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佐藤道夫君 ぜひともできるだけ積極的にこの問題、
我が国の問題というくらいの
考えで取り組んでいただければ、こういうふうに思います。
この前の
委員会でも申し上げたのですけれども、地雷の禁止
条約に関しましては、これを熱心に運動していた民間団体とそのリーダーがノーベル平和賞と、こういうことなものですから、
我が国からも久しぶりにノーベル平和賞を受賞する
大臣級が出てもいいのではないか、こういうふうに
考えておりますので、どうか各国の模様眺めというのじゃなくて、
我が国が音頭をとってこの問題に取り組んでいくというぐらいの気構えで取り組んでいただきたいと思います。
その次に、
インドの
核実験についてお尋ねいたします。
インドは安全保障上の問題だと、こう言っておりますけれども、果たしてそうなんだろうかと。北の脅威と西の脅威ということを言っておりますけれども、北は中国、西は
パキスタンということでしょうけれども、そもそも
インドが侵略に値する国なのか。非常に皮肉な言い方ですけれども世界で最も貧しい国の
一つ、こう言われておりますし、人口が九億に達している、こういう国を侵略して占領してみても一体何の
意味があるのだろうかと。
それから、中国は国が統一されますと、大体漢帝国の時代から南とか北とかに進出していくのですけれども、北はモンゴル、西の方は中央アジア、南の方はベトナム、東の方は朝鮮、
日本と。あの漢民族というのは
インドを不思議に侵略の対象にしていない。なぜかといいますと、
インドというのは仏教発祥の他なんですね。中国人にとっては聖なる土地でもあるわけであって、ゆめ侵略しようなどということは
考えないことは確かだろうと思います。
それから、西の脅威である
パキスタンはどうかといいますと、
パキスタンと
インドというのは軍事力に大人と子供ぐらいの差がありまして、今まで二回戦っておりますけれども、手もなく
パキスタンが討ち破られておる。その
インドが
パキスタンの脅威というものを並べ立てるのは大変おかしい。大人が子供と口げんかをしまして、いつ子供から襲われるかわからぬといってピストルを用意しているようなものであって、ナンセンスとしか言いようがないのです。しょせん何のためだといいますと、武力が国力のすべてだと、こう
考えている十九世紀当時の帝国主義時代の指導者の感覚から
インドの指導者が抜け切っていないのだろう、こういう気しかしないわけであります。
例えば、
インドと
パキスタンの国境地帯で小競り合いでも起きまして、
インド軍が油断していたので
パキスタン軍に攻め込まれたという
状況になりまして、それならうちの方は核があるからこれを使おうといって、
パキスタンの首府はたしかカラチだったと思いますけれども、カラチに向けて核弾頭を投下するようなそんな
状況じゃないことはもう確かなんですね、今どき。どこの国もそうだと思います。一国の首府にはいろんな観光客もおれば在外公館もあって、そういうものを一網打尽に殺害してしまうなんということは今日の問題としてとれることではない。とれるような戦法ではないことも確かです。そういう
意味ではもう
核兵器というのは使えない兵器だと私は思うのであります。
それと、先ほど地雷とか機雷とかが軍事
関係者以外の第三者に莫大な被害を及ぼすと。その最たるものは
核兵器であろう、こう思うわけでありまして、広島や長崎で何十万という一般民間人が殺傷された。あれは私は重大な戦争犯罪だろうと本当は思うのですけれども、そこまで話は行きません。
しからばどうしたらいいのか。いろんな
考え方があるようですけれども、
日本は唯一の
被爆国だといって、
インドの
核実験困ったな、やめてもらいたいな、これから援助はもうしないというようなことでつぶやいているだけでありまして、
インドは恐らくせせら笑っておるんでしょう、あんなものは何でもないやと。援助を停止するといっても、
日本と
インドの
関係を永遠に打ち切ってしまうわけにもいかぬ。そのうちに友好
関係も大事だ、援助もしようやと、やっぱりもとに戻ってしまうようなことにもなりかねないんだろうと思うんです。
私が
考えているのは、思い切って国連の安全保障理事会の常任理事国に立候補しまして、主たる問題として核の廃絶、使用の禁止に取り組んだらどうなんだろうかと。同じことも百回言えば意おのずと通ずると言いますから、ああいう理事会を通じまして国連の場で常任理事国として
核兵器の問題についていつも
発言を続けていくと、なるほど常任理事国である
日本の
発言は重いということで各国もそれに乗ってこないとも限らない。
先ほど田
委員が十五年ぐらいをめどとして核の廃絶ということを
提案されたらどうかということも言っておりましたが、そういうことも
一つの
考えだと思います。やはり言うべきことは国連の舞台ではっきり常任理事国という重い看板を背負って
発言していく、私はこういうことに大変
意味があるんだろうと思うんです。
実は、二年ほど前まで常任理事国に立候補しようなろうということが言われておりましたけれども、最近どんとそういう話が聞こえてこないんです。やってみたけれどもだめなので、あれはもうあきらめたのかというふうにも思いたくなるわけですけれども、常任理事国になる
可能性があるのかないのか、あるとすればどんな運動を展開していくのか、なって何をしようとしているのか。私は、この核の問題を第一に取り上げてあそこで頑張ってもらいたい、その方が
発言にも重みがあるだろうと、こういう気もしておるのでありまして、その点
外務大臣の御所見も例えればと、こう思います。