○立木洋君 最近、御
承知のように
アジアの途上国においていろいろ通貨・金融危機の問題で大きく揺れてきたという経緯があります。この途上国等の意見の中には、これらの問題というのは金融自由化が通貨危機の原因だというふうな指摘があるわけです。それは私がどうこうしているという
意味じゃない、そういう指摘があると。
WTOについては、金融
サービスの問題についてはずっと消極的な態度をとっておりました、
発展途上国は
アジアにおいて。しかし、金融の自由化の問題についてやはり踏み出さざるを得なかったということがその後生じてきました。今度七十一カ国の約束表が取り交わされるようになっているわけですけれ
ども、例えば今問題になっている
インドネシアは既存の合弁金融機関に対して外資八五%のものも含めて保証するというふうになりました。さらには行き過ぎた金融自由化で大変嘆いていたタイについても、今後十年間で、これまで二五%に制限していたものを外貨一〇〇%の金融機関の進出をも認めるというふうな約束までされました。
例えばマレーシア等においては、現実に外資一〇〇%の
アメリカのAIGの保険
会社の子
会社が入ります。これについてマレーシアの方では、それについては一〇〇%は困るので切り下げたいというふうな問題を出しましたけれ
ども、
アメリカ側としてはそれはだめだというふうなことになったわけです。マレーシアとしては、現在まで四九%だったのを五一%までにするというふうな形で、一定のそれぞれの国に応じた反応というのが出てきたということは一応言えるのではないだろうかというふうに思うんです。
しかし、こういう問題をよく考えてみますと、私は途上国がこういう譲歩をせざるを得なかった問題に関しては、IMFの支援等々との絡み合いも持ちながら、やっぱり金融自由化の方向を速やかに進めていこうとする
アメリカ側からの圧力があったのではないかというふうな感じがするんです。
それで、去年の夏ごろから
アメリカとしては、自由化は為替投機を誘うという見方は誤りだというふうな指摘がなされておりますし、外国金融機関の支店の進出の自由化、外資や合弁などでの外資五〇%以上を容認すべきだし、進出
企業の既得権の保護などを求めるというふうなことがやられてきました。
御
承知のように、途上国としては、もしか交渉が決裂して自分の国から外資が全部引き揚げられてしまうということになると、これは大変なことになるという不安も一方ではありますから、一定の妥協をせざるを得なかった、譲歩をせざるを得なかったというふうな結果になると思います。
こういう経過を見てみますと、やはり今回のこういう第五
議定書ができた結果、クリントン
大統領はこの七十一カ国に上る金融
サービス自由化に向けての合意ができたということについては、
アメリカが世界をリードする銀行、証券、保険分野での本格参入を保証するものだというふうに述べているわけです。
今後、こういうような方向を今おっしゃったような形でのみ見るというふうなことになると、
アメリカの巨大な金融資本の利益といいますか、支配を利する結果になるという疑念が出てくるわけですけれ
ども、こういう点についてはどのようにお考えでしょうか。