制局第二        部長       宮崎 礼壹君        国際平和協力本        部事務局長    茂田  宏君        防衛庁長官官房        長        大越 康弘君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁運用局長  太田 洋次君        防衛庁人事教育        局長       坂野  興君        防衛庁経理局長  藤島 正之君        防衛庁装備局長  鴇田 勝彦君        防衛施設庁長官  萩  次郎君        防衛施設庁総務        部長       西村 市郎君        外務省総合外交        政策局長     加藤 良三君        外務省総合外交        政策局軍備管        理・科学審議官  阿部 信泰君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務省北米局長  高野 紀元君        外務省欧亜局長        事務代理     飯村  豊君        外務省条約局長  竹内 行夫君        海上保安庁次長  長光 正純君    事務局側        常任委員会専門        員        大島 弘輔君    説明員        外務大臣官房領        事移住部長    内藤 昌平君        会計検査院事務        総局第二局長   諸田 敏朗君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国際連合平和維持活動等に対する協力に関する  法律の一部を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付)     —————————————
  2. 及川順郎

    委員長及川順郎君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 宮澤弘

    宮澤弘君 私は、国際平和協力法の一部を改正する法案関係をいたしまして、二、三質問いたしたいと思います。  まず最初に、官房長官に伺いたいと思いますが、この法案審議に当たって、先般、参議院の本会議で、この法律の第三条にございますいわゆる本体業務でございますね、その本体業務は、これは附則の二条ですか、当面実施しないと凍結をされているわけでありますが、これについて質問がございました。質問趣旨は、現在凍結をされているけれども、この際見直しに際して凍結を解除すべきではないか、こういう質問がありました。それに対しまして総理答弁をしておいでになって、その答弁は、「政府としては、国会等における御議論にも十分に耳を傾けながら、今後検討していくべきものと考えております。」、大変一般的な、ちょっと明確を欠く御答弁であったのでありますけれども。  そこで、この問題を今後政府としてどういう姿勢で検討していかれるのか。姿勢には前向き姿勢もあれば横向きもある、あるいは後ろ向きもあるかもしれませんけれども、どういう姿勢で今後この問題に対処していかれるか、それを伺いたいと思います。
  4. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) お尋ねの問題でございますが、いわゆる平和維持隊本体業務については、憲法上の問題はございませんが、内外の一層の理解と支持を得るため、「別に法律で定める日までの間は、これを実施しない。」こととされているところであります。  このいわゆるPKF本体業務凍結解除の問題についてはさまざまな立場からの御意見があるところでございますが、政府としては、国会等におけるこの問題の御議論にも十分耳を傾けつつ今後検討していくべきものと考えておりまして、総理お答えと同じでございます。  なお、我が国が、ゴラン高原における国際連合平和維持活動である国際連合兵力引き離し監視隊UNDOFに参加するに当たって与党間において合意された「わが国のUNDOF参加に当たっての与党確認事項」の中に「PKF本体業務凍結解除は、当面行わない」とあることから、政府としてはこれを踏まえて今回の見直し作業を行ったものである、こう思っておるところであります。
  5. 宮澤弘

    宮澤弘君 なお検討を続けられるということで、お蔵入りという意味ではございませんね。
  6. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) そうではない、耳を傾けると。
  7. 宮澤弘

    宮澤弘君 次に、同じ本会議で出た問題でありますが、自衛隊の派遣に際しての国会承認の問題について伺いたいと思います。  これは、同じく本会議で私ども同僚議員がこういう質問をいたしております。   最後に、国会承認に関してお尋ねいたします。   PKO法では、自衛隊をいわゆる本体業務に派遣する場合と、その活動が二年を超える場合には国会承認を定めています。当時の答弁によれば、シビリアンコントロールの点で慎重を期するとか、自衛隊を海外に出すときの判断にかかわるとかいう理由だったと思います。   この点につきまして、最近の政府答弁ばとうもあいまいなような気がしております。この機会に、PKO本体業務実施について国会承認を必要としていることについて、その理由と、政府としての見解総理に確認させていただきます。 こういう質問をいたしております。それに対しまして総理は、  政府提出法案に盛り込まれた国会報告等制度でもシビリアンコントロールの機能としては十分であるが、法案に対するより多くの賛成を得るとの点なども考慮して、国会承認が定められたものと理解をいたしております。 こういう答弁をしておりまして、いろいろ経緯はあったと思うのでありますけれども、いずれにしてもシビリアンコントロールということを念頭に置いての御答弁ではある。しかし、結果としてPKF本体業務に関しては国会承認が必要とされたという結果になっていることは御承知のとおりであります。  そこで、防衛庁長官に伺いたいのでありますが、自衛隊法七十六条、防衛出動規定でありますけれども、七十六条によりますと、「外部からの武力攻撃外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。)」、そういう場合には部隊の出動について国会承認が要るという規定があります。「ただし、特に緊急の必要がある場合には、国会承認を得ないで出動を命ずることができる。」と、事後承認規定があります。  それから、いわゆる治安出動、この場合は、すなわち「間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもっては、治安を維持することができないと認められる場合には、自衛隊の全部又は一部の出動」があるのでありますが、その場合にも、内閣総理大臣は、これは事後承認でありますが、国会承認が必要である、こういう規定になっております。御承知のとおりでありますが。  こういうように防衛出動はもとより、治安出動の場合でも国会承認を必要としている。これは、この法制定理由といいますか考え方はどういうところにあるのでありましょうか。
  8. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 従来から政府が、このPKO法案のときにもたしか統一見解を出しておると思いますけれども国民権利義務関係するかどうか、それと武力行使を伴うものであるかどうか、こういう観点からこれらは国会承認に係らしめておるわけでございます。そういうふうに政府考えております、従来から。
  9. 宮澤弘

    宮澤弘君 もう一度伺いますが、国民権利義務関係があるかどうかという観点と、それから武力行使があるかどうか、こういう観点、この二つから国会承認という制度が設けられていると。
  10. 久間章生

    国務大臣久間章生君) そういうことです。
  11. 宮澤弘

    宮澤弘君 わかりました。  しかし、今、防衛庁長官が申されたような理由でいずれにしても自衛隊出動の場合には国会承認制度があるということであります。  ところで、日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインでありますが、これを具体化するための関連国内法案、いわゆる周辺事態法案でありますか、これが既に国会提出をされております。まだ審議には入っていないようでありますけれども、既に国会提出をされ、いずれ審議が行われるものと思われます。  この法案中には、いろいろ議論をし、ただすべき点が多くあると私は思っておりますが、昨今、この周辺事態法案で言っております。辺事態日本周辺有事でありますが、この周辺事態概念をめぐって政府関係者見解がいささか揺れているように私には見えます。この問題を議論をいたしますと時間がかなりかかりますので、そこで、きょうはこの点について一つだけ外務省に聞いておきたいと思います。  それは、周辺事態における防衛協力日米安保条約との関係、これを基本的にどういうふうにとらえておいでになるか、その点について見解を申し述べていただきたいと思います。
  12. 高野紀元

    政府委員高野紀元君) 周辺事態に際しての防衛協力、つまり対米支援との関係日米安保条約との関係でございますが、ガイドラインそのものにも明記されているとおり、指針及びそのもとでの取り組みは日米安保条約及びその関連取り決めに基づく権利義務を変更するものではないという前提作業をしてまいっております。  日米間の協力周辺事態に際して行う場合の安保条約との関係でございますが、日米安保条約の枠の中で、日米安保条約の円滑かつ効果的な運用のために行うという基本的な考え方でございます。
  13. 宮澤弘

    宮澤弘君 それは、これまで述べておられた見解と異なるんですか、異なりませんか。
  14. 高野紀元

    政府委員高野紀元君) これは、これまで御説明申し上げております考え方と基本的に同じでございます。これを変えるものではございません。
  15. 宮澤弘

    宮澤弘君 この問題は、周辺事態というのが地理的概念であるとかそうでないとか、あるいは具体的にどの地域が入るとか入らないとか、あるいはそれとの関連で台湾の問題がどうであるとか、今いろんな問題があります。いずれそれらの問題は日を改めて議論をしていきたいと思います。  今、北米局長周辺事態における防衛協力日米安保条約との関係についてお答えがありましたので、きょうはそのお答えを承ったということにとどめまして、いずれ機会を改めて質問をいたしたいと思います。  そこで、私がきょう主に質問をいたしたいのは、今の周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律、いわゆる周辺事態法でありますが、これにつきましてひとつ私が考えていることも申し述べて、伺うべきことは伺ってみたいと思います。  それは、周辺事態法というふうに省略をして申し上げますが、周辺事態法におきましては、これは私が今さらここで申し上げる必要もないと思いますけれども、第四条に基本計画規定がございまして、「総理大臣は、周辺事態に際して次に掲げる措置のいずれかを実施することが必要であると認めるときは、当該措置実施すること及び対応措置に関する基本計画の案につき閣議決定を求めなければならない。」ということであります。要するに、周辺事態に対してとるべき措置につきまして、基本計画総理は決めなけりゃならない、これは閣議決定を求めて、それで決めるんだ、こういう規定があります。  同時に、この法律の第十条によりますと、「内閣総理大臣は、基本計画決定又は変更があったときは、その内容を、遅滞なく、国会報告しなければならない。」、こうなっております。  そこで、私の見解をまず申し上げますと、私は、ここに国会報告という手続が書かれておりますけれども、こういう事態、こういう性質のものは、国会報告ではなくして、やはり国会がもっと積極的な関与をすべきものではないか、いわば国会承認というものが必要ではないか、私はこのように考えております。  そこで、そういう私の考えなどを前提にいたしまして、この法案作成に当たって、なぜ国会承認というものを必要としないで国会報告にとどめているのか、この点について政府見解を承りたいと思います。防衛庁長官
  16. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 国会との関係をどのようにするか、これは立法政策の問題であろうかと思いますけれども、私ども考えましたのは、周辺事態対応武力行使を含むものではないということ、それから国民権利義務に直接関係するものではないということ、それから迅速な決定を行う必要性があることなどを総合的に勘案すれば、周辺事態への政府としての対応防衛出動PKO凍結業務実施とは異なるものでありまして、基本計画について国会遅滞なく報告して議論の対象としていただくのが妥当ではないか、そのように考えてこのような案にしたわけでございます。
  17. 宮澤弘

    宮澤弘君 今、防衛庁長官は大体三点おっしゃったと思います。  一つは、国民権利義務関係がないのではないかという点。それから第二番目には、武力行使に当たらない。それから第三番目には、事が非常に緊急というか迅速を要する、こういう三点を挙げられたかと思います。  この法案ができます過程で、私も我が党の政策審議過程で、事務当局から今長官が言われたような理由といいますか、それを承ってまいりましたけれども、どうも私には納得できない点がある。国民権利義務には関係がないということをおっしゃいましたけれども周辺事態というものをどういうふうに考えるかということであります。周辺事態というのは、一つ転べば我が国有事につながる可能性があるといいますか、事態だと思うんですね。  それはそれといたしましても、この周辺事態法では、第九条でありますか、「国以外の者による協力」というようなくだりがありまして、「地方公共団体の長に対し、その有する権限の行使について必要な協力を求めることができる。」、こう規定をされております。  この規定自身地方公共団体の長に対して義務が課せられるかどうかということは、私も多少議論をいたしまして、私はこの規定義務が生ずるというふうに考えることは無理ではないかと思いましたけれども事務当局は一般的な義務という表現を使われましたかね、そういうものが生ずるというふうに考えている、こういうお答えがありました。  しかし、それはそれとして、結局この中身は、周辺有事に際して、地方公共団体が管理をしております例えば空港でありますとかあるいは港湾でありますとか、そういうものを周辺事態に対処するために使用したい、そういうことの協力、こういうものが含まれているというふうに聞いておりますし、私もそういう事態になればそういうことが必要であろうと思います。  そういうことを考えますと、この周辺事態というものの環境というのは、それ自身やはり民生に大変大きな影響がある。通常の民生でない事態というものを予想し、そういうことに対応する必要があるというようなことでこういうことが書かれているんだろうと思います。したがって、長官国民権利義務関係ないとおっしゃったことはさあどうだろうかと。権利義務にも私は関係がありはしないかと思いますが、それについてどう考えられますか。
  18. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 私が先ほど言いましたのは、国民権利義務に直接関係するものではないと言ったわけでございます。影響することはあろうかと思います、かなり。しかしながら、あの規定からいきましても、協力依頼なりあるいはまた協力を求めるなり、そういう表現にしておりまして、ましてや罰則等まで用いての協力義務を課すようなそういう規定もございませんから、かなり緩やかなものでございます。こういう問題につきましては、やはり政府責任において計画決定して実行していくと。しかも、先ほど言いました三番目の迅速な対応をしなければならないという点もございまして、それら三つを総合的に判断して要らないんではないかということにしたわけでございます。  先ほど冒頭に言いましたように、もちろん立法政策の問題でございます。これを逆に承認いたしますれば、その承認した中身については国会もその後なかなか物を言えなくなるわけでございまして、やはりこれは政府責任においてまずは措置する、対抗措置といいますか、そういう事態になったときに。それが適切なんじゃないかと思って整理をしたわけでございます。
  19. 宮澤弘

    宮澤弘君 今、承認をすればそれについては国会も物が言えなくなるという意味のことをおつしゃいましたけれども、ちょっとそれは、もう一度おっしゃってください。
  20. 久間章生

    国務大臣久間章生君) やはり、政府決定して実行していることにつきましても、国会としては立法府としていろいろ物は言うべき立場であり、それがまたある意味でのシビリアンコントロールだと思うんです。  ところが、その計画内容国会として承認をしてしまいますと、その承認内容については、実行の仕方については別として、その内容については一応院として認めたことになるわけでございます。そういうこともありますから、これは立法政策上の問題であって、院の方においてこれをどういうふうに考えられるかは別でございますけれども政府立場としては、政府としての立場でこの問題については責任を持って計画をつくって国会報告をして、直ちにそういう周辺事態対応する措置に入っていく、そういう制度にして法律をつくっているわけでございます。  だから、PKOのときも、あれは国会承認というのは要らないということで政府は出しました。そして、参議院審議において、PKFについては承認事項にすべきだということで修正がなされたわけでございます。しかし、とにかく私ども提案者趣旨説明その他議事録をさかのぼって調べてみまして、どういう理由PKFについては国会承認かということをこれとの関係もありますので調べました。  あそこで述べられておりますのはより多くの賛成を得るためと、そういう表現になっておりましたので、先ほどの総理答弁も、そういうふうなことからこれはきちっとした一つの方針でこういう理由でということではなくて出されております。私どもとしては、やはり政府立場としては先ほど言いましたように、国民権利義務に直接関係あるかどうか、武力行使を伴うものであるかどうかこういう考え方で従来整理しておった考えが現在もそのまま残っておるということでございます。
  21. 宮澤弘

    宮澤弘君 後でもうちょっと私の考えを申し上げたいと思いますが、国会承認ということにすれば国会拘束をされる、その拘束という意味でございますけれども、そういう事態に対して政府対応をすることがいいかどうかということについての判断国民代表がするのが国会承認だと思いますので、そういう意味において承認をすれば国会はそれだけの責任は負う、私はそう思います。  それから、武力行使云々でございますが、これはまさに直接的には武力行使ということはないと思いますけれども、俗な言葉で言うと、何となく硝煙臭いというか、そういう雰囲気が背景には出てくるんだろうと思いますが、武力行使のことはそれ以上申しません。  もう一つ、事は非常に緊急を要する、迅速なあれが必要だ、こういうことをおっしゃいました。周辺事態、いろんな事態があると思いますけれども、なるほどそれは非常にスピーディーに的確な判断を要することが少なくないと思います。しかし、もしそういうことでありますならば、まさに緊急の場合は国会承認経ずして一応対応をしておいて、それでなるべく早い機会事後承認を求めるということで私はいいのではなかろうか、こう思いますけれども、いかがですか。
  22. 久間章生

    国務大臣久間章生君) そのようなお考えもあろうかと思います。したがいまして、国会との関係についてどこまでどういうふうに関係を持たせるべきか。政府責任においてまずやってよろしい、しかしながら事後にその承認を得なさいよと、そういう御意見もそれはあろうかと思います。  しかしながら、周辺事態の場合にどれだけ長い期間かかるのか 一週間で終わるのか一カ月かかるのか、そういうこともわからないわけでございます。PKOの場合でございますと、これはある程度のきちっとした計画等がわかりますので比較的その点はわかるわけでございますけれども周辺事態の場合はどれほどの迅速性があるのか事態が起きてみないとわかりませんので、政府としてはこのように整理をさせていただいたわけでございます。
  23. 宮澤弘

    宮澤弘君 どうもおっしゃることは私はわかりましたとなかなか納得できない点がございます。  要するに問題は、周辺事態というもの、これは実際に起こってみなければ中身はわかりませんけれども、これをどういうふうに考えるかということと非常に関係があるんだろうと私は思います。これ以上政府の、大臣初め関係者の方と議論をいたしましても、恐らくあなたの言うことはもっともだとは無論おつしゃれる立場にない。閣議決定の場合に閣議で御署名もなさっておいでになるわけでありますから、これ以上私の言っていることがいいか悪いか判断をしろとかいうようなことの御判断を求めてもそれは無理だろうと思いますので、それは申しません。  しかし私は、今申しましたように、周辺事態というのは一体何なんだろうか、どういうものだろうか、こういうふうに考えますと、これは法律ではもう明白に「我が国周辺地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」、こう書いてありますから、これは俗な言葉で言えば容易ならぬ事態緊急事態だと思います。  先ほども申しましたように、周辺事態だけで物事がおさまればいいのでありますけれども、この表現法律規定を見ましても、一つ転べば日本有事というものに不幸にも発展をしていく蓋然性というか可能性が非常に高い事態だと、私はそう考えます。ですから、下手をすれば我が国自身兵禍が及ぶかもしれない、こういう事態であって、俗な言葉で申しますれば、お家の一大事と言ってもいいかもしれません。私はそういう事態だと思うんです。  具体的にどういう事態がどう起こるかによって、無論、物の軽重その他はございましょうけれども、この法律自体が言っております「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える」、こういう表現がされておるというようなことを考えますと、まさにお家の一大事、これからどう兵禍我が国の土地なり国民に及ぶかどうかというようなことも考えながらこれに対応していかなければならないお家の一大事だと、私はそう思うんです。  そういたしますと、そういたしますとということを言う必要もないのでありますが、我が国は議会制民主主義の国でありまして、シビリアンコントロールという観点というものを大切にしていかなければならない国であることは申し上げるまでもありません。そういたしますと、こういうやはりお家の一大事、緊急事態ということにつきましては、国民代表である国会がこれは当然関与すべき案件である、こういうふうに理解するのが当然ではなかろうか私はこういうように考えております。  この問題は、政治の世界の話でありますから、政策判断ということであれば、与党立場とか野党の立場とか、そういうような政策判断が行われることが多いのでありますけれども、私はこの問題はそういう与党とか野党とかいう立場から判断をするという種類の問題ではないんじゃないかという気がいたします。  それからまた、世の中では、特にマスコミでは、あの議員はタカ派だとかハト派だとか申します。私がどう分類をされているかわかりませんが、あるいはハト派に分類されているかもしれません。しかし、今ここで提起をし御議論をしております問題は、やはりそういうハトだとかタカだとかという観点からの問題ではない。今申しましたように、与党とか野党とかあるいはハトだとかタカだとかいう観点で物を考える種類の問題ではどうもないんじゃなかろうか。議員一人一人が一議員として、国民代表である国会が一体どういう責任を果たしたらいいのか、どういう機能を営んだらいいかというような、高い見地というと言い過ぎかもしれませんが、高い見地から判断すべき問題ではなかろうか。実は私はそう思って、そういう立場から御質問をし、私の意見を申し上げているわけであります。  先ほども申しましたように、大臣初め関係者に今ここでおまえの言うことはもっともだというようなことを言っていただくことは期待をいたしませんし、またそういう問題ではないと思いますが、今後この法案国会でいろいろな面から審議議論をされます。そういう場合に、どうかひとつ私が申し上げました意見も今後の審議の参考にしていただければ幸いだと思います。  終わります。
  24. 鈴木正孝

    ○鈴木正孝君 今、宮澤先生から大変大事な点を含めまして幾つか御質問があったわけでございますが、私はきょうこうしてPKOの改正の法律案審議されるということを大変感慨深く実は個人的にも思っております。平成四年の今ごろでしたでしょうか、もう五、六年になるわけでございますけれども、非常な御苦労をいただいてこういう国際貢献のための枠組みができて、そのときに法案の準備室の方でかかわった者の一人として大変感慨深く思っているところでもございます。  最近の、昨年来のアジアの通貨危機を含めまして、インドネシアでのああいうような政変、それから四月ころでございましたでしょうか、パキスタンでのミサイルの実験、あるいはその後のインドの核実験、そしてまた昨日でございましたか、インドが正式に核保有を宣言するというような事態になって、大変私どもの東アジアといいましょうか、アジア太平洋地域が安全保障環境という点ではなかなか微妙な状況に入っているように思います。  そんな中で、実は私、若干気になっている事柄がございまして、それをまずひとつ先に質問させていただきたいというふうに思います。  それは、戦域ミサイル防衛あるいは弾道ミサイル防衛といいましょうか、そういう問題につきまして、これはかなり時間のかかるテーマでもございますので、ぼちぼちいろんな意味で方向性といいましょうか結論を出すような状況にあるのかなというような、そんな思いが実はしているわけでございます。  現在、弾道ミサイルを保有している国そのものが三十カ国くらいになっているというような状態。それから、インドの問題を含めまして、四月のパキスタンが行いましたミサイル実験、これは成功したと言われているわけですけれども、これも千五百キロ級だと言われております。その際にも、これは実は北朝鮮の開発したミサイルが輸出されて云々というような、他国で実験されたんではないかというような憶測、観測的な報道もあった。これが本当であれば大変な事柄だろうというふうに思いますが、その辺の詳細はわかるわけではございませんけれども、いずれにしてもこういうような状況の中で考えておりますと、政府としては、インドの核実験に対しましても禁止の流れに逆行するような核実験は極めて遺憾ということで、それに追随してパキスタンが核実験をやるかやらないかということについては大変抑制的な努力をされているというようなことだろうと思います。  そういう中で、この大量破壊兵器にかかわる弾道ミサイルの拡散というものの脅威、こういうものに対して我が国の防衛というものを考えたときに、すき間のないそういう体制をしっかりきちっと構築するということからいたしますと非常に大事だ、真剣に対応していかなければならないテーマだというふうに実は考えているわけでございます。  そんなことを思いますと、特に私どもこういう問題を考えるときに重視して考えなければならないテーマは、北朝鮮の弾道ミサイルの点が一つ木きな懸念材料としてあるのかなというふうに実は思うわけです。  ノドンが射程千キロくらいと言われておりますけれども、これの配備状況によっては我が国の過半がその射程圏内に入るというような可能性も高いというようなこともありまして、核開発疑惑と絡めまして、大変先般来私どもも心配しているテーマということだろうと思います。  これは端的に御質問をしますけれども、例えばノドンのような弾道ミサイル攻撃が日本になされた場合、この攻撃に対処する能力、具体的にそういう能力が日本としてあるのかどうか、その辺をまずお伺いしたいと思います。
  25. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今おっしゃいましたように、大量破壊兵器及びその運搬手段たるミサイル、特に弾道ミサイルの拡散が進んでおるということは大変困ることでございます。特に専守防衛ということをやっております日本から見ましたときに、正直言いまして、弾道ミサイルによって攻撃をされるということになりますと、現在の技術では対応できません。これは日本だけではなくて、各国とも抑止力としては持っておりますけれども、弾道ミサイルそのものを防ぐすべというのは現在ないわけであります。  そういうことを考えますと、この弾道ミサイルに対して、そういう攻撃はないようにいろんな外交的努力、いろんなことでやるわけですけれども、これについて何も考えないでいいかということになりますと、そうはいかぬものですから、私どもとしましても、平成七年から我が国の防空システムのあり方に関する総合的調査研究ということで、これらについてアメリカ等の有しておりますこれまでのいろんな知見を収集すべく調査研究をやってきておったわけでございます。これから先、この問題については本当に真剣に議論をしていかなければいけないなというふうに思っております。
  26. 鈴木正孝

    ○鈴木正孝君 今の長官のお話でも有効な手だてというものは今の状況ではなかなか難しいということだろうと思います。平成十年度でもその調査研究として八千万程度かけていろいろとやられるということでありますけれども、現在の具体的なこのミサイル防衛に関する調査研究の検討状況といいましょうか成果、そういうものをちょっとかいつまんで御説明いただけますか。
  27. 佐藤謙

    政府委員(佐藤謙君) ただいま防衛庁長官からお答えしましたように、この弾道ミサイルに対する防衛をどうするかということはまさに我が国の防衛政策上の重要な課題ということでございます。そういう観点から今勉強をしているわけでございますけれども、そもそもこれに対します有効な手法というのがまだ確立されていないわけでございまして、そのためにBMDシステム、こういったものが果たして技術的にどういう要求性能を備えたものでなければならないのか、またその要求性能を実現するためにはどういった技術の種類あるいは技術の水準が必要なのか、こういったことを一つ一つ勉強している、こういうふうな状況にございます。  その過程におきまして、こういうものについて知見を豊富に持っておりますアメリカからいろいろな協力もいただきながら、そういった技術的な実現可能性と有用性、こういったものを今研究している、こういう状況にございます。
  28. 鈴木正孝

    ○鈴木正孝君 今のようなお話だと思いますけれども、研究が開始されてから結構三、四年という時間もたっているし、それから、昨年あたりですか夏ごろまでには研究の成果をもとにそれなりの結論を出したいというような方向性も言われていたようにも思います。どちらにしてもそろそろ具体的な結論を出す、そういうような時期に到達しているようにも思いますけれども、その辺の詰めというのはどうなんですか、これは念押しになりますけれども
  29. 佐藤謙

    政府委員(佐藤謙君) 確かに七年度以降今申し上げましたような観点から研究を進めてきておりますので、ある程度の研究の蓄積と申しましょうかこういったものは得てきております。そういう中で、さらにこの実現可能性というものを掘り下げて検討するということで、十年度予算におきまして八千万円強の調査費を計上して調査をしているところでございます。  そういう過程におきまして、一般的な技術水準と申しましょうか、こういうことからすれば、これはいろいろなクリアすべき問題は多いわけでございますけれども、そういう実現が全く困難ということではないのではないか、技術的な水準から見まして。そういったことで、ではもう少し具体的にその内容を詰めてみる必要がある、こういう段階に来ている、こんなふうに思います。
  30. 鈴木正孝

    ○鈴木正孝君 たしかことしの一月だったと思うんですけれども、アメリカの国防長官コーエンさんが来られ、また久間長官、小渕外務大臣も加わって、その後の話でも、日米間の技術協力可能性の見きわめ、そして日米共同研究を継続するというような方向が出されておったように記憶をしているわけです。  どちらにしましても、弾道ミサイル防衛を行うためにはやはりこの分野の先進的な立場にあるアメリカとの共同研究、技術研究というものが大事だ、そのことがまた日米の同盟関係の強化あるいは費用効果あるいは日米双方の持っている技術的な力の結集ということを考えても意味のあるやり方だろうというふうに思っているところです。  いろいろとあちらこちらからお伺いいたしますと、アメリカでは政府だけではなくて議会関係も相当この弾道ミサイル防衛についてはサポートをしているというようなことも聞かれますし、またこのことに日本が余りちゅうちょをしておりますと、戦略的にも技術的にもいささかおくれをとるというようなおそれはないかというような感じもいたします。  そういう意味で、外務大臣日本の技術に対してのアメリカの期待、協力の期待というものは非常に大きいというふうに私も思うのでございますけれども、そんなような理解をしてよろしゅうございますか。ちょっと念押し風で申しわけございませんけれども
  31. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 委員御指摘のように、コーエン国防長官が参られたときにこの問題につきましてもいろいろ意見の交換をいたしました。ただ、先ほど防衛庁からもお話しのように、費用対効果の問題もいろいろございますし技術的な問題等もあろうかと思いますが、技術的な面で我が方とアメリカとの問題について私自身またそれを比較検討するデータを持っておりません。  いずれにしても、極めて重要な問題だというとらえ方をいたしまして、この弾道ミサイルに対する我が国としての対処につきましては真剣に対応していかなきゃならぬ課題だと認識いたしております。
  32. 鈴木正孝

    ○鈴木正孝君 外務大臣が言われるように、真剣な対応ということが大変大きな事柄というふうに思います。  一般的に考えてみまして、我が国の周辺でもこういう弾道ミサイルを保有する国の中でかなり高い関心を持っているところもあるだろうと思いますし、そのように承知もしているわけでございます。もともとミサイル防衛そのものは、それが攻撃的な意図であるものであれ偶発的なものであれ、どちらにしましても理由のいかんを問わずに、我が国に飛んでくる弾道ミサイル攻撃からの純粋な我が国の防衛というための手だてということでございますから、余り近隣諸国の方々から御懸念をいただくようなことではないようにも理解はできるのでございます。  いずれにいたしましても、有効に対処し得る手だてがないような状態というのは、大量破壊兵器の拡散あるいは弾道ミサイル技術の拡散という状況に対して、いささかその欲求の効果を減殺させるために、こういう研究あるいは実質的な配備のためのいろんな手だてということが大事なものになってくるだろうというようにも思います。  もちろん、我が国は非常に平和を大事にする憲法の精神に沿っていろいろと今までもやってきているわけでもございますから、そういう意味からしますと、こういう手だてを講ずるということが大きな意味では憲法の精神にものっとっているのかなというように思うわけでございます。  どちらにしましても、今のうちから有効な手だてを準備するという意味でも、早急に結論を出してやっていくということが大事だろうというふうに思っているところでございます。  そこで、それに関連いたしまして、よく言われることでございますけれども、例の宇宙の平和利用の決議との関係でいろんなところにいろんな御意見があるわけでございます。私自身は、こういうものは先ほど来お話ししているように純粋に防衛的なものというふうに考えられますし、どちらにしても国会決議が行われた昭和四十四年段階での当時の科学技術の動向、あるいはその際に念頭に置かれましたものがICBMといったような攻撃的なロケット技術というようなことであっただろうと思います。また当時は、科学技術の水準から考えればそういう弾道ミサイル防衛というような、純粋に防衛的なシステムというものが想像もできなかったような時代というものではなかったかなというふうに思います。  そんなことを総合的に考えてみますと、三十年前の状況のままで足踏みをしている、そういう足かせになるようなものであるならば、いろいろな考えはあるのかもしれないけれども、ぼちぼちいろんな形で整理をする必要があるのではないか、そういうような思いもするわけでございます。  そんなことを含めまして、平和の目的に合致するという全体的な技術の動向、そして考え方、精神というものを含めまして、大勢の国民の皆さんに防衛庁、政府全体がやはり理解を求めて訴えていくということも大変大事だというふうに思いますが、その辺防衛庁長官、お考えがございましたらぜひお伺いをいたしたいと思います。
  33. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 先ほど冒頭に言いましたように、この弾道ミサイルに対してどうして国民の生命、財産を守るかというようなことについてやはり絶えず関心を持たなければならないわけでございます。  これは今言いましたように、拡散が進んでいるということもございますし、それと、コーエン国防長官と話をしていましたときに、国対国の関係ではかなり抑制もきくんだけれども、テロ集団が持ったときは非常に怖いというような話も出ておりました。私もそのとおりだと思います。したがいまして、これらの問題につきましてはこれから先も真剣に考えていかなきゃならないと思っております。
  34. 鈴木正孝

    ○鈴木正孝君 長官の今のお考えを踏まえまして、来年度の概算要求の作業、恐らく政府部内でこれから真剣に検討していくということになろうかと思いますので、ぜひ適時適切に進めていっていただくようにお願いをいたしたいというふうに思います。  それから、PKOの改正案、先ほどお話申し上げましたように大変私も感慨深く思っているわけでございますが、今の国連PKOの全体の現状についての認識、それから今まで幾つか貢献をしてきたそういう実績があるわけでございますけれども、その辺の評価について、官房長官、どのようにお考えになっておりますでしょうか。
  35. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 冷戦後の国際社会において国連が果たすべき役割はますます増大していると思っております。そうした中で、我が国は国連の場を通じ、国際社会の諸問題に主体的に関与することが一層重要だと思っております。また、資金面だけではなく人的な面でも貢献を行うことが我が国の国際的地位と責任に相ふさわしいとの考えでございます。  このような観点から、我が国は国連平和維持活動に参加し、国際的に高い評価を得ているところと思っております。同時に、国連平和維持活動などによる地域紛争への取り組みは、我が国を含む世界の平和と安定の確保に貢献するとの安全保障政策上の観点からも重要と考えております。今後とも、我が国としては国連への協力我が国外交の重要な柱として、国連平和維持活動を含め国連の行う諸活動に積極的に協力していく考えであります。  現在十六の国連PKO活動中、つい最近も中央アフリカに国連PKOが設立されたところでございまして、国連PKOは依然として国際社会の平和と安全の維持の面で重要な役割を果たしていると認識をいたしております。
  36. 鈴木正孝

    ○鈴木正孝君 大変積極的な評価あるいは理解ということだろうというふうに思います。  政府はこれまで、いろんな派遣経験を踏まえて法律見直し作業をおやりになっていたわけでございますが、その際にいろんな項目が問題点として挙がったように承知をしております。今回は武器の使用を初めとする三つの項目がその対象となっているわけですが、その三つに限定した理由、あるいはそれ以外のもろもろの問題点を改正の俎上にのせなかった理由というものはどのようなものであったのでございましょうか。
  37. 茂田宏

    政府委員(茂田宏君) お答えいたします。  PKO法第三条に定める見直しにつきましては、平成八年九月にいわば中間的な報告というのを行っております。今回、法改正案で提起させていただいています三点、すなわち武器の使用、国際的な選挙監視活動、それから物資協力の三点のほかに、検討課題となりましたのは五点ございました。  第一点は、人道的な国際救援活動における医師等の派遣についての五原則適用の緩和の検討、それから警護任務の追加の検討、それから五原則に係る同意を得ることを要する受け入れ国の範囲の検討、それから活動終了時の残置物品の派遣先国への譲与のための枠組みの検討、それから物資協力の手続の迅速化についての検討、この五点がございました。我々検討いたしまして、幾つかの点については運用上の改善で対処できるという結論を出しております。  それから、五原則の適用緩和、警護の問題、五原則に係る同意を得ることを要する受け入れ国の範囲の検討等の問題につきましては、なお検討すべき問題があるということで検討中でございます。例えば警護の問題につきましては、警護の任務を追加するということにいたしますと、その警護対象を守るための武器使用の問題が出てまいります。そういう武器使用の問題についての検討が必要であるということで、いわばまだ検討段階にあるということでございます。
  38. 鈴木正孝

    ○鈴木正孝君 法案が出まして数年前に成立したわけですけれども、そのときにもやはり武器の使用に絡みましていろいろと誤解といいましょうか、誤ったイメージといいましょうか、そういうことが結構いろんなところで言われたようにも思うわけでございます。そういう一部の戦闘職種の部隊を出す出さない、あるいは武力行使あるいは戦闘のために海外に派遣するといったような誤解とかイメージとかというものがあったわけですけれども、実際に今まで出された部隊なり職種あるいは職域のそういうようなものはどんなことだったんでしょうか。
  39. 太田洋次

    政府委員(太田洋次君) 自衛隊はこれまでに、国連カンボジア暫定機構UNTAC、それから国連モサンゼータ活動ONUMOZ、それからルワンダ難民の救援、それから国連兵力引き離し監視隊活動UNDOFにおいて国際平和協力業務を実施してまいりました。UNDOFについては現在も派遣中でございます。  これらの平和協力業務を実施した部隊あるいは具体的な内容は、次のようなことでございます。  UNTACにおきましては、カンボジア派遣施設大隊が道路それから橋等の修理等の業務を実施しておりますし、それからONUMOZにおきましては、モザンビーク派遣輸送隊の調整中隊が人員、物資等の輸送調整業務を実施しております。それからルワンダにおきましては、ルワンダ難民救援隊が医療、防疫、それから給水等の業務を実施しておりますし、空輸派遣隊が人員や物資等の航空輸送を行っております。それからUNDOFにおきましては、現在ゴラン高原派遣輸送隊が食料品等の輸送を実施しております。  これらの業務の実施に当たっております職種の観点から申し上げますと、輸送業務には車両の操縦の特技を有している隊員が従事しておりますし、道路の補修だとか重器材の整備につきましては自衛隊の中の施設職種の関係者がこれに当たっておるということでございます。
  40. 鈴木正孝

    ○鈴木正孝君 もう持ち時間もなくなりましたものですからこれで最後にしたいと思いますけれども、訓練センターなんでございます。数年来そういうものの必要性ということがいろんなところで話題になったわけですけれどもPKO活動の位置づけ、評価、そういうものについて非常に高い理解と認識を持っているということでもありますので、私は、諸外国からいろんな人材を集めてここで日本と一緒になっていろんなノウハウを習得する、そういうことを含めまして、日本に設置できるものであればぜひそういうものを設置された方が総合的な安全保障を図る観点からもよろしいんじゃないかというふうに思うんですけれども官房長官、その辺の御見解をぜひいただきたいと思うんです。
  41. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 委員御指摘の点は極めて重要な点だと考えております。特にPKOの訓練の重要性につきましては、各方面から指摘されておるとおり、その充実改善は課題の一つであると認識いたしております。  このような観点から、我が国は世界各地で開催されるPKO訓練やセミナーに関係者を参加させ、また英国等PKOに積極的な国々とセミナーを共催する等、訓練の充実改善に努めてきておるところでございます。さらに、本年三月には国連PKO五十周年を記念して本邦でPKOシンポジウムを開催する等種々の機会を設け、PKOについて他の国々と積極的に議論を行ってきておるところでございます。  かつて私、NHKだったと思いますが、スウェーデンでしたかPKOの訓練センターの模様につきまして詳細なレポートがありましてそれを見た経験があります。訓練そのものは極めて充実したものであるわけでございますが、本邦においてこれを別途設けるかどうか、果たしてそうした国々でやっておられるような施設を改めてつくるかどうかについては検討する必要もあるんじゃないかと。  というのは、やっぱり今自衛隊で訓練をされている中で、PKOとしての任務を十分果たし得る、任務に値するような訓練も打っておるのではないかなという気もいたしております。いずれにいたしましても、PKO自体の任務からいってこうした問題についての関心度を高めていく必要はあるのではないか、こう認識いたしております。
  42. 鈴木正孝

    ○鈴木正孝君 終わります。
  43. 角田義一

    角田義一君 まず、久間防衛庁長官にお尋ねいたします。  長官はことしの五月初めに中国を訪問されて中国の遅浩出国防大臣とお会いになった、大変有意義だったということのようでございます。その国防大臣とのお話し合いの中で、当然この新ガイドラインの問題、周辺事態概念の問題、さらには台湾の問題等が向こうからも提起されたというふうに思いますが、それに対して長官はどういう態度で臨まれたのか、改めて御説明をいただきたいと思います。
  44. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 遅浩出国防部長とお会いしましていろんな話をしました。そして、防衛のトップ同士が交流するということは非常にいいことだということでは意見が一致したわけでございます。いろんな話の中で特に新ガイドラインにつきましては、その前に遅浩出国防部長が向こうからお見えになったときも話が出たわけでございますけれども、要するに日本が自分の防衛的な意味でいろんなことをやる、その間で日米協力しながらやる、これはわかると。  ただ、安保条約で台湾海峡が入っているというふうに言われると、それはこちらの国の内政に関係することだと。従来から日本は国交回復以来、歴代の総理大臣の談話あるいはまた外務大臣のいろんな談話といいますか国会での答弁等がある。そういうようなことをきちっと確認しながらやっていただきたいというような、割り切って話せばそういうような言い方でございました。  それに対しまして私どもとしても、今度のガイドラインでも、我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が起きたときに、やはり我が国国民の生命、財産を預かっている政府としてはそれに対してきちっとしたことをしなければならない。その中で日米協力しながらやっていくことがあるじゃないかということで整理をさせていただいた。そしてこれは日米安保条約の枠内で、しかも日本国の憲法の枠内で専守防衛あるいは非核三原則、そういうような従来から日本がとっている建前の中でやっていきますと。そしてその過程において、私どもとしては、日中共同声明あるいは日中平和友好条約を締結したときに日本政府が発表した談話、その後また歴代内閣総理大臣あるいはまた外務大臣が発言している内容、それは忠実にその意思を尊重しながらその線でやっていきますと、そういう話をして帰ってきたところです。
  45. 角田義一

    角田義一君 新聞等によりますと、長官は中国の国防大臣に対して、この周辺事態というような問題は地域を特定した地理的な概念ではないんだということを再三説明したというふうに報じられていますが、それは真実なんですか。
  46. 久間章生

    国務大臣久間章生君) そのとおりでございまして、日本の平和と安全にとって重要な事態が発生したときにこれに対してどうするかであって、これについてどの地域、どの場所、特定の国、地域等を念頭に置きながら従来も議論はしてきていないし、そういうものではございませんというようなことを言ってきたわけであります。
  47. 角田義一

    角田義一君 その中国の国防大臣はそれに対してどう言っておられましたか。そのとおり、結構ですと言っていましたか。いや、それはないだろうと、そんなことはないよと。ざっくばらんにちょっと説明してもらえませんか。
  48. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 向こうは基本的にはもう従来からの言い方でございまして、新ガイドラインというよりも安保条約の対象として台湾海峡が入る、そういうふうに言われるとそれはおかしいと、主権に対する侵犯であるとまで言う話でございます。それらについて向こうが言うには、とにかく昭和三十五年と現在とでは背景が違うじゃないかという話をされるわけです。しかしながら、私はそれについては何も言いませんでした。  というのは、この問題については外務省の問題でもございまして、アメリカと日本との関係の条約でございますから、ずっと条約が改正されないまま現在に来ているわけでございますので、私の立場としてそれについて論評する立場にございませんでしたので、それについては言わずに、ガイドラインについてはこういう考え方でうちは整理しておりますという考え方を述べたわけです。
  49. 角田義一

    角田義一君 防衛庁長官、それはおかしいんじゃないですか。あなたは日本防衛庁長官である以上、安保条約をこっちに置いてガイドラインだけ一生懸命説明して説得しようなってそれは土台無理な話じゃないですか、今の話を聞いていると。安保条約外務省でおれの管轄じゃないからおれは一切言わないと、そんなことは通らないでしょう。
  50. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、そういう言い方じゃございませんで、安保条約の解釈の問題になってきますと、向こうはそう言うかもしれませんけれども日本としては従来からの統一見解等もあるわけでございます。だから私どもとしては、そういう統一見解はありますけれども、その中において現在進めておりますがイドラインというのは、とにかく安保条約の枠内でありますけれども、その中で日本の平和と安全に重要な影響を及ぼす場合、そういう事態が起きたときにどうするかということ、それをやはり考えていこうということで日米間で取りまとめをしているということを言っておるわけであります。
  51. 角田義一

    角田義一君 そうすると、台湾の問題、これは中国にすれば一番神経質な問題だと私は思いますし、また日本としてもそれは非常に慎重に構えなければならない問題だと思います。地理的な概念ではないとあなたはずっと主張してきたわけだけれども、それに対して先方は納得したんですか、しないんですか、ここが大事だね。
  52. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 納得したとは私は言い切れないと思います。というのは、そういう話をされましたから。ただ、そのときに私どもは、日本政府としては台湾海峡を挟む両当事者間、特に中国人同士で平和的に解決していただきたい、そういうような気持ちは持ち続けておるし、多分そういうふうにしていただけるだろう、そういう期待もしておりますという話をしましたときに、とにかく向こうで言われたのは、平和統一一国両制、この八文字ですという返事でした。
  53. 角田義一

    角田義一君 そこで、今回外務省の偉い人が、北米局長さんが衆議院の委員会でこの周辺事態について新しい説を発表したんだね。極東及び極東周辺を超えないとか、地理的な概念を含んだ物の言い方をしたわけだ。今でもこの新説を維持するんですか。
  54. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 新聞報道等では新しい見解というふうに報道されておりますけれども、私どもといたしましては、従来から政府見解には変更がないという立場でございます。  すなわち、周辺事態の定義につきましては、従来から述べておりますとおり、あくまでもその事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断するということでございまして、あらかじめ発生し得る地域を特定したりしまして地理的に一概に画するというようなことはできない。そういう意味におきまして、周辺事態地理的概念ではないということは現在も同じ考え方でございます。
  55. 角田義一

    角田義一君 あなた、そんなことを言って、じゃ何で中国政府日本政府に堂々と抗議してきたの。  ちょっと待ってください。それが通るぐらいならわけはないよ。非常に先様は深刻に事態考えているから、日本政府に対して抗議してきたんでしょうがね。中国政府というのは簡単に抗議しませんよ、日本政府に対して。これはよほど深刻な事態だというふうにあなた方は受けとめるべきじゃないのかね。
  56. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 委員は、答弁を聞いてから発言してください。
  57. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 確かに、中国政府の方から、特に外務省の報道局長の記者会見における発言というようなことはありました。  我々といたしましては、中国側に対しまして、日本の、今私が申しましたような点を含め十分な説明を行う必要があるということは認識をいたしております。また、そういう努力を今後とも引き続き行っていきたい、それは必要なことだろうと思っております。
  58. 角田義一

    角田義一君 これは、防衛庁長官は中国へ行って地理的概念じゃないと言い続けてきているわけだ。ところが、政府の高官がそういうことを言ったために抗議も受けているわけですよ。じゃ、だれが中国政府に真意を説明するの、あなたが行くの。
  59. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) これまでも中国との関係では、このガイドライン作業につきましては透明性を持って対応すべきだというのが基本的に日本政府立場でございました。折に触れ説明をしておりますが、つい最近につきましては、去る二十五日の夕刻でございますけれども、東京におきまして中国大使館の参事官に対しまして外務省の方から説明をいたしております。さらに、今後とも必要に応じ、これはまだ現在進行形でございますので、引き続き説明を行ってまいりたい、こう考えております。レベル、場所等はしかるべく考えた上で行いたいということでございます。
  60. 角田義一

    角田義一君 外務大臣にお尋ねします。  総理からこの問題について中国政府に対してよく説明をする、真意をちゃんと伝えるというような指示があったやな新聞記事が出ていますけれども、これは外務大臣どういうことなんでしょうか。
  61. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 本件につきましては、いささかの誤解も生じてはいけないということでございまして、基本的な方針につきましては今、条約局長答弁したことにつきまして私も正式に、院は異なりますが、衆議院におきまして同様の答弁を申し上げておるところでございます。したがいまして、念には念を入れて、今回の問題について誤解を生じしめないように、改めてハイレベルでこの問題について中国側の理解を求める努力をいたしていきたい、このように考えております。
  62. 角田義一

    角田義一君 私は、地理的概念でないという政府の主張そのものに賛成するわけじゃないんだけれども、少なくとも外交としては一貫したものがあったと思うんです。それに沿って今までやってきているわけです。いい悪いは別です。議論はありますよ、私は、地理的概念ではないということについては。いろいろ注文がありますよ。  しかし一国の、例えば防衛庁長官が行って、向こうの政府の要人に政府立場をきちっと説明しているわけだ。それを全部押し通さなきゃならないじゃないですか。押し通すべきでしょうが。いやしくも国会でそれを、誤解とか何とかあなた方は言うけれども、重大な修正をするようなことを平気で言うわけだ、局長は。それで日本の国益というのは守れるんですか。日本外交ができるんですか、それで。僕は非常に疑問に思っていますよ、これを見て。  どうですか、外務大臣防衛庁長官、そんなことで中国の信頼を確保できますか。大事なことだと思いますよ、僕は。
  63. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 議事録を私も読ませていただいたんですけれども、今までの一貫した、そういうあれを変えたというわけじゃなくて、言いたかったのは、安保条約の枠の中だということを強調する表現としてああいう言い方をされたんじゃないかと思って、私どもとしてその立場は変わっていない、そういうふうに思っております。
  64. 角田義一

    角田義一君 外務大臣、どうですか。外交の一貫性がちいって大変なことが起こったでしょう。
  65. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 久間防衛庁長官も、訪中した際にこの問題について日本側の立場をきちんと申し上げていることは先ほど御答弁されましたが、その前にも橋本総理自身も訪中した折にきちんとこのことを申し上げて、政府立場は一貫いたしておると思います。  ただ、この高野答弁というものにつきましては、防衛庁長官が今御答弁されたように、あくまでも日米安保の枠を超えるものでないという仮定の中で、いささか地理的概念のようにとらえられる発言をした点が指摘をされておるわけでございます。問題は、今回のガイドラインにつきましては、繰り返して申し上げるまでもなく、あくまでも我が国の安全と平和に重大な事態を生じしめる、そういう認識に基づいて行うということでございまして、このガイドラインにつきましては一貫して方針というものは定まっておるわけでございますので、今私が申し上げたことが日本政府立場でございますので、御理解いただきたいと思います。
  66. 角田義一

    角田義一君 私、余り外務大臣にくどくど言うのはいかがかと思うけれども、これは大変な波紋を広げたことは事実ですね。中国政府日本政府に対して私は不信を持ったと思いますよ、抗議までしているんですから。この事態というのはやっぱり深刻に受けとめる必要が私はあると思いますよ。  北米局長というのは、これはアメリカの方を見ていて、本音が出たかなと私は思ったね、これを聞いて。いよいよ台湾で事があったときには、この周辺有事日本とアメリカ軍が一緒になって何か事を起こすのか、そういうことを考えているから本音がちょろっと出たかなと、こう私は思ったですよ。そういうことはあっちゃいけないことなんでしょう、日本政府立場というのは、従前は。そこのところの大変な誤解を中国に与えたということ。私は、日中は再び戦ってはならぬという一つの信念を持っていますから、よほどここのところは慎重にこっちもやらなきゃいかぬということで、これは中国と日本との信頼関係を回復するのは、私は容易じゃないと思うけれども、これはもう外務大臣、最大の努力をする必要があるんじゃないですか、どうですか。
  67. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 御指摘のとおりだろうと思います。いささかの不信、誤解というものを招いたとすれば、それはいっときも早く解消しなければならないと思いますので、本件につきましては重大な関心を寄せて相手国の理解を求める努力をしていきたい、このように考えております。
  68. 角田義一

    角田義一君 最後に私は申しておきますけれども、これは場合によったら特使でも何でも派遣してきちっと説明するだけの価値のある問題だと思いますよ。そうでないと、これが尾を引いたらやっぱりまずいと思います、日中関係。そのことを提言しておきますので、これはもう外務大臣にお任せする以外にはないんだけれども、どうですか。
  69. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) いかなる手段を講ずるかにつきましてはお任せいただくといたしましても、御指摘の点は十分理解をして対処したいと思います。
  70. 角田義一

    角田義一君 次に、PKOの問題に入りたいと思うんです。今回、武器使用に関しまして、従前の態度を改めて、上官の命によって武器を使用するというふうに法律を改正したいというようなことでございますが、何回か実績を踏んで自衛隊が国際平和協力業務に携わっているわけですけれども、今回このように法律を改正しなければならないような事態に現実に直面したんでしょうか。どうなんでしょうか。
  71. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 現行法上でございますが、国際平和協力法上の武器の使用の判断は個々の隊員の判断にゆだねられております。しかしながら、カンボジア、ザイール等への派遣の経験等から、部隊参加した自衛官による武器使用について、その統制を欠くことにより、むしろ生命、身体に対する危険や事態の混乱を招くことがあり得るとの問題点が感得され、また国連平和維持活動への参加各国の実情からも確認されたようでございます。  そこで、いわば自己保存のための必要最小限の武器の使用であるという点について、何ら変更を加えずこれを維持することとした上で、その一層の適正を確保するために、原則として現場にある上官の命令による使用へと改めたいと考えており、法改正案として国会の御判断を仰ぐこととしているところでございます。
  72. 角田義一

    角田義一君 長官、私がお尋ねしているのは、カンボジアとかモザンビークとか何カ所か行っていますけれども、本当に上官の命令一下、武器を使用しなきゃならぬようなそういう逼迫した事態というものがあったのかというふうにお尋ねしているんです。私どもは全然そういう報告を受けていませんよ。そんな緊迫した事態、一切報告を受けていませんよ。
  73. 茂田宏

    政府委員(茂田宏君) お答えいたします。  「ガンボディア国際平和協力業務の実施の結果」というのを平成五年十一月十二日に国会報告してございます。それから、「ルワンダ難民救援国際平和協力業務の実施の結果」について平成七年二月十四日に国会報告をしてございます。  この中でも言及してありますが、カンボジア国際平和協力業務の実施に当たりましては、憲法制定議会選挙が近づくにつれまして治安状況の悪化が憂慮されまして、隊員の一層の安全を確保するため、従来から必要に応じて実施していた武器の携行、防弾チョッキ及び鉄帽の着用のほか、宿営地における土のう積み等所要の措置を講じた上で業務を行ったところであります。  また、ルワンダ難民救援国際平和協力業務の実施に当たりましては、治安状況の悪さが憂慮されたことから、隊員の安全確保について万全を期すため、宿営地や給水所付近の警備に関しザイール軍の支援を受けたほか、部隊としては、必要に応じて武器の携行、防弾チョッキ及び鉄帽の着用を実施いたしました。さらに、銃声の聞こえない夜はほとんどないという状況のもとにおきまして、宿営地内においては所要の警備態勢をしき、土のう積み等所要の措置を講じた上で業務を実施いたしました。  自衛隊部隊はこのような治安状況のもとで武器の携行を含む適切な対応をとったところであります。  また、これまでの派遣において実際に我が国要員が武器の使用に至った例、またその武器を使うための切迫した状況というのはありませんでしたけれども、こういう状況の中で仮に実際に武器を使用せざるを得ない状況に至っていた場合を想定いたしますと、状況によっては、統制を欠いた武器の使用により、かえって自衛官等の生命、身体に対する危険あるいは事態の混乱を招くことがあり得ることが感得された次第であります。それに基づきまして今回法改正をお願いしているという次第でございます。
  74. 角田義一

    角田義一君 感得されたと言うけれども、このPKO法案はえらい法案で、すさまじい議論を六年前にやった。あなたも覚えていると思うが、私は八時間もずっと座っていたんだからよく覚えているんだけれども、そのときにこのことはもう指摘していたわけです。いい悪いは別ですよ。  こういう個人の判断で仮にピストルを出したら、それがきっかけになって大混乱になるのではないかと。極端なことを言えば、平和協力維持隊と言っているけれども日本の一発によってまさに非協力になっちゃって大変な混乱も起きるんじゃないかと。そんなことは常識なんですよ、当時。何も今さら、いろいろ出してみたら感得するなんというものじゃないんだ。感じて得るということでしょう、感得というのは。そんなものじゃないんです。もう当時から、世界でPKOはいっぱいあってその議論になっていたわけだよ。  そのときに、あなた方は、いやいやと言って、これはもう本人、一人一人でやればいいんですよといって突っぱねたのはあなた方じゃないか。そして今になって、感得したから今度はこういうふうにさせてもらいますといったって、ではその当時のあれは不明を恥じるのか、私どもは間違っておったと。そこのところをちゃんと不明も何も恥じないで、状況は同じでのこのこ法律を出してくるというそのずうずうしさというか無神経さ、今の橋本内閣の典型的なあれだよ、私に言わせると、同じだよ。そういうけじめは全くないじゃないですか、あなた。
  75. 茂田宏

    政府委員(茂田宏君) PKO法成立当時の議論でありますが、政府といたしましては、PKOというのは停戦の合意ができている状況の中で受け入れ国の同意もあって行われる業務であるということ等に着目いたしまして、武器の使用、特に自己及び自己とともに現場に所在する隊員を守るための武器使用ということでございますけれども、これについては個々の隊員の判断にゆだねるのが適切であるという答弁をいたしました。これに対して、その当時でも批判があったことは先生御指摘のとおりであります。  ただ、我々は当時は全く派遣の経験がない状況においていろいろな調査もし判断をしたということでございまして、私は当時の判断としてはやむを得ない判断であったというふうに考えております。  ただ、幾つかの派遣をした経験から、やはり統制を欠いた武器使用というのはかえって危ないということで、今回は武器使用に関して統制された武器使用ということに変えさせていただきたいということでございます。
  76. 角田義一

    角田義一君 私は、空襲で防空ごうへ入ったことはあるが、軍隊へ行ったことはないけれども、あの当時からそんなことはだれだってわかることだったんです。世界じゅう、PKOでもって部隊をいっぱい出しておるわけでしょう。そういう経験から学べば、おかしいじゃないかと指摘されていたわけなんです。何も日本が経験がなくたって世界共通の経験なんですよ、これは。  そのとき自分たちの言ったことを、それは不明を恥じるかと聞いているんだよ。不明を恥じるなら不明を恥じるとはっきり言ったらいいんだ。それを強情に絶対に正しいんだと、そういう態度だから国民は納得しないんですよ。そうじゃなくて、もっと素直に事をやってください。どうですか、素直にやったらいいんですよ。  お役人は非を絶対に認めないで突っ張るからかえっておかしくなるんです。どうですか。
  77. 茂田宏

    政府委員(茂田宏君) 我々は、今度の法改正との関連で、過去に政府がこの点についてした答弁、すなわち武器使用に当たっては個人の判断で行うことがより適切であるという判断はこれを改めるということを表明している次第であります。  ただ、当時の判断として……
  78. 角田義一

    角田義一君 それだけにしておきなさい。当時の判断としてというとまたへ理屈になるから、改めるにはばかることなかれということならそれでいいじゃないですか。
  79. 茂田宏

    政府委員(茂田宏君) 改めるということでございます。
  80. 角田義一

    角田義一君 それから、あと私四分しかないからちょっと聞きますが、今度の自衛隊の艦船の派遣だとか、あるいは周辺事態の武器使用のときにも、法律を見ますと自衛隊の隊員個人の判断で武器の使用と書いてある。これは上官は何も書いてないんです。これはどうするんですか。これは防衛庁長官になるのかな。
  81. 太田洋次

    政府委員(太田洋次君) 法の立て方それから考え方について、まず私の方からお答えいたしたいと思います。  今のPKO法考え方については事務局長の方とダブりますので、今、先生が御指摘の周辺事態安全確保法案、それから自衛隊法百条の八、邦人等の輸送についての改正案について若干御説明いたしますと、この二者についての武器の使用というのは、PKO法と同じように、いわば自己保存のための自然権的な権利という形、そういう考え方では同じでございます。  しかし、後方地域捜索救助活動あるいは船舶の検査活動あるいは在外邦人等の輸送につきましては、武器を使用するという場面は極めて限定された職務でございます。PKO法の場合は、それに引き比べまして外国において広範多岐な形態で実施されるものでございますし、見方によりましては時間的にまた空間的に非常に幅広い場面で起こるということでございます。  例えて言えば、宿営地において隊員が休息中の場合においても、そういう予期し得ぬ不測の事態が生じた場合に武器を使用しなければならない事態があり得るということでございます。  ちょっと繰り返しになりますけれども、それに引きかえて船舶検査活動あるいは捜索救助活動につきましては、船舶については相手は民間船でございますけれども、そこに自衛隊の隊員等が検査のために相手方の船舶に乗船していく、そういう場合に、通常は考えられないんですけれども、万が一に不測の事態が起こった場合に、自己の生命、身体を守るために武器を使用するということでございます。これはそういう船舶の検査活動自体を行っているときに、これはまさにその職務を行っているという非常に限定された場面でございます。  そこでは、当然のことながら上官が通常おりますので、その職務を行うに際して上官の命令に従うということは当然でございまして、それは自衛隊法で別途、職務を遂行するに際して上官の命令に従うという自衛隊法五十七条がそのまま適用されるということでございまして、あえてここで上官の命令によってやるということを明記する必要はないということでございます。
  82. 角田義一

    角田義一君 そうすると、これはまた別の機会にやりますけれども自衛隊法の一部を改正する法律案だとか緊急事態のあれだと、あくまでも自衛隊は部隊として動くということですか。勝手に隊員個々人が武器を使用するということではないということですね。
  83. 太田洋次

    政府委員(太田洋次君) お答えします。  今の例で申し上げますと、検査活動を行うということはそれは部隊として行うということでございます。その場合に個人の生命、身体に対する不測の事態があり得ると。その場合には、その職務に密接に関連しておりますので、当然のことながら、そこにおります上官の命令に従うということが手当てされているわけでございます。
  84. 角田義一

    角田義一君 これで終わりますけれども、いずれにしても自衛隊それから緊急周辺事態のときの武器の使用というのは、これはよほど慎重でなきゃいかぬし、従前、いろいろの歴史からいえば、音で言えば居留民の保護という形で軍隊が出ていって、そこでトラブルが起きて戦火になっていくという例もかつて幾らもあったわけだから、私はよほどこのことについては慎重にやってもらわなくちゃいけないというふうに思うんですが、防衛庁長官、最後にそれだけちょっとお聞きします。
  85. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 委員がおっしゃるのはもっともだと思います。PKOの場合は上官の命によることとしましたけれども、この場合は条件がかかっておりまして、五原則等がありますので、そういう今御懸念のようなことにはならないと思います。  今度予定しております。辺事態のときにも、そういうようなことにならないように、これは十分私どもとしては考えながら対処してきたつもりでございます。
  86. 角田義一

    角田義一君 終わります。
  87. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。  角田議員のPKO法の改正に引き続きと思いましたが、時間の配分もございますので、後ほどまたさせていただくことにして、先ほどのパキスタンの核実験の非常に気になる動きがございます。  昨日、総理がパキスタンの首相と電話で会談をされたというのが報じられております。加えて、きのうですか既に外務省はパキスタン核実験問題を協議するため、須田審議官を米国に派遣したということになっておりますが、改めてこのパキスタンの核実験の動きについて、昨日もっと早い段階では、いわゆるもう二十四時間秒読みの段階に入っているような報道もございまして、大変気になる動きでございます。政府としての把握の状況と、これに対応する取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。
  88. 阿部信泰

    政府委員(阿部信泰君) パキスタンが核実験を行うのではないかということにつきましては、報道も含めましていろいろ情報がありますが、どうもかなり実験の準備を進めているというふうに承知しております。それが非常に近いという説も多々ありまして、私どもも大変に事態を心配しておるところでございます。そういうこともありまして、これまでも登総理特使の派遣、あるいはイスラマバード、東京における外交的接触などで自制を呼びかけてきたわけですけれども、昨日改めて、橋本総理からシャリフ首相に対しましてパキスタンとしての最大限の自制を求めるという努力をしたところでございます。  また、さらに何をすべきかということにつきまして、米国その他関係国と緊密に協議をしているところでございます。
  89. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 須田審議官が米国と協議というお話でございますが、具体的にはどのような内容が米国との協議になりますか。
  90. 阿部信泰

    政府委員(阿部信泰君) パキスタンに対しまして実験を思いとどまるようにいろいろ努力するということで、政治的、経済的あるいは安全保障面における措置をいろいろ関係国で議論したわけでございます。もちろん、安全保障面につきまして直接日本がどうこうするということは難しいわけですけれども、政治的な面で、例えば国際的にインド・パキスタン間の問題についていろいろ働きかける、あるいは核不拡散という問題について国際的に動きを進めるというようなこと、あるいはパキスタンも大分難しい経済情勢にあるようでございますので、経済面でどういう協力ができるかというようなことを話し合っております。
  91. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 別な報道ですと、アメリカがパキスタンの方に対しまして、いわゆるF16戦闘機の引き渡し提案、核実験の断念を促すためのそういう動き、あるいはもう一つは核の傘案、これについても提起をしている、こういうことがございました。これはアメリカの動きでございます。  一方で、過日、我が国も訪問していただきましたダウナーさん、これはオーストラリアでございますが、核実験を見送りするならパキスタンの援助を倍増する、こういうことも明らかになっています。  今、経済的な支援等のお話がございましたけれども、何もオーストラリアの例を見習ってそのとおりやれという意味で私は申しているのではないんですが、具体的なそういった援助について日本として既に検討に入っているんですか。
  92. 阿部信泰

    政府委員(阿部信泰君) パキスタンといろいろお話をしまして私どもが受け取っておりますことは、パキスタンにおいて今実験をするかどうかということに関連しましては、パキスタンの安全保障上の脅威感というものが唯一最大の関心であるようでございまして、その間にあってパキスタンの経済をどうするのかということは議論はされておるようでございますけれども、それはやはり安全保障の次の問題ということでございますので、私どもとして経済的な協力をどうするかということはいろいろ考えておりますけれども、具体的にまたそのような話には進んでおりません。
  93. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 過日のインドの核実験でございますけれども、これはアメリカ自身もみずから認めていますように、情報の収集、察知について非常に怠ったということがございます。今回の場合は、パキスタン国内のインドの核実験に対しての動き、これまでの歴史的経緯でそれなりに敏感にアメリカも対応してきたということで、既に準備段階に入ったという情報も察知をしたのではないかというふうに思います。  過去インドは、きのうの報道でもはっきりしているとおり、言ってみれば核保有五大国が核軍縮に積極的ではないんだと、こういうことも言い、もう一つは情報面で言いますと、新しいインドの人民党政府というのは、ことしの三月に発足したときにはインドの安全保障と主権を守るために核兵器の開発を含むすべての選択肢を行使する、こういうふうに言っているわけです。ですから、行動は核実験ですけれども、いずれにしろそういうことを既に宣言をしていたわけでありまして、事前の準備対応というのは私はそれなりにできたのではないかというふうに思います。  パキスタンの例ですが、隣国のインドとの関係がございますけれども、やはり巧みな外交戦略をそれなりにパキスタンも使いながら経済的な支援をとかいうふうにします。また、インドとパキスタンは核保有国に対するこれまでの核軍縮政策について率直に言って非常に批判的なことも共通をします。  サミットで我が国の橋本総理がインドの核実験に対し抗議をし、核軍縮について話をしてきたということについては報告も聞いていますけれども、現に保有している核を廃棄せよと、こういうふうに主張をしていく。あるいは我が国を例にとって、中長期的に見て核の傘、このことについてこれからもそういうような国是をとっていくんだろうか、国策としてとっていくんだろうかということで、これから国際的にも日本の核政策に対して厳しい見方をよりしてくるんではないかというふうに私は思うわけでありまして、ここら辺の核政策の考え方についてもお聞かせいただきたいというふうに思います。
  94. 阿部信泰

    政府委員(阿部信泰君) 幾つかの点を質問いただきましたが、一つは、情報の点につきましては、インドの準備をなかなか察知できなかったということは、別に同情することはないんですけれども、数年前にインドがやはり実験をしようとした状況のときに、アメリカがこれを衛星情報で探知しましてインドに圧力をかけてやめさせたということがあっただけに、今度はインドはひた隠しにして準備を始めたようでございまして、そういう事情があったということがあるかと思います。  それから、BJPという政党が核政策の推進ということを綱領に掲げて選挙に勝ったということがありまして、我が国としてもこの点は大変に憂慮しまして、現地の平林大使からも早い時期から申し入れをしておりますし、総理の親書でも申し入れをしてきたわけでございます。  それから、インドなども、核兵器国がそもそも核軍縮を進めないということを指摘しているわけで、それは私どもも問題としては認識しておりまして、核兵器国にも核軍縮を働きかけておるわけでございますが、それがゆえに自分も核兵器国になるんだというのは全く納得のいかない理屈でございます。したがって、私どもはそこは納得いきませんということを申し上げております。  それからまた、実験をするに当たってインドの置かれた国際情勢ということを言っているようでございますけれども、これも私どもはそんな急にインドの置かれた状況が悪くなったというふうには理解できない、理解に苦しむということを申しております。  最後に、日本自身がそれでは核の傘のもとにあるではないかということはおっしゃられるとおりですけれども、これはやはり日本の置かれた非常に厳しい周囲の国際情勢、安全保障情勢を踏まえればやむを得ないことかと思います。その上で、日本としても究極的には核廃絶ということを目指しているわけでございまして、その中でこれは取り組まなければならない問題かと考えております。
  95. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 インドそしてパキスタンの大変気になる動き、危険な動きがございます。いずれにしましても、新たな核実験に口実を与えちゃいけないわけです。  ですから、すべての国が核廃絶に真剣に取り組む。アメリカに行ってパキスタンの実験を何としても思いとどまらせるという動きの中で、アメリカに対してもきちんと主張することは主張していくと同時に、私は日本自身がアメリカの核の傘についてきちんと断っていくということが本当の地球上からの核廃絶につながっていくと。そういう見通しを立てなきゃいけないわけで、被爆国ということでの国会の決議なりこれまでの私どもの核廃絶についての原点もそこにあるんです。  今の核五大国を含めまして、我が国のこれからの、冷戦が終わった後の日本の防衛体制はどうあるべきかということについてもきちんと中長期的な見通しに立った方向を出すべきではないか。それこそが本当に迫力ある核廃絶に向けての取り組みになるんではないかということを申し上げさせていただきたいと思います。  次に、先ほど角田委員からもお話ございましたように、今回の法改正でございます。  今回、いろいろ急な動きになったときは、個人としての判断もやむを得ざる行為としてそれもあるけれども、いずれにしましても上官の命令によって武器使用を行うと。これはどうも私は集団的、組織的という行動にほかならないというふうに思われて仕方がないんですが、いかがでしょうか。
  96. 茂田宏

    政府委員(茂田宏君) お答えいたします。  現行のPKO法の二十四条で、武器使用の目的というのは「自己又は自己と共に現場に所在する」我が国要員の「生命又は身体を防衛」といういわば自己保存のための必要最小限の武器使用ということに限ってあります。  今回の法改正案は、この点については何ら変更を加えず、これを維持するとした上でその一層の適正を確保するために原則として現場にある上官の命令によるとする改正でございます。  これが組織としての武器使用または部隊としての武器使用に当たらないかという御質問かと思いますけれども、これはそういうものには当たらないということであります。  というのは、自己保存のための自然権的権利の行使ということで、従来、個人がばらばらに武器を使用してもよいという制度になっていましたのを、この使用のあり方について、そこに統制をするということを目的とした改正案であるからであります。そして、この統制をする理由は、ばらばらな武器使用ではかえって危ない、かえって危険な状況が生じてくる、そういうことを防ぐということを目的としたものであります。
  97. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 だから、私はそのことが、後段の御答弁の組織的な、いわゆる集団ですよ、チーム、グループ、いろんな言い方がありますけれども、ばらばらになっちゃったらいろいろな出来事が起きるだろうからということで、集団的な行為あるいは組織的な行動じゃないんですかというふうに言っているんですが、その辺はいかがですか。
  98. 茂田宏

    政府委員(茂田宏君) 今回の統制された武器使用というのが集団的であるかという御質問であれば、これはある意味では集団的な武器使用であると言えると思います。ただ、これが任務を遂行するための部隊または組織としての武器使用であるかと言われますと、それはそうではないということかと思います。  現場にいる上官の命令に従って武器を使用するというのが今回の改正の眼目でありまして、現場にいる人が生命、身体の危険というのに遭遇した場合に、そこでの武器使用に一定の統制の要素を加えるために、そこにいる上官の命令に従うことを原則にするということでございますので、そういうことになろうかと思います。
  99. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 これはもういわゆる憲法で禁止されている武力行使に当たるかどうかということがずっと議論のベースになっている。これは言うまでもないと思うんです。これは区別されているんですね。長官もずっと答弁で、いわゆる憲法で禁止されている武力行使に当たるというふうには考えていないんだと。これはずっと議事録も読ませていただいています。  ところが、これはどう見ても武力行使、個人からさらに今度は集団、組織的ということになりますと、あってはいけないけれども万が一のためにと。だから、そういう万が一のためにこういう法律をつくっているわけでしょうけれども、これは日本国内ではないわけで、PKO部隊として目的地に行っているわけです。  どういう状況かというのはその国の状況なりいろいろな状況は違うでしょうけれども、私は、今回の上官の命令というのは、集団で何かあったときに行使をするということについては、もう憲法で禁止されている武力行使に抵触するとかしないとかというより抵触することに間違いないのではないかというぐらいに思うんです。  かつて、平成三年の九月二十五日に、PKO法案のときに憲法問題について工藤内閣法制局長官が、一番最初の方ですが、  我が国自衛隊が今回の法案に基づきまして国連がその平和維持活動として編成した平和維持隊などの組織に参加する場合に、まず第一に武器の使用、これは我が国要員等の生命、身体の防衛のために必要な最小限のものに限られる、これが第一でございます。  これは今回も同じですけれども、あとちょっと中間を省略しますが、  仮に全体としての平和維持隊などの組織が武力行使に当たるようなことがあるといたしましても、我が国としてはみずからまず武力行使はしない、それから、当該平和維持隊などの組織といわゆるそこが行います武力行使と一体化するようなことはない、こういうことでございまして、その点が確保されておりますので、我が国武力行使をするというような評価を受けることはない。 というふうになっていますが、組織として今度は上官の指示、命令によって行うということにすると、いわゆる武力行使をするということになるわけで、これは憲法で禁止されている武力行使に当たるというふうに理解するのは間違いですか、いかがですか。
  100. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 今般の改正法案は、これまで同様何ら憲法に違反するものではないと思っております。また、これまでの憲法解釈を何ら変更するものではないと思っております。  すなわち、政府は、これまでも自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体を防衛することは、いわば自己保存のための自然権的権利というべきものでありますから、そのために必要な最小限の武器の使用は憲法第九条第一項で禁止された武力行使には当たらないとしており、また、これまでも命令に基づく武器の使用に関して、例えば生命、身体の防護のためやむを得ない必要があるとき、集団的に行ったから憲法上問題があるということにはならない旨の答弁もしているところであります。
  101. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いや、そういうふうに思って御説明をしているだけであって、そうじゃないんではないんですかと、幾らお話ししてもそういう御説明というのは無理がありますよというふうに私は申し上げているつもりなんです。  今回の改正の経緯として、PKOの部隊がいろいろ出かけられて、帰ってきて激励会や御苦労さん会をやったときに隊員の方々から、やっぱり改正してほしい、改正してほしいとは言わないかもわかりませんが、武器使用のことについていろいろ意見があったんだ、こういうふうなことが一つと。  それから、実際に武器使用はまだ一度も事例はないということははっきりしていますね。一回もそういう使用の例はない。隊員の方々から、例がないんだけれどもやはり何か変えてほしいということがどうも余り結びつかないんですけれども、もう少し御説明していただけますか。
  102. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 確かに、今までに武器を使用した例はございません。しかしながら、先ほど事務局長さんからお話があったように、隊員が寝るときに絶えず銃声が聞こえたとか土のうを積んでだれかを立てて寝たとかそういうことはございます。  そして、今言われました、帰ってきた隊員等の話を聞きましたときに、いざというときに自分たち一人一人が判断してそれぞれで対処するというのは、苦痛だとは言いませんけれども、非常に心理的な圧迫を受けるという話は聞きました。組織として訓練されている自衛隊の隊員にしてみますと、やはりそういうときには隊長のあるいはまた上官のそういう命によって行動するという習慣がついているわけでございます。世界各国の例もそういうふうになっている。  そういうことで、自然権的権利を保護するために、これはやっぱりそこにおる上官の命に従ってやらせた方が統制がとれて一層の混乱を防ぐことになるんじゃないか、そういうことから、私どもとしてもこの際改正していただきたいということで提案しているわけでございます。  なお、先ほどちょっと言われました工藤長官の、組織として云々というのは、UNDOFならUNDOFという組織が武力行使するのに巻き込まれることはないという趣旨で述べられたのじゃないかと思います。私は今手元に持っていませんが、たしかそういうような趣旨で、我が国としては武力行使しないし、またその組織がやるときも我が国がそれに巻き込まれるようなことはないから憲法九条に抵触することはないということを、PKO法案として出したときに、この法律そのものはいわゆる法として憲法に触れるものではありませんということを言われたんじゃないかと思っております。
  103. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 衆議院でも我が党の議員がこの質問をしてもいつも同じ御答弁しかないんです。ですから、憲法に抵触しない、憲法で言う武力行使と、極めて平行線であるということを言わざるを得ないんです。多分、きょうこれをずっとやっていても同じ御答弁しか出ないのじゃないかというふうに思います。  残り時間がちょっとなくなりまして、いわゆるインドネシアの邦人救出に備えてシンガポールに待機させていた自衛隊のC130輸送機六機、それから海上保安庁の巡視船二隻、撤収を正式に決定しまして、自衛隊機がきょう午後到着される、巡視船は六月一日と。それぞれ従事された方は大変御苦労であったというふうに思います。  これまでも答弁で、空振りに終わることがいいことなんだと。これは今も変わらないと思うんですが、今回の邦人救出に備えての自衛隊あるいは海上保安庁の巡視船のそれぞれのいわゆる待機ですけれども自衛隊法百条の八の準備行為ということでこの六機については行っているんです。この準備行為というのは、邦人救出に向けた準備行為ということで百条の八を適用しているんですけれども、これは前回カンボジアのときのいろいろな事例の中で、外務大臣防衛庁長官のやりとりというのがあって、これは前回かかったことなんです。  しかし、この百条の八の中にも準備行為という規定はないわけですね。この法的根拠については私はあいまいなままではないかというふうに言わざるを得ないんですけれども、このことに関してはいかがですか。
  104. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 百条の八でそういうことができることになっております。要するに、ある行為ができることになっておりますとその前段階としての準備をすることはできるわけでございますので、要するに百条の八を根拠にしてその前のしかるべき準備をしたということでございます。
  105. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 準備行為という文言がなくても、百条の八でそういうふうに類推して解釈をするということですか。
  106. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、類推してということよりも、ある法を根拠に何かをすることができるということになっておりますと、その前のいろんなことはできるということになるわけでございます。  だから、その状況を調べるために人間を派遣することもできますし、そのためにまたいろんな物資を調達して準備をするということもできるわけでございますし、時間的に間に合わないと思ったらその近くまで行っておくということもできると、そういうふうに解したわけでございます。
  107. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 自衛隊法百条の八、これを読むと時間がもったいないですけれども、派遣することができると。これは前段行為でしょう、いわゆる準備行為ですから、そのことは百条の八には記されていないわけですよ、今度のことに関しては。ですから、私は根拠について不明確ではないですかあいまいではないですかというふうに言っているわけなんで、いかがですか。
  108. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 法律で何かをすることができるように書くときに、その前に準備するというかいろんなことを全部想定して、すべての行為を全部法定するかどうかはこれはまた立法政策の問題でして、やはり何かすることができるということをやっておる場合に、それ以前の手前のことをやっちゃいかぬということにもし解釈するとすれば、全く動きがとれなくなるわけでございますので、むしろ百条の八で行けるということになっているわけでございますから、そのための準備はできるというふうに解したわけでございます。
  109. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 あいまいだから今すぐ改正をしろということを言っているんじゃなくて、幾つか私も思いがあるんです。今回の場合でいえば、邦人救出にもっとチャーター便なり民間機なりいろいろ手配をきちんと前からしてやるべきであったということが基本にございます。今なお私の知り合いも、今回の邦人救出に対して、他国の例を示しながらいろいろ我が国対応について指摘している人もいます。それはそれであるんですよ。感謝している人もいるかもわからないですよ、それは当然のことながら。  それはそれでありますが、今度のいわゆる自衛隊の輸送機六機の問題については、自衛隊法百条の八をどういうふうに見たって準備行為ということについては出てこない、いわゆるあいまいなんですよ。あいまいのまま政府が解釈をして、そういうことを今もう実行しちゃっているんです。もう実行してきているのに、いやそれはあいまいですというふうに認めたら、あいまいなままやっちゃったということになるわけですから、これはやっぱり私は法的根拠というのは、規定に準備行為というのはない、私はそういう見解です、準備行為はないんだと。再度同じ御答弁になるんでしょうけれども
  110. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 何度も同じことを言って恐縮でございますけれども、あることができるということがその機能として与えられておりますと、その機能を発揮するためにいろんなことを準備しなけりゃならない場合にはその準備は当然できるというふうに思うわけです。
  111. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 実際、日本からシンガポールに待機させたわけでしょう。出動させたわけですよ。国内でいろんな機の点検とか何かやっているわけじゃないですよ、実際もう出ているわけですから。
  112. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 自衛隊機は海外に行ってはいけないという規定がもしあるとすれば、そういう場合だったら問題はいろいろあると思うんですよ。しかし、海外へ行くことは禁止しているわけじゃございませんで、要するに邦人救出に行くというようなことをするために例えば沖縄に待機するかシンガポールに待機するかと。それで、沖縄ならそれはよくて片一方のシンガポールだったらだめだというような、そういう何かがあれば準備行為については法律が要るかもしれませんけれども、そうではございませんので、どこに待機するかというのはその国の同意を得てそこにおるわけでございますから、それは法律上は問題はないんじゃないかと思っているわけです。
  113. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 時間ですので終わりますが、いずれにしろ私は、準備行為ということ自体が自衛隊法で言う百条の八、これでは明確になっていないということについて指摘をさせていただきまして、時間が来ましたので終わりたいと思います。
  114. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時七分休憩      —————・—————    午後一時開会
  115. 及川順郎

    委員長及川順郎君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  116. 高野博師

    高野博師君 それでは、午前中の質疑に引き続いて、若干インドネシアへの自衛隊機派遣の問題についてお伺いいたします。  その前に、周辺事態関連防衛庁長官国会は物を言えないというような表現を使われましたが、これは非常に重大な表現だと私は思っておりますが、これはどういうことを想定しているのか。国会が物を言えないということはもう議会制民主主義の否定につながると僕は思うんですが、一言見解を求めます。
  117. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 私の言葉に不適切な点があったようでございまして、物を言えないなんという表現は、本当にみずからを恥じるわけでございまして、訂正させていただきたいと思います。  ただ、先ほどの委員質問に対しまして私が述べました意思は、国会基本計画その他を出して承認した場合に、国会としてそれを承認しておりますとその基本計画に異議を唱えるということがしにくいんじゃないか、そういうことを申し上げたわけでございます。
  118. 高野博師

    高野博師君 それ以上追及しません。  インドネシアの問題で、自衛隊法の百条の八に基づいて準備行為ということで自衛隊機をシンガポールに派遣したんですが、午前中もこの法的根拠が明確ではないんではないかという質問がありましたが、長官の御説明というか答弁によりますと、この準備行為は非常にあいまいな表現というか答弁なんです。まず、これについてちょっと詳細に聞きたいと思うんですが、この準備行為は邦人救出という目的の中で何でも許されるわけではないと思うんですが、その準備行為の基準というものは何かあるんでしょうか。
  119. 太田洋次

    政府委員(太田洋次君) まず、私の方からお答えさせていただきます。  大臣から先ほどお答えしましたとおりでございますけれども自衛隊法の百条の八は、外国における災害、騒乱等の緊急事態に際しまして生命等の保護を要する邦人を本邦等の安全な地域へ避難させる必要が生じた場合、政府として適時適切に対応するための規定でございます。具体的には、防衛庁長官が外務大臣からの依頼を受けまして自衛隊の航空機により在外邦人の保護のために輸送を行い得ることとなっております。  今回のケースについて考えてみればよくおわかりいただけると思うんですが、現地の情勢が急変して緊急事態となったという場合に、この規定によります依頼を外務大臣が行う可能性があって、またその場合に、邦人輸送を行うのは非常に遠隔地でございます。航空機の速度、航続距離、任務地までの距離等を踏まえますと、緊急事態発生後本邦から出発したのではこの百条の八に定める任務の性質上その遂行が適切に実施し得ない可能性があると考えられます。  若干敷衍させていただきますと、今回、準備行為としましてC130六機がシンガポールに行きましたけれども、航続距離の関係で……
  120. 高野博師

    高野博師君 済みません、そういう説明は要らないんですが。基準があるのかと聞いているんです、準備行為の。
  121. 太田洋次

    政府委員(太田洋次君) 今私が説明しているとおりでございまして、実際の緊急事態に即応するために考えました場合に、本邦から直接行きました場合にはなかなか間に合わない場合があるということが一つございます。これは、航空機の性能、それから現地までの距離、そういうものがございますし、そういうこと等を考えました場合にはそういうものとして、準備行為として派遣し得るというふうに考えております。
  122. 高野博師

    高野博師君 よくわかりません。  それでは、この準備行為の中に政府が得意の地理的概念というのは入っているんでしょうか。
  123. 太田洋次

    政府委員(太田洋次君) ちょっと、地理的概念と申しますと。私、今申し上げましたのは……
  124. 高野博師

    高野博師君 じゃ、結構です。  地理的概念というのは、インドネシアで何らかの緊急事態が起きて邦人の救出に向かうというときに、中国とかイラクとかインドとかパキスタンとかに派遣できるんですか、準備行為という目的で。そこを聞いているんですよ。
  125. 太田洋次

    政府委員(太田洋次君) お答え申し上げます。  現在の百条の八につきましては、これは外国における災害、騒乱等という緊急事態という要件でございまして、この外国にはインドネシアまでとかそういう意味での制限はないというふうに考えられます。したがいまして、邦人の保護が必要とされるような国・地域での緊急事態に際してそういうものが行い得るというふうに考えます。
  126. 高野博師

    高野博師君 そこの線引きはどうやってやるんですか。
  127. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 結局そういう具体的な基準はないと思うんです。それで、やっぱりだれしもが見て、客観的に見て、合理的にこれは準備のために行っているということがはっきりするような状況でなければ、全く違うところに飛んでいって準備だと称するわけにいかぬわけでございます。しかしながら、緊急事態の場合に政府がやるわけでございますので、その辺は、政府の行動についてやはり御理解をしていただく、そういう突拍子もないことをやるわけじゃございませんので。  今回も、インドネシアかあるいはマレーシア、この辺でピストン輸送をしようというようなことがございまして、マレーシアよりはシンガポールの方がいいということで判断をしてシンガポールに待機をさせたわけでございますので、どうかひとつその辺御理解賜りたいと思います。
  128. 高野博師

    高野博師君 だから、そういう基準をきちんとつくるべきじゃないかと言っているんですよ。  そこで、この邦人救出という目的に反した場合には何らかの罰則というのはあるんでしょうか。
  129. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 罰則はもちろんございませんけれども政府責任の問題というのは出てくるわけでございます。そういうことについてやったことが妥当かどうかということでございまして。
  130. 高野博師

    高野博師君 それでは、準備行為の中での武器使用というのは認められるんでしょうか。
  131. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 百条の人そのものが武器の使用を従来前提としておりませんので、現行法でいうならば、その飛行機の中の警務官としての小火器、けん銃ですか、これはありますけれども、それ以外のことは認められておりません。
  132. 高野博師

    高野博師君 いずれにしても、準備行為に関するきちんとした規則をつくるべきじゃないかと思うんですが、そこはどうでしょうか。
  133. 久間章生

    国務大臣久間章生君) この邦人の輸送の場合でも、いろんな事態いろんなケースが違うと思うんです。だから、一つの規則をつくっております。とそれ以外のことはできないということになりますので、それがいいのかどうか。その辺の判断考えますと、やはり準備のために万全を期すということからいいますと、その規則を全部細かくつくることが適切かどうか、その辺は慎重にしなければならないと思います。
  134. 高野博師

    高野博師君 僕は、細かい規則をつくれと言っているわけじゃないんです。きちんとした原則を決めておく必要はないかと言っているんです。そこはどうでしょうか。
  135. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは外務省からの依頼を受けてやるわけでございますので、今回も外務省からも公文でいただきましたが、どういうふうな形でやったらいいのか。カンボジアのときは全くございませんでしたが、今回はそのマニュアルを一応つくりまして、外務大臣からの正式の文書をいただいて準備をするということをやったわけでございます。
  136. 高野博師

    高野博師君 それでは、そもそも今回インドネシアに自衛隊機を派遣したということについてその必要性があったのかどうかという議論の中で、総理大臣が、本当にむだでよかった、巡視船の派遣も含めてむだに終わってよかった、こういう発言をされているんですが、官房長官、同じような考えでしょうか。
  137. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 政府としては臨時便あるいはチャーター便で邦人脱出というか保護の問題で一生懸命やったのでございますが、万が一の場合に備えまして、民間機が行けないというような場合もありまして、事実、湾岸戦争のときには民間で行きましたけれども、労組の反対もございまして大変難儀をいたしました。  そういう万が一の場合に備えて、民間ができない場合には自衛隊機もお願いしようと。しかし、近くに行く、こういうことで危険度四まで上げたわけでございますが、けさ、三に落としました。自衛隊機あるいは巡視船の場合は、空港が使えなくなった、そのときは、インドネシアの各地域、広大なところでございますが、日本の船舶も毎日二十隻その他入港しておりますからこの方にもお願いをして、これで脱出方法を考えたと。  しかし、そういうような状況になりますと、また民間の船舶でもだめだということで、海上保安庁の巡視船をお願いいたしましてその付近に行くということで、それがそれぞれ六月一日には巡視船が那覇に帰ってまいりますけれども、これが使用されずに済んだということはよかった、こう思っているところでございます。
  138. 高野博師

    高野博師君 法的なきちんとした整備ができていないままに既成事実だけがどんどん積み上げられていくということに対して私は若干懸念を持っております。  そこで、今回のインドネシアの事態に対して軍隊を派遣した国はあるんでしょうか、近隣諸国も含めて。
  139. 内藤昌平

    説明員(内藤昌平君) お答えいたします。  インドネシアに滞在している自国民輸送のためにインドネシアに軍用機を派遣した国は、オランダとマレーシアの二カ国と承知しております。なお、近隣国に待機させた国は、私どもが直接確認したところでは米国の軍用機、台湾の軍用機、さらにシンガポール政府から聞いているところではイギリスと韓国が待機の交渉をしていたということでございます。
  140. 高野博師

    高野博師君 そこで、日本自衛隊機の派遣に対して近隣諸国では若干の懸念を抱いている国があります。僕は直接在京の隊員に聞きました。政府としてそういう認識はあるんでしょうか。
  141. 内藤昌平

    説明員(内藤昌平君) 緊急事態の際に軍用機で自国民を輸送するということは、アジアにおいて既にカンボジアの先例がございます。今回も、今申し上げた国以外にも、フィリピンも自国で軍用機を待機させておりました。そういう場合には各国とも軍用機を用意するというのが通常でございます。  それから、もちろん我が国の飛行機、軍用機といえども、航路上、上空通行許可あるいは着陸許可という形で関係国の事前の同意を取りつけておるわけでございます。
  142. 高野博師

    高野博師君 中国系住民が六百万人ぐらいいるということなんですが、この大半はインドネシアの国籍を持っているいわばインドネシア国民ですから、その救出という名目で中国は行動はできないと思うんです、内政干渉ということも懸念されますので。しかし、数万の自国民がいるという理解をしておりますが、例えば中国が人民解放軍を近隣まで送ったら日本政府はどういうとらえ方をされるんでしょうか。これは僕は中国人から聞いたんです。
  143. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 確かに、インドネシアには多くのいわゆる華人という方が存在していることは承知いたしておりますが、その救出のために今委員の御指摘のようなことは想定できかねることでございまして、仮定の問題なのでちょっとお答えすることはなかなか難しいと思います。
  144. 高野博師

    高野博師君 仮定の問題をきちんと議論しておくということが重要なので、まさに危機管理というのは仮定の問題であるわけです。仮定の問題だからこれは答えられないという話ではなくて、いろんなことを想定しておくことが重要なので、これは僕はきちんと議論すべきだと思います。  そこで、もし万一インドネシアに内乱が起きていてそこの政府が無政府状態だったときに、日本が民間機も出せない、そういうときに自衛隊機が行ったと。内乱でもし国が二分していた場合に、自国民の救出ということでほかの国もそこに救出に行った。そういう中で混乱が起きる可能性は十分あるわけです。そういうことも私はきちんと整理をしておく必要があるのではないかと思うんですが、官房長官、いかがでしょうか。
  145. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 今、先生おっしゃいました。いろいろなことも考えなきゃいけないと。しかし、今の指摘について、外務省やまた防衛庁等も、政府部内でも、こういう不測の事態にそういうことも、仮定の場合でも検討はしておかなければならない、こう思っております。  ただし、自衛隊機が行く場合でも、爆弾を積んで行くわけじゃなし、そういうものでございません。邦人保護ということで参るわけでございますので、その点はもともとおわかりと思いますけれども、そういう事態になったときにはどうするか。したがって、船ということも万が一に備えてやったわけでございます。  何しろ、旅行者が五千人、邦人の在留が一万三千人。そして、早かったか遅かったかといういろいろな批判もございます。中には戻ってきた人が、早くやってくれた、やや遅かったという状況もありますが、日本人学校の小中学生が八百五十人ですか、一晩道路が封鎖されてとめられた、あるいはストアの焼き討ちで二百名死んだ。それから急kとにかく臨時便を出したわけでございまして、全日空や日本航空に臨時便を出していただいて、わずか五日かそこら、一週間かからずに一万八千名が三千七百名までインドネシアを出たと。  私どもは、いろいろ御批判もあると思いますが、外務省あるいはまた防衛庁、そして運輸省、本当に危機管理監のもとに二、三日徹夜でやった。いろいろ御批判もあると思いますが、またこの経験を踏まえてこういう緊急の場合に備えていきたい、こう思っているところであります。
  146. 高野博師

    高野博師君 徹夜で仕事をされたことは多といたしますが、きちんと法的な問題も含めて整備をした上で、何かなりふり構わず行けというような感じでは僕はいかぬと思うんです。  今回は幸い順調にいったということでありますが、事態によってはいろんな混乱も当然想定されるわけで、そういうことも含めて私が一番懸念しているのは、自国民救出とかあるいは領土保全とか、こういう名目で過去にはいろんな戦争とか紛争が起きているわけであります。したがって、自衛隊機の派遣というのは法的根拠も含めていろんな政治的、軍事的な考慮をしながら、極力自制的であるべきだと思うんですが、この点は防衛庁長官、いかがでしょうか。
  147. 久間章生

    国務大臣久間章生君) おっしゃるとおり、自制的でなければいけないと思います。特にまた、近隣諸国等に与えるいろんな懸念もないようにしなければならないわけでございます。  したがいまして、自衛隊法では、百条の八でも、外務大臣がそういうのを総合的に判断して防衛庁長官に要請をして、その依頼を受けて出すということにしておりまして、こういうのもやはり自制的な一つのあらわれでないかというふうに思っております。
  148. 高野博師

    高野博師君 それでは、周辺事態の問題についてお伺いいたします。  けさの政府答弁でも、日米安保条約の枠を超えない、それから地理的概念ではない、事態の性質に着目するんだと、これは一貫して言っているんですが、今回のこの日米安保条約の枠を超えないということについて若干お伺いしたいと思います。  そこで、まず防衛庁長官に、日米安保条約の枠を超えないと言っていますが、日米安保条約には地理的概念が含まれているんではないでしょうか。
  149. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 地理的概念が含まれておるのは事実でございます、安保条約の中に極東という言葉が入ってきておりますから。しかしながら、極東の平和と安全のためにというときになってまいりますと、その辺の今度は地理的概念も割とどこまでかということになってくるとはっきりしていないわけでございます。極東の平和と安全のために米軍が活動する、そのときにいわゆる施設を利用するということになっておりますので、その辺のいわゆる外側については非常に不確かな分野があるんじゃないか、はっきりと一線を画することはできないんじゃないかなと、そういうふうに思っているわけです。
  150. 高野博師

    高野博師君 長官の今おっしゃられている外側というのは地理的概念そのものと違いますか。それは大変矛盾した答弁だと思いますが、どうでしょうか。長官に聞いているんです、長官に。
  151. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 日本の平和と安全のためにという言い方と同じように、極東の平和と安全のためにという言い方になってまいりますと、これは地理的概念だけなんだろうかと。地理的概念も非常にあるかもしれませんけれども、それ以外の要素もその辺は入っているのじゃなかろうかと、そういうような気がいたしまして、日米安保条約地理的概念だけでとらえているんだろうかと、そういう気がするわけでございます。  だから、そういうふうな気持ちを率直に、私は、第六条の極東の——極東はわかりますけれども、極東という言葉地理的概念ですけれども、極東の平和と安全のために活動するといいますと、これは地理的概念だけではないんじゃないか、そんな感じがするわけです。
  152. 高野博師

    高野博師君 それはちょっと問題のある答弁だと思うんです。まさにいろんな議論があった中で、極東というのはどこまでかということをきちんと明確にしたのと違いますか、この日米安保条約の中では。しかし、平和と安全ということだとそれを超えるという可能性もあるという今のお話ですね。それはもう重大な話じゃないでしょうか。
  153. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 三十五年当時のその統一見解を読ませていただきましても、米軍が活動するのは極東だけではないんだという表現をしているわけです。極東の平和と安全のために活動するというんだから、極東だけでなくてその周辺、だから極東周辺という言葉が出ますけれども、極東周辺という言葉安保条約の中には正式には書いていないわけです。極東の平和と安全のためにということでそういう活動をするわけでございますから、そのときにその活動地理的概念がきちっとしているかというと、必ずしもそれはそうじゃないんじゃないかと思います。もし私が間違っておればいけませんので、外務省の方から御答弁してもらいますけれども、私はそういうふうな理解をしているわけでございます。
  154. 高野博師

    高野博師君 今の長官答弁に対して外務省見解を求めます。
  155. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 質疑者に注意をいたします。それから答弁の方にも御要請申し上げます。  私が指名してから発言してください。
  156. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) ただいま防衛庁長官から御答弁がありましたとおりでございます。  ちょっと補足させていただきますと、恐らく関心は、安保条約で言われております極東ということとの関連で、三十五年の統一見解の中にあります。その周辺の地域の範囲ということではなかろうかと思います。  これについては、もう委員の方々御承知のとおり、安保締結の当時からいろいろ議論国会の中でございました。特に昭和五十五年の議論とか、それから最近では、先年の湾岸戦争のときにやっぱり極東の周辺ということについての議論がございました。そのときに改めて政府の方から御説明を申し上げております。これは従来から申し上げているとおりでございますけれども、ちょっとよろしゅうございますか、その点を御説明申し上げて、時間の関係で。  その当時、これは柳井条約局長答弁でございますけれども、   極東の周辺地域という概念につきましては、安保条約自体がかる概念を用いているわけではございませんが、昭和三十五年二月二十六日の政府統一見解は、極東の区域に対して武力攻撃が行われ、あるいはこの区域の安全が、周辺地域に起こった事情のため脅威されるような場合に、米軍がこれに対処するためとることのある行動の範囲は必ずしも極東の区域に局限されないということを述べているわけでございます。  このような周辺地域がどこかということにつきましては、極東の区域に対する攻撃または脅威の性質いかんにかかるものでございまして、あらかじめ特定しておくことはできない次第でございます。   しかしながら、それでは世界じゅうの、そのすべての地域が極東の周辺地域となるということを安保条約が予想しているかといえば、もちろんそのようなわけではないわけでございます。むしろ実際の問題といたしましては、この極東の安全に脅威を与え、したがいまして、米軍の行動の範囲との関連で問題となるような極東の周辺地域にはおのずから限界があろうということは、従来から御答弁申し上げておるとおりでございます。  このように当時答弁しているところでございます。
  157. 高野博師

    高野博師君 長官の先ほどの極東の平和と安全という問題は、この極東周辺、どうもそこのところがよりあいまいに、今までの何かもとに戻ったなと、議論が。最近やっとわかりやすくなってきたなと思ったら、またわかりにくくなった、そんな印象を私は持っているんですが、今のお話だと、日米安保条約の枠を超えないということにはならないんじゃないでしょうか。今まで政府周辺事態について説明してきたこの平和と安全という説明の仕方と違うんでしょうか、そこのところは。
  158. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今度のガイドライン我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合でございます。安保条約は、先ほど言いましたように、極東における国際の平和と安全のためにと言っているわけでございますから、そちらの方が広い概念でございまして、私どもは、日本の平和と安全に重要な影響を与える場合という事態でとらえておりますから、非常に何といいますか限定されておるというような考え方でございますから、決して超えるものではない、安保条約の枠内であるというふうに思っております。
  159. 高野博師

    高野博師君 そうすると、極東有事よりも限定的という理解ですね。極東有事と周辺事態というのは同じではないんですね。
  160. 佐藤謙

    政府委員(佐藤謙君) 安保条約とこの今回のガイドラインとの関係、若干補足させていただきたいと思います。  まず、安保条約につきましては、今回のガイドライン関係で、安保条約及びその関連取り決めに基づく権利及び義務については変更がないということと、それからもう一つは、今回そのガイドラインとの関係国会提出させていただいております。辺事態安全確保法、この三条の第一項に規定してございますように、この後方地域支援につきましては、「周辺事態に際して日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の目的の達成に寄与する活動を行っているアメリカ合衆国の軍隊」ということで、要するに、日本のこの後方地域支援の対象となる米軍は安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っている米軍ということで、その点におきまして安保条約の枠内の内容になっている、こういうことでございます。
  161. 高野博師

    高野博師君 説明を聞くほどわからなくなってくるんですが、日米安保条約の枠を超えないということであれば、極東有事の枠内に周辺事態は入ると考えていいんでしょうか。簡単に答えてください。
  162. 佐藤謙

    政府委員(佐藤謙君) 簡単に申しますと、枠内ということですが、枠内ということは、安保条約権利義務を変更していないということと、それからもう一つ、今回のこの措置に基づきます後方地域支援等米軍との協力関係、ここにおきまして、その米軍は安保条約の目的達成に寄与する活動を行っている米軍、こういうことになっているわけでございます。そういった意味安保条約の枠内にあるということでございます。
  163. 高野博師

    高野博師君 僕が聞いているのは、極東有事の枠内にあるかと聞いているんです。そこだけ答えてください。
  164. 佐藤謙

    政府委員(佐藤謙君) その点につきましては、我が国周辺地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態周辺事態でございます。その周辺事態に際して、米軍に対する後方支援を行う場合、その対象たる米軍は安保条約の目的達成に寄与する米軍である、こういうことで安保条約との関係といいましょうか、それが結びついている、こういうことだろうと思います。
  165. 高野博師

    高野博師君 日米安保条約というのは冷戦時代に結ばれた条約で、まさに冷戦時代の産物であるわけです。その枠を超えないという考え方は、今まで政府は、冷戦後の新しい国際情勢に対応して、そしてアジア太平洋の平和と安全のために新しいガイドラインをつくった、新しい枠組みをつくった、体制をつくったと、こう言っていたんじゃないでしょうか。だから、日米安保条約の枠を超えないという発想は冷戦時代の思考そのものと違うんですか。
  166. 佐藤謙

    政府委員(佐藤謙君) 新しい国際環境、安全保障環境の中でこの安全保障体制というものをどう考えるかということにつきまして、冷戦後におきましても我が国の安全、それから地域の平和と安全の確保、こういう観点から日米安全保障体制、これを充実していく必要があるということで我々は考えておるわけでございます。  そういう中で、今回、防衛協力のためのガイドラインということで取りまとめたわけでございまして、冷戦後の現在の国際環境のもとにおける安保条約、安保体制、これの意義ということは我々は重要なものと、こう認めた上で今回の対応をしているわけでございます。
  167. 高野博師

    高野博師君 しかし、日米安保条約の枠を超えないという言い方そのものはまさに日米安保条約そのものなわけで、後方支援云々という話もありますけれども自衛隊の行動そのものはかなり拡大されているわけですね。これは違いますか。日米安保条約の枠内での行動と新しいガイドラインのもとにおける自衛隊の行動というのは、後者の方がかなり拡大されているという理解をしているんですが、そうと違いますか。
  168. 佐藤謙

    政府委員(佐藤謙君) 安保条約とそれから安保体制につきましては今御説明したところでございますけれども自衛隊活動ということでは、今回の周辺事態安全確保法におきましても、米軍に対します後方地域支援でございますとかあるいは船舶検査でありますとか、従来にない新しい活動についての法的措置ということも御提案しているところでございます。
  169. 高野博師

    高野博師君 まさにそこのところが、自衛隊の行動が拡大されているということが日米安保条約で言っている権利義務を超えているんではないかという私は理解をしているわけです。だから、日米安保条約の枠内、日米安保条約の枠を超えないという言い方はおかしいんじゃないかと。そこはどうですか。
  170. 佐藤謙

    政府委員(佐藤謙君) あくまでも安保条約権利義務というのは変更されていないわけでございますし、それから自衛隊の後方地域支援を対象といたします米軍につきましても、先ほど申しましたようなことで安保条約の枠内の米軍でございますので、先生がおっしゃっているようなそういったことではないのではないかと私は思いますが。
  171. 高野博師

    高野博師君 この続きはまたやりますが、政府答弁にはどうも矛盾がある、そういう私は認識をしております。  それでは、時間の関係もあるので、PKOについて若干お伺いしたいと思います。  私も本会議でこの質問をしておりまして、それに対しての総理答弁もいただいているんですが、若干確認をさせていただきたい。武器使用についての法改正を必要とする具体的な事例について、これは本会議でも聞いたんですが、これはないと。けさの答弁の中でもそういう具体的なケースはないと。そこで、個人の判断に武器の使用をゆだねるというのは、けさの答弁でも、個人にとって大変な負担になる、こういうことを言っておられるんですが、これは上官だって相当の負担になるわけですが、その上官というのはこういう事態に備えての訓練を受けているんでしょうか。
  172. 太田洋次

    政府委員(太田洋次君) 通常、武器の使用につきましては、まさに自衛隊の任務上中核的なものでございまして、これは教育の場、訓練の場で常時、個々の隊員、それからその隊員を指揮する者、それぞれについてそういう訓練は常日ごろから行っております。
  173. 高野博師

    高野博師君 日本自衛隊というのは実戦の経験が全くないわけです。そういう中で、停戦状態にあるとはいっても、そういう地域というのは非常に異常な状況、異常というか普通の心理状態ではないような状況に置かれる可能性が十分あるわけです。そういう中で、正常な判断ができる上官だという前提だと思うんですが、そういう判断ができなくなるような状況のときに歯どめがきく方法は何かあるんでしょうか。これは官房長官、いかがでしょうか。
  174. 太田洋次

    政府委員(太田洋次君) まずお答えします。  先ほど申しましたように、隊員個々人もそれから個々の隊員を指揮する指揮官も、それぞれの立場で適正な判断ができるような訓練を日ごろからしておりまして、その点については御心配をいただくということしか申し上げられません。
  175. 高野博師

    高野博師君 それでは、個人の武器使用が部隊としての統制を欠くとかあるいは混乱を招くことがあり得ることが感得された、こういう話なんですが、けさの質問にもありましたけれども、感得というのは非常に感覚的なとらえ方であって、科学性とか実証性とか、そういうことに欠けるんじゃないでしょうか。これはどうでしょうか。
  176. 茂田宏

    政府委員(茂田宏君) お答えいたします。  感得されたというのは、カンボジアでの国際平和協力業務の隊と、それからルワンダにおける難民救援国際平和協力業務の際に特に感得されたわけでございます。  これは、このときの状況について午前中の質疑でも御説明いたしましたが、カンボジアにおきましては、選挙が近づくにつれまして治安状況が悪化してきまして、武器の携行と防弾チョッキ及び鉄帽の着用のほか宿営地における土のう積み等、所要の措置を講じたということを申し上げました。ルワンダにおきましては、宿営地や給水所付近の警備に関してザイール軍の支援を受けたほか、部隊として防弾チョッキ及び鉄帽の着用を実施したと。夜はほとんど銃声が聞こえないことはないというような状況におきまして土のう積み等を行ったということでございます。  こういう治安状況を踏まえまして、仮に実際に武器を使用せざるを得ない状況に至っていた場合を想定いたしますと、統制を欠いた武器の使用により、かえって自衛官等の生命、身体に対する危険あるいは事態の混乱を招くことになることが感じ取られたということでございます。  それから、感得というのは漠然としているという御指摘かと思いますけれども、これはそういう危険がいわば知覚され、感じ取られたということでございます。
  177. 高野博師

    高野博師君 僕はそんな長い答弁を求めているのではありません。  要するに、そういう感覚的なとらえ方じゃなくて、実証性と科学性がないんじゃないか、こう言っているんですよ、根拠が弱くないかと。
  178. 茂田宏

    政府委員(茂田宏君) この武器使用の問題についての点というのは、国際平和協力隊の隊員の生命、身体の安全にかかわる大変重要な問題であります。したがって、この安全の問題については、いろいろな要素を勘案して万全の体制をとるべきであるということでございます。
  179. 高野博師

    高野博師君 もう一つ、武器が適正に使用されたかどうかということを客観的にどうやって判断するんだということを本会議でも質問したんですが、総理は、「適否を事後的に第三者が判断することも可能だ」と、こう言っているんです。そういうことも可能でしょうが、このニュアンスだとそうでないこともあり得ると、そういうとらえ方ができるんですが、そこのところはどうなんでしょうか。
  180. 茂田宏

    政府委員(茂田宏君) PKO法第二十四条に規定する武器使用の要件を満たすか否かということに関しましては、具体的局面に即して、第一義的にはその現場において判断すべきものでありますけれども、その判断は主観的な判断じゃなくて個々の具体的な状況に応じて武器を使用する必要性が客観的に認められるものでなければならないというふうに考えております。  したがって、そういう客観性を持つ判断であるという観点から、その適否を事後的に第三者が判断することも可能であるということを総理から御答弁申し上げた次第であります。  ただ、このときに、事後に第三者が判断できない場合があり得るという趣旨を述べたものではございません。
  181. 高野博師

    高野博師君 そんなことは言えるんですか。要するに、第三者が見ていないわけですね。その部隊が報告をしたときに虚偽の報告をすることだってあり得るんじゃないでしょうか。適正に使われたとは言えない事態があり得ないかそこを聞いているんです。
  182. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは現行法の法律のもとでも、個人個人がそう判断してやったということになりますとそれは同じことでございます。それよりも、上官の命に従った方がより客観性は確保できるんじゃないか、そういう気がいたします。  しかしながら、そういう極限の問題としては、現行法においても今度改正された法においても、どうやって、適正であったかどうかを事後的にチェックする方法はどうなんだと言われますと、完璧なものは、これはケース、ケースが違いますのでこの場で委員の御指摘に対して確たる答えは今のところできないわけでございますが、その問題は現行法の、現在の条文でもあるんじゃないか、それよりは今度の場合はより一歩進むんじゃないかなというふうな感じを持っております。
  183. 高野博師

    高野博師君 わかりました。  それでは、防衛庁の装備品の過大請求疑惑問題、これはまた別途当委員会で集中的に審議することになっておりますので、若干、会計検査院も含めてこの問題についてお伺いいたします。  東洋通信機以外にニコー電子とかほかの防衛四社ですか五社ですかそれの水増し請求との関連で、これは新聞によると、中途確定契約の総額が百二億円隠ぺいされていたと、そういう報道がありますが、これについては事実関係はどうなんでしょうか。
  184. 鴇田勝彦

    政府委員(鴇田勝彦君) 四社事案関係の契約の内訳でございますが、調達実施本部が契約をしております。その契約の内訳で申し上げますと、一般確定契約、これは件数で千三百三十五件、それから監査づき契約、これはまさに今委員が言われたヰ途確定契約でございますが、これが八十件、ウエートにいたしまして九四%強と六%弱でございます。
  185. 高野博師

    高野博師君 それでは会計検査院にお伺いいたしますが、この問題については会計検査院は全く知らなかったんでしょうか。
  186. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) この四社の問題につきましては、過去、平成五年から七年の間に防衛庁からこういう処置をしたという報告は受けております。
  187. 高野博師

    高野博師君 ということは、特別の対応、調査はしていなかったということですね。
  188. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 特にこの件に関して検査をしたということではございませんけれども、会社側におきましては一応お話をお聞きしたということですけれども、原価等の資料の保存等が十分でないということから事実の解明は大変困難であったということでございます。
  189. 高野博師

    高野博師君 資料等がなくて事実の解明が困難だと、それは重大な話じゃないでしょうか。こんな百何億円も隠ぺいされたとかという話の中で、資料がないというのはどういうことでしょうか。
  190. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 今の百三億の主なものは東洋通信機の関係だと思いますけれども、東洋通信機に関しましては当時検査をしておりませんので、その辺の確認が十分できておりません。
  191. 高野博師

    高野博師君 会計検査院は、防衛庁の全体の予算のチェック等についてはどういう調査をやっているんでしょうか。
  192. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 防衛庁が調達しております装備品等の検査に当たりましては、現在、防衛検査第一課、第二課、第三課の約六十名の職員で毎年相当の日数をかけて行っております。  検査に当たりましては、調達実施本部におきましては当局が収集しました原価計算に関する資料等をもとに調達価格の妥当性について、また発注先であります会社の製造現場におきましては発生工数の把握、部品材料の調達の実態調査あるいは仕様書と製造品との突合などを行うこととしております。  そして、これらの検査の質的向上を図るため、職員に対しまして簿記等専門分野についての研修の充実に努めているところでございます。その結果、装備品等の調達につきましても過去に種々の指摘を行っておりまして、例えば平成七年度の指摘事例といたしまして、「航空自衛隊のレーダー基地等の光伝送装置に使用する光ファイバケーブルに係る積算を適切なものとするよう改善させたもの」がございます。
  193. 高野博師

    高野博師君 そのレーダー基地の、適切でなかったというのはどういう指摘でしょうか、中身は。簡単に説明してください。
  194. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 防衛庁仕様ということで特別な光ファイバーケーブルを使ったわけでございますけれども、実際には市販品で十分間に合うということで、今後、防衛庁としては市販品を使用するということに改善したという事態でございます。
  195. 高野博師

    高野博師君 そうすると、防衛庁仕様ということで特別につくったんだけれども実際には市販されていたということですね。
  196. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) それまでは防衛庁仕様ということで特別に仕様をつくっておりましたけれども、私どもの検査の結果、そのものは別に防衛庁仕様でやらなくてもいい、十分市販品で間に合うということでございます。
  197. 高野博師

    高野博師君 ちょっとそこは気になるんですが、そうすると防衛庁仕様の方が市販品よりも安かったんですか、高かったんですか。
  198. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 防衛庁仕様でやった方が高く、市販品でやればこれだけ節減できたという指摘でございます。
  199. 高野博師

    高野博師君 どのくらい節減できたんですか。
  200. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 約三千万でございます。
  201. 高野博師

    高野博師君 三千万。これは後ほど調査させていただきます。  防衛庁の関係で公益法人、この前も若干質問させていただきましたが、防衛施設周辺整備協会というのがありますが、これは年間四十四億円以上の補助金を国からもらっております。この財団法人の役員のうち、理事長一人、専務理事一人、常務理事三名、これはすべて防衛庁出身であります。  そこで、理事長は年間一千二百万の給料をもらっている、専務理事は千八十万、常務理事は九百七十万ということでありますが、補助金をもらっていて、天下りをした防衛官僚がそこで役員をやっているということは、これは問題ありませんか、会計検査院に伺います。
  202. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) ただいま先生が御質問になられましたのは防衛施設周辺整備協会ということでございますけれども、私どもといたしましては、この補助金が予算補助ということで計上されているということがございます。  申しわけございませんけれども、今の施設協会につきましてはちょっと調べておりませんけれども自衛隊援護協会の方でよろしいでしょうか。
  203. 高野博師

    高野博師君 ちょっと待ってください。  では、援護協会の方について聞きますが、この周辺整備協会については別の機会質問いたします。  自衛隊援護協会という財団法人があるんですが、これは補助金を平成八年度は五億四千八百万円国からもらっていますが、この主な仕事は退職した自衛官の職業のあっせんということであります。この役員の中に元調達実施部長が理事長としている、常務理事二人、これは元自衛官の第三師団長云々とありますが、この調達本部というのは相当影響力があるんだなという印象を私は持っております。  そこで、この三人の年俸が四千万、一人当たり一千三百万と膨大な給料をもらっているんですが、補助金の九五%は人件費になっております。人件費を国で払っている。理事が全部で二十七名、監事一人、職員七十四名、この人件費を補助金で賄っている公益法人というのは、これは本来の民法第三十四条で言う不特定多数の公益を図る公益法人の目的にはそぐわない、どちらかというと防衛庁と自衛隊の互助会的な役割をしているわけであります。その中で天下った役員が膨大な給料をもらっているということは、相当問題があるのではないでしょうか。しかも、それは補助金で賄われているわけです。そこはどうでしょうか。
  204. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 大変失礼しました。  この補助金につきましては、昭和五十四年から予算補助として計上されているものでございます。自衛隊援護協会につきましては、最近では平成八年に検査をしております。その際、この補助金は、ただいま先生御指摘のとおり人件費が大半であるということから、その支給状況あるいは精算等が適正に行われているかについて重点的に検査したところでございますが、特に指摘した事態はないということでございます。
  205. 高野博師

    高野博師君 全然わかっていない話でありまして、退職後の防衛官僚の生活保障をこの公益法人がやっている、要するに補助金で賄われているということに問題はないかと言っているんです。国民がそれで納得するのかどうか。要するに税金で、退職した防衛官僚が膨大なというか大金を、給料をもらっているという、この公益法人はこれでいいのかと。
  206. 坂野興

    政府委員(坂野興君) 御指摘の現在の援護協会の件でございますが、自衛隊は御案内のように精強性を維持するという必要性がありますので若年定年制を採用しております。また、一部は任期制の隊員もいるわけでございますが、こういった自衛官は定年または任期満了により若年にして定年せざるを得ないという状況がございますので、これらの自衛官の退職後の生活基盤の確保などのために就職援護が必要でございまして、こういった就職援護を主とした任務とするということで援護協会があるわけでございます。
  207. 高野博師

    高野博師君 時間が来ましたのでこれで終わりますが、自衛官の精強性を確保するためにこういう団体が必要だという必要性はわかります。しかし、天下った役人がこんな給料をもらっていて、それが税金で賄われていいのかという、そこのところを僕は問題にしているのであります。
  208. 坂野興

    政府委員(坂野興君) やはり自衛官の就職の開拓ということでございますと、自衛隊の実態をよく知っている者が一番適しているという面もございますので、その点についての事情も御理解いただきたいというふうに思います。
  209. 高野博師

    高野博師君 理解できませんが、これで終わります。
  210. 田英夫

    ○田英夫君 PKO協力法の改正案について、朝から質疑の中でしきりに出てくる言葉ですが、自己保存のための自然権的権利と。大変難しい言葉が前回のPKO法のときから出てきているわけですが、今回しきりにこれが使われるということですから、これのまず定義をして意味を言っていただきたいと思います。
  211. 茂田宏

    政府委員(茂田宏君) お答えいたします。  自然権というものにつきましては、これは有斐閣の法令用語辞典というものの定義ですけれども、自然法によって各人が生まれながらに有する権利であるということで、「近代自然法思想に基礎をもち、国家に先だち、国家によっても侵されない超実定法的な権利」という定義がございます。  この内容に関しましては、自由権ですとか平等権ですとか所有権等も含まれるというような説もございますけれども、そういう権利として、自己保存または自己防衛の権利というのは典型例であるということで、これはいろいろな書物によって認められているものでございます。  この法案との関連で言いますと、PKO法第二十四条の規定に言います、自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体を防衛するための必要最小限の武器使用の権利というようなものは、自己保存のための自然権的権利というものに当たるというふうに判断しております。
  212. 田英夫

    ○田英夫君 辞書まで引いて大変苦労してつくられた言葉周辺事態というガイドライン言葉日本人にとっては耳なれない言葉なんですけれども、大変苦労してつくられたことはわかりますけれども、自己保存なんですからこれは個人なんです。個人個人の今言われたようなそういう自然権の権利だと。あくまでも個人なんですから、現行法といいますか今までのPKO協力法の武器使用のところの規定の根拠として言うならば、これを理屈づけの上で、賛成じゃありませんけれども、通るかもしれない。ところが、今回それはそれとして原則として維持しながら、上官の命令という格好がそれに加わってきた。となると途端に矛盾が生じるんじゃないかと思うんです。  というのは、あくまでも個人なんですから、上官というのは自分じゃありませんから、例えば兵隊さんからすれば命令する上官というのは自分じゃありませんから、自分は自己保存しようと思っているけれども、上官は人格が違うんですから、その命令によって自己保存をするというのは明らかに矛盾することになる、こう言わざるを得ないんです。そこはどう説明するんですか。
  213. 茂田宏

    政府委員(茂田宏君) この自然権的権利が、田先生御指摘のとおり個人に発するものであるということについてはそのとおりであります。個人に発する権利であるから、生命、身体の危険が出てきた現場において、その個人の判断で武器を使用するべきだというのがPKO法が成立したときの考え方でございます。  その後、PKOに何回か参加をしてきまして、そういう個々人がばらばらに判断して武器を使用するということであると、かえって危険が増大することがあるということでございます。そこで、そういうかえって危険が増大するのを防ぐために統制のとれた武器使用を導入する方がいいのではないかというのでこの改正法案を提案させていただいたということでございまして、権利の発するところが個人であるということは変わりません。ただ、そのやり方、生命、身体を守るやり方に関して統制をとってやった方がより適正であるという判断をしたわけでございます。
  214. 田英夫

    ○田英夫君 これは議論すると際限がないみたいな感じがするんですけれども、一人一人の人間の自分を守ろうというその権利、これはそれで成り立つんです。ですから個人で判断して武器使用をすると。ところが、これじゃかえって危ないということもわかりますよ、私も軍隊の経験がありますから。第一、物すごく怖いですよ。いつ弾が飛んでくるかわからないという状態の中で怖い人はすぐ撃っちゃいますよ。それで混乱が起きるというその意味はわかる。ところが、上官の命令という、部隊として集団として行動するということを前提にして命令があるわけですから、そういう状態を認めながら理屈は個人だというのは明らかに矛盾なんです。  ちょっと方向を変えて、上官と法律には書いてある、今度の改正案には。指揮官というのとは違いますか。
  215. 茂田宏

    政府委員(茂田宏君) 私の理解では、上官とここに書いてあります意味は、指揮命令系統の中で上位にある者という意味でございます。そして、指揮官といいますのは、例えば連隊なら連隊長、中隊なら中隊長、小隊なら小隊長、これが連隊、中隊、小隊、大隊でもいいんですけれども、指揮官である、そういうことが通常であろうと思います。  この法律改正案で想定している事態といいますのは、例えば二人でトラックを運転して物資輸送をしている、そこでその二人に対する生命、身体の危険が生じてきたというときに、その二人のうちの指揮命令系統の中で上位にある者が統制をとって武器を使用するということでございます。そういう意味では上官と指揮官とは少し違うというふうに思っております。  ただ、部隊が一カ所にいまして部隊全体が生命、身体の危険に遭遇した場合、そのときにはその際の上官というのは部隊長になりますでしょうから、その場合には一致するということになると思います。
  216. 田英夫

    ○田英夫君 茂田さんはお若いから軍隊の経験はないでしょうけれども、私は海軍にいましたけれども、海軍ではそれは先任と言うんです、先に任ずると書いてね。つまり上の者です。二人でも三人でもいたら先任者が命令するということになるんです。今言われたのは自分で矛盾を露呈しておられるような感じがするんですが、きょうだけでこの議論は終わるわけではないと私は信じていますから、次回の委員会でもまたこのことを議論したいと思います。  それでは全く方角を変えて、自分で判断してそれぞれでその上官の命令でやるという行動と、任務遂行のために武器を使うということとの違いはどういうところにありますか。
  217. 茂田宏

    政府委員(茂田宏君) これは目的において違いがあるということでございます。  国連のPKOに参加した部隊の武器使用に関しては、PKO法成立当時にもいろんな議論がございましたけれども、いわゆるaタイプの武器使用とbタイプの武器使用というのがございます。aタイプというのは自己を守るための武器使用、bタイプというのは任務遂行妨害排除のための武器使用でございます。この二つは、任務遂行の場合も含めまして目的が違うということでございます。
  218. 田英夫

    ○田英夫君 任務遂行のための武器使用というのは憲法に違反しますね。
  219. 秋山收

    政府委員(秋山收君) ただいまの御質問でございますが、先ほどPKO事務局から御説明ありましたとおり、一般に国連の平和維持隊につきまして武器使用が認められているわけですが、自衛のための武器使用を認めると。それが二つのタイプに分かれて、一つは要員の生命等の防護のための武器使用、それからもう一つが任務の遂行を実力をもって妨げる企てに対抗するための武器使用、これも国連では自衛のための武器使用ということで概括しております。  ところで、平成三年九月二十七日に、衆議院のいわゆるPKO特別委員会に、政府が「武器の使用と武力行使関係について」の統一見解を出しております。それで、「一般に、憲法第九条第一項の「武力行使」とは、我が国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいい、」としているところでございます。また、同じ統一見解におきまして、「憲法第九条第一項の「武力行使」は、「武器の使用」を含む実力の行使に係る概念であるが、「武器の使用」が、すべて同項の禁止する「武力行使」に当たるとはいえない。」としているところでございます。  お尋ねの任務の遂行を実力をもって妨げる企てに対抗するための武器使用があったときに、これが憲法九条一項で禁止された武力行使に当たるかどうかは、ただいま述べました武力行使の定義、すなわち「我が国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為」というものにその行為が該当するかどうかということをやはり個別の事例に照らして判断するということになろうと思います。すなわち、このような武器使用はその状況によっては憲法の禁ずる武力行使に該当することも多いと存じますが、それに該当しない場合もあり得るというふうに考えております。
  220. 田英夫

    ○田英夫君 私はPKO法の改正の問題を話しているんで、論じているんです。伺ったのは、PKOで任務遂行のために武器を使用したらそれは憲法違反ですかということなんです。
  221. 秋山收

    政府委員(秋山收君) ただいま私が申し上げたお答えの中にそのことも含まれると思いますが、それが今申し上げました九条一項の武力行使、すなわち「我が国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為」に該当するかどうかということを、その個別の事例に照らして判断すべきものというふうに考えますで
  222. 田英夫

    ○田英夫君 内閣法制局はもう少し具体的に起こり得る事態を想定して勉強しておいていただいた方がいいと思いますよ。これは官房長官に申し上げておきますけれども。  本来これは、この法案を出してくるんだったら、防衛庁なり内閣の安全保障室で準備されるべき資料ですが、私の方でつくりましたので簡単にこの内容を言いますと、つまり、自衛隊法では武器の保有、武力行使、武器の使用ということをきちんと分けて規定しているんです。第何条で何をというのは実はここにありますけれども、時間がありませんから紹介しませんけれども、これは本来こういうものを議員の皆さんにわかりやすくするために資料として用意すべきじゃないかと思うんです。  例えば武器の使用というのは自衛隊法の八十一条の治安出動のときはこうだとか、あるいはそれ以前の問題として、一番最初に武器の保有、これは自衛隊法三条の任務のところで大きくくくって、八十七条、ここで自衛隊はその任務を遂行するために必要な武器を保有することができると。  それで、今法制局でおっしゃったように、そういう法律に基づいて、法律は当然憲法に照らしながらつくってくるわけですから、自衛隊法が憲法違反であったらこれは大変なことになりますから、当然そういうことを前提にしてこれをつくってこられたということで、これをまず頭の中に置きながらこのPKOの今度の問題を議論しなければいけない。これは本来ならこういうものをきちんとつくっていただくとよかったと思いますが、話を進めます。  PKF凍結になっていますが、これはなぜですか。
  223. 茂田宏

    政府委員(茂田宏君) お答えいたします。  PKF本体業務凍結されております。これはPKO法の附則第二条で凍結されているわけですけれども、この凍結は平成四年六月のいわゆる参議院修正によって凍結されたということでございます。したがって、政府凍結を提案したわけではございませんので、凍結した理由を聞かれても私の方からは答弁が難しいわけですけれども。  そのときに参議院でこのPKF凍結を提案した自公民の先生方の説明がございます。その説明では、PKFについては、憲法上の問題はないけれども内外の一層の理解と支持を得るため、これはPKO法についてですけれども、内外の一層の理解と支持を得るためにこれを凍結するんだと、こういう趣旨を説明されたというふうに記憶しております。
  224. 田英夫

    ○田英夫君 実は私も張本人の一人なんで、私どもが攻めた側です、反対した側です。そして、その結果として自公民の皆さんがPKF凍結しようと、こういうふうに筋としてはなってきたということなんです。つまり、PKFというのはまさにフォーセスですから、部隊として武器を持って任務遂行のために戦うという可能性が非常に強い、そういうことを考えたときに、これは憲法違反に限りなく近づくおそれがあるということで私どもは反対しました。そういう経緯、きょうは何か私は復習の時間のような感じで物を言っているんですけれども。  私ども社民党では、PKOに派遣される場合は武器を携行すべきではない、武器不携帯の原則というのを党の方針として持っております。  きょうはこれを詳しくまた申し上げている時間がなくなってしまいましたけれども、要するに自衛隊法に照らして、さっき申し上げたような保有それから使用、そういう法律がずっと決まっているものをずっと精査してみると、PKOという性格からすると武器を携行することを認めたこと自体に間違いがあると。  原則はむしろ持っていかない、持っていくとしても最小限、本当に自分を守るためということになればこれはけん銃が限度だと、こういう考えを持っているということをきょうは申し上げておくにとどめたいと思います。そういう原則をつくらなければならないような、PKOというものはそういう性格のものであると私ども理解しているんです。軍隊じゃないんですね。  これも次回改めて提起したいと思いますけれどもPKOに派遣される集団は私は自衛隊でない方がいいと、私はというより社民党は自衛隊でない方がいいと。いわゆるブルーベレー、ブルーヘルメットという集団でありますけれども、カナダの例をとれば、カナダの場合は全く軍隊とは違う、カナダは自衛隊じゃなくて軍隊ですけれども、軍隊ではない全く別の集団をつくってPKOの精神を体してPKOのために訓練をしている。まさに平和を維持するオペレーションとしての役割をたたき込まれてその訓練をしている。これが非常に大事なことだと思っています。できれば私は陸上自衛隊の中の一部をそういう集団に切りかえた方が日本はいいんじゃないか、こう思っているということをきょうはそれだけ申し上げておきます。  全く別の問題にも触れておきたいと思うんですけれども、今度の改正の中に停戦合意がない場合の国際機関が行う人道的活動の物資協力という部分、つまり停戦の合意がなくてもこの物資協力はできるようにしたいという改正が入っておりますね。それで、法案の中にも幾つかのいわゆるUNHCRを含めた国際機関が並んでいて、「その他政令で定める」と、こう書いてある。どこまで広がってしまうかわからないんですけれども、「その他政令で定める」という部分、国際機関、基準はありますか。
  225. 茂田宏

    政府委員(茂田宏君) お答えいたします。  別表第三に列記されている国際機関についての御質問だと思いますけれども、ここで「その他政令で定めるもの」というのがございますが、その前に「国際連合の総会によって設立された機関又は国際連合の専門機関で、」というのがございます。したがって、この政令で定める機関についてはこの上に書いてある要件がまずかかります。これが第一点。  第二点は、これは人道的な国際救援活動を行う団体ということでございます。したがいまして、この別表第三で政令で定められる機関というのは、人道的精神に基づき中立的な立場で救援活動をみずから実施している国際機関ということになります。そういうものの中から定められると、これが第二番目の要件としてかかります。ただいま現在、この政令で定める機関というので今別表第三に掲げている機関以外に掲げようと思っているものはございません。
  226. 田英夫

    ○田英夫君 これも大変不明確でして、国際機関でそういうものなら何でもよろしいということにしていていいのかどうかという問題があります。  それから、私ども社民党は、停戦の合意がないというところは、そこは二つ以上の勢力がぶつかり合って紛争状態になるということになるわけですから、そういうところに向かって物資協力をする場合には当然武器弾薬は含まないということにしなければならない、それも法律に明記すべきだということをかねてから政府に求めていたんですが、それは拒否されまして、ここで答弁で言いますというお答えがありました。それを答弁してください。
  227. 茂田宏

    政府委員(茂田宏君) 今般の改正によりまして、停戦合意が存在しない場合においても物資協力実施が可能になるのは、停戦合意要件以外のPKO法第三条第二号、これは人道的な国際救援活動の定義ですけれども、の規定を満たす活動を国連難民高等弁務官事務所等、別表第三に掲げる人道的国際救援活動に従事する国際機関が実施している場合に、当該国際機関を相手方として物資協力実施する場合であります。  この法第三条第二号が規定する人道的な国際救援活動は、国連総会の決議等に基づき、被災民の救援のため、また紛争によって生じた被害の復旧のために人道的精神に基づいて行われる活動であって、紛争そのものに対処する活動ではありません。また、物資協力の相手方となる別表第三に掲げる国際機関については、UNHCRを初めいずれの国際機関も、その活動は国際的かつ普遍的なものとしての評価が保たれているものであります。  したがって、これらの国際機関からそもそも我が国に対して、人を殺傷しまたは武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする武器弾薬の供与を要請されることは想定されず、譲渡される物資の中にそのような武器弾薬が含まれることはございません。
  228. 田英夫

    ○田英夫君 武器弾薬は含まないということを口頭で答弁で言われましたけれども、非常に重要な問題だと思いますよ。PKO五原則の一つには、停戦の合意ができていることというのが原則の一つになっているんですから、その一つの例外をつくろうというわけですからね。である以上は、もう厳格なこの状況の規定がなければならないと思っております。  今の武器弾薬に次いでもう一つ申し上げると、紛争状態にあるわけですから停戦の合意がない、そういうところに物資協力するわけですから、一方の側に局入れするようなことがあっては絶対にいけないわけですから、中立性が確保されていなければならない。日本という国がそこに物資協力をする、日本という国はその紛争状態のところのいずれにもくみしませんよと、そういうことをどうやったら表明できるんですか。その点を明快にしておいていただきたい。
  229. 茂田宏

    政府委員(茂田宏君) お答えいたします。  人道的な国際救援活動ということでございまして、これを行っています国連難民高等弁務官事務所、ユニセフ、その他人道的な活動をしている機関というのは、中立性を保って紛争に巻き込まれることなしに人道的な支援を差し伸べるということを使命としております。したがいまして、こういう機関が行う活動については中立性が保たれるというふうに考えております。
  230. 田英夫

    ○田英夫君 それは時間がなくなりましたから次回に譲りますけれども、その程度の認識では非常に危ないと思いますよ。日本立場はどうなのか日本政府としての立場はどうなのかということをきちんと確保しておかないといけないと思いますので、この点もひとつ次回また改めて御質問しますから、余り私時間とってはほかの皆さんに悪いので続けませんけれども考えておいてください。ここをきちんと対応していただかないと賛成するわけにはいかない。  終わります。
  231. 立木洋

    ○立木洋君 官房長官PKO協力法が成立してから六年余りたったわけです。あのときは結局、武装した自衛隊が海外に初めて出ていくという問題をめぐって、憲法上とのかかわりがどうなるのかということが非常に議論の対象になったということは、長官も十分御承知のことだと思うんです。  それで、あのとき政府が述べられたのは、武器の使用というのは自衛隊員の生命、身体防護のための必要最小限に限るもので、そしてそれはあくまでも隊員個々人の判断に基づくものである、こういう見地から見て憲法上問題がないというふうに繰り返し答弁されていたと思うんです。ところが、今回のPKO法の一部改正は、この改正で変更された点は、この憲法にかかわるといって主張していた問題点が変更されるわけですから、これは最も基本的な点の変更だというふうに言わざるを得ないわけですけれども、その点はどのように憲法とのかかわりを御認識なさっているのでしょうか。
  232. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 今般の改正法案は、これまでと同様何ら憲法に違反するものではなく、またこれまでの憲法解釈を何ら変更するものではない。すなわち、政府はこれまでも、自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体を防衛することはいわば自己保存のための自然権的権利と言うべきものであるから、そのために必要な最小限の武器の使用は憲法第九条第一項で禁止された武力行使には当たらないとしており、またこれまでも、命令に基づく武器の使用に関して、例えば生命、身体の防護のためやむを得ない必要があるとき、集団的に行ったから憲法上問題があるということにはならない旨の答弁をしているところであります。
  233. 立木洋

    ○立木洋君 今、私が述べたのは、つまりこういうふうにやるから憲法上問題がないんですと言ってきたその理由を変えられた。そうしたならば憲法上差し支えが生じるんじゃないかと私はお尋ねしたんです。  これは私、あのときもこの問題に対して政府にいろいろお尋ねしました。長官が今述べられたように、この武器の使用というのは組織としての使用ではございません、あるいは部隊としての使用でもございませんと。そしてこの問題については、武器の使用の判断はあくまでその主体は部隊ではございません、その判断は、つまり個々の隊員が持つ権限を束ねる形で武器を使うということもあり得るでしょうと。しかし、それもあくまで個別の隊員の権限があり、その判断が基本になっているんですというふうに述べられてきていたわけです。  それで、法制局長官が述べたのは、いわゆる集団として武器を使用したからといって、それは匪賊だとか馬賊だとかいうふうなものが対象になるような場合には、相手が国家でないのでそういう場合には当たらないでしょうというふうなことまで言っている。これは全部ありますよ。長官がおっしゃりたいというようなことだったら全部あるんです。ところが、そういうふうな問題として述べられてきたことが今度は全部変わるんです。  それでは、私は一つ一つ言っていきたいんですが、PKOで派遣するのは個々の隊員を派遣するわけじゃないんです。これはPKO協力法の中の第六条にはっきり書かれてあって、自衛隊の部隊、これを派遣するんだと、それでその任務に当たるんだと。この自衛隊の部隊というのは「自衛隊法第八条に規定する部隊等をいう。」と書いてあるんです。これはもう久間さんはもう十分御承知のように、長官内閣総理大臣の指揮監督を受けて自衛隊の隊務を統括する、幕僚長等を通じて、そしてそれを実行する。  だからここで言う部隊、機関というのはそういう指揮監督を受けた部隊を言うというふうになっているんです、第八条で。だから、PKOで派遣するのは個人の自衛隊員を派遣するんじゃないんです。自衛隊としての部隊、組織された部隊を派遣したんです、日本は。いいですか。これが第一点です。  第二点は、今問題になりました上官です。上官の問題については、これは御承知のように隊法の十四条で書いてあります。この内容を見ますと、これは地位だとか階級が上位の者であっても上官とは言わないと。指揮系統の上位にある者、つまり職務上指揮監督権を有する者、これを上官というという解釈がなされているわけですね。つまりその行動は、単なる個々人の寄せ集めの集団としての行動ではなくて、上官の命令を受けた者は、つまり部隊としての命令に基づく行動であるということになるんです。上官という言葉を使っているんですから、これは。厳密に隊法に基づいて解釈しなければならない。第二点です。  第三点、上官の武器使用の命令は業務上の命令なんです。自衛隊法の五十七条に明確に書いてある。それは忠実に実行しなければならないと書いてあるんです。いいかげんに、おれは嫌だからといって隊法を守らなかったら自衛隊としての組織は成り立たない、だから守らないといけない。五十七条、自分勝手な判断は許されないということになっているんです。  隊法の規定から、組織として派遣され、組織として武器を使用する場合、上官の指揮監督権のもとでそれが実行に移され、それに対しては違反することができない。まさにこれはどういうことになるかと。いわゆる組織としての部隊として国から派遣され、武装された部隊が上官の命令によって組織として武器を使うということになるならば、これは武力行使じゃないですか。  これが、久間さん、あなたのことは後からまた聞くから、まず私は官房長官に聞いているんだよ。あなたが先ほどから言っているから、おかしいと思って。憲法上差しさわりがないというんだから。これはもう明確な武力行使ですよ。  この武力行使に当たることが変えられたんです。個人の判断ではなくて、組織によって、組織の上官の命令によって組織的な行動として行う。それで武器を使う。これは前の文書を上げたっていいですよ。これは前に出されている内容からいっても、単数の場合で武器を使う場合もあると、自衛官が。複数の場合もありますと。複数の場合には、上位の者の指揮命令のもとに組織的な防護を行うということは組織行動を行う自衛隊の特性上当然のことでありますと、こう書いてあるんですよ。これは組織的な行為なんですよ。組織体なんですよ。これは統一見解としては相似にはならないから、憲法上は問題ないと。  あなたの言われたことを全部今私が隊法に基づいて説明した。それでもあなたはなおかつ憲法に違反しない立言うんだったら、その根拠を示してください。
  234. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) これは何回も繰り返しません。先ほどの答えのとおりでございまして、これは法制局でも、憲法の九条には、武力行使には当たらない。こういうことで御理解をいただきたいと思います。
  235. 立木洋

    ○立木洋君 長官、あなたが先ほど言われたので私は納得できないから、今例を挙げて、かくかくしかじかではないかと。だからこういうふうな行為というのはまさに武力行使じゃないかと。今までこういうことをしちゃだめですよと言ってきたことが全部今私が述べたことに当てはまっているんだから、だからそうなると武力行使じゃないですか。
  236. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 先ほども御説明申し上げましたが、いわば自己保存のための自然権的権利というものであるから、そのために必要な最小限の武器の使用は憲法第九条第一項で禁止された武力行使には当たらない、こういうことでございます。
  237. 立木洋

    ○立木洋君 長官はわかっていないんだ。
  238. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) それはこちらの方ではこういうふうに解釈しておりますが、先生はまた私らの方をわかっていないと、こう思っております。
  239. 立木洋

    ○立木洋君 私は、政府が決めた自衛隊法内容の一項一項を申し上げて、それに基づいて述べたわけですから、だからあなたが答えられないのはしようがないよ、それはもう。  それなら、もう防衛庁長官答弁してもらいます。
  240. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 確かに今、委員が言われましたように、隊法五十七条も、今回の上官の命によって行動することになるわけですから、適用されることになります。そういう意味では組織立った行動になるわけであります。  しかしながら、これは目的とするのが自己保存的な自然権を守るための目的でやるわけでございますから、そういう意味で、憲法の九条で言っている武力行使には当てはまらないということはかねがね、前回の法律のときにもそのことは言っていると思いますけれども、そういう法制局の従来からの解釈とも全然そこを来さないわけであります。
  241. 立木洋

    ○立木洋君 自然権の問題については、それは総理も本会議答弁されましたよ、私の答弁に二回使った。きょう茂田さんもその解釈については字引まで引っ張ってきて説明された。これは個人の生存権だとかあるいはそういう意味での自己の防護権だとか、そういう権利のことを言うわけですね。  だけれども、先ほど私は自衛隊の場合に引用したように、上官の業務の指揮監督権で行われる行為というのは、自然権の問題ではなくて、それは軍隊としての当然の行為なんですよ、自己を防衛するというのは、戦闘行為として行うわけですから。それを自然権の問題を持ち出してきてそれで解釈しようとするようなことは、これは全く論外です。そういうのは法律家に言わせたら、笑われますよ。これは人間が人間として与えられた権利のことを自然権と言うんです、生きるために必要な権利を。それを、軍隊で戦闘を行っている状態の場合に自然権でございますからなんというのは大体ナンセンスですよ。そのくらいの程度しか答弁できないかと思ったら全く恥ずかしくてあなた、道歩けないよ。  そこで私は申し上げたいんですけれども久間さん、問題になっているのは何かというと、国連のPKOのマニュアルに基づいて、やっぱりこのPKOで必要な場合に自衛隊が派遣されていってそれに協力をするということになっているわけですね。その場合に、PKO協力するという場合には二通りある、PKOの場合は、この武力行使する場合。  一つは、PKOのほかの部隊の場合には、いわゆる身体の防護、自分たちの部隊に対しての危険、これが生じた場合には武力行使をする、これが一つありますね。それからもう一つは、PKOとしての任務を遂行しようとすることについて、いわゆる相手側が武力によってそれを妨げるという事態が生じた場合、その任務を遂行するために武力行使する、こういう形で武力行使についてはPKOでは他の部隊では決められている。  日本の場合には、いわゆる武力行使ということはこれは憲法上使えないわけですから、だからそこで武器の使用という言葉を使っておられる。それで、身の危険が生じた場合、身体の防護と身体の安全のために武器を使用するということをおっしゃっているわけですね。  ところが、ここで今問題を提起しましたのは、組織としての自衛隊が上官の命令によって武器を使う、それは身体の防護であっても武器を使う。その場合に、日本PKO協力している自衛隊の場合にはその行為を武器の使用と言う。ところが、外国のPKOに参加している部隊はそれを武力行使と言う。この問題に関してははっきりPKOのマニュアルの中でもちゃんと書いてありますよ、ユース・オブ・フォースと書いてあります、武力行使と書いてある。  同じ行為をやっても、外国の場合には武力行使で、日本の場合には武器の使用という言葉を使う。これはおかしいんじゃないですか。やっぱり日本の場合もPKOの一構成部隊として参加した場合には、国連の決められたマニュアルによるならば、武力行使ということになるんじゃないですか。これが一つ。  あなたは大分お答えしたいようですからもう一つお聞きしておきましょう。  問題は、今述べたように、他のPKO協力している他国の部隊が、自分たちの任務を妨害してきた、だからそれに対して武力行使を行ったと。武力行使を行って任務を遂行しようとする他国のPKOの部隊に相手側からも攻撃を仕掛けている、そういう状況の中で日本自衛隊が身の危険を感じ始めたと。そこで、身の危険を感じたから上官が、武器を使用せよ、撃てと命令した、さあ撃ち出したと。任務を遂行するために他国のPKO部隊は撃っている。  それと隊を一緒に組んでおる日本自衛隊は、これは同じように身体の防衛だといって鉄砲を撃っておる。これは武力行使としては一体になっているんじゃないですか。一体になってはならないんでしょう。その場合には中断しないといかぬのでしょう。中断しないで身の危険が生じたからといって武器を撃ち出したらどうなるんですか。武力行使と一体化するという行為になって、まさに武力行使そのものじゃないですか。  こういうふうなことを具体的に考えないで、目的が違うから、だからそれは武力行使には当たりませんなんというのは机上の空論なんですよ。  現実に戦闘をやっている場合には、いわゆる任務を遂行するのを妨げているから武器を使う、そのことが身の危険にはね返ってくるから武器を使う、それが一体化しているんです。そういうふうな問題まで生じて、なおかつそれを机上の空論として、目的が違うから区別できますだとか、日本としては武力行使というのは使えないから武器の使用ということで、PKOで決められているマニュアルにも反して武器の使用という言葉であくまで通そうとする。これはまさにおかしい、詭弁というか何というか、理解できない内容なんですが、どうもたくさんお答えしそうですから、できるだけ短くひとつお願いします。
  242. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 先ほど言われました二つのタイプ、aタイプ、bタイプですね。これは確かに国連の活動の中では、よその国はaタイプもbタイプもやれるということになっておりますけれども我が国の場合はaタイプに限っておるというその問題がございます。  今おっしゃいましたようなそういうケースが絶対ないかというようなことを言われますと、ないと言い切れないわけでございますけれども我が国が参加する場合は、そのために五原則みたいな前提を置きまして、そういう中で参加しているわけでございます。  そういうようなことで、武力紛争に巻き込まれないようなそういう配慮をできるだけした上でやっておるわけでございますから、そういう中で並んで一斉に射撃をやるようなそういうことよりも、むしろ今心配しておりますのは、言うなれば非常に長い時間ずっとおるわけですから、寝ているときとかあるいはまたその他のとき、攻撃されたときにどうするかそのときに一人一人が判断するよりもやはり組織として対応した方が、上官の命によって撃つなと言ってみたり空砲を撃てと言ってみたり、そういう形でやった方がより身の危険をかわすことができると、そういうことで今回提案をしておるわけでございます。  非常に難しいような局面だけを選んで言われますと確かに答弁にも窮するわけでございますけれども、そういうようなケースが絶対ないかと言われますとそれはもうわかりませんけれども、しかし、そういう場合でも、先ほど法制局も答弁をされましたけれども、少なくとも憲法には触れないと。というのは、武器の使用になったような場合でも、相手との関係がどういう関係になるか、それはケース・バイ・ケースで判断せざるを得ないわけですけれども、そういうような状況にはならないようにPKO本部でも努めておるところであります。
  243. 立木洋

    ○立木洋君 御本人は答弁に窮すると言いながら、そういうふうにならないように努力すると。どんな努力ができるんですか、本当に。答弁に窮するというのは事実上そういうことがあり得るということなんですよ。
  244. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 先ほどから何回も言っておりますように、我が国PKOの参加に当たりましては、いろんなそういうようなケースもあるからということで五原則の前提を置いて参加するというふうに、あの当時各党間で話をされてこういうような法律ができたわけでございます。それでも先生じゃございませんけれども、先ほどほかの委員が言われましたが、全く武器を持たずに行くというのはいかがなものかということで武器を持って行くことが、やはり現在の国際的ないろんな派遣先では秩序も維持できない場合もあるからということで武器の使用も法律上認められたわけでございますので、どうかその辺の背景、経過、それらについても勘案の上、よろしく御配慮をお願いいたします。
  245. 立木洋

    ○立木洋君 官房長官、また一つお願いしたいんですけれども、先ほどおっしゃったように、武器を使用した場合、いわゆる法制局の方でも結局それは必ずしも武力行使には当たらない、いわゆる上官の命令でやった場合でも、というふうなことをおっしゃられました。それは確かにあるんです。  これは平成三年の十二月五日に、ここでは工藤法制局長官が述べられているんですよ。これはこういう質問に対してなんです。隊の司令官か責任者が、危なくなったから撃てと言ってはいかぬのでしょう、つまり指揮命令権を行使してはならないんでしょうと。そういう指揮命令を行使するのは、憲法上問題があるから指揮命令を行使してはならないというふうに言っているんでしょうが、その点はどうなんですかという質問に対して、指揮命令をした、撃てと言った場合にすべて問題かというとそうではございませんで、決してすべて問題だというふうに申し上げているわけではございませんと、こういうふうに言っているんです。だから、長官が言われたように、指揮命令を出したからといって必ずしもそれは武力行使には当たらないということを法制局長官は言っているわけです。  その後でその長官が何と言うか。例えば相手方によりましては、山賊、匪賊のたぐいのときに何かありましても、それは指揮したからといって決して問題になるわけではないと思うわけでありますと言っているんです。山賊、匪賊に対して撃てと言ったからといってそれが必ずしも武力行使に当たるというふうには言わないだろう、そういう場合にはといって、限定つきで述べているんです。  しかし、いわゆる指揮をするかどうかというふうな問題については、相手が国家として行われる場合、組織として、部隊としての指揮命令による武器の使用でも、これは国際紛争によるなどの相手が国としての集団への使用については、これは武力行使になる、そういう危険性がある、可能性があると言っているんです。  だから、長官が先ほど言われたのは半分言われただけなんです。半分はおっしゃっていないんです。相手が匪賊や馬賊ならばそういう例外ということも考え得るでしょうと言っているんですよ。だから、これは相手が国の場合について、上官の命令で組織的に武器を使用するということを行ったら武力行使だということを工藤さんははっきり言っているんです。  どうですか。読んでいないんですか、これをまだ。これは本部長が読んでおらないと困るんだ、大切な問題なんですから。
  246. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) いろいろ工藤法制局長官の例を出されましたけれども、相手は馬賊、匪賊でなくても二、三人で強盗や物資を奪いに来る、武器は持っていたという場合もあり得るわけです。そして、こちらの部隊に対してその相手が国と言いましたが、そういう危険なところにはこのPKOは想定しておりません、五原則というものがありますので。  立木先生、きわどいところばかり先ほどから言っておりますけれども、そういうところにはこのPKOでも自衛隊でもあるいは外務省でも行かないと私は思っているところでございます。
  247. 立木洋

    ○立木洋君 長官、カンボジアの問題のときに自衛隊を送りましたね。あのときに、澁谷国連局長に私はパリ協定で決められた協定の内容を一項目一項目全部聞いたんです。これが守られているか、これが守られているかと全部聞いたんです。武力の衝突が起こっていないか、軍隊が集結するような事態がないか、武器を貯蔵しているようなことが起こっていないかと全部聞いた。全部それは守られていないと答えたんです。守られていないと答えたんですよ、澁谷国連局長は。議事録が必要だったらお見せします。  しかし、それだったら、守られていないんだったら、それは撤退しなければならない、中断しなければならないということになる。この問題に関しては次回のときに私は詳しくやろうと思っているので、茂田さん、次のときにやりましょう、あなたとは。そういう問題もある。  それからもう一つの問題は、例えばモザンビークの場合。モザンビークの場合に、小西審議官が外務省の調査視察団長として行ったんです。行って帰ってきて報告書を提出した。いわゆる停戦のための委員会に西ヨーロッパから六カ国が参加しておるのに反政府武装勢力は参加しなかった、ボイコットした。そして、六回にわたる停戦合意が行われて、自分たちの軍隊がいるところには相手の勢力を入れさせない。停戦協定があるにもかかわらず守られていないんです。しかし、その報告書の中にはそんな重大なことを小西さんは一言も報告していない。  それで、私はその問題について取り上げた、こういう現実の事態があるのになぜあなたの報告書は書いてないのかと。申しわけございません、この報告書は完璧なものではございません、今後調査をして完璧なものにいたしますと答えた。  それから、今度のゴラン高原の場合だってそうですよ。ゴラン高原の場合だって停戦協定はないんですよ、平和協定はないんですよ。それなのに自衛隊を派遣したんです。イスラエルとシリアの間に和平協定がありますか。ないじゃないですか。和平協定があればいつまでPKOを派遣するかという日程が決まるんです。和平協定がないからこそいつまで派遣するかわからない。依然として、いまだに駐留しているんです。こういう問題があるんです。  だから、これらの日本政府が今までやってきたPKOの派遣の問題については問題が多々あるんです。そして、政府自身が言ったことが守られていないんですよ。  私は、これは時間がないからもうこれ以上言いません。この問題については、次のときにやりたいと思っています。茂田さんが答弁すると私はまた言わなければならなくなる、だからきょうのところはこれで私は終わります、次のときにやるということだけはっきりさせておいて。  憲法上最大の問題があるということを改めて御認識いただきたい。そして長官、今までの議論をもう一遍読んでいただいて、どこに問題があるのか、政府として足らないところは足らないとして改めなければならないわけですし、こういう憲法上にかかわる重大な問題ですから、その点はしかと受けとめていただきたいということを最後に申し述べて、きょうの場合の私の質問を終わります。
  248. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 今、同僚議員からPKOのいろいろなお話がありましたけれども、今四回目ですが、私はまずPKOの部隊に行っておられる自衛隊員に対して、今のような実際にPKO活動をする人たちにとって大変不備な法律のもとで非常によくやっていると敬意をあらわしたいと思っております。  PKOの問題については、後で二点ほど御質問させていただきます。  まず、今、天皇陛下はロンドンにおられる、御訪問中であるというふうに認識しておりますが、五月三日のロンドンのインディペンデント・オン・サンデーに、凶悪な犯人の写真と天皇陛下の写真を一緒に載せて、あなたは彼らを許せるかという見出しで英国の有名な新聞がそれを載せているということにつきまして、私は非常に怒りを感じているんですが、外務大臣、これをどのようにお考えになっているか。  日本で言えば、麻原彰晃さんと大久保清さんの写真とエリザベス女王の写真を並べて、彼らを許せるかと言っているのと一緒でありまして、こういう問題について、外務大臣はどういうふうに考えておられて、外務省はどういうふうにこの問題に対処しておられるのか、お尋ねいたします。
  249. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 御指摘の五月三日付のインディペンデント・オン・サンデー紙の記事で天皇陛下の写真が三名の犯罪人と並んだ形で使用されたことは、まことに不適切きわまりなく、両陛下御訪英を前にしてこのようなことが起きたことはまことに遺憾であります。  したがいまして、本件につきましては、在英日本大使館を通じ、同紙に強く抗議を行いました。これに対し、同紙編集長より駐英大使に対し、日本の人々が同紙が意図していなかった意味合いを読み取られたことに狼狽して、誤解を引き起こしたことはまことに申しわけないという趣旨の書簡を送付してまいりました。  英国政府も、英国での報道の自由は確保されておりますが、この記事は支持しない、または両陛下が英国女王陛下の賓客として礼譲と威厳を持って迎えられるよう最大限努力を払うとの立場を説明してきておりますので、政府として、英国政府と緊密に連携し、現在行われている両陛下の御訪英の成功のために一層の努力をする方針であります。  なお、この記事につきましては、私自身もこの新聞が掲載された時点からかなり日を経て報告をいただいております。時あたかも訪英を前にいたしておりましたので、本件につきましては以上のような手続をもちまして強く同紙に対しまして抗議を申し入れておるところでございます。  なお、この問題につきましては、どのような経過でこうしたことに相なったか、また在英の我が国大使館がどのような対応をしたかにつきましては十分これをレビューして、そしてこうしたことの二度と起きないように、英国のマスメディアといいながらまことに礼儀を失したこうした態度に対しては強く遺憾の意を表し、日本としての態度を明確にいたしていきたい、このように考えております。
  250. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 この問題が日本のマスコミに流れたわけですが、これは我が自由党の西村眞悟代議士が指摘したことから始まっておるというふうに認識しているんですが、ロンドンの大使館はこの新聞、インディペンデント・オン・サンデーというのをとっているんですか、とっていないんですか。
  251. 飯村豊

    政府委員(飯村豊君) 在英大使館はこの新聞を購読しております。
  252. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 それで、なぜ在英の大使館はこの記事をまず見つけなかったのか。それはどうしてですか。見ていないんですか。
  253. 飯村豊

    政府委員(飯村豊君) 基本的には、陛下の御訪英の前でございますし、毎日きちっとイギリスの各紙は注意を持って読んでおります。  ただ、遺憾ながら、五月三日、日曜日の朝でございますが、三、四、五と連休の日が続きまして、これは決して弁解になりませんが、たまたま残念ながら見落としたということだと思います。
  254. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 私、そこのところが非常にぶったるんでいるんじゃないかなと思うんです。こういう写真ですよ。(資料を示す)  それが、大使館に何人いるかわかりません、たくさんおられると思うんですが、だれの目にもとまらなかったというのはちょっとおかしいんじゃないですか。その辺はどういうふうに考えておられるか、考えるというか、認識ですね。これは衆議院で言われなかったら全然わからなかったという話にはならないんじゃないかと思うんです。訪英でお忙しいときに、その来られる人の写真が載っかっているのに目に入らないというのは、ちょっと私は理解に苦しむ。目に入っているけれどもあえてこれを問題にしなかったんじゃないかと疑いたくなるほどこれはおかしいと私は思うんですが、いかがですか。
  255. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 今申し上げましたように、最も重要な時期でございますから、いやしくも日本に対してのいろいろな記事、特に両陛下に関するような記事というものは見落としてはならないことであったと私は認識をいたしております。  本件につきましても、全くのケアレスミスなのか、注意が少し散漫だったのか、あるいは見ておってそういう判断ができなかったのか、今御訪英中ではございますけれども、先ほど申し上げましたように、この経過につきましても十分調査をしてまいりたい、このように考えております。
  256. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 日本の国内にいると、日本は随分国際社会の中できちっと認められているような国だというふうに思いがちなんですが、この一年間、去年の四月から今年の四月までにアメリカとイギリスでの日本の報道は全部悪いニュースです。  例えば、申し上げますと、山一証券の社長が涙ぐんで記者会見をした、これが一つです。それから、これは本委員会は余り関係ないですけれども政府の経済政策がツーリトル・ツーレート、それから日経エフェクト、株価低迷。  それから、これからが問題なんですが、ジャパン・ナッシングです。前はバッシングだったんです。これがパッシングになって、去年の四月から今年の四月はもうないに等しいんです、関心もないと。だから、こういう写真が載ってもああそんな程度のものかというふうな感じなんです。我々はこれは非常にとんでもないと思いますけれども、ロンドンなんかはその程度のものじゃないかという感じです。  それから、ダイアナ妃の葬儀のときに、ほかの国は元首だとか国王がいっぱい行かれた、日本は駐英大使だけと。それで、日本に対する報道というのは、ピアノのブランドのヤマハというのが映っただけと。  それから、CNNのソープランド特集、それからふんどし姿の英国の捕虜、BBCの痴漢特集、一番ひどいのは、セックスアニマル、失楽園と、こういう報道しかなされていないんです。  今のはアメリカとイギリスの例ですけれども、そういうニュースしか流れていないんです。日本というのは尊敬すべき国である、あるいは日本というのは頼りになる国である、そんなふうに思っている国なんて全然ないというのが現実であります。これは、私は経済ばかりに目をやって、もうかりゃいい、お金だけが世の中というような、自分のことしか考えない、そういう国になってしまったわけです、この五十年間で。  だから、こういうのが出ても、イギリスの人たちは、言われると、いや、そういうつもりじゃなかったという弁解ですね、これ。だけれども、大体そんな程度だというふうに認識しておかないと、今のPKOの問題にしても、国内のことばっかりで、やりたくないからいろんなことを、ああじゃないこうじゃないと言っているんであって、実際に今のこれはこういうふうになっているよということは事実ですから申し上げているんです。  私が今から質問したいのは、総理大臣以下、国際貢献を積極的にやるんだやるんだと言っておいて、今現実に全世界のPKOというのは十五件あるんです。一万八千人がPKOに従事しているんです。それで、我が国はわずか四十五人ですよ。それで、積極的に国際貢献をしているんだと政府はおっしゃっているけれども、言っていることとやっていることが非常に乖離している。本音と建前が非常に乖離する国というのは必ず滅びるということは歴史の証明なんですよ。  私は、申し上げますが、国際的な貢献を積極的にやるんだと言っておきながら、今の状況というのは積極的なんでしょうかどういうふうに評価されておられるのか、これは外務大臣防衛庁長官にお伺いします。今ので非常に積極的にやっていると言えるのか言えないのか、世の中の人はそういうふうに思うかどうかです、世界の人は。
  257. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 今、委員御指摘のように、日本が派遣しておりますPKOにつきましては御指摘のとおりだろうと思いますが、日本の置かれた立場、いろいろの諸原則のもとに対応しておる態度につきましては、国連といたしましてもそれなりの評価をしていただいておるという認識をいたしております。我々としては、国連の要望にこたえて、できる限りの国際的貢献はしていかなきゃならないという態度は常にいたしておるつもりでございます。
  258. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今、現地に行っている皆さん方、またこれまでそれぞれの国に派遣されましたPKOで行かれた皆さん方、それはそれなりに立派に任務も果たして、それなりの評価を得ていると思います。しかしながら、日本がもっとやるべきじゃないかというような意見があるのも私どもは伺うことができるわけでございまして、そういう意味では、これから先も国際貢献という大事な役割についてはやはり前向きに真剣にとらえていかなければならないと思っております。
  259. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 PKO法案についての第一番目の御質問でございますが、PKO部隊がカンボジアへ行って帰ってきて、そのたびに部隊は、こういうふうに改正してほしいとかさまざまな教訓と改正点を挙げているわけです。三年たったらこれは見直すと言っているにもかかわらず、一九九五年以降は見直すことになっているのに、もう今一九九八年、三年たっているわけで、これはどうして見直しをもっと早くなさらなかったのか、これはもう政府の怠慢の一語に尽きると私は思うんです。派遣部隊に長い間の不要な負担をかけているわけですから、できるだけ早く武器使用その他についての改正をなさるべきであったのに、どうして三年間もほっていたのかということについてお尋ねします。
  260. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 国際平和協力法見直しについて、政府としては平成七年八月に同法に規定する見直し時期を迎えて以来、国際平和協力本部事務局及び関係省庁との間で、これまでの派遣の教訓、反省を踏まえ、法の実施のあり方について検討を行い、平成八年九月には、検討開始後一年を経過した時点での作業結果を取りまとめたところであります。  事後法律改正案の具体的内容について検討を行い、その結果、武器の使用、国際的な選挙監視活動及び人道的な国際救援活動のための物資協力の三点に関して改正を行うことが適当と結論を得たものでございますが、その後、与党間での調整を行ったほか、国会等の情勢等も勘案し、現在、改正法案国会で御審議賜っているところであります。
  261. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 なぜ三年間もほっておいたかというその質問お答えにはなっていないような気がするんですが、結局、自社さきがけ政権で与党間の調整がつかなかったということですか。
  262. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 三年間ではないと思う、二年ちょっとだと思っております、八月にできておりますから。  これは当時、七年の八月、野坂官房長官から、総理府の国際平和協力本部事務局長に対して法見直しの検討作業を開始、そして八年の九月五日、橋本総理及び梶山官房長官に対して法見直し作業状況について中間報告がございました。九年の五月二十三日、橋本総理及び梶山官房長官に対し改正法案の最終案の報告があったようでございますが、与党間の調整、国会等の情勢もありまして今回改正法案を出した、こういうことであります。
  263. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 余りよくわかりませんが、次に進みます。  本法附則の第二条によってPKFというのが凍結されているわけですが、PKOPKFを分けている国というのは日本だけなんですね。それで、これはどうして今度の見直しの中に入らないんですか。  普通の国連部隊に出たら、ほかの国と同じようにできないと任務を遂行できないんじゃないですか。だから、いつも後ろの方で弾の何にも来ないところで輸送業務とか給養小隊みたいなことをやって、それでは名誉ある地位を占められないと私は思うんです。やっぱり先陣を承るとか何か昔からそういうことになっていて、一番後ろの方の何にも来ないようなところで四十五名ぐらいがやっても、それは全然今のアメリカやイギリスのこういうニュースと余り変わらないんじゃないですか。  政治家なんですから、反対があっても日本の国の二十一世紀のためにどうしてきちっと政治信念を持っておやりになれないのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  264. 茂田宏

    政府委員(茂田宏君) お答えいたします、法の見直しの件は、PKO法附則の第三条に書いてございまして、これは主語が政府は何々するものとするということになっております。法律の附則第三条には、法の見直しとしての規定がございます。この第三条では、政府は三年たった後に見直しをするものとするということが書かれてございます。  PKF凍結解除に関しましては、附則の第二条に、別途法律で定める日まで実施しないということになっております。したがって、法の見直し作業というのは、政府一つの責務としてやるということになっておりますけれども、第二条の方はそういう書き方にはなっていないということでございます。  PKF本体業務凍結というのは、いわゆる参議院修正で政府提案に付加されたものであるということでございます。したがって、この問題については、国会の各党各会派が主導して決めるというのがPKO成立当時の考え方でございました。  現在のところ、PKF本体業務凍結解除についてはいろんな意見がございます。先生のような意見もございますし、それ以外の意見もございます。したがって政府としては、そういう国会における御議論に耳を傾けつつ検討していきたいということです。
  265. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 そういうやらない理由をおつくりになるのは大変お上手ですけれども、橋本総理は何と言っておられるかというと、国連を中心とした国際平和のための努力に対し、人的な面でも積極的に貢献すみことが我が国の地位と責任にふさわしい協力のあり方であって、今後とも国際社会の期待にこたえ、国連平和維持活動等に積極的に参加してまいりますということを言っておられるんです。  それで、そういうことを言っておられてそれは院の問題であるということは、政府としてはどんな気概を持っておられるのか私には理解できないので、これを官房長官お答えいただいて私の質問を終わります。
  266. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 今御質問あったように橋本総理答弁お答えしていると思います。  したがって、平和維持活動についてはこれからも一生懸命やろうということでございます。一方、先ほど事務局長が言いましたように、参議院によってこのPKFはとめられておると。これまた今後、皆さんの御意見もお聞きしながらやっていかなければ、正直に申し上げまして、与党の状況でも当時の状況で、これは今回はそういう状況でとめられておりますので出さない。今後、各党の御意見も聞きながら、もしできるということになれば、これまた出していかなきゃならぬ事態も来ると思いますけれども、現状はこの状況である、こう思っているところであります。
  267. 及川順郎

    委員長及川順郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十分散会